説明

投票用紙交付機

【課題】内部に残存していた投票用紙の計数作業の容易化を図ることができる投票用紙交付機の提供。
【解決手段】装填部13に装填された投票用紙Pを搬送する繰出搬送部14と、搬送中の投票用紙を検知する検知部15と、単送が検知された投票用紙Pを取出可能に繰り出す機外繰出部38と、重送が検知された投票用紙Pを収納するリジェクト収納部39と、投票用紙Pを機外繰出部38とリジェクト収納部39とに振り分ける振分部40とを有し、回収操作が入力されると、装填部13に残存する投票用紙Pを繰出搬送部14で分離して搬送し、検知部15で重送を検知した投票用紙Pを振分部40でリジェクト収納部39に振り分ける一方、検知部15で単送を検知した投票用紙Pを計数して振分部40で機外繰出部38に振り分けるとともに、検知部15の計数結果を表示手段に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選挙用の投票用紙交付機に関する。
【背景技術】
【0002】
選挙用の投票用紙を確実に一枚ずつ分離して交付するために投票用紙交付機を用いることがある。この投票用紙交付機には、投票者の男女別の性別ボタンが操作されることで投票用紙を一枚ずつ繰り出すとともに、男女別の投票数を計数するもの(例えば、特許文献1参照)や、投票用紙の男女別および男女合計の交付率(投票率)や、時間帯別の交付済み枚数(投票数)、時間帯別の交付率(投票率)等を集計して出力できるようにしたもの(例えば、特許文献2参照)がある。
【特許文献1】特公平7−25428号公報
【特許文献2】特許3265376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、投票用紙は厳正な管理が必要であることから、投票終了後に、使用されなかった投票用紙の残数を確認することが行われている。そして、上記した投票用紙交付機についても、内部に残存していた投票用紙を計数する必要があり、通常、投票用紙交付機から投票用紙を取り出して手作業で計数している。しかしながら、手作業での計数は、枚数が多くなればなるほど、多大な労力が必要となってしまう。
【0004】
したがって、本発明は、内部に残存していた投票用紙の計数作業の容易化を図ることができる投票用紙交付機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、投票用紙が集積状態で装填される装填部と、該装填部に装填された投票用紙を分離して繰り出し搬送する繰出搬送部と、該繰出搬送部で搬送中の投票用紙を検知する検知部と、該検知部で単送が検知された投票用紙を取出可能に繰り出す機外繰出部と、前記検知部で重送が検知された投票用紙を収納するリジェクト収納部と、前記繰出搬送部で搬送される投票用紙を前記検知部の検知結果に基づいて前記機外繰出部と前記リジェクト収納部とに振り分ける振分部とを有する投票用紙交付機であって、回収指示手段と表示手段と回収部とを有し、前記回収指示手段に回収操作が入力されると、前記装填部に残存する投票用紙を前記繰出搬送部で分離して搬送し、前記検知部で重送を検知した投票用紙を前記振分部で前記リジェクト収納部に振り分ける一方、前記検知部で単送を検知した投票用紙を計数して前記振分部で前記回収部に振り分けるとともに、前記検知部の計数結果を前記表示手段に表示することを特徴としている。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記回収部は、投票用紙を複数枚保持可能に構成された前記機外繰出部であり、前記回収指示手段に回収操作が入力されると、前記装填部に残存する投票用紙を前記繰出搬送部で分離して搬送し前記検知部で単送を検知した投票用紙を計数して前記振分部で前記回収部に振り分けるとともに所定枚数の投票用紙を前記回収部に繰り出すと前記繰出搬送部を一旦停止させる所定枚数繰出動作を行い、前記回収部から投票用紙が取り出されたことを検知すると、再び、前記所定枚数繰出動作を行うことを特徴としている。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記回収部は、投票用紙を上方に向けて送り出すローラ対と、該ローラ対の一方の回転軸に一体に支持され、前記ローラ対から送り出される投票用紙の下端部を側方に寄せる羽根車と、該羽根車で寄せられた投票用紙の下端部を支持する支持部とを有することを特徴としている。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記回収部は、前記機外繰出部および前記リジェクト収納部とは別に設けられた回収収納部であることを特徴としている。
【0009】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、前記回収指示手段に回収操作が入力されると、それまで前記検知部で単送を検知した投票用紙を計数していた交付用カウンタとは別の回収用カウンタにて前記検知部で単送を検知した投票用紙を計数することを特徴としている。
【0010】
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明において、内蔵または外部接続されたプリンタに、前記交付用カウンタおよび前記回収用カウンタの各計数データを出力可能であることを特徴としている。
【0011】
請求項7に係る発明は、請求項5または6に係る発明において、装填枚数データ入力手段と、該装填枚数データ入力手段に入力された装填枚数データを記憶する装填枚数記憶手段とを有し、該装填枚数記憶手段に記憶された装填枚数データから前記交付用カウンタの計数データおよび前記回収用カウンタの計数データを減算したリジェクト枚数データを算出して出力可能であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、回収指示手段に回収操作が入力されると、装填部に残存する投票用紙を繰出搬送部で分離して搬送し、検知部で重送を検知した投票用紙を振分部でリジェクト収納部に振り分ける一方、検知部で単送を検知した投票用紙を計数して振分部で回収部に振り分けるとともに、検知部の計数結果を表示手段に表示することになるため、内部に残存していた投票用紙のうち回収部に送られる投票用紙の数を自動で計数して表示できる。よって、この計数データに、リジェクト収納部に収納された投票用紙を手作業で計数した計数データを加算すれば、内部に残存していた投票用紙の数を計数できる。したがって、内部に残存していた投票用紙の計数作業の容易化を図ることができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、回収指示手段に回収操作が入力されると、装填部に残存する投票用紙を繰出搬送部で分離して搬送し検知部で単送を検知した投票用紙を計数して振分部で回収部である機外繰出部に振り分けるとともに所定枚数の投票用紙を回収部である機外繰出部に繰り出すと繰出搬送部を一旦停止させる所定枚数繰出動作を行い、回収部である機外繰出部から投票用紙が取り出されたことを検知すると、再び、前記所定枚数繰出動作を行う。このように所定枚数繰出動作を適宜繰り返すことによって、内部に残存していた投票用紙を計数することになる。このように、交付時に一枚の投票用紙を繰り出す機外繰出部に、保持可能な所定の複数枚の投票用紙を繰り出すことを繰り返すことによって、機外繰出部を残数計数時の投票用紙の回収部として利用できる。したがって、コスト増を抑制することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、回収部である機外繰出部が、ローラ対が投票用紙を上方に向けて送り出すと、ローラ対の一方の回転軸に一体に支持された羽根車が、ローラ対から送り出された投票用紙の下端部を側方に寄せることになり、これを支持部で支持することになる。このようにすることで、交付時に一枚の投票用紙を繰り出すことと残数計数時に所定の複数枚の投票用紙を保持することとの両方に対応でき、その上で、回収部で生じるジャムを防止することができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、回収部は、機外繰出部およびリジェクト収納部とは別に設けられた回収収納部であるため、回収作業がさらに容易になる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、回収指示手段に回収操作が入力されると、それまで検知部で単送を検知した投票用紙を計数していた交付用カウンタとは別の回収用カウンタにて、検知部で単送を検知した投票用紙を計数するため、誤計数を防止することができる。
【0017】
請求項6に係る発明によれば、交付用カウンタおよび回収用カウンタの各計数データをプリンタに出力することで、印字データとして記録を残すことができる。
【0018】
請求項7に係る発明によれば、装填枚数データ入力手段に入力され装填枚数記憶手段に記憶された装填枚数データから交付用カウンタの計数データおよび回収用カウンタの計数データを減算したリジェクト枚数データを算出して出力することになるため、リジェクト収納部の投票用紙の手作業による計数データと容易に照合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の第1実施形態の投票用紙交付機を図1〜図3を参照して以下に説明する。
【0020】
図1に示すように、第1実施形態の投票用紙交付機11は、機体の下部に設けられて投票用紙Pが上下に集積された状態で装填される装填部13と、装填部13に装填された投票用紙Pを上端のものから一枚ずつ分離して繰り出し搬送する繰出搬送部14と、繰出搬送部14で搬送中の投票用紙Pを検知する繰出検知部(検知部)15と、操作者に対して表示を行うとともに操作者による操作入力を受け付けるタッチパネル式の図2に示す表示操作部(回収指示手段,表示手段,装填枚数データ入力手段)12と、制御部16と、記憶部(装填枚数記憶手段)17とを有している。
【0021】
図1に示すように、装填部13は、投票用紙Pが上下に集積された状態で載置される昇降可能な載置台20と、この載置台20を上方に付勢する図示略のスプリングとを有しており、投票用紙Pの量に応じて載置台20が昇降する。装填部13には、発光素子21aおよび受光素子21bを有する透過型光学センサからなる装填用紙残留検知部21が設けられている。この装填用紙残留検知部21は、受光素子21bの受光レベルが高い状態では投票用紙Pが装填部13にないことを検知する一方、受光素子21bの受光が投票用紙Pで遮られ受光レベルが下がることで投票用紙Pが装填部13にあることを検知する。装填部13には、機体前部に設けられた開閉部22が開放されて投票用紙Pが機外から装填される。
【0022】
繰出搬送部14は、載置台20に載置され図示略のスプリングで上向きに押された投票用紙Pの上端のものの中間部に上側から当接する蹴出ローラ25と、蹴出ローラ25による投票用紙Pの蹴り出し方向前方に設けられて蹴り出された投票用紙Pをさらに繰り出す繰出ローラ26と、繰出ローラ26の下側に設けられて蹴出ローラ25により蹴り出された投票用紙Pを繰出ローラ26との間で一枚ずつに分離する分離ローラ27とを有している。なお、蹴出ローラ25は外周の一部が高摩擦部25Aとされ残りの部分が低摩擦部25Bとされており、高摩擦部25Aで投票用紙を繰出ローラ26および分離ローラ27間に蹴り出すと、その後は低摩擦部25Bが投票用紙Pに接触して投票用紙Pに搬送力を付与せず、繰出ローラ26および分離ローラ27間の投票用紙Pがこれらで引き出される。このとき、分離ローラ27は停止していて蹴り出された投票用紙Pが複数ある場合に、下側の投票用紙Pを停止させることになり、基本的には最上位置の投票用紙Pのみが繰出ローラ26で繰り出される。
【0023】
繰出搬送部14は、蹴出ローラ25、繰出ローラ26および分離ローラ27によって装填部13から側方に繰り出された投票用紙Pを上向きに湾曲状に案内する第1経路31と、この第1経路31の端末位置からさらに上方に投票用紙Pを案内する第2経路32と、第1経路31の端末位置から装填部13の上側に向けて湾曲状に投票用紙Pを案内する第3経路33とを有しており、第1経路31には、投票用紙Pを搬送するための搬送ローラ34,35が設けられている。
【0024】
繰出検知部15は、繰出搬送部14の第1経路31を介して両側に対向配置された発光素子15aおよび受光素子15bからなる透過型光学センサである。繰出検知部15は、発光素子15aからの発光を受光素子15bで受光することになり、この受光素子15bの受光レベルが、第1経路31を移動する投票用紙Pで遮られて低下することで、投票用紙Pがあることを検知するとともに、その際の受光素子15bの受光レベル(言い換えれば投票用紙Pによる遮光レベル)の大小から投票用紙Pが一枚だけ送られる単送であるか、投票用紙Pが複数枚重なって送られる重送であるかを判定する。
【0025】
また、投票用紙交付機11は、繰出搬送部14の第2経路32の端末位置に設けられて第2経路32で案内されてきた投票用紙Pを取出可能に繰り出す機外繰出部38(回収部)と、繰出搬送部14の第3経路33の端末位置に設けられて第3経路33で案内されてきた投票用紙Pを装填部13の上方位置で収納するリジェクト収納部39と、繰出搬送部14の第1経路31で搬送される投票用紙Pを、繰出検知部15の検知結果に基づいて第2経路32および第3経路33に選択的に振り分ける振分部40とを有している。
【0026】
振分部40は、ソレノイドで駆動される揺動ガイド式のもので、繰出検知部15で単送が検知された投票用紙Pを第2経路32に案内して機外繰出部38に振り分ける一方、繰出検知部15で重送が検知された投票用紙Pを第3経路33に案内してリジェクト収納部39に振り分ける。振分部40は、通常は投票用紙Pを第2経路32に案内する状態となっており、駆動されると投票用紙Pを第3経路33に案内する状態になる。
【0027】
リジェクト収納部39は、第3経路33の端末位置に設けられて投票用紙Pをリジェクト収納部39内に向けて側方に送り出すローラ43およびローラ44を有している。リジェクト収納部39は、繰出搬送部14の第3経路33で搬送される投票用紙P、つまり繰出検知部15で重送が検知された投票用紙Pを交付することなく収納するもので、第3経路33から放出された投票用紙Pを下から上に集積させて収納する。リジェクト収納部39には、発光素子41aおよび受光素子41bを有する透過型光学センサからなるリジェクト用紙残留検知部41が設けられている。このリジェクト用紙残留検知部41は、受光素子41bの受光レベルが高い状態では投票用紙Pがリジェクト収納部39にないことを検知する一方、受光素子41bの受光が投票用紙Pで遮られ受光レベルが下がることで投票用紙Pがリジェクト収納部39にあることを検知する。リジェクト収納部39に収納された投票用紙Pは、機体上部の開閉部42が開放されて、機外に取り出される。
【0028】
機外繰出部38は、第2経路32の端末位置に設けられて投票用紙Pを上方に向けて送り出すローラ45およびローラ46を有するローラ対47と、ローラ対47を構成する一方のローラ45の回転軸45aに一体に支持され、ローラ対47から送り出される投票用紙Pの下端部を他方のローラ46とは反対の側方に寄せる羽根車48とを有している。そして、機外繰出部38は、他方のローラ46側に鉛直方向に送うガイド壁部50が設けられ、一方のローラ45側には、羽根車48で寄せられた投票用紙Pの下端部を支持する水平に沿う下端支持部51と、下端支持部51のローラ対47とは反対側の端部から上側ほどガイド壁部50に近接するように傾斜して延出する傾斜部52と、傾斜部52の上端からガイド壁部50と平行をなして上方に延出する鉛直部53とを有する収容壁部54が設けられている。
【0029】
収容壁部54の下端支持部51と傾斜部52とで形成される空間がローラ対47から送り出されて羽根車48で寄せられた投票用紙Pの下端部を複数枚分、ローラ対47から離間させた状態で収容する収容空間55となっている。ここで、ガイド壁部50とこれに最も近接する収容壁部54の鉛直部53との間が、下端支持部51で支持された投票用紙Pの上端を突出させる取出口56となっており、この取出口56は、一枚の投票用紙Pを立てた状態で保持可能であり、かつ所定の複数枚の投票用紙Pを立てた状態で保持可能な大きさに形成されている。以上により、機外繰出部38は投票用紙Pを複数枚保持可能に構成されている。機外繰出部38には、発光素子57aおよび受光素子57bを有する透過型光学センサからなる繰出用紙残留検知部57が設けられている。この繰出用紙残留検知部57は、受光素子57bの受光レベルが高い状態では投票用紙Pが機外繰出部38にないことを検知する一方、受光素子57bの受光が投票用紙Pで遮られ受光レベルが下がることで投票用紙Pが機外繰出部38にあることを検知する。
【0030】
また、投票用紙交付機11には、図2に示すように、表示操作部12とは別に男性用交付ボタン60および女性用交付ボタン61がそれぞれ設けられており、さらに用紙に印字可能なプリンタ62が内蔵されている。
【0031】
次に、投票用紙交付機11の作動について説明する。
電源がオンされた直後の初期状態で、制御部16は、繰出検知部15、装填用紙残留検知部21、リジェクト用紙残留検知部41および繰出用紙残留検知部57のいずれも投票用紙Pを検知していない状態にあるか否かを確認し、いずれかが投票用紙Pを検知している状態にあると、表示操作部12に、投票用紙Pを取り除くように促す表示を表示させて待機する。なお、制御部16は、計数用の複数のカウンタを有しており、電源オン時にはすべてのカウンタが0にリセットされている。
【0032】
繰出検知部15、装填用紙残留検知部21、リジェクト用紙残留検知部41および繰出用紙残留検知部57のいずれも投票用紙Pを検知していない状態にあると、制御部16は、表示操作部12に、投票用紙Pの装填枚数データの入力を促す表示を表示させる。これを見て操作者が、投票用紙Pの装填枚数データを入力すると、制御部16は、これを記憶部17に記憶させるとともに、装填部13への投票用紙Pの装填を促す表示を表示させる。これを見て操作者が、開閉部22を開けて装填部13の装填台20を下げ、装填台20と蹴出ローラ25との間に投票用紙Pを集積状態で装填して、開閉部22を閉じる。
【0033】
制御部16は、装填用紙残留検知部21が投票用紙Pを検知する状態となると、投票用紙Pの交付が可能になった旨の表示を表示操作部12に表示させて待機状態となる。
【0034】
待機状態になってから、例えば、男性用交付ボタン60が操作されると、制御部16は、繰出搬送部14を駆動する。すると、蹴出ローラ25が高摩擦部25Aで装填部13の最上位置の投票用紙Pを繰出ローラ26および分離ローラ27間に蹴り出し、繰出ローラ26および分離ローラ27が、蹴り出された投票用紙Pを分離し引き出して送り出す。すると、繰出検知部15が投票用紙Pを検知するとともに単送か重送であるかを検知する。単送である場合には、制御部16が、男性交付用カウンタを1加算し総合交付用カウンタを1加算するとともに、この単送の投票用紙Pを、搬送ローラ34,35および振分部40によって第2経路32を介して機外繰出部38に搬送する。すると、この投票用紙Pは、機外繰出部38のローラ対47から上方に放出され、上端部が取出口56から突出するとともに、下端部が羽根車48で側方に寄せられて下端支持部51で支持される。
【0035】
なお、繰出検知部15による投票用紙Pの検知に基づくタイミングで、制御部16は、蹴出ローラ25、繰出ローラ26および分離ローラ27が一枚分の投票用紙Pを下流側に送り出したと判断すると、これらを停止させる。また、制御部16は、繰出検知部15による投票用紙Pの検知に基づくタイミングで、機外繰出部38に投票用紙Pを繰り出したと判断すると、搬送ローラ34,35、ローラ43,44,45,46を停止させる。繰出用紙残留検知部57で投票用紙Pの機外繰出部38からの取り出しが検知されると、制御部16は、今回の男性用交付ボタン60の操作に基づく一枚の投票用紙Pの交付が終了したと判断し待機状態に戻る。
【0036】
ここで、上記において、繰出検知部15が投票用紙Pの重送を検知すると、制御部16は、男性交付用カウンタおよび総合交付用カウンタを加算することなく、振分部40を駆動して切り替える。そして、繰出ローラ26および分離ローラ27から繰り出された投票用紙Pを、搬送ローラ34,35および振分部40によって第3経路33を介してリジェクト収納部39に搬送し、ローラ43,44でリジェクト収納部39内に放出させる。このとき、制御部16は、蹴出ローラ25、繰出ローラ26および分離ローラ27を停止させずに次の投票用紙Pを繰り出させることになり、重送が検知される限り、投票用紙Pをリジェクト収納部39に搬送する。他方、単送が検知されると、制御部16は、振分部40の駆動を停止して切り替え、男性交付用カウンタを1加算し総合交付用カウンタを1加算する。以後、上記と同様にして、繰出ローラ26および分離ローラ27から繰り出された単送の投票用紙Pを、搬送ローラ34,35および振分部40によって第2経路32を介して機外繰出部38に繰り出す。
【0037】
なお、待機状態から、女性用交付ボタン61が操作されると、制御部16は、装填部13から繰り出された投票用紙Pが単送である場合に女性交付用カウンタを1加算し総合交付用カウンタを1加算する以外は、上記と同様にして投票用紙Pを交付する。
【0038】
投票用紙Pの交付によって、機外繰出部38に繰り出された投票用紙Pの総枚数が、総合交付用カウンタの計数データとなり、男性用交付ボタン60が操作されて機外繰出部38に繰り出された投票用紙Pの総枚数が、男性交付用カウンタの計数データとなり、女性用交付ボタン61が操作されて機外繰出部38に繰り出された投票用紙Pの総枚数が、女性交付用カウンタの計数データとなる。
【0039】
ここで、待機状態にあるときに表示操作部12では、機内の投票用紙Pを回収する回収動作が選択可能となっており、この回収動作を選択する回収操作が入力されると、制御部16は、まず、男性交付用カウンタ、女性交付用カウンタおよび総合交付用カウンタを書き換え不可にロックし、これらとは別の回収用カウンタのロックを解除する。そして、装填部13に残存する投票用紙Pを所定枚数ずつ機外繰出部38に繰り出す所定枚数繰出動作を適宜繰り返すことになる。
【0040】
つまり、制御部16は、所定枚数繰出動作の開始に当たって、繰出搬送部14を駆動し、装填部13に残存する投票用紙Pの最上位置の投票用紙Pを、蹴出ローラ25、繰出ローラ26および分離ローラ27で送り出す。そして、繰出検知部15が投票用紙Pを検知するとともに単送か重送であるかを検知し、単送である場合には、制御部16が回収用カウンタを1加算する(つまり、繰出検知部15で単送を検知した投票用紙Pを計数する)とともに、この単送の投票用紙Pを、搬送ローラ34,35および振分部40によって第2経路32を介して機外繰出部38に搬送する。すると、この投票用紙Pは、機外繰出部38のローラ対47から上方に放出され、上端部が取出口56から突出するとともに、下端部が羽根車48で側方に寄せられて下端支持部51で支持される。他方、繰出検知部15が投票用紙Pの重送を検知すると、制御部16は、回収用カウンタを加算することなく、振分部40を駆動して切り替えることにより、繰出検知部15で重送を検知したこの投票用紙Pを、搬送ローラ34,35および振分部40によって第3経路33を介してリジェクト収納部39に搬送する。
【0041】
なお、所定枚数繰出動作では、制御部16は、蹴出ローラ25、繰出ローラ26、分離ローラ27、搬送ローラ34,35、ローラ43〜46を停止させずに、装填部13に残存する投票用紙Pを分離し順次間隔をあけて搬送することになり、単送の投票用紙Pが、順次、機外繰出部38のローラ対47から上方に放出され、下端部が羽根車48で側方に寄せられてこの方向に集積される。そして、制御部16は、繰出検知部15により予め設定された所定の複数枚(例えば30枚)の単送の投票用紙Pの最後の一枚を検知すると、この検知に基づくタイミングで、蹴出ローラ25、繰出ローラ26および分離ローラ27がこの最後の単送の投票用紙Pを下流側に送り出したと判断すると、これらを一旦停止させ、繰出検知部15によるこの最後の単送の投票用紙Pの検知に基づくタイミングで、この投票用紙Pを機外繰出部38に繰り出したと判断すると、搬送ローラ34,35、ローラ43,44,45,46を一旦停止させるとともに、表示操作部12に投票用紙Pの取り出しを促す表示を表示させる。以上で、所定枚数の投票用紙Pを機外繰出部38に繰り出す所定枚数繰出動作が終了する。これにより、図3に示すように、予め設定された所定の複数枚の投票用紙Pが機外繰出部38の下端支持部51で支持され横方向に集積された状態となる。
【0042】
繰出用紙残留検知部57が、機外繰出部38から投票用紙Pが取り出されたことを検知すると、制御部16は、繰出搬送部14の駆動を開始して、上記した所定枚数繰出動作を再び行う。
【0043】
そして、所定枚数繰出動作を適宜繰り返すことで、装填用紙残留検知部21により装填部13に残存する投票用紙Pが検知されなくなると、制御部16は、繰出検知部15による全体最後の投票用紙Pの検知に基づくタイミングで、蹴出ローラ25、繰出ローラ26および分離ローラ27がこの全体最後の投票用紙Pを下流側に送り出したと判断すると、これらを停止させ、繰出検知部15によるこの全体最後の投票用紙Pの検知に基づくタイミングで、この全体最後の投票用紙Pを機外繰出部38およびリジェクト収納部39の対応するものに繰り出したと判断すると、搬送ローラ34,35、ローラ43,44,45,46を停止させる。そして、制御部16は、男性交付用カウンタの計数データ、女性交付用カウンタの計数データ、総合交付用カウンタの計数データおよび回収用カウンタの計数データを表示操作部12に表示させる。加えて、制御部16は、記憶部17に記憶された装填枚数データから総合交付用カウンタの計数データおよび回収用カウンタの計数データを減算してリジェクト枚数データを算出し、このリジェクト枚数データを表示操作部12に表示させる。
【0044】
その後、操作者は、開閉部42を開いて、リジェクト収納部39にリジェクトされた投票用紙Pを手作業で計数することになり、この計数データと上記したリジェクト枚数データとが一致するか否かを照合する。
【0045】
また、表示操作部12は、上記した各データの表示とともに、これらのデータを用紙に印字するための印字ボタンを表示させており、この印字ボタンが押圧操作されると、制御部16は、男性交付用カウンタの計数データ、女性交付用カウンタの計数データ、総合交付用カウンタの計数データ、回収用カウンタの計数データおよびリジェクト枚数データを日付および投票用紙交付機11の個別の識別番号とともにプリンタ62に出力し、プリンタ62によりこれらのデータを用紙に印字させる。なお、プリンタ62は投票用紙交付機11に必ずしも内蔵されている必要はなく、外部接続されるものであっても良い。
【0046】
以上に述べた第1実施形態の投票用紙交付機11によれば、表示操作部12に回収操作が入力されると、装填部13に残存する投票用紙Pを繰出搬送部14で分離して搬送し、繰出検知部15で重送を検知した投票用紙Pを振分部40でリジェクト収納部39に振り分ける一方、繰出検知部15で単送を検知した投票用紙Pを計数して振分部40で機外繰出部38に振り分けるとともに、繰出検知部15の計数結果を表示操作部12に表示することになるため、内部に残存していた投票用紙Pのうち機外繰出部38に送られる投票用紙Pの数を自動で計数して表示できる。よって、この計数データに、リジェクト収納部39に収納された投票用紙Pを手作業で計数した計数データを加算すれば、内部に残存していた投票用紙Pの数を計数できる。したがって、内部に残存していた投票用紙Pの計数作業の容易化を図ることができる。
【0047】
また、表示操作部12に回収操作が入力されると、装填部13に残存する投票用紙Pを繰出搬送部14で分離して搬送し繰出検知部15で単送を検知した投票用紙Pを計数して振分部40で機外繰出部38に振り分けるとともに所定枚数の投票用紙Pを機外繰出部38に繰り出すと繰出搬送部14を一旦停止させる所定枚数繰出動作を行い、機外繰出部38から投票用紙Pが取り出されたことを検知すると、再び、前記所定枚数繰出動作を行う。このように所定枚数繰出動作を適宜繰り返すことによって、内部に残存していた投票用紙Pを計数することになる。このように、交付時に一枚の投票用紙Pを繰り出す機外繰出部38に、保持可能な所定の複数枚の投票用紙Pを繰り出すことを繰り返すことによって、機外繰出部38を残数計数時の投票用紙Pの回収部として利用できる。したがって、コスト増を抑制することができる。
【0048】
また、機外繰出部38が、ローラ対47が投票用紙Pを上方に向けて送り出すと、ローラ対47の一方の回転軸45aに一体に支持された羽根車48が、ローラ対47から送り出された投票用紙Pの下端部を側方に寄せることになり、これを下端支持部51で支持することになる。このようにして、交付時に一枚の投票用紙Pを繰り出すことと残数計数時に所定の複数枚の投票用紙Pを保持することとの両方に対応でき、その上で、機外繰出部38で生じるジャムを防止することができる。
【0049】
また、表示操作部12に回収操作が入力されると、それまで繰出検知部15で単送を検知した投票用紙Pを計数していた男性交付用カウンタ、女性交付用カウンタおよび総合交付用カウンタとは別の回収用カウンタにて、繰出検知部15で単送を検知した投票用紙Pを計数するため、誤計数を防止することができる。
【0050】
また、交付用カウンタおよび回収用カウンタの各計数データをプリンタ62に出力することで、印字データとして記録を残すことができる。
【0051】
また、表示操作部12に入力され記憶部17に記憶された装填枚数データから総合交付用カウンタの計数データおよび回収用カウンタの計数データを減算したリジェクト枚数データを算出し出力して表示操作部12に表示し、必要によりプリンタ62で印字することになるため、リジェクト収納部39の投票用紙Pの手作業による計数データと容易に照合することができる。
【0052】
本発明の第2実施形態の投票用紙交付機を図4を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0053】
第2実施形態の投票用紙交付機11においては、繰出搬送部14に、第1経路31の振分部40の上流(下流でも可)から第4経路64を分岐させて、この分岐位置に振分部65を設け、さらに第4経路64の端末にローラ67,68と、装填部13に残存していた投票用紙Pを回収する専用の着脱可能な回収庫(回収部,回収収納部)66とを設けても良い。ここで、振分部65は、通常は投票用紙Pを第1経路31でそのまま案内する状態となっており、駆動されると投票用紙Pを第4経路64に案内する状態になる。また、一方のローラ67の回転軸67aには、投票用紙Pの上端部を他方のローラ68とは反対の側方に寄せる羽根車69が設けられている。
【0054】
このように構成した場合、表示操作部12に回収操作が入力されると、制御部16は、繰出搬送部14を駆動し、装填部13に残存する投票用紙Pの最上位置の投票用紙Pを、蹴出ローラ25、繰出ローラ26および分離ローラ27で送り出す。そして、繰出検知部15が投票用紙Pを検知するとともに単送か重送であるかを検知し、単送である場合には、制御部16が回収用カウンタを1加算するとともに、この単送の投票用紙Pを、振分部65、搬送ローラ34,35およびローラ67,68によって第4経路64を介して回収庫66に搬送する。回収庫66に放出された投票用紙Pは羽根車69で側方に寄せられる。他方、繰出検知部15が投票用紙Pの重送を検知すると、制御部16は、回収用カウンタを加算することなく、重送を検知したこの投票用紙Pを、搬送ローラ34,35および振分部40によって第3経路33を介してリジェクト収納部39に搬送する。
【0055】
装填部13から順次繰り出される投票用紙Pのそれぞれに対して、繰出検知部15の検知結果に応じた上記動作を行う。これにより、単送の投票用紙Pは、順次、ローラ67,68から下方に放出され、上端部が羽根車69で側方に寄せられて横方向に集積される。そして、装填用紙残留検知部21により装填部13に残存する投票用紙Pが検知されなくなると、制御部16は、繰出検知部15による全体最後の投票用紙Pの検知に基づくタイミングで、蹴出ローラ25、繰出ローラ26および分離ローラ27がこの全体最後の投票用紙Pを下流側に送り出したと判断すると、これらを停止させ、繰出検知部15によるこの全体最後の投票用紙Pの検知に基づくタイミングで、この全体最後の投票用紙Pを回収庫66およびリジェクト収納部39の対応するものに繰り出したと判断すると、搬送ローラ34,35、ローラ43,44,67,68を停止させる。そして、制御部16は、上記と同様に、男性交付用カウンタの計数データ、女性交付用カウンタの計数データ、総合交付用カウンタの計数データ、回収用カウンタの計数データおよびリジェクト枚数データを表示操作部12に表示する。
【0056】
このように、機外繰出部38およびリジェクト収納部39とは別に設けられた専用の回収庫66で投票用紙Pを回収するため、途中で投票用紙交付機11を停止することなく回収作業ができ、回収作業がさらに容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態の投票用紙交付機を概略的に示す側断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の投票用紙交付機を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態の投票用紙交付機における機外繰出部を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態の投票用紙交付機を概略的に示す側断面図である。
【符号の説明】
【0058】
11 投票用紙交付機
12 表示操作部(回収指示手段,表示手段,装填枚数データ入力手段)
13 装填部
14 繰出搬送部
15 繰出検知部(検知部)
17 記憶部(装填枚数記憶手段)
38 機外繰出部(回収部)
39 リジェクト収納部
40,65 振分部
45,46 ローラ
45a 回転軸
47 ローラ対
48 羽根車
51 下端支持部(支持部)
62 プリンタ
66 回収庫(回収部,回収収納部)
P 投票用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投票用紙が集積状態で装填される装填部と、
該装填部に装填された投票用紙を分離して繰り出し搬送する繰出搬送部と、
該繰出搬送部で搬送中の投票用紙を検知する検知部と、
該検知部で単送が検知された投票用紙を取出可能に繰り出す機外繰出部と、
前記検知部で重送が検知された投票用紙を収納するリジェクト収納部と、
前記繰出搬送部で搬送される投票用紙を前記検知部の検知結果に基づいて前記機外繰出部と前記リジェクト収納部とに振り分ける振分部とを有する投票用紙交付機であって、
回収指示手段と表示手段と回収部とを有し、
前記回収指示手段に回収操作が入力されると、前記装填部に残存する投票用紙を前記繰出搬送部で分離して搬送し、前記検知部で重送を検知した投票用紙を前記振分部で前記リジェクト収納部に振り分ける一方、前記検知部で単送を検知した投票用紙を計数して前記振分部で前記回収部に振り分けるとともに、前記検知部の計数結果を前記表示手段に表示することを特徴とする投票用紙交付機。
【請求項2】
前記回収部は、投票用紙を複数枚保持可能に構成された前記機外繰出部であり、
前記回収指示手段に回収操作が入力されると、前記装填部に残存する投票用紙を前記繰出搬送部で分離して搬送し前記検知部で単送を検知した投票用紙を計数して前記振分部で前記回収部に振り分けるとともに所定枚数の投票用紙を前記回収部に繰り出すと前記繰出搬送部を一旦停止させる所定枚数繰出動作を行い、前記回収部から投票用紙が取り出されたことを検知すると、再び、前記所定枚数繰出動作を行うことを特徴とする請求項1記載の投票用紙交付機。
【請求項3】
前記回収部は、投票用紙を上方に向けて送り出すローラ対と、該ローラ対の一方の回転軸に一体に支持され、前記ローラ対から送り出される投票用紙の下端部を側方に寄せる羽根車と、該羽根車で寄せられた投票用紙の下端部を支持する支持部とを有することを特徴とする請求項2記載の投票用紙交付機。
【請求項4】
前記回収部は、前記機外繰出部および前記リジェクト収納部とは別に設けられた回収収納部であることを特徴とする請求項1記載の投票用紙交付機。
【請求項5】
前記回収指示手段に回収操作が入力されると、それまで前記検知部で単送を検知した投票用紙を計数していた交付用カウンタとは別の回収用カウンタにて前記検知部で単送を検知した投票用紙を計数することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の投票用紙交付機。
【請求項6】
内蔵または外部接続されたプリンタに、前記交付用カウンタおよび前記回収用カウンタの各計数データを出力可能であることを特徴とする請求項5記載の投票用紙交付機。
【請求項7】
装填枚数データ入力手段と、該装填枚数データ入力手段に入力された装填枚数データを記憶する装填枚数記憶手段とを有し、該装填枚数記憶手段に記憶された装填枚数データから前記交付用カウンタの計数データおよび前記回収用カウンタの計数データを減算したリジェクト枚数データを算出して出力可能であることを特徴とする請求項5または6記載の投票用紙交付機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−39905(P2010−39905A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204215(P2008−204215)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000116079)ローレルバンクマシン株式会社 (82)
【Fターム(参考)】