説明

手すり台および手すりシステム特許願

【課題】和室等の畳敷きの部屋に手すりの支柱1点でも自立し、また畳等の床形成材の間に敷きこむことができ、高さ・幅・長さ・角度ともに自由に設置でき、手すりをつける位置も簡易に変更できる手すり部材及び手すりシステムを提供する。
【解決手段】利用者の身体状況を確認して12および13の基礎部材の種類及び配置位置を決め、それらを7の畳等の床形成材に敷きこみ、それらに8〜11の手すり棒が連結され固定されることにより、柱等のない空間上に自由に手すりを配置できるようにする。さらに、基礎部材の位置を置きかえることができるので、利用者の状況に合わせて簡便に手すりの取り付け位置を変更することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者や身体障害者等が、特に和室等の居室で室内を移動する際の支えや、床から起き上がる際の支えとなる手すりの基礎部材及び手すりシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の和室用の手すりとしては、床の上に幅広い板の上に2点の手すりが備えられているものがある。(例えば、非特許文献1参照)
また畳を挟み込んで手すりの2点が固定されているタイプのもの(例えば、特許文献1、特許文献2参照)、長椅子と手すりがくっついているものもある(例えば、特許文献3参照)。
さらには支柱を天井と床に突っ張り棒の要領で固定しそこに手すり棒を取り付けるものもある。 (例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−277109号
【特許文献2】特開2000−262572号
【特許文献3】特開2005−052586号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】矢崎化工株式会社 たちあっぷシリーズ CGA−3 http://www.kaigo-web.info/kensaku/rental/cga-3.html
【非特許文献2】DIPPERホクメイ株式会社 ベストポジションバー http://www.dipper-hokumei.co.jp/index2/index2.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の畳用の手すりは幅広い板や長椅子に手すりを固定したものを床の上においてあるだけであり、力のかける方向や持ち方が悪いと、すぐにバランスを崩して手すり自体が倒れてしまったり、手すり自体に足等をぶつけて転倒したりなど、家庭内事故による骨折等のケガの原因となっていた。
【0006】
また、畳などの床形成部材に固定されていても、直線形状の一定の長さの手すり棒しか配置できなかったり、また手すりの支柱の2点が固定されているため。手すりと手すりの連結ができず、手すりが途切れてしまっていた。
【0007】
そうであっても、手すりを必要なところに置くため同じ商品を2台以上購入したり、さらには、突っ張り棒タイプの手すりを取り付けようとして、居室内の構造躯体に強度を持たせる為に補助板を取り付けたり、天井や壁・床の交換といった改装工事を伴う場合もあり、利用者に金銭的・精神的負担をかけていた。
【0008】
そこで、本発明は、介護保険を適用可能な形状で、和室でも洋室でも、本当に利用者の必要とする「点」の場所へ簡便に手すりを配置することを目的としたものである。さらに床形成部材に対して基礎部材や手すり部材を、利用者各人ごとに合わせて自由に組み合わせることにより、畳の部屋であっても、特別な工事を行なうことなく、連結した手すりを自由にまた簡便に移動や付け外しの配置ができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、畳等の床形成部材の下部に配置されるベース部材と、床形成部材同士の間に配置される支持部材と、床形成部材の上面に出て手すりの支柱を受けるポスト部材の組み合わせにより(これらを組み合わせた製品自体を基礎部材と呼ぶ)、基礎部材と手すりの支柱一本だけであっても、単体で強度を持たせることができるようにした。
【0010】
また、支持部材の形状を直線用とコーナー用とを作成し、コーナー用基礎部材を含む複数台の基礎部材の組み合わせで、2点固定以上の手すりを作成する。そうしてX軸・Y軸方向にどのような形状や長さの手すりの組み合わせも設置可能にした。
【0011】
さらには、支持部材を手すりの支柱を受けるポスト部材の円柱状よりも、直線またはR形状にカットした上で幅を広くし表面積を増すことで、力のかかった際の曲がりに対する強度を増すことができた。そのため、どのような形状や長さの手すりの組み合わせでも、グラつきや揺れがないように手すりを取り付けることができるようにした。
【0012】
また、介護保険における福祉用具貸与の適用を可能とするだけでなく、畳等の床形成部材の下に敷き込まれるベース部材にねじ穴を切り込んでおき、床材にネジ固定することにより、介護保険における住宅改修工事としての手すりの設置として適用可能とし、支柱自体のグラつきをなくすだけでなく、利用者の経済的な負担も軽減できるようにした。
【0013】
加えて、これまでは不可能だった畳等の上に、連続した手すりを取り付けることができて、尚且つ手すりの支柱と基礎部材が床形成部材から取り外し可能なため、利用者の容態や、気分転換としての部屋の模様替え等に応じて、その都度同じ部材・形状のまま手すりの位置を変更することができる。そうして、大掛かりな工事をすることなく、基礎部材から手すり棒までを1つのシステムとして、畳等の床形成部材上に手すりを自在に設置でき、自由に連続した手すりを設けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、必要な手すり等を設置する際、介護保険内の住宅改修や、福祉用具貸与といった項目で適用でき、またこれまでのような買い替えや同じ商品を二つ購入しなくてよくなるといったように、利用者の経済的な負担も抑えることができるようになる。
【0015】
加えて、利用者の家や、居室空間を変えたり、傷をつけたりしたくないという要望にも応えることができ、精神的な負担を減らすことができる。また和室等に、手すりが本当に効果を発揮する利用者各個人にとっての点の位置で、連続した手すりを設置できるようになり、居室等家の中の空間内で、支えが途切れることなく安全に移動することができるので、転倒やケガといったことへの利用者並びに家族の不安を軽減できる。そのため利用者のADLを安定させ、自立した生活を促進することになり、利用者の生活の質の向上につながる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の手すり台システムの第1実施例
【図2】本発明の手すり台のコーナー用基礎部材平面図・側面図
【図3】本発明の手すり台の直線用基礎部材平面図・側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図3を参照しながら説明する。
【0018】
まずはじめに、利用者の身体状況・居室内外の生活動線に応じて、手すりの取り付け位置・形状並びに図1で示す手すり台の種類・配置を決定する。
【0019】
次に、基礎部材を計画図に沿い種類ごとに配置し、必要に応じて6のネジ穴にてビス固定する。そして7で示す畳等床形成材を敷きこみ配置する。
【0020】
そうして計画図に沿い手すりの支柱を2の支柱受ポスト部材に差し込み、4,5の固定用ネジ孔にて、ビス固定する。そうして8〜11の手すり棒を組み立てる。
【0021】
そうすることにより、利用者が居室等で起き上がり、立ち上がり、移動の際の支えとして、連続した手すりを和室等の畳の床であっても、縦・横・斜めと必要な任意の点の位置で利用することができる。また、部屋の配置換えや、身体状況の変化があっても、支柱を差し込むベース部材の配置を簡便に変更でき、手すり部材の付け替えといった簡単な作業だけで、手すりの形状を変化させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
これまでは、介護保険等に係る住宅改修の際、和室の場合は往々にして手すりを効果的な位置に取り付けることができず、洋室への改修や、生活スペースの変更などにより利用者側に負担かける部分が多くあった。しかし本発明により、現在の居住スペースや、生活習慣など長年培ってきたリズムを崩すことなく安全に生活することが可能になる。このことは、ADLを保つ上でとても大切であり、生活の質向上にもつながり、介護の現場で待ち望まれていることである。
【0023】
加えて、本発明は設置工事が簡便であり、買い替え等の費用も抑えることができることから、購入だけでなく、介護保険における住宅改修・福祉用具貸与という観点からも利用でき、非常に効果のあるものである。
【0024】
加えて、和室等の畳等の床形成部材は、介護の現場では使い勝手が悪く危険なものという考え方が強いが、この手すり台とシステムを用いることにより、これまで畳が敬遠されてきた短所を長所に変えることができ、日本という風土に合った部材を有効に活用することができる。そうして、介護・高齢者・身障者の方の生活空間に幅をもった選択肢を提案することが可能である。
【符号の説明】
【0025】
1・・・ベース部材
2・・・支柱受ポスト部材
3・・・支持部材
4・・・支柱固定用ネジ孔
5・・・支柱固定用ネジ孔
6・・・ベース固定用ネジ孔
7・・・畳等床形成部材
8・・・手すり棒
9・・・手すり棒
10・・手すり棒
11・・手すり棒
12・・コーナー用基礎部材
13・・直線用基礎部材



















【特許請求の範囲】
【請求項1】
手すりの基礎部材が、畳等の床形成部材の下部に敷きこまれるベース部材と、ベース部材に固定され畳等の床形成部材同士の間から立ち上がる支持部材、それにつながり固定される支柱受ポスト部材とからなることを特徴とする手すり部材及び手すりシステム。
【請求項2】
基礎部材によって支えられる手すりの支柱が、単体で強度を持って自立できることを特徴とする請求項1記載の手すり部材及び手すりシステム。
【請求項3】
基礎部材のうちポスト部材を支える支持部材が、曲線または直線でカットすることにより、ポスト部材の円筒よりも幅広く表面積をもたせることにより、あらゆる角度からの曲げの力に対する強度を持ったことを特徴とする請求項1,2記載の手すり部材及び手すりシステム。
【請求項4】
畳等の床形成部材の上の空間上に、高さ・幅・長さ・角度共に自由に手すりを設置できるようにしたことを特徴とする請求項1,2、3記載の手すり部材及び手すりシステム。
【請求項5】
畳敷きの和室等に高さ・幅共に自在な手すりを設置可能とし、尚且つ必要に応じて手すりの形状を簡便に変更することができることを特徴とする請求項1、2、3、4記載の手すり部材及び手すりシステム。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−80288(P2011−80288A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234227(P2009−234227)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(309025498)
【Fターム(参考)】