説明

感光性樹脂組成物、パターン状透明膜、及び表示素子

【課題】耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性、透明性、及び下地との密着性に優れ、高い解像度を有するパターン状透明膜を形成することができる感光性樹脂組成物を少なくとも提供する。
【解決手段】アルカリ可溶性樹脂成分と1,2−キノンジアジド化合物とを含有する感光性樹脂組成物において、アルカリ可溶性樹脂成分の一部又は全部に、スチリル基を有する特定のケイ素化合物をモノマーの一部とする共重合体(A)を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト分野等で利用可能なポジ型感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
パターニングされた透明膜(パターン状透明膜)は、スペーサー、絶縁膜、保護膜等表示素子の多くの部分で使用されており、これまでに多くのポジ型感光性樹脂組成物がこの用途に提案されてきた(例えば、特許文献1〜3参照。)。また、4−ヒドロキシスチレンをモノマーとする重合体を含有するポジ型感光性樹脂組成物が知られている(例えば特許文献4参照。)。
【0003】
一般に、薄膜トランジスタ型液晶表示素子や固体撮像素子等の電子部品には、層状に配置される配線の間を絶縁するために絶縁膜が設けられている。絶縁膜を形成する材料としては、必要とするパターン形状の絶縁膜を得るための工程数が少ないポジ型感光性樹脂組成物が幅広く使用されている。ポジ型感光性樹脂組成物は、絶縁膜を形成する過程において広いプロセスマージンを有することが必要である。さらに、ポジ型感光性樹脂組成物を用いた絶縁膜や表示素子は、製造工程において、溶剤、酸、アルカリ溶液等に浸漬等によって接触すること及び熱処理されることが不可欠である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭51−34711号公報
【特許文献2】特開昭56−122031号公報
【特許文献3】特開平5−165214号公報
【特許文献4】特公昭52−41050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性、透明性、及び下地との密着性に優れ、高い解像度を有するパターン状透明膜を形成することができる感光性樹脂組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、下記一般式(I)で表されるラジカル重合性モノマー(a1)と他のラジカル重合性モノマー(a2)を重合して得られる共重合体(A)及び1,2−キノンジアジド化合物を含有するポジ型感光性樹脂組成物を見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。本発明は以下の項を含む。
【0007】
[1] アルカリ可溶性樹脂成分と1,2−キノンジアジド化合物とを含有する感光性樹脂組成物において、
前記アルカリ可溶性樹脂成分が、一般式(I)で表されるラジカル重合性モノマー(a1)及び一般式(I)で表されるラジカル重合性モノマー(a1)以外のその他のラジカル重合性モノマー(a2)を重合して得られる共重合体(A)を含む感光性樹脂組成物。
【0008】
【化1】

【0009】
一般式(I)中、R1は単結合又は炭素数1〜5のアルキレンを表し、R2、R3、R4はそれぞれ水素、水酸基、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、又は式(I−a)で表される基を表す。
【0010】
【化2】

【0011】
一般式(I−a)中、R21及びR31はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキルを表し、mは0〜10の整数を表す。
【0012】
[2] 前記ラジカル重合性モノマー(a1)が、p−スチリルトリメトキシシラン及びp−スチリル−トリス−トリメチルシロキシシランの一方又は両方である、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
【0013】
[3] 前記その他のラジカル重合性モノマー(a2)が、アルカリに溶解するアルカリ溶解性ラジカル重合性モノマーを含む、[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
【0014】
[4] 前記その他のラジカル重合性モノマー(a2)が、オキシラニル又はオキセタニルを有するラジカル重合性モノマーを含む、[3]に記載の感光性樹脂組成物。
【0015】
[5] 前記オキシラニル又はオキセタニルを有するラジカル重合性モノマーが、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、及び3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタンからなる群から選ばれる一以上を含む、[4]に記載の感光性樹脂組成物。
【0016】
[6] 前記アルカリ可溶性樹脂成分が、前記一般式(I)で表されるラジカル重合性モノマー(a1)以外のその他のラジカル重合性モノマー(a2)を重合して得られるアルカリ可溶性重合体をさらに含有し、
前記その他のラジカル重合性モノマー(a2)が、アルカリに溶解するアルカリ溶解性ラジカル重合性モノマーを含む、[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
【0017】
[7] 前記その他のラジカル重合性モノマー(a2)が、N−置換マレイミド及びジシクロペンタニルを含むラジカル重合性モノマーの一方又は両方を含む、[6]に記載の感光性樹脂組成物。
【0018】
[8] 前記N−置換マレイミドが、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(4−アセチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(4−ジメチルアミノ−3,5−ジニトロフェニル)マレイミド、N−(1−アニリノナフチル−4)マレイミド、N−[4−(2−ベンズオキサゾリル)フェニル]マレイミド、及びN−(9−アクリジニル)マレイミドからなる群から選ばれる一以上である、ことを特徴とする[7]に記載の感光性樹脂組成物。
【0019】
[9] 前記ジシクロペンタニルを含むラジカル重合性モノマーが、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートである、[7]又は[8]に記載の感光性樹脂組成物。
【0020】
[10] 前記アルカリ溶解性ラジカル重合性モノマーが、不飽和カルボン酸を有するラジカル重合性モノマー、不飽和カルボン酸無水物を有するラジカル重合性モノマー、及びフェノール性水酸基を有するラジカル重合性モノマーからなる群から選ばれる一以上を含む、[3]〜[9]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【0021】
[11] 前記フェノール性水酸基を有するラジカル重合性モノマーが、一般式(II)で表されることを特徴とする[10]に記載の感光性樹脂組成物。
【0022】
【化3】

【0023】
一般式(II)中、R5、R6及びR7は、それぞれ水素、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1〜3のアルキルを表し、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−OCF3、水酸基、任意の−CH2−が−COO−、−OCO−、−CO−で置き換えられてもよく、また任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜5のアルキル、又は任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜5のアルコキシを表す。但し、R8〜R12のうち少なくとも一つは水酸基である。
【0024】
[12] 前記アルカリ溶解性ラジカル重合性モノマーが、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、4−ヒドロキシスチレン、及び4−ヒドロキシフェニルビニルケトンからなる群から選ばれる一以上を含む、[10]又は[11]に記載の感光性樹脂組成物。
【0025】
[13] [1]〜[12]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物から形成されたパターン状透明膜。
【0026】
[14] 絶縁膜である、[13]に記載のパターン状透明膜。
【0027】
[15] [13]又は[14]に記載のパターン状透明膜を有する表示素子。
【0028】
本明細書中、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸及びメタクリル酸の一方又は両方を表し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの一方又は両方を表
し、「(メタ)アクリロキシ」はアクリロキシ及びメタクリロキシの一方又は両方を表す。
【0029】
本明細書中、「アルキル」とは、直鎖又は分岐鎖のアルキルであり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の感光性樹脂組成物は、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性、透明性、及び下地との密着性に優れ、高い解像度を有するパターン状透明膜を形成することができることから、この感光性樹脂組成物から形成されるパターン状透明膜は、その製造工程において溶剤、酸、アルカリ溶液等の液への浸漬や接触、及び熱処理等の後処理がなされても、表面荒れが発生しにくい。その結果、前記パターン状透明膜における光の透過率が高まり、それを用いた表示素子の表示品位が高まる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<1.本発明の感光性樹脂組成物>
本発明の感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂成分と1,2−キノンジアジド化合物とを含有する。
【0032】
<1−1. アルカリ可溶性樹脂成分>
前記アルカリ可溶性樹脂成分は、アルカリ可溶性を有し、かつ共重合体(A)を含む。ここで「アルカリ可溶性」とは、アルカリ可溶性樹脂成分の溶液をスピンコートによって基板に塗布し、100℃で2分間加熱して形成される厚さ0.01〜100μmの被膜を、25℃の2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で5分間浸した後に純水ですすいだときに、前記被膜が残らない程度にアルカリへ溶解する性質を言う。アルカリ可溶性樹脂成分は、アルカリ可溶性を有する共重合体(A)だけを含む組成物であってもよいし、共重合体(A)以外のアルカリ可溶性重合体をさらに含む組成物であってもよい。
【0033】
<1−1−1.共重合体(A)>
前記共重合体(A)は、後述の一般式(I)で表されるラジカル重合性モノマー(a1)と一般式(I)で表されるラジカル重合性モノマー(a1)以外のその他のラジカル重合性モノマー(a2)とを重合して得られる重合体である。すなわち、この共重合体(A)は、ラジカル重合性モノマー(a1)及び(a2)の混合物をラジカル重合させて得られる共重合体である。このラジカル重合は、公知の重合開始剤を用いて行うことができる。共重合体(A)は一種でも二種以上でもよい。
【0034】
共重合体(A)の原料となるモノマーにおける前記ラジカル重合性モノマー(a1)の割合は、膜の透明性維持の観点から、共重合体(A)の原料となるモノマー全量に対して5〜90モル%であることが好ましく、10〜70モル%であることがより好ましく、20〜60モル%であることがさらに好ましい。
【0035】
共重合体(A)の原料となるモノマーにおけるその他のラジカル重合性モノマー(a2)の割合は、モノマー(a1)の使用量に応じて決めることができ、耐薬品性、及びパターン状透明膜の焼成時における熱フロー防止の観点から、共重合体(A)の原料となるモノマー全量に対して10〜95モル%であることが好ましく、30〜80モル%であることがより好ましく、40〜70モル%であることがさらに好ましい。なお、熱フローとは、アルカリ現像して形成したパターンが焼成時に熱で流れ出してパターン寸法が変化する現象を言う。
【0036】
<1−1−1−1.一般式(I)で表されるラジカル重合性モノマー(a1)>
前記ラジカル重合性モノマー(a1)は、下記一般式(I)で表される。ラジカル重合性モノマー(a1)は一種でも二種以上でもよい。
【0037】
【化4】

【0038】
一般式(I)中、R1は単結合又は炭素数1〜5のアルキレンを表し、R2、R3、R4はそれぞれ水素、水酸基、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、又は下記一般式(I−a)で表される基を表す。
【0039】
【化5】

【0040】
一般式(I−a)中、R21及びR31はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキルを表し、mは0〜10の整数を表す。
【0041】
前記R2〜R4は、アルコキシのような加水分解性の基であることが、パターン状透明膜における透明性を高める観点から好ましい。また前記R2〜R4は、一般式(I−a)で表される基であることが、パターン状透明膜における誘電率を低減させる観点から好ましい。
【0042】
ラジカル重合性モノマー(a1)としては、例えばp−スチリルトリメトキシシラン及びp−スチリル−トリス−トリメチルシロキシシランが挙げられる。これらのラジカル重合性モノマー(a1)は、感光性樹脂組成物からのパターン状透明膜の作製において、パターン状透明膜の初期の透明性を高める観点、高温での焼成による透明性の低下を防止する観点、現像時のアルカリ水溶液に対する溶解性、すなわち現像性を高める観点、及び、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性、さらには下地との密着性を高める観点から好ましく、容易にパターン状透明膜を得る観点から好ましい。
【0043】
<1−1−1−2.その他のラジカル重合性モノマー(a2)>
前記その他のラジカル重合性モノマー(a2)は、前記ラジカル重合性モノマー(a1)以外のラジカル重合性モノマーから適宜選ばれる。ラジカル重合性モノマー(a2)は一種でも二種以上でもよい。ラジカル重合性モノマー(a2)としては、例えばアルカリ溶解性ラジカル重合性モノマー、オキシラニル又はオキセタニルを有するラジカル重合性モノマー、N−置換マレイミド、及びジシクロペンタニルを含むラジカル重合性モノマーが挙げられる。
【0044】
前記アルカリ溶解性ラジカル重合性モノマーは、アルカリに溶解するラジカル重合性モノマーであり、カルボキシやフェノール性水酸基等の酸性の基を有する。アルカリ溶解性
ラジカル重合性モノマーは、そのラジカル重合により形成される重合体にアルカリ可溶性を付与し又は高めるのに用いられる。このような用途の観点から、形成される重合体のモノマー全体におけるアルカリ溶解性ラジカル重合性モノマーの割合は、5〜50モル%であることが好ましく、10〜40モル%であることがより好ましく、15〜30モル%であることがさらに好ましい。
【0045】
前記アルカリ溶解性ラジカル重合性モノマーとしては、例えば不飽和カルボン酸を有するラジカル重合性モノマー、不飽和カルボン酸無水物を有するラジカル重合性モノマー、及びフェノール性水酸基を有するラジカル重合性モノマーが挙げられる。
【0046】
前記フェノール性水酸基を有するラジカル重合性モノマーとしては、例えば一般式(II)で表される化合物が挙げられる。
【0047】
【化6】

【0048】
一般式(II)中、R5、R6及びR7は、それぞれ水素、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1〜3のアルキルを表し、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−OCF3、水酸基、任意の−CH2−が−COO−、−OCO−、−CO−で置き換えられてもよく、また任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜5のアルキル、又は任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜5のアルコキシを表す。但し、R8〜R12のうち少なくとも一つは水酸基である。合成による入手の容易さの観点によれば、R5〜R12のうちの水酸基以外が全て水素であることが好ましい。
【0049】
前記アルカリ溶解性ラジカル重合性モノマーの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、4−ヒドロキシスチレン、及び4−ヒドロキシフェニルビニルケトンが挙げられる。上記具体例の中でも、メタクリル酸、4−ヒドロキシスチレン、又は4−ヒドロキシフェニルビニルケトンが好ましい。メタクリル酸及び4−ヒドロキシスチレンは入手が容易である観点から好ましく、4−ヒドロキシフェニルビニルケトンはパターン状透明膜の透明性や耐熱性を高める観点から好ましい。
【0050】
前記オキシラニル又はオキセタニルを有するラジカル重合性モノマーは、オキシラニル又はオキセタニルを一以上有するラジカル重合性モノマーである。オキシラニル又はオキセタニルを有するラジカル重合性モノマーは、パターン状透明膜における耐熱性、機械的強度や透明性を高める観点から用いられる。このような用途の観点から、ラジカル重合性モノマー(a2)全体における前記オキシラニル又はオキセタニルを有するラジカル重合性モノマーの割合は、10〜50モル%であることが好ましく、15〜40モル%であることがより好ましく、20〜30モル%であることがさらに好ましい。
【0051】
前記オキシラニル又はオキセタニルを有するラジカル重合性モノマーとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルアクリル酸グリシジルエステル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート
、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、及び3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタンが挙げられる。これらのオキシラニル又はオキセタニルを有するラジカル重合性モノマーは、パターン状透明膜における耐スパッタ性及び透明性を高める観点から好ましい。
【0052】
上記具体例の中でも、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、及び3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタンは入手が容易であり、得られたパターン状透明膜の耐溶剤性、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性、透明性を高める観点から好ましい。
【0053】
前記N−置換マレイミドは、マレイミドの窒素に結合する水素が、酸素や窒素を含む基を有していてもよい炭素数1〜20の基で置換されたマレイミドである。前記N−置換マレイミドは、パターン状透明膜における耐熱性を高める観点や誘電率を低減させる観点から用いられる。このような用途の観点から、ラジカル重合性モノマー(a2)全体における前記N−置換マレイミドの割合は、5〜30重量%であることが好ましく、10〜25重量%であることがより好ましく、15〜20重量%であることがさらに好ましい。
【0054】
前記N−置換マレイミドとしては、例えばN−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(4−アセチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(4−ジメチルアミノ−3,5−ジニトロフェニル)マレイミド、N−(1−アニリノナフチル−4)マレイミド、N−[4−(2−ベンズオキサゾリル)フェニル]マレイミド、及びN−(9−アクリジニル)マレイミドが挙げられる。
【0055】
前記ジシクロペンタニルを含むラジカル重合性モノマーは、ジシクロペンタニルとラジカル重合性官能基とを有する化合物である。前記ジシクロペンタニルを含むラジカル重合性モノマーは、パターン状透明膜における耐熱性を高める観点や誘電率を低減させる観点から用いられる。このような用途の観点から、ラジカル重合性モノマー(a2)全体における前記ジシクロペンタニルを含むラジカル重合性モノマーの割合は、5〜50重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることがより好ましく、20〜35重量%であることがさらに好ましい。
【0056】
前記ジシクロペンタニルを含むラジカル重合性モノマーとしては、例えばジシクロペンタニルアクリレート及びジシクロペンタニルメタクリレートが挙げられる。
【0057】
前記ラジカル重合性モノマー(a2)は、本発明の効果が得られる範囲で、前述した以外のラジカル重合性モノマーを含んでいてもよい。このようなさらなるラジカル重合性モノマーとしては、例えば、炭素間二重結合や炭素間三重結合等のラジカル重合性官能基を有するシラン化合物や炭化水素系ラジカル重合性モノマーが挙げられる。
【0058】
前記ラジカル重合性官能基を有するシラン化合物は、例えばパターン状透明膜における誘電率の低減の観点から用いられる。このような用途の観点から、ラジカル重合性モノマー(a2)全体における前記ラジカル重合性官能基を有するシラン化合物の割合は、5〜40モル%であることが好ましく、10〜30モル%であることがより好ましく、15〜25モル%であることがさらに好ましい。前記ラジカル重合性官能基を有するシラン化合物としては、例えば前記一般式(I−a)におけるスチリル基を他のラジカル重合性の基に置き換えた化合物が挙げられ、例えばメタクリロイロキシプロピル−トリス−トリメチ
ルシロキシシランが挙げられる。
【0059】
前記炭化水素系ラジカル重合性モノマーは、例えばパターン状透明膜におけるアルカリ可溶性の調整、比誘電率の低減、及び焼成時の熱フロー防止の観点から用いられる。このような用途の観点から、ラジカル重合性モノマー(a2)全体における前記炭化水素系ラジカル重合性モノマーの割合は、1〜30モル%であることが好ましく、5〜25モル%であることがより好ましく、10〜20モル%であることがさらに好ましい。前記炭化水素系ラジカル重合性モノマーとしては、例えばスチレンが挙げられる。
【0060】
<1−1−2.アルカリ可溶性重合体>
前記アルカリ可溶性樹脂成分は、共重合体(A)以外の成分をさらに含有していてもよい。このようなさらなる成分としては、例えばアルカリ可溶性重合体が挙げられる。アルカリ可溶性重合体は一種でも二種以上でもよい。前記アルカリ可溶性重合体は、前記アルカリ溶解性ラジカル重合性モノマーを含むモノマーの重合によって得ることができる。前記アルカリ可溶性重合体は、前記アルカリ溶解性ラジカル重合性モノマーと、それ以外のラジカル重合性モノマー(a2)との共重合体であることが、得られる感光性樹脂組成物の特性を調整する観点から好ましい。
【0061】
前記アルカリ可溶性樹脂成分中のアルカリ可溶性重合体の含有量は、アルカリ可溶性樹脂成分にアルカリ可溶性を十分に付与し、又は高める観点から、5〜30重量%であることが好ましく、10〜25重量%であることがより好ましく、15〜20重量%であることがさらに好ましい。
【0062】
前記アルカリ可溶性重合体の使用は、感光性樹脂組成物の現像性を高める観点から好ましく、容易にパターン状透明膜を得る観点から好ましい。また、前記アルカリ可溶性重合体の使用は、パターン状透明膜における誘電率の低減や、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、及び耐熱性の向上や調整の観点から好ましい。
【0063】
例えば前記アルカリ可溶性樹脂成分が前記アルカリ可溶性重合体をさらに含有する場合では、特定の機能を有するラジカル重合性モノマー(a2)を、共重合体(A)とアルカリ可溶性重合体とに分けて用いることができる。このような使い分けの一例としては、例えば、前記オキシラニル又はオキセタニルを有するラジカル重合性モノマーを共重合体(A)に用い、前記N−置換マレイミドやジシクロペンタニルを含むラジカル重合性モノマーをアルカリ可溶性重合体に用いることが挙げられる。
【0064】
<1−1−3.重合方法及び物性>
前記共重合体(A)及び前記アルカリ可溶性重合体は、同様の反応によってそれぞれ得ることができる。前記共重合体(A)は、前記ラジカル重合性モノマー(a1)と前記ラジカル重合性モノマー(a2)との混合物を重合させて得ることができ、前記アルカリ可溶性重合体は、前記アルカリ溶解性ラジカル重合性モノマー、又は他の前記ラジカル重合性モノマー(a2)をさらに含む混合物を重合させて得ることができる。これらの重合は、いずれも、溶剤を用いた溶液中でのラジカル重合であることが好ましい。重合温度は使用する重合開始剤からラジカルが十分発生する温度であれば特に限定されないが、通常50℃〜150℃の範囲である。重合時間も特に限定されないが、通常1〜24時間の範囲である。また、当該重合は、加圧、減圧又は大気圧のいずれの圧力下でも行うことができる。
【0065】
上記の重合反応に使用する溶剤は、使用するラジカル重合性モノマー及び生成する共重合体(A)及びアルカリ可溶性重合体を溶解する溶剤であることが好ましい。このような溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、
アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジオキサン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸、及び水が挙げられる。前記溶剤は、これらの一種であってもよいし、これらの二種以上の混合物であってもよい。
【0066】
共重合体(A)及びアルカリ可溶性重合体を合成する際に用いる重合開始剤は、熱によりラジカルを発生する化合物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤や、過酸化ベンゾイル等の過酸化物系開始剤を使用することができる。分子量を調節するために、チオグリコール酸等の連鎖移動剤を適量添加してもよい。
【0067】
なお、例えば、前記共重合体(A)及び前記アルカリ可溶性重合体を熱分解し、熱分解により生じたガスをGC−MSで測定することによって、前記共重合体(A)及び前記アルカリ可溶性重合体のモノマー成分を推定することができる。このように、前記共重合体(A)及び前記アルカリ可溶性重合体は、GC−MSやそれと同様に公知な元素分析、IR及びNMR等の種々の分析を適宜に用いることによって特定することができる。
【0068】
前記共重合体(A)及びアルカリ可溶性重合体は、ポリエチレンオキシドを標準としたGPC分析で求めた重量平均分子量が1,000〜100,000であることが、露光部分がアルカリ現像液で溶解されるまでの現像時間を適正に制御する観点、及び現像時における膜の表面の荒れを抑制する観点から好ましい。さらに、前記重量平均分子量が1,500〜50,000であることが、さらに現像残渣を極めて少なくする観点からより好ましく、前記重量平均分子量が2,000〜20,000であることが、同様の理由によりさらに好ましい。
【0069】
前記共重合体(A)及びアルカリ可溶性重合体の重量平均分子量は、例えば、標準のポリエチレンオキシドには、分子量が1,000〜510,000のポリエチレンオキシド(例えば東ソー(株)製のTSK standard)を用い、カラムにはShodex
KD−806M(昭和電工(株)製)を用い、移動相としてDMFを用いる条件で測定することができる。
【0070】
<1−2.1,2−キノンジアジド化合物>
前記1,2−キノンジアジド化合物には、例えばレジスト分野において感光剤として使用される化合物を用いることができる。1,2−キノンジアジド化合物は一種でも二種以上でもよい。1,2−キノンジアジド化合物としては、例えばフェノール化合物と1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸又は1,2−ベンゾキノンジアジド−5−スルホン酸とのエステル、フェノール化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸又は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸とのエステル、フェノール化合物の水酸基をアミノ基に置き換えた化合物と1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸又は1,2−ベンゾキノンジアジド−5−スルホン酸とのスルホンアミド、及び、フェノール化合物の水酸基をアミノ基に置き換えた化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸又は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸とのスルホンアミドが挙げられる。
【0071】
前記フェノール化合物としては、例えば2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビ
ス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、トリ(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインデン−5,6,7,5’,6’,7’−ヘキサノール、及び2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバンが挙げられる。
【0072】
前記1,2−キノンジアジド化合物として、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸とのエステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸とのエステル、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールと1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸とのエステル、又は4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸とのエステルを用いることは、ポジ型感光性樹脂組成物から得られる透明膜の透明性を高める観点から好ましい。
【0073】
前記1,2−キノンジアジド化合物の含有量は、前記アルカリ可溶性樹脂成分100重量部に対して5〜50重量部であることが好ましい。
【0074】
<1−3.その他の成分>
本発明の感光性樹脂組成物は、前記アルカリ可溶性樹脂成分と前記1,2−キノンジアジド化合物以外のさらなる成分を含んでいてもよい。このようなさらなる成分としては、溶剤が好ましい。この溶剤は、共重合体(A)、アルカリ可溶性重合体、及び1,2−キノンジアジド化合物を溶解する溶剤であることが好ましい。前記溶剤は一種でも二種以上でもよい。
【0075】
前記溶剤は、沸点が100〜300℃である化合物が好ましい。前記溶剤は、沸点が100〜300℃である溶剤を20重量%以上含有する混合溶剤であってもよい。
【0076】
沸点が100〜300℃である前記溶剤としては、例えば水、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、
プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トルエン、キシレン、γ−ブチロラクトン、及びN,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。
【0077】
前記混合溶剤における、沸点が100〜300℃である溶剤以外の溶剤には、公知の溶剤の一又は二以上を用いることができる。
【0078】
前記溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、乳酸エチル、及び酢酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも一つを用いることは、感光性樹脂組成物の塗布均一性を高める観点からより好ましい。さらに前記溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、乳酸エチル、及び酢酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも一つを用いることは、さらに人体への安全性の観点からより一層好ましい。
【0079】
前記溶剤の含有量は、前記アルカリ可溶性樹脂成分及び前記1,2−キノンジアジド化合物が総量で5〜50重量%となる量であることが好ましい。
【0080】
また、前記さらなる成分としては、感光性樹脂組成物やパターン状透明膜における解像度、塗布均一性、現像性、接着性を向上させるための各種の添加剤を用いることができる。前記添加剤は一種でも二種以上でもよい。前記添加剤としては、例えばアクリル系、スチレン系、ポリエチレンイミン系又はウレタン系の高分子分散剤、アニオン系、カチオン系、ノニオン系又はフッ素系の界面活性剤、シリコン樹脂系塗布性向上剤、シランカップリング剤等の密着性向上剤、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤、エポキシ化合物、メラミン化合物又はビスアジド化合物等の熱架橋剤、有機カルボン酸等のアルカリ溶解性促進剤等が挙げられる。
【0081】
前記添加剤の具体例としては、例えばポリフローNo.45、ポリフローKL−245、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(以上いずれも商標、共栄社化学株式会社製)、ディスパーベイク(Disperbyk)161、ディスパーベイク162、ディスパーベイク163、ディスパーベイク164、ディスパーベイク166、ディスパーベイク170、ディスパーベイク180、ディスパーベイク181、ディスパーベイク182、BYK300、BYK306、BYK310、BYK320、BYK330、BYK344、BYK346(以上いずれも商標、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KP−341、KP−358、KP−368、KF−96−50CS、KF−50−100CS(以上いずれも商標、信越化学工業株式会社製)、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40(以上いずれも商標、AGCセイミケミカル株式会社製)、フタージェント222F、フタージェント251、FTX−218(以上いずれも商標、株式会社ネオス製)、EFTOP EF−351、EFTOP EF−352、EFTOP EF−601、EFTOP EF−801、EFTOP EF−802(
以上いずれも商標、三菱マテリアル株式会社製)、メガファックF−171、メガファックF−177、メガファックF−475、メガファックR−08、メガファックR−30(以上いずれも商標、DIC株式会社製)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩が挙げられる。
【0082】
これらの添加剤の中でも、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、及びフルオロアルキルアミノスルホン酸塩等のフッ素系の界面活性剤や、BYK306、BYK344、BYK346、KP−341、KP−358、及びKP−368等のシリコン樹脂系塗布性向上剤の中からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることは、感光性組成物の塗布均一性を高める観点から好ましい。
【0083】
前記添加剤の含有量は、添加剤の種類や作用によって異なるが、前記アルカリ可溶性樹脂成分100重量部に対して0.1〜3重量部であることが好ましい。
【0084】
さらに前記さらなる成分としては、多価カルボン酸を用いることができる。多価カルボン酸は一種でも二種以上でもよい。このような多価カルボン酸としては、例えば無水トリメリット酸、無水フタル酸、及び4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物が挙げられる。これらの多価カルボン酸の中でも無水トリメリット酸が特に好ましい。
【0085】
前記多価カルボン酸は、感光性樹脂組成物にオキシラニル又はオキセタニルが含まれる場合に、加熱によってオキシラニル又はオキセタニルと反応することから、パターン状透明膜における耐熱性や耐薬品性をさらに向上させる観点から好ましい。また、前記多価カルボン酸は、感光性樹脂組成物中の1,2−キノンジアジド化合物の分解を抑制することから、保存時における感光性樹脂組成物の着色を防ぐ観点から好ましい。
【0086】
前記多価カルボン酸の含有量は、前記アルカリ可溶性樹脂成分100重量部に対して1〜30重量部であることが好ましく、2〜20重量部であることがより好ましい。
【0087】
<1−4.感光性樹脂組成物の保存>
本発明の感光性樹脂組成物は、温度−30〜25℃の範囲で遮光して保存することが、感光性樹脂組成物を経時的に安定させる観点から好ましい。保存温度が−20〜10℃であることが、析出物の発生の防止の観点からより好ましい。
【0088】
<2.感光性樹脂組成物より形成されたパターン状透明膜>
本発明の感光性樹脂組成物は、透明の樹脂膜を形成するのに適している。本発明のパターン状透明膜は、本発明の感光性樹脂組成物の露光、現像、及び焼成によって形成される。本発明の感光性樹脂組成物は、パターニングの際の解像度が比較的高いことから10μm以下の小さな穴の開いた絶縁膜を形成するのに最適である。ここで、絶縁膜とは、例えば、層状に配置される配線間を絶縁するために設ける膜(層間絶縁膜)等をいう。本発明のパターン状透明膜は、前記絶縁膜に好適に用いることができる。
【0089】
前記パターン状透明膜は、レジスト分野においてパターン状透明膜を形成する通常の方法で形成することができ、例えば以下のようにして形成される。
【0090】
まず、本発明の感光性樹脂組成物をスピンコート、ロールコート、スリットコート等の公知の方法により、ガラス等の基板上に塗布して塗膜を形成する。基板としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス基板、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニール樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂製シート、フィルム又は基板、アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属基板、その他セラミック板、及び、光電変換素子を有する半導体基板が挙げられる。これらの基板には所望により、シランカップリング剤等の薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の前処理を行うことができる。
【0091】
次に、基板上の前記塗膜をホットプレート又はオーブンで乾燥する。通常、60〜120℃で1〜5分間乾燥する。乾燥した基板上の前記塗膜に、所望のパターン形状のマスクを介して紫外線等の放射線を照射する。照射条件は、感光性樹脂組成物中の1,2−キノンジアジド化合物の種類にもよるが、例えばi線で5〜1,000mJ/cm2が適当である。紫外線の当たった部分の1,2−キノンジアジド化合物はインデンカルボン酸となり速やかに現像液に溶解する。
【0092】
放射線を照射した後の前記塗膜は、アルカリ溶液等の現像液を用いて現像される。この現像により、前記膜における放射線が照射された部分は速やかに現像液に溶解する。現像方法は特に限定されず、ディップ現像、パドル現像、シャワー現像のいずれも用いることができる。
【0093】
前記現像液はアルカリ溶液が好ましい。アルカリ溶液に含まれるアルカリとしては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムが挙げられる。また、現像液としては、これらのアルカリの水溶液が好適に用いられる。すなわち、現像液としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、又は2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の有機アルカリ類、及び、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウム等の無機アルカリ類、の水溶液を挙げることができる。
【0094】
現像液には現像残渣の低減やパターン形状の適性化を目的として、メタノール、エタノールや界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤には、例えばアニオン系、カチオン系、及びノニオン系から選択される界面活性剤を使用することができる。これらの中でも、特に、ノニオン系のポリオキシエチレンアルキルエーテルを添加すると、解像度を高める観点から好ましい。
【0095】
前記現像された前記膜は、純水で十分すすがれ、その後、再度放射線が基板上の膜の全
面に照射される。例えば放射線が紫外線の場合は、100〜1,000mJ/cm2の強度で前記膜に照射される。放射線が再照射された基板上の前記膜は、最後に180〜250℃で10〜120分間焼成される。こうして、所望のパターニングがされたパターン状透明膜を得ることができる。
【0096】
このようにして得られたパターン状透明膜は、パターン状絶縁膜として用いることができる。パターン状透明膜に形成された穴の形状は、真上から見た場合、正方形、長方形、円形又は楕円形であることが好ましい。さらに、前記パターン状透明膜上に透明電極を形成し、エッチングによりパターニングを行った後、配向処理を行う膜を形成させてもよい。前記パターン状透明膜は、耐スパッタ性が高いため、透明電極を形成してもパターン状透明膜にしわが発生せず、高い透明性を保つことができる。
【0097】
<3.表示素子>
本発明のパターン状透明膜は、液晶等を用いる表示素子に用いられる。例えば前記表示素子は、上記のようにして基板上にパターニングされた透明膜又は絶縁膜が設けられた素子基板と、対向基板であるカラーフィルター基板とを、位置を合わせて圧着し、その後熱処理して組み合わせ、対向する基板の間に液晶を注入し、注入口を封止することによって製作される。
【0098】
又は、前記素子基板上に液晶を散布した後、素子基板を重ね合わせ、液晶が漏れないように密封することによっても製作することができ、前記表示素子はこのように製作された表示素子であってもよい。
【0099】
このようにして、本発明の感光性樹脂組成物で形成された本発明のパターン状透明膜を表示素子に用いることができる。なお、前記表示素子に用いられる液晶、すなわち液晶化合物及び液晶組成物については特に限定されず、いずれの液晶化合物及び液晶組成物をも使用することができる。
【0100】
本発明の好ましい態様に係る感光性樹脂組成物は、例えば、パターニング透明膜及び絶縁膜に対して一般的に求められている高耐溶剤性、高耐水性、高耐酸性、高耐アルカリ性、高耐熱性、高透明性、下地との密着性等の各種特性を有する。
【0101】
また、本発明の好ましい態様に係る感光性樹脂組成物は、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性、透明性に優れていることから、当該感光性樹脂組成物を用いた透明膜、絶縁膜、及び表示素子等は、その製造工程において溶剤、酸、アルカリ溶液等に浸漬、接触、熱処理等がなされても、樹脂膜に表面荒れが発生しにくい。その結果、本発明の好ましい態様に係る感光性樹脂組成物を用いた透明膜等の光の透過率が高まり、それを用いた表示素子等の製品の表示品位を高めることができる。
【実施例】
【0102】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0103】
[合成例1]共重合体(A1)の合成
攪拌器付四つ口フラスコに、重合溶媒として3−メトキシプロピオン酸メチル、モノマー(a1)としてp−スチリルトリメトキシシラン、モノマー(a2)として、4−ヒドロキシフェニルビニルケトン、グリシジルメタクリレート、及び3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を下記の重量で仕込み、80℃の重合温度で4時間加熱して重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
p−スチリルトリメトキシシラン 30.0g
4−ヒドロキシフェニルビニルケトン 10.0g
グリシジルメタクリレート 40.0g
3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0104】
得られた反応液を室温まで冷却し、原料の仕込み量を共重合体(A1)の重量として計算し、固形分が30重量%となるように、重合溶媒(3−メトキシプロピオン酸メチル)で希釈して、共重合体(A1)の30重量%溶液を得た。この溶液の一部をサンプリングし、前述のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により重量平均分子量を測定した。その結果、重量平均分子量は5,800であった。
【0105】
[合成例2]共重合体(A2)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
p−スチリルトリメトキシシラン 30.0g
グリシジルメタクリレート 30.0g
スチレン 30.0g
4−ヒドロキシフェニルビニルケトン 10.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0106】
合成例1と同様の処理を行い、共重合体(A2)の30重量%溶液を得た。得られた共重合体(A2)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は5,500であった。
【0107】
[合成例3]共重合体(A3)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
p−スチリルトリメトキシシラン 40.0g
メタクリロイロキシプロピル−トリス−トリメチルシロキシシラン 20.0g
4−ヒドロキシフェニルビニルケトン 20.0g
グリシジルメタクリレート 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0108】
合成例1と同様の処理を行い、共重合体(A3)の30重量%溶液を得た。得られた共重合体(A3)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は6,100であった。
【0109】
[合成例4]共重合体(A4)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
p−スチリル−トリス−トリメチルシロキシシラン 50.0g
4−ヒドロキシフェニルビニルケトン 30.0g
グリシジルメタクリレート 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0110】
合成例1と同様の処理を行い、共重合体(A4)の30重量%溶液を得た。得られた共重合体(A4)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は5,200であった。
【0111】
[合成例5]共重合体(A5)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
p−スチリルトリメトキシシラン 40.0g
グリシジルメタクリレート 60.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0112】
合成例1と同様の処理を行い、共重合体(A5)の30重量%溶液を得た。得られた共重合体(A5)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は4,700であった。
【0113】
[合成例6] 共重合体(A6)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
p−スチリルトリメトキシシラン 40.0g
4−ヒドロキシフェニルビニルケトン 15.0g
3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート 45.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0114】
合成例1と同様の処理を行い、共重合体(A6)の30重量%溶液を得た。得られた共重合体(A6)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は5,500であった。
【0115】
[合成例7] 共重合体(A7)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
p−スチリルトリメトキシシラン 20.0g
N−シクロヘキシルマレイミド 60.0g
メタクリル酸 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0116】
合成例1と同様の処理を行い、共重合体(A7)の30重量%溶液を得た。共重合体(A7)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は8,000であった。
【0117】
[合成例8]アルカリ可溶性重合体(C1)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
ジシクロペンタニルメタクリレート 40.0g
N−フェニルマレイミド 30.0g
メタクリル酸 30.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0118】
合成例1と同様の処理を行い、アルカリ可溶性共重合体(C1)の30重量%溶液を得た。アルカリ可溶性重合体(C1)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は8,500であった。
【0119】
[合成例9]アルカリ可溶性重合体(C2)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
ジシクロペンタニルメタクリレート 70.0g
メタクリル酸 30.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0120】
合成例1と同様の処理を行い、アルカリ可溶性共重合体(C2)の30重量%溶液を得た。アルカリ可溶性重合体(C2)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は7,200であった。
【0121】
[比較合成例1]比較共重合体(D1)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
メタクリル酸 20.0g
グリシジルメタクリレート 40.0g
3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン 20.0g
N−シクロヘキシルマレイミド 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0122】
合成例1と同様の処理を行い、比較共重合体(D1)の30重量%溶液を得た。得られた比較共重合体(D1)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は6,000であった。
【0123】
[比較合成例2]比較共重合体(D2)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
メタクリル酸 15.0g
グリシジルアクリレート 50.0g
N−フェニルマレイミド 25.0g
ジシクロペンタニルメタクリレート 10.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0124】
合成例1と同様の処理を行い、比較共重合体(D2)の30重量%溶液を得た。得られた比較共重合体(D2)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は7,700であった。
【0125】
[比較合成例3]比較共重合体(D3)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
メチルメタクリレート 50.0g
グリシジルメタクリレート 50.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0126】
合成例1と同様の処理を行い、比較共重合体(D3)の30重量%溶液を得た。得られた比較重合体(D3)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は7,600であった。
【0127】
[実施例1]
[ポジ型感光性樹脂組成物の製造]
合成例1で得られた共重合体(A1)、1,2−キノンジアジド化合物である4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチ
リデン]ビスフェノールと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライドとの縮合物(平均エステル化率58%、以下「PAD」ともいう)、添加剤としてフッ素系界面活性剤であるDIC株式会社製メガファックR−08(以下「R−08」と略す)、溶剤として3−メトキシプロピオン酸メチルを下記の重量で混合溶解し、ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
3−メトキシプロピオン酸メチル 1.40g
共重合体(A1)の30重量%溶液 10.00g
PAD 0.60g
R−08 0.006g
【0128】
[ポジ感光性樹脂組成物の評価方法]
1)パターン状透明膜の形成
ガラス基板上に実施例1で合成されたポジ型感光性樹脂組成物を800rpmで10秒間スピンコートし、100℃のホットプレート上で2分間乾燥した。この基板を空気中、ホールパターン形成用のマスクを介して、株式会社トプコン製プロキシミティー露光機TME−150PRCを使用し、波長カットフィルターを通して350nm以下の光をカットしてg、h、i線を取り出し、露光ギャップ100μmで露光した。露光量はウシオ電機株式会社製積算光量計UIT−102、受光器UVD−365PDで測定して150mJ/cm2とした。露光後のガラス基板を、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶
液で60秒間ディップ現像し、露光部の樹脂組成物を除去した。現像後の基板を純水で60秒間洗ってから100℃のホットプレートで2分間乾燥した。この基板を前記露光機にてマスクを介さずに露光量300mJ/cm2で全面露光した後、オーブン中230℃で30分ポストベイクし、膜厚3μmのパターン状透明膜を形成した。膜厚は、KLA−Tencor Japan株式会社製触針式膜厚計αステップ200を使用して測定し、得られた3箇所の測定値の平均値とした。
【0129】
2)現像後残膜率
現像の前後で膜厚を測定し、次式から計算した。
(現像後膜厚/現像前膜厚)×100(%)
【0130】
3)解像度
上記1)で得られたポストベイク後のパターン状透明膜の基板を光学顕微鏡で400倍にて観察し、ホールパターンの底にガラスが露出しているマスクサイズを確認した。ホールパターンができていない場合は不良(NG:No Good)とした。
【0131】
4)透明性
有限会社東京電色製TC−1800を使用し、透明膜を形成していないガラス基板をリファレンスとして波長400nmでの光透過率を測定した。
【0132】
5)耐溶剤性
上記1)で得られたパターン状透明膜の基板を25℃のN−メチル−2−ピロリドン中に60分間浸漬し、膜厚の変化を測定した。浸漬の前後で膜厚を測定し、膜厚の変化率を次式から計算した。
(浸漬後膜厚/浸漬前膜厚)×100(%)
なお、膜厚の変化率が−2〜2%である場合は良好と判定でき、膨潤により2%を超えたり、溶解により−2%より低かった場合は不良と判定できる。
【0133】
6)耐酸性
上記1)で得られたパターン状透明膜の基板を50℃の塩酸(35〜37重量%水溶液)/硝酸(69〜70重量%水溶液)/水=4/2/4(重量比)に3分間浸漬し、膜厚
の変化を測定した。浸漬の前後で膜厚を測定し、膜厚の変化率を次式から計算した。
(浸漬後膜厚/浸漬前膜厚)×100(%)
膜厚の変化率が−2〜2%である場合は良好と判定でき、膨潤により2%を超えたり、溶解により−2%より低かった場合は不良と判定できる。
【0134】
7)耐アルカリ性
上記1)で得られたパターン状透明膜の基板を60℃の5%水酸化カリウム水溶液に10分間浸漬し、膜厚の変化を測定した。浸漬の前後で膜厚を測定し、膜厚の変化率を次式から計算した。
(浸漬後膜厚/浸漬前膜厚)×100(%)
膜厚の変化率が−2〜2%である場合は良好と判定でき、膨潤により2%を超えたり、溶解により−2%より低かった場合は不良と判定できる。
【0135】
8)耐熱性
上記1)で得られたパターン状透明膜の基板を230℃のオーブンで1時間追加ベイクし、加熱の前後において上記4)と同様に光透過率を測定し、ポストベイク後(追加ベイク前)の光透過率をT1とし、追加ベイク後の光透過率をT2とした。ポストベイク後から追加ベイク後の光透過率の低下が少ないほど良好と判定できる。また加熱の前後で膜厚を測定し、膜厚の変化率を次式から計算した。
(追加ベイク後膜厚/ポストベイク後膜厚)×100(%)
【0136】
9)密着性
上記1)で得られたパターン状透明膜の基板を碁盤目剥離試験(クロスカット試験)により評価した。評価は1mm角の碁盤目100個中におけるテープ剥離後の残存碁盤目数を表した。
【0137】
10)耐スパッタ性
上記1)で得られたパターン状透明膜の基板にITO(インジウムチンオキシド)の透明電極を200℃にてスパッタリングにより150nmの膜厚で形成し、室温に戻した後で膜面のしわの有無を目視により観察した。膜面にしわが生じなかった場合は耐スパッタ性が良好(G:Good)と、膜面にしわが生じた場合は耐スパッタ性が不良(NG:No Good)と判定した。
【0138】
11)比誘電率
アジレントテクノロジー株式会社製LCRメーター(4284A)を使用し、透明膜の上下に電極を作製し、比誘電率測定を行った。評価は1kHzで行った。
【0139】
実施例1で合成されたポジ型感光性樹脂組成物について、上記の評価方法によって得られた結果を表1に示す。
【0140】
【表1】

【0141】
[実施例2]
実施例1において用いられた共重合体(A1)の30重量%溶液の代わりに、合成例2で得られた共重合体(A2)の30重量%溶液と、合成例8で得られたアルカリ可溶性重合体(C1)の30重量%溶液の1:1混合物(重量比)を用いた以外は、実施例1と同様にポジ型感光性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0142】
[実施例3]
実施例1において用いられた共重合体(A1)の30重量%溶液の代わりに、合成例3で得られた共重合体(A3)の30重量%溶液と合成例9で得られたアルカリ可溶性重合体(C2)の30重量%溶液の1:1混合物(重量比)を用いた以外は、実施例1と同様にポジ型感光性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0143】
[実施例4]
実施例1において用いられた共重合体(A1)の30重量%溶液の代わりに、合成例4で得られた共重合体(A4)の30重量%溶液と合成例7で得られた共重合体(A7)の30重量%溶液の1:1混合物(重量比)を用いた以外は、実施例1と同様にポジ型感光性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0144】
[実施例5]
実施例1において用いられた共重合体(A1)の30重量%溶液の代わりに、合成例5で得られた共重合体(A5)の30重量%溶液と合成例8で得られた共重合体(C1)の30重量%溶液の1:1混合物(重量比)を用いた以外は、実施例1と同様にポジ型感光性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0145】
[実施例6]
実施例1において用いられた共重合体(A1)の30重量%溶液の代わりに、合成例6で得られた共重合体(A6)の30重量%溶液と合成例9で得られた共重合体(C2)の30重量%溶液の1:1混合物(重量比)を用いた以外は、実施例1と同様にポジ型感光
性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0146】
[比較例1]
実施例1において用いられた共重合体(A1)の30重量%溶液の代わりに、比較合成例1で得られた比較共重合体(D1)の30重量%溶液と合成例8で得られたアルカリ可溶性重合体(C1)の30重量%溶液の1:1混合物(重量比)を用いた以外は、実施例1と同様にポジ型感光性樹脂組成物を調製し評価した。結果を表2に示す。
【0147】
【表2】

【0148】
[比較例2]
実施例1において用いられた共重合体(A1)の30重量%溶液の代わりに、比較合成例2で得られた比較共重合体(D2)の30重量%溶液と合成例9で得られたアルカリ可溶性重合体(C2)の30重量%溶液の1:1混合物(重量比)を用いた以外は、実施例1と同様にポジ型感光性樹脂組成物を調製し評価した。結果を表2に示す。
【0149】
[比較例3]
実施例1において用いられた共重合体(A1)の30重量%溶液の代わりに、比較合成例3で得られた比較共重合体(D3)の30重量%溶液と合成例8で得られたアルカリ可溶性重合体(C1)の30重量%溶液の1:1混合物(重量比)を用いた以外は、実施例1と同様にポジ型感光性樹脂組成物を調製し評価した。結果を表2に示す。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、例えば、液晶表示素子に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ可溶性樹脂成分と1,2−キノンジアジド化合物とを含有する感光性樹脂組成物において、
前記アルカリ可溶性樹脂成分が、一般式(I)で表されるラジカル重合性モノマー(a1)及び一般式(I)で表されるラジカル重合性モノマー(a1)以外のその他のラジカル重合性モノマー(a2)を重合して得られる共重合体(A)を含む感光性樹脂組成物。
【化1】

(一般式(I)中、R1は単結合又は炭素数1〜5のアルキレンを表し、R2、R3、R4はそれぞれ水素、水酸基、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、又は式(I−a)で表される基を表す。)
【化2】

(一般式(I−a)中、R21及びR31はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキルを表し、mは0〜10の整数を表す。)
【請求項2】
前記ラジカル重合性モノマー(a1)が、p−スチリルトリメトキシシラン及びp−スチリル−トリス−トリメチルシロキシシランの一方又は両方である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記その他のラジカル重合性モノマー(a2)が、アルカリに溶解するアルカリ溶解性ラジカル重合性モノマーを含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記その他のラジカル重合性モノマー(a2)が、オキシラニル又はオキセタニルを有するラジカル重合性モノマーを含む、請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記オキシラニル又はオキセタニルを有するラジカル重合性モノマーが、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、及び3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタンからなる群から選ばれる一以上を含む、請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記アルカリ可溶性樹脂成分が、前記一般式(I)で表されるラジカル重合性モノマー(a1)以外のその他のラジカル重合性モノマー(a2)を重合して得られるアルカリ可溶性重合体をさらに含有し、
前記その他のラジカル重合性モノマー(a2)が、アルカリに溶解するアルカリ溶解性ラジカル重合性モノマーを含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記その他のラジカル重合性モノマー(a2)が、N−置換マレイミド及びジシクロペンタニルを含むラジカル重合性モノマーの一方又は両方を含む、請求項6に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記N−置換マレイミドが、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(4−アセチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(4−ジメチルアミノ−3,5−ジニトロフェニル)マレイミド、N−(1−アニリノナフチル−4)マレイミド、N−[4−(2−ベンズオキサゾリル)フェニル]マレイミド、及びN−(9−アクリジニル)マレイミドからなる群から選ばれる一以上である、ことを特徴とする請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記ジシクロペンタニルを含むラジカル重合性モノマーが、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートである、請求項7又は8に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記アルカリ溶解性ラジカル重合性モノマーが、不飽和カルボン酸を有するラジカル重合性モノマー、不飽和カルボン酸無水物を有するラジカル重合性モノマー、及びフェノール性水酸基を有するラジカル重合性モノマーからなる群から選ばれる一以上を含む、請求項3〜9のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記フェノール性水酸基を有するラジカル重合性モノマーが、一般式(II)で表されることを特徴とする請求項10に記載の感光性樹脂組成物。
【化3】

(一般式(II)中、R5、R6及びR7は、それぞれ水素、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1〜3のアルキルを表し、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−OCF3、水酸基、任意の−CH2−が−COO−、−OCO−、−CO−で置き換えられてもよく、また任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜5のアルキル、又は任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜5のアルコキシを表す。但し、R8〜R12のうち少なくとも一つは水酸基である。)
【請求項12】
前記アルカリ溶解性ラジカル重合性モノマーが、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、4−ヒドロキシスチレン、及び4−ヒドロキシフェニルビニルケトンからなる群から選ばれる一以上を含む、請求項10又は11に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物から形成されたパターン状透明膜。
【請求項14】
絶縁膜である、請求項13に記載のパターン状透明膜。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のパターン状透明膜を有する表示素子。

【公開番号】特開2012−113227(P2012−113227A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263852(P2010−263852)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(311002067)JNC株式会社 (208)
【Fターム(参考)】