折り曲げ可能配線基板、発光モジュール、発光モジュールの製造方法、折り曲げ可能配線基板の製造方法
【課題】折り曲げによって簡単に立体形状とすることができ、しかも放熱性を良好かつ確実に確保できる折り曲げ可能配線基板、発光モジュール、発光モジュールの製造方法、折り曲げ可能配線基板の製造方法の提供。
【解決手段】絶縁樹脂層と配線層とを有するフレキシブル回路基板部5が板状基材4の片面を覆うように積層され、板状基材4に、板状基材4の一部を曲げやすくするための溝6が形成された折り曲げ可能配線基板2。フレキシブル回路基板部5には電子部品3が実装される。折り曲げ可能配線基板2は、板状基材4の溝6の形成位置で折り曲げて立体形状に曲げ成形可能である。
【解決手段】絶縁樹脂層と配線層とを有するフレキシブル回路基板部5が板状基材4の片面を覆うように積層され、板状基材4に、板状基材4の一部を曲げやすくするための溝6が形成された折り曲げ可能配線基板2。フレキシブル回路基板部5には電子部品3が実装される。折り曲げ可能配線基板2は、板状基材4の溝6の形成位置で折り曲げて立体形状に曲げ成形可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、文字や画像等を表示するための表示装置などに光源装置として設けて用いることができる発光モジュール及びその製造方法、発光モジュールの製造に用いることが可能な折り曲げ可能配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、文字や画像等を表示するための表示装置、照明装置などにあっては、高効率、長寿命の光源としてLED(発光ダイオード。LED:Light Emitting Diode)の使用が急速に普及しつつある。
光源としてLEDを使用した照明装置、表示装置は、例えば、1又は複数のLEDをリジッドのプリント配線板に実装したLED付き基板のLED実装面側を光透過カバーで覆っただけの単純な構造とすることが可能であり、白熱電球や蛍光灯を光源として使用した場合に比べて構造の単純化、小型化を容易に実現できる。
【0003】
また、例えば特許文献1のように、一般的な白熱電球用のE形口金と一体化した傘形の外殻部材にLED付き基板を取り付けた構成の光源装置や、LED付き基板を覆う球状のカバー(以下、バルブとも言う)を設けた構成の光源装置(以下、電球形LED光源装置とも言う)、シリカ粒子等の光拡散材を混入(あるいは光拡散膜を形成)したプラスチック製の筒状カバー内に、LEDを複数実装した細長板状のプリント配線板を収納した構成の外観細長のもの(以下、細長形LED光源装置とも言う)も製品化されている。
上述の電球形LED光源装置は、周知の白熱電球のようにバルブ内にガスを封入しておく必要が無くバルブの密閉性が要求されない、ガラス製のバルブでなくプラスチック製のものを使用できるなど、白熱電球に比べて製造が容易であり、しかも発光効率も優れている。
細長形LED光源装置は、規格品の直管形蛍光灯と同じ長さを有し、その長手方向両端に直管形蛍光灯と同じ口金を備えたものが多く提供されている。この細長形LED光源装置は、周知の蛍光灯に比べて、ガス封入が不要であるため製造が容易、蛍光灯の点灯に必要とされるスタータ装置や安定器等の専用機器を必要としないといった利点がある。
【0004】
しかしながら、周知のようにLEDは高指向性の点状光源である。このため、例えば室内照明用の照明装置のように、広範囲に光を放射することが要求される照明装置にあっては、シリカ粒子等の光拡散材を混入(あるいは光拡散膜を形成)した光透過カバーによってLEDの出力光の拡散を図っているものの、LEDからの出射光の出射方向はかなり狭い範囲に限定されているため、カバーから外側への放射光の均等化が容易で無く、明るさのばらつきが生じやすいのが実情である。このことは、既述の電球形や細長形のLED光源装置についても同様である。
また、この問題に鑑みて、例えば、照明装置の光透過カバーや、LED光源装置のカバー(電球形光源装置のバルブ、細長形光源装置の筒状カバー)に形成した凹凸によって、カバー内側にてLEDの出射光を複雑に反射させて拡散させる拡散構造を採用することも考えられるが、カバー内側での反射によってカバーから外側へ放射されない光が増大して発光効率の低下を招くといった問題もある。
【0005】
また、LEDを光源とする照明装置や表示装置としては、例えばL字板状、コ字板状等の屈曲板状や、断面三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形筒状など、多種多様な形状の製品の開発も期待されている。
上述の屈曲板状や多角形筒状の装置形状を実現するには、通常、LEDを実装したリジッドのプリント配線板を複数枚使用して照明装置や表示装置といった装置を組み立てることとなる(例えば特許文献2)。
しかしながら、このようにLED付き基板を複数枚使用する装置は、各LED付き基板を所定向きに固定するための固定用部品もLED付き基板の数に応じて必要になるなど、部品点数の増大により組み立てに手間が掛かるといった問題がある。また、使用するLED付き基板の数が多いと、各LED付き基板への給電用の結線が複雑になり結線作業にも手間が掛かる上、LED付き基板のプリント配線板の回路配線に電気的に接続した給電線が装置全体の組み立て作業の障害になりやすい、装置内に給電線の配線用スペースを確保する必要が生じることがあり、場合によっては装置のサイズや製品デザインに影響を与える、といった問題も発生する。
【0006】
これに鑑みて、例えば特許文献3、4のように、LEDを実装したフレキシブルプリント配線板(以下、FPCとも言う)を、予め所望形状に形成した部材に貼り付けて組み立てられる照明装置も提案されている。特許文献3に開示される照明装置は、その図1等を参照して判るように、一般的な白色電球用のソケットに装着可能な口金9が固着された取付ベース8から該取付ベース8に固定された外観球状の透明又は半透明のキャップ12内に突出された柱状のコア5を有し、図2に示すように展開したときに平面となる放射状(図2では十字状)に形成したFPCを前記コア5の先端部を覆うように接着したものである。また、特許文献3の図5〜図7には、展開したときに平面となる放射状のFPCにLEDを実装したものを反射器25の筒部26の内面に接着した照明装置が開示されている。
特許文献4には傘型のハウジング4の内面にLEDを実装したFPCを貼り付けた構成の照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−32466号公報
【特許文献2】特開2002−184207号公報
【特許文献3】特開2006−244725号公報
【特許文献4】特開2002−83506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献3、4のように、LEDを実装したFPCを予め所望形状に形成した部材に貼り付ける構成では、貼り付け作業の効率が悪く、貼り付け作業においてFPCが不用意に曲がってLEDや半田付け部を傷めるといった不都合が生じやすいといった問題がある。すなわち、FPCは柔軟性が高いため、これを貼り付ける対象の部材(以下、貼り付け用基材とも言う)の形状に良く追従するものの、貼り付け作業において自由に曲がってしまうため、LEDや半田付け部を傷めやすい。
【0009】
また、FPCを予め所望形状に形成した貼り付け用基材に固定する手段として接着剤による接着固定を採用する場合は、接着剤が硬化するまでFPCを貼り付け用基材から浮き上がらないように押さえ付けておく必要がある。しかしながら、この際、FPCに実装されているLEDや、FPCの配線を傷めないようにFPCを均等に押さえ付けることは困難である。
例えばLEDや配線が無い部位を選択して押さえ付けを行った場合は、FPCに貼り付け用基材に対する浮き上がり箇所が生じやすいため、接着固定が不充分になって剥がれやすくなったり、アルミニウム等の放熱性の高い前記貼り付け用基材への貼り付けによる放熱性も期待できなくなる。接着剤を用いた固定にかえて例えばFCPの外周の複数箇所を前記貼り付け用基材に突設したフック部等によって機械的に押さえ付ける構成も採り得るが、FPC全体を前記貼り付け用基材に浮き上がり部が生じないように取り付けることは困難である。
【0010】
また、特許文献3、4のような構成では、FPCを貼り付ける貼り付け用基材の形状でFPCの形状が決まるため、複雑な形状の照明装置を作製する場合、複雑な形状の貼り付け用基材を必要とする。このため、貼り付け用基材の形状によっては、複数部材で構成した貼り付け用基材が必要となって組み立ての手間の増大やコストアップを招く可能性があり、また、このような貼り付け用基材に対するFPCの貼り付け作業にも手間が掛かることになる。
【0011】
本発明は、前記課題に鑑みて、折り曲げによって簡単に立体形状とすることができ、しかも放熱性を良好かつ確実に確保できる折り曲げ可能配線基板、発光モジュール、発光モジュールの製造方法、折り曲げ可能配線基板の製造方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
本発明の折り曲げ可能配線基板は、電気絶縁性の絶縁樹脂層と配線層とを有するフレキシブル回路基板部が板状基材の片面を覆うように積層され、前記板状基材に、該板状基材の一部を曲げやすくするための溝が、前記板状基材のいずれか一方または両方の面に形成され、前記フレキシブル回路基板部は、前記板状基材の前記溝によって区分けされた複数の基材板片部のうち少なくとも2枚の基材板片部にわたって延在するように設けられ、前記基材板片部に前記フレキシブル回路基板部が積層されてなる板状部のうち少なくとも2枚の板状部における前記フレキシブル回路基板部に、電子部品を実装するための電極部が設けられ、前記板状基材の前記溝の形成位置で折り曲げて立体形状に曲げ成形可能とされている折り曲げ可能配線基板である。
前記フレキシブル回路基板部の絶縁樹脂層の形成樹脂としては、基材樹脂に該基材樹脂よりも熱伝導率が高いフィラーを混入したフィラー混入樹脂、あるいは液晶ポリマーが好ましい。
板状基材は、アルミニウム板又は銅板、あるいは基材樹脂に該基材樹脂よりも熱伝導率が高いフィラーを混入したフィラー混入樹脂、あるいは液晶ポリマーからなることが好ましい。
【0013】
本発明の発光モジュールは、前記折り曲げ可能配線基板の前記板状部のうち少なくとも2枚の板状部に発光素子が実装されている発光モジュールである。
本発明の発光モジュールは、前記発光モジュールの折り曲げ可能配線基板が前記板状基材の前記溝の形成位置で折り曲げられて立体形状とされ、前記発光素子が実装された前記板状部である発光素子付き板状部の間に、前記折り曲げ可能配線基板を前記板状基材の前記溝の形成位置で折り曲げた折り曲げ部が存在する発光モジュールである。
前記板状基材の裏面側には折り曲げ可能配線基板の形状固定用の部材が設けられていることが好ましい。
前記折り曲げ可能配線基板は、前記板状基材に互いに平行に形成された複数本の前記溝の形成位置で折り曲げられて樋状あるいは筒状とされた部分を有することが好ましい。
【0014】
本発明の発光モジュールの製造方法は、前記折り曲げ可能配線基板の前記フレキシブル回路基板部に発光素子を実装して、前記板状基材の前記溝によって区分けされた前記折り曲げ可能配線基板の複数の板状部のうち少なくとも2枚の板状部に発光素子を設ける発光素子実装工程と、前記折り曲げ可能配線基板を前記板状基材の前記溝の形成位置で曲げて立体形状とする曲げ成形工程とを具備する。
本発明の発光モジュールの製造方法は、前記板状基材の裏面側に前記折り曲げ可能配線基板の形状固定用部材を設けて、前記折り曲げ可能配線基板の形状を固定する基板形状固定工程とを具備することができる。
【0015】
本発明の折り曲げ可能配線基板の製造方法は、前記板状基材母材に前記溝を形成する溝形成工程と、板状基材母材の片面に、熱可塑性樹脂フィルムの片面側のみに銅箔が一体化された片面銅張りフレキシブル基板をその前記熱可塑性樹脂フィルムを熱溶着して接合するフレキシブル基板接合工程と、このフレキシブル基板接合工程の後、前記銅箔をパターニングして前記電極部を含む配線パターンを形成することで該配線パターンを前記配線層、前記熱可塑性樹脂フィルムを前記絶縁樹脂層とする前記フレキシブル回路基板部が前記板状基材母材の片面に一体化された構成の配線付き積層板を得るパターニング工程と、を具備し、前記溝形成工程と前記フレキシブル基板接合工程と前記パターニング工程とを行って、前記板状基材母材に前記溝が形成された溝付き板状基材母材の片面に前記フレキシブル回路基板部が一体化された構成の前記折り曲げ可能配線基板を得る折り曲げ可能配線基板の製造方法である。
本発明の折り曲げ可能配線基板の製造方法は、前記板状基材母材に前記溝を形成する溝形成工程と、銅箔の片面に形成された半硬化状態の硬化性樹脂層である硬化性半硬化樹脂層、あるいは半硬化状態の硬化性樹脂によって前記銅箔及び前記板状基材母材とは別体に形成されたシートである硬化性半硬化樹脂シートを、前記銅箔と板状基材母材との間に挟み込んだ状態で加熱、硬化して硬化性樹脂層を形成し前記銅箔を前記板状基材母材に一体化するフレキシブル基板形成工程と、このフレキシブル基板形成工程の後、前記銅箔をパターニングして前記電極部を含む配線パターンを形成することで該配線パターンを前記配線層、前記硬化性樹脂層を前記絶縁樹脂層とする前記フレキシブル回路基板部が前記板状基材母材の片面に一体化された構成の配線付き積層板を得るパターニング工程と、を具備し、前記溝形成工程と前記フレキシブル基板形成工程と前記パターニング工程とを行って、前記板状基材母材に前記溝が形成された溝付き板状母材の片面に前記フレキシブル回路基板部が一体化された構成の前記折り曲げ可能配線基板を得る折り曲げ可能配線基板の製造方法であってもよい。
本発明の折り曲げ可能配線基板の製造方法は、前記板状基材母材に前記溝を形成する溝形成工程と、樹脂フィルムの片面側あるいは両面に銅箔が一体化された銅張りフレキシブル基板を、板状基材母材の片面に接着剤を用いて接着する基板接着工程と、この基板接着工程の後、前記銅張りフレキシブル基板の前記フィルムを介して前記板状基材母材とは反対側に位置する銅箔をパターニングして前記電極部を含む配線パターンを形成することで該配線パターンを前記配線層、前記フィルムを前記絶縁樹脂層とする前記フレキシブル回路基板部が前記板状基材母材の片面に一体化された構成の配線付き積層板を得るパターニング工程と、を具備し、前記溝形成工程と前記基板接着工程と前記パターニング工程とを行って、前記板状基材母材に前記溝が形成された溝付き板状母材の片面に前記フレキシブル回路基板部が一体化された構成の前記折り曲げ可能配線基板を得る折り曲げ可能配線基板の製造方法であってもよい。
前記片面銅張り基板の熱可塑性樹脂フィルムの形成樹脂、前記硬化性半硬化樹脂層あるいは硬化性半硬化樹脂シートの形成樹脂、前記銅張り基板の樹脂フィルムの形成樹脂としては、基材樹脂に該基材樹脂よりも熱伝導率が高いフィラーを混入したフィラー混入樹脂、あるいは液晶ポリマーであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、折り曲げ可能配線基板を板状基材の溝の形成位置で折り曲げることで、立体形状に簡単に曲げ成形することができるため、様々な形状の発光モジュールを簡単に得ることができる。
曲げ成形の際には、フレキシブル回路基板部には溝形成部分以外において曲げが加えられないため、電子部品や半田付け部に損傷が及ぶことはない。
さらに、板状基材とフレキシブル回路基板部との密着性を良好に確保できるため、LED等を実装した場合に要求される放熱性を良好かつ確実に確保できる。
また、折り曲げ可能配線基板は、溝において曲げ可能となっているので、充分な剛性を有する基材板片部を使用することによって、それ自体で立体形状を維持できる構成とすることができる。
すなわち、自立的に(すなわち他の支持部材に過度に依存せずに)立体形状にできるため、構造を簡略化できる。よって、製造を容易とし、しかもコストを抑えることができる。さらには、折り曲げ可能配線基板の耐久性を高めることができる。
【0017】
また、本発明の製造方法によれば、曲げ成形される前の板状基材にフレキシブル回路基板部が積層されるので、立体形状の基材にFPCを貼り付ける従来方法に比べ、板状基材に対するフレキシブル回路基板部の位置決めの精度を高めることができる。
よって、フレキシブル回路基板部の位置ずれによって、電子部品や半田付け部が板状基材の折り曲げ位置に至るのを防ぎ、これらに損傷が及ぶのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態の発光モジュールの全体斜視図である。
【図2】図1の発光モジュールの横断面図である。
【図3】図1の発光モジュールの拡大部分断面図である。
【図4】図1の発光モジュールを用いた照明装置の全体斜視図である。
【図5】折り曲げ可能配線基板の第1の製造方法を示す工程図である。
【図6】折り曲げ可能配線基板の第2の製造方法を示す工程図である。
【図7】折り曲げ可能配線基板の第2の製造方法の変形例を説明する図であって、銅箔及び板母材とは別体の熱硬化性半硬化樹脂シートを用いて銅箔を板母材に一体化するフレキシブル基板部形成工程を示す断面図である。
【図8】折り曲げ可能配線基板の第3の製造方法を示す工程図である。
【図9】本発明の第2実施形態の発光モジュールの横断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態の発光モジュールの横断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態の発光モジュールの斜視図である。
【図12】前図に示す発光モジュールの断面図である。
【図13】折り曲げ可能配線基板の折り曲げ加工前の状態を示す平面図である。
【図14】本発明の第5実施形態の発光モジュールの断面図である。
【図15】一方の面に溝が形成された折り曲げ可能配線基板の折り曲げ前の状態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る折り曲げ可能配線基板を用いた発光モジュールについて図面を参照して説明する。
図1は第1実施形態の発光モジュール1を示す斜視図である。図2は発光モジュール1の断面図である。図3は発光モジュール1の要部を拡大した断面図である。図4は発光モジュール1を用いた照明装置の全体斜視図である。
図1に示すように、発光モジュール1は、折り曲げ可能配線基板2に、電子部品としてLED等の発光素子3が実装され、折り曲げ可能配線基板2が立体形状に曲げ成形されたものである。
【0020】
図2および図3に示すように、折り曲げ可能配線基板2は、フレキシブル回路基板部5が板状基材4の一方の面4a(片面)を覆うように積層されて構成されている。
板状基材4としては、アルミニウム板、銅板等の金属板を用いることができる。そのほか、基材樹脂より熱伝導率が高いフィラーを基材樹脂に混入したフィラー混入樹脂、液晶ポリマー等からなる樹脂板を用いることもできる。
基材樹脂としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などがあり、フィラーとしては、高熱伝導セラミック(Al2O3、SiCなど)などからなるものを使用できる。
前記金属や前記樹脂を板状基材4の構成材料として用いることにより、発光素子3が発する熱を効率良く放熱できるため、発光モジュール1の放熱性を向上させることができる。
【0021】
図3に示すように、板状基材4の他方の面4b(裏面)には、板状基材4の一部を曲げやすくするための1または複数の溝6が形成され、板状基材4は、溝6によって複数の基材板片部12に区分けされている(図5を参照)。基材板片部12は、後述する曲げ成形工程において曲げ変形が生じない程度の曲げ剛性を有することが好ましい。
溝6は他方の面4bから切り込むように形成され、板状基材4の長さ方向に沿って形成されている(図1参照)。図示例では溝6は折り曲げ前の状態では断面V字形とされ(図5参照)、図3に示す折り曲げ状態では内面6a同士が当接するのが好ましい。
なお、溝6は、板状基材4に折り曲げ部10を形成することができるものであればよく、形状は図示例に限定されない。例えば断面形状が矩形、半円形、台形などであってもよい。また、溝6は、板状基材4のいずれか一方または両方の面に形成してよい。
【0022】
図1に示すように、複数の溝6は互いに平行に形成され、基材板片部12は互いに平行な複数の細長板状となっている。
図示例の折り曲げ可能配線基板2において、板状基材4は、フレキシブル回路基板部5が形成された一方の面4aが外面側(外周側)となるように溝6において折り曲げられ、溝6の形成方向に平行な軸線を中心とする樋状(図示例では断面C形の樋状)となっている。
【0023】
板状基材4が溝6において折り曲げられた部分を折り曲げ部10という。
また、基材板片部12と、これに積層された部分のフレキシブル回路基板部5からなる構成を板状部16という。図示例の折り曲げ可能配線基板2は、細長板状の基材板片部12と同形状のフレキシブル回路基板部5とからなる細長板状の板状部16が12枚組み合わされて全体が樋状となっている。
【0024】
なお、図示例のフレキシブル回路基板部5は、すべての基材板片部12にわたって形成されているが、これに限らず、複数の基材板片部12のうち少なくとも2枚にわたって形成されていればよい。
折り曲げ可能配線基板2の形状は、樋状に限らず、筒状としてもよい。折り曲げ可能配線基板2は、全体が樋状、筒状などの立体形状であってもよいが、一部のみが前記立体形状であってもよい。
【0025】
フレキシブル回路基板部5は、電気絶縁性の絶縁樹脂層13の一方の面13a(片面)に、配線パターンを形成する配線層14(図3参照)が積層された構成になっている。
絶縁樹脂層13の、配線層14が形成された面とは反対側の面13b(他方の面)は、板状基材4の一方の面4aに積層されている。
図示例の発光モジュール1では、フレキシブル回路基板部5の外面(板状基材4とは反対側の面)には保護樹脂層17(図示例では具体的にはソルダーレジスト)が設けられている。
【0026】
配線層14が形成する配線パターンは、電子部品(発光素子3)を実装するための複数の実装部7を有している。配線層14には発光素子3を実装するための電極部15がそれぞれの実装部7に対応して形成されている。
フレキシブル回路基板部5の複数箇所には、外部回路接続端子部8が形成されている。図示例では、複数の板状部16のうち板状基材4の両側縁部に位置する2つの板状部16にそれぞれ外部回路接続端子部8が形成されている。
配線層14の配線パターンは、全ての実装部7と外部回路接続端子部8とを接続するように形成されており、外部回路接続端子部8に給電用外部回路の給電線9(図1参照)を接続することにより全ての実装部7に対して給電することができる。
【0027】
これにより、実装部7に実装された全ての電子部品(ここでは発光素子3)に対して電力を供給することができる。この構造では、複数の電子部品に給電するための給電用外部回路を単純化することができる。また、全ての電子部品と給電用外部回路を電気的に接続する作業を省力化することができる。
実装部7に配置された発光素子3はリード3aが電極部15に半田(図示略)などによって接続されることにより実装部7に実装される。
配線層14は、電極部15及び外部回路接続端子部8を避けてフレキシブル回路基板部5の外面側(板状基材4とは反対側)全体に積層された保護樹脂層17によって覆われており、配線層14の電気的絶縁及び水滴付着が防止されている。
保護樹脂層17はここでは具体的には液状樹脂材料の塗膜からなるソルダーレジストであるが、これに限定されず、電気絶縁性の樹脂製保護フィルム等であっても良い。
【0028】
絶縁樹脂層13の形成樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を使用できる。熱可塑性樹脂としてはポリイミド樹脂などを使用でき、熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、いわゆるガラスエポキシ材(エポキシ樹脂にガラス繊維(例えばガラス不織布)を混入したもの)などを使用できる。
また、絶縁樹脂層13の形成樹脂としては、基材樹脂に該基材樹脂よりも熱伝導率が高いフィラーを混入したフィラー混入樹脂、あるいは液晶ポリマー等を用いることができる。また、高熱伝導性樹脂も使用できる。
基材樹脂としては、前記熱可塑性樹脂(ポリイミド樹脂等)、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂等)などがあり、フィラーとしては、高熱伝導セラミック(Al2O3、SiCなど)などからなるものを使用できる。
これらの材料(フィラー混入樹脂、液晶ポリマーなど)を用いることにより、フレキシブル回路基板部5に熱伝導性を付与することができ、発光素子3が発する熱を板状基材4に効率良く伝達し放熱効果を高めることができる。
【0029】
発光素子3としては、ここではLEDを採用している。発光素子3は、各板状部16の外面側に実装されている。
図示例では、各板状部16の長手方向に沿って複数の発光素子3が配列されている。
なお、図示例では、全ての板状部16に発光素子3が設けられているが、複数の板状部16のうち少なくとも2枚に発光素子3が設けられていればよい。
【0030】
図2および図3に示すように、板状基材4の他方の面4b(裏面)には、溝6にて折り曲げた状態の折り曲げ可能配線基板2の形状を固定するための形状固定用部材11が設けられることが好ましい。
折り曲げ可能配線基板2の裏面側の全体に設けても良いが、折り曲げ部10を含む部分にのみ設けてもよい。
形状固定用部材11は、半硬化状態の熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂等)、湿気硬化樹脂、紫外線硬化樹脂等の硬化性樹脂を必要箇所に塗布し、塗布の後に、樹脂を硬化させることにより形成することができる。
形状固定用部材11を設けることにより、折り曲げ可能配線基板2の立体形状を確実に維持することが可能となる。
形状固定用部材は、これに限らず、接着剤を用いた接着固定、溶接固定、組み付け等によって必要箇所に設けられた板材(樹脂板や金属板等)であってもよい。
【0031】
図2および図4に示すように、この実施形態の発光モジュール1は、照明装置に使用できる。
ここに示す照明装置20は、発光モジュール1を外装体21内に収容した構成である。
図4に示すように、外装体21は、筒状カバー18の両端に口金部22が設けられた構成であり、口金部22は、既存の照明装置(蛍光灯照明装置など)のソケットに嵌合可能な端子23を有する。
図2に示すように、発光モジュール1は、折り曲げ可能配線基板2の両側縁部2a、2aが保持体19に保持されて筒状カバー18内に収容されている。
発光モジュール1は、凹形板状の折り曲げ可能配線基板2に対して発光素子3が長さ方向に沿って複数実装されていることから、光透過性の筒状カバー18内に配置することにより、蛍光灯やネオン灯と同様に、例えば室内照明機器、屋外照明機器、広告用ライトパネル等の光源として用いることができる。
【0032】
次に、図5を参照して折り曲げ可能配線基板2の第1の製造方法を説明する。
本製造方法は、金属板(アルミニウム板、銅板等)、樹脂板(フィラー混入樹脂、液晶ポリマー等)などの平板状の板母材18(板状基材母材)に溝6を形成する溝形成工程と、板母材18の片面に対し、片面銅張りフレキシブル基板22を接合するフレキシブル基板接合工程と、銅箔24をパターニングして配線パターンを形成して配線付き積層板25を得るパターニング工程と、を含む。
【0033】
図5(a)に示すように、溝形成工程では、配線付き積層板25の板母材18の他方の面18bに溝6を形成する。
溝6の形成には、レーザ加工、切削加工など、公知の方法を採用できる。
図5(b)に示すように、フレキシブル基板接合工程は、絶縁性(電気絶縁性。以下も同じ)の熱可塑性樹脂フィルム23の片面に銅箔24(金属層)が一体化された片面銅張りフレキシブル基板22を、板母材18の一方の面18aに面接触させ、熱可塑性樹脂フィルム23を熱溶着させて板母材18に接合することにより行われる。
ここで片面銅張りフレキシブル基板22としては、製造する折り曲げ可能配線基板2のフレキシブル回路基板部5に合致する平面形状に形成したものを用いる。
板母材18への熱溶着により、熱可塑性樹脂フィルム23は絶縁樹脂層13となる。
【0034】
熱可塑性樹脂フィルム23は、フレキシブル回路基板部5の絶縁樹脂層13を形成するものであり、その材質としては例えばポリイミド樹脂、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂を採用できる。また、熱可塑性樹脂フィルム23としては、基材樹脂(ポリイミド樹脂、液晶ポリマー等)より熱伝導性が高いフィラーを基材樹脂に混合したフィラー混合樹脂を使用することもできる。
【0035】
パターニング工程では、フレキシブル基板接合工程の後、銅箔24をパターニングして配線パターンを形成する(図5(c)参照)。
パターニングは、フォトレジストを使用したフォトリソグラフィ法、レーザ加工、イオンビーム法等の周知の種々の方法によって行うことができる。
パターニングによって形成される配線パターンは、全ての実装部7を接続する配線と、それぞれの実装部7に対応した電極部15とを含むものである。このようなパターニングにより、所望の配線パターンを有する配線層14を形成することで、熱可塑性樹脂フィルム23を絶縁樹脂層13としたフレキシブル回路基板部5が板母材18の片面に一体化した配線付き積層板25を作製することができる。
既述の保護樹脂層17は、配線付き積層板25の作製後に、フレキシブル回路基板部5の配線層14側の面に、電極部15及び外部回路接続端子部8を除く全体を覆うように設けられる。
以上の工程により、板状基材4の一方の面4aにフレキシブル回路基板部5が積層され、他方の面4bに溝6が形成された折り曲げ可能配線基板2を得る。
【0036】
次いで、折り曲げ可能配線基板2を用いて、発光モジュール1を製造する。
発光モジュール1の製造は、発光素子実装工程と、曲げ成形工程とによって行われる。ここでは発光素子実装工程の後に曲げ成形工程を行う場合について説明するが、これらの工程は、どちらを先に行っても良く、その順序は、製造のための装置や他の処理等の作業環境に合わせて適宜設定される。
【0037】
図5(d)に示すように、発光素子実装工程は、折り曲げ可能配線基板2に対して電子部品としての発光素子3を実装する工程である。発光素子3は、折り曲げ可能配線基板2に形成された実装部7に実装する。
発光素子3の実装にあたっては、発光素子3のリード3aを半田付け等により電極部15に電気的に接続する。
【0038】
曲げ成形工程は、折り曲げ可能配線基板2を溝6で折り曲げて立体形状とする工程である。基材板片部12は充分な曲げ剛性を有するため、板状部16には曲げはほとんど生じない。
この曲げ成形工程により、図1に示す凹形板状の発光モジュール1を作製することができる。
【0039】
曲げ成形工程の後においては、必要に応じて基板形状固定工程を行うことができる。この工程では、図2および図3に示すように、フレキシブル回路基板部5が設けられている表面側とは反対の裏面側に上述した形状固定用部材11を設ける。形状固定用部材11を設けることにより、発光モジュール1の立体形状を確実に維持することができる。
【0040】
折り曲げ可能配線基板2の製造には、次に示す第2の製造方法をとることもできる。
以下、図6を参照して、折り曲げ可能配線基板2の第2の製造方法を説明する。以下の説明において、第1の製造方法と共通する手順についてはその説明を省略または簡略化する。
図6(a)、(b)に示すように、第2の製造方法では、溝形成工程により板母材18に溝6を形成した後、フレキシブル基板部接合工程において、銅箔24の片面に半硬化状態の熱硬化性樹脂層(熱硬化性半硬化樹脂層28)が一体化された構成の半硬化樹脂層付き銅箔27を、既述の板部材18に接合して熱硬化性半硬化樹脂層28を加熱硬化させ絶縁樹脂層13とする。
熱硬化性半硬化樹脂層28としては、例えば未硬化状態(半硬化状態)のエポキシ樹脂、エポキシ樹脂にガラス繊維(ガラス不織布であっても良い)を混入したいわゆるガラスエポキシ材(但しエポキシ樹脂が半硬化状態のもの)等を採用できる。
熱硬化性半硬化樹脂層28は、板母材18に接合し、銅箔24を板母材18と一体化する接着材層として機能する。このため、硬化性半硬化樹脂層28を硬化させて絶縁樹脂層13とすることで、絶縁樹脂層13を介して銅箔24が板母材18に一体化される。
【0041】
半硬化樹脂層付き銅箔27としては、製造する折り曲げ可能配線基板2のフレキシブル回路基板部5に合致する平面形状のものを用いる。
半硬化樹脂層付き銅箔27の熱硬化性半硬化樹脂層28としては、例えば、液状の熱硬化性樹脂材料を銅箔24片面に塗布した塗膜層、半硬化状態の熱硬化性樹脂からなる熱硬化性半硬化樹脂シートを銅箔24片面に貼り付けたものを挙げることができる。
また、半硬化樹脂層付き銅箔27は、熱硬化性半硬化樹脂層28の粘着性によって板母材18に対して熱硬化性半硬化樹脂層28の加熱硬化が完了するまで貼り付けた状態を安定に保つことができ、板母材18に対する位置ずれも生じにくい。このため、半硬化樹脂層付き銅箔27を用いるフレキシブル基板部形成工程は高い作業効率を確保でき、折り曲げ可能配線基板2の生産性向上の点で好適である。
また、熱硬化性半硬化樹脂層28としては、熱伝導性が高いフィラーを基材樹脂に混合したフィラー混合樹脂を使用することができ、これにより、フレキシブル回路基板部5に良好な熱伝導性を付与することができる。
【0042】
フレキシブル基板部形成工程の後、パターニング工程(図6(c)参照)を行い、折り曲げ可能配線基板2を得る。パターニング工程は第1の製造方法と同様である。
このようにして作製された折り曲げ可能配線基板2に対し、上述した第1の製造方法と同様の発光素子実装工程(図6(d)参照)と、曲げ成形工程とを行うことによって、図1に示す凹形板状の発光モジュール1を作製することができる。発光素子実装工程と曲げ成形工程の順序は、製造のための装置や他の処理等の作業環境に合わせて適宜設定される。
【0043】
図7に示すように、本発明に係る折り曲げ可能配線基板の製造方法は、第2の製造方法のフレキシブル基板部形成工程を、銅箔24及び板母材18とは別体の熱硬化性半硬化樹脂シート29を用いて行う構成に変更したものも含む。
熱硬化性半硬化樹脂シート29は、半硬化状態の熱硬化性樹脂からなるシート状の部材である。この熱硬化性半硬化樹脂シート29の形成材料としては、エポキシ樹脂、ガラスエポキシ材(但しエポキシ樹脂が半硬化状態のもの)等を採用できる。
フレキシブル基板部形成工程は、銅箔24と板母材18との間に前記熱硬化性半硬化樹脂シート29を介挿し、この熱硬化性半硬化樹脂シート29を介して銅箔24を板母材18に貼り合わせた後、熱硬化性半硬化樹脂シート29を加熱、硬化させて絶縁樹脂層13とすることで、銅箔24を板母材18に一体化する。
この熱硬化性半硬化樹脂シート29を用いるフレキシブル基板部形成工程の場合、熱硬化性半硬化樹脂シート29の粘着性によって銅箔24を板母材18に貼り付けた状態の安定維持、板母材18に対する位置ずれ防止を実現できる。
本明細書において、この製造方法は第2の製造方法の変形例として扱う。
【0044】
図8は、本発明における第3の実施形態の製造方法を示す。
この第3の製造方法は、溝形成工程と(図8(a)参照)、樹脂フィルム31の片面あるいは両面に銅箔24が一体化された銅張りフレキシブル基板(図示例では両面銅張りフレキシブル基板32)を接着剤33を用いて既述の板母材18に接着、一体化する基板接着工程(図8(a)、(b)参照)と、パターニング工程(図8(c)参照)とを含む。
この第3の製造方法は、フレキシブル基板部接合工程にかえて基板接着工程を具備する点が第1の製造方法と異なる。基板接着工程から後の工程は第1の製造方法と同様である。
【0045】
図8(a)、(b)に示すように基板接着工程では、銅箔24が樹脂フィルム31の両面に一体化された両面銅張りフレキシブル基板32を板母材18に接着剤33を介して接着する。接着剤としては、エポキシ系接着剤等を用いることができる。
銅張りフレキシブル基板32の樹脂フィルム31としては、熱伝導性が高いフィラーを基材樹脂に混合したフィラー混合樹脂、液晶ポリマーなどを使用することができ、これにより、フレキシブル回路基板部5に良好な熱伝導性を付与することができる。
【0046】
折り曲げ可能配線基板2に対し、上述した実施形態と同様の発光素子実装工程(図8(d)参照)及び曲げ成形工程を行うことで、図1に示す立体形状の発光モジュール1を作製することができる。その後、必要に応じて基板形状固定工程を行うことで、発光モジュール1の立体形状を確実に維持することができる。
【0047】
既述の第3の製造方法や、配線層を形成済みのフレキシブル回路基板を用いる製造方法では、銅張りフレキシブル基板あるいはフレキシブル回路基板を、接着剤を用いて板母材に接着固定する構成となっているが、第1、第2の製造方法(第2の製造方法の変形例を含む)は接着剤を使用せず、絶縁樹脂層13を形成するための樹脂自体を板母材に直接被着させて絶縁樹脂層13を形成することで、絶縁樹脂層13と銅箔24とを板母材18に一体化できる。
したがって、フレキシブル回路基板部5の絶縁樹脂層13と板状基材4との間に、接着固定のための接着剤層が別途介在せず、絶縁樹脂層13が板状基材4に直接被着一体化した構造が得られる。このため、フレキシブル回路基板部と板状基材4との接着固定のための接着剤層が別途存在する場合に比べて高い放熱性(板状基材への放熱性)を確保できるという利点がある。
【0048】
前記折り曲げ可能配線基板2の第1〜第3の製造方法において、板母材18は、複数の板状基材4を切り出し可能な大きさのものであってもよい。すなわち、板母材18は、複数の発光モジュール1に相当する大きさであってもよい。
この場合には、発光モジュール1を製造する方法にあたり、板母材18を所定の大きさ、形状に切り出す切り出し工程を行う。すなわち、発光モジュール1の製造は、発光素子実装工程と、曲げ成形工程と、切り出し工程とによって行われる。切り出し工程は、プレス加工などによって板母材18を切断する工程である。
【0049】
折り曲げ可能配線基板2は、少なくとも2枚の板状部16に発光素子3を実装でき、溝6で折り曲げて立体形状に曲げ成形可能であるので、様々な形状の発光モジュールを簡単に得ることができる。曲げ成形の際には、フレキシブル回路基板部5には溝6形成部分以外において曲げが加えられないため、発光素子3や半田付け部に損傷が及ぶことはない。
また、曲げ成形される前の板状基材4にフレキシブル回路基板部5が積層されるので、板状基材4に対するフレキシブル回路基板部5の浮き上がりが生じにくい。
このため、板状基材4とフレキシブル回路基板部5との密着性を確保できる。よって、フレキシブル回路基板部5から板状基材4への伝熱効率を高め、LED等を実装した場合に要求される放熱性を良好かつ確実に確保できる。また、フレキシブル回路基板部5の剥離、脱落を防ぐことができる。
また、曲げ成形前の板状基材4にフレキシブル回路基板部5が積層されるため、複雑な立体形状の基材にFPCが貼り付けられる従来品に比べ、フレキシブル回路基板部5を容易に板状基材4に隙間なく積層させることができる。
よって、製造が容易となり、コスト低減が可能となる。さらに、溝6の形状、位置等を適宜設定することによって、複雑な立体形状も実現できる。
【0050】
折り曲げ可能配線基板2は、溝6において曲げ可能となっているので、充分な剛性を有する基材板片部12を使用することによって、それ自体で立体形状を維持できる構成とすることができる。
すなわち、自立的に(すなわち他の支持部材に過度に依存せずに)立体形状にできるため、構造を簡略化できる。よって、製造を容易とし、しかもコストを抑えることができる。さらには、折り曲げ可能配線基板2の耐久性を高めることができる。
【0051】
また、上記折り曲げ可能配線基板2の製造方法では、曲げ成形される前の板状基材4にフレキシブル回路基板部5が積層されるので、立体形状の基材にFPCを貼り付ける従来方法に比べ、板状基材4に対するフレキシブル回路基板部5の位置決めの精度を高めることができる。
よって、フレキシブル回路基板部5の位置ずれによって、発光素子3や半田付け部が板状基材4の折り曲げ位置に至るのを防ぎ、発光素子3や半田付け部に損傷が及ぶのを防止できる。
【0052】
図9は、第2実施形態の発光モジュール31の断面図である。
発光モジュール31は、折り曲げ可能配線基板2の全体が、フレキシブル回路基板部5側が内側となる凹形板状とされている点で、第1実施形態の発光モジュール1と異なる。
この発光モジュール31では、溝6は板状基材4の一方の面4aに形成されており、板状基材4は溝6で一方の面4aを内側にして折り曲げられている。このため、発光素子3は折り曲げ可能配線基板2の内面側に設けられている。
折り曲げ可能配線基板2は、折り曲げ可能配線基板2の外面側の形状固定用部材11によって形状が固定されている。
一方の面4aに溝6が形成された折り曲げ可能配線基板2の折り曲げ前の状態を図15に示す。溝6は、板状基材4を折り曲げた状態では内面6aが互いに当接するのが好ましい。
【0053】
図10は、第3実施形態の発光モジュール41の断面図である。
発光モジュール41は、折り曲げ可能配線基板2が、幅方向の一部においてフレキシブル回路基板部5側が内側となる凹形板状とされている点で、第1実施形態の発光モジュール1と異なる。
図示例の発光モジュール41では、4つの折り曲げ部10(折り曲げ部10A〜10D)のうち、幅方向中央に近い2つ(折り曲げ部10B、10C)において、溝6は板状基材4の一方の面4aに形成され、他の2つ(折り曲げ部10A、10D)において溝6は板状基材4の他方の面4bに形成されている。
折り曲げ部10B、10Cでは、板状基材4は一方の面4aを内側にして折り曲げられており、折り曲げ部10A、10Dでは他方の面4bを内側にして折り曲げられている。これによって、発光モジュール41は、幅方向の中央部(折り曲げ部10A、10D間の部分)が、フレキシブル回路基板部5側を内側とする凹形板状となっている。
【0054】
図11〜図13は、第4実施形態の発光モジュール51を示すものである。
図11は発光モジュール51の斜視図である。図12は発光モジュール51の断面図である。図13は、折り曲げ可能配線基板2が折り曲げられていない平板状であるときの平面図である。
発光モジュール51の折り曲げ可能配線基板2は、板状基材4が、他方の面4bに形成された溝6によって、5つの基材板片部12、すなわち矩形板状の天板部12aと、天板部12aの4つの辺部からそれぞれ幅広になりつつ延出する台形板状の側板部12bとに区分けされている。
板状基材4は、天板部12aと4つの側板部12bとを有する立体形状に形成されている。すなわち、板状基材4は、側板部12bが、天板部12aの4つの辺部から外方に向けて下降するように傾斜しており、これによって折り曲げ可能配線基板2は多面(五面)折り曲げ体となっている。
【0055】
フレキシブル回路基板部5は、矩形状の頂面(天板部12aによって形成される頂面)に対応した頂面部5aと、五面折り曲げ体の4側面(4枚の側板部12bによってそれぞれ形成される計4つの側面)に対応した側面部5bとを有している。それぞれの側面部5bは、頂面部5aと連設した状態で頂面部5aにおける4方向の周囲に位置している。すなわち、それぞれの側面部5bは、頂面部5aの4辺から延びている連設部5cを介して頂面部5aと一体となっている。
【0056】
フレキシブル回路基板部5における2つの側面部5bには、外部回路接続端子部8が形成されている。
配線層14の配線パターンは、外部回路接続端子部8に給電用外部回路の給電線9(図1参照)を接続することにより全ての実装部7に対して給電することができるように形成されている。
なお、図示例のフレキシブル回路基板部5は、すべての基材板片部12にわたって形成されているが、これに限らず、複数の基材板片部12のうち少なくとも2枚にわたって形成されていればよい。
【0057】
基材板片部12と、これに積層された部分のフレキシブル回路基板部5からなる構成を板状部16という。図示例の折り曲げ可能配線基板2は、矩形板状の板状部16(天板部12aおよび頂面部5a)と、4つの台形板状の板状部16(側板部12bおよび側面部5b)が組み合わされている。
各板状部16には、それぞれ電極部15(図5、図6参照)が設けられ、電極部15には発光素子3が複数実装されている。なお、図示例では、全ての板状部16に発光素子3が設けられているが、複数の板状部16のうち少なくとも2枚に発光素子3が設けられていればよい。
【0058】
発光モジュール51の折り曲げ可能配線基板2を製造するには、上述の第1〜第3の製造方法を適用できる。
すなわち、熱可塑性樹脂フィルム23を有する片面銅張りフレキシブル基板22を用いる第1の製造方法(図5参照)によって製造することもできるし、熱硬化性半硬化樹脂層28を有する半硬化樹脂層付き銅箔27を用いる第2の製造方法(図6参照)によって製造することもできる。
また、第2の製造方法において、銅箔24とは別体の熱硬化性半硬化樹脂シート29を用いることもできる(図7参照)。
また、折り曲げ可能配線基板2は、銅張りフレキシブル基板を板状基材母材の片面に接着剤を用いて接着する基板接着工程を有する第3の製造方法によって製造することもできる。
【0059】
発光モジュール51の製造は、発光素子実装工程と、曲げ成形工程とによって行われる。
発光素子実装工程は、折り曲げ可能配線基板2の実装部7に電子部品としての発光素子3を実装する工程である。
曲げ成形工程は、折り曲げ可能配線基板2を溝6において折り曲げて立体形状とする工程である。
発光モジュール51は、例えば、折り曲げ可能配線基板2に発光素子3を実装した後、発光素子3付きの折り曲げ可能配線基板2(発光モジュール)を、フレキシブル回路基板部5が外面側となるようにして五面折り曲げ体の立体形状に曲げ成形し、内側の板状基材4を形状固定用部材11によって固定することにより作製できる。
なお、発光素子実装工程と曲げ成形工程の順序は、製造のための装置や他の処理等の作業環境に合わせて適宜設定される。
曲げ成形工程の後においては、必要に応じて、板状基材4の内面側に形状固定用部材11を設ける基板形状固定工程を行う。
【0060】
図13に示すように、折り曲げ可能配線基板2の製造にあたっては、板母材18は、板状基材4を切り出し可能なサイズのものを使用するのが好ましい。図示例では、板母材18は、板状基材4を含む大きさの矩形状となっている。
発光モジュール1を製造する方法には、板母材18を所定の大きさおよび形状に切り出す切り出し工程が含まれる。すなわち、発光モジュール1の製造は、発光素子実装工程と、曲げ成形工程と、切り出し工程とによって行われる。
切り出し工程は、プレス加工などによって板母材18を切断する工程である。具体的には、矩形の板母材18から余剰部分18cを切除する工程である。
これらの工程(発光素子実装工程、曲げ成形工程、切り出し工程)の順序は、製造のための装置や他の処理等の作業環境に合わせて適宜設定される。
【0061】
発光モジュール1は、多面(五面)折り曲げ体を構成する折り曲げ可能配線基板2のそれぞれの面に発光素子3を複数実装してある構成により、光を周囲の広範囲に拡散させることができる。このため、例えば光透過性の球状カバーや筒状カバー内に配置することにより、一般の電球等と同様に光源装置として用いることができる。
【0062】
図14は、第5実施形態の発光モジュール61を示すものである。
発光モジュール61では、溝6は板状基材4の一方の面4aに形成されており、板状基材4は、溝6において一方の面4aを内側にして折り曲げられている。これによって、折り曲げ可能配線基板2は、フレキシブル回路基板部5を内面側に向けた五面折り曲げ体に曲げ成形されている。
折り曲げ可能配線基板2は、外面側の板状基材4を形状固定用部材11によって固定することで形状が固定されている。
この発光モジュール61は、例えば、折り曲げ可能配線基板2に発光素子3を実装した後、発光素子3付きの折り曲げ可能配線基板2(発光モジュール)を、フレキシブル回路基板部5が内面側となるようにして五面折り曲げ体の立体形状に曲げ成形し、外側の板状基材4を形状固定用部材11によって固定することにより作製できる。
【0063】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されない。
発光モジュールの形状は上述した実施形態のものに限定されず適宜変更可能である。
本発明に係る発光モジュールは、折り曲げ可能配線基板の曲げ成形によって多種多様な形状を実現できる。例えば凹形板状の折り曲げ可能配線基板および発光モジュールとしては、断面C形のものに限定されず、例えば断面く字形のもの、断面コ字形のもの等であっても良い。
折り曲げ可能配線基板に実装する電子部品としては、LED等の発光素子に限定されない。LED以外の発光素子、例えばLD(半導体レーザ素子。LD:Laser Diode)等も採用できる。また、電子部品は、発光素子に加え、発光素子の点滅等の駆動制御用のICチップなどを設けてもよい。
また、発光素子として紫外光あるいは赤外光を出力するものを採用することも可能であり、この場合は、光硬化性樹脂材料等の光応答性材料への光照射用装置の光源、食品、医療用殺菌装置の光源、医療用レーザ照射装置のレーザ光源等にも幅広く利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1、31、41、51・・・発光モジュール、2・・・折り曲げ可能配線基板、3・・・発光素子(電子部品)、4・・・板状基材、5・・・フレキシブル回路基板部、6・・・溝、10・・・折り曲げ部、11・・・形状固定用部材、12、12a、12b・・・基材板片部、13・・・絶縁樹脂層、14・・・配線層、15・・・電極部、16・・・板状部、22・・・片面銅張りフレキシブル基板、23・・・可塑性樹脂フィルム、24・・・銅箔、25・・・配線付き積層板、27・・・半硬化樹脂層付き銅箔、28・・・熱硬化性半硬化樹脂層、29・・・熱硬化性半硬化樹脂層、31・・・樹脂フィルム、32・・・銅張りフレキシブル基板、33・・・接着剤。
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、文字や画像等を表示するための表示装置などに光源装置として設けて用いることができる発光モジュール及びその製造方法、発光モジュールの製造に用いることが可能な折り曲げ可能配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、文字や画像等を表示するための表示装置、照明装置などにあっては、高効率、長寿命の光源としてLED(発光ダイオード。LED:Light Emitting Diode)の使用が急速に普及しつつある。
光源としてLEDを使用した照明装置、表示装置は、例えば、1又は複数のLEDをリジッドのプリント配線板に実装したLED付き基板のLED実装面側を光透過カバーで覆っただけの単純な構造とすることが可能であり、白熱電球や蛍光灯を光源として使用した場合に比べて構造の単純化、小型化を容易に実現できる。
【0003】
また、例えば特許文献1のように、一般的な白熱電球用のE形口金と一体化した傘形の外殻部材にLED付き基板を取り付けた構成の光源装置や、LED付き基板を覆う球状のカバー(以下、バルブとも言う)を設けた構成の光源装置(以下、電球形LED光源装置とも言う)、シリカ粒子等の光拡散材を混入(あるいは光拡散膜を形成)したプラスチック製の筒状カバー内に、LEDを複数実装した細長板状のプリント配線板を収納した構成の外観細長のもの(以下、細長形LED光源装置とも言う)も製品化されている。
上述の電球形LED光源装置は、周知の白熱電球のようにバルブ内にガスを封入しておく必要が無くバルブの密閉性が要求されない、ガラス製のバルブでなくプラスチック製のものを使用できるなど、白熱電球に比べて製造が容易であり、しかも発光効率も優れている。
細長形LED光源装置は、規格品の直管形蛍光灯と同じ長さを有し、その長手方向両端に直管形蛍光灯と同じ口金を備えたものが多く提供されている。この細長形LED光源装置は、周知の蛍光灯に比べて、ガス封入が不要であるため製造が容易、蛍光灯の点灯に必要とされるスタータ装置や安定器等の専用機器を必要としないといった利点がある。
【0004】
しかしながら、周知のようにLEDは高指向性の点状光源である。このため、例えば室内照明用の照明装置のように、広範囲に光を放射することが要求される照明装置にあっては、シリカ粒子等の光拡散材を混入(あるいは光拡散膜を形成)した光透過カバーによってLEDの出力光の拡散を図っているものの、LEDからの出射光の出射方向はかなり狭い範囲に限定されているため、カバーから外側への放射光の均等化が容易で無く、明るさのばらつきが生じやすいのが実情である。このことは、既述の電球形や細長形のLED光源装置についても同様である。
また、この問題に鑑みて、例えば、照明装置の光透過カバーや、LED光源装置のカバー(電球形光源装置のバルブ、細長形光源装置の筒状カバー)に形成した凹凸によって、カバー内側にてLEDの出射光を複雑に反射させて拡散させる拡散構造を採用することも考えられるが、カバー内側での反射によってカバーから外側へ放射されない光が増大して発光効率の低下を招くといった問題もある。
【0005】
また、LEDを光源とする照明装置や表示装置としては、例えばL字板状、コ字板状等の屈曲板状や、断面三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形筒状など、多種多様な形状の製品の開発も期待されている。
上述の屈曲板状や多角形筒状の装置形状を実現するには、通常、LEDを実装したリジッドのプリント配線板を複数枚使用して照明装置や表示装置といった装置を組み立てることとなる(例えば特許文献2)。
しかしながら、このようにLED付き基板を複数枚使用する装置は、各LED付き基板を所定向きに固定するための固定用部品もLED付き基板の数に応じて必要になるなど、部品点数の増大により組み立てに手間が掛かるといった問題がある。また、使用するLED付き基板の数が多いと、各LED付き基板への給電用の結線が複雑になり結線作業にも手間が掛かる上、LED付き基板のプリント配線板の回路配線に電気的に接続した給電線が装置全体の組み立て作業の障害になりやすい、装置内に給電線の配線用スペースを確保する必要が生じることがあり、場合によっては装置のサイズや製品デザインに影響を与える、といった問題も発生する。
【0006】
これに鑑みて、例えば特許文献3、4のように、LEDを実装したフレキシブルプリント配線板(以下、FPCとも言う)を、予め所望形状に形成した部材に貼り付けて組み立てられる照明装置も提案されている。特許文献3に開示される照明装置は、その図1等を参照して判るように、一般的な白色電球用のソケットに装着可能な口金9が固着された取付ベース8から該取付ベース8に固定された外観球状の透明又は半透明のキャップ12内に突出された柱状のコア5を有し、図2に示すように展開したときに平面となる放射状(図2では十字状)に形成したFPCを前記コア5の先端部を覆うように接着したものである。また、特許文献3の図5〜図7には、展開したときに平面となる放射状のFPCにLEDを実装したものを反射器25の筒部26の内面に接着した照明装置が開示されている。
特許文献4には傘型のハウジング4の内面にLEDを実装したFPCを貼り付けた構成の照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−32466号公報
【特許文献2】特開2002−184207号公報
【特許文献3】特開2006−244725号公報
【特許文献4】特開2002−83506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献3、4のように、LEDを実装したFPCを予め所望形状に形成した部材に貼り付ける構成では、貼り付け作業の効率が悪く、貼り付け作業においてFPCが不用意に曲がってLEDや半田付け部を傷めるといった不都合が生じやすいといった問題がある。すなわち、FPCは柔軟性が高いため、これを貼り付ける対象の部材(以下、貼り付け用基材とも言う)の形状に良く追従するものの、貼り付け作業において自由に曲がってしまうため、LEDや半田付け部を傷めやすい。
【0009】
また、FPCを予め所望形状に形成した貼り付け用基材に固定する手段として接着剤による接着固定を採用する場合は、接着剤が硬化するまでFPCを貼り付け用基材から浮き上がらないように押さえ付けておく必要がある。しかしながら、この際、FPCに実装されているLEDや、FPCの配線を傷めないようにFPCを均等に押さえ付けることは困難である。
例えばLEDや配線が無い部位を選択して押さえ付けを行った場合は、FPCに貼り付け用基材に対する浮き上がり箇所が生じやすいため、接着固定が不充分になって剥がれやすくなったり、アルミニウム等の放熱性の高い前記貼り付け用基材への貼り付けによる放熱性も期待できなくなる。接着剤を用いた固定にかえて例えばFCPの外周の複数箇所を前記貼り付け用基材に突設したフック部等によって機械的に押さえ付ける構成も採り得るが、FPC全体を前記貼り付け用基材に浮き上がり部が生じないように取り付けることは困難である。
【0010】
また、特許文献3、4のような構成では、FPCを貼り付ける貼り付け用基材の形状でFPCの形状が決まるため、複雑な形状の照明装置を作製する場合、複雑な形状の貼り付け用基材を必要とする。このため、貼り付け用基材の形状によっては、複数部材で構成した貼り付け用基材が必要となって組み立ての手間の増大やコストアップを招く可能性があり、また、このような貼り付け用基材に対するFPCの貼り付け作業にも手間が掛かることになる。
【0011】
本発明は、前記課題に鑑みて、折り曲げによって簡単に立体形状とすることができ、しかも放熱性を良好かつ確実に確保できる折り曲げ可能配線基板、発光モジュール、発光モジュールの製造方法、折り曲げ可能配線基板の製造方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
本発明の折り曲げ可能配線基板は、電気絶縁性の絶縁樹脂層と配線層とを有するフレキシブル回路基板部が板状基材の片面を覆うように積層され、前記板状基材に、該板状基材の一部を曲げやすくするための溝が、前記板状基材のいずれか一方または両方の面に形成され、前記フレキシブル回路基板部は、前記板状基材の前記溝によって区分けされた複数の基材板片部のうち少なくとも2枚の基材板片部にわたって延在するように設けられ、前記基材板片部に前記フレキシブル回路基板部が積層されてなる板状部のうち少なくとも2枚の板状部における前記フレキシブル回路基板部に、電子部品を実装するための電極部が設けられ、前記板状基材の前記溝の形成位置で折り曲げて立体形状に曲げ成形可能とされている折り曲げ可能配線基板である。
前記フレキシブル回路基板部の絶縁樹脂層の形成樹脂としては、基材樹脂に該基材樹脂よりも熱伝導率が高いフィラーを混入したフィラー混入樹脂、あるいは液晶ポリマーが好ましい。
板状基材は、アルミニウム板又は銅板、あるいは基材樹脂に該基材樹脂よりも熱伝導率が高いフィラーを混入したフィラー混入樹脂、あるいは液晶ポリマーからなることが好ましい。
【0013】
本発明の発光モジュールは、前記折り曲げ可能配線基板の前記板状部のうち少なくとも2枚の板状部に発光素子が実装されている発光モジュールである。
本発明の発光モジュールは、前記発光モジュールの折り曲げ可能配線基板が前記板状基材の前記溝の形成位置で折り曲げられて立体形状とされ、前記発光素子が実装された前記板状部である発光素子付き板状部の間に、前記折り曲げ可能配線基板を前記板状基材の前記溝の形成位置で折り曲げた折り曲げ部が存在する発光モジュールである。
前記板状基材の裏面側には折り曲げ可能配線基板の形状固定用の部材が設けられていることが好ましい。
前記折り曲げ可能配線基板は、前記板状基材に互いに平行に形成された複数本の前記溝の形成位置で折り曲げられて樋状あるいは筒状とされた部分を有することが好ましい。
【0014】
本発明の発光モジュールの製造方法は、前記折り曲げ可能配線基板の前記フレキシブル回路基板部に発光素子を実装して、前記板状基材の前記溝によって区分けされた前記折り曲げ可能配線基板の複数の板状部のうち少なくとも2枚の板状部に発光素子を設ける発光素子実装工程と、前記折り曲げ可能配線基板を前記板状基材の前記溝の形成位置で曲げて立体形状とする曲げ成形工程とを具備する。
本発明の発光モジュールの製造方法は、前記板状基材の裏面側に前記折り曲げ可能配線基板の形状固定用部材を設けて、前記折り曲げ可能配線基板の形状を固定する基板形状固定工程とを具備することができる。
【0015】
本発明の折り曲げ可能配線基板の製造方法は、前記板状基材母材に前記溝を形成する溝形成工程と、板状基材母材の片面に、熱可塑性樹脂フィルムの片面側のみに銅箔が一体化された片面銅張りフレキシブル基板をその前記熱可塑性樹脂フィルムを熱溶着して接合するフレキシブル基板接合工程と、このフレキシブル基板接合工程の後、前記銅箔をパターニングして前記電極部を含む配線パターンを形成することで該配線パターンを前記配線層、前記熱可塑性樹脂フィルムを前記絶縁樹脂層とする前記フレキシブル回路基板部が前記板状基材母材の片面に一体化された構成の配線付き積層板を得るパターニング工程と、を具備し、前記溝形成工程と前記フレキシブル基板接合工程と前記パターニング工程とを行って、前記板状基材母材に前記溝が形成された溝付き板状基材母材の片面に前記フレキシブル回路基板部が一体化された構成の前記折り曲げ可能配線基板を得る折り曲げ可能配線基板の製造方法である。
本発明の折り曲げ可能配線基板の製造方法は、前記板状基材母材に前記溝を形成する溝形成工程と、銅箔の片面に形成された半硬化状態の硬化性樹脂層である硬化性半硬化樹脂層、あるいは半硬化状態の硬化性樹脂によって前記銅箔及び前記板状基材母材とは別体に形成されたシートである硬化性半硬化樹脂シートを、前記銅箔と板状基材母材との間に挟み込んだ状態で加熱、硬化して硬化性樹脂層を形成し前記銅箔を前記板状基材母材に一体化するフレキシブル基板形成工程と、このフレキシブル基板形成工程の後、前記銅箔をパターニングして前記電極部を含む配線パターンを形成することで該配線パターンを前記配線層、前記硬化性樹脂層を前記絶縁樹脂層とする前記フレキシブル回路基板部が前記板状基材母材の片面に一体化された構成の配線付き積層板を得るパターニング工程と、を具備し、前記溝形成工程と前記フレキシブル基板形成工程と前記パターニング工程とを行って、前記板状基材母材に前記溝が形成された溝付き板状母材の片面に前記フレキシブル回路基板部が一体化された構成の前記折り曲げ可能配線基板を得る折り曲げ可能配線基板の製造方法であってもよい。
本発明の折り曲げ可能配線基板の製造方法は、前記板状基材母材に前記溝を形成する溝形成工程と、樹脂フィルムの片面側あるいは両面に銅箔が一体化された銅張りフレキシブル基板を、板状基材母材の片面に接着剤を用いて接着する基板接着工程と、この基板接着工程の後、前記銅張りフレキシブル基板の前記フィルムを介して前記板状基材母材とは反対側に位置する銅箔をパターニングして前記電極部を含む配線パターンを形成することで該配線パターンを前記配線層、前記フィルムを前記絶縁樹脂層とする前記フレキシブル回路基板部が前記板状基材母材の片面に一体化された構成の配線付き積層板を得るパターニング工程と、を具備し、前記溝形成工程と前記基板接着工程と前記パターニング工程とを行って、前記板状基材母材に前記溝が形成された溝付き板状母材の片面に前記フレキシブル回路基板部が一体化された構成の前記折り曲げ可能配線基板を得る折り曲げ可能配線基板の製造方法であってもよい。
前記片面銅張り基板の熱可塑性樹脂フィルムの形成樹脂、前記硬化性半硬化樹脂層あるいは硬化性半硬化樹脂シートの形成樹脂、前記銅張り基板の樹脂フィルムの形成樹脂としては、基材樹脂に該基材樹脂よりも熱伝導率が高いフィラーを混入したフィラー混入樹脂、あるいは液晶ポリマーであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、折り曲げ可能配線基板を板状基材の溝の形成位置で折り曲げることで、立体形状に簡単に曲げ成形することができるため、様々な形状の発光モジュールを簡単に得ることができる。
曲げ成形の際には、フレキシブル回路基板部には溝形成部分以外において曲げが加えられないため、電子部品や半田付け部に損傷が及ぶことはない。
さらに、板状基材とフレキシブル回路基板部との密着性を良好に確保できるため、LED等を実装した場合に要求される放熱性を良好かつ確実に確保できる。
また、折り曲げ可能配線基板は、溝において曲げ可能となっているので、充分な剛性を有する基材板片部を使用することによって、それ自体で立体形状を維持できる構成とすることができる。
すなわち、自立的に(すなわち他の支持部材に過度に依存せずに)立体形状にできるため、構造を簡略化できる。よって、製造を容易とし、しかもコストを抑えることができる。さらには、折り曲げ可能配線基板の耐久性を高めることができる。
【0017】
また、本発明の製造方法によれば、曲げ成形される前の板状基材にフレキシブル回路基板部が積層されるので、立体形状の基材にFPCを貼り付ける従来方法に比べ、板状基材に対するフレキシブル回路基板部の位置決めの精度を高めることができる。
よって、フレキシブル回路基板部の位置ずれによって、電子部品や半田付け部が板状基材の折り曲げ位置に至るのを防ぎ、これらに損傷が及ぶのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態の発光モジュールの全体斜視図である。
【図2】図1の発光モジュールの横断面図である。
【図3】図1の発光モジュールの拡大部分断面図である。
【図4】図1の発光モジュールを用いた照明装置の全体斜視図である。
【図5】折り曲げ可能配線基板の第1の製造方法を示す工程図である。
【図6】折り曲げ可能配線基板の第2の製造方法を示す工程図である。
【図7】折り曲げ可能配線基板の第2の製造方法の変形例を説明する図であって、銅箔及び板母材とは別体の熱硬化性半硬化樹脂シートを用いて銅箔を板母材に一体化するフレキシブル基板部形成工程を示す断面図である。
【図8】折り曲げ可能配線基板の第3の製造方法を示す工程図である。
【図9】本発明の第2実施形態の発光モジュールの横断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態の発光モジュールの横断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態の発光モジュールの斜視図である。
【図12】前図に示す発光モジュールの断面図である。
【図13】折り曲げ可能配線基板の折り曲げ加工前の状態を示す平面図である。
【図14】本発明の第5実施形態の発光モジュールの断面図である。
【図15】一方の面に溝が形成された折り曲げ可能配線基板の折り曲げ前の状態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る折り曲げ可能配線基板を用いた発光モジュールについて図面を参照して説明する。
図1は第1実施形態の発光モジュール1を示す斜視図である。図2は発光モジュール1の断面図である。図3は発光モジュール1の要部を拡大した断面図である。図4は発光モジュール1を用いた照明装置の全体斜視図である。
図1に示すように、発光モジュール1は、折り曲げ可能配線基板2に、電子部品としてLED等の発光素子3が実装され、折り曲げ可能配線基板2が立体形状に曲げ成形されたものである。
【0020】
図2および図3に示すように、折り曲げ可能配線基板2は、フレキシブル回路基板部5が板状基材4の一方の面4a(片面)を覆うように積層されて構成されている。
板状基材4としては、アルミニウム板、銅板等の金属板を用いることができる。そのほか、基材樹脂より熱伝導率が高いフィラーを基材樹脂に混入したフィラー混入樹脂、液晶ポリマー等からなる樹脂板を用いることもできる。
基材樹脂としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などがあり、フィラーとしては、高熱伝導セラミック(Al2O3、SiCなど)などからなるものを使用できる。
前記金属や前記樹脂を板状基材4の構成材料として用いることにより、発光素子3が発する熱を効率良く放熱できるため、発光モジュール1の放熱性を向上させることができる。
【0021】
図3に示すように、板状基材4の他方の面4b(裏面)には、板状基材4の一部を曲げやすくするための1または複数の溝6が形成され、板状基材4は、溝6によって複数の基材板片部12に区分けされている(図5を参照)。基材板片部12は、後述する曲げ成形工程において曲げ変形が生じない程度の曲げ剛性を有することが好ましい。
溝6は他方の面4bから切り込むように形成され、板状基材4の長さ方向に沿って形成されている(図1参照)。図示例では溝6は折り曲げ前の状態では断面V字形とされ(図5参照)、図3に示す折り曲げ状態では内面6a同士が当接するのが好ましい。
なお、溝6は、板状基材4に折り曲げ部10を形成することができるものであればよく、形状は図示例に限定されない。例えば断面形状が矩形、半円形、台形などであってもよい。また、溝6は、板状基材4のいずれか一方または両方の面に形成してよい。
【0022】
図1に示すように、複数の溝6は互いに平行に形成され、基材板片部12は互いに平行な複数の細長板状となっている。
図示例の折り曲げ可能配線基板2において、板状基材4は、フレキシブル回路基板部5が形成された一方の面4aが外面側(外周側)となるように溝6において折り曲げられ、溝6の形成方向に平行な軸線を中心とする樋状(図示例では断面C形の樋状)となっている。
【0023】
板状基材4が溝6において折り曲げられた部分を折り曲げ部10という。
また、基材板片部12と、これに積層された部分のフレキシブル回路基板部5からなる構成を板状部16という。図示例の折り曲げ可能配線基板2は、細長板状の基材板片部12と同形状のフレキシブル回路基板部5とからなる細長板状の板状部16が12枚組み合わされて全体が樋状となっている。
【0024】
なお、図示例のフレキシブル回路基板部5は、すべての基材板片部12にわたって形成されているが、これに限らず、複数の基材板片部12のうち少なくとも2枚にわたって形成されていればよい。
折り曲げ可能配線基板2の形状は、樋状に限らず、筒状としてもよい。折り曲げ可能配線基板2は、全体が樋状、筒状などの立体形状であってもよいが、一部のみが前記立体形状であってもよい。
【0025】
フレキシブル回路基板部5は、電気絶縁性の絶縁樹脂層13の一方の面13a(片面)に、配線パターンを形成する配線層14(図3参照)が積層された構成になっている。
絶縁樹脂層13の、配線層14が形成された面とは反対側の面13b(他方の面)は、板状基材4の一方の面4aに積層されている。
図示例の発光モジュール1では、フレキシブル回路基板部5の外面(板状基材4とは反対側の面)には保護樹脂層17(図示例では具体的にはソルダーレジスト)が設けられている。
【0026】
配線層14が形成する配線パターンは、電子部品(発光素子3)を実装するための複数の実装部7を有している。配線層14には発光素子3を実装するための電極部15がそれぞれの実装部7に対応して形成されている。
フレキシブル回路基板部5の複数箇所には、外部回路接続端子部8が形成されている。図示例では、複数の板状部16のうち板状基材4の両側縁部に位置する2つの板状部16にそれぞれ外部回路接続端子部8が形成されている。
配線層14の配線パターンは、全ての実装部7と外部回路接続端子部8とを接続するように形成されており、外部回路接続端子部8に給電用外部回路の給電線9(図1参照)を接続することにより全ての実装部7に対して給電することができる。
【0027】
これにより、実装部7に実装された全ての電子部品(ここでは発光素子3)に対して電力を供給することができる。この構造では、複数の電子部品に給電するための給電用外部回路を単純化することができる。また、全ての電子部品と給電用外部回路を電気的に接続する作業を省力化することができる。
実装部7に配置された発光素子3はリード3aが電極部15に半田(図示略)などによって接続されることにより実装部7に実装される。
配線層14は、電極部15及び外部回路接続端子部8を避けてフレキシブル回路基板部5の外面側(板状基材4とは反対側)全体に積層された保護樹脂層17によって覆われており、配線層14の電気的絶縁及び水滴付着が防止されている。
保護樹脂層17はここでは具体的には液状樹脂材料の塗膜からなるソルダーレジストであるが、これに限定されず、電気絶縁性の樹脂製保護フィルム等であっても良い。
【0028】
絶縁樹脂層13の形成樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を使用できる。熱可塑性樹脂としてはポリイミド樹脂などを使用でき、熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、いわゆるガラスエポキシ材(エポキシ樹脂にガラス繊維(例えばガラス不織布)を混入したもの)などを使用できる。
また、絶縁樹脂層13の形成樹脂としては、基材樹脂に該基材樹脂よりも熱伝導率が高いフィラーを混入したフィラー混入樹脂、あるいは液晶ポリマー等を用いることができる。また、高熱伝導性樹脂も使用できる。
基材樹脂としては、前記熱可塑性樹脂(ポリイミド樹脂等)、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂等)などがあり、フィラーとしては、高熱伝導セラミック(Al2O3、SiCなど)などからなるものを使用できる。
これらの材料(フィラー混入樹脂、液晶ポリマーなど)を用いることにより、フレキシブル回路基板部5に熱伝導性を付与することができ、発光素子3が発する熱を板状基材4に効率良く伝達し放熱効果を高めることができる。
【0029】
発光素子3としては、ここではLEDを採用している。発光素子3は、各板状部16の外面側に実装されている。
図示例では、各板状部16の長手方向に沿って複数の発光素子3が配列されている。
なお、図示例では、全ての板状部16に発光素子3が設けられているが、複数の板状部16のうち少なくとも2枚に発光素子3が設けられていればよい。
【0030】
図2および図3に示すように、板状基材4の他方の面4b(裏面)には、溝6にて折り曲げた状態の折り曲げ可能配線基板2の形状を固定するための形状固定用部材11が設けられることが好ましい。
折り曲げ可能配線基板2の裏面側の全体に設けても良いが、折り曲げ部10を含む部分にのみ設けてもよい。
形状固定用部材11は、半硬化状態の熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂等)、湿気硬化樹脂、紫外線硬化樹脂等の硬化性樹脂を必要箇所に塗布し、塗布の後に、樹脂を硬化させることにより形成することができる。
形状固定用部材11を設けることにより、折り曲げ可能配線基板2の立体形状を確実に維持することが可能となる。
形状固定用部材は、これに限らず、接着剤を用いた接着固定、溶接固定、組み付け等によって必要箇所に設けられた板材(樹脂板や金属板等)であってもよい。
【0031】
図2および図4に示すように、この実施形態の発光モジュール1は、照明装置に使用できる。
ここに示す照明装置20は、発光モジュール1を外装体21内に収容した構成である。
図4に示すように、外装体21は、筒状カバー18の両端に口金部22が設けられた構成であり、口金部22は、既存の照明装置(蛍光灯照明装置など)のソケットに嵌合可能な端子23を有する。
図2に示すように、発光モジュール1は、折り曲げ可能配線基板2の両側縁部2a、2aが保持体19に保持されて筒状カバー18内に収容されている。
発光モジュール1は、凹形板状の折り曲げ可能配線基板2に対して発光素子3が長さ方向に沿って複数実装されていることから、光透過性の筒状カバー18内に配置することにより、蛍光灯やネオン灯と同様に、例えば室内照明機器、屋外照明機器、広告用ライトパネル等の光源として用いることができる。
【0032】
次に、図5を参照して折り曲げ可能配線基板2の第1の製造方法を説明する。
本製造方法は、金属板(アルミニウム板、銅板等)、樹脂板(フィラー混入樹脂、液晶ポリマー等)などの平板状の板母材18(板状基材母材)に溝6を形成する溝形成工程と、板母材18の片面に対し、片面銅張りフレキシブル基板22を接合するフレキシブル基板接合工程と、銅箔24をパターニングして配線パターンを形成して配線付き積層板25を得るパターニング工程と、を含む。
【0033】
図5(a)に示すように、溝形成工程では、配線付き積層板25の板母材18の他方の面18bに溝6を形成する。
溝6の形成には、レーザ加工、切削加工など、公知の方法を採用できる。
図5(b)に示すように、フレキシブル基板接合工程は、絶縁性(電気絶縁性。以下も同じ)の熱可塑性樹脂フィルム23の片面に銅箔24(金属層)が一体化された片面銅張りフレキシブル基板22を、板母材18の一方の面18aに面接触させ、熱可塑性樹脂フィルム23を熱溶着させて板母材18に接合することにより行われる。
ここで片面銅張りフレキシブル基板22としては、製造する折り曲げ可能配線基板2のフレキシブル回路基板部5に合致する平面形状に形成したものを用いる。
板母材18への熱溶着により、熱可塑性樹脂フィルム23は絶縁樹脂層13となる。
【0034】
熱可塑性樹脂フィルム23は、フレキシブル回路基板部5の絶縁樹脂層13を形成するものであり、その材質としては例えばポリイミド樹脂、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂を採用できる。また、熱可塑性樹脂フィルム23としては、基材樹脂(ポリイミド樹脂、液晶ポリマー等)より熱伝導性が高いフィラーを基材樹脂に混合したフィラー混合樹脂を使用することもできる。
【0035】
パターニング工程では、フレキシブル基板接合工程の後、銅箔24をパターニングして配線パターンを形成する(図5(c)参照)。
パターニングは、フォトレジストを使用したフォトリソグラフィ法、レーザ加工、イオンビーム法等の周知の種々の方法によって行うことができる。
パターニングによって形成される配線パターンは、全ての実装部7を接続する配線と、それぞれの実装部7に対応した電極部15とを含むものである。このようなパターニングにより、所望の配線パターンを有する配線層14を形成することで、熱可塑性樹脂フィルム23を絶縁樹脂層13としたフレキシブル回路基板部5が板母材18の片面に一体化した配線付き積層板25を作製することができる。
既述の保護樹脂層17は、配線付き積層板25の作製後に、フレキシブル回路基板部5の配線層14側の面に、電極部15及び外部回路接続端子部8を除く全体を覆うように設けられる。
以上の工程により、板状基材4の一方の面4aにフレキシブル回路基板部5が積層され、他方の面4bに溝6が形成された折り曲げ可能配線基板2を得る。
【0036】
次いで、折り曲げ可能配線基板2を用いて、発光モジュール1を製造する。
発光モジュール1の製造は、発光素子実装工程と、曲げ成形工程とによって行われる。ここでは発光素子実装工程の後に曲げ成形工程を行う場合について説明するが、これらの工程は、どちらを先に行っても良く、その順序は、製造のための装置や他の処理等の作業環境に合わせて適宜設定される。
【0037】
図5(d)に示すように、発光素子実装工程は、折り曲げ可能配線基板2に対して電子部品としての発光素子3を実装する工程である。発光素子3は、折り曲げ可能配線基板2に形成された実装部7に実装する。
発光素子3の実装にあたっては、発光素子3のリード3aを半田付け等により電極部15に電気的に接続する。
【0038】
曲げ成形工程は、折り曲げ可能配線基板2を溝6で折り曲げて立体形状とする工程である。基材板片部12は充分な曲げ剛性を有するため、板状部16には曲げはほとんど生じない。
この曲げ成形工程により、図1に示す凹形板状の発光モジュール1を作製することができる。
【0039】
曲げ成形工程の後においては、必要に応じて基板形状固定工程を行うことができる。この工程では、図2および図3に示すように、フレキシブル回路基板部5が設けられている表面側とは反対の裏面側に上述した形状固定用部材11を設ける。形状固定用部材11を設けることにより、発光モジュール1の立体形状を確実に維持することができる。
【0040】
折り曲げ可能配線基板2の製造には、次に示す第2の製造方法をとることもできる。
以下、図6を参照して、折り曲げ可能配線基板2の第2の製造方法を説明する。以下の説明において、第1の製造方法と共通する手順についてはその説明を省略または簡略化する。
図6(a)、(b)に示すように、第2の製造方法では、溝形成工程により板母材18に溝6を形成した後、フレキシブル基板部接合工程において、銅箔24の片面に半硬化状態の熱硬化性樹脂層(熱硬化性半硬化樹脂層28)が一体化された構成の半硬化樹脂層付き銅箔27を、既述の板部材18に接合して熱硬化性半硬化樹脂層28を加熱硬化させ絶縁樹脂層13とする。
熱硬化性半硬化樹脂層28としては、例えば未硬化状態(半硬化状態)のエポキシ樹脂、エポキシ樹脂にガラス繊維(ガラス不織布であっても良い)を混入したいわゆるガラスエポキシ材(但しエポキシ樹脂が半硬化状態のもの)等を採用できる。
熱硬化性半硬化樹脂層28は、板母材18に接合し、銅箔24を板母材18と一体化する接着材層として機能する。このため、硬化性半硬化樹脂層28を硬化させて絶縁樹脂層13とすることで、絶縁樹脂層13を介して銅箔24が板母材18に一体化される。
【0041】
半硬化樹脂層付き銅箔27としては、製造する折り曲げ可能配線基板2のフレキシブル回路基板部5に合致する平面形状のものを用いる。
半硬化樹脂層付き銅箔27の熱硬化性半硬化樹脂層28としては、例えば、液状の熱硬化性樹脂材料を銅箔24片面に塗布した塗膜層、半硬化状態の熱硬化性樹脂からなる熱硬化性半硬化樹脂シートを銅箔24片面に貼り付けたものを挙げることができる。
また、半硬化樹脂層付き銅箔27は、熱硬化性半硬化樹脂層28の粘着性によって板母材18に対して熱硬化性半硬化樹脂層28の加熱硬化が完了するまで貼り付けた状態を安定に保つことができ、板母材18に対する位置ずれも生じにくい。このため、半硬化樹脂層付き銅箔27を用いるフレキシブル基板部形成工程は高い作業効率を確保でき、折り曲げ可能配線基板2の生産性向上の点で好適である。
また、熱硬化性半硬化樹脂層28としては、熱伝導性が高いフィラーを基材樹脂に混合したフィラー混合樹脂を使用することができ、これにより、フレキシブル回路基板部5に良好な熱伝導性を付与することができる。
【0042】
フレキシブル基板部形成工程の後、パターニング工程(図6(c)参照)を行い、折り曲げ可能配線基板2を得る。パターニング工程は第1の製造方法と同様である。
このようにして作製された折り曲げ可能配線基板2に対し、上述した第1の製造方法と同様の発光素子実装工程(図6(d)参照)と、曲げ成形工程とを行うことによって、図1に示す凹形板状の発光モジュール1を作製することができる。発光素子実装工程と曲げ成形工程の順序は、製造のための装置や他の処理等の作業環境に合わせて適宜設定される。
【0043】
図7に示すように、本発明に係る折り曲げ可能配線基板の製造方法は、第2の製造方法のフレキシブル基板部形成工程を、銅箔24及び板母材18とは別体の熱硬化性半硬化樹脂シート29を用いて行う構成に変更したものも含む。
熱硬化性半硬化樹脂シート29は、半硬化状態の熱硬化性樹脂からなるシート状の部材である。この熱硬化性半硬化樹脂シート29の形成材料としては、エポキシ樹脂、ガラスエポキシ材(但しエポキシ樹脂が半硬化状態のもの)等を採用できる。
フレキシブル基板部形成工程は、銅箔24と板母材18との間に前記熱硬化性半硬化樹脂シート29を介挿し、この熱硬化性半硬化樹脂シート29を介して銅箔24を板母材18に貼り合わせた後、熱硬化性半硬化樹脂シート29を加熱、硬化させて絶縁樹脂層13とすることで、銅箔24を板母材18に一体化する。
この熱硬化性半硬化樹脂シート29を用いるフレキシブル基板部形成工程の場合、熱硬化性半硬化樹脂シート29の粘着性によって銅箔24を板母材18に貼り付けた状態の安定維持、板母材18に対する位置ずれ防止を実現できる。
本明細書において、この製造方法は第2の製造方法の変形例として扱う。
【0044】
図8は、本発明における第3の実施形態の製造方法を示す。
この第3の製造方法は、溝形成工程と(図8(a)参照)、樹脂フィルム31の片面あるいは両面に銅箔24が一体化された銅張りフレキシブル基板(図示例では両面銅張りフレキシブル基板32)を接着剤33を用いて既述の板母材18に接着、一体化する基板接着工程(図8(a)、(b)参照)と、パターニング工程(図8(c)参照)とを含む。
この第3の製造方法は、フレキシブル基板部接合工程にかえて基板接着工程を具備する点が第1の製造方法と異なる。基板接着工程から後の工程は第1の製造方法と同様である。
【0045】
図8(a)、(b)に示すように基板接着工程では、銅箔24が樹脂フィルム31の両面に一体化された両面銅張りフレキシブル基板32を板母材18に接着剤33を介して接着する。接着剤としては、エポキシ系接着剤等を用いることができる。
銅張りフレキシブル基板32の樹脂フィルム31としては、熱伝導性が高いフィラーを基材樹脂に混合したフィラー混合樹脂、液晶ポリマーなどを使用することができ、これにより、フレキシブル回路基板部5に良好な熱伝導性を付与することができる。
【0046】
折り曲げ可能配線基板2に対し、上述した実施形態と同様の発光素子実装工程(図8(d)参照)及び曲げ成形工程を行うことで、図1に示す立体形状の発光モジュール1を作製することができる。その後、必要に応じて基板形状固定工程を行うことで、発光モジュール1の立体形状を確実に維持することができる。
【0047】
既述の第3の製造方法や、配線層を形成済みのフレキシブル回路基板を用いる製造方法では、銅張りフレキシブル基板あるいはフレキシブル回路基板を、接着剤を用いて板母材に接着固定する構成となっているが、第1、第2の製造方法(第2の製造方法の変形例を含む)は接着剤を使用せず、絶縁樹脂層13を形成するための樹脂自体を板母材に直接被着させて絶縁樹脂層13を形成することで、絶縁樹脂層13と銅箔24とを板母材18に一体化できる。
したがって、フレキシブル回路基板部5の絶縁樹脂層13と板状基材4との間に、接着固定のための接着剤層が別途介在せず、絶縁樹脂層13が板状基材4に直接被着一体化した構造が得られる。このため、フレキシブル回路基板部と板状基材4との接着固定のための接着剤層が別途存在する場合に比べて高い放熱性(板状基材への放熱性)を確保できるという利点がある。
【0048】
前記折り曲げ可能配線基板2の第1〜第3の製造方法において、板母材18は、複数の板状基材4を切り出し可能な大きさのものであってもよい。すなわち、板母材18は、複数の発光モジュール1に相当する大きさであってもよい。
この場合には、発光モジュール1を製造する方法にあたり、板母材18を所定の大きさ、形状に切り出す切り出し工程を行う。すなわち、発光モジュール1の製造は、発光素子実装工程と、曲げ成形工程と、切り出し工程とによって行われる。切り出し工程は、プレス加工などによって板母材18を切断する工程である。
【0049】
折り曲げ可能配線基板2は、少なくとも2枚の板状部16に発光素子3を実装でき、溝6で折り曲げて立体形状に曲げ成形可能であるので、様々な形状の発光モジュールを簡単に得ることができる。曲げ成形の際には、フレキシブル回路基板部5には溝6形成部分以外において曲げが加えられないため、発光素子3や半田付け部に損傷が及ぶことはない。
また、曲げ成形される前の板状基材4にフレキシブル回路基板部5が積層されるので、板状基材4に対するフレキシブル回路基板部5の浮き上がりが生じにくい。
このため、板状基材4とフレキシブル回路基板部5との密着性を確保できる。よって、フレキシブル回路基板部5から板状基材4への伝熱効率を高め、LED等を実装した場合に要求される放熱性を良好かつ確実に確保できる。また、フレキシブル回路基板部5の剥離、脱落を防ぐことができる。
また、曲げ成形前の板状基材4にフレキシブル回路基板部5が積層されるため、複雑な立体形状の基材にFPCが貼り付けられる従来品に比べ、フレキシブル回路基板部5を容易に板状基材4に隙間なく積層させることができる。
よって、製造が容易となり、コスト低減が可能となる。さらに、溝6の形状、位置等を適宜設定することによって、複雑な立体形状も実現できる。
【0050】
折り曲げ可能配線基板2は、溝6において曲げ可能となっているので、充分な剛性を有する基材板片部12を使用することによって、それ自体で立体形状を維持できる構成とすることができる。
すなわち、自立的に(すなわち他の支持部材に過度に依存せずに)立体形状にできるため、構造を簡略化できる。よって、製造を容易とし、しかもコストを抑えることができる。さらには、折り曲げ可能配線基板2の耐久性を高めることができる。
【0051】
また、上記折り曲げ可能配線基板2の製造方法では、曲げ成形される前の板状基材4にフレキシブル回路基板部5が積層されるので、立体形状の基材にFPCを貼り付ける従来方法に比べ、板状基材4に対するフレキシブル回路基板部5の位置決めの精度を高めることができる。
よって、フレキシブル回路基板部5の位置ずれによって、発光素子3や半田付け部が板状基材4の折り曲げ位置に至るのを防ぎ、発光素子3や半田付け部に損傷が及ぶのを防止できる。
【0052】
図9は、第2実施形態の発光モジュール31の断面図である。
発光モジュール31は、折り曲げ可能配線基板2の全体が、フレキシブル回路基板部5側が内側となる凹形板状とされている点で、第1実施形態の発光モジュール1と異なる。
この発光モジュール31では、溝6は板状基材4の一方の面4aに形成されており、板状基材4は溝6で一方の面4aを内側にして折り曲げられている。このため、発光素子3は折り曲げ可能配線基板2の内面側に設けられている。
折り曲げ可能配線基板2は、折り曲げ可能配線基板2の外面側の形状固定用部材11によって形状が固定されている。
一方の面4aに溝6が形成された折り曲げ可能配線基板2の折り曲げ前の状態を図15に示す。溝6は、板状基材4を折り曲げた状態では内面6aが互いに当接するのが好ましい。
【0053】
図10は、第3実施形態の発光モジュール41の断面図である。
発光モジュール41は、折り曲げ可能配線基板2が、幅方向の一部においてフレキシブル回路基板部5側が内側となる凹形板状とされている点で、第1実施形態の発光モジュール1と異なる。
図示例の発光モジュール41では、4つの折り曲げ部10(折り曲げ部10A〜10D)のうち、幅方向中央に近い2つ(折り曲げ部10B、10C)において、溝6は板状基材4の一方の面4aに形成され、他の2つ(折り曲げ部10A、10D)において溝6は板状基材4の他方の面4bに形成されている。
折り曲げ部10B、10Cでは、板状基材4は一方の面4aを内側にして折り曲げられており、折り曲げ部10A、10Dでは他方の面4bを内側にして折り曲げられている。これによって、発光モジュール41は、幅方向の中央部(折り曲げ部10A、10D間の部分)が、フレキシブル回路基板部5側を内側とする凹形板状となっている。
【0054】
図11〜図13は、第4実施形態の発光モジュール51を示すものである。
図11は発光モジュール51の斜視図である。図12は発光モジュール51の断面図である。図13は、折り曲げ可能配線基板2が折り曲げられていない平板状であるときの平面図である。
発光モジュール51の折り曲げ可能配線基板2は、板状基材4が、他方の面4bに形成された溝6によって、5つの基材板片部12、すなわち矩形板状の天板部12aと、天板部12aの4つの辺部からそれぞれ幅広になりつつ延出する台形板状の側板部12bとに区分けされている。
板状基材4は、天板部12aと4つの側板部12bとを有する立体形状に形成されている。すなわち、板状基材4は、側板部12bが、天板部12aの4つの辺部から外方に向けて下降するように傾斜しており、これによって折り曲げ可能配線基板2は多面(五面)折り曲げ体となっている。
【0055】
フレキシブル回路基板部5は、矩形状の頂面(天板部12aによって形成される頂面)に対応した頂面部5aと、五面折り曲げ体の4側面(4枚の側板部12bによってそれぞれ形成される計4つの側面)に対応した側面部5bとを有している。それぞれの側面部5bは、頂面部5aと連設した状態で頂面部5aにおける4方向の周囲に位置している。すなわち、それぞれの側面部5bは、頂面部5aの4辺から延びている連設部5cを介して頂面部5aと一体となっている。
【0056】
フレキシブル回路基板部5における2つの側面部5bには、外部回路接続端子部8が形成されている。
配線層14の配線パターンは、外部回路接続端子部8に給電用外部回路の給電線9(図1参照)を接続することにより全ての実装部7に対して給電することができるように形成されている。
なお、図示例のフレキシブル回路基板部5は、すべての基材板片部12にわたって形成されているが、これに限らず、複数の基材板片部12のうち少なくとも2枚にわたって形成されていればよい。
【0057】
基材板片部12と、これに積層された部分のフレキシブル回路基板部5からなる構成を板状部16という。図示例の折り曲げ可能配線基板2は、矩形板状の板状部16(天板部12aおよび頂面部5a)と、4つの台形板状の板状部16(側板部12bおよび側面部5b)が組み合わされている。
各板状部16には、それぞれ電極部15(図5、図6参照)が設けられ、電極部15には発光素子3が複数実装されている。なお、図示例では、全ての板状部16に発光素子3が設けられているが、複数の板状部16のうち少なくとも2枚に発光素子3が設けられていればよい。
【0058】
発光モジュール51の折り曲げ可能配線基板2を製造するには、上述の第1〜第3の製造方法を適用できる。
すなわち、熱可塑性樹脂フィルム23を有する片面銅張りフレキシブル基板22を用いる第1の製造方法(図5参照)によって製造することもできるし、熱硬化性半硬化樹脂層28を有する半硬化樹脂層付き銅箔27を用いる第2の製造方法(図6参照)によって製造することもできる。
また、第2の製造方法において、銅箔24とは別体の熱硬化性半硬化樹脂シート29を用いることもできる(図7参照)。
また、折り曲げ可能配線基板2は、銅張りフレキシブル基板を板状基材母材の片面に接着剤を用いて接着する基板接着工程を有する第3の製造方法によって製造することもできる。
【0059】
発光モジュール51の製造は、発光素子実装工程と、曲げ成形工程とによって行われる。
発光素子実装工程は、折り曲げ可能配線基板2の実装部7に電子部品としての発光素子3を実装する工程である。
曲げ成形工程は、折り曲げ可能配線基板2を溝6において折り曲げて立体形状とする工程である。
発光モジュール51は、例えば、折り曲げ可能配線基板2に発光素子3を実装した後、発光素子3付きの折り曲げ可能配線基板2(発光モジュール)を、フレキシブル回路基板部5が外面側となるようにして五面折り曲げ体の立体形状に曲げ成形し、内側の板状基材4を形状固定用部材11によって固定することにより作製できる。
なお、発光素子実装工程と曲げ成形工程の順序は、製造のための装置や他の処理等の作業環境に合わせて適宜設定される。
曲げ成形工程の後においては、必要に応じて、板状基材4の内面側に形状固定用部材11を設ける基板形状固定工程を行う。
【0060】
図13に示すように、折り曲げ可能配線基板2の製造にあたっては、板母材18は、板状基材4を切り出し可能なサイズのものを使用するのが好ましい。図示例では、板母材18は、板状基材4を含む大きさの矩形状となっている。
発光モジュール1を製造する方法には、板母材18を所定の大きさおよび形状に切り出す切り出し工程が含まれる。すなわち、発光モジュール1の製造は、発光素子実装工程と、曲げ成形工程と、切り出し工程とによって行われる。
切り出し工程は、プレス加工などによって板母材18を切断する工程である。具体的には、矩形の板母材18から余剰部分18cを切除する工程である。
これらの工程(発光素子実装工程、曲げ成形工程、切り出し工程)の順序は、製造のための装置や他の処理等の作業環境に合わせて適宜設定される。
【0061】
発光モジュール1は、多面(五面)折り曲げ体を構成する折り曲げ可能配線基板2のそれぞれの面に発光素子3を複数実装してある構成により、光を周囲の広範囲に拡散させることができる。このため、例えば光透過性の球状カバーや筒状カバー内に配置することにより、一般の電球等と同様に光源装置として用いることができる。
【0062】
図14は、第5実施形態の発光モジュール61を示すものである。
発光モジュール61では、溝6は板状基材4の一方の面4aに形成されており、板状基材4は、溝6において一方の面4aを内側にして折り曲げられている。これによって、折り曲げ可能配線基板2は、フレキシブル回路基板部5を内面側に向けた五面折り曲げ体に曲げ成形されている。
折り曲げ可能配線基板2は、外面側の板状基材4を形状固定用部材11によって固定することで形状が固定されている。
この発光モジュール61は、例えば、折り曲げ可能配線基板2に発光素子3を実装した後、発光素子3付きの折り曲げ可能配線基板2(発光モジュール)を、フレキシブル回路基板部5が内面側となるようにして五面折り曲げ体の立体形状に曲げ成形し、外側の板状基材4を形状固定用部材11によって固定することにより作製できる。
【0063】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されない。
発光モジュールの形状は上述した実施形態のものに限定されず適宜変更可能である。
本発明に係る発光モジュールは、折り曲げ可能配線基板の曲げ成形によって多種多様な形状を実現できる。例えば凹形板状の折り曲げ可能配線基板および発光モジュールとしては、断面C形のものに限定されず、例えば断面く字形のもの、断面コ字形のもの等であっても良い。
折り曲げ可能配線基板に実装する電子部品としては、LED等の発光素子に限定されない。LED以外の発光素子、例えばLD(半導体レーザ素子。LD:Laser Diode)等も採用できる。また、電子部品は、発光素子に加え、発光素子の点滅等の駆動制御用のICチップなどを設けてもよい。
また、発光素子として紫外光あるいは赤外光を出力するものを採用することも可能であり、この場合は、光硬化性樹脂材料等の光応答性材料への光照射用装置の光源、食品、医療用殺菌装置の光源、医療用レーザ照射装置のレーザ光源等にも幅広く利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1、31、41、51・・・発光モジュール、2・・・折り曲げ可能配線基板、3・・・発光素子(電子部品)、4・・・板状基材、5・・・フレキシブル回路基板部、6・・・溝、10・・・折り曲げ部、11・・・形状固定用部材、12、12a、12b・・・基材板片部、13・・・絶縁樹脂層、14・・・配線層、15・・・電極部、16・・・板状部、22・・・片面銅張りフレキシブル基板、23・・・可塑性樹脂フィルム、24・・・銅箔、25・・・配線付き積層板、27・・・半硬化樹脂層付き銅箔、28・・・熱硬化性半硬化樹脂層、29・・・熱硬化性半硬化樹脂層、31・・・樹脂フィルム、32・・・銅張りフレキシブル基板、33・・・接着剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性の絶縁樹脂層と配線層とを有するフレキシブル回路基板部が板状基材の片面を覆うように積層され、
前記板状基材に、該板状基材の一部を曲げやすくするための溝が、前記板状基材のいずれか一方または両方の面に形成され、
前記フレキシブル回路基板部は、前記板状基材の前記溝によって区分けされた複数の基材板片部のうち少なくとも2枚の基材板片部にわたって延在するように設けられ、
前記基材板片部に前記フレキシブル回路基板部が積層されてなる板状部のうち少なくとも2枚の板状部における前記フレキシブル回路基板部に、電子部品を実装するための電極部が設けられ、
前記板状基材の前記溝の形成位置で折り曲げて立体形状に曲げ成形可能とされていることを特徴とする折り曲げ可能配線基板。
【請求項2】
前記フレキシブル回路基板部の絶縁樹脂層の形成樹脂が、基材樹脂に該基材樹脂よりも熱伝導率が高いフィラーを混入したフィラー混入樹脂、あるいは液晶ポリマーであることを特徴とする請求項1記載の折り曲げ可能配線基板。
【請求項3】
板状基材がアルミニウム板又は銅板、あるいは基材樹脂に該基材樹脂よりも熱伝導率が高いフィラーを混入したフィラー混入樹脂、あるいは液晶ポリマーからなることを特徴とする請求項1又は2記載の折り曲げ可能配線基板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の折り曲げ可能配線基板の前記板状部のうち少なくとも2枚の板状部に発光素子が実装されていることを特徴とする発光モジュール。
【請求項5】
請求項4記載の発光モジュールの折り曲げ可能配線基板が前記板状基材の前記溝の形成位置で折り曲げられて立体形状とされ、
前記発光素子が実装された前記板状部である発光素子付き板状部の間に、前記折り曲げ可能配線基板を前記板状基材の前記溝の形成位置で折り曲げた折り曲げ部が存在することを特徴とする請求項4記載の発光モジュール。
【請求項6】
前記板状基材の裏面側に折り曲げ可能配線基板の形状固定用の部材が設けられていることを特徴とする請求項5記載の発光モジュール。
【請求項7】
前記折り曲げ可能配線基板が、前記板状基材に互いに平行に形成された複数本の前記溝の形成位置で折り曲げられて樋状あるいは筒状とされた部分を有することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の発光モジュール。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれかに記載の折り曲げ可能配線基板の前記フレキシブル回路基板部に発光素子を実装して、前記板状基材の前記溝によって区分けされた前記折り曲げ可能配線基板の複数の板状部のうち少なくとも2枚の板状部に発光素子を設ける発光素子実装工程と、
前記折り曲げ可能配線基板を前記板状基材の前記溝の形成位置で曲げて立体形状とする曲げ成形工程とを具備することを特徴とする発光モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記板状基材の裏面側に前記折り曲げ可能配線基板の形状固定用部材を設けて、前記折り曲げ可能配線基板の形状を固定する基板形状固定工程とを具備する特徴とする請求項8記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれかに記載の折り曲げ可能配線基板を製造する方法であって、
前記板状基材母材に前記溝を形成する溝形成工程と、
板状基材母材の片面に、熱可塑性樹脂フィルムの片面側のみに銅箔が一体化された片面銅張りフレキシブル基板をその前記熱可塑性樹脂フィルムを熱溶着して接合するフレキシブル基板接合工程と、
このフレキシブル基板接合工程の後、前記銅箔をパターニングして前記電極部を含む配線パターンを形成することで該配線パターンを前記配線層、前記熱可塑性樹脂フィルムを前記絶縁樹脂層とする前記フレキシブル回路基板部が前記板状基材母材の片面に一体化された構成の配線付き積層板を得るパターニング工程と、を具備し、
前記溝形成工程と前記フレキシブル基板接合工程と前記パターニング工程とを行って、前記板状基材母材に前記溝が形成された溝付き板状基材母材の片面に前記フレキシブル回路基板部が一体化された構成の前記折り曲げ可能配線基板を得ることを特徴とする折り曲げ可能配線基板の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜3のいずれかに記載の折り曲げ可能配線基板を製造する方法であって、
前記板状基材母材に前記溝を形成する溝形成工程と、
銅箔の片面に形成された半硬化状態の硬化性樹脂層である硬化性半硬化樹脂層、あるいは半硬化状態の硬化性樹脂によって前記銅箔及び前記板状基材母材とは別体に形成されたシートである硬化性半硬化樹脂シートを、前記銅箔と板状基材母材との間に挟み込んだ状態で加熱、硬化して硬化性樹脂層を形成し前記銅箔を前記板状基材母材に一体化するフレキシブル基板形成工程と、
このフレキシブル基板形成工程の後、前記銅箔をパターニングして前記電極部を含む配線パターンを形成することで該配線パターンを前記配線層、前記硬化性樹脂層を前記絶縁樹脂層とする前記フレキシブル回路基板部が前記板状基材母材の片面に一体化された構成の配線付き積層板を得るパターニング工程と、を具備し、
前記溝形成工程と前記フレキシブル基板形成工程と前記パターニング工程とを行って、前記板状基材母材に前記溝が形成された溝付き板状母材の片面に前記フレキシブル回路基板部が一体化された構成の前記折り曲げ可能配線基板を得ることを特徴とする折り曲げ可能配線基板の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜3のいずれかに記載の折り曲げ可能配線基板を製造する方法であって、
前記板状基材母材に前記溝を形成する溝形成工程と、
樹脂フィルムの片面側あるいは両面に銅箔が一体化された銅張りフレキシブル基板を、板状基材母材の片面に接着剤を用いて接着する基板接着工程と、
この基板接着工程の後、前記銅張りフレキシブル基板の前記フィルムを介して前記板状基材母材とは反対側に位置する銅箔をパターニングして前記電極部を含む配線パターンを形成することで該配線パターンを前記配線層、前記フィルムを前記絶縁樹脂層とする前記フレキシブル回路基板部が前記板状基材母材の片面に一体化された構成の配線付き積層板を得るパターニング工程と、を具備し、
前記溝形成工程と前記基板接着工程と前記パターニング工程とを行って、前記板状基材母材に前記溝が形成された溝付き板状母材の片面に前記フレキシブル回路基板部が一体化された構成の前記折り曲げ可能配線基板を得ることを特徴とする折り曲げ可能配線基板の製造方法。
【請求項13】
請求項10記載の片面銅張り基板の熱可塑性樹脂フィルムの形成樹脂、請求項11記載の硬化性半硬化樹脂層あるいは硬化性半硬化樹脂シートの形成樹脂、請求項12記載の銅張り基板の樹脂フィルムの形成樹脂が、基材樹脂に該基材樹脂よりも熱伝導率が高いフィラーを混入したフィラー混入樹脂、あるいは液晶ポリマーであることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の折り曲げ可能配線基板の製造方法。
【請求項1】
電気絶縁性の絶縁樹脂層と配線層とを有するフレキシブル回路基板部が板状基材の片面を覆うように積層され、
前記板状基材に、該板状基材の一部を曲げやすくするための溝が、前記板状基材のいずれか一方または両方の面に形成され、
前記フレキシブル回路基板部は、前記板状基材の前記溝によって区分けされた複数の基材板片部のうち少なくとも2枚の基材板片部にわたって延在するように設けられ、
前記基材板片部に前記フレキシブル回路基板部が積層されてなる板状部のうち少なくとも2枚の板状部における前記フレキシブル回路基板部に、電子部品を実装するための電極部が設けられ、
前記板状基材の前記溝の形成位置で折り曲げて立体形状に曲げ成形可能とされていることを特徴とする折り曲げ可能配線基板。
【請求項2】
前記フレキシブル回路基板部の絶縁樹脂層の形成樹脂が、基材樹脂に該基材樹脂よりも熱伝導率が高いフィラーを混入したフィラー混入樹脂、あるいは液晶ポリマーであることを特徴とする請求項1記載の折り曲げ可能配線基板。
【請求項3】
板状基材がアルミニウム板又は銅板、あるいは基材樹脂に該基材樹脂よりも熱伝導率が高いフィラーを混入したフィラー混入樹脂、あるいは液晶ポリマーからなることを特徴とする請求項1又は2記載の折り曲げ可能配線基板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の折り曲げ可能配線基板の前記板状部のうち少なくとも2枚の板状部に発光素子が実装されていることを特徴とする発光モジュール。
【請求項5】
請求項4記載の発光モジュールの折り曲げ可能配線基板が前記板状基材の前記溝の形成位置で折り曲げられて立体形状とされ、
前記発光素子が実装された前記板状部である発光素子付き板状部の間に、前記折り曲げ可能配線基板を前記板状基材の前記溝の形成位置で折り曲げた折り曲げ部が存在することを特徴とする請求項4記載の発光モジュール。
【請求項6】
前記板状基材の裏面側に折り曲げ可能配線基板の形状固定用の部材が設けられていることを特徴とする請求項5記載の発光モジュール。
【請求項7】
前記折り曲げ可能配線基板が、前記板状基材に互いに平行に形成された複数本の前記溝の形成位置で折り曲げられて樋状あるいは筒状とされた部分を有することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の発光モジュール。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれかに記載の折り曲げ可能配線基板の前記フレキシブル回路基板部に発光素子を実装して、前記板状基材の前記溝によって区分けされた前記折り曲げ可能配線基板の複数の板状部のうち少なくとも2枚の板状部に発光素子を設ける発光素子実装工程と、
前記折り曲げ可能配線基板を前記板状基材の前記溝の形成位置で曲げて立体形状とする曲げ成形工程とを具備することを特徴とする発光モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記板状基材の裏面側に前記折り曲げ可能配線基板の形状固定用部材を設けて、前記折り曲げ可能配線基板の形状を固定する基板形状固定工程とを具備する特徴とする請求項8記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれかに記載の折り曲げ可能配線基板を製造する方法であって、
前記板状基材母材に前記溝を形成する溝形成工程と、
板状基材母材の片面に、熱可塑性樹脂フィルムの片面側のみに銅箔が一体化された片面銅張りフレキシブル基板をその前記熱可塑性樹脂フィルムを熱溶着して接合するフレキシブル基板接合工程と、
このフレキシブル基板接合工程の後、前記銅箔をパターニングして前記電極部を含む配線パターンを形成することで該配線パターンを前記配線層、前記熱可塑性樹脂フィルムを前記絶縁樹脂層とする前記フレキシブル回路基板部が前記板状基材母材の片面に一体化された構成の配線付き積層板を得るパターニング工程と、を具備し、
前記溝形成工程と前記フレキシブル基板接合工程と前記パターニング工程とを行って、前記板状基材母材に前記溝が形成された溝付き板状基材母材の片面に前記フレキシブル回路基板部が一体化された構成の前記折り曲げ可能配線基板を得ることを特徴とする折り曲げ可能配線基板の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜3のいずれかに記載の折り曲げ可能配線基板を製造する方法であって、
前記板状基材母材に前記溝を形成する溝形成工程と、
銅箔の片面に形成された半硬化状態の硬化性樹脂層である硬化性半硬化樹脂層、あるいは半硬化状態の硬化性樹脂によって前記銅箔及び前記板状基材母材とは別体に形成されたシートである硬化性半硬化樹脂シートを、前記銅箔と板状基材母材との間に挟み込んだ状態で加熱、硬化して硬化性樹脂層を形成し前記銅箔を前記板状基材母材に一体化するフレキシブル基板形成工程と、
このフレキシブル基板形成工程の後、前記銅箔をパターニングして前記電極部を含む配線パターンを形成することで該配線パターンを前記配線層、前記硬化性樹脂層を前記絶縁樹脂層とする前記フレキシブル回路基板部が前記板状基材母材の片面に一体化された構成の配線付き積層板を得るパターニング工程と、を具備し、
前記溝形成工程と前記フレキシブル基板形成工程と前記パターニング工程とを行って、前記板状基材母材に前記溝が形成された溝付き板状母材の片面に前記フレキシブル回路基板部が一体化された構成の前記折り曲げ可能配線基板を得ることを特徴とする折り曲げ可能配線基板の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜3のいずれかに記載の折り曲げ可能配線基板を製造する方法であって、
前記板状基材母材に前記溝を形成する溝形成工程と、
樹脂フィルムの片面側あるいは両面に銅箔が一体化された銅張りフレキシブル基板を、板状基材母材の片面に接着剤を用いて接着する基板接着工程と、
この基板接着工程の後、前記銅張りフレキシブル基板の前記フィルムを介して前記板状基材母材とは反対側に位置する銅箔をパターニングして前記電極部を含む配線パターンを形成することで該配線パターンを前記配線層、前記フィルムを前記絶縁樹脂層とする前記フレキシブル回路基板部が前記板状基材母材の片面に一体化された構成の配線付き積層板を得るパターニング工程と、を具備し、
前記溝形成工程と前記基板接着工程と前記パターニング工程とを行って、前記板状基材母材に前記溝が形成された溝付き板状母材の片面に前記フレキシブル回路基板部が一体化された構成の前記折り曲げ可能配線基板を得ることを特徴とする折り曲げ可能配線基板の製造方法。
【請求項13】
請求項10記載の片面銅張り基板の熱可塑性樹脂フィルムの形成樹脂、請求項11記載の硬化性半硬化樹脂層あるいは硬化性半硬化樹脂シートの形成樹脂、請求項12記載の銅張り基板の樹脂フィルムの形成樹脂が、基材樹脂に該基材樹脂よりも熱伝導率が高いフィラーを混入したフィラー混入樹脂、あるいは液晶ポリマーであることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の折り曲げ可能配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−249534(P2011−249534A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120708(P2010−120708)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(597079681)株式会社 大昌電子 (42)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(597079681)株式会社 大昌電子 (42)
【Fターム(参考)】
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