説明

押出粒子

食品、例えばチューインガム中で使用するための押出粒子であって、エチルセルロースと疎水性の可塑剤とを含む担体基材と、該基材全体にわたって分散された−0.5〜1.0のclogPを有する甘味成分とを含む押出粒子。該押出粒子は、食品の咀嚼または消費の間、風味の知覚を延長または持続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、カプセル化された甘味成分を含む押出粒子に関する。それは、かかる押出粒子を含む食品、飲料、口腔ケアまたは医薬品にも関する。
【0002】
背景技術および先行技術
食品中、特にチューインガム組成物中で、風味の放出および知覚を長引かせるために、多くの努力が向けられてきた。この分野における活動は、より長く持続するベースまたはミドルノートにおいて強さが増すように風味組成物を改質すること、存在する風味の量を増すこと、またはカプセル化された形態における風味を提供することに集中していた。
【0003】
チューインガム用途におけるカプセル化された甘味料がより長く持続する甘さを提供することも公知である。
【0004】
例えば、US4597970号は、ガムベース; アミノ酸ベースの甘味料、ジペプチド甘味料、グリシルリチン、サッカリンおよびその塩、アセスルファム塩、シクラメート、ステビオシド、タリン、ジヒドロカルコン化合物、風味付け剤およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの天然または人口のコア材料を含むコア材料の放出を制御して行うことができる凝集甘味料送達系; 本質的にレシチンと、(a)約1〜10のヨウ素価を有する脂肪酸、(b)天然ワックス、(c)合成ワックスおよび(d)それらの混合物からなる群から選択される約25℃〜約100℃の範囲の融点を有する食用材料とからなる疎水性の基材を含む、チューインガム組成物を開示している。
【0005】
WO−A−84/00320号は、活性なチューインガム成分のための食用グレードシェラックのカプセル化剤を開示している。甘味料、風味付け剤、食用グレードの酸および医薬品をカプセル化して、かかる成分の緩やか且つ制御された放出を達成することが記載されている。シェラック対甘味料、例えばアスパルテームの比は、約1:20〜約0.9:1である。
【0006】
US4911934号は、疎水性ポリマー、例えばセルロースエーテルおよび疎水性の可塑剤を含む被覆材料内にカプセル化された甘味剤を含有するチューインガム組成物を開示している。カプセル化は、好ましくは成分の湿った混合物を形成し、その後、オーブンで乾燥させて顆粒を形成することによって実施される。カプセル化された甘味剤は、甘味料の持続性の放出をもたらすと述べられている。
【0007】
US−A−2004/0180068号は、セルロースベースの粒子および液体並びにそれらの製造方法に関する。該粒子は、可塑剤および非極性有効成分として風味剤を含む。
【0008】
US−A−2005/0220867号は、予め選択された引っ張り強度を有する食用組成物の一部としての有効成分のための送達系を開示している。食用組成物はチューインガムを含み、且つ、有効成分は高強度の甘味料であることがある。
【0009】
それらの文献のいずれも、カプセル化された甘味剤を使用して、風味の知覚の寿命および強度を高めることには関係していない。
【0010】
上記の問題に取り組むことにおいて、追加的な溶剤を要するカプセル化系を避けることがさらに望ましい。従って例えばスプレー塗布は避けられるべきである。
【0011】
さらには、あまりにも疎水性であるか、またはあまりに親水性であるかのいずれかの甘味成分は、あまり望ましくない。特に、甘味料が高度に親水性である場合、それはチューインガム内であまりにも速く放出され、従って所望の風味放出プロファイルを提供しない。これは、甘味剤、例えばアセスルファム−Kについて公知の問題である。例えば、文献DE−A1−3120857号は、アセスルファム−Kのチューインガム内での使用を開示し、且つその知覚特性を、迅速で、知覚可能且つクリアな甘さとして記載している。WO−A1−96/20608号も、アセスルファム−Kの放出特性に関し、且つ、被覆および乾燥によるアセスルファム−Kのチューインガム内での放出の制御方法を開示している。しかしながら、これは該甘味料をガムベース内に閉じこめ、従って該甘味料は担体の完全性が維持される限り、閉じこめられたままである。
【0012】
同様に、甘味料が非常に疎水性である場合、それはチューインガム内で非常にゆっくりと放出される。これはネオヘスペリジンジヒドロカルコンの公知の特徴である。ネオヘスペリジンジヒドロカルコンの時間/強度プロファイルは、甘味の知覚の遅延された発現および長い持続を特徴とする (Marie−Odile Portmann and David Kilcast、Food Chemistry Volume 56、Issue 3、1996年7月、291−302ページ; G.A Crosby et al : Developments in Sweeteners内、C.A.M Hough et al (Ed)、1、135−164. Applied Science Publishers Ltd、ロンドン、1979; G.E. Dubois et al: Journal of Agricultural and Food Chemistry 1981 29 1269−1276)。
【0013】
さらには、かかる甘味料が疎水性担体内に閉じこめられる場合、それは該担体の完全性が維持される限りガムベース内に留まり、且つ、咀嚼の際、甘味料は疎水性担体の表面でガムと相互作用し、従って口内での放出を遅らせる。ガムベースの膨潤している前面内での甘味料は、さらにより緩慢に放出され、なぜなら、それは基材系と相互作用するからである。従って、かかる甘味料が使用される場合、カプセル化された系を使用する際の有益な効果はない。
【0014】
本発明は、1またはそれより多くの上述の問題に取り組むこと、および/または1つまたはそれより多くの上述の利益を提供しようとしている。
【0015】
本発明の概要
従って、本発明は、食品、飲料、口腔ケアまたは医薬品内で使用するための押出粒子であって、エチルセルロースおよび疎水性の可塑剤を含む担体基材と、該基材全体にわたって分散された−0.5〜1.0のclogPを有する甘味成分とを含む押出粒子を提供する。
【0016】
本発明の目的のために、ClogPは市販のプログラム、米国環境保護局によって提供されるEPI Suite(商標) V3、2000を使用して測定される。
【0017】
他の態様において、本発明は上述の押出粒子を含む食品、飲料、口腔ケアまたは医薬品を提供する。
【0018】
さらなる態様において、本発明は、食品、飲料、口腔ケアまたは医薬品の咀嚼または消費の間の風味の知覚を長引かせるためまたは持続させるための押出粒子の使用を提供する。
【0019】
さらに他の態様において、本発明は、エチルセルロース、疎水性の可塑剤および甘味成分を含む混合物を押し出す段階、およびその押し出された材料を顆粒化して粒子を形成する段階を含む、押出粒子の製造方法を提供する。
【0020】
発明の詳細な説明
本発明は、食品中で使用するための押出粒子、甘味剤のための担体基材を含む押出粒子に関する。
【0021】
基材成分
甘味成分のための基材成分または担体は、エチルセルロースおよび疎水性の可塑剤を含む。より好ましくは、該担体は本質的にエチルセルロースおよび疎水性の可塑剤からなる。
【0022】
該基材がそれらの成分を含むことが特に重要であり、なぜなら、これが甘味成分の所望の放出プロファイルを提供し、従って、より長く持続する望ましい風味または甘味の知覚を可能にするからである。かかる放出プロファイルは、押出において使用される従来の基材、例えば5〜20のDEを有するマルトデキストリンに主に基づくものでは、典型的にはみられない。
【0023】
エチルセルロースは、グルコース主鎖の繰り返しの上の特定の数のヒドロキシル基がエチル基に変換されているセルロースの誘導体である。変換された基の数は、置換度としても示される。
【0024】
本発明の文脈において、グルコース繰り返し単位あたりの置換度は、好ましくは2〜3、より好ましくは2.22〜2.81である。この置換度で、エチルセルロースが非常に安定な基材を提供することが判明した。
【0025】
好ましくは、エチルセルロースの粘度は、ウベローデ粘度計において、25℃で、トルエン80%、エタノール20%に基づく5%溶液として測定して、50mPa.s〜1000mPa.s、より好ましくは75mPa.s〜750mPa.s、最も好ましくは100mPa.s〜500mPa.sである。
【0026】
セルロースエーテル誘導体の分子量は、好ましくは50000〜2000000、より好ましくは75000〜1500000、最も好ましくは100000〜1250000の範囲内である。
【0027】
本発明における使用のために適した市販のエチルセルロースは、例えばKlucel(登録商標)シリーズ(Aqualon−Hercules製)を含む。
【0028】
エチルセルロースを、適合性のある担体と組み合わせて使用してもよい。しかしながら、好ましくは他のセルロース誘導体と組み合わせて使用すべきではない。例えば、ヒドロキシプロピルセルロースは、疎水性の可塑剤、例えばオイルまたはテルペンを用いてすぐに可塑化できず、且つ、本発明の押出製品における使用のために容認できない。
【0029】
エチルセルロースの量は、押出粒子の総質量に対して好ましくは95〜40質量%、より好ましくは80〜40%、最も好ましくは75〜50%である。
【0030】
疎水性の可塑剤
基材のさらに本質的な成分は、エチルセルロースのために効果的な量の可塑剤である。該可塑剤は、それがなければ非常に困難または不可能ですらあり得る押出工程を容易にする。
【0031】
該可塑剤は疎水性である。親水性の可塑剤は、本発明における使用のためには受け容れることができず、なぜなら、それらはエチルセルロース基材を用いた押出工程を容易にせず、且つ所望の柔らかい触感を有する押出粒子をもたらさないからである。
【0032】
疎水性とは、該可塑剤が好ましくは1またはそれより高い、より好ましくは2またはそれより高い、最も好ましくは3またはそれより高いclogPを有することを意味する。
【0033】
好ましくは、該可塑剤は25℃で液体であり、なぜなら、これも、所望の触感が柔らかいかまたは咀嚼可能である場合の食品と適合性のある粒子の形成を可能にするからである。
【0034】
好ましくは、該可塑剤は本質的に無味であり、なぜなら、ステビア成分によって生成される甘味との干渉を避けることが望ましいからである。
【0035】
可塑剤の好ましい種類は、脂肪酸、より好ましくはC12〜C22の炭素鎖長を有する直鎖または分枝鎖の脂肪酸、より好ましくはC14〜C20−脂肪酸、最も好ましくはC16〜C18のものである。意外にも、トリグリセリドは基材を効果的に可塑化せず、従って、本発明の文脈において、好ましくは可塑剤としては除外される。
【0036】
可塑剤の効果的な量はエチルセルロースの分子量に依存する。それにもかかわらず、効果的な量は、押出の当業者によって、慣例の作業を通じて、過度の負担または実験を必要とすることなく、すぐに且つ容易に突き止められる。
【0037】
しかし一例としては、可塑剤対エチルセルロースの質量比が1:48〜1:2であることが好ましい。
【0038】
例えば、可塑剤の量は、押出粒子の総質量に対して好ましくは約2〜20質量%である。
【0039】
甘味成分
本発明による押出粒子はさらに、clogP −0.5〜1.0、より好ましくは−0.5〜0.5、最も好ましくは−0.5〜0.2を有する甘味成分を含む。clogP −0.5未満では、甘味成分 が判明している。
【0040】
適した甘味成分は、典型的にはステビア成分、例えばステビオシドまたはレバウジオシドA、サイクラミン酸ナトリウム、アスパルテーム、スクラロースおよびナトリウムサッカリンの1つまたはそれらの混合物を含む。全ての上述の甘味料は市販である。それらの甘味剤に関して、ステビア成分が最も好ましい。
【0041】
本発明の文脈において、語句「ステビア成分」とは、植物のステビアからなる、それを含む、またはそれに由来する材料を示す。従って、ステビア成分とは、植物のステビア自体、それらの任意の甘い部分、それらの抽出物、ステビア誘導体、例えばステビオールグリコシドおよびそれらの混合物を意味するととらえることができる。
【0042】
ステビアまたはステビアレバウディアナベルトニーは、甘い味がする植物である。その葉は、天然の甘いジテルペングリコシドの複雑な混合物を含有している。ステビオールグリコシド、例えばステビオシドおよびレバウジオシドは、甘さに寄与するステビアの成分である。典型的には、それらの成分はステビオシド(4〜13% 乾燥質量)、ステビオールビオシド(微量)、レバウジオシド類(レバウジオシドA(2〜4%)、レバウジオシドB (微量)、レバウジオシドC(1〜2%)、レバウジオシドD(微量)、およびレバウジオシドE(微量)を含む)、およびズルコシドA(0.4〜0.7%)を含むことが判明している。以下の甘くない成分も、植物のステビアの葉において同定されている: ラブダン、ジテルペン、トリテルペン、ステロール、フラボノイド、揮発油成分、色素、ゴムおよび無機物質。
【0043】
適したステビア誘導体は、高い水準のレバウジオシドA(ステビアの甘さに寄与する主成分)を含有するステビアベースの甘味系を含む。従って、ステビア成分が、ステビア成分の総質量に対して、30質量%より多い、より好ましくは60質量%より多い、さらにより好ましくは85質量%より多い、最も好ましくは90質量%より多い、例えば95質量%より多くのレバウジオシドAを含むステビア誘導体であることが好ましい。
【0044】
他の適したステビア誘導体は、高い水準のステビオシドを含むステビアベースの系を含む。
【0045】
選択的に、適したステビア誘導体は、ステビオシドとレバウジオシドAとの両方を、様々な比で含むことがある。
【0046】
甘味成分は、好ましくは押出粒子の総質量に対して3〜40質量%、より好ましくは5〜20質量%、最も好ましくは10〜15質量%の量で存在する。
【0047】
意外にも、より長く持続する風味または甘味の有益な効果が判明し、なぜなら、特定のカプセル化系は、該系が例えばclogP 1.8を有するネオヘスペリジンジヒドロカルコン、またはclogP −0.6を有するアセスルファムKの甘味剤を含む場合には実現されないからである。特に、チューインガムベースからのそれらの甘味料の放出機構は、有益に変えられないことが判明した。従って、本発明の押出粒子は好ましくは本質的にかかる甘味料を含まない。
【0048】
他の成分、化合物または組成物が、該押出系中に存在できる。例えば、香料、風味剤、風味強化剤、感覚化合物(sensate compound)、栄養成分、着色剤および保存料が、限定されない例として挙げられる。
【0049】
より長く持続する風味の知覚の利益を実現するために、風味剤をカプセル化されることは必須ではない。即ち、該風味を押出粒子とは別に提供でき、且つ、消費者は長引かされたまたは持続した風味の放出の利益をまだ知覚できる。
【0050】
押出粒子は、エチルセルロース、疎水性の可塑剤および甘味成分を含む混合物を押し出す段階、およびその押し出された材料を顆粒化して粒子を形成する段階を含む方法によって形成される。
【0051】
第一の好ましい態様において、該方法は以下の段階:
(i) エチルセルロースと甘味成分との本質的に均質な混合物を調製する段階、該混合物は押出機内で調製されるか、または押出機に添加される前に調製され、その後、そこに添加されるかのいずれかである、
(ii) 効果的な量の疎水性の可塑剤を該押出機内の混合物に導入する段階、
(iii) 混合物が溶融する温度で該混合物を押し出す段階、および
(iv) 押し出された材料を顆粒化して粒子を形成する段階
を含む。
【0052】
第二の好ましい態様において、該方法は以下の段階:
(i) エチルセルロースと、効果的な量の可塑剤との混合物を調製する段階、該混合物は押出機内で調製されるか、または押出機に添加される前に調製され、その後、そこに添加されるかのいずれかである、
(ii) 甘味成分を該押出機内の混合物に導入する段階、
(iii) 混合物が溶融する温度で該混合物を押し出す段階、および
(iv) 押し出された材料を顆粒化して粒子を形成する段階
を含む。
【0053】
この第二の方法の利点は、熱、押出機内に存在する高温に敏感なことがある甘味成分の露出度合いを減少することである。
【0054】
意外にも、カプセルを製造する様々な他の方法は、本発明において使用されるマトリックス成分を用いる使用のために適していない。とりわけ、噴霧乾燥は適合性がなく、なぜならエチルセルロースは、高度に粘性のバイオポリマーであり、それは噴霧乾燥の噴霧化段階のために必要とされる小さな液滴へと容易に崩壊され得ないからである。従って、非常に大量の可塑剤が必要とされることがあり、そしてこれがさらなる困難および複雑化を創り出しかねない。さらには、噴霧乾燥工程における可塑剤としてオレイン酸を使用しようとした場合、それは気化しないことがあり、且つ粉末または顆粒ではなく液体が生じかねない。
【0055】
押出粒子は、好ましくは食品中に組み込まれて、食品の消費または咀嚼の間の風味または甘さの知覚を長引かせる。
【0056】
該食品は、風味または甘さの強度が、延長された時間の間、維持されることが望まれる任意の食品であってよい。例えば、該食品は、数分の間、口内で保持される咀嚼可能な製品であってよい。例は、限定されずに、チューインガム、風船ガム、チューイングスティック、咀嚼錠およびその種のものを含む。本願の文脈において、用語「チューインガム」は、全ての上述の咀嚼可能製品を示す。
【0057】
チューインガム、それらの成分および製造方法はよく知られている。例えば、押出粒子と共に使用するための適したガムベースは、当該技術分野においてよく知られた任意の水溶性のガムベースであってよい。ガムベース中で適したポリマーの例示的な例は、限定されずに、植物由来の物質、例えばチクル、ジェルトン、グタペルカおよびクラウンガム; 合成エラストマー、例えばブタジエン−スチレンコポリマー、イソブチレンイソプレンコポリマー、ポリエチレン、ポリイソブチレンおよびポリ酢酸ビニルおよびその種のものを含む。
【0058】
ガムベースの量は、要因、例えば使用されるベースの種類、所望の軟度、および最終生成物を製造するために使用される他の成分に依存して変化し得る。典型的には、食品の総質量に対して約5質量%〜約45質量%のガムベースが好ましく、より好ましくは15質量%〜30質量%である。
【0059】
チューインガムは、充填剤、例えば炭酸カルシウムおよびタルク; 乳化剤、例えばモノステアリン酸グリセリルおよびレシチン、着色剤、例えば二酸化チタン、および当業者に公知の他の通常のチューインガム添加剤を含む追加的な通常の添加剤を含有してよい。
【0060】
本発明のチューインガム組成物は、即時の、しかし短時間持続の甘さをもたらすために、追加的な他のカプセル化されていない甘味料を必要に応じて含むこともできる。
【0061】
チューインガム中で使用できる風味剤は、植物、葉、花、果物等々に由来する合成の固体風味付け剤および/または液体、およびそれらの組み合わせを含む。スペアミントオイル、ケイ皮油、ウインターグリーン(サリチル酸メチル)オイル、ペパーミントオイル、天然または合成の果物風味剤、例えばレモン、オレンジ、ブドウ、ライムおよびグレープフルーツを含む柑橘類のオイル、リンゴ、イチゴ、サクランボおよびパイナップルを含む果物エキスを含む、代表的な風味着け液を使用できる。
【0062】
用いられる風味付け剤の量は、通常、風味剤の種類、ベースの種類および強度などの要因に対して選択される事柄である。一般に、0.5質量%〜約3質量%の量がチューインガム組成物中で使用され、好ましい量は約0.3%〜約1.5%であり、最も好ましい範囲は0.7〜約1.4%である。
【0063】
カプセル化された甘味成分を、従来のチューインガム組成物に、最終的なチューインガム組成物の約0.2質量%〜約8質量%、より好ましくは約0.5質量%〜約5質量%、最も好ましくは約1質量%〜約3質量%の量で添加できる。
【0064】
該チューインガムは、水溶性の充填剤を含んでもよい。例えば、該充填剤は、デキストロース、マルトース、デキストリン、ラクトース、ガラクトース、ポリデキストロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトールまたはそれらの組み合わせからなってよい。かかる充填剤は、チューインガム組成物全体の約30質量%〜約80質量%にわたる量で存在する。
【0065】
チューインガムは、任意の通常の方法で製造でき、下記は単なる例でしかない。
【0066】
まず、該ベースを約70℃から約120℃へ加熱し、そして、ミキサー内に入れる。着色が望まれる場合、それをこの時点で添加し、次に充填剤、もしあればカプセル化された1種または複数の甘味剤、ガム可塑剤および風味付け剤を添加してよい。チューインガムをミキサーから除去したら、該混合物をローラーにかけるか押し出し、個々の片に切断し、冷却し、その後、公知の方法で包装する。
【0067】
実施例
本発明をここで、以下の実施例を参照して説明する。本実施例は本発明の説明であって、本発明の範囲がそこに限定されるわけではないことを理解すべきである。
【0068】
本発明による試料は数字によって示され、且つ、比較例は文字によって示される。全ての量は、特段記載されない限り質量%である。
【0069】
実施例1
カプセル化された甘味料の調製
以下の成分を示された量(グラム)で含む、カプセル化されたステビア甘味料を調製した。
【0070】
【表1】

(1) ステビア レバウジオシドA含有率97%、Blue California(米国)製
(2) Aqualon/Hercules製
(3) RCA(ドイツ)製
(4) Biodroga(カナダ)製。
【0071】
甘味料成分をエチルセルロース粉末と、均質になるまで混合した。その後、該粉末混合物を820g/時間の速度で押出機(PRISM 16mm、Thermo Electron、ドイツ)内に導入した。同時に、オレイン酸を178g/時間の速度で押出機のバレル内に、サイドポートを介してギアポンプを使用して注入した。スクリューの速度は約350rpmに設定された。少なくとも2つのバレルおよびダイの温度は、それぞれ98℃および95℃に保持された。該ダイプレートの開口直径は1mmであった。
【0072】
溶融押出物がダイを出る際に、それを、ダイフェースに位置するカッターナイフを使用して、約1.5mmの大きさを有する孤立した粒子へと刻む。
【0073】
この甘味系を、「ステビア−実施例1」として示す。
【0074】
実施例2
比較のカプセル化された甘味料−アセスルファムKの調製
実施例1による方法論に従って、カプセル化されたアセスルファムK甘味系を調製したが、ただし、甘味料が120gで存在し、且つオレイン酸が178gで存在した。この系を、「アセスルファムK−実施例2」として示す。
【0075】
実施例3
カプセル化された甘味料−アスパルテームの調製
実施例1による方法論に従って、カプセル化されたアスパルテーム甘味系を調製したが、ただし、甘味料が81.7gで存在し、且つオレイン酸が216.3gで存在した。この系を、「アスパルテーム−実施例3」として示す。
【0076】
実施例4
カプセル化された甘味料−スクラロースの調製
実施例1による方法論に従って、カプセル化されたスクラロース甘味系を調製したが、ただし、スクラロースが99gで存在し、且つオレイン酸が199gで存在した。この系を、「スクラロース−実施例4」として示す。
【0077】
実施例5
カプセル化された甘味料−ナトリウムサッカリンの調製
実施例1による方法論に従って、カプセル化されたナトリウムサッカリン甘味系を調製したが、ただし、ナトリウムサッカリンが120gで存在し、且つオレイン酸が178gで存在した。この系を、「サッカリン−実施例5」として示す。
【0078】
実施例6
比較のカプセル化された甘味料−ネオヘスペリジンジヒドロカルコンの調製
実施例1による方法論に従って、カプセル化されたネオヘスペリジンジヒドロカルコン甘味系を調製したが、ただし、NHDCが50gで存在し、且つオレイン酸が228gで存在した。この系を、「NHDC−実施例6」として示す。
【0079】
特段記載されない限り、実施例内で使用された甘味料は、Sigma−Aldrichから購入された。
【0080】
実施例7
風味付けされたチューインガムの調製
以下の成分を示された量で有する、風味付けされていないチューインガムを調製した。
【0081】
【表2】

(1) Cafosa製。
【0082】
チューインガムベースを製造するために、シグマブレードミキサーを45℃〜50℃に予熱し、そしてポリオールの半分を添加した。該ガムベースを60℃〜65℃に予熱し、そしてミキサーに添加した。約4分間、混合を行った。残留ポリオールおよび湿潤剤を添加し、且つ、混合をさらに4分間継続した。
【0083】
上記の通り調製された風味付けされていないチューインガムをその後、風味付けし、且つ甘味付けして、以下の2つの表に示されるチューインガム組成物を準備した:
【表3】

(1) フィルメニッヒ(ジュネーブ、スイス)製 (参照: 744621 02T)
(2) Flexarome(登録商標)、フィルメニッヒ(スイス)製、参照:LAB2594FBS。押し出された粒子は、実施例1〜3と同一の基材成分を含むが、その中にカプセル化された甘味料を有さない。
【0084】
【表4】

(1) フィルメニッヒ(ジュネーブ、スイス)製 (参照 744621 02T)
(2) Flexarome(登録商標)、フィルメニッヒ(スイス)製、参照:LAB2594FBS。押し出された粒子は、実施例4〜6と同一の基材成分を含むが、その中にカプセル化された甘味料を有さない。
【0085】
各々の試料を調製するために、カプセル化されていない甘味料を、風味付けされていないチューインガム調製物に添加し、そして約2分間混合した。該風味剤をその後、添加し、そして混合を2〜4分間、継続した。最後にカプセル化された甘味料(または空のカプセル)を添加し、そして混合をさらに2分間、継続した。甘味付けられたチューインガムを放出し、薄片にし、そして棒状または板状に切断した。
【0086】
従って、対になった試料(即ち、試料Aは試料1と対になっており、試料Bは試料2と対になっている、等々)は、チューインガム中に等しい配合(iso−loading)の甘味剤を有していた。
【0087】
実施例8
甘味成分で甘味付けられたチューインガムの感覚分析
18人の熟練したパネリストが、各々のチューインガム試料を、風味、甘さの強度について、4つの時間間隔:5、10、20および30分で評価した。試料はブラインドで呈示され、且つ、バランスのとれた呈示順で続けられた。風味の強度および甘さの強度は、各々、0〜10の尺度で評価され、そこで0は風味または甘さがないことを指し、且つ、10は非常に強い風味または甘さを指す。
【0088】
該分析を、各々の対になった試料について、下記に示されるように行った。
【0089】
実施例8a
試料Aおよび1についての風味の強度および甘さの強度の平均得点を、以下の表に示す。
【0090】
【表5】

【0091】
実施例8b
試料Bおよび2についての風味の強度および甘さの強度の平均得点を、以下の表に示す。
【0092】
【表6】

【0093】
実施例8c
試料Cおよび3についての風味の強度および甘さの強度の平均得点を、以下の表に示す。
【0094】
【表7】

【0095】
実施例8d
試料Dおよび4についての風味の強度および甘さの強度の平均得点を、以下の表に示す。
【0096】
【表8】

【0097】
実施例8e
試料Eおよび5についての風味の強度および甘さの強度の平均得点を、以下の表に示す。
【0098】
【表9】

【0099】
実施例8f
試料Fおよび6についての風味の強度および甘さの強度の平均得点を、以下の表に示す。
【0100】
【表10】

【0101】
実施例9
チューインガム試料のLC−MS分析
3人のパネリストに、上記の通り調製された様々なチューインガム試料を与え、且つ、そのガムを60分間咀嚼するように指示した。様々な間隔で、各々のパネリストから唾液の試料を採取し、水中で50倍に希釈し、その後、標準的なLC−MSによって分析して、口中に残留している甘味成分の量を確認した。結果は以下の通りである:
【0102】
実施例9a−スクラロース
【表11】

【0103】
該結果は、カプセル化されていない形態では、スクラロースの量は素早く、ほぼ直ちに減少する一方で、カプセル化された場合、それは初めの5〜10分の間に上昇し、その後、少なくとも20分が経過する間、著しく安定なままであることを実証する。
【0104】
実施例9b−アセスルファムK
【表12】

【0105】
該結果は、アセスルファムKのカプセル化は、カプセル化されていない形態と比較して、甘味料の放出プロファイルにわずかな影響しか有さないことを実証する。
【0106】
実施例9c−アスパルテーム
【表13】

【0107】
該結果は、15分後、アスパルテームのカプセル化されていない形態とカプセル化された形態との間の放出プロファイルにおける差は、40分までの間、驚くべき安定した速度で放出されるカプセル化された形態で著しくなることを実証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品中で使用するための押出粒子であって、エチルセルロースおよび疎水性の可塑剤を含む担体基材と、該基材全体にわたって分散された−0.5〜1.0のclogPを有する甘味成分とを含む押出粒子。
【請求項2】
甘味成分が−0.5〜0.5のclogPを有する、請求項1に記載の押出粒子。
【請求項3】
甘味成分が−0.5〜0.2のclogPを有する、請求項1に記載の押出粒子。
【請求項4】
甘味成分が、ステビア成分、例えばステビオシドまたはレバウジオソドA、ナトリウムシクラメート、アスパルテーム、スクラロースおよびナトリウムサッカリンからなる群、またはそれらの混合物から選択される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の押出粒子。
【請求項5】
エチルセルロースが、押出粒子の総質量に対して95〜40質量%の量で存在する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の押出粒子。
【請求項6】
さらに、可塑剤がC16〜C18−脂肪酸である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の押出粒子。
【請求項7】
疎水性の可塑剤対エチルセルロースの質量比が、1:48〜1:2である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の押出粒子。
【請求項8】
甘味成分が、押出粒子の総質量に対して3〜40質量%の量で存在する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の押出粒子。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の押出粒子を含む食品。
【請求項10】
食品を咀嚼または消費している間の風味の知覚を延長または持続するための、請求項1から8までのいずれか1項に記載の押出粒子の食品中での使用。
【請求項11】
エチルセルロースと、疎水性の可塑剤と、clogP −0.5〜1.0を有する甘味成分とを含む混合物を押し出す段階、およびその押し出された材料を顆粒化して粒子を形成する段階を含む、押出粒子の製造方法。
【請求項12】
以下の段階:
(i) エチルセルロースと、clogP −0.5〜1.0を有する甘味成分との本質的に均質な混合物を調製する段階、該混合物は押出機内で調製されるか、または押出機に添加される前に調製され、その後、そこに添加されるかのいずれかである、
(ii) 可塑化量のオレイン酸を該押出機内の混合物に導入する段階、
(iii) 該混合物が溶融する温度で該混合物を押し出す段階、および
(iv) 押し出された材料を顆粒化して粒子を形成する段階
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
以下の段階:
(i) エチルセルロースと、可塑化量のオレイン酸との混合物を調製する段階、該混合物は押出機内で調製されるか、または押出機に添加される前に調製され、その後、そこに添加されるかのいずれかである、
(ii) clogP −0.5〜1.0を有する甘味成分を該押出機内の混合物に導入する段階、
(iii) 該混合物が溶融する温度で該混合物を押し出す段階、および
(iv) 押し出された材料を顆粒化して粒子を形成する段階
を含む、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2012−529285(P2012−529285A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514576(P2012−514576)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052528
【国際公開番号】WO2010/143126
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(390009287)フイルメニツヒ ソシエテ アノニム (146)
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
【住所又は居所原語表記】1,route des Jeunes, CH−1211 Geneve 8, Switzerland
【Fターム(参考)】