説明

感光性ポリマー組成物における添加剤としてのフルオロウレタン

本発明は、マトリックスポリマー、書込モノマーおよび光開始剤を含んでなる感光性ポリマー組成物、光学素子の製造のための、特にホログラフィック素子およびホログラフィー像の製造のための、感光性ポリマー組成物の使用、感光性ポリマー組成物から製造されたホログラフィック媒体の露光方法、および特定のフルオロウレタンに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリックスポリマー、書込モノマーおよび光開始剤を含んでなる感光性ポリマー組成物、光学素子の製造のための、特にホログラフィック素子およびホログラフィー像の製造のための、感光性ポリマー組成物の使用、感光性ポリマー組成物を含んでなるホログラフィック媒体の露光方法、および特定のフルオロウレタンに関する。
【背景技術】
【0002】
WO 2008/125229 A1は、上記したタイプの感光性ポリマー組成物を記載している。この感光性ポリマー組成物は、ポリウレタン系マトリックスポリマー、アクリレート系書込モノマー、および光開始剤を含んでなる。硬化状態で、書込モノマーおよび光開始剤は、ポリウレタンマトリックス中に、空間的に分布して埋め込まれている。同特許文献は、フタル酸ジブチル、工業用プラスチックのための一般的な可塑剤を感光性ポリマー組成物に添加できることも記載している。
【0003】
以下に記載する使用分野における感光性ポリマー組成物の使用にとって、感光性ポリマーにおけるホログラフィック露光によって生じる屈折率変調Δnは重要な役割を果たす。ホログラフィック露光の際、信号光と参照光の干渉場(最も単純なケースでは、2つの平面波の干渉場)には、干渉場における高強度部位での、例えば高屈折アクリレートの、局所的な光重合によって、屈折率格子が発現する。感光性ポリマーにおける屈折率格子(ホログラム)は、信号光の情報の全てを含む。参照光のみでホログラムを照射することによって、信号を再生することができる。入射参照光の強度に対する、このように再生された信号の強度は、以下において、回折効率またはDEと称する。2つの平面波の重ね合わせから生じる最も単純なホログラムの場合、DEは、再生時に回折された光の強度を、入射参照光および回折光の強度の和で割った商である。DEが大きいほど、信号を一定の明るさで表示させるのに必要な参照光の光量に対するホログラムの効率は高くなる。高屈折アクリレートは、屈折率の低い領域と屈折率の高い領域の間に大きい幅を有する屈折率格子を形成することができるので、感光性ポリマー組成物においてホログラムが高いDEおよび高いΔnを有することが可能となる。DEがΔnと感光性ポリマー層厚さdの積に依存することに留意しなければならない。この積が大きいほど、(反射型ホログラムについて)可能なDEは大きくなる。例えば単色照射時に、ホログラムが見える(再生される)角度範囲幅は、層厚さdのみに依存する。例えば白色光での、ホログラムの照射時に、ホログラムの再生に寄与するスペクトル領域幅もまた、層厚さdのみに依存する場合がある。dが小さいほど、それぞれの許容幅は大きくなる。従って、明るくて見やすいホログラムの形成を意図するのであれば、特にDEが可能な限り大きくなるように、Δn・dが大きく、厚さdが小さいことが望ましい。このことは、Δnが大きいほど、DEの低下を伴わない明るいホログラムのための層厚さdの設定における許容幅がより大きくなることを意味する。従って、Δnの最適化は、感光性ポリマー組成物の最適化において非常に重要である(P. Hariharan, Optical Holography, 第2版、Cambridge University Press, 1996)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO 2008/125229 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、既知の組成物と比べて明るいホログラムを製造できる感光性ポリマー組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明の感光性ポリマー組成物に、可塑剤としてのフルオロウレタンが含まれることによって達成される。
【発明の効果】
【0007】
既知の感光性ポリマー組成物にフルオロウレタンを添加すると、その組成物から製造されたホログラムのΔn値が大きくなることが見出された。つまり、このことは、本発明の組成物から形成されるホログラムが、既知のホログラムと比べて、より明るいことを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、λ=633nm(He−Neレーザー)でのホログラフィック媒体試験器(HMT)の配置を示す。
【図2】図2は、角度離調ΔΩに対する、結合波理論に従ったブラッグ曲線η(破線)、測定回折効率(黒丸)および透過出力(実線)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
フルオロウレタンは、好ましくは、一般式(I):
【化1】

で示される構成要素を有し、少なくとも1個のフッ素原子で置換されている化合物である。
【0010】
フルオロウレタンは、より好ましくは、一般式(II):
【化2】

[式中、nは1以上8以下であり、R、R、Rは、水素、および/または互いに独立して未置換のまたは場合によりヘテロ原子で置換されていてもよい直鎖、分岐、環式または複素環式の有機基であり、基R、R、Rの少なくとも1つは少なくとも1個のフッ素原子で置換されている]
で示される。本発明では、Rが、少なくとも1個のフッ素原子を有する有機基であることが特に好ましい。
【0011】
別の態様によれば、Rは、1〜20個のCF基および/または1個以上のCF基、より好ましくは1〜15個のCF基および/または1個以上のCF基、特に好ましくは1〜10個のCF基および/または1個以上のCF基、とりわけ好ましくは1〜8個のCF基および/または1個以上のCF基を含んでよく、Rは、C〜C20アルキル基、好ましくはC〜C15アルキル基、特に好ましくはC〜C10アルキル基、または水素を含んでよく、および/またはRは、C〜C20アルキル基、好ましくはC〜C15アルキル基、特に好ましくはC〜C10アルキル基、または水素を含んでよい。
【0012】
フルオロウレタンが、ウレトジオン構成要素、イソシアヌレート構成要素、ビウレット構成要素、アロファネート構成要素、ポリウレア構成要素、オキサジアザジオン構成要素および/またはイミノオキサジアジンジオン構成要素および/またはこれら構成要素の混合物を有することが特に好ましい。
【0013】
フルオロウレタンは、特に1.4600以下、好ましくは1.4500以下、特に好ましくは1.4400以下、とりわけ好ましくは1.4300以下の屈折率n20を有してよい。
【0014】
フルオロウレタンは、10〜80重量%のフッ素含量、好ましくは12.5〜75重量%のフッ素含量、特に好ましくは15〜70重量%のフッ素含量、とりわけ好ましくは17.5〜65重量%のフッ素含量を有してよい。
【0015】
式(III)で示されるフルオロウレタンは、式R[NCO]で示されるイソシアネートと、フッ素化アルコールとの、ウレタン形成を伴った互いの化学量論比での反応によって得ることができる。
【0016】
式R[NCO]で示される好ましいイソシアネートは、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、異性体プロピルイソシアネート、異性体ブチルイソシアネート、異性体ペンチルイソシアネート、異性体ヘキシルイソシアネート、異性体ヘプチルイソシアネート、異性体オクチルイソシアネート、異性体ノニルイソシアネート、異性体デシルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、シクロプロピルイソシアネート、シクロブチルイソシアネート、シクロペンチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、シクロヘプチルイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート(MPDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン(TIN)、6−ジイソシアナトヘキサン(HDI、Desmodur H)、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI、Desmodur I)、2,4,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート(TMDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(Desmodur W)、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート(H6TDI)、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12−MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、Desmodur LD、Desmodur N 100、Desmodur N3200、Desmodur N3300、Desmodur N3350、Desmodur N3368、Desmodur N3375、Desmodur N3390、Desmodur N3400、Desmodur N3600、Desmodur N3790、Desmodur N3800、Desmodur N3900、Desmodur N50、Desmodur N75、Desmodur NZ1、Desmodur PL340、Desmodur PL350、Desmodur PM76、Desmodur BL3175、Desmodur BL3272、Desmodur BL3370、Desmodur BL3475、Desmodur BL4265、Desmodur BL5375、Desmodur BLXP2677、Desmodur DA-L、Desmodur DN、Desmodur E 305、Desmodur E3265、Desmodur E3370、Baymicron OXA、Desmodur VP LS 2078/2、Desmodur VP LS 2114/1、Desmodur VP LS 2257、Desmodur VP LS 2352/1、Desmodur VP LS 2371、Desmodur VP LS 2376/1、Desmodur XP 2406、Desmodur XP 2489、Desmodur XP 2565、Desmodur XP 2580、Desmodur XP 2599、Desmodur XP 2617、Desmodur XP 2626、Desmodur XP 2675、Desmodur XP 2679、Desmodur XP 2714、Desmodur XP 2730、Desmodur XP 2731、Desmodur XP 2742、Desmodur XP 2748、Desmodur Z 4470またはそれらの混合物である。
【0017】
式R[NCO]で示される特に好ましいイソシアネートは、異性体プロピルイソシアネート、異性体ブチルイソシアネート、異性体ペンチルイソシアネート、異性体ヘキシルイソシアネート、異性体ヘプチルイソシアネート、異性体オクチルイソシアネート、異性体ノニルイソシアネート、異性体デシルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン(TIN)、6−ジイソシアナトヘキサン(HDI、Desmodur H)、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI、Desmodur I)、2,4,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート(TMDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(Desmodur W)、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート(H6TDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、Desmodur LD、Desmodur N3400、Desmodur N3600、Baymicron OXAまたはそれらの混合物である。
【0018】
式R[NCO]で示される非常に好ましいイソシアネートは、イソプロピルイソシアネート、n−ブチルイソシアネート、n−ヘキシルイソシアネート、n−オクチルイソシアネート、n−デシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、1.8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン(TIN)、6−ジイソシアナトヘキサン(HDI、Desmodur H)、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI、Desmodur I)、2,4,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート(TMDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(Desmodur W)、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート(H6TDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、Desmodur LD、Desmodur N3400、Desmodur N3600、Desmodur N3900、Baymicron OXAまたはそれらの混合物である。
【0019】
フッ素化アルコールの好ましい選択肢は広く、30〜82%のフッ素含量、好ましくは40〜80%のフッ素含量、特に好ましくは49〜75%のフッ素含量を有する第一級または第二級、単官能性、二官能性または三官能性のアルコールを使用することが好ましい。
【0020】
フルオロウレタンを調製するための、上記したそれぞれの場合における、記載したタイプのアルコールとイソシアネートとの反応はウレタン化である。反応は、イソシアネート付加反応を促進するための既知の触媒、例えば、第三級アミン、スズ化合物、亜鉛化合物、鉄化合物またはビスマス化合物、特に、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、オクタン酸ビスマス、オクタン酸亜鉛またはジラウリン酸ジブチルスズを用いて実施してよく、これらは、反応の開始時または開始後に添加してよい。
【0021】
フルオロウレタンは、0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%未満、特に好ましくは0.1重量%未満のイソシアネート基(M=42g/mol)含量、即ち遊離イソシアネート基モノマー含量を有してよい。
【0022】
更に、フルオロウレタンは、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、特に好ましくは0.2重量%未満の未反応ヒドロキシ官能性化合物含量を有してよい。
【0023】
フルオロウレタンは、10〜80重量%のフッ素含量、好ましくは12.5〜75重量%のフッ素含量、特に好ましくは15〜70重量%のフッ素含量、とりわけ好ましくは17.5〜65重量%のフッ素含量を有してよい。
【0024】
フルオロウレタンは、1.4600以下、好ましくは1.4500以下、特に好ましくは1.4400以下、とりわけ好ましくは1.4300以下の屈折率n20を有する。
【0025】
フルオロウレタンの調製において、イソシアネートおよびアルコールをそれぞれ、非反応性溶媒(例えば、芳香族または脂肪族炭化水素、芳香族または脂肪族ハロゲン化炭化水素)、或いは塗料溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、ブタノン、エーテル、例えばテトラヒドロフランまたはtert−ブチルメチルエーテル)、或いは双極性非プロトン性溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンまたはN−エチルピロリドン)に溶解してよく、イソシアネートおよびアルコールは、当業者に既知の方法で調製の開始時または開始後に添加してよい。
【0026】
反応終了後、非反応性溶媒を、大気圧下または減圧下、混合物から除去してよく、その終点は、固形分を測定することによって決定する。固形分は、フルオロウレタンに基づいて、典型的には99.999〜95.0重量%、好ましくは99.998〜98.0重量%の範囲である。
【0027】
マトリックスポリマーは特にポリウレタンであってよい。ポリウレタンは好ましくは、イソシアネート成分a)とイソシアネート反応性成分b)との反応によって得ることができる。
【0028】
イソシアネート成分a)は、好ましくはポリイソシアネートを包含する。使用してよいポリイソシアネートは、一分子あたり平均して2つ以上のNCO官能基を有する当業者に既知の化合物の全てまたはその混合物である。ポリイソシアネートは、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族または脂環式であってよい。少ない量でなら、付随的に、不飽和基を有するモノイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートを使用することもできる。
【0029】
例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび所望の異性体含量を有するそれらの混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートおよび/または2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートまたは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/またはトリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートが適している。
【0030】
ウレタン構造、ウレア構造、カルボジイミド構造、アシルウレア構造、イソシアヌレート構造、アロファネート構造、ビウレット構造、オキサジアジントリオン構造、ウレトジオン構造および/またはイミノオキサジアジンジオン構造を有する、モノマージイソシアネートまたはトリイソシアネートの誘導体を使用することもできる。
【0031】
脂肪族および/または脂環式のジイソシアネートまたはトリイソシアネートに基づくポリイソシアネートを使用することが好ましい。
【0032】
成分a)のポリイソシアネートは、特に好ましくは、二量化またはオリゴマー化された脂肪族および/または脂環式のジイソシアネートまたはトリイソシアネートである。
【0033】
HDIおよび1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタンに基づく、イソシアヌレート、ウレトジオンおよび/またはイミノオキサジアジンジオン或いはそれらの混合物が特に好ましい。
【0034】
ウレタン基、アロファネート基、ビウレット基および/またはアミド基を有するNCO官能性プレポリマーを成分a)として使用することもできる。成分a)としてのプレポリマーは、場合により触媒および溶媒を使用した、適当な化学量論量での、モノイソシアネート、オリゴイソシアネートまたはポリイソシアネートa1)とイソシアネート反応性化合物a2)との反応により、当業者によく知られている方法で得られる。
【0035】
適当なポリイソシアネートa1)は、当業者に自体知られている、脂肪族、脂環式、芳香族または芳香脂肪族のジイソシアネートおよびトリイソシアネートであって、それらがホスゲン法によって得られたのかまたはホスゲンフリー法によって得られたのかは重要ではない。また、当業者に自体よく知られており、ウレタン構造、ウレア構造、カルボジイミド構造、アシルウレア構造、イソシアヌレート構造、アロファネート構造、ビウレット構造、オキサジアジントリオン構造、ウレトジオン構造またはイミノオキサジアジンジオン構造を有するモノマージイソシアネートおよび/またはトリイソシアネートの高分子量二次生成物を、単独でまたは互いの所望の混合物として使用することもできる。
【0036】
成分a1)として使用することができる適当なモノマージイソシアネートまたはトリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(TIN)、2,4−トルエンジイソシアネートおよび/または2,6−トルエンジイソシアネートである。
【0037】
プレポリマーの合成に関するイソシアネート反応性化合物a2)として、OH官能性化合物を使用することが好ましい。これらは、後の成分b)についての記載に示されているようなOH官能性化合物と類似している。
【0038】
プレポリマーを調製するために、アミンを使用することもできる。例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノベンゼン、ジアミノビスフェニル、二官能性ポリアミン、例えばJeffamine(登録商標)、10000g/molの数平均分子量を有するアミン末端ポリマー、および互いの所望の混合物が適している。
【0039】
ビウレット基を有するプレポリマーを調製するためには、イソシアネートをアミンと過剰に反応させ、この過程においてビウレット基を生成させる。記載したジイソシアネート、トリイソシアネートおよびポリイソシアネートとの反応の際の適当なアミンは、先に記載したタイプのオリゴマーまたはポリマー、第一級または第二級の二官能性アミンの全てである。
【0040】
好ましいプレポリマーは、脂肪族イソシアネート官能性化合物と、200〜10000g/molの数平均分子量を有するオリゴマーまたはポリマーのイソシアネート反応性化合物とから得られた、ウレタン、アロファネートまたはビウレットであり;脂肪族イソシアネート官能性化合物と、500〜8500g/molの数平均分子量を有するオリゴマーまたはポリマーのポリオールまたはポリアミンとから得られた、ウレタン、アロファネートまたはビウレットが特に好ましく;HDIまたはTMDIと、1000〜8200g/molの数平均分子量を有する二官能性ポリエーテルポリオールとから得られたアロファネートがとりわけ好ましい。
【0041】
先に記載したプレポリマーは、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、特に好ましくは0.2重量%未満の遊離モノマーイソシアネートの残留含量を有する。
【0042】
記載したプレポリマーに加えて、イソシアネート成分はもちろん、別のイソシアネート成分をある割合で含有してもよい。芳香族、芳香脂肪族、脂肪族および脂環式のジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートがこの目的に適している。そのようなジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートの混合物を使用することもできる。適当なジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび所望の異性体含量を有するそれらの混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートおよび/または2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートまたは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、またはウレタン構造、ウレア構造、カルボジイミド構造、アシルウレア構造、イソシアヌレート構造、アロファネート構造、ビウレット構造、オキサジアジントリオン構造、ウレトジオン構造またはイミノオキサジアジンジオン構造を有するそれらの誘導体、およびそれらの混合物である。オリゴマー化および/または誘導体化ジイソシアネートに基づき、適当な方法によって過剰ジイソシアネートを除去したポリイソシアネートが好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートに基づく前記ポリイソシアネートが好ましい。HDIに基づくオリゴマーのイソシアヌレート、ウレトジオンおよびイミノオキサジアジンジオン、並びにそれらの混合物が特に好ましい。
【0043】
場合により、イソシアネート成分a)が、イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物と部分的に反応したイソシアネートをある割合で含有することも可能である。本発明では、イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物として、α,β−不飽和カルボン酸誘導体、例えば、アクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミド、ビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテル、並びにジシクロペンタジエニル単位および少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有する化合物を使用することが好ましい。イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物は、特に、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有する、アクリレートおよびメタクリレートである。適当なヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレートは、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、例えばTone(登録商標) M100(Dow、米国)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エトキシル化、プロポキシル化またはアルコキシル化された、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール)のヒドロキシ官能性モノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレートまたはテトラ(メタ)アクリレートのような化合物、およびそれらの工業用混合物である。また、単独のまたは前記モノマー化合物と組み合わせた、アクリレート基および/またはメタクリレート基を有するオリゴマーまたはポリマーのイソシアネート反応性不飽和化合物も適している。イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物と部分的に反応したイソシアネートの割合は、イソシアネート成分a)に基づいて、0〜99%、好ましくは0〜50%、特に好ましくは0〜25%、とりわけ好ましくは0〜15%である。
【0044】
場合により、先に記載したイソシアネート成分a)に関して、完全にまたはある割合で、被覆技術から当業者に知られているブロック剤と完全にまたは部分的に反応したイソシアネートを含有することも可能である。ブロック剤の例として、以下を挙げることができる:アルコール、ラクタム、オキシム、マロン酸エステル、アルキルアセトアセテート、トリアゾール、フェノール、イミダゾール、ピラゾールおよびアミン、例えば、ブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、1,2,4−トリアゾール、ジメチル−1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセトンオキシム、3,5−ジメチルピラゾール、ε−カプロラクタム、N−tert−ブチルベンジルアミン、シクロペンタノンカルボキシエチルエステル、またはこれらブロック剤の所望の混合物。
【0045】
基本的に、平均して一分子あたり少なくとも1.5個のイソシアネート反応性基を有する多官能性イソシアネート反応性化合物の全てを、成分b)として使用することができる。
【0046】
本発明において、イソシアネート反応性基は、好ましくは、ヒドロキシル基、アミノ基またはチオール基であり、ヒドロキシ化合物が特に好ましい。
【0047】
適当な多官能性イソシアネート反応性化合物は、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオールおよび/またはポリウレタンポリオールである。
【0048】
適当なポリエステルポリオールは、例えば、脂肪族、脂環式または芳香族のジカルボン酸またはポリカルボン酸またはそれらの無水物と2以上のOH官能価を有する多価アルコールとから既知の方法で得られるような、直鎖ポリエステルジオールまたは分岐ポリエステルポリオールである。
【0049】
そのようなジカルボン酸またはポリカルボン酸またはそれらの無水物の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはトリメリット酸、および酸無水物、例えば、o−フタル酸無水物、トリメリット酸無水物またはコハク酸無水物、またはそれらの互いの所望の混合物である。
【0050】
そのような適当なアルコールの例は、エタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはテトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールまたはテトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、またはそれらの互いの所望の混合物である。
【0051】
ポリエステルポリオールは、天然原料、例えばひまし油に基づいてもよい。ポリエステルポリオールは、ヒドロキシ官能性化合物(例えば、2以上のOH官能価を有する多価アルコール、例えば先に記載したタイプのもの)によるラクトン(例えば、ブチロラクトン、ε−カプロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトン)またはラクトン混合物の付加反応によって好ましくは得ることができるような、ラクトンのホモポリマーまたはコポリマーに基づくこともできる。
【0052】
そのようなポリエステルポリオールは、好ましくは400〜4000g/mol、特に好ましくは500〜2000g/molの数平均分子量を有する。そのOH官能価は、好ましくは1.5〜3.5、特に好ましくは1.8〜3.0である。
【0053】
適当なポリカーボネートポリオールは、有機カーボネートまたはホスゲンとジオールまたはジオール混合物との反応により自体既知の方法で得ることができる。
【0054】
適当な有機カーボネートは、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびジフェニルカーボネートである。
【0055】
適当なジオールまたは混合物は、ポリエステルセグメントに関する記載に示した2以上のOH官能価を有する多価アルコール、好ましくは、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび/または3−メチルペンタンジオールを包含する。即ち、ポリエステルポリオールをポリカーボネートポリオールに変換してもよい。
【0056】
そのようなポリカーボネートポリオールは、好ましくは400〜4000g/mol、特に好ましくは500〜2000g/molの数平均分子量を有する。これらのポリオールのOH官能価は、好ましくは1.8〜3.2、特に好ましくは1.9〜3.0である。
【0057】
適当なポリエーテルポリオールは、OH官能性スターター分子またはNH官能性スターター分子による環式エーテルの重付加物であり、重付加物は場合により、ブロック構造を有する。
【0058】
適当な環式エーテルは、例えば、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリンおよびそれらの所望の混合物である。
【0059】
使用してよいスターターは、ポリエステルポリオールに関する記載に示した2以上のOH官能価を有する多価アルコール、並びに第一級または第二級のアミンおよびアミノアルコールである。
【0060】
好ましいポリエーテルポリオールは、プロピレンオキシドのみに基づくか、或いはプロピレンオキシドと別の1−アルキレンオキシドとに基づく(別の1−アルキレンオキシドの割合は80重量%以下である)ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーに基づく、先に記載したタイプのポリエーテルポリオールである。また、ポリ(トリメチレンオキシド)、および好ましいものとして先に記載したポリオールの混合物が好ましい。プロピレンオキシドホモポリマー、並びにオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位および/またはオキシブチレン単位を有するランダムコポリマーまたはブロックコポリマーが特に好ましく、全てのオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位およびオキシブチレン単位の総量に基づくオキシプロピレン単位の割合は、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも45重量%を占める。ここで、オキシプロピレンおよびオキシブチレンはそれぞれ、直鎖および分岐のC3異性体の全て並びに直鎖および分岐のC4異性体の全てを包含する。
【0061】
そのようなポリエーテルポリオールは、好ましくは250〜10000g/mol、特に好ましくは500〜8500g/mol、とりわけ好ましくは600〜4500g/molの数平均分子量を有する。OH官能価は、好ましくは1.5〜4.0、特に好ましくは1.8〜3.1である。
【0062】
加えて、低分子量(即ち500g/mol未満の分子量)および短鎖(即ち2〜20個の炭素原子)を有する脂肪族、芳香脂肪族または脂環式、二官能性、三官能性または多官能性のアルコールもまた、成分b)の要素としての多官能性イソシアネート反応性化合物として適している。
【0063】
そのようなアルコールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、ジエチルオクタンジオールの位置異性体、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸(2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルエステル)であってよい。適当なトリオールの例は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはグリセロールである。適当なより高官能性のアルコールは、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールまたはソルビトールである。
【0064】
成分c)として、1種以上の光開始剤を使用する。光開始剤は通常、化学線によって活性化されて、相応の重合性基の重合を開始することができる開始剤である。光開始剤は、それ自体既知の市販化合物であり、一分子(I型)開始剤と二分子(II型)開始剤とに分類されている。更に、化学的性質に依存して、これらの開始剤は、ラジカル重合、アニオン重合(または)カチオン(または混合)重合に使用される。
【0065】
ラジカル光重合のための(I型)系は、例えば、第3級アミンと組み合わせた芳香族ケトン化合物(例えばベンゾフェノン)、アルキルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、アントロンおよびハロゲン化ベンゾフェノンまたは前記タイプの混合物である。適当な共開始剤(例えば、メルカプトベンゾキサゾールおよびα−ヒドロキシアルキルフェノン)を伴った、(II型)開始剤、例えば、ベンゾインおよびその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、フェニルグリオキシル酸エステル、カンファーキノン、α−アミノアルキルフェノン、α,α−ジアルコキシアセトフェノン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1,2−ジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)、種々に置換されたヘキサアリールビスイミダゾール(HABI)もまた適している。EP−A 0223587に記載され、アリールホウ酸アンモニウムと1種以上の染料との混合物からなる光開始剤組成物を、光開始剤として使用することもできる。アリールホウ酸アンモニウムとして、例えば、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリナフチルブチルボレート、テトラメチルアンモニウムトリフェニルベンジルボレート、テトラ(n−ヘキシル)アンモニウム(sec−ブチル)トリフェニルボレート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムジフェニルジフェニルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(4−tert−ブチル)フェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレート、およびテトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレートが適している。適当な染料は、例えば、ニューメチレンブルー、チオニン、ベーシックイエロー、ピナシアノールクロリド、ローダミン6G、ガロシアニン、エチルバイオレット、ビクトリアブルーR、セレスチンブルー、キナルジンレッド、クリスタルバイオレット、ブリリアントグリーン、アストラゾンオレンジG、ダロウレッド、ピロニンY、ベーシックレッド29、ピリリウムI、サフラニンO、シアニンおよびメチレンブルー、アズールA(Cunninghamら、RadTech '98 North America UV/EB Conference Proceedings, シカゴ、1998年4月19日〜22日)である。
【0066】
アニオン重合に使用される光開始剤は、概して(I型)系であり、第一系列遷移金属錯体から誘導される。本発明では、クロム塩、例えば、トランス−Cr(NH(NCS)−(Kutalら、Macromolecules 1991, 24, 6872)またはフェロセン化合物(Yamaguchiら、Macromolecules 2000, 33, 1152)が適している。アニオン重合の別の可能性は、光分解によってシアノアクリレートを重合できる、クリスタルバイオレットロイコニトリルまたはマラカイトグリーンロイコニトリルのような染料の使用にある(Neckersら、Macromolecules 2000, 33, 7761)。しかしながら、発色団がポリマーに組み込まれるので、得られるポリマーは全体に着色される。
【0067】
カチオン重合に使用される光開始剤は、実質上、以下の3種類を包含する:アリールジアゾニウム塩、オニウム塩(本発明では、とりわけ、ヨードニウム塩、スルホニウム塩およびセレノニウム塩)および有機金属化合物。露光すると、水素供与体の存在下および不存在下、フェニルジアゾニウム塩は、重合を開始するカチオンを生じることができる。系全体の有効性は、ジアゾニウム化合物に使用された対イオンの性質によって決まる。ここでは、それほど反応性ではないが極めて高価なSbF、AsFまたはPFが適している。薄膜被覆への使用には、これらの化合物は概して適当ではない。なぜなら、露光後に遊離される窒素が、薄膜表面の品質を低下させる(ピンホール)からである(Liら、Polymeric Materials Science and Engineering, 2001, 84, 139)。オニウム塩、特にスルホニウム塩およびヨードニウム塩が、極めて広範囲で使用され、多くの形態で市販されている。これら化合物の光化学は、長い間研究されてきた。ヨードニウム塩は励起後まず均等開裂し、それによってラジカルおよびラジカルアニオンを生じ、ラジカルおよびラジカルアニオンは、H引き抜きにより安定化され、プロトンを遊離し、次いでカチオン重合を開始する(Dektarら、J. Org. Chem. 1990, 55, 639; J. Org. Chem., 1991, 56, 1838)。このメカニズムは、ヨードニウム塩のラジカル光重合への使用も可能にする。ここでも、対イオンの選択が再び重要であり、SbF、AsFまたはPFが同様に好ましい。他の点では、この構造分類において、芳香族の置換基の選択は完全に自由であり、合成に適した出発構成単位の利用可能性によって実質的に決定される。スルホニウム塩は、ノリッシュII型反応に従って分解する化合物である(Crivelloら、Macromolecules, 2000, 33, 825)。スルホニウム塩の場合もまた、対イオンの選択が重要であり、この選択が実質的にポリマーの硬化速度に現れる。SbF塩を使用した場合に概して最良の結果が得られる。ヨードニウム塩およびスルホニウム塩の自己吸収が300nm未満で起こるので、これらの化合物は、近紫外線または短波長可視光での光重合に対して適当に増感させなければならない。これは、より高吸収性の芳香族、例えば、アントラセンおよびその誘導体(Guら、Am. Chem. Soc. Polymer Preprints, 2000, 41 (2), 1266)またはフェノチアジンまたはその誘導体(Huaら、Macromolecules 2001, 34, 2488-2494)を使用することによって達成される。
【0068】
これらの化合物の混合物を使用することが有利な場合もある。硬化に使用される線源に応じて、当業者に既知の方法で、光開始剤のタイプおよび濃度を適合させなければならない。詳細は、例えばP. K. T. Oldring編、Chemistry & Technology of UV & EB Formulations For Coatings, Inks & Paints, 第3巻、1991, SITA Technology, London, 第61〜328頁に記載されている。
【0069】
好ましい光開始剤c)は、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリナフチルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(4−tert−ブチル)フェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレートおよびテトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレートと、染料、例えば、アストラゾンオレンジG、メチレンブルー、ニューメチレンブルー、アズールA、ピリリウムI、サフラニンO、シアニン、ガロシアニン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、エチルバイオレットおよびチオニンとの混合物である。
【0070】
例えばUS 6,780,546に記載されているように、成分d)として、感光性ポリマー組成物におけるコントラスト付与成分としての高屈折アクリレートを使用すると非常に良好な結果が得られる。
【0071】
従って、本発明では、感光性ポリマー組成物において、書込モノマーがアクリレート、特に1.50より大きい屈折率n20を有するアクリレートであることが好ましい。ウレタンアクリレートがより好ましく、例えばWO2008/125199に記載されているような、589nmで1.50より大きい屈折率n20を有する芳香族ウレタンアクリレートがとりわけ好ましい。
【0072】
本発明はまた、式(I)で示されるフルオロウレタンを用いて得ることができる、映像ホログラムを記録するための媒体、そのような媒体の光学素子または光学像としての或いは画像表示または画像投影のための使用、およびそのような媒体を使用するホログラムの記録方法に関する。
【0073】
本発明の感光性ポリマー組成物は特に、15〜79重量%、好ましくは30〜60重量%のマトリックスポリマー、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の書込モノマー、1〜10重量%、好ましくは1〜3重量%の光開始剤、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%のフルオロウレタン、および0〜10重量%の別の添加剤を含有してよく、これら成分の和は100重量%となる。
【0074】
本発明の第二の態様は、マトリックスポリマー、書込モノマー、光開始剤、および可塑剤としてのフルオロウレタンを混合して感光性ポリマー組成物を製造する、本発明の感光性ポリマー組成物の製造方法に関する。
【0075】
本発明の第三の態様は、本発明の方法によって得ることができる感光性ポリマー組成物に関する。
【0076】
本発明の第四の態様は、感光性ポリマー組成物を含んでなる、シート、フィルム、層、層状構造または成形品に関する。
【0077】
本発明の感光性ポリマー組成物を含んでなる、層、層状構造および成形品は、典型的には0.0120超、好ましくは0.0130超、特に好ましくは0.0140超、とりわけ好ましくは0.0150超の、「反射装置における二光束干渉によるホログラフィック媒体のホログラム特性DEおよびΔnの測定」の部に記載された方法によって測定されるΔn値を有する。
【0078】
本発明の第五の態様は、光学素子の製造のための、特にホログラフィック素子およびホログラフィー像の製造のための、感光性ポリマー組成物の使用に関する。
【0079】
本発明はまた、書込モノマーを電磁線によって空間的分離を伴って(ortsaufgeloest)選択的に重合させる、本発明の感光性ポリマー組成物を含んでなるホログラフィック媒体の露光方法に関する。
【0080】
ホログラフィック露光の後、そのようなホログラフィック媒体は、例えば、光学レンズ機能、ミラー機能、偏向ミラー機能、フィルター機能、拡散スクリーン機能、回折素子機能、光導体機能、導波管機能、映写スクリーン機能および/またはマスク機能を有する、ホログラフィック光学素子の製造に適している。また、個人肖像写真、セキュリティードキュメントの生体認証表示、或いは一般に広告、セキュリティーラベル、商標保護、商標ブランド設定、ラベル、意匠要素、装飾、イラスト、回数券、イメージなどのための画像または画像構造の、および(とりわけ前記物質と組み合わせて)デジタルデータを表すことができる画像の、ホログラフィー像またはホログラフィック表示を作成することもできる。
【0081】
先行技術は、ある種のフルオロウレタンを開示している。例えば、US 2003/105263 A1は、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオンまたはポリウレアを含有するポリイソシアネートと、フッ素化アルコールとの反応によって得ることができるフルオロウレタンを記載している。WO 03/023519 Aは、ビウレット含有ポリイソシアネートとフッ素化アルコールとの反応によって得ることができるフルオロウレタンを開示している。
【0082】
本発明の別の態様は、イミノオキサジアジンジオンまたはオキサジアザジオンを含有し、少なくとも1個の遊離イソシアネート基を有するポリイソシアネートと、アルコールとを反応させることにより得ることができるフルオロウレタンであって、ポリイソシアネートおよび/またはアルコールが少なくとも1個のフッ素原子で置換されている、フルオロウレタンに関する。
【0083】
最後に、本発明はまた、一般式(III):
【化3】

[式中、mは1以上8以下であり、R、R、Rは、水素、および/または互いに独立して未置換のまたは場合によりヘテロ原子で置換されていてもよい、イミノオキサジアジンジオン構成要素および/またはオキサジアザジオン構成要素を有する直鎖、分岐、環式または複素環式の有機基であると同時に、基R、R、Rの少なくとも2つは少なくとも1個のフッ素原子で置換されている]
で示されるフルオロウレタンに関する。
【実施例】
【0084】
実施例を参照して、本発明を以下でより詳細に説明する。
特に記載のない限り、記載したパーセントは全て、重量パーセントに基づく。
【0085】
測定方法:
記載したNCO値(イソシアネート含量)は、DIN EN ISO 11909に従って測定した。
屈折率は、実施例の化合物の性質に応じて、以下の3つの方法のいずれかによって測定した:
・方法A:405nmの波長での屈折率nの測定
透過スペクトルおよび反射スペクトルから、試料の波長の関数としての屈折率nを得た。そのために、試料の約100〜300nm厚さフィルムを、酢酸ブチル中希釈溶液から、石英ガラス基材に回転塗布によって適用した。STEAG ETA-Optikの分光計CD-Measurement System ETA-RTを用いて、この層パケットの透過スペクトルおよび反射スペクトルを測定し、次いで、層厚さとnのスペクトル曲線とを、測定した透過スペクトルおよび反射スペクトルに適合させた。これは、分光計の内部ソフトウェアを用いて実施し、更に、ブランク測定において予め測定した石英ガラス基材の屈折率データを必要とした。
・方法B:589nmの波長での屈折率n20の測定
実施例の化合物の試料をAbbe屈折率測定器に導入し、n20を測定した。
・方法C:半濃縮液の、589nmの波長での屈折率n20の測定
実施例の化合物の試料を、N−エチルピロリドンで50:50(重量%)に希釈し、Abbe屈折率測定器に導入し、n20を測定した。その測定値から、測定物質のおおよその屈折率を計算した。N−エチルピロリドンのn20は1.4658であった。
【0086】
反射装置における二光束干渉によるホログラフィック媒体のホログラム特性DEおよびΔnの測定
図1の測定装置を用いて、製造した媒体を、ホログラム特性について試験した。
【0087】
空間フィルター(SF)およびコリメーターレンズ(CL)を用いて、He−Neレーザー光(発光波長633nm)を平行均一光に変換した。虹彩絞り(I)によって、信号光と参照光の最終断面を確立した。虹彩絞りの開口径は0.4cmであった。偏光感受型ビームスプリッター(PBS)により、レーザー光は2つの均一偏光コヒーレント光に分けられた。λ/2プレートによって、参照光の出力を0.5mWに調節し、信号光の出力を0.65mWに調節した。試料を取り除いた状態で、半導体検出器(D)を用いて出力を測定した。参照光の入射角(α)は−21.8°、信号光の入射角(β)は41.8°であった。光方向に垂直な試料から出発して角度を測定した。従って、図1によれば、αは負号(−)を有し、βは正号(+)を有する。試料(媒体)の位置で、2つの重なった光の干渉場は、試料に入射する2つの光の角2等分線と垂直である明暗縞の回折格子を生じた(反射型ホログラム)。格子周期とも称される、媒体における縞間隔Λは、約225nmであった(媒体の屈折率は約1.504と考えられる)。
【0088】
図1は、λ=633nm(He−Neレーザー)でのホログラフィック媒体試験器(HMT)の配置を示す:M=ミラー、S=シャッター、SF=空間フィルター、CL=コリメーターレンズ、λ/2=λ/2プレート、PBS=偏光感受型ビームスプリッター、D=検出器、I=虹彩絞り。α=−21.8°およびβ=41.8°は試料の外(媒体の外)で測定したコヒーレント光の入射角である。RD=ターンテーブルの基準方向。
【0089】
図1に示したようなホログラフィー実験装置を用いて、媒体の回折効率(DE)を測定した。
【0090】
以下の方法で、媒体にホログラムを書込んだ。
・露光時間tの間、両方のシャッター(S)を開放する。
・その後、シャッター(S)を閉じた状態で、媒体を5分間おいて、まだ重合されていない書込モノマーを拡散させた。
【0091】
書込んだホログラムを、以下の方法で読み取った。信号光のシャッターは閉じたままにした。参照光のシャッターを開放した。参照光の虹彩絞りを1mm未満の直径まで閉じた。これにより、媒体の回転角(Ω)の全てにおいて、光が、先に書込んだホログラムに常に完全に存在することが確実となった。コンピューター制御の下、ターンテーブルは、0.05°の角度ステップ幅でΩ最小からΩ最大までの角度範囲をカバーした。Ωは、ターンテーブルの基準方向に垂直な試料から測定した。ホログラムの書込み中に参照光および信号光の入射角が等しくなったとき、即ちα=−31.8°、β=31.8°になったときを、ターンテーブルの基準方向とした。このときΩ書込は0°である。従って、α=−21.8°およびβ=41.8°については、Ω書込は10°である。以下は一般に、ホログラムの書込み中の干渉場にあてはまる。
【数1】

θは媒体外の実験系における半角であり、ホログラムの書込み中は以下があてはまる。
【数2】

従って、この場合、θは−31.8°である。接近したそれぞれの回転角Ωで、相応の検出器Dを用いて、ゼロ次透過された光の出力を測定し、検出器Dを用いて、一次回折された光の出力を測定した。接近したそれぞれの角度Ωで、下記式の商として回折効率を得た。
【数3】

は回折光の検出器での出力であり、Pは透過光の検出器での出力である。
【0092】
前記方法によって、ブラッグ曲線(これは、回折効率ηを、書込んだホログラムの回転角Ωの関数として示す)を測定し、コンピューターに保存した。また、ゼロ次透過強度を、回転角Ωに対してプロットし、コンピューターに保存した。
【0093】
ホログラムの最大回折効率(DE=η最大)、即ちピーク値をΩ再生で測定した。この最大値を測定するために、場合により、回折光の検出器の位置を変える必要があった。
【0094】
次に、測定したブラッグ曲線と透過強度の角度変化とから、結合波理論(H. Kogelnik, The Bell System Technical Journal, 第48巻、1969年11月、第9号、第2909頁〜第2947頁参照)を用いて、感光性ポリマー層の屈折率コントラストΔnおよび厚さdを決定した。光重合の結果生じる厚さの収縮の故に、ホログラムストリップ間隔Λ’およびストリップ配向(傾き)が、干渉縞ストリップ間隔Λおよびその配向から逸脱し得ることに留意しなければならない。従って、α’または最大回折効率が得られるターンテーブルの対応角度Ω再生もまた、αまたは対応するΩ書込からそれぞれ逸脱するであろう。その結果、ブラッグ条件は変わる。この変化は、評価方法において考慮されなければならない。評価方法を以下に記載する:書込ホログラムに関連し、干渉縞に関連しない幾何学的量の全てを、破線により示す量として表す。
【0095】
Kogelnikによれば、反射型ホログラムのブラッグ曲線η(Ω)について、以下の式があてはまる。
【数4】

ここで、
【数5】

である。
【0096】
ホログラムを読み取る(「再生」する)とき、先の記載と同様に、以下があてはまる:
【数6】

【0097】
ブラッグ条件下では、「位相のずれ」DPは0である。従って、以下の式があてはまる。
【数7】

【0098】
なお未知の角度β’は、厚さ収縮しか生じないと仮定した、ホログラムの書込み中のブラッグ条件と、ホログラムの書込み中の干渉場のブラッグ条件との比較から決定することができる。このとき、以下の式があてはまる。
【数8】

νは回折格子厚さであり、ξは離調パラメータであり、Ψ’は書込んだ屈折率格子の配向(傾き)である。α’およびβ’は、ホログラムの書込み中の干渉場の角度αおよびβに相当するが、媒体において測定され、(厚さ収縮後)ホログラムの回折格子に適用することができる。nは、感光性ポリマーの平均屈折率であり、1.504に設定した。λは、真空でのレーザー光の波長である。
【0099】
ξ=0に対する最大回折効率(DE=η最大)は以下である:
【数9】

【0100】
図2は、角度離調ΔΩに対してプロットした測定透過出力P(実線、右側のy軸)、(検出器の測定可能範囲で)角度離調ΔΩに対してプロットした測定回折効率(黒丸、左側のy軸)、およびKogelnik理論に適合させたもの(破線、左側のy軸)を示す。
【0101】
回折効率、理論ブラッグ曲線および透過強度の測定データを、角度離調とも称される中心回転角:
【数10】

に対してプロットし、図2に示す。
【0102】
DEはわかっているので、Kogelnikによる理論ブラッグ曲線の形状は、感光性ポリマー層厚さd’のみによって決まる。次いで、DEの測定値と理論値とが常に一致するように、与えられた厚さd’に対し、DEを介してΔnを補正する。そして、理論ブラッグ曲線の第一二次極小の角度位置が透過強度の第一二次極大の角度位置と一致し、加えて、理論ブラッグ曲線と透過強度の半値全幅(FWHM)が一致するまで、d’を調整する。
【0103】
反射型ホログラムの方向はΩスキャンによる再生時に回転するが、回折光の検出器は測定可能な角度範囲でしか検出できないので、幅広のホログラム(小さいd’)のブラッグ曲線は、適当に検出器の位置を調節しても、Ωスキャンで完全には記録されず、中心領域しか記録されない。従って、層厚さd’を調整するために、ブラッグ曲線に相補的である透過強度の形状を付加的に使用する。
【0104】
図2は、角度離調ΔΩに対する、結合波理論に従ったブラッグ曲線ηのプロット(破線)、測定回折効率のプロット(黒丸)、および透過出力(実線)を示す。
【0105】
ホログラムの書込み中にDEが飽和値に達する、入射レーザー光の平均エネルギー線量を測定するため、1つの組成物について、この手順を、様々な媒体で、様々な露光時間tに対して、場合により数回繰り返した。平均エネルギー線量Eは、角度αおよびβに調整された2つの部分光(P=0.50mWの参照光およびP=0.63mWの信号光)の出力、露光時間tおよび虹彩絞り直径(0.4cm)から、下記式に従って得られる。
【数11】

【0106】
使用される角度αおよびβで、媒体において同じ出力密度が達成されるように、部分光の出力を調節した。
【0107】
使用した物質:
Fluorlink E 10/Hは、Solvay Solexis製の反応性添加剤であって、750g/molの平均分子量を有するフッ素化アルコールに基づく。
CGI-909(テトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレート、[1147315-11-4])は、Ciba Inc.(スイス国バーゼル)によって製造された実験生成物である。
1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン(TIN)は、EP749958に記載されているように調製した。
使用したフッ素化アルコールおよび単官能性イソシアネートは、Chemikalienhandelから入手し、使用したポリイソシアネート(Desmodur H(HDI)、Desmodur I(IPDI)、Desmodur W、Desmodur LD、Desmodur N3400、Desmodur N3600、Desmodur N3900、Baymicron OXA)は、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン)の市販品である。
2,4,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、Vestanat TMDIは、Evonik Degussa GMBH(ドイツ国マール)の製品である。
【0108】
2,2,2−トリフルオロエチル(6−イソシアナトヘキシル)カルバメートの調製
1L容の丸底フラスコに、まず、684gのヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を80℃で導入し、0.002gの二塩化イソフタロイルを添加した。54.4gのトリフルオロエタノールをゆっくりと滴加し、NCO値が43.2重量%になるまで撹拌した。薄膜蒸留器での蒸留によって混合物を分離し、22.7重量%のNCO含量を有する表題化合物47g(=理論値の47%)を得た。
【0109】
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(6−イソシアナトヘキシル)カルバメートの調製
1L容の丸底フラスコに、まず、399gのヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を80℃で導入し、0.002gの二塩化イソフタロイルを添加した。73.4gの2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンタノールをゆっくりと滴加し、NCO値が39.4重量%になるまで撹拌した。薄膜蒸留器での蒸留によって混合物を分離し、12.4重量%のNCO含量を有する表題化合物40g(=理論値の40%)を得た。
【0110】
実施例1:ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ヘキサン−1,6−ジイルビスカルバメート
500mL容の丸底フラスコに、まず、0.07gのDesmorapid Zおよび64.4gの6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)を導入し、60℃に加熱した。次いで、81.5gのトリフルオロエタノールを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満になるまで、混合物を60℃で維持した。続いて冷却した。無色固体として生成物を得た。
【0111】
以下の表1に記載した実施例を、記載した組成で、実施例1と同様に調製した。
【0112】
【表1−1】




【0113】
【表1−2】

【0114】
【表1−3】

【0115】
【表1−4】

【0116】
【表1−5】

【0117】
【表1−6】

【0118】
【表1−7】

【0119】
【表1−8】

【0120】
【表1−9】

【0121】
【表1−10】

【0122】
【表1−11】

【0123】
【表1−12】

【0124】
【表1−13】

【0125】
【表1−14】

【0126】
【表1−15】

【0127】
【表1−16】

【0128】
【表1−17】

【0129】
【表1−18】

【0130】
【表1−19】

【0131】
【表1−20】

【0132】
【表1−21】

【0133】
【表1−22】

【0134】
【表1−23】

【0135】
【表1−24】

【0136】
【表1−25】

【0137】
【表1−26】

【0138】
【表1−27】

【0139】
【表1−28】

【0140】
【表1−29】

【0141】
実施例225:9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,29,29,30,30,31,31,32,32,33,33,34,34−テトラコサフルオロ−20,20,22−トリメチル−6,17,26−トリオキソ−7,16,27−トリオキサ−5,18,25−トリアザペンタトリアコンタン−35−イルブチルカルバメート
250mL容の丸底フラスコに、まず、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオールを導入し、0.05gのジラウリン酸ジブチルスズ(Desmorapid Z、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン))を添加し、60℃に加熱した。18.7gのn−ブチルイソシアネートを少しずつ添加し、60℃で3時間撹拌した。次いで、19.9gの2,4,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート(TMDI)を滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満になるまで混合物を60℃で維持した。続いて冷却し、無色油状物として生成物を得た。方法Bに従って測定した屈折率n20は1.4131であった。
【0142】
実施例226:23−(8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13−ドデカフルオロ−5,16−ジオキソ−6,15−ジオキサ−4,17−ジアザヘニコス−1−イル)−9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,29,29,30,30,31,31,32,32,33,33,34,34−テトラコサフルオロ−6,17,26−トリオキソ−7,16,27−トリオキサ−5,18,25−トリアザペンタトリアコンタン−35−イルブチルカルバメート
100mL容の丸底フラスコに、まず、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオールを導入し、0.01gのジラウリン酸ジブチルスズ(Desmorapid Z、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン))を添加し、60℃に加熱した。3.63gのn−ブチルイソシアネートを少しずつ添加し、60℃で3時間撹拌した。次いで、3.08gの1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン(TIN)を滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満になるまで混合物を60℃で維持した。続いて冷却し、無色油状物として生成物を得た。方法Aに従って測定した屈折率nは1.4200であった。
【0143】
媒体の製造
光学特性を試験するために、以下に記載したように、媒体を製造し、光学測定を行った。
【0144】
ポリオール成分の調製:
1L容のフラスコに、まず、0.18gのオクタン酸スズ、374.8gのε−カプロラクトン、および374.8gの二官能性ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(当量500g/molOH)を導入し、120℃に加熱し、固形分(不揮発性成分の割合)が99.5重量%以上になるまでこの温度で保った。次いで冷却し、ワックス状固体として生成物を得た。
【0145】
ウレタンアクリレート1の調製:ホスホロチオイルトリス(オキシベンゼン−4,1−ジイルカルバモイルオキシエタン−2,1−ジイル)トリスアクリレート
500mL容の丸底フラスコに、まず、0.1gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.05gのジラウリン酸ジブチルスズ(Desmorapid(登録商標) Z、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン))、およびトリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェートの27%濃度酢酸エチル溶液(Desmodur(登録商標) RFE、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン)の製品)213.07gを導入し、60℃に加熱した。次いで、42.37gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで混合物を60℃で維持した。続いて冷却し、酢酸エチルを真空下で完全に除去した。半結晶性固体として、生成物を得た。
【0146】
ウレタンアクリレート2の調製:2−({[3−(メチルスルファニル)フェニル]カルバモイル}オキシ)プロピルプロプ−2−エノエート
250mL容の丸底フラスコに、まず、酢酸エチル50g中の3−(メチルチオ)フェニルイソシアネート26.8g、0.02gのDesmorapid Z、および0.05gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを導入し、60℃に加熱した。次いで、21.1gの2−ヒドロキシプロピルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで混合物を60℃で維持した。続いて、5mbarで酢酸エチルを留去し、冷却した。淡黄色液体として、生成物を得た。
【0147】
媒体1:
上記のように調製したポリオール成分3.82gを、60℃で、2.50gのホスホロチオイルトリス(オキシベンゼン−4,1−ジイルカルバモイルオキシエタン−2,1−ジイル)トリスアクリレート(ウレタンアクリレート1)、2.50gの2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルカルバメート(実施例4)、0.10gのCGI 909(Ciba Inc.(スイス国バーゼル)の実験生成物)、0.01gのニューメチレンブルー、および0.35gのN−エチルピロリドンと混合し、透明な溶液を得た。次いで、30℃に冷却し、0.71gのDesmodur(登録商標) N3900(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン)の市販品、ヘキサンジイソシアネートに基づくポリイソシアネート、少なくとも30%のイミノオキサジアジンジオン割合、NCO含量:23.5%)を添加し、再び混合した。最後に、0.006gのFomrez UL 28(ウレタン化触媒、Momentive Performance Chemicals(米国コネティカット州ウィルトン)の市販品)を添加し、再び短時間混合した。続いて、得られた液状物質をガラス板上に注ぎ、スペーサーによって20μmの距離に保たれた第2のガラス板で覆った。この試験片を室温で12時間放置し、硬化させた。
【0148】
表1に示した実施例から、媒体2〜13を同様に製造した。表2は、各々の場合についての、感光性ポリマー組成物中に存在する化合物の実施例番号およびその含量を示す。調製した感光性ポリマー組成物について測定したΔn値もまた、表2にまとめる。
【0149】
媒体14:
先に記載したように調製したポリオール成分3.40gを、60℃で、2.00gのホスホロチオイルトリス(オキシベンゼン−4,1−ジイルカルバモイルオキシエタン−2,1−ジイル)トリスアクリレート(ウレタンアクリレート1)、2.00gの2−({[3−(メチルスルファニル)フェニル]カルバモイル}オキシ)プロピルプロプ−2−エノエート(ウレタンアクリレート2)、1.50gの2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルカルバメート(実施例4)、0.10gのCGI 909(Ciba Inc.(スイス国バーゼル)の実験生成物)、0.01gのニューメチレンブルー、および0.35gのN−エチルピロリドンと混合し、透明な溶液を得た。次いで、30℃に冷却し、0.64gのN3900(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン)の市販品、ヘキサンジイソシアネートに基づくポリイソシアネート、少なくとも30%のイミノオキサジアジンジオン割合、NCO含量:23.5%)を添加し、再び混合した。最後に、0.006gのFomrez UL 28(ウレタン化触媒、Momentive Performance Chemicals(米国コネティカット州ウィルトン)の市販品)を添加し、再び短時間混合した。続いて、得られた液状物質をガラス板上に注ぎ、スペーサーによって20μmの距離に保たれた第2のガラス板で覆った。この試験片を室温で12時間放置し、硬化させた。
【0150】
表1に示した実施例から、媒体14〜70を同様に製造した。表3は、各々の場合についての、感光性ポリマー組成物中に存在する化合物の実施例番号およびその含量を示す。調製した感光性ポリマー組成物について測定したΔn値もまた、表3にまとめる。
【0151】
比較媒体I:
先に記載したように調製したポリオール成分8.89gを、60℃で、3.75gのホスホロチオイルトリス(オキシベンゼン−4,1−ジイルカルバモイルオキシエタン−2,1−ジイル)トリスアクリレート(ウレタンアクリレート1)、0.15gのCGI 909(Ciba Inc.(スイス国バーゼル)の実験生成物)、0.015gのニューメチレンブルー、および0.53gのN−エチルピロリドンと混合し、透明な溶液を得た。次いで、30℃に冷却し、1.647gのDesmodur(登録商標) N3900(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン)の市販品、ヘキサンジイソシアネートに基づくポリイソシアネート、少なくとも30%のイミノオキサジアジンジオン割合、NCO含量:23.5%)を添加し、再び混合した。最後に、0.009gのFomrez UL 28(ウレタン化触媒、Momentive Performance Chemicals(米国コネティカット州ウィルトン)の市販品)を添加し、再び短時間混合した。続いて、得られた液状物質をガラス板上に注ぎ、スペーサーによって20μmの距離に保たれた第2のガラス板で覆った。この試験片を室温で12時間放置し、硬化させた。
【0152】
比較媒体II:
先に記載したように調製したポリオール成分3.82gを、60℃で、2.50gのホスホロチオイルトリス(オキシベンゼン−4,1−ジイルカルバモイルオキシエタン−2,1−ジイル)トリスアクリレート(ウレタンアクリレート1)、2.50gのプロピレンカーボネート(比較例II)、0.10gのCGI 909(Ciba Inc.(スイス国バーゼル)の実験生成物)、0.010gのニューメチレンブルー、および0.35gのN−エチルピロリドンと混合し、透明な溶液を得た。次いで、30℃に冷却し、0.702gのDesmodur(登録商標) N3900(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン)の市販品、ヘキサンジイソシアネートに基づくポリイソシアネート、少なくとも30%のイミノオキサジアジンジオン割合、NCO含量:23.5%)を添加し、再び混合した。最後に、0.022gのFomrez UL 28(ウレタン化触媒、Momentive Performance Chemicals(米国コネティカット州ウィルトン)の市販品)を添加し、再び短時間混合した。続いて、得られた液状物質をガラス板上に注ぎ、スペーサーによって20μmの距離に保たれた第2のガラス板で覆った。この試験片を室温で12時間放置し、硬化させた。
【0153】
表2に示した比較例から、比較媒体III〜Vを同様に製造した。
【0154】
比較媒体VI:
先に記載したように調製したポリオール成分4.66gを、60℃で、2.00gのホスホロチオイルトリス(オキシベンゼン−4,1−ジイルカルバモイルオキシエタン−2,1−ジイル)トリスアクリレート(ウレタンアクリレート1)、2.00gの2−({[3−(メチルスルファニル)フェニル]カルバモイル}オキシ)プロピルプロプ−2−エノエート(ウレタンアクリレート2)、0.10gのCGI 909(Ciba Inc.(スイス国バーゼル)の実験生成物)、0.010gのニューメチレンブルー、および0.35gのN−エチルピロリドンと混合し、透明な溶液を得た。次いで、30℃に冷却し、0.87gのDesmodur(登録商標) N3900(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン)の市販品、ヘキサンジイソシアネートに基づくポリイソシアネート、少なくとも30%のイミノオキサジアジンジオン割合、NCO含量:23.5%)を添加し、再び混合した。最後に、0.006gのFomrez UL 28(ウレタン化触媒、Momentive Performance Chemicals(米国コネティカット州ウィルトン)の市販品)を添加し、再び短時間混合した。続いて、得られた液状物質をガラス板上に注ぎ、スペーサーによって20μmの距離に保たれた第2のガラス板で覆った。この試験片を室温で12時間放置し、硬化させた。
【0155】
【表2】

【0156】
Δnについて記載した値は、4〜32mJ/cmの線量で得られた。
ホログラフィック媒体のホログラム特性Δnについて測定した値から、比較例で使用した市販添加剤はホログラフィック媒体における使用にあまり適しておらず、媒体1〜13の本発明のウレタンは、より高いΔn値により、ホログラフィック媒体を製造するのに非常に適していることがわかる。
【0157】
【表3−1】

【0158】
【表3−2】

【0159】
Δnについて記載した値は、4〜32mJ/cmの線量で得られた。
ホログラフィック媒体のホログラム特性Δnについて測定した値から、媒体14〜70の本発明のフッ素化ウレタンは、より高いΔn値により、ホログラフィック媒体を製造するのに非常に適していることがわかる。
【符号の説明】
【0160】
M ミラー
S シャッター
SF 空間フィルター
CL コリメーターレンズ
λ/2 λ/2プレート
PBS 偏光感受型ビームスプリッター
D 検出器
I 虹彩絞り
α −21.8°
β 41.8°

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックスポリマー、書込モノマーおよび光開始剤を含んでなる感光性ポリマー組成物であって、可塑剤としてのフルオロウレタンを含んでなることを特徴とする組成物。
【請求項2】
フルオロウレタンが、一般式(I):
【化1】

で示される構成要素を少なくとも1つ有しており、少なくとも1個のフッ素原子で置換されていることを特徴とする、請求項1に記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項3】
フルオロウレタンが、一般式(II):
【化2】

[式中、nは1以上8以下であり、R、R、Rは、水素、および/または互いに独立して未置換のまたは場合によりヘテロ原子で置換されていてもよい直鎖、分岐、環式または複素環式の有機基であり、基R、R、Rの少なくとも1つは少なくとも1個のフッ素原子で置換されている]
で示されることを特徴とする、請求項1または2に記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項4】
が、少なくとも1個のフッ素原子を有する有機基であることを特徴とする、請求項3に記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項5】
が、1〜20個のCF基および/または1個以上のCF基、より好ましくは1〜15個のCF基および/または1個以上のCF基、特に好ましくは1〜10個のCF基および/または1個以上のCF基、とりわけ好ましくは1〜8個のCF基および/または1個以上のCF基を含んでなり、Rが、C〜C20アルキル基、好ましくはC〜C15アルキル基、特に好ましくはC〜C10アルキル基、または水素を含んでなり、および/またはRが、C〜C20アルキル基、好ましくはC〜C15アルキル基、特に好ましくはC〜C10アルキル基、または水素を含んでなることを特徴とする、請求項3に記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項6】
フルオロウレタンが、ウレトジオン構成要素、イソシアヌレート構成要素、ビウレット構成要素、アロファネート構成要素、ポリウレア構成要素、オキサジアザジオン構成要素および/またはイミノオキサジアジンジオン構成要素および/またはこれら構成要素の混合物を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項7】
フルオロウレタンが、1.4600以下、好ましくは1.4500以下、特に好ましくは1.4400以下、とりわけ好ましくは1.4300以下の屈折率n20を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項8】
フルオロウレタンが、10〜80重量%、好ましくは12.5〜75重量%、特に好ましくは15〜70重量%、とりわけ好ましくは17.5〜65重量%のフッ素含量を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項9】
マトリックスポリマーがポリウレタンであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項10】
書込モノマーが、アクリレート、好ましくは1.50超の屈折率n20を有するアクリレート、より好ましくはウレタンアクリレート、特に好ましくは芳香族ウレタンアクリレート、好ましくは1.50超の屈折率n20を有する、ウレタンアクリレート、特に芳香族ウレタンアクリレートであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項11】
感光性ポリマー組成物が、15〜79重量%、好ましくは30〜60重量%のマトリックスポリマー、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の書込モノマー、1〜10重量%、好ましくは1〜3重量%の光開始剤、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%のフルオロウレタン、および0〜10重量%の別の添加剤を含有し、これら成分の和が100重量%となることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項12】
光学素子の製造のための、特にホログラフィック素子およびホログラフィー像の製造のための、請求項1〜11のいずれかに記載の感光性ポリマー組成物の使用。
【請求項13】
書込モノマーを電磁線によって空間的分離を伴って選択的に重合させる、請求項1〜11のいずれかに記載の感光性ポリマー組成物を含んでなるホログラフィック媒体の露光方法。
【請求項14】
イミノオキサジアジンジオンまたはオキサジアザジオンを含有し、少なくとも1個の遊離イソシアネート基を有するポリイソシアネートと、アルコールとを反応させることにより得ることができるフルオロウレタンであって、ポリイソシアネートおよび/またはアルコールが少なくとも1個のフッ素原子で置換されている、フルオロウレタン。
【請求項15】
一般式(III):
【化3】

[式中、mは1以上8以下であり、R、R、Rは、水素、および/または互いに独立して未置換のまたは場合によりヘテロ原子で置換されていてもよい、イミノオキサジアジンジオン構成要素および/またはオキサジアザジオン構成要素を有する直鎖、分岐、環式または複素環式の有機基であると同時に、基R、R、Rの少なくとも2つは少なくとも1個のフッ素原子で置換されている]
で示されるフルオロウレタン。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−510203(P2013−510203A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537365(P2012−537365)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066591
【国際公開番号】WO2011/054795
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】