説明

感光性組成物及びプリント配線板

【課題】硬化後の硬化物の光沢度、及び耐湿信頼性を高めることができる感光性組成物、並びに該感光性組成物を用いたプリント配線板を提供する。
【解決手段】本発明に係る感光性組成物は、重合性基を有する重合性化合物と、光重合開始剤と、酸化チタンと、フェノール性水酸基と硫黄原子との双方を有する第1の酸化防止剤とを含む。本発明に係るプリント配線板は、回路を表面に有するプリント配線板本体と、該プリント配線板本体の回路が設けられた表面に積層されたソルダーレジスト膜とを備える。上記ソルダーレジスト膜が上記感光性組成物を用いて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上にソルダーレジスト膜を形成したり、発光ダイオードチップが搭載される基板上に光を反射するレジスト膜を形成したりするために好適に用いられる感光性組成物、並びに該感光性組成物を用いたプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板を高温のはんだから保護するための保護膜として、ソルダーレジスト膜が広く用いられている。
【0003】
また、様々な電子機器用途において、プリント配線板の上面に発光ダイオード(以下、LEDと略す)チップが搭載されている。LEDから発せられた光の内、上記プリント配線板の上面側に到達した光も利用するために、プリント配線板の上面に白色ソルダーレジスト膜が形成されていることがある。この場合には、LEDチップの表面からプリント配線板とは反対側に直接照射される光だけでなく、プリント配線板の上面側に到達し、白色ソルダーレジスト膜により反射された反射光も利用できる。従って、LEDから生じた光の利用効率を高めることができる。
【0004】
上記白色ソルダーレジスト膜を形成するための材料の一例として、下記の特許文献1には、エポキシ樹脂と加水分解性アルコキシシランとの脱アルコール反応により得られたアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を含有し、かつ不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂と、希釈剤と、光重合開始剤と、硬化密着性付与剤とをさらに含有するレジスト材料が開示されている。
【0005】
下記の特許文献2には、芳香環を有さないカルボキシル基含有樹脂と、光重合開始剤と、エポキシ化合物と、ルチル型酸化チタンと、希釈剤とを含有する白色ソルダーレジスト材料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−249148号公報
【特許文献2】特開2007−322546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜2に記載のような従来のレジスト材料を用いて、基板上にレジスト膜を形成した場合には、該レジスト膜の光沢度が低いことがある。さらに、レジスト膜が高湿条件に晒されたときに、レジスト膜が変質して、レジスト膜が基板から剥離したり、剥離しやすくなったりすることがある。すなわち、従来のレジスト材料では、硬化物の耐湿信頼性が低いことがある。
【0008】
本発明の目的は、硬化後の硬化物の光沢度、及び耐湿信頼性を高めることができる感光性組成物、並びに該感光性組成物を用いたプリント配線板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の広い局面によれば、重合性基を有する重合性化合物と、光重合開始剤と、酸化チタンと、フェノール性水酸基と硫黄原子との双方を有する第1の酸化防止剤とを含む、感光性組成物が提供される。
【0010】
本発明に係る感光性組成物のある特定の局面では、硫黄原子を有さない第2の酸化防止剤がさらに含まれている。
【0011】
本発明に係る感光性組成物の他の特定の局面では、シリカがさらに含まれている。
【0012】
本発明に係る感光性組成物の別の特定の局面では、不飽和二重結合を有するシランカップリング剤がさらに含まれている。
【0013】
本発明に係る感光性組成物のさらに別の特定の局面では、上記不飽和二重結合を有するシランカップリング剤は、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤である。
【0014】
本発明に係る感光性組成物の他の特定の局面では、上記重合性基を有する重合性化合物は、芳香環を有する。
【0015】
本発明に係る感光性組成物のさらに他の特定の局面では、上記重合性基を有する重合性化合物は、カルボキシル基を有する。
【0016】
本発明に係る感光性組成物は、ソルダーレジスト組成物として好適に用いられる。本発明に係る感光性組成物は、ソルダーレジスト組成物であることが好ましい。
【0017】
本発明に係るプリント配線板は、回路を表面に有するプリント配線板本体と、該プリント配線板本体の回路が設けられた表面に積層されたソルダーレジスト膜とを備えており、該ソルダーレジスト膜が本発明に従って構成された感光性組成物を用いて形成されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る感光性組成物は、重合性基を有する重合性化合物と、光重合開始剤と、酸化チタンと、フェノール性水酸基と硫黄原子との双方を有する第1の酸化防止剤とを含むので、硬化後の硬化物の光沢度、及び耐湿信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る感光性組成物を用いたレジスト膜を有するLEDデバイスの一例を模式的に示す部分切欠正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明に係る感光性組成物は、重合性基を有する重合性化合物(A)と、光重合開始剤(B)と、酸化チタン(C)と、酸化防止剤(D)とを含む。本発明に係る感光性組成物は、上記酸化防止剤(D)として、フェノール性水酸基と硫黄原子との双方を有する第1の酸化防止剤(D1)を必須で含む。
【0022】
本発明に係る感光性組成物は上記組成を有するので、硬化後の硬化物の光沢度を高めることができる。さらに、本発明に係る感光性組成物は上記組成を有するので、硬化後の硬化物の耐湿信頼性を高めることができる。例えば、硬化物が高湿条件に晒されたときに、硬化物が変質し難くなり、硬化物が基板などの積層対象部材から剥離し難くなる。この結果、本発明に係る感光性組成物を用いたプリント配線板などの各種の電子部品の信頼性を高めることができる。
【0023】
本発明に係る感光性組成物は、硫黄原子を有さない第2の酸化防止剤(D2)をさらに含むことが好ましい。本発明に係る感光性組成物は、シリカ(E)をさらに含むことが好ましい。本発明に係る感光性組成物は、不飽和二重結合を有するシランカップリング剤(F1)をさらに含むことが好ましい。
【0024】
以下、本発明に係る感光性組成物に含まれている各成分の詳細を説明する。
【0025】
(重合性基を有する重合性化合物(A))
上記重合性基を有する重合性化合物(A)は、重合性基を有し、重合可能な化合物であれば特に限定されない。上記重合性基を有する重合性化合物(A)は、重合性単量体であってもよく、重合性重合体であってもよい。重合性単量体及び重合性重合体の内の一方のみが用いられてもよく、重合性単量体及び重合性重合体の双方が用いられてもよい。上記重合性基を有する重合性化合物(A)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0026】
上記重合性単量体としては、例えば、重合性不飽和基含有単量体又は重合性環状エーテル基含有単量体が挙げられる。
【0027】
上記重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基及びビニルエーテル基などの重合性不飽和二重結合を有する官能基が挙げられる。中でも、レジスト膜の架橋密度を高めることができるため、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0028】
上記重合性不飽和基含有単量体は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールもしくはプロピレングリコールなどのグリコールのジ(メタ)アクリレート変性物や、多価アルコール、多価アルコールのエチレンオキサイド付加物もしくは多価アルコールのプロピレンオキサイド付加物の多価(メタ)アクリレート変性物や、フェノール、フェノールのエチレンオキサイド付加物もしくはフェノールのプロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート変性物や、グリセリンジグリシジルエーテルもしくはトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート変性物や、メラミン(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0029】
上記多価アルコールとしては、例えば、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートが挙げられる。上記フェノールの(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェノキシ(メタ)アクリレート及びビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート変性物が挙げられる。
【0030】
「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルとメタクリロイルとを意味する。「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを意味する。「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを意味する。
【0031】
上記重合性重合体としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂及びオレフィン樹脂が挙げられる。なお、「樹脂」は、固形樹脂に限定されず、液状樹脂及びオリゴマーも含む。
【0032】
上記重合性重合体は、下記のカルボキシル基含有樹脂(a)〜(e)であることが好ましい。
【0033】
(a)不飽和カルボン酸と重合性不飽和二重結合を有する化合物との共重合によって得られるカルボキシル基含有樹脂
(b)カルボキシル基含有(メタ)アクリル共重合樹脂(b1)と、1分子中にオキシラン環及びエチレン性重合性不飽和二重結合を有する化合物(b2)との反応により得られるカルボキシル基含有樹脂
(c)1分子中にそれぞれ1個のエポキシ基及び重合性不飽和二重結合を有する化合物と、重合性不飽和二重結合を有する化合物との共重合体に、不飽和モノカルボン酸を反応させた後、生成した反応物の第2級の水酸基に飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂
(d)水酸基含有ポリマーに、飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させた後、生成したカルボキシル基を有するポリマーに、1分子中にそれぞれ1個のエポキシ基及び重合性不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られる水酸基及びカルボキシル基含有樹脂
(e)芳香環を有するエポキシ化合物と飽和多塩基酸無水物又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる樹脂、又は芳香環を有するエポキシ化合物と不飽和二重結合を少なくとも1つ有するカルボキシル基含有化合物とを反応させた後、飽和多塩基酸無水物又は不飽和多塩基酸無水物をさらに反応させて得られる樹脂
【0034】
上記重合性化合物(A)100重量%中、上記重合性単量体の含有量は5重量%以上、50重量%以下であることが好ましい。また、上記重合性単量体及び上記重合性重合体の合計100重量%中、上記重合性単量体の含有量は5重量%以上、50重量%以下であることが好ましい。上記重合性単量体の含有量が上記範囲内であると、感光性組成物を十分に硬化させることができる。さらに、レジスト膜の架橋密度が適度になり、十分な解像度を得ることができ、かつレジスト膜が黄変しにくくなる。
【0035】
上記重合性化合物(A)は、芳香環を有することが好ましい。上記重合性化合物(A)が芳香族環を有することで、硬化物の耐湿信頼性がより一層良好になる。
【0036】
上記重合性化合物(A)は、カルボキシル基を有することが好ましい。上記重合性化合物(A)がカルボキシル基を有することで、感光性組成物の現像性が良好になる。重合性基とカルボキシル基とを有する重合性化合物としては、例えば、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂、カルボキシル基を有するエポキシ樹脂及びカルボキシル基を有するオレフィン樹脂が挙げられる。なお、「樹脂」は、固形樹脂に限定されず、液状樹脂及びオリゴマーも含む。
【0037】
感光性組成物100重量%中、上記重合性化合物(A)の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。上記重合性化合物(A)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、感光性組成物の硬化性が良好になる。
【0038】
(光重合開始剤(B))
本発明に係る感光性組成物は、光重合開始剤(B)を含むので、光の照射により感光性組成物を硬化させることができる。光重合開始剤(B)は特に限定されない。光重合開始剤(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0039】
上記光重合開始剤(B)としては、例えば、アシルフォスフィンオキサイド、ハロメチル化トリアジン、ハロメチル化オキサジアゾール、イミダゾール、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、アントラキノン、ベンズアンスロン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、チオキサントン、安息香酸エステル、アクリジン、フェナジン、チタノセン、α−アミノアルキルフェノン、オキシム、及びこれらの誘導体が挙げられる。上記光重合開始剤(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0040】
上記重合性化合物(A)100重量部に対して、上記光重合開始剤(B)の含有量は好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは30重量部以下、より好ましくは15重量部以下である。上記光重合開始剤(B)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、感光性組成物の感光性がより一層高くなる。
【0041】
(酸化チタン(C))
本発明に係る感光性組成物は、酸化チタンを含むので、反射率が高いレジスト膜などの硬化物膜を形成できる。本発明に係る感光性組成物に含まれている酸化チタン(C)は特に限定されない。酸化チタン(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0042】
上記酸化チタン(C)を用いることによって、酸化チタン(C)以外の他の無機フィラーを用いた場合と比較して、反射率が高いレジスト膜を形成できる。
【0043】
上記酸化チタン(C)は、ルチル型酸化チタン又はアナターゼ型酸化チタンであることが好ましい。ルチル型酸化チタンの使用により、耐熱黄変性により一層優れたレジスト膜を形成できる。上記アナターゼ型酸化チタンは、ルチル型酸化チタンよりも、硬度が低い。このため、アナターゼ型酸化チタンの使用により、レジスト膜の加工性が高くなる。
【0044】
上記酸化チタン(C)は、ケイ素酸化物又はシリコーン化合物により表面処理されたルチル型酸化チタンを含むことが好ましい。上記酸化チタン(C)100重量%中、上記ケイ素酸化物又はシリコーン化合物により表面処理されたルチル型酸化チタンの含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、好ましくは100重量%以下である。上記酸化チタン(C)の全量が、上記ケイ素酸化物又はシリコーン化合物により表面処理されたルチル型酸化チタンであってもよい。上記ケイ素酸化物又はシリコーン化合物により表面処理されたルチル型酸化チタンの使用により、レジスト膜の耐熱黄変性がより一層高くなる。
【0045】
ケイ素酸化物又はシリコーン化合物により表面処理されたルチル型酸化チタンとしては、例えば、ルチル塩素法酸化チタンである石原産業社製の品番:CR−90や、ルチル硫酸法酸化チタンである石原産業社製の品番:R−550等が挙げられる。
【0046】
本発明に係る感光性組成物100重量%中、酸化チタン(C)の含有量は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは15重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは75重量%以下、更に好ましくは70重量%以下である。酸化チタン(C)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、レジスト膜が高温に晒されたときに、黄変し難くなる。さらに、塗工に適した粘度を有する感光性組成物を容易に調製できる。
【0047】
(酸化防止剤(D))
本発明に係る感光性組成物は、酸化防止剤(D)を含む。酸化防止剤(D)の使用により、高温に晒されたときにソルダーレジスト膜の黄変を抑制できる。
【0048】
上記酸化防止剤(D)は、ルイス塩基性部位を有することが好ましい。また、上記酸化防止剤(D)は、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤からなる群から選択された少なくとも1種を用いることにより、レジスト膜の黄変をより一層抑制できる。レジスト膜の黄変をさらに一層抑制する観点からは、上記酸化防止剤(D)は、フェノール系酸化防止剤であることが好ましい。
【0049】
また、本発明に係る感光性組成物は、上記酸化防止剤(D)として、フェノール性水酸基と硫黄原子との双方を有する第1の酸化防止剤(D1)を必須で含む。第1の酸化防止剤(D1)は、硫黄原子を有するフェノール系酸化防止剤である。この特定の第1の酸化防止剤(D1)の使用により、硬化物の光沢度と耐湿信頼性との双方を効果的に高めることができる。さらに、この特定の第1の酸化防止剤(D1)の使用により、硬化物の耐熱黄変性を高めることもでき、レジスト膜の黄変を抑制できる。
【0050】
また、本発明に係る感光性組成物は、上記酸化防止剤(D)として、硫黄原子を有さない第2の酸化防止剤(D2)をさらに含むことが好ましい。第2の酸化防止剤(D2)の使用により、硬化物の耐熱黄変性をより一層高めることができ、レジスト膜の黄変を効果的に抑制できる。上記第2の酸化防止剤(D2)は、フェノール性水酸基を有することが好ましく、硫黄原子を有さないフェノール系酸化防止剤であることが好ましい。但し、上記第2の酸化防止剤(D2)は、フェノール性水酸基を必ずしも有していなくてもよい。上記第2の酸化防止剤(D2)がフェノール性水酸基を有すると、硬化物の耐熱黄変性がより一層高くなる。
【0051】
上記フェノール系酸化防止剤の市販品としては、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 1076、IRGANOX 1135、IRGANOX 245、IRGANOX 259、及びIRGANOX 295(以上、いずれもBASF社製)、アデカスタブ AO−30、アデカスタブ AO−40、アデカスタブ AO−50、アデカスタブ AO−60、アデカスタブ AO−70、アデカスタブ AO−80、アデカスタブ AO−90、及びアデカスタブ AO−330(以上、いずれもADEKA社製)、Sumilizer GA−80、Sumilizer MDP−S、Sumilizer BBM−S、Sumilizer GM、Sumilizer GS(F)、及びSumilizer GP(以上、いずれも住友化学工業社製)、HOSTANOX O10、HOSTANOX O16、HOSTANOX O14、及びHOSTANOX O3(以上、いずれもクラリアント社製)、アンテージ BHT、アンテージ W−300、アンテージ W−400、及びアンテージ W500(以上、いずれも川口化学工業社製)、並びにSEENOX 224M、及びSEENOX 326M(以上、いずれもシプロ化成社製)等が挙げられる。
【0052】
上記フェノール系酸化防止剤の中で、上記第1の酸化防止剤(D1)に相当する酸化防止剤としては、例えば、IRGANOX 1035(BASF社製)等がある。また、上記第1の酸化防止剤(D1)はチオエーテルであることが好ましい。
【0053】
上記リン系酸化防止剤としては、シクロヘキシルフォスフィン及びトリフェニルフォスフィン等が挙げられる。上記リン系酸化防止剤の市販品としては、アデアスタブ PEP−4C、アデアスタブ PEP−8、アデアスタブ PEP−24G、アデアスタブ PEP−36、アデアスタブ HP−10、アデアスタブ 2112、アデアスタブ 260、アデアスタブ 522A、アデアスタブ 1178、アデアスタブ 1500、アデアスタブ C、アデアスタブ 135A、アデアスタブ 3010、及びアデアスタブ TPP(以上、いずれもADEKA社製)、サンドスタブ P−EPQ、及びホスタノックス PAR24(以上、いずれもクラリアント社製)、並びにJP−312L、JP−318−0、JPM−308、JPM−313、JPP−613M、JPP−31、JPP−2000PT、及びJPH−3800(以上、いずれも城北化学工業社製)等が挙げられる。
【0054】
上記アミン系酸化防止剤としては、トリエチルアミン、ジシアンジアミド、メラミン、エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−トリル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン及び第四級アンモニウム塩誘導体等が挙げられる。
【0055】
上記重合性化合物(A)100重量部に対して、上記酸化防止剤(D)の含有量は好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは5重量部以上、好ましくは30重量部以下、より好ましくは15重量部以下である。さらに、上記重合性化合物(A)100重量部に対して、上記第1の酸化防止剤(D1)の含有量は好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは5重量部以上、好ましくは30重量部以下、より好ましくは15重量部以下である。上記酸化防止剤(D)及び上記第1の酸化防止剤(D1)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、耐熱黄変性により一層優れたレジスト膜を形成できる。また、上記第1の酸化防止剤(D1)の含有量が上記下限以上及び上限以下であると、硬化物の光沢度及び耐湿信頼性をより一層高めることができる。なお、上記「酸化防止剤(D)の含有量」は、上記酸化防止剤(D)が上記第1の酸化防止剤(D1)と上記第2の酸化防止剤(D2)との双方を含む場合には、「上記第1の酸化防止剤(D1)と上記第2の酸化防止剤(D2)との合計の含有量」を示す。
【0056】
上記酸化防止剤(D)が上記第1の酸化防止剤(D1)と上記第2の酸化防止剤(D2)との双方を含む場合には、上記第1の酸化防止剤(D1)と上記第2の酸化防止剤(D2)との含有量比は特に限定されない。本発明に係る感光性組成物は、上記第1の酸化防止剤(D1)と上記第2の酸化防止剤(D2)とを重量比で、0.01:99.99〜99.99:0.01で含むことが好ましく、1:99〜99:1で含むことがより好ましく、10:90〜90:10で含むことが更に好ましく、20〜80:80:20で含むことが特に好ましい。本発明に係る感光性組成物が、上記第1の酸化防止剤(D1)と上記第2の酸化防止剤(D2)とを好ましい上記重量比で含む場合に、上記重合性化合物(A)100重量部に対して、上記第1の酸化防止剤(D1)の含有量は好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは5重量部以上である。
【0057】
(シリカ(E))
本発明に係る感光性組成物は、シリカ(E)を含むことが好ましい。シリカ(E)の使用により、硬化物の耐湿信頼性をより一層高めることができる。
【0058】
本発明に係る感光性組成物100重量%中、上記シリカ(E)の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、更に好ましくは3重量%以上、特に好ましくは5重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。上記シリカ(E)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の耐湿信頼性がより一層高くなる。
【0059】
(カップリング剤(F))
本発明に係る本発明に係る感光性組成物は、カップリング剤(F)を含むことが好ましい。カップリング剤(F)としては、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコン系カップリング剤及びアルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。上記カップリング剤(F)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0060】
上記カップリング剤(F)は、シランカップリング剤であることが好ましい。さらに、上記カップリング剤(F)は、不飽和二重結合を有するシランカップリング剤(F1)であることが好ましい。すなわち、本発明に係る感光性組成物は、不飽和二重結合を有するシランカップリング剤(F1)をさらに含むことが好ましい。不飽和二重結合を有するシランカップリング剤(F1)は、重合性基を有する重合性化合物(A)とは異なる化合物である。不飽和二重結合を有するシランカップリング剤(F1)の使用により、硬化物の耐湿信頼性をより一層高くすることができる。
【0061】
上記不飽和二重結合を有するシランカップリング剤(F1)は、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤であることが好ましい。この場合には、硬化物の耐湿信頼性がより一層良好になる。
【0062】
上記不飽和二重結合を有するシランカップリング剤(F1)における不飽和二重結合を有する基としては、アルケニル基、及び(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。上記アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基及びヘキセニル基等が挙げられる。
【0063】
上記不飽和二重結合を有するシランカップリング剤(F1)の市販品としては、KBM−1003(ビニル基を有する)、KBM−503(メタアクリロイル基を有する)、及びKBM−5103(アクリロイル基を有する)(以上、いずれも信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0064】
上記重合性化合物(A)100重量部に対して、上記カップリング剤(F)の含有量は好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、更に好ましくは3重量部以下である。さらに、上記重合性化合物(A)100重量部に対して、上記不飽和二重結合を有するシランカップリング剤(F1)の含有量は好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、更に好ましくは3重量部以下である。上記カップリング剤(F)及び上記不飽和二重結合を有するシランカップリング剤(F1)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、耐熱黄変性により一層優れたレジスト膜を形成できる。また、不飽和二重結合を有するシランカップリング剤(F1)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の光沢度及び耐湿信頼性をより一層高めることができる。
【0065】
(他の成分)
レジスト膜の切り出し加工性を高めるために、感光性組成物は、環状エーテル骨格を有する化合物を含むことが好ましい。また、上記環状エーテル骨格を有する化合物の使用により、感光性組成物の硬化性も良好になる。
【0066】
上記環状エーテル骨格を有する化合物としては、例えば、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートなどの複素環式エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂及びε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂が挙げられる。上記環状エーテル骨格を有する化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0067】
上記重合性化合物(A)がカルボキシル基を有する場合には、環状エーテル骨格を有する化合物は、カルボキシル基と反応して、感光性組成物を硬化させるように作用する。
【0068】
上記重合性化合物(A)100重量部に対して、上記環状エーテル骨格を有する化合物の含有量は好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは50重量部以下、より好ましくは30重量部以下である。上記環状エーテル骨格を有する化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、レジスト膜の電気絶縁性をより一層高めることができる。
【0069】
本発明に係る感光性組成物は、溶剤を含んでいてもよい。溶剤の双極子モーメントは1Debye以上であることが好ましい。双極子モーメントが1Debye以上である溶剤の使用により、ポットライフに優れた感光組成物を提供できる。
【0070】
また、本発明に係る感光性組成物は、着色剤、充填剤、硬化剤、硬化促進剤、離型剤、表面処理剤、難燃剤、粘度調節剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、可塑剤、抗菌剤、防黴剤、レベリング剤、安定剤、タレ防止剤又は蛍光体等を含んでいてもよい。
【0071】
さらに、本発明に係る感光性組成物は、第1の液と、第2の液とを有し、該第1,第2の液が混合されて用いられる2液混合型の感光性組成物であってもよい。2液混合型の感光性組成物の場合には、使用前に重合又は硬化反応が進行するのを抑制できる。このため、2液それぞれのポットライフを向上できる。また、本発明に係る感光性組成物は、第1の液のみを有する1液型の感光性組成物であってもよい。本発明に係る感光性組成物には、1液型の感光性組成物と、2液混合型などの多液混合型の感光性組成物とが含まれる。
【0072】
2液混合型の感光性組成物の場合には、上記重合性化合物(A)と上記光重合開始剤(B)と上記酸化チタン(C)と上記第1の酸化防止剤(D1)とはそれぞれ、上記第1の液及び上記第2の液の内の少なくとも一方に含まれる。また、上記第2の酸化防止剤(D2)、上記シリカ(E)、上記不飽和二重結合を有するシランカップリング剤(F1)、及び上記環状エーテル骨格を有する化合物が含まれる場合には、上記第2の酸化防止剤(D2)、上記シリカ(E)、上記不飽和二重結合を有するシランカップリング剤(F1)、上記環状エーテル骨格を有する化合物はそれぞれ、上記第1の液及び上記第2の液の内の少なくとも一方に含まれる。
【0073】
上記第1,第2の液が混合された混合物は、感光性組成物であり、上記重合性化合物(A)と上記光重合開始剤(B)と上記酸化チタン(C)と上記第1の酸化防止剤(D1)とを必須で含む。
【0074】
本発明に係る感光性組成物は、例えば、各配合成分を撹拌混合した後、3本ロールにて均一に混合することにより調製できる。
【0075】
感光性組成物を硬化させるために用いられる光源としては、紫外線又は可視光線等の活性エネルギー線を発光する照射装置が挙げられる。上記光源としては、例えば、超高圧水銀灯、Deep UV ランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ及びエキシマレーザーが挙げられる。これらの光源は、感光性組成物の構成成分の感光波長に応じて適宜選択される。光の照射エネルギーは、所望とする膜厚又は感光性組成物の構成成分により適宜選択される。光の照射エネルギーは、一般に、10〜3000mJ/cmの範囲内である。
【0076】
(LEDデバイス)
本発明に係る感光性組成物は、LEDデバイスのレジスト膜を形成するために好適に用いられ、ソルダーレジスト膜を形成するためにより好適に用いられる。本発明に係る感光性組成物は、レジスト組成物であることが好ましく、ソルダーレジスト組成物であることが好ましい。
【0077】
本発明に係るプリント配線板は、回路を表面に有するプリント配線板本体と、該プリント配線板本体の上記回路が設けられた表面に積層されたソルダーレジスト膜とを備える。該ソルダーレジスト膜が、本発明に係る感光性組成物により形成されている。
【0078】
図1に、本発明の一実施形態に係る感光性組成物を用いて形成されたレジスト膜を有するLEDデバイスの一例を模式的に部分切欠正面断面図で示す。
【0079】
図1に示すLEDデバイス1では、基板2の上面2aに、感光性組成物により形成されたレジスト膜3が積層されている。レジスト膜3は、ソルダーレジスト膜であり、パターン膜である。よって、基板2の上面2aの一部の領域では、レジスト膜3は形成されていない。レジスト膜3が形成されていない部分の基板2の上面2aには、電極4a,4bが設けられている。基板2は、プリント配線板本体であることが好ましい。
【0080】
レジスト膜3の上面3aに、LEDチップ7が積層されている。レジスト膜3を介して、基板2上にLEDチップ7が積層されている。LEDチップ7の下面7aの外周縁には、端子8a,8bが設けられている。はんだ9a,9bにより、端子8a,8bが電極4a,4bと電気的に接続されている。この電気的な接続により、LEDチップ7に電力を供給できる。
【0081】
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。本発明は以下の実施例に限定されない。
【0082】
実施例及び比較例では、以下の材料1)〜15)を用いた。
【0083】
1)アクリルポリマー1(下記合成例1で得られたアクリルポリマー1)
(合成例1)
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えたフラスコに、溶剤であるエチルカルビトールアセテートと、触媒であるアゾビスイソブチロニトリルとを入れ、窒素雰囲気下で80℃に加熱し、メタクリル酸とメチルメタクリレートとを30:70のモル比で混合したモノマーを2時間かけて滴下した。滴下後、1時間攪拌し、温度を120℃に上げた。その後、冷却した。得られた樹脂の全てのモノマー単位の総量のモル量に対するモル比が10となる量のグリシジルアクリレートを加え、触媒として臭化テトラブチルアンモニウムを用い100℃で30時間加熱して、グリシジルアクリレートとカルボキシル基とを付加反応させた。冷却後、フラスコから取り出して、固形分酸価60mgKOH/g、重量平均分子量15,000、二重結合当量1,000のカルボキシル基含有樹脂を50重量%(不揮発分)含む溶液を得た。以下、この溶液をアクリルポリマー1と呼ぶ。
【0084】
2)アクリルポリマー2(下記合成例2で得られたアクリルポリマー2)
(合成例2)
エチルカルビトールアセテート139重量部中で、触媒であるジメチルベンジルアミン0.5重量部と、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1重量部とを用いて、エポキシ当量210、軟化点80℃のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(「エポトートYDCN−704」、東都化成社製)210重量部と、アクリル酸50重量部と、酢酸18重量部とを反応させて、エポキシアクリレートを得た。得られたエポキシアクリレート278重量部と、テトラヒドロ無水フタル酸46重量部(エポキシアクリレートの水酸基1.0モルに対して0.3モル)とを反応させ、固形分酸価が52mgKOH/gの芳香環を有するカルボキシル基含有樹脂を65重量%含む溶液を得た。以下、この溶液をアクリルポリマー2と呼ぶ。
【0085】
3)DPHA(アクリルモノマー、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、比重1.1)
4)TPO(光ラジカル発生剤である光重合開始剤、BASFジャパン社製)
5)828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学社製、比重1.2)
6)エチルカルビトールアセテート(溶剤、双極子モーメント1Debye以上、比重1.0)
7)CR−50(酸化チタン、石原産業社製、塩素法により製造されたルチル型酸化チタン)
8)SO−C5(シリカ、アドマテックス社製)
9)KBM−1003(ビニル基を有するシランカップリング剤、信越化学工業社製)
10)KBM−503(メタクリロイル基を有するシランカップリング剤、信越化学工業社製)
11)KBM−5103(アクリロイル基を有するシランカップリング剤、信越化学工業社製)
12)KBM−803(チオール基を有するシランカップリング剤、信越化学工業社製)
13)IRGANOX1010(フェノール系酸化防止剤、BASF社製)
14)IRGANOX1035(硫黄原子を有するフェノール系酸化防止剤、BASF社製)
15)IRGANOX1330(フェノール系酸化防止剤、BASF社製)
【0086】
(実施例1)
合成例1で得られたアクリルポリマー1を15重量部と、DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)5重量部と、TPO(光ラジカル発生剤である光重合開始剤、BASFジャパン社製)2重量部と、828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学社製)8重量部と、CR−50(酸化チタン、石原産業社製)20重量部と、IRGANOX1035(硫黄原子を有するフェノール系酸化防止剤、BASF社製)0.5重量部と、エチルカルビトールアセテート30重量部とを配合し、混合機(練太郎SP−500、シンキー社製)にて3分間混合した後、3本ロールにて混合し、混合物を得た。その後、SP−500を用いて、得られた混合物を3分間脱泡することにより、感光性組成物であるレジスト材料を得た。
【0087】
(実施例2〜13及び比較例1〜4)
使用した材料の種類及び配合量を下記の表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、レジスト材料を得た。
【0088】
(評価)
(1)測定サンプルの作製
80mm×90mm、厚さ0.8mmのFR−4である基板を用意した。この基板上に、スクリーン印刷法により、100メッシュのポリエステルバイアス製の版を用いて、ベタパターンでレジスト材料を印刷した。印刷後、80℃のオーブン内で20分間乾燥させ、レジスト材料層を基板上に形成した。次に、所定のパターンを有するフォトマスクを介して、紫外線照射装置を用い、レジスト材料層に波長365nmの紫外線を、照射エネルギーが400mJ/cmとなるように100mW/cmの紫外線照度で4秒間照射した。その後、未露光部のレジスト材料層を除去してパターンを形成するために、炭酸ナトリウムの1重量%水溶液にレジスト材料層を浸漬して現像し、基板上にレジスト膜を形成した。その後、150℃のオーブン内で1時間加熱しレジスト膜を後硬化させることにより、評価サンプルであるレジスト膜を得た。得られたレジスト膜の厚みは20μmであった。
【0089】
(2)耐熱黄変性
評価サンプルを加熱オーブン内に入れ、270℃で10分間加熱した。
【0090】
色彩・色差計(コニカミノルタ社製、CR−400)を用いて、熱処理される前の評価サンプルのL*、a*、b*を測定した。また、熱処理された後の評価サンプルのL*、a*、b*を測定し、これら2つの測定値からΔE*abを求めた。熱処理された後の評価サンプルのΔE*abが、2以下の場合を「○○」、2を超え、3以下の場合を「○」、3を超え、6以下の場合を「△」、6を超える場合を「×」とした。
【0091】
(3)光沢度
光沢計(堀場製作所社製、IG−410)を用いて、得られた評価サンプルの60度のグロス値を測定した。80を超える場合を「○」、70を超え、79以下の場合を「△」、70以下の場合を「×」とした。
【0092】
(4)耐湿信頼性
得られた評価サンプル(基板上にレジスト膜が形成されたサンプル)のプレッシャークッカー試験(PCT)を行い、得られた評価サンプルを温度130℃及び湿度100%で100時間処理した。
【0093】
温度130℃及び湿度100%で100時間処理した後のレジスト膜に、1mm間隔で碁盤目に切り込みを100マス分カッターで作成した。次に、切り込み部分を有するレジスト膜にセロハンテープ(JIS Z1522)を十分に貼りつけて、テープの一端を45度の角度で強く引き剥がして、レジスト膜の剥離状態を確認した。
【0094】
耐湿信頼性を下記の基準で判定した。
【0095】
[耐湿信頼性の判定基準]
○○○:テープの剥離後にレジスト膜に外観変化がなく、レジスト膜の剥離がない
○○:テープの剥離後にレジスト膜に外観変化はないものの、レジスト膜が一部剥離(幅0.3mm未満)した
○:テープの剥離後にレジスト膜に外観変化はないものの、レジスト膜が一部剥離(幅0.3mm以上、幅1mm未満)した
△:テープの剥離後にレジスト膜に外観変化はないものの、レジスト膜が多く剥離した
×:テープの剥離後にレジスト膜に浮きがみられ、レジスト膜が多く剥離した
【0096】
結果を下記の表1に示す。
【0097】
【表1】

【符号の説明】
【0098】
1…LEDデバイス
2…基板
2a…上面
3…レジスト膜
3a…上面
4a,4b…電極
7…LEDチップ
7a…下面
8a,8b…端子
9a,9b…はんだ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性基を有する重合性化合物と、
光重合開始剤と、
酸化チタンと、
フェノール性水酸基と硫黄原子との双方を有する第1の酸化防止剤とを含む、感光性組成物。
【請求項2】
硫黄原子を有さない第2の酸化防止剤をさらに含む、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
シリカをさらに含む、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
不飽和二重結合を有するシランカップリング剤をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項5】
前記不飽和二重結合を有するシランカップリング剤が、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項6】
前記重合性基を有する重合性化合物が、芳香環を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項7】
前記重合性基を有する重合性化合物が、カルボキシル基を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項8】
ソルダーレジスト組成物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項9】
回路を表面に有するプリント配線板本体と、該プリント配線板本体の回路が設けられた表面に積層されたソルダーレジスト膜とを備え、
前記ソルダーレジスト膜が請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性組成物を用いて形成されている、プリント配線板。

【図1】
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【公開番号】特開2012−212039(P2012−212039A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77926(P2011−77926)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】