説明

投射型表示装置

光変調器で形成される画像を投射レンズにより拡大投射表示する投射型表示装置。光源は、前記光変調器を照明する。第1レンズアレイは、光源から発せられた光を複数の部分光束に分割する。第2レンズアレイは、第1レンズアレイから発せられた複数の部分光束を光変調器に重畳する。絞り機構は、絞り機構光源と光変調器との間に配置され、光源からの光量を調節する。光源から発せられた光の進行方向をZ軸とし、Z軸に対して垂直な方向をX軸、Z軸とX軸のなす平面に対して垂直な方向をY軸とする。そのとき、絞り機構の開口部の面積は、X軸方またはY軸方向のいずれか一方向に沿って変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は投射照度が調節可能な投射型表示装置に関する。
【背景技術】
近年、DVDの普及やデジタルハイビジョン放送の開始などにより、家庭で高画質な映像コンテンツを手軽に楽しめる環境が整ってきた。このことにより、大画面ディスプレイの需要が急増している。特に液晶プロジェクターに代表される投射型表示装置は、プラズマディスプレイパネル(PDP)など他の方式に比べて安価で、より大きな画面サイズで、ユーザーは映像を楽しむことができる。したがって、この投射型表示装置は、ホームシアター用として普及しつつある。
投射型表示装置の高画質化の取り組みとして、映像の明るさに応じてランプの光量を調節することで高いダイナミックレンジを実現する方法が考案されている。(例えば、特開2001−100699号公報参照)
図13は、従来の液晶プロジェクターを上方から見たときの光学レイアウトを示す。
光源であるランプ150から発せられた光は、第1レンズアレイ151によって複数の部分光束に分割され、第2レンズアレイ152を介して偏光変換素子153に入射する。偏光変換素子153によって各部分光束は偏光方向を揃えられて直線偏光となり、絞り機構165を透過した後、重畳レンズ154に入射する。
ダイクロイックミラー156Rは、赤色成分の光のみを反射し、その他の光を透過する。ダイクロイックミラー156Gは、緑色成分の光のみを反射し、その他の光を透過する。
重畳レンズ154から出た光は、ダイクロイックミラー156Rで赤色の光“R”が反射分離される。ダイクロイックミラー56Rを透過した光は、ダイクロイックミラー56Gで緑色の光“G”が反射されて分離されて、青色の光“B”が透過する。
赤色の光は、全反射ミラー157Rで反射した後、フィールドレンズ159Rを透過して、液晶パネル155Rに到達する。
緑色の光“G”は、フィールドレンズ159Gを透過して液晶パネル155Gに到達する。
青色の光“B”は、リレーレンズ158Baを透過し,全反射ミラー157Baで反射されて、さらにリレーレンズ158Bbを透過する。その後、青色の光“B”は、全反射ミラー157Bbで反射されて、フィールドレンズ159Bを透過し、液晶パネル155Bに到達する。ここで、液晶パネル155R、155G、155Bは光変調器の一種として働く。
液晶パネル155R、155G、155Bを透過した3色の光は、クロスプリズム160で合成され、投射レンズ161を介して投射される。
矢印162は、合成された光の投射される方向を示す。
図14は、一般的な絞り機構165を示す。
ランプから発せられた光束は、光束が通過する部分168を通り、絞り羽166が形成する開口部167を通過する。
絞り機構165は、複数の絞り羽166から構成されており、モーターなどの駆動手段(図示せず)によって連続的に開口部167の面積を変化さてランプ150の光量を調節する。明るい映像の時は開口部167の面積が大きく、暗い映像の時は開口部167の面積が小さくなるように映像の明るさに同期させてモーターが駆動される。このことにより、高いダイナミックレンジが実現される。
以上に説明した従来の投射型表示装置では、絞り羽を収納するスペースが必要となる。そのスペースは、ランプからの光束部分が占める部分よりも大きくなり、装置の小型化を困難にさせる。また、多数の絞り羽が必要となるため部品点数が多くなり、コストが高くなる傾向がある。絞り機構の代わりに位相板や偏光板を利用することも可能であるが、同様にコストが高く現実的ではない。
【発明の開示】
本発明の光変調器で形成される画像を投射レンズにより拡大投射表示する投射型表示装置は、次のように構成されている。
光源は、前記光変調器を照明する。第1レンズアレイは、光源から発せられた光を複数の部分光束に分割する。第2レンズアレイは、第1レンズアレイから発せられた複数の部分光束を光変調器に重畳する。絞り機構は、絞り機構光源と光変調器との間に配置され、光源からの光量を調節する。
ここで、光源から発せられた光の進行方向をZ軸とし、Z軸に対して垂直な方向をX軸、Z軸とX軸のなす平面に対して垂直な方向をY軸とする。そのとき、絞り機構の開口部の面積は、X軸方またはY軸方向のいずれか一方向に沿って変化する。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施の形態における液晶プロジェクターの光学レイアウトを示す。
図2A、Bは、本発明の実施の形態における絞り機構を示す。
図3は、第2レンズアレイと投射映像を示す。
図4は、第1、第2レンズアレイから構成されるインテグレータ照明系の概念図である。
図5A、Bは、本発明の実施の形態における第2レンズアレイ遮光状態と投射映像を示す。
図6は、絞り機構による第2レンズアレイの各レンズセルの遮光状態と投射映像との関係を示す。
図7A、Bは、本発明の実施の形態における異なる絞り羽形状による第2レンズアレイ遮光状態と投射映像を示す。
図8A、Bは、本発明の実施の形態における異なる絞り羽形状による第2レンズアレイ遮光状態と投射映像を示す。
図9A、Bは、第2レンズアレイ遮光状態と投射映像を示す。
図10A、B、Cは、第2レンズアレイ遮光状態を示す。
図11Aは、本発明の実施の形態においてもう一つの形態の絞り機構を用いた液晶プロジェクターの光学レイアウト図である。
図11Bは、本発明の実施の形態におけるもう一つの絞り機構周辺の側面図である。
図12は、本発明の実施の形態におけるもう一つの絞り機構の斜視図である。
図13は、従来の液晶プロジェクターの光学レイアウトを示す。
図14は、従来の絞り機構を示す。
図面の参照符号の一覧表
1、20 絞り機構
11a、11b、11c、11d、21a、21b 絞り羽
12 フレーム
13 開口部
13x 開口部中心位置の高さ
14a、14b、14c、14d、22a、22b ギア
15 モーター
16 モーターコントローラー
17 明るさ検出装置
50 ランプ
51 第1レンズアレイ
52 第2レンズアレイ
53 偏光変換素子
54 重畳レンズ
55R、55G、55B 液晶パネル
56R、56G ダイクロイックミラー
57R、57Ba,57Bb 全反射ミラー
58Ba、58Bb リレーレンズ
59R、59G、59B フィールドレンズ
60 クロスプリズム
61 投射レンズ
【発明を実施するための最良の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態における液晶プロジェクターを上方から見たときの光学レイアウトを示す。
光源であるランプ50から発せられた光は、第1レンズアレイ51によって複数の部分光束に分割され、第2レンズアレイ52を介して偏光変換素子53に入射する。偏光変換素子53によって各部分光束は偏光方向を揃えられて直線偏光となり、絞り機構65を透過した後、重畳レンズ54に入射する。
ダイクロイックミラー56Rは、赤色成分の光“R”のみを反射し、その他の光を透過する。ダイクロイックミラー56Gは、緑色成分の光“G”のみを反射し、その他の光を透過する。
重畳レンズ54から出た光は、ダイクロイックミラー56Rで赤色の光“R”が反射されて分離される。ダイクロイックミラー56Rを透過した光は、ダイクロイックミラー56Gで緑色の光“G”が反射されて分離されて、青色の光“B”が透過する。
赤色の光“R”は、全反射ミラー57Rで反射した後、フィールドレンズ59Rを透過して、液晶パネル55Rに到達する。
緑色の光“G”は、フィールドレンズ59Gを透過して液晶パネル55Gに到達する。
青色の光“B”は、リレーレンズ58Baを透過して、全反射ミラー57Baで反射される。さらに、青色の光“B”は、リレーレンズ58Bbを透過して、全反射ミラー57Bbで反射されて、フィールドレンズ59Bを透過し、液晶パネル55Bに到達する。ここで、液晶パネル55R、55G、55Bは、光変調器の一種として働く。
液晶パネル55R、55G、55Bを透過した3色の光は、クロスプリズム60で合成され、投射レンズ61を介して投射される。矢印62は、合成された光の投射される方向を示す。
絞り機構1は、第1レンズアレイ51と第2レンズアレイ52の間に配置されている。ランプ50から発せられた光の進行方向は、Z軸に沿っている。絞り機構1の左右方向はX軸に沿っている。
図2A、図2Bは、絞り機構1をランプ50側からZ軸方向に見た正面図を示す。X軸は左右方向、Y軸が上下方向を示す。
絞り羽11a、11bは、フレーム12に保持されて、開口部13を形成する。
図2Aは絞りが開放された状態を示す。
図2Bは絞りが絞られたときの状態を示す。
絞り羽11a、11bは、ギア14a、14b、14c、14dにより連動して移動する。ギア14cにはモーター15が連結されている。モーター15を駆動すること、で絞り羽11a、11bは、同じ移動量で上下方向に移動する。このとき、開口部13は、中心位置の高さ(図中13x)を基準に上下対象な形状を保ちながら開口部13の面積を変化させる。明るさ検出装置17は、投射する映像の明るさを検出する。明るさ検出装置17は、入力された映像信号からフレームの輝度情報を検出し、そのフレームの輝度の平均値を演算して、モーター15の回転角度の制御信号をモーターコントローラー16に送出する。
モーターコントローラー16は、受けた制御信号に基づいて、モーター15を駆動し、絞り羽を所定の位置へ移動する。明るい映像を投射するときは、開口部13の面積を大きく、暗い映像を投射するときは開口部13の面積を小さくなるように絞り羽11a、11bは、モーター15で駆動される。このことで大きなダイナミックレンジが実現される。
図3は第2レンズアレイ52の正面図と投射映像を示す。
第2レンズアレイ52は、縦8個、横6個のセルに分割され、各セルはレンズによって構成される。第1レンズアレイ51も同じ数のセルに分割された複数のレンズにより構成されている。セルの形状は横長の長方形形状をし、投射映像とほぼ相似関係にある。図3に示された第2レンズアレイ52は、絞り機構1によって遮光されていない状態であり、明るく均一な投射映像が得られる。
図4は、第1レンズアレイ51と第2レンズアレイ52から構成されたインテグレータ照明系の概念図を示す。
尚、図をわかりやすくするために、図1のランプ50から液晶パネル55までが赤色(R)系で代表されている。また絞り機構1,偏光変換素子53,重畳レンズ54、ダイクロイックミラー56(R)、全反射ミラー57(R)が省略されている。
反射鏡を持つランプ50からの出射光分布は、第1レンズアレイ51前では、図4に示すように周辺が暗い。このままで液晶パネル55が照明されると、投射画面も周辺が非常に暗くなる。これに対処するために、図4に示すインテグレータ照明系が採用され、投射画面の照度の均一性を向上させている。インテグレータは、多数のレンズから構成されている。
図4に示すように、第1レンズアレイ51は、反射鏡50からの出射光を、複数の部分光束に分割し、第2レンズアレイ52上の各レンズに、この出射光分布の強度に応じた光源像を形成する。この各レンズの多数の光源が、それぞれ液晶パネル55の全面を重畳して照明することにより、液晶パネル面上の照度の均一性を向上させている。
図4において、点線と矢印は、光とその方向を模式的に示す。
次に絞り羽の形状と投射映像の関係について説明する。
図5A、Bは絞り機構1による第2レンズアレイ52の遮光状態とその時の投射映像を示す。
図5Aは絞り量が小さい状態、図5Bは絞り量が大きい状態を、それぞれ示している。
絞り羽11a、11bの形状は、絞り羽11a、11bで遮光される第2レンズアレイ52の各セルの遮光面積が異なる面積を含むようにするために、それらの各セルに対応する位置での端部の位置が異なる。
図6は、絞り機構1による第2レンズアレイ52の各レンズセルの遮光状態と、その状態のときの投射映像との関係を示す。
第2レンズアレイ52上の各レンズセルに形成された多数の光源像それぞれが液晶パネル55を重畳して照明することにより、液晶パネル上の照度の均一性を向上させている。
図6の例では、下記のように液晶パネル上の照度が均一になる。
レンズセル201は、液晶パネルの上側の2/3を照明し、下側の1/3は遮光されている。レンズセル202は、液晶パネルの上側の1/3を照明し、下側の2/3は遮光される。レンズセル203は全面が遮光される。
ここで、液晶パネルに相当する長方形211、212、213は、それぞれ、液晶パネルがレンズセル201、レンズセル202、レンズセル203に照明されている状態を模式的に表す。したがって、長方形211、212、213は、投射映像も模式的に示す。
同様にレンズセル206は、液晶パネルの上側の2/3を照明し、上側の1/3は遮光される。レンズセル205は、液晶パネルの上側の1/3を照明し、下側の2/3は遮光されている。レンズセル204は全面が遮光される。
したがって、レンズセル201とレンズセル245の組み合わせで液晶パネルの全面が照光される。同様に、レンズセル202とレンズセル246の組み合わせで液晶パネルの全面が照光される。レンズセル203と204の組み合わせは液晶パネルを照光しない。
同様にして、レンズセル241とレンズセル205の組み合わせで液晶パネルの全面が照光される。同様に、レンズセル242とレンズセル206の組み合わせで液晶パネルの全面が照光される。レンズセル243と244の組み合わせは液晶パネルを照光しない。
こうして、遮光された光量だけ均一に照度が低下して、液晶パネル55は均一に照明されることがわかる。
また、液晶パネル上での、セルによって、遮光された暗い部分と明るい部分の境界の位置が異なるため、投射された映像において、各セルの明暗の境界が目立ちにくい。
以上、図6を用いて、図5のように一組の絞り羽11a、11bがある場合について説明した。この説明から明らかなように、絞り羽11aと11bのうちの一つだけを有する絞り機構が使用された場合でも、遮光された光量だけ均一に照度が低下して、液晶パネル55は均一に照明されることがわかる。また、このときも、投射された映像において、各セルの明暗の境界が目立ちにくい。
また、絞り機構1が第1レンズアレイ51と光源50との間にある場合も、上述の説明で、第2レンズアレイ52を第1レンズアレイ51に置き換えれば、同じ説明ができる。したがって、絞り機構1は、第1レンズアレイ51と光源50との間にあってもよい。
さらに絞り量を大きくした図5Bにおいても、図6についての説明したのと同様にして、遮光された光量だけ均一に照度が低下して、液晶パネル55は均一に照明される。こうして、投射映像の品質を損なうことなく均一に照度が、図5Aに対してさらに低下する。
図7Aは、図5とは異なる絞り羽形状の絞り機構1による第2レンズアレイ52の遮光状態とその時の投射映像を示す。
形状は異なっても、図6の説明したのと同様にして、液晶パネル55は均一に照明され、従って遮光された光量だけ投射面内は均一に照度が低下する。
さらに絞り量を大きくした図7Bにおいても、同様に投射映像の品質を損なうことなく均一に照度が図7Aに対してさらに低下する。
図8Aは、図5A、B、図7A、Bとは別の異なる絞り羽形状の絞り機構1による第2レンズアレイ52の遮光状態とその時の投射映像を示す。
同じく、形状は異なっても、図6の説明したのと同様にして、液晶パネル55は均一に照明され、遮光された光量だけ投射面内は均一に照度が低下する。
さらに絞り量を大きくした図8Bにおいても同様に投射映像の品質を損なうことなく均一に照度が図8Aに対してさらに低下する。
図5A、B、図7A、B、図8A、Bに示される形状の絞り歯の場合に、絞り量が変化しているときには、液晶パネル55が、均一に照明されないことがあるが、その場合でも、ほぼ均一に照明されている。
さらに、ほぼ均一に照明されている場合でも、液晶パネル上での、セルによって、遮光された暗い部分と明るい部分の境界の位置が異なるため、投射された映像において、各セルの明暗の境界が目立ちにくい。
次に各セルの遮光面積が等しくなる場合について説明する。
図9A,Bに遮光された第2レンズアレイ正面図とその時の投射映像を示す。図9Aは絞り量が小さい状態、図9Bは絞り量が大きい状態をそれぞれ示している。
図9A、Bにおいて絞り羽11c、11dの形状が直線で形成されている。このような形状の場合、第2レンズアレイの各セルが遮光する面積が等しくなり、各セルでの明暗の境界が重畳されてできる投射映像で一致する。そのため、図A,B中の矢印301,302,303,304の位置に明るさむらが発生する。とくに絞り量を、たとえば、図9Aから図9Bに変化させた時、絞り羽11c、11dの位置に応じて投射映像の明るさむらの位置が移動するため投射映像の品質が著しく低下する。
以上のように、図5A,B,図7A,B、図8A,Bに示したように、絞り羽11a、11bを、第2レンズアレイの各セルが遮光される面積が、異なる面積を含むような形状にすることで、絞り量が変化している間でも投射面内で、ほぼ均一に照度が変化する。したがって投射映像の明るさが連続的に変化する場合であっても、自然な映像で高いダイナミックレンジを得ることが可能である。
尚、絞り羽の形状は、図5A,B,図7A,B、図8A,Bに示す形状に限らない。絞り羽の遮光部分の面積が変化するに従って投射映像の明るさが連続的且つ均一に変化するような形状であればよい。
また、図5A,B、図7A,B、図8A,Bの例では、絞り羽11a、11bの形状は、直線からなる階段状の形状である。例えば、図5A,B、図7A,B、図8A,Bの絞り羽形状に対応して、図10A、B,Cに示すような絞り羽の形状が、なめらかな曲線で構成されてもよい。各セルの遮光面積が異なる面積を含むような形状で、且つ投射面内で、ほぼ均一に照度を低下させることができれば、このような曲線を組み合わせた形状で、絞り羽を構成してもよい。
また、図5A,B、図7A,B、図8A,B、図10A,B,Cにおいて、絞り羽11a、11bは開口部13が上下左右対称となる形状が示したが、上下左右非対称でもよい。また、先に説明したように1枚構成の絞り羽であってもよい。しかしながらダイクロイックミラー56G、56Rには反射波長の入射角度依存があり、上下左右非対称にすると投射映像に若干の色むらが起きやすくなる。そのため、上下左右対称、もしくは開口部の中心を基準とした点対称となる形状が好ましい。
また、本実施の形態では、絞り機構1が、第1レンズアレイ51と第2レンズアレイ52の間に配置された場合について説明をした。
絞り機構1が第1レンズアレイ51と光源50との間にある場合も、上述の説明で、第2レンズアレイ52を第1レンズアレイ51に置き換えれば、同じ説明ができる。したがって、絞り機構1は、第1レンズアレイ51と光源50との間にあってもよい。
また、同様の効果が得られればランプ50から液晶パネル55R,G,Bまでの光路のいずれかの位置に、1組または複数の絞り機構が配置されても良い。
次に、もう一つの形態の絞り機構を用いた場合について説明する。
図11Aは、この場合の液晶プロジェクターの上方から見た光学レイアウトを示す。
図11Aにおいて、先に説明した図1における絞り機構1のかわりに、絞り機構20が、第1レンズアレイ51と第2レンズアレイ52の間に配置されている。この点を除いて、図11Aの示す液晶プロジェクターを構成する要素と同一符号を付された要素の働きは、図1に示される要素の働きと同じである。
図11Bは、絞り機構20周辺の側面図である。
図12は絞り機構20の斜視図である。
図11Bと図12において、絞り羽21a、21bは、ギア22a、22bによって連結されており、モーター(図示せず)によって連動して揺動する。ギア22a、22bのギア比は1:1に設定されており、絞り羽21aと21bは、それぞれ、矢印351、352の示すように上下対照に揺動する。
図12は絞りを開放した状態を示している。
図12に示される矢印351、352の方向に、絞り羽21a、21bは、開閉動作をおこなうことでランプ50から発せられた光束の一部を遮光する。
絞り羽21a、21bの形状は、図4に示した絞り羽11a、11bと同様に第2レンズアレイの各セルの遮光面積が異なるように階段状の形状とされる。こうすることで実施の形態1と同様に投射映像の品質を損なうことなく、投射面内の明るさを均一に調節することが可能である。
先に述べた、絞り機構は、ランプ光路の外側に絞り羽を格納するスペースが必要とし、絞り機構が大きくなる。これに対して、ここで説明する方式では絞り羽21a、21bを第1、第2レンズアレイの間に収めることができ、さらに省スペース化に有効である。
絞り羽11、21は、高反射率の素材(たとえば光輝アルミ)もしくは表面に反射率の高いクロムなどの材料でメッキを施した素材を用いて形成されるのが好ましい。この場合、絞り羽11、21は、ランプ50からの光を反射する。したがって、絞り機構1または20の駆動部への熱伝達が防がれる。こうして、絞り機構と駆動部の温度上昇が抑制される。
絞り機構1、20を駆動するモーターに使用されるマグネットは、高温では減磁して性能が低下する。そのため、駆動部の動作温度を低くすることにより、モーターの安定した駆動性能が得られる。さらに、動作温度を低くすることにより、安価なマグネットを使用したモーターでも十分な駆動性能が得られるので、低コスト化を図ることもできる。
また絞り機構1、20を駆動するモーターにはボイスコイルモーターを用いるのが好ましい。ボイスコイルモーターは1/30msecの応答速度が十分に得られ、動画の輝度変動に追従することができる。また、ボイスコイルモーターは、絞り羽の停止位置を無段階で調節できる。そのため、動画品質を損なうことなく高いダイナミックレンジが達成される。
本発明の実施の形態において液晶プロジェクターを用いて説明した。しかし、レンズアレイを用いてランプ光束を均一化する方式を採用した投射型表示装置であれば、マイクロミラーを使用したプロジェクターであっても、本発明が適用できる。
【産業上の利用可能性】
本発明においては、1組の絞り羽で構成された単純な絞り機構を用いることで小型化されて低コストの投射型表示装置が得られる。さらに、本発明の投射型表示装置は、高いダイナミックレンジを得ることができる。したがって、本発明の投射型表示装置は、投射照度を調節可能な投射型表示装置等として有用である。
【図1】


【図3】

【図4】


【図6】






【図12】

【図13】

【図14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光変調器で形成される画像を投射レンズにより拡大投射表示する投射型表示装置であって、
前記光変調器を照明する光源と、
前記光源から発せられた光を複数の部分光束に分割する第1レンズアレイと、
前記第1レンズアレイから発せられた前記複数の部分光束を前記光変調器に重畳する第2レンズアレイと、
前記光源と前記光変調器との間に配置され、前記光源からの光量を調節する絞り機構と
を含み、
前記光源から発せられた光の進行方向をZ軸とし、Z軸に対して垂直な方向をX軸、Z軸とX軸のなす平面に対して垂直な方向をY軸とするとき、
前記絞り機構の開口部の面積は、X軸方またはY軸方向のいずれか一方向に沿って変化する
投射型表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の投射型表示装置であって、
前記第1レンズアレイと前記第2レンズアレイの間に光量を調節する絞り機構が配置されている
投射型表示装置。
【請求項3】
請求項1記載の投射型表示装置であって、
前記光変調器で形成される画像は長方形の形状をなし、前記画像の長方形の短辺方向と前記Y軸が一致し、前記絞り機構の開口部の面積は、前記Y軸方向に沿って変化する
投射型表示装置。
【請求項4】
請求項1記載の投射型表示装置であって、
前記開口部の中心は、絞り量が変化する間、
同じ位置にある
投射型表示装置。
【請求項5】
請求項4記載の投射型表示装置であって、
前記開口部の形状は、前記開口部の中心について点対照な形状である
投射型表示装置。
【請求項6】
請求項1記載の投射型表示装置であって、
前記絞り機構は、1枚の絞り羽または、前記Y軸方向に間隔をもって配置された1組の絞り羽を含み、
前記1枚の絞り羽または、前記1組の絞り羽のそれぞれの、前記開口側部分が前記第1レンズアレイもしくは第2レンズアレイに含まれるそれぞれの複数レンズを遮光するそれぞれの面積が、異なる面積を含む
投射型表示装置。
【請求項7】
請求項6記載の投射型表示装置であって、
前記1枚または、前記1組の絞り羽のそれぞれは、端辺を中心に回動する
投射型表示装置。
【請求項8】
請求項6記載の投射型表示装置であって、前記1枚または、前記1組の絞り羽のそれぞれは高い反射率の素材である
投射型表示装置。
【請求項9】
請求項6記載の投射型表示装置であって、さらに、
投射する映像の明るさを検出する検出部と、
前記1枚または、前記1組の絞り羽のそれぞれを駆動する駆動部と、
を含み、
検出された投射映像の明るさに基づいて、前記1枚または、前記1組の絞り羽のそれぞれの位置を決定するように前記1枚または、前記1組の絞り羽のそれぞれを駆動する
投射型表示装置。
【請求項10】
請求項9記載の投射型表示装置であって、
前記駆動部は、ボイスコイルモーターを用いる
投射型表示装置。

【国際公開番号】WO2005/026835
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【発行日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513811(P2005−513811)
【国際出願番号】PCT/JP2004/007897
【国際出願日】平成16年6月1日(2004.6.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】