成形方法、成形装置、成形型、ウェハレベルレンズアレイ、レンズアレイ積層体、素子アレイ積層体、レンズモジュール、並びに撮像ユニット
【課題】製造されるウェハレベルレンズアレイのレンズ部の位置のばらつきを抑えることができる成形方法、成形装置、成形型を提供する。
【解決手段】基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形方法であって、レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材によって、一対の型部材の型面同士の間にウェハレベルレンズアレイの材料である樹脂を挟み込み、型面同士の間隔を狭めて樹脂を押圧し、樹脂を型面の形状に変形させる樹脂成形工程と、樹脂成形工程によって型面同士の間からはみ出した樹脂を取り除く除去工程と、を有する。
【解決手段】基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形方法であって、レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材によって、一対の型部材の型面同士の間にウェハレベルレンズアレイの材料である樹脂を挟み込み、型面同士の間隔を狭めて樹脂を押圧し、樹脂を型面の形状に変形させる樹脂成形工程と、樹脂成形工程によって型面同士の間からはみ出した樹脂を取り除く除去工程と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハレベルレンズアレイの成形方法、成形装置、成形型、ウェハレベルレンズアレイ、レンズアレイ積層体、素子アレイ積層体、レンズモジュール、並びに撮像ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの電子機器の携帯端末には、小型で薄型な撮像ユニットが搭載されている。このような撮像ユニットは、一般に、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子と、固体撮像素子上に被写体像を形成するためのレンズと、を備えている。
【0003】
携帯端末の小型化・薄型化に伴って撮像ユニットの小型化・薄型化が要請されている。また、携帯端末のコストの低下を図るため、製造工程の効率化が望まれている。小型かつ多数のレンズを製造する方法としては、基板部に複数のレンズ部を形成した構成であるウェハレベルレンズアレイを製造し、該基板部を切断して複数のレンズ部をそれぞれ分離させてなるレンズモジュールを量産する方法が知られている。
【0004】
また、複数のレンズ部が形成された基板部と複数の固体撮像素子が形成された半導体ウェハとを一体に組み合わせ、レンズ部と固体撮像素子をセットとして含むように基板部とともに半導体ウェハを切断することで撮像ユニットを量産する方法が知られている。
【0005】
従来、次の工程によりウェハレベルレンズアレイを製造することが知られている。
(1)マスタ基板上に樹脂を塗布し、該樹脂に、レンズ部単体の形状の反転形状を含む転写面が形成された転写体を押し付け、レンズ部の形状を転写する。
(2)マスタ基板上の樹脂に転写体によってレンズ部の形状を転写する工程を繰り返すことで、1つのウェハ上に多数個(例えば1500〜2400個)のレンズ部の形状が転写されたマスタレンズアレイを形成する。
(3)マスタレンズアレイのレンズ部の形状が転写されたレンズ形状転写面に、電鋳によってNi等の金属イオンを堆積させてなるスタンパ(Ni電鋳型)を製造する。
(4)スタンパを一対の型部材として使用し、該一対の型部材のうち一方に光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などのエネルギー硬化性樹脂を供給する。
(5)供給されたエネルギー硬化性樹脂を一対の型部材で挟み込むことで押圧することによって、一対の型部材の各型面に倣って樹脂を成形する。
(6)エネルギー硬化性樹脂にエネルギー線を供給し、該エネルギー硬化性樹脂を硬化させ、一対の型部材から剥離させることでウェハレベルレンズアレイを得る。
【0006】
特許文献1には、樹脂を型で成形することで、一つの基板に多数のレンズ部が形成されたウェハレベルレンズアレイを製造する方法及び装置が記載されている。
【0007】
特許文献2には、光学素子を成形する上型と下型の間に、シール部材を挟むことで、上下型の間に注入した樹脂が漏れ出すことを防止する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第08/153102号
【特許文献2】国際公開第08/102582号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、樹脂を一対の型部材の間で挟み込む際に、該樹脂の一部が型部材同士の間から外側にはみ出すことがある。
図17は、型部材の型面の平面視した状態を模式的に示す図である。図17で示すように、型部材Mの型面から樹脂がはみ出した領域Rは、型面の外周において位置によって異なっている。図17のように平面視で正円形の型面を有する型部材Mでは、その中心を通る方向D1と方向D2とで、樹脂のはみ出す量が異なっている。型面の方向D1においては樹脂のはみ出しが少なく、方向D2では樹脂のはみ出しが多くなる。この状態で樹脂を硬化させると、方向D2と方向D1とはみ出した樹脂の量の差に応じて型部材Mで成形される樹脂の収縮量に差が生じ、成形されるウェハレベルレンズアレイのレンズ部のピッチにばらつきが生じる。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、製造されるウェハレベルレンズアレイのレンズ部の位置のばらつきを抑えることができる成形型、成形装置、成形方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形方法であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材によって、前記一対の型部材の前記型面同士の間に前記ウェハレベルレンズアレイの材料である樹脂を挟み込み、前記型面同士の間隔を狭めて前記樹脂を押圧し、前記樹脂を前記型面の形状に変形させる樹脂成形工程と、
前記樹脂成形工程によって前記型面同士の間からはみ出した樹脂を取り除く除去工程と、を有する成形方法。
【0012】
基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形装置であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材と、
前記ウェハレベルレンズアレイの材料である樹脂を挟み込んだ前記一対の型部材の前記型面同士の間からはみ出した樹脂を取り除く除去手段と、を有する成形装置。
【0013】
基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形型であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材を備え、
前記一対の型部材のうち一方の型部材には、該型部材の型面の周囲を囲み、前記型面から他方の型部材側に突出する筒状の樹脂除去部材が固定して設けられている成形型。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一対の型部材の間からはみ出した樹脂を予め取り除くことで、樹脂を硬化させる工程の際には、一対の型部材の間で保持されている樹脂のみが硬化される。よって、硬化時には一対の型部材の間からはみ出した樹脂が存在しないため、成形されるウェハレベルレンズアレイのレンズ部の位置にばらつきが生じることを抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ウェハレベルレンズアレイの平面図
【図2】図1に示すウェハレベルレンズアレイのA−A線断面図
【図3】レンズモジュールの断面図
【図4】撮像ユニットの断面図
【図5】成形装置の図
【図6】一対の型部材で樹脂を成形する手順を示す図
【図7】除去工程を行う際の一対の型部材と除去部を示す図
【図8】他の形状の除去部を示す図
【図9】除去部材を示す図
【図10】除去部材を用いて樹脂を成形する手順を示す図
【図11】樹脂を除去する構成を備えた成形型を示す図
【図12】図11に示す成形型を用いてウェハレベルレンズアレイを製造する手順を示す図
【図13】一方の型部材の除去部が他方の型部材に嵌め合わされた部分の図
【図14】他の構成例の成形型を用いてウェハレベルレンズアレイを成形する手順を示す図
【図15】樹脂除去部材の変形例を示す図
【図16】樹脂除去部材の変形例を示す図
【図17】型部材の型面の平面視した状態を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
先ず、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュールと撮像ユニットの構成について説明する。
【0017】
図1は、ウェハレベルレンズアレイの平面図である。ウェハレベルレンズアレイは、基板部1と、該基板部1に配列された複数のレンズ部10とを備えている。
【0018】
レンズ部10は、基板部1と同じ材料から構成され、該基板部1に一体成形されたものである。複数のレンズ部10は、基板部1の両面のそれぞれに所定のピッチで配列されている。
【0019】
図2は、図1に示すウェハレベルレンズアレイのA−A線断面図である。基板部1の両面に形成されたレンズ部10は、基板部1の平面部分から突出する凸面を有する凸レンズ形状を有する。レンズ部10の形状は、特に限定されず、用途などによって適宜変形される。
【0020】
ウェハレベルレンズアレイは、成形型を用いて成形材料を成形し、硬化させることで得られる。
【0021】
図3は、レンズモジュールの断面図である。
レンズモジュールは、基板部1と、及び該基板部1に一体成形されたレンズ部10とを含んだ構成である。また、レンズモジュールは、基板部1の一方の面にスペーサ12が設けられている。
【0022】
スペーサ12は、他の部材と重ね合わせるときの間隔を確保する部材である。
【0023】
レンズモジュールは、図1及び図2に示すウェハレベルレンズアレイの基板部1をダイシングし、レンズ部10ごとに分断させたものである。レンズモジュールに備えられるスペーサ12は、基板部1上のダイシングされる領域に予め形成され、ダイシングによって分離され、各レンズモジュールの基板部1に付属する。
【0024】
図4は、撮像ユニットの断面図である。
撮像ユニットは、上述のレンズモジュールと、センサモジュールとを備える。レンズモジュールのレンズ部10は、センサモジュール側に設けられた撮像素子Dに被写体像を結像させる。レンズモジュールの基板部1とセンサモジュールの半導体基板Wとが、平面視において略同一の矩形状である。
【0025】
センサモジュールは、半導体基板Wと、半導体基板Wに設けられた撮像素子Dを含んでいる。半導体基板Wは、例えばシリコンなどの半導体材料で形成されたウェハを平面視略矩形状に切り出して成形されている。撮像素子Dは、半導体基板Wの略中央部に設けられている。撮像素子Dは、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサである。センサモジュールは、チップ化された撮像素子Dを配線等が形成された半導体基板上にボンディングした構成とすることができる。又は、撮像素子Dは、半導体基板Wに対して周知の成膜工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、不純物添加工程等を繰り返し、該半導体基板に電極、絶縁膜、配線等を形成して構成されてもよい。
【0026】
レンズモジュールは、その基板部1がスペーサ12を挟んでセンサモジュールの半導体基板Wの上に重ね合わされている。レンズモジュールのスペーサ12とセンサモジュールの半導体基板Wとは、例えば接着剤などを用いて接合される。スペーサ12は、レンズモジュールのレンズ部10がセンサモジュールの撮像素子D上で被写体像を結像させるように設計され、レンズ部10がセンサモジュールに接触しないように、該レンズ部10と撮像素子Dとの間に所定の距離を隔てる厚みで形成されている。
【0027】
レンズモジュール及び撮像ユニットに設けられるスペーサ12は、レンズモジュールの基板部1とセンサモジュールの半導体基板Wとを所定の距離を隔てた位置関係を保持することができる範囲で、その形状は特に限定されず適宜変形できる。例えば、スペーサ12は、基板部1の平面視において格子状の部材であってもよく、レンズ部10の周囲に複数設けられた柱状の部材であってもよい。また、スペーサ12は、センサモジュールの撮像素子Dの周囲を取り囲むような枠状の部材であってもよい。撮像素子Dを枠状のスペーサ12によって取り囲むことで外部から隔絶すれば、撮像素子Dにレンズを透過する光以外の光が入射しないように遮光することができる。また、撮像素子Dを外部から密封することで、撮像素子Dに塵埃が付着することを防止できる。
【0028】
レンズモジュールは、レンズ部10が形成された基板部1を複数備えた構成としてもよい。このとき、互いに重ね合わされる基板部1同士がスペーサ12を介して組み付けられる。また、レンズ部10が形成された基板部1を複数備えたレンズモジュールの最下位置の基板部1にスペーサ12を介してセンサモジュールを接合して撮像ユニットを構成してもよい。
【0029】
撮像ユニットは、携帯端末等に内蔵される図示しない回路基板にリフロー実装される。回路基板には、撮像ユニットが実装される位置に予めペースト状の半田が適宜印刷されており、そこに撮像ユニットが載せられ、この撮像ユニットを含む回路基板に赤外線の照射や熱風の吹付けといった加熱処理が施され、撮像ユニットが回路基板に溶着される。
【0030】
次に、ウェハレベルレンズアレイを成形するのに用いる成形材料について説明する。
【0031】
成形材料としては、成形時には流動性を有し、成形後、加熱や光照射によって硬化する樹脂を用いる。このような樹脂としては、熱硬化性樹脂、又は、活性エネルギー線(例えば紫外線、電子線)の照射により硬化する樹脂のいずれであってもよい。
【0032】
樹脂は、成形時の型形状の転写適性等、成形性の観点から硬化前には適度な流動性を有していることが好ましい。具体的には常温で液体であり、粘度が1000〜50000mPa・s程度のものが好ましい。
【0033】
樹脂は、一方、硬化後にはリフロー工程を通しても熱変形しない程度の耐熱性を有していることが好ましい。該観点から、硬化物のガラス転移温度は200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。樹脂組成物にこのような高い耐熱性を付与するためには、分子レベルで運動性を束縛することが必要であり、有効な手段としては、(1)単位体積あたりの架橋密度を上げる手段、(2)剛直な環構造を有する樹脂を利用する手段(例えばシクロヘキサン、ノルボルナン、テトラシクロドデカン等の脂環構造、ベンゼン、ナフタレン等の芳香環構造、9,9’−ビフェニルフルオレン等のカルド構造、スピロビインダン等のスピロ構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平9−137043号公報、同10−67970号公報、特開2003−55316号公報、同2007−334018号公報、同2007−238883号公報等に記載の樹脂)、(3)無機微粒子など高Tgの物質を均一に分散させる手段(例えば特開平5−209027号公報、同10−298265号公報等に記載)等が挙げられる。これらの手段は複数併用してもよく、流動性、収縮率、屈折率特性など他の特性を損なわない範囲で調整することが好ましい。
【0034】
樹脂の組成物は、形状転写精度の観点から、硬化反応による体積収縮率が小さいものが好ましい。樹脂の硬化収縮率としては10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが特に好ましい。
【0035】
硬化収縮率の低い樹脂の組成物としては、例えば、(1)高分子量の硬化剤(プレポリマ−など)を含む樹脂組成物(例えば特開2001−19740号公報、同2004−302293号公報、同2007−211247号公報等に記載、高分子量硬化剤の数平均分子量は200〜100,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは500〜50,000の範囲であり、特に好ましくは1,000〜20,000の場合である。また該硬化剤の数平均分子量/硬化反応性基の数で計算される値が、50〜10,000の範囲にあることが好ましく、100〜5,000の範囲にあることがより好ましく、200〜3,000の範囲にあることが特に好ましい。)、(2)非反応性物質(有機/無機微粒子,非反応性樹脂等)を含む樹脂組成物(例えば特開平6−298883号公報、同2001−247793号公報、同2006−225434号公報等に記載)、(3)低収縮架橋反応性基を含む樹脂組成物(例えば、開環重合性基(例えばエポキシ基(例えば、特開2004−210932号公報等に記載)、オキセタニル基(例えば、特開平8−134405号公報等に記載)、エピスルフィド基(例えば、特開2002−105110号公報等に記載)、環状カーボネート基(例えば、特開平7−62065号公報等に記載)等)、エン/チオール硬化基(例えば、特開2003−20334号公報等に記載)、ヒドロシリル化硬化基(例えば、特開2005−15666号公報等に記載)等)、(4)剛直骨格樹脂(フルオレン、アダマンタン、イソホロン等)を含む樹脂組成物(例えば、特開平9−137043号公報等に記載)、(5)重合性基の異なる2種類のモノマーを含み相互貫入網目構造(いわゆるIPN構造)が形成される樹脂組成物(例えば、特開2006−131868号公報等に記載)、(6)膨張性物質を含む樹脂組成物(例えば、特開2004−2719号公報、特開2008−238417号公報等に記載)等を挙げることができ、本発明において好適に利用することができる。また上記した複数の硬化収縮低減手段を併用すること(例えば、開環重合性基を含有するプレポリマーと微粒子を含む樹脂組成物など)が物性最適化の観点からは好ましい。
【0036】
ウェハレベルレンズアレイには、高−低2種類以上のアッベ数の異なる樹脂が望まれる。
高アッべ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が50以上であることが好ましく、より好ましくは55以上であり特に好ましくは60以上である。屈折率(nd)は1.52以上であることが好ましく、より好ましくは1.55以上であり、特に好ましくは1.57以上である。このような樹脂としては、脂肪族の樹脂が好ましく、特に脂環構造を有する樹脂(例えば、シクロヘキサン、ノルボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の環構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平10−152551号公報、特開2002−212500号公報、同2003−20334号公報、同2004−210932号公報、同2006−199790号公報、同2007−2144号公報、同2007−284650号公報、同2008−105999号公報等に記載の樹脂)が好ましい。
【0037】
低アッべ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が30以下であることが好ましく、より好ましくは25以下であり特に好ましくは20以下である。屈折率(nd)は1.60以上であることが好ましく、より好ましくは1.63以上であり、特に好ましくは1.65以上である。
このような樹脂としては芳香族構造を有する樹脂が好ましく、例えば9,9’‐ジアリールフルオレン、ナフタレン、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール等の構造を含む樹脂(具体的には例えば、特開昭60−38411号公報、特開平10−67977号公報、特開2002−47335号公報、同2003−238884号公報、同2004−83855号公報、同2005−325331号公報、同2007−238883号公報、国際公開2006/095610号公報、特許第2537540号公報等に記載の樹脂等)が好ましい。
【0038】
樹脂は、屈折率を高める目的やアッベ数を調整する目的のために、無機微粒子をマトリックス中に分散させたものであることが好ましい。無機微粒子としては、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子が挙げられる。より具体的には、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、硫化亜鉛等の微粒子を挙げることができる。
特に上記高アッべ数の樹脂に対しては、酸化ランタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましく、低アッベ数の樹脂に対しては、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましい。無機微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、複数の成分による複合物であってもよい。
【0039】
また、無機微粒子には光触媒活性低減、吸水率低減などの種々の目的から、異種金属をドープしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)又は有機酸基を持つ分散剤などで表面修飾してもよい。無機微粒子の数平均粒子サイズは通常1nm〜1000nm程度とすればよいが、小さすぎると物質の特性が変化する場合があり、大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となるため、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmが更に好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。また、無機微粒子の粒子サイズ分布は狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば、特開2006−160992号に記載されるような数値規定範囲が好ましい粒径分布範囲に当てはまる。ここで上述の数平均1次粒子サイズとは、例えばX線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。無機微粒子の屈折率としては、22℃、589nmの波長において、1.90〜3.00であることが好ましく、1.90〜2.70であることが更に好ましく、2.00〜2.70であることが特に好ましい。無機微粒子の樹脂に対する含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、5質量%以上であることが好ましく、10〜70質量%が更に好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
【0040】
樹脂に微粒子を均一に分散させるためには、例えばマトリックスを形成する樹脂モノマーとの反応性を有する官能基を含む分散剤(例えば特開2007−238884号公報実施例等に記載)、疎水性セグメント及び親水性セグメントで構成されるブロック共重合体(例えば特開2007−211164号公報に記載)、あるいは高分子末端又は側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する樹脂(例えば特開2007−238929号公報、特開2007−238930号公報等に記載)等を適宜用いて微粒子を分散させることが望ましい。
【0041】
また、樹脂には、シリコン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有化合物等の公知の離型剤やヒンダードフェノール等の酸化防止剤等の添加剤が適宜配合されていてもよい。
【0042】
樹脂には、必要に応じて硬化触媒又は開始剤を配合することができる。具体的には、例えば特開2005−92099号公報(段落番号[0063]〜[0070])等に記載の熱又は活性エネルギー線の作用により硬化反応(ラジカル重合あるいはイオン重合)を促進する化合物を挙げることができる。これらの硬化反応促進剤の添加量は、触媒や開始剤の種類、あるいは硬化反応性部位の違いなどによって異なり一概に規定することはできないが、一般的には硬化反応性樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜15質量%程度が好ましく、0.5〜5質量%程度がより好ましい。
【0043】
樹脂に上記成分を適宜配合して製造する際に、液状の低分子モノマー(反応性希釈剤)等に他の成分を溶解することができる場合には、別途溶剤を添加する必要はない。しかし、それ以外の場合には、樹脂は、別途溶剤を用いることで各構成成分を溶解させ、製造される。溶剤としては、樹脂の組成物が沈殿することなく、均一に溶解又は分散されるものであれば特に制限はなく適宜選択することができ、具体的には、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、水等を挙げることができる。樹脂が溶剤を含む場合には該樹脂を基板及び/又は型部材の上にキャストし溶剤を乾燥させた後に型形状を転写する操作を行うことが好ましい。
【0044】
次に、ウェハレベルレンズアレイを成形するのに用いる成形装置を説明する。
図5は、成形装置の概略構成を示す図である。成形装置20は、一対の型部材102,104と、成形時に一対の型部材102,104からはみ出した樹脂を取り除く除去手段とを備える。
【0045】
一対の型部材102,104は、製造するウェハレベルレンズアレイのレンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有し、該型面で樹脂を成形する。一対の型部材102,104は、それぞれの型面がウェハレベルレンズアレイの基板1の平面視における面積と等しい。また、一対の型部材102,104は、周縁部の大きさが等しく、いずれも型面の形状が正円形である。
【0046】
一対の型部材102,104のうち、下側に配置された型部材102は、型面に対して反対側の面が回転ステージ22に固定され、上側に配置された型部材104は、型面に対して反対側の面がチャック24で保持されている。
【0047】
回転ステージ22は、回転軸22sに連結されている。回転ステージ22は、回転軸22sの中心軸と型部材102の中心とが一致するように、型部材102を保持する。また、回転軸22sは、回動部23に連結されている。回動部23は、回転軸22sを回転させることで、回転ステージ22及び該回転ステージ22に固定された型部材102を図中矢印に示すように回動させる。回転ステージ22、回動部23は、回動手段として機能する。
【0048】
チャック24は、駆動軸24sに連結されている。駆動軸24sは、図示しないアクチュエータに連結されている。チャック24は、該アクチュエータの駆動によって、型部材104を保持しつつ昇降する。こうして、成形時には型部材104が、型部材102の型面に対して所定の間隔となる位置まで移動され、それ以外のときには、型部材102の型面から十分に離れた位置まで移動される。
【0049】
また、成形装置は、一対の型部材102,104の周縁部に対して進退可能に保持された樹脂除去部材26と、樹脂除去部材26を一対の型部材102,104の周縁部に対して進退させる摺接駆動部28と、を備える。上記の回動手段と、樹脂除去部材26と、摺接駆動部28と、は除去手段として機能する。
【0050】
樹脂除去部材26は、柱状又は板状に形成され、摺接駆動部28に連結されている。摺接駆動部28は、樹脂除去部材26を、一対の型部材102,104の周縁部に接触させた位置、又は、周縁部から一定距離離した位置となるように駆動する。
【0051】
次に、成形装置を用いてウェハレベルレンズアレイを製造する手順を説明する。
【0052】
図6Aから図6Cは、一対の型部材でウェハレベルレンズアレイの材料である樹脂を成形する手順を示している。一対の型部材102,104の型面には、ウェハレベルレンズアレイのレンズ部10の形状を反転させた形状のレンズ転写部102a,104aが形成されている。
【0053】
先ず、図6Aに示すように、型部材102の型面に樹脂10Rが供給される。樹脂10Rは、図示しないディスペンサを用いて塗布される。このとき、供給される樹脂10Rは、硬化させた際にウェハレベルレンズアレイとなる分の容積より十分に多い量が塗布される。
【0054】
樹脂10Rを塗布した後で、図6Bに示すように、樹脂10Rが供給された型部材102の型面と型部材104の型面とで、樹脂10Rを挟み込む。樹脂10Rは、一対の型部材102,104の各型面に倣って変形するとともに、樹脂10Rの一部が一対の型部材102,104の間からはみ出す。
【0055】
図6Cに示すように、更に型部材104を降下させ、一対の型部材102,104の間の間隔を、製造されるウェハレベルレンズの基板部1の厚さと同じにし、その間隔を保持するように一対の型部材102,104の位置を固定する。このとき、一対の型部材102,104はそれぞれの周縁部の位置が一致するように保持される。
【0056】
その後、除去手段によって、一対の型部材102,104の間からはみ出た樹脂10Rを取り除く除去工程を行う。
【0057】
図7は、除去工程を行う際の一対の型部材と除去部を示している。除去工程では、樹脂除去部材26を摺接駆動部28によって移動させ、該樹脂除去部材26を一対の型部材102,104の周縁部に当接させる。そして、図5に示した回転ステージ22を回転させることで、一対の型部材102,104を図7中矢印で示すように一体に回動させる。すると、樹脂除去部材26が一対の型部材102,104の周縁部に摺接しつつ、一対の型部材102,104の間からはみ出した樹脂10Rを取り除く。
【0058】
一対の型部材102,104を回動させ続けることで、一対の型部材102,104の周縁部のすべての領域においてはみ出ている樹脂10Rを取り除くことができる。樹脂10Rの除去後、樹脂除去部材26を一対の型部材102,104の周縁部から離れた位置まで移動させる。
【0059】
除去工程の後、樹脂の硬化を行う。
樹脂10Rが熱硬化性樹脂の場合には、一対の型部材102,104の位置を保持した状態で、一対の型部材102,104の間の樹脂を加熱し、硬化させる。樹脂がエネルギー線硬化性樹脂の場合には、一対の型部材102,104の位置を保持した状態で、一対の型部材102,104の間の樹脂にエネルギー線を照射し、樹脂を硬化させる。樹脂が光硬化性樹脂の場合には、一対の型部材102,104のうち少なくとも一方を光透過性の材料で構成して、一対の型部材102,104の外部から光を透過させて樹脂を硬化させる。
【0060】
硬化の際には、一対の型部材102,104の間の樹脂に硬化に伴う収縮が発生する。この手順では、硬化の前に、一対の型部材102,104からはみ出た樹脂を予め取り除いているため、樹脂10Rは型部材102,104の周囲に型面の間からはみ出して型面同士の間にある樹脂と繋がったまま不定形に拡がった状態にはならない。よって、硬化に伴う樹脂の収縮は、型面の中心に対して周方向において略均一となり、成形で得られるウェハレベルレンズアレイのレンズ部のピッチにばらつきが生じることを抑えることができる。
【0061】
樹脂が硬化した後、一対の型部材102,104から成形されたウェハレベルレンズアレイを離型する。こうして、基板部の両面にレンズ部が一体に成形されたウェハレベルレンズアレイを得ることができる。
【0062】
なお、樹脂除去部材26の形状は、上述の板状のものに限定されない。図8は、他の形状の除去部を示している。図8に示すように、樹脂除去部材26は、一対の型部材102,104の回転する軸に対して垂直な断面が角柱状であってもよいし、図示しないが、円柱状であってもよい。樹脂除去部材26が型面の周縁部に摺接する部分が、柱状又は板状の二側面に挟まれる稜、及び/又は、柱状又は板状の一側面であることが好ましい。こうすれば、樹脂除去部材26を型面の周縁部により確実に接触させることができ、樹脂を効果的に切除することができる。
【0063】
また、上記の成形装置20は、回転ステージ上の一対の型部材102,104を回動させることで、一対の型部材102,104の周縁部に接触している樹脂除去部材26を相対的に移動させて、樹脂を取り除く構成とした。しかし、一対の型部材102,104を回動させないで保持した状態とし、樹脂除去部材26が一対の型部材102,104の周縁部に摺接させつつ移動する機構としてもよい。又は、一対の型部材102,104を回動させる機構と、樹脂除去部材26を一対の型部材102,104の周縁部に摺接しながら移動させる機構とを備えた構成としてもよい。
【0064】
上記の成形方法の手順では、一対の型部材の周方向に対して相対的に樹脂除去部材を移動させることで樹脂の除去を行った。しかし、別の除去手段を用いて樹脂の除去を行ってもよい。
【0065】
図9は、他の樹脂除去部材を示している。
樹脂除去部材110は、除去工程の際に、樹脂を挟み込んだ一対の型部材102,104の周縁部に、外側から嵌め合わせること(外嵌ともいう。)で、一対の型部材102,104の間からはみ出た樹脂を取り除く。樹脂除去部材110は、図示しない駆動部に支持され、一対の型部材102,104の周縁部に嵌め合わされる位置と、一対の型部材102,104から一定距離離れた位置との間で駆動される。
【0066】
樹脂除去部材110は筒状に形成され、具体的には、型面の大きさにほぼ等しい底面を有する底板部110aと、底板部110aの底面の円周部に沿って、該底面に垂直に設けられた側板部110bとを有する。底板部110aの平面視において中央は開口している。この例では、側板部110bは、一対の型部材102,104の周縁部に沿って、一対の型部材102,104の開閉方向に側板部110bの端面が型部材104の型面から型部材102の型面に至るまでの間を移動することで、一対の型部材102,104の間からはみ出した樹脂を切除する。底板部110a及び側板部110bによって形成される凹部は、その内側の容積が一対の型部材102,104を収容可能な大きさである。
【0067】
図10A及び10Bは、樹脂除去部材を用いて樹脂を成形する手順を示している。
先ず、図6Aから図6Cで示した手順と同様の手順を行うことで、一対の型部材102,104の間に樹脂を挟み込み、樹脂10Rを成形する。その後、図10Aに示すように、型部材104の型面とは反対側から、除去部材110の側板部110bを型部材104の周縁部に嵌め合わせる。そして、図10Bに示すように、除去部材110を型部材104側へ押し込むことで、側板部110bが一対の型部材102,104の周縁部に沿って移動する。このとき、一対の型部材102,104の間からはみ出た樹脂が側板部110bによって取り除かれる。
【0068】
このように、樹脂除去部材110で一対の型部材102,104の間からはみ出た樹脂を取り除き、その後、樹脂を硬化させることで、得られるウェハレベルレンズアレイのレンズ部のピッチにばらつきが生じることを抑えることができる。
【0069】
次に、樹脂を除去する構成を備えた成形型と、該成形型を用いて除去工程を行う手順を説明する。
【0070】
図11は、樹脂を除去する構成を備えた成形型を示す図である。成形型は、一対の型部材202,204で構成される。一対の型部材202,204の型面には製造するウェハレベルレンズアレイのレンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部202a,204aが形成されている。一対の型部材202,204の型面は正円形である。また、型部材202は型部材204よりも径が大きい。
【0071】
型部材204の型面の周縁には、型面から筒状に突出する壁状の樹脂除去部材210が形成されている。この例では、一対の型部材202,204のうち型部材202が型部材204の樹脂除去部材210の内側面で囲われる部分より外側まで延在して設けられている。
【0072】
図12Aから12Cは、図11に示す成形型を用いてウェハレベルレンズアレイを製造する手順を示している。
【0073】
先ず、図12Aに示すように、型部材202aの型面に樹脂10Rが、所定の量だけ塗布される。その後、図12Bに示すように、樹脂10Rが供給された型部材202の型面に型部材204の樹脂除去部材210を突き当てる。こうすることで、一対の型部材202,204の型面同士の間で、樹脂10Rを挟み込む。樹脂10Rは、一対の型部材202,204の各型面に倣って変形するとともに、樹脂10Rの一部が一対の型部材202,204の間からはみ出す。このとき、下型部材202の型面と樹脂除去部材210との間から余分の樹脂をはみ出させ、はみ出した樹脂を樹脂除去部材210で切除する。
【0074】
図12Cに示すように、更に型部材204を降下させ、型部材204の樹脂除去部材210を型部材202の型面に当接させる。このとき、型面に当接される樹脂除去部材210によって一対の型部材202,204の間からはみ出した樹脂10Rが、一対の型部材202,204の間の樹脂10Rから切り離される。
【0075】
図13は、一方の型部材の除去部が他方の型部材に嵌め合わされた部分の図である。
樹脂除去部材210は、型部材204の型面に対して垂直方向に突出した寸法Hが、製造されるウェハレベルレンズアレイの基板部1の厚さに等しい。このため、型部材204の樹脂除去部材210を型部材202の型面に当接させた時点で、一対の型部材202,204の間の間隔を、基板部1の厚さに合わせることができ、間隔を調整する必要がない。
【0076】
このように、型部材204に設けられた樹脂除去部材210で、一対の型部材202,204の間からはみ出た樹脂を取り除き、その後、一対の型部材202,204の間に保持された樹脂を硬化させることで、得られるウェハレベルレンズアレイのレンズ部のピッチにばらつきが生じることを抑えることができる。
【0077】
図14は、他の構成例の成形型を用いてウェハレベルレンズアレイを成形する手順を示す図である。
この例では、上型部材204の樹脂除去部材210の内周面が下型部材202の外周に外嵌する。樹脂除去部材210は、型面から突出する筒状部分の高さが一定ではなく、この例では周方向に波状に高さが変化している。樹脂除去部材210は、型面から突出する高さが最も低いところが、基板部の厚さに相当する。
【0078】
先ず、図14Aに示すように、型部材202aの型面に樹脂10Rが、所定の量だけ塗布される。その後、図14Bに示すように、樹脂10Rが供給された型部材202の型面の外周に型部材204の樹脂除去部材210の一部を嵌め合わせる。そして、型部材204を型部材202側へ押し下げる。このとき、樹脂除去部材210の最も低い部分から余分な樹脂10Rを型面同士の間から外へはみ出せつつ、型部材204と型部材202との嵌合部分と未嵌合の部分のエッジで樹脂を切除していく。
【0079】
図14Cに示すように、更に型部材204を降下させ、型部材202と型部材204とを基板部の厚さと同じ間隔になるまで近づける。樹脂除去部材210の最も低い部分が、型部材202の型面と同じ高さになり、樹脂10Rが型面同士の外へ流出されなくなる。そして、樹脂除去部材210によって一対の型部材202,204の間からはみ出した樹脂10Rが、一対の型部材202,204の間の樹脂10Rから完全に分離され、除去される。
【0080】
図15,16は、樹脂除去部材の変形例を示す断面図である。
図15は、型部材204の周囲から筒状に突出する樹脂除去部材210が、筒状部分の周方向に沿って鋸歯状に形成されている。樹脂除去部材210の型面から最も低い部分が基板部の厚さに相当する高さである。
図16は、型部材204の周囲から筒状に突出する樹脂除去部材210が、筒状部分の周方向に沿って矩形波状に形成されている。樹脂除去部材210の型面から最も低い部分が基板部の厚さに相当する高さである。
【0081】
上記の成形方法の手順では、はみ出した樹脂を取り除く除去工程は、樹脂を硬化させる前に行う例を説明した。しかし、除去工程は、樹脂を硬化させ始めて、該樹脂が完全に硬化するまでの間に行ってもよい。
【0082】
除去工程は、樹脂の特性に応じて、所定のタイミングで行うことができる。
樹脂が紫外線硬化性樹脂の場合には、樹脂が半硬化している状態で除去工程を行うことができる。
樹脂が、熱硬化性樹脂の場合には、樹脂の硬化を開始する前に除去工程を完了することが好ましい。
【0083】
上記成形の手順によって得られたウェハレベルレンズアレイを複数積層させることでレンズアレイ積層体を得ることができる。また、このレンズアレイ積層体から積層方法に並ぶレンズ部を含んで分離させることで、レンズモジュールを得ることができる。
【0084】
上記成形の手順によって得られたウェハレベルレンズアレイ、又は、上記レンズアレイ積層体を、ウェハレベルレンズアレイにおける複数のレンズ部と同じ配列で複数の固体撮像素子がウェハ上に配列されたセンサアレイに積層させることで、素子アレイ積層体を得ることができる。また、この素子アレイ積層体から、積層方向に並ぶ固体撮像素子及びレンズ部を含んで分離させることで撮像ユニットを得ることができる。
【0085】
本明細書は、次の内容を開示するものである。
(1)基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形方法であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材によって、前記一対の型部材の前記型面同士の間に前記ウェハレベルレンズアレイの材料である樹脂を挟み込み、前記型面同士の間隔を狭めて前記樹脂を押圧し、前記樹脂を前記型面の形状に変形させる樹脂成形工程と、
前記樹脂成形工程によって前記型面同士の間からはみ出した樹脂を取り除く除去工程と、を有する成形方法。
(2)(1)に記載の成形方法であって、
前記除去工程では、前記一対の型部材を回動させつつ、樹脂除去部材を前記樹脂を挟み込んだ前記一対の型部材の型面の周縁部に摺接させて、前記はみ出した樹脂を除去する成形方法。
(3)(1)に記載の成形方法であって、
前記除去工程では、前記一対の型部材の一方の型面の周縁部の側面に外嵌された筒状の樹脂除去部材を、前記型面に垂直な方向に移動させ、前記はみ出した樹脂を除去する成形方法。
(4)(1)に記載の成形方法であって、
前記除去工程では、前記一対の型部材のうち一方の型部材の周縁部に、該型部材の前記型面の周囲を囲み、前記型面から他方の型部材の側に突出する筒状の樹脂除去部材が固定的に設けられた前記一方の型部材と、前記他方の型部材との間隔を狭めることで前記はみ出した樹脂を前記型面同士の間に挟まれている樹脂から切除する成形方法。
(5)(4)に記載の成形方法であって、
前記樹脂除去部材は、前記筒状の内側面が前記他方の型面の外周に外嵌可能であり、かつ、前記一方の型部材の型面から突出する突出量の最も小さい部位での突出高さが前記基板部の厚さに相当するように構成され、
前記除去工程では、前記樹脂除去部材が前記他方の型面の外周に外嵌しながら、前記一方の型部材と、前記他方の型部材との間隔を狭めることで、前記はみ出した樹脂を前記型面同士の間に挟まれている樹脂から切除する成形方法。
(6)(4)に記載の成形方法であって、
前記樹脂除去部材は、前記一方の型部材の型面から筒状に突出する突出高さが前記基板部の厚さに相当する一定の高さに構成され、かつ、前記他方の型部材の型面が、前記樹脂除去部材の内側面で囲まれる部分と等しく、又は、より外側まで延在して設けられ、
前記除去工程では、前記一方の型部材と前記他方の型部材との間隔が、前記樹脂除去部材が前記他方の型面に当接するまで狭められることで、前記はみ出した樹脂を前記型面同士の間に狭まれている樹脂から切除する成形方法。
(7)基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形装置であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材と、
前記ウェハレベルレンズアレイの材料である樹脂を挟み込んだ前記一対の型部材の前記型面同士の間からはみ出した樹脂を取り除く除去手段と、を有する成形装置。
(8)(7)に記載の成形装置であって、
前記除去手段が、前記樹脂を挟み込んだ状態で前記一対の型部材を回動させる回動手段と、
樹脂除去部材と、
前記樹脂除去部材を回動する前記一対の型部材の前記型面の周縁部に摺接させる摺接駆動部と、を備える成形装置。
(9)(8)に記載の成形装置であって、
前記樹脂除去部材は、柱状又は板状の部材であって、前記型面の周縁部に摺接する部分が前記柱状又は板状の二側面に挟まれる稜、及び/又は、前記柱状又は板状の一側面である成形装置。
(10)(7)に記載の成形装置であって、
前記除去手段は、筒状に形成され、前記一対の型部材の一方の型部材の前記周縁部に外嵌される樹脂除去部材と、
前記樹脂除去部材を前記型面に垂直な方向に移動させる駆動部とを備える成形装置。
(11)(7)に記載の成形装置であって、
前記一対の型部材のうち一方の型部材の周縁部に該型部材の前記型面の周囲を囲み、前記型面から他方の型部材側に突出する筒状に形成され、前記一方の型部材に固定された樹脂除去部材が設けられ
前記一対の型部材の間に樹脂を挟み込み、間隔を狭めて前記樹脂を前記型面の形状に変形させる樹脂成形動作に応じて前記型面同士の間からはみ出した樹脂を切除する成形装置。
(12)基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形型であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材を備え、
前記一対の型部材のうち一方の型部材には、該型部材の型面の周囲を囲み、前記型面から他方の型部材側に突出する筒状の樹脂除去部材が固定して設けられている成形型。
(13)(12)に記載の成形型であって、
前記樹脂除去部材は、前記筒状の内側面が前記他方の型面の外周に外嵌可能であり、かつ、前記一方の型部材の型面から突出する突出量の最も小さい部位での突出高さが基板部の厚さに相当する成形型。
(14)(12)に記載の成形型であって、
前記樹脂除去部材は、前記一方の型部材の型面から筒状に突出する突出高さが前記基板部の厚さに相当する一定の突出高さに構成され、かつ、前記他方の型部材の型面が、前記樹脂除去部材の内側面で囲まれる部分と等しく、又は、より外側まで延在して設けられている成形型。
(15)(1)から(6)のうちいずれか1つに記載の成形方法によって得られたウェハレベルレンズアレイ。
(16)(15)に記載のウェハレベルレンズアレイが複数積層されたレンズアレイ積層体。
(17)(15)に記載のウェハレベルレンズアレイ、又は、(16)に記載のレンズアレイ積層体が、複数の固体撮像素子がウェハ上に配列されたセンサアレイに積層された素子アレイ積層体。
(18)(15)に記載のウェハレベルレンズアレイから、1つの前記レンズ部を含んで分離されたレンズモジュール。
(19)(16)に記載のレンズアレイ積層体から積層方法に並ぶレンズ部を含んで分離されたレンズモジュール。
(20)(17)に記載の素子アレイ積層体から、積層方向に並ぶ固体撮像素子及びレンズ部を含んで分離された撮像ユニット。
【符号の説明】
【0086】
1 基板部
10 レンズ部
10R 樹脂
20 成形装置
26,110,210 樹脂除去部材
102,104,202,204 型部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハレベルレンズアレイの成形方法、成形装置、成形型、ウェハレベルレンズアレイ、レンズアレイ積層体、素子アレイ積層体、レンズモジュール、並びに撮像ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの電子機器の携帯端末には、小型で薄型な撮像ユニットが搭載されている。このような撮像ユニットは、一般に、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子と、固体撮像素子上に被写体像を形成するためのレンズと、を備えている。
【0003】
携帯端末の小型化・薄型化に伴って撮像ユニットの小型化・薄型化が要請されている。また、携帯端末のコストの低下を図るため、製造工程の効率化が望まれている。小型かつ多数のレンズを製造する方法としては、基板部に複数のレンズ部を形成した構成であるウェハレベルレンズアレイを製造し、該基板部を切断して複数のレンズ部をそれぞれ分離させてなるレンズモジュールを量産する方法が知られている。
【0004】
また、複数のレンズ部が形成された基板部と複数の固体撮像素子が形成された半導体ウェハとを一体に組み合わせ、レンズ部と固体撮像素子をセットとして含むように基板部とともに半導体ウェハを切断することで撮像ユニットを量産する方法が知られている。
【0005】
従来、次の工程によりウェハレベルレンズアレイを製造することが知られている。
(1)マスタ基板上に樹脂を塗布し、該樹脂に、レンズ部単体の形状の反転形状を含む転写面が形成された転写体を押し付け、レンズ部の形状を転写する。
(2)マスタ基板上の樹脂に転写体によってレンズ部の形状を転写する工程を繰り返すことで、1つのウェハ上に多数個(例えば1500〜2400個)のレンズ部の形状が転写されたマスタレンズアレイを形成する。
(3)マスタレンズアレイのレンズ部の形状が転写されたレンズ形状転写面に、電鋳によってNi等の金属イオンを堆積させてなるスタンパ(Ni電鋳型)を製造する。
(4)スタンパを一対の型部材として使用し、該一対の型部材のうち一方に光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などのエネルギー硬化性樹脂を供給する。
(5)供給されたエネルギー硬化性樹脂を一対の型部材で挟み込むことで押圧することによって、一対の型部材の各型面に倣って樹脂を成形する。
(6)エネルギー硬化性樹脂にエネルギー線を供給し、該エネルギー硬化性樹脂を硬化させ、一対の型部材から剥離させることでウェハレベルレンズアレイを得る。
【0006】
特許文献1には、樹脂を型で成形することで、一つの基板に多数のレンズ部が形成されたウェハレベルレンズアレイを製造する方法及び装置が記載されている。
【0007】
特許文献2には、光学素子を成形する上型と下型の間に、シール部材を挟むことで、上下型の間に注入した樹脂が漏れ出すことを防止する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第08/153102号
【特許文献2】国際公開第08/102582号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、樹脂を一対の型部材の間で挟み込む際に、該樹脂の一部が型部材同士の間から外側にはみ出すことがある。
図17は、型部材の型面の平面視した状態を模式的に示す図である。図17で示すように、型部材Mの型面から樹脂がはみ出した領域Rは、型面の外周において位置によって異なっている。図17のように平面視で正円形の型面を有する型部材Mでは、その中心を通る方向D1と方向D2とで、樹脂のはみ出す量が異なっている。型面の方向D1においては樹脂のはみ出しが少なく、方向D2では樹脂のはみ出しが多くなる。この状態で樹脂を硬化させると、方向D2と方向D1とはみ出した樹脂の量の差に応じて型部材Mで成形される樹脂の収縮量に差が生じ、成形されるウェハレベルレンズアレイのレンズ部のピッチにばらつきが生じる。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、製造されるウェハレベルレンズアレイのレンズ部の位置のばらつきを抑えることができる成形型、成形装置、成形方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形方法であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材によって、前記一対の型部材の前記型面同士の間に前記ウェハレベルレンズアレイの材料である樹脂を挟み込み、前記型面同士の間隔を狭めて前記樹脂を押圧し、前記樹脂を前記型面の形状に変形させる樹脂成形工程と、
前記樹脂成形工程によって前記型面同士の間からはみ出した樹脂を取り除く除去工程と、を有する成形方法。
【0012】
基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形装置であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材と、
前記ウェハレベルレンズアレイの材料である樹脂を挟み込んだ前記一対の型部材の前記型面同士の間からはみ出した樹脂を取り除く除去手段と、を有する成形装置。
【0013】
基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形型であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材を備え、
前記一対の型部材のうち一方の型部材には、該型部材の型面の周囲を囲み、前記型面から他方の型部材側に突出する筒状の樹脂除去部材が固定して設けられている成形型。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一対の型部材の間からはみ出した樹脂を予め取り除くことで、樹脂を硬化させる工程の際には、一対の型部材の間で保持されている樹脂のみが硬化される。よって、硬化時には一対の型部材の間からはみ出した樹脂が存在しないため、成形されるウェハレベルレンズアレイのレンズ部の位置にばらつきが生じることを抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ウェハレベルレンズアレイの平面図
【図2】図1に示すウェハレベルレンズアレイのA−A線断面図
【図3】レンズモジュールの断面図
【図4】撮像ユニットの断面図
【図5】成形装置の図
【図6】一対の型部材で樹脂を成形する手順を示す図
【図7】除去工程を行う際の一対の型部材と除去部を示す図
【図8】他の形状の除去部を示す図
【図9】除去部材を示す図
【図10】除去部材を用いて樹脂を成形する手順を示す図
【図11】樹脂を除去する構成を備えた成形型を示す図
【図12】図11に示す成形型を用いてウェハレベルレンズアレイを製造する手順を示す図
【図13】一方の型部材の除去部が他方の型部材に嵌め合わされた部分の図
【図14】他の構成例の成形型を用いてウェハレベルレンズアレイを成形する手順を示す図
【図15】樹脂除去部材の変形例を示す図
【図16】樹脂除去部材の変形例を示す図
【図17】型部材の型面の平面視した状態を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
先ず、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュールと撮像ユニットの構成について説明する。
【0017】
図1は、ウェハレベルレンズアレイの平面図である。ウェハレベルレンズアレイは、基板部1と、該基板部1に配列された複数のレンズ部10とを備えている。
【0018】
レンズ部10は、基板部1と同じ材料から構成され、該基板部1に一体成形されたものである。複数のレンズ部10は、基板部1の両面のそれぞれに所定のピッチで配列されている。
【0019】
図2は、図1に示すウェハレベルレンズアレイのA−A線断面図である。基板部1の両面に形成されたレンズ部10は、基板部1の平面部分から突出する凸面を有する凸レンズ形状を有する。レンズ部10の形状は、特に限定されず、用途などによって適宜変形される。
【0020】
ウェハレベルレンズアレイは、成形型を用いて成形材料を成形し、硬化させることで得られる。
【0021】
図3は、レンズモジュールの断面図である。
レンズモジュールは、基板部1と、及び該基板部1に一体成形されたレンズ部10とを含んだ構成である。また、レンズモジュールは、基板部1の一方の面にスペーサ12が設けられている。
【0022】
スペーサ12は、他の部材と重ね合わせるときの間隔を確保する部材である。
【0023】
レンズモジュールは、図1及び図2に示すウェハレベルレンズアレイの基板部1をダイシングし、レンズ部10ごとに分断させたものである。レンズモジュールに備えられるスペーサ12は、基板部1上のダイシングされる領域に予め形成され、ダイシングによって分離され、各レンズモジュールの基板部1に付属する。
【0024】
図4は、撮像ユニットの断面図である。
撮像ユニットは、上述のレンズモジュールと、センサモジュールとを備える。レンズモジュールのレンズ部10は、センサモジュール側に設けられた撮像素子Dに被写体像を結像させる。レンズモジュールの基板部1とセンサモジュールの半導体基板Wとが、平面視において略同一の矩形状である。
【0025】
センサモジュールは、半導体基板Wと、半導体基板Wに設けられた撮像素子Dを含んでいる。半導体基板Wは、例えばシリコンなどの半導体材料で形成されたウェハを平面視略矩形状に切り出して成形されている。撮像素子Dは、半導体基板Wの略中央部に設けられている。撮像素子Dは、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサである。センサモジュールは、チップ化された撮像素子Dを配線等が形成された半導体基板上にボンディングした構成とすることができる。又は、撮像素子Dは、半導体基板Wに対して周知の成膜工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、不純物添加工程等を繰り返し、該半導体基板に電極、絶縁膜、配線等を形成して構成されてもよい。
【0026】
レンズモジュールは、その基板部1がスペーサ12を挟んでセンサモジュールの半導体基板Wの上に重ね合わされている。レンズモジュールのスペーサ12とセンサモジュールの半導体基板Wとは、例えば接着剤などを用いて接合される。スペーサ12は、レンズモジュールのレンズ部10がセンサモジュールの撮像素子D上で被写体像を結像させるように設計され、レンズ部10がセンサモジュールに接触しないように、該レンズ部10と撮像素子Dとの間に所定の距離を隔てる厚みで形成されている。
【0027】
レンズモジュール及び撮像ユニットに設けられるスペーサ12は、レンズモジュールの基板部1とセンサモジュールの半導体基板Wとを所定の距離を隔てた位置関係を保持することができる範囲で、その形状は特に限定されず適宜変形できる。例えば、スペーサ12は、基板部1の平面視において格子状の部材であってもよく、レンズ部10の周囲に複数設けられた柱状の部材であってもよい。また、スペーサ12は、センサモジュールの撮像素子Dの周囲を取り囲むような枠状の部材であってもよい。撮像素子Dを枠状のスペーサ12によって取り囲むことで外部から隔絶すれば、撮像素子Dにレンズを透過する光以外の光が入射しないように遮光することができる。また、撮像素子Dを外部から密封することで、撮像素子Dに塵埃が付着することを防止できる。
【0028】
レンズモジュールは、レンズ部10が形成された基板部1を複数備えた構成としてもよい。このとき、互いに重ね合わされる基板部1同士がスペーサ12を介して組み付けられる。また、レンズ部10が形成された基板部1を複数備えたレンズモジュールの最下位置の基板部1にスペーサ12を介してセンサモジュールを接合して撮像ユニットを構成してもよい。
【0029】
撮像ユニットは、携帯端末等に内蔵される図示しない回路基板にリフロー実装される。回路基板には、撮像ユニットが実装される位置に予めペースト状の半田が適宜印刷されており、そこに撮像ユニットが載せられ、この撮像ユニットを含む回路基板に赤外線の照射や熱風の吹付けといった加熱処理が施され、撮像ユニットが回路基板に溶着される。
【0030】
次に、ウェハレベルレンズアレイを成形するのに用いる成形材料について説明する。
【0031】
成形材料としては、成形時には流動性を有し、成形後、加熱や光照射によって硬化する樹脂を用いる。このような樹脂としては、熱硬化性樹脂、又は、活性エネルギー線(例えば紫外線、電子線)の照射により硬化する樹脂のいずれであってもよい。
【0032】
樹脂は、成形時の型形状の転写適性等、成形性の観点から硬化前には適度な流動性を有していることが好ましい。具体的には常温で液体であり、粘度が1000〜50000mPa・s程度のものが好ましい。
【0033】
樹脂は、一方、硬化後にはリフロー工程を通しても熱変形しない程度の耐熱性を有していることが好ましい。該観点から、硬化物のガラス転移温度は200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。樹脂組成物にこのような高い耐熱性を付与するためには、分子レベルで運動性を束縛することが必要であり、有効な手段としては、(1)単位体積あたりの架橋密度を上げる手段、(2)剛直な環構造を有する樹脂を利用する手段(例えばシクロヘキサン、ノルボルナン、テトラシクロドデカン等の脂環構造、ベンゼン、ナフタレン等の芳香環構造、9,9’−ビフェニルフルオレン等のカルド構造、スピロビインダン等のスピロ構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平9−137043号公報、同10−67970号公報、特開2003−55316号公報、同2007−334018号公報、同2007−238883号公報等に記載の樹脂)、(3)無機微粒子など高Tgの物質を均一に分散させる手段(例えば特開平5−209027号公報、同10−298265号公報等に記載)等が挙げられる。これらの手段は複数併用してもよく、流動性、収縮率、屈折率特性など他の特性を損なわない範囲で調整することが好ましい。
【0034】
樹脂の組成物は、形状転写精度の観点から、硬化反応による体積収縮率が小さいものが好ましい。樹脂の硬化収縮率としては10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが特に好ましい。
【0035】
硬化収縮率の低い樹脂の組成物としては、例えば、(1)高分子量の硬化剤(プレポリマ−など)を含む樹脂組成物(例えば特開2001−19740号公報、同2004−302293号公報、同2007−211247号公報等に記載、高分子量硬化剤の数平均分子量は200〜100,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは500〜50,000の範囲であり、特に好ましくは1,000〜20,000の場合である。また該硬化剤の数平均分子量/硬化反応性基の数で計算される値が、50〜10,000の範囲にあることが好ましく、100〜5,000の範囲にあることがより好ましく、200〜3,000の範囲にあることが特に好ましい。)、(2)非反応性物質(有機/無機微粒子,非反応性樹脂等)を含む樹脂組成物(例えば特開平6−298883号公報、同2001−247793号公報、同2006−225434号公報等に記載)、(3)低収縮架橋反応性基を含む樹脂組成物(例えば、開環重合性基(例えばエポキシ基(例えば、特開2004−210932号公報等に記載)、オキセタニル基(例えば、特開平8−134405号公報等に記載)、エピスルフィド基(例えば、特開2002−105110号公報等に記載)、環状カーボネート基(例えば、特開平7−62065号公報等に記載)等)、エン/チオール硬化基(例えば、特開2003−20334号公報等に記載)、ヒドロシリル化硬化基(例えば、特開2005−15666号公報等に記載)等)、(4)剛直骨格樹脂(フルオレン、アダマンタン、イソホロン等)を含む樹脂組成物(例えば、特開平9−137043号公報等に記載)、(5)重合性基の異なる2種類のモノマーを含み相互貫入網目構造(いわゆるIPN構造)が形成される樹脂組成物(例えば、特開2006−131868号公報等に記載)、(6)膨張性物質を含む樹脂組成物(例えば、特開2004−2719号公報、特開2008−238417号公報等に記載)等を挙げることができ、本発明において好適に利用することができる。また上記した複数の硬化収縮低減手段を併用すること(例えば、開環重合性基を含有するプレポリマーと微粒子を含む樹脂組成物など)が物性最適化の観点からは好ましい。
【0036】
ウェハレベルレンズアレイには、高−低2種類以上のアッベ数の異なる樹脂が望まれる。
高アッべ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が50以上であることが好ましく、より好ましくは55以上であり特に好ましくは60以上である。屈折率(nd)は1.52以上であることが好ましく、より好ましくは1.55以上であり、特に好ましくは1.57以上である。このような樹脂としては、脂肪族の樹脂が好ましく、特に脂環構造を有する樹脂(例えば、シクロヘキサン、ノルボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の環構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平10−152551号公報、特開2002−212500号公報、同2003−20334号公報、同2004−210932号公報、同2006−199790号公報、同2007−2144号公報、同2007−284650号公報、同2008−105999号公報等に記載の樹脂)が好ましい。
【0037】
低アッべ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が30以下であることが好ましく、より好ましくは25以下であり特に好ましくは20以下である。屈折率(nd)は1.60以上であることが好ましく、より好ましくは1.63以上であり、特に好ましくは1.65以上である。
このような樹脂としては芳香族構造を有する樹脂が好ましく、例えば9,9’‐ジアリールフルオレン、ナフタレン、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール等の構造を含む樹脂(具体的には例えば、特開昭60−38411号公報、特開平10−67977号公報、特開2002−47335号公報、同2003−238884号公報、同2004−83855号公報、同2005−325331号公報、同2007−238883号公報、国際公開2006/095610号公報、特許第2537540号公報等に記載の樹脂等)が好ましい。
【0038】
樹脂は、屈折率を高める目的やアッベ数を調整する目的のために、無機微粒子をマトリックス中に分散させたものであることが好ましい。無機微粒子としては、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子が挙げられる。より具体的には、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、硫化亜鉛等の微粒子を挙げることができる。
特に上記高アッべ数の樹脂に対しては、酸化ランタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましく、低アッベ数の樹脂に対しては、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましい。無機微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、複数の成分による複合物であってもよい。
【0039】
また、無機微粒子には光触媒活性低減、吸水率低減などの種々の目的から、異種金属をドープしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)又は有機酸基を持つ分散剤などで表面修飾してもよい。無機微粒子の数平均粒子サイズは通常1nm〜1000nm程度とすればよいが、小さすぎると物質の特性が変化する場合があり、大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となるため、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmが更に好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。また、無機微粒子の粒子サイズ分布は狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば、特開2006−160992号に記載されるような数値規定範囲が好ましい粒径分布範囲に当てはまる。ここで上述の数平均1次粒子サイズとは、例えばX線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。無機微粒子の屈折率としては、22℃、589nmの波長において、1.90〜3.00であることが好ましく、1.90〜2.70であることが更に好ましく、2.00〜2.70であることが特に好ましい。無機微粒子の樹脂に対する含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、5質量%以上であることが好ましく、10〜70質量%が更に好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
【0040】
樹脂に微粒子を均一に分散させるためには、例えばマトリックスを形成する樹脂モノマーとの反応性を有する官能基を含む分散剤(例えば特開2007−238884号公報実施例等に記載)、疎水性セグメント及び親水性セグメントで構成されるブロック共重合体(例えば特開2007−211164号公報に記載)、あるいは高分子末端又は側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する樹脂(例えば特開2007−238929号公報、特開2007−238930号公報等に記載)等を適宜用いて微粒子を分散させることが望ましい。
【0041】
また、樹脂には、シリコン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有化合物等の公知の離型剤やヒンダードフェノール等の酸化防止剤等の添加剤が適宜配合されていてもよい。
【0042】
樹脂には、必要に応じて硬化触媒又は開始剤を配合することができる。具体的には、例えば特開2005−92099号公報(段落番号[0063]〜[0070])等に記載の熱又は活性エネルギー線の作用により硬化反応(ラジカル重合あるいはイオン重合)を促進する化合物を挙げることができる。これらの硬化反応促進剤の添加量は、触媒や開始剤の種類、あるいは硬化反応性部位の違いなどによって異なり一概に規定することはできないが、一般的には硬化反応性樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜15質量%程度が好ましく、0.5〜5質量%程度がより好ましい。
【0043】
樹脂に上記成分を適宜配合して製造する際に、液状の低分子モノマー(反応性希釈剤)等に他の成分を溶解することができる場合には、別途溶剤を添加する必要はない。しかし、それ以外の場合には、樹脂は、別途溶剤を用いることで各構成成分を溶解させ、製造される。溶剤としては、樹脂の組成物が沈殿することなく、均一に溶解又は分散されるものであれば特に制限はなく適宜選択することができ、具体的には、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、水等を挙げることができる。樹脂が溶剤を含む場合には該樹脂を基板及び/又は型部材の上にキャストし溶剤を乾燥させた後に型形状を転写する操作を行うことが好ましい。
【0044】
次に、ウェハレベルレンズアレイを成形するのに用いる成形装置を説明する。
図5は、成形装置の概略構成を示す図である。成形装置20は、一対の型部材102,104と、成形時に一対の型部材102,104からはみ出した樹脂を取り除く除去手段とを備える。
【0045】
一対の型部材102,104は、製造するウェハレベルレンズアレイのレンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有し、該型面で樹脂を成形する。一対の型部材102,104は、それぞれの型面がウェハレベルレンズアレイの基板1の平面視における面積と等しい。また、一対の型部材102,104は、周縁部の大きさが等しく、いずれも型面の形状が正円形である。
【0046】
一対の型部材102,104のうち、下側に配置された型部材102は、型面に対して反対側の面が回転ステージ22に固定され、上側に配置された型部材104は、型面に対して反対側の面がチャック24で保持されている。
【0047】
回転ステージ22は、回転軸22sに連結されている。回転ステージ22は、回転軸22sの中心軸と型部材102の中心とが一致するように、型部材102を保持する。また、回転軸22sは、回動部23に連結されている。回動部23は、回転軸22sを回転させることで、回転ステージ22及び該回転ステージ22に固定された型部材102を図中矢印に示すように回動させる。回転ステージ22、回動部23は、回動手段として機能する。
【0048】
チャック24は、駆動軸24sに連結されている。駆動軸24sは、図示しないアクチュエータに連結されている。チャック24は、該アクチュエータの駆動によって、型部材104を保持しつつ昇降する。こうして、成形時には型部材104が、型部材102の型面に対して所定の間隔となる位置まで移動され、それ以外のときには、型部材102の型面から十分に離れた位置まで移動される。
【0049】
また、成形装置は、一対の型部材102,104の周縁部に対して進退可能に保持された樹脂除去部材26と、樹脂除去部材26を一対の型部材102,104の周縁部に対して進退させる摺接駆動部28と、を備える。上記の回動手段と、樹脂除去部材26と、摺接駆動部28と、は除去手段として機能する。
【0050】
樹脂除去部材26は、柱状又は板状に形成され、摺接駆動部28に連結されている。摺接駆動部28は、樹脂除去部材26を、一対の型部材102,104の周縁部に接触させた位置、又は、周縁部から一定距離離した位置となるように駆動する。
【0051】
次に、成形装置を用いてウェハレベルレンズアレイを製造する手順を説明する。
【0052】
図6Aから図6Cは、一対の型部材でウェハレベルレンズアレイの材料である樹脂を成形する手順を示している。一対の型部材102,104の型面には、ウェハレベルレンズアレイのレンズ部10の形状を反転させた形状のレンズ転写部102a,104aが形成されている。
【0053】
先ず、図6Aに示すように、型部材102の型面に樹脂10Rが供給される。樹脂10Rは、図示しないディスペンサを用いて塗布される。このとき、供給される樹脂10Rは、硬化させた際にウェハレベルレンズアレイとなる分の容積より十分に多い量が塗布される。
【0054】
樹脂10Rを塗布した後で、図6Bに示すように、樹脂10Rが供給された型部材102の型面と型部材104の型面とで、樹脂10Rを挟み込む。樹脂10Rは、一対の型部材102,104の各型面に倣って変形するとともに、樹脂10Rの一部が一対の型部材102,104の間からはみ出す。
【0055】
図6Cに示すように、更に型部材104を降下させ、一対の型部材102,104の間の間隔を、製造されるウェハレベルレンズの基板部1の厚さと同じにし、その間隔を保持するように一対の型部材102,104の位置を固定する。このとき、一対の型部材102,104はそれぞれの周縁部の位置が一致するように保持される。
【0056】
その後、除去手段によって、一対の型部材102,104の間からはみ出た樹脂10Rを取り除く除去工程を行う。
【0057】
図7は、除去工程を行う際の一対の型部材と除去部を示している。除去工程では、樹脂除去部材26を摺接駆動部28によって移動させ、該樹脂除去部材26を一対の型部材102,104の周縁部に当接させる。そして、図5に示した回転ステージ22を回転させることで、一対の型部材102,104を図7中矢印で示すように一体に回動させる。すると、樹脂除去部材26が一対の型部材102,104の周縁部に摺接しつつ、一対の型部材102,104の間からはみ出した樹脂10Rを取り除く。
【0058】
一対の型部材102,104を回動させ続けることで、一対の型部材102,104の周縁部のすべての領域においてはみ出ている樹脂10Rを取り除くことができる。樹脂10Rの除去後、樹脂除去部材26を一対の型部材102,104の周縁部から離れた位置まで移動させる。
【0059】
除去工程の後、樹脂の硬化を行う。
樹脂10Rが熱硬化性樹脂の場合には、一対の型部材102,104の位置を保持した状態で、一対の型部材102,104の間の樹脂を加熱し、硬化させる。樹脂がエネルギー線硬化性樹脂の場合には、一対の型部材102,104の位置を保持した状態で、一対の型部材102,104の間の樹脂にエネルギー線を照射し、樹脂を硬化させる。樹脂が光硬化性樹脂の場合には、一対の型部材102,104のうち少なくとも一方を光透過性の材料で構成して、一対の型部材102,104の外部から光を透過させて樹脂を硬化させる。
【0060】
硬化の際には、一対の型部材102,104の間の樹脂に硬化に伴う収縮が発生する。この手順では、硬化の前に、一対の型部材102,104からはみ出た樹脂を予め取り除いているため、樹脂10Rは型部材102,104の周囲に型面の間からはみ出して型面同士の間にある樹脂と繋がったまま不定形に拡がった状態にはならない。よって、硬化に伴う樹脂の収縮は、型面の中心に対して周方向において略均一となり、成形で得られるウェハレベルレンズアレイのレンズ部のピッチにばらつきが生じることを抑えることができる。
【0061】
樹脂が硬化した後、一対の型部材102,104から成形されたウェハレベルレンズアレイを離型する。こうして、基板部の両面にレンズ部が一体に成形されたウェハレベルレンズアレイを得ることができる。
【0062】
なお、樹脂除去部材26の形状は、上述の板状のものに限定されない。図8は、他の形状の除去部を示している。図8に示すように、樹脂除去部材26は、一対の型部材102,104の回転する軸に対して垂直な断面が角柱状であってもよいし、図示しないが、円柱状であってもよい。樹脂除去部材26が型面の周縁部に摺接する部分が、柱状又は板状の二側面に挟まれる稜、及び/又は、柱状又は板状の一側面であることが好ましい。こうすれば、樹脂除去部材26を型面の周縁部により確実に接触させることができ、樹脂を効果的に切除することができる。
【0063】
また、上記の成形装置20は、回転ステージ上の一対の型部材102,104を回動させることで、一対の型部材102,104の周縁部に接触している樹脂除去部材26を相対的に移動させて、樹脂を取り除く構成とした。しかし、一対の型部材102,104を回動させないで保持した状態とし、樹脂除去部材26が一対の型部材102,104の周縁部に摺接させつつ移動する機構としてもよい。又は、一対の型部材102,104を回動させる機構と、樹脂除去部材26を一対の型部材102,104の周縁部に摺接しながら移動させる機構とを備えた構成としてもよい。
【0064】
上記の成形方法の手順では、一対の型部材の周方向に対して相対的に樹脂除去部材を移動させることで樹脂の除去を行った。しかし、別の除去手段を用いて樹脂の除去を行ってもよい。
【0065】
図9は、他の樹脂除去部材を示している。
樹脂除去部材110は、除去工程の際に、樹脂を挟み込んだ一対の型部材102,104の周縁部に、外側から嵌め合わせること(外嵌ともいう。)で、一対の型部材102,104の間からはみ出た樹脂を取り除く。樹脂除去部材110は、図示しない駆動部に支持され、一対の型部材102,104の周縁部に嵌め合わされる位置と、一対の型部材102,104から一定距離離れた位置との間で駆動される。
【0066】
樹脂除去部材110は筒状に形成され、具体的には、型面の大きさにほぼ等しい底面を有する底板部110aと、底板部110aの底面の円周部に沿って、該底面に垂直に設けられた側板部110bとを有する。底板部110aの平面視において中央は開口している。この例では、側板部110bは、一対の型部材102,104の周縁部に沿って、一対の型部材102,104の開閉方向に側板部110bの端面が型部材104の型面から型部材102の型面に至るまでの間を移動することで、一対の型部材102,104の間からはみ出した樹脂を切除する。底板部110a及び側板部110bによって形成される凹部は、その内側の容積が一対の型部材102,104を収容可能な大きさである。
【0067】
図10A及び10Bは、樹脂除去部材を用いて樹脂を成形する手順を示している。
先ず、図6Aから図6Cで示した手順と同様の手順を行うことで、一対の型部材102,104の間に樹脂を挟み込み、樹脂10Rを成形する。その後、図10Aに示すように、型部材104の型面とは反対側から、除去部材110の側板部110bを型部材104の周縁部に嵌め合わせる。そして、図10Bに示すように、除去部材110を型部材104側へ押し込むことで、側板部110bが一対の型部材102,104の周縁部に沿って移動する。このとき、一対の型部材102,104の間からはみ出た樹脂が側板部110bによって取り除かれる。
【0068】
このように、樹脂除去部材110で一対の型部材102,104の間からはみ出た樹脂を取り除き、その後、樹脂を硬化させることで、得られるウェハレベルレンズアレイのレンズ部のピッチにばらつきが生じることを抑えることができる。
【0069】
次に、樹脂を除去する構成を備えた成形型と、該成形型を用いて除去工程を行う手順を説明する。
【0070】
図11は、樹脂を除去する構成を備えた成形型を示す図である。成形型は、一対の型部材202,204で構成される。一対の型部材202,204の型面には製造するウェハレベルレンズアレイのレンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部202a,204aが形成されている。一対の型部材202,204の型面は正円形である。また、型部材202は型部材204よりも径が大きい。
【0071】
型部材204の型面の周縁には、型面から筒状に突出する壁状の樹脂除去部材210が形成されている。この例では、一対の型部材202,204のうち型部材202が型部材204の樹脂除去部材210の内側面で囲われる部分より外側まで延在して設けられている。
【0072】
図12Aから12Cは、図11に示す成形型を用いてウェハレベルレンズアレイを製造する手順を示している。
【0073】
先ず、図12Aに示すように、型部材202aの型面に樹脂10Rが、所定の量だけ塗布される。その後、図12Bに示すように、樹脂10Rが供給された型部材202の型面に型部材204の樹脂除去部材210を突き当てる。こうすることで、一対の型部材202,204の型面同士の間で、樹脂10Rを挟み込む。樹脂10Rは、一対の型部材202,204の各型面に倣って変形するとともに、樹脂10Rの一部が一対の型部材202,204の間からはみ出す。このとき、下型部材202の型面と樹脂除去部材210との間から余分の樹脂をはみ出させ、はみ出した樹脂を樹脂除去部材210で切除する。
【0074】
図12Cに示すように、更に型部材204を降下させ、型部材204の樹脂除去部材210を型部材202の型面に当接させる。このとき、型面に当接される樹脂除去部材210によって一対の型部材202,204の間からはみ出した樹脂10Rが、一対の型部材202,204の間の樹脂10Rから切り離される。
【0075】
図13は、一方の型部材の除去部が他方の型部材に嵌め合わされた部分の図である。
樹脂除去部材210は、型部材204の型面に対して垂直方向に突出した寸法Hが、製造されるウェハレベルレンズアレイの基板部1の厚さに等しい。このため、型部材204の樹脂除去部材210を型部材202の型面に当接させた時点で、一対の型部材202,204の間の間隔を、基板部1の厚さに合わせることができ、間隔を調整する必要がない。
【0076】
このように、型部材204に設けられた樹脂除去部材210で、一対の型部材202,204の間からはみ出た樹脂を取り除き、その後、一対の型部材202,204の間に保持された樹脂を硬化させることで、得られるウェハレベルレンズアレイのレンズ部のピッチにばらつきが生じることを抑えることができる。
【0077】
図14は、他の構成例の成形型を用いてウェハレベルレンズアレイを成形する手順を示す図である。
この例では、上型部材204の樹脂除去部材210の内周面が下型部材202の外周に外嵌する。樹脂除去部材210は、型面から突出する筒状部分の高さが一定ではなく、この例では周方向に波状に高さが変化している。樹脂除去部材210は、型面から突出する高さが最も低いところが、基板部の厚さに相当する。
【0078】
先ず、図14Aに示すように、型部材202aの型面に樹脂10Rが、所定の量だけ塗布される。その後、図14Bに示すように、樹脂10Rが供給された型部材202の型面の外周に型部材204の樹脂除去部材210の一部を嵌め合わせる。そして、型部材204を型部材202側へ押し下げる。このとき、樹脂除去部材210の最も低い部分から余分な樹脂10Rを型面同士の間から外へはみ出せつつ、型部材204と型部材202との嵌合部分と未嵌合の部分のエッジで樹脂を切除していく。
【0079】
図14Cに示すように、更に型部材204を降下させ、型部材202と型部材204とを基板部の厚さと同じ間隔になるまで近づける。樹脂除去部材210の最も低い部分が、型部材202の型面と同じ高さになり、樹脂10Rが型面同士の外へ流出されなくなる。そして、樹脂除去部材210によって一対の型部材202,204の間からはみ出した樹脂10Rが、一対の型部材202,204の間の樹脂10Rから完全に分離され、除去される。
【0080】
図15,16は、樹脂除去部材の変形例を示す断面図である。
図15は、型部材204の周囲から筒状に突出する樹脂除去部材210が、筒状部分の周方向に沿って鋸歯状に形成されている。樹脂除去部材210の型面から最も低い部分が基板部の厚さに相当する高さである。
図16は、型部材204の周囲から筒状に突出する樹脂除去部材210が、筒状部分の周方向に沿って矩形波状に形成されている。樹脂除去部材210の型面から最も低い部分が基板部の厚さに相当する高さである。
【0081】
上記の成形方法の手順では、はみ出した樹脂を取り除く除去工程は、樹脂を硬化させる前に行う例を説明した。しかし、除去工程は、樹脂を硬化させ始めて、該樹脂が完全に硬化するまでの間に行ってもよい。
【0082】
除去工程は、樹脂の特性に応じて、所定のタイミングで行うことができる。
樹脂が紫外線硬化性樹脂の場合には、樹脂が半硬化している状態で除去工程を行うことができる。
樹脂が、熱硬化性樹脂の場合には、樹脂の硬化を開始する前に除去工程を完了することが好ましい。
【0083】
上記成形の手順によって得られたウェハレベルレンズアレイを複数積層させることでレンズアレイ積層体を得ることができる。また、このレンズアレイ積層体から積層方法に並ぶレンズ部を含んで分離させることで、レンズモジュールを得ることができる。
【0084】
上記成形の手順によって得られたウェハレベルレンズアレイ、又は、上記レンズアレイ積層体を、ウェハレベルレンズアレイにおける複数のレンズ部と同じ配列で複数の固体撮像素子がウェハ上に配列されたセンサアレイに積層させることで、素子アレイ積層体を得ることができる。また、この素子アレイ積層体から、積層方向に並ぶ固体撮像素子及びレンズ部を含んで分離させることで撮像ユニットを得ることができる。
【0085】
本明細書は、次の内容を開示するものである。
(1)基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形方法であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材によって、前記一対の型部材の前記型面同士の間に前記ウェハレベルレンズアレイの材料である樹脂を挟み込み、前記型面同士の間隔を狭めて前記樹脂を押圧し、前記樹脂を前記型面の形状に変形させる樹脂成形工程と、
前記樹脂成形工程によって前記型面同士の間からはみ出した樹脂を取り除く除去工程と、を有する成形方法。
(2)(1)に記載の成形方法であって、
前記除去工程では、前記一対の型部材を回動させつつ、樹脂除去部材を前記樹脂を挟み込んだ前記一対の型部材の型面の周縁部に摺接させて、前記はみ出した樹脂を除去する成形方法。
(3)(1)に記載の成形方法であって、
前記除去工程では、前記一対の型部材の一方の型面の周縁部の側面に外嵌された筒状の樹脂除去部材を、前記型面に垂直な方向に移動させ、前記はみ出した樹脂を除去する成形方法。
(4)(1)に記載の成形方法であって、
前記除去工程では、前記一対の型部材のうち一方の型部材の周縁部に、該型部材の前記型面の周囲を囲み、前記型面から他方の型部材の側に突出する筒状の樹脂除去部材が固定的に設けられた前記一方の型部材と、前記他方の型部材との間隔を狭めることで前記はみ出した樹脂を前記型面同士の間に挟まれている樹脂から切除する成形方法。
(5)(4)に記載の成形方法であって、
前記樹脂除去部材は、前記筒状の内側面が前記他方の型面の外周に外嵌可能であり、かつ、前記一方の型部材の型面から突出する突出量の最も小さい部位での突出高さが前記基板部の厚さに相当するように構成され、
前記除去工程では、前記樹脂除去部材が前記他方の型面の外周に外嵌しながら、前記一方の型部材と、前記他方の型部材との間隔を狭めることで、前記はみ出した樹脂を前記型面同士の間に挟まれている樹脂から切除する成形方法。
(6)(4)に記載の成形方法であって、
前記樹脂除去部材は、前記一方の型部材の型面から筒状に突出する突出高さが前記基板部の厚さに相当する一定の高さに構成され、かつ、前記他方の型部材の型面が、前記樹脂除去部材の内側面で囲まれる部分と等しく、又は、より外側まで延在して設けられ、
前記除去工程では、前記一方の型部材と前記他方の型部材との間隔が、前記樹脂除去部材が前記他方の型面に当接するまで狭められることで、前記はみ出した樹脂を前記型面同士の間に狭まれている樹脂から切除する成形方法。
(7)基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形装置であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材と、
前記ウェハレベルレンズアレイの材料である樹脂を挟み込んだ前記一対の型部材の前記型面同士の間からはみ出した樹脂を取り除く除去手段と、を有する成形装置。
(8)(7)に記載の成形装置であって、
前記除去手段が、前記樹脂を挟み込んだ状態で前記一対の型部材を回動させる回動手段と、
樹脂除去部材と、
前記樹脂除去部材を回動する前記一対の型部材の前記型面の周縁部に摺接させる摺接駆動部と、を備える成形装置。
(9)(8)に記載の成形装置であって、
前記樹脂除去部材は、柱状又は板状の部材であって、前記型面の周縁部に摺接する部分が前記柱状又は板状の二側面に挟まれる稜、及び/又は、前記柱状又は板状の一側面である成形装置。
(10)(7)に記載の成形装置であって、
前記除去手段は、筒状に形成され、前記一対の型部材の一方の型部材の前記周縁部に外嵌される樹脂除去部材と、
前記樹脂除去部材を前記型面に垂直な方向に移動させる駆動部とを備える成形装置。
(11)(7)に記載の成形装置であって、
前記一対の型部材のうち一方の型部材の周縁部に該型部材の前記型面の周囲を囲み、前記型面から他方の型部材側に突出する筒状に形成され、前記一方の型部材に固定された樹脂除去部材が設けられ
前記一対の型部材の間に樹脂を挟み込み、間隔を狭めて前記樹脂を前記型面の形状に変形させる樹脂成形動作に応じて前記型面同士の間からはみ出した樹脂を切除する成形装置。
(12)基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形型であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材を備え、
前記一対の型部材のうち一方の型部材には、該型部材の型面の周囲を囲み、前記型面から他方の型部材側に突出する筒状の樹脂除去部材が固定して設けられている成形型。
(13)(12)に記載の成形型であって、
前記樹脂除去部材は、前記筒状の内側面が前記他方の型面の外周に外嵌可能であり、かつ、前記一方の型部材の型面から突出する突出量の最も小さい部位での突出高さが基板部の厚さに相当する成形型。
(14)(12)に記載の成形型であって、
前記樹脂除去部材は、前記一方の型部材の型面から筒状に突出する突出高さが前記基板部の厚さに相当する一定の突出高さに構成され、かつ、前記他方の型部材の型面が、前記樹脂除去部材の内側面で囲まれる部分と等しく、又は、より外側まで延在して設けられている成形型。
(15)(1)から(6)のうちいずれか1つに記載の成形方法によって得られたウェハレベルレンズアレイ。
(16)(15)に記載のウェハレベルレンズアレイが複数積層されたレンズアレイ積層体。
(17)(15)に記載のウェハレベルレンズアレイ、又は、(16)に記載のレンズアレイ積層体が、複数の固体撮像素子がウェハ上に配列されたセンサアレイに積層された素子アレイ積層体。
(18)(15)に記載のウェハレベルレンズアレイから、1つの前記レンズ部を含んで分離されたレンズモジュール。
(19)(16)に記載のレンズアレイ積層体から積層方法に並ぶレンズ部を含んで分離されたレンズモジュール。
(20)(17)に記載の素子アレイ積層体から、積層方向に並ぶ固体撮像素子及びレンズ部を含んで分離された撮像ユニット。
【符号の説明】
【0086】
1 基板部
10 レンズ部
10R 樹脂
20 成形装置
26,110,210 樹脂除去部材
102,104,202,204 型部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形方法であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材によって、前記一対の型部材の前記型面同士の間に前記ウェハレベルレンズアレイの材料である樹脂を挟み込み、前記型面同士の間隔を狭めて前記樹脂を押圧し、前記樹脂を前記型面の形状に変形させる樹脂成形工程と、
前記樹脂成形工程によって前記型面同士の間からはみ出した樹脂を取り除く除去工程と、を有する成形方法。
【請求項2】
請求項1に記載の成形方法であって、
前記除去工程では、前記一対の型部材を回動させつつ、樹脂除去部材を前記樹脂を挟み込んだ前記一対の型部材の型面の周縁部に摺接させて、前記はみ出した樹脂を除去する成形方法。
【請求項3】
請求項1に記載の成形方法であって、
前記除去工程では、前記一対の型部材の一方の型面の周縁部の側面に外嵌された筒状の樹脂除去部材を、前記型面に垂直な方向に移動させ、前記はみ出した樹脂を除去する成形方法。
【請求項4】
請求項1に記載の成形方法であって、
前記除去工程では、前記一対の型部材のうち一方の型部材の周縁部に、該型部材の前記型面の周囲を囲み、前記型面から他方の型部材の側に突出する筒状の樹脂除去部材が固定的に設けられた前記一方の型部材と、前記他方の型部材との間隔を狭めることで前記はみ出した樹脂を前記型面同士の間に挟まれている樹脂から切除する成形方法。
【請求項5】
請求項4に記載の成形方法であって、
前記樹脂除去部材は、前記筒状の内側面が前記他方の型面の外周に外嵌可能であり、かつ、前記一方の型部材の型面から突出する突出量の最も小さい部位での突出高さが前記基板部の厚さに相当するように構成され、
前記除去工程では、前記樹脂除去部材が前記他方の型面の外周に外嵌しながら、前記一方の型部材と、前記他方の型部材との間隔を狭めることで、前記はみ出した樹脂を前記型面同士の間に挟まれている樹脂から切除する成形方法。
【請求項6】
請求項4に記載の成形方法であって、
前記樹脂除去部材は、前記一方の型部材の型面から筒状に突出する突出高さが前記基板部の厚さに相当する一定の高さに構成され、且つ、前記他方の型部材の型面が、前記樹脂除去部材の内側面で囲まれる部分と等しく、又は、より外側まで延在して設けられ、
前記除去工程では、前記一方の型部材と前記他方の型部材との間隔が、前記樹脂除去部材が前記他方の型面に当接するまで狭められることで、前記はみ出した樹脂を前記型面同士の間に狭まれている樹脂から切除する成形方法。
【請求項7】
基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形装置であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材と、
前記ウェハレベルレンズアレイの材料である樹脂を挟み込んだ前記一対の型部材の前記型面同士の間からはみ出した樹脂を取り除く除去手段と、を有する成形装置。
【請求項8】
請求項7に記載の成形装置であって、
前記除去手段が、前記樹脂を挟み込んだ状態で前記一対の型部材を回動させる回動手段と、
樹脂除去部材と、
前記樹脂除去部材を回動する前記一対の型部材の前記型面の周縁部に摺接させる摺接駆動部と、を備える成形装置。
【請求項9】
請求項8に記載の成形装置であって、
前記樹脂除去部材は、柱状または板状の部材であって、前記型面の周縁部に摺接する部分が前記柱状または板状の二側面に挟まれる稜、及び/又は、前記柱状又は板状の一側面である成形装置。
【請求項10】
請求項7に記載の成形装置であって、
前記除去手段は、筒状に形成され、前記一対の型部材の一方の型部材の前記周縁部に外嵌される樹脂除去部材と、
前記樹脂除去部材を前記型面に垂直な方向に移動させる駆動部とを備える成形装置。
【請求項11】
請求項7に記載の成形装置であって、
前記一対の型部材のうち一方の型部材の周縁部に該型部材の前記型面の周囲を囲み、前記型面から他方の型部材側に突出する筒状に形成され、前記一方の型部材に固定された樹脂除去部材が設けられ
前記一対の型部材の間に樹脂を挟み込み、間隔を狭めて前記樹脂を前記型面の形状に変形させる樹脂成形動作に応じて前記型面同士の間からはみ出した樹脂を切除する成形装置。
【請求項12】
基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形型であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材を備え、
前記一対の型部材のうち一方の型部材には、該型部材の型面の周囲を囲み、前記型面から他方の型部材側に突出する筒状の樹脂除去部材が固定して設けられている成形型。
【請求項13】
請求項12に記載の成形型であって、
前記樹脂除去部材は、前記筒状の内側面が前記他方の型面の外周に外嵌可能であり、且つ、前記一方の型部材の型面から突出する突出量の最も小さい部位での突出高さが基板部の厚さに相当する成形型。
【請求項14】
請求項12に記載の成形型であって、
前記樹脂除去部材は、前記一方の型部材の型面から筒状に突出する突出高さが前記基板部の厚さに相当する一定の突出高さに構成され、且つ、前記他方の型部材の型面が、前記樹脂除去部材の内側面で囲まれる部分と等しく、又は、より外側まで延在して設けられている成形型。
【請求項15】
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の成形方法によって得られたウェハレベルレンズアレイ。
【請求項16】
請求項15に記載のウェハレベルレンズアレイが複数積層されたレンズアレイ積層体。
【請求項17】
請求項15に記載のウェハレベルレンズアレイ、又は、請求項16に記載のレンズアレイ積層体が、複数の固体撮像素子がウェハ上に配列されたセンサアレイに積層された素子アレイ積層体。
【請求項18】
請求項15に記載のウェハレベルレンズアレイから、1つの前記レンズ部を含んで分離されたレンズモジュール。
【請求項19】
請求項16に記載のレンズアレイ積層体から積層方法に並ぶレンズ部を含んで分離されたレンズモジュール。
【請求項20】
請求項17に記載の素子アレイ積層体から、積層方向に並ぶ固体撮像素子及びレンズ部を含んで分離された撮像ユニット。
【請求項1】
基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形方法であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材によって、前記一対の型部材の前記型面同士の間に前記ウェハレベルレンズアレイの材料である樹脂を挟み込み、前記型面同士の間隔を狭めて前記樹脂を押圧し、前記樹脂を前記型面の形状に変形させる樹脂成形工程と、
前記樹脂成形工程によって前記型面同士の間からはみ出した樹脂を取り除く除去工程と、を有する成形方法。
【請求項2】
請求項1に記載の成形方法であって、
前記除去工程では、前記一対の型部材を回動させつつ、樹脂除去部材を前記樹脂を挟み込んだ前記一対の型部材の型面の周縁部に摺接させて、前記はみ出した樹脂を除去する成形方法。
【請求項3】
請求項1に記載の成形方法であって、
前記除去工程では、前記一対の型部材の一方の型面の周縁部の側面に外嵌された筒状の樹脂除去部材を、前記型面に垂直な方向に移動させ、前記はみ出した樹脂を除去する成形方法。
【請求項4】
請求項1に記載の成形方法であって、
前記除去工程では、前記一対の型部材のうち一方の型部材の周縁部に、該型部材の前記型面の周囲を囲み、前記型面から他方の型部材の側に突出する筒状の樹脂除去部材が固定的に設けられた前記一方の型部材と、前記他方の型部材との間隔を狭めることで前記はみ出した樹脂を前記型面同士の間に挟まれている樹脂から切除する成形方法。
【請求項5】
請求項4に記載の成形方法であって、
前記樹脂除去部材は、前記筒状の内側面が前記他方の型面の外周に外嵌可能であり、かつ、前記一方の型部材の型面から突出する突出量の最も小さい部位での突出高さが前記基板部の厚さに相当するように構成され、
前記除去工程では、前記樹脂除去部材が前記他方の型面の外周に外嵌しながら、前記一方の型部材と、前記他方の型部材との間隔を狭めることで、前記はみ出した樹脂を前記型面同士の間に挟まれている樹脂から切除する成形方法。
【請求項6】
請求項4に記載の成形方法であって、
前記樹脂除去部材は、前記一方の型部材の型面から筒状に突出する突出高さが前記基板部の厚さに相当する一定の高さに構成され、且つ、前記他方の型部材の型面が、前記樹脂除去部材の内側面で囲まれる部分と等しく、又は、より外側まで延在して設けられ、
前記除去工程では、前記一方の型部材と前記他方の型部材との間隔が、前記樹脂除去部材が前記他方の型面に当接するまで狭められることで、前記はみ出した樹脂を前記型面同士の間に狭まれている樹脂から切除する成形方法。
【請求項7】
基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形装置であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材と、
前記ウェハレベルレンズアレイの材料である樹脂を挟み込んだ前記一対の型部材の前記型面同士の間からはみ出した樹脂を取り除く除去手段と、を有する成形装置。
【請求項8】
請求項7に記載の成形装置であって、
前記除去手段が、前記樹脂を挟み込んだ状態で前記一対の型部材を回動させる回動手段と、
樹脂除去部材と、
前記樹脂除去部材を回動する前記一対の型部材の前記型面の周縁部に摺接させる摺接駆動部と、を備える成形装置。
【請求項9】
請求項8に記載の成形装置であって、
前記樹脂除去部材は、柱状または板状の部材であって、前記型面の周縁部に摺接する部分が前記柱状または板状の二側面に挟まれる稜、及び/又は、前記柱状又は板状の一側面である成形装置。
【請求項10】
請求項7に記載の成形装置であって、
前記除去手段は、筒状に形成され、前記一対の型部材の一方の型部材の前記周縁部に外嵌される樹脂除去部材と、
前記樹脂除去部材を前記型面に垂直な方向に移動させる駆動部とを備える成形装置。
【請求項11】
請求項7に記載の成形装置であって、
前記一対の型部材のうち一方の型部材の周縁部に該型部材の前記型面の周囲を囲み、前記型面から他方の型部材側に突出する筒状に形成され、前記一方の型部材に固定された樹脂除去部材が設けられ
前記一対の型部材の間に樹脂を挟み込み、間隔を狭めて前記樹脂を前記型面の形状に変形させる樹脂成形動作に応じて前記型面同士の間からはみ出した樹脂を切除する成形装置。
【請求項12】
基板部と該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを成形する成形型であって、
前記レンズ部の形状を反転させた形状のレンズ転写部を含む型面を有する一対の型部材を備え、
前記一対の型部材のうち一方の型部材には、該型部材の型面の周囲を囲み、前記型面から他方の型部材側に突出する筒状の樹脂除去部材が固定して設けられている成形型。
【請求項13】
請求項12に記載の成形型であって、
前記樹脂除去部材は、前記筒状の内側面が前記他方の型面の外周に外嵌可能であり、且つ、前記一方の型部材の型面から突出する突出量の最も小さい部位での突出高さが基板部の厚さに相当する成形型。
【請求項14】
請求項12に記載の成形型であって、
前記樹脂除去部材は、前記一方の型部材の型面から筒状に突出する突出高さが前記基板部の厚さに相当する一定の突出高さに構成され、且つ、前記他方の型部材の型面が、前記樹脂除去部材の内側面で囲まれる部分と等しく、又は、より外側まで延在して設けられている成形型。
【請求項15】
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の成形方法によって得られたウェハレベルレンズアレイ。
【請求項16】
請求項15に記載のウェハレベルレンズアレイが複数積層されたレンズアレイ積層体。
【請求項17】
請求項15に記載のウェハレベルレンズアレイ、又は、請求項16に記載のレンズアレイ積層体が、複数の固体撮像素子がウェハ上に配列されたセンサアレイに積層された素子アレイ積層体。
【請求項18】
請求項15に記載のウェハレベルレンズアレイから、1つの前記レンズ部を含んで分離されたレンズモジュール。
【請求項19】
請求項16に記載のレンズアレイ積層体から積層方法に並ぶレンズ部を含んで分離されたレンズモジュール。
【請求項20】
請求項17に記載の素子アレイ積層体から、積層方向に並ぶ固体撮像素子及びレンズ部を含んで分離された撮像ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−183621(P2011−183621A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49869(P2010−49869)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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