説明

戻り防止機構付プッシュプッシュ式コネクタ

【課題】カードの押し出し状態が多少の振動によっては損なわれることのない戻り防止機構を付加したプッシュプッシュ式コネクタの提供。
【解決手段】スライダーと、該スライダーを押し出し方向に付勢する復帰バネと、ハートカム式のループ状をしたピンガイド溝11と、一端が回動自在に支持され、他端側にピンガイド溝11に挿入された摺動部を有し、1ピンガイド溝11と重なる配置でスライダーのスライド方向側に向けて備えられたガイドピンとを有し、ピンガイド溝11は、押し出し停止位置の両側に、左右に位置を違えた往路ガイド溝部11Aと復路ガイド溝部11Bを有し、往路ガイド溝部の始端部分に、その溝底面を隆起させた形状の節度用登り傾斜部20を一体に備えるとともに、該節度用登り傾斜部位置を前記ガイドピンの摺動部が通過する際に、該摺動部の上向き動作に抵抗を与える押し下げバネを備え、ガイドピンの摺動部に移動抵抗を付加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハートカム式のプッシュイン・プッシュイジェクト機構を用い、プッシュイジェクト後のプッシュイン側動作を規制するための戻り防止機構を備えた戻り防止機構付プッシュプッシュ式コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、同一方向の操作力の繰り返しによって押し込み動作と引き出し動作がなされるプッシュイン・プッシュイジェクト機構を使用したカードコネクタが広く採用されている。このプッシュイン・プッシュイジェクト機構の代表的なものとして、所謂ハートカム式機構が普及している(例えば特許文献1)。
【0003】
この従来のハートカム式のプッシュイン・プッシュイジェクト機構は、図8及び図9に示すように、カードAと共に往復移動するライダー1の押し込み方向側の先端とハウジング2との間に介在された復帰バネ3によって、常時押し出し方向に付勢されている。
【0004】
スライダー1の表面にはピンガイド溝4があり、これはハート形をしたハートカム6の両側に、往路ガイド溝部4Aと復路ガイド溝部4Bとが設けられ、この往路ガイド溝部4Aと復路ガイド溝部4Bとの合流部に往復共通溝部4Cが設けられている。
【0005】
このようなピンガイド溝4に、ガイドピン7の先端の摺動部7bが挿入されて、往路ガイド溝部4Aと復路ガイド溝部4Bに沿って循環するようになっている。ピンガイド溝4及び該ピンガイド溝4内を摺動するガイドピンの摺動部7bによってプッシュイン・プッシュイジェクト機構8が構成されており、ガイドピンの摺動部7bが、これら往路ガイド溝部4Aと復路ガイド溝部4Bと往復共通溝部4Cに沿って循環中に逆戻りしないように、往路ガイド溝部4Aと復路ガイド溝部4Bと往復共通溝部4Cの底面には上って行って頂上で降下する移動方向規制用の段部9a,9b,9c,9dが4カ所に設けられている。
【0006】
段部9aは、往路ガイド溝部4Aの末端側に達したガイドピンの摺動部7bが、往路ガイド溝部4A側に戻らずにハートカム6の窪み部である戻り止め停止位置cに行くように設けられている。段部9bは、段部9aを過ぎたガイドピン7が、段部9a側に戻らずにガイドピンの摺動部7bに行くように設けられている。段部9cは、戻り止め停止位置cから復路ガイド溝部4Bに進むガイドピンの摺動部7bが、戻り止め停止位置cに戻らないように設けられている。段部9dは、ハートカム6の先端部6bで復路ガイド溝部4Bの末端から往路ガイド溝部4Aと往復共通溝部4Cとに入ったガイドピンの摺動部7bが、復路ガイド溝部4Bに戻らないように設けられている。
【0007】
ガイドピンの摺動部7bは、押し出し状態、即ちカードが引き出し方向に移動されている状態では、押し出し停止位置aにあり、カード押し込み動作、即ちプッシュイン動作によってプッシュイン押し込み動作末端停止位置bに行き、その位置で押し込み操作力を解除することにより戻り止め停止位置cに行き、係止解除のための再度のメモリーカード押し込み動作、即ちプッシュイジェクト動作によってプッシュイジェクト押し込み動作末端停止位置dに行き、その位置でスライダーの押し込み操作力を解除することにより、押し出し停止位置aに戻るようになっている。
【0008】
この種の従来のプッシュプッシュ式コネクタにおいては、例えばノートパソコンにおける通信用カードのように、電子機器にカードを一定長さだけ出入可能に装着しておき、カードが引き出された状態の時に、該カードの接続端子が電子機器の回路のカード接続端子と導通する構造のものにも使用されているが、この場合、カードが押し出し状態、即ち電子機器との回路接続状態にあるときに、振動によって押し出し状態から押し込み方向に移動し、瞬間的に回路が切断されることがあるという問題がある。
【0009】
これを解決するために、カードの縁部に節度用の凹欠部を形成しておき、押し出し末端位置でこの凹欠部に節度バネが落とし込まれることによってカードの押し込み方向の動作を規制するようにしたものが開発されている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−317861号公報
【特許文献2】特開2005−209574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したカードが押し出し状態にある時に押し込み方向への移動を規制する方法として、押し出し状態を維持する復帰バネのバネ圧を大きくすることが考えられるが、復帰バネのバネ圧を大きくすると、プッシュイン動作のための必要操作力が大きくなり、操作性が悪くなるという問題がある。
【0012】
また、上述したカードの縁部に節度用の凹欠部を設けておき、これに節度バネを落とし込む方法では、カード縁部に節度バネが常時圧接されていることとなり、スムーズなイジェクト動作を得るには、復帰バネのバネ圧を大きくすることが必要となり、前述と同様の問題が生じる。
【0013】
本発明は、このような従来の問題に鑑み、カードの押し出し状態が多少の振動によっては損なわれることのない戻り防止機構を、復帰バネ圧を大きくすることなく、且つ部品点数を多くすることなく付加した戻り防止機構付プッシュプッシュ式コネクタの提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、カードと共にハウジング内を出入方向に移動可能なスライダーと、該スライダーを押し出し方向に付勢する復帰バネと、前記ハウジング又はスライダーの一方に形成したハートカム式のループ状をしたピンガイド溝と、該ハウジング又はスライダーの他方に対して一端が回動自在に支持され、他端側に前記ピンガイド溝に挿入された摺動部を有し、前記ピンガイド溝と重なる配置で前記スライダーのスライド方向側に向けて備えられたガイドピンとを有し、前記スライダーのカードによる1回の押し込み操作によって所定の押し込み位置に停止し、次の押し込み動作によって押し込み停止位置での停止が解除されて押し出し停止位置に移動されるようにしてなるプッシュプッシュ式コネクタであって、
【0015】
前記ピンガイド溝は、スライダーが最も押し出された位置にある際に前記ガイドピンの摺動部が位置している前記ピンガイド溝の押し出し停止位置の両側に、前記スライダーのスライド方向に対して左右に位置を違えた往路ガイド溝部と復路ガイド溝部を有し、前記押し出し停止位置からの往路ガイド溝部の始端部分に、その溝底面を隆起させた形状の節度用登り傾斜部を一体に備えるとともに、該節度用登り傾斜部位置を前記ガイドピンの摺動部が通過する際に、該摺動部の上向き動作に抵抗を与える押し下げバネを備え、前記節度用登り傾斜部と押し下げバネによって前記ガイドピンの摺動部に移動抵抗をあたえることによって、前記スライダーの押し出し位置から押し込み方向への移動を規制させるようにしたことを特徴としてなる戻り防止機構付プッシュプッシュ式コネクタにある。
【0016】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記押し下げバネは、前記ハウジングを構成しているシールドカバーを切り抜くことによって形成したことにある。
【0017】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記両ガイド溝部は、前記押し出し停止位置の両側と戻り止め停止位置の両側において、互いに位置を左右逆とし、ガイドピンの摺動部が、ピンガイド溝内を8の字状に移動するようしたことにある。
【0018】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記往路ガイド溝部と復路ガイド溝部とを、それぞれの全体を前記押し出し停止位置と戻り止め停止位置を結ぶ線の両側に位置させていることにある。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る戻り防止機構付プッシュプッシュ式コネクタは、所謂ハートカム式のプッシュイン・プッシュイジェクト機構を使用したプッシュプッシュ式コネクタにおいて、ピンガイド溝は、スライダーが最も押し出された位置にある際に前記ガイドピンの摺動部が位置している前記ピンガイド溝の押し出し停止位置の両側に、前記スライダーのスライド方向に対して左右に位置を違えた往路ガイド溝部と復路ガイド溝部を有し、
【0020】
前記押し出し停止位置からの往路ガイド溝部の始端部分に、その溝底面を隆起させた形状の節度用登り傾斜部を一体に備えるとともに、該節度用登り傾斜部位置を前記ガイドピンの摺動部が通過する際に、該摺動部の上向き動作に抵抗を与える押し下げバネを備え、前記節度用登り傾斜部と押し下げバネによって前記ガイドピンの摺動部に移動抵抗をあたえることによって、前記スライダーの押し出し位置から押し込み方向への移動を規制させるようにしたことにより、復帰バネの押し出し力によってスライダーを押し出し方向に移動させる際には、節度用のぼり傾斜部の影響を全く受けることなく最終の押し出し末端位置まで移動され、この状態からスライダーが押し込み方向に移動される際に節度用のぼり傾斜部による抵抗を受けるため、復帰バネの負う圧力を大きくすることなく振動によるスライダーの移動を効果的に防止することができる。
【0021】
また、カードの縁部に節度用の凹欠部を形成しておき、押し出し末端位置でこの凹欠部に節度バネが落とし込まれるようにした従来のものに比べ、スライダーの押し出し方向の動作時には、節度バネが常時接触していることによる移動抵抗が無いため、スライダーの移動の押し出し方向の移動がスムーズになされる。
【0022】
本発明においては、前記押し下げバネを、前記ハウジングを構成しているシールドカバーを切り抜くことによって形成したことにより、部品点数を増やすことなく戻り防止機構を付加することができる。
【0023】
本発明においては、前記両ガイド溝部は、前記押し出し停止位置の両側と戻り止め停止位置の両側において、互いに位置を左右逆とし、ガイドピンの摺動部が、ピンガイド溝内を8の字状に移動するようにすることにより、ガイドピンの摺動部の移動軌跡がスムーズな形状となるとともに、ピンガイド溝が占める面積を小さいものとできる。
【0024】
本発明においては、前記往路ガイド溝部と復路ガイド溝部とを、それぞれの全体を前記押し出し停止位置と戻り止め停止位置を結ぶ線の両側に位置させることにより、溝底部の移動方向規制段部の数を少なくすることができ、耐久性の高いものとできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る戻り防止機構付プッシュプッシュ式コネクタの一例を示すもので、モールドハウジング部分からシールドカバーを外した状態の分解斜視図である。
【図2】図1に示すコネクタのプッシュイン・プッシュイジェクト構造部分を示す縦断面図である。
【図3】同、部分省略平面図である。
【図4】同、ピンガイド溝を示す平面図である。
【図5】同、ピンガイド溝の傾斜部と移動方向規制段部を示す部分縦断面図である。
【図6】同、ピンガイド溝の節度用登り傾斜部分を示す部分縦断面図である。
【図7】同、ピンガイド溝の他の例を示す平面図である。
【図8】従来のプッシュプッシュ式コネクタの一例のシールドカバーを取り外した状態の平面図である。
【図9】同上のピンガイド溝部分を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施の態様を、図1〜図7に示した実施例に基づいて説明する。
【0027】
図においてAはカードであり、1はスライダー、2はハウジング、3は復帰バネ、7はガイドピンである。ハウジング2は、モールドケース2aとこれに重ね合わせたシールドカバー2bによって構成されている。
【0028】
ガイドピン7は、図2に示すように、一端に上向きの枢軸部7aが折り曲げ形成され、、これがスライダー1の枢支穴10に挿入され、ガイドピン7の回動中心軸を構成している。ガイドピン7の回動側端部には、下向きに折り曲げられた摺動部7bが形成されており、これが後述するピンガイド溝11内に挿入されている。
【0029】
また、ガイドピン7は、ハウジング2を構成している金属製のシールドカバー2bに打ち抜きによって形成された押し下げバネ12,13によって回動側端部の摺動部7bが、ピンガイド溝11内の後述する各段部の頂部より低い位置側に付勢されている。
【0030】
ハウジング2を構成しているモールドケース2aには、スライダー1が往復動する延長部の表面にピンガイド溝11が形成されている。このピンガイド溝11は、図4に示すように8の字状配置に連続した往路ガイド溝部11Aと復路ガイド溝部11Bとから構成されている。
【0031】
両ガイド溝部11A,11Bは、スライダーが最も押し出された位置にある際にガイドピンの摺動部7bが位置している押し出し停止位置aの両側及びハートカム6の両側即ち戻り止め停止位置cの両側においては、スライダー1のスライド方向に対して左右に位置を違えており、その中間部分は、両者共通の往復溝部11Cとなっている。
【0032】
また、両ガイド溝部11A,11Bは、押し出し停止位置aの両側とハートカム6の両側即ち戻り止め停止位置cの両側において、互いに位置を左右逆としている。
【0033】
尚、ここにいう往路ガイド溝部11Aは、スライダー1が復帰バネ3によって最も押し出された時にガイドピンの摺動部7bが位置している場所、即ち押し出し停止位置aからスライダー1が復帰バネ3に抗して押し込まれ、往復溝部11Cを通り、押し込み位置で戻り止めされた時にガイドピンの摺動部7bが位置している場所、即ちハートカム6の窪み部である戻り止め停止位置cに至る間を言い、復路ガイド溝部11Bは、前記摺動部7bが、前記戻り止め停止位置cから往復溝部11Cを通り、押し出し停止位置aに至る間を言う。
【0034】
両ガイド溝部11A,11Bには、戻り止め停止位置cより奥側、即ちスライダー押し出し側に、プッシュイン押し込み動作末端停止位置b及びプッシュイジェクト押し込み動作末端停止位置dがある。
【0035】
そして、スライダー1を最も押し出された位置からカードAと共に押し込むプッシュイン動作によって、ガイドピンの摺動部7bは押し出し停止位置aから往路ガイド溝部11Aに入り、プッシュイン押し込み動作末端停止位置bに至る。その状態で押し込み力を除くことによってスライダー1が復帰バネ3によって押し出されガイドピンの摺動部7bは、戻り止め停止位置cに至り、ハートカム6に係止されるこれによってスライダー1は戻り止めされ、押し込み停止位置にて停止されるようになっている。
【0036】
この押し込み停止位置から押し出し動作、即ちスライダー1を押し込み方向に移動させると、ガイドピンの摺動部7bが戻り止め停止位置cから外れて復路ガイド溝部11B側に移動してプッシュイジェクト押し込み動作末端停止位置dに至り、その押し込み操作を解除することによって、スライダー1は復帰バネ3の押し出し力によって押し出され、ガイドピンの摺動部7bは復路ガイド溝部11内を移動して押し出し停止位置aに至るようになっている。
【0037】
このようにガイドピンの摺動部7bが、スライダー1を押し込み方向の操作を繰り返すことによってピンガイド溝11内を循環させるために、各停止位置a,b,c,dの手前側の底面には、図4、図5に示すように、徐々に登り方向に傾斜した傾斜部15と、各停止位置a,b,c,dに達した後にガイドピンの摺動部7bを次の停止位置に向かわせるための移動方向規制段部16がそれぞれ形成されている。
【0038】
また、往復溝部11Cは、ガイドピンの摺動部7bの往動作時に往路ガイド溝部11Aから復路ガイド溝部11Bへ、また復動作時に復路ガイド溝部11Bから往路ガイド溝部11Aへ移動しないように、傾斜部15と移動方向規制段部16が形成されている。
【0039】
上述したピンガイド溝11には、ガイドピンの摺動部7bが、押し出し停止位置aから往路ガイド溝部11A内を移動し始める際の動作を規制する節度用登り傾斜部20が一体に備えられている。
【0040】
この節度用登り傾斜部20は、押し出し停止位置aからの往路ガイド溝部11Aの始端部分の溝底面に形成されており、図6に示すように、溝底面を摺動部7bが進行する方向側を登り傾斜になるように隆起させた形状に形成されている。
【0041】
また、この節度用登り傾斜部20をガイドピンの摺動部7bが通過する際に、該摺動部7bの上向きの動作に抵抗を与える節度用の押し下げバネが備えられている。この節度用の押し下げバネは、前述したシールドカバー2bに打ち抜きによって形成された押し下げバネ13と共用させている。
【0042】
この節度用押し下げバネ13と前記節度用登り傾斜部20とによって戻り防止機構が構成されており、図6に示すように、ガイドピンの摺動部7bが押し出し停止位置aから往路ガイド溝部11Aに移動して、この節度用登り傾斜部20にさしかかると、その登り傾斜によって摺動部7bが上向きに移動されるが、この動作を節度用押し下げバネ13によって弾性的に押さえることによって摺動部7bに移動抵抗が与えられ、移動抵抗が与えられるようになっている。
【0043】
この移動抵抗力は、節度用登り傾斜部20の傾斜角度及び節度用押し下げバネ13の弾性係数によって予め設定することができ、プッシュイン操作時におけるカードAを介したスライダー1に対する押し込み操作力より小さく、かつ、通常の振動によって加わる一定以下の外力よりは大きい値に予め設定しておく。
【0044】
このように構成される戻り防止機構付プッシュプッシュ式コネクタにあっては、スライダー1が押し出し方向に動作され、ガイドピンの摺動部7bが、復路ピンガイド溝11B内を押し出し停止位置aに戻る際には、移動方向規制段部16を乗り越えるため以外の抵抗を受けないが、押し出し停止位置aから押し込み方向側に移動する際にのみ、節度用登り傾斜部20を乗り越えて通過するための抵抗を受けるようにしたことによって、通常の振動によるスライダー押しこみ方向の外力に対し、該バネ片20をもって対抗させることができ、不慮のカード押し込み動作が防止できる。
【0045】
一方、通常のプッシュイン操作においては、作業者による比較的大きな操作力が作用するため、バネ片20弾性的に往路ピンガイド溝11A上から外れる位置に変形させることができ、プッシュイン操作に大きな影響を及ぼすことがない。
【0046】
尚、上述した実施例では、往路ガイド溝部11Aと復路ガイド溝部11Bに、両者共通の往復溝部11Cを設けているが、この他、図7に示すように、往路ガイド溝部11Aと復路ガイド溝部11Bとを共通部分を設けることなく、全体の位置を左右に分けて位置させても良い。
【符号の説明】
【0047】
1 スライダー
2 ハウジング
2a モールドハウジング
2b シールドカバー
3 復帰バネ
6 ハートカム
7 ガイドピン
7a 枢軸部
7b 摺動部
10 枢支穴
11 ピンガイド溝
11A 往路ガイド溝部
11B 往路ガイド溝部
11C 往復溝部
12,13 押し下げバネ
15 傾斜部
16 移動方向規制段部
20 節度用登り傾斜部
a 押し出し停止位置
b プッシュイン押し込み動作末端停止位置
c 戻り止め停止位置
d プッシュイジェクト押し込み動作末端停止位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードと共にハウジング内を出入方向に移動可能なスライダーと、該スライダーを押し出し方向に付勢する復帰バネと、前記ハウジング又はスライダーの一方に形成したハートカム式のループ状をしたピンガイド溝と、該ハウジング又はスライダーの他方に対して一端が回動自在に支持され、他端側に前記ピンガイド溝に挿入された摺動部を有し、前記ピンガイド溝と重なる配置で前記スライダーのスライド方向側に向けて備えられたガイドピンとを有し、
前記スライダーのカードによる1回の押し込み操作によって所定の押し込み位置に停止し、次の押し込み動作によって押し込み停止位置での停止が解除されて押し出し停止位置に移動されるようにしてなるプッシュプッシュ式コネクタであって、
前記ピンガイド溝は、スライダーが最も押し出された位置にある際に前記ガイドピンの摺動部が位置している前記ピンガイド溝の押し出し停止位置の両側に、前記スライダーのスライド方向に対して左右に位置を違えた往路ガイド溝部と復路ガイド溝部を有し、
前記押し出し停止位置からの往路ガイド溝部の始端部分に、その溝底面を隆起させた形状の節度用登り傾斜部を一体に備えるとともに、該節度用登り傾斜部位置を前記ガイドピンの摺動部が通過する際に、該摺動部の上向き動作に抵抗を与える押し下げバネを備え、
前記節度用登り傾斜部と押し下げバネによって前記ガイドピンの摺動部に移動抵抗をあたえることによって、前記スライダーの押し出し位置から押し込み方向への移動を規制させるようにしたことを特徴としてなる戻り防止機構付プッシュプッシュ式コネクタ。
【請求項2】
前記押し下げバネは、前記ハウジングを構成しているシールドカバーを切り抜くことによって形成した請求項1に記載の戻り防止機構付プッシュプッシュ式コネクタ。
【請求項3】
前記両ガイド溝部は、前記押し出し停止位置の両側と戻り止め停止位置の両側において、互いに位置を左右逆とし、ガイドピンの摺動部が、ピンガイド溝内を8の字状に移動するようした請求項1又は2に記載の戻り防止機構付プッシュプッシュ式コネクタ。
【請求項4】
前記往路ガイド溝部と復路ガイド溝部とを、それぞれの全体を前記押し出し停止位置と戻り止め停止位置を結ぶ線の両側に位置させている請求項1又は2に記載の戻り防止機構付プッシュプッシュ式コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−233324(P2011−233324A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101758(P2010−101758)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】