説明

感光性印刷要素のためのキャリアシート

フレキソ印刷要素を熱現像して表面上にレリーフ像を形成する装置、及び前記フレキソ印刷要素を現像する方法。前記方法は、フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面上の架橋フォトポリマーを軟化又は溶融させることを含む。前記装置は、フレキソ印刷要素の画像形成表面と接触し、且つ前記フレキソ印刷要素の画像形成表面上を移動して、前記フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面上の軟化又は溶融した非架橋フォトポリマーを除去するロールを含む。前記非架橋フォトポリマーは、フレキソ印刷要素の画像形成表面に隣接するヒータを用いて、又は前記印刷要素の表面と接触する1つのロールを加熱することによって軟化又は溶融する。任意で、前記装置は、熱現像前にフレキソ印刷要素の画像形成表面を硬化させる装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性印刷要素の熱現像において使用するための改善された加工機及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷は、大量生産に一般的に使用されている印刷方法である。フレキソ印刷は、紙、板紙素材、段ボール、フィルム、フォイル、及び積層体等の多様な基材に対する印刷に用いられる。新聞及び食料雑貨用袋が主な例である。粗い表面及び伸縮性フィルムに経済的に印刷するにはフレキソ印刷を用いるしかない。フレキソ刷版は、画像要素が開口領域の上方に隆起しているレリーフ版である。かかる版は、主にその耐久性及び作製容易性により、多くの長所をプリンタにもたらす。
【0003】
フォトポリマー印刷要素は、一般的に「平らな」シート形状で使用されるが、continuous in−the−round(CITR)フォトポリマースリーブとして連続円筒形状の印刷要素を使用する特別な用途及び利点もある。CITRフォトポリマースリーブを用いると、デジタル画像形成、正確な位置合わせ、迅速な実装、版が持ち上がらない等の利点がフレキソ印刷プロセスに付与される。CITRスリーブは、壁紙、装飾用紙、ギフト用包装紙、及びテーブルクロス等の他の連続デザイン等、連続デザインのフレキソ印刷に利用される。CITRスリーブは、印刷品質に関してグラビア及びオフセットに対するフレキソ印刷の競争力をより高めることができる。
【0004】
製造業者により供給される標準的なフレキソ刷版は、裏材、即ち支持層、1以上の未露光の光硬化性層、保護層、スリップフィルム及び/又はレーザーアブレーション可能層、並びにカバーシートの順に構成される多層物品である。標準的なCITRフォトポリマースリーブは、一般的に、スリーブキャリア(支持層)と、前記支持層上の少なくとも1層の未露光の光硬化性層とを含む。
【0005】
フレキソ印刷要素は、光硬化性印刷ブランクに画像を形成して印刷要素表面上にレリーフ像を形成することによって、光硬化性印刷ブランクから作製される。これは、一般的に、光硬化性材料を化学線に選択的に曝露することで達成され、前記曝露の作用によって照射領域における光硬化性材料が固化、即ち架橋する。光硬化性印刷ブランクは、好適な裏材層上に1層以上の未硬化の光硬化性材料層を含む。光硬化性印刷ブランクは、連続(シームレス)スリーブの形態であってもよく、キャリアスリーブに実装される平らな板であってもよい。
【0006】
使用されるフォトポリマーは、一般的に、バインダー、モノマー、光開始剤、及び他の性能添加剤を含有する。ポリスチレン−イソプレン−スチレン、ポリスチレン−ブタジエン−スチレン、ポリウレタン類及び/又はチオレン類に基づくもの等、様々なフォトポリマーがバインダーとして有用である。好ましいバインダーは、ポリスチレン−イソプレン−スチレン及びポリスチレン−ブタジエン−スチレンであり、特に、これらのブロックコポリマーである。
【0007】
印刷要素は、3つの関連する方法のうちの1つにより、選択的に化学線に曝露される。第1の方法では、透過領域及び実質的に不透過な領域を有するネガを使用して、刷版要素に対する化学線の透過を選択的に遮断する。第2の方法では、レーザーでアブレーションしやすく、化学線を(実質的に)透過しない層でフォトポリマー層を被覆する。次いで、レーザーを使用して、前記化学線を透過しない層の選択された領域をアブレーションし、その場(in situ)でネガを形成する。この技術は、当技術分野において周知であり、例えば、特許文献1〜3に記載されており、これらの各発明主題は参照することにより全体が本願に援用される。第3の方法では、化学線の集束ビームを使用してフォトポリマーを選択的に曝露する。これら方法のいずれも許容可能であり、その判断基準は、フォトポリマーを選択的に化学線に曝露してフォトポリマーの一部を選択的に硬化できるということである。
【0008】
次に、印刷要素のフォトポリマー層を現像して、フォトポリマー層の硬化部分を乱すことなしにフォトポリマーの未硬化(即ち、非架橋)部分を除去して、レリーフ像を形成する。現像工程は、従来より、水洗浄、溶媒洗浄、及び熱現像(拭取り(blotting))等の様々な方法で行われている。熱現像は、現像後に更なる乾燥工程を必要としないという利点を有するので、版をより速やかに印刷に進めることができる。
【0009】
熱を使用してフォトポリマー刷版を作製し、硬化したフォトポリマーと未硬化のフォトポリマーとの溶融温度の差を利用して潜像を現像するプロセスが開発されている。このプロセスの基本パラメータは公知であり、例えば特許文献4〜11に開示されており、これらの各教示は参照することにより全体が本願に援用される。これらプロセスを用いると、現像溶媒、及び前記溶媒を除去するために必要な長時間に亘る版の乾燥を省略することができる。これらプロセスの速度及び効率性により、迅速な納期及び高い生産性が重要である新聞及び他の刊行物を印刷するためのフレキソ刷版の製造においてこのプロセスを使用することが可能となる。
【0010】
刷版を熱現像可能にするために、フォトポリマーは、硬化したポリマーと未硬化のポリマーとの間に溶融温度の実質的な差が存在するような組成でなければならない。加熱時にフォトポリマーにおける画像形成を可能にしているのは、まさにこの差である。選択された温度において、未硬化のフォトポリマー(即ち、化学線と接触していないフォトポリマーの部分)は溶融及び/又は実質的に軟化するが、硬化したフォトポリマーは固体のまま変化しない。したがって、溶融温度の差により、未硬化のフォトポリマーを選択的に除去して望ましい画像を形成することができる。
【0011】
その後、未硬化のフォトポリマーを軟化及び/又は溶融させ、除去することができる。殆どの場合、軟化又は溶融した未硬化のフォトポリマーを吸収又は他の方法で除去する吸収性材料と加熱された印刷要素とを接触させる。この除去プロセスは、一般的に、「拭取り」と称される。
【0012】
拭取りプロセスの完了後、刷版要素を更なる化学線への後曝露及び/又は粘着低下に供し、冷却を経て、使用可能な状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,262,275号明細書(Fan)
【特許文献2】米国特許第6,238,837号明細書(Fan)
【特許文献3】米国特許第5,925,500号明細書(Yang等)
【特許文献4】米国特許第5,279,697号明細書
【特許文献5】米国特許第5,175,072号明細書
【特許文献6】米国特許第3,264,103号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2003/0180655号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2003/0211423号明細書
【特許文献9】国際公開第01/88615号パンフレット
【特許文献10】国際公開第01/18604号パンフレット
【特許文献11】欧州特許第1,239,329号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、薄い(例えば、0.045インチ以下)刷版を熱加工機で加工するとき、刷版がしわになる傾向があり、印刷品質に問題を生じさせる。この問題を解決しようとする試みにおいて、本発明者らは、様々な加工機速度及び加工条件について検討した。本発明者らは、弾力性の圧縮可能な裏材シートをフォトポリマーの下に配置すると、熱で加工するときに版のしわが減少又はなくなることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、改善された熱現像装置、及び前記改善された熱現像装置を用いてフレキソ印刷要素の画像形成表面から未硬化のフォトポリマーを除去する方法を含む。別の実施形態では、本発明は、改善された装置、及び熱現像時にフレキソ刷版のしわをなくす又は最小化することができる方法を含む。
【0016】
好ましい実施形態では、装置は、
(i)フレキソ印刷要素を支持、好ましくは回転させる手段と;
(ii)任意で、しかし好ましくは、前記フレキソ印刷要素の画像形成表面を露光する手段であって、1以上の化学線源を含む手段と;
(iii)前記フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面を熱現像する手段であって、
a)前記フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面上の非架橋フォトポリマーを軟化又は溶融する手段、
b)前記フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面と接触可能であり、且つ前記フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面の少なくとも一部上を移動して、前記フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面上の軟化又は溶融した非架橋フォトポリマーを除去することができる少なくとも1つのロール、並びに
c)前記少なくとも1つのロールと前記フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面との間の接触を維持する手段
を含む手段と;
を含み、
弾力性の圧縮可能な層が前記支持手段又は前記フレキソ印刷要素のいずれかと永続的に付着することのないように、前記支持手段と前記フレキソ印刷要素との間に前記弾力性の圧縮可能な層が位置する。
【0017】
ロールは、フレキソ印刷要素の画像形成表面と接触しているロールの少なくとも一部の周囲に位置する拭取り材料を有することが好ましい。別の実施形態では、フレキソ印刷要素の画像形成表面から非架橋フォトポリマーが除去された後、ロールから前記非架橋フォトポリマーを除去するためにロールに隣接してドクターブレードを配置してもよい。必要に応じて、2つのロールが円筒形印刷要素の画像形成表面に対してセルフセンタリングするように、2つのロールを用いてもよい。本発明の別の態様では、1以上の更なるロールを円筒形印刷要素の両側の対向する位置に配置して、フレキソ印刷要素の画像形成表面から除去される樹脂を増加させ、画像形成速度を上昇させることもできる。
【0018】
1つの実施形態では、フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面上の非架橋フォトポリマーを軟化又は溶融させる手段は、フレキソ印刷要素の画像形成表面と接触可能な少なくとも1つのロールを加熱することを含む。本発明の別の実施形態では、フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面上で非架橋フォトポリマーを軟化又は溶融させる手段は、フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面に隣接してヒータを配置することを含む。加熱されたロールと外部ヒータとを併用してもよい。
【0019】
また、本発明は、本発明の熱現像装置を用いる方法であって、
a)フレキソ印刷要素を支持し、好ましくは回転させる工程と;
b)任意で、しかし好ましくは、前記フレキソ印刷要素の画像形成表面を1以上の化学線源に曝露する工程と;
c)前記フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面上の非架橋ポリマーを溶融又は軟化させる工程と;
d)前記フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面と少なくとも1つのロールとの間を接触させる工程と;
e)前記フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面の少なくとも一部に接触して前記少なくとも1つのロールを回転させて、前記フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面から非架橋フォトポリマーを除去する工程と;
を含み、
弾力性の圧縮可能な層が、工程(d)の前に支持体とフレキソ印刷要素との間に除去可能に配置される方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の熱現像装置の1つの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、改善された熱現像装置、及びレリーフ像印刷要素を製造する過程中にレリーフ像印刷要素の画像形成及び露光表面から非架橋フォトポリマーを除去するために前記装置を使用する方法に関する。
【0022】
別の実施形態では、本発明は、改善された露光及び現像複合装置、並びに画像形成工程中に形成されたフォトポリマー層の一部を選択的に硬化、即ち架橋するためにレリーフ画像刷版を化学線に曝露し、レリーフ像印刷要素を製造する過程中にレリーフ印刷要素の画像形成及び露光表面から非架橋ポリマーを除去するためにレリーフ像刷版を熱現像するために前記装置を使用する方法に関する。刷版は、現像前に画像形成及び露光しなければならないが、画像形成及び露光は、本発明の装置で実施する必要はなく、その代わりに本発明の装置に入れる前に別々に実施してもよい。しかし、1つの複合装置でこれらプロセスを一緒に実施するのが有利である。
【0023】
また、本発明は、改善された露光、現像、及び後露光/粘着低下複合装置、並びにレリーフ刷版を製造する過程中に前記複合装置を使用する方法に関する。
【0024】
フレキソ印刷要素は、光硬化性印刷ブランクを画像形成及び露光して、印刷要素の表面にレリーフ像を形成することにより光硬化性印刷ブランクから製造される。これは、一般的に、光硬化性材料を化学線に選択的に曝露することによって行われ、前記曝露は、照射された領域の光硬化性材料を固化又は架橋させる作用を有する。
【0025】
光硬化性印刷ブランクは、好適な裏材層上に1層以上の未硬化の光硬化性材料を含有する。様々なサイズの印刷要素を本発明の新規装置で加工することができるが、印刷要素が支持されるシリンダ又はコンベアの長さ、及び印刷シリンダの長さに亘って印刷要素を露光する手段及び/又は印刷要素を熱現像する手段を通過させる1以上のカートリッジの長さによってのみ限定される。これら特徴については、以下により詳細に記載する。
【0026】
印刷要素は、3つの関連する方法のうちの1つにより、選択的に化学線に曝露される。第1の方法では、透過領域及び実質的に不透過な領域を有するネガを使用して、刷版要素に対する化学線の透過を選択的に遮断する。第2の方法では、レーザーでアブレーションしやすく、化学線を(実質的に)透過しない層でフォトポリマー層を被覆する。次いで、レーザーを使用して、前記化学線を透過しない層の選択された領域をアブレーションし、その場でネガを形成する。第3の方法では、化学線の集束ビームを使用してフォトポリマーを選択的に曝露する。これら方法のいずれも許容可能であり、その判断基準は、フォトポリマーを選択的に化学線に曝露してフォトポリマーの一部を選択的に硬化できるということである。
【0027】
好ましい実施形態では、印刷要素は、典型的にカーボンブラックを含み且つレーザーアブレーションされやすい、化学線を(実質的に)透過しない層で被覆されたフォトポリマー層を含む。次いで、好ましくは赤外レーザーであるレーザーを用いて、化学線を透過しない層の選択された領域をアブレーションして、その場でネガを作製する。この技術は当技術分野において周知であり、例えば、米国特許第5,262,275号明細書及び米国特許第6,238,837号明細書(Fan)並びに米国特許第5,925,500号明細書(Yang等)に記載されており、これらの主題は参照することにより全体が本願に援用される。
【0028】
レーザーアブレーション中に形成されるフォトポリマー層の選択された領域は、次いで、化学線に曝露されて、その場でネガによって被覆されていないフォトポリマー層の一部を架橋及び硬化させる。用いられる化学線の種類は、光重合性層における光開始剤の種類に依存する。光重合性層上に残る赤外線感受性層中の化学線不透過材料が、下層の材料が化学線に曝露されるのを防ぐので、化学線不透過材料によって被覆されている領域は重合しない。化学線不透過材料によって被覆されていない領域は、化学線に曝露され、重合し、そして架橋及び硬化する。任意の従来の化学線源をこの曝露工程に用いることができる。好適なUV源の例としては、炭素アーク、水銀蒸気アーク、蛍光ランプ、電子フラッシュユニット、電子ビームユニット、及び写真用投光ランプが挙げられる。
【0029】
次に、印刷要素のフォトポリマー層を現像して、フォトポリマー層の硬化部分を乱すことなしにフォトポリマーの未硬化(即ち、非架橋)部分を除去して、レリーフ像を作製する。
【0030】
好ましい実施形態では、本発明の新規熱現像装置は、露光装置から印刷要素を取り出して、それを現像装置に配置する必要なしに、同一の装置で印刷要素を露光及び現像できるように、露光装置と組み合わせられる。別の実施形態では、前記装置は、同一の装置内に後露光/粘着低下を行う手段を更に含む。しかし、本発明は、現像前に別々に実施される画像形成と、現像後に別々に実施される後露光/粘着低下とを含む別々の熱現像と同程度に良好に機能する。
【0031】
本発明の装置は、典型的に、
(i)フレキソ印刷要素を支持、好ましくは回転させる手段と;
(ii)任意で、しかし好ましくは、前記フレキソ印刷要素の画像形成表面を化学線源に曝露する手段と;
(iii)前記フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面を熱現像する手段であって、
a)前記フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面上の非架橋フォトポリマーを軟化又は溶融する手段、
b)前記フレキソ印刷要素の画像形成表面と接触可能であり、且つ前記フレキソ印刷要素の画像形成表面の少なくとも一部上を移動して、前記フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面上の軟化又は溶融した非架橋フォトポリマーを除去することができる少なくとも1つのロール、並びに
c)前記少なくとも1つのロールと前記フレキソ印刷要素の画像形成及び露光表面との間の接触を維持する手段
を含む手段と;
を含み、
弾力性の圧縮可能な層が前記支持手段又は前記フレキソ印刷要素と永続的に付着することのないように、前記支持手段と前記フレキソ印刷要素との間に前記弾力性の圧縮可能な層が位置する。
【0032】
図1に示す通り、本発明は、感光性印刷要素22にレリーフ像を形成するためのシステム10に関する。本発明のシステム10は、版熱加工システム10の要素を収容する筐体12を含む。
【0033】
本発明の刷版加工機10は、予め形成され、化学線で像様露光されている可撓性感光性印刷要素22を、下層の弾力性の圧縮可能な層14と共に受け入れる。感光性印刷要素22は、基層と、隣接する化学線固化性エラストマー材料層(硬化性層)と、任意で、しかし好ましくは、化学線に曝露する前にレーザー照射を使用して前記硬化性層上にその場でマスクを形成するために使用される赤外線感受性層とを含む。本発明において好適な感光性印刷要素は、米国特許第5,175,072号明細書(Martens)、米国特許第5,262,275号明細書及び米国特許第6,238,837号明細書(Fan)、並びに米国特許第5,925,500号明細書及び米国特許第6,605,410号明細書(Yang等)に開示されており、これらの各発明主題は参照することにより全体が本願に援用される。
【0034】
基層の下面を通して化学線により化学線硬化性層の一部を硬化させて、硬化した「フロア」を形成することが好ましい。次に、好ましくはその場でマスクを通して版の望ましい部分を硬化するために、反対側の表面からフィルムを像様露光する。硬化後の化学線硬化性層の残りの部分は、硬化した部分と未硬化部分とからなる。
【0035】
駆動モータ(不図示)に取付けられているコンベア20を使用して、版熱加工機内で感光性印刷要素22を運搬及び搬送する。コンベア20は、筐体12内の固定位置に実装され、少なくとも第1のローラ23及び第2のローラ24によって支持される連続ループ支持手段21を含む。任意で、1以上の追加ローラ(不図示)を使用して、コンベア20を更に支持し、感光性印刷要素22の重みによって連続ループ21が弛むのを防ぐこともできる。好ましい実施形態では、連続ループ支持手段21は金網を含む。別の実施形態では、支持手段は、回転可能なドラムであってもよい。
【0036】
クランプ及び/又は吸引機等の適切な固定手段16により、コンベア20の連続ループ21に接触する所定の位置に感光性印刷要素22及び弾力性の圧縮可能な層14の前縁を保持することができる。必要に応じて、コンベア20の第1のローラ23及び第2のローラ24のうちの少なくとも1つに吸引機を設け、単独で又は固定手段16と組み合わせて使用して、コンベア20の連続ループ21上の所定の位置に感光性印刷要素22及び弾力性の圧縮可能な層14を保持してもよい。
【0037】
運転中、コンベア20の連続ループ21が第2のローラ24の周囲を回転するとき、感光性印刷要素22が下層の弾力性の圧縮可能な層14と共にコンベア20と加熱可能ローラ28との間の隙間70を通過するように、コンベア20は、感光性印刷要素22及び弾力性の圧縮可能な層14と共に加熱可能ローラ28に向かって第1の方向26に移動する。加熱可能ローラ28は、コンベア20と反対方向30に回転する。コンベアは第1の方向26に移動し、加熱可能ローラ28は反対方向30に移動するので、コンベア20上に位置する感光性印刷要素22に向かって加熱可能ローラ28を付勢することも可能である。旋回軸(不図示)に加熱可能ローラ28を固定可能に実装することが好ましく、これによって、加熱可能ローラをコンベア20に向かって付勢することが可能になる。
【0038】
好ましい実施形態では、1以上の空気圧シリンダ40等の好適な手段を使用して、コンベア20上の感光性印刷要素14に向かって加熱可能ローラ28を付勢する。空気圧シリンダ40は、コンベア20の第2のローラ24の外面から所定の距離に加熱可能ローラ28を配置して、感光性印刷要素22が第2のローラ24の周囲のコンベア20の連続ループ21上を移動するときに感光性印刷要素22が通過する隙間70を形成する。
【0039】
吸収性材料32のウェブは、加熱可能ローラ28の外面29の少なくとも一部上を誘導される。加熱可能ローラ28が回転し、加熱され、且つ吸収性材料32のウェブが感光性印刷要素22の少なくとも一部と接触したとき、吸収性材料32のウェブは、感光性印刷要素22から液化又は軟化した材料を吸収(除去)することができる。感光性印刷要素22及び吸収性材料32のウェブが互いに接触し、次いで離れることができるように、加熱可能ローラ28は、コンベア20の方向26とは反対の方向30に回転する。
【0040】
空気圧シリンダ40は、感光性印刷要素22及び下層の弾力性の圧縮可能な層14の厚みによって隙間70を調整するように制御される。液化又は軟化した材料の少なくとも一部が吸収性材料32のウェブによって吸収されるように、コンベア20が第1の方向26に回転し且つ加熱可能ローラ28が反対方向30に回転するとき、空気圧シリンダ40は、コンベア20と加熱可能ローラ28との隙間70で感光性印刷要素22と吸収性材料32のウェブとを接触させる。
【0041】
感光性材料の少なくとも一部を軟化又は液化させる加熱可能ローラ28の表面温度を維持することができるコアヒーターによって、加熱可能ローラ28に熱が供給される。加熱可能ローラ28を加熱する温度は、感光性材料の組成、並びに感光性材料に含有されるモノマー及びポリマーの溶融温度に基づいて選択される。加熱可能ローラ28は、望ましい表面温度を得るための電気コアヒーターを含むことが好ましいが、蒸気、油、熱風、及び他の様々な加熱源を使用して望ましい表面温度を得てもよい。
【0042】
吸収性材料32のウェブは、吸収性材料32のウェブの供給ロール34から加熱可能ローラ28の外面の少なくとも一部に供給される。本発明では、吸収性材料の具体的な種類は重要ではない。吸収性材料32の選択は、加工される感光性印刷要素22の厚み、吸収性材料32のウェブの溶融温度、並びに感光性印刷要素22及び吸収性材料32のウェブの熱転写特性に部分的に依存する。
【0043】
吸収性材料32のウェブは、加熱可能ローラ28と対面して接触し、加熱可能ローラ28は、好ましい実施形態では、約120℃〜約200℃の温度に加熱され、稼働する。上限は、主に吸収性材料32のウェブの溶融温度によって決まる。また、加熱可能ローラ28の温度は、吸収性材料32のウェブが移動せず且つ加熱可能ローラ28に接触している吸収性材料32のウェブの部分が停止していても、吸収性材料32が溶融しない程度に十分低くなければならない。例えば、1以上のアイドラーローラ(不図示)等、システム全体に亘って吸収性材料のウェブの張力を均一に維持するための好適な手段を使用してもよい。ウェブの張力を維持するための他の手段を設けてもよく、これは、当業者に公知である。
【0044】
応力によってレリーフ部分の版の厚みが不均一になるので、感光性印刷要素22上の剪断応力を避けるために、加熱可能ローラ28、吸収性材料32のウェブ、及び感光性印刷要素22の線速度が実質的に同一であることも重要である。
【0045】
好ましい実施形態では、版加工機による加工後に吸収性材料32のウェブを巻き取るために巻き取りローラ36が提供される。巻き取りローラ36が存在している場合、巻き取りローラ36は、独立して、好ましくは可変速度モータであるモータ38により駆動されるベルトである。巻き取りローラ36は、感光性印刷要素22に接触し、感光性材料の液化又は軟化した部分を除去した後の吸収性材料32のウェブを回収する。モータ38の速度は、選択したウェブ張力に干渉しないように調整される。モータがウェブ張力に干渉した場合、得られるフレキソ版のレリーフ部分の高さが変動したり、歪んで商業的に許容できなくなったりする可能性がある。
【0046】
別の任意の、しかし好ましい実施形態では、システム10は、吸収性材料32がコンベア20上の感光性材料層22に接触する点70に隣接して配置される加熱手段60を含んでもよい。加熱手段60は、コンベア20上の感光性材料層22の一部を更に軟化及び液化させるための補助加熱源を提供する。
【0047】
加熱可能ローラ28に加えて、第1のローラ23及び第2のローラ24を含むコンベア20が、好適な手段、即ちモータ等によって駆動されることは当業者に明らかである。更に、マイクロプロセッサ等の制御装置を本発明のシステムで使用して、版加工機10における各要素の動作を制御してもよい。かかる制御装置は、当技術分野において周知である。版加工機における様々な要素を制御するために使用される制御装置の一例は、米国特許第5,279,697号明細書(Peterson等)に記載されており、この発明主題は参照することにより全体が本願に援用される。
【0048】
また、本発明は、感光性印刷要素上にレリーフ像を形成する方法に関し、前記感光性印刷要素は、可撓性基材(基部/層)と、上記システムを使用して前記可撓性基材上に配置される少なくとも1層の感光性材料とを含む。
【0049】
前記方法は、以下の工程を含む:(1)フレーム又は筐体を提供する工程、(2)支持搬送手段とフレキソ印刷要素との間に弾力性の圧縮可能な層が存在するように、前記支持搬送手段上に感光性印刷要素を配置する工程であって、前記支持搬送手段が、少なくとも第1のローラ及び第2のローラ(又は回転ドラム)によって支持される連続ループを含み、前記感光性印刷要素及び前記弾力性の圧縮可能な層が連続ループに支持される工程、(3)前記フレーム又は筐体内に回転するように実装される加熱可能ローラの外面の少なくとも一部に吸収性材料を供給する工程であって、前記加熱可能ローラが加熱され、回転し、且つ前記吸収性材料が前記感光性印刷要素の少なくとも一部と接触したとき、前記吸収性材料が、前記感光性印刷要素から液化又は軟化した材料を吸収することができる工程、(4)前記吸収性材料が少なくとも1層の感光性材料と接触したときに、前記少なくとも1層の感光性材料の少なくとも一部を軟化又は液化させるのに十分な温度に前記加熱可能ローラを加熱する工程、及び(5)液化又は軟化した材料の少なくとも一部が前記吸収性材料により吸収されるように、搬送手段と前記加熱可能ローラとの間の点で前記少なくとも1層の感光性材料の表面と前記吸収性材料とを接触させる工程。
【0050】
好ましくは、全てではないが大部分の未硬化感光性材料を感光性印刷要素の表面から除去することができるように、感光性印刷要素を前記プロセス工程で数回加工して、レリーフ像を得る。
【0051】
弾力性の圧縮可能な層は、支持手段又はフレキソ印刷要素のいずれかと永続的に付着することのないように、支持手段とフレキソ印刷要素との間に除去可能に配置しなければならない。弾力性の圧縮可能な層は、3つの主な機能を有する。第1には、表面上の位置によってフレキソ印刷要素の厚みが変動するので、フレキソ印刷要素の表面と接触するときにホットロールによって印加される圧力の任意の変動を吸収することができる弾力性クッションをフレキソ印刷要素下に提供することである。この過剰の圧力を吸収及び分配する能力は、フレキソ印刷要素のしわをなくすか又は減少させるのに主に重要であると考えられる。第2に、弾力性の圧縮可能な層は、フレキソ印刷要素の表面をホットロールが通過するときのフレキソ印刷による僅かな移動又は滑りを許容する。第3に、弾力性の圧縮可能な層は、これをフレキソ印刷要素と合わせて、これら2つの要素と層との厚みを所定の厚みにすることができる。これら目的を達成するために、弾力性の圧縮可能な層は、ASTM D2632によって測定したとき、約10〜約60の弾力性を有していなければならない。また、弾力性の圧縮可能な層は、25%圧縮時に約15psi〜約25psiの圧縮性を有していなければならない。
【0052】
弾力性の圧縮可能な層は、弾力性、圧縮性、及び好ましくは静止表面の摩擦係数の要件を満たす様々な材料を用いて形成することができる。好適な材料としては、フォトポリマー、ポリマー材料、圧縮性発泡体、及び天然又は合成のゴムが挙げられる。弾力性の圧縮可能な層の厚みは、一般的に、約0.02インチ〜約0.120インチ、好ましくは0.04インチ〜0.09インチ、最も好ましくは0.04インチ〜0.06インチである。弾力性の圧縮可能な層の厚みは、2つの合計厚みが所定の量になって、装置に必要な調整を最小限に抑えられるように、フレキソ印刷要素に適合することができる。
【0053】
フレキソ印刷要素及び弾力性の圧縮可能な層は、典型的に、クランプを用いて支持手段上に保持され、吸引(真空)力によって前記クランプを補助してもよい。外側に面するフォトポリマー層と弾力性の圧縮可能な層の上面上に位置する裏材シートとを有するフレキソ印刷要素が最上部に位置することに留意されたい。弾力性の圧縮可能な層は、フレキソ印刷要素と支持手段との間に配置される。
【符号の説明】
【0054】
10 システム(刷版加工機)
12 筐体
14 弾力性の圧縮可能な層
16 固定手段
20 コンベア
21 連続ループ
22 感光性印刷要素
23 第1のローラ
24 第2のローラ
26 第1の方向
28 加熱可能ローラ
29 外面
30 反対方向
32 吸収性材料
34 供給ロール
36 巻き取りローラ
38 モータ
40 空気圧シリンダ
60 加熱手段
70 隙間(点)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性印刷要素上にレリーフ像を形成するシステムであって、前記感光性印刷要素が、可撓性基材と、前記可撓性基材上に配置される少なくとも1層の感光性材料とを含み、前記システムが、
フレームと;
前記感光性印刷要素の支持及び搬送手段であって、弾力性の圧縮可能な材料の層が前記感光性印刷要素と前記支持及び搬送手段との間に除去可能に配置されるように前記感光性印刷要素が前記支持及び搬送手段上に配置される手段と;
前記支持及び搬送手段上に配置される前記感光性印刷要素に向かって付勢することができ、前記加熱可能ローラの外面の少なくとも一部上を吸収性材料が誘導され、前記加熱可能ローラが加熱され、回転し、且つ前記吸収性材料が前記感光性印刷要素の少なくとも一部と接触したとき、前記吸収性材料が、前記感光性印刷要素から液化又は軟化した材料を吸収することができる加熱可能ローラと;
前記液化又は軟化した材料の少なくとも一部が前記吸収性材料によって吸収されるように、前記支持及び搬送手段と前記加熱可能ローラとの間の点で前記感光性材料と前記感光性印刷要素とを接触させる手段と;
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
加熱可能ローラの外面の少なくとも一部に吸収性材料を供給する送達手段を更に含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
支持及び搬送手段上の感光性印刷要素に熱を印加し、前記吸収性材料が前記支持及び搬送手段上の前記感光性印刷要素と接触する点に隣接して配置される加熱手段を更に含む請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
支持及び搬送手段が、連続コンベア及び回転ドラムからなる群より選択される請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
弾力性の圧縮可能な材料の層が、10〜60の弾力性を有し、且つ25%圧縮時に15psi〜25psiの圧縮性を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
支持及び搬送手段が、連続コンベア及び回転ドラムからなる群より選択される請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
感光性印刷要素上にレリーフ像を形成する方法であって、前記感光性印刷要素が、可撓性基材と、前記可撓性基材上に配置される少なくとも1層の感光性材料とを含み、前記方法が、
フレームを提供する工程と;
弾力性の圧縮可能な材料の層が前記感光性印刷要素と連続ループ又は回転ドラムを含む支持及び搬送手段との間に除去可能に配置されるように、前記支持及び搬送手段上に前記感光性印刷要素を配置する工程と;
前記加熱可能ローラの外面の少なくとも一部に吸収性材料を供給する工程であって、前記加熱可能ローラが前記フレーム内で回転するように実装され、前記加熱可能ローラが加熱され、且つ前記吸収性材料が前記感光性印刷要素の少なくとも一部と接触したとき、前記感光性印刷要素から液化又は軟化した材料を前記吸収性材料が吸収することができる工程と;
前記吸収性材料が前記少なくとも1層の感光性材料と接触したときに前記感光性印刷要素の少なくとも一部を軟化又は液化させるのに十分な温度に前記加熱可能ローラを加熱する工程と;
前記液化又は軟化した材料の少なくとも一部が前記吸収性材料によって吸収されるように、前記コンベアと前記加熱可能ローラとの間の点で前記感光性材料と前記感光性印刷要素とを接触させる工程と;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
吸収性材料がコンベア上の感光性印刷要素と接触する点に隣接してヒータを配置することにより、前記コンベア上の前記感光性印刷要素に熱を印加する工程を更に含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
支持及び搬送手段が、連続コンベア及び回転ドラムからなる群より選択される請求項7に記載の方法。
【請求項10】
弾力性の圧縮可能な材料の層が、10〜60の弾力性を有し、且つ25%圧縮時に15psi〜25psiの圧縮性を有する請求項7に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−511745(P2013−511745A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539891(P2012−539891)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/051100
【国際公開番号】WO2011/062687
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(506314391)マクダーミッド プリンティング ソリューションズ, エルエルシー (23)
【Fターム(参考)】