説明

抗炎症性化合物およびその組成物

本発明は、アルキルパラベン、その抗炎症剤としての使用、およびそれらを含む組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキルパラベン、抗炎症剤としてのそれらの使用、およびそれらを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
義歯は欠損歯の代用品で、口腔にある歯の全てまたはいくつかの代替として働く。ぴったり合った義歯であっても、歯肉または粘膜組織における自然な収縮および変化によって経時的に、不適合となる可能性がある。したがって、口内で義歯を固定するために、クリーム、液体、粉末およびライナー状の接着性組成物がしばしば使用される。通常、義歯接着剤は、無機質および/またはペトロラタムの担体中に、水膨張性のポリマーおよび/またはゴムを含む。ポリマー/ゴムは、水/唾液と接触して水和し粘着性になり、その結果、義歯を適所に保持することができる。
【0003】
口腔粘膜の炎症は、義歯装着者からの頻繁な病訴である。炎症には、口腔粘膜の腫脹、腫脹に付随する発赤および疼痛を含む。科学および臨床文献に詳しく記載されている、義歯性口内炎(DS)は、口腔粘膜の炎症であり、義歯に接する領域内の粘膜に主として起こるという臨床的特徴をもつ。DSは通常、義歯の不適合または義歯の不衛生によって発症する。鵞口瘡カンジダは、DSを引き起こすと知られている微生物の一種である。口内炎を患う患者では、酵母コロニー形成の密度の増加と炎症の重篤度は、義歯の清潔さおよび義歯除去間の時間の長さとしばしば相関があり、不衛生で連続装着時間が長いほど、患者に見られるコロニー形成および炎症は大きい。
【0004】
残りの天然歯を持った消費者に対して市場に出される多くの口腔ケア製品は、口内細菌を抑制する成分を含むことがある。例えば、歯磨剤は、う食菌を減少させるトリクロサンまたはフッ化物を含むことがある。同様に、口内洗浄剤はアルコール、塩化セチルピリジニウム、または精油を含み得る。まれに、これらの水性の製剤は、製品の保存性をさらに高めるための保存剤も含むことがある。アルキルパラベンおよびその塩は、例えば、化粧剤および医薬製剤中の保存剤としてよく知られている。この種の保存剤は、調合コストを最小限に抑えるために、必要な製品安定性を達成するのに足る量しか使用されない。
【0005】
対照的に、ほとんどの義歯接着剤製品は主として油性であるため、他の水性の口腔ケア製品と同レベルの保存剤を必要としない。この種の製品の製剤化もまた、粘着および密着強度の特性のために通常最適化されるため、抗菌性の恩恵だけを意図する成分は含まない。それらは、抗炎症性の恩恵だけを意図する成分もまた含まないため、DSの症状に十分に対処していない。
【0006】
ステロイド性および非ステロイド性の抗炎症剤は当業界で良く知られている。いくつかの例を挙げるとすれば、アスピリン、インドメタシン、コルチコステロイド、イブプロフェンを含む。これらの薬剤のすべてが、ヒトの炎症および疼痛を治療および/または予防すると主張している。不幸にして、これらの薬剤は胃腸障害などの副作用も引き起こすと知られている。さらに、これらの製品の従来の性能測定基準が治療の有効性の代わりに、清浄の有効性または接着強度としているので、これらの薬剤の、歯磨剤または義歯ケア製品への組み込みは知られていない。
【0007】
Pittzらに対する米国特許第4,672,076号明細書は非ステロイド性抗炎症剤としてサリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジルおよびベンジルパラベンを開示している。特にこの特許は、化合物が疼痛、炎症、腫脹および哺乳動物の他の関連する症状を治療するのに有用であることを開示している。
【0008】
Moellerらに対する米国特許第4,136,145号明細書は炎症阻害剤として、特に、日焼けに対する保護および治療のために皮膚に局所塗布するアルコキシ安息香酸エステルを開示している。
【0009】
2008年1月17日に公開された国際公開第2008/008494号は、抗真菌性でまた抗菌性である薬剤、例えば、メチルパラベンおよび/またはプロピルパラベンを用いて粘膜炎を治療する方法を開示している。
【0010】
Rubinらに対する米国特許第3,833,518号明細書は、防腐剤としてメチルおよび/またはプロピルパラベンを含むポリマー義歯接着剤を開示している。
【0011】
本出願人らは、本発明の化合物が単独でまたは少なくとも1種の他の抗炎症剤と組み合わせて有効な抗炎症剤であることを見出した。
【発明の概要】
【0012】
一態様において、本発明は、
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化1】

[式中、nは0から3の整数である。]の有効量を投与することを含む、それを必要とする哺乳動物、特にヒトの炎症を治療および/または予防する方法に関する。
【0013】
第2の態様において、本発明は、式(I)の化合物、少なくとも1種の追加の抗炎症剤および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0014】
第3の態様において、本発明は、式(I)の化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む歯磨剤組成物に関する。
【0015】
第4の態様において、本発明は、式(I)の化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む義歯接着剤組成物に関する。
【0016】
第5の態様において、本発明は、式(I)の化合物、少なくとも1種の追加の抗炎症剤および薬学的に許容される賦形剤を含む義歯接着剤組成物に関する。
【0017】
第6の態様において、本発明は、式(I)の化合物、少なくとも1種の追加の抗炎症剤、酸化防止剤および薬学的に許容される賦形剤を含む義歯接着剤組成物に関する。
【0018】
第7の態様において、本発明は、式(I)の化合物の有効量を含む義歯接着剤組成物を投与することを含む、それを必要とする無歯の患者の炎症を治療および/または予防する方法に関する。
【0019】
第8の態様において、本発明は、式(I)の化合物の有効量および少なくとも1種の追加の抗炎症剤を含む義歯接着剤組成物を投与することを含む、それを必要とする無歯の患者の炎症を治療および/または予防する方法に関する。
【0020】
第9の態様において、本発明は、式(I)の化合物の有効量および少なくとも1種の抗酸化剤を含む義歯接着剤組成物を投与することを含む、それを必要とする無歯の患者の炎症を治療および/または予防する方法に関する。
【0021】
第10の態様において、本発明は、式(I)の化合物の有効量および少なくとも1種の抗酸化剤および酸化防止剤を含む義歯接着剤組成物を投与することを含む、それを必要とする無歯の患者の炎症を治療および/または予防する方法に関する。
【0022】
第11の態様において、本発明は、式(I)の化合物の有効量を含む義歯接着剤組成物を投与することを含む、それを必要とする無歯の患者の炎症をもたらす刺激から、口腔、特に歯肉および口蓋、の粘膜組織を保護する方法に関する。
【0023】
第12の態様において、本発明は、式(I)の化合物の有効量および少なくとも1種の追加の抗炎症剤を含む義歯接着剤組成物を投与することを含む、それを必要とする無歯の患者の炎症をもたらす刺激から、口腔、特に歯肉および口蓋、の粘膜組織を保護する方法に関する。
【0024】
第13の態様において、本発明は、式(I)の化合物の有効量および少なくとも1種の抗酸化剤を含む義歯接着剤組成物を投与することを含む、それを必要とする無歯の患者の炎症をもたらす刺激から、口腔、特に歯肉および口蓋、の粘膜組織を保護する方法に関する。
【0025】
第14の態様において、本発明は、式(I)の化合物の有効量、少なくとも1種の追加の抗炎症剤および少なくとも1種の抗酸化剤を含む義歯接着剤組成物を投与することを含む、それを必要とする無歯の患者の炎症をもたらす刺激から、口腔、特に歯肉および口蓋、の粘膜組織を保護する方法に関する。
【0026】
第15の態様において、本発明は、式(I)の化合物の有効量を含む義歯接着剤組成物を投与することを含む、それを必要とする無歯の患者の炎症に伴う刺激を治療および/または予防する方法に関する。
【0027】
第16の態様において、本発明は、式(I)の化合物の有効量および少なくとも1種の追加の抗炎症剤を含む義歯接着剤組成物を投与することを含む、それを必要とする無歯の患者の炎症に伴う刺激を治療および/または予防する方法に関する。
【0028】
第17の態様において、本発明は、式(I)の化合物の有効量少なくとも1種の追加の抗炎症剤および酸化防止剤を含む義歯接着剤組成物を投与することを含む、それを必要とする無歯の患者の炎症に伴う刺激を治療および/または予防する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例4の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書においてすべての出現時に使用される用語「炎症」は、疼痛および腫脹および発赤および発熱によって特徴づけられる損傷または刺激に対する体内組織の応答を指す。
【0031】
本明細書においてすべての出現時に使用される用語「予防する」または「予防」は、特に炎症に伴う疾病または損傷を妨げることを意図される療法を指す。
【0032】
本明細書においてすべての出現時に使用される用語「治療する」または「治療」は、特に炎症に伴う疾病または損傷を緩和するように意図する療法を指す。
【0033】
本明細書においてすべての出現時に使用される用語「有効量」は、そのような疾患または症状を治療および/または予防するのに組成物の有効な量が存在する活性薬剤を指す。
【0034】
式(I)の化合物およびその塩の化学名(IUPACおよび他の名称)は、以下のとおりである:4−ヒドロキシ安息香酸メチル;メチルパラベン;p−ヒドロキシ安息香酸メチル;パラヒドロキシ安息香酸メチル;4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル;4−ヒドロキシ安息香酸メチル、ナトリウム塩;メチルパラベンナトリウム;4−ヒドロキシ安息香酸エチル、エチルパラベン;4−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル;エチルパラベン;p−ヒドロキシ安息香酸エチル;パラオキシ安息香酸エチル;4−ヒドロキシ安息香酸エチル、ナトリウム塩;エチルパラベンナトリウム;4−ヒドロキシ安息香酸プロピル;プロピルパラベン;p−ヒドロキシ安息香酸プロピル;パラヒドロキシ安息香酸プロピル;4−ヒドロキシ安息香酸プロピルエステル;4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、ナトリウム塩;4−ヒドロキシ安息香酸プロピルエステル、ナトリウム塩;プロピルパラベンナトリウム;4−ヒドロキシ安息香酸ブチル;ブチルパラベン;p−ヒドロキシ安息香酸ブチル;パラヒドロキシ安息香酸ブチル;4−ヒドロキシ安息香酸ブチルエステル;4−ヒドロキシ安息香酸ブチル、ナトリウム塩;4−ヒドロキシ安息香酸ブチルエステル、ナトリウム塩;ブチルパラベンナトリウム。
【0035】
本発明は、具体的には次の構造式:
【化2】

[式中、nは0(ゼロ)から3の整数である。]を有する式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、および、炎症の治療および/または予防における、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用に関する。
【0036】
適切には、式(I)の化合物は、nが整数0、すなわちメチルパラベンである。
【0037】
適切には、式(I)の化合物は、nが整数1、すなわちエチルパラベンである。
【0038】
適切には、式(I)の化合物は、nが整数2、すなわちプロピルパラベンである。
【0039】
適切には、式(I)の化合物は、nが整数3、すなわちブチルパラベンである。
【0040】
これらの化合物は従来知られていたが、抗炎症剤としては開示されていない。メチルおよびプロピルパラベン、およびその塩は医薬製剤中の防腐剤として知られている。(Nikitakis,J.M.、1988.CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,第1版、The Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association,Washington,DC.;M.G.Soniら“Evaluation of the health aspects of methyl paraben:a review of the published literature”Food and Chemical Toxicology 40(2002)1335−1373;Soni、M.G.、Burdock、G.A.、Taylor、S.L.、Greenberg、N.A.、“Safety assessment of propyl paraben:a review of the published literature”,Food and Chemical Toxicology(2001)39、513−532)
【0041】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、製剤に単独で使用された場合、治療上有効量が使用されると、炎症性サイトカインマーカー、プロスタグランジンE(PGE)の細胞放出によって測定される炎症を抑制することが見出された。医療の場において、PGEは、体内組織に対する刺激または損傷に伴う疼痛、腫脹、発赤、および発熱などの炎症の症状に伴っている。(P.Davies、P.J.Bailey、M.M.GoldenbergおよびA.W.Ford−Hutchinson、“The role of arachidonic acid oxygenation products in pain and inflammation”,Annu.Rev.Immunol.2(1984),pp.335−357)。また、式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、併用された場合、公知の薬剤、例えばビタミンE(Stuyvesant,V.Wilfred;Jolley,Weldon B.“Anti−inflammatory Activity of d−α−Tocopherol(Vitamin E) and Linoleic Acid”Nature,216巻(5115)(pp.585−586(1967))、およびピルビン酸エチル(Fink,M.P.“Ethyl pyruvate:a novel anti−inflammatory agent”:Journal of Internal Medicine,261(4),2007,pp.349−362)の有効性/抗炎症剤応答を増強することが見出された。これらの薬剤は、酸化防止剤および/または抗刺激剤としても知られている。
【0042】
本発明の化合物は、治療上有効量で使用され、薬学的に許容される担体または組成物中に含まれる場合、組成物合計の約0.01から5.0重量%の間の量で存在する(本明細書において「重量%」と簡略化する)。一実施形態において、式(I)の化合物は、約0.05から1.0重量パーセントの間の量で存在する。別の実施形態において、式(I)の化合物は0.2から0.4重量%の間の量で存在する。
【0043】
本発明の一実施形態において、医薬組成物の活性な薬剤は、プロピルパラベンの塩、すなわちプロピルパラベンナトリウムである式(I)の化合物である。
【0044】
適切には、式(I)の1種または複数の化合物は、本発明の方法の実施に対して有効な製剤において使用することができる。本発明の一実施形態において、医薬組成物の活性な薬剤はメチルパラベンおよびエチルパラベンの組合せである。
【0045】
本発明の化合物は、炎症の症状を経験しているまたは炎症のリスクがある、哺乳動物、好ましくはヒトに、容易にかつ好都合に投与することができる組成物において通常使用される。剤形は多様であり、炎症を起こした患部に直接適用するための、局所クリーム剤、パスタ剤、軟膏剤、ゲル剤、ローション剤、パッチ、ストリップ、散剤などを含むことができる。さらに、炎症の症状が起こるのを予防するために、口腔などの炎症に侵されやすい患部に化合物を適用することができる。
【0046】
本発明の一実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、義歯接着剤組成物に製剤化される。そのような義歯接着剤組成物は当業界で周知であり、様々な水溶性、水膨潤性ポリマー、例えばポリ酢酸ビニル(「PVA」)、ポリビニルピロリドン(「PVP」)、または低級アルキルビニルエーテルマレイン酸、無水物、もしくは塩コポリマーまたはその混合物を含み、塩の陽イオンは、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、ナトリウム、カリウム、ジルコニウムおよび亜鉛またはその混合物からなる群から選択され、ここで、ポリマーは、通常、オイル/ワックス担体基剤中にある。
【0047】
米国特許第5,073,604号明細書は、低級アルキルビニルエーテルマレイン酸共重合体の混合部分塩を有する義歯接着剤組成物を開示しており、ここで、前記部分的な塩は陽イオン塩の官能基として(a)約10%から約65%の亜鉛またはストロンチウム陽イオン;および(b)反応した初期カルボキシル基全体の約10%から約75%のカルシウム陽イオンを含む。米国特許第2,978,812号明細書は、少なくとも50%の活性な固定剤物質を好ましくは含む量の、50,000から5,000,000の間の分子量を有するエチレンオキシドポリマーを含む義歯固定剤組成物を開示している。英国特許第1,444,485号明細書は、4から44重量%のポリビニルピロリドンの溶液を含む、固定薬剤を開示している。米国特許第3,003,988号明細書は、本質的に低級アルキルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体からなる40重量%を超える水不溶性、水増感性ポリマー材料の混合塩の使用を記載している。米国特許第5,001,170号明細書は、約20−40重量%のメチルビニルエーテルマレイン酸共重合体、20−40重量%のPVPおよび20−40重量%のエチレンオキシドポリマーの実質的に無水の混合物を開示している。これらの義歯接着剤組成物の任意の1種も、式(I)の活性化合物を保持するための基剤として適切であろう。
【0048】
前述の材料に加えて、義歯接着剤組成物は義歯接着剤技術において周知の他の成分を用いて製剤化することができ、可塑剤、レオロジー改質剤、防腐剤、保湿剤、乳化剤、抗酸化剤、超崩壊剤または吸収剤、例えば、ポリビニルピロリドンのホモポリマーまたはビニルピロリドンのコポリマー、着香剤、着色剤、架橋剤、抗菌剤、放出調節剤、消泡剤、甘味剤、粘度調整剤などを含む。
【0049】
義歯接着剤技術に周知の着香剤を本発明の組成物に加えることができる。これらの着香剤は、人工着香オイルおよび/または植物、葉、花、果物およびこれらの組合せに由来するオイルを含むが、これらに限定されない。代表的な香料オイルは、スペアミント油、ケイ皮油、ウインターグリーン油(サリチル酸メチル)およびハッカ油を含む。また有用なものは、レモン、オレンジ、ブドウ、ライムおよびグレープフルーツを含む柑橘オイル、およびリンゴ、イチゴ、チェリー、パイナップルなどを含む果実エッセンス剤などの、人工の、天然のまたは合成の果実香料である。着香剤は、液体、噴霧乾燥したもの、カプセル化したもの、または担体に吸収させたもの、およびこれらの混合であってもよい。本発明の一実施形態は、着香剤として、ハッカ油を含む。使用される着香剤の量は、所望の香料タイプ、接着剤製剤および強度などの因子に依存して変わる。一般に、義歯接着剤組成物全体の約0.01から約5.0重量%の量が適切である。本発明の一実施形態において、約0.05から0.15重量%の量が使用される。別の実施形態において、約0.0から約0.1重量%の量が使用される。
【0050】
本発明の義歯接着剤製剤において使用することができる防腐剤は、従来通り当業界で使用されている公知の抗菌剤、例えば安息香酸および安息香酸ナトリウム;ソルビン酸およびソルビン酸塩;プロピオン酸およびプロピオン酸塩;酢酸および酢酸塩;硝酸塩および亜硝酸塩;二酸化硫黄および亜硫酸塩;抗生物質;ピロ炭酸ジエチル;エポキシド;過酸化水素;およびリン酸塩を含む。
【0051】
また義歯接着剤組成物は、当業界で周知の甘味剤の使用を含むことができる。甘味剤は、水溶性薬剤、水溶性人工甘味剤、および、ジペプチド系甘味剤、ならびにこれらの混合物を含む広範囲の材料から選択することができる。代表的な甘味剤は以下を含むが、これらに限定されない。(a)キシロース、リボース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、デキストロース、スクロース、砂糖、マルトースなどの、単糖類、二糖類および多糖類、部分加水分解デンプン、またはコーンシロップ固形分およびソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトールなどの糖アルコール、水素化デンプン加水分解物およびこれらの混合物などの水溶性甘味剤;(b)溶性サッカリン塩(すなわちナトリウムもしくはカルシウムサッカリン塩)、シクラマート塩、アセスルファムK、スクラロースなど、およびサッカリンの遊離酸形などの水溶性の人工甘味剤;および(c)L−アスパルチル−L−フェニルアラニン)メチルエステルなどのジペプチド系甘味剤。一般に、甘味剤の量は、義歯接着剤組成物全体の約0.001から約5重量%であってもよい。
【0052】
本発明に有用な着色剤は、二酸化チタンなどの顔料を含み、また、食品、薬物および化粧剤の分野に適切な染料を含む。これらの着色剤はFD&C染料として知られている。例示の実施例は、5,5’−インジゴチンジ−スルホン酸のジナトリウム塩であるFD&C青色2号としての公知のインジゴ染料;4−[4−N−エチル−p−スルホベンジルアミノ)ジフェニルメチレン]−[1−(N−エチル−N−p−スルホベンジル)−2,5−シクロヘキサジエンイミン]モノナトリウム塩であるトリフェニルメチレン染料を含むFD&C緑色1号を含むがこれらに限定されない。本発明の一実施形態においては、着色剤としてFD&C赤色3号を使用する。
【0053】
本明細書において有用な粘度調整剤は、第四級アンモニウム化合物および同様の薬剤、デンプン、ゴム、カゼイン、ゼラチンおよび半合成セルロースを含むが、これらに限定されない。
【0054】
義歯接着剤組成物は、散剤、パスタ剤、クリーム剤、ゲル剤またはライナーの形態をしていてもよい。これらのパスタ剤またはゲル剤は、チューブ、ブラシペン、噴霧瓶、接着剤棒などの容器、または消費者の使用にフレンドリーなアプリケーターを有する他の特に設計された容器から、消費者が適用することができ、あるいはヒドロゲルフィルムまたはヒドロゲルシート、ヒドロゲルストリップまたはヒドロゲルウエハーに製造することができる。これらのフィルムまたはストリップは、特定の望ましい、適用時の厚み、強度および一体性を有する。
【0055】
本発明の一実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、少なくとも1種の抗炎症剤と組み合わせて製剤化される。適切な抗炎症剤は、ビタミン(ビタミンE、ビタミンB2、葉酸、など);NSAIDS(アスピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、など);ステロイドの抗炎症性化合物(コルチコステロイド);天然抽出物(tumeric、緑茶抽出物、生姜抽出物、など);生物学的化合物(オメガ−3脂肪酸、ピルビン酸エチル、など)を含むが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、抗炎症剤はビタミンEである。一般に、義歯接着剤製剤全体の約0.01から5.00重量%の量が適切である。別の好ましい実施形態において、抗炎症剤はビタミンEで、製剤の0.25重量%の量が存在する。
【0056】
本発明の一実施形態においては、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、少なくとも1種の抗酸化剤と組み合わせて製剤化される。適切な抗酸化剤は、ビタミン(ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、など);生物学的化合物(レスベラトロル、EGCG、リコピン、など);食品保存添加物(TBHQ、BHA、BHTなど);および天然抽出物(大豆、ブドウ、オリーブオイル、など)を含むが、これらに限定されない。一般に、義歯接着剤製剤全体の約0.01から5.00重量%の量が適切である。
【0057】
固体および液体を配合、加熱および冷却する従来のタイプの混合装置を使用する、そのような製剤を調製するための手段は、義歯接着剤技術において周知である。一実施形態において、ゲル剤またはパスタ剤製剤を製造する方法は、乾燥したポリマー粉体混合物の調製する工程;水、グリセリンまたは水/グリセリンの混合物などの媒体を調製する工程;予備処理したポリマー粉体混合物を液体媒体に加え、一様なゲルまたはペーストが形成されるまで混合する工程を含み、また、場合によって、混合の最後で、生成物中に閉じ込められた空気を除去する真空などの方法を適用することができる。
【0058】
粉末形態において、これらの成分は、着香剤および着色剤と無毒な固化防止剤(シリカ、ステアリン酸マグネシウム、滑石末など)などの他の成分と一緒に混ぜられる。原料の混合物は完全に振とうまたは撹拌され、すべての成分の概略均質な混合が得られる。
【0059】
ライナーまたは層の形態においては、成分は一様に混合され、次いで噴霧(材料が液体、または水などの液体中でスラリーであるか、溶解、もしくは懸濁されている場合)またはふるい分け(義歯接着剤が粉末形態である場合)による任意の従来の被覆技術によって、非接着性、自立性被覆層に被覆される。別の実施形態において、成分は、前に記載した防腐剤、着香剤、着色剤、甘味剤、粘度調整剤などと混ぜられる。次いで、ライナーは、注型、カレンダリング、被覆および押出加工を含むポリマーフィルム形成技術において公知の、任意の様々な技術によって形成される。ライナーを形成する一実施形態において、成分はまずリングローラーによって機械的に軟化され、液圧プレスで滑らかにされ、義歯用ライナーの形状または他の所望の形状に要望どおりに打ち抜かれる。
【0060】
本発明をさらに例証するために、実施例を以下に述べる。ここで、明細書および請求範囲において、特に断らない限り、すべての部および百分率は重量に、ならびにすべての温度は摂氏による。
【実施例】
【0061】
実施例1から3については、プロピルパラベンナトリウムの抗炎症性有効性を確立するために3組の細胞培養菌実験を行った。すべての場合に、インビトロ試験は低血清培地に懸濁したヒト歯肉線維芽細胞を使用して行った。細胞を刺激するために、P.ジンジバリス(P.gingivalis)に由来する2μg/mLリポ多糖類(LPS)を、培地に加えた。プロピルパラベンナトリウムを、培地に直接加えるか、または接着剤マトリックスに組み込み、次いで、浸透性のプラスチックインサートによって培地に懸濁させた。インキュベーション時間の後、細胞の応答は、プロスタグランジンE(PGE)、細胞の刺激および炎症に伴うサイトカイン、の存在によって定量した。「100%」に対する負の対照のPGE放出のレベルを規格化した後のデータを、以下に記述する。
【0062】
実施例1:用量応答
ScienCell(Carlsbad、CA)から購入したヒト歯肉線維芽(HGF)細胞を使用してインビトロ試験を行った。使用に先立って、細胞を5%COおよび95%湿度を有する37℃インキュベーター中で成長させた。細胞は、熱的に不活性化したウシ胎児血清(Mediatech)を10%添加しペニシリンストレプトマイシン100X溶液(Mediatech)を1%添加した高グルコースダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)(Mediatech、Manassas、VA)中で維持した。長期貯蔵のために以前に凍結していた細胞を、実験に使用する前に少なくとも一度、回復させた/成長させた。
【0063】
細胞を平板培養するために、維持培地を吸引し、細胞はハンクス液(Hank’s Balanced Salt Solution)(Mediatech)で洗浄した。続いて、HBSSを吸引し、トリプシン−EDTA溶液(Mediatech)を加え、組織培養プラスチックから細胞が放出されることを確認した。維持培地を再び用い、細胞を含有する溶液の画分をマルチウェルプレートに移した。移した後、培養を行って、細胞集団を80%の集密度に成長させた。
【0064】
集密度の所望のレベルが達成されたら、維持培地を吸引し、いくつかの試験液の1つを加えた。負の対照については、フェノールレッドおよびL−グルタミンを含まないDMEM高グルコース培地(VWR Scientific,West Chester,PA)中に0.5%ウシ胎児血清(Mediatech)および581.08mg/LのL−グルタミン粉末(Sigma−Aldrich、Milwaukee、WI)を含む低血清培地を調製した。1、10または100μg/mLのプロピルパラベンナトリウム(Sigma−Aldrich)を添加して、低血清培地も調製した。試験液は細胞を含有する試験ウェルに別々に加え、6時間培養した。
【0065】
培養の後、P.ジンジバリス(Invivogen,San Diego,CA)に由来するリポ多糖類(LPS)の2μg/mL当量を、試験ウェルの半分に加えた。LPSの存在下で2時間の培養の後、試験液はすべて、フェノールレッドを含まず試験液と同一のプロピルパラベンナトリウム濃度を含むように修正しておいた維持培地と取り代えた。次いで、細胞はインキュベーターに戻し、18時間回復させた。
【0066】
プロスタグランジンEを細胞の炎症のマーカーとして選んだ。R&D Systems(Minneapolis,MN)からのELISAキットを細胞からのPGEの放出を定量するために使用した。上澄みをウェルから集め、アッセイキットの説明に従って、試験に先立ち10000rpmで15分間遠心分離機にかけた。同時に、MTS細胞生存率測定(Promega、Madison、WI)またはタンパク質DCアッセイ(Bio−Rad,Hercules CA)のいずれかを、ウェルに残った細胞で行った。アッセイにより報告したPGEの量は、生細胞またはタンパク質全体の百分率で規格化した。さらなる規格化を行い、負の対照試験液から観察されたPGE放出に100%の値を割り当てた。
【0067】
調べた濃度範囲内では、プロピルパラベンナトリウムが効果的であることが判明した。結果を下記の表1に示す。
【表1】

【0068】
実施例2:接着剤中での有効性
義歯接着剤製剤においてプロピルパラベンナトリウムの有効性を試験するために、細胞は、24ウェルプレートのウェル内に適合するように設計した細胞培養インサート(BD Lifescience,Franklin Lakes,NJ)に移した。次いで、0.25グラムの義歯接着剤(0.0%または0.2%のいずれかのプロピルパラベンナトリウムを含有する)を、ウェルの底に配置した。ウェルプレートにインサートを配置する前に、低血清培地を使用して、義歯接着剤製剤の高いレベルの水吸収性により、接着剤を完全に水和させた。その時、義歯接着剤から移動しやすい成分は、インサートの浸透膜を横切り、細胞と相互作用することがある。
【0069】
この実験(接着剤基剤1)に対して使用した義歯接着剤基剤は、ポリマーの組成物および流動学的性質において市販の義歯接着剤製品と密接に関連する。主な原料は、カルボキシメチルセルロース、メチルビニルエーテル/マレイン酸共重合体(Gantrez(登録商標))、ペトロラタムおよび鉱油を含む。
【0070】
この検討において、PGE放出は、R&D SystemsからのELISAキットを使用して定量し、PromegaからのMTS細胞生存率アッセイキットを用いて規格化した。さらなる規格化を行い、プロピルパラベンナトリウムを含まない接着剤製剤から観察されたPGE放出に100%の値を割り当てた。
【0071】
ポリマーマトリックスから送達された場合でさえ、プロピルパラベンナトリウムは効果的であることが観察された。結果は、以下の表2に示す。
【表2】

【0072】
実施例3:複合接着剤中での有効性
この検討において、0.2重量/重量%プロピルパラベンナトリウムを、ポリマーの組成物および流動学的性質において市販の義歯接着剤製品と密接に関連する、プロトタイプ義歯接着剤製剤(接着剤基剤2、接着剤基剤3)に加えた。接着剤基剤1と同様に、主な原料は、カルボキシメチルセルロース、メチルビニルエーテル/マレイン酸共重合体(Gantrez(登録商標))、ペトロラタムおよび鉱油を含む。いくつかの実験において、抗炎症性の有効性を有する有効成分の追加のパッケージも接着剤基剤に加えた。
【0073】
この検討において、R&D SystemsからのELISAキットを使用してPGE放出を定量し、Bio−Radからのタンパク質DCアッセイキットを用いて規格化した。さらなる規格化を行い、プロピルパラベンナトリウムまたは他の追加の有効成分を含まない接着剤基剤から観察されたPGE放出に100%の値を割り当てた。
【0074】
抗炎症性有効成分の存在下に義歯接着剤基剤から送達された場合でさえ、プロピルパラベンナトリウムは効果的であることが観察された。結果を以下の表3に示す。
【表3】

【0075】
実施例4:ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)から得られるリポ多糖類(LPS)によって誘発される歯肉炎に対するプロピルパラベンナトリウムの効果の検討
プロピルパラベンナトリウムが存在するおよび存在しない状態で、マウスマクロファージ細胞(RAW264.7)およびヒト歯肉細胞(HGF)を、LPSで刺激し、細胞上澄み中の、炎症伝達物質プロスタグランジンE(PGE)およびインターロイキン8(IL−8)のレベルを測定した。LPS投与は炎症伝達物質の分泌を増加させ、一方、プロピルパラベンナトリウムは、用量に依存してこれらの伝達物質のLPS誘発分泌を減少させた。プロピルパラベンナトリウムは、白血球および歯肉線維芽細胞の両方から炎症伝達物質の分泌を阻害して、新規の抗炎症剤であると確認された。
【0076】
白血球および歯肉線維芽細胞は歯肉炎に密接に関与する2つの細胞タイプである。PGEおよびIL−8は歯肉炎に決定的な役割を果たす伝達物質である。この検討では、P.ジンジバリスLPSに誘発された細胞モデルからの炎症伝達物質の分泌に対するプロピルパラベンナトリウムの効果を調査した。
【0077】
マウスマクロファージRaw264.7細胞およびヒト歯肉線維芽HGF細胞は、ATCC(Manassas、VA)およびScienCell LLC(Carlsbad,CA)からそれぞれ購入した。他に述べない限り、培養試薬はすべて、Mediatech(Manassas、VA)から購入した。両方の細胞系統を、37℃で5%のCOの存在する高湿インキュベーター内で培養し、10%のウシ胎児血清(FBS)および1%のペニシリンストレプトマイシンを補ったダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、4.5g/lのグルコース)中で維持した。細胞の処置に先立って、LPSおよびアッセイ試薬との可能な干渉を回避するために、ペニシリンストレプトマイシンを含まず、フェノールレッドを含まないDMEM培地に維持培地を代えた。
【0078】
24または48ウェルプレートで細胞を終夜培養し50−70%の集密度に達した。低血清培地(0.5%FBS)を、1、10または100μg/mlのプロピルパラベンナトリウム(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を添加して調製した。試験液は、細胞を含有する試験ウェルに別々に加え、6時間培養した。培養の後、2μg/mlでP.gingivalis LPS(PG−LPS)を指定の試験ウェルに導入した。LPSが存在する2時間の培養の後、培地はすべて、同一濃度のプロピルパラベンナトリウムを含む維持培地(10%FBS)に代えた。細胞はさらに18時間培養し、その後試料を収集しアッセイした。
【0079】
細胞生存率アッセイ
1、10または100μg/mlのプロピルパラベンナトリウムを含む培地で細胞を24時間培養した。薬剤の潜在的な細胞毒性は、CellTiter 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay Kit(Promega,Madison,WI)を使用し製造業者の説明書に従って、細胞生存率/増殖応答アッセイによって求めた。
【0080】
炎症マーカー分析
上澄みを集め、10,000rpmで5分間遠心分離機にかけた。PGEまたはIL−8のレベルは、市販の酵素免疫吸着アッセイ(ELISA)キット(R&D Systems,Minneapolis,MN)を使用して分析した。この結果を同一試料の細胞生存率で規格化し、規格化した結果はLPS(+)および(−)対照群と比較した。
【0081】
統計的手法
データは平均(+/−標準偏差)として記述する。LPS対照、ならびに、プロピルパラベンナトリウムおよびLPSで処理した試料を比較した。スチューデントのt検定を使用して、調査結果の統計的有意性を求めた。p<0.05ならば、差異は有意であると考えられた。
【0082】
結果
LPSは、負の対照と比較して、Raw264.7細胞からPGEの放出をより多く誘発した。PGEの高い放出は、1、10および100μg/mlのプロピルパラベンナトリウムによって基礎レベルに低下し(図1A参照)、強い抗炎症作用を示した。プロピルパラベンナトリウムの局所的な歯肉炎に対する効果をさらに調査するために、HGF細胞をLPSおよびプロピルパラベンナトリウムで同様に処理した。LPS処理することによって、PGE放出は、対照に対して5倍の増加をもたらした。HGFにおいてLPSが介在するPGE放出を阻害するプロピルパラベンのナトリウム作用は、Raw264.7細胞において観察された阻害と同様であった(図1B参照)。並行実験において、プロピルパラベンナトリウムは、LPSが介在するIL−8産生を、用量に依存して減少させた(図1C参照)。PGEまたはIL−8の誘発は、どちらの細胞モデルにおいても、100μg/mlのプロピルパラベンで処理しても観察されなかった。
【0083】
下記の製剤が製造され、本発明の範囲内に包含される。
【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【0084】
前述の説明が本発明の単なる例証であることを理解されなければならない。当業者は、本発明から離れずに、様々な代替および修正を考案することができよう。したがって、本発明は、添付された特許請求の範囲の範囲内にあるような代替、修正および変形をすべて包含するものと意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化1】

[式中、nは0から3の整数である。]を有効量投与することを含む、それを必要とする哺乳動物、特にヒトの炎症を治療および/または予防する方法。
【請求項2】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化2】

[式中、nは0から3の整数である。]の有効量と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を投与することを含む、それを必要とする哺乳動物、特にヒト、の炎症を治療および/または予防する方法。
【請求項3】
医薬組成物が少なくとも1種の抗炎症剤をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
医薬組成物が少なくとも1種の抗酸化剤をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化3】

[式中、nは0から3の整数である。]の有効量と薬学的に許容される賦形剤とを含む歯磨剤組成物を投与することを含む、それを必要とする哺乳動物、特にヒト、の炎症を治療および/または予防する方法。
【請求項6】
歯磨剤組成物が少なくとも1種の抗炎症剤をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
歯磨剤組成物が少なくとも1種の抗酸化剤をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化4】

[式中、nは0から3の整数である。]の有効量と薬学的に許容される賦形剤とを含む義歯接着剤組成物を投与することを含む、それを必要とするヒトの炎症を治療および/または予防する方法。
【請求項9】
義歯接着剤組成物が少なくとも1種の抗炎症剤をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
義歯接着剤組成物が少なくとも1種の抗酸化剤をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化5】

[式中、nは0から3の整数である。]の有効量を含む義歯接着剤組成物を投与することを含む、それを必要とする無歯の患者の炎症を治療および/または予防する方法。
【請求項12】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化6】

[式中、nは0から3の整数である。]の有効量と少なくとも1種の追加の抗炎症剤とを含む義歯接着剤組成物を投与することを含む、それを必要とする無歯の患者の炎症を治療および/または予防する方法。
【請求項13】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化7】

[式中、nは0から3の整数である。]の有効量と少なくとも1種の抗酸化剤とを含む義歯接着剤組成物を投与することを含む、それを必要とする無歯の患者の炎症を治療および/または予防する方法。
【請求項14】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化8】

[式中、nは0から3の整数である。]の有効量と、少なくとも1種の追加の抗炎症剤と、少なくとも1種の抗酸化剤と、抗菌剤と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を投与することを含む、それを必要とする哺乳動物、特にヒト、の炎症を治療および/または予防する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−508256(P2012−508256A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535734(P2011−535734)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/063773
【国際公開番号】WO2010/054344
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】