説明

手動式画像読取装置の検査装置および検査方法

【課題】手動式画像読取装置の読み取り検査における作業効率を向上させることができる検査装置および検査方法を提供する。
【解決手段】検査装置20は、マウススキャナー40を検査する複数の検査画像シート280を円周228上に配列する検査円盤220と、検査円盤220を円周228に沿って回転させるステップモーター230と、検査画像シート280を読み取り可能にマウススキャナー40を検査円盤220に配列された検査画像シート280から離して円周228上に保持する検査台240とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動式画像読取装置(マウススキャナー)を検査する検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿を読み取る画像読取装置(スキャナー)として、ハンディー方式とも呼ばれ、手動で原稿上を移動させることによって原稿を読み取る手動式画像読取装置(マウススキャナー)が知られている(特許文献1)。一般的に、手動式画像読取装置の工場出荷時や修理時には、その手動式画像読取装置が原稿を適切に読み取ることができるか否かの読み取り検査が実施される。この読み取り検査では、検査用に用意された種々の画像ごとに手動式画像読取装置を手動で位置合わせをして実際に画像を読み取り、これによって得られた画像データを評価する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−345074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、手動式画像読取装置の読み取り検査について十分な検討がなされていなかった。
【0005】
本発明は、上記した課題を踏まえ、手動式画像読取装置の読み取り検査における作業効率を向上させることができる検査装置および検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1] 適用例1の検査装置は、原稿を読み取る手動式画像読取装置を検査する検査装置であって、前記手動式画像読取装置を検査する複数の検査画像を円周上に配列する検査円盤と、前記検査円盤を前記円周に沿って回転させる円盤回転部と、前記検査画像を読み取り可能に前記手動式画像読取装置を前記検査円盤に配列された検査画像から離して前記円周上に保持する保持部とを備えることを特徴とする。適用例1の検査装置によれば、検査円盤を回転させることによって複数の検査画像の各々に手動式画像読取装置を対面させることができるため、手動式画像読取装置の読み取り検査における作業効率を向上させることができる。
【0008】
[適用例2] 適用例1の検査装置は、更に、前記円盤回転部による前記検査円盤の回転を制御することによって、前記装置保持部に保持された前記手動式画像読取装置に前記複数の検査画像の各々を対面させる回転制御部と、前記回転制御部による前記検査円盤の回転に同期して、前記手動式画像読取装置に対面する検査画像を読み取った画像データを前記手動式画像読取装置から取得する画像取得部と、前記画像取得部によって取得された画像データに基づいて前記手動式画像読取装置を診断する診断部とを備えても良い。適用例2の検査装置によれば、複数の検査画像の各々について、手動式画像読取装置に対する位置合わせから、画像データの取得、手動式画像読取装置の診断までの一連の作業を検査装置で行うことができるため、手動式画像読取装置の読み取り検査における作業効率を更に向上させることができる。
【0009】
[適用例3] 適用例1または適用例2の検査装置において、前記保持部は、前記検査画像を読み取り可能に複数の手動式画像読取装置を前記検査円盤に配列された検査画像から離して前記円周上に配列して保持しても良い。適用例3の検査装置によれば、複数の手動式画像読取装置を一度に検査することができるため、手動式画像読取装置の読み取り検査における作業効率を更に向上させることができる。
【0010】
[適用例4] 適用例1ないし適用例3のいずれかの検査装置において、前記複数の検査画像は、(a)白色および黒色にそれぞれ塗り潰された二つの検査画像、(b)等間隔に複数の平行線がそれぞれ異なる角度で描かれた複数の検査画像、(c)白黒の市松模様が描かれた検査画像、(d)赤色,緑色,青色にそれぞれ塗り潰された三つの検査画像の少なくとも一つを含むとしても良い。適用例4の検査装置によれば、(a)の検査画像を含む場合には、手動式画像読取装置によって読み取られた画像データの明るさを検査することができ、(b)の検査画像を含む場合には、手動式画像読取装置によって読み取られた画像データにおける画素欠損を検査することができ、(c)の検査画像を含む場合には、手動式画像読取装置によって読み取られた画像データにおける拡大誤差を検査することができ、(d)の検査画像を含む場合には、手動式画像読取装置によって読み取られた画像データの色味を検査することができる。
【0011】
[適用例5] 適用例5の検査方法は、原稿を読み取る手動式画像読取装置を検査する検査方法であって、前記手動式画像読取装置を検査する複数の検査画像を検査円盤の円周上に配列する工程と、前記検査画像を読み取り可能に前記手動式画像読取装置を前記検査円盤に配列された検査画像から離して前記円周上に保持する工程と、前記手動式画像読取装置を保持した状態で、前記検査円盤を前記円周に沿って回転させることによって、前記複数の検査画像の各々を前記手動式画像読取装置に対面させる工程と、前記検査円盤の回転に同期して、前記手動式画像読取装置に対面する検査画像を読み取った画像データを前記手動式画像読取装置から取得する工程と、前記画像データに基づいて前記手動式画像読取装置を診断する工程とを備えることを特徴とする。適用例5の検査方法によれば、検査円盤を回転させることによって複数の検査画像の各々に手動式画像読取装置を対面させることができるため、手動式画像読取装置の読み取り検査における作業効率を向上させることができる。
【0012】
本発明の形態は、検査装置や検査方法に限るものではなく、検査装置を制御する制御装置、検査装置を制御するプログラムなど他の形態に適用することもできる。また、本発明は、前述の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】検査システムの外観構成を示す説明図である。
【図2】検査装置の検査円盤を主に示す説明図である。
【図3】検査システムの電気的な構成を示す説明図である。
【図4】検査システムのパーソナルコンピューターが実行する読み取り検査処理を示すフローチャートである。
【図5】他の実施形態における検査円盤および検査台を主に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以上説明した本発明の構成および作用を一層明らかにするために、以下本発明を適用した検査システムについて説明する。
【0015】
A.実施例:
A1.検査システムの構成:
図1は、検査システム10の外観構成を示す説明図である。検査システム10は、手動式画像読取装置であるマウススキャナー40の読み取り機能を検査するシステムである。本実施例では、検査システム10は、検査の対象機器であるマウススキャナー40を検査する検査装置20と、マウススキャナー40の検査を制御するパーソナルコンピューター30とを備える。
【0016】
検査システム10の検査装置20は、基台210と、検査円盤220と、ステップモーター230と、検査台240と、クランプ250と、位置検出部260とを備える。
【0017】
検査装置20の基台210は、検査装置20を構成する各部の荷重を受け持つ基礎構造体である。本実施例では、基台210は、矩形状に成形された金属製の板材である。
【0018】
検査装置20の検査円盤220は、検査画像シート280を保持する複数の凹部223が形成された上面222を備える円盤である。本実施例では、検査円盤220は、中央に貫通孔が空いた金属製の環状円盤であり、検査円盤220の外周面には、ステップモーター230に噛み合う歯車224が形成されている。検査画像シート280は、マウススキャナー40を検査する検査画像が描かれた薄板であり、本実施例では、矩形状に成形された合成樹脂製の薄板である。検査円盤220の凹部223は、検査画像シート280と略同じ形状に上面222から窪む平面を有する。
【0019】
図2は、検査装置20の検査円盤220を主に示す説明図である。図2では、検査円盤220を上面222から見た上面図が図示されている。図2には、検査装置20の検査台240が破線を用いて図示され、検査台240によって保持されたマウススキャナー40が一点鎖線を用いて図示されている。マウススキャナー40は、原稿を撮像する撮像部430を備え、図2には、撮像部430が一点鎖線を用いて図示されている。
【0020】
マウススキャナー40の撮像部430は、原稿に光を照射して原稿における矩形状の領域を撮像する撮像装置であり、図2には、撮像部430によって撮像可能な矩形状の撮像領域に、右上がりのハッチングが施されている。本実施例では、撮像部430は、640列×480行に配列された複数のフォトダイオードを有するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサーを備え、マウススキャナー40の中央部に設けられている。
【0021】
図2に示すように、検査円盤220の上面222には、複数の凹部223が円周228に沿って略均等な間隔で配設され、複数の検査画像シート280は、複数の凹部223の各々にそれぞれ保持されることによって円周228上に配列される。本実施例では、検査画像シート280が配列される円周228は、検査円盤220の外周と同心円である。本実施例では、検査画像シート280は、マウススキャナー40の撮像部430よりも大きな矩形状である。
【0022】
本実施例の説明では、検査画像シートを一般的に示す場合には、「280」の符号を用い、検査画像シートを個別に示す場合には、「280」の後に英文字や数字を付加した符号を用いる。例えば、図2に示す例では、検査円盤220には12個の検査画像シート280が円周228上に配列され、これらの検査画像シートを個別に示す場合には、図2において検査台240に重なり合う位置にある検査画像シートから左回りの順に、「280a1」、「280a2」、「280b1」、「280b2」、「280b3」、「280b4」、「280c」、「280d1」、「280d2」、「280d3」、「280e1」「280e2」の符号を用いる。
【0023】
検査画像シート280a1,280a2は、マウススキャナー40によって読み取られた画像データの明るさを検査する検査画像を有する。本実施例では、検査画像シート280a1は、白色に塗り潰された検査画像を有し、検査画像シート280a2は、黒色に塗り潰された検査画像を有する。
【0024】
検査画像シート280b1,280b2,280b3,280b4は、マウススキャナー40によって読み取られた画像データの画素欠損を検査する検査画像を有する。本実施例では、検査画像シート280b1,280b2,280b3,280b4は、等間隔に複数の平行線がそれぞれ異なる角度で描かれた検査画像を有する。
【0025】
検査画像シート280cは、マウススキャナー40によって読み取られた画像データにおける拡大誤差を検査する検査画像を有し、本実施例では、白黒の市松模様が描かれた検査画像を有する。
【0026】
検査画像シート280d1,280d2,280d3は、マウススキャナー40によって読み取られた画像データの色味を検査する検査画像を有する。本実施例では、検査画像シート280d1は、赤色に塗り潰された検査画像を有し、検査画像シート280d2は、緑色に塗り潰された検査画像を有し、検査画像シート280d3は、青色に塗り潰された検査画像を有する。
【0027】
検査画像シート280e1は、クロスハッチングが描かれた検査画像を有する。検査画像シート280e2は、検査画像シート280a1と同様に、白色に塗り潰された検査画像を有する。
【0028】
図1の説明に戻り、検査装置20のステップモーター230は、検査円盤220を円周228に沿って回転させる円盤回転部として機能する。本実施例では、ステップモーター230は、検査円盤220の歯車224に噛み合うことによって回転動力を検査円盤220に伝達する駆動歯車234を備える。本実施例では、ステップモーター230は、パーソナルコンピューター30からの制御信号に基づいて回転動力を発生させる。
【0029】
検査装置20の検査台240は、検査円盤220に配列された検査画像シート280から離して検査画像シート280を読み取り可能にマウススキャナー40を円周228上に保持する保持部として機能する。図2に示すように、本実施例では、検査台240は、検査円盤220の上面222の上方において、マウススキャナー40の撮像部430を検査円盤220に投影した矩形領域の図心が円周228上に略重なり合う位置にマウススキャナー40を位置決めする。
【0030】
検査装置20のクランプ250は、検査台240にマウススキャナー40に押し付けることによってマウススキャナー40を検査台240に固定する。
【0031】
検査装置20の位置検出部260は、検査円盤220の回転位置を検出する。本実施例では、位置検出部260は、検査円盤220の下方に設けられ、検査円盤220にレーザー光を照射し、その反射光の強度に基づいて回転位置を検出する光学式の位置検出装置である。本実施例では、位置検出部260は、パーソナルコンピューター30に電気的に接続され、回転位置を示す検出信号をパーソナルコンピューター30に出力する。
【0032】
図3は、検査システム10の電気的な構成を示す説明図である。検査システム10のパーソナルコンピューター30は、回転制御部312と、画像取得部314と、診断部316と、機器インターフェース380とを備える。
【0033】
パーソナルコンピューター30の機器インターフェース380は、検査装置20およびマウススキャナー40と電気的に接続する。本実施例では、機器インターフェース380は、検査装置20の位置検出部260から検出信号の入力を受け付け、検査装置20のステップモーター230に制御信号を出力する。本実施例では、機器インターフェース380は、マウススキャナー40と接続するインターフェースとして、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したインターフェースを備える。
【0034】
パーソナルコンピューター30の回転制御部312は、検査装置20の位置検出部260によって検出された回転位置に基づいてステップモーター230による検査円盤220の回転を制御することによって、検査台240に保持されたマウススキャナー40に複数の検査画像シート280の各々を対面させる。
【0035】
パーソナルコンピューター30の画像取得部314は、回転制御部312による検査円盤220の回転に同期して、マウススキャナー40に対面する検査画像シート280を読み取った画像データをマウススキャナー40から取得する。
【0036】
パーソナルコンピューター30の診断部316は、画像取得部314によって取得された画像データに基づいてマウススキャナー40を診断する。
【0037】
本実施例では、パーソナルコンピューター30における回転制御部312、画像取得部314、診断部316の各機能は、プログラムに基づいてセントラルプロセッシングユニット(Central Processing Unit、以下、「CPU」と呼ぶ)が動作することによって実現されるが、他の実施形態において、パーソナルコンピューター30の電子回路がその物理的な回路構成に基づいて動作することによって、パーソナルコンピューター30の機能の少なくとも一つが実現されても良い。
【0038】
検査対象であるマウススキャナー40は、撮像部430の他、制御部410と、位置検出部420と、メモリー470と、機器インターフェース480と、操作受付部490とを備える。
【0039】
マウススキャナー40の制御部410は、マウススキャナー40の各部を制御する。マウススキャナー40の位置検出部420は、原稿にレーザー光を照射し、その反射光の強度に基づいて位置を検出する光学式の位置検出装置である。マウススキャナー40のメモリー470は、不揮発性メモリーであり、マウススキャナー40を校正する校正値を記憶する。
【0040】
マウススキャナー40の機器インターフェース480は、本実施例では、USB規格に準拠したインターフェースであり、マウススキャナー40と協働して原稿の読み取りを行うコンピューターと電気的に接続する。マウススキャナー40の操作受付部490は、マウススキャナー40を操作するユーザーからの操作入力を受け付けるユーザーインターフェースであり、本実施例では、押しボタンやスクロールボタンを含む。
【0041】
A2.検査システムの動作:
図4は、検査システム10のパーソナルコンピューター30が実行する読み取り検査処理(ステップS10)を示すフローチャートである。本実施例では、マウススキャナー40を検査する作業者から指示入力を受け付けると、パーソナルコンピューター30は、読み取り検査処理(ステップS10)を開始する。
【0042】
読み取り検査処理(ステップS10)を開始すると、パーソナルコンピューター30は、検査装置20における検査円盤220を図2に示した基準位置に移動させ、マウススキャナー40の位置検出部420から出力される信号に基づいて、マウススキャナー40が検査装置20に適切に取り付けられていることを確認する(ステップS100)。
【0043】
マウススキャナー40の取り付けを確認した後(ステップS100)、パーソナルコンピューター30は、検査円盤220に配列された複数の検査画像シート280のうちの一つを検査画像として選択する(ステップS200)。本実施例では、パーソナルコンピューター30は、最初に、検査画像シート280a1を選択し、その後、左回りに、検査画像シート280a2,280b1,280b2,・・・,280d3を順に選択する。本実施例では、パーソナルコンピューター30は、検査画像シート280e1,280e2については検査画像から除外するが、他の実施形態において、複数の検査画像シート280の全てを検査画像として選択しても良い。
【0044】
検査画像として検査画像シート280を選択した後(ステップS200)、パーソナルコンピューター30は、回転制御部312として動作することによって、検査画像に選択された検査画像シート280がマウススキャナー40に対面するように検査円盤220を回転させる(ステップS300)。
【0045】
検査円盤220を回転させた後(ステップS300)、パーソナルコンピューター30は、画像取得部314として動作することによって、検査画像に選択された検査画像シート280に対面するマウススキャナー40の撮像部430によって撮像された画像データを取得する(ステップS400)。
【0046】
検査画像に選択された検査画像シート280を読み取った画像データを取得した後(ステップS400)、パーソナルコンピューター30は、診断部316として動作することによって、マウススキャナー40から取得した画像データに基づいて、マウススキャナー40の読み取り機能を診断する(ステップS500)。
【0047】
マウススキャナー40の診断結果が正常である場合(ステップS602:「YES」)、パーソナルコンピューター30は、複数の検査画像シート280のうち選択の対象となる全ての検査画像を選択し終えるまで、検査画像の選択(ステップS200)からの処理を繰り返し実行する(ステップS604:「NO」)。
【0048】
検査画像に選択された検査画像シート280に基づく診断の全てが正常である場合(ステップS604:「YES」)、パーソナルコンピューター30は、合格処理(ステップS702)を実行する。合格処理(ステップS702)において、パーソナルコンピューター30は、検査対象であるマウススキャナー40が読み取り検査に合格である旨を作業者に報知する。
【0049】
他方、検査画像に選択された検査画像シート280に基づく診断のいずれか一つが異常である場合(ステップS602:「NO」)、パーソナルコンピューター30は、不合格処理(ステップS704)を実行する。不合格処理(ステップS704)において、パーソナルコンピューター30は、検査対象であるマウススキャナー40が読み取り検査に不合格である旨を作業者に報知する。
【0050】
合格処理(ステップS702)および不合格処理(ステップS704)の後、パーソナルコンピューター30は、読み取り検査処理(ステップS10)を終了する。
【0051】
A3.効果:
以上説明した検査装置20によれば、検査円盤220を回転させることによって複数の検査画像シート280の各々にマウススキャナー40を対面させることができるため、マウススキャナー40の読み取り検査における作業効率を向上させることができる。
【0052】
また、回転制御部312、画像取得部314、診断部316の各機能を備えるパーソナルコンピューター30を用いることによって、複数の検査画像シート280の各々について、マウススキャナー40に対する位置合わせから、画像データの取得、マウススキャナー40の診断までの一連の作業をパーソナルコンピューター30で行うことができるため、マウススキャナー40の読み取り検査における作業効率を更に向上させることができる。
【0053】
B.その他の実施形態:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
【0054】
例えば、本実施例では、ステップモーター230による検査円盤220の回転をパーソナルコンピューター30によって制御したが、他の実施形態において、検査円盤220の回転を手動で行っても良い。
【0055】
また、本実施例では、パーソナルコンピューター30を用いて検査装置20およびマウススキャナー40を制御したが、他の実施形態において、検査装置20が、回転制御部312、画像取得部314、診断部316、機器インターフェース380に相当する各種の機能要素を備えるとしても良い。
【0056】
また、本実施例では、マウススキャナー40を固定した状態で検査円盤220を回転させることによって、マウススキャナー40と検査円盤220との間の位置関係を相対的に移動させたが、他の実施形態において、検査円盤220を固定した状態でマウススキャナー40を移動させても良いし、マウススキャナー40および検査円盤220の両方を移動させても良い。
【0057】
また、本実施例では、検査装置20の検査台240は、一つのマウススキャナー40を保持するとしたが、他の実施形態において、複数のマウススキャナー40を保持しても良い。図5は、他の実施形態における検査円盤220および検査台240を主に示す説明図である。図5に示す例では、検査台240は、三つのマウススキャナー40を円周228に沿って略均等な間隔で配列して保持する。これによって、複数のマウススキャナー40を一度に検査することができるため、マウススキャナー40の読み取り検査における作業効率を更に向上させることができる。
【0058】
また、本実施例では、位置検出部260は、検査円盤220の回転位置を検出するセンサーであり、位置検出部260によって検出された回転位置に基づいてステップモーター230による検査円盤220の回転を制御するが、他の実施形態において、位置検出部260は、検査円盤220のホームポジション(定位置)を検出するセンサーであり、位置検出部260によって検出されるホームポジションを基準にしたオープンループ制御を実施することによって、検査円盤220の回転を制御しても良い。
【符号の説明】
【0059】
10…検査システム
20…検査装置
30…パーソナルコンピューター
40…マウススキャナー
210…基台
220…検査円盤
222…上面
223…凹部
224…歯車
228…円周
230…ステップモーター
234…駆動歯車
240…検査台
250…クランプ
260…位置検出部
280…検査画像シート
280a1−2,280b1−4,280c,280d1−2,280e1−2…検査画像シート
312…回転制御部
314…画像取得部
316…診断部
380…機器インターフェース
410…制御部
420…位置検出部
430…撮像部
470…メモリー
480…機器インターフェース
490…操作受付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取る手動式画像読取装置を検査する検査装置であって、
前記手動式画像読取装置を検査する複数の検査画像を円周上に配列する検査円盤と、
前記検査円盤を前記円周に沿って回転させる円盤回転部と、
前記検査画像を読み取り可能に前記手動式画像読取装置を前記検査円盤に配列された検査画像から離して前記円周上に保持する保持部と
を備える検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置であって、更に、
前記円盤回転部による前記検査円盤の回転を制御することによって、前記装置保持部に保持された前記手動式画像読取装置に前記複数の検査画像の各々を対面させる回転制御部と、
前記回転制御部による前記検査円盤の回転に同期して、前記手動式画像読取装置に対面する検査画像を読み取った画像データを前記手動式画像読取装置から取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得された画像データに基づいて前記手動式画像読取装置を診断する診断部と
を備える検査装置。
【請求項3】
前記保持部は、前記検査画像を読み取り可能に複数の手動式画像読取装置を前記検査円盤に配列された検査画像から離して前記円周上に配列して保持する請求項1または請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の検査装置であって、
前記複数の検査画像は、
(a)白色および黒色にそれぞれ塗り潰された二つの検査画像、
(b)等間隔に複数の平行線がそれぞれ異なる角度で描かれた複数の検査画像、
(c)白黒の市松模様が描かれた検査画像、
(d)赤色,緑色,青色にそれぞれ塗り潰された三つの検査画像
の少なくとも一つを含む、検査装置。
【請求項5】
原稿を読み取る手動式画像読取装置を検査する検査方法であって、
前記手動式画像読取装置を検査する複数の検査画像を検査円盤の円周上に配列する工程と、
前記検査画像を読み取り可能に前記手動式画像読取装置を前記検査円盤に配列された検査画像から離して前記円周上に保持する工程と、
前記手動式画像読取装置を保持した状態で、前記検査円盤を前記円周に沿って回転させることによって、前記複数の検査画像の各々を前記手動式画像読取装置に対面させる工程と、
前記検査円盤の回転に同期して、前記手動式画像読取装置に対面する検査画像を読み取った画像データを前記手動式画像読取装置から取得する工程と、
前記画像データに基づいて前記手動式画像読取装置を診断する工程と
を備える検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−262505(P2010−262505A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113390(P2009−113390)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】