説明

押圧機構およびそれを用いた棚板構造並びに補助テーブル構造

【課題】取り扱いが簡単でかつ安定した高さ調節自在な棚板を提供することにある。
【解決手段】棚板構造11は、枠体51に棚板41を設けるものであり、棚板41となる被支持材40の両端へ押圧機構10を備える(A)。そして、偏心された回転軸を有する偏心部材20,20を回転させて、被支持材40の両端が当接物50たる左右の枠体51,51へ押圧作用を及ぼし、棚板41として固定される(B)。この方法によれば、枠体51の所望する任意の高さのところに、棚板41を簡単に固定させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さ調節自在な棚板や取付自在な補助テーブルなど様々な場面で利用できる押圧機構およびそれを用いた棚板構造並びに補助テーブル構造に関するのである。
【背景技術】
【0002】
一般の家庭では調味料などを棚に収納していることが多い。しかし、調味料の種類・サイズやメーカーなどによって大きさが異なり、たまたま購入した調味料のボトルの高さが少し高く棚の高さが合わないために収納出来ないこともよくある。そこで、棚の高さを調節するが、調節できる高さが決められているために、棚を一段高くした結果今度は調味料を入れている棚の上の棚の高さが合わなくなってしまう。すなわち、一般的に市販されている既製品の多くは棚の高さが決められいて、所望する高さに変更できないのは日常よくある事である。そこで、このような不便を解消するために、棚の高さを自由に設定できる発明が開示されている。
【0003】
図19は、特許文献1に記載された棚装置を示す説明図である。
特許文献1に記載の棚装置は、載せる物品に応じて棚板の高さを自在に調整して使い勝手をよくすることを目的するものである。その構成は、下の台板1に垂直に支柱2を垂直に立設する。上方に水平に配設した上板3を支柱2の上端に固定する。上板3と台板1との間に複数枚の棚板4を配置すると共に各棚板4に設けた挿通孔5に支柱2を挿通して支柱2に対して棚板4を上下動自在にする。上板3と台板1との間にワイヤ6を張ると共にワイヤ6を各棚板4の取り付け孔7に挿通する。ワイヤ6の任意の位置でワイヤ6に固定し得る棚板係止具8をワイヤ6に各棚板4に対応するように設けると共に棚板係止具8を棚板4の取り付け孔7の孔縁に係止するものである。
【0004】
【特許文献1】実開平06−44435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
確かに、特許文献1の方法によれば、載せる物品に応じて棚板の高さを自在に調整することができるかもしれない。しかし、特許文献1には、次のような問題点が考えられる。
(1)棚板4は、ワイヤ6,6によってのみ支持されていることになるので、安定性に欠ける。重量のある物品が棚板に置かれた場合に、棚板4が安定するか疑問である。
(2)棚板4の高さはワイヤ6,6に設けられた棚板係止具8,8によって決まるが、棚板係止具8,8が互いに同じ高さにないと棚板4が傾いてしまう欠点がある。垂下するワイヤ6,6に棚板係止具8,8を同一の高さに固定するのは極めて困難であり、面倒な作業であると思われる。
【0006】
これに対して、本発明者は、上記特許文献1あるいはその他に存在する棚板の高さを自在に調整できる方法と全く異なる新規な手法で、高さ調節自在な棚板や取付自在な補助テーブルなど様々な場面で利用できる押圧機構を発明した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の発明から第11の発明までは、押圧機構に関するものである。
すなわち、第1の発明は、偏心された回転軸を有する偏心部材と、回転軸を軸支させた支持部材とを備え、回転した偏心部材が当接する当接物に対して押圧作用を及ぼすことを特徴とするものである。
第2の発明は、偏心された回転軸を有する偏心部材と、回転軸を軸支させた被支持材とを備え、回転した偏心部材が当接する当接物に対して押圧作用を及ぼすことを特徴とするものである。
第3の発明は、偏心部材が、当接物と当接する当接部位を平面としたことを特徴とするものである。
第4の発明は、支持部材又は被支持材が、当接物に対して最大の押圧作用を及ぼす回転角度を超えて回転する回転角度までに偏心部材の回転範囲を規制することを特徴とするものである。
第5の発明は、支持部材又は被支持材が、基部両端から垂下する側部に形成された軸孔によって偏心部材の回転軸を軸支することを特徴とするものであり、第6の発明は、その軸孔を上下方向へ伸びる長孔としたことを特徴とするものである。
第7の発明は、支持部材が、基部に形成された取付孔によって被支持材を取り付けることを特徴とするものであり、第8の発明は、その取付孔を回転軸と垂直に交わる方向へ伸びる長孔としたことを特徴とするものである。
第9の発明は、支持部材又は被支持材へ取り付けるL字形のアーム部材を備え、折曲した折曲片を偏心部材と相対させ、偏心部材が当接物に及ぼす押圧作用を受け止めることを特徴とするものである。
第10の発明は、偏心部材と折曲片との間に当接物の形状に噛み合う当て嵌め部材を備えたことを特徴とするものである。
第11の発明は、偏心部材へその両端部を回転軸方向に取り付ける紐部材を備え、回転する偏心部材に巻き付く紐部材によって、偏心部材と紐部材とに挟まれた当接物へ押圧作用を及ぼすことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の第12の発明は、棚板構造に関するものであり、第13の発明は、補助テーブルに関するものである。
すなわち、第12の発明は、枠体に棚板を設けるために、棚板となる被支持材の両端へ請求項1から11のいずれかに記載の押圧機構を備え、被支持材の両端が当接物たる左右の枠体へ押圧作用を及ぼして棚板として固定されることを特徴とするものである。
第13の発明は、補助対象物に補助テーブルを設けるために、補助テーブルとなる被支持材の一端に請求項1から11のいずれかに記載の押圧機構を備え、被支持体の一端が当接物たる補助対象物へ押圧作用を及ぼして補助テーブルとして固定されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)偏心部材に偏心された回転軸を有することで、その偏心部材を回転させるだけで、偏心部材が当接する当接物に対して簡単に押圧作用を及ぼすことができる。
(2)当接物と当接する偏心部材の当接部位を平面としたことで、偏心部材と当接物との当接がより確実になり、当接物に対する偏心部材の押圧作用が安定する。
(3)支持部材又は被支持材が、当接物に対して最大の押圧作用を及ぼす回転角度を超えて回転する回転角度までに偏心部材の回転範囲を規制することで、偏心部材が当接物に対して最大の押圧作用を及ぼす回転角度を超えて回転する回転角度のところで係止されて、偏心部材をロックされた状態にできる。
(4)支持部材又は被支持材の側部に形成された軸孔を上下方向へ伸びる長孔としたことで、偏心部材の回転角度を自在に調節できる。すなわち、偏心部材を軸孔の上方で軸支することで、偏心部材が基部に接触しやすくなり偏心部材の回転角度を小さくし、軸孔の下方で軸支することで、偏心部材が基部に接触しにくくなり偏心部材の回転角度を大きくする。
(5)支持部材の基部に形成された取付孔を回転軸と垂直に交わる方向へ伸びる長孔としたことで、偏心部材の当接物に対する押圧作用を自在に調節できる。すなわち、支持部材を被支持材へ当接物寄りに取り付けることで、偏心部材が当接物に接近し偏心部材の押圧作用を大きくし、当接物から隔てて取り付けることで、偏心部材が当接物から遠のき偏心部材の押圧作用を小さくする。
(6)L字形のアーム部材の折曲片を偏心部材と相対させ、偏心部材が当接物に及ぼす押圧作用を受け止めることで、偏心部材と当接物の当接が強固なものとなる。従って、1の押圧機構のみで被支持材を当接物に固定できるようになる。
(7)回転する偏心部材に巻き付く紐部材によって、偏心部材と紐部材とに挟まれた当接物へ押圧作用を及ぼすことで、偏心部材及び紐部材と当接物の当接が強固なものとなる。従って、1の押圧機構のみで被支持材を当接物に固定できるようになる。
(8)枠体に棚板を設けるために、棚板となる被支持材の両端に押圧機構を備え、被支持材の両端が当接物たる左右の枠体へ押圧作用を及ぼして棚板として固定されることで、所望する高さの位置に棚板を調節することが可能となる。
(9)補助対象物に補助テーブルを設けるために、補助テーブルとなる被支持材の一端に押圧機構を備え、被支持体の一端が当接物たる補助対象物へ押圧作用を及ぼして補助テーブルとして固定されることで、所望する場所・部分等に補助テーブルを設けることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の押圧機構の構造を示す説明用断面図である。押圧機構10は、偏心された回転軸21を有する偏心部材20と、回転軸21を軸支させた支持部材30とを備える。符号40は、支持部材30に取り付けられた被支持材であり、符号50は、偏心部材20の当接する当接物である。
【0011】
偏心部材20は、偏心された回転軸21を有するため、回転軸が円心にある場合と比較して偏心部材20の描く円弧が大きくなる。この現象を利用して、偏心部材20を当接物50に当接させて、当接物50に対して押圧作用を及ぼすようにしたものである。図1(A)に示す偏心部材20は当接物50に対して押圧作用を及ぼすものではないが、右回り90度に回転させた図1(B)に示す偏心部材20は当接物50に対して押圧作用を及ぼすようになる。ここで、偏心部材20は当接物50に対して及ぼす押圧作用の大きさは、回転軸21の偏心位置によっても調節できる。すなわち、回転軸21が円心から離れて外周寄りにあればあるほど偏心部材20の描く円弧が大きくなるから、その分当接物50に対して及ぼす押圧作用も大きくなる。
【0012】
図2は、本発明の押圧機構10の構造を示すその他の説明用断面図である。図2に示す偏心部材20の特徴は、偏心部材20が当接物50と当接する当接部位22を平面としたことである。当接物50と当接する偏心部材20の当接部位22を平面としたことで、偏心部材20と当接物50との当接がより確実になり、当接物50に対する偏心部材20の押圧作用が安定する。
【0013】
図3も、本発明の押圧機構10の構造を示すその他の説明用断面図である。図3に示す偏心部材20の特徴は、支持部材30が、当接物50に対して最大の押圧作用を及ぼす回転角度(右回り90度)を超えて回転する回転角度(例えば、右回り100度〜110度)で偏心部材20と接触し、偏心部材20の回転範囲を規制するものである。
【0014】
図3(B)に示すように、偏心部材20が当接物50に対して最大の押圧作用を及ぼす回転角度(右回り90度)を超えて回転する回転角度(例えば、右回り100度〜110度)のところで係止される。偏心部材20はいったん最大の押圧作用を及ぼす回転角度(右回り90度)を超えているので、逆回転して図3(A)に示す元の位置には戻らない。従って、偏心部材20をロックされた状態にでき、当接物50に対する押圧作用を保持できる。
【0015】
図4は、支持部材30を示す説明用斜視図である。支持部材30は、基部31両端から垂下する側部32,32に形成された軸孔33,33によって偏心部材20の回転軸21を軸支する。その軸孔33は、図示するように上下方向へ伸びる長孔とするとよい。軸孔33を長孔とすることで、偏心部材20の回転角度を自在に調節できるからである。すなわち、偏心部材20を軸孔33の上方で軸支することで、偏心部材20が基部31に接触しやすくなり偏心部材20の回転角度を小さくし、軸孔33の下方で軸支することで、偏心部材20が基部31に接触しにくくなり偏心部材20の回転角度を大きくする。
【0016】
また、支持部材30は、基部31に形成された取付孔34,34,…によって被支持材40を取り付ける。その取付孔34も、図示するように回転軸21と垂直に交わる方向へ伸びる長孔とするとよい。取付孔34を長孔とすることで、偏心部材20の当接物50に対する押圧作用を自在に調節できるからである。すなわち、支持部材30を被支持材40へ当接物50寄りに取り付けることで、偏心部材20が当接物50に接近し偏心部材20の押圧作用を大きくし、当接物50から隔てて取り付けることで、偏心部材20が当接物50から遠のき偏心部材20の押圧作用を小さくする。
【0017】
図5は、本発明の押圧機構10のその他の構造を示す説明用斜視図である。図5に示す押圧機構10の特徴は、支持部材30へ取り付けるL字形のアーム部材45を備えることである。アーム部材45は、支持部材30の基部31又は側部32,32に取り付けられ、折曲した折曲片46を偏心部材20と相対させる。
【0018】
この折曲片46を偏心部材20と相対させ、偏心部材20が当接物(図示省略)に及ぼす押圧作用を受け止めることで、偏心部材20と当接物(図示省略)の当接が強固なものとなる。従って、後記するように1の押圧機構10のみで被支持材(図示省略)を当接物(図示省略)に固定できるようになる。なお、折曲片46と偏心部材20との間の長さによって、当接物(図示省略)に対する押圧作用を調節できる。すなわち、折曲片46と偏心部材20との間の長さを短くすると押圧作用を大きくでき、長くすると押圧作用を小さくできる。
【0019】
なお、図18は、アーム部材70に対する支持部材60の位置決め構造を示した一例である。アームガイド61,61を備えてアーム部材70にスライドな支持部材60は、アームガイド61の一部またはその近傍に形成された掘込部分62にねじりコイルばね63を有する。また、アームガイド61,61間には、ボルトとナットで締結されたかんぬき部分65がアーム部材70に取り付けられており、ボルトとナットを弛めてアーム部材70にスライド可能になっている。そして、支持部材60にあるねじりコイルばね65が、かんぬき部分65に当接し、ばねの付勢によってかんぬき部分65が傾斜してアーム部材70に固定されるとともに(かんぬき作動時)、ばねの付勢を無くすと傾斜したかんぬき部分65が元に戻りアーム部材70への固定が解除されるものである(かんぬき開放時)。
【0020】
図6〜図8も、本発明の押圧機構10のその他の構造を示す説明用斜視図である。図6〜図8に示す押圧機構10の特徴は、回転する偏心部材20に巻き付く紐部材25を備えることである。図6に示すように、紐部材25は、偏心部材20へその両端部を回転軸21方向に取り付けている。そして、偏心部材20の回転に伴い偏心部材20に巻き付く紐部材25によって、偏心部材20と紐部材25とに挟まれた当接物50へ押圧作用を及ぼし、偏心部材20及び紐部材25と当接物50との当接が強固なものとなる。従って、図5の場合と同様に、1の押圧機構のみで被支持材を当接物に固定できるようになる。なお、偏心部材20に紐部材25用の巻付溝27を形成すると、偏心部材20を回転させたときの紐部材25の巻き付けが確実になる。
【0021】
図7(A)に示すように、偏心部材20を回転させると偏心部材20自身が当接物50に対して押圧作用を及ぼすとともに、偏心部材20に巻き付く紐部材25も当接物50に対して押圧作用を及ぼすことになる。
また、図7(B)に示すように、偏心部材20を逆回転させると偏心部材20の当接物50に対する押圧作用がなくなり、偏心部材20から解かれる紐部材25も当接物50に対する押圧作用がなくなり、偏心部材20及び紐部材25と当接物50との当接が解消される。
従って、図7(A)および図7(B)の動作を交互に行うことで、被支持材を当接物50へ着脱自在にできる。
【0022】
図8に示す押圧機構10は、紐部材25に受け材26を設けたものである。この受け材26が、紐部材25と当接物50との当接に際して緩衝材的な役割を果たし、当接物50に傷(紐痕)を付けずに偏心部材20及び紐部材25と当接物50との強固な当接を実現できる。
【0023】
図9は、本発明の棚板構造を示す説明用断面図である。棚板構造11は、枠体51に棚板41を設けるものであり、棚板41となる被支持材40の両端へ押圧機構10を備える(図9(A))。そして、偏心部材20,20を回転させて、被支持材40の両端が当接物50たる左右の枠体51,51へ押圧作用を及ぼし、棚板41として固定されるものである(図9(B))。
【0024】
この方法によれば、枠体51の所望する任意の高さのところに、棚板41を簡単に固定させることができる。また、上記特許文献1のように、最初に棚板係止具8,8を位置決めしその後に棚板4を取り付けることにすると、どうしても棚板4が傾いてしまうおそれがある。しかし、予め押圧機構10と棚板41とが一体化されているので、一方の押圧機構10の位置が決まれば、他方の押圧機構10の位置が自然と決まるので、棚板41を傾いた状態で固定することがなくなる。
【0025】
図10は、本発明の棚板構造を示す説明用一部拡大図である。図10に示す3段目の棚板41aは、図9に示す棚板構造11によって固定されている。また、図10に示す1段目の棚板41bは、図5に示すアーム部材45を備えた押圧機構10を用いた棚板構造11となっている。棚板41bは、アーム部材45を備えることで、偏心部材20と枠体51の当接が強固なものとなり、3段目の棚板41aよりも確実に固定される。
【0026】
図11〜図14は、本発明の補助テーブル構造を示す説明図である。ここでは、押圧機構10として図5に示すアーム部材45を備えた押圧機構10を用いた補助テーブル構造を紹介するが、これらの実施例に限定されるものではなく、また、場合によっては図6に示す紐部材25を備えた押圧機構10を用いてもよい。
【0027】
図11は、食卓や会議テーブルなどの補助対象物52aに補助テーブル42aを取り付ける例(水平延長タイプ)を示している。すなわち、アーム部材45を支持部材30の基部31に取り付けるとともに、アーム部材45の折曲片46に補助テーブル42aとなる被支持材40を取り付けることで、押圧機構10によって補助テーブル42aを補助対象物52aに固定できる。
【0028】
図12は、流し台や船のへりなどの補助対象物52bに補助テーブル42bを取り付ける例(立上延長タイプ)を示している。すなわち、アーム部材45と補助テーブル42bをともに支持部材30の基部31に取り付けることで、押圧機構10によって補助テーブル42bを補助対象物52bに固定できる。
【0029】
図13は、角柱,壁端(衝立),建具,戸棚堅枠などの補助対象物52cに補助テーブル42cを取り付ける例(直角延長タイプ)を示している。すなわち、支持部材30の基部31にテーブル用受け材43を取り付け、その上に補助テーブル42cを取り付ける。また、そのテーブル用受け材43の側面にアーム部材45を取り付ける。このような押圧機構10によって補助テーブル42cを補助対象物52cに固定できる。なお、アーム部材45の折曲片46にアーム用受け材47を設けることで、アーム部材45による補助対象物52cへの傷を防止できる。
【0030】
図14は、円柱や多角柱などの補助対象物52dに補助テーブル42dを取り付ける例(直角延長タイプ)を示している。すなわち、支持部材30の基部31にテーブル用受け材43を取り付け、その上に補助テーブル42dを取り付ける。また、アーム部材45は側部32に取り付けられているが、偏心部材20と折曲片46との間に補助対象物52dの形状(円形)に噛み合う当て嵌め部材48を備えた。このような押圧機構10によって補助テーブル42dを補助対象物52dに確実に固定できる。なお、円柱や多角柱などの補助対象物52dに対しては、図6に示す紐部材25を備えた押圧機構10を用いてもよい。
【0031】
図15は、偏心部材20に回転棒23を備えた説明用斜視図である。偏心部材20の回転には押圧がかかるが、偏心部材20に回転棒23を突き刺すことで、この回転棒23を用いれば偏心部材20の回転が極めて容易となる。
【0032】
図16は、偏心部材20のその他の実施例を示した説明図である。これまで図示した偏心部材20は円柱状のものであったが、これに限らず、例えば多角形状のもの(20a),凹凸状のもの(20b),鋸歯状のもの(20c)など種々のものが考えられる。
【0033】
図17は、本発明の押圧機構のその他の実施例を示す説明用斜視図である。図17に示す押圧機構10bは、棚板となる被支持材40bが支持部材を兼ねる構造となっている。すなわち、被支持材40bの端部内側寄りに偏心部材20を収納可能な切欠部44を形成する。そして、被支持材40bの表面を基部31b、端部両外側に切り欠かれずに残った部分を側部32b,32bとして、側部32b,32bに形成された軸孔33b,33bによって偏心部材20を軸支する。このような押圧機構10bによれば、枠体に被支持材40bを棚板として固定した場合に、押圧機構10bが外観上に現れずデザイン的にすっきりしたものになる上、押圧機構10bが棚板に載置する載置物の妨げにならない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、高さ調節自在な棚板や取付自在な補助テーブルなど様々な場面で利用できる押圧機構である。この押圧機構を用いたものとしては棚板構造や補助テーブル構造があるが、棚板構造としては、戸棚,食器棚,書棚などに利用できる。また、補助テーブル構造としては、例1として、食卓や会議テーブルの端部分に取り付ける補助テーブルに、例2として、流し台やコンロ台の傍らに取り付けて天ぷら等の作業を容易かつ安全にして作業効率を上げる補助テーブルに、例3として、釣り船のヘリに釣具受台として取り付けて釣具の固定と安全を保持する補助テーブルに、例4として、自動車整備工場等に取り付けて必要な各種工具を手の届く範囲に置ける補助テーブル(金属製)など日用品・レジャー用品・工場・建設現場等に幅広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の押圧機構の構造を示す説明用断面図。
【図2】本発明の押圧機構の構造を示すその他の説明用断面図。
【図3】本発明の押圧機構の構造を示すその他の説明用断面図。
【図4】支持部材を示す説明用斜視図。
【図5】本発明の押圧機構のその他の構造を示す説明用斜視図。
【図6】本発明の押圧機構のその他の構造を示す説明用斜視図。
【図7】本発明の押圧機構のその他の構造を示す説明用斜視図。
【図8】本発明の押圧機構のその他の構造を示す説明用斜視図。
【図9】本発明の棚板構造を示す説明用断面図。
【図10】本発明の棚板構造を示す説明用一部拡大図。
【図11】本発明の補助テーブル構造を示す説明図。
【図12】本発明の補助テーブル構造を示す説明図。
【図13】本発明の補助テーブル構造を示す説明図。
【図14】本発明の補助テーブル構造を示す説明図。
【図15】偏心部材に回転棒を備えた説明用斜視図。
【図16】偏心部材のその他の実施例を示した説明図。
【図17】本発明の押圧機構のその他の構造を示す説明用斜視図。
【図18】アーム部材に対する支持部材の位置決め構造を示した一例。
【図19】特許文献1に記載された棚装置を示す説明図。
【符号の説明】
【0036】
10 押圧機構 11 棚板構造
20 偏心部材 21 回転軸 22 当接部位 23 回転棒
25 紐部材 26 受け材 27 巻付溝
30 支持部材 31 基部 32 側部 33 軸孔 34 取付孔
40 被支持材 41 棚板 42 補助テーブル 43 テーブル用受け材
45 アーム部材 46 折曲片 47 アーム用受け材 48 当て嵌め部材
50 当接物 51 枠体 52 補助対象物
60 支持部材 61 アームガイド 62 掘込部分
63 ねじりコイルばね 65 かんぬき部分 70 アーム部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏心された回転軸を有する偏心部材と、
回転軸を軸支させた支持部材とを備え、
回転した偏心部材が当接する当接物に対して押圧作用を及ぼす押圧機構。
【請求項2】
偏心された回転軸を有する偏心部材と、
回転軸を軸支させた被支持材とを備え、
回転した偏心部材が当接する当接物に対して押圧作用を及ぼす押圧機構。
【請求項3】
偏心部材が、当接物と当接する当接部位を平面とした請求項1又は2記載の押圧機構。
【請求項4】
支持部材又は被支持材が、当接物に対して最大の押圧作用を及ぼす回転角度を超えて回転する回転角度までに偏心部材の回転範囲を規制する請求項1から3のいずれかに記載の押圧機構。
【請求項5】
支持部材又は被支持材が、基部両端から垂下する側部に形成された軸孔によって偏心部材の回転軸を軸支する請求項1から4のいずれかに記載の押圧機構。
【請求項6】
軸孔を上下方向へ伸びる長孔とした請求項5記載の押圧機構。
【請求項7】
支持部材が、基部に形成された取付孔によって被支持材を取り付ける請求項5又は6記載の押圧機構。
【請求項8】
取付孔を回転軸と垂直に交わる方向へ伸びる長孔とした請求項7記載の押圧機構。
【請求項9】
支持部材又は被支持材へ取り付けるL字形のアーム部材を備え、
折曲した折曲片を偏心部材と相対させ、偏心部材が当接物に及ぼす押圧作用を受け止める請求項1から8のいずれかに記載の押圧機構。
【請求項10】
偏心部材と折曲片との間に当接物の形状に噛み合う当て嵌め部材を備えた請求項9記載の押圧機構。
【請求項11】
偏心部材へその両端部を回転軸方向に取り付ける紐部材を備え、
回転する偏心部材に巻き付く紐部材によって、偏心部材と紐部材とに挟まれた当接物へ押圧作用を及ぼす請求項1から8のいずれかに記載の押圧機構。
【請求項12】
枠体に棚板を設けるために、棚板となる被支持材の両端へ請求項1から11のいずれかに記載の押圧機構を備え、被支持材の両端が当接物たる左右の枠体へ押圧作用を及ぼして棚板として固定される棚板構造。
【請求項13】
補助対象物に補助テーブルを設けるために、補助テーブルとなる被支持材の一端に請求項1から11のいずれかに記載の押圧機構を備え、被支持体の一端が当接物たる補助対象物へ押圧作用を及ぼして補助テーブルとして固定される補助テーブル構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−69912(P2008−69912A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250845(P2006−250845)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(503181381)
【Fターム(参考)】