説明

抗−HCV化合物としての4’−アジド−ヌクレオシド

式I


の化合物(R、R及びRは本明細書中で定義される)は、C型肝炎ウイルスNS5bポリメラーゼ阻害剤である。HCV感染を治療し、そしてHCV複製を阻害するための組成物及び方法が更に開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)のRNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤のプロドラッグであるアシル化ヌクレオシドを提供する。経口投与された場合、これらの化合物は、GI管から容易に吸収され、そして血液中で親ヌクレオシドに効率よく復帰する。これらのプロドラッグは、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害剤であり、そしてHCVのNS5Bポリメラーゼの阻害剤として、HCV複製の阻害剤として、そして哺乳動物におけるC型肝炎感染の治療のために有用である。特に、本発明は、アシル化ピリミジンヌクレオシド化合物の使用に関し、これは、ヌクレオシドが経口投与された場合、改良された薬物の吸収を提供する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルスは、世界中の慢性肝疾患の主要な原因である(Boyer,N.et al.J.Hepatol.2000 32:98−112)。HCVに感染した患者は、肝臓の硬変症及びその後の肝細胞の細胞腫を発症する危険性があり、そして従って、HCVは、肝臓移植の重要な指標である。
【0003】
HCVは、flaviviruses、pestiviruses、及びC型肝炎ウイルスを含むhepaciviruses属を含む、Flaviviridaeウイルスのファミリーの一員として分類される(Rice,C.M.,Flaviviridae:The viruses and their replication,In:Fields Virology,Editors:B.N.Fields,D.M.Knipeand P.M.Howley,Lippincott−Raven Publishers,Philadelphia,Pa.,Chapter 30,931−959,1996)。HCVは、概略9.4kbのプラスセンスの一本鎖RNAゲノムを含有するエンベロープ付きウイルスである。ウイルスのゲノムは、高度に保存された5’非翻訳領域(UTR)、概略3011個のアミノ酸のポリタンパク質前駆体をコードする長いオープンリーディングフレーム、及び短い3’UTRからなる。
【0004】
HCVの遺伝子分析は、30%を超えるDNA配列によって分岐される六つの主要な遺伝子型を確認している。30種より多いサブタイプが識別されている。米国において、感染した個体の概略70%が、1a及び1b型の感染を有する。1b型は、アジアにおいて最も蔓延しているサブタイプである(X.Forns and J.Bukh,Clinics in Liver Disease 1999 3:693−716;J.Bukh et al.,Semin.Liv.Dis.1995 15:41−63)。不幸なことに、1型の感染は、療法に対して、2型又は3型遺伝子型のいずれかよりも耐性である(N.N.Zein,Clin.Microbiol.Rev.,2000 13:223−235)。
【0005】
ウイルスの構造タンパク質は、ヌクレオカプシドコアタンパク質(C)及び二つのエンベロープ糖タンパク質E1及びE2を含む。HCVは、更に二つのプロテアーゼ、NS2−NS3領域によってコードされる亜鉛依存性メタロプロテイナーゼ及びNS3領域でコードされるセリンプロテアーゼをコードする。これらのプロテアーゼは、前駆体ポリタンパク質の特異的領域の、成熟したペプチドへの開裂のために必要である。非構造タンパク質5、NS5Bのカルボキシル側半分は、RNA依存性RNAポリメラーゼを含有する。残りの非構造タンパク質、NS4A及びNS4Bの機能、並びにNS5Aのそれ(非構造タンパク質5のアミノ末端側の半分)は、未知のままである。HCVのRNAゲノムによってコードされる非構造タンパク質の殆どは、RNA複製に関係すると信じられる。
【0006】
現時点において、HCV感染の治療のためにな制約された数の認可された療法が使用可能である。HCV感染を治療するための新しい及び既存の方法、並びにHCVのNS5Bポリメラーゼ活性の阻害は:R.G.Gish,Sem.Liver.Dis.,1999 19:5;Di Besceglie,A.M.and Bacon,B.R.,Scientific American,October:1999 80−85;G.Lake−Bakaar,Current and Future Therapy for Chronic Hepatitis C Virus Liver Disease,Curr.Drug Targ.Infect Dis.2003 3(3):247−253;P.Hoffmann et al.,Recent patents on experimental therapy for hepatitis C virus infection(1999−2002),Exp.Opin.Ther.Patents 2003 13(11):1707−1723;M.P.Walker et al.,Promising Candidates for the treatment of chronic hepatitis C,Exp.Opin.Investig.Drugs 2003 12(8):1269−1280;S.−L.Tan et al.,Hepatitis C Therapeutics:Current Status and Emerging Strategies,Nature Rev.Drug Discov.2002 1:867−881;J.Z.Wu and Z.Hong,Targeting NS5B RNA−Dependent RNA Polymerase for Anti−HCV Chemotherapy,Curr.Drug Targ.−Infect.Dis.2003 3(3):207−219によって総説されている。
【0007】
現時点において、HCV感染の治療のためにな制約された数の認可された療法が現時点で使用可能である。HCVを治療するための新しい及び既存の治療方法、並びにHCVのNS5Bポリメラーゼの阻害は:R.G.Gish,Sem.Liver.Dis.,1999 19:5;Di Besceglie,A.M.and Bacon,B.R.,Scientific American,October:1999 80−85;G.Lake−Bakaar,Current and Future Therapy for Chronic Hepatitis C Virus Liver Disease,Curr.Drug Targ.Infect Dis.2003 3(3):247−253;P.Hoffmann et al.,Recent patents on experimental therapy for hepatitis C virus infection(1999−2002),Exp.Opin.Ther.Patents 2003 13(11):1707−1723;F.F.Poordad et al.Developments in Hepatitis C therapy during 2000−2002,Exp.Opin.Emerging Drugs 2003 8(1):9−25;M.P.Walker et al.,Promising Candidates for the treatment of chronic hepatitis C,Exp.Opin.Investig.Drugs 2003 12(8):1269−1280;S.−L.Tan et al.,Hepatitis C Therapeutics:Current Status and Emerging Strategies,Nature Rev.Drug Discov.2002 1:867−881;R.De Francesco et al.Approaching a new era for hepatitis C virus therapy:inhibitors of the NS3−4A serine protease and the NS5B RNA−dependent RNA polymerase,Antiviral Res.2003 58:1−16;Q.M.Wang et al.Hepatitis C virus encoded proteins:targets for antiviral therapy,Drugs of the Future 2000 25(9):933−8−944;J.A.Wu and Z.Hong,Targeting NS5B−Dependent RNA Polymerase for Anti−HCV Chemotherapy Cur.Drug Targ.−Inf.Dis.2003 3:07−219によって総説されている。総説は、現在、開発過程の各種の段階にある化合物を記述している。同一又は異なった標的に向けられた二つ又は三つの薬剤による組合せ療法は、ウイルスの耐性種の発生を回避又は緩慢化するための標準的療法となり、そして上記の総説中に開示されている化合物は、本発明の化合物と共に組合せ療法において使用することができ、そしてこれらの総説は、本明細書中に参考文献としてその全てが援用される。
【0008】
【化1】

【0009】
リバビリン(1a;1−((2R,3R,4S,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド;ビラゾール(登録商標))は、合成の非インターフェロン誘導性の広い薬効範囲の抗ウイルス性ヌクレオシド類似体である。リバビリンは、Flaviviridaeを含む幾つかのDNA及びRNAウイルスに対するin vitroの活性を有する(Gary L.Davis,Gastroenterology 2000 118:S104−S114)。単剤療法において、リバビリンは、40%の患者において血清のアミノトランスフェラーゼレベルを正常まで減少するが、しかしこれは、HCV−RNAの血清レベルは低下しない。リバビリンは、更に有意な毒性を示し、そして貧血を誘発することが知られている。リバビリンは、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼの阻害剤である。リバビリンは、HCVに対する単剤療法に対して認可されていないが、しかしこの化合物は、インターフェロンα−2a及びインターフェロンα−2bとの組合せ療法において認可されている。ビラミジン1bは、肝細胞中で1aに転換されるプロドラッグである。
【0010】
インターフェロン(IFN)は、殆ど10年間、慢性の肝炎の治療のために使用可能であった。IFNは、ウイルス感染に反応する免疫細胞によって産生される糖タンパク質である。二つの別個の種類のインターフェロンが認識されている:1型は、幾つかのインターフェロンアルファ及び一つのインターフェロンβを含み、2型は、インターフェロンγを含む。1型インターフェロンは、主として感染した細胞によって産生され、そして近隣の細胞を新規な感染から保護する。IFNは、HCVを含む多くのウイルスのウイルス複製を阻害し、そしてC型肝炎感染に対する単独の治療剤として使用された場合、IFNは、血清のHCV−RNAを検出不可能なレベルまで抑制する。更に、IFNは、血清のアミノトランスフェラーゼレベルを正常化する。不幸なことに、IFNの効果は一次的である。療法の中止は、70%の再発率をもたらし、そして10−15%のみが、正常な血清アラニントランスフェラーゼレベルを伴う持続性ウイルス陰性化を示す(L−B.Davis,上掲)。
【0011】
初期のIFN療法の一つの制約は、血液からのタンパク質の急速な排除であった。ポリエチレングリコール(PEG)によるIFNの化学的誘導は、実質的に改良された薬物動態学的特性を持つタンパク質をもたらしている。ペガシス(登録商標)は、抱合体のインターフェロンα−2a及び40kDの分枝鎖のモノ−メトキシPEGであり、そしてペグ−イントロン(登録商標)は、インターフェロンα−2b及び12kDのモノ−メトキシPEGの抱合体である(B.A.Luxon et al.,Clin.Therap.2002 24(9):13631383;A.Kozlowski and J.M.Harris,J.Control.Release,2001 72:217−224)。
【0012】
インターフェロンα−2a及びインターフェロンα−2bは、現時点でHCVの治療のための単剤療法として認可されている。ロフェロン−A(登録商標)(Roche)は、インターフェロンα−2aの組換え型である。ペガシス(登録商標)(Roche)は、インターフェロンα−2aのペグ化(即ちポリエチレングリコールで改変された)型である。イントロン−A(登録商標)(Schering Corporation)は、インターフェロンα−2bの組換え型であり、そしてペグ−イントロン(登録商標)(Schering Corporation)は、インターフェロンα−2bのペグ化型である。
【0013】
インターフェロンα、並びにインターフェロンβ、γ、τ及びωの他の形態は、現時点においてHCVの治療のための臨床開発中である。例えば、InterMuneによるINFERGEN(登録商標)(インターフェロンアルファコン−1)、ViragenによるOMNIFERON(登録商標)(天然のインターフェロン)、Human Genome SciencesによるALBUFERON(登録商標)、Ares−SeronoによるREBIF(登録商標)(インターフェロンβ−1a)、BioMedicineによるオメガインターフェロン、Amarillo Biosciencesによる経口インターフェロンアルファ、及びInterMuneによるインターフェロンγ、インターフェロンτ、及びインターフェロンγ−1bは、開発中である。
【0014】
リバビリン及びインターフェロン−αによるHCVの組合せ療法は、現時点で最適な療法である。組合せたリバビリン及びPEG−INF(下記)は、54−56%の患者において持続性ウイルス陰性化をもたらす。SVRは、2及び3型HCVに対して80%に近づく(Walker、上掲) 不幸なことに、この組み合わせは、更に臨床的挑戦を中止させる副作用を生じる。鬱病、風邪様症状及び皮膚の反応が、皮下のIFN−αに伴い、そして溶血性貧血が、リバビリンによる持続治療に伴う。
【0015】
現時点で、C型肝炎ウイルス感染の治療のための臨床前又は臨床開発中の他の高分子化合物は:Schering−Ploughによるインターロイキン−10、IntemeuronによるIP−SO1、Vertexによるメリメボジブ(VX−497)、RPIによるHEPTAZYME(登録商標)、Idun Pharma.によるIDN−6556、XTL.によるXTL−002、ChironによるHCV/MFS9、NABIによるCIVACIR(登録商標)(C型肝炎免疫グロブリン)、SciCloneによるZADAXIN(登録商標)(チモシンα−l)、SciCloneによるチモシン及びペグ化インターフェロン、CEPLENE(登録商標);InnogeneticsによるE2に向けた治療ワクチン、Intercellによる治療ワクチン、Epimmune/Genencorによる治療ワクチン、Merixによる治療ワクチン、Tripepによる治療ワクチンChron−VacCを含む。
【0016】
他の高分子的方法は、HCVのRNAを標的とするリボザイムを含む。リボザイムは、RNAの配列特異的開裂を触媒するエンドヌクレアーゼ活性を持つ短い天然に存在する分子である。別の方法は、RNAに結合し、そしてRNアーゼH仲介の開裂を刺激するアンチセンスのオリゴヌクレオチドの使用である。
【0017】
抗HCV治療剤としての薬物の開発のための、制約されるものではないが、NS2−NS3自己プロテアーゼ、N3プロテアーゼ、N3ヘリカーゼ及びNS5Bポリメラーゼを含む多くの潜在的分子標的がいまや確認されている。RNA依存性RNAポリメラーゼは、一本鎖プラスセンスのRNAゲノムの複製のために絶対的に必須であり、そしてこの酵素は、医薬品化学者中で有意な興味を誘発している。
【0018】
ヌクレオシド阻害剤は、連鎖停止剤、又はポリメラーゼに結合するヌクレオチドに干渉する競合阻害剤のいずれかとして作用することができる。連鎖停止剤として機能するために、ヌクレオシド類似体は、細胞によって取込まれ、そしてポリメラーゼヌクレオチド結合部位において基質として競合するために、in vivoでその三リン酸塩の形態に転換されなければならない。この三リン酸塩への転換は、通常、いずれものヌクレオシドに更なる構造的制約を与える細胞のキナーゼによって仲介される。ヌクレオシドポリメラーゼは、更に正常な細胞分裂において必須な成分であり、そして潜在的な毒性の副作用を制約するために、ヌクレオシド阻害剤は、本質的な細胞増殖及び宿主のポリメラーゼを阻害することによる補修を破壊することなく、ウイルスポリメラーゼを選択的に阻害しなければならない。従って、内在性キナーゼによるリン酸化、及び内在性ポリメラーゼに対する選択性に対する要求は、潜在的ヌクレオシド療法剤の構造に対する厳密な要求を課す。
【0019】
ヌクレオシドプロドラッグ
ヌクレオシドは、しばしば強力な抗ウイルス及び化学療法剤であるが、これらの実際的用途は、二つの因子によってしばしば制約される。第一に、不良な薬物動態学的特性は、しばしば腸からのヌクレオシドの吸収を制約しそして;第二に、最適以下の物理的特性は、活性成分の供給を向上するために使用することができる処方の選択肢を制限する。
【0020】
Albertは、本質的な生物学的活性に欠けるが、しかし活性な薬物物質への代謝的転換が可能である化合物を記載するためにプロドラッグの用語を導入した(A.Albert,Selective Toxicity,Chapman and Hall,London,1951)。プロドラッグは、最近総説されている(P.Ettmayer et al.,J.Med Chem.2004 47(10):2393−2404;K.Beaumont et al.,Curr.Drug Metab.2003 4:461−485;H.Bundgaard,Design of Prodrugs:Bioreversible derivatives for various functional groups and chemical entities in Design of Prodrugs,H.Bundgaard(ed)Elsevier Science Publishers,Amersterdam 1985;G.M.Pauletti et al.Adv.Drug Deliv.Rev.1997 27:235−256;R.J.Jones and N.Bischofberger,Antiviral Res.1995 27;1−15及びC.R.Wagner et al.,Med.Res.Rev.2000 20:417−45)。代謝的転換は、特異的酵素、しばしばヒドロラーゼによって触媒することができるが、活性化合物は、更に非特異的化学過程によって再生することもできる。
【0021】
医薬的に受容可能なプロドラッグは、宿主内で代謝されて、例えば加水分解又は酸化されて、本発明の化合物を形成する化合物を指す。生物変換は、毒物学的障害を伴う断片の形成を回避しなければならない。プロドラッグの典型的な例は、活性化合物の官能性分子に連結する生物学的に不安定な保護基を有する化合物を含む。糖分子のヒドロキシ基(単数又は複数)のアルキル化、アシル化又は他の親油性改変は、プロヌクレオチドの設計において使用されている。これらのプロヌクレオチドは、in vivoで加水分解又は脱アルキルされて、活性化合物を産生することができる。
【0022】
経口の生体利用率をしばしば制約する因子は、消化管からの吸収並びに腸壁及び肝臓による初回通過の排出である。GI管を通る経細胞吸収の最適化は、ゼロより大きいD(7.4)を必要とする。然しながら、分配係数の最適化は、成功を確約しない。プロドラッグは、腸細胞中の活性な排出輸送を回避しなければならないことがあり得る。腸細胞中の細胞内代謝は、代謝産物の腸の管腔へ戻る排出ポンプによる受動輸送又は能動輸送をもたらすことができる。プロドラッグは、更に標的細胞又は受容体に到達する前に、血液中の好ましくない生体内変換に抵抗しなければならない。
【0023】
抗ウイルス性医薬の高い循環レベルは、耐性集団を発生する危険性を最小にするために、APIの十分に高い血液レベルを維持するためにしばしば必要である。例えば、最近の試行は、一日二回及び一日四回の1500mg迄の投与量のイソ酪酸(2R,3R,4R,5R)−5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−フルオロ−2−イソブチリルオキシメチル−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステルイソ酪酸(II:R7128)を使用している。(S.Le Pogam et al.,“No Evidence of R7128 Drug Resistance After Up To 4 Weeks Treatment of GT1,2 and 3 Hepatitis C Virus Infected Individuals”,44th Annual Meeting of the European Association for the Study of the Liver(EASL),Copenhagen,Denmark,Apr 22−Apr 26,2009)。これは、しばしば大きい丸薬又はカプセルの大きさを要する高い日量、或いは剤形の更に頻繁な投与をもたらす。高い投与量の活性な医薬成分が必要な場合、生体利用率を改良するために希釈剤又は賦形剤を加える機会は、しばしば制約される。従って、新規なHCVポリメラーゼ阻害剤の設計は、生体利用性であり、対応する三リン酸塩に転換され、そしてHCVポリメラーゼの強力な阻害剤である化合物を、確認することが必要である。
【0024】
In vivoのリン酸化に対する必須の要求は、最近、ヌクレオシド一リン酸に導く細胞内の酵素的活性化に対して感受性である遮蔽されたリン酸分子を含有する、ヌクレオシド一リン酸プロドラッグに対する興味に導く。ヌクレオシド三リン酸の形成における律速段階は、一リン酸塩に導く第一段階であるため、その後の第二及び第三のリン酸の添加は、この一リン酸塩から容易に形成される(例えば、P.Perrone et al.,J.Med.Chem.,2007,50(8):1840;S.J.Hecker and M.D.Erion,J.Med Chem.2008 51(8):2328を参照されたい)。
【0025】
潜在的なプロドラッグを得るための活性化合物の化学的改変は、親化合物中には存在しない好ましくない物理的、化学的及び生物学的特性を示すことができる全く新しい分子成分を産生する。代謝産物の確認試験に対する法的要求事項は、多数の経路が複数の代謝産物に導く場合、挑戦を提起することができる。従って、プロドラッグの確認試験は、不確かな、そして挑戦的な課題を残す。更に、潜在的プロドラッグの薬物動力学的特性を評価することは、挑戦的であり、そして高価な努力である。動物モデルからの薬物動力学的結果を、ヒトに外挿することは困難であり得る。
【0026】
本発明の目的は、C型肝炎ウイルスに感染した宿主の治療のための新しい化合物、方法及び組成物を提供することである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0027】
【非特許文献1】Boyer,N.et al.J.Hepatol.2000 32:98−112;
【非特許文献2】Rice,C.M.,Flaviviridae:The viruses and their replication,In:Fields Virology,Editors:B.N.Fields,D.M.Knipeand P.M.Howley,Lippincott−Raven Publishers,Philadelphia,Pa.,Chapter 30,931−959,1996;
【非特許文献3】X.Forns and J.Bukh,Clinics in Liver Disease 1999 3:693−716;
【非特許文献4】J.Bukh et al.,Semin.Liv.Dis.1995 15:41−63;
【非特許文献5】N.N.Zein,Clin.Microbiol.Rev.,2000 13:223−235;
【非特許文献6】R.G.Gish,Sem.Liver.Dis.,1999 19:5;
【非特許文献7】Di Besceglie,A.M.and Bacon,B.R.,Scientific American,October:1999 80−85;
【非特許文献8】G.Lake−Bakaar,Current and Future Therapy for Chronic Hepatitis C Virus Liver Disease,Curr.Drug Targ.Infect Dis.2003 3(3):247−253;
【非特許文献9】P.Hoffmann et al.,Recent patents on experimental therapy for hepatitis C virus infection(1999−2002),Exp.Opin.Ther.Patents 2003 13(11):1707−1723;
【非特許文献10】F.F.Poordad et al.Developments in Hepatitis C therapy during 2000−2002,Exp.Opin.Emerging Drugs 2003 8(1):9−25;
【非特許文献11】M.P.Walker et al.,Promising Candidates for the treatment of chronic hepatitis C,Exp.Opin.Investig.Drugs 2003 12(8):1269−1280;
【非特許文献12】S.−L.Tan et al.,Hepatitis C Therapeutics:Current Status and Emerging Strategies,Nature Rev.Drug Discov.2002 1:867−881;
【非特許文献13】R.De Francesco et al.Approaching a new era for hepatitis C virus therapy:inhibitors of the NS3−4A serine protease and the NS5B RNA−dependent RNA polymerase,Antiviral Res.2003 58:1−16;
【非特許文献14】Q.M.Wang et al.Hepatitis C virus encoded proteins:targets for antiviral therapy,Drugs of the Future 2000 25(9):933−8−944;
【非特許文献15】J.A.Wu and Z.Hong,Targeting NS5B−Dependent RNA Polymerase for Anti−HCV Chemotherapy Cur.Drug Targ.−Inf.Dis.2003 3:07−219
【非特許文献16】J.Z.Wu and Z.Hong,Targeting NS5B RNA−Dependent RNA Polymerase for Anti−HCV Chemotherapy,Curr.Drug Targ.−Infect.Dis.2003 3(3):207−219;
【非特許文献17】Gary L.Davis,Gastroenterology 2000 118:S104−S114
【非特許文献18】B.A.Luxon et al.,Clin.Therap.2002 24(9):13631383;
【非特許文献19】A.Kozlowski and J.M.Harris,J.Control.Release,2001 72:217−224;
【非特許文献20】A.Albert,Selective Toxicity,Chapman and Hall,London,1951;
【非特許文献21】P.Ettmayer et al.,J.Med Chem.2004 47(10):2393−2404;
【非特許文献22】K.Beaumont et al.,Curr.Drug Metab.2003 4:461−485;
【非特許文献23】H.Bundgaard,Design of Prodrugs:Bioreversible derivatives for various functional groups and chemical entities in Design of Prodrugs,H.Bundgaard(ed)Elsevier Science Publishers,Amersterdam 1985;
【非特許文献24】G.M.Pauletti et al.Adv.Drug Deliv.Rev.1997 27:235−256;
【非特許文献25】R.J.Jones and N.Bischofberger,Antiviral Res.1995 27;1−15;
【非特許文献26】C.R.Wagner et al.,Med.Res.Rev.2000 20:417−45;
【非特許文献27】S.Le Pogam et al.,“No Evidence of R7128 Drug Resistance After Up To 4 Weeks Treatment of GT1,2 and 3 Hepatitis C Virus Infected Individuals”,44th Annual Meeting of the European Association for the Study of the Liver(EASL),Copenhagen,Denmark,Apr 22−Apr 26,2009;
【非特許文献28】P.Perrone et al.,J.Med.Chem.,2007,50(8):1840;
【非特許文献29】S.J.Hecker and M.D.Erion,J.Med Chem.2008 51(8):2328。
【発明の概要】
【0028】
現時点で、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療するための予防的治療又は一般的に有効な療法は存在しない。現時点で、唯一HCVに対して存在する認可された療法は、制約された有効性を有し、そして重大な副作用を伴う。従って、更に少ない毒性を伴う、新しい更に有効な療法の設計及び開発は必須である。
【0029】
本発明は、以下の式I:
【0030】
【化2】

【0031】
[式中、R及びRは、(i)独立に、それぞれの出現において、水素、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、及びC1−6アミノアルキルカルボニルからなる群から選択されるか、又は
(ii)R及びR分子の両方が一緒に選択されて、一緒にC(=O)であり、
は、水素、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル又はC1−6アミノアルキルカルボニルである]
の化合物、医薬的に受容可能なその塩に関し、但し、R、R及びRの少なくとも一つは、水素以外であることを条件とする。
【0032】
本発明は、更に疾病C型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療するための、治療的に有効な量の式Iの化合物を、それを必要とする患者に投与することによる方法を提供する。化合物は、単独で投与するか、或いは他の抗ウイルス性化合物又は免疫調節剤と共に同時投与することができる。
【0033】
本発明は、更に細胞中のHCVの複製を阻害するための、式Iの化合物を、HCVを阻害するために有効な量で投与することによる方法を提供する。
本発明は、更に式Iの化合物、及び少なくとも一つの医薬的に受容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を含んでなる医薬組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1a(Figure 1a)は、HCVレプリコン細胞中の4’−AU(4’−アジド−ウラシル)のリン酸化特性を示す。Figure 1bは、ヒト肝細胞中の4’−AUのリン酸化特性を示す。
【図2−1】図2a(Figure 2a)は、PBMC中の4’−AUのリン酸化特性を示す。図2b(Figure 2b)及び図2c(Figure 2c)は、それぞれ1時間のインキュベーション及び120時間のインキュベーション後の、PBMC中の4’−アジド−シチジン(4’−AC)のリン酸化特性を示す。
【図2−2】同上。
【図3】図3a(Figure 3a)及び3b(Figure 3b)は、初代ヒト肝細胞、骨髄細胞及びPBMC中の4’−AUのリン酸化特性の比較を提供する。同様な特性は、3人の提供者において得られた。
【図4】図4(Figure 4)は、ヒト肝細胞中の4’AU対4’ACの効力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
4’−アジド−シチジン(4’−AC)のトリアシル誘導体が、NS5B HCVポリメラーゼの阻害剤として検討されている(K. Klumpp et al.,J.Bio.Chem.,2008 283(4):2167−2176)。不幸なことに、4’−ACは、ウイルス複製の強力な阻害剤であるが、受容不可能な副作用の発症により、臨床研究は中止された。関連するピリミジンヌクレオシド、4’−アジド−ウリジン(4’−AU)は、レプリコンアッセイにおいて不活性であり、これは、潜在的なポリメラーゼ阻害剤を評価するために広く使用されている。(V.Lohmann et al.,J.Virol.2003 77:3007−3019,K.J.Blight et al.,Science 2000 290(5498):1870−1871)。三リン酸塩が化学的に調製され、そしてHCVポリメラーゼアッセイ中で評価された場合、これは、4’−アジド−シチジン三リン酸に対する0.040±25μMのKと比較して、0.038±8μMのKで酵素を阻害した(D.Smith et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.2007 17:2570)。従って、レプリコンアッセイにおける活性の欠如は、4’−AUがin vivoでリン酸化されないことを示すと想定される。この説明は、4’−ACはPBMC(末梢血単核球)によってリン酸化されるが、4’−AUは対応するリン酸化ヌクレオシドに転換されなかったことの証明によって支持された。(図1)。
【0036】
いまや、驚くべきことに、4’−AUのリン酸化が、初代ヒト肝細胞中で効率よく実際に起こることが見いだされた(図2)。細胞特異的リン酸化が、HCV複製のための標的組織中で起こるため、選択的にリン酸化するヌクレオシドによる療法の潜在性が存在し、これは、更に他の細胞中の制約されたリン酸化が、有害な毒性に対する僅かな機会をもたらすことができることを示唆する。
【0037】
語句“ある一つの”又は“ある一個の”成分は、本明細書中で使用される場合、一つ又はそれより多いその成分を指す;例えば、ある一つの化合物は、一つ又はそれより多い化合物或いは少なくとも一つの化合物を指す。このように、用語“ある一つの(又はある一個の)”、“一つ又はそれより多い”、及び“少なくとも一つの”は、本明細書中で互換的に使用することができる。
【0038】
語句“本明細書中で先に定義したとおりの”は、「発明の概要」中に与えられるそれぞれの基に対する最も幅広い定義又は最も幅広い特許請求項を指す。以下に提供される全ての他の態様において、それぞれの態様中に存在することができ、そして明示的に定義されていない置換基は、「発明の概要」中に提供される最も幅広い定義を保持する。
【0039】
本明細書中で使用される場合、移行句中で又は特許請求項の本文中であるかに関わらず、用語“含んでなる”及び“含んでなり”は、無制限の意味を有すると解釈されるべきである。即ち、用語は、語句“少なくとも、有する”又は“少なくとも、含む”と同意語として解釈されるべきである。方法の文脈において使用される場合、用語“含んでなる”は、その方法が少なくとも記述した工程を含むが、しかし更なる工程を含むことができることを意味する。化合物又は組成物の文脈において使用される場合、用語“含んでなる”は、その化合物又は組成物が、少なくとも記述した特徴又は成分を含むが、しかし更に、更なる特徴又は成分を含むことができることを意味する。
【0040】
用語“独立に”は、可変基が、同一化合物中の同一又は異なった定義を有する可変基の存在或いは非存在に関わらず、いずれもの一つの場合に適用されることを示すために、本明細書中で使用される。従って、R’’が二回現れ、そして“独立に炭素又は窒素”として定義される化合物において、両方のR’’は、炭素であることができ、両方のR’’が窒素であることができ、又は一つのR’’が炭素であり、そして他方が窒素であることができる。
【0041】
いずれもの可変基(例えば、R、R4a、Ar、X又はHet)が、本発明中に使用される又は特許請求される化合物を示し、そして記載されるいずれもの分子又は式中に一回より多く出現する場合、それぞれの出現におけるその定義は、あらゆる他の出現におけるその定義とは独立である。更に、置換基及び/又は可変基の組合せは、このような化合物が安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0042】
結合の末端の記号“”又は結合を通って書かれた“−−−−”は、それぞれの官能基又は他の化学的分子の、それが一部である分子の残りへの接続の点を指す。従って、例えば:
【0043】
【化3】

【0044】
である。
環系中へ書かれた結合(明確な頂点への接続に対して)は、その結合が適した環の原子のいずれかに接続することができることを示す。
【0045】
用語“所望による”又は“所望により”は、本明細書中で使用される場合、その後に記載される事象又は状況が、起こることができるが、しかし起こる必要はないことを意味し、そしてその記載は、事象又は状況が起こる場合、そしてこれらが起こらない場合を含む。例えば、“所望により置換された”は、所望により置換された分子が、水素又は置換基を組込むことができることを意味する。
【0046】
用語“約”は、概略、その辺り、大雑把に、又はその前後を意味するために本明細書中で使用される。用語“約”が、数値の範囲に関して使用された場合、これは、その範囲を、記載した数値の上及び下の境界を拡大することによって変更する。一般的に、用語“約”は、記述された値の上及び下の20%の変動によって数値を変更するために本明細書中で使用される。
【0047】
本明細書中で使用する場合、変数に対する数値の範囲の記述は、本発明が、その範囲の値のいずれかと等しい変数により実施することができることを伝達することを意図している。従って、本質的に離散である変数において、変数は、その範囲の終点を含む数値の範囲のいずれもの整数値と等しいことができる。同様に、本質的に連続である変数において、変数は、その範囲の終点を含む数値の範囲のいずれもの実数値と等しいことができる。例として、0ないし2間の値を有すると記載された変数は、本質的に離散である変数に対して、0、1又は2であることができ、そして本質的に連続である変数に対して、0.0、0.1、0.01、0.001又はいずれもの他の実数であることができる。
【0048】
式Iの化合物は、互変異性を示す。互変異性化合物は、二つ又はそれより多い相互転換可能な種として存在することができる。プロトン互変異性体は、二つの原子間の共有結合した水素原子の転移から得られる。互変異性体は、一般的に平衡で存在し、そして個々の互変異性体を単離するための試みは、通常、その化学的及び物理的特性が化合物の混合物と一致した混合物を生じる。平衡の位置は、分子内の化学的特徴に依存する。例えば、アセトアルデヒドのような多くの脂肪族アルデヒド及びケトンにおいて、ケト型が優勢であり;一方フェノールにおいて、エノール型が優勢である。普通のプロトン互変異性体は、ケト/エノール:
【0049】
【化4】

【0050】
、アミド/イミド酸:
【0051】
【化5】

【0052】
及びアミジン:
【0053】
【化6】

【0054】
互変異性体を含む。後者の二つは、ヘテロアリール及び複素環式環において特に普通であり、そして本発明は、この化合物の全ての互変異性の形態を包含する。
本発明の第1の態様において、R、R及びRが、本明細書中で先に記載したとおりの式Iの化合物が提供される。
【0055】
本発明の第2の態様において、R、R及びRが、C1−6アルキルカルボニルである式Iの化合物が提供される。
本発明の第3の態様において、R及びRがC1−6アルキルカルボニルであり、そしてRが水素である式Iの化合物が提供される。
【0056】
本発明の第4の態様において、R及びRが水素であり、そしてRがC1−6アルキルカルボニル、又はC1−6アミノアルキルカルボニルである式Iの化合物が提供される。
【0057】
本発明の第5の態様において、表Iの化合物I−1ないしI−6から選択される化合物が提供される。
本発明の第6の態様において、治療的に有効な量のR、R及びRが本明細書中で先に定義したとおりの式Iの化合物を、それを必要とする患者に投与することを含んでなるHCV感染を治療する方法が提供される。以下に提供される全ての他の態様において、それぞれの態様中に存在することができ、そして明示的に定義されていない置換基は、「発明の概要」中に提供された最も幅広い定義を保持する。
【0058】
本発明の第7の態様において、治療的に有効な量のR、R及びRがC1−6アルキルカルボニルである式Iの化合物を、それを必要とする患者に投与することを含んでなるHCV感染を治療する方法が提供される。
【0059】
本発明の第8の態様において、治療的に有効な量のR及びRがC1−6アルキルカルボニルであり、そしてRが水素である式Iの化合物を、それを必要とする患者に投与することを含んでなるHCV感染を治療する方法が提供される。
【0060】
本発明の第9の態様において、治療的に有効な量のR及びRが水素であり、そしてRがC1−6アルキルカルボニル、又はC1−6アミノアルキルカルボニルである式Iの化合物を、それを必要とする患者に投与することを含んでなるHCV感染を治療する方法が提供される。
【0061】
本発明の第10の態様において、治療的に有効な量のR、R及びRが本明細書中で先に記載したとおりの式Iの化合物を、それを必要とする患者に投与し、そして少なくとも一つの免疫系調節剤及び/又は少なくとも一つのHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤を同時投与することを含んでなるHCV感染を治療する方法が提供される。
【0062】
本発明の第11の態様において、治療的に有効な量のR、R及びRが本明細書中で先に記載したとおりの式Iの化合物を、それを必要とする患者に投与し、そしてインターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子及びコロニー刺激因子からなる群から選択される少なくとも一つの免疫系調節剤を同時投与することを含んでなるHCV感染を治療する方法が提供される。
【0063】
本発明の第12の態様において、治療的に有効な量のR、R及びRが本明細書中で先に記載したとおりの式Iの化合物を、それを必要とする患者に投与し、そして少なくとも一つの免疫系調節剤を同時投与することを含んでなり、ここにおいて、この免疫系調節剤は、インターフェロン又は化学的に誘導されたインターフェロンである、HCV感染を治療する方法が提供される。
【0064】
本発明の第13の態様において、治療的に有効な量のR、R及びRが本明細書中で先に記載したとおりの式Iの化合物を、それを必要とする患者に投与し、そして少なくとも一つのHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤を同時投与することを含んでなるHCV感染を治療する方法が提供される。
【0065】
本発明の第14の態様において、治療的に有効な量のR、R及びRが本明細書中で先に記載したとおりの式Iの化合物を、それを必要とする患者に投与し、そしてHCVプロテアーゼ阻害剤、もう一つのヌクレオシドHCVポリメラーゼ阻害剤、非ヌクレオシドHCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCVプライマーゼ阻害剤及びHCV融合阻害剤からなる群から選択される少なくとも一つの抗ウイルス剤を同時投与することを含んでなるHCV感染を治療する方法が提供される。
【0066】
本発明のもう一つの態様において、HCV感染の治療のための、R、R及びRが本明細書中で先に定義したとおりの式Iの化合物の使用が提供される。
本発明のもう一つの態様において、HCV感染の治療のための医薬の製造のための、R、R及びRが本明細書中で先に定義したとおりの式Iの化合物の使用が提供される。
【0067】
本発明のもう一つの態様において、HCV感染の治療のための、R、R及びRがC1−6アルキルカルボニルである式Iの化合物の使用が提供される。
本発明のもう一つの態様において、HCV感染の治療のための医薬の製造のための、R、R及びRがC1−6アルキルカルボニルである式Iの化合物の使用が提供される。
【0068】
本発明のもう一つの態様において、HCV感染の治療のための、R及びRがC1−6アルキルカルボニルであり、そしてRが水素である式Iの化合物の使用が提供される。
【0069】
本発明のもう一つの態様において、HCV感染の治療のための医薬の製造のための、R及びRがC1−6アルキルカルボニルであり、そしてRが水素である式Iの化合物の使用が提供される。
【0070】
本発明のもう一つの態様において、HCV感染の治療のための、R及びRが水素であり、そしてRがC1−6アルキルカルボニル、又はC1−6アミノアルキルカルボニルである式Iの化合物の使用が提供される。
【0071】
本発明のもう一つの態様において、HCV感染の治療のための医薬の製造のための、R及びRが水素であり、そしてRがC1−6アルキルカルボニル、又はC1−6アミノアルキルカルボニルである式Iの化合物の使用が提供される。
【0072】
本発明のもう一つの態様において、HCV感染の治療のための、R、R及びRが本明細書中で先に記載したとおりの式Iの化合物の、少なくとも一つの免疫系調節剤及び/又は少なくとも一つのHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤との組合せ中の使用が提供される。
【0073】
本発明のもう一つの態様において、HCV感染の治療のための、R、R及びRが本明細書中で先に記載したとおりの式Iの化合物の、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子及びコロニー刺激因子からなる群から選択される少なくとも一つの免疫系調節剤との組合せ中の使用が提供される。
【0074】
本発明のもう一つの態様において、HCV感染の治療のための、R、R及びRが本明細書中で先に記載したとおりの式Iの化合物の、少なくとも一つの免疫系調節剤との組合せ中の使用が提供され、ここにおいて、この免疫系調節剤は、インターフェロン又は化学的に誘導されたインターフェロンである。
【0075】
本発明のもう一つの態様において、HCV感染の治療のための、R、R及びRが本明細書中で先に記載したとおりの式Iの化合物の、少なくとも一つのHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤との組合せ中の使用が提供される。
【0076】
本発明のもう一つの態様において、HCV感染の治療のための、R、R及びRが本明細書中で先に記載したとおりの式Iの化合物の、HCVプロテアーゼ阻害剤、もう一つのヌクレオシドHCVポリメラーゼ阻害剤、非ヌクレオシドHCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCVプライマーゼ阻害剤及びHCV融合阻害剤からなる群から選択される少なくとも一つの抗ウイルス剤との組合せ中の使用が提供される。
【0077】
本発明のもう一つの態様において、治療的に有効な量のR、R及びRが本明細書中で先に記載したとおりの式Iの化合物を、少なくとも一つの医薬的に受容可能な担体、希釈剤又は賦形剤と混合されて含んでなる医薬組成物が提供される。
【0078】
用語 “アルキルカルボニル”は、本明細書中で使用される場合、Rが本明細書中で定義されるようなアルキルである式C(=O)Rの基を示す。用語C1−6アシル[又は“アルカノイル”]は、1ないし6個の炭素原子を含有する−C(=O)R基を指す。Cアシル[又は“アルカノイル”]基は、R=Hであるホルミル基であり、そしてCアシル基は、アルキル鎖が分枝されていない場合、ヘキサノイルを指す。用語“アリールカルボニル”又は“アロイル”は、本明細書中で使用される場合、Rがアリール基である式C(=O)Rの基を;用語“ベンゾイル”は、本明細書中で使用される場合、Rがフェニルである“アリールカルボニル”又は“アロイル”基を意味する。
【0079】
用語“アルコキシカルボニル”及び“アリールオキシカルボニル”は、本明細書中で使用される場合、Rが、それぞれアルキル又はアリールであり、そしてアルキル及びアリールが本明細書中で定義されるとおりの式−C(=O)ORの基を示す。
【0080】
用語“アミノアルキルカルボニル”は、本明細書中で使用される場合、一つの水素がアミノ基によって置換された、本明細書中で定義されたとおりのアルキルカルボニル分子を指す。用語C1−6アミノアルキルカルボニルは、C1−6アルキルカルボニル基を規定する。アミノアルキルカルボニル分子の例は、制約されるものではないが、グリシル[COCHNH]、アラニル[COCH(NH)Me]、バリニル[COCH(NH)CHMe]、ロイシニル[COCH(NH)CHCHMe]、イソロイシニル[COCH(NH)CHMeEt]及びノルロイシニル[COCH(NH)(CHMe]等を含む。この定義は、天然に存在するアミノ酸に制約されるものではない。
【0081】
普通に使用される略語は:アセチル(Ac)、水性(aq.)、4AC(4−アジドシチジン)、4AU(4−アジドウリジン)、4AU−MP(4−アジドウリジン一リン酸)、4AU−DP(4−アジドウリジン二リン酸)、4AU−TP(4−アジドウリジン三リン酸)、気圧(Atm)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ジ−tert−ブチルピロ炭酸又はboc無水物(BOCO)、ベンジル(Bn)、ブチル(Bu)、ケミカルアブストラクト登録番号(CASRN)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ又はZ)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,2−ジクロロエタン(DCE)、ジクロロメタン(DCM)、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジ−イソ−プロピル(DIAD)、水素化アルミニウムジ−イソ−ブチル(DIBAL又はDIBAL−H)、ジ−イソ−プロピルエチルアミン(DIPEA)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチル(Et)、エタノール(EtOH)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、酢酸エチル(EtOAc)、2−エトキシ−2H−キノリン−1−カルボン酸エチルエステル(EEDQ)、ジエチルエーテル(EtO)、酢酸(HOAc)、1−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、イソ−プロパノール(IPA)、メタノール(MeOH)、融点(mp)、MeSO−(メシル又はMs)、メチル(Me)、アセトニトリル(MeCN)、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、質量スペクトル(ms)、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、N−メチルモルホリン(NMM)、N−メチルピロリドン(NMP)、フェニル(Ph)、プロピル(Pr)、イソ−プロピル(i−Pr)、平方インチ当たりポンド(psi)、ピリジン(pyr)、室温(rt又はRT)、satd.(飽和)、tert−ブチルジメチルシリル又はt−BuMeSi (TBDMS)、トリエチルアミン(TEA又はEtN)、トリフレート又はCFSO−(Tf)、トリフルオロ酢酸(TFA)、テトラフルオロホウ酸O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム(TBTU)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、テトラヒドロフラン(THF)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、トリメチルシリル又はMeSi(TMS)、p−トルエンスルホン酸一水和物(TsOH又はpTsOH)、4−Me−CH4SO−又はトシル(Ts)、N−ウレタン−N−カルボキシ無水物(UNCA)を含む。アルキル分子と共に使用される場合、接頭辞ノルマル(n−)、イソ(i−)、第二(sec−)、第三(tert−)及びneo−を含む慣用的な命名法は、その習慣的意味を有する。(J.Rigaudy and D.P.Klesney,Nomenclature in Organic Chemistry,IUPAC 1979 Pergamon Press,Oxford)。
【0082】
化合物及び調製
本発明によって包含され、そして本発明の範囲内である代表的な化合物の例を、以下の表に提供する。これらの例及びそれに続く調製は、当業者が本発明を更に明確に理解し、そして実施することが可能になるように提供される。これらは、本発明の範囲を制約すると考えられるべきでなく、しかし単に例示であり、そしてその代表である。
【0083】
一般的に、本出願中で使用される命名法は、IUPAC系統命名法の発生のためのBeilstein Instituteのコンピューター化された系AUTONOMTMのv.4.0に基づいている。示された構造及びその構造に与えられた名称間に不一致があった場合、示された構造に更なる重みが与えられるべきである。更に、構造又は構造の一部のの立体配置が、例えば太線又は点線で示されていない場合、その構造又は構造の一部は、全てのその立体配置を包含すると解釈されるべきである。
【0084】
【表1】

【0085】
本発明の化合物は、以下に示し、そして記載される例示的な合成反応スキームに示した各種の方法よって製造することができる。一般的に、これらの化合物の調製において使用される出発物質及び試薬は、Aldrich Chemical Co.のような商業的な供給業者から入手可能であるか、又はFieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis;Wiley & Sons:New York,Volumes 1−21;R.C.LaRock,Comprehensive Organic Transformations,2nd edition Wiley−VCH,New York 1999;Comprehensive Organic Synthesis,B.Trost and I.Fleming(Eds.)vol.1−9 Pergamon,Oxford,1991;Comprehensive Heterocyclic Chemistry,A.R.Katritzky and C.W.Rees(Eds)Pergamon,Oxford 1984,vol.1−9;Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,A.R.Katritzky and C.W.Rees(Eds)Pergamon,Oxford 1996,vol.1−11;及びOrganic Reactions,Wiley & Sons:New York,1991,Volumes 1−40のような参考文献中に記載されている方法によって当業者にとって既知の方法によって調製されるかのいずれかである。以下の合成反応スキームは、単に、それによって本発明の化合物を合成することができる幾つかの方法の例示であり、そしてこれらの合成反応スキームに対する各種の改変を行うことができ、そして本出願に含有される開示を参照して当業者に示唆されるものである。
【0086】
合成反応スキームの出発物質及び中間体は、所望する場合、制約されるものではないが、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー、等を含む慣用的な方法を使用して単離し、そして精製することができる。このような物質は、物理定数及びスペクトルデータを含む慣用的な手段を使用して特徴づけすることができる。
【0087】
反対に規定されない限り、本明細書中に記載される反応は、好ましくは常圧の不活性雰囲気下で、約−78℃ないし約150℃、更に好ましくは約0℃ないし約125℃の範囲で、そして最も好ましくは、そして好都合には概略室内(又は周囲)温度、例えば約20℃の反応温度で行われる。
【0088】
以下のスキーム中の幾つかの化合物は、一般化された置換基を伴って示される;然しながら、当業者は、本発明で企図される各種の化合物を得るために、R基の性質を変化することができることを直ちに認識するものである。更に、反応条件は例示的であり、そして別の条件は公知である。以下の実施例中の反応の順序は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を制約することを意味していない。
【0089】
本発明の化合物は、4−アジド−ウラシル(CASRN 139442−01−6)又は保護されたその誘導体、例えば、2’,3’−アセトニド(CASRN 690271−27−3)のアシル化によって調製することができる。4’AUを、酸塩化物又は酸無水物のような活性化されたカルボン酸誘導体で処理することにより、トリアシル誘導体を得る。対応するアセトニドを処理することにより、5’−アシル誘導体を得て、これはその後脱保護される。
【0090】
用語“保護基”は、本明細書中で使用される場合、(a)分子中の反応性基と効率よく結合し;(b)好ましくない化学反応中に反応性基が沈殿することを防止し;そして(c)反応性基の保護が必要でなくなった後、容易に除去することができる化学基を指す。保護基は、これがもう一つの反応に干渉するために、官能基の特徴的化学反応を一時的に遮蔽するために合成中に使用される。保護基を導入し、そして除去するための試薬及びプロトコルは、公知であり、そして多くのテキスト中で総説されている(例えば、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd edition,John Wiley & Sons,New York,1999,及びHarrison and Harrison et al.,Compendium of Synthetic Organic Methods,Vols.1−8 John Wiley and Sons,1971−1996)。当業者は、プロトコルが時々特定の分子に対して最適化されなければならないことを認識するものであり、そしてこのような最適化は、十分に当業者の能力による。
【0091】
2’,3’−ジアシル−4’−AU誘導体は、酵素的方法によって調製された。5’−アシル−4’−AU誘導体は、4’−AUの2’,3’−アセトニドのアセチル化(実施例3)によって、又は4’−AUの選択的な酵素触媒のアシル化によって調製された。
【0092】
投与量及び投与
本発明の化合物は、幅広い種類の経口投与剤形及び担体中に処方することができる。経口投与は、錠剤、被覆錠剤、糖衣錠、硬質及び軟質ゼラチンカプセル、溶液、乳液、シロップ、又は懸濁液の形態であることができる。本発明の化合物は、投与の他の経路中で、連続的(静脈内点滴)局所 非経口、筋肉内、静脈内、皮下、経皮(浸透向上剤を含むことができる)、頬側、鼻腔、吸入及び座薬投与を含む投与の他の経路によって投与された場合に効果的である。投与の好ましい様式は、一般的に、苦痛の程度及び活性成分に対する患者の反応によって調節することができる、好都合な毎日の投与計画を使用する経口である。
【0093】
本発明の化合物又は複数の化合物、並びにその医薬的に使用可能な塩は、一つ又はそれより多い慣用的な賦形剤、担体、又は希釈剤と一緒に、医薬組成物及び単位投与量の形態に入れることができる。医薬組成物及び単位剤形は、慣用的な成分を、慣用的な比率で、更なる活性化合物或いは成分を伴って又は伴わずに含んでなることができ、そして単位剤形は、使用される意図する日量の範囲と釣合った、いずれもの適した有効な量の活性成分を含有することができる。医薬組成物は、錠剤又は充填されたカプセルのような固体、半固体、粉末、継続放出製剤、或いは溶液、懸濁液、乳液、エリキシル、又は経口使用のための充填されたカプセルのような液体;或いは直腸又は膣投与のための座薬の形態;或いは非経口使用のための滅菌注射用溶液の形態として使用することができる。典型的な製剤は、約5%ないし約95%の活性化合物又は複数の化合物を含有するものである(重量/重量)。用語“製剤”又は“剤形”は、活性化合物の固体及び液体の製剤の両方を含むことを意図し、そして当業者は、活性成分が、標的の器官又は組織、並びに所望の投与量及び薬物動態学的パラメーターによって、異なった製剤中に存在することができることを認識するものである。
【0094】
用語“賦形剤”は、本明細書中で使用される場合、一般的に安全な、非毒性の、そして生物学的にも他の点でも好ましい、医薬組成物の調製において有用である化合物を指し、そして獣医学での使用、並びにヒトの医薬的使用のために受容可能な賦形剤を含む。本発明の化合物は、単独で投与することができるが、しかし一般的には、意図する投与の経路及び標準的な医薬的習慣に関して選択される、一つ又はそれより多い適した医薬的賦形剤、希釈剤又は担体との混合物で投与されるものである。
【0095】
“医薬的に受容可能な”は、これが、一般的に安全な、非毒性の、そして生物学的にも又は他の点でも好ましい医薬組成物の調製において有用であることを意味し、そしてヒトの医薬的使用のために受容可能なものを含む。
【0096】
活性成分の“医薬的に受容可能な塩”の形態は、更に最初に、非塩の形態において非存在であった活性成分の好ましい薬物動態学的特性を与えることができ、そして身体中のその治療活性に関する活性成分の薬物動力学に、積極的に影響することさえできる。語句、化合物の“医薬的に受容可能な塩”は、医薬的に受容可能であり、そして親化合物の所望の薬理学的活性を保有する塩を意味する。このような塩は:(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、等のような無機酸と形成される;又は酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイヒ酸、マンデリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンフルスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、ターシャリーブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸、等のような有機酸と形成される酸付加塩;或いは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はアルミニウムイオンによって置換されるか;或いはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン、等のような有機塩基と配位されるかのいずれかの場合に形成される塩を含む。
【0097】
固体の形態の製剤は、散剤、錠剤、丸薬、カプセル、カシェー、座薬、及び分散性顆粒剤を含む。固体の担体は、更に希釈剤、芳香剤、安定剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、又はカプセル化物質としても作用することができる一つ又はそれより多い物質であることができる。散剤において、担体は、一般的に微細に分割された個体であり、これは、微細に分割された活性成分との混合物である。錠剤において、活性成分は、一般的に必要な結合能力を有する担体と適した比率で混合され、そして所望の形状及び大きさに圧縮される。適した担体は、制約されるものではないが、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバター、等を含む。固体の形態の製剤は、活性成分に加えて、着色剤、芳香剤、安定剤、緩衝剤、人工及び天然の甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤、等を含有することができる。
【0098】
更に、経口投与のために適した液体の製剤は、乳液、シロップ、エリキシル、水溶液、水性懸濁液を含む液体製剤を含む。これらは、使用の短時間前に液体の形態の製剤に転換されることを意図した固体の形態の製剤を含む。乳液は、溶液中で、例えば、プロピレングリコール水溶液中で調製することができ、或いはレシチン、モノオレイン酸ソルビタン、又はアラビアゴムのような乳化剤を含有することができる。水溶液は、活性成分を水中に溶解し、そして適した着色剤、芳香剤、安定剤、及び増粘剤を加えることによって調製することができる。水性懸濁液は、微細に分割された活性成分を、天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムのような粘性物質、及び他の公知の懸濁剤と共に水中に分散することによって調製することができる。
【0099】
本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注射、例えばボーラス注射又は連続注入によって)のために処方することができ、そしてアンプル、充填済みシリンジ中の単位剤形で、小容量注入又は多数回投与容器中で保存剤を加えて与えることができる。組成物は、油性又は水性ベヒクル中の懸濁液、溶液、或いは乳液、例えばポリエチレングリコール水溶液中の溶液のような形態をとることができる。油性或いは非水性担体、希釈剤、溶媒又はベヒクルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)、及び注射用有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)を含み、そして保存剤、湿潤剤、乳化又は懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤のような処方剤を含有することができる。別の方法として、活性成分は、滅菌固体の無菌的単離によって、又は適したベヒクル、例えば滅菌のパイロジェンフリーの水による使用前の構成のために、溶液から凍結乾燥によって得られる粉末の形態であることができる。
【0100】
本発明の化合物は、軟膏、クリーム又はローションとして、或いは経皮貼布として表皮への局所投与のために処方することができる。軟膏及びクリームは、例えば、水性又は油性基剤と共に、適した増粘剤及び/又はゲル化剤の添加を伴って処方することができる。ローションは、水性又は油性基剤と共に処方することができ、そして一般的に更に一つ又はそれより多い乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、又は着色剤を含有するものである。口内の局所投与のために適した製剤は、芳香性基剤、通常スクロース及びアラビアゴム又はトラガカントゴム中に活性剤をを含んでなるロゼンジ;活性成分をゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアラビアゴムのような不活性基剤中に含んでなる芳香錠;並びに活性成分を適した液体担体中に含んでなる口内洗浄剤を含む。
【0101】
本発明の化合物は、座薬としての投与のために処方することができる。脂肪酸グリセリド又はココアバターの混合物のような低融点ワックスを、まず溶解し、そして活性成分を、均一に、例えば撹拌によって分散する。次いで溶融した均一の混合物を好都合な大きさの金型に注ぎ、冷却させ、そして固化させる。
【0102】
本発明の化合物は、膣投与のために処方することができる。活性成分に加えて、適当であると当技術において知られたような担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又は噴霧剤。本発明の化合物は、鼻腔投与のために処方することができる。溶液又は懸濁液は、慣用的な手段、例えば、スポイト、ピペット又は噴霧によって鼻腔の空洞に直接適用される。製剤は、一回又は多数回投与形態で提供される。スポイト又はピペットによる後者の場合、これは、患者が適当な、所定の体積の溶液又は懸濁液を投与することによって達成することができる。噴霧剤の場合、これは、例えば計量霧化噴霧ポンプによって達成することができる。
【0103】
本発明の化合物は、特に呼吸器管へのエアゾール投与のために処方することができ、そして鼻腔内投与を含む。化合物は、一般的に小さい粒子、例えば、ほぼ五(5)ミクロン又はそれより小さい程度の大きさを有するものである。このような粒子の大きさは、当技術において既知の手段、例えば微粒子化によって得ることができる。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、又はジクロロテトラフルオロエタン、或いは二酸化炭素又は他の適したガスのような適した噴霧剤と共に加圧式包装中で提供される。エアゾールは、好都合には更にレシチンのような界面活性剤を含有することができる。薬物の投与量は、計量弁によって制御することができる。別の方法として、活性成分は、乾燥粉末、例えばラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなデンプン誘導体、及びポリビニルピロリジン(PVP)のような適した粉末基剤中の化合物の粉末混合物の形態で提供することができる。粉末の担体は、鼻腔空洞でゲルを形成するものである。粉末の組成物は、それから粉末を吸入器によって投与することができる単位剤形、例えばゼラチン又はブリスターパックの、例えばカプセル又はカートリッジ中で与えることができる。
【0104】
所望する場合、製剤は、活性成分の持続性又は制御放出投与のために適応された腸溶コーティングを伴って調製することができる。例えば、本発明の化合物は、経皮又は皮下薬物供給デバイス中に処方することができる。これらの供給系は、化合物の持続性放出が必要な場合、及び患者の投与計画の遵守が重要である場合に好都合である。経皮供給系中の化合物は、しばしば皮膚付着型支持体に接着される。興味のある化合物は、更に浸透向上剤、例えば、Azone(1−ドデシルアザ−シクロヘプタン−2−オン)と組合せることができる。持続性放出供給系は、皮下層に手術又は注射によって皮下的に挿入される。皮下植込みは、化合物を脂質可溶性膜、例えばシリコンゴム、又は生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸中にカプセル化される。
【0105】
医薬的な担体、希釈剤及び賦形剤を伴う適した製剤は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 1995,edited by E.W.Martin,Mack Publishing Company,19th edition,Easton,Pennsylvania中に記載されている。当業者は、本明細書の教示内の製剤を、特定の投与の経路のための多くの製剤を提供するために、本発明の組成物を不安定にするか、又はその治療活性を損なうことなく改変することができる。
【0106】
例えば、本発明の化合物の、これを水又は他のベヒクル中で更に可溶性にするための改変は、小さな改変(塩の形成、エステル化、等)によって容易に達成することができ、これは、十分に当技術の通常の技術の範囲内である。患者の最大の有益な効果に対して本発明の化合物の薬物動態を管理するために、特定の化合物の投与の経路及び投与計画を改変することも更に十分に当技術の通常の技術の範囲内である。
【0107】
用語“治療的に有効な量”は、本明細書中で使用される場合、個体の疾病の症状を軽減するために必要な量を意味する。投与量は、それぞれの特定の場合の個々の要求に対して調節されるものである。投与量は、治療される疾病の重篤度、患者の年齢及び一般的健康状態、患者が治療されている他の医薬、投与の経路及び形態、並びに関係する医師の優先度及び経験のような多くの因子によって広い制約内で変更することができる。経口投与のために、一日当たり約0.01ないし約1000mg/kg体重間の日量が、単独療法及び/又は組合せ療法において適当である筈である。好ましい日量は、一日当たり、約0.1ないし約500mg/kg体重、更に好ましくは0.1ないし約100mg/kg体重、そして最も好ましくは1.0ないし約10mg/kg体重である。従って、70kgのヒトに対する投与のために、投与量範囲は、一日当たり、約7mgないし0.7gであるものである。日量は、一回投与、又は分割投与、典型的には一日当たり1ないし5回投与として投与することができる。一般的に、治療は、化合物の最適投与量より少ない、少ない投与量で開始される。その後、投与量は、個々の患者のための最適効果に達するまで、少量の増分によって増加される。本明細書中に記載される疾病を治療する当業者は、過度の実験を伴わず、そして個人の知識、本出願の実施例及び開示を信頼して、与えられた疾病及び患者のための本発明の化合物の治療的に有効な量を確認することが可能であるものである。
【0108】
本発明の態様において、活性化合物又は塩は、リバビリン、ヌクレオシドHCVポリメラーゼ阻害剤、もう一つのHCV非ヌクレオシドポリメラーゼ阻害剤又はHCVプロテアーゼ阻害剤のようなもう一つの抗ウイルス剤と組合せて投与することができる。活性化合物或いはその誘導体又は塩が、もう一つの抗ウイルス剤と組合せて投与される場合、活性は、親化合物を超えて増加することができる。治療が組合せ療法である場合、このような投与は、ヌクレオシド誘導体のそれに対して同時又は連続であることができる。従って“同時投与”は、本明細書中で使用される場合、同じ時間又は異なった時間における薬剤の投与を含む。二つ又はそれより多い薬剤の同時の投与は、二つ又はそれより多い活性成分を含有する単一の製剤によって、或いは一つの活性成分を持つ二つ又はそれより多い剤形の実質的に同時の投与によって達成することができる。
【0109】
本明細書中の治療に対する言及が、予防、並びに既往症状の治療に拡大されることは理解されるものである。更に、用語HCV感染の“治療”は、本明細書中で使用される場合、更にHCV感染に伴う、若しくはそれによって仲介される疾病又は症状、或いはその臨床症状の治療或いは予防を含む。
【0110】
用語“治療的に有効な量”は、本明細書中で使用される場合、個体の疾病の症状を軽減するために必要な量を意味する。投与量は、それぞれの特定の場合の個々の要求に対して調節されるものである。投与量は、治療される疾病の重篤度、患者の年齢及び一般的健康状態、患者が治療されている他の医薬、投与の経路及び形態並びに関係する医師の優先度及び経験のような多くの因子によって広い制約内で変更することができる。経口投与のために、一日当たり約0.01ないし約1000mg/kg体重間の日量が、単独療法及び/又は組合せ療法において適当である筈である。好ましい日量は、一日当たり、約0.1ないし約500mg/kg体重、更に好ましくは0.1ないし約100mg/kg体重、そして最も好ましくは1.0ないし約10mg/kg体重である。従って、70kgのヒトに対する投与のために、投与量範囲は、一日当たり、約7mgないし0.7gであるものである。日量は、一回投与、又は分割投与で、典型的には一日当たり1ないし5回投与として投与することができる。一般的に、治療は、化合物の最適投与量より少ない、少ない投与量で開始される。その後、投与量は、個々の患者のための最適効果に達するまで、少量の増分によって増加される。本明細書中に記載される疾病を治療する当業者は、過度の実験を伴わず、そして個人の知識、本出願の実施例及び開示を信頼して、与えられた疾病及び患者のための本発明の化合物の治療的に有効な量を確認することが可能であるものである。
【0111】
本発明の化合物、及び所望により一つ又はそれより多い更なる抗ウイルス剤の治療的に有効な量は、ウイルス負荷を減少するか、又は治療に対する持続性ウイルス陰性化を達成するために有効な量である。持続性陰性化に対する有用な指標は、ウイルス負荷に加えて、制約されるものではないが、肝臓の線維症、血清トランスアミナーゼレベルの上昇及び肝臓の壊死性炎症性活性を含む。例示であることを意図し、そして制約されることを意図したものではないマーカーの一つの普通の例は、標準的な臨床アッセイによって測定される血清アラニントランスアミナーゼ(ALT)である。本発明の幾つかの態様において、有効な治療計画は、ALTレベルを、約45IU/mL血清より少なく減少するものである。
【0112】
本発明の化合物の、例えば、これを水又は他のベヒクル中で更に可溶性にするための改変は、小さい改変(塩の形成、エステル化、等)によって容易に達成することができ、これは、十分に当技術の通常の技術内である。患者の最大の有益な効果に対する本発明の化合物の薬物動態を管理するために、特定の化合物の投与の経路及び投与計画を改変することも更に当技術の通常の技術内である。
【0113】
以下の実施例は、本発明の範囲内の化合物の調製及び生物学的評価を例示する。これらの実施例及びそれに続く調製は、当業者が本発明を更に明確に理解し、そして実施することが可能になるように提供される。これらは、本発明の範囲を制約すると考えられるべきでなく、しかし単に例示であり、そしてその代表である。
【実施例】
【0114】
実施例1
方法A:2’,3’,5’−トリアシルヌクレオシド誘導体の調製
酢酸3,4−ジアセトキシ−5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−テトラヒドロ−フラン−2−イルメチルエステル(22)の調製
【0115】
【化7】

【0116】
4’−アジドウリジン(0.330g、1.15mmol)、ピリジン(2mL)及び無水酢酸(2mL)を含有する撹拌された溶液に、DMAP(0.010g、0.08mmol)を加えた。12時間後、反応混合物を減圧下で乾燥状態まで蒸発した。残渣をジクロロメタン中に溶解し、そして飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして乾燥状態まで蒸発して、0.42g(88%)の2’,3’,5’−トリ−アセトキシ−4’−アジドウリジン(22:R=CH、I−4)を得た。
【0117】
(2R,3S,4R,5R)−2−アジド−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−エトキシカルボニルオキシ−2−エトキシカルボニルオキシメチル−テトラヒドロ−フラン−3−イル−カルボン酸エステルエチルエステル(22 R=OEt)は、無水酢酸をクロロギ酸エチルによって置換えることを除き、類似的に調製することができる。
【0118】
実施例2
方法B:5’−アシルヌクレオシド誘導体の調製
プロピオン酸(2R,3S,4R,5R)−2−アジド−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−3,4−ジヒドロキシ−テトラヒドロ−フラン−2−イルメチルエステル(I−6)
磁気撹拌子を備えた250mLの丸底フラスコに、20(5.94g)、プロピオン酸ビニル(15mL)及びTHF(150mL)を入れた。Immobead 150上に不動化されたCandida antarcticaリパーゼB(0.74g、Sigma−Aldrich、Aspergillus oryzaeから組換え、5865U/g)を加え、そして反応物をアルゴン雰囲気下の60℃で加熱した。2日後、更なるプロピオン酸ビニル(6mL)及び酵素(1.11g)を10gの3Åシーブと共に加えた。更に一日後、反応物を濾過して、不動化された酵素を除去し、そして真空中で濃縮した。粗製の生成物をSiOクロマトグラフィーによって、EtOAc/ヘキサンの勾配(50%から100%へのEtOAc)で溶出して精製した。溶媒の除去及び高真空下下の乾燥後、白色の泡状物(4g)を得た。この物質(3.25g)を、3/1のヘキサン/IPA中に懸濁し、そして3時間室温で撹拌した。得られた結晶質の物質を濾過によって収集し、そして75℃の真空オーブン中で乾燥して、3.18gのI−6を得た:融点148−150℃。
【0119】
当業者は、5’−アシル誘導体を調製するためのもう一つの一般的な方法が、4’−C−アジド−2’,3’−O−(1−メチルエチリデン)−ウリジン(CASRN 690271−27−3)の、酸塩化物及び酸無水物によるアシル化、並びにその後のアルコール水溶液中のHClのような温和な酸性条件下の、イソプロピリデン保護基の除去を含んでなる(本明細書中に参考文献としてその全てが援用される、J.A.Martin et al.,WO2004/046159 published June 3 2004)ことを認識するものである。
【0120】
実施例3
プロピオン酸(2R,3S,4R,5R)−2−アジド−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−3,4−ジヒドロキシ−テトラヒドロ−フラン−2−イルメチルエステル(I−6)−別法
【0121】
【化8】

【0122】
気泡放出器、撹拌機、温度計及び氷冷浴を備えた三口丸底フラスコに、24(10g、30.7mmol、当量:1.00、CASRN 139442−01−6)、DMAP(376mg、3.07mmol、当量:0.1)、DIPEA(7.95g、10.7mL、61.5mmol、当量:2.0)、アセトニトリル(47.2g、60.0mL、当量:−)を入れた。スラリーを0.5時間撹拌し、塩化プロピオニル(3.05g、2.86mL、32.3mmol、当量:1.05)を、0−10℃で10分かけて加えた。反応混合物は均質になり、そして室温まで温めた。反応混合物をHO(30mL)及びEtOAc(50mL)間に分配し、そして有機相を2NのHCl(2×30mL)、飽和NaHCO水溶液(20mL)、食塩水(10mL)で洗浄し、乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して、15.2gの油状物得た。15.2g。このようにして得た生成物(5.37g)を、IPA(25mL)、6NのHCl水溶液(12mL)及びヒドロキシルアミン塩酸塩(0.8g)の溶液中に溶解した。反応混合物を室温で撹拌した。反応物を5時間撹拌し、HO(30mL)、DCM(50mL)間に分配した。有機層を飽和NaHCO水溶液(30mL)、水(10mL)で連続して洗浄し、乾燥し 濾過し、そして真空中で濃縮した。残渣をヘプタン(30mL)で摩砕して、1.27gのI−6を泡状物として得た。
【0123】
実施例4
方法C:2’,3’−ジアシルヌクレオシド誘導体の調製
プロピオン酸(2R,3R,4S,5R)−5−アジド−2−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−5−ヒドロキシメチル−4−プロピオニルオキシ−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(I−1)
プロピオン酸(2R,3S,4R,5R)−2−アジド−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−3,4−ビス−プロピオニルオキシ−テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル(28)を、無水酢酸を塩化プロピオニル又はプロピオン酸無水物で置換えたことを除き、実施例1に記載したように調製する。
【0124】
熱(約40℃)MTBE(20mL)中に溶解された28(4.42g)の溶液に、リン酸緩衝液(27mL、pH=6.5)及び食塩水(0.5mL)を加えた。リポラーゼ(Lipolase)酵素溶液(0.5mL)を加え、そして反応混合物を30−35℃で約3時間撹拌した。加水分解の速度がかなり遅いことを見出した。更なる酵素溶液(6ml)を加え、そして反応混合物を30−35℃で3日間撹拌して、約95%の転換を達成した。反応混合物をEtOAc(30mL)で抽出した。抽出中に乳濁液が形成し、これをメタノール(約10mL)の添加によって溶解した。有機抽出物を食塩水及び水で洗浄し、そして次いで乾燥状態まで、5.7gの油状物(89%の組成物収率、面積正規化HPLCによって約94%ジプロピオン酸塩)まで蒸発した。粘性の油状物を約50℃の真空オーブン中で更に乾燥して、泡状物を得た。粗製の生成物を、SiOクロマトグラフィーによって、MeOH/DCMの勾配で溶出して更に精製して、I−1をワックス状の固体として得て、これは静置により結晶化した。
【0125】
実施例5
(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸(2R,3S,4R,5R)−2−アジド−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−3,4−ジヒドロキシ−テトラヒドロ−フラン−2−イルメチルエステル
工程1− 24(1.00g、3.07mmol)、Boc−(L)−バリン(6.14mmol)及びEDCI(6.14mmol)を含有するDMF(20mL)中の撹拌された溶液に、DMAP(3.07mmol)を加える。得られた溶液を窒素の雰囲気下及び室温で撹拌する。12時間後、反応混合物を減圧下で乾燥状態まで蒸発する。粗製の生成物を、SiOクロマトグラフィーによって、EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出して精製して、24(R=CH(NHBoc)CHMe)を得る。
【0126】
工程2− Boc及びアセトニド保護基は、TFA及びDCM或いはHCl及びジオキサン又はメタノールの溶液中で除去することができる。
実施例6
血漿薬物動態
薬物動態学的方法を、一回の経口の5mg/kgの投与量のIIのプロドラッグの投与後の、4−アミノ−1−((2R,3R,4S,5R)−5−アジド−3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オン(II)の血漿レベルを決定するために使用した。製剤は、5mLの適当なベヒクル中の0.0176mmolのプロドラッグを含有する溶液/懸濁液である。
【0127】
3匹の絶食していないオスのCynomolgusサル(6−9kg)に、伏在又は上腕カテーテルを取付けて、血液抜出しを容易にした。食物及び水への自由な接近は、研究中の全時間許可されるものである。研究の日に、投与前の血液試料(2−3mL)をそれぞれのサルから採取した。サルに、1mL/kgの投与溶液を経口強制飼養によって投与した。投与後、次のそれぞれの時点(0.25、0.5、1、3、5、7、10、24、32、及び48時間)で、概略0.5mLの血液をリチウムヘパリン被覆管に採取するものである。血液を遠心して、血漿を得て、これを分析まで冷凍した。
【0128】
それぞれの血漿試料中のIa(R−R=H)の濃度を、LC−MSアッセイによって決定した。標準曲線を、白紙のサルの血漿で調製した。AUCは、時間に対する濃度のプロット下の面積の合計を表し、これは、時間の関数としての全身性循環中の薬物の濃度を説明する(L.Z.Benet,D.L.Kroetz and L.B.Sheiner Pharmacokinetics in Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,J.G.Hardman & L.E.Limbird Eds.,9th Edition,McGraw Hill,New York,p 17−23)。Cmaxは、見いだされたピーク濃度である。
【0129】
【表2】

【0130】
実施例7
HCV NS5B RNAポリメラーゼ活性
ヌクレオシド一リン酸は、M.Yoshikawa et al.,Tetrahedron Lett.1967 50:5065−5068によって記載された一般的方法によって調製することができる。ヌクレオシド三リン酸の調製のための方法は、更に総説されている(K.Burgess and Dan Cook,Chem.Rev.2000 100:2047)。
【0131】
HCVポリメラーゼ(NS5B570n−Con1)の酵素活性を、放射線標識されたヌクレオチド一リン酸の、酸不溶性RNA産物への組込みとして測定した。組込まれなかった放射線標識された基質を、濾過によって除去し、そして放射線標識されたRNA産物を含有する洗浄され、そして乾燥されたフィルタープレートに、シンチラント(scintillant)を加えた。反応の終りに、NS5B570n−Con1によって産生されたRNA産物の量は、シンチラントによって放射された光の量に直接比例であった。
【0132】
酵素活性のアッセイに使用したHCVポリメラーゼは、HCV Con1、遺伝子型1b(遺伝子銀行寄託番号AJ242654)(NS5B570n−Con1)から誘導された、全長のHCVポリメラーゼの21アミノ酸のC末端欠損である。NS5B570n−Con1は、プラスミド発現構築物pET17bのT7プロモーターに下流でサブクローニングされ、そしてタンパク質発現のためにE.coli系BL21(DE3)pLysSに形質転換された。100μg/mLのアムピシリンで補充されたLB培地中の10Lの培養物のための接種を37℃で開始するために、単一のコロニーを使用した。600nMにおける培養物の光学密度が0.8になった時点で、タンパク質発現を、0.25mMのイソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(IPTG)の添加によって誘発した。タンパク質発現の誘発は、30℃で16時間行われ、その後細胞を遠心によって回収した。NS5B570n−Con1を、その後のNi−NTAのカラムクロマトグラフィー、SP−セファロースHP及びSuperdex 75樹脂を含むスリーカラム精製プロトコルを使用して均一性まで精製した。
【0133】
cIRES RNAテンプレート(0004項を参照されたい)の存在中の酵素反応は、20nMのcIRES RNA、20nMのNS5B570n−Con1酵素、0.5μCiのトリチウム標識されたUTP(Perkin Elmerカタログ番号TRK−412;比活性:30ないし60Ci/mmol;)、それぞれ1μMのATP、CTP、及びGTP、40mMのpH8.0のTris−HCl、40mMのNaCl、4mMのDTT(ジチオトレイトール)、4mMのMgCl2、5μlのDMSO中に希釈された一連の化合物、及び50μlの最終反応体積までのヌクレアーゼを含まない水を含んでいた。ポリA RNAテンプレート(0004項を参照されたい)の存在中の酵素反応は、20nMのポリA:オリゴ(rU)16予備混合物(0004項を参照されたい)、20nMのNS5B570n−Con1酵素、1μCiのトリチウム標識されたUTP(Perkin Elmerカタログ番号TRK−412;比活性:30ないし60Ci/mmol)、40mMのpH8.0のTris−HCl、40mMのNaCl、4mMのDTT(ジチオトレイトール)、4mMのMgCl2、5μlのDMSO中に希釈された一連の化合物、及び50μlの最終反応体積までのヌクレアーゼを含まない水を含んでいた。反応混合物を96ウェルのフィルタープレート(カタログ番号MADVN0B,Millipore Co.)中に構築し、そして30℃で2時間インキュベーとした。反応を10(容量/容量)%の最終トリクロロ酢酸の添加によって停止し、そして4℃で40分間インキュベートした。反応物を濾過し、反応物体積の8倍の10(容量/容量)%のトリフルオロ酢酸、反応物体積の4倍の70(容量/容量)%のエタノールで洗浄し、空気乾燥し、そして25μlのシンチラント(Microscint 20,Perkin−Elmer)を、それぞれの反応ウェルに加えた。
【0134】
二つのRNAテンプレートを、本明細書中に記載した化合物を分析するために使用した。cIRES RNAテンプレートは、377個のヌクレオシドの長さであり、そしてコアタンパク質の部分的な相補的配列(36個のヌクレオチド)、それに続く内部リボソーム進入部位の相補的配列の341個のヌクレオチドからなっていた。ポリA RNAテンプレート(GE Amershamカタログ番号27−4110)は、3対1のモル比でオリゴ(rU)16プライマーにプレアニーリングされた同種重合体のRNAであった(プライマー−テンプレート)。
【0135】
シンチラントから放射される光の量は、Topcount(登録商標)プレートリーダー(Perkin−Elmer,エネルギー範囲:低、効率モード:標準、計数時間:1分、背景雑音減算:無し、混信軽減:切断)で毎分当たり計数(CPM)に転換された。
【0136】
データを、Excel(登録商標)(Microsoft(登録商標))及びActivityBase(登録商標)(idbs(登録商標))で解析した。酵素の非存在下の反応を背景信号の決定に使用し、これを酵素反応から差し引いた。正の対照の反応を化合物の非存在で行い、これから背景雑音補正した活性を、100%ポリメラーゼ活性として設定した。全てのデータを、正の対照のパーセントとして表示した。RNA合成の酵素で触媒された速度が50%に減少される化合物濃度(IC50)を、以下の等式(i):
【0137】
【化9】

【0138】
に当てはめて計算し、式中“Y”は、相対酵素活性(%)に対応し、“%Min”は、飽和化合物濃度における残留相対的活性であり、“%Max”は、相対最大酵素活性であり、“X”は、化合物濃度に対応し、そして“S”は、Hill係数(又は傾斜)である。
【0139】
4’−AU三リン酸のIC50に対する実験値は、0.46±0.088μMであり、これは、29±0.13μMである4’−AC−三リン酸と類似である。
実施例8
ヒト肝細胞、末梢血単核球細胞(PBMC)、及び骨髄細胞(BMC)中の4AU−三リン酸の形成 初代ヒト肝細胞中のヌクレオシド類似体4AUの取込み及びリン酸化の分析を、以前に刊行された(Ma,H.et al.J.Biol.Chem.2007,282:29812−29820)ように行った。新鮮なヒト肝細胞をプレートに蒔き、そして異なった時間間隔でHで標識された4AUと共にインキュベートした。細胞の回収の時点で、細胞培養培地を吸引し、そして細胞を冷リン酸緩衝生理食塩水で一回洗浄した。細胞を1mLの予備冷却された10mMのEDTAを含有する60(容量/容量)%のメタノール中に掻き出し、そしてメタノール中で−20℃で24時間抽出した。次いで抽出した試料を10,000×gで15分間遠心して、細胞片を除去した。上清を新しい試験管に移し、そしてスピードバキューム中で室温で蒸発した。細胞抽出物の乾燥したペレットをHO中に溶解した。HPLC分析の前に、細胞抽出物の試料に、標識されていない参照標準の4AU並びに4AU−一、二及び三リン酸誘導体を添加した。
【0140】
ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)及び骨髄細胞(BMC)中の4AUの取込み並びにリン酸化を、H−RO1080713を伴う、それぞれ2−4×10細胞/ml又は5−6×10細胞/mlのPBMC又はBMC細胞懸濁液の異なった時間の長さのインキュベーションにより行った。H−RO1080713を含有する細胞培養培地を、24時間毎に補充した。時点当たり2×10の生存細胞に相当する二重の試料を、実験の終りに回収し、5分間の遠心によってペレット化し、そして冷PBSで一回洗浄した。最終細胞ペレットをドライアイス上で瞬間冷凍し、そして抽出まで−80℃で保存した。細胞ペレットの抽出は、初代肝細胞のためのもののように行った。
【0141】
4AUのリン酸化誘導体を、放射線測定検出器(β−RAM,IN/US Systems,Inc.)に接続されたWhatman Partisil 10 SAX(4.6×250mm)カラムを持つイオン交換HPLCによって分離した。移動相の勾配を、99%の緩衝液A(HO)及び1%の緩衝液B(0.5MのKHPO+0.8MのKCl)から100%のBに、4ないし16分の間で直線的に変化させた。100%のBで16分から26分まで実行し、そして100%のAに1分で戻した。緩衝液Aで32分まで実行した。32分までの実行中の流速は、1ml/分で一定であった。5:1のUltima−FloTM AP(PerkinElmer)とカラム溶出物の比を使用した。
【0142】
試料中のRO1080713誘導体を、ラジオクロマトグラム中の放射性代謝産物の保持時間の、試料中に添加された非放射性参照標準の保持時間との比較によって同定した。
図3は、4’−ACより概略10倍高い4’−AUの効率の良いリン酸化をグラフ的に例示する。
【0143】
実施例9
主題の化合物の幾つかの経路による投与のための医薬組成物を、本実施例に記載するように調製した。
【0144】
経口投与のための組成物(A)
【0145】
【表3】

【0146】
成分を混合し、そしてそれぞれ約100mgを含有するカプセルに分配した;一個のカプセルは、概略全日量であるものであった。
経口投与のための組成物(B)
【0147】
【表4】

【0148】
成分を混合し、そしてメタノールのような溶媒を使用して顆粒化した。次いで製剤を乾燥し、そして適当な造粒機で錠剤(約20mgの活性化合物を含有)に形成した。
経口投与のための組成物(C)
【0149】
【表5】

【0150】
成分を混合して、経口投与のための懸濁液を形成した。
非経口製剤(D)
【0151】
【表6】

【0152】
活性成分を注射用水の一部に溶解した。次いで十分な量の塩化ナトリウムを撹拌しながら加えて、溶液を等張にした。残りの注射用水で溶液を重量に合わせ、0.2ミクロンの濾過膜を通して濾過し、そして滅菌条件下で包装した。
【0153】
前述の記載、又は以下の特許請求の範囲中に開示される特徴であって、その具体的形態若しくは開示された機能を行うための手段、又は開示された結果を達成するための方法或いは過程の用語で表現されたものを、適宜に、別個で、又はこのような特徴の任意の組合せで、本発明をその多種多様な形態で現実化するために使用することができる。
【0154】
前述の発明は、明確さ及び理解の目的のために、例示及び実施例としてある程度詳細に記載されている。当業者にとって、変更及び改変を特許請求の範囲の範囲内で実施することができることは明白であるものである。従って、上記の記載が、例示を意図し、そして制限的ではないことは理解されるべきである。従って、本発明の範囲は、上記の記載に準拠することなく決定されるべきであり、しかし代わりに、以下の特許請求の範囲に準拠して、このような特許請求の範囲が権利を与える均等物の全ての範囲と共に、決定されるべきである。
【0155】
本明細書中で言及された特許、公開された出願、及び科学的文献は、当業者の知識を確立し、そしてその全てが、それぞれが、参考文献として援用されることが参考文献として具体的に、そして個々に示されるかのように、ある程度まで本明細書中に援用される。本明細書中に引用されたいずれもの参考文献、及び本明細書中の具体的な教示間のいずれもの不一致は、後者に好意的に解決されるべきである。同様に、用語及び語句の当技術において理解される定義、及び本明細書中で具体的に教示されるような用語又は語句の定義間のいずれもの不一致は、後者に好意的に解決されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式I:
【化1】

[式中:
及びRは、(i)独立に、それぞれの出現において、水素、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、及びC1−6アミノアルキルカルボニルからなる群から選択されるか、又は(ii)R及びR分子の両方が一緒に選択されて、一緒にC(=O)であり;
は、水素、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル又はC1−6アミノアルキルカルボニルであり、但し、R、R及びRの少なくとも一つは、水素以外であることを条件とする]
の化合物、又は医薬的に受容可能なその塩。
【請求項2】
、R及びRが、C1−6アルキルカルボニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
及びRが、C1−6アルキルカルボニルであり、そしてRが、水素である、請求項10に記載の化合物。
【請求項4】
及びRが、水素であり、そしてRが、C1−6アルキルカルボニル、又はC1−6アミノアルキルカルボニルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項5】
プロピオン酸(2R,3R,4S,5R)−5−アジド−2−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−5−ヒドロキシメチル−4−プロピオニルオキシ−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル;
イソ酪酸(2R,3R,4S,5R)−5−アジド−2−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−イソブチリルオキシ−5−イソブチルルオキシメチル−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル;
プロピオン酸(2R,3S,4R,5R)−2−アジド−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−3,4−ビス−プロピオニルオキシ−テトラヒドロ−フラン−2−イルメチルエステル;
酢酸(2R,3R,4S,5R)−4−アセトキシ−5−アセトキシメチル−5−アジド−2−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル;
ペンタン酸(2R,3S,4R,5R)−2−アジド−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−3,4−ビス−ペンタノイルオキシ−テトラヒドロ−フラン−2−イルメチルエステル;及び、
プロピオン酸(2R,3S,4R,5R)−2−アジド−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−3,4−ジヒドロオキシ−テトラヒドロ−フラン−2−イルメチルエステル;
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
治療的に有効な量の請求項1に記載の化合物により、それを必要とする患者を治療することを含んでなる、C型肝炎(HCV)感染を治療するための方法。
【請求項7】
、R及びRが、C1−6アルキルカルボニルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
及びRが、C1−6アルキルカルボニルであり、そしてRが、水素である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
及びRが、水素であり、そしてRが、C1−6アルキルカルボニル、又はC1−6アミノアルキルカルボニルである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
更に少なくとも一つの免疫系調節剤及び/又は少なくとも一つのHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤を投与することを含んでなる、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記免疫系調節剤が、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子及びコロニー刺激因子からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記免疫系調節剤が、インターフェロン又は化学的に誘導されたインターフェロンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
更に少なくとも一つの他の抗ウイルス剤を投与することを含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記抗ウイルス化合物が、HCVプロテアーゼ阻害剤、もう一つのヌクレオシドHCVポリメラーゼ阻害剤、非ヌクレオシドHCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCVプライマーゼ阻害剤及びHCV融合阻害剤からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
HCV感染の治療のための、R、R及びRが、請求項1において定義したとおりである式Iの化合物の使用。
【請求項16】
少なくとも一つの免疫系調節剤及び/又は少なくとも一つのHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤との組合せにおける、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
HCV感染の治療のための医薬の製造のための、R1、R2及びR3が、請求項1において定義したとおりである式Iの化合物の使用。
【請求項18】
少なくとも一つの医薬的に受容可能な担体、希釈剤又は賦形剤と混合された、治療的に有効な量の請求項1に記載の化合物を含んでなる医薬組成物。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−518076(P2013−518076A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550415(P2012−550415)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050971
【国際公開番号】WO2011/092158
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】