成形部材用の切断ユニット
【課題】簡単かつ安価で製造できる装置でありながら、繋ぎ体10と多数個の成形部品20、30が一体に成形された成形部材Bから、多数個の成形部品20と30とを混在することなく切断分離して回収することのできる成形部材用の切断ユニットAを提供する。
【解決手段】切断ユニットAは、第1成形部品20を収容する第1収容保持箱40と、第2成形部品30を収容する第2収容保持箱50と、切断手段60を備える。切断手段60は、第1収容保持箱40と第2収容保持箱50とに収容されている成形部材Bにおける、第1成形部品20と繋ぎ材10との接続部および第2成形部品30と繋ぎ材10との接続部であって、第1収容保持箱40および第2収容保持箱50から露出している部分を切断する。
【解決手段】切断ユニットAは、第1成形部品20を収容する第1収容保持箱40と、第2成形部品30を収容する第2収容保持箱50と、切断手段60を備える。切断手段60は、第1収容保持箱40と第2収容保持箱50とに収容されている成形部材Bにおける、第1成形部品20と繋ぎ材10との接続部および第2成形部品30と繋ぎ材10との接続部であって、第1収容保持箱40および第2収容保持箱50から露出している部分を切断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形部材用の切断ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形やビーズ発泡成形において、一度に多数個の成形部品を成形するために、原料充填ノズルから延びたランナーの左右両側にそれぞれ複数個のキャビティを備えた形態の成形型が用いられる場合がある。図12に示すように、その形態の成形型から脱型して得られる成形部材1は、棒状の繋ぎ体2と、繋ぎ体2の一方の側部に一体成形された所要数の第1成形部品3と、繋ぎ体1の他方の側部に一体成形された所要数の第2成形部品4とを備えた形態となる。そして、脱型後の成形部材1から、適宜の手段で、商品としての第1成形部品3と第2成形部品4とが切断分離され、残った繋ぎ体2は廃棄処理される。そのような成形部材の例が、特許文献1の図5あるいは特許文献2の図6などに示されており、特許文献2には、そのための切断分離装置も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−192640号公報
【特許文献2】特開2006−320956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図12に示す形態の成形部材1から第1成形部品3と第2成形部品4を切断分離する作業は手作業で行われることが多い。手作業の場合、切断分離すべき成形部品が比較的に大きなものである場合には、容易に分離作業を行うことができるが、繋ぎ体2の両側に多数個の小さな部材3,4が一体成形されているような成形部材1の場合には、きわめて煩雑な作業となる。特許文献2に記載されるように、切断分離のための装置が用いられることもあるが、それには多くの投資を必要とする。
【0005】
さらに、成形部材1によっては、繋ぎ体2の一方側の第1成形部品3と他方側の第2成形部品4とを、混在させることなく繋ぎ体2から切断分離することが必要とされるものがあるが、切断分離作業を手作業で行う場合も、装置を用いて行う場合も、切断分離後に両者が混在しないように、多くの注意を払う必要があり、作業性が低下するのを避けられない。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、簡単かつ安価で製造できる装置でありながら、繋ぎ体の少なくとも2箇所に多数個の成形部品が一体形成されている成形部材から、多数個の成形部品を容易に切断分離することができ、かつ分離した成形部品を収容保持箱内に収容保持できるようにした、成形部材用の切断ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による成形部材用の切断ユニットは、複数の成形部品が繋ぎ体を介して一体成形されてつなぎ合わされた成形部材を、該繋ぎ体と成形部品とに切断分離するための切断ユニットであって、複数の成形部材を一方向に重ね合わせることによって、成形部材を重ね合わせる方向に整列された複数の成形部品群を、それらの各々の繋ぎ体と成形部品との連結部が露出された状態で整列状態に保持したまま、収容する1または複数の収容保持箱と、該連結部を切断する切断手段とを備え、該収容保持箱または切断手段のいずれか一方または双方を移動させることにより、成形部品と繋ぎ体とが切断分離されるとともに、該収容保持箱内に納められた成形部品が箱内に収容保持されることを特徴とする。
【0008】
本発明による成形部材用の切断ユニットは、収容保持箱と切断手段とを持つのみであり構成はきわめて簡単であって、低コストでの製造が可能である。切断作業に当たっては、複数の成形部材を一方向に重ね合わせることによって、成形部材を重ね合わせる方向に整列された複数の成形部品群とし、それらの各々の繋ぎ体と成形部品との連結部が露出された状態で整列状態に保持したままで、前記各成形部品群を1または複数の収容保持箱に収容する。その状態で、収容保持箱または切断手段のいずれか一方または双方を移動させ、成形部品と繋ぎ体とを切断分離する。この切断作業もきわめて容易であるとともに、切断後は、収容保持箱内に納められていた成形部品は当該収容保持箱内に収容保持された状態となるので、切断分離後の各成形部品の収集作業等もきわめて容易である。
【0009】
本発明による成形部材用の切断ユニットの一態様において、前記成形部材の繋ぎ体には、複数の形状の異なる成形部品が一体成形されて繋ぎ合わされ、前記収容保持箱は、同形状の成形部品群を収容保持することを特徴とする。この態様では、切断分離後は、同形状の成形部品群ごとに、それぞれ別の収容保持箱内に収容することとなるので、形状の異なる成形部品を、混在させることなく確実に仕分けすることが可能となる。
【0010】
本発明の成形部材用の切断ユニットにおいて、前記繋ぎ体は、棒状体であって、少なくとも2つの側部において、長手方向に沿って成形部品が複数一体成形されている形態であってもよい。その場合の一態様として、前記繋ぎ体の対向する側部において、一の側部の長手方向に沿って複数の同一形状の第1の成形部品が成形され、他の側部の長手方向に沿って複数の同一形状の第2の成形部品が成形されている繋ぎ体が挙げられる。また、前記繋ぎ体は、盤状体であって、外周部の少なくとも2箇所に成形部品が一体成形されている形態でもよい。
【0011】
本発明の成形部材用の切断ユニットにおいて、前記切断手段は、成形部材における成形部品と繋ぎ体との収容保持箱から露出している連結部を切断できるものであれば任意であり、成形部材の材料に応じて、最適のものを適宜選択すればよい。一例として、複数箇所の連結部を同時に切断できる複数の切断部材を備えている切断手段が挙げられる。また、成形部材が発泡樹脂の成形部材である場合には、ニクロム線のような1または複数本の熱線および熱線を架け渡す複数本の柱材から構成されている切断手段が例示される。成形部材が非発泡樹脂の成形部材である場合には、鋸刃のような手段を好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡単かつ安価で製造できる装置でありながら、繋ぎ体の少なくとも2箇所に多数個の成形部品が一体形成されている成形部材から、多数個の成形部品を容易に切断分離することができ、かつ分離した成形部品を収容保持箱内に確実に収容保持できるようにした、成形部材用の切断ユニットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による切断ユニットで切断の対象となる成形部材の一例を示す斜視図。
【図2】図1に示す成形部材の平面図(図2(a))と側面図(図2(b))。
【図3】図1に示す成形部材の2枚を重ね合わせた状態を示す側面図。
【図4】切断ユニットを構成する第1収容保持箱と切断手段の一例を示す図。
【図5】図4に示した切断手段のみを示す図。
【図6】図1に示した成形部材の群の第1成形部品側を第1収容保持箱内に収容し、第2成形部品側を第2収容保持箱内に収容した状態を示す斜視図。
【図7】図6に示す成形部材の群を図4に示した切断手段を用いて切断している状態を示す正面図。
【図8】図6に示す成形部材の群を図4に示した切断手段を用いて切断している状態を示す側面図。
【図9】切断ユニットで切断の対象となる成形部材の他の例を示す斜視図。
【図10】図9に示す成形部材の群を切断手段を用いて切断分離する状態を説明する図。
【図11】図10に示す切断分離時の状態を上から見て示す図。
【図12】成形部材の他の例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施の形態に基づき説明する。最初に、本発明による成形部材用の切断ユニットAで切断の対象となる成形部材Bの一例について、図1から図3を参照して説明する。
【0015】
限定されないが、この例において、成形部材Bは、ビーズ発泡成形による型内発泡成形部品であり、基本的に、棒状の繋ぎ体10と、繋ぎ体10の一方の側部に一体成形された同一形状である2個以上(図では4個)の第1成形部品20と、繋ぎ体10の他方の側部に一体成形された同一形状である2個以上(図では4個)の第2成形部品30とを備えている。第1成形部品20と第2成形部品30は同じ形状であってもよいが、この例では、異なった形状とされている。
【0016】
このような形状の成形部材Bは、図示しないが、発泡樹脂が注入されるランナー部と、該ランナー部に注入された発泡樹脂が流入する成形用キャビティとを備えた、従来知られたビーズ発泡成形用の成形機を用いて一体成形することができる。この例では、ランナー部の一方側に4つの成形用キャビティを有し、他方側の対称となる位置にやはり4つの成形用キャビティを有するビーズ発泡成形用の成形機が用いられ、成形機のランナー部で成形されたものが前記した棒状の繋ぎ体10となり、一方側の4つの成形用キャビティで成形されたものが第1成形部品20となり、他方の4つの成形用キャビティで成形されたものが第2成形部品30となる。図示の成形部材Bにおいて、4つの第1成形部品20と4つの第2成形部品30はほぼ同じ重さのものであり、棒状の繋ぎ体10の両側に、対称にかつ水平方向に形成されている。
【0017】
棒状の繋ぎ体10は、平板状の本体部分11と、その長手方向の両端に本体部分11から垂下する脚部12,12とを有している。本体部分11の脚部12,12が垂下している側の面13は平坦面であり、反対側の面14は全長にわたって中央部が低くなった断面V字状とされている。また、前記反対側の面14における脚部12,12が形成されている部分には、上位に位置する同じ形状の成形部材Bにおける脚部12,12の下端部が係合する係合用切り欠き15が形成されている。
【0018】
脚部12,12の下端面16は平坦面であり、適宜の水平面に脚部12,12の下端面16が接地するようにして成形部材Bを置いたときに、4つの第1成形部品20と4つの第2成形部品30とは接地面に対してほぼ水平方向の姿勢を保持できるように、脚部12,12は形成されている。また、前記係合用切り欠き15の上端面17は下端面16と平行な平坦面である。
【0019】
従って、図3に示すように、下位の成形部材B2の上に上位の成形部材B1を、相互の繋ぎ体10,10同士が重なり合うようにして積み重ねたときに、上位の成形部材B1における棒状の繋ぎ体10の両端形成した脚部12,12の下端側が、下位の成形部材B2における棒状の繋ぎ体10の両端形成した係合用切り欠き15内に入り込み、上位の成形部材B1の脚部12,12の平坦な下端面16が、下位の成形部材B2の係合用切り欠き15の平坦な上端面17の上に乗った姿勢となり、互いに同じ方向に整列した状態でかつ安定した姿勢で積み上げられた状態となる。そして、その姿勢では、上下の成形部材B1,B2は、棒状の繋ぎ体10の長軸方向の自由移動が規制された状態となる。
【0020】
なお、図示の成形部材Bにおいて、棒状の繋ぎ材10の一方の面14が全長にわたって中央部が低くなった断面V字状とされているのは、成形型における発泡粒子の充填時に、ライナー部から各成形用キャビティ内に発泡粒子が入り込みやすくするために、ライナー部の底面側を各成形用キャビティに向けて傾斜した面とした結果であって、中央部が低くなった断面V字状とすることは、成形部材Bにおいて必須の構成ではない。
【0021】
また、図2(b)に示すように、前記脚部11の高さh、すなわち脚部12の下端面16から係合用切り欠き15の上端面17までの長さhは、第1成形部品20と第2成形部品30での厚さHの最大のもの等しいか、それよりもわずかに長くされている。
【0022】
なお、棒状の繋ぎ体10は、図示のもののように、本体部分11と脚部12とから構成されるものでなく、脚部12の垂直断面積と同じ垂直断面積である一本の棒体であってもよい。図示のように本体部分11と脚部12とからなる場合には、本体部分11における両端の脚部12、12の間は、棒状の繋ぎ体10の肉厚が薄くされた部分ととらえることができ、原材料の節減と軽量化が図れる。前記した係合用切り欠き15を省略することもできる。その場合には、上下の成形部材B1,B2は、棒状の繋ぎ体10の長軸方向の自由移動が規制されないこととなる。
【0023】
次に、図4から図8を用いて、本発明による切断ユニットAの一例と、その使用方法を説明する。切断ユニットAは、基本的に、第1収容保持箱40と、第2収容保持箱50と、切断手段60とからなる。
【0024】
第1収容保持箱40は、図1から図3に一例を示した成形部材B、すなわち、棒状の繋ぎ体10と、その一方の側部に一体成形された2個以上の第1成形部品20と、他方の側部に一体成形された2個以上の第2成形部品30とを備えた成形部材Bにおける、いずれか一方側の成形部品(図示の例では第1成形部品20)を収容するためのものであり、底板41とその周囲の側壁42とを備え、一方面は開放している。側壁42の開放側端面43は底板41と平行な面とされている。
【0025】
側壁42は、成形部品20または30を収容したときに、収容された成形部品20または30と繋ぎ体10との連接部が開放側端面43よりも上位の位置となるものであればよい。図示のものでは、図3に示すように同じ方向に整列した状態に重ね合わせた多数枚(図8に示すように、この例では15枚)の成形部材Bを収容できるように、第1収容保持箱40は、長方形の底板41を有し、その4つの側辺に同じ高さの側壁42が立てられている。
【0026】
第1収容保持箱40の長手方向の側壁42、42間の内面側の距離W1は、成形部材Bの4つの第1成形部品20の外側間の距離S1とほぼ等しく(図2、図4、図7参照)、短手方向での側壁42、42間の内面側の距離W2は、整列状態に重ね合わせた多数枚(図示のもので15枚)の成形部材Bにおける最前列の第1成形部品20の外側面と最後列の第1成形部品20の外側面との間の距離S2とほぼ等しい(図4、図8参照)。また、底板41の内側底面と側壁42の開放側端面43の間の距離W3は、第1成形部品20長さS3とほぼ等しい(図2、図8参照)。
【0027】
そのために、整列状態に重ね合わせた多数枚(15枚)の成形部材Bの群BSは、その第1成形部品20の群を第1収容保持箱40内に収容した姿勢で、その同方向に整列した姿勢をそのまま保持することができる。15枚よりも少ない枚数の成形部材Bを収容する場合でも、側壁42と成形部材Bとの間に生じる隙間に適宜の当て材を挿入することで、整列した姿勢を保持することができる。
【0028】
次に、第2収容保持箱50を説明する。この例で、第2収容保持箱50は、同じ形状である4つの第2収容保持箱50a,50b,50c,50dからなっており、上記のようにして第1収容保持箱40内に収容された多数枚の成形部材Bの群BSにおける、第2成形部品30の4つの群30a,30b,30c,30dをそれぞれ収容するようにされている。各第2収容保持箱50は、長方形をなす底板51とその周囲の側壁52とを備え、一方面は開放している。側壁52の開放側端面53は底板51と平行な面とされている。
【0029】
各第2収容保持箱50の長手方向の側壁52、52間の内面側の距離W4は、成形部材Bの第2成形部品30の外側間の距離S4とほぼ等しく(図2、図7参照)、短手方向での側壁52、52間の内面側の距離W5は、整列状態に重ね合わせた多数枚(15枚)の成形部材Bにおける最前列の第2成形部品30の外側面と最後列の第2成形部品30の外側面との間の距離S5とほぼ等しい(図8参照)。さらに、底板51の内側底面と側壁52の開放側端面53の間の距離W6は、第2成形部品30長さS6にほぼ等しい。そのために、各第2収容保持箱50a〜50dは摩擦接触した状態で各第2成形部品の群30a〜30dを内部に収容した状態となっている。
【0030】
次に、切断手段60を説明する。切断手段60は、図6から図8に示す状態で第1成形部品20が第1収容保持箱40に収容され、第2成形部品30が第2収容保持箱50に収容されている成形部材Bを、3つの部材群、すなわち、第1成形部品20の群と第2成形部品30の群と棒状の繋ぎ体10の群とに切断分離するためのものであり、第1成形部品20と棒状の繋ぎ材10との接続部および第2成形部品30と棒状の繋ぎ材10との接続部であって、第1収容保持箱40および第2収容保持箱50から露出している部分を切断できるものであれば、任意の切断具を用いることができる。
【0031】
図5に示す切断手段60は、2本の熱線61a、61bと、熱線61a、61bの両端を支持する支持体62、62とを備える。支持体62は基礎63を有していて、自立できるようにされている。熱線61は図示しない電源側に接続しており、通電により発熱する。図7に示すように、切断手段60の支持体62と第1収容保持箱40とを同じ平面においた状態で、下側の熱線61aは第1収容保持箱40に収容された第1成形部品20と棒状の繋ぎ材10との接続部に位置するようにされ、上側の熱線61bは、棒状の繋ぎ材10と第2成形部品30との接続部に位置するようにされている。
【0032】
上記の構成であり、図示されるように、多数枚の成形部材Bを収容した第1収容保持箱40と切断手段60とを同じ平面上に置き、熱線61a,61bに通電した状態で、例えば図8において、切断手段60を右方向に水平に移動させるか、第1収容保持箱40を左方向に水平に移動させると、多数枚の成形部材Bの群BSにおける、第1成形部品20と棒状の繋ぎ材10との接続部および棒状の繋ぎ材10と第2成形部品30との接続部は、熱線61a,61bによって同時に切断され、それぞれは分離した状態となる。
【0033】
切断が終了した後、4つの第2収容保持箱50a〜50dをそれぞれ持ちあげると、各第2成形部品30の群30a〜30dは、第2収容保持箱50a〜50dの内面と摩擦接触した状態で収容されているので、第2成形部品30の群30a〜30dは第2収容保持箱50a〜50dとともに、取り出される。その後、棒状の繋ぎ材10の群を排除すると、第1収容保持箱40内には、多数個の第1成形部品20のみが残された状態となる。結果として、第1成形部品20と第2成形部品30とをまったく混在させることなく、分離し回収することが可能となる。
【0034】
上記に説明したものは本発明による成形部材用の切断ユニットAおよび成形部材Bの一例であって、他に多くの変形例が存在する。切断ユニットAにおいて、第1収容保持箱40を1つの収容保持箱として説明したが、特に図示しないが、第2収容保持箱50と同様に、各第1成形部品20の群に対応した複数個の第1収容保持箱40a〜40dによって第1収容保持箱40を構成するようにしてもよい。また、同様に、第2収容保持箱50も、4つの分離した第2収容保持箱50a〜50dでなく1つの収容保持箱によって第2収容保持箱50を構成してもよい。切断手段60は上下に2本の熱線61a,61bを備えるものを図示したが、1本の熱線61のみを備えるものであってもよい。その場合には、支持体61の高さを適宜調整し、2回の切断作業を行えばよい。
【0035】
また、図示のものでは切断作業に当たって切断手段60を水平方向に移動するようにしたが、第1収容保持箱40と第2収容保持箱50とを立てた姿勢とすることで、切断手段60を上下方向に移動して切断作業を行うこともできる。
【0036】
切断の対象となる成形部材Bも、図示したものは一例であって、前記したように、複数の成形部品が繋ぎ体を介して一体成形されてつなぎ合わされた成形部材であって、複数の成形部材を一方向に重ね合わせることによって、成形部材を重ね合わせる方向に整列された複数の成形部品の群BSを構成できるものであればよい。
【0037】
図9は、他の形状の成形部材B1を示している。この成形部材B1は、盤状体の繋ぎ体10Aを有し、その外周部に複数個の成形部品20Aが連結部Cを介して一体成形されている。この成形部材B1も、前記した成形部材Bと同様、盤状体である繋ぎ体10Aの部分を上下方向に重ね合わせることで、複数の成形部材を互いの成形部品同士が整列した状態に重ね合わせることができ、また重ね合わせた状態で、上下方向に整列した成形部品同士は互いに接しない状態となるように、繋ぎ体10Aの厚みと各成形部品20Aの厚みが設定されている。図示のものでは、盤状体の繋ぎ体10Aは円盤として示されるが、これに限らず、平面視で矩形形状や楕円形状であってもよい。また、繋ぎ体10Aの上下面には重ねあった状態での自由移動を規制するための位置規制手段が成形されていてもよい。複数の成形部品20Aは図示のもののように同形状であってもよく、異なった形状ものを含んでいてもよい。
【0038】
成形部材B1を繋ぎ体10Aと成形部品20Aとに切断分離するときには、図10に示すように、適数の成形部材B1を上下方向に積み上げ、積み上げた成形部材B1における各整列した成形部品20Aの各群に対して、該群を収容できる大きさと形状の収容保持箱70を被せる。被せた状態で、前記連結部Cは露出した状態としておく。
【0039】
その状態に成形部材B1を積み上げた成形部材の群BSを、切断手段80を用いて、繋ぎ体10Aと成形部品20Aとに切断分離する。切断手段80は、基板81と、そこに立設する5本の支柱82と、各支柱82間に掛け渡した熱線83とで構成される。支柱82の高さは成形部材の群BSの高さよりも大きく、かつ前記基板81から前記熱線83までの距離も成形部材の群BSの高さよりも大きくされている。また、前記熱線83は、前記成形部材群Bにおける前記連結部Cの部分に位置するようにセットされている。
【0040】
図10および図11に示すように、切断手段80を立てた姿勢で基台上に置き、その上から前記成形部材の群BSをその連結部Cの部分を前記熱線83が通過するようにして、次第に鉛直方向に落とし込んでいくことにより、各成形部材B1は繋ぎ体10Aと成形部品20Aとに切断分離され、分離された各成形部材B1はそれぞれの収容保持箱70内に収納される。図示しないが、成形部材の群BSを基台上に置き、その上から切断手段80を同様にして落とし込んでいっても、各成形部材B1の繋ぎ体10Aと成形部品20Aとの切断分離と分離された各成形部材B1の収容保持箱70内への収納は可能である。もちろん、熱線83を鉛直方向に移動させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0041】
A…切断ユニット、
B、B1…成形部材、
BS…成形部材の群、
10、10A…繋ぎ材、
20、20A,30…成形部品、
40…第1収容保持箱、
50…第2収容保持箱、
60、80…切断部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形部材用の切断ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形やビーズ発泡成形において、一度に多数個の成形部品を成形するために、原料充填ノズルから延びたランナーの左右両側にそれぞれ複数個のキャビティを備えた形態の成形型が用いられる場合がある。図12に示すように、その形態の成形型から脱型して得られる成形部材1は、棒状の繋ぎ体2と、繋ぎ体2の一方の側部に一体成形された所要数の第1成形部品3と、繋ぎ体1の他方の側部に一体成形された所要数の第2成形部品4とを備えた形態となる。そして、脱型後の成形部材1から、適宜の手段で、商品としての第1成形部品3と第2成形部品4とが切断分離され、残った繋ぎ体2は廃棄処理される。そのような成形部材の例が、特許文献1の図5あるいは特許文献2の図6などに示されており、特許文献2には、そのための切断分離装置も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−192640号公報
【特許文献2】特開2006−320956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図12に示す形態の成形部材1から第1成形部品3と第2成形部品4を切断分離する作業は手作業で行われることが多い。手作業の場合、切断分離すべき成形部品が比較的に大きなものである場合には、容易に分離作業を行うことができるが、繋ぎ体2の両側に多数個の小さな部材3,4が一体成形されているような成形部材1の場合には、きわめて煩雑な作業となる。特許文献2に記載されるように、切断分離のための装置が用いられることもあるが、それには多くの投資を必要とする。
【0005】
さらに、成形部材1によっては、繋ぎ体2の一方側の第1成形部品3と他方側の第2成形部品4とを、混在させることなく繋ぎ体2から切断分離することが必要とされるものがあるが、切断分離作業を手作業で行う場合も、装置を用いて行う場合も、切断分離後に両者が混在しないように、多くの注意を払う必要があり、作業性が低下するのを避けられない。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、簡単かつ安価で製造できる装置でありながら、繋ぎ体の少なくとも2箇所に多数個の成形部品が一体形成されている成形部材から、多数個の成形部品を容易に切断分離することができ、かつ分離した成形部品を収容保持箱内に収容保持できるようにした、成形部材用の切断ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による成形部材用の切断ユニットは、複数の成形部品が繋ぎ体を介して一体成形されてつなぎ合わされた成形部材を、該繋ぎ体と成形部品とに切断分離するための切断ユニットであって、複数の成形部材を一方向に重ね合わせることによって、成形部材を重ね合わせる方向に整列された複数の成形部品群を、それらの各々の繋ぎ体と成形部品との連結部が露出された状態で整列状態に保持したまま、収容する1または複数の収容保持箱と、該連結部を切断する切断手段とを備え、該収容保持箱または切断手段のいずれか一方または双方を移動させることにより、成形部品と繋ぎ体とが切断分離されるとともに、該収容保持箱内に納められた成形部品が箱内に収容保持されることを特徴とする。
【0008】
本発明による成形部材用の切断ユニットは、収容保持箱と切断手段とを持つのみであり構成はきわめて簡単であって、低コストでの製造が可能である。切断作業に当たっては、複数の成形部材を一方向に重ね合わせることによって、成形部材を重ね合わせる方向に整列された複数の成形部品群とし、それらの各々の繋ぎ体と成形部品との連結部が露出された状態で整列状態に保持したままで、前記各成形部品群を1または複数の収容保持箱に収容する。その状態で、収容保持箱または切断手段のいずれか一方または双方を移動させ、成形部品と繋ぎ体とを切断分離する。この切断作業もきわめて容易であるとともに、切断後は、収容保持箱内に納められていた成形部品は当該収容保持箱内に収容保持された状態となるので、切断分離後の各成形部品の収集作業等もきわめて容易である。
【0009】
本発明による成形部材用の切断ユニットの一態様において、前記成形部材の繋ぎ体には、複数の形状の異なる成形部品が一体成形されて繋ぎ合わされ、前記収容保持箱は、同形状の成形部品群を収容保持することを特徴とする。この態様では、切断分離後は、同形状の成形部品群ごとに、それぞれ別の収容保持箱内に収容することとなるので、形状の異なる成形部品を、混在させることなく確実に仕分けすることが可能となる。
【0010】
本発明の成形部材用の切断ユニットにおいて、前記繋ぎ体は、棒状体であって、少なくとも2つの側部において、長手方向に沿って成形部品が複数一体成形されている形態であってもよい。その場合の一態様として、前記繋ぎ体の対向する側部において、一の側部の長手方向に沿って複数の同一形状の第1の成形部品が成形され、他の側部の長手方向に沿って複数の同一形状の第2の成形部品が成形されている繋ぎ体が挙げられる。また、前記繋ぎ体は、盤状体であって、外周部の少なくとも2箇所に成形部品が一体成形されている形態でもよい。
【0011】
本発明の成形部材用の切断ユニットにおいて、前記切断手段は、成形部材における成形部品と繋ぎ体との収容保持箱から露出している連結部を切断できるものであれば任意であり、成形部材の材料に応じて、最適のものを適宜選択すればよい。一例として、複数箇所の連結部を同時に切断できる複数の切断部材を備えている切断手段が挙げられる。また、成形部材が発泡樹脂の成形部材である場合には、ニクロム線のような1または複数本の熱線および熱線を架け渡す複数本の柱材から構成されている切断手段が例示される。成形部材が非発泡樹脂の成形部材である場合には、鋸刃のような手段を好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡単かつ安価で製造できる装置でありながら、繋ぎ体の少なくとも2箇所に多数個の成形部品が一体形成されている成形部材から、多数個の成形部品を容易に切断分離することができ、かつ分離した成形部品を収容保持箱内に確実に収容保持できるようにした、成形部材用の切断ユニットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による切断ユニットで切断の対象となる成形部材の一例を示す斜視図。
【図2】図1に示す成形部材の平面図(図2(a))と側面図(図2(b))。
【図3】図1に示す成形部材の2枚を重ね合わせた状態を示す側面図。
【図4】切断ユニットを構成する第1収容保持箱と切断手段の一例を示す図。
【図5】図4に示した切断手段のみを示す図。
【図6】図1に示した成形部材の群の第1成形部品側を第1収容保持箱内に収容し、第2成形部品側を第2収容保持箱内に収容した状態を示す斜視図。
【図7】図6に示す成形部材の群を図4に示した切断手段を用いて切断している状態を示す正面図。
【図8】図6に示す成形部材の群を図4に示した切断手段を用いて切断している状態を示す側面図。
【図9】切断ユニットで切断の対象となる成形部材の他の例を示す斜視図。
【図10】図9に示す成形部材の群を切断手段を用いて切断分離する状態を説明する図。
【図11】図10に示す切断分離時の状態を上から見て示す図。
【図12】成形部材の他の例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施の形態に基づき説明する。最初に、本発明による成形部材用の切断ユニットAで切断の対象となる成形部材Bの一例について、図1から図3を参照して説明する。
【0015】
限定されないが、この例において、成形部材Bは、ビーズ発泡成形による型内発泡成形部品であり、基本的に、棒状の繋ぎ体10と、繋ぎ体10の一方の側部に一体成形された同一形状である2個以上(図では4個)の第1成形部品20と、繋ぎ体10の他方の側部に一体成形された同一形状である2個以上(図では4個)の第2成形部品30とを備えている。第1成形部品20と第2成形部品30は同じ形状であってもよいが、この例では、異なった形状とされている。
【0016】
このような形状の成形部材Bは、図示しないが、発泡樹脂が注入されるランナー部と、該ランナー部に注入された発泡樹脂が流入する成形用キャビティとを備えた、従来知られたビーズ発泡成形用の成形機を用いて一体成形することができる。この例では、ランナー部の一方側に4つの成形用キャビティを有し、他方側の対称となる位置にやはり4つの成形用キャビティを有するビーズ発泡成形用の成形機が用いられ、成形機のランナー部で成形されたものが前記した棒状の繋ぎ体10となり、一方側の4つの成形用キャビティで成形されたものが第1成形部品20となり、他方の4つの成形用キャビティで成形されたものが第2成形部品30となる。図示の成形部材Bにおいて、4つの第1成形部品20と4つの第2成形部品30はほぼ同じ重さのものであり、棒状の繋ぎ体10の両側に、対称にかつ水平方向に形成されている。
【0017】
棒状の繋ぎ体10は、平板状の本体部分11と、その長手方向の両端に本体部分11から垂下する脚部12,12とを有している。本体部分11の脚部12,12が垂下している側の面13は平坦面であり、反対側の面14は全長にわたって中央部が低くなった断面V字状とされている。また、前記反対側の面14における脚部12,12が形成されている部分には、上位に位置する同じ形状の成形部材Bにおける脚部12,12の下端部が係合する係合用切り欠き15が形成されている。
【0018】
脚部12,12の下端面16は平坦面であり、適宜の水平面に脚部12,12の下端面16が接地するようにして成形部材Bを置いたときに、4つの第1成形部品20と4つの第2成形部品30とは接地面に対してほぼ水平方向の姿勢を保持できるように、脚部12,12は形成されている。また、前記係合用切り欠き15の上端面17は下端面16と平行な平坦面である。
【0019】
従って、図3に示すように、下位の成形部材B2の上に上位の成形部材B1を、相互の繋ぎ体10,10同士が重なり合うようにして積み重ねたときに、上位の成形部材B1における棒状の繋ぎ体10の両端形成した脚部12,12の下端側が、下位の成形部材B2における棒状の繋ぎ体10の両端形成した係合用切り欠き15内に入り込み、上位の成形部材B1の脚部12,12の平坦な下端面16が、下位の成形部材B2の係合用切り欠き15の平坦な上端面17の上に乗った姿勢となり、互いに同じ方向に整列した状態でかつ安定した姿勢で積み上げられた状態となる。そして、その姿勢では、上下の成形部材B1,B2は、棒状の繋ぎ体10の長軸方向の自由移動が規制された状態となる。
【0020】
なお、図示の成形部材Bにおいて、棒状の繋ぎ材10の一方の面14が全長にわたって中央部が低くなった断面V字状とされているのは、成形型における発泡粒子の充填時に、ライナー部から各成形用キャビティ内に発泡粒子が入り込みやすくするために、ライナー部の底面側を各成形用キャビティに向けて傾斜した面とした結果であって、中央部が低くなった断面V字状とすることは、成形部材Bにおいて必須の構成ではない。
【0021】
また、図2(b)に示すように、前記脚部11の高さh、すなわち脚部12の下端面16から係合用切り欠き15の上端面17までの長さhは、第1成形部品20と第2成形部品30での厚さHの最大のもの等しいか、それよりもわずかに長くされている。
【0022】
なお、棒状の繋ぎ体10は、図示のもののように、本体部分11と脚部12とから構成されるものでなく、脚部12の垂直断面積と同じ垂直断面積である一本の棒体であってもよい。図示のように本体部分11と脚部12とからなる場合には、本体部分11における両端の脚部12、12の間は、棒状の繋ぎ体10の肉厚が薄くされた部分ととらえることができ、原材料の節減と軽量化が図れる。前記した係合用切り欠き15を省略することもできる。その場合には、上下の成形部材B1,B2は、棒状の繋ぎ体10の長軸方向の自由移動が規制されないこととなる。
【0023】
次に、図4から図8を用いて、本発明による切断ユニットAの一例と、その使用方法を説明する。切断ユニットAは、基本的に、第1収容保持箱40と、第2収容保持箱50と、切断手段60とからなる。
【0024】
第1収容保持箱40は、図1から図3に一例を示した成形部材B、すなわち、棒状の繋ぎ体10と、その一方の側部に一体成形された2個以上の第1成形部品20と、他方の側部に一体成形された2個以上の第2成形部品30とを備えた成形部材Bにおける、いずれか一方側の成形部品(図示の例では第1成形部品20)を収容するためのものであり、底板41とその周囲の側壁42とを備え、一方面は開放している。側壁42の開放側端面43は底板41と平行な面とされている。
【0025】
側壁42は、成形部品20または30を収容したときに、収容された成形部品20または30と繋ぎ体10との連接部が開放側端面43よりも上位の位置となるものであればよい。図示のものでは、図3に示すように同じ方向に整列した状態に重ね合わせた多数枚(図8に示すように、この例では15枚)の成形部材Bを収容できるように、第1収容保持箱40は、長方形の底板41を有し、その4つの側辺に同じ高さの側壁42が立てられている。
【0026】
第1収容保持箱40の長手方向の側壁42、42間の内面側の距離W1は、成形部材Bの4つの第1成形部品20の外側間の距離S1とほぼ等しく(図2、図4、図7参照)、短手方向での側壁42、42間の内面側の距離W2は、整列状態に重ね合わせた多数枚(図示のもので15枚)の成形部材Bにおける最前列の第1成形部品20の外側面と最後列の第1成形部品20の外側面との間の距離S2とほぼ等しい(図4、図8参照)。また、底板41の内側底面と側壁42の開放側端面43の間の距離W3は、第1成形部品20長さS3とほぼ等しい(図2、図8参照)。
【0027】
そのために、整列状態に重ね合わせた多数枚(15枚)の成形部材Bの群BSは、その第1成形部品20の群を第1収容保持箱40内に収容した姿勢で、その同方向に整列した姿勢をそのまま保持することができる。15枚よりも少ない枚数の成形部材Bを収容する場合でも、側壁42と成形部材Bとの間に生じる隙間に適宜の当て材を挿入することで、整列した姿勢を保持することができる。
【0028】
次に、第2収容保持箱50を説明する。この例で、第2収容保持箱50は、同じ形状である4つの第2収容保持箱50a,50b,50c,50dからなっており、上記のようにして第1収容保持箱40内に収容された多数枚の成形部材Bの群BSにおける、第2成形部品30の4つの群30a,30b,30c,30dをそれぞれ収容するようにされている。各第2収容保持箱50は、長方形をなす底板51とその周囲の側壁52とを備え、一方面は開放している。側壁52の開放側端面53は底板51と平行な面とされている。
【0029】
各第2収容保持箱50の長手方向の側壁52、52間の内面側の距離W4は、成形部材Bの第2成形部品30の外側間の距離S4とほぼ等しく(図2、図7参照)、短手方向での側壁52、52間の内面側の距離W5は、整列状態に重ね合わせた多数枚(15枚)の成形部材Bにおける最前列の第2成形部品30の外側面と最後列の第2成形部品30の外側面との間の距離S5とほぼ等しい(図8参照)。さらに、底板51の内側底面と側壁52の開放側端面53の間の距離W6は、第2成形部品30長さS6にほぼ等しい。そのために、各第2収容保持箱50a〜50dは摩擦接触した状態で各第2成形部品の群30a〜30dを内部に収容した状態となっている。
【0030】
次に、切断手段60を説明する。切断手段60は、図6から図8に示す状態で第1成形部品20が第1収容保持箱40に収容され、第2成形部品30が第2収容保持箱50に収容されている成形部材Bを、3つの部材群、すなわち、第1成形部品20の群と第2成形部品30の群と棒状の繋ぎ体10の群とに切断分離するためのものであり、第1成形部品20と棒状の繋ぎ材10との接続部および第2成形部品30と棒状の繋ぎ材10との接続部であって、第1収容保持箱40および第2収容保持箱50から露出している部分を切断できるものであれば、任意の切断具を用いることができる。
【0031】
図5に示す切断手段60は、2本の熱線61a、61bと、熱線61a、61bの両端を支持する支持体62、62とを備える。支持体62は基礎63を有していて、自立できるようにされている。熱線61は図示しない電源側に接続しており、通電により発熱する。図7に示すように、切断手段60の支持体62と第1収容保持箱40とを同じ平面においた状態で、下側の熱線61aは第1収容保持箱40に収容された第1成形部品20と棒状の繋ぎ材10との接続部に位置するようにされ、上側の熱線61bは、棒状の繋ぎ材10と第2成形部品30との接続部に位置するようにされている。
【0032】
上記の構成であり、図示されるように、多数枚の成形部材Bを収容した第1収容保持箱40と切断手段60とを同じ平面上に置き、熱線61a,61bに通電した状態で、例えば図8において、切断手段60を右方向に水平に移動させるか、第1収容保持箱40を左方向に水平に移動させると、多数枚の成形部材Bの群BSにおける、第1成形部品20と棒状の繋ぎ材10との接続部および棒状の繋ぎ材10と第2成形部品30との接続部は、熱線61a,61bによって同時に切断され、それぞれは分離した状態となる。
【0033】
切断が終了した後、4つの第2収容保持箱50a〜50dをそれぞれ持ちあげると、各第2成形部品30の群30a〜30dは、第2収容保持箱50a〜50dの内面と摩擦接触した状態で収容されているので、第2成形部品30の群30a〜30dは第2収容保持箱50a〜50dとともに、取り出される。その後、棒状の繋ぎ材10の群を排除すると、第1収容保持箱40内には、多数個の第1成形部品20のみが残された状態となる。結果として、第1成形部品20と第2成形部品30とをまったく混在させることなく、分離し回収することが可能となる。
【0034】
上記に説明したものは本発明による成形部材用の切断ユニットAおよび成形部材Bの一例であって、他に多くの変形例が存在する。切断ユニットAにおいて、第1収容保持箱40を1つの収容保持箱として説明したが、特に図示しないが、第2収容保持箱50と同様に、各第1成形部品20の群に対応した複数個の第1収容保持箱40a〜40dによって第1収容保持箱40を構成するようにしてもよい。また、同様に、第2収容保持箱50も、4つの分離した第2収容保持箱50a〜50dでなく1つの収容保持箱によって第2収容保持箱50を構成してもよい。切断手段60は上下に2本の熱線61a,61bを備えるものを図示したが、1本の熱線61のみを備えるものであってもよい。その場合には、支持体61の高さを適宜調整し、2回の切断作業を行えばよい。
【0035】
また、図示のものでは切断作業に当たって切断手段60を水平方向に移動するようにしたが、第1収容保持箱40と第2収容保持箱50とを立てた姿勢とすることで、切断手段60を上下方向に移動して切断作業を行うこともできる。
【0036】
切断の対象となる成形部材Bも、図示したものは一例であって、前記したように、複数の成形部品が繋ぎ体を介して一体成形されてつなぎ合わされた成形部材であって、複数の成形部材を一方向に重ね合わせることによって、成形部材を重ね合わせる方向に整列された複数の成形部品の群BSを構成できるものであればよい。
【0037】
図9は、他の形状の成形部材B1を示している。この成形部材B1は、盤状体の繋ぎ体10Aを有し、その外周部に複数個の成形部品20Aが連結部Cを介して一体成形されている。この成形部材B1も、前記した成形部材Bと同様、盤状体である繋ぎ体10Aの部分を上下方向に重ね合わせることで、複数の成形部材を互いの成形部品同士が整列した状態に重ね合わせることができ、また重ね合わせた状態で、上下方向に整列した成形部品同士は互いに接しない状態となるように、繋ぎ体10Aの厚みと各成形部品20Aの厚みが設定されている。図示のものでは、盤状体の繋ぎ体10Aは円盤として示されるが、これに限らず、平面視で矩形形状や楕円形状であってもよい。また、繋ぎ体10Aの上下面には重ねあった状態での自由移動を規制するための位置規制手段が成形されていてもよい。複数の成形部品20Aは図示のもののように同形状であってもよく、異なった形状ものを含んでいてもよい。
【0038】
成形部材B1を繋ぎ体10Aと成形部品20Aとに切断分離するときには、図10に示すように、適数の成形部材B1を上下方向に積み上げ、積み上げた成形部材B1における各整列した成形部品20Aの各群に対して、該群を収容できる大きさと形状の収容保持箱70を被せる。被せた状態で、前記連結部Cは露出した状態としておく。
【0039】
その状態に成形部材B1を積み上げた成形部材の群BSを、切断手段80を用いて、繋ぎ体10Aと成形部品20Aとに切断分離する。切断手段80は、基板81と、そこに立設する5本の支柱82と、各支柱82間に掛け渡した熱線83とで構成される。支柱82の高さは成形部材の群BSの高さよりも大きく、かつ前記基板81から前記熱線83までの距離も成形部材の群BSの高さよりも大きくされている。また、前記熱線83は、前記成形部材群Bにおける前記連結部Cの部分に位置するようにセットされている。
【0040】
図10および図11に示すように、切断手段80を立てた姿勢で基台上に置き、その上から前記成形部材の群BSをその連結部Cの部分を前記熱線83が通過するようにして、次第に鉛直方向に落とし込んでいくことにより、各成形部材B1は繋ぎ体10Aと成形部品20Aとに切断分離され、分離された各成形部材B1はそれぞれの収容保持箱70内に収納される。図示しないが、成形部材の群BSを基台上に置き、その上から切断手段80を同様にして落とし込んでいっても、各成形部材B1の繋ぎ体10Aと成形部品20Aとの切断分離と分離された各成形部材B1の収容保持箱70内への収納は可能である。もちろん、熱線83を鉛直方向に移動させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0041】
A…切断ユニット、
B、B1…成形部材、
BS…成形部材の群、
10、10A…繋ぎ材、
20、20A,30…成形部品、
40…第1収容保持箱、
50…第2収容保持箱、
60、80…切断部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の成形部品が繋ぎ体を介して一体成形されてつなぎ合わされた成形部材を、該繋ぎ体と成形部品とに切断分離するための切断ユニットであって、
複数の成形部材を一方向に重ね合わせることによって、成形部材を重ね合わせる方向に整列された複数の成形部品群を、それらの各々の繋ぎ体と成形部品との連結部が露出された状態で整列状態に保持したまま、収容する1または複数の収容保持箱と、
該連結部を切断する切断手段とを備え、
該収容保持箱または切断手段のいずれか一方または双方を移動させることにより、成形部品と繋ぎ体とが切断分離されるとともに、該収容保持箱内に納められた成形部品が箱内に収容保持されることを特徴とする成形部材用の切断ユニット。
【請求項2】
前記成形部材の繋ぎ体には、複数の形状の異なる成形部品が一体成形されて繋ぎ合わされ、
前記収容保持箱は、同形状の成形部品群を収容保持することを特徴とする請求項1に記載の成形部材用の切断ユニット。
【請求項3】
前記繋ぎ体は棒状体であって、少なくとも2つの側部において、長手方向に沿って成形部品が複数一体成形されている請求項1または2に記載の成形部材用の切断ユニット。
【請求項4】
前記繋ぎ体の対向する側部において、一の側部の長手方向に沿って複数の同一形状の第1の成形部品が成形され、他の側部の長手方向に沿って複数の同一形状の第2の成形部品が成形されている請求項3に記載の成形部材用の切断ユニット。
【請求項5】
前記繋ぎ体は盤状体であって、外周部の少なくとも2箇所に成形部品が一体成形されている請求項1または2に記載の成形部材用の切断ユニット。
【請求項6】
前記切断手段は、複数箇所の連結部を同時に切断できる複数の切断部材を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の成形部材用の切断ユニット。
【請求項7】
前記成形部材は発泡樹脂の成形部材であって、前記切断手段は、1または複数本の熱線および熱線を架け渡す複数本の柱材から構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の成形部材用の切断ユニット。
【請求項1】
複数の成形部品が繋ぎ体を介して一体成形されてつなぎ合わされた成形部材を、該繋ぎ体と成形部品とに切断分離するための切断ユニットであって、
複数の成形部材を一方向に重ね合わせることによって、成形部材を重ね合わせる方向に整列された複数の成形部品群を、それらの各々の繋ぎ体と成形部品との連結部が露出された状態で整列状態に保持したまま、収容する1または複数の収容保持箱と、
該連結部を切断する切断手段とを備え、
該収容保持箱または切断手段のいずれか一方または双方を移動させることにより、成形部品と繋ぎ体とが切断分離されるとともに、該収容保持箱内に納められた成形部品が箱内に収容保持されることを特徴とする成形部材用の切断ユニット。
【請求項2】
前記成形部材の繋ぎ体には、複数の形状の異なる成形部品が一体成形されて繋ぎ合わされ、
前記収容保持箱は、同形状の成形部品群を収容保持することを特徴とする請求項1に記載の成形部材用の切断ユニット。
【請求項3】
前記繋ぎ体は棒状体であって、少なくとも2つの側部において、長手方向に沿って成形部品が複数一体成形されている請求項1または2に記載の成形部材用の切断ユニット。
【請求項4】
前記繋ぎ体の対向する側部において、一の側部の長手方向に沿って複数の同一形状の第1の成形部品が成形され、他の側部の長手方向に沿って複数の同一形状の第2の成形部品が成形されている請求項3に記載の成形部材用の切断ユニット。
【請求項5】
前記繋ぎ体は盤状体であって、外周部の少なくとも2箇所に成形部品が一体成形されている請求項1または2に記載の成形部材用の切断ユニット。
【請求項6】
前記切断手段は、複数箇所の連結部を同時に切断できる複数の切断部材を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の成形部材用の切断ユニット。
【請求項7】
前記成形部材は発泡樹脂の成形部材であって、前記切断手段は、1または複数本の熱線および熱線を架け渡す複数本の柱材から構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の成形部材用の切断ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−166331(P2012−166331A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31634(P2011−31634)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【出願人】(511036082)株式会社積水化成品群馬 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【出願人】(511036082)株式会社積水化成品群馬 (2)
【Fターム(参考)】
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