説明

抗うつ薬と組み合わせてコレステロール低下剤を使用する心理的障害および認知障害の治療法

本発明は、うつ病などの認知障害または心理的障害を治療または軽減するための組成物、キット、および方法を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、抗うつ薬と組み合わせてコレステロール低下剤を投与することによって心理的障害および認知障害を治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
細胞膜は、細胞の境界を定め、かつ様々な重要な細胞機能を遂行する。それらの主要な機能のうちの1つは、細胞中および細胞外への物質の輸送を制御することである。それらはまた、細胞間の認識、接着、情報交換、およびシグナル伝達において極めて重大な役割を果たしている。
【0003】
細胞膜の組成は、その顕微鏡的構造を決定し、その結果として、膜の形状、透過性、および流動性などのパラメータ、ならびに膜内部に埋め込まれているイオンチャネル、酵素、および受容体の立体構造および機能性に影響を及ぼす。脂質およびタンパク質が細胞膜の主要成分であるが、炭水化物もまた存在し得る。ホスファチジルコリンおよびスフィンゴミエリンなどのリン脂質が、最も豊富な膜脂質である。糖脂質およびコレステロールもまた、細胞膜中に広く存在している。
【0004】
膜脂質の配列および組成の改変は、膜の物理的および化学的特性に対して多大な影響を有し得る。例えば、膜のコレステロール対リン脂質の比率が変化すると、膜流動性の変化が生じ得る。一般に、コレステロール含有量の増加は膜流動性の減少をもたらすのに対し、膜コレステロールの減少は、流動性を増加させる傾向がある。膜流動性の比較的小さな変化でさえ、イオン輸送、シグナルの認識および伝達、ならびに酵素活性の調節を含む、膜に関連した機能に対する相当な影響を引き起こし得る。
【0005】
うつ病などの認知障害および心理的障害と神経生物学との関係は極めて複雑であり、かつ認知障害または心理的障害の原因または症状を改善することは、単に神経伝達物質の利用能を増加させる以上のことを要すると思われる。例えば、脳中のニューロンによるセロトニンおよびドーパミンなどの神経伝達物質の取込みを改変する薬物である抗うつ薬を与えられている患者は、様々な神経伝達物質の利用能の即時的増加を示すが、気分高揚には数ヶ月の薬物療法を必要とすることがあり、これは適応または薬物に誘導された可塑性が生じていることを示唆する。一部の患者においては、抗うつ薬療法は、認知障害または心理的障害の症状を緩和しない。したがって、認知障害または心理的障害と診断された患者に緩和をもたらす改善された療法が必要とされている。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明の方法は、以下の段階を含む:(a)患者に対して診断検査を実施して、その患者が認知障害または心理的障害を有していることを判定する段階、およびその患者がそのように診断された場合には、(b)その患者に抗うつ薬と組み合わせてコレステロール低下剤を投与する段階。コレステロール低下剤は、患者の血清コレステロールを低下させ、かつ脳の膜流動性を増加させるのに十分な量で投与される。コレステロール低下剤および抗うつ薬は、相乗的に働いて、患者の認知障害もしくは心理的障害を治療し、またはその重症度を軽減する。
【0007】
ある態様において、コレステロール低下剤および抗うつ薬は、別々の製剤中で投与される。または、コレステロール低下剤および抗うつ薬は、単一の製剤中に共に混合され得る。別々の製剤中で投与される場合、これらの薬剤は、同時にまたは互いに28日以内、14日以内、7日以内、もしくは1日以内に投与され得る。コレステロール低下剤および抗うつ薬は、同じ投与経路(例えば、経口、静脈内、筋肉内、眼、局所的、経皮、皮下、および直腸)によって投与されてもされなくてもよい。任意で、この方法は、低脂肪食または低ナトリウム食の採用、ストレス管理、身体運動、アルコール摂取の減少、および喫煙の減少を含む、生活様式の変更など付加的な療法計画を含み得る。
【0008】
例えば、コレステロール低下剤および抗うつ薬は、治療されている患者に、認知障害または心理的障害を治療または軽減させるのに全体として十分である量で、互いに28日以内に投与され得る。
【0009】
コレステロール低下剤は、フィブラート(例えばクロフィブラート(ATROMID-S(登録商標)))、胆汁酸吸着剤(例えばコレスチラミンおよびコレスチポール(cholestipol)(COLESTID(登録商標))ならびにニコチン酸(ナイアシン))、ゲムフィブロジル(LOPID(登録商標)およびGEMCOR(登録商標))、プロブコール(PANAVIR(登録商標))、ならびにHMG-CoA還元酵素阻害剤(例えばロバスタチン(MEVACOR(登録商標))、セリバスタチン(BAYCOL(登録商標))、フルバスタチン(LESCOL(登録商標))、アトルバスタチン(LIPITOR(登録商標))、プラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標))、およびシンバスタチン(ZOCOR(登録商標))などのスタチン)からなる群より選択され得る。好ましくは、この薬剤はアトルバスタチンまたはシンバスタチンである。
【0010】
抗うつ薬は、三環系抗うつ薬(TCA;例えばイミプラミン(TOFRANIL(登録商標)など)、アミトリプチリン(ELAVIL(登録商標)およびENDEP(登録商標))、アモキサピン、デシプラミン(NORPRAMINE(登録商標)およびPERTOFRANE(登録商標))、ノルトリプチリン(PAMELOR(登録商標)およびAVENTYL(登録商標))、トリミプラミン(SURMONTIL(登録商標))、プロトリプチリン(VIVACTIL(登録商標))、ドキセピン(ADAPIN(登録商標)、SINEQUAN(登録商標))、クロミプラミン(ANAFRANIL(登録商標))、ならびにマプロチリン)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI;例えばフルオキセチン(PROZAC(登録商標))、デュロキセチン(CYMBALTA(登録商標))、セルトラリン(ZOLOFT(登録商標))、パロキセチン(PAXIL(登録商標)およびSEROXAT(登録商標))、フルボキサミン(LUVOX(登録商標))、シタロプラム(CELEXA(登録商標))、エスシタロプラム(LEXAPRO(登録商標))、ならびにシプラレックス(cipralex)(ESCITALOPRAM(登録商標)))、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI;例えばミルナシプラン(IXEL(登録商標))、ベンラファキシン(EFFEXOR(登録商標))、トラゾドン(DESYREL(登録商標))、ミルタザピン(REMERON(登録商標))、ネファゾドン(SERZONE(登録商標))、レボキセチン(EDRONAX(登録商標)およびVESTRA(登録商標))、ならびにブプロピオン(WELLBUTRIN(登録商標)))、ならびにモノアミン酸化酵素阻害剤(MAOI;例えばフェネルジン(NARDIL(登録商標))、トラニルシプロミン(PARNATE(登録商標))、イソカルボキサジド(MARPLAN(登録商標))、モクロベミド(AUROIX(登録商標)およびMANERIX(登録商標))、ブロファロミン(brofaromine)(CONSONAR(登録商標))、セレギリン(ATAPRYL(登録商標)、DEPRENYL(登録商標)、およびELDEPRYL(登録商標))、フラゾリドン(FUROXONE(登録商標))、イソニアジド(LANIAZID(登録商標)およびNYDRAZID(登録商標))、イソニアジドリファンピン(RIFAMATE(登録商標)およびRIMACTANE(登録商標)/INH)、パルギリン(EUTONYL(登録商標))、プロカルバジン(MATULANE(登録商標))、ノミフェンシン(MERITAL(登録商標))、FA70、クロルジリン、TV3326(N-プロパルギル-(3R)-アミノインダン-5-イル-エチルメチルカルバマートヘミタルトラート)、ならびにベフロキサトン(befloxatone))からなる群より選択され得る。
【0011】
本発明の方法は、うつ病(例えば治療に関連したうつ病)、気分変調、循環気質、双極性障害、精神分裂病および分裂情動障害、境界性人格障害、加齢による記憶力減退、軽度の認知機能障害、ならびに任意の病因(例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、ハンチントン病、ピック病、HIV、頭部外傷)による認知症、パニック障害、社会恐怖症、過食症、ナルコレプシー、注意欠陥障害(ADD;活動亢進を伴うものまたは伴わないもの)、強迫性障害などの認知障害および情動障害、ならびにアルコール、興奮薬、アヘン剤、マリファナ、溶剤、およびニコチンの乱用または依存症を含む物質乱用障害を含む、様々な認知障害および心理的障害を治療するため、またはそれらの重症度を軽減するために使用され得る。障害は、個々の治療計画とは無関係に発症することがあり、または患者が認知的、心理的、もしくは他の疾患または障害に対して受けている治療によって引き起こされるか、もしくはそれに関連していることがある。
【0012】
さらなる局面において、本発明は、フィブラート(例えばクロフィブラート(ATROMID-S(登録商標)))、胆汁酸吸着剤(例えばコレスチラミンおよびコレスチポール(COLESTID(登録商標))、ならびにニコチン酸(ナイアシン))、ゲムフィブロジル(LOPID(登録商標)およびGEMCOR(登録商標))、プロブコール(PANAVIR(登録商標))、ならびにHMG-CoA還元酵素阻害剤(例えばロバスタチン(MEVACOR(登録商標))、セリバスタチン(BAYCOL(登録商標))、フルバスタチン(LESCOL(登録商標))、アトルバスタチン(LIPITOR(登録商標))、プラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標))、ならびにシンバスタチン(ZOCOR(登録商標)))より選択されるコレステロール低下剤、ならびに認知障害または心理的障害を有するかまたは有するリスクがある患者に、抗うつ薬と共に、別々にまたは混合してそれを投与するための取扱い説明書を含むキットを特徴とする。
【0013】
本発明はまた、三環系抗うつ薬(TCA;例えばイミプラミン(TOFRANIL(登録商標)など)、アミトリプチリン(ELAVIL(登録商標)およびENDEP(登録商標))、アモキサピン、デシプラミン(NORPRAMINE(登録商標)およびPERTOFRANE(登録商標))、ノルトリプチリン(PAMELOR(登録商標)およびAVENTYL(登録商標))、トリミプラミン(SURMONTIL(登録商標))、プロトリプチリン(VIVACTIL(登録商標))、ドキセピン(ADAPIN(登録商標)、SINEQUAN(登録商標))、クロミプラミン(ANAFRANIL(登録商標))、ならびにマプロチリン)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI;例えばフルオキセチン(PROZAC(登録商標))、デュロキセチン(CYMBALTA(登録商標))、セルトラリン(ZOLOFT(登録商標))、パロキセチン(PAXIL(登録商標)およびSEROXAT(登録商標))、フルボキサミン(LUVOX(登録商標))、シタロプラム(CELEXA(登録商標))、エスシタロプラム(LEXAPRO(登録商標))、ならびにシプラレックス(ESCITALOPRAM(登録商標)))、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI;例えばミルナシプラン(IXEL(登録商標))、ベンラファキシン(EFFEXOR(登録商標))、トラゾドン(DESYREL(登録商標))、ミルタザピン(REMERON(登録商標))、ネファゾドン(SERZONE(登録商標))、レボキセチン(EDRONAX(登録商標)およびVESTRA(登録商標))、ならびにブプロピオン(WELLBUTRIN(登録商標)))、ならびにモノアミン酸化酵素阻害剤(MAOI;例えばフェネルジン(NARDIL(登録商標))、トラニルシプロミン(PARNATE(登録商標))、イソカルボキサジド(MARPLAN(登録商標))、モクロベミド(AUROIX(登録商標)およびMANERIX(登録商標))、ブロファロミン(CONSONAR(登録商標))、セレギリン(ATAPRYL(登録商標)、DEPRENYL(登録商標)、およびELDEPRYL(登録商標))、フラゾリドン(FUROXONE(登録商標))、イソニアジド(LANIAZID(登録商標)およびNYDRAZID(登録商標))、イソニアジドリファンピン(RIFAMATE(登録商標)およびRIMACTANE(登録商標)/INH)、パルギリン(EUTONYL(登録商標))、プロカルバジン(MATULANE(登録商標))、ノミフェンシン(MERITAL(登録商標))、FA70、クロルジリン、TV3326(N-プロパルギル-(3R)-アミノインダン-5-イル-エチルメチルカルバマートヘミタルトラート)、ならびにベフロキサトン)より選択される抗うつ薬、ならびに認知障害または心理的障害を有するかまたは有するリスクがある患者に、コレステロール低下剤と共に、別々にまたは混合してそれを投与するための取扱い説明書を含むキットも特徴とする。
【0014】
本発明はまた、フィブラート(例えばクロフィブラート(ATROMID-S(登録商標)))、胆汁酸吸着剤(例えばコレスチラミンおよびコレスチポール(COLESTID(登録商標))、ならびにニコチン酸(ナイアシン))、ゲムフィブロジル(LOPID(登録商標)およびGEMCOR(登録商標))、プロブコール(PANAVIR(登録商標))、ならびにHMG-CoA還元酵素阻害剤(例えばロバスタチン(MEVACOR(登録商標))、セリバスタチン(BAYCOL(登録商標))、フルバスタチン(LESCOL(登録商標))、アトルバスタチン(LIPITOR(登録商標))、プラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標))、ならびにシンバスタチン(ZOCOR(登録商標)))より選択されるコレステロール低下剤、ならびに三環系抗うつ薬(TCA;例えばイミプラミン(TOFRANIL(登録商標)など)、アミトリプチリン(ELAVIL(登録商標)およびENDEP(登録商標))、アモキサピン、デシプラミン(NORPRAMINE(登録商標)およびPERTOFRANE(登録商標))、ノルトリプチリン(PAMELOR(登録商標)およびAVENTYL(登録商標))、トリミプラミン(SURMONTIL(登録商標))、プロトリプチリン(VIVACTIL(登録商標))、ドキセピン(ADAPIN(登録商標)、SINEQUAN(登録商標))、クロミプラミン(ANAFRANIL(登録商標))、ならびにマプロチリン)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI;例えばフルオキセチン(PROZAC(登録商標))、デュロキセチン(CYMBALTA(登録商標))、セルトラリン(ZOLOFT(登録商標))、パロキセチン(PAXIL(登録商標)およびSEROXAT(登録商標))、フルボキサミン(LUVOX(登録商標))、シタロプラム(CELEXA(登録商標))、エスシタロプラム(LEXAPRO(登録商標))、ならびにシプラレックス(ESCITALOPRAM(登録商標)))、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI;例えばミルナシプラン(IXEL(登録商標))、ベンラファキシン(EFFEXOR(登録商標))、トラゾドン(DESYREL(登録商標))、ミルタザピン(REMERON(登録商標))、ネファゾドン(SERZONE(登録商標))、レボキセチン(EDRONAX(登録商標)およびVESTRA(登録商標))、ならびにブプロピオン(WELLBUTRIN(登録商標)))、ならびにモノアミン酸化酵素阻害剤(MAOI;例えばフェネルジン(NARDIL(登録商標))、トラニルシプロミン(PARNATE(登録商標))、イソカルボキサジド(MARPLAN(登録商標))、モクロベミド(AUROIX(登録商標)およびMANERIX(登録商標))、ブロファロミン(CONSONAR(登録商標))、セレギリン(ATAPRYL(登録商標)、DEPRENYL(登録商標)、およびELDEPRYL(登録商標))、フラゾリドン(FUROXONE(登録商標))、イソニアジド(LANIAZID(登録商標)およびNYDRAZID(登録商標))、イソニアジドリファンピン(RIFAMATE(登録商標)およびRIMACTANE(登録商標)/INH)、パルギリン(EUTONYL(登録商標))、プロカルバジン(MATULANE(登録商標))、ノミフェンシン(MERITAL(登録商標))、FA70、クロルジリン、TV3326(N-プロパルギル-(3R)-アミノインダン-5-イル-エチルメチルカルバマートヘミタルトラート)、ならびにベフロキサトン)より選択される抗うつ薬、ならびに認知障害または心理的障害を有するかまたは有するリスクがある患者に、別々にまたは混合してそれらを投与するための取扱い説明書を含むキットも特徴とする。
【0015】
本発明の他の特徴および利点は、以下のその詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになると考えられる。
【0016】
定義
「情動障害」とは、気分の乱れを主な特徴とする任意の情緒障害または精神障害を意味する。
【0017】
コレステロール低下剤に言及する場合の「十分な量」とは、コレステロールレベル(例えばLDLコレステロール、HDLコレステロール、およびトリグリセリド)を決定するための任意の標準技術によって測定した場合に、ヒトの血清コレステロールレベルを少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、またはそれ以上低下させることができる、単独または別の療法計画と組み合わせた、化学的化合物または組成物の量を意味する。認知障害または心理的障害の治療的処置のために本発明を実施するのに使用されるコレステロール低下剤の十分な量は、投与様式、患者の年齢、体重、および全体的健康状態に応じて変動する。最終的に、処方者らが適切な量および投与計画を決定することになる。
【0018】
抗うつ薬に言及する場合、「十分な量」とは、化学的化合物または組成物が、単独または別の治療計画と組み合わせて、例えばうつ病の治療を実施し、または重症度の軽減をもたらすことができることを意味する。
【0019】
「抗うつ薬」とは、ニューロンのシナプスで(すなわち神経伝達物質の放出を増加させること、神経伝達物質の取込みもしくは分解を減少させること、神経伝達物質シグナル伝達受容体を活性化すること、または神経伝達物質再取込み受容体を下向き調節することによって)神経伝達物質(例えばノルエピネフリン、セロトニン、およびドーパミン)の作用を調整することができる化学的化合物または組成物を意味する。
【0020】
「コレステロール低下剤」とは、コレステロールレベル(例えばLDLコレステロール、HDLコレステロール、およびトリグリセリド)を決定するための任意の標準技術によって測定した場合に、患者(例えばヒトまたはヒト以外の動物)の血清コレステロールレベルを、化学的化合物または組成物を投与されていない患者と比べて少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、またはそれ以上低下させることができる、化学的化合物または組成物を意味する。
【0021】
「認知障害」とは、記憶、学習、感知、注意、意思疎通、知的能力、判断を下す能力、および/または運動協調性の機能障害を含む、精神的プロセスに影響を及ぼす任意の障害を意味する。このような障害は人格および行動の変化をしばしば伴う。これらの障害の例には、せん妄、認知症、および健忘性障害が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0022】
本明細書において使用される場合、「うつ病」という用語の意味は、当技術分野においてその一般に認められている意味と一致している(例えばDSM-IV [R]およびThe Merck Manual, Beers, M. H., et al., eds., 1531-1538 (17th ed., 1999)を参照されたい)。うつ病の心理的症状には、気分の変化、強い悲しみの感情、絶望、精神緩慢(mental slowing)、集中力の減退、悲観的な心配、興奮、および自己非難が含まれるが、これらに限定されるわけではない。うつ病の身体的症状には、不眠症、食欲不振、体重減少、活動力の低下、およびホルモンの概日リズムの異常が含まれるが、これらに限定されるわけではない。本明細書において使用される場合、「うつ病の治療または重症度の軽減」および「うつ病を治療すること」という用語は、うつ病からの解放、またはその心理的もしくは身体的症状の軽減を意味する。
【0023】
「膜流動性に関連した」とは、細胞膜の流動性または膜の配列の変化(減少もしくは増加のいずれか)に関連することを意味する。
【0024】
「物質の乱用または嗜癖」とは、ある物質に対する身体的および/または心理的嗜癖もしくは依存を意味する。患者が嗜癖を生じ得るかまたは依存し得る物質の例には、アルコール、バルビツレート、エトクロルビノール、グルテチミド、メタカロン、メチプリロン、ならびに天然および合成アヘン剤などの中枢神経系(CNS)抑制薬;アルプラゾラム、オキサゼパム、テマゼパム、クロルジアゼポキシド、およびジアゼパムなどの抗不安薬;アンフェタミンおよびメタンフェタミン、特にニコチンおよびコカインなどの興奮薬;ならびにLSD、マリファナ、およびメスカリンなどの幻覚薬が含まれるが、これらに限定されるわけではない。物質嗜癖の心理的症状には、満足感および薬物体験を繰り返したいという願望、その物質の欲求、ならびにその物質の強迫的使用が含まれるが、これらに限定されるわけではない。物質(すなわち薬物またはアルコール)の離脱の心理的症状には、幻覚ならびにうつ病の症状および不安が含まれるが、これらに限定されるわけではない。物質嗜癖の身体的症状には、上記のうつ病の身体的症状が含まれるが、これらに限定されるわけではない。薬物離脱の身体的症状には、疼痛および上記のうつ病の身体的症状が含まれる。
【0025】
「物質乱用障害」とは、化学物質の乱用、化学物質に対する嗜癖、または化学物質への依存を主な特徴とする任意の生理的または心理的障害を意味する。
【0026】
「認知障害もしくは心理的障害を治療することまたはその重症度を軽減すること」とは、診断されたそのような状態を改善することを意味する。同等の未治療の対照と比較した場合、このような治療または重症度の軽減は、任意の標準技術によって測定されるように、少なくとも5%、10%、20%、40%、50%、60%、80%、90%、95%、または100%である。
【0027】
認知障害または心理的障害を治療されている患者は、そのような状態を有していると開業医が診断を下した人である。診断は、本明細書において説明するものなど任意の適切な手段によって実施され得る。当業者には、本発明の患者は標準の検査に供された可能性があるか、または家族歴、高レベルの血中トリグリセリド、高レベルの血中コレステロール、および分子マーカーの存在など1種もしくは複数種のリスク要因の存在のために高リスクにある人として検査せずに特定された可能性があることが理解されよう。
【0028】
詳細な説明
本発明は、脳細胞膜の流動性の減少に関連付けられている認知障害および/または心理的障害を治療する方法を提供する。本方法は、抗うつ薬と組み合わせてコレステロール低下剤を患者に投与することを含む。コレステロール低下剤は、患者の血清コレステロールレベルを減少させ、それによって神経細胞膜中のコレステロールレベルの対応する低下および膜流動性の付随的な増加をもたらす。膜流動性の増加は、同時投与される抗うつ薬の治療的効果を有意に高める。したがって、コレステロール低下剤および抗うつ薬は、認知障害または心理的障害と診断された患者に投与される場合、相乗効果を生じて、認知障害もしくは心理的障害と診断された患者に対していずれかの薬剤が単独で有すると考えられる効果を上回る程度まで、患者の認知障害もしくは心理的障害に関連した有害作用を無くすか、またはその重症度を軽減させる。
【0029】
心理的障害および認知障害の診断
本方法の最初の段階は、膜流動性の異常に関係している認知障害または心理的障害に関連した状態に個体が罹患しているかどうか判定するためにヒト患者を診断することを含む。多数の心理的障害および認知障害は、膜流動性の減少をもたらす、脳細胞膜の脂質組成の変化を特徴とする。この膜流動性の減少は、不適切なタンパク質輸送および/またはシグナル伝達事象に起因する様々な精神的機能障害を招き得る。コレステロール低下剤の投与により、適切な膜流動性が回復し、その結果として、生物学的に活性な分子および受容体の細胞膜を介した拡散および輸送が改善し、それによって細胞シグナル伝達が促進され、かつ抗うつ薬など同時投与された薬剤の作用が増幅される。膜流動性の減少を特徴とし得る心理的障害の例には、大うつ病、治療に関連したうつ病、気分変調、循環気質、双極性障害、精神分裂病および分裂情動障害、境界性人格障害、パニック障害、社会恐怖症、過食症、ナルコレプシー、ならびに強迫性障害などの情動障害が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0030】
認知障害は、しばしば加齢に関連するか、または神経変性疾患の過程の結果であり、かつニューロン膜の脂質組成および流動性の変化も伴い得る。これらの障害の有害な症状の一部は、脳細胞膜の流動性の減少から起こり得、したがってコレステロール低下剤の投与によって治療することができる。膜流動性に関連した例示的な認知障害には、加齢による記憶力減退、軽度の認知機能障害、任意の病因による認知症(例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、ハンチントン病、ピック病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、自己免疫不全症候群(AIDS)、および頭部外傷によって引き起こされたか、またはそれらに関連した認知症)、ならびに注意欠陥障害(活動亢進を伴うものまたは伴わないもの)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0031】
ある種の精神活性物質の過剰使用もまた、脳細胞膜の組成および流動性に影響し得る。したがって、本発明の方法は、抑制薬、抗不安薬、興奮薬、幻覚薬、および溶剤を含むが、それらに限定されるわけではない、ある物質を患者が乱用するか、またはそれに依存している、様々な物質乱用障害の治療において有用であり得る。抑制薬の例には、例えばアルコール、バルビツレート、エトクロルビノール、グルテチミド、メタカロン、メチプリロン、およびアヘン剤が含まれる。抗不安薬の例には、例えばアルプラゾラム、オキサゼパム、テマゼパム、クロルジアゼポキシド、およびジアゼパムが含まれる。興奮薬の例には、例えばアンフェタミン、メタンフェタミン、コカイン、およびニコチンが含まれる。幻覚薬の例には、例えばリゼルギン酸ジエチルアミド(LSD)、マリファナ、およびメスカリンが含まれる。
【0032】
情動障害および物質乱用障害を含む認知障害および心理的障害は、様々な周知の検査手順を用いて診断することができる。このような障害を診断するために通常使用される2種のシステムは、精神障害の診断と統計の手引き(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)(DSM-IV)および国際疾病分類(International Classification of Disease)(ICD-10)である。これらのシステムは、多岐にわたる精神障害を効果的かつ確実に診断するための標準基準一式を提供する。いくつかの状況において、生化学的および血清学的方法もまた、これらの障害を診断するために利用可能である場合があり、かつ単独で、または心理的検査を含む他の診断方法と共に使用され得る。当然、診断方法は患者の状態および診断される障害の性質に応じて変わることになる。
【0033】
治療的投与
患者が認知障害または心理的障害と診断されると、その患者はコレステロール低下剤および抗うつ薬の投与によって治療される。コレステロール低下剤は、適切な脳細胞膜の流動性を回復させ、それによって、減少した流動性に関連した症状を緩和し、かつ同時投与される抗うつ薬の治療作用を高める。
【0034】
多種多様のコレステロール低下剤および抗うつ薬が当技術分野において公知であり、かつ本発明において使用され得る。適切なコレステロール低下剤の例には、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)を活性化し、かつ脂質代謝に関与する遺伝子の発現を調節する脂質低下剤であるフィブラート(例えばクロフィブラート(ATROMID-S(登録商標)))、胆汁酸吸着剤(例えばコレスチラミンおよびコレスチポール(COLESTID(登録商標))、ならびにニコチン酸(ナイアシン))、ゲムフィブロジル(LOPID(登録商標)およびGEMCOR(登録商標))、プロブコール(PANAVIR(登録商標))、ならびにHMG-CoA還元酵素阻害剤、例えばフルバスタチン(LESCOL(登録商標))、アトルバスタチン(LIPITOR(登録商標))、プラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標))、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標))、セリバスタチン(BAYCOL(登録商標))、およびシンバスタチン(ZOCOR(登録商標))などのスタチンが含まれるが、これらに限定されるわけではない。これらおよび他のコレステロール低下剤を調製するための方法は当技術分野において周知であり、かつ多くは市販されている医用薬剤である。
【0035】
適切な抗うつ薬の例には、三環系抗うつ薬(TCA;例えばイミプラミン(TOFRANIL(登録商標)など)、アミトリプチリン(ELAVIL(登録商標)およびENDEP(登録商標))、アモキサピン、デシプラミン(NORPRAMINE(登録商標)およびPERTOFRANE(登録商標))、ノルトリプチリン(PAMELOR(登録商標)およびAVENTYL(登録商標))、トリミプラミン(SURMONTIL(登録商標))、プロトリプチリン(VIVACTIL(登録商標))、ドキセピン(ADAPIN(登録商標)、SINEQUAN(登録商標))、クロミプラミン(ANAFRANIL(登録商標))、ならびにマプロチリン)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI;例えばフルオキセチン(PROZAC(登録商標))、デュロキセチン(CYMBALTA(登録商標))、セルトラリン(ZOLOFT(登録商標))、パロキセチン(PAXIL(登録商標)およびSEROXAT(登録商標))、フルボキサミン(LUVOX(登録商標))、シタロプラム(CELEXA(登録商標))、エスシタロプラム(LEXAPRO(登録商標))、ならびにシプラレックス(ESCITALOPRAM(登録商標)))、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI;例えばミルナシプラン(IXEL(登録商標))、ベンラファキシン(EFFEXOR(登録商標))、トラゾドン(DESYREL(登録商標))、ミルタザピン(REMERON(登録商標))、ネファゾドン(SERZONE(登録商標))、レボキセチン(EDRONAX(登録商標)およびVESTRA(登録商標))、ならびにブプロピオン(WELLBUTRIN(登録商標)))、ならびにモノアミン酸化酵素阻害剤(MAOI;例えばフェネルジン(NARDIL(登録商標))、トラニルシプロミン(PARNATE(登録商標))、イソカルボキサジド(MARPLAN(登録商標))、モクロベミド(AUROIX(登録商標)およびMANERIX(登録商標))、ブロファロミン(CONSONAR(登録商標))、セレギリン(ATAPRYL(登録商標)、DEPRENYL(登録商標)、およびELDEPRYL(登録商標))、フラゾリドン(FUROXONE(登録商標))、イソニアジド(LANIAZID(登録商標)およびNYDRAZID(登録商標))、イソニアジドリファンピン(RIFAMATE(登録商標)およびRIMACTANE(登録商標)/INH)、パルギリン(EUTONYL(登録商標))、プロカルバジン(MATULANE(登録商標))、ノミフェンシン(MERITAL(登録商標))、FA70、クロルジリン、TV3326(N-プロパルギル-(3R)-アミノインダン-5-イル-エチルメチルカルバマートヘミタルトラート)、ならびにベフロキサトン)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0036】
コレステロール低下剤および抗うつ薬は、別々に送達されてもよく、または単一の製剤中に混合されてもよい。コレステロール低下剤および抗うつ薬が異なる薬学的組成物中に存在する場合、異なる投与経路が使用され得る。様々な態様用の投与経路には、局所投与、経皮投与、および全身投与(静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、吸入、直腸、口腔内、膣、腹腔内、関節内、眼、または経口投与など)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。本明細書において使用される場合、「全身投与」とは、すべての非経皮的投与経路を指し、かつ具体的には局所的投与経路および経皮的投与経路を除外する。望ましくは、本発明のコレステロール低下剤および抗うつ薬は、少なくとも1時間、2時間、4時間、6時間、10時間、12時間、18時間、24時間、3日、7日、14日、または28日以内の間隔を空けて投与される。組合せの各成分の投薬量および投与頻度は、それぞれ独立に制御され得る。例えば、一方の化合物が1日3回投与され得る一方で、第2の化合物は1日1回投与され得る。併用療法は、それまでのところ予測できなかった任意の副作用から患者の身体が回復する機会を有するように、休止期間を含む断続的なサイクルで実施され得る。これらの化合物はまた、1回の投与によって双方の化合物が送達されるように合わせて調剤され得る。
【0037】
コレステロール低下剤および抗うつ薬は、投与経路に適合させた薬学的に許容される担体と混合して投与することができる。様々な生理的に許容される担体が、コレステロール低下剤および抗うつ薬を投与するために使用され得、かつそれらの調剤は当業者には公知であり、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, 2000, ed. A.R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J. C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New York、およびthe Merck Index, Merck & Co., Rahway, New Jerseyに記載されている。
【0038】
経口摂取は、好ましい投与経路である。経口使用向けの組成物は、薬学的組成物製造のための当技術分野に公知の任意の方法に従って、固形または液体の形態で調製することができる。これらの組成物は、より味の良い調製物を提供するために、甘味料、矯味矯臭剤、着色料、香料、および保存剤を任意で含んでよい。経口投与用の固形剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が含まれる。一般に、これらの医薬製剤は、薬学的に許容される非毒性の賦形剤と混合された有効成分を含む。これらには、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、セルロース、デンプン、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、カオリンなどのような不活性な希釈剤が含まれ得る。結合剤、緩衝剤、および/または滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム)もまた、使用され得る。錠剤および丸剤は、さらに腸溶コーティング剤と共に調製することもできる。
【0039】
経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、および軟ゼラチンカプセル剤が含まれる。これらの形態は、水または油性媒体など当技術分野において一般に使用される不活性な希釈剤を含み、かつ湿潤剤、乳化剤、および懸濁化剤などの補助剤もまた含み得る。
【0040】
または、これらの薬学的組成物は、非経口的に(例えば筋肉内、腹腔内、静脈内、または皮下への注射もしくは埋め込みによって)投与することができる。非経口投与用の製剤には、無菌の水性または非水性の液剤、懸濁剤、または乳剤が含まれる。様々な水性担体、例えば水、緩衝水、0.4パーセント生理食塩水などを使用することができる。他の適切なビヒクルの例には、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、ゼラチン、水素化ナフタレン、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが含まれる。このような製剤はまた、保存剤、湿潤剤、緩衝剤、乳化剤、および/または分散剤などの補助的物質も含み得る。生体適合性、生分解性の、ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー、またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーは、活性成分の放出を制御するために使用され得る。
【0041】
コレステロール低下剤および抗うつ薬はまた、例えば米国特許第5,672,659号および第5,595,760号に記載されているものなどの徐放性組成物中で投与することもできる。即時放出性または徐放性組成物の使用は、治療される状態の性質に依存する。状態が急性または過急性の障害からなる場合には、即時放出型を用いた治療の方が、持続放出性組成物より好ましいと思われる。または、ある種の予防的または長期的治療の場合は、徐放性組成物が適切であり得る。
【0042】
コレステロール低下剤および抗うつ薬は、当技術分野において公知である様々な方法で調剤され得る。望ましくは、これらの薬剤は、薬剤を同時にまたはほぼ同時に投与するために合わせて調剤される。このような共調剤された組成物は、同じ丸剤、カプセル剤、液剤等の中に合わせて調剤された2種の薬剤を含み得る。このような組合せの調剤に言及する場合、使用される調剤技術はまた、その組合せの個々の薬剤の調剤にも有用であることが理解される。異なる薬剤に対して異なる調剤戦略を使用することによって、各薬剤の薬物動態学的プロファイルを適切に調和させることができる。
【0043】
個別にまたは別々に調剤された薬剤を、1つのキットとして一緒に包装することができる。非限定的な例には、例えば2種の丸剤、1種の丸剤および1種の散剤、1種の坐剤および1種のバイアル入り液剤、2種の局所用クリーム剤などを含むキットが含まれる。このキットは、粉末形態を溶解するためのバイアル、注射用のシリンジ、特別仕様のIV送達システム、吸入器など患者に単位用量を投与するのに役立つ任意の構成要素を含み得る。さらに、単位用量キットは、組成物を調製および投与するための取扱い説明書も含み得る。このキットは、1名の患者のための単回使用単位用量、特定の患者のための複数回使用(一定の用量もしくは療法が進行するにつれて個々の化合物の効力が変動し得る)として製造され得、またはこのキットは、複数の患者への投与に適した複数用量を含み得る(「大量包装」)。キットの構成要素は、カートン、ブリスター包装、瓶、チューブなどの中に集められ得る。
【0044】
投薬量
1回分の投薬量を作製するために担体材料と組み合わせられる活性成分の量は、治療される対象および個々の投与様式に応じて変動すると考えられる。 一般に、コレステロール低下剤は、患者の血清コレステロールレベルを低下させるのに十分な量で投与されるべきである。このレベルは、患者の脳細胞膜の流動性を増加させるのに十分な程度、低下されるべきである。膜流動性は、T2 MRマッピング、すなわち細胞膜の脂質二重層の外層の物理的特性を間接的に測定する、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第60/254,279号に記載されている技術を用いてモニターすることができる。T2マッピングは、細胞膜のすぐ近傍の水分子の相対運動を測定することによって機能する。細胞膜中に組み込まれるコレステロールの量の減少は、流動性の増加をもたらすと思われ、これはT2シグナルの変化として観察されるはずである。
【0045】
一般に、抗うつ薬は、神経伝達物質の作用を(すなわち神経伝達物質の放出を増加させること、神経伝達物質の取込みもしくは分解を減少させること、神経伝達物質シグナル伝達受容体を活性化すること、または神経伝達物質再取込み受容体を下向き調節することによって)調整するのに十分な量で投与されるべきである。神経伝達物質の作用を調整するのに十分な抗うつ薬の量を決定するための方法は、例えば参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,700,018号において見出すことができる。投与されるコレステロール低下剤および抗うつ薬の量は、認知障害または心理的障害およびその合併症の症状を治癒または少なくともある程度抑止するのに十分であるべきである。
【0046】
1日当たり体重1キログラム当たり約0.1mg〜約400mg(70kgの患者当たり1日当たり約1.0mg〜約30.0g)程度の投薬量レベルが、前述の心理的障害および認知障害の治療において有用である。1日の投薬量は、単回投与として投与してもよく、または複数回投与に分割してもよい。典型的には、患者は1つまたは2つのカプセル剤を1日3〜4回(例えば朝に1回、昼過ぎに1回、および夕方にもう1度)経口的に服用する。一般に、所望の1日投薬量は、長期間にわたって、通常少なくとも2週間、好ましくは4〜6週間服用されるべきであるが、2ヶ月またはそれ以上のより長い投与期間が必要とされる場合もある。
【0047】
いくつかの周知のコレステロール低下剤の適切な投薬量範囲を以下の表に提供する。
【0048】
(表1)一般に使用されるコレステロール低下剤の投薬量範囲

【0049】
いくつかの周知の抗うつ剤の適切な投薬量範囲を以下の表に提供する。
【0050】
(表2)一般に使用される抗うつ剤の投薬量範囲

【0051】
正確な個別の投薬量は、投与される具体的なコレステロール低下剤および抗うつ薬、投与時間、投与経路、製剤の性質、排泄速度、治療される個々の障害、障害の重症度、ならびに患者の年齢、体重、健康状態、および性別を含む様々な要因に応じていくらか調整され得ることが当業者には理解されよう。様々な投与経路の効率が異なることを考慮すると、必要とされる投薬量は大きく変動することが予想されるべきである。例えば、経口投与は一般に、静脈注射による投与より高い投薬量レベルを必要とすることが予想されるはずである。これらの投薬量レベルの変動は、当技術分野において周知である、最適化のための標準的な経験的ルーチンを用いて調整することができる。正確な治療有効投薬量のレベルおよびパターンは、好ましくは、上記に確認した要因を考慮して主治医によって決定される。
【0052】
物質乱用障害に関して、乱用物質を摂取したいという衝動を抑制するための用量レベルは、個体の症状の重症度および/または物質乱用に対する個体の素因もしくは感受性に応じて、個体間で変動し得る。最適な投薬量は、一般に、薬物療法を受けている間に個体によって使用される物質の量をモニターすることによって、または乱用物質に対する個体の欲望の強さによって決定することができる。
【0053】
既存の認知障害、情動障害、および物質乱用障害を治療することに加えて、これらの障害を予防するか、またはそれらの発症を遅らせるために、コレステロール低下剤および抗うつ薬を組み合わせて(別々にまたは混合して調剤して)予防的に投与することもできる。予防的適用において、コレステロール低下剤および抗うつ薬は、細胞膜中のコレステロールレベルの増加に起因する膜流動性の減少によって引き起こされる、または減少の結果として生じる認知障害または心理的障害を被りやすいか、またはそうでなければリスクがある患者に投与される。やはり、投与される正確な量は患者の健康状態および体重など様々な要因に依存するが、通常、70キログラムの患者1人当たり約0.5mg〜約5,000mg、より一般には体重70kg当たり約5mg〜約2,000mg、および最も一般には体重70kg当たり約10mg〜約1000mgの範囲である。
【0054】
組合せ中の各化学的化合物または組成物の投与は、それぞれ独立に1日1〜4回、1日〜1年間であり得、かつ患者の生涯を通じてずっとでもよい。持続的な長期投与が、多くの症例に必要とされると考えられる。
【0055】
治療有効性または認知障害もしくは心理的障害の重症度の軽減の判定
いくつかの標準化された評価尺度が当技術分野において公知であり、かつある治療計画が、本明細書において開示される認知障害もしくは心理的障害を治療したか、またはその重症度を軽減したかどうか判定するために使用され得る。
【0056】
例えば、ある治療計画が、うつ病の治療またはその重症度の軽減に対して有効であったかどうかは、例えばハミルトンうつ病評価尺度(Hamilton Depression Rating Scale)、モントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(Montgomery-Asburg Depression Rating Scale)、またはベックうつ病調査票(Beck Depression Inventory)を用いて判定することができる。
【0057】
認知が改善されたかどうかは、認知機能検査バッテリーを用いて判定することができる。例えばミニメンタルステータス試験(Mini Mental Status Examination) (MMSE)を使用して、認知症をスクリーニングし、またはその進行をモニターすることができる。アルツハイマー病評価尺度-認知機能下位尺度(Alzheimer's Disease Assessment Scale - cognitive subscale )(ADAS-Cog)もまた、認知および記憶力の改善を検査するのに使用することができる。
【0058】
例えば認知、機能的能力、挙動、全体的な身体的健康状態、および生活の質を含む、いくつかの機能領域を評価するために設計されている他の評価手法を以下に示す。
【0059】
認知評価:
ブレスト情報-記憶力-集中力検査(Blessed Information-Memory-Concentration Test)(BIMC)および臨床的認知症評価尺度(Clinical Dementia Rating Scale)(CDR)。
【0060】
機能的評価:
機能評価質問票(Functional Assessment Questionnaire)(FAQ)、手段的日常生活動作(Instrumental Activities of Daily Living)(IADL)、身体的自己保全尺度(Physical Self-Maintenance Scale)(PSMS)、および進行性痴呆尺度(Progressive Deterioration Scale)(PDS)。
【0061】
全般的評価:
変化の臨床全般印象(Clinical Global Impression of Change)(CGIC)、臨床面接に基づく印象(Clinical Interview-Based Impression)(CIBI)、および全般的痴呆スケール(Global Deterioration Scale)(GDS)。
【0062】
介護者による評価:
アルツハイマー病の行動評価尺度(Behavioral Pathology in Alzheimer's Disease Rating Scale)(BEHAVE-AD)および精神状態調査票(Neuropsychiatric Inventory)(NPI)。
【0063】
当業者は適切な検査を選択かつ使用することができ、検査の結果を評価して、治療計画が患者の認知障害もしくは心理的障害を治療したか、またはその重症度を軽減したかどうか判定することができる。
【0064】
他の態様
好ましい態様に関連して本発明を説明したが、当業者は、その本質的な特徴を容易に確認することができ、かつその精神および範囲から逸脱することなく、様々な用法および条件に適合させるために本発明を様々に変更および修正することができる。当業者なら、ルーチンな実験法を用いるだけで、本明細書において説明した本発明の個々の態様の多くの等価物を認識するか、または確認することができると考えられる。
【0065】
本明細書において言及するすべての刊行物および特許は、参照により本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレステロール低下剤および抗うつ薬を含む組成物であって、該コレステロール低下剤および抗うつ薬が、ヒトに投与された場合に認知障害もしくは心理的障害を治療するか、またはその重症度を軽減するのに十分である量で存在する、組成物。
【請求項2】
コレステロール低下剤が、フィブラート、胆汁酸吸着剤、ニコチン酸、ゲムフィブロジル、プロブコール、およびHMG-CoA還元酵素阻害剤より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
フィブラートがクロフィブラートである、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
胆汁酸吸着剤がコレスチラミンまたはコレスチポール(cholestipol)である、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
HMG-CoA還元酵素阻害剤がスタチンである、請求項2記載の組成物。
【請求項6】
スタチンがロバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、またはシンバスタチンである、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
抗うつ薬が、三環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、ならびにモノアミン酸化酵素阻害剤(MAOI)より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
三環系抗うつ薬が、イミプラミン、アミトリプチリン、アモキサピン、デシプラミン、ノルトリプチリン、トリミプラミン、プロトリプチリン、ドキセピン、クロミプラミン、またはマプロチリンである、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
SSRIが、フルオキセチン、デュロキセチン、セルトラリン、パロキセチン、フルボキサミン、シタロプラム、エスシタロプラム、またはシプラレックス(cipralex)である、請求項7記載の組成物。
【請求項10】
SNRIが、ミルナシプラン、ベンラファキシン、トラゾドン、ミルタザピン、ネファゾドン、レボキセチン、またはブプロピオンである、請求項7記載の組成物。
【請求項11】
MAOIが、フェネルジン、トラニルシプロミン、イソカルボキサジド、モクロベミド、ブロファロミン(brofaromine)、セレギリン、フラゾリドン、イソニアジド、イソニアジドリファンピン、パルギリン、プロカルバジン、ノミフェンシン、FA70、クロルジリン、TV3326(N-プロパルギル-(3R)-アミノインダン-5-イル-エチルメチルカルバマートヘミタルトラート、またはベフロキサトン(befloxatone)である、請求項7記載の組成物。
【請求項12】
認知障害または心理的障害が、認知障害、情動障害、神経生物学的障害、および物質乱用障害より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
認知障害が、加齢による記憶力減退、軽度の認知機能障害、または認知症より選択される、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
認知症が、アルツハイマー病、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、ハンチントン病、ピック病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、自己免疫不全症候群(AIDS)、もしくは頭部外傷によって引き起こされるか、またはそれらに関連している、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
情動障害が、うつ病、気分変調、循環気質、双極性障害、精神分裂病、分裂情動障害、境界性人格障害、パニック障害、社会恐怖症、過食症、ナルコレプシー、または強迫性障害である、請求項12記載の組成物。
【請求項16】
うつ病が治療に関連したうつ病である、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
神経生物学的障害が注意欠陥障害である、請求項12記載の組成物。
【請求項18】
物質乱用障害が、抑制薬、抗不安薬、興奮薬、幻覚薬、および溶剤より選択される物質の乱用またはそれらへの依存を特徴とする、請求項12記載の組成物。
【請求項19】
抑制薬が、アルコール、バルビツレート、エトクロルビノール、グルテチミド、メタカロン、メチプリロン、またはアヘン剤である、請求項18記載の組成物。
【請求項20】
抗不安薬が、アルプラゾラム、オキサゼパム、テマゼパム、クロルジアゼポキシド、またはジアゼパムである、請求項18記載の組成物。
【請求項21】
興奮薬が、アンフェタミン、メタンフェタミン、コカイン、またはニコチンである、請求項18記載の組成物。
【請求項22】
幻覚薬が、リゼルギン酸ジエチルアミド(LSD)、マリファナ、またはメスカリンである、請求項18記載の組成物。
【請求項23】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項24】
経口投与用に調剤される、請求項1記載の組成物。
【請求項25】
コレステロール低下剤および抗うつ薬が、固形製剤中で提供される、請求項1記載の組成物。
【請求項26】
固形製剤が、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、または顆粒剤である、請求項25記載の組成物。
【請求項27】
コレステロール低下剤および抗うつ薬が、液体製剤中で提供される、請求項1記載の組成物。
【請求項28】
液体製剤が、乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、または軟ゼラチンカプセル剤である、請求項27記載の組成物。
【請求項29】
全身投与用に調剤される、請求項1記載の組成物。
【請求項30】
以下の段階を含む方法:
(a)患者に対して診断検査を実施して、該患者が認知障害または心理的障害を有しているかどうか判定する段階、ならびに
(b)該患者が認知障害または心理的障害であると診断された場合には、該認知障害もしくは心理的障害を治療するか、またはその重症度を軽減するのに十分な量でコレステロール低下剤および抗うつ薬を該患者に投与する段階。
【請求項31】
コレステロール低下剤が、フィブラート、胆汁酸吸着剤、ニコチン酸、ゲムフィブロジル、プロブコール、およびHMG-CoA還元酵素阻害剤より選択される、請求項30記載の方法。
【請求項32】
フィブラートがクロフィブラートである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
胆汁酸吸着剤がコレスチラミンまたはコレスチポールである、請求項31記載の方法。
【請求項34】
HMG-CoA還元酵素阻害剤がスタチンである、請求項31記載の方法。
【請求項35】
スタチンがロバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、またはシンバスタチンである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
抗うつ薬が、三環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、ならびにモノアミン酸化酵素阻害剤(MAOI)より選択される、請求項30記載の方法。
【請求項37】
三環系抗うつ薬が、イミプラミン、アミトリプチリン、アモキサピン、デシプラミン、ノルトリプチリン、トリミプラミン、プロトリプチリン、ドキセピン、クロミプラミン、またはマプロチリンである、請求項36記載の方法。
【請求項38】
SSRIが、フルオキセチン、デュロキセチン、セルトラリン、パロキセチン、フルボキサミン、シタロプラム、エスシタロプラム、またはシプラレックスである、請求項36記載の方法。
【請求項39】
SNRIが、ミルナシプラン、ベンラファキシン、トラゾドン、ミルタザピン、ネファゾドン、レボキセチン、またはブプロピオンである、請求項36記載の方法。
【請求項40】
MAOIが、フェネルジン、トラニルシプロミン、イソカルボキサジド、モクロベミド、ブロファロミン、セレギリン、フラゾリドン、イソニアジド、イソニアジドリファンピン、パルギリン、プロカルバジン、ノミフェンシン、FA70、クロルジリン、TV3326(N-プロパルギル-(3R)-アミノインダン-5-イル-エチルメチルカルバマートヘミタルトラート)、またはベフロキサトンである、請求項36記載の方法。
【請求項41】
認知障害または心理的障害が、認知障害、情動障害、神経生物学的障害、および物質乱用障害より選択される、請求項30記載の方法。
【請求項42】
認知障害が、加齢による記憶力減退、軽度の認知機能障害、または認知症より選択される、請求項41記載の方法。
【請求項43】
認知症が、アルツハイマー病、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、ハンチントン病、ピック病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、自己免疫不全症候群(AIDS)、もしくは頭部外傷によって引き起こされるか、またはそれらに関連している、請求項42記載の方法。
【請求項44】
情動障害が、うつ病、気分変調、循環気質、双極性障害、精神分裂病、分裂情動障害、境界性人格障害、パニック障害、社会恐怖症、過食症、ナルコレプシー、または強迫性障害である、請求項41記載の方法。
【請求項45】
うつ病が治療に関連したうつ病である、請求項44記載の方法。
【請求項46】
神経生物学的障害が注意欠陥障害である、請求項41記載の方法。
【請求項47】
物質乱用障害が、抑制薬、抗不安薬、興奮薬、幻覚薬、および溶剤より選択される物質の乱用またはそれらへの依存を特徴とする、請求項41記載の方法。
【請求項48】
抑制薬が、アルコール、バルビツレート、エトクロルビノール、グルテチミド、メタカロン、メチプリロン、またはアヘン剤である、請求項47記載の方法。
【請求項49】
抗不安薬が、アルプラゾラム、オキサゼパム、テマゼパム、クロルジアゼポキシド、またはジアゼパムである、請求項47記載の方法。
【請求項50】
興奮薬が、アンフェタミン、メタンフェタミン、コカイン、またはニコチンである、請求項47記載の方法。
【請求項51】
幻覚薬が、リゼルギン酸ジエチルアミド(LSD)、マリファナ、またはメスカリン、アルコール、興奮薬、アヘン剤、マリファナ、溶剤、およびニコチンである、請求項47記載の方法。
【請求項52】
コレステロール低下剤が、患者の血清コレステロールを低下させ、かつ患者の神経細胞の膜流動性を増加させるのに十分な量で投与される、請求項30記載の方法。
【請求項53】
コレステロール低下剤または抗うつ薬が経口投与用に調剤される、請求項30記載の方法。
【請求項54】
コレステロール低下剤または抗うつ薬が全身投与用に調剤される、請求項30記載の方法。
【請求項55】
コレステロール低下剤および抗うつ薬が単一の組成物として調剤される、請求項30記載の方法。
【請求項56】
コレステロール低下剤および抗うつ薬が2つの別々の組成物中に調剤される、請求項30記載の方法。
【請求項57】
コレステロール低下剤および抗うつ薬が、同時に、24時間以内に、または互いに7日以内、14日以内、もしくは28日以内に投与される、請求項56記載の方法。
【請求項58】
コレステロール低下剤および抗うつ薬が同時に投与される、請求項57記載の方法。
【請求項59】
コレステロール低下剤および抗うつ薬が、互いに24時間以内に投与される、請求項57記載の方法。
【請求項60】
コレステロール低下剤および抗うつ薬が、互いに7日以内に投与される、請求項57記載の方法。
【請求項61】
コレステロール低下剤および抗うつ薬が、互いに14日以内に投与される、請求項57記載の方法。
【請求項62】
コレステロール低下剤および抗うつ薬が、互いに28日以内に投与される、請求項57記載の方法。
【請求項63】
以下を含むキット:
(a)コレステロール低下剤が投与される患者の血清コレステロールを低下させ、かつその神経細胞の膜流動性を増加させるのに十分な量のコレステロール低下剤;ならびに
(b)認知障害もしくは心理的障害を治療するか、またはその重症度を軽減するために、該コレステロール低下剤および抗うつ薬を患者に投与するための取扱い説明書。
【請求項64】
以下を含むキット:
(a)抗うつ薬;ならびに
(b)認知障害もしくは心理的障害を治療するか、またはその重症度を軽減するために、該抗うつ薬およびコレステロール低下剤を患者に投与するための取扱い説明書。
【請求項65】
以下を含むキット:
(a)コレステロール低下剤および抗うつ薬を含む組成物;ならびに
(b)認知障害もしくは心理的障害を治療するか、またはその重症度を軽減するために、該組成物を患者に投与するための取扱い説明書。
【請求項66】
以下を含むキット:
(a)コレステロール低下剤が投与される患者の血清コレステロールを低下させ、かつその神経細胞の膜流動性を増加させるのに十分な量のコレステロール低下剤;
(b)抗うつ薬;ならびに
(b)認知障害もしくは心理的障害を治療するか、またはその重症度を軽減するために、該コレステロール低下剤および該抗うつ薬を患者に投与するための取扱い説明書。

【公表番号】特表2008−510700(P2008−510700A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527887(P2007−527887)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/028638
【国際公開番号】WO2006/023379
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(594185673)ザ マクレーン ホスピタル コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】