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抗老化作用を有するヤドリギ抽出物
説明

抗老化作用を有するヤドリギ抽出物

【課題】Klotho蛋白質の産生促進剤を提供する。
【解決手段】ヤドリギ抽出物からなるKlotho蛋白質の産生促進剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Klotho蛋白質の産生促進剤、Klotho遺伝子の発現、蛋白質の産生、分泌促進により、抗老化作用を示す組成物に関する。
【0002】
また、本発明は、Klotho遺伝子の発現産物であるKlotho蛋白質の産生を促進するが、IGF-1発現には実質的に影響しないKlotho蛋白質の産生促進剤に関する。
【0003】
さらに、本発明はヤドリギ抽出物、特に100kDa以上の分子量を有するヤドリギ抽出物の分画に関する。
【背景技術】
【0004】
ヤドリギは、リンゴ、サクラ、オーク、サンザシ、ライムおよびドングリを含む常緑の部分寄生植物として生息する。 ヤドリギ抽出物は,免疫を賦活し、抗癌作用を有すること(特許文献1〜2)、抗老化、保湿、美肌などの皮膚外用剤としての効果を有すること(特許文献3〜5)が知られている。
【0005】
Klotho遺伝子は、早期老化様表現型を示す変異マウスの原因遺伝子産物として1997年に見出された(非特許文献1)。
【0006】
Klothoを発現を促進する物質として、活性炭、オルニチン、メチレンブルー、エバンスブルー、トリパンブルーなどが知られている(特許文献6〜7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表平11-503453
【特許文献2】特表2004-513926
【特許文献3】特開2003-48812
【特許文献4】特開2003-48846
【特許文献5】特開2001-302438
【特許文献6】特開2010-208969
【特許文献7】特開2008-174473
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Kuro-o M. et al., Nature, 390: 45-51, 1997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、Klotho蛋白質の産生を促進し、老化に関連する疾患ないし障害を予防ないし治療可能な成分ないし組成物、ヤドリギ抽出物を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は上記課題に鑑み検討を重ねた結果、ヤドリギ抽出物がKlotho蛋白質の産生促進作用を有することを見出した。
【0011】
本発明は、以下のKlotho蛋白質の産生促進剤、組成物、ヤドリギの分画とその調製方法、Klotho遺伝子の産生促進のための使用に関する。
項1. ヤドリギ抽出物からなるKlotho蛋白質の産生促進剤。
項2. ヤドリギ抽出物が、用量依存的にKlotho遺伝子の産生促進作用を有する、項1に記載のKlotho蛋白質の産生促進剤。
項3. ヤドリギ抽出物が、分子量100kDa以上の分画である、項1又は2に記載のKlotho蛋白質の産生促進剤。
項4. ヤドリギ抽出物が、分子量100kDa〜300kDaの分画である、項1〜3のいずれかに記載のKlotho蛋白質の産生促進剤。
項5. 分子量100kDa以上の分画である、ヤドリギ抽出物。
項6. 分子量100kDa〜300kDaの分画である、項5に記載のヤドリギ抽出物。
項7. ヒト正常肝細胞におけるKlotho産生を促進する項1〜4のいずれかに記載のKlotho蛋白質の産生促進剤または項5〜6のいずれかに記載のヤドリギ抽出物。
項8. 項1〜4のいずれかに記載のKlotho蛋白質の産生促進剤または項5〜6のいずれかに記載のヤドリギ抽出物を含む、抗老化剤。
項9. 項1〜4のいずれかに記載のKlotho蛋白質の産生促進剤または項5〜6のいずれかに記載のヤドリギ抽出物を含む、老化に関連する疾患または障害の予防ないし治療用組成物。
項10. 前記疾患または障害が、老化、骨密度の低下、動脈硬化、歩行障害、皮膚・筋肉の萎縮、肺気腫、下垂体ホルモン分泌低下、認知障害、ミトコンドリア遺伝子発現の低下、聴力障害からなる群から選ばれる、項9に記載の組成物。
項11. 皮膚外用剤または化粧料の形態である、項9または10に記載の組成物。
項12. 経口摂取用の製剤である、項9または10に記載の組成物。
項13. ヤドリギ抽出物を、Klotho蛋白質の産生促進作用に基づき分画することを特徴とする、Klotho蛋白質の産生促進作用を有する分画の調製方法。
項14. ヤドリギ抽出物を分子量により分画し、100kDa以上の分子量の分画を得ることを特徴とする、項13に記載の調製方法。
項15. 前記分画が加熱より変性しない分画である、項13または14に記載の調製方法。
項16. 前記分画がIGF-1の増強作用を有しない、項13〜15のいずれかに記載の調製方法。
項17. ヤドリギ抽出物のKlotho蛋白質の産生促進のための使用。
【発明の効果】
【0012】
本発明によればKlotho遺伝子の発現を生体内で促進することができる。Klotho遺伝子の発現低下は老化を誘導することが知られているので、本発明のKlotho蛋白質の産生促進剤は、老化に関連する疾患ないし障害を予防もしくは治療することができる。
【0013】
Klotho遺伝子を高発現させるとマウスの寿命が延びることは知られているので、本発明のヤドリギ抽出物またはKlotho遺伝子の発現を促進するその分画は、長寿薬としても有用である。
【0014】
特に、本発明のヤドリギ抽出物またはその分画は、Klotho遺伝子の発現を促進するだけでなく、IGF-1の発現に実質的に影響しないので、抗酸化の点でも優れた素材である。
【0015】
本発明のヤドリギ抽出物は、マウスよりもヒトに対して強力なKlotho蛋白質の産生促進作用を有しているので、特にヒトの抗老化に有用である。
【0016】
本発明のヤドリギ抽出物は、食品組成物、医薬組成物として経口で摂取することにより抗老化作用を示し、化粧品組成物或いは皮膚外用剤として皮膚(肌)の抗老化作用を示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】マウス肝細胞によるKlothoのmRNA発現の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書において、「Klotho蛋白質」は、Klotho遺伝子の発現産物であり、分泌型と膜型レセプターの両方を包含する。「Klotho蛋白質」は、特に分泌型蛋白質を包含するものである。
【0019】
本発明において、ヤドリギとしては、Viscum albumおよびその類縁植物が挙げられる。類縁植物は、Klotho蛋白質の産生促進成分を有する限り、特に限定されない。
【0020】
ヤドリギは、ボダイジュ、ポプラ、モミ、マツ、リンゴ、カシ等の種々の木に常緑の部分寄生植物として生息し、約25から100cmの大きさでほぼ球状の植物として成長し、特に冬季に落葉した樹木上に認められる。ヤドリギは、ビスコトキシム、レクチンなどを含有している。
【0021】
ヤドリギの抽出は、植物全体を使用して実施することができるが、植物の一部(葉、枝、幹など)を用いて実施してもよい。
【0022】
ヤドリギ抽出物は、古くから種々の薬効、例えば関節症やリウマチ、癌、などに有効であることが知られている。ヤドリギ抽出物がKlotho蛋白質の産生促進作用を有することは、本発明で初めて得られた知見である。
【0023】
ヤドリギ抽出物は、水(温水、熱水を含む)、含水溶媒等の極性溶媒で抽出した成分にKlotho蛋白質の産生促進作用を有する成分が含まれている。水と混和しない(極性の低い)溶媒で抽出した成分にはKlotho蛋白質の産生促進作用は見られないので、ヤドリギ抽出物は、有機溶媒で洗浄(抽出)して、不要な成分を除去することができる。
【0024】
ヤドリギ抽出物自体は、Klotho蛋白質の産生促進作用を有するが、Klotho蛋白質の産生促進作用を有する成分が濃縮された分画を使用するのが好ましい。このような分画は、抽出、クロマトグラフィ、ろ過、抽出、透析、沈殿などの処理により行うことができる。本発明で好ましく使用される分画は、ゲルろ過、透析等のクロマトグラフィーにより得ることができる、分子量が約100kDa以上の成分を有する分画である。特に好ましい分画は、分子量が約100kDa〜約300kDaの分画である。
【0025】
本発明のヤドリギ抽出物は、加熱によりKlotho蛋白質の産生促進作用は失われない。
【0026】
1つの実施形態において、本発明で使用するヤドリギ抽出物又はその分画は、以下の物理化学的性質を有する。
1)性状 暗かつ色液
2)分子量 100−300KDa
3)溶解性:水(生理食塩水)に可溶、アルコールに不溶。
4)pI: 5.9
5)赤外吸収スペクトル(IR): (KBr/disc; cm-1)3389; 2938; 1620; 1405; 1048; 670
6)1H-NMR(溶媒:CDCl3; δ/ppm): 0.857(m), 1.22(m), 1.26(m), 1.39(t), 1.59(b.s), 1.898(m), 2.04(m), 3.34(s), 3.49(m), 3.74(q), 3.86(m), 4.37(q), 5.13(b.d), 7.26(s)
【0027】
本発明のKlotho蛋白質の産生促進剤は、抗老化(アンチエージング)作用を有し、老化に関連する疾患または障害の予防ないし治療用組成物として有用である。
【0028】
老化に関連する疾患または障害としては、老化、骨密度の低下、動脈硬化、歩行障害、皮膚・筋肉の萎縮、肺気腫、下垂体ホルモン分泌低下、認知障害、ミトコンドリア遺伝子発現の低下、聴力障害などが挙げられ、具体的には、骨粗しょう症、認知症、パーキンソン病、アルツハイマー病、心筋梗塞、狭心症、高血圧、皮膚(肌)の老化、肌のしわ、たるみ、はりの低下、運動機能の低下、難聴、肺気腫、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などが挙げられる。
【0029】
本発明のヤドリギ抽出物は、Klotho蛋白質の産生促進作用を有する量で安全であり、医薬、食品、化粧品のいずれかの形態でヒトに摂取または皮膚外用剤として適用することができる。
【0030】
ヤドリギ抽出物を経口で摂取する場合、成人1日あたり、1〜5000mg程度の摂取量(固形分)が望ましい。皮膚外用剤としてヒトに適用する場合、ヤドリギ抽出物(固形分)の濃度は、0.001〜10質量%程度、好ましくは0.1〜5質量%程度が挙げられる。
【0031】
本発明の好ましいヤドリギ抽出物は、IGF-1の産生に実質的に影響しない。IGF-1産生を増強すると、SIRT1の作用と拮抗し、SODの発現低下を介して酸化ストレスが増強されるため、Klothoの産生促進作用を打ち消すことになる。本発明の好ましいヤドリギ抽出物は、IGF-1に影響しないため、抗老化剤として好ましい。
【0032】
本発明のヤドリギ抽出物の製剤としては、錠剤(タブレット)、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤、丸剤、トローチ、液剤、ドリンク、シロップ剤、坐剤、経皮吸収剤、パッチ剤、サシェ、硬膏剤、軟膏剤などが挙げられる。化粧品として使用する場合には、ファンデーション、乳液、ローション、化粧水、口紅、頬紅、化粧下地などが挙げられる。食品としては、サプリメントの通常の製剤形態(タブレットなど)が挙げられる。
【0033】
本発明のヤドリギ抽出物は、化粧品組成物及び皮膚用組成物における既知の従来の用途を有する1つ又は複数の配合剤又は添加剤をさらに含んでいてもよい。それらの非限定的な例として、皮膚軟化剤、着色剤、被膜形成剤、界面活性剤、香料、防腐剤、乳化剤、油、グリコール、ビタミンE等のビタミン、UVフィルタ等が挙げられる。当業者であれば、化粧品ないし皮膚科学の分野における知識を基に、本発明の組成物に添加すべき配合剤の種類及び所望の性質に応じた量を理解できる。
【0034】
本発明のヤドリギ抽出物を含む食品組成物、医薬組成物、化粧品組成物又は皮膚外用剤は、皮膚の老化及び/又は皮膚の老化の兆候の出現を予防する、遅らせる、又は食い止めるのに使用することができる。「皮膚の老化の兆候」とは、しわ、小じわ、皮膚のたるみ、皮膚繊維の弾力性の喪失、皮膚の萎縮、皮膚の菲薄化、並びにくすんだ及び/又は輝きのない皮膚を意味する。
【0035】
局所適用される本発明のヤドリギ抽出物を含む医薬組成物、化粧品組成物又は皮膚外用剤は、数日〜数ヶ月の期間で、1日に1回又は複数回(原則として1日に1回〜5回)皮膚に適用することが推奨される。適用は顔、手、腕、脚、首、及び乳房、腹部といった老化の影響を受けやすい体の領域に限局されたものであっても、全身に対するものであってもよい。適用は皮膚のマッサージを伴うものであってもよい。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明する。
[製造例1] 本発明の抽出分画液の製造法
セイヨウヤドリギの葉、枝100gを400mlの蒸留水に入れ、100℃にて10時間の抽出を行った。抽出液を集め、2000回転30分間の遠心後、その上清を0.45μmのフィルターを通過させ、凍結乾燥を行った。その抽出乾燥物を100mg/mlの濃度になるよう蒸留水に溶解した。さらに、この抽出液をろ過ユニット-ビバスピン(ザルトリウス社製)を用いて、分子量分画を行った。ビバスピン20の分画分子量5K, 10K, 30K, 50K, 100K, 300Kろ過膜を有する遠心管にて、5K以下、5−10K, 10−30K、30−50K、50−100K、100−300K、300K以上に分画した。
【0037】
[実施例1] ヤドリギ抽出液ならびに分画液によるマウス肝細胞からのKlothoならびにIGF-1産生の検出
C3H/HeN雌マウス(6週令)からの肝実質細胞をコラゲナーゼ還流法にて単離し、その肝細胞(500個/0.5ml無血清DMEM培養液)を蛋白質吸着性の混合セルロース膜を有するミリセルーHA (孔径0.45μm、直径12mm、ミリポア社製)内に入れ、それを24穴プレート内に置き、外液も無血清DMEM培養液を水面が等しくなるように入れる。ミリセル-HA内にヤドリギ抽出液ならびに各分画液を5μlにて添加し、37℃の培養器内にて、4時間培養後、ELISPOT法にてKlothoおよびIGF-1産生細胞を検出した。すなわち、パスツールピペットにて、ミリセル-HA内の肝細胞を1%tween20(Sigma社製)含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS)にて剥離、洗浄し、次に、ミリセル内に2%過酸化水素含有PBS を加え、10分間反応させた後、PBSにて2回洗浄し、0.3mlのprotein-free(PBS)blocking buffer(Thermo社製)を加えて、37℃で1時間反応させて、各穴のミリセル膜をブロックした。その後、ミリセル膜を2回洗浄し、各穴に抗マウスklotho抗体(200倍希釈:サンタクルーズ社製)あるいは抗IGF-1抗体(200倍希釈:サンタクルーズ社製)を0.2ml加えて、4℃にて一晩中放置した後、ミリセル膜をPBSにて2回洗浄した。次に、Histomouse plus kit( Invitrogen社製)のビオチン標識2次抗体を3滴添加し、室温にて30分間反応後、PBSにて2回洗浄し、各穴内に、アビジン標識ペルオキシダーゼ(ABC kit: ベクターラボラトリー社製)を0.2ml加え、30分間反応後、PBSにて2回洗浄し、tetramethylbenzidine(TMB)と過酸化水素を含むTrue Blue液(KPL社製)を0.2ml加え、10分間反応させ、蒸留水にて2回洗浄し、乾燥後、各穴内に形成させた青色スポットを実体顕微鏡下で計測した。形成されたスポット数はKlothoおよびIGF-1を産生している細胞の数に相当する。表1に本試験の結果を示す。表1の結果から、マウス正常肝実質細胞は刺激なしでもKlothoおよびIGF-1を分泌している細胞が存在している。しかし、ヤドリギ抽出液を添加すると、有意にKlotho分泌細胞は増加したが、100−300K分画液はさらに高くklotho分泌細胞を増大させた。しかし、ヤドリギ抽出液および分画液ともIGF-1分泌には影響することはなかった。
【0038】
ヤドリギ抽出物の100−300K分画液の1H-NMRデータとIRのデータを以下に示す。
1H-NMR(溶媒:CDCl3; δ/ppm): 0.857(m), 1.22(m), 1.26(m), 1.39(t), 1.59(b.s), 1.898(m), 2.04(m), 3.34(s), 3.49(m), 3.74(q), 3.86(m), 4.37(q), 5.13(b.d), 7.26(s)
IR(KBr/disc; cm-1): 3389, 2938, 1620, 1405, 1048, 670
【0039】
【表1】

【0040】
[実施例2] ヤドリギ抽出液および分画液の刺激によるChang liver細胞(ヒト正常肝細胞株)でのKlothoおよびIGF-1分泌
Chang liver細胞を細胞低吸着性Prime surfaceスフェロイド96Uプレート(住友ベークライト社製)にて10%牛胎児血清添加DMEM培養液中に浮遊培養した。そのスフェロイドを形成したChang liver細胞を単離するため、0.1mlのトリプルセレクト分離液(Invitrogen社製)を加えて、37℃で10分間反応させ、0.1mlの無血清DMEM培養液を加え、各穴の細胞浮遊液を15mlの遠心管に移し100xgで5分間遠心分離した後、培養液を捨て、再度DMEM培養液を加え、再懸濁し、遠心を繰り返し、再度DMEM培養液に浮遊させ、500個/0.5mlを実施例1と同様にミリセル内に入れ、ヤドリギ抽出液(5μl)、100-300KDa分画液(5μl)を添加した。コントロールは無添加とした。37℃、4時間培養後、実施例1と同様のELISPOT法にて、Klotho分泌細胞を検出には100倍希釈の抗ヒトKlotho抗体(ABGENT社製)を用い、またIGF-1分泌細胞の検出には100倍希釈抗ヒトIGF-1抗体(Santa Cruz Biotechology社製)を用いた。その結果は表2に示すごとく、ヤドリギ抽出液刺激によりコントロールに比して、約20倍、分画液では約80倍のKlotho分泌細胞が検出しえた。しかし、IGF-1分泌細胞の数は不変であった。
【0041】
【表2】

【0042】
[実施例3] 正常ヒト肝細胞よりのKlothoおよびIGF-1分泌の検出
正常ヒト肝細胞(75才、男性:Celsis社より購入)を実施例2と同様にスフェロイド96Uプレート(住友ベークライト社製)を用いて浮遊培養を行い、実施例2と同様にELISPOT法にて、ヤドリギ抽出液および分画液により刺激した正常ヒト肝細胞を用いて検出した。その結果は表4に示すように、ヤドリギ抽出液ではコントロールに比して、約30倍、分画液で約100倍のKlotho分泌細胞が増加したが、IGF-1分泌細胞は増大しなかった。
【0043】
【表3】

【0044】
[実施例4] ヤドリギ抽出液および分画液のマウスへの経口投与による肝細胞中のKlothoおよびIGF-1分泌細胞の検出
C3H/HeN雌マウス(6週令)にヤドリギ抽出液(0.1ml), あるいは100-300K分画液(0.1ml)、あるいはコントロールとして蒸留水(0.1ml)を胃管にて経口投与した。各群は4匹づつとして投与した。経口投与して24時間後に、実施例1のごとく、肝臓より肝細胞を単離し、ELISPOT法にてKlothoおよびIGF-1分泌細胞を検出した。その結果は表4に示すごとく、ヤドリギ抽出液投与ではコントロールに比して約3倍、分画液投与では約7倍のKlotho分泌細胞数が増加したが、IGF-1分泌細胞では有意な変化はなかった。
【0045】
【表4】

【0046】
[実施例5]
実施例2に従い、ヤドリギ抽出液に代えて下記の表5に示される物質を用いて、KlothoとIGF-1の分泌細胞数をコントロールに対してどの程度増大させるかについて試験した。結果を表5に示す。
【0047】
【表5】

【0048】
上記のように、KlothoとIGF-1の発現は両方増大させる傾向にある。一方、本発明の抽出物はKlotho蛋白質の産生促進作用を有するので、抗老化剤として有用である。
【0049】
[実施例6] マウス肝細胞のKlothoのmRNA発現
実施例1のように、C3H/HeNマウスより単離した肝細胞を50万個/mlの濃度で無添加、または100-300KDa分画液(5μl/ml)を添加し、37℃の培養器内で3時間培養し、培養した肝細胞は遠心後、上清を捨て、回収した肝細胞からTrizol(Invitrogen)によりtotal RNAを回収後、DNase処理し、randam primer (TaKaRa)、M-MLV reverse transcriptase (Promega)を用いてRT反応を行った。
得られたcDNA 0.5ugを、Klotho primer ( Foward: 5’-actaccgcttctcatatcgtg , Revese: 5’-caaaccagcctagcacaaagtc )またはGapdh primer( Foward: 5’-accacagtccatgccatcac , Revese: 5’-tccaccaccctgttgctgta )を用いてPCRを行った(反応条件は、annealing temp: 60℃、cycle numbers: 25)。
得られたPCR産物を1.2% agarose gelで電気泳動した。なお、量的評価に関しては、Free softであるImage Jを用いて算出し、Excelを用いて数値化およびグラフ化を行った。その結果は図1に示すごとく、無添加の肝細胞にてもKlothoのmRNA発現はあるが、分画液によりその発現は増加した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヤドリギ抽出物からなるKlotho蛋白質の産生促進剤。
【請求項2】
ヤドリギ抽出物が、用量依存的にKlotho蛋白質の産生促進作用を有する、請求項1に記載のKlotho蛋白質の産生促進剤。
【請求項3】
ヤドリギ抽出物が、分子量100kDa以上の分画である、請求項1又は2に記載のKlotho蛋白質の産生促進剤。
【請求項4】
ヤドリギ抽出物が、分子量100kDa〜300kDaの分画である、請求項1〜3のいずれかに記載のKlotho蛋白質の産生促進剤。
【請求項5】
分子量100kDa以上の分画である、ヤドリギ抽出物。
【請求項6】
分子量100kDa〜300kDaの分画である、請求項5に記載のヤドリギ抽出物。
【請求項7】
ヒト正常肝細胞におけるKlotho産生を促進する請求項1〜4のいずれかに記載のKlotho蛋白質の産生促進剤または請求項5〜6のいずれかに記載のヤドリギ抽出物。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載のKlotho蛋白質の産生促進剤または請求項5〜6のいずれかに記載のヤドリギ抽出物を含む、抗老化剤。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれかに記載のKlotho蛋白質の産生促進剤または請求項5〜6のいずれかに記載のヤドリギ抽出物を含む、老化に関連する疾患または障害の予防ないし治療用組成物。
【請求項10】
前記疾患または障害が、老化、骨密度の低下、動脈硬化、歩行障害、皮膚・筋肉の萎縮、肺気腫、下垂体ホルモン分泌低下、認知障害、ミトコンドリア遺伝子発現の低下、聴力障害からなる群から選ばれる、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
皮膚外用剤または化粧料の形態である、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項12】
経口摂取用の製剤である、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項13】
ヤドリギ抽出物を、Klotho蛋白質の産生促進作用に基づき分画することを特徴とする、Klotho蛋白質の産生促進作用を有する分画の調製方法。
【請求項14】
ヤドリギ抽出物を分子量により分画し、100kDa以上の分子量の分画を得ることを特徴とする、請求項13に記載の調製方法。
【請求項15】
前記分画が加熱より変性しない分画である、請求項13または14に記載の調製方法。
【請求項16】
前記分画がIGF-1の増強作用を有しない、請求項13〜15のいずれかに記載の調製方法。
【請求項17】
ヤドリギ抽出物のKlotho蛋白質の産生促進のための使用。

【図1】
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【公開番号】特開2012−184184(P2012−184184A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47292(P2011−47292)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(507126487)公立大学法人奈良県立医科大学 (12)
【Fターム(参考)】