説明

感光性組成物及びそれを用いた感光性転写材料、表示装置用遮光膜及びその形成方法、ブラックマトリクス、遮光膜付基板並びに表示装置

【課題】長期間継続使用した場合でも感度ばらつきが起こらず、長期間にわたり感光材料としての感度ばらつきが良好で面内線幅分布も良好な感光性組成物及びそれを用いた感光性転写材料、並びに、表示装置用遮光膜及びその形成方法、ブラックマトリクス、遮光膜付基板及び表示装置の提供。
【解決手段】(A)金属粒子又は金属を含む粒子と、(B)ヘキサアリールビイミダゾール系化合物と、(C)チオキサントン化合物及びクマリン化合物から選択される少なくとも一種と、(D)芳香族メルカプト化合物と、(E)樹脂及びその前駆体から選択される少なくとも一種と、を含有することを特徴とする感光性組成物及びそれを用いた感光性転写材料、並びに、表示装置用遮光膜及びその形成方法、ブラックマトリクス、遮光膜付基板及び表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置を構成するカラーフィルタなどの作製に好適な感光性組成物及びそれを用いた感光性転写材料、表示装置用遮光膜及びその形成方法、ブラックマトリクス、遮光膜付基板並びに表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示画像のコントラストを向上させるために、ブラックマトリクスには4.0以上の高い光学濃度が要求されるようになってきた。その一方、ブラックマトリクスの厚みが厚いとカラーフィルタの表面平滑性が損なわれるため、薄膜に構成されることが必要とされる。
【0003】
高い遮光性を有する表示装置用のブラックマトリクスの作製には、金属の薄膜が用いられてきた。これは、蒸着法やスパッタリング法により形成されたクロム等の金属薄膜の上にフォトレジストを塗布し、次いで表示装置用遮光膜用パターンをもつフォトマスクを用いてフォトレジストを露光・現像した後、露出した金属薄膜をエッチングし、最後に金属薄膜の上に残存するフォトレジストを剥離除去することにより形成する方法によるものである(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
この方法は、金属薄膜を用いるため、膜厚が小さくても高い遮光効果が得られる反面、蒸着法やスパッタリング法という真空成膜工程やエッチング工程が必要となり、コストが高くなるという問題がある。また、金属膜であるため反射率が極めて高く、強い外光の下では表示コントラストが低くなる問題もある。これらに対応して、低反射クロム膜(金属クロムと酸化クロムとの2層からなるもの等)を用いる方法も提案されているが、更なるコストアップとなることは否めない。そして更に、エッチング工程では金属イオンを含有した廃液が排出されるため、環境負荷が大きいという大きな欠点も有している。特に最もよく用いられるクロムは、有害で環境負荷が非常に大きい。
【0005】
一方、環境負荷の小さいブラックマトリクスを得る技術の一つに、カーボンブラックを用いた技術がある(例えば、特許文献1参照)。これは、カーボンブラックを含有する感光性樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥させたものを露光、現像してブラックマトリクスとするものである。
【0006】
しかし、カーボンブラックは、単位塗布量あたりの光学濃度が低いため、高い遮光性、光学濃度を確保しようとすると必然的に膜厚が大きくなり、例えば、上記の金属膜同等の光学濃度4.0を確保しようとすると、膜厚は1.2〜1.5μmとなる。そのため、ブラックマトリクスの形成後、赤、青、緑の画素を形成すると、画素エッジ部の段差等によりカラーフィルタの表面が平滑でなくなり、表示品位が低下するという欠点がある。
【0007】
上記以外に、環境負荷が小さく薄膜で光学濃度の高いブラックマトリクスを得る方法として、カーボンブラックの代わりに金属微粒子を用いる方法が知られている(例えば、特許文献2乃至3参照)。この方法によると、環境負荷が小さく、薄膜で光学濃度の高いブラックマトリクスを得ることができるとされている。
【0008】
また、金属粒子、オキシム誘導体、ホスフィンオキサイドを用いたカラーフィルタに関する発明が開示されている(例えば、特許文献4乃至7参照)。さらに、水素供与体としての4−ジエチルアミノアセトフェノンと金属とを用いたブラックマトリクスに関する発明が開示されている(例えば、特許文献8又は9参照)。
また、感光特性向上を目的として開始剤種を工夫する技術が開示されているが(例えば、特許文献10)、この技術はレリーフ画像作成のもので、カラーフィルタ用の用途は開示されておらず、実施例においても着色剤としての顔料が用いられていないものであり、カラーフィルタとして性能が不十分である。また、全体の感度については考慮されているものの、カラーフィルタの形成に重要な、感度ばらつきや感度の面内分布については、まったく考慮されていない。
ブラックマトリクスを薄膜で、且つ、高い光学濃度を有するように構成する点では、金属微粒子は有用ではあるが、金属微粒子を含有する感光性組成物を使用していくうちに、感度バラツキが生じるという問題や、基板面内の線幅分布が広くなるといった問題があった。
【特許文献1】特開昭62−9301号公報
【特許文献2】特開2004−240039号公報
【特許文献3】特開2005−17322公報
【特許文献4】特開2006−18221公報
【特許文献5】特開2006−18228公報
【特許文献6】特開2006−18242公報
【特許文献7】特開2006−23715公報
【特許文献8】特開2004−219696公報
【特許文献9】特開2005−189720公報
【特許文献10】特開平8−292573号公報
【非特許文献1】「カラーTFT液晶ディスプレイ」p.218〜p.220、共立出版(株)発行(1997年4月10日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、感光性組成物を継続的に使用し続けた場合であっても、感度ばらつきがなく、感度が安定し、面内線幅分布の改良された感光性組成物及びそれを用いた感光性転写材料を提供することを目的とする。また、本発明のさらなる目的は、感度安定性、面内線幅分布の改良された感光性組成物を用いて形成された表示装置用遮光膜及びその形成方法、ブラックマトリクス、遮光膜付基板及び表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討の結果、特定の金属系粒子系と、特定の光重合開始剤とを組み合わせて用いることで、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下に示すとおりである。
<1> (A)金属粒子又は金属を含む粒子と、(B)ヘキサアリールビイミダゾール系化合物と、(C)チオキサントン化合物及びクマリン化合物から選択される少なくとも一種と、(D)芳香族メルカプト化合物と、(E)樹脂及びその前駆体から選択される少なくとも一種と、を含有することを特徴とする感光性組成物。
<2> 前記(C)チオキサントン化合物及びクマリン化合物から選択される少なくとも一種がクマリン化合物であることを特徴とする<1>に記載の感光性組成物。
<3> 前記(A)金属粒子又は金属を含む粒子が、銀錫合金部を有する粒子であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の感光性組成物。
<4> 前記(A)金属粒子又は金属を含む粒子の数平均粒子径が0.1μm以下であることを特徴とする<1>乃至<3>のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【0011】
<5> 仮支持体上に<1>乃至<4>のいずれか1項に記載の感光性組成物を用いてなる感光性組成物層を有する感光性転写材料。
<6> <1>乃至<4>のいずれか1項に記載の感光性組成物を基板上に塗布して感光性組成物層を形成する工程を有する表示装置用遮光膜の形成方法。
<7> <5>に記載の感光性転写材料の感光性組成物層を基板上に転写する工程を含む表示装置用遮光膜の形成方法。
<8> <1>乃至<4>のいずれか1項に記載の感光性組成物を用いて形成されることを特徴とする表示装置用遮光膜。
<9> <8>に記載の表示装置用遮光膜により形成されたブラックマトリクス。
<10> 基板と、前記基板上に設けられた<8>に記載の表示装置用遮光膜と、を備えることを特徴とする遮光膜付基板。
<11> カラーフィルタの作製に用いることを特徴とする<10>に記載の遮光膜付基板。
<12> <10>又は<11>に記載の遮光膜付基板を備えたことを特徴とする表示装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、継続的に使用し続けた場合であっても、感度ばらつきがなく、感度が安定し、面内線幅分布の改良された感光性組成物及びそれを用いた感光性転写材料を提供することができる。
また、本発明の感度安定性、面内線幅分布の改良された感光性組成物を用いることで、表示装置用遮光膜及びその形成方法、ブラックマトリクス、遮光膜付基板及び表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の感光性組成物及びそれを用いた感光性転写材料、表示装置用遮光膜及びその形成方法、ブラックマトリクス、遮光膜付基板並びに表示装置について詳細に説明する。
【0014】
<感光性組成物>
本発明の感光性組成物は、少なくとも、(A)金属粒子又は金属を含む粒子と、(B)ヘキサアリールビイミダゾール系化合物と、(C)チオキサントン化合物及びクマリン化合物から選択される少なくとも一種と、(D)芳香族メルカプト化合物と、(E)樹脂及びその前駆体から選択される少なくとも一種と、を含有することを特徴とする。
【0015】
金属を含む粒子、特に銀錫合金粒子を含む従来の感光性組成物は、感光材料として使用していくうちに、感度バラツキが生じるという問題や、基板面内の線幅分布が広くなるという問題があった。本発明者らは鋭意検討の結果、金属微粒子系顔料と、特定の光重合開始剤とを用いることで、感度バラツキ及び面内線幅分布の問題を解決できることを見出し、本発明を完成したものである。
【0016】
以下に、本発明の感光性組成物に含まれる必須の成分(A)〜(D)及び(E)、さらには、その他含んでも良い成分について順次述べる。
<(A)金属粒子又は金属を含む粒子>
本発明の感光性組成物は、金属粒子又は金属を含む粒子(以下、「本発明に係る金属系微粒子」ということがある。)を含有する。
金属粒子、金属を含む粒子における金属としては、特に限定されず、いかなるものを用いてもよい。
本発明における金属粒子としては、1種の金属のみからなる粒子、2種以上の金属を組み合わせて用いた粒子、合金からなる粒子、材料金属の一部に合金を含む粒子、さらには、金属と金属化合物との複合粒子なども包含される。
【0017】
〔(A−1)金属粒子〕
本発明における金属粒子としては、金属又は、金属と金属化合物とから形成される粒子が好ましく、金属のみから形成されるものが特に好ましい。
特に長周期律表(IUPAC 1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる金属を主成分として含むことが好ましい。また、第2〜14族からなる群から選ばれる金属を含有することが好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族からなる群から選ばれる金属を主成分として含むことがより好ましい。これらの金属のうち、金属粒子としては、第4周期、第5周期、又は第6周期の金属であって、第2族、第10族、第11族、第12族、又は第14族の金属の粒子が更に好ましい。
【0018】
前記金属粒子を形成する金属の好ましい例としては、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、カルシウム、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
更に好ましい金属は、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、カルシウム、イリジウム、及びこれらの合金であり、より好ましい金属は、銅、銀、金、白金、パラジウム、錫、カルシウム、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種であり、特に好ましい金属は、銅、銀、金、白金、錫、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種である。
なかでも、特に好ましいのは、銀を含むものであり、銀としてはコロイド銀が好ましく、銀錫合金部を有する金属粒子が最も好ましい。銀錫合金部を有する粒子については以下に詳述する。
【0019】
〔(A−2)金属化合物粒子〕
ここでいう「金属化合物」とは、前記金属と金属以外の他の元素との化合物である。金属と他の元素との化合物としては、金属の酸化物、硫化物、硫酸塩、炭酸塩などが挙げられ、金属化合物粒子としてはこれらの粒子が好適である。中でも、色調や微粒子形成のしやすさから、硫化物の粒子が好ましい。
金属化合物の例としては、酸化銅(II)、硫化鉄、硫化銀、硫化銅(II)、チタンブラックなどがあるが、色調、微粒子形成のしやすさや安定性の観点から、硫化銀が特に好ましい。
【0020】
〔(A−3)複合粒子〕
本発明における複合粒子とは、金属と金属化合物とを含み1つの粒子を形成したものをいう。例えば、粒子の内部と表面に用いられている金属、金属化合物の組成が異なる粒子、2種の互いに異なる組成の粒子が合一して形成された粒子等を挙げることができる。また、複合粒子を構成する金属化合物と金属とはそれぞれ1種であっても2種以上であってもよい。
金属化合物と金属との複合微粒子の具体例としては、銀と硫化銀の複合微粒子、銀と酸化銅(II)の複合微粒子などが好適に挙げられる。
【0021】
本発明に係る金属系粒子が複数種の金属、金属化合物を含む場合、コア・シェル型の複合粒子(コアシェル粒子)であってもよい。コア・シェル型の複合粒子(コアシェル粒子)とは、コア材料の表面をシェル材料でコートしたものであり、その具体例として、特開2006−18210公報の段落番号[0024]〜[0027]に記載のコア・シェル微粒子が挙げられる。
【0022】
〔銀錫合金部を有する粒子〕
本発明に係る金属系微粒子の少なくとも一種は、銀錫合金部を有する粒子であることが好ましい。銀錫合金部を有する粒子としては、銀錫合金からなるもの、銀錫合金部分とその他の金属部分からなるもの、及び銀錫合金部分と他の合金部分からなるものを含む。その具体例として、特開2006−267998公報の段落番号[0018]〜[0034]に記載の銀錫合金部を有する金属粒子が挙げられ、ここに記載の金属系粒子は、本発明にも好適に適用することができる。
【0023】
〔本発明に係る金属系微粒子の調製方法〕
本発明に係る金属系微粒子は、市販のものを用いることができるほか、金属イオンの化学的還元法、無電解メッキ法、金属の蒸発法等により調製することが可能である。
例えば、棒状の銀微粒子は、球形銀微粒子を種粒子としてその後、銀塩を更に添加し、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)等の界面活性剤の存在下でアスコルビン酸など比較的還元力の弱い還元剤を用いることにより、銀棒やワイヤーが得られる。これは、Advanced Materials 2002,14,80−82に記載がある。また、同様の記載が、Materials Chemistry and Physics 2004,84,197−204、Advanced Functional Materials 2004,14,183−189になされている。
【0024】
また、電気分解を用いた方法として、Materials Letters 2001,49,91−95やマイクロ波を照射することにより銀棒を生成する方法がJournal of Materials Research 2004,19,469−473に記載されている。逆ミセルと超音波の併用した例として、Journal of Physical Chemistry B 2003,107,3679−3683が挙げられる。
金に関しても同様に、Journal of Physical Chemistry B 1999,103、3073−3077及びLangmuir1999,15,701−709、Journal of American Chemical Society 2002,124,14316−14317に記載されている。
棒状の粒子の形成方法は、前記記載の方法を改良(添加量調整、pH制御)しても調製できる。
【0025】
〔本発明に係る金属系微粒子の形状、粒子サイズ〕
本発明に係る金属系微粒子は、無彩色に近づけるために、色々な種類の粒子を組み合わせることにより得ることができる。粒子を球形や立方体から平板状(六角形、三角形)、棒状へ変化させることにより、より高い透過濃度を得ることができ、これによると遮光層を形成した際に薄膜化を図ることができる。
【0026】
前記金属系微粒子の粒度分布としては、粒子の分布を正規分布近似し、その数平均粒子径の粒度分布幅D90/D10が、1.2以上50未満であることが好ましい。ここで、粒子径は長軸長さLを粒子直径としたものであり、D90は平均粒径に近い粒子の90%が見出される粒子直径であり、D10は平均粒径に近い粒子の10%が見出される粒子直径である。粒度分布幅は色調の観点から、好ましくは2以上30以下であり、更に好ましくは4以上25以下である。分布幅が1.2未満であると色調が単色に近くなる場合があり、50以上であると粗大粒子による散乱によって濁りが生じる場合がある。
【0027】
なお、前記粒度分布幅D90/D10の測定は、具体的には、膜中の金属粒子を後述する三軸径を測定する方法にてランダムに100個測定し、長軸長さLを粒子直径とし、粒径分布を正規分布近似し、平均粒子径に近い粒子の数で90%の範囲となる粒子直径をD90とし、平均粒子径から数で10%の範囲となる粒子直径をD10とすることで、D90/D10を算出することができる。
【0028】
《三軸径》
本発明に係る金属系微粒子は、下記の方法によって直方体として捉えられ、各寸法が測定される。すなわち、1個の金属系微粒子がちょうど(きっちりと)収まるような三軸径の直方体の箱を考え、この箱の長さの一番長いものを長軸長さLとし、厚みt、幅bをもってこの金属系微粒子の寸法と定義する。前記寸法には、L>b≧tの関係を持たせ、同一の場合以外はbとtの大きい方を幅bと定義する。
具体的には、まず、平面上に金属系微粒子を、最も重心が低くて安定に静止するように置く。次に、平面に対し直角に立てた2枚の平行な平板により金属系微粒子を挟み、その平板間隔が最も短くなる位置の平板間隔を保つ。次に、前記平板間隔を決する2枚の平板に対し直角で前記平面に対しても直角の2枚の平行な平板により金属系微粒子を挟み、この2枚の平板間隔を保つ。最後に金属系微粒子の最も高い位置に接触するように天板を前記平面に平行に載せる。この方法により平面、2対の平板及び天板によって画される直方体が形成される。
なお、コイル状やループ状のものはその形状を伸ばした状態で前記測定を行なった場合の値と定義する。
【0029】
・長軸長さL
棒状の金属系微粒子の場合など、前記長軸長さLは、10nmないし1000nmであることが好ましく、10nmないし800nmであることがより好ましく、20nmないし400nmである(可視光の波長より短い。)ことが最も好ましい。Lが10nm以上であることにより、製造上調製が簡便で、かつ耐熱性や色味も良好になる利点があり、1000nm以下であることにより、面状欠陥が少ないという利点がある。
【0030】
・幅bと厚みtとの比
棒状の金属系微粒子の場合など、幅bと厚みtとの比は、100個の棒状金属微粒子について測定した値の平均値と定義する。棒状の金属系微粒子の幅bと厚みtとの比(b/t)は2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.3以下であることが特に好ましい。b/t比が2.0を超えると平板状に近くなり、耐熱性が低下することがある。
【0031】
・長軸長さLと幅b及び厚みtとの関係
長軸長さLは、幅bの1.2倍以上100倍以下であることが好ましく、1.3倍以上50倍以下であることがより好ましく、1.4倍以上20倍以下であることが特に好ましい。長軸長さLが幅bの1.2倍未満となると平板の特徴が現れて耐熱性が悪化することがある。また、長軸長さLが幅bの100倍を超えると黒色濃度が低くなって薄層高濃度化ができないことがある。
【0032】
・長さLと幅b及び厚みtとの測定
長さL、幅b及び厚みtの測定は、電子顕微鏡による表面観察図(×500000)と、原子間力顕微鏡(AFM)によって行うことができ、100個の棒状の金属系微粒子について測定した値の平均値とする。原子間力顕微鏡(AFM)には、いくつかの動作モードがあり、用途によって使い分けている。
大別すると以下の3つになる。
(1)接触方式:プローブを試料表面に接触させ、カンチレバーの変位から表面形状を測定する方式
(2)タッピング方式:プローブを試料表面に周期的に接触させ、カンチレバーの振動振幅の変化から表面形状を測定する方式
(3)非接触方式:プローブを試料表面に接触させずに、カンチレバーの振動周波数の変化から表面形状を測定する方式
【0033】
一方、前記非接触方式は、極めて弱い引力を高感度に検出する必要がある。そのため、カンチレバーの変位を直接測定する静的な力の検出では難しく、カンチレバーの機械的共振を応用している。
前記の3つの方法を挙げることができるが、試料に合わせいずれかの方法を選択することが可能である。
【0034】
なお、本発明においては、前記電子顕微鏡として、日本電子社製の電子顕微鏡JEM2010を用いて、加速電圧200kVで測定を行なうことができる。また、原子間力顕微鏡(AFM)は、セイコーインスツルメンツ株式会社製のSPA−400を用いて測定を行なうことができる。原子間力顕微鏡(AFM)での測定では、比較にポリスチレンビーズを入れておくことにより、測定が容易になる。
【0035】
本発明においては、金属粒子又は金属を有する粒子として、金属粒子又は、金属を有する金属化合物粒子が好ましく、銀粒子又は、銀を含有する銀化合物粒子がより好ましく、銀錫合金部を有する粒子が最も好ましい。
【0036】
本発明において、金属粒子又は金属を有する粒子の数平均粒子径は0.1μm以下が好ましく0.08μm以下がさらに好ましく、0.05μm以下が特に好ましい。粒子の数平均粒子径が0.1μm以下であると、表面平滑性が良好で、且つ、粗大粒子によるブツ故障も少なくなる利点がある。
【0037】
〔本発明に係る金属系微粒子の分散〕
本発明における金属系微粒子は、感光性組成物中において、安定な分散状態で存在していることが好ましく、例えば、コロイド状態であることがより好ましい。コロイド状態の場合には、例えば、金属微粒子が実質的に微粒子状態で分散されていることが好ましい。
【0038】
分散を行なう際の分散剤や、本発明の組成物に配合してもよい添加剤としては、特開2005−17322公報の段落番号[0027]〜[0031]に記載の分散剤や添加剤が、本発明においても好適なものとして挙げられる。
【0039】
本発明の感光性組成物における(A)金属系微粒子の含有量としては、例えばカラーフィルタの作製時など、ポストベークの際に金属系微粒子(及び必要に応じて顔料)が融着するのを防止することを考慮すると、形成された感光性組成物層の質量に対して10〜90質量%程度、好ましくは10〜80質量%になるように調節することが好ましい。また、金属系微粒子の含有量は、平均粒径による光学濃度の変動を考慮して決定することが好ましい。
【0040】
<(B)ヘキサアリールビイミダゾール系化合物>
次に、(B)ヘキサアリールビイミダゾール系化合物について述べる。
本発明に用いうる(B)ヘキサアリールビスイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’,4,4’,5,5’−ヘキサアリールビスイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(o−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ−(p−メトキシフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ−(m−メトキシフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ−(3,4−ジメトキシフェニル)ビスイミダゾール等が挙げられる。
これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
(B)ヘキサアリールビイミダゾール系化合物の含有量は、感光性組成物の全固形分に対し、2〜25質量%の範囲であることが、感度ばらつきを抑制する観点から好ましい。
【0041】
<(C)チオキサントン化合物及びクマリン化合物から選択される少なくとも一種>
次に、(C)チオキサントン化合物及びクマリン化合物から選択される少なくとも一種について説明する。本発明では、(C)成分として、チオキサントン化合物及びクマリン化合物のうち少なくとも一方の化合物を必須成分として含む。
〔(C−1)チオキサントン化合物〕
チオキサントン系化合物とは、置換基を有していても良いチオキサントンを意味する。該置換基としては、例えば、炭素数1〜10、好ましくは1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基や、フッ素原子、塩素原子又はヨウ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。置換基の位置に特に制限はないが、好ましくは2−位及び/又は4−位である。
【0042】
具体的には、チオキサントン;2−エチルチオキサントン、2−プロピルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−メチルエチルチオキサントンなどのアルキル置換チオキサントン;2−クロロチオキサントンなどのハロゲン化チオキサントンなどが挙げられる。
中でも好ましくは、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、又は2−クロロチオキサントンが挙げられる。
【0043】
〔(C−2)クマリン化合物〕
クマリン化合物としては、一般式(I)、(II)もしくは(III)で示される化合物を挙げることができる。
【0044】
【化1】

【0045】
一般式(I)中、R、Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアルキルアミノ基、N置換アミノアルキル基、ハロゲン原子、又は、アルコキシ基を表す。ここで、アルキル基及びアルコキシ基としては炭素数1〜4のものが好ましい。
一般式(II)中、Rは炭素数1〜7のアルキレン基を表し、好ましくは1〜4のアルキレン基を表す。R、Rは同一でも異なっていても良く、水素原子、又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。R、Rがアルキル基を表す場合、好ましくは1〜4のアルキル基を表す。
一般式(III)中、R、Rは同一でも異なっていても良く、水素原子、炭素数1〜7(好ましくは1〜4)のアルキル基、又は、炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。
【0046】
クマリン化合物の例としては、具体的には、7−{{4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−s−トリアジン−2−イル}アミノ}−3−フェニルクマリン、7−{{4−メトキシ−6−(ジエチルアミノ)−s−トリアジン−2−イル}アミノ}−3−フェニルクマリン、7−{{4−メトキシ−6−(ジエチルアミノプロピルアミノ)−s−トリアジン−2−イル}アミノ}−3−フェニルクマリン、N−(γ−ジメチルアミノプロピル)−N’−{3−フェニルクマリニル−(7)}ウレア、3−フェニル−7−(4’−メチル−5’−n−ブトキシ−ベンゾトリアゾリル−2)クマリン等を挙げることができる。これらのなかでも、7−{{4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−s−トリアジン−2−イル}アミノ}−3−フェニルクマリンが好ましい。
また、3−アリール置換クマリン化合物とは、下記一般式(VIII)で示される化合物を指す。
【0047】
【化2】

【0048】
一般式(VIII)中、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基を表し、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基である。Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は、下記一般式(VIIIA)で示される基を表し、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又は一般式(VIIIA)で示される基であり、特に好ましくは一般式(VIIIA)で示される基を表す。
【0049】
【化3】

【0050】
10、R11はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のハロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、置換されてもよい炭素数6〜10のアリール基、アミノ基、−N(R16)(R17)、又は、ハロゲン原子を表す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基が挙げられ、炭素数1〜8のハロアルキル基としては、例えば、クロロメチル基、フロロメチル基、トリフロロメチル基などが挙げられ、炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基が挙げられ、置換されてもよい炭素数6〜10のアリール基としては、例えばフェニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては例えば−Cl、−Br,−Fが挙げられる。なかでも、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、フェニル基、又は、−N(R16)(R17)、−Clである。
【0051】
12は置換されてもよい炭素数6〜16のアリール基を表し、具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基、トリル基、クミル基などが挙げられる。このアリール基に導入しうる置換基としては、アミノ基、−N(R16)(R17)、炭素数1〜8のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基)、炭素数1〜8のハロアルキル基(例えばクロロメチル基、フロロメチル基、トリフロロメチル基など)、炭素数1〜8のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基)、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン(例えば−Cl、−Br,−F)が挙げられる。
13、R14、R16、R17はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基)を表す。R13とR14及びR16とR17はまた互いに結合し窒素原子とともに複素環(例えばピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ピラゾール環、ジアゾール環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール環等)を形成してもよい。R15は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基)、炭素数1〜8のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基)、置換されてもよい炭素数6〜10のアリール基(例えばフェニル基)、アミノ基、N(R16)(R17)、ハロゲン(例えば−Cl、−Br,−F)を表す。
【0052】
Zbは=O、=Sあるいは=C(R18)(R19)を表す。Zは、好ましくは=O、=S、=C(CN)であり、特に好ましくは=Oである。R18、R19はそれぞれ独立に、シアノ基、−COOR20、−COR21を表す。R20、R21はそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基)、炭素数1〜8のハロアルキル基(例えばクロロメチル基、フロロメチル基、トリフロロメチル基など)、置換されてもよい炭素数6〜10のアリール基(例えばフェニル基)を表す。
また、他のクマリン化合物の例として、下記一般式(IV)で表される化合物が挙げられる。
【0053】
【化4】

【0054】
[上記一般式(IV)中、R、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアルキルアミノ基、N置換アミノアルキル基、ハロゲン、もしくはアルコキシ基を表す。ここで、アルキル及びアルコキシとしては炭素数1〜4のものが好ましい。R、Rは互いに結合して環を形成していてもよく、隣接するZと縮合環を構成することもできる。Zは複素環、ベンゼン環であってもよい。]
また、前記一般式(IV)で表される化合物に代表されるクマリン化合物の例としては、例えば、下記化合物1〜3や、林原生物学研究所カタログによるNKX1316、1317、1767、1768、1320、1769、1319、1770、1771、846、3502が挙げられ、市販品としても入手可能である。なかでも、NKX1767、1768、1619(商品名:林原生物学研究所製)が好ましい。
【0055】
【化5】

【0056】
上記化合物1において、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表す。
(C)チオキサントン化合物及びクマリン化合物から選択される少なくとも一種は、(C)成分の総量で、本発明の感光性組成物の全固形分に対して2〜25質量%の範囲であることが、基板面内の線幅分布を狭くする観点から好ましい。
【0057】
<(D)芳香族メルカプト化合物>
本発明の感光性組成物に用いられる(D)芳香族メルカプト化合物としては、ベンゼン又は複素環を母核とし、メルカプト基を1つ又は2つ有するもの等が挙げられ、メルカプト基を2つ有する場合には、一方のメルカプト基が、アルキル、アラルキル又はフェニル置換されていてもよく、また、アルキレン基を介在した二量体又はジスルフィドの形をとった二量体でもよい。
このような(D)芳香族メルカプト化合物としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が好ましいものとして挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
(D)芳香族メルカプト化合物は、本発明の感光性組成物の全固形分に対して5〜25質量%の範囲であることが感度ばらつきを低減するという観点から好ましい。
【0058】
<(E)樹脂およびその前駆体>
本発明の感光性組成物は、樹脂及びその前駆体の少なくとも一種を用いて構成される。ここで、樹脂はバインダーとしてのポリマー成分であり、樹脂の前駆体は、重合したときに樹脂を構成する成分であり、いわゆるモノマー、オリゴマー成分などが含まれる。前記感光性組成物は、アルカリ水溶液で現像可能なものと、有機溶剤で現像可能なものとがある。安全性と現像液のコストとの点からは、アルカリ水溶液で現像可能なものが好ましく、かかる点から樹脂となるポリマーとしてアルカリ可溶性樹脂を用いて構成することが好ましい。
【0059】
〔(E−1)樹脂〕
前記樹脂としては、側鎖にカルボン酸基を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報、及び特開昭59−71048号公報に記載のメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体などを挙げることができる。また、側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができる。このほか、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。特に、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の共重合体やベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体も挙げることができる。
【0060】
前記樹脂は、30〜400mgKOH/gの範囲の酸価と1,000〜300,000の範囲の重量平均分子量とを有するものを選択するのが好ましい。
また、上記以外に、種々の性能、例えば硬化膜の強度を改良する目的で、現像性等に悪影響を与えない範囲でアルコール可溶性のポリマーを添加してもよい。アルコール可溶性のポリマーとしては、例えば、アルコール可溶性ナイロン、エポキシ樹脂などが挙げられる。
(E)樹脂の含有量としては、感光性組成物の全固形分に対して通常、10〜95質量%が好ましく、更に20〜90質量%がより好ましい。10〜95質量%の範囲では、感光性組成物層の粘着性が高すぎることもなく、形成される層の強度及び光感度が劣ることもない。
【0061】
〔(E−2)樹脂の前駆体〕
本発明における(E−2)「樹脂の前駆体」としては、重合或いは架橋反応により硬化することで樹脂を形成しうる重合性モノマー等が挙げられる。
重合性モノマーとしては、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。具体的には、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン若しくはグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシドを付加反応させた後で(メタ)アクリレート化したもの等の多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0062】
更に、特公昭48−41708号、同50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、同52−30490号の各公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレートやメタクリレートを挙げることができる。これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0063】
前記モノマーは、一種単独で用いても二種以上を混合して用いてもよい。
樹脂の前駆体(モノマーに代表される)の感光性組成物の全固形分に対する含有量は、5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。該含有量が前記範囲内にあると、光感度や画像の強度も低下せず、感光性組成物層の粘着性が過剰になることもない。
【0064】
<(F)その他の成分>
本発明の感光性組成物には、上記(A)〜(E)成分に加え、更に必要に応じて、公知の添加剤、例えば、顔料、可塑剤、界面活性剤、熱重合防止剤、密着促進剤、分散剤、垂れ防止剤、レベリング剤、消泡剤、難燃化剤、光沢剤、溶剤等を添加することができる。
【0065】
〔(F−1)顔料〕
本発明では、上記の(A)金属系微粒子と共に、顔料等その他の微粒子を用いることもできる。顔料を用いたときには、より黒色に近い色相に構成することができる。
顔料は一般に有機顔料と無機顔料とに大別されるが、本発明においては有機顔料が好ましい。好適に使用される顔料の例としては、特開2005−17716号公報[0038]〜[0040]に記載の色材や、特開2005−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料や、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤を好適に用いることができる。
【0066】
前記顔料の中でも、隠蔽性や色味調整のために(A)金属系微粒子と併用するものとして、カーボンブラック、チタンブラック、又は黒鉛が好適なものとして挙げられる。
カーボンブラックの例としては、Pigment Black(ピグメント・ブラック)7(カーボンブラック C.I.No.77266)が好ましい。市販品として、三菱カーボンブラック MA100(三菱化学(株)製)、三菱カーボンブラック #5(三菱化学(株)製)が挙げられる。
チタンブラックの例としては、TiO、TiO、TiNやこれらの混合物が好ましい
。市販品として、三菱マテリアルズ(株)製の(商品名)12Sや13Mが挙げられる。チタンブラックの平均粒径は40〜100nmが好ましい。
黒鉛の例としては、粒子径がストークス径で3μm以下のものが好ましい。3μmを超える黒鉛を用いると、遮光パターンの輪郭形状が不均一になり、シャープネスが悪くなることがある。また、粒子径の大部分は0.1μ以下であることが望ましい。
【0067】
顔料は、金属系微粒子の色相と補色関係にあるものを用いることが望ましい。また、顔料は1種でも2種以上を組み合せて用いてもよい。好ましい顔料の組合わせとしては、赤色系及び青色系の互いに補色関係にある顔料混合物と黄色系及び紫色系の互いに補色関係にある顔料混合物との組合せや、前記の混合物に更に黒色の顔料を加えた組み合わせや、青色系と紫色系と黒色系との顔料の組合せを挙げることができる。
顔料の球相当直径は、5nm以上5μm以下が好ましく、特に10nm以上1μm以下が好ましく、更にカラーフィルタ用としては、20nm以上0.5μm以下が好ましい。
【0068】
〔(F−2)熱重合防止剤〕
感光性組成物には、更に熱重合防止剤を添加することが組成物の経時安定性向上の観点から好ましい。
熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、p−t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール、ピロガロール等の芳香族ヒドロキシ化合物、ベンゾキノン、p−トルキノン等のキノン類、ナフチルアミン、ピリジン、p−トルイジン、フェノチアジン等のアミン類、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミニウム塩又はアンモニウム塩、クロラニール、ニトロベンゼン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)が挙げられる。
【0069】
〔(F−3)密着促進剤〕
本発明の感光性組成物に使用しうる密着促進剤としては、例えば、アルキルフェノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリイソブチレン、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ブチルゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ゴム、アクリル樹脂系粘着剤、芳香族系、脂肪族系又は脂環族系の石油樹脂、シランカップリング剤等が挙げられる。
前記(F)その他の化合物は、本発明の効果を損なわない範囲において本発明の感光性組成物に適宜添加することができる。
このようにして得られた本発明の感光性組成物は、継続的に使用し続けた場合であっても、感度ばらつきがなく、感度が安定し、且つ、面内線幅分布が改良される。特に、感材塗布後の感光性組成物層(塗膜)の経時安定性に優れるため、後述する感光性転写材料の形成に有用である。
【0070】
<感光性転写材料>
本発明の感光性転写材料は、仮支持体上に少なくとも本発明の感光性組成物を用いてなる感光性組成物層を有するものであり、必要に応じて熱可塑性樹脂層、中間層、及び保護層等を設けることができる。
前記感光性組成物層の膜厚は、0.2〜2.0μm程度が好ましく、更には0.2〜0.9μmが好ましい。
本発明の感光性転写材料を構成する上記感光性組成物層以外の層としては、特開2005−3861号公報の段落番号[0023]〜[0066]に記載の仮支持体、熱可塑性樹脂層、中間層、保護フィルムが好適なものとして挙げられる。
【0071】
<感光性転写材料の作製>
感光性転写材料の作製は、仮支持体上に、例えば既述の本発明の感光性組成物の溶液を、例えば、スピナー、ホワイラー、ローラーコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、ワイヤーバーコーター、エクストルーダー等の塗布機を用いて塗布・乾燥させることにより行うことができる。熱可塑性樹脂層、中間層を設ける場合も同様にして行なうことができる。
【0072】
<表示装置用遮光膜>
本発明の表示装置用遮光膜は、本発明の感光性組成物を用いて形成されたものである。
本発明の感光性組成物を用いて表示装置用遮光膜を作製すると、薄膜で光学濃度の高い表示装置用遮光膜(例えば光学濃度が1以上)を作製することができる。
本発明にいう「表示装置用遮光膜」は、ブラックマトリクスを包含する意味で用いる。「ブラックマトリクス」とは、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置の周辺部に設けられた黒色の縁や、赤、青、緑の画素間の格子状やストライプ状の黒色の部分、更にTFT遮光のためのドット状や線状の黒色パターン等のことであり、このブラックマトリクスの定義は、例えば、「液晶ディスプレイ製造装置用語辞典」(第2版、菅野泰平著、p.64、日刊工業新聞社、1996年)に記載されている。ブラックマトリクスの例としては、有機ELディスプレイ(例えば特開2004−103507号公報)、PDPのフロントパネル(例えば特開2003−51261号公報)、PALCではバックライトの遮光等が挙げられる。
【0073】
<ブラックマトリクス>
本発明のブラックマトリクスは、本発明の表示装置用遮光膜により形成されたものである。
ブラックマトリクスは、表示コントラストを向上させるため、また、薄膜トランジスター(TFT)を用いたアクティブマトリックス駆動方式の液晶表示装置の場合には、光の電流リークによる画質低下を防止するため、高い遮光性(光学濃度ODで3以上)が必要である。
【0074】
<表示装置用遮光膜の形成方法>
本発明の表示装置用遮光膜の第一の形成方法は、本発明の感光性組成物を基板上に塗布する工程を少なくとも有するものである。また、本発明の表示装置用遮光膜の第二の形成方法は、本発明の感光性転写材料の感光性組成物層を基板上に転写する工程を少なくとも有するものである。本発明の表示装置用遮光膜の形成方法により、基板上に感光性組成物からなる感光性組成物層(以下、「感光性遮光層」と言うことがある。)が形成される。
【0075】
本発明の表示装置用遮光膜の形成方法においては、上述のようにして感光性遮光層形成後、該感光性遮光層を全面露光又はパターン状に露光し、パターン状に露光した場合は現像して表示装置用遮光膜を形成する工程を有してなり、必要に応じて他の工程を設けて構成することができる。
【0076】
<基板>
本発明に用いられる基板は特に限定されるものではないが、表示装置を構成する透明基板(例えばガラス基板やプラスチックス基板)、配線付基板、遮光膜などにより形成された額縁付基板、透明導電膜(例えばITO膜)付基板、カラーフィルタ付基板、駆動素子(例えば薄膜トランジスタ[TFT])付駆動基板、などが挙げられる。
本発明に用いられる基板のサイズは特に限定されるものではないが、長手方向、短手方向とも300〜6000mmが好ましく、800〜4000mmがさらに好ましく、特に1500〜3500mmが好ましい。
【0077】
前記本発明の感光性組成物からなる層(感光性組成物層)の膜厚は、0.2〜2.0μm程度が好ましく、更には0.2〜0.9μmが好ましい。該層は、金属粒子又は金属を有する粒子を分散させたものであるため、既述のように薄膜で高い光学濃度(2.5以上)が得られる。
特に、金属粒子又は金属を有する粒子として、銀錫合金部を有する粒子を用いた場合が効果的である。
表示装置用遮光膜の光学濃度としては、2.5以上10.0以下が好ましく、より好ましく3.0以上6.0以下である。光学濃度が前記範囲内であると、遮光性を付与することができる。
【0078】
以下、本発明の表示装置用遮光膜の形成方法について、ブラックマトリクスパターンの形成方法を例に具体的に説明する。
第1の具体例としては、まず本発明の感光性組成物を基板に塗布し、金属粒子又は金属を有する粒子を含有した感光性遮光層を形成する。その後、パターン露光、現像によりパターン以外の部分の遮光層を除却することによりパターン形成を行ない、ブラックマトリクス(表示装置用遮光膜)を得る方法である。
また、既述の中間層と同組成の層を前記感光性遮光層上に形成して保護層とすることもできる。この場合、塗布液の塗布は、上述した<感光性転写材料の作製>の項で列挙した塗布機を用いて塗布することができる。中でも、スピンコート法によって行なうのが好ましい。
【0079】
第2の具体例としては、光透過性基板の上に、感光性転写材料を感光性組成物層が接触するように配置して積層した後、感光性転写材料と光透過性基板との積層体から仮支持体を剥離し、感光性組成物層を露光し、現像してブラックマトリクス(表示装置用遮光膜)を得る方法である。この方法は、煩瑣な工程を行なうことを必要とせず、低コストに行なうことができる。
【0080】
次に、露光及び現像について述べる。
基板上に形成された感光性遮光層の上方に所定のマスクを配置し、該マスク上方からマスクを通して前記感光性遮光層を露光し、次いで現像液による現像を行なってパターン像を形成し、引き続き必要に応じて水洗処理を行なう工程を施すことによりブラックマトリクスを作製することができる。露光は、上述のようにマスクを配置して行なう方法以外に、マスクを介さずに直接、画像データに基づいて光を相対走査することでパターン像を得るようにすることもできる。
【0081】
露光に用いる光源としては、感光性遮光層を硬化し得る波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば、適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LD、超高圧水銀灯、YAG−SHG固体レーザー、KrFレーザー、固体レーザー等が挙げられる。
露光量としては、通常5〜300mJ/cm程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm程度である。
この際に使用する露光機は、特に限定されるわけではないが、マスクを介して露光するプロキシミティ露光機のほか、散乱光線露光機、平行光線露光機、ステッパー、及びレーザー露光機などを用いることができる。
【0082】
現像に用いる現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができ、中でもアルカリ性物質の希薄水溶液が好ましく用いられる。詳しくは、現像液は感光性組成物層が溶解型の現像挙動をするものが好ましい。なお、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。
【0083】
また、現像前には、純水をシャワーノズル等にて噴霧して、感光性遮光層の表面を均一に湿らせておくようにすることが好ましい。
ブラックマトリクスの塗布による形成方法及び感光性転写材料を用いる形成方法において、現像に用いる前記アルカリ性物質としては、アルカリ金属水酸化物類(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(例えば、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)、燐酸三ナトリウム、等が挙げられる。アルカリ性物質の濃度は、0.01〜30質量%が好ましく、pHは8〜14が好ましい。
前記「水と混和性を有する有機溶剤」としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が好適に挙げられる。水と混和性を有する有機溶剤の濃度は0.1〜30質量%が好ましい。
【0084】
更に、公知の界面活性剤を添加することもでき、該界面活性剤の濃度としては0.01〜10質量%が好ましい。
前記現像液は、浴液として用いてもよいし、あるいは噴霧液としても用いることができる。遮光層の未硬化部分を除去する場合、現像液中で回転ブラシや湿潤スポンジで擦るなどの方法を組み合わせることができる。現像液の液温度は、通常室温付近から40℃が好ましい。現像時間は、遮光層の組成、現像液のアルカリ性や温度、有機溶剤を添加する場合にはその種類と濃度、等に依るが、通常10秒〜2分程度である。短すぎると非露光部の現像が不充分となると同時に紫外線の吸光度も不充分となることがあり、長すぎると露光部もエッチングされることがある。いずれの場合にも、ブラックマトリクス形状を好適なものとすることが困難となる。この現像工程にて、ブラックマトリクスが顕在化される。
【0085】
<遮光膜付基板>
本発明の遮光膜付基板は、基板と、前記基板上に設けられた本発明の表示装置用遮光膜と、を備えることを特徴とする。本発明の遮光膜付基板に用いられる基板及び表示装置用遮光膜の詳細は上述のとおりである。本発明の遮光膜付基板は、カラーフィルタの作製に好適に用いることができる。
【0086】
<カラーフィルタ及びその製造方法>
本発明のカラーフィルタの製造方法は、2色以上の複数の着色画素からなる画素群と、画素群の各着色画素を離隔するブラックマトリクスとを有するカラーフィルタを作製するものである。具体的には、本発明の感光性遮光層をパターン状に露光し、現像してブラックマトリクスを形成する工程と、形成されたブラックマトリクス間の凹部に、2色以上の複数の着色画素を形成する工程(以下、「画素形成工程」ということがある。)とを有してなり、必要に応じて他の工程を設けて構成することができる。
【0087】
前記画素形成工程としては、公知の方法による工程が挙げられ、例えば、特開平5−39450号公報や、特開2003−330184号公報に記載の画素形成方法や、特開平10−195358号公報に記載のインクジェット法による画素形成方法などがある。
【0088】
本発明のカラーフィルタは、光透過性基板の上に、着色層からなり互いに異なる色を呈する2色以上の着色画素からなる画素群と、該画素群を構成する各画素を互いに離画するブラックマトリクスとを設けて構成され、上記した本発明のカラーフィルタの製造方法により作製されたものである。
前記画素群は、異なる色を呈する2色の着色画素からなる画素群または3色の着色画素からなる画素群であってもよいし、異なる色を呈する4色以上の着色画素からなる画素群であってもよい。例えば3色で構成される場合、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3つの色相が好適に用いられる。赤、緑、青の3種の画素群を配置する場合は、モザイク型、トライアングル型等の配置が好ましく、4種以上の画素群を配置する場合ではどのような配置であってもよい。
【0089】
前記光透過性基板としては、表面に酸化珪素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス板、ノンアルカリガラス板、石英ガラス板等の公知のガラス板或いはプラスチックフィルム等が用いられる。
本発明のカラーフィルタは、既述のように本発明の感光性組成物を用いて作製された薄膜で高濃度のブラックマトリクスを備えるので、例えば液晶表示装置などを構成した場合に、経時で表示ムラが発生したり、表示コントラストの変動を抑えることができ、安定してコントラストの高い画像を表示することができる。
【0090】
<表示装置>
本発明の表示装置は、本発明の遮光膜付基板を備えたことを特徴とする。
本発明の表示装置としては液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置などを言う。表示装置の定義や各表示装置の説明は例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。
本発明の表示装置のうち、液晶表示装置は特に好ましい。液晶表示装置については例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。本発明はこれらのなかで特にカラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。さらに本発明はIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN、TN、VA、IPS、OCS、FFS、及びR−OCB等にも適用できる。これらの方式については例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページに記載されている。
【0091】
液晶表示装置はカラーフィルタ以外に電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角保障フィルムなどさまざまな部材から構成される。本発明のブラックマトリクスはこれらの公知の部材で構成される液晶表示装置に適用することができる。これらの部材については例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉 (株)富士キメラ総研 2003年発行)」に記載されている。
【実施例】
【0092】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0093】
(実施例1):塗布法
<銀錫合金部を有する金属系粒子分散液(分散液A1)の調製>
純水1000mlに、酢酸銀(I)23.1g、酢酸スズ(II)65.1g、グルコン酸54g、ピロリン酸ナトリウム45g、ポリエチレングリコール(分子量3,000)2g、及びPVP−K30(アイエスピー・ジャパン(株)製;ポリビニルピロリドンポリマー)5gを溶解し、溶液1を得た。
別途、純水500mlにヒドロキシアセトン46.1gを溶解して、溶液2を得た。
上記より得た溶液1を25℃に保ちつつ激しく攪拌しながら、これに上記溶液2を、2分間かけて添加し、緩やかに6時間攪拌を継続した。すると、混合液が黒色に変化し、銀錫合金部を有する金属粒子(以下、「銀錫合金部含有粒子」ということがある。)を得た。次いで、この液を遠心分離して銀錫合金部含有粒子を沈殿させた。遠心分離は、150mlの液量に小分けして、卓上遠心分離機H−103n((株)コクサン製)により回転数2,000r.p.m.で30分間行なった。そして、上澄みを捨て、全液量を150mlにし、これに純水1350mlを加え、15分間攪拌して銀錫合金部含有粒子を再び分散させた。この操作を2回繰り返して水相の可溶性物質を除去した。
【0094】
その後、この液に対して更に遠心分離を行ない、銀錫合金部含有粒子を再び沈殿させた。遠心分離は前記同様の条件にて行なった。遠心分離した後、前記同様に上澄みを捨て、全液量を150mlにし、これに純水850ml及びノルマルプロピルアルコール500mlを加え、さらに15分間攪拌して銀錫合金部含有粒子を再び分散させた。
再び前記同様にして遠心分離を行ない、銀錫合金部含有粒子を沈殿させた後、前記同様に上澄みを捨て、液量を150mlにし、これに純水150ml及びノルマルプロピルアルコール1200mlを加えて更に15分間攪拌し、銀錫合金部含有粒子を再び分散させた。そして再び、遠心分離を行なった。このときの遠心分離の条件は、時間を90分に延ばした以外は前記同様である。その後、上澄みを捨て、全液量を70mlにし、これにノルマルプロピルアルコール30mlを加えた。これをアイガーミル(アイガーミルM−50型(メディア:直径0.65mmジルコニアビーズ130g、アイガー・ジャパン(株)製)を用いて6時間分散し、銀錫合金部含有粒子(銀錫粒子濃度25質量%、PVP−K30残量1.0質量%)の水分散液(分散液A1)を調製した。
【0095】
この銀錫合金部含有粒子は、AgSn合金(2θ=39.5°)とSn金属(2θ=30.5°)とからなる複合体であることがX線散乱により確認された。ここで、カッコ内の数字はそれぞれの(III)面の散乱角である。この微粒子分散液を透過型電子顕微鏡で観察した結果、分散平均粒径は数平均粒子径で約40nmであった。
前記数平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡JEM−2010(日本電子(株)製)により得た写真を用いて以下のようにして行なった。
粒子100個を選び、それぞれの粒子像と同じ面積の円の直径を粒子径とし、100個の粒子の粒子径の平均を数平均粒子径とした。このとき、写真は、倍率10万倍、加速電圧200kVで撮影したものを用いた。
【0096】
<ブラックマトリクス(BM)用感光性塗布液A1の調製>
下記表1の組成を混合して、実施例1に用いるBM用感光性塗布液A1を調製した。また、表1に記載の組成で、下記表2に記載の開始系を表3に記載の組合せで用いることで、BM用感光性塗布液A2〜A14を同様にして調製した。
【0097】
【表1】

【0098】
なお、前記表1及び下記表3に記載の開始系A〜開始系Iの処方は下記表2に示すとおりである。
【0099】
【表2】

【0100】
表1及び表2に記載の各成分の詳細を以下に示す。
バインダーA及びバインダーBは下記構造の樹脂である。
【0101】
【化6】

【0102】
(*ソルスパース20000)
アビシア(株)製の分散剤である。
(*DPHA液の組成)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート …76部
(重合禁止剤MEHQを500ppm含有、商品名:KAYARAD DPHA、
日本化薬(株)製)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ−ト …24部
【0103】
(*界面活性剤1の組成)
・下記化合物A …30部
・メチルエチルケトン …70部
【0104】
【化7】

【0105】
<保護層用塗布液の調製>
下記組成を混合して、保護層用塗布液を調製した。
・ポリビニルアルコール(PVA−105、(株)クラレ製) …3.0部
・カルボキシメチルセルロース(TC−5E、信越化学(株)製) …0.15部
・界面活性剤2(サーフロンS−131、セイミケミカル(株) …0.01部
・蒸留水 …50.7部
・メチルアルコール …45.0部
【0106】
<塗布によるブラックマトリクス(BM)の形成>
(1)基板上への感光性組成物層及び保護層の形成
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。その後、この基板を120℃で3分間熱処理して表面状態を安定化させた。
続いて、基板を冷却して23℃に温調後、基板上に、スリット状ノズルを備えたガラス基板用コーターMH−1600(エフ・エー・エス・アジア社製)を用いて、膜厚が1.0μmになるように、上記より得たBM用感光性塗布液A1を塗布し、100℃で5分間乾燥させて感光性組成物層を形成した(塗布工程)。次いで、この感光性組成物層上にスリット状ノズルを用いて、上記より得た保護層用塗布液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布し、100℃で5分間乾燥させて保護層を形成し、BM用感光材料を作製した。
【0107】
(2)露光、現像によるブラックマトリックス形成
引き続き、超高圧水銀灯を備えたプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング社製)を用い、マスク(画像パターンを有する石英露光マスク)と上記のBM用感光材料とを垂直に立てた状態で、マスク面と感光性組成物層の保護層に接する側の表面との間の距離を200μmとし、露光量30mJ/cmで全面露光した(露光工程)。次いで、露光後のBM用感光材料を現像処理液T−CD1(富士写真フイルム(株)製;アルカリ現像液)を5倍希釈したもの(使用時のpHは10.2)を用いて現像処理(33℃、20秒;現像工程)し、ガラス基板上にブラックマトリクス(BM)を形成した。
次に、BMが形成されたガラス基板を、基板予備加熱装置により220℃で60分間加熱した後、240℃で50分間さらに加熱してベーク処理し(ベーク工程)、画素形成領域の開口が86μm×304μmとなるように、線幅24μm、膜厚0.8μm、光学濃度4.0のブラックマトリクスを形成した。以下、ブラックマトリクスが形成された上記のガラス基板を「ブラックマトリクス基板」と称する。
【0108】
なお、光学濃度の測定は、上記ブラックマトリクスを形成した材料を用い、透明基板上にODが3.0以下になるような薄膜の層を形成し、パターン状に露光しない以外は各実施例及び比較例と同様の工程を経て、測定用のサンプル(膜状)を得た。この透過光学濃度を分光光度計(島津製作所製、UV−2100)を用いて555nmで測定した(OD)。別途ガラス基板の透過光学濃度を同様な方法で測定した(OD)。
ODからODを差し引いた値をブラックマトリクスの透過光学濃度とした。接触式表面粗さ計P−10(ケーエルエー・テンコール(株)製)を用いて、測定用サンプルの膜厚を測定し、測定結果の透過光学濃度と膜厚の関係から、実施例で作製した膜厚のブラックマトリクスの光学濃度を算出した。結果を下記表3に示す。
【0109】
<カラーフィルタの作製>
上記で得られたブラックマトリックス(遮光画像)を用いて、特開2006−276818公報の実施例13に記載の転写型の感光性樹脂フイルムを用いたカラーフィルタ作製方法にて、赤色、緑色、青色の所定サイズ、形状の着色パターンを形成しカラーフィルタを作製した。
<液晶表示装置の作製>
上記より得たカラーフィルタ基板のR画素、G画素、及びB画素並びにブラックマトリクスの上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)の透明電極をスパッタリングにより形成した。次いで、特開2006−64921公報の実施例1に従い、前記で形成したITO膜上の隔壁(ブラックマトリックス)上部に相当する部分にスペーサを形成した。
別途、対向基板としてガラス基板を用意し、カラーフィルタ基板の透明電極上及び対向基板上にそれぞれPVAモード用にパターニングを施し、その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリクス外枠に相当する位置に紫外線硬化樹脂のシール剤をディスペンサ方式により塗布し、PVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板をUV照射した後、熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。次いで、赤色(R)LEDとしてFR1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、緑色(G)LEDとしてDG1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、青色(B)LEDとしてDB1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)を用いてサイドライト方式のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
【0110】
(実施例2〜9、11、及び比較例1〜3):塗布法
前記実施例1において、BM用感光性塗布液A1を表1に記載のA2〜A8に変更した以外は、実施例1と同様の方法でブラックマトリクス、カラーフィルタ、液晶表示装置を作製した。
【0111】
(実施例10):転写法
前記実施例1において、ブラックマトリクスの作製方法を下記の転写法に変更した以外は、同様の法方法でカラーフィルタ、液晶表示装置を作製した。
<ブラックマトリクス(BM)の形成>
−感光性転写材料の作製−
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体(PET仮支持体)の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させて熱可塑性樹脂層を形成した。次に、この熱可塑性樹脂層上に更に、下記処方P1からなる中間層用塗布液を塗布し、乾燥させて中間層を積層した。続いて、中間層上に実施例1で調製したBM用感光性塗布液A1を塗布し、乾燥させて黒色の感光性組成物層を更に積層した。
【0112】
以上のようにして、PET仮支持体上に乾燥層厚14.6μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥層厚1.6μmの中間層と、乾燥層厚1.2μmの感光性組成物層とを設け、感光性組成物層の表面に保護フィルム(厚さ12μmのポリプロピレンフィルム)を圧着して、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性組成物層の積層構造に構成された感光性転写材料を作製した。以下、これをBM用感光性転写材料K1とする。
【0113】
<熱可塑性樹脂層用塗布液の処方H1>
・メタノール …11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート …6.36部
・メチルエチルケトン …52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 …5.83部
(共重合比[モル比]=55/11.7/4.5/28.8、
分子量=9万、Tg≒70℃)
・スチレン/アクリル酸共重合体 …13.6部
(共重合比[モル比]=63/37、重量平均分子量=1万、Tg≒100℃)
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン
(新中村化学工業(株)製;ビスフェノールAにペンタエチレングリコール
モノメタクリレートを2当量脱水縮合した化合物) …9.1部
・前記界面活性剤1 …0.54部
【0114】
<中間層用塗布液の処方P1>
・ポリビニルアルコール(PVA−105、(株)クラレ製) …3.0部
・カルボキシメチルセルロース(TC−5E、信越化学(株)製) …0.15部
・界面活性剤2(サーフロンS−131、セイミケミカル(株) …0.01部
・蒸留水 …524部
・メタノール …429部
【0115】
ブラックマトリクス(BM)の形成
無アルカリガラス基板(以下、単位「ガラス基板」という。)を、25℃に調温したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液;商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。その後、この基板を基板予備加熱装置により100℃で2分間加熱し、ラミネータに送った。
シランカップリング処理後のガラス基板に、上記より得たBM用感光性転写材料K1から保護フィルムを剥離除去し、除去後に露出した感光性組成物層の表面と前記ガラス基板の表面とが接するように重ね合わせ、ラミネータLamicII型〔(株)日立インダストリイズ製〕を用いて、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分の条件にてラミネートした。
続いて、PET仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、仮支持体を除去した。仮支持体を剥離後、超高圧水銀灯を備えたプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)とを垂直に立てた状態で、マスク面と感光性組成物層との間の距離を200μmに設定し、露光量30mJ/cmでパターン露光した。
【0116】
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%含有、商品名:T−PD2、富士写真フイルム(株)製)を純水で12倍(T−PD2を1質量部と純水を11質量部の割合で混合)に希釈した液(30℃)を用いて50秒間、フラットノズルで圧力0.04MPaとしてシャワー現像し、熱可塑性樹脂層と中間層とを除去した。引き続き、この基板上にエアを吹きかけて液切りした後、純水をシャワーにより10秒間吹き付け、純水シャワー洗浄を行ない、エアを吹きかけて基板上の液だまりを減らした。
引き続いて、炭酸Na系現像液(0.38モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47モル/リットルの炭酸ナトリウム、5質量%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有;商品名:T−CD1、富士写真フイルム(株)製)を純水で5倍に希釈した液(29℃)を用いて30秒間、コーン型ノズルで圧力0.15MPaにてシャワー現像を行なって感光性組成物層を現像除去し、パターン像を得た。
続いて、洗浄剤(燐酸塩、珪酸塩、ノニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有;商品名:T−SD1、富士写真フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液(33℃)を用いて20秒間、コーン型ノズルで圧力0.02MPaにてシャワーにして吹きかけ、更にナイロン毛を有す回転ブラシによってパターン像を擦って残渣除去を行ない、ブラックマトリクスを得た。さらにその後、ブラックマトリクスが形成された基板に対し、両面から超高圧水銀灯で500mJ/cmの露光量でポスト露光後、220℃で15分間熱処理(ベーク)を行なった(ブラックマトリクス基板)。
【0117】
(実施例8、9):塗布法
実施例1において、銀錫合金部含有粒子の分散液A1を、以下のように調製した銀微粒子分散液B1に代え、更にBM用感光性塗布液A8、A9を用いたこと以外、実施例1と同様にして、ブラックマトリクス基板を作製し、液晶表示装置を作製した。
【0118】
<銀微粒子分散液B1の調製>
平均アスペクト比2.2の銀微粒子73.5gと、分散剤(商品名:ソルスパース20000、アビシア(株)製)1.05gと、メチルエチルケトン16.4gと、を混合した。これを、超音波分散機(商品名:Ultrasonic generator model US−6000 ccvp、nissei社製)を用いて分散し、円相当径100nmの銀微粒子の分散液を得た。次いで、得られた銀微粒子の分散液に遠心分離処理(10,000rpm、20分)を行ない、上澄み液を捨て、適宜濃縮を行なった。この操作を3回繰り返して行ない、水相の可溶性物質を除去し、銀微粒子分散液B1を得た。(銀粒子濃度25質量%)
【0119】
<BM用感光性塗布液A8、A9の調製>
実施例1において用いた分散液A1を銀微粒子分散液B1に変更した以外は、同様の処方でBM用感光性塗布液A8、A9を調整した。
【0120】
<評価>
(感度ばらつきの評価)
上記実施例1〜11及び比較例1〜3で得られたBM用感光性塗布液をブラックマトリクス作製の際に用いた基板上に1μmの厚みで塗布し評価用感光層を作製した。尚、BM用感光性塗布液は調液後すぐに使用した。次いで、実施例で用いた露光装置で、30段ステップウエッジパターン(ΔlogE=0.075)を用いて露光(30mJ/cm)し、現像した。現像条件は実施例1と同じとした。そして、現像後のベタ段(現像により厚さが変化していない段数)の段数を読み取った。
また、実施例9のBM用感光性転写材料の感度は以下の用にして評価した。評価基準は上記のとおりである。
実施例10と同様にして作製したBM用感光性転写材料をブラックマトリクス作製の際に用いた基板上に転写して、実施例で用いた露光装置で、30段ステップウエッジパターン(ΔlogE=0.075)を用いて露光(30mJ/cm)し、現像した。現像条件は実施例10と同じとした。BM用感光性転写材料は作製後すぐに使用した。そして、現像後のベタ段(現像により厚さが変化していない段数)の段数を上記の評価基準に従い評価した。
【0121】
(継続使用時の感度の評価)
上記実施例1〜11、比較例1〜3で得られたBM用感光性塗布液を室温で3ヶ月間継続使用したBM用感光性塗布液について、1ヶ月ごとに上記「感度の評価」と同様の方法で評価用感光層を作製し、感度の評価をした。評価方法は、上記と同様である。
ステップウエッジのばらつき範囲が以下の場合、
◎:1段以下であった場合
○:2段以上1段以下であった場合
×:3段以上であった場合
【0122】
(面内線幅分布の評価)
基板を300mm*400mmとし、24μmの線幅形成用マスクを用い、露光量を調節し、上記の各実施例、比較例と同様の条件で露光、現像し、評価用パターンを作製した。縦横2cm刻みで等間隔に測定を行い、画面内平均の平均値を24μmとしたときの面内での線幅分布量ふれ量を測定した。
◎:1μm以内であった場合
○:1μm以上2μm以下であった場合
△:3μm以上4μm以下であった場合
×:5段以上であった場合
【0123】
【表3】

【0124】
上記結果より、特定の光重合開始剤種の組合せを用いた本発明の感光性組成物を用いたBM用感光材料は感度ばらつきが良好で、面内線幅ばらつきにおいても良好であった。一方、従来の光重合開始剤を用いた比較例1では感度ばらつきが生じ、また、比較例2では面内線幅分布が悪かった。比較例3に係るブラックマトリクスを用いた液晶表示装置は、生産性に劣り、コントラストや色ムラのある画質の劣るものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)金属粒子又は金属を含む粒子と、(B)ヘキサアリールビイミダゾール系化合物と、(C)チオキサントン化合物及びクマリン化合物から選択される少なくとも一種と、(D)芳香族メルカプト化合物と、(E)樹脂及びその前駆体から選択される少なくとも一種と、を含有することを特徴とする感光性組成物。
【請求項2】
前記(C)チオキサントン化合物及びクマリン化合物から選択される少なくとも一種がクマリン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記(A)金属粒子又は金属を含む粒子が、銀錫合金部を有する粒子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
前記(A)金属粒子又は金属を含む粒子の数平均粒子径が0.1μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項5】
仮支持体上に請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の感光性組成物を用いてなる感光性組成物層を有する感光性転写材料。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の感光性組成物を基板上に塗布して感光性組成物層を形成する工程を含む表示装置用遮光膜の形成方法。
【請求項7】
請求項5に記載の感光性転写材料の感光性組成物層を基板上に転写する工程を含む表示装置用遮光膜の形成方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の感光性組成物を用いて形成されることを特徴とする表示装置用遮光膜。
【請求項9】
請求項8に記載の表示装置用遮光膜により形成されたブラックマトリクス。
【請求項10】
基板と、前記基板上に設けられた請求項8に記載の表示装置用遮光膜と、を備えることを特徴とする遮光膜付基板。
【請求項11】
カラーフィルタの作製に用いることを特徴とする請求項10に記載の遮光膜付基板。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載の遮光膜付基板を備えたことを特徴とする表示装置。

【公開番号】特開2008−145790(P2008−145790A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333881(P2006−333881)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】