説明

感光性樹脂組成物及びそれを用いた感光性永久レジスト、感光性フィルム

【課題】 保管安定性に優れ、かつ、HAST耐性に優れた感光性樹脂組成物、及びドライフィルムタイプのアルカリ現像可能な感光性ソルダーレジスト、感光性フィルムを提供する。
【解決手段】 (A)塩素と加水分解性塩素の含有量の合計が100ppm以下であるカルボキシル基、及び光重合性不飽和基を有する感光性プレポリマ、(B)分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を有する光重合性モノマ、(C)光重合開始剤、(D)塩素含有量が200ppm以下であり、加水分解性塩素の含有量が500ppm以下である高純度なエポキシ樹脂、(E)硬化促進剤、を含有する保管安定性とHAST耐性に優れた感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板用、半導体パッケージ基板用、フレキシブル配線板用の感光性樹脂組成物及びそれを用いた感光性永久レジスト、感光性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器の小型化、軽量化に伴い、プリント配線板、半導体パッケージ基板、フレキシブル配線板には、微細な開口パターンを形成する目的で感光性のソルダーレジストが用いられている。そのようなソルダーレジストには、現像性、高解像性、クラック耐性、絶縁信頼性及びはんだ耐熱性、金めっき耐性等が要求される。近年では、上記特性の中でも絶縁信頼性に項目の重要度が増しており、特に半導体パッケージ基板用のソルダーレジストには、微細配線間でのHAST耐性について要求されている。HASTの試験は、130℃、85%RH条件下で配線間に電圧を印加し、マイグレーションの発生レベル、絶縁耐性を評価する試験で、従来まで一般的に行われてきた85℃、60%RH、若しくは85℃、85%で電圧を印加する試験に比べ試験温度が高く条件が厳しいのが特徴である。さらに最近では、配線間のピッチが狭まっており、ライン/スペースが10μm/10μmや8μm/8μmでのHAST時の耐性が要求されており、従来のソルダーレジストでは、対応できなくなっている。
一方、近年では、膜厚均一性、表面平滑性及び薄膜形成性の観点から、ドライフィルムタイプのソルダーレジストが注目されている。ドライフィルムタイプは、工程簡便化、溶剤排出量の低減化などの利点も有している。
現在使用されている一般的なソルダーレジストは、硬化剤のエポキシ樹脂とアルカリ現像性を付与させるためのカルボン酸含有感光性プレポリマを別々に分けた液状2液タイプが主流である。感光性プレポリマとしては、特開昭61‐243869号公報に示されるようなクレゾールノボラック型エポキシ樹脂にアクリル酸を付加し、その後、酸変性したアルカリ現像可能な感光性プレポリマが広く使用されている。また、耐クラック性を改善するために、特開2002‐162738号公報に示されるような、感光性樹脂組成物中にエラストマを加える手法も実用化されている。しかし、上記、感光性樹脂組成物は、はんだ耐熱性等には優れるが、近年のHASTの試験条件では絶縁信頼性が十分ではなくさらなる耐性の向上が要求されている。
また、従来の液状2液タイプのソルダーレジストであるため、硬化剤のエポキシ樹脂と現像性付与に必要なカルボン酸を有する感光性プレポリマが、室温で反応するため、2液混合後の安定性(ポットライフ)に問題があり、また、これのドライフィルム化を行うと保管安定性に課題があった。
【0003】
【特許文献1】特開昭61‐243869号公報
【特許文献2】特開2002‐162738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は保管安定性に優れ、かつ、HAST耐性に優れた感光性樹脂組成物、及びこれを用いたドライフィルムタイプのアルカリ現像可能な感光性永久レジスト、感光性フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、本発明は、[1](A)塩素と加水分解性塩素の含有量の合計が100ppm以下であるカルボキシル基、及び光重合性不飽和基を有する感光性プレポリマ、(B)分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を有する光重合性モノマ、(C)光重合開始剤、(D)塩素含有量が200ppm以下であり、加水分解性塩素の含有量が500ppm以下である高純度なエポキシ樹脂、(E)硬化促進剤、を含有する感光性樹脂組成物に関する。
本発明の感光性樹脂組成物をプリント配線板用基板の表面に塗布し、活性光線を画像状に照射し露光部を光硬化させ、未露光部を現像により除去してレジストパターンを形成し硬化してなる感光性永久レジストが上記課題を達成できることを見出した。さらに、該樹脂組成物は、保管安定性にも優れており、ドライフィルム化を行い感光性フィルムとして使用することも可能であり、保管安定性とHAST耐性に優れる。
また、本発明は、[2](a)塩素含有量が200ppm以下であり、加水分解性塩素の含有量が500ppm以下である分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物とを反応させて得られるエポキシカルボキシレート化合物、(b)ジイソシアネート化合物、(c)カルボキシル基を有するジオール化合物、(d)分子中にエチレン性不飽和基を有するエポキシ化合物、を反応させて得られる、塩素と加水分解性塩素の含有量の合計が100ppm以下であるポリウレタン化合物を感光性プレポリマ(A)として含有する上記[1]に記載の感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[3]側鎖にエチレン性不飽和基を有し、エチレン性不飽和基濃度は、1.0×10−5〜6.0×10−3モル/gであり、かつ、塩素と加水分解性塩素の含有量の合計が100ppm以下であるラジカル重合性共重合体を感光性プレポリマ(A)として含有する上記[1]に記載の感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[4]分子中にマレイミド又はマレイミド誘導体に由来する繰り返し単位を有する上記[3]記載のラジカル重合性共重合体を感光性プレポリマ(A)として含有する上記[1]に記載の感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[5](D)塩素含有量が200ppm以下であり、加水分解性塩素の含有量が500ppm以下である高純度なエポキシ樹脂が、室温(25℃)で固体で、軟化点が30℃〜100℃である上記[1]ないし上記[4]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[6](E)熱硬化促進剤が、アミン化合物、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩化合物、リン化合物、グアナミン化合物、s−トリアジン誘導体、芳香族酸無水物、脂肪族酸無水物、ポリフェノールから選択される少なくとも1種である上記[1]ないし上記[5]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[7](E)硬化促進剤が、ジシアンジアミド、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ビニル−4,6−ジアミノ−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物から選択される少なくともいずれかである上記[1]ないし上記[6]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[8]架橋剤として、さらに(F)マレイミドを分子中に少なくとも2個以上有する多官能マレイミド化合物を含有する上記[1]ないし上記[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[9]上記[1]ないし上記[8]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物に、(A)感光性プレポリマと完全に相溶しない(G)エラストマを更に含有する感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[10]更に、(H)無機フィラーを含有する上記[1]ないし上記[9]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[11]上記[1]ないし上記[10]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる感光性永久レジストに関する。
また、本発明は、[12]上記[1]ないし上記[10]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を支持体上に塗布、乾燥して形成した感光性積層体からなる感光性フィルムに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、本発明における(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及びそれに対応するメタクリロイル基を意味し、(メタ)アクリロキシ基とはアクリロキシ基及びそれに対応するメタクリロキシ基を意味する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)塩素と加水分解性塩素の含有量の合計が100ppm以下であるカルボキシル基、及び光重合性不飽和基を有する感光性プレポリマ、(B)分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を有する光重合性モノマ、(C)光重合開始剤、(D)塩素含有量が200ppm以下であり、加水分解性塩素の含有量が500ppm以下である高純度なエポキシ樹脂、(E)硬化促進剤、を含有する。
本発明の大きな特徴となすところは、感光性樹脂組成物の塩素と加水分解性塩素の含有量の合計が100ppm以下になるところにあり、感光性樹脂組成物として、高純度な(A)カルボキシル基、及び光重合性不飽和基を有する感光性プレポリマ、と高純度な(D)エポキシ樹脂、を用いるところに特徴がある。
本発明で用いる(A)カルボキシル基、及び光重合性不飽和基を有する感光性プレポリマは、高純度で塩素と加水分解性塩素の含有量の合計が100ppm以下であるあればいずれでもよいが、高純度な感光性プレポリマは作製することが難しく、以下に述べる化合物を使用するのが望ましい。
【0007】
本発明の感光性プレポリマとしては、例えば、(a)塩素含有量が200ppm以下であり、加水分解性塩素の含有量が500ppm以下である分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物とを反応させて得られるエポキシカルボキシレート化合物、(b)ジイソシアネート化合物、(c)カルボキシル基を有するジオール化合物、(d)分子中にエチレン性不飽和基を有するエポキシ化合物、を反応させて得られる、塩素と加水分解性塩素の含有量の合計が100ppm以下であるポリウレタン化合物を用いることが望ましい。特開昭61‐243869号公報に示されるようなクレゾールノボラック型エポキシ樹脂にアクリル酸を付加し、その後、酸変性したアルカリ現像可能な感光性プレポリマに比べ、本ポリウレタン化合物は、ジオール、及びジイソシアネートを用いることで塩素と加水分解性塩素量の含有量を低減し易く高純度化が可能な点で特徴がある。また、高純度なエポキシ樹脂は、製造工程が複雑となり、一般的に高価となるが、本ポリウレタン化合物では感光性プレポリマ中のエポキシ樹脂含有量が少なくて済み価格の面からも有効である。また、上記ポリウレタン化合物は、ウレタン構造に起因した強靭かつ伸びに優れた硬化膜となり、耐クラック性に優れたソルダーレジストとなる。
【0008】
ここで、ポリウレタンの主骨格の一つとなる原料の分子内に2個以上の水酸基とエチレン性不飽和基を有するエポキシアクリレート化合物のハードセグメント部の構造はビスフェノールA型構造のものが好ましく、このようなものは、UXEシリーズ(日本化薬株式会社製)として市販されており、UXE−3011、UXE−3012、UXE−3024(サンプル名、日本化薬株式会社製)として入手可能である。ポリウレタン化合物の酸価は、20から130mgKOH/gであることが好ましく、さらに、酸価は40から110mgKOH/gであることが好ましい。
なお、酸価は、以下の方法により測定することができる。まず、測定樹脂溶液約1gを精秤した後、その樹脂溶液にアセトンを30g添加し、樹脂溶液を均一に溶解する。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行う。そして、滴定結果より以下の一般式(1);
A=10×Vf×56.1/(Wp×I) (1)
により酸価を算出する。なお、式中Aは酸価(mgKOH/g)を示し、Vfは0.1NのKOH水溶液の滴定量(mL)を示し、Wpは測定樹脂溶液重量(g)を示し、Iは測定樹脂溶液の不揮発分の割合(質量%)を示す。
重量平均分子量Mwは、Mw3000から100000で、好ましくは、Mw5000から50000、さらに好ましくは、Mw7000から20000である。
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる(標準ポリスチレンによる換算)。
【0009】
また、本発明の感光性プレポリマとして、側鎖にエチレン性不飽和基を有し、エチレン性不飽和基濃度は、1.0×10−5〜6.0×10−3モル/gであり、かつ、塩素と加水分解性塩素の含有量の合計が100ppm以下であるラジカル重合性共重合体を使用することも可能である。
【0010】
本発明で用いるラジカル重合性共重合体の共重合成分としては、マレイミド又はマレイミド誘導体に由来する繰り返し単位を有することが望ましい。具体的には、マレイミド、エチルマレイミド、ブチルマレイミド、オクチルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ヒドロキシエチルマレイミド、ヒドロキシブチルマレイミド、エトキシエチルマレイミド、ブトキシエチルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルフェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、カルボキシフェニルマレイミド、メトキシフェニルマレイミド、ベンジルマレイミド等が挙げられる。このマレイミド又はマレイミド誘導体に由来する繰り返し単位は5%以上、60%以下であることが望ましく、更に10%以上、50%以下であることが更に望ましい。5%以下の場合は樹脂の耐熱性が不足する傾向にあり、60%以上であると、樹脂の密着性が低下し、また樹脂が固く脆くなる傾向にある。
【0011】
その他、共重合成分は特に制限はなく、例えば、2−カルボキシエチルメタクリレート、(無水)マレイン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸N−メチルアミノメチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル等のメタクリル酸アミノアルキル、アクリル酸N−メチルアミノメチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル等のアクリル酸アミノアルキル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体、酢酸ビニル等が挙げられる。
また、アクリル系ポリマの(a)の酸価は20(mgKOH/g)以上が好ましく、40〜150(mgKOH/g)が特に好ましい。重量平均分子量は、Mw5000から150000であり、Mw8000から100000の範囲、更に、Mw10000から50000の範囲が好ましい。
【0012】
本発明で用いるポリマ成分として、上記感光性プレポリマに加え、エチレン性不飽和基を有さない、カルボキシル基を有する重量平均分子量Mw20000から150000のポリマを用いても良い。樹脂の種類は、カルボキシル基を有していれば、アクリル、ポリウレタン、エポキシ、フェノキシ、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリカーボネート、メラミン樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシベンゾイル等の公知の樹脂、又はその酸変性樹脂を使用することができるが、塩素と加水分解性塩素の含有量の合計が感光性樹脂組成物として100ppm以下となるものでなければならない。望ましくは、純度、及び上記感光性プレポリマとの相溶性の観点からラジカル重合性のアクリル共重合体で酸価は30から170mgKOH/gであることが好ましく、さらに、酸価は40から140mg/gであることが好ましい。
【0013】
ここで、アクリル共重合体とは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の共重合成分として得られるビニル系共重合化合物である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルや(メタ)アクリル酸と共重合しうるビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレートアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
また、ビニル系共重合化合物として、エチレン性不飽和基を有したアクリルアクリレートも使用することができる。
【0014】
本発明において(B)成分として用いる分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を有する光重合性モノマとしては、例えば、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー又はウレタンオリゴマーが挙げられ、これら以外にも、ノニルフェノキシポリオキシエチレンアクリレート;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、EO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が例示可能である。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0015】
ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)等が挙げられ、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(製品名、新中村化学工業株式会社製)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)は、BPE−1300(商品名、新中村化学工業株式会社製)として商業的に入手可能である。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカプロポキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカプロポキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカプロポキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカプロポキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカプロポキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカプロポキシ)フェニル)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカプロポキシ)フェニル)等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0017】
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14でありプロピレン基の数が2〜14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO・PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
なお、「EO」とは「エチレンオキシド」のことをいい、「PO」とは「プロピレンオキシド」のことをいう。また、「EO変性」とはエチレンオキシドユニット(−CH−CH−O−)のブロック構造を有することを意味し、「PO変性」とはプロピレンオキシドユニット(−CH(CH)−CH−O−)のブロック構造を有することを意味する。
【0019】
グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)フェニル等が拳げられる。
α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
【0020】
ウレタンモノマーとしては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO又はPO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0021】
さらに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。
これら(B)成分は、1種類を単独で或いは2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0022】
本発明において(C)成分として用いる光重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヘラーケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−モルホリノフェノン)−ブタノン−1,2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物等などが挙げられる。これらは1種類を単独で或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
本発明で用いる(D)塩素含有量が200ppm以下であり、加水分解性塩素の含有量が500ppm以下である高純度なエポキシ樹脂、としては、一般的にエポキシ樹脂は、エピクロルヒドリンを反応させて得られるが、その反応の際に不純物として発生する塩素や加水分解性塩素が少ないものを示している。具体的には、本発明では、塩素含有量が200ppm以下であり、加水分解性塩素の含有量が500ppm以下のものを用いる。
なお、加水分解性塩素とは、水の存在下に容易に加水分解して塩素イオンを発生するものを指し、樹脂を溶剤に溶解しアルカリで所定温度、所定時間処理を行い、塩素を分解して発生する塩を、電位差滴定により定量することが可能である。
【0024】
上記エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、分子蒸留し高純度化している、YD−8125、YDF−8170C、ZX−1059やYD−825GS、YDF−870GS、ZX−1658、ZX−1627(製品名、東都化成株式会社製)、YX−8000、YX−8034(製品名、ジャパンエポキシレジン株式会社製)、N−655EXP−S、N−665EXP、N−670EXP−S、N−672EXP、N−685EXP−S(製品名、大日本インキ化学工業株式会社製)、R140P、R140S、R140Q(製品名、三井化学株式会社製)、ED−509S、ED−518S(株式会社ADEKA製)等が挙げられる。本発明に用いられるエポキシ樹脂としては、高純度であれば良く、上記に限られるものではない。また、上記エポキシ樹脂であって、室温(25℃)で固体であり、軟化点が30℃〜100℃、さらに望ましくは軟化点が50℃〜100℃であるエポキシ樹脂を用いることが望ましい。
【0025】
本発明で用いる(E)硬化促進剤としては、特に制限はなく、例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミンなどのアミン化合物;トリエチルベンジルアンモニウムクロリドなどの4級アンモニウム塩化合物;ジメチルアミンなどのブロックイソシアネート化合物;イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩;トリフェニルホスフィンなどのリン化合物;メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどのグアナミン化合物;2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−s−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物などのs−トリアジン誘導体、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、有機ヒドラジド累、無水フタル酸、無水トリメリット酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などの芳香族酸無水物、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの脂肪族酸無水物類、ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラックなどのポリフェノール類などを用いることができる。これらの中でも、ジシアンジアミド、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ビニル−4,6−ジアミノ−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物などが好ましい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
使用量としては、(A)成分と(B)成分の総量100重量部に対して0.1〜10重量%で使用されるのが好ましい。
【0026】
また、本発明では架橋剤として、さらに(F)マレイミドを分子中に少なくとも2個以上有する多官能マレイミド化合物を含有しても良い。
分子内にマレイミド基を少なくとも2個以上含有する多官能マレイミド化合物としては、例えば、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−〔3,3’−ジメチル−ビフェニレン〕ビスマレイミド、N,N’−4,4’−〔3,3’−ジメチルジフェニルメタン〕ビスマレイミド、N,N’−4,4’−〔3,3’−ジエチルジフェニルメタン〕ビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−t−ブチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−s−ブチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕デカン、1,1−ビス〔2−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)−5−t−ブチルフェニル〕−2−メチルプロパン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス〔1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−(1,1−ジメチルエチル)ベンゼン〕、4,4’−メチレン−ビス〔1−(4−マレイミドフェノキシ)−2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)ベンゼン〕、4,4’−メチレン−ビス〔1−(4−マレイミドフェノキシ)−2,6−ジ−s−ブチルベンゼン〕、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス〔1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、4,4’−メチレンビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−2−ノニルベンゼン〕、4,4’−(1−メチルエチリデン)−ビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)ベンゼン〕、4,4’−(2−エチルヘキシリデン)−ビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−ベンゼン〕、4,4’−(1−メチルヘプチリデン)−ビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−ベンゼン〕、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−3−メチルベンゼン〕、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−エチル−4−4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−エチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ビス〔3−メチル−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3,5−ジメチル−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3−エチル−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、3,8−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ−〔5,2,1,02.6〕デカン、4,8−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ−〔5,2,1,02.6〕デカン、3,9−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ−〔5,2,1,02.6〕デカン、4,9−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ−〔5,2,1,02.6〕デカン、1,8ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メンタン、1,8ビス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メンタン、1,8−ビス〔3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メンタンなどを挙げることができる。これらは単独、あるいは併用して使用することができる。
【0027】
上記多官能マレイミドを用いる場合、マレイミドの反応を開始させ、かつ潜在性を付与するための成分として、有機過酸化物を併用することが望ましい。反応を開始させたい温度にてラジカルを発生するものを選定することが望ましい。本発明で用いられる有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などが好適に挙げられる。AIBN、ジ−t−ブチルパーオキサイド、アセチルパーオキサイドなどは分解温度が低く、保存安定性、硬化物性に劣り好ましくない。有機過酸化物の添加量は、多官能マレイミド20重量部に対して0.1〜10重量部用いることが好ましい。より好ましくは0.4〜5重量部である。0.1重量部より少ないと短時間で硬化が完了せず硬化物が不均一となり好ましくない。10重量部を超えて用いると硬化時に発泡したり、分解せずに残留した有機過酸化物により硬化物性が低下する。
【0028】
本発明の感光性樹脂組成物は必要に応じて、感光性プレポリマと完全に相溶しない(G)エラストマをさらに加えることが有効である。感光性樹脂組成物中にエラストマを含有させることにより、導体層との密着性をより良好にすることができ、更に、感光性樹脂組成物の硬化後の耐熱性、柔軟性及び強靭性を向上させることが可能となる。エラストマとしては、スチレン系エラストマ、オレフィン系エラストマ、ウレタン系エラストマ、ポリエステル系エラストマ、ポリアミド系エラストマ、アクリル系エラストマ、シリコーン系エラストマ等が例示できる。スチレン系エラストマとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマ、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマ、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマ、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマが例示できる。スチレン系エラストマにおけるスチレン成分としては、スチレンの他に、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン等のスチレン誘導体を用いることができる。スチレン系エラストマは、商業的には、タフプレン、ソルプレンT、アサプレンT、タフテック(以上、旭化成工業株式会社製)、エラストマAR(アロン化成株式会社製)、クレイトンG、カリフレックス(以上、シェルジャパン社製)、JSR−TR、TSR−SIS、ダイナロン(以上、日本合成ゴム株式会社製)、デンカSTR(電気化学工業株式会社製)、クインタック(日本ゼオン株式会社製)、TPE−SBシリーズ(住友化学株式会社製)、ラバロン(三菱化学株式会社製)、セプトン、ハイブラー(以上、クラレ株式会社製)、スミフレックス(住友ベークライト株式会社製)、レオストマ、アクティマー(以上、理研ビニル工業株式会社製)等として入手可能である。オレフィン系エラストマとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンの単独又は共重合体;エチレン−プロピレン共重合体(EPR);エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM);ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタンジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブタジエン、イソプレン等の炭素数2〜20のジエンとα−オレフィンとの共重合体;ブタジエン−アクニロニトリル共重合体にメタクリル酸を共重合したカルボキシ変性NBR;エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム;エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム;プロピレン−α−オレフィン共重合体ゴム、ブテン−α−オレフィン共重合体ゴム等が例示できる。オレフィン系エラストマは、商業的には、ミラストマ(三井石油化学株式会社製)、EXACT(エクソン化学社製)、ENGAGE(ダウケミカル社製)、水添スチレン−ブタジエン共重合体であるDYNABON HSBR、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体であるNBRシリーズ、架橋点を有する両末端カルボキシル基変性ブタジエン−アクニロニトリル共重合体であるXERシリーズ(以上、日本合成ゴム株式会社製)等として入手可能である。ウレタン系エラストマは、短鎖ジオール及びジイソシアネートからなるハードセグメントと、長鎖ジオール及びジイソシアネートからなるソフトセグメントと、から構成される。長鎖ジオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレン−1、4−ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(1、6−ヘキシレンカーボネート)、ポリ(1,6−ヘキシレン−ネオペンチレンアジペート)等が例示でき、長鎖ジオールの数平均分子量は、500〜10000であることが好ましい。
【0029】
短鎖ジオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA等が例示でき、短鎖ジオールの数平均分子量は、48〜500であることが好ましい。上記ウレタン系エラストマは、商業的にはPANDEX T−2185、T−2983N(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)等として入手可能である。ポリエステル系エラストマは、ジカルボン酸又はその誘導体とジオール化合物又はその誘導体とを重縮合して得られるエラストマである。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸及びこれらの芳香環がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などが例示でき、これらの化合物の1種又は2種以上を用いることができる。
【0030】
ジオール化合物としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂肪族又は脂環式ジオール;ビスフェノールA、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロパン、レゾルシン等が例示でき、これらの化合物の1種又は2種以上を用いることができる。
また、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)をハードセグメント成分、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリテトラメチレングリコール)をソフトセグメント成分としたマルチブロック共重合体を用いることができる。上記のポリエステル系エラストマは、商業的には、ハイトレル(デュポン−東レ社製)、ペルプレン(東洋紡績株式会社製)、エスペル(日立化成工業株式会社製)等として入手可能である。ポリアミド系エラストマは、ポリアミドからなるハードセグメントと、ポリエーテル又はポリエステルからなるソフトセグメントと、から構成されるエラストマであり、ポリエーテルブロックアミド型とポリエーテルエステルブロックアミド型との2種類に大別される。
【0031】
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12等が例示でき、ポリエーテルとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリテトラメチレングリコール等が例示できる。上記ポリアミド系エラストマは、商業的には、UBEポリアミドエラストマ(宇部興産株式会社製)、ダイアミド(ダイセルヒュルス社製)、PEBAX(東レ株式会社製)、グリロンELY(エムスジャパン株式会社製)、ノバミッド(三菱化学株式会社製)、グリラックス(大日本インキ化学工業株式会社製)等として入手可能である。アクリル系エラストマは、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステルと、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する単量体及び/又はアクリロニトリルやエチレン等のビニル系単量体とを共重合して得られるエラストマである。
【0032】
アクリル系エラストマとしては、アクリロニトリル−ブチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体等が例示できる。シリコーン系エラストマは、オルガノポリシロキサンを主成分したエラストマであり、ポリジメチルシロキサン系、ポリメチルフェニルシロキサン系又はポリジフェニルシロキサン系のシリコーン系エラストマが例示できる。オルガノポリシロキサンをビニル基、アルコキシ基等で変性したエラストマを用いてもよい。シリコーンエラストマは、商業的には、KEシリーズ(信越化学工業株式会社製)SEシリーズ、CYシリーズ、SHシリーズ(以上、東レダウコーニングシリコーン社製)等として入手可能である。また、上記したエラストマ以外に、ゴム変性したエポキシ樹脂やエポキシ樹脂に上記したエラストマの粒状物を混錬したもの等を用いることができる。ゴム変性したエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部を、両末端カルボンキシル基変性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、末端アミノ変性シリコーンゴム等で変性してなるものである。さらに、エラストマとしては、両末端カルボキシル基変性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体や、ポリエステル系エラストマであるエスペル(エスペル1612、エスペル1620、日立化成工業株式会社製)を用いることもできる。これらは用いる感光性プレポリマとの相溶性を考慮し種々選択するのが望ましい。使用量としては、(A)成分と(B)成分の総量100重量部に対して0.5〜10重量%で使用されるのが好ましい。
【0033】
また、本発明では、密着性、硬度等の特性を向上する目的で必要に応じて(H)無機フィラーを用いることができる。例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、粉状酸化珪素、無定形シリカ、タルク、クレー、焼成カオリン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉等の無機フィラーが使用できる。その使用量は、好ましくは0〜70重量%である。
【0034】
また、必要に応じてフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオジングリーン、ジスアゾイエロー、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック、アゾ系の有機顔料などの着色剤、染料等を用いることができる。更にハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤、ベントン、モンモリロナイト、エアロジル、アミドワックス等のチキソ性付与剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤、レベリング剤を用いることができる。
【0035】
本発明で用いる希釈剤の含有量は、感光性樹脂組成物を液状のまま使用する場合には、全重量中の5〜40重量%が望ましい。支持体に塗布し感光性フィルムとして使用する場合には、塗布前のワニス状態では、全重量中の30〜70重量%含有させる。その後、フィルムとした後はフィルム作製時の乾燥工程において揮発させるため、希釈剤の残存率は3重量%以下となる。
希釈剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類、ベンジルアルコール、シクロヘキサン等の炭化水素類、ジアセトンアルコール、3−メトキシ−1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルブチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類及びそのアセテートジエチレングリコールジアルキルエーテル類、トリエチレングリコールアルキルエーテル類、プロピレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート、ジプロピレングリコールアルキルエーテル類、また、トルエン、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ若しくはソルベントナフサ等の石油系溶剤、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル等のカルボン酸エステル類、アミン、アミド類の例えば、N、N‐ジメチルホルムアミド、N、N‐ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等や、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、6−ヒドロキシ−2−ヘキサノン等の溶剤を単独、或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
感光性樹脂組成物中の各成分の含有量は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して、成分(C)が0.1〜30重量部、好ましくは0.2〜10重量部、成分(D)は、0.5〜40重量部、好ましくは1〜30重量部、を配合してなることがさらに好ましい。
【0037】
次に、本発明の感光性フィルムについて説明する。
本発明の感光性フィルムは、支持体と、該支持体上に形成された本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層とを備えるものである。感光性樹脂組成物層上には、該感光性樹脂組成物層を被覆する保護フィルムを更に備えていてもよい。
感光性樹脂組成物層は、本発明の感光性樹脂組成物を上記溶剤(希釈剤)又は混合溶剤に溶解して固形分30〜80重量%程度の溶液とした後に、かかる溶液を支持体上に塗布して形成することが好ましい。感光性樹脂組成物層の厚みは、用途により異なるが、加熱及び/又は熱風吹き付けにより溶剤を除去した乾燥後の厚みで、10〜100μmであることが好ましく、20〜60μmであることがより好ましい。この厚みが10μm未満では工業的に塗工困難な傾向があり、100μmを超えると本発明により奏される上述の効果が小さくなりやすく、特に、物理特性及び解像度が低下する傾向がある。
感光性フィルムが備える支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムなどが挙げられる。
支持体の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。この厚みが5μm未満では現像前に支持体を剥離する際に当該支持体が破れやすくなる傾向があり、また、100μmを超えると解像度及び可撓性が低下する傾向がある。本発明においては、上述したような変性エポキシ樹脂を用いて感光性樹脂組成物層を形成するので、支持体の厚みが従来のものと比較してより厚い場合、例えば25μm超100μm以下の場合であっても、その可撓性及び解像度を維持することができる。
上述したような支持体と感光性樹脂組成物層との2層からなる感光性フィルム又は支持体と感光性樹脂組成物層と保護フィルムとの3層からなる感光性フィルムは、例えば、そのまま貯蔵してもよく、又は保護フィルムを介在させた上で巻芯にロール状に巻き取って保管することができる。
【0038】
本発明の感光性樹脂組成物又は感光性フィルムを用いたレジストパターンの形成方法は、初めに、其々、公知のスクリーン印刷、ロールコータにより塗布する工程、又はラミネート等により貼り付ける工程により、レジストを形成する基板上に積層する。次いで、必要に応じて上述した感光性フィルムから保護フィルムを除去する除去工程を行い、活性光線を、マスクパターンを通して、感光性樹脂組成物層の所定部分に照射して、照射部の感光性樹脂組成物層を光硬化させる露光工程を行う。照射部以外の感光性樹脂組成物層は、次の現像工程により除去される。なお、レジストを形成する基板とは、プリント配線板、半導体パッケージ用基板、フレキシブル配線板を指す。
活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものが用いられる。また、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いられる。
【0039】
現像工程では、現像液として、例えば、20〜50℃の炭酸ナトリウムの希薄溶液(1〜5重量%水溶液)等のアルカリ現像液が用いられ、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像する。
上記現像工程終了後、はんだ耐熱性、耐薬品性等を向上させる目的で、高圧水銀ランプによる紫外線照射や加熱を行うことが好ましい。紫外線を照射させる場合は必要に応じてその照射量を調整することができ、例えば0.2〜10J/cm程度の照射量で照射を行うこともできる。また、レジストパターンを加熱する場合は、100〜170℃程度の範囲で15〜90分程行われることが好ましい。さらに紫外線照射と加熱とを同時に行うこともでき、いずれか一方を実施した後、他方を実施することもできる。紫外線の照射と加熱とを同時に行う場合、はんだ耐熱性、耐薬品性等を効果的に付与する観点から、60〜150℃に加熱することがより好ましい。
この感光性樹脂組成物層は、基板にはんだ付けを施した後の配線の保護膜を兼ね、優れた耐クラック性、HAST耐性、金めっき性を有するので、プリント配線板用、半導体パッケージ基板用、フレキシブル配線板用のソルダーレジストとして有効である。
このようにしてレジストパターンを備えられた基板は、その後、半導体素子などの実装(例えば、ワイヤーボンディング、はんだ接続)がなされ、そして、パソコン等の電子機器へ装着される。
【実施例】
【0040】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1〜3)
表1に示す各成分をそこに示す固形分の配合比(質量基準)で混合することにより、感光性樹脂組成物溶液を得た。なお、表中、樹脂(2)は、カルボキシル基含有アクリルポリマで、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルの共重合体で重量平均分子量100000、酸価110mgKOH/gである。
その他、市販の材料として、ポリウレタン化合物(UXE−3024、日本化薬株式会社製)、ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート(FA−321M、日立化成工業株式会社製、商品名)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬株式会社製、商品名)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフェリノフェニル)−ブタノン−1(I−369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポトートYD−8125、東都化成株式会社製、商品名)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エピクロンN−685EXP−S、大日本インキ化学工業株式会社製、商品名)、希釈剤には、メチルエチルケトンを使用した。
【0041】
【表1】

【0042】
「UXE−3024」:ポリウレタン化合物(日本化薬株式会社製、サンプル名、重量平均分子量:10000、酸価:60mgKOH/g)。
「ZFR−1158」:酸変性ビスフェノールF型エポキシアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名、重量平均分子量:10000、酸価:60mgKOH/g)。
「ZAR−2003H」:酸変性ビスフェノールA型エポキシアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名、重量平均分子量:13000、酸価:82mgKOH/g)。
「樹脂(1)」:カルボキシル基含有アクリル樹脂(メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチルを共重合させて得られた、重量平均分子量100000、酸価110mgKOH/g)
「FA−321M」:2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン(日立化成工業株式会社製、商品名)。
「IRGACURE−369」:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)。
「YD8125」:分子蒸留品、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名)
「YDF−8170C」:分子蒸留品、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名)
「N−685EXP−S」:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(高純度品、大日本インキ化学工業株式会社製、商品名)
「エピコート828」:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(標準品、ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)
「YD011」:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(標準品、東都化成株式会社製、商品名)
「YX4000H」:ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)。
「BMI−5100」:3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’− ジフェニルメタンビスマレイミド(大和化成工業株式会社製、商品名)
「バリエースB−30」:硫酸バリウム「バリエースB−30」(堺化学工業株式会社製、商品名)
【0043】
次いで、この感光性樹脂組成物溶液を支持層である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(G2−16、帝人株式会社製、商品名)上に均一に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成し、それを、熱風対流式乾燥機を用いて100℃で約10分間乾燥した。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は、25μmであった。
続いて、感光性樹脂組成物層の支持層と接している側とは反対側の表面上に、ポリエチレンフィルム(NF−15、タマポリ株式会社製、商品名)を保護フィルムとして貼り合わせ、感光性フィルムを得た。
【0044】
[塗膜性の評価]
得られた感光性フィルムに対し、露光を行わずに、感光性フィルム上のポリエチレンテレフタレートを剥離し、その塗膜表面に指を軽く押し付け、指に対する張り付き程度を以下の基準で評価した。すなわち、指に対する張り付きが認められない、または、ほとんど認められないものは「○」とし、指に対する張り付きが認められるものは「×」とした。結果を表2に示した。
【0045】
[はんだ耐熱性の評価]
12μm厚の銅箔をガラスエポキシ基材に積層したプリント配線板用基板(E−679、日立化成工業株式会社製、商品名)の銅表面を砥粒ブラシで研磨し、水洗後、乾燥した。このプリント配線板用基板上に連プレス式真空ラミネータ(MVLP−500、株式会社名機製作所製、商品名)を用いて、プレス熱板温度70℃、真空引き時間20秒、ラミネートプレス時間30秒、気圧4kPa以下、圧着圧力0.4MPaの条件の下、前記感光性フィルムのポリエチレンフィルムを剥離して積層し、評価用積層体を得た。
評価用積層体上に、ネガとして2mm角のパターンを有するフォトツールを密着させ、株式会社オーク製作所社製EXM‐1201型露光機を使用して、ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。次いで、常温(25℃)で1時間静置した後、該積層体上のポリエチレンテレフタレートを剥離し、30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液で、最小現像時間(未露光部が現像される最小時間)の1.5倍の時間でスプレー現像を行い、パターンを形成した。
続いて、株式会社オーク製作所社製紫外線照射装置を使用して1J/cmのエネルギー量で紫外線照射を行い、更に160℃で60分間加熱処理を行うことにより、2mm角の開口部を有するソルダーレジストを形成した評価用積層体基板を得た。
次いで、該評価用基板にロジン系フラックス(MH−820V、タムラ化研株式会社製、商品名)を塗布した後、260℃のはんだ浴中に30秒間浸漬してはんだ処理を行った。
このようにしてはんだめっきを施された評価基板上のソルダーレジストのクラック発生状況並びに基板からのソルダーレジストの浮き程度及び剥離程度を目視により観察し、次の基準で評価した。すなわち、ソルダーレジストのクラックの発生が認められず、ソルダーレジストの浮き及び剥離も認められないものは「○」とし、それらのいずれかが認められるものは「×」とした。結果を表2に示した。
【0046】
[金めっき性の評価]
上述のソルダーレジストを形成した評価用積層体基板を市販の無電解ニッケル/金めっき液を用いて、ニッケルめっき厚5μm、金めっき厚0.1μmとなるようにめっきを行い、ソルダーレジストの外観を観察し次の基準で評価した。すなわち、ソルダーレジストに白化が認められないものは「○」とし、認められるものは「×」とした。結果を表2に示した。
【0047】
[クラック耐性の評価]
上述のソルダーレジストを形成した評価用積層体基板を、−55℃の大気中に15分間晒した後、180℃/分の昇温速度で昇温し、次いで、125℃の大気中に15分間晒した後、180℃/分の降温速度で降温する熱サイクルを1000回繰り返した。このような環境下に晒した後、評価基板の永久レジスト膜のクラック及び剥離程度を100倍の金属顕微鏡により観察し、次の基準で評価した。すなわち、永久レジスト膜のクラック及び剥離を観察できなかったものは「○」とし、それらのいずれかを確認できたものは「×」とした。結果を表2に示した。
【0048】
[HAST耐性の評価]
12μm厚の銅箔をガラスエポキシ基材に積層したプリント配線板用基板(E−679、日立化成工業株式会社製、商品名)の銅表面を、エッチングによりライン/スペースが50μm/50μmのくし型電極を形成した。この基板を評価基板とし、基板上に上述のようにレジストの硬化物を形成し、その後、130℃、85%RH、5V条件下に100時間試験した。その後、マイグレーションの発生の程度を、100倍の金属顕微鏡により観察し、次の基準で評価した。すなわち、永久レジスト膜に大きなマイグレーションが発生しなかったものは「○」とし、大きくマイグレーションが発生したものは「×」とした。結果を表2に示した。
【0049】
[保管安定性]
作製した感光性フィルムを室温(25℃)で10日間放置した後、前記の露光、現像、UV照射、加熱工程を経て形成されたパターンを実体顕微鏡で観察し以下の基準にて判定した。結果を表2に示した。
○ 未露光部分に樹脂残りがないもの
× 未露光部分に樹脂残りがあるもの
【0050】
【表2】

【0051】
本発明によれば、保管安定性に優れ、かつ、HAST耐性に優れた感光性樹脂組成物、及びドライフィルムタイプのアルカリ現像可能な感光性ソルダーレジスト、を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)塩素と加水分解性塩素の含有量の合計が100ppm以下であるカルボキシル基、及び光重合性不飽和基を有する感光性プレポリマ、(B)分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を有する光重合性モノマ、(C)光重合開始剤、(D)塩素含有量が200ppm以下であり、加水分解性塩素の含有量が500ppm以下である高純度なエポキシ樹脂、(E)硬化促進剤を含有する感光性樹脂組成物。
【請求項2】
(a)塩素含有量が200ppm以下であり、加水分解性塩素の含有量が500ppm以下である分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物とを反応させて得られるエポキシカルボキシレート化合物、(b)ジイソシアネート化合物、(c)カルボキシル基を有するジオール化合物、(d)分子中にエチレン性不飽和基を有するエポキシ化合物、を反応させて得られる、塩素と加水分解性塩素の含有量の合計が100ppm以下であるポリウレタン化合物を感光性プレポリマ(A)として含有する請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
側鎖にエチレン性不飽和基を有し、エチレン性不飽和基濃度は、1.0×10−5〜6.0×10−3モル/gであり、かつ、塩素と加水分解性塩素の含有量の合計が100ppm以下であるラジカル重合性共重合体を感光性プレポリマ(A)として含有する請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
分子中にマレイミド又はマレイミド誘導体に由来する繰り返し単位を有する請求項3記載のラジカル重合性共重合体を感光性プレポリマ(A)として含有する請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
(D)塩素含有量が200ppm以下であり、加水分解性塩素の含有量が500ppm以下である高純度なエポキシ樹脂が、室温(25℃)で固体で、軟化点が30℃〜100℃である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
(E)熱硬化促進剤が、アミン化合物、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩化合物、リン化合物、グアナミン化合物、s−トリアジン誘導体、芳香族酸無水物、脂肪族酸無水物、ポリフェノールから選択される少なくとも1種である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
(E)硬化促進剤が、ジシアンジアミド、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ビニル−4,6−ジアミノ−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物から選択される少なくともいずれかである請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
架橋剤として、さらに(F)マレイミドを分子中に少なくとも2個以上有する多官能マレイミド化合物を含有する請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の感光性樹脂組成物に、(A)感光性プレポリマと完全に相溶しない(G)エラストマを更に含有する感光性樹脂組成物。
【請求項10】
更に、(H)無機フィラーを含有する請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる感光性永久レジスト。
【請求項12】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を支持体上に塗布、乾燥して形成した感光性積層体からなる感光性フィルム。

【公開番号】特開2009−265388(P2009−265388A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115395(P2008−115395)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】