説明

感圧スイッチおよびこれを用いた入力装置

【課題】各種電子機器の操作に用いられる感圧スイッチおよびこれを用いた入力装置に関し、簡易で多様な操作の可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】スライド手段22を水平面内でスライド移動が可能なようにカバー21に収納し、スライド手段22により押圧された押圧部23Aが、少なくとも四箇所に設けられたシート抵抗体28A〜Dを押圧することで、スライド手段22をスライド移動させるスライド操作力の変化に応じて、シート抵抗体28A〜Dと導電板30との間の抵抗値が変化するものとして感圧スイッチ31を形成することによって、操作部33Aを操作した指を外さないで、様々な方向へカーソルやポインタの操作や、選択したメニューを確定する操作を行うことができるため、簡易な構成で多様な操作の可能な感圧スイッチおよびこれを用いた入力装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられる感圧スイッチおよびこれを用いた入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やカーナビ等の各種電子機器の高機能化や多様化が進むに伴い、これらの操作に用いられる感圧スイッチおよびこれを用いた入力装置には、高速に操作が可能でかつ使いやすいものが求められている。
【0003】
このような従来の感圧スイッチおよびこれを用いた入力装置について、図20から図22を用いて説明する。
【0004】
なお、構成を判り易くするために、図面は厚さ方向の寸法を拡大して表わしている。
【0005】
図20は従来の感圧スイッチの断面図、図21は同分解斜視図であり、同図において、1はフィルム状のカバーシート、2は略ドーム状の可動接点で、カバーシート1下面に可動接点2が接着剤(図示せず)によって貼り付けられている。
【0006】
また、3はカバーシート1と同様の可撓性を有するフィルム状のベースシートで、可動接点2がベースシート3上の略中央位置およびその前後左右の五箇所にカバーシート1で貼り付けられている。
【0007】
そして、これらのカバーシート1と、可動接点2と、ベースシート3、およびその下面のシート抵抗体4と、可動接点2の下方の中央となる部分を除いて設けられた絶縁層5から可動接点体6が構成されていた。
【0008】
また、7はフィルム状、あるいは板状の基板で、上下面には銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、基板7の略中央位置およびその前後左右の五箇所に、半円状の固定接点8A、8Bが所定の空隙を設けて対向した固定接点対8が設けられている。
【0009】
そして、各固定接点対8の上方に、所定の隙間を設けてシート抵抗体4の絶縁層5で覆われていない部分が対向するように、可動接点体6を載置して感圧スイッチが構成されていた。
【0010】
さらに、基板7の上面には定圧電源9、抵抗素子10、マイコンなどから構成された制御手段11などから電子回路12が構成され、定圧電源9が固定接点8Aに、制御手段11が固定接点8Bに、抵抗素子10は一端が固定接点8Bに、他端がグランドに接続されて入力装置が構成されていた。
【0011】
また、13は絶縁樹脂製のラバーシート、14は絶縁樹脂製の押釦、15は絶縁樹脂製の操作体で、ラバーシート13下面の複数の押圧部13Aが複数の可動接点2中央部のカバーシート1上面に当接すると共に、この上方には押釦14が上下動可能に、操作体15が揺動可能に配置される。
【0012】
以上の構成において、例えば、中央の押釦14を下方へ押圧操作すると、ラバーシート13の中央が撓んで、この下方の可動接点2を押圧しクリック感を伴って下方へ弾性反転すると共に、シート抵抗体4が下方へ撓み、シート抵抗体4の下面が固定接点8Aと8Bに接触し、固定接点8Aと8Bがシート抵抗体4を介して電気的に接続される。
【0013】
そして、この後、さらに押圧力を加えると、押圧力によってシート抵抗体4がさらに撓んで、固定接点8Aと8Bに対する接触面積が増え、固定接点8Aと8Bの間の抵抗値が小さくなる。
【0014】
また、操作体15の前後左右を押圧して揺動させると、押圧位置の下方の可動接点2が、中央の押釦14を押圧した場合と同様にクリック感を伴って下方へ弾性反転すると共に、シート抵抗体4が下方へ撓み、シート抵抗体4の下面が、各押圧位置下方の固定接点8Aと8Bに接触し、固定接点8Aと8Bがシート抵抗体4を介して電気的に接続される。
【0015】
そして、さらに押圧力を加えると、押圧力によってシート抵抗体4がさらに撓んで、固定接点8Aと8Bに対する接触面積が増え、固定接点8Aと8Bの間の抵抗値が小さくなるのは、中央の押釦14を押圧した場合と同様である。
【0016】
この抵抗値の変化が定圧電源9と抵抗素子10により電圧の変化として基板7上面に形成された電子回路12の制御手段11により検出されて、例えば、図22の電子機器の斜視図に示すように、携帯電話16の表示手段17に表示された複数のメニュー18を選択するためのポインタ19の移動方向や移動速度を制御手段11が制御する。
【0017】
つまり、操作体15の右側のAの位置を押圧するとポインタ19がそれに対応して右に移動し、一方左側のBの位置を押圧すると、ポインタ19がそれに対応して左に移動し、押圧力を強くするとポインタ19の移動速度を速くする表示の制御などを制御手段11が行うものであった。
【0018】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2009−016330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上記従来の感圧スイッチおよびこれを用いた入力装置においては、例えば右方向に移動したカーソルを左方向に反転移動させるには、操作体15の右側端部を押圧していた指を一旦離して左側端部を押圧する必要があり、そのため一度画面から視線を外して操作体15の押圧位置を確認する必要があり、スムーズな操作の妨げとなるという課題があった。
【0021】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、簡易で多様な操作の可能な感圧スイッチおよびこれを用いた入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0023】
本発明の請求項1に記載の発明は、スライド手段は水平面内でスライド移動が可能であり、スライド手段により押圧された押圧部が、さらにシート抵抗体を押圧することで、スライド手段をスライド移動させるスライド操作力の変化に応じて、シート抵抗体と導電板との間の抵抗値が変化するものであり、スライド手段の中心を指などで押さえてスライド操作した際に、水平面内のスライド方向やスライド操作力を、シート抵抗体と導電板との間の抵抗値に基づいて判断できるため、右方向から左方向へ表示手段に表示されたカーソルの移動方向を反転させる場合においても、中央のスライド手段を保持したまま行ってスムーズな操作が可能となり、簡易で多様な操作の可能な感圧スイッチを得ることができるという作用を有する。
【0024】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の感圧スイッチに、カバーから導電板まで貫通する孔を設けたものであり、スライド手段を孔に挿入した押釦ゴムの可動部で保持して操作しうると共に、可動部の下方にもスイッチなどを設けることにより、より多様な操作が可能な感圧スイッチを得ることができるという作用を有する。
【0025】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の感圧スイッチのスライド手段と、押圧手段とをスライド押圧手段として一体で構成したものであり、簡易に組み立てが可能な感圧スイッチを得ることができるという作用を有する。
【0026】
請求項4に記載の発明は、シート抵抗体をリング状または円弧状またはスパイラル状にしたものであり、水平面全面となる360度方向などの所定の角度範囲に抵抗体層を配置することが出来るため、スライド方向の柔軟性が高く簡易で多様な操作の可能な感圧スイッチを得ることができるという作用を有する。
【0027】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の感圧スイッチと、感圧スイッチに接続されたスイッチ手段と、感圧スイッチと前記スイッチ手段に接続された制御手段と、所定電圧の定圧電源とを備え、感圧スイッチのシート抵抗体に接続された端子を定圧電源に接続し、感圧スイッチの導電板に接続された端子を前記制御手段に接続し、制御手段はシート抵抗体を押圧した押圧方向を、制御手段に感圧スイッチの導電板を介して入力された入力電圧に基づいて推定するものであり、操作者が押圧する方向の変化に従って変化する所定の電圧分布をシート抵抗体に生じさせるため、操作者が押圧した方向を高精度に検出でき、多様な操作の可能な入力装置を得ることができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0028】
以上のように本発明によれば、簡易で多様な操作の可能な感圧スイッチを実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態による感圧スイッチの断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同感圧導電ユニットの分解斜視図
【図4】同部分断面図
【図5】同感圧スイッチを使用した入力装置の断面図
【図6】同分解斜視図
【図7】同感圧スイッチを使用した電子機器の斜視図
【図8】スライド操作時の本発明の第1の実施の形態による感圧スイッチの部分断面図
【図9】同感圧スイッチを使用した電子機器の画面図
【図10】本発明の異なる実施の形態による感圧スイッチの断面図
【図11】同分解斜視図
【図12】同異なる実施の形態による感圧スイッチの断面図
【図13】同異なる実施の形態による押圧手段とシート抵抗体の斜視図
【図14】本発明の第2の実施の形態による感圧導電ユニットの分解斜視図
【図15】同感圧スイッチの分解斜視図
【図16】同入力装置の分解斜視図
【図17】同入力装置の回路図
【図18】同入力装置の動作説明のための回路図
【図19】同入力装置の動作説明のための回路図
【図20】従来の感圧スイッチの断面図
【図21】同分解斜視図
【図22】従来の感圧スイッチを使用した電子機器の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図19を用いて説明する。
【0031】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0032】
なお、これらの図面のうち断面図は、構成を判り易くするために厚さ方向の寸法を拡大して表わしている。
【0033】
(実施の形態1)
実施の形態1を用いて、本発明の請求項1〜3記載の発明について説明する。
【0034】
図1は本発明の第1の形態による感圧スイッチの断面図、図2は同分解斜視図であり、同図において、21はステンレスなどの金属製で下面開放のカバーで、上面中央には円孔21Aが、内側面には外方に広がった斜面となる斜面部21Bが設けられ、斜面部21Bの外縁は突出した外縁部21Cを形成している。
【0035】
また、22はナイロンなどの絶縁樹脂製で上面視八角形のスライド手段で、カバー21の下方で、カバー21に収納されると共に、略中央には円孔21Aより小さな円孔22Aが空けられ、円孔22Aの外周に設けられた凸部22Bはカバー21の円孔21Aの内側に所定の隙間を空けて組み合わされている。
【0036】
すなわち、スライド手段22はカバー21内で水平方向の全ての方向にスライドが可能になるよう組み合わされて、収納されている。
【0037】
また、23はナイロンなどの絶縁樹脂製の押圧手段で、前後左右の四箇所に略直方体形状の押圧部23Aが形成され、この押圧部23Aは若干細いリム部23Bで結合されてリング状を形成すると共に、スライド手段22をリング状の内側に囲むよう組み合わされている。
【0038】
そして、この押圧部23Aの外側面の上端はカーブ状に形成され、そして内側面がスライド手段22の外周と接しており、スライド手段22と押圧部23Aが共にスライドするよう構成されている。
【0039】
なお、押圧手段23は、各リム部23Bの略中央位置で、接続ピン(図示せず)などでカバー21に係止されており、スライド手段22に押圧されて押圧部23Aがスライドした際には、押圧された押圧部23Aに隣接しているリム部23Bが広がって、弾性復帰力を蓄える構造となっている。
【0040】
さらに、スライド手段22と押圧手段23の下方には、24で示す感圧導電ユニットが上面をスライド手段22と押圧手段23に接するように配置されている。
【0041】
次に、この感圧導電ユニット24の構造について、図3の感圧導電ユニット24の分解斜視図を用いて説明する。
【0042】
まず、25は、ポリエチレンテレフタレ−トやポリカーボネート、ポリイミド等の可撓性を有し、右方向の一端が延出したフィルム状のベースシートで、左半面の略中央位置に円孔25Aを、延出したベースシート右端には絶縁樹脂製のコネクタカバー26を備えている。
【0043】
また、ベースシート25の下面には、銀ペースト等の導電性材料の印刷や、エッチング加工やプレス加工などを用いた導電金属の加工による、複数の線路が設けられ、各線路の右端部はコネクタカバー26の下面に貼り付けられ、コネクタ端子27A〜27Eを形成している。
【0044】
そして、コネクタ端子27A〜27Eのうちコネクタ端子27A〜27Dと接続された線路の左端部は、ベースシート25の下面に円孔25Aを囲んで前後左右の四箇所に印刷形成された、合成樹脂内にカーボン粉を分散したシート抵抗値0.5kΩ〜30kΩ/□の低抵抗体層281A〜Dに接続している。
【0045】
なお、コネクタ端子27Eと接続された線路の左端部は、ベースシート25の下面の左端周辺に延出している。
【0046】
そして、各低抵抗体層281A〜Dの下面には、それぞれシート抵抗値50kΩ〜5MΩ/□の高抵抗体層282A〜Dが重ねて印刷形成され、これらの低抵抗体層281A〜Dと高抵抗体層282A〜Dからシート抵抗体28A〜Dが構成されている。
【0047】
さらに、高抵抗体層282A〜Dの中央部を若干小さな円孔29A〜Dで露出させると共に、コネクタ端子27A〜27Eの右端をコネクタカバー26の下方に露出させて、ベースシート25の下面から絶縁層29が貼り付けられ、感圧導電ユニット24が構成されている。
【0048】
そして、この感圧導電ユニット24の絶縁層29の下方に、金やニッケルなどでめっきが施されたステンレスや黄銅などの導電性で略方形の導電板30が、少なくとも四箇所の各シート抵抗体28A〜Dと対向する様に配置されると共に、上述の感圧導電ユニット24のコネクタ端子27Eの左端は導電板30と接続されている。
【0049】
なお、この導電板30は、シート抵抗体28A〜Dの露出した下面に対し、10〜100μm前後の空隙で対向しており、図4の部分断面図で示すように、例えばシート抵抗体28Aを例として説明すると、低抵抗体層281Aの下面に印刷形成された高抵抗体層282Aの下面には細かな凹凸が全面に設けられ、撓んだ際には、その撓み具合により、高抵抗体層282Aと導電板30の接触面積を変化させる構造となっている。
【0050】
そして、カバー21に収納されたスライド手段22と押圧手段23を、感圧導電ユニット24上面に載置して、その下方に導電板30を配置すると共に、その外縁に設けたコの字状の止部30Aでカバー21の外縁部21Cとその下のベースシート25の端部を挟み込んで、感圧スイッチ31が構成されている。
【0051】
このような感圧スイッチ31は、例えば携帯電話などの電子機器に組み込まれて、図5の断面図および図6の分解斜視図に示すような入力装置が構成されるが同図において、感圧スイッチ31の上面には、絶縁樹脂製の補助釦32、絶縁樹脂製の操作体33、およびシリコーンやエラストマーなどの弾性材からなる押釦ゴム34が載置されている。
【0052】
そして、補助釦32は、上面視略方形で中央に角孔32Aが設けられており、角孔32Aから操作体33の操作部33Aが露出するよう、操作体33と組み合わされている。
【0053】
また、押釦ゴム34は中央部下方に配置され感圧スイッチ31のスライド手段22の円孔22Aに挿入された可動部34Aと、補助釦32の下方の前後左右の四箇所に押圧部34Bを備え、可動部34Aと押圧部34Bとの間は薄肉のリム部34Cで接続されている。
【0054】
また、補助釦32および操作体33の下面は押釦ゴム34の上面に接着剤(図示せず)などで貼り付けられており、補助釦32の下面に前後左右の四箇所の押圧部34Bが、操作体33の下面中央に可動部34Aが位置している。
【0055】
すなわち、操作体33は、補助釦32の角孔32A内でスライド移動が可能であると共に、可動部34Aを下方に押圧することが出来るよう構成されており、補助釦32は前後左右の四箇所の押圧部34Bを下方に押圧することが出来るよう構成されている。
【0056】
そして、35は、導電金属製でカップ状の可動接点体36が貼り付けられた絶縁樹脂製のフィルム37の上面に、端面から進入させた光を所定箇所で発光させる絶縁樹脂製の導光シート38を、接着剤(図示せず)などで貼り付けた可動接点体シートで、可動接点体シート35の中央には、導光シート38の部分だけを四角く切り取った角穴35Aが設けられており、この角穴35Aに感圧スイッチ31が挿入され、フィルム37上面に感圧スイッチ31下面を接して固定されている。
【0057】
また、フィルム37下面の可動接点体36は、前後左右および中央の五箇所に貼り付けられ、中央の可動接点体36は可動部34Aの下方に、前後左右の可動接点体36は押圧部34Bの下方に配置されている。
【0058】
さらに、可動接点体シート35の下面には、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のフィルム状、あるいは紙フェノールやガラス入りエポキシ等の板状の基板39が配置されている。
【0059】
ここで、基板39上下面には銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、上面にはカーボンや銀、銅箔等によって、リング状の固定接点40Aとその中央の円形の固定接点40Bからなる固定接点対40が、前後左右および中央の五箇所に設けられており、中央の固定接点対40が可動部34Aの下方に、前後左右の固定接点対40が可動部34Bの下方に設けられている。
【0060】
つまり、操作体33は、可動部34Aを下方に押圧して中央の可動接点体36を固定接点対40に接触しうるよう構成されると共に、補助釦32は前後左右の四箇所の押圧部34Bを押圧して前後左右の可動接点体36を固定接点対40に接触しうるよう構成されている。
【0061】
さらに、基板39には下面に感圧スイッチ31のコネクタ端子27A〜Eを接続する絶縁樹脂製の接続コネクタ41が設けられると共に、接続コネクタ41に設けられた金属製のコネクタ端子(図示せず)が、配線パターンを介して、定圧電源42、マイコンなどの半導体素子からなる制御手段43、抵抗素子44などで構成された電子回路45に接続されて、入力装置50を構成している。
【0062】
なお、例えばシート抵抗体28Aと導電板30との間の接触抵抗を測る場合には、図4で示すように、制御手段43は一端をグランドに接続した抵抗素子44が並列に接続されて、コネクタ端子27Eを介して導電板30に接続されているため、コネクタ端子27Aを介して定圧電源42から電圧が印加され、シート抵抗体28Aと導電板30との間の接触抵抗値と、抵抗素子44の抵抗値により分圧された電圧が、制御手段43に入力される。
【0063】
そして、このように構成された入力装置50は、例えば図7で示すような表示手段51を備えた電子機器52の上面に操作部33Aを露出させて装着されると共に、例えば図5の矢印Aで示す左方向へ、操作体33の操作部33Aに指を当ててスライド操作すると、図8の断面図に示すように、操作部33Aから押圧されたスライド手段22が左方向へスライド移動し、押圧部23Aを左方向へ押圧する。
【0064】
そして、押圧部23Aのカーブ状の左上側側面が、カバー21の内側壁となる斜面部21Bに接触した後、さらに押圧部23Aが左方向へ押圧され、カーブ状の左上側側面が斜面に沿って斜め下方にスライドし、押圧部23Aの左側面は下方向へスライド移動する。
【0065】
これにより、押圧部23Aの下面が、操作部33Aのスライド操作力に対応した押圧力でベースシート25を押圧し、シート抵抗体28Aが下方へ撓んで、導電板30と電気的に接続される。
【0066】
そして、この後、操作部33Aに対し、さらにスライド操作力を加えると、シート抵抗体28Aの高抵抗体層282A下面には細かな凹凸が形成されており、シート抵抗体28Aの押圧力によってシート抵抗体28Aの導電板30に対する接触面積が増えるため、シート抵抗体28Aと導電板30の間の抵抗値が小さくなる。
【0067】
つまり、制御手段43に入力される電圧は、スライド操作力が低いときには電圧が低く、スライド操作力が高くなるに従って電圧が上昇するものとなっている。
【0068】
そして、この後、さらに押圧すると、スライド操作力が再び増加すると共に、上記のようにシート抵抗体28Aと導電板30の間の抵抗値が小さくなり、電圧がさらに高くなったことを、制御手段43が検出する。
【0069】
また、操作部33Aへのスライド操作力を解除すると、押圧手段23のリム部23Bによる弾性復帰力によって、操作部33Aが中立位置に復帰すると共に、押圧部23Aはシート抵抗体28Aを押圧しなくなるため、シート抵抗体28Aと導電板30の間の抵抗値が増加し、操作部33Aが中立位置に復帰したことを制御手段43が検出する。
【0070】
なお、操作部33Aを前後方向あるいは右方向へスライド操作した場合にも、同様に、上下あるいは右方向のシート抵抗体28B〜Dが、それぞれその上方の押圧部23Aにより押圧され、シート抵抗体28B〜Dが導電板30と接触し、スライド操作力に応じた電圧の変化を制御手段43が検出する。
【0071】
また、操作部33Aが前後左右以外の方向に、スライド操作された場合においても、スライド操作された方向に応じて、前後左右の四方向のシート抵抗体28A〜Dに対する押圧力の割合が変化するため、各シート抵抗体28A〜Dと導電板30との間の抵抗値の差から、制御手段43はスライド操作された方向を検出することができる。
【0072】
そして、操作部33Aが中立復帰した後、操作部33Aを指で押圧すると、可動接点体36がクリック感を伴って弾性反転し、可動接点体36が固定接点対40の固定接点40Aと固定接点40Bに接触し、固定接点40Aと固定接点40Bとの電気的接続が行われる。
【0073】
さらに、操作部33Aから指を離すか、加えていた力を抜くと、可動接点体36が弾性復帰し、可動接点体36が固定接点40Aと固定接点40Bから離れ、電気的接続が切断される。
【0074】
なお、補助釦32の前後左右の四箇所を指で押圧した場合、あるいは指を離した場合においても、操作部33Aを操作していた場合と同様に、可動接点体36は固定接点対40と接離するため、補助釦32のいずれの方向が押圧されたか、制御手段43が検出することができる。
【0075】
そして、このような操作部33Aのスライド操作による電圧変化や、押圧操作による固定接点40Aと固定接点40Bの電気的接離を制御手段43が検出し、制御手段43は、表示手段51の表示の制御を行う。
【0076】
これにより、例えば図9(a)の画面図に示すように、液晶表示素子等の表示手段51に音楽選択の複数のメニュー60が表示された状態で、操作部33Aを左方向へスライド操作した場合には、左方向のシート抵抗体28A〜Dと導電板30との間の接触抵抗値の変化を制御手段43が検出し、表示手段51に表示されたカーソル61を上方向へ一つだけ移動させる。
【0077】
また、ある程度の力で続けてスライド操作された場合には、シート抵抗体28A〜Dと導電板30との間の接触抵抗値の変化を制御手段43が検出し、カーソル61を左方向へ継続して移動させ、さらに強く操作され、接触抵抗値が大きく変化した場合には、カーソル61の移動速度を速める。
【0078】
あるいは、図9(b)に示すように、表示手段51に地図のメニューが表示された状態で、操作部33Aを左方向へスライド操作した場合には、一回だけ操作された時には、制御手段43は、ポインタ62を左方向へ一つだけ移動させ、継続して操作された場合には左方向へ継続して移動させ、さらに強い力で操作された場合にはポインタ62の移動速度を速める。
【0079】
そして、このようにカーソル61やポインタ62を上下や左右方向へ移動させ、選択したいメニュー上や地図上に置いた状態で、操作部33Aに加えたスライド操作力を抜いて、操作部33Aが中立位置に戻るか自然に中立復帰した状態で押圧操作すると、固定接点40Aと固定接点40Bの電気的接続を制御手段43が検出し、例えば、次の複数の曲名が表示された画面や、選択した箇所の拡大地図が表示された画面等に切換わる。
【0080】
つまり、操作部33Aから指を離さずに、スライド操作や押圧操作に応じて、カーソル61やポインタ62の移動量や速度が変わり、あるいは画面の切替えを行うことができるので、操作者は表示手段51を見たまま視線を操作部33Aに外すことなく操作ができ、スムーズな操作が可能となるものである。
【0081】
なお、前後左右にカーソル61やポインタ62を移動させるだけであれば、補助釦32の前後左右の位置を押圧することによっても、カーソル61やポインタ62を移動させることが可能である。
【0082】
このように本実施の形態によれば、スライド手段22を水平面内でスライド移動が可能なようにカバー21に収納し、スライド手段22により押圧された押圧部23Aが、少なくとも四箇所に設けられたシート抵抗体28A〜Dを押圧することで、スライド手段22をスライド移動させるスライド操作力の変化に応じて、シート抵抗体28A〜Dと導電板30との間の抵抗値が変化するものとして感圧スイッチ31を形成することによって、操作部33Aを操作した指を外さないで、様々な方向へカーソル61やポインタ62の操作や、選択したメニュー60を確定する操作を行うことができるため、簡易な構成で多様な操作の可能な感圧スイッチを得ることができるものである。
【0083】
さらに、カバー21から導電板30まで貫通する孔を設けることにより、スライド手段22を孔に挿入した押釦ゴム34の可動部34Aで保持して操作することができ、補助釦32の下方に可動接点体36や固定接点対40などを設けることで、メニュー60を確定する操作など、より多様な操作の可能な感圧スイッチを得ることができる。
【0084】
なお、以上の説明では、ベースシート25下面に低抵抗体層281A〜Dと高抵抗体層282A〜Dを重ねて、シート抵抗体28A〜Dを形成した構成について説明したが、シリコンゴム等の基材内にカーボン等の導電粒子を分散した感圧導電層を用いた構成としても、本発明の実施は可能である。
【0085】
また、以上の説明では、押圧手段23は前後左右の四箇所の押圧部23Aを備え、四箇所のシート抵抗体28A〜Dを押圧するものとして説明したが、押圧手段が前後あるいは左右の二箇所の押圧部を備え、前後あるいは左右のシート抵抗体を押圧するものとして構成しても、本発明の実施は可能である。
【0086】
また、以上の説明では、スライド手段22と押圧手段23は別体で構成するものとして説明したが、スライド手段22と押圧手段23を一体にして、図10の断面図および図11の分解斜視図で示すように、カバー71に収納された上面視略円形のスライド押圧手段72として構成しても良く、これによれば、簡易に押圧スイッチを組み立てることができる。
【0087】
なお、この際スライド押圧手段72の左右に設けた弾性を備えたリム部72Aの所定箇所をカバー71に固定することによって、スライド操作力を抜いたときに、スライド押圧手段72を中央復帰させることができる。
【0088】
また、以上の説明では、押圧部23Aが、カバー21の内側壁で斜面となる斜面部21Bに接触して下方にスライドするものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図12の断面図で示すように、スライド手段73と押圧部74Aの接触部が共に斜面で構成されたものとしても、本発明の実施は可能である。
【0089】
さらに、以上の説明では、押圧手段23は前後左右に押圧部23Aと、それらを結ぶ若干細いリム部23Bを備えて構成されたものとして説明したが、図13の斜視図に示すように、一様の略楕円形の断面形状を備えたドーナツ状の押圧手段75として構成しても良い。
【0090】
また、その際に、前後左右の四箇所に設けたシート抵抗体28A〜Dの代わりに、前後左右およびそれらの中間の計八箇所のシート抵抗体76A〜Hあるいは、四の倍数倍に更に分けて十二箇所、十六箇所のシート抵抗体を設ける構成としても良く、これによればスライド手段のスライド方向の角度分解能が向上し、操作者の操作に、より則したカーソル61あるいはポインタ62の表示を実現することができる。
【0091】
(実施の形態2)
実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項4および請求項5記載の発明について説明する。
【0092】
なお、実施の形態1の構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0093】
図14は、本発明の第2の形態による感圧導電ユニット81の分解斜視図で、同図において、82は、ポリエチレンテレフタレ−トやポリカーボネート、ポリイミド等の可撓性を有し、右方向の一端が延出したフィルム状のベースシートで、左半面の略中央位置に円孔82Aを、延出したベースシート右端には絶縁樹脂製のコネクタカバー83を備えている。
【0094】
また、ベースシート82の下面には、銀ペースト等の導電性材料の印刷や、エッチング加工やプレス加工などを用いた導電金属の加工による、複数の線路84が設けられ、各線路84の右端部はコネクタカバー83の下面に貼り付けられ、コネクタ端子84A〜84Eを形成している。
【0095】
そして、コネクタ端子84A〜84Eのうちコネクタ端子84A〜84Dと接続された線路84の左端の接続端841A〜Dで、ベースシート82の下面に印刷形成された、リング状の低抵抗体層85に接続する。
【0096】
この低抵抗体層85は、合成樹脂内にカーボン粉を分散したシート抵抗値0.5kΩ〜30kΩ/□の抵抗体で、A点〜D点で接続端841A〜Dと接続している。
【0097】
そして、低抵抗体層85の下面には、シート抵抗値50kΩ〜5MΩ/□のリング状の高抵抗体層86が重ねて印刷形成され、これらの低抵抗体層85と高抵抗体層86からシート抵抗体87が構成されている。
【0098】
さらに、高抵抗体層86の下面を露出させて、ベースシート82の下面から絶縁層88が貼り付けられ、感圧導電ユニット81が構成されている。
【0099】
そして、この感圧導電ユニット81は、図15に示す感圧スイッチの分解斜視図において、カバー71、スライド押圧手段72、導電板30と共に感圧スイッチ90を構成する。
【0100】
ここで、全体的な構成は実施の形態1の図11を用いて説明したものと同様で、感圧導電ユニット24が感圧導電ユニット81になる点だけが異なっている。
【0101】
このような感圧スイッチ90は、例えば携帯電話などの電子機器に組み込まれて、図16の分解斜視図に示すような入力装置100が構成されるが、実施の形態1の入力装置の構成と同様に、感圧スイッチ90の上面に補助釦32、操作体33、押釦ゴム34が載置される。
【0102】
また、感圧スイッチ90が可動接点体シート35上に載置される点も実施の形態1の入力装置の構成と同様で、基板39上面に複数の固定接点対40、接続コネクタ41、定圧電源42、制御手段43、抵抗素子44が配置されている点も同様である。
【0103】
しかしながら、実施の形態2では、半導体素子などで構成され制御手段43に接続されたスイッチ手段91が基板39上面に配置されている点が異なる。
【0104】
次に、この入力装置100の電気的構成について、図17の回路図を用いて説明すると、同図において、シート抵抗体87の低抵抗体層85のA点〜D点に接続されたコネクタ端子84A〜84Dは、スイッチ手段91のスイッチ91A〜Dと接続している。
【0105】
ここで、スイッチ91A、91Dは定圧電源(例えば+5V)に接続した状態と開放状態を切替えるもので、スイッチ91B、91Cはアース電位(0V)に接続した状態と開放状態を切替えるもので、初期状態は、スイッチ91Aが定圧電源に接続した状態で、スイッチ91B〜Dは全て開放状態になっている。
【0106】
なお、定圧電源の電圧としては0.1V以上30V以下とすることができ、1V以上15V以下がより望ましい。
【0107】
さらに、導電板30は端子91Eを介し、分岐した一端が制御手段43に接続されてVinで示す電圧信号を制御手段43に入力し、他端が抵抗素子44を介してスイッチ91Eに接続され、スイッチ91Eは初期状態ではアース電位に接続した状態になっている。
【0108】
さらに、スイッチ91A〜91Eのスイッチ切替えは、制御手段43からの出力信号S1により行われ、スイッチ91A〜91Eのスイッチ切替え結果に応じて、電圧信号Vinが変化する。
【0109】
このように構成された入力装置100において、操作者が、操作部33Aをスライド操作した結果、例えばシート抵抗体87のP点がスライド押圧手段72に押圧されたとすると、シート抵抗体87と導電板30の接触面積が変化し、Rpで示すシート抵抗体87と導電板30の間の接触抵抗が変化する。
【0110】
そして、制御手段43は操作部33Aをスライド操作力に対応したP点の押圧力の推定処理を行うもので、スイッチ91Aから定圧電源が印加され、スイッチ91Eはアース電位に接続されるため、電圧信号Vinは、シート抵抗体87と導電板30の間の接触抵抗RpとA点−P点間の線路抵抗Rapの和である(Rp+Rap)と、抵抗素子44の抵抗値Rとの分圧比で決定される。
【0111】
そして、制御手段43は後述する第一〜第三の方向推定手順を経て操作部33Aをスライド操作方向に対応したP点の押圧方向を推定後、A点−P点間の線路抵抗Rapを補正する補正手順を行い、シート抵抗体87と導電板30の間の接触抵抗Rpを算出する。
【0112】
この補正手順について具体的に説明すると、まず、制御手段43は、例えば制御手段43内に設けられた電圧信号Vinと(Rp+Rap)の対比テーブルに基づき、(Rp+Rap)の抵抗値を推定する。
【0113】
そして、制御手段43がP点の押圧方向を推定した後、例えば、A点−C点間の線路抵抗が既知の値であるRacでその間の円弧に対応する角度がα度、推定されたP点の押圧方向に対応する角度がβ度であるとすれば、A点−P点間の線路抵抗Rapである、Rac×β/αを算出する。
【0114】
そして、制御手段43は(Rp+Rap)からA点−P点間の線路抵抗Rapを減じて接触抵抗Rpを算出し、例えば制御手段43内に設けられた接触抵抗Rpと押圧力の対比テーブルに基づき、P点の押圧力、つまり操作部33Aのスライド操作力を推定する。
【0115】
また、次に第一〜第三の方向推定手順について順を追って説明する。
【0116】
ここで、制御手段43は第一〜第三の方向推定手順に従い、P点の押圧方向を推定するが、その際、制御手段43は制御信号S1により、図18の回路図で示すように、スイッチ91Aを開放状態から定圧電源に接続した状態に切替え、スイッチ91Cを開放状態からアース電位に接続した状態に切替え、スイッチ91Eを開放状態に切替える。
【0117】
これにより、図18の経路A点−P点−C点間のP点での分圧比に対応した電圧が、シート抵抗体87と導電板30の接触抵抗Rpを介して制御手段43に入力電圧Vinとして入力される。
【0118】
そして、制御手段43は、例えば制御手段43内に設けられた電圧信号Vinと押圧方向の対比テーブルに基づき押圧方向を推定するものであるが、ここでシート抵抗体87はリング形状であるので、操作部33Aのスライド操作方向は電圧信号Vinが同値となる仮想押圧点Q点またはP点の方向であると推定する(第一の方向推定手順)。
【0119】
そして、次に制御手段43は図19の回路図で示すように、スイッチ91Aを開放状態に、スイッチ91Bをアース電位に、スイッチ91Cを開放状態に、スイッチ91Dを定圧電源に接続する状態にそれぞれ切替える。
【0120】
これにより、図19の経路D点−P点−B点間のP点での分圧比に対応した電圧が、シート抵抗体87と導電板30の接触抵抗Rpを介して制御手段43に入力電圧Vinとして入力される。
【0121】
そして、制御手段43は、例えば制御手段43内に設けられた電圧信号Vinと押圧方向の対比テーブルに基づき、操作部33Aのスライド操作方向はP点又は仮想押圧点R点の方向であると押圧方向を推定する(第二の方向推定手順)。
【0122】
さらに、制御手段43は、第一の方向推定手順の結果と第二の方向推定手順の結果を比較し、操作部33Aのスライド操作方向はP点の方向であると推定する(第三の方向推定手順)。
【0123】
つまり、所定の面抵抗を備えた抵抗体層に電圧を印加することにより、押圧方向により異なる入力電圧が制御手段43に入力されるため、制御手段43は押圧方向つまり操作部33Aのスライド操作方向を推定しうる。
【0124】
そして、リング状のシート抵抗体87のように所定の電位差を生じるための経路が複数存在する場合であっても、電圧の印加位置を変えた第一の方向推定手順の結果と第二の方向推定手順の結果を比較し、それぞれの押圧方向の推定結果を対照する第三の方向推定手順を行うことにより、正確にスライド操作方向を決定することが可能となる。
【0125】
そして、このような操作部33Aのスライド操作による電圧変化を制御手段43が検出し、例えば実施の形態1において説明した図9(b)に示すように、表示手段51に地図のメニューが表示された状態で、操作部33Aを左方向へスライド操作した場合には、一回だけ操作された時には、制御手段43は、ポインタ62を左方向へ一つだけ移動させ、継続して操作された場合には左方向へ継続して移動させ、さらに強い力で操作された場合にはポインタ62の移動速度を速める。
【0126】
また、操作部33Aを左方向から若干ずれた斜め方向へスライド操作した場合においても、制御手段43がスライド操作方向を検出し、操作方向に対し正確にポインタ62の移動を行う。
【0127】
なお、操作部33Aへのスライド操作力を解除すると、操作部33Aが中立位置に復帰することは実施の形態1で説明したのと同様である。
【0128】
つまり、実施の形態1と比べ、操作者が操作部33Aから指を離さずに、スライド操作や押圧操作に応じて、カーソル61やポインタ62の移動量や速度が変わり、あるいは画面の切替えを行うことができるので、操作者は表示手段51を見たまま視線を操作部33Aに外すことなく操作ができ、スムーズな操作が可能となるものである。
【0129】
なお、上述の説明においては、シート抵抗体87の形状はリング状のものとして説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、線状の抵抗体層を円弧状またはスパイラル状に配置しても実施することは可能である。
【0130】
その際には、電圧の印加位置を変えた第一の方向推定手順の結果と第二の方向推定手順の結果を比較する必要は無く、線状の抵抗体層の両端を異なる電位に接続すれば、抵抗体層内に所望の電圧分布を生じさせることが出来るため、第一の方向推定手順の結果のみから正確にスライド操作方向を推定しうる。
【0131】
また、上述の説明においては、P点の押圧力によりスライド操作力の推定処理を行う際に、制御手段43が補正手順を行うものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、シート抵抗体87のA点〜D点のうち複数の点を定圧電源に接続するものとして入力装置100を構成すれば、定圧電源に接続された点から押圧されたP点までの線路抵抗によるP点の押圧力の推定誤差が小さくなり、制御手段43が補正手順を行わなくても、ほぼ正確なスライド操作力の推定ができる。
【0132】
なお、この場合、A点〜D点の四箇所全てを定圧電源に接続すれば、定圧電源に接続された点から押圧されたP点までの線路抵抗によるP点の押圧力の推定誤差が最も小さくなり、制御手段43は精度良くスライド操作力を推定しうる。
【0133】
また、上述の説明では、スライド押圧手段72により感圧スイッチが構成されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スライド押圧手段72を実施の形態1で説明したスライド手段と押圧手段により構成されるものとしても良い。
【0134】
このように本実施の形態によれば、シート抵抗体をリング状または円弧状またはスパイラル状にしたものであり、水平面全面となる360度方向などの所定の角度範囲にシート抵抗体を配置することが出来るため、スライド方向の柔軟性が高く簡易で多様な操作の可能な感圧スイッチを得ることができるものである。
【0135】
また、感圧スイッチと、感圧スイッチに接続されたスイッチ手段と、感圧スイッチと前記スイッチ手段に接続された制御手段と、所定電圧の定圧電源とを備え、感圧スイッチのシート抵抗体に接続された端子を定圧電源に接続し、感圧スイッチの導電板に接続された端子を前記制御手段に接続し、制御手段はシート抵抗体を押圧した押圧方向を、制御手段に感圧スイッチの導電板を介して入力された入力電圧に基づいて推定するものであり、操作者が押圧する方向の変化に従って変化する所定の電圧分布をシート抵抗体に生じさせるため、例えば操作者がスライド操作により操作した方向を高精度に検出でき、多様な操作の可能な入力装置を得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明による感圧スイッチおよびこれを用いた入力装置は、簡易で多様な操作の可能なものを得ることができるという有利な効果を有し、各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0137】
21 カバー
21A 円孔
21B 斜面部
21C 外縁部
22 スライド手段
22A 円孔
22B 凸部
23 押圧手段
23A 押圧部
23B リム部
24 感圧導電ユニット
25 ベースシート
26 コネクタカバー
27A〜E コネクタ端子
28A〜D シート抵抗体
281A〜D 低抵抗体層
282A〜D 高抵抗体層
29 絶縁層
30 導電板
31 感圧スイッチ
32 補助釦
32A 角孔
33 操作体
33A 操作部
34 押釦ゴム
34A 可動部
34B 押圧部
34C リム部
35 可動接点体シート
36 可動接点体
37 フィルム
38 導光シート
39 基板
40 固定接点対
40A、40B 固定接点
41 接続コネクタ
42 定圧電源
43 制御手段
44 抵抗素子
50 入力装置
51 表示手段
52 電子機器
60 メニュー
61 カーソル
62 ポインタ
81 感圧導電ユニット
82 ベースシート
83 コネクタカバー
84 線路
85 低抵抗体層
86 高抵抗体層
87 シート抵抗体
88 絶縁層
90 感圧スイッチ
91 スイッチ手段
100 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーと、
前記カバーに収納され、水平方向に押圧してスライド移動可能なスライド手段と、
前記スライド手段に内側面が接して、前記スライド手段に押圧されて移動可能な押圧部を備えた押圧手段と、
前記押圧部にその上面が接したシート抵抗体と、
前記シート抵抗体下方に所定の空隙を設けて配置された導電板を備えて構成され、
前記スライド手段は水平面内でスライド移動が可能であり、
前記押圧部が前記シート抵抗体を押圧することにより、
前記スライド手段をスライド移動させるスライド操作力の変化に応じて、前記シート抵抗体と前記導電板との間の抵抗値が変化する感圧スイッチ。
【請求項2】
前記カバーと、前記スライド手段と、前記シート抵抗体と、前記導電板には、
前記カバーから前記導電板まで貫通する孔が設けられた請求項1記載の感圧スイッチ。
【請求項3】
前記スライド手段と、前記押圧手段とが、スライド押圧手段として、一体で構成された請求項1記載の感圧スイッチ。
【請求項4】
シート抵抗体がリング状または円弧状またはスパイラル状である請求項1記載の感圧スイッチ。
【請求項5】
請求項4記載の感圧スイッチと、前記感圧スイッチに接続されたスイッチ手段と、前記感圧スイッチと前記スイッチ手段に接続された制御手段と、所定電圧の定圧電源とを備え、前記感圧スイッチのシート抵抗体に接続された端子を定圧電源に接続し、感圧スイッチの導電板に接続された端子を前記制御手段に接続し、前記制御手段は前記シート抵抗体を押圧した押圧方向を、前記制御手段に前記感圧スイッチの導電板を介して入力された入力電圧に基づいて推定する入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−14521(P2011−14521A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265969(P2009−265969)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】