説明

扁平角形電池の包装容器

【課題】輸送時の衝撃等による扁平角形電池の左右方向の移動を抑えながら、内装部材を効率よく作製することができる扁平角形電池の包装容器を得る。
【解決手段】扁平角形電池1を前後に並べた電池群1Aを収容する内装部材2と、内装部材2を内部に収容する外箱3とからなる。内装部材2は、電池群1Aが載置される底壁25と、内装部材2の前後に形成される緩衝材37・38とを有する。外箱3は、前後左右の側壁9・10・11・12と底壁13とからなる箱本体6と、箱本体6の開口上面を開閉する蓋8とを有する。外箱3の前後左右の側壁9・10・11・12は、接着片15・16を用いて連結される。電池群1Aの左右側面は、外箱3の箱本体6の左右側壁11・12に接着片15・16を介して臨む。箱本体6には、扁平角形電池1の左右方向の移動を規制する規制手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下左右の寸法に対して前後厚さ寸法が小さいリチウムイオン二次電池等の扁平角形電池の輸送に適した包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばリチウムイオン二次電池にあっては、高容量化および高エネルギー密度化が進んでおり、この高エネルギー密度化等に伴って、輸送の際に電池への衝撃等が加わらないように充分配慮する必要がある。つまり、リチウムイオン二次電池では、前記衝撃等で凹み等が生じた場合に、電池内部に短絡等の不良が容易に生じてしまう。
【0003】
この対策として、特許文献1に記載の包装容器では、段ボール製の内装部材内に、複数個の扁平角形電池を縦姿勢で前後に並べてなる電池群を収容し、該内装部材を段ボール製の外箱内に収容することで、前記電池群を内装部材と外箱とで二重に保護している。
【0004】
内装部材は、その前後部分をそれぞれ折り曲げて、前後一対の四角筒状の緩衝材を形成しており、前後の緩衝材の間に電池群を収容して前後方向の外部衝撃を吸収している。また、内装部材の左右には、左右側壁を起立状に折り曲げ形成しており、左右両側壁で電池群の左右の移動を規制するとともに、その内装部材の左右側壁と外箱とで左右方向の外部衝撃を吸収している。
【0005】
【特許文献1】特開2004−319387号公報(図1・3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の包装容器では、該特許文献1の図3に示すように、内装部材は一枚の段ボールで形成されており、電池群を載置する底壁と、前後の緩衝材を形成する段ボール部分とは直列状に並んでいる。しかし、内装部材の左右の各側壁は、底壁の左右に連設されているために、内装部材を一枚の段ボールから切り取ったときには、前後の緩衝材の左右の段ボール部分が無駄に捨てられることになる。
【0007】
この場合、内装部材の左右側壁を省略すると、内装部材を段ボールから効率よく切り取って作製することができるが、特許文献1に記載の包装容器では、外箱の後側壁と左右側壁とを連結する接着片が、外箱の左右側壁の内面に糊付けされている。このため、外箱の左右側壁の内面に対して接着片が段差状に位置することになる。
【0008】
この結果、内装部材の左右側壁を省略すると、前記段差によって電池群の左右の側面と外箱の左右側壁の内面との間に生じた空隙に、電池群の一部の扁平角形電池が入り込み、次いで該空隙から出るといった左右方向の移動が可能となる。つまり、輸送時に包装容器に加わった衝撃等で一部の扁平角形電池が左右方向に移動して、その前後の扁平角形電池と左右方向に擦れ合って、扁平角形電池の前後の面が傷付いてしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、輸送時の衝撃等による扁平角形電池の左右方向の移動を抑えることができながら、内装部材を一枚の段ボールから効率よく切り取って作製することができる扁平角形電池の包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、複数個の扁平角形電池1をこれの前後の扁平面どうしが対面する縦姿勢で前後に並べてなる電池群1Aを収容する内装部材2と、内装部材2を内部に収容する外箱3とからなる扁平角形電池の包装容器を対象とする。前記内装部材2は、電池群1Aが載置される底壁25と、内装部材2の前後に形成される緩衝材37・38とを有し、両緩衝材37・38の間に電池群1Aが配置されている。外箱3は、前後左右の側壁9・10・11・12と底壁13とからなっていて上面が開口する四角形の箱本体6と、箱本体6の開口上面を開閉する蓋8とを有する。外箱3の箱本体6の前後左右の各側壁9・10・11・12は、隣り合う側壁どうしの少なくとも一組が接着片15・16・40を用いて連結されている。内装部材2の底壁25に載置された電池群1Aの左右の側面は、外箱3の箱本体6の左右の各側壁11・12に直接又は接着片15・16を介して臨むようになっており、箱本体6には、扁平角形電池1の左右方向の移動を規制する規制手段を設けてあることを特徴とする。
【0011】
外箱3の箱本体6は、展開状態において、底壁13の下側に前側壁9が連設され、底壁13の上側に後側壁10が連設され、底壁13の左側に左側壁11が連設され、且つ底壁13の右側に右側壁12が連設されている。前側壁9の左右両側には、前側接着片15・15がそれぞれ連設され、且つ後側壁10の左右両側には、後側接着片16・16がそれぞれ連設されている。展開状態の外箱3の箱本体6を組み立てる際に、左右の前側接着片15・15および後側接着片16・16を左右の各側壁11・12にそれぞれ固定している。そして、箱本体6の左右の各側壁11・12において対峙する前側接着片15の先端と後側接着片16の先端との間の隙間の前後幅寸法T1を扁平角形電池1の前後厚さ寸法T2よりも小さくなるように設定することで、前記規制手段を構成してあるものとすることができる。ここでの連設とは、展開状態で切れ目なく一体的に形成されていることを意味する。
【0012】
また、外箱3の箱本体6の左右の前側接着片15・15および後側接着片16・16は、箱本体6の左右の各側壁11・12において対峙する前側接着片15と後側接着片16との間の隙間46の上下寸法T3を、扁平角形電池1の上下高さ寸法T4よりも小さくなるように設定することで、前記規制手段を構成してあるものとすることができる。ここでは、前記隙間46を、前後斜め方向に伸びるように形成する場合や、前後方向にクランク状に形成する場合等が含まれる。
【0013】
外箱3の箱本体6の左右の各側壁11・12において対峙する前側接着片15の先端の縁15aと後側接着片16の先端の縁16aとをそれぞれ前後方向に傾けて形成して、前記隙間46が前後斜め方向に伸びるようにしたものとすることができる。
【0014】
外箱3の箱本体6は、展開状態において、前後左右の側壁9・10・11・12を左右方向に並べて連設しており、左右の側壁11・12のうち、一方の左右側壁12が前後の側壁9・10の間に配置されるとともに、他方の左右側壁11が前後の側壁9・10のうちの一方の前後側壁9に連設されており、他方の左右側壁11の自由端に接着片40が連設されており、外箱3の箱本体6を組み立てる際に、接着片40を他方の前後側壁10に固定することで、前記規制手段を構成してあるものとすることができる。ここでの他方の左右側壁11の自由端とは、一方の前後側壁9側とは反対側の端を意味する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の扁平角形電池の包装容器においては、内装部材2に左右側壁を設けてその左右側壁で電池群1Aの扁平角形電池1の左右の移動を規制しなくても、箱本体6の規制手段によって扁平角形電池1が左右方向に移動することが規制されるので、輸送時に包装容器に加わった衝撃又は振動等で包装容器内で前後に並ぶ扁平角形電池1どうしが左右方向に擦れ合うことを低減できる。これにより、前記擦れ合いによって扁平角形電池1の前後の面が傷付くことが抑えられ、これにて信頼性に優れた包装容器を提供できる。また、内装部材2に左右側壁を設けなくても済む分だけ、内装部材2を一枚の段ボールから効率よく切り取って作製することができ、これにて包装容器の作製に要するコストを低減できる。
【0016】
左右側壁11・12に固定した前側壁9の前側接着片15の先端と後側壁10の後側接着片16の先端との間の隙間の前後幅寸法T1が、扁平角形電池1の前後厚さ寸法T2よりも小さくしたので、内装部材2に左右側壁を廃しながら、前側接着片15の先端と後側接着片16の先端との隙間36に、縦姿勢の扁平角形電池1が入り込むことを確実に防止できる。したがって、例えば輸送時に包装容器に加わった衝撃等によって、前記隙間36およびその近傍に臨む扁平角形電池1が、隙間36に入り込み、次いで隙間36から出るといった左右方向の移動を確実に防止できる。これにて前記隙間36およびその近傍に臨む扁平角形電池1と、その扁平角形電池1の前後に並ぶ扁平角形電池1との左右方向の擦れ合いを低減でき、該擦れ合いで扁平角形電池1の前後の面が傷付くこと等を防止できる。
【0017】
また、電池群1Aの左右の側面は、外箱3の箱本体6の左右の各側壁11・12に接着片15・16を介して臨むことになるため、外箱3の左右側壁11・12と接着片15・16とで左右方向の外部衝撃を有効に吸収することができる。したがって、輸送時に包装容器に加わった左右方向の衝撃等から電池群1Aの各扁平角形電池1を確実に保護することができる。
【0018】
前側接着片15と後側接着片16との間の隙間46の上下寸法T3を、扁平角形電池1の上下高さ寸法T4よりも小さくなるように設定しても、前記隙間46の上下に位置する前側接着片15の部分と後側接着片16の部分とで扁平角形電池1を受け止められ、これによっても内装部材2に左右側壁を廃しながら、前側接着片15と後側接着片16との隙間46に縦姿勢の電池1が入り込むことを確実に防止できる。したがって、輸送時に包装容器に加わった左右方向の衝撃等によって扁平角形電池1が、後側接着片15と前側接着片16との隙間46に入り込み、次いで隙間46から出るといった左右方向の移動を確実に防止でき、前後に並ぶ扁平角形電池1どうしの擦れ合いを確実に低減できて、扁平角形電池1の前後の面が傷付くこと等を防止できる。
【0019】
箱本体6の左右側壁11・12において対峙する前側接着片15の先端の縁15aと後側接着片16の先端の縁16aとをそれぞれ前後方向に傾けて形成して、前記隙間46が前後斜め方向に伸びるようにすると、隙間46の上下寸法T3を、扁平角形電池1の上下高さ寸法T3よりも小さくするために、例えば、前記隙間46をクランク状に形成する場合よりも、前側接着片15と後側接着片16とを容易に形成できる。
【0020】
外箱3の箱本体6が、展開状態において、一方の左右側壁12が前後の側壁9・10の間に配置されるとともに、他方の左右側壁11が一方の前後側壁9に連設されており、他方の左右側壁11の自由端に接着片40が連設されていると、外箱3の箱本体6を組み立てる際には、接着片40が他方の前後側壁10に固定されて、隣り合う他方の左右側壁11と他方の前後側壁10とが連結される。つまり、接着片40は、左右の側壁11・12の内面には固定されず、電池群1Aの左右の側面を左右の側壁11・12の内面に密着させることができる。これにて輸送時に包装容器に加わった左右方向の衝撃等によって扁平角形電池1が、左右方向に動くことを確実に防止でき、したがって前後に並ぶ扁平角形電池1どうしの擦れ合いを低減でき、前記擦れ合いで扁平角形電池1の前後の面が傷付くこと等を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1実施形態) 図1ないし図6に、本発明に係る扁平形電池の包装容器の第1実施形態を示す。この包装容器は、図1および図2に示すように、複数個の扁平角形電池(以下、単に電池と言う。)1をこれの前後の扁平面どうしが対面する縦姿勢で前後に並べてなる電池群1Aを収容する内装部材2と、該内装部材2が内部に収容される外箱3とからなる。内装部材2には左右側壁を備えず、電池群1Aの左右は、内装部材2によっては覆われない(図1参照)。
【0022】
電池群1Aは、例えば、左右5列で各列に10個の電池1を並べて形成してあり、包装容器内では、電池群1Aの各電池1がガタつかないようになっている。電池群1Aにおいて電池1の左右の各列の間には、仕切り板4がそれぞれ配置される。電池群1Aの前後および上下は、一枚の絶縁シート5で覆われている。各電池1は、前後厚さ寸法が6.5mm、左右幅寸法が38mm、上下高さ寸法が50mmである。
【0023】
外箱3は、上面が開口する四角形の箱本体6と、左右一対の内フラップ7・7と、箱本体6の開口上面を開閉する蓋8とを有する。そして、電池1および内装部材2を収容した複数個の外箱3が、図外の外装箱に収容された状態で輸送される。内装部材2と外箱3と仕切り板4とは、約3mm厚の段ボール(Bフルート)等からなる。外装箱は、約8mm厚の段ボール製(ABフルート)等からなる。
【0024】
外箱3の箱本体6は、前側壁9、後側壁10、左側壁11および右側壁12で構成される側壁と底壁13とからなる。すなわち図3に示す外箱3の展開状態において、底壁13の前側(図3では下側)には、折線L1を介して前側壁9が連設され、底壁13の後ろ側(図3では上側)には、後側壁10ついで蓋8が折線L2・L3を介して順に連設される。底壁13の左側には、左側壁11ついで内フラップ7が折線L4・L5を介して順に連設され、底壁13の右側には、右側壁12ついで内フラップ7が折線L6・L7を介して順に連設される。前側壁9の左右両側には、前側接着片15・15が折線L8・L9を介してそれぞれ連設され、後側壁10の左右両側には、後側接着片16・16が折線L10・L11を介してそれぞれ連設される。
【0025】
蓋8による箱本体6の開口上面の閉じ状態を維持するために、蓋8の連出端(図3では上端)には、台形状の差込片17が折線L12を介して連設される。差込片17は、箱本体6の前側壁9の内側に差し込み可能になっている(図5参照)。差込片17の折線L12側の左右方向の中央部には、左右横長の係入孔19が折線L12に沿って打ち抜き形成されている。蓋8の連出端の左右方向の中央部には、係入孔19に繋がる半円形の指掛け孔20が打ち抜き形成されている。
【0026】
前側壁9の先端(図3では下端)の左右方向の中央部には、前記係入孔19に挿入する係合片21が連設され、また前側壁9には、係合片21の左右縁から底壁13側へ向けて左右一対の切り込み22・22が形成されている。切り込み22・22の底壁13側の先端間(図3では上端)には折線L13が形成され、切り込み22・22間に形成された操作部23が、折線L13で折り曲げ可能になっている。操作部23と係合片21との境界には折線L14が形成され、係合片21が、折線L14で折り曲げ可能になっている(図1参照)。
【0027】
内装部材2は、図2および図5に示すように、電池群1Aが載置される四角形の底壁25と、内装部材2の前後に配置される緩衝材37・38とを有し、電池群1Aは、図1に示すように、底壁25上に載置された状態で前後が緩衝材37・38で挟まれる。そして、図4に示す内装部材2の展開状態において、底壁25の前側(図4では下側)に、前外壁26、前上壁27、前内壁28および前下壁29が折線L15・L16・L17・L18を介して順に連設される。
【0028】
内装部材2の底壁25の後ろ側(図4では上側)には、後内壁31および後外壁32が折線L19およびハーフカットH1を介して順に連設される。つまり、底壁25、前外壁26、前上壁27、前内壁28、前下壁29、後内壁31および後外壁32は、直列状に並んでいる。内装部材2の前内壁28の連出端(図4では下側)の左右両端には、係合片34・34が前下壁29側に入り込むようにそれぞれ形成されており、内装部材2の底壁25の前後中間における左右両縁には、前記係合片34・34がそれぞれ係合する切り欠き35・35が形成されている。なお、係合片34・34の配置箇所には、折線L18を形成していない。
【0029】
展開状態からの内装部材2の組み立てに際しては、内装部材2の底壁25に対して前外壁26を折線L15で直角に内折りするとともに、前上壁27、前内壁28および前下壁29を各折線L16・L17・L18でそれぞれ直角に内折りし、底壁25の切り欠き35・35に係合片34・34を嵌め込む。これにて、図2に示すように、左右横長の四角筒形状の緩衝材37が底壁25の上面前部に組み立てられる。また、内装部材2の底壁25に対して、後内壁31を折線L19で直角に内折りし、後外壁32をハーフカットH1で外側に二つ折りして後内壁31と後外壁32とを前後に重ねることで、底壁25の後ろ側に緩衝材38が組み立てられる。
【0030】
展開状態からの外箱3の組み立てに際しては、まず左右の側壁11・12の適所に接着剤39(図3)が配置される。次に、前側壁9に対して左右の前側接着片15・15を折線L8・L9でそれぞれ直角に内折りし、後側壁10に対して左右の後側接着片16・16を折線L10・L11でそれぞれ直角に内折りする。次いで、底壁13に対して前後の側壁9・10を折線L1・L2でそれぞれ直角に内折りする。すると、箱本体6の左右側壁11・12において対峙する前側接着片15と後側接着片16との先端どうしが接近する。つまり、図5および図6に示すように、前側接着片15の先端と後側接着片16の先端との間の隙間36の前後幅寸法T1は、電池1の前後厚さ寸法T2よりも小さくなっている。
【0031】
次に、底壁13に対して左右の側壁11・12を折線L4・L6でそれぞれ直角に内折りする。このとき、左右の側壁11・12に配置した接着剤39によって、左右の側壁11・12に前側接着片15・15と後側接着片16・16とがそれぞれ接着固定される。つまり、前後の接着片15・16によって隣り合う側壁どうしが連結されて、箱本体6が立体状に組み立てられ、図1に示す外箱3の組み立てが完了する。
【0032】
本発明の包装容器の使用要領を説明する。まず前述の要領で組み立てられた内装部材2の底壁25上に絶縁シート5を敷き、その絶縁シート5を介して内装部材2の前後の緩衝材37・38間に前記電池群1Aを載置する(図1の状態)。この状態の内装部材2を、前述の要領で組み立てられた外箱3の箱本体6内に嵌め込み収容し、絶縁シート5の前後両端部を電池群1A上に重ねる。
【0033】
この後、外箱3の左右の内フラップ7・7を折線L5・L7で内折りし、その外側上面に蓋8を折線L3で内折りして重ねて、外箱3の箱本体6の開口上面を蓋8で閉じる。この際、差込片17を前側壁9の内側に差し込み、係合片21を内折りして係入孔19に挿入することで、蓋8によって箱本体6の上面を閉じた状態が保持される(図5参照)。この状態で外装箱に収容されたのち、輸送等が行われる。
【0034】
開梱時には、外箱3の指掛孔20に指先を入れて、係合片21を包装容器の外側に引いて、折線L13で操作部23を外側に折り曲げながら係合片21を係入孔19から抜き外す。次いで、蓋8を上開き操作することで、箱本体6の上面が開かれる。この状態で絶縁シート5の前後両端部を引っ張り上げて、電池群1Aを内装部材2から取り出す。
【0035】
このように、箱本体6の規制手段として、組み立て後の外箱3の箱本体6の左右側壁11・12において対峙する後側接着片15と前側接着片16との先端間の隙間36の前後幅寸法T1が、電池1の前後厚さ寸法T2よりも小さくなっているので、後側接着片15と前側接着片16との隙間36(図6)に電池1が入り込むことがない。したがって、輸送時に包装容器に加わった衝撃又は振動等によって、後側接着片15と前側接着片16との隙間36およびその近傍に臨む電池1が、該隙間36に入り込み、また隙間36から出ることで左右方向に動くことを防止できる。これにて前記隙間36およびその近傍に臨む電池1と、その電池1の前後に並ぶ電池1との擦れ合いを低減でき、この擦れ合いによって電池1の前後の面が傷付くこと等が抑えられる。
【0036】
図5に示すように、電池群1Aの下面側は、内装部材2の底壁25と外箱3の底壁13とで二重に受け止められ、電池群1Aの上面側は、外箱3の左右の内フラップ7・7と蓋8とで二重に受け止められる。また、図5および図6に示すように、電池群1Aの左右両側は、外箱3の前後の接着片15・16と左右の側壁11・12とで二重に受け止められ、電池群1Aの前後は、内装部材2の前後の緩衝材37・38と、外箱3の前後の側壁9・10とで受け止められる。これにて、本包装容器は外部衝撃を有効に吸収することができる。したがって、輸送等の際に加わった衝撃等から電池群1Aの各電池1を確実に保護することができる。
【0037】
(第2実施形態) 次に、本発明の第2実施形態に係る扁平角形電池の包装容器を図7ないし図10に基づいて説明する。第2実施形態では、図7および図8に示すように、左右両側の前側接着片15・15の先端の縁15a・15a、および左右両側の後側接着片16・16の先端の縁16a・16aが、それぞれ前後方向に傾けて形成されている。
【0038】
そして、外箱3を組み立てたときには、図9に示すように、前側接着片15の先端の縁15aと後側接着片16の先端の縁16aとは、平行になっていて、図9および図10に示すように、前側接着片15の縁15aと後側接着片16の縁16aとの間に前後斜め方向に伸びる隙間46を介在した状態で上下に向かい合っている。前記隙間46は、その上下方向の寸法(上下寸法)T3が、電池1の上下高さ寸法T4よりも小さくなっている。その他の点は、第1実施形態と同じであるので、同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0039】
第2実施形態では、箱本体6の規制手段として、前側接着片15の先端の縁15aと後側接着片16の先端の縁16aとの間で斜めに伸びる隙間46の上下寸法T3が、電池1の上下高さ寸法T4よりも小さくなっていることで、該隙間46に縦姿勢の電池1が入り込むことがない。したがって、輸送時の振動等によって電池1が、後側接着片15と前側接着片16との隙間46に入り込み、また隙間46から出るといった左右方向の動きを防止でき、前後に並ぶ電池1どうしの擦れ合いを低減できて、電池1の前後の面が傷付くこと等が抑えられる。
【0040】
(第3実施形態) 次に、本発明の第3実施形態に係る扁平角形電池の包装容器を図11ないし図14に基づいて説明する。第3実施形態では、図11に示すように、接着片40によって外箱3の箱本体6の隣り合う後側壁10と左側壁11とが連結される。また、箱本体6の底壁13は、前後左右の各側壁9・10・11・12の下端にそれぞれ連設された底片41・42・43・44によって、いわゆる地獄底に構成される。
【0041】
すなわち図12の展開状態において、外箱3の前側壁9の左側に右側壁12ついで後側壁10が折線L21・L22を介して順に連設され、前側壁9の右側に左側壁11ついで接着片40が折線L23・L24を介して順に連設される。前側壁9の下側には、底壁13の底片41が折線L25を介して連設され、後側壁10の下側には、底壁13の底片42が折線L26を介して連設される。左側壁11の下側には、底壁13の底片43が折線L27を介して連設され、右側壁12の下側には、底壁13の底片44が折線L28を介して連設される。
【0042】
後側壁10の上側には、蓋8ついで差込片17が折線L29・L30を介して順に連設され、左側壁11と右側壁12との上側には、内フラップ7・7が折線L31・L32を介してそれぞれ連設される。
【0043】
第3実施形態の外箱3の組み立てに際しては、前側壁9に対して左側壁11ついで後側壁10を折線L21・L22で直角に内折りするとともに、右側壁12を折線L23で直角に内折りし、接着片40を折線L24で直角に内折りして後側壁10の内面の左端に接着剤39で固定する。その際には、前記底片41〜44を各折線L25〜L28でそれぞれ直角に内折りして、上下にラップさせることにより(図13参照)、これら底片41〜44で底壁13が構成される。その他の点は、第1実施形態と同じであるので、同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0044】
第3実施形態では、箱本体6の規制手段として、隣り合う後側壁10と左側壁11とを連結する接着片40が、後側壁10の内面に固定されているので、図14に示すように、電池群1Aの左右の側面が、左右の側壁11・12の内面に確実に密着することができる。これにて輸送時の振動等によって電池1が、左右方向に動くことを防止でき、これに伴う前後に並ぶ電池1どうしの擦れ合いを低減でき、前記擦れ合いで電池1の前後の面が傷付くこと等が抑えられる。
【0045】
なお、後側壁10の内面に対して接着片40の内面が段差状に位置しているが、その後側壁10および接着片40と電池群1Aとの間には、内装部材2の後ろ側の緩衝材38が介在するために、電池群1Aの各電池1が前後にずれ動くことがない。
【0046】
第1および第2実施形態では、展開状態において前側壁9の左右両側に前側接着片15・15を連設し、後側壁10の左右両側に後側接着片16・16を連設したが、これに代えて左側壁11および右側壁12の上下両端に前側接着片15および後側接着片16をそれぞれ連設してもよい。この場合、前側接着片15・15が前側壁9の内面に固定され、後側接着片16・16が後側壁10の内面に固定される。これによっても電池群1Aの左右の側面が、左右の側壁11・12の内面に密着することができて、輸送時の衝撃等で電池1が左右方向に動くことを防止できる。第2実施形態において、前記隙間46を前後方向に、例えばクランク状に形成してもよい。
【0047】
第3実施形態では、外箱3の箱本体6は、展開状態において、右側壁12が前後の側壁9・10の間に配置され、左側壁11が前側壁9に連設されるとともに該左側壁11の自由端に接着片40が連設されているが、左側壁11が前後の側壁9・10の間に配置され、右側壁12が前側壁9又は後側壁10に連設されるとともに右側壁12の自由端に接着片40が連設されていてもよい。この場合でも、外箱3の箱本体6を組み立てる際に、接着片40を前側壁9又は後側壁10に固定することができる。
【0048】
前記説明では、電池群1Aの前後および上下を一枚の絶縁シート5で覆っているが、電池群1Aの電池1毎に絶縁シートで覆ったり、電池群1Aの電池1毎に絶縁性のシートからなる袋に収容してもよい。この各電池1を袋に収容した場合であっても、本発明の包装容器では、輸送時の振動等によって電池群1Aの電池1が袋ごと左右方向に動いて該袋が破れて、前後に並ぶ電池1どうしが擦れ合って電池1の前後の面が傷付くこと等が抑えられる。
【0049】
接着片15・16・40は、両面テープ又はステープラー等を用いて外箱3の箱本体6の側壁9・10・11・12に固定してもよい。各扁平角形電池1には、回路基板等が付設されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態に係る扁平形電池の包装容器の分解斜視図である。
【図2】第1実施形態の包装容器の内装部材の斜視図である。
【図3】第1実施形態の包装容器の外箱の展開図である。
【図4】第1実施形態の包装容器の内装部材の展開図である。
【図5】第1実施形態の包装容器の縦断側面図である。
【図6】第1実施形態の包装容器の横断平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る扁平形電池の包装容器の分解斜視図である。
【図8】第2実施形態の包装容器の外箱の展開図である。
【図9】第2実施形態の包装容器の縦断側面図である。
【図10】第2実施形態の包装容器の横断平面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る扁平形電池の包装容器の分解斜視図である。
【図12】第3実施形態の包装容器の外箱の展開図である。
【図13】第3実施形態の包装容器の縦断側面図である。
【図14】第3実施形態の包装容器の横断平面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 扁平形電池
2 内装部材
3 外箱
6 箱本体
8 蓋
9 前側壁
10 後側壁
11 左側壁
12 右側壁
13 底壁
15 前側接着片
15a 前側接着片の縁
16 後側接着片
16a 後側接着片の縁
25 底壁
34・38 緩衝材
40 接着片
46 隙間
1A 電池群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の扁平角形電池をこれの前後の扁平面どうしが対面する縦姿勢で前後に並べてなる電池群を収容する内装部材と、該内装部材を内部に収容する外箱とからなる扁平角形電池の包装容器であって、
前記内装部材は、前記電池群が載置される底壁と、前記内装部材の前後に形成される緩衝材とを有し、前記両緩衝材の間に前記電池群が配置されており、
前記外箱は、前後左右の側壁と底壁とからなっていて上面が開口する四角形の箱本体と、該箱本体の開口上面を開閉する蓋とを有し、
前記箱本体の前後左右の各側壁は、隣り合う側壁どうしの少なくとも一組が接着片を用いて連結されており、
前記内装部材の底壁に載置された前記電池群の左右の側面は、前記箱本体の左右の各側壁に直接又は前記接着片を介して臨むようになっており、
前記箱本体には、前記扁平角形電池の左右方向の移動を規制する規制手段を設けてあることを特徴とする扁平角形電池の包装容器。
【請求項2】
前記外箱の前記箱本体は、展開状態において、前記底壁の下側に前側壁が連設され、前記底壁の上側に後側壁が連設され、前記底壁の左側に左側壁が連設され、且つ前記底壁の右側に右側壁が連設されており、
前記前側壁の左右両側に前側接着片がそれぞれ連設され、且つ前記後側壁の左右両側に後側接着片がそれぞれ連設されており、
前記展開状態の前記箱本体を組み立てる際に、左右の前記前側接着片および前記後側接着片を前記左右の各側壁にそれぞれ固定しており、
前記箱本体の左右の各側壁において対峙する前記前側接着片の先端と前記後側接着片の先端との間の隙間の前後幅寸法を前記扁平角形電池の前後厚さ寸法よりも小さくなるように設定することで、前記規制手段を構成してある請求項1記載の扁平角形電池の包装容器。
【請求項3】
前記外箱の前記箱本体は、展開状態において、前記底壁の下側に前側壁が連設され、前記底壁の上側に後側壁が連設され、前記底壁の左側に左側壁が連設され、且つ前記底壁の右側に右側壁が連設されており、
前記前側壁の左右両側に前側接着片がそれぞれ連設され、且つ前記後側壁の左右両側に後側接着片がそれぞれ連設されており、
前記展開状態の前記箱本体を組み立てる際に、左右の前記前側接着片および前記後側接着片を前記左右の各側壁にそれぞれ固定しており、
前記箱本体の左右の各側壁において対峙する前記前側接着片と前記後側接着片との間の隙間の上下寸法を、前記扁平角形電池の上下高さ寸法よりも小さくなるように設定することで、前記規制手段を構成してある請求項1記載の扁平角形電池の包装容器。
【請求項4】
前記箱本体の左右の各側壁において対峙する前記前側接着片の先端の縁と前記後側接着片の先端の縁とをそれぞれ前後方向に傾けて形成して、前記隙間が前後斜め方向に伸びるようにした請求項3記載の扁平角形電池の包装容器。
【請求項5】
前記外箱の前記箱本体は、展開状態において、前後左右の側壁を左右方向に並べて連設しており、
左右の側壁のうち、一方の左右側壁が前後の側壁の間に配置されるとともに、他方の左右側壁が前後の側壁のうちの一方の前後側壁に連設されており、
前記他方の左右側壁の自由端に接着片が連設されており、
前記箱本体を組み立てる際に、前記接着片を他方の前後側壁に固定することで、前記規制手段を構成してある請求項1記載の扁平角形電池の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−6394(P2010−6394A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165694(P2008−165694)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】