説明

成型機の温度調節システム

【課題】極めてエネルギー効率が良好な状態で運転を継続することが可能な成型機の温度調節システムを提供する。
【解決手段】成型機の温度調節システム1は、原料が蓄えられるホッパ2、及び当該原料が投入される金型3を有する成型機と、ホッパ2にエアを送るファンと、ホッパ2に設けられた、前記エアを受け入れる温風導入口40、及び前記エアを排出する排気口44と、金型3を冷却する冷却用熱交換器と、前記ファンと温風導入口40の間の前記エアを加熱して供給すると共に、前記冷却用熱交換器に冷水を冷却して供給するヒートポンプ4と、前記冷水を排気口44からの前記エアによって加熱する冷水加熱用熱交換器34とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形工程等で用いられる成型機の温度調節システムに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂成形工程には、成型機のホッパ内に収納された成形材料の温風による乾燥工程と、成型機の金型の冷水による冷却工程とが含まれる。従来、前者の温風は、電気ヒーターや蒸気ヒーターに送風することで作られ、後者の冷水は、冷凍機により作られてきた。しかし、電気ヒーターやボイラーないし冷凍機は別々に運転されるため、効率的でない。又、電気ヒーター及び蒸気ヒーターは入力エネルギー以上に加熱できずCO排出量が多い。更に、成形材料乾燥後の温風は大気中に放出され、有効利用されていない。
【0003】
そこで、冷水と温風の発生を効率化するため、冷熱と温熱を同時に供給可能な排熱回収型ヒートポンプ(ヒートポンプ)を用いる金型温調装置が提案されている(下記特許文献1の図3等参照)。この装置では、成形材料乾燥機内の空気を加熱する熱媒体の加熱と、金型を冷却する冷媒体の冷却とを、ヒートポンプにより行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−7736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、樹脂成形工程において、成形材料の乾燥が常時行われるのに対し、金型の冷却は金型が所定温度以上になったとき等に断続的に行われるため、特許文献1のヒートポンプでは、乾燥に係る温風供給に追従すると冷熱に余剰が生ずる等、冷熱供給と温熱供給のバランスがとれず、ヒートポンプの運転を継続できなくなる。又、効率やCO排出量を重視して冷熱に追従させるとしても、温熱のバックアップ機器が別途必要となって結局全体として良好でなくなるか、あるいは冷熱と温熱とのバランスがとれずヒートポンプの運転が緊急停止してしまう。
【0006】
そこで、請求項1に記載の発明は、極めてエネルギー効率が良好な状態で運転を継続することが可能な成型機の温度調節システムを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、原料が蓄えられるホッパ、及び当該原料が投入される金型を有する成型機と、前記ホッパにエアを送る送風機と、前記ホッパに設けられた、前記エアを受け入れる導入口と、前記金型を冷却する冷却手段と、前記送風機と前記導入口の間の前記エア、又は当該エアを加熱媒体により加熱する加熱手段における当該加熱媒体を加熱して供給すると共に、前記冷却手段に冷却媒体を冷却して供給するヒートポンプと、前記冷却媒体を工場に属する熱によって加熱する冷却媒体加熱用熱交換器とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
なお、本発明において、ヒートポンプは、加熱媒体を直接加熱しても良いし(温水又は加熱用冷媒等の供給)、加熱媒体を、自ら保有する別の加熱媒体(内部加熱媒体)により加熱しても良い。前者の場合、加熱媒体が直接加熱手段に達し、後者の場合、ヒートポンプにおいては内部加熱媒体が加熱され、内部加熱媒体と加熱媒体との熱交換が行われる。同様に、本発明において、ヒートポンプは、冷却媒体を直接冷却しても良いし(冷水又は冷却用冷媒等の供給)、冷却媒体を、自ら保有する別の冷却媒体(内部冷却媒体)により冷却しても良い。
【0009】
請求項2に記載の発明は、上記目的に加えて、更に効率良く無駄のない継続可能なヒートポンプの運転を行う目的を達成するため、上記発明にあって、前記ホッパには、前記エアを排出する排気口が設けられており、前記冷却媒体加熱用熱交換器は、前記冷却媒体を前記排気口からの前記エアによって加熱することを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、上記目的に加えて、加熱負荷や冷却負荷等が変動したとしても、これに的確に対応してヒートポンプの運転を継続する目的を達成するため、上記発明において、前記冷却媒体加熱用熱交換器における前記冷却媒体の加熱量を調節する加熱量調節手段を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、上記目的に加えて、シンプルな構成によってヒートポンプの効率的な運転を継続する目的を達成するため、上記発明において、前記加熱量調節手段は、前記冷却媒体の前記冷却媒体加熱用熱交換器への分岐量を調節する熱交換量調節手段であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、上記目的に加えて、ヒートポンプの運転状態を工程に応じ効率の良い状態に切り替えることでより一層省エネルギー性を高くする目的を達成するため、上記発明において、前記冷却媒体による前記金型の冷却を要せず、且つ前記エアの加熱を要する場合に、前記ヒートポンプにおける前記冷却媒体の供給設定温度が上昇されることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、上記目的に加えて、既設機器を有効利用し、又は冷却に関するパックアップを行い、あるいは冷却専用機を設置して冷却のみ行う工程においてヒートポンプを休止可能とすることで省エネルギー性を更に高める目的を達成するため、上記発明において、前記冷却媒体を冷却する冷却機を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項7に記載の発明は、上記目的に加えて、加熱負荷に応じてヒートポンプの出力を自動的に適切なものとする目的を達成するため、上記発明において、加熱後の前記エアの温度、前記ホッパの温度、あるいは前記加熱媒体の温度の少なくとも何れかが所定範囲外になると、少なくとも何れかが特定範囲内となるまで前記ヒートポンプの出力を制御する自動制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項8に記載の発明は、上記目的に加えて、冷却負荷に応じてヒートポンプの出力を自動的に適切なものとする目的を達成するため、上記発明において、前記金型の温度あるいは前記冷却媒体の温度の少なくとも何れかが所定範囲外になると、少なくとも何れかが特定範囲内となるまで前記ヒートポンプの出力を制御する自動制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項9に記載の発明は、上記目的に加えて、加熱状態や冷却状態に適切に対応したヒートポンプの運転を自動的に継続する目的を達成するため、上記発明において、前記金型の温度、前記冷却媒体の温度、あるいは前記冷却媒体加熱用熱交換器の温度の少なくとも何れかが所定範囲外になると、少なくとも何れかが特定範囲内となるまで前記冷却媒体の前記加熱量を制御する自動制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項10に記載の発明は、上記目的に加えて、ヒートポンプにおける加熱負荷を減じる制御によって簡易に冷却負荷を減じて過冷却を防止しヒートポンプの運転を継続可能とする目的を達成するため、上記発明において、前記自動制御装置は、前記冷却媒体の温度が低下すると、前記ヒートポンプにおける加熱量を減少することを特徴とするものである。
【0018】
請求項11,12,13に記載の発明は、上記目的に加えて、より簡易に加熱量を減少する目的を達成するため、上記発明において、前記自動制御装置は、前記冷却媒体の温度が低下すると、加熱前の前記エアの量を減少し、若しくは前記加熱媒体の供給設定温度を減少し、又は、前記ヒートポンプに戻る際の熱量が一定となる状態で前記加熱媒体を循環させる加熱媒体ポンプを備えており、前記自動制御装置は、前記冷却媒体の温度が低下すると、前記加熱媒体の供給設定温度を上昇することを特徴とするものである。
【0019】
請求項14,15に記載の発明は、上記目的に加えて、既設機器を有効利用し、又は加熱に関するパックアップを行い、あるいはヒートポンプを継続運転可能な状態で容易に起動させる目的を達成するため、上記発明において、前記冷却媒体を加熱する他熱源を備えており、当該他熱源により前記冷却媒体を加熱した後、前記ヒートポンプを起動し、あるいは前記排気口からの前記エアにより前記冷却媒体を加熱した後、前記ヒートポンプを起動することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、原料の乾燥に係る温風の発生のための加熱媒体の加熱と金型の冷却に係る冷却媒体の冷却をヒートポンプで一括して行い、温風使用により必然的に生ずる排気を始めとする工場の熱によって冷却媒体を適宜加熱する。従って、当該加熱により過冷却を防止して加熱媒体の加熱に対する冷却媒体の冷熱の釣り合い(バランス)をとることができ、ヒートポンプの運転につき極めて効率の良い安定した状態で継続させることができると共に排気を有効活用することができて、システム全体としての消費電力やCO排出量の削減を図ることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1形態に係る成型機の温度調節システムのブロック図である。
【図2】図1の温度調節システムの温風側制御に係る動作を示すフローチャートである。
【図3】図1の温度調節システムの冷水側加熱制御に係る動作を示すフローチャートである。
【図4】図1の温度調節システムの運転切替に係る動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2形態に係る成型機の温度調節システムのブロック図である。
【図6】図5の温度調節システムの動作を示すフローチャートである。
【図7】図5の温度調節システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】(a),(b)は本発明の第3形態に係る成型機の温度調節システムのブロック図であり、(c)は本発明の第4形態に係る成型機の温度調節システムのブロック図である。
【図9】本発明の第6形態に係る成型機の温度調節システムのブロック図である。
【図10】(a)は本発明の第8形態に係る成型機の温度調節システムのブロック図であり、(b)は本発明の第9形態に係る成型機の温度調節システムのブロック図である。
【図11】図10(a)の温度調節システムの動作を示すフローチャートである。
【図12】(a),(b)は本発明の第10形態に係る成型機の温度調節システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施の形態の例につき、適宜図面に基づいて説明する。なお、当該形態は、下記の例に限定されない。
【0023】
[第1形態]
図1は第1形態に係る成型機の温度調節システム1の模式図であって、温度調節システム1は、ここでは工場に設置されており、成形材料(原料,ペレット)を貯蔵する原料タンクとしてのホッパ2、及び成形材料の射出を受けて成形する金型3を備えた成型機(当該2つの部材以外図示せず)と、排熱回収型ヒートポンプ(ヒートポンプ,HP)4とを有する。なお、当該工場には、冷却機6及びこれと接続された冷却塔8が設置されている。又、温度調節システム1は、ホッパ2内にヒーターKを有する既設の成型機に対してヒートポンプ4を接続することで形成しても良い。
【0024】
ヒートポンプ4は、冷熱を生成しながら、その際発生する排熱を利用して温熱を同時に生成し、冷熱につき冷却媒体に載せ冷水として、又温熱につきエアに載せ温風としてそれぞれ外部に供給するものであり、ここでは7度(摂氏、以下同様)〜30度程度の冷水と60〜120度程度の温風を同時に供給可能であるヒートポンプ式温風発生装置を用いる。ヒートポンプ4は、温風及び冷水が同時に供給される特性上、これらのバランスをとる必要があり、高温熱を多量に取り出すには、高温熱が十分にエアへ吸収され、又冷熱も多量に取り出された上で十分に熱を受けて戻る必要がある。なお、ヒートポンプ4として、最高90度の温水を供給可能であるもの等を用いても良い。
【0025】
ヒートポンプ4は、生成した温風を供給する送風口10と、温風を生成するために基エアを導入する導入口12を備えている。基エアは、ヒートポンプ4の熱交換器14を通過することにより加熱されて温風となる。熱交換器14を通過した基エアは、熱交換器14内におけるヒートポンプ4からの温熱(加熱用の冷媒・加熱媒体)により加熱される。なお、ヒートポンプ4につき加熱用冷媒(加熱媒体)をパイプ等により外部に供給するものとし、当該パイプ等に接続した基エア加熱用の熱交換器14をヒートポンプ4の外部(後述の通風路42等)に設置しても良い。
【0026】
又、ヒートポンプ4には、生成した冷水を供給する冷水供給パイプ20と、戻ってくる冷水を通す冷水戻りパイプ22とが接続されており、これらには金型3に設置された図示しない冷却用熱交換器(冷却手段)が接続されている。加えて、冷却機6には、金型3へ冷水を供給する冷水往きパイプ26と、金型3からの冷水を受ける冷水受けパイプ28とが接続されている。即ち、ここでは、ヒートポンプ4の冷水側と、冷却機6側とは、互いに独立した金型3冷却用の回路を有している。又、冷水供給パイプ20ないし冷水戻りパイプ22の回路には、金型3冷却用の熱交換器へ冷水を導かずに冷水供給パイプ20からそのまま冷水戻りパイプ22へ至るショートカットも含まれており、当該熱交換器側とショートカット側とで回路を切替可能な図示しない弁が設置されている。
【0027】
更に、冷水戻りパイプ22から、加熱用分岐冷水往きパイプ30が分岐しており、冷水戻りパイプ22に対し、加熱用分岐冷水戻りパイプ32が合流していて、これらには冷水加熱用熱交換器34が接続されている。冷水戻りパイプ22と加熱用分岐冷水往きパイプ30の分岐部には、分岐する冷水の熱量(ここでは流量)を調整する加熱量調節手段としての調節弁36が配置されている。
【0028】
又、温度調節システム1は、送風口10からホッパ2の温風導入口40へ至る通風路42に温風を導く送風機としての図示しないファンを有していると共に、ホッパ2の排気口44から冷水加熱用熱交換器34を通過して成型機周りあるいは工場の外部へ至る排気路46を有している。ホッパ2に導入され更に排気口44から出たエアは、冷水加熱用熱交換器34内におけるヒートポンプ4への冷水を加熱する。なお、熱交換器14を通過する前のエアを基エアとし、熱交換器14通過後(加熱後)のエアを温風とし、排気口44から出たエア(排気路46のエア)を排気あるいは排温風とする。又、排気路46において専用のブロワ(排気機)を設けても良い。
【0029】
そして、温度調節システム1は、ヒートポンプ4や冷却機6等の各種機器や、各種弁を制御する図示しない自動制御装置を備えており、当該自動制御装置には、図示しない冷水や温風の温度や流量(熱量)を検知する各種のセンサが電気的に接続されている。なお、当該自動制御装置は、単体の独立した装置であっても良いし、ヒートポンプ等に内蔵されていても良いし、各種機器に分散して設置されていても良いし、機器の制御装置を兼ねていても良い。
【0030】
このような温度調節システム1は、次に説明するように動作する。
【0031】
自動制御装置は、主に図2に示す処理によりヒートポンプ4の温風側を制御し(温風側制御回路)、主に図3に示す処理によりヒートポンプ4の冷水側における熱交換を制御し(冷水側熱交換制御回路)、主に図4に示す処理によりヒートポンプ4側と冷却機6側の切替を制御する(運転切替回路)。なお、これらの処理は並列して実行されても良いし、順次実行されても良い。
【0032】
自動制御装置は、図2に示す温風側制御回路において、まずホッパ2における乾燥の運転指令が存在するか否かを判定し(ステップS1、以下単に「S1」等という)、存在する場合(YES)にヒートポンプ4を起動して温風を発生させ(S2)、存在しない場合(NO)には処理を終了する。運転指令が存在する場合として、例えばホッパ2に材料が投入されたときや、ホッパ2内の材料が所定量以上となったとき等を挙げることができる。
【0033】
温風発生(S2)の後、自動制御装置は、所定の乾燥時間(例えばABS樹脂で2〜4時間)に達していないか否かを、乾燥運転指令発生時にリセットされるタイマーの状態により判断する(S3)。自動制御装置は、乾燥時間に達していれば(NO)、ヒートポンプ4を停止して処理を終了し(S4)、乾燥時間に達していなければ(YES)、温風温度Th1が材料乾燥設定温度Th2(例えばABS樹脂で摂氏(以下同様)80〜90度)より所定温度(例えば5度)を超えて低くなったか否かを通風路42に設けられた温度センサにより把握する(S5)。
【0034】
自動制御装置は、S5でYESと判断すると、温風温度Th1が材料乾燥設定温度Th2を含む特定範囲内(例えば上下各2度以内)に収まるように、ヒートポンプ4により発生された温風の温度である温風温度Th1を徐々に上昇させる処理(S6)に関するループ1を実行し、S3に戻る。温風温度Th1は、ヒートポンプ4の出力増により上昇される。なお、自動制御装置は、温風温度Th1に代えて、又はこれと共に、通風路42における温風温度やホッパ2内温度あるいはこれらの組合せが所定範囲内となっているかを判断し、又は特定範囲内に収まるように制御して良い。
【0035】
一方、自動制御装置は、S5でNOと判断すると、温風温度Th1が材料乾燥設定温度Th2より所定温度(例えば5度,なおS5と異なる絶対値でも良い)を超えて高くなったか否かを把握する(S7)。自動制御装置は、S7でYESと判断すると、温風温度を上げるのではなく下げることを除いてS6と同様なS8に関するループ2を処理してS3に戻り、S7でNOと判断すると、そのままS3に戻る。なお、ループ1,2を完了するための特定範囲は、ループ1,2を実行するか否かを判断するための所定範囲(S5,S7)以内であれは上記例示にかかわらずどのような範囲であっても良い。又、ループ1,2で互いに特定範囲が異なっても良い。
【0036】
又、自動制御装置は、図3に示す冷水側熱交換制御回路において、まず運転指令が有る(ヒートポンプ4が起動中である)か否かを判断し(S11)、無い場合(NO)には処理を終了し、有る場合(YES)にはヒートポンプ4の冷水温度Tc1が冷水設定温度Tc2より所定温度(例えば3度)を超えて低いか否かを判定する(S12)。なお、冷水設定温度Tc2について、例えば金型3の冷却時には20度、非冷却時には40度とする。
【0037】
自動制御装置は、S12でYESと判断すると、冷水温度を徐々に上げること(S13)で冷水温度Tc1が冷水設定温度Tc2を含む特定温度内(例えば上下1度以内)とするループ3を実行し、完了後S11へ戻る。冷水温度Tc1は、調節弁36について、冷水加熱用熱交換器34側への流量が増加するように制御し、冷水加熱用熱交換器34においてホッパ2の排気(例えば75度)により加熱される量(冷水と排気の熱交換量)が多くなるようにすることで上昇される。
【0038】
一方、自動制御装置は、S12でNOと判断すると、ヒートポンプ4の冷水温度Tc1が冷水設定温度Tc2より所定温度(例えば3度,なおS12と異なる絶対値でも良い)を超えて高いか否かを判定する(S14)。自動制御装置は、S14でYESと判断すると、冷水温度を徐々に下げること(S15)で冷水温度Tc1が冷水設定温度Tc2を含む特定温度内(例えば上下1度以内)とするループ4を実行する。冷水温度Tc1は、調節弁36について、冷水加熱用熱交換器34側への流量が減少するように絞り、冷水加熱用熱交換器34においてホッパ2の排気により加熱される量(冷水と排気の熱交換量)が少なくなるようにすることで低下される。又、自動制御装置は、S14でNOと判断すると、そのままS11へ戻る。なお、自動制御装置は、冷水温度Tc1に代えて、又はこれと共に、金型3の外部や内部の温度あるいは冷水加熱用熱交換器34の外部や内部の温度が所定範囲内となっているかを判断し、又は特定範囲内に収まるように制御して良い。又、ループ3,4を完了するための特定範囲は、ループ3,4を実行するか否かを判断するための所定範囲(S12,S14)以内であれは上記例示にかかわらずどのような範囲であっても良く、ループ3,4で互いに異なっても良い。
【0039】
更に、自動制御装置は、図4に示す運転切替回路において、まず金型3の冷却が必要であるか(樹脂成形工程における冷却工程であるか)否かを判断する(S21)。冷却が必要であれば(YES)、乾燥運転指令の有無を調べる(S22)。
【0040】
自動制御装置は、運転指令があれば(YES)、ヒートポンプ4が運転中であるか否かを判定する(S23)。ヒートポンプ4が運転中でないとき(NO)のみヒートポンプ4やファンを起動して温風を発生し(S24)、何れにせよS25へ移行してヒートポンプ4の冷水供給設定温度を金型冷却時設定温度Tk1(例えば20度)に設定する。そして、自動制御装置は、冷却機6が運転中であれば(S26でYES)冷却機6を停止し(S27)、何れにせよS21に戻る。即ち、自動制御装置は、乾燥運転指令が有って金型3の冷却も必要であれば、金型3の冷却につき、冷水供給設定温度を金型冷却時設定温度Tk1に設定したヒートポンプ4の側に切り替える。
【0041】
一方、自動制御装置は、乾燥運転指令が無ければ(S22でNO)、ヒートポンプ4が運転中であるか否かを判定し(S28)、運転中であれば(YES)ヒートポンプ4やファンを停止して(S29)、何れにせよS30に移行する。S30において、冷却機6が運転中でなければ(NO)冷却機6を起動し(S31)、何れにせよ冷却機6の冷水供給設定温度を金型冷却時設定温度Tk1に設定して(S32)、S21に戻る。即ち、自動制御装置は、乾燥指令が無ければ、金型3の冷却につき、冷水供給設定温度を金型冷却時設定温度Tk1に設定した冷却機6の側に切り替える。
【0042】
他方、自動制御装置は、金型3の冷却が必要で無ければ(S21でNO)、冷却機6が稼働中であると(S33でYES)これを停止し(S34)、何れにせよ乾燥運転指令の有無をチェックする(S35)。当該指令が無ければ(NO)処理を終了し、有れば(YES)ヒートポンプ4の停止中のみヒートポンプ4を起動して(S36でNO,S37)、ヒートポンプ4の冷水供給設定温度を金型非冷却時設定温度Tk2(例えば40度)に設定し(S38)、処理を終える。即ち、自動制御装置は、乾燥運転指令が有るものの金型3の冷却が不要である場合、乾燥のためにヒートポンプ4を運転するものの、その冷水供給設定温度を金型冷却時設定温度Tk1より高い金型非冷却時設定温度Tk2に設定する。なお、自動制御装置は、冷水につき、金型3を冷却する熱交換器に導かず、ヒートポンプ4へ循環するように冷水回路を切り替える。
【0043】
以上の温度調節システム1は、原料が蓄えられるホッパ2、及び当該原料が投入される金型3を有する成型機と、ホッパ2にエアを送るファンと、ホッパ2に設けられた、前記エアを受け入れる温風導入口40、及び前記エアを排出する排気口44と、金型3を冷却する冷却用熱交換器と、前記ファンと温風導入口40の間の前記エアを加熱して供給すると共に、前記冷却用熱交換器に冷水を冷却して供給するヒートポンプ4と、前記冷水を排気口44からの前記エアによって加熱する冷水加熱用熱交換器34とを備えている。よって、ホッパ2内乾燥用の温風をエアから生成するための加熱と、成形工程における金型冷却のための冷水の冷却とを共通のヒートポンプ4によって効率良く行うことができ、更に冷水をホッパ2の排気で加熱することで、金型3の冷却負荷と比較して大きくなるエアの加熱負荷に追従しても冷水の冷却が過大とならず、冷熱と温熱のバランスが失われてヒートポンプ4が緊急停止してしまう事態を防止してヒートポンプ4の運転を継続することができ、しかもその運転の継続につき排気の有効活用により極めて効率良く実行することができる。そして、このような効率が良好で省エネルギー性の高い温度調整により、消費電力やCO排出量を効果的に抑制することが可能である。
【0044】
又、温度調節システム1は、冷水加熱用熱交換器34における前記冷水の加熱量を調節する加熱量調節手段を、前記冷水の冷水加熱用熱交換器34への分岐量を調節する調節弁36として有している。従って、分岐量の調整というシンプルな構成によって、冷水の加熱量を適切に制御することができ、加熱負荷や冷却負荷等が変動したとしても、これに的確に対応したヒートポンプ4の運転を継続することができる。
【0045】
更に、温度調節システム1は、前記冷水による金型3の冷却を要せず、且つ前記エアの加熱を要する場合(S21でNO,S35でYES)に、ヒートポンプ4における前記冷水の供給設定温度を自動制御装置により上昇する(S38)。よって、加熱負荷のみ生じている際に、ヒートポンプ4の冷水側の温度設定を金型冷却時設定温度Tk1から金型非冷却時設定温度Tk2に上げることでヒートポンプ4を冷水供給温度設定の低い場合に比べ効率の良い状態で運転することができ、更に効率の良好な温度調節システム1を提供することができる。
【0046】
又更に、温度調節システム1は、前記冷水を冷却する冷却機6を備えているため、加熱負荷が無く冷却負荷が有る場合にヒートポンプ4を起動せず冷却専用の冷却機6を用いることができるし、冷却負荷が一時的に過大になった場合にヒートポンプ4のバックアップを冷却機6の運転によりなすことができる。
【0047】
加えて、温度調節システム1は、ホッパ2の温度が所定範囲(設定温度の上下5度)外になると、当該温度が特定範囲(設定温度の上下2度)内となるまでヒートポンプ4の出力を制御する自動制御装置を備えたので、加熱状態に応じてヒートポンプ4の出力を自動的に適切なものとすることができる。
【0048】
又、温度調節システム1は、前記冷水の温度が所定範囲外になると、特定範囲内となるまでヒートポンプ4の出力を制御する自動制御装置を備えたので、冷却状態に応じてヒートポンプ4の出力を自動的に適切なものとすることができる。
【0049】
更に、温度調節システム1は、前記冷水の温度が所定範囲外になると、特定範囲内となるまで前記冷水の前記加熱量の制御(冷水の冷水加熱用熱交換器34への分岐量を調整する調節弁36の制御)をする自動制御装置を備えたため、冷却負荷の増減に応じてヒートポンプ4へ戻る冷水への加熱を自動的に適切に調整することができ、加熱負荷や冷却負荷に適切に対応したヒートポンプ4の運転を自動的に継続することができる。
【0050】
[第2形態]
図5は第2形態に係る成型機の温度調節システム51の模式図であって、当該温度調節システム51の構成は、冷却機(ないし冷水往きパイプや冷水受けパイプ)や冷却塔が用いられず、又温風(通風路42)をホッパ2側から成型機外部(例えば工場の排気管)側へ切替可能なダンパ52が設置される他は第1形態と変更例も含め同様である。
【0051】
このような温度調節システム51は、第1形態と同様に動作する他、次に説明するように動作する。
【0052】
即ち、自動制御装置は、図6ないし図7に示すように、乾燥信号(乾燥運転指令)が存在して(S50でYES)乾燥時間に未達(S51でYES)ならば、ダンパ52がホッパ2側でない場合にホッパ2側とし(S52でNO,S53)、ファンが運転中でなければ運転する(S54でNO,S55)。そして、ファンの風量を25立方メートル毎分(m/min)といった所定値とし(S56)、ヒートポンプ4の運転状態が温風制御モードでなければ当該モードにして(S57でNO,S58)、金型冷却信号が有ればヒートポンプ4の冷水供給パイプ20における冷水供給設定温度Tc2を所定値(7度)とし(S59でYES,S60)、無ければ冷水供給設定温度Tc2を30度とする(S59でNO,S61)。
【0053】
次に、自動制御装置は、冷水温度の制御と温風温度の制御を併行する。即ち、ヒートポンプ4の冷水供給パイプ20における実際の冷水温度Tc1が冷水供給設定温度Tc2を含む所定範囲(例えば上下3度以内)に収まっていなければ(S62でNO)、第1形態における図3のS12〜15(ループ3,ループ4)と同様な処理を実行し(冷水側熱交換制御回路)、温風温度Th1が材料乾燥設定温度Th2を含む所定範囲(例えば上下5度以内)に収まっていなければ(S63でNO)、第1形態における図2のS5〜S8(ループ1,ループ2)と同様な処理を実行する(温風側制御回路)。
【0054】
又、S62,S63でYESとなるか、冷水側熱交換制御回路や温風側制御回路に係る処理が完了した際には、S64へ移行する。S64において、自動制御装置は冷水温度Tc1や温風温度Th1がそれぞれ所定範囲内となっているかチェックし、双方とも範囲内となっていればS51に戻り、何れか一方でも範囲内になっていなければS62やS63を再度実行する。
【0055】
一方、自動制御装置は、上記S50やS51でNOと判定した場合、S70(図7)へ移行する。S70では金型冷却信号の有無(金型3の冷却の要否)をチェックし、無ければ(NO)S50やS51で乾燥用の温風も不要と判定されていることから成型機の状況を確認し(S71)、停止中なら(YES)ヒートポンプ4やファンの運転を停止する(S72,S73)と共にダンパ52をホッパ2側へ切り替えて(S74)処理を終え、停止中でなければ(S71でNO)処理の最初に戻る。
【0056】
又、自動制御装置は、S70でYESと判断した場合、金型3の冷却に関する処理を実行する。即ち、まずヒートポンプ4が冷水制御モードでない場合にヒートポンプ4を当該モードとし(S75でNO,S76)、ダンパ52の方向が大気側(外部側)でなければ当該方向を大気側とし(S77でNO,S78)、ファンが運転中でなければファンを運転する(S79でNO,S80)。そして、自動制御装置は、ファンの風量を上記所定量より大きい特定量(例えば133m/min)とすると共に(S81)、ヒートポンプ4の冷水供給設定温度Tc2を上記所定値と同じ特定値(7度,所定値と異なっても良い)とし(S82)、更に冷水温度Tc1につき冷水供給設定温度Tc2を含む所定範囲内(上下3度以内)に入っているかを確認する(S83)。なお、自動制御装置は、冷水温度Tc1に代えて、又はこれと共に、金型3の外部や内部の温度が所定範囲内となっているかを判断し、又は所定範囲内に収まるように制御して良い。
【0057】
自動制御装置は、S83でYESと判断すると、最初に戻って処理を続ける。一方、自動制御装置は、S83でNOと判断すると、冷水温度Tc1をヒートポンプ4の出力の増減によって調節する制御を行う(冷水温度調整回路)。なお、S50,51でNOとなったことにより温風を発生しないので、ヒートポンプ4は冷却のために運転され、冷却に伴い発生する温熱は温水を介してエアにより奪われ、熱を受けて温風となったエアはダンパ52を介して大気に放出される。
【0058】
即ち、自動制御装置は、冷水供給パイプ20の冷水温度Tc1が冷水設定温度Tc2より所定値(3度)を超えて低い場合には(S84でYES)、ヒートポンプ4の出力を下げることで冷水温度Tc1を徐々に上げ、冷水温度Tc1が特定範囲(例えば冷水供給設定温度Tc2の上下1度)内となるようにする(S85,ループ5)。又、冷水温度Tc1が冷水供給設定温度Tc2より所定値(3度,なおS84と異なる絶対値でも良い)を超えて高い場合には(S84でNO,S86でYES)、ヒートポンプ4の出力を上げることで冷水温度Tc1を徐々に下げ、冷水温度Tc1が特定範囲(ループ5と同じでも良いし異なっても良い)内となるようにする(S87,ループ6)。そして、何れの場合にも処理の最初に戻る。なお、ループ5,6を完了するための特定範囲は、ループ5,6を実行するか否かを判断するための所定範囲(S84,S86)以内であれは上記例示にかかわらずどのような範囲であっても良い。
【0059】
このような温度調節システム51と、従来方式との消費電力やCO排出量につき説明する。ここで、従来方式は、ホッパの乾燥に電気ヒータのみを用いる一方、金型の冷却に第1形態と同じ冷却機や冷却塔のみを用いるものとする。又、何れにおいても乾燥時風量は25m/minとし、金型冷却負荷は20キロワット毎時(kW/h)とする。更に、何れにおいても、各工程の出現率に関し、「乾燥かつ金型冷却」:「乾燥のみ」:「金型冷却のみ」=2:7:1とし、稼働時間につき、1日当たり16時間とし、又1年当たり250日とする。加えて、従来方式において、20度のエアを加熱して80度の温風にする(排気は75度)ための電気ヒータの能力を30kWとし、冷水を12度から7度へ冷却するための冷却機のCOP(Coefficient Of Performance,効率)を3.0とする。
【0060】
一方、温度調節システム51において、「乾燥かつ金型冷却」の場合に、20度のエアを加熱して80度の温風にする(排気は50度)と共に冷水を12度から7度へ冷却するためのヒートポンプ4の加熱COPを3.0,冷却COPを2.1とし、「乾燥のみ」の場合に、20度のエアを加熱して80度の温風にする(これに伴い冷水が35度から30度となる、戻り冷水は排気との熱交換により35度に昇温される、なお排気は50度)ためのヒートポンプ4の加熱COPを3.5,冷却COPを2.7とし、「金型冷却のみ」の場合に、冷水を12度から7度へ冷却する(これに伴い20度のエアが30度の温風になる、温風はダンパ52を経て大気側に放出される)ためのヒートポンプ4の冷却COPを3.0(加熱COPなし)とする。なお、何れにおいても工場内温度を年間平均20度とし、CO原単位(中部電力株式会社2008年度CO排出係数を参照)を0.455キログラム(CO)毎kW(kg−CO/kW)とする。
【0061】
まず「乾燥かつ金型冷却」を要する工程に関し、従来方式では、次の[表1]に示すように、乾燥側について消費電力が6.0kWhで24112kW年、年間CO排出量が11.0トン(ton)−COであり、冷却側について消費電力が1.3kWhで5333kW年、年間CO排出量が2.4ton−COであり、年間の合計消費電力が29445kW、合計CO排出量が13.4ton−COである。一方、温度調節システム51では、次の[表2]に示すように、乾燥側について消費電力が2.0kWhで8037kW年、年間CO排出量が3.7ton−COであり、冷却側について消費電力が0kWhで0kW年、年間CO排出量が0ton−COであり、年間の合計消費電力が8037kW、合計CO排出量が3.7ton−COである。なお、冷却側について、ヒートポンプ4において乾燥側における排熱(冷熱)を利用するため、消費電力等は0になる。
【0062】
【表1】

【表2】

【0063】
次に「乾燥のみ」を要する工程に関し、従来方式では、次の[表3]に示すように、乾燥側のみ消費電力等が発生し、消費電力が21.1kWhで84391kW年、年間CO排出量が38.4ton−COである。一方、温度調節システム51では、次の[表4]に示すように、乾燥側のみ消費電力等が発生し、消費電力が6.1kWhで24380kW年、年間CO排出量が11.1ton−COである。
【0064】
【表3】

【表4】

【0065】
続いて「金型冷却のみ」を要する工程に関し、従来方式では、次の[表5]に示すように、冷却側のみ消費電力等が発生し、消費電力が0.7kWhで2667kW年、年間CO排出量が1.2ton−COである。一方、温度調節システム51では、次の[表6]に示すように、冷却側のみ消費電力等が発生し、消費電力が0.7kWhで2667kW年、年間CO排出量が1.2ton−COである。
【0066】
【表5】

【表6】

【0067】
そして、以上を合計すると、次の[表7]に示すように、従来方式では、年間消費電力が116502kWで年間CO発生量が53.0ton−COであるのに対し、温度調節システム51では、年間消費電力が35083kWで年間CO発生量が16.0ton−COであり、何れも従来方式比で約70パーセント減となり、年間で81419kWの電力と31.0tonのCOを削減することができる。
【0068】
【表7】

【0069】
以上の第2形態の温度調節システム51は、第1形態と同様に成るため、加熱や冷却を極めて効率の良好な状態で適切に実行し、排気の有効活用をしながら、運転を(自動的に)継続することができ、消費電力やCO排出量を上述の通り極めて効果的に抑制することができる。
【0070】
又、温度調節システム51は、冷却機を備えず、ヒートポンプ4のみにより金型3の冷却を行うため、冷却機の更新を含む新設の際等に冷却機を導入する必要が無く、初期導入コストやメンテナンスコスト等がかからなくなる。更に、熱交換器14を通過したエアにつきホッパ2側と外部(大気)側へ切り替えるダンパ52を有するので、ホッパ2側に切り替えてホッパ2内の乾燥に対応することができるし、外部側に切り替えて冷却だけのためにヒートポンプ4の運転を継続する場合にヒートポンプ4から発生する熱を逃がすことができる。
【0071】
[第3形態]
図8(a)は第3形態に係る成型機の温度調節システム101の模式図であって、当該温度調節システム101は、ダンパの代わりに送風バイパス弁102を備えると共に、他熱源Nからの熱が供給される他熱源熱交換器104を通風路42に備える他は、第2形態と変更例も含め同様に成る。他熱源Nは、例えば電気ヒーターであり、他熱源熱交換器104は、通風路42における温風を、熱交換により更に加熱する。なお、ホッパ2からの排気を冷却側と熱交換しない(外部に放出する)ようにして良い。
【0072】
このような温度調節システム101は、第2形態と同様に動作する他、次に説明するように動作する。
【0073】
自動制御装置は、温風温度を把握する図示しないセンサからの信号に基づき、ヒートポンプ4の出力を制御して吐出温風温度を調整する。又、自動制御装置は、冷水温度を把握する図示しないセンサからの信号により冷水温度を監視し、冷却負荷の変動(軽減)により冷熱が変化して(冷水温度が低下して)温風出力に対する冷水供給のバランスの崩れを監視する。
【0074】
例えば、自動制御装置は、冷水供給のバランスが取れていると判断する場合には、図8(a)のように、送風バイパス弁102を全量ヒートポンプ4側に切り替えて15度の基エア10m/minをヒートポンプ4に吸わせ、13kWの加熱により同量で設定温度(80度)となった温風をホッパ2へ供給する。ここで、他熱源Nによる温風の加熱は0kWであり、即ち追加の加熱はなされない。なお、このときの冷水負荷は8.7kWであり、冷水往き温度は7度、冷水戻り温度は17度である。
【0075】
一方、自動制御装置は、戻り又は往きの冷水温度の低下(所定温度(15度)以下となったこと、例えば冷水戻り温度が17度から12.7度となったこと)を把握して温風負荷に対する冷水負荷(5kWに減少)のバランスが崩れたと判断すると、図8(b)に示すように、送風バイパス弁102により基エアの一部を通風路42側へ分岐させ、ヒートポンプ4への送風量を少なくする(10m/minから5.7m/min)。ヒートポンプ4は、温風設定温度を維持するため、温風側の出力を絞り、これに伴い冷熱側も絞る。この冷却出力の低減により、低下した冷却負荷に対応しながら温熱負荷とのバランスを保持可能である。但し、ヒートポンプ4による基エアの加熱量が減少する(分岐させた基エアが温風に混合して温風が10m/minで52度となる)ため、他熱源Nにより最終的に加熱調整し(5.6kW)、温風温度(温風の熱量)を80度に維持する。
【0076】
なお、図8(b)の状態となった後で冷却負荷が増加して冷水温度が特定温度(20度)以上となると、自動制御装置は、徐々に送風バイパス弁102の分岐側を絞ってヒートポンプ4への基エアの送風量を増やす。すると、ヒートポンプ4による吐出温風温度を維持した基エアの加熱量が増加して、冷熱も加熱量の増加に従い増えるので、送風量の調節によって増加した冷却負荷に対応することが可能である。
【0077】
以上の第3形態の温度調節システム101は、第2形態と同様に成るため、冷却機の導入が不要であるし、加熱や冷却を極めて効率の良好な状態で適切に実行しながら運転を継続することができ、消費電力やCO排出量を上述の通り極めて効果的に抑制することができる。
【0078】
又、温度調節システム101は、ヒートポンプ4への基エアの導入量を調節することによって、温熱負荷を調整し、もって冷却負荷を制御する一方、基エアの導入量変化による温風の熱量不足を補う他熱源Nを有するため、基エアの送風バイパス弁102を設置するというシンプルな構成によって冷却負荷の変動に簡易且つ確実に対応することができる。
【0079】
[第4形態]
図8(c)は第4形態に係る成型機の温度調節システム121の模式図であって、当該温度調節システム121は、ホッパ2からの排気の一部が基エア(の一部)として循環する循環方式とされている他は、第3形態と変更例も含め同様に成る。
【0080】
このような第4形態の温度調節システム121であっても、第3形態と同様に、ヒートポンプ4への送風量を増減することで、ヒートポンプ4における温熱と冷熱の供給バランスを維持して運転の継続を可能としながら、冷却負荷の増減に簡易且つ適切に対応することができる。
【0081】
[第5形態]
第5形態に係る成型機の温度調節システムは、第3形態から送風バイパス弁102を除いて構成される。自動制御装置は、冷水温度が下がったと判断すると、ヒートポンプ4に吐出温風温度を下げるように指令する。ヒートポンプ4はこの指令に応じ、よって基エアの導入量を変えなくとも加熱量が減少し、これに伴いヒートポンプ4における冷却量も低下して、冷却負荷の減少から生ずる冷水温度の低下に対応することが可能となる。
【0082】
例えば、10m/minで15度の基エアをヒートポンプ4による13kWの温熱で加熱し、80度として他熱源Nの加熱無しでホッパ2に温風を供給する。このとき、冷熱負荷が8.7kWであればバランスが取れているが、5kWに低下したとすると、このままでは冷水温度が17度から12.7度となり、15度以下となる。自動制御装置は、ヒートポンプ4に対し、吐出温風温度を52度とするように指令し、ヒートポンプ4はこれに基づき加熱量を13kWから7.4kWへ変更する。変更すべき吐出温風温度の値は、冷却負荷あるいは冷水温度(の低下幅)により自動制御装置が定める。すると、ヒートポンプ4は冷却量も減少し、減少した冷熱量と冷却負荷が釣り合ってヒートポンプ4の運転が継続可能となる。なお、吐出温風温度の値は、吐出温風温度の低下に伴って低減する冷却量の度合といった装置の特性により決定することができる。又、このような吐出温風温度の調整による冷却負荷のバランスの確保は、第4形態のような循環方式においても採用することができる。
【0083】
このような第5形態の温度調節システムであっても、第3形態と同様に、ヒートポンプ4における温熱と冷熱の供給バランスを維持して運転の継続を可能としながら、冷却負荷の増減に簡易且つ適切に対応することができ、又吐出温風温度の設定変更という簡易な方式によって温熱と冷熱の供給バランスを維持することが可能である。
【0084】
[第6形態]
第6形態に係る成型機の温度調節システム151は、図9に示すように、基エアを吸って温風を出すヒートポンプ4に代えて戻り温水を加熱して温水を供給するヒートポンプ154を設置したことを除き、第5形態と同様に成る。ヒートポンプ154は、温水供給パイプ160及び温水戻りパイプ162と接続されており、これらのパイプには温水と基エアとで熱交換を行う熱交換器164(加熱手段)が接続されている。基エアは熱交換器164を通過することで加熱され、適宜他熱源Nによる追加的加熱を受けてホッパ2に温風として供給される。なお、温水戻りパイプ162には、温水を一定速で循環させる温水ポンプ166(加熱媒体ポンプ)が取り付けられている。
【0085】
自動制御装置は、例えば、10m/minで15度の基エアを熱交換器164に導入させ、70度の温風とする。この温風は更に他熱源Nにより80度に加熱される(加熱負荷2kW)。基エア加熱のための温水は往き80度・戻り70度である一方(加熱負荷11kW,COP2.0)、この温水供給に伴い冷水も往き7度・戻り17度で発生し、冷却負荷5.5kWに対してバランスの取れる状態で(丁度冷熱が用いられる状態で)作用する。自動制御装置は、熱交換器164と他熱源Nの間の通風路42(熱交換器164の直後)における温風温度を監視し、当該温度が70度となるようにヒートポンプ154の温水供給を制御する(温水80度)。
【0086】
そして、自動制御装置は、冷水温度を監視し、冷却負荷が4.6kW(COP2.0)に低下して冷水温度が所定温度以下となった場合には、ヒートポンプ154の温水供給設定温度を80度から60度へ下げる。すると、ヒートポンプ154の加熱量は7kW(COP3.0)へ軽減され、基エアから50度の温風が生成されると共に、冷水に加わる冷熱も減少して冷水戻り温度が所定温度以上に復帰して(15.7度)、温熱に対する冷熱のバランスが保たれる。なお、他熱源Nにより、加熱量6kWにて温風を加熱し、ホッパ2の所望する80度とする。
【0087】
なお、ヒートポンプ154につき、温水温度に追従して運転しても良く(例えば所望温風温度+5度)、この場合でも温水温度設定値を下げることで冷熱量を下げることが可能である。又、温水供給温度を一定にしつつ、温水ポンプ166の流量をインバーターにより絞っても、加熱量を下げひいては冷熱量を下げることになる。加えて、このようなヒートポンプ154の冷熱制御は、第4形態のような温風循環方式においても同様に実行可能であるし、本出願人による別出願に係るヒートポンプ関連の各種技術(特願2009−261206「電着塗装装置」,特願2008−305017「塗装乾燥装置」,特願2009−193528「空調システム」,特願2009−129380「媒体温度調整システム」)におけるヒートポンプ制御においても実行可能である。これらの変更例も、他の実施形態(第7〜10形態等)において採用することができる。
【0088】
このような第6形態の温度調節システム151であっても、第5形態と同様に、ヒートポンプ154における温熱と冷熱の供給バランスを簡易な方式によって維持して運転の継続が可能となる。
【0089】
[第7形態]
第7形態に係る成型機の温度調節システムは、第6形態と同様に成る。自動制御装置は、温水ポンプ166につき、流量一定運転に代えて、所定の温風温度を生成する熱量を有する熱量一定運転を行う。温水ポンプ166は、熱量を一定にするため、温水の流量を自動調整する。
【0090】
例えば、10m/minで15度の基エアを熱交換器164により9kWの加熱(COP2.5,温水往き70度)で60度とし、冷却負荷5.4kW(COP1.5)にバランスの取れた状態で対応する(冷水往き7度・戻り17度)。温水ポンプ166は、温水循環量につき、温風温度が60度となるような温水熱量を有するように運転される。
【0091】
そして、自動制御装置は、冷却負荷が4.5kWに減少して冷水温度が15度以下となると、ヒートポンプ154の温水供給設定温度を80度に上げる(温水温度往き80度・戻り70度)。このとき、温水ポンプ166は依然として熱量一定運転を続けるため、ヒートポンプ154の加熱COPが2.5から2.0となり、又循環温水量が絞られる。よって、ヒートポンプ154の発生する冷熱も低減され(冷水戻り温度15.3度,COP1.0)、冷却負荷の減少に対応しながらヒートポンプ154の運転を継続することが可能となる。
【0092】
[第8形態]
図10(a)に示す第8形態に係る成型機の温度調節システム201は、ヒートポンプ154に代えてヒートポンプ式給湯器204を用いる他、第6形態と同様に成る。ヒートポンプ式給湯器204は、水熱源であり、好ましくはCO冷媒であるが、R410A冷媒等であっても良い。又、ヒートポンプ式給湯器204は、低温の戻り温水(25度)から90度程度の高温の温水を極めて効率良く生成可能であるが、温水戻り温度が45度程度以上に高くなると、ヒートポンプサイクルが成り立たないために運転の継続が不可能となるか、効率の悪化した状態(COP1.0〜1.5)でしか運転できなくなる。従って、ヒートポンプ式給湯器204を温風生成にそのまま用いると、80度の温風を生成するために往き温水温度が90度程度必要となり、戻り温水温度が80度となって、良好な運転状態とならない。
【0093】
そこで、第6形態と同様に、温水ポンプ166を温風温度が80度となり且つ温水戻り温度が所定温度(35度)以下となるように自動調整運転させ、ヒートポンプ式給湯器204の効率良い運転を継続させる。例えば、10m/minで15度の基エアから生成される温風温度を80度で維持するために温水温度往き90度とし(加熱13kW,COP3.0)、他熱源Nの加熱は0kWである。一方、冷却負荷8.7kW(COP2.0)に対し、温熱と同時に生成される冷熱により冷水温度往き7度・戻り17度でバランスする。温水戻り温度は温水ポンプ166の流量調整により25度となる。温水戻り温度を35度以下とするために温水循環量を絞った場合において、基エアの加熱量が不足する際には、他熱源Nにより再加熱する。なお、なるべく他熱源Nを使用しないために、熱交換器164について十分に温水戻り温度が下がる容量とする。
【0094】
このような制御における自動制御装置の作動の例について図11等に基づき改めて説明すると、自動制御装置は、まず成形機が運転中か否かを把握する(S101)。運転中でなければ(No)、温水ポンプ166及びヒートポンプ式給湯器204を停止して(S102,S103)、処理を終了する。
【0095】
一方、自動制御装置は、S101でYesであると、送風ファンが運転中であるか否かを確認し(S104)、運転中でなければ(No)、温水ポンプ166の運転中であるときのみこれを停止して(S105,S106)、処理の最初(S101)に戻る。又、S104でYesであれば、ヒートポンプ給湯器204が停止中である場合にのみこれを起動し(S107,S108)、温水ポンプ166が運転中でない場合のみこれを最低回転数で起動して(S109,S110)、ヒートポンプ給湯器204の温水戻り温度が所定値(35度)を上回るかを確認する(S111)。
【0096】
自動制御装置は、ヒートポンプ給湯器204の温水戻り温度が設定値を上回る場合(Yes)、温水ポンプ166における流量をインバーター制御によって減らす(S112)。この戻り温水流量を減少するインバーター制御により、ヒートポンプ給湯器204に戻る温水の温度が所定値以下に保持される。そして処理の最初(S101)に戻る。
【0097】
一方、自動制御装置は、ヒートポンプ給湯器204の温水戻り温度が設定値を上回らない場合(No)、熱交換器164を通過した温風の温度が設定値より5度を超えて低いか否かを確認し(S113)、Yesである場合のみ、温水ポンプ166における流量をインバーター制御によって増やす(S114)。この戻り温水流量を増加するインバーター制御により、温風温度が低く(温水加熱量が少なく)かつ温水温度が設定値以下で余裕がある場合に温水加熱量を増やすことができる。この後処理の最初(S101)に戻る。
【0098】
このような第8形態の温度調節システム201では、温水ポンプ166により温水熱量を調整して戻り温水温度を低温とするため、極めて効率の良好な運転を行うヒートポンプ式給湯器204を温風生成に継続利用することができる。
【0099】
[第9形態]
図10(b)に示す第9形態に係る成型機の温度調節システム221は、水熱源のヒートポンプ式給湯器204に代えて空気熱源のヒートポンプ式給湯器224を用いる他、第8形態と同様に成る。この第9形態にあっても、第8形態と同様に制御することができ、温風生成のためのヒートポンプ式給湯器204の極めて効率良い運転を継続させることができる。
【0100】
又、ホッパ2からの排気をヒートポンプ式給湯器224の空気熱交換器に導入すると、効率が更に向上する(外気6度の場合のCOP3.0から排気導入空気25度の場合のCOP3.8へ)。
【0101】
[第10形態]
図12に示す第10形態に係る成型機の温度調節システム251は、冷水戻りパイプ22に冷水を循環させる冷水ポンプ252が設置されていると共に、冷水供給パイプ20に冷水戻りパイプ22への分岐パイプ253が接続された冷熱量調整手段としての冷水弁254が設置されており、更に冷水戻りパイプ22の分岐パイプ253接続部よりヒートポンプ4側に排気冷水熱交換器256が設置されている他、第3形態と同様に成る。排気冷水熱交換器256には、ホッパ2の排気口44から排出された排気の排気路46も通されており、当該排気と冷水とで熱交換が可能となっている。
【0102】
このような温度調節システム251にあって、ヒートポンプ4は第3形態と同様に動作する他、次に示すように起動される。
【0103】
即ち、図12(a)に示すような、起動前で停止中のヒートポンプ4を起動させる場合、冷水側において熱交換すべき排気が発生していないため、ヒートポンプ4を継続運転可能な状態で起動することができない。従って、ヒートポンプ4を立ち上げる前において、他熱源Nでまず温風を作り、排気が発生した後に、ヒートポンプ4を起動する。
【0104】
例えば、基エアにつき10m/min・15度で導入し、停止中のヒートポンプ4をそのまま通過させて他熱源Nで80度まで加熱して(13kW)、ホッパ2に導入して排気10m/min・70度を発生させる。そして、この排気につき、排気冷水熱交換器256において冷水を加熱すべく流通させる。熱交換後の排気は、35度となって排出される。
【0105】
そして、自動制御装置は、排気温度が所定値(60度)まで上昇したことを把握すると、図12(b)に示すようにヒートポンプ4を起動し、他熱源Nを補助熱源とする運転に切り替える。なお、(冷水ポンプ252をまず作動させ)冷水温度が所定値(25度)以上となったことを条件にヒートポンプ4の運転を開始するようにしても良い。
【0106】
例えば、10m/min・15度の基エアにつき、ヒートポンプ4で13kWの加熱を行って80度とし、他熱源Nの加熱無しでホッパ2へ温風を導入する。温風の排気は70度となり、排気冷水熱交換器256の通過後は35度となる。冷却負荷がないので冷水は冷水弁254により全量分岐パイプ253へ送られ、往き温度20の冷水が排気との熱交換により25度となってヒートポンプ4に戻る。
【0107】
このような第10形態の温度調節システム251では、他熱源Nにより排気を発生させてからヒートポンプ4を起動するため、極めて効率の良好な運転を継続的に行えるヒートポンプ4の起動を極めて円滑に実行することができる。
【0108】
[その他の形態]
以上の形態にあっては、加熱と冷却とを行うヒートポンプの冷却側に適用する冷却側加熱媒体としてホッパの排気(工場に属する熱)を用いているが、ホッパの排気に代えてあるいはこれと共に、次に示すような他の工場に属する熱を用いることができる。即ち、工場で生ずる他の排気や排熱あるいは樹脂成型機からの放熱や樹脂成型機の作動油からの熱、又はスポイラーを始めとする樹脂製品の塗装乾燥後のワークの放熱や、温水洗浄により加温された樹脂製品をその後工程である水洗工程で水洗した場合の水洗水に移った熱を用いたり、これらの組合せを用いたりする。加えて、自動制御装置による各種の制御や切替等を、手動により行うことも可能である。又、ホッパの加熱量の調整(加熱量調節手段)につき、冷水の熱交換器への分岐量の調節によるものに代えて、冷却媒体加熱用熱交換器に当たる排気の量の調節によるものや、これらの組合せによるもの等として良い。更に、冷水の分岐量の調整(熱交換量調節手段)において、インバーターポンプを用いても良い。又、ヒートポンプや冷却機を複数台組み合わせて構成する等、各要素の数を適宜変更して良い。
【符号の説明】
【0109】
1,51,101,121,151,201,221,251 (成型機の)温度調節システム
2 ホッパ
3 金型
4 ヒートポンプ(排熱回収型,温風供給型)
14 (ヒートポンプの)熱交換器
34 冷水加熱用熱交換器(冷却媒体加熱用熱交換器)
40 温風導入口(導入口)
44 排気口
154 ヒートポンプ(排熱回収型,温水供給型)
164 熱交換器(エアの加熱手段)
166 温水ポンプ(加熱媒体ポンプ)
204 ヒートポンプ式給湯器
N 他熱源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料が蓄えられるホッパ、及び当該原料が投入される金型を有する成型機と、
前記ホッパにエアを送る送風機と、
前記ホッパに設けられた、前記エアを受け入れる導入口と、
前記金型を冷却する冷却手段と、
前記送風機と前記導入口の間の前記エア、又は当該エアを加熱媒体により加熱する加熱手段における当該加熱媒体を加熱して供給すると共に、前記冷却手段に冷却媒体を冷却して供給するヒートポンプと、
前記冷却媒体を工場に属する熱によって加熱する冷却媒体加熱用熱交換器と
を備えたことを特徴とする成型機の温度調節システム。
【請求項2】
前記ホッパには、前記エアを排出する排気口が設けられており、
前記冷却媒体加熱用熱交換器は、前記冷却媒体を前記排気口からの前記エアによって加熱する
ことを特徴とする請求項1に記載の成型機の温度調節システム。
【請求項3】
前記冷却媒体加熱用熱交換器における前記冷却媒体の加熱量を調節する加熱量調節手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の成型機の温度調節システム。
【請求項4】
前記加熱量調節手段は、前記冷却媒体の前記冷却媒体加熱用熱交換器への分岐量を調節する熱交換量調節手段である
ことを特徴とする請求項3に記載の成型機の温度調節システム。
【請求項5】
前記冷却媒体による前記金型の冷却を要せず、且つ前記エアの加熱を要する場合に、前記ヒートポンプにおける前記冷却媒体の供給設定温度が上昇される
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の成型機の温度調節システム。
【請求項6】
前記冷却媒体を冷却する冷却機を備えた
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の成型機の温度調節システム。
【請求項7】
加熱後の前記エアの温度、前記ホッパの温度、あるいは前記加熱媒体の温度の少なくとも何れかが所定範囲外になると、少なくとも何れかが特定範囲内となるまで前記ヒートポンプの出力を制御する自動制御装置を備えた
ことを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れかに記載の成型機の温度調節システム。
【請求項8】
前記金型の温度あるいは前記冷却媒体の温度の少なくとも何れかが所定範囲外になると、少なくとも何れかが特定範囲内となるまで前記ヒートポンプの出力を制御する自動制御装置を備えた
ことを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れかに記載の成型機の温度調節システム。
【請求項9】
前記金型の温度、前記冷却媒体の温度、あるいは前記冷却媒体加熱用熱交換器の温度の少なくとも何れかが所定範囲外になると、少なくとも何れかが特定範囲内となるまで前記冷却媒体の前記加熱量を制御する自動制御装置を備えた
ことを特徴とする請求項3ないし請求項8の何れかに記載の成型機の温度調節システム。
【請求項10】
前記自動制御装置は、前記冷却媒体の温度が低下すると、前記ヒートポンプにおける加熱量を減少する
ことを特徴とする請求項7ないし請求項9の何れかに記載の成型機の温度調節システム。
【請求項11】
前記自動制御装置は、前記冷却媒体の温度が低下すると、加熱前の前記エアの量を減少する
ことを特徴とする請求項10に記載の成型機の温度調節システム。
【請求項12】
前記自動制御装置は、前記冷却媒体の温度が低下すると、前記加熱媒体の供給設定温度を減少する
ことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の成型機の温度調節システム。
【請求項13】
前記ヒートポンプに戻る際の熱量が一定となる状態で前記加熱媒体を循環させる加熱媒体ポンプを備えており、
前記自動制御装置は、前記冷却媒体の温度が低下すると、前記加熱媒体の供給設定温度を上昇する
ことを特徴とする請求項10ないし請求項12の何れかに記載の成型機の温度調節システム。
【請求項14】
前記冷却媒体を加熱する他熱源を備えており、
当該他熱源により前記冷却媒体を加熱した後、前記ヒートポンプを起動する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項13の何れかに記載の成型機の温度調節システム。
【請求項15】
前記エアを加熱する他熱源を備えており、
前記排気口からの前記エアにより前記冷却媒体を加熱した後、前記ヒートポンプを起動する
ことを特徴とする請求項2ないし請求項13の何れかに記載の成型機の温度調節システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−116057(P2011−116057A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276713(P2009−276713)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【Fターム(参考)】