説明

感度温特補正回路

【課題】出力信号の感度温度係数を低減することができる感度温特補正回路を提供する。
【解決手段】センサ部30から物理量に応じた検出信号が入力されると共に可変抵抗R2を介して基準電圧が入力される第1オペアンプ1を有し、第1オペアンプ1に可変抵抗R2と抵抗温度係数の異なる帰還抵抗としての可変抵抗R1が接続されて構成される第1感度温特調整部10と、第1感度温特調整部10から出力された出力信号が入力される第2オペアンプ2を有し、第2オペアンプ2に接続される帰還抵抗R3と、第2オペアンプ2の入力端子に接続されると共に第1オペアンプ1の出力端子に接続され、第2オペアンプ2に接続された帰還抵抗R3と抵抗温度係数の異なる可変抵抗R4と、を有する第2感度温特調整部20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量に応じた検出信号を出力するセンサ部の感度温度係数を補正する感度温特補正回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、物理量に応じた検出信号を出力するセンサ部の感度温度係数を補正する感度温特補正回路として、オペアンプと抵抗とを有する感度温特調整部を備えたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、この感度温特補正回路における感度温特調整部では、オペアンプに入力抵抗および帰還抵抗が接続されており、これら入力抵抗と帰還抵抗とは抵抗温度係数がそれぞれ異なっている。つまり、感度温特補正回路(感度温特調整部)の抵抗温度係数は、入力抵抗の抵抗温度係数をTCRi、帰還抵抗の抵抗温度係数をTCRfとした場合、(TCRi−TCRf)と示される。
【0004】
したがって、このような感度温特補正回路では、センサ部の感度温度係数を考慮して入力抵抗および帰還抵抗の抵抗温度係数を適宜選択することにより、出力される出力信号の感度温度係数を小さくすることができる。例えば、センサ部(センサ部の検出信号)の感度温度係数が500ppm/℃である場合には、入力抵抗の抵抗温度係数TCRiを800ppm/℃、帰還抵抗の抵抗温度係数TCRfを1200pppm/℃にすることにより、感度温特補正回路の感度温度係数が−400ppm/℃になるため、感度温特補正回路から出力される出力信号の感度温度係数を100ppm/℃にまで低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−42870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような感度温特補正回路では、センサ部の感度温度係数に対して入力抵抗と帰還抵抗との差分以上に感度温度係数の補正を行うことができないという問題がある。すなわち、上記のように、入力抵抗の抵抗温度係数TCRiが800ppm/℃、帰還抵抗の抵抗温度係数TCRfが1200pppm/℃である場合には、センサ部(センサ部の検出信号)の感度温度係数より−400ppm/℃しか小さくすることができない。そして、現状では、さらに出力信号の感度温度係数を低減することができる感度温特補正回路が望まれている。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、出力信号の感度温度係数を低減することができる感度温特補正回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、センサ部(30)から物理量に応じた検出信号が入力されると共に可変抵抗(R2)を介して基準電圧が入力される第1オペアンプ(1)を有し、第1オペアンプ(1)に可変抵抗(R2)と抵抗温度係数の異なる帰還抵抗としての可変抵抗(R1)が接続されて構成される第1感度温特調整部(10)と、第1感度温特調整部(10)から出力された出力信号が入力される第2オペアンプ(2)を有し、第2オペアンプ(2)に接続される帰還抵抗(R3)と、第2オペアンプ(2)の入力端子に接続されると共に第1オペアンプ(1)の出力端子に接続され、第2オペアンプ(2)に接続された帰還抵抗(R3)と抵抗温度係数の異なる可変抵抗(R4)と、を有する第2感度温特調整部(20)と、を備えていることを特徴としている。
【0009】
このような感度温特補正回路では、第1感度温特調整部(10)と、上記構成の第2感度温特調整部(20)とを有している。すなわち、第1感度温特調整部(10)のみで出力信号の感度温度係数を補正していた従来の感度温特補正回路に対し、第1、第2感度温特調整部(10、20)で感度温特係数を補正することができる。このため、可変抵抗(R1、R2、R4)の抵抗温度係数、可変抵抗(R1、R2、R4)および抵抗(R3)の抵抗値を適宜選択することにより、センサ部(30)の検出信号の感度温度係数から第1オペアンプ(1)に接続された可変抵抗(R1、R2)の抵抗温度係数の差分を減算した値より第2オペアンプ(2)から出力される出力信号の感度温度係数を小さくすることができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明のように、第2オペアンプ(2)を、反転入力端子に第2オペアンプ(2)に接続される帰還抵抗(R3)と抵抗温度係数が等しい可変抵抗(R5)を備え、センサ部(30)の検出信号が当該可変抵抗(R5)を介して反転入力端子に入力されると共に当該反転入力端子に第1感度温特調整部(10)の出力信号が入力されるものとすることができる。
【0011】
これによれば、第2オペアンプ(2)には帰還抵抗(R3)と抵抗温度係数が等しい可変抵抗(R5)を介してセンサ部(30)からの電気信号が入力されるため、可変抵抗(R5)を適宜選択することにより、感度温特補正回路の室温における増幅率が製品毎にばらつくことを抑制することができる。
【0012】
そして、請求項3に記載の発明のように、第1オペアンプ(1)および第2オペアンプ(2)にボルテージフォロワを構成する第3オペアンプ(3)を介してセンサ部(3)からの電気信号が入力されるようにすることができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明のように、第1オペアンプ(1)にセンサ部(30)からの電気信号が非反転入力端子に入力されるようにすることができる。
【0014】
さらに、請求項5に記載の発明のように、第1感度温特調整部(10)を、可変抵抗を介して基準電圧が入力されると共に当該可変抵抗と抵抗温度係数の異なる帰還抵抗としての可変抵抗を備えた第4オペアンプを有する構成とし、第2オペアンプ(2)の反転入力端子を第4オペアンプを介して第1オペアンプ(2)の出力端子と接続することができる。
【0015】
また、請求項6に記載の発明のように、第1感度温特調整部(1)を第1オペアンプ(1)に加えて可変抵抗(R7)を介して基準電圧が入力されると共に当該可変抵抗(R7)と抵抗温度係数の異なる帰還抵抗としての可変抵抗(R6)を備えた反転用の第4オペアンプ(4)を有するものとすることができる。そして、第1オペアンプ(1)にセンサ部(30)からの電気信号が反転入力端子に入力され、第4オペアンプ(4)に第1オペアンプ(1)からの電気信号が反転入力端子に入力されるようにし、第2オペアンプ(2)の反転入力端子を第4オペアンプ(4)を介して第1オペアンプ(2)の出力端子と接続することができる。
【0016】
このように、センサ部(30)からの検出信号を第1オペアンプ(1)の反転入力端子に入力されるようにすることもできる。
【0017】
そして、請求項7に記載の発明のように、可変抵抗をスイッチング素子を介して複数の抵抗のうちから選択的に接続された一つの抵抗で構成することができる。
【0018】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態における感度温特補正回路の回路図である。
【図2】本発明の他の実施形態における感度温特補正回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における感度温特補正回路の回路図である。
【0021】
図1に示されるように、感度温特補正回路100は、第1オペアンプ1を有する第1感度温特調整部10と、第2オペアンプ2を有する第2感度温特調整部20と、ボルテージフォロワを構成する第3オペアンプ3とを備えた構成とされている。そして、センサ部30とCV変換回路31を介して接続されている。
【0022】
センサ部30は、感度温度係数を有するものが用いられ、例えば、可動電極と固定電極とを備え、印加された加速度に応じて可動電極と固定電極との間の容量が変化する加速度センサが用いられる。なお、センサ部30は、もちろんこれに限定されるものではなく、例えば、圧力センサ、角速度センサ、湿度センサ等であってもよい。
【0023】
第1感度温特調整部10は、第1オペアンプ1および可変抵抗R1、R2により構成されている。第1オペアンプ1の非反転入力端子は第3オペアンプ3の出力端子に接続されており、第3オペアンプ3を介してセンサ部30からの検出信号が入力される。また、第1オペアンプ1の反転入力端子は帰還抵抗としての可変抵抗R1を介して出力端子に接続されていると共に可変抵抗R2を介して基準電圧Vrefが入力されるようになっている。そして、可変抵抗R1、R2は互いに抵抗温度係数が異なるものとされている。
【0024】
なお、可変抵抗R1、R2は、特に図示しないが、スイッチング素子を介して、抵抗温度係数の異なる複数の抵抗のうちから選択的に接続された一つの抵抗で構成されている。また、抵抗温度係数の異なる複数の抵抗とは、例えば、クロムシリコンで構成された抵抗、拡散抵抗、ポリシリコンで構成された抵抗、トランジスタのON抵抗等である。
【0025】
第2感度温特調整部20は、第2オペアンプ2、抵抗R3、可変抵抗R4、R5を有して構成されている。第2オペアンプ2の反転入力端子は、出力端子と帰還抵抗(以下、単に抵抗という)R3を介して接続されている。また、反転入力端子は、可変抵抗R4を介して第1オペアンプ1の出力端子と接続されていると共に、抵抗R3と抵抗温度係数が等しくされている可変抵抗R5を介して第3オペアンプ3の出力端子と接続されている。そして、第2オペアンプ2の非反転入力端子には基準電圧Vrefが入力されるようになっている。
【0026】
なお、可変抵抗R4も可変抵抗R1、R2と同様に、特に図示しないが、スイッチング素子を介して、抵抗温度係数の異なる複数の抵抗のうちから選択的に接続された一つの抵抗で構成されている。
【0027】
また、可変抵抗R5は、可変抵抗R1、R2、R4と同様に、スイッチング素子を介して、複数の抵抗のうちから選択的に接続された一つの抵抗で構成されるものであるが、これら複数の抵抗の抵抗温度係数は抵抗R3と全て等しくされている。すなわち、可変抵抗R5を構成する各抵抗は、抵抗値のみが互いに異なっている。これは、以下の理由による。
【0028】
つまり、第1オペアンプ1に接続される可変抵抗R1、R2、R4は、上記のように複数の抵抗温度係数の異なる抵抗から選択的に接続された1つの抵抗で構成され、選択された抵抗によって抵抗値が異なる。この場合、抵抗R3と抵抗温度係数が等しい可変抵抗R5を備えない構成とすると、感度温特補正回路100の室温における増幅率が可変抵抗R1、R2、R4を構成する抵抗の抵抗値によって変化してしまう。このため、可変抵抗R5を適宜調整することにより、感度温特補正回路100の室温における増幅率を所望の値とすることができるようにしている。すなわち、可変抵抗R5は、感度温特補正回路100の増幅率のばらつきを抑制する機能を果すものである。
【0029】
第3オペアンプ3はボルテージフォロワを構成するものであり、CV変換回路31を介してセンサ部30と接続されている。そして、CV変換回路31を介して入力されたセンサ部30の検出信号を低インピーダンスに変換して出力する。
【0030】
次に、上記感度温特補正回路100の作動について図1を参照しつつ説明する。なお、以下では、可変抵抗R1、抵抗R3、可変抵抗R5の抵抗温度係数が等しく、可変抵抗R2、R4の抵抗温度係数が等しい感度温特補正回路100について説明する。
【0031】
まず、第3オペアンプ3に入力される検出信号をVin、検出信号Vinの感度温度係数をα、可変抵抗R1、抵抗R3、可変抵抗R5の抵抗温度係数をβ、可変抵抗R2、R4の抵抗温度係数をγ、基準電圧Vrefは温度係数を持たないものと仮定する。なお、第3オペアンプ3に入力される検出信号とは、本実施形態では、上記CV変換回路31を介して入力されるセンサ部30からの検出信号のことであり、検出信号Vinの感度温度係数とは言い換えるとセンサ部30の感度温度係数のことである。
【0032】
この場合、抵抗R1〜R5、検出信号Vinの温度特性を考慮しないと、第3オペアンプ3からの出力信号V1、第1オペアンプ1からの出力信号V2、第2オペアンプ2からの出力信号V0はそれぞれ次式のようになる。
【0033】
【数1】

【0034】
【数2】

【0035】
【数3】

次に、数式3に数式1および2を代入し、検出信号Vinの感度温度係数、抵抗R1〜R5の抵抗温度係数を考慮すると、上記数式3は次式のようになる。
【0036】
【数4】

上記数式4において、Tempはセンサ部30の周囲の温度、25は室温であり、(Temp−25)はセンサ部30の周囲の温度変化を示している。この数式4より、抵抗R1〜R5の抵抗値、抵抗R1〜R5の抵抗温度係数を適宜選択することにより、第2オペアンプ2から出力される出力信号の感度温度係数を所望の値にすることができることが理解できる。
【0037】
次に、具体的な効果について説明する。なお、以下では、基準電圧Vref=2.5V、センサ部30の周囲の温度が室温(25℃)から85℃に変化した場合を例に挙げて説明する。
【0038】
例えば、可変抵抗R1の抵抗値=10kΩ、可変抵抗R2の抵抗値=10kΩ、抵抗R3の抵抗値10kΩ、可変抵抗R4の抵抗値=25kΩ、可変抵抗R5の抵抗値=50kΩ、検出信号Vinの感度温度係数α=2400ppm/℃、可変抵抗R1、抵抗R3、可変抵抗R5の抵抗温度係数β=100ppm/℃、可変抵抗R2、R4の抵抗温度係数γ=1300ppm/℃とする。そして、検出信号Vinは、室温(25℃)から85℃の範囲内で2Vから3Vであるものとする。
【0039】
この場合、第2オペアンプ2から出力される出力信号V0は、検出信号Vinが2Vである場合には、上記抵抗値、抵抗温度係数、感度温度係数を数式4に代入すると2.695Vとなる。また、検出信号Vinが3Vである場合には、上記抵抗値、抵抗温度係数、感度温度係数を数式4に代入すると1.641Vとなる。すなわち、第2オペアンプ2(感度温特補正回路100)から出力される出力信号は、検出信号Vinとして2Vが入力された場合と3Vが入力された場合との電圧差が1.054Vとなっている。つまり、上記のように抵抗値、抵抗温度係数、感度温度係数を選択することにより、感度温特補正回路100から出力される出力信号の感度温度係数を900ppm/℃まで低減することができる。
【0040】
また、例えば、抵抗R1の抵抗値=30kΩ、抵抗R2の抵抗値=10kΩ、抵抗R3の抵抗値10kΩ、抵抗R4の抵抗値=50kΩ、抵抗R5の抵抗値=50kΩ、Vinの感度温度係数α=2400ppm/℃、可変抵抗R1、抵抗R3、可変抵抗R5の抵抗温度係数β=100ppm/℃、可変抵抗R2、R4の抵抗温度係数γ=1300ppm/℃とする。そして、検出信号Vinは、室温(25℃)から85℃の範囲内で2Vから3Vであるものとする。
【0041】
この場合、第2オペアンプ2から出力される出力信号V0は、検出信号Vinが2Vである場合には、上記抵抗値、抵抗温度係数、感度温度係数を数式4に代入すると2.693Vとなる。また、検出信号Vinが3Vである場合には、上記抵抗値、抵抗温度係数、感度温度係数を数式4に代入すると1.653Vとなる。すなわち、第2オペアンプ2(感度温特補正回路100)から出力される出力信号は、検出信号Vinとして2Vが入力された場合と3Vが入力された場合との電圧差が1.040Vとなっている。つまり、上記のように抵抗値、抵抗温度係数、感度温度係数を選択することにより、感度温特補正回路100から出力される出力信号の感度温度係数を667ppm/℃まで低減することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の感度温特補正回路100によれば、可変抵抗R1、R2、R4の抵抗温度係数、可変抵抗R1、R2、R4、R5および抵抗R3の抵抗値を適宜選択することにより、第1オペアンプ1に接続されている可変抵抗R1と可変抵抗R2の抵抗温度係数の差分以上に出力信号の感度温度係数を補正することができる。すなわち、上記した例では、可変抵抗R1と可変抵抗R2の抵抗温度係数の差分は1200ppm/℃であるため、従来の感度温特補正回路では、検出信号Vinの感度温度係数が2400ppm/℃である場合には、出力信号の感度温度係数を1200ppm/℃までしか低減することができない。しかしながら、本実施形態の感度温特補正回路100では、上記のように、出力信号の感度温度係数を900℃/ppmや667ppm/℃まで低減することができ、可変抵抗R1、R2、R4の抵抗温度係数、可変抵抗R1、R2、R4、R5および抵抗R3の抵抗値を適宜選択することによりさらに出力信号の感度温度係数を小さくすることができる。
【0043】
次に、実際の調整手順について説明する
このような感度温特補正回路100では、作業者は、まず、可変抵抗R1、R2、R4、R5に接続される任意のスイッチング素子を選択的にオンにし、感度温特補正回路100の抵抗温度係数がゼロになるようにする。その後、センサ部30と接続し、センサ部30の感度温度係数を測定する。すなわち、温度を変化させた場合に、センサ部30の感度がどのように変化するのかを測定する。次に、測定したセンサ部30の感度温度係数をキャンセルするように可変抵抗R1、R2、R4の抵抗温度係数を選択すると共に、感度温特補正回路100の増幅率が所望の値となるように可変抵抗R5の抵抗値を選択する。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の感度温特補正回路100では、第1感度温特調整部10と、上記構成の第2感度温特調整部20を備えている。このため、可変抵抗R1、R2、R4の抵抗温度係数、可変抵抗R1、R2、R4、R5および抵抗R3の抵抗値を適宜選択することにより、センサ部30の検出信号の感度温度係数から第1オペアンプ1に接続された可変抵抗R1、R2の抵抗温度係数の差分を減算した値より第2オペアンプ2(感度温特補正回路100)から出力される出力信号の感度温度係数を小さくすることができる。
【0045】
また、第2オペアンプ2の反転入力端子には、抵抗R3と抵抗温度係数の等しい可変抵抗R5を介して第3オペアンプ3からの検出信号が入力されるようになっている。このため、可変抵抗R5の抵抗値を調整することにより、感度温特補正回路100の室温における増幅率を調整することができ、製品毎に増幅率がばらつくことを抑制することができる。
【0046】
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、ボルテージフォロワを構成する第3オペアンプ3を有するものについて説明したが、この第3オペアンプ3はなくてもよい。すなわち、センサ部30からの検出信号がそのまま第1オペアンプ1および第2オペアンプ2に入力されるようにしてもよい。
【0047】
また、上記第1実施形態では、可変抵抗R1、抵抗R3、可変抵抗R5の抵抗温度係数が等しいと共に可変抵抗R2、R4の抵抗温度係数が等しい場合について説明したが、例えば、可変抵抗R1と抵抗R3の抵抗温度係数が異なっていてもよいし、可変抵抗R2と可変抵抗R4の抵抗温度係数が異なっていてもよい。
【0048】
さらに、上記第1実施形態では、第1オペアンプ1の非反転入力端子を第3オペアンプ1の出力端子と接続した例について説明したが、第1オペアンプ1の反転入力端子を第3オペアンプ1の出力端子と接続することもできる。この場合は、第1オペアンプ1の出力が反転するため、第1オペアンプ1の出力をさらに反転させるオペアンプを備えた構成とすればよい。図2は、他の実施形態における感度温特補正回路100の回路図である。
【0049】
図2に示されるように、第1感度温特調整部10は、第1オペアンプ1に加えて反転用の第4オペアンプ4を有して構成されている。そして、第1オペアンプ1の反転入力端子は第3オペアンプの出力端子に接続されており、非反転入力端子は可変抵抗R1を介して出力端子に接続されていると共に可変抵抗R2を介して基準電圧Vrefが入力されるようになっている。また、第4オペアンプ4の反転入力端子は第1オペアンプ1の出力端子に接続されており、非反転入力端子は可変抵抗R6を介して出力端子に接続されていると共に可変抵抗R7を介して基準電圧Vrefが入力されるようになっている。なお、可変抵抗R6、R7は互いに抵抗温度係数が異なるものとされている。
【0050】
このように、第1オペアンプ1の反転入力端子を第3オペアンプ3の出力端子と接続する場合には、第1オペアンプ1の出力端子から出力される信号が反転信号となるため、第1感度温特調整部10に反転用の第4オペアンプ4を備えればよい。つまり、第1オペアンプ1の反転入力端子を第3オペアンプ3の出力端子と接続する場合には、第1感度温特調整部10に、第1オペアンプ1を含んだオペアンプの数が偶数個となるようにし、各オペアンプから出力される信号が反転信号となるようにすればよい。また、第1感度温特調整部10を複数のオペアンプで構成することにより、さらに出力信号の感度温度係数を小さくすることができる。
【0051】
さらに、上記第1実施形態においても、第1感度温特調整部10を複数のオペアンプを有する構成とすることもできる。すなわち、例えば、第1感度温特調整部10は、第1オペアンプ1と、反転入力端子に可変抵抗を介して基準電圧が入力されると共に当該可変抵抗と抵抗温度係数の異なる帰還抵抗としての可変抵抗を備え、反転入力端子と第1オペアンプ1の出力端子とが接続される第4オペアンプ4を有する構成とすることができる。そして、第4オペアンプ4を介して第2オペアンプ10の反転入力端子を第1オペアンプ1の出力端子と接続したものとすることができる。
【0052】
また、上記第1実施形態では、第2オペアンプ2に可変抵抗R5を介して第3オペアンプ3からの出力信号が入力される例について説明したが、第2オペアンプ2に第3オペアンプ3からの出力信号が入力されない構成とすることもできる。このような構成においても、第1感度温特調整部10のみで出力信号の感度温度係数を補正していた従来の感度温特補正回路に対して、第1、第2感度温特調整部10、20で出力信号の感度温特係数を補正することができるため、出力信号の感度温度係数を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 第1オペアンプ
2 第2オペアンプ
3 第3オペアンプ
10 第1感度温特調整部
20 第2感度温特調整部
R1 可変抵抗
R2 可変抵抗
R3 抵抗
R4 可変抵抗
R5 可変抵抗
30 センサ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ部(30)から物理量に応じた検出信号が入力されると共に可変抵抗(R2)を介して基準電圧が入力される第1オペアンプ(1)を有し、前記第1オペアンプ(1)に前記可変抵抗(R2)と抵抗温度係数の異なる帰還抵抗としての可変抵抗(R1)が接続されて構成される第1感度温特調整部(10)と、
前記第1感度温特調整部(10)から出力された出力信号が入力される第2オペアンプ(2)を有し、前記第2オペアンプ(2)に接続される帰還抵抗(R3)と、前記第2オペアンプ(2)の入力端子に接続されると共に前記第1オペアンプ(1)の出力端子に接続され、前記第2オペアンプ(2)に接続された前記帰還抵抗(R3)と抵抗温度係数の異なる可変抵抗(R4)と、を有する第2感度温特調整部(20)と、を備えていることを特徴とする感度温特補正回路。
【請求項2】
前記第2オペアンプ(2)は、反転入力端子に前記第2オペアンプ(2)に接続される前記帰還抵抗(R3)と抵抗温度係数が等しい可変抵抗(R5)が備えられており、前記センサ部(30)の前記検出信号が当該可変抵抗(R5)を介して反転入力端子に入力されると共に当該反転入力端子に前記第1感度温特調整部(10)の出力信号が入力されることを特徴とする請求項1に記載の感度温特補正回路。
【請求項3】
前記第1オペアンプ(1)および前記第2オペアンプ(2)には、ボルテージフォロワを構成する第3オペアンプ(3)を介して前記センサ部(3)からの前記検出信号が入力されることを特徴とする請求項2に記載の感度温特補正回路。
【請求項4】
前記第1オペアンプ(1)には、前記センサ部(30)からの前記検出信号が非反転入力端子に入力されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の感度温特補正回路。
【請求項5】
前記第1感度温特調整部(10)は、可変抵抗を介して基準電圧が入力されると共に当該可変抵抗と抵抗温度係数の異なる帰還抵抗としての可変抵抗を備えた第4オペアンプを有し、
前記第2オペアンプ(2)の反転入力端子は、前記第4オペアンプを介して前記第1オペアンプ(1)の出力端子と接続されていることを特徴とする請求項4に記載の感度温特補正回路。
【請求項6】
前記第1感度温特調整部(1)は、前記第1オペアンプ(1)に加えて、可変抵抗(R7)を介して基準電圧が入力されると共に当該可変抵抗(R7)と抵抗温度係数の異なる帰還抵抗としての可変抵抗(R6)を備えた第4オペアンプ(4)を有し、前記第1オペアンプ(1)には前記センサ部(30)からの前記検出信号が反転入力端子に入力され、前記第4オペアンプ(4)には前記第1オペアンプ(1)からの出力信号が反転入力端子に入力され、
前記第2オペアンプ(2)の反転入力端子は、前記第4オペアンプ(4)を介して前記第1オペアンプ(1)の出力端子と接続されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の感度温特補正回路。
【請求項7】
前記可変抵抗は、スイッチング素子を介して、複数の抵抗のうちから選択的に接続された一つの抵抗で構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の感度温特補正回路。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−154829(P2012−154829A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14913(P2011−14913)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】