説明

拡張期機能不全に対するページング・システム

ペーシング・パルスが、拡張期機能不全および/または心臓疾患を有する患者の拡張期性能を改善するために、1つまたは複数の心臓領域に送出される。心臓ペーシング・システムが、拡張期性能を表すパラメータを入力として使用して、ペーシング・アルゴリズムを実行する。ペーシング・パルスは、拡張期中に心室壁に対する負荷を再分配するために、1つまたは複数の心臓領域を刺激し、それにより、拡張期機能不全に関連する心臓壁運動異常同期の程度を低下させることによって、拡張期性能を改善する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
(関連出願の相互引用)
本出願は、同時継続の一般的に譲渡された米国特許出願10/038936、「METHOD AND APPARATUS FOR MEASURING LEFT VENTRICULAR PRESSURE」、2002年1月4日出願、米国出願10/314910、「METHOD AND APPARATUS FOR OPTIMIZING VENTRICULAR SYNCHRONY DURING DDD RESYNCHRONIZATION THERAPY USING ADJUSTABLE ATRIO−VENTRICULAR DELAYS」、2002年12月9日出願、米国特許出願10/314899、「METHOD AND APPARATUS FOR OPTIMIZING STROKE VOLUME DURING DDD RESYNCHRONIZATION THERAPY USING ADJUSTABLE ATRIO−VENTRICULAR DELAYS」、2002年12月9日出願、および米国特許出願10/402324、「METHOD AND APPARATUS FOR QUATIFICATION OF CARDIAC WALL MOTION ASYNCHRONY」、2003年3月28日出願に関係する。これらはすべてカーディアック・ペースメーカーズ・インク(Cardiac Pacemakers,Inc.)に譲渡され、参照によって本明細書に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本文献は、一般的には心臓リズム管理に関し、具体的にであって限定としてではなく、拡張期性能を改善するためのペーシング・システムに関する。
【背景技術】
【0003】
心臓は、人の循環システムの中心である。これは、2つの主要なポンピング機能を実施する電気機械システムを含む。心臓は、右心房(RA)、右心室(RV)、左心房(LA)、左心室(LV)の4つの室を含む。LAとLVを含む心臓の左部分は、肺から酸素を含んだ血液を引き出し、代謝に必要な酸素を臓器に提供するために、その酸素を含んだ血液を身体の臓器にポンピングする。RAとRVを含む心臓の右部分は、身体臓器から酸素が除かれた血液を引き出し、その酸素が除かれた血液を血液に酸素を含ませる肺にポンピングする。心臓は、これらの機械的ポンピング機能を周期的に実施する。各周期は、心周期として知られ、収縮期と拡張期を含む。収縮期は、心周期の駆出期であり、その間、心室は血液を駆出する。拡張期は心周期の弛緩期である。拡張期の主な機能は、次の駆出期(収縮期)のために心室を血液で充填し、心筋組織の潅流を可能にすることである。LVの充填は、迅速(能動)充填期を含み、これに緩慢(受動)充填期が続く。迅速充填期中、LVの壁は、血液の駆出後、弛緩状態にはね戻り、それにより、血液をLAからLVに引き出す。緩慢充填期中、血液は、LAとLVとの間の圧力勾配によって、依然としてLVに引き出される。
【0004】
通常の心臓では、心臓の自然のペースメーカである洞房結節は、活動電位と呼ばれる電気信号を生成し、この信号は、心臓の様々な領域の心筋組織を刺激するために、導電システムを経てこれらの領域に伝播する。通常の導電システムにおける活動電位の伝播の調整遅延により、心臓の様々な部分が同期して収縮し、効率的なポンピング機能となる。遮断された、またはそうでない場合は異常な導電および/または劣化した心筋組織により、心臓の異常同期収縮と弛緩が生じ、心臓と身体の残りへの血液供給の減少を含めて、血行力学的性能は不十分になる。異常導電および/または劣化心筋により、心筋が連動して収縮しないので収縮期機能不全となり、また、筋細胞が連動して弛緩しないので拡張期機能不全となる。拡張期障害と収縮期障害の相対度は、病気の様々な状態中に変化する。収縮期と拡張期の性能の低下は、それぞれ、全体的な血行力学的性能に寄与する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらおよび他の理由のために、拡張期機能不全について有効な治療を提供することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ペーシング・パルスが、拡張期機能不全および/または心臓疾患を有する患者の拡張期性能を改善するために、1つまたは複数の心臓領域に送出される。心臓ペーシング・システムが、拡張期性能を表すパラメータを入力として使用してペーシング・アルゴリズムを実行する。ペーシング・パルスは、拡張期中に心室壁に対する負荷を再分配するために、1つまたは複数の心臓領域を刺激し、それにより、拡張期機能不全に関連する心臓壁運動異常同期の程度を低下させることによって拡張期性能を改善する。
【0007】
一実施態様では、心臓ペーシング・システムが、感知回路、ペーシング回路、拡張期性能センサ、信号プロセッサ、ペーシング制御装置を含む。感知回路は1つまたは複数の心臓信号を感知する。ペーシング回路はペーシング・パルスを送出する。拡張期性能センサは拡張期機能を表す信号を感知する。信号プロセッサは拡張期機能を表す信号を受信して処理し、拡張期機能を表す信号に基づいて拡張期性能パラメータを生成する拡張期性能パラメータ生成装置を含む。ペーシング制御装置は、拡張期性能パラメータを受信し、1つまたは複数の心臓信号と拡張期性能パラメータに基づいてペーシング・パルスの送出を制御する。
【0008】
一実施態様では、心臓リズム管理システムが、埋込み可能ペースメーカと1つまたは複数の埋込み可能心臓内リードを含む。埋込み可能ペースメーカは、感知回路、ペーシング回路、拡張期性能センサ、ページング・アルゴリズム実行モジュールを含む。感知回路は1つまたは複数の心臓信号を感知する。ペーシング回路はペーシング・パルスを送る。拡張期性能センサは拡張期機能を表す信号を感知する。ペーシング・アルゴリズム実行モジュールは、所定のペーシング・アルゴリズム、1つまたは複数の心臓信号、拡張期機能を表す信号に基づいて、ペーシング・パルスの送出を制御する。1つまたは複数の埋込み可能心臓内リードは、埋込み可能ペースメーカと心臓との間の電気接続を提供する。
【0009】
一実施態様では、拡張期性能を改善する方法が心臓ペーシングを使用する。1つまたは複数の心臓信号と拡張期機能を表す信号が感知される。拡張期性能パラメータが、拡張期機能を表す信号から導出される。所定の心臓ペーシング・アルゴリズムが、少なくとも拡張期性能パラメータを入力として使用して実行される。ペーシング・アルゴリズムによれば、ペーシング・パルスが心臓に送出される。
【0010】
一実施態様では、拡張期性能を改善するために、心臓ペーシングが決定されて、送出される。拡張期性能の尺度を改善するために、ペーシング・パルスを送出する効果が予測される。効果が予測された後、ペーシング・パルスは、拡張期性能を改善するために、1つまたは複数の心臓領域に送出される。
【0011】
この概要は、本出願の教示のいくつかの概述であり、本主題の排他的または網羅的な扱いを意図していない。本主題に関するさらなる詳細が、詳細な記述および添付の請求項において見られる。本発明の他の態様が、以下の詳細な記述を理解して、その一部を形成し、それぞれが限定的な意味で取られるべきではない図面を見る際に、当業者には明らかになるであろう。本発明の範囲は、添付の請求項およびその等価物によって確定される。
【0012】
図面は、必ずしも縮尺を調整されて描かれていないが、例としてであって限定としてではなく、本文献において議論される様々な実施形態を一般的に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下の詳細な記述では、その一部を形成し、本発明が実行されることが可能である特定の実施形態を示すことによって示される添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実行することを可能にするように十分詳細に記述され、実施形態は、組み合わされることが可能であり、または、他の実施形態が使用されることが可能であり、構造的、論理的、電気的変更が、本発明の精神と範囲から逸脱せずに行われることが可能であることを理解されたい。以下の詳細な記述は、例を提供し、本発明の範囲は、添付の請求項およびその等価物によって確定される。
【0014】
本開示の「1つ」、「1」、または「様々な」実施形態という言及は、必ずしも同じ実施形態に対してではなく、そのような言及は、2つ以上の実施形態を考慮することに留意されたい。
【0015】
本文献は、とりわけ、拡張期機能不全および/または心臓疾患に苦しむ患者の拡張期性能を改善する心臓ペーシングの方法と装置を議論する。そのような患者は、一般に、50%を超える駆出率、著しい僧帽弁逆流の欠如、心臓の弛緩の問題の結果である心臓疾患の症状を有する。
【0016】
遅延電気作動による左心室(LV)機械的異常同期(非同期とも呼ばれる)が、LV収縮期機能に影響を与えることが示されている。心臓再同期治療(CRT)が、心室が同期して収縮することにより、収縮期中に血液がより効率的に駆出されるように、側心室壁の1つまたは複数の領域にペーシング・パルスを送出することによって血行力学性能を改善する。研究は、拡張期機能不全を有するほとんどの患者が、隔壁に対する負荷が異常に重い著しいLV異常同期をも有することを示している。したがって、これらの患者の治療は、隔壁を事前刺激するためにペーシング・パルスを送出し、それにより、隔壁に対する負荷を低減し、LV壁にわたる負荷のより一様な分配を提供することを含む。より一般的には、ペーシング・パルスは、拡張期中にLVの機械的同期を回復するために、1つまたは複数の負荷が最も重い心臓領域、すなわち血液の収縮または駆出に最も寄与する領域に送出される。
【0017】
図1Aは、拡張期性能を改善するための心臓ペーシング・システム100の一実施形態とシステム100が使用される環境の一部を示す概略的/ブロック図である。一実施形態では、心臓ペーシング・システム100は、リード110A〜B、感知回路112、ペーシング回路114、拡張期性能センサ116、信号プロセッサ130、ページング制御装置120を含む。
【0018】
リード110A〜Bは、心臓内ペーシング・リードであり、それぞれ、心臓101内の所定の領域からエレクトログラムを感知して、心臓101内の所定の領域にペーシング・パルスをその領域に送出するための1つまたは複数の電極を含む。リード110A〜Bは、感知回路112と心臓101との間、ページング回路114と心臓101との間の電気接続を提供する。一実施形態では、拡張期性能センサ116も、心臓内配置のためにリード110A〜Bの1つに組み込まれる。図1に示される実施形態では、リード110Aは、心臓101のRAに配置される1つまたは複数の電極を有する心房ペーシング・リードであり、リード110Bは、心臓101の隔壁の上に固定可能な少なくとも1つの電極を有する経隔壁ペーシング・リードである。ペーシングによってLV隔壁を刺激するためにRVを経て隔壁へアクセスする経隔壁ペーシング・リードの一例が、米国特許第5728140号、「METHOD FOR EVOKING CAPTURE OF LEFT VENTRICLE USING TRANSEPTAL PACING LEAD」において議論されている。これは、カーディアック・ペースメーカ・インクに譲渡され、参照によって本明細書に完全に組み込まれている。他の実施形態では、心臓ペーシング・システム100は、追加の隔壁領域を含むRVおよび/またはLV内の領域など、追加の心臓内領域へアクセスするために、リード110A〜Bの他に、1つまたは複数のペーシング・リードを含む。
【0019】
図1Aに示される実施形態では、感知回路112は、リード110A〜BによりRAと隔壁のエレクトログラムを感知し、ペーシング回路114は、リード110Bを経てペーシング・パルスを少なくとも隔壁に送出する。一実施形態では、ペーシング回路114は、リード110A〜Bを経てペーシング・パルスをRAと隔壁に送出する。追加のリードが含まれる他の実施形態では、感知回路112は、追加のエレクトログラムを感知し、必要なとき、ペーシング回路114は、追加のリードを経てペーシング・パルスを追加の部位に送出する。
【0020】
ペーシング制御装置120は、エレクトログラムと拡張期性能パラメータを入力として使用して、ペーシング・パルスを送出すべきか、どこに送出するか、いつ送出するかを制御する。拡張期性能センサ116は、拡張期機能を表す信号を感知する。信号プロセッサ130は信号を処理する。一実施形態では、信号プロセッサ130は、拡張期機能を表す信号に基づいて拡張期性能パラメータを生成するために、拡張期性能パラメータ生成装置132を含む。
【0021】
一実施形態では、拡張期性能センサ116は、LV圧力を表す信号を感知するために、圧力センサを含む。1つの特定の実施形態では、拡張期性能センサ116は、LV圧力を直接感知するために、LVに配置される。他の実施形態では、拡張期性能センサ116は、LV圧力との既知の関係または予測可能な関係を有する他の圧力を感知することによって、LV圧力を間接的に感知する。心周期のすべてまたは一部の間、LV圧力と既知の関係または予測可能な関係を有する圧力の例には、LA圧力と冠状静脈圧力がある。冠状静脈圧力センサを使用してLV圧力を測定する1つの具体的な例が、米国特許出願10/038936、「METHOD AND APPARATUS FOR MEASURING LEFT VENTRICULAR PRESSURE」、2002年1月4日出願において議論されている。これは、カーディアック・ペースメーカ・インクに譲渡され、参照によって本明細書に完全に組み込まれている。一実施形態では、拡張期性能パラメータ生成装置132は、LV圧力を表す信号から左心室末端拡張期圧力(LVEDP)を検出するために、拡張期圧力検出器を含む。拡張期性能パラメータはLVEDPである。他の実施形態では、拡張期性能パラメータ生成装置132は、左心室圧力の減少に関係する時間定数(tau)を測定するために、拡張期圧力タイマを含む。拡張期性能パラメータは、その時間定数である。
【0022】
他の実施形態では、拡張期性能センサ116は、肺静脈血液流を表す信号を感知するために、肺フロー・センサを含む。1つの特定の実施形態では、肺フロー・センサは、肺血液容積を表す肺インピーダンスを感知するために、肺インピーダンス感知回路を含む。拡張期性能パラメータ生成装置132は、肺静脈血液流を表す信号に基づいて順行性肺静脈血液速度を計算するために、速度検出器を含む。拡張期性能パラメータは肺静脈血液速度である。
【0023】
他の実施形態では、拡張期性能センサ116は、僧房弁を通る血液流を表す信号を感知するために、僧房弁フロー・センサを含む。1つの特定の実施形態では、僧房弁フロー・センサは、LV容積を測定するために、インピーダンス・センサを含む。LV容積は、右心室と左心室の冠状静脈の電極間で測定されたインピーダンスから導出される。そのようなインピーダンス・センサと測定の一例が、米国特許第6278894号、「MULTI−SITE IMPEDANCE SENSOR USING CORONARY SINUS/VEIN ELECTRODES」において議論されている。これは、カーディアック・ペースメーカ・インクに譲渡され、参照によって本明細書に完全に組み込まれている。拡張期中(駆出の終了時における僧房弁の開放後)のこのLV容積信号の時間微分が、僧房弁を通る血液流の測定値である。拡張期中のピーク血液流、拡張期中の迅速処置血液流の持続時間、拡張期中の血液流減少時間定数が、すべて、拡張期性能の有用な尺度である。拡張期性能パラメータ生成装置132は、ピーク血液流を検出する1つまたは複数のピーク検出器、迅速初期血液流の持続時間を測定するタイマ、血液流減少時間定数を測定する他のタイマを含む。拡張期性能パラメータは、ピーク血液流、迅速初期血液流の持続時間、拡張期中の血液流減少時間定数の1つを含む。
【0024】
他の実施形態では、拡張期性能センサ116は、心臓音を表す信号を感知するために、音響センサを含む。1つの特定の実施形態では、音響センサは加速度計を含む。他の特定の実施形態では、音響センサはマイクロフォンを含む。拡張期性能パラメータ生成装置132は、心臓音を表す信号から拡張期音響雑音を検出するために、心臓音分析装置を含む。拡張期性能パラメータは拡張期音響雑音である。拡張期音響雑音は、1つの心周期の拡張期にわたって測定される全音響雑音である。所定の時間期間にわたって測定される全音響雑音を計算する方法の例が、米国特許第6044298号、「OPTIMIZATION OF PACING PARAMETERS BASED ON MEASUREMENT OF INTEGRATED ACOUSTIC NOISE」と、米国特許第6058329号、「OPTIMIZATION OF PACING PARAMETERS BASED ON MEASUREMENT OF ACOUSTIC NOISE」において議論されている。両方とも、カーディアック・ペースメーカ・インクに譲渡され、参照によって本明細書に完全に組み込まれている。
【0025】
図1Bは、ペーシング制御装置120の一実施形態を示す概略的/ブロック図である。ペーシング制御装置120は、拡張期性能パラメータを受信し、それを使用して、1つまたは複数のペーシング・パラメータを決定および/または調節する。ペーシング制御装置120は、ペーシング・パラメータ最適化モジュール124とペーシング・アルゴリズム実行モジュール122を含む。ペーシング・パラメータ最適化モジュール124は、拡張期性能パラメータを受信し、少なくともその拡張期性能パラメータに基づいて1つまたは複数のほぼ最適なペーシング・パラメータを計算する。一実施形態では、ほぼ最適なペーシング・パラメータは、拡張期性能パラメータの対象値(最大値または最小値を含む)を提供するために予測されたペーシング・パラメータである。他の実施形態では、ほぼ最適なペーシング・パラメータは、拡張期性能パラメータの閾値を維持するために予測されたペーシング・パラメータである。1つの特定の実施形態では、拡張期性能パラメータの対象値または閾値は、心臓101の収縮期性能と拡張期性能の両方を含めて体系的考慮事項に基づいて決定される。一実施形態では、ペーシング・パラメータ最適化モジュール124は、1つまたは複数のペーシング部位を選択するペーシング部位選択装置を含み、さらに房室と心室間のペーシング遅延などの1つまたは複数のペーシング・タイミング・パラメータを計算するペーシング・タイミング計算装置を含む。ペーシング・アルゴリズム実行モジュール122は、1つまたは複数のほぼ最適なペーシング・パラメータを使用して所定のペーシング・アルゴリズムを実行することによって、ペーシング・パルス送出を制御する。一実施形態では、所定のペーシング・アルゴリズムは、DDDモードまたはVDDモードなど、心房追跡ペーシング・モードを確定する。1つまたは複数のほぼ最適なペーシング・パラメータは房室ペーシング遅延を含む。一実施形態では、複数の心室リードが、複数の心室部位を感知し、ペーシングするために加えられ、1つまたは複数のほぼ最適なペーシング・パラメータは、1つまたは複数の房室ペーシング遅延、1つまたは複数の心室間ペーシング遅延、および/あるいはペーシング・パルスが実際に送出される1つまたは複数のペーシング部位を含む。
【0026】
図2は、心臓リズム管理(CRM)システム200の一部の一実施形態、およびシステム200が使用される環境の一部を示す概略的/ブロック図である。CRMシステム200は、ペーシング治療を心臓101に提供するために、心臓ペーシング・システム100を組み込む。一実施形態では、CRMシステム200は、埋込み可能システム235と外部システム255とともに、埋込み可能システム235と外部システム255との間の双方向通信を提供する遠隔測定リンク245を含む。埋込み可能システム235は、埋込み可能デバイス240とリード・システム210を含む。埋込み可能デバイス240は、身体202内に埋め込まれ、リード・システム210を介して心臓101に結合される。埋込み可能デバイス240の例には、ペースメーカ、ペースメーカ/除細動器、心臓再同期デバイス、心臓リモデリング制御デバイス、ページング機能を有するあらゆる他の埋込み可能医療デバイスがある。一実施形態では、リード・システム210は、リード110A〜B、および存在するとすれば追加のペーシング・リードを含む。他の実施形態では、拡張期性能センサ116は、リード・システム210のリードに組み込まれる。一実施形態では、外部システム255は、埋込み可能デバイス240の近傍にある外部デバイス250と比較的遠位位置にある遠隔デバイス270を含み、かつ外部デバイス250と遠隔デバイス270を連結する遠隔通信ネットワーク260を含む患者管理システムである。そのような患者管理システムの一例が、米国特許出願10/323604、「ADVANCED PATIENT MANAGEMENT FOR DEFINING,IDENTIFYING AND USING PREDETERMINED HEALTH−RELATED EVENTS」、2002年12月18日出願において議論されている。これは、カーディアック・ペースメーカ・インクに譲渡され、参照によって本明細書に完全に組み込まれている。患者管理システムにより、患者の状況を監視して、治療を調節するためなど、遠隔位置から埋込み可能システム235にアクセスすることが可能になる。他の実施形態では、外部システム255はプログラマを含む。一実施形態では、遠隔測定リンク245は誘導遠隔測定リンクである。一代替実施形態では、遠隔測定リンク245は、遠距離電磁界無線周波数遠隔測定リンクである。一実施形態では、遠隔測定リンク245は、埋込み可能デバイス240から外部システム255にデータを送信するために設けられる。これは、たとえば、埋込み可能デバイス240によって獲得された実時間生理学的データを送信すること、埋込み可能デバイス240によって獲得し、記憶されている生理学的データを抽出すること、埋込み可能デバイス240に記憶されている治療履歴データを抽出すること、埋込み可能デバイス240の動作状況を表すデータを抽出すること(たとえば、電池の状況やリード・インピーダンス)を含むことが可能である。他の実施形態では、遠隔測定リンク245は、外部システム255から埋込み可能デバイス240にデータを送信するために設けられている。これは、たとえば、生理学的データを獲得するために埋込み可能デバイス240をプログラミングすること、少なくとも1つの自己診断試験(デバイス動作状況についてなど)を実施するために埋込み可能デバイス240をプログラミングすること、少なくとも1つの治療を送出するために埋込み可能デバイス240をプログラミングすることを含むことが可能である。
【0027】
CRMシステム200における心臓ペーシング・システム100の物理的分布は、埋込み可能デバイスのサイズと電力の制約、埋込み可能デバイスの計算電力、実施と使用の便利性など、実施ファクタに依存する。一実施形態では、心臓ペーシング・システム100は埋込み可能システム235に含まれる。この実施形態は、外部システム255と通信することを必要とせずに、拡張期性能に基づくフィードバック・ループ(拡張期性能センサ116、信号プロセッサ130、ペーシング制御装置120、ページング回路114を含む)が連続的に動作することを見込む。他の実施形態では、拡張期ペーシング・システム100の一部は、埋込み可能システム235に含まれ、他の部分は、外部システム255に含まれる。1つの特定の実施形態では、外部システム255は、拡張期性能パラメータ生成装置132とペーシング・パラメータ最適化モジュール124を含む。拡張期性能センサ116によって感知された信号は、遠隔測定リング245を介して外部システム255に送信される。1つまたは複数のほぼ最適なペーシング・パラメータが、遠隔測定245を介して埋込み可能デバイス260に送信される。心臓ペーシング・システム100の一部を外部システムに含むことにより、埋込み可能デバイス240に対するサイズ、電力、および/または計算要求が低減される。
【0028】
図3は、心臓ペーシングによって拡張期性能を改善する方法の一実施形態を示すフロー・チャートである。方法は、拡張期機能を表す感知信号に基づいて1つまたは複数のペーシング・パラメータを決定し、調節する。一実施形態では、方法は、拡張期ペーシング・システム100によって実施される。
【0029】
拡張期機能を表す信号は、300において感知される。拡張期性能パラメータは310において信号から導出される。一実施形態では、拡張期機能を表す信号はLV圧力を表す信号であり、拡張期性能パラメータはLV圧力を表す信号から測定されるLVEDPである。他の実施形態では、拡張期機能を表す信号はLV圧力を表す信号であり、拡張期性能パラメータはLV圧力の減少に関係する時間定数(tau)である。他の実施形態では、拡張期機能を表す信号は肺静脈血液流を表す信号であり、拡張期性能パラメータは肺静脈血液流を表す信号に基づいて計算される順行性肺静脈血液速度である。他の実施形態では、拡張期機能を表す信号は僧房弁を通る血液流を表す信号であり、拡張期性能パラメータはピーク血液流、初期血液流ピークの持続時間、または拡張期中の血液流の減少に関係する時間定数である。他の実施形態では、拡張期機能を表す信号は心臓音を表す信号であり、拡張期性能パラメータは心臓音を表す信号から検出される拡張期音響雑音である。
【0030】
1つまたは複数のほぼ最適なペーシング・パラメータが、320において少なくとも拡張期性能パラメータに基づいて計算される。一実施形態では、1つまたは複数のほぼ最適なペーシング・パラメータは、房室ペーシング遅延と心室間ペーシング遅延など、1つまたは複数のペーシング・タイミング・パラメータを含む。他の実施形態では、1つまたは複数のほぼ最適なペーシング・パラメータは、1つまたは複数のペーシング部位を含む。1つまたは複数のペーシング部位は、心室の収縮と血液の駆出の作業のほとんどを与える1つまたは複数の心室領域を含む。一実施形態では、1つまたは複数のペーシング部位は、少なくとも1つの部位を心室隔壁に含む。1つの特定の実施形態では、1つまたは複数のペーシング部位は少なくとも1つの部位をLV隔壁に含む。
【0031】
所定のペーシング・アルゴリズムが、330において実行される。ペーシング・アルゴリズムの実行は、ペーシング・パルスの送出を制御するコマンドを生成することを含む。所定のペーシング・アルゴリズムが実行されている際、心臓信号が340において感知され、ペーシング・パルスが350において送出される。ペーシング・アルゴリズムは、1つまたは複数のほぼ最適なペーシング・パラメータと感知心臓信号を入力として使用して各ペーシング・パルス送出についてタイミングおよび/または部位を決定するために、1セットの所定のペーシング論理規則とパラメータを適用する。
【0032】
図4は、1つまたは複数の心室ペーシング電極を配置する部位を決定するために使用される例示的なLV領域変位図である。拡張期性能を改善するためにペーシング・パルスを送出するように、埋込み可能デバイス240とリード・システム210が身体202に埋め込まれる。リード・システム210の埋込みは、所定の心臓部位において各リードの上に電極を配置することを含む。
【0033】
一実施形態では、LV心エコー図が、メディス(Medis)、リーデン(Leiden)[オランダ在](メディス・エコー−CMS)によるエコー−CMS(心エコー図測定システム)など、心エコー図分析システムを使用して記録され、分析される。メディス・エコー−CMSは、図4に示されるように、いくつかの(たとえば、2から5)の心周期にわたって連続心エコー図像フレームにおいてLV壁運動輪郭を自動的に検出し、LV壁運動輪郭上の100の等間隔セグメントについて一心周期にわたって平均LV領域心内膜変位を計算する。そのような実施形態の一例が、米国特許出願10/402324、「METHOD AND APPARATUS FOR QUANTIFICATION OF CARDIAC WALL MOTION ASYNCHRONY」、2003年3月28日出願において議論されている。これは、カーディアック・ペースメーカ・インクに譲渡され、参照によって本明細書に完全に組み込まれている。
【0034】
図4では、LV領域心内膜変位の大きさは、LV壁運動輪郭上の100の等間隔セグメントについて線490によって示されている。輪郭492、494は、一心周期にわたる全LV心内膜変位範囲を示す。輪郭492、494の距離は、その領域について一心周期にわたる壁変位を示す。図4に示されるように、LV壁運動輪郭上の100の等間隔セグメントの20の連続セグメントは、名称1から5の5つの領域に組み合わされる。LV隔壁は左側にあり、領域1と2をほぼ含む。一実施形態では、拡張期性能は、全LV領域または容積の変化と共に変化する最大LV領域変位を示す領域、すなわちLVの収縮またはLVからの血液の駆出に最も寄与する領域を事前刺激するように、ペーシング・パルスを送出することによって改善される。図4の例では、ペーシング・パルスは、少なくとも領域2に送出される。
【0035】
図5は、拡張期性能を改善するために、ペーシング治療を決定し、行う手続きの一実施形態を示すフロー・チャートである。拡張期性能の尺度を改善するために、ペーシング・パルスを送出する効果は、500において予測されている。効果は、患者が1セットの基準を満たす条件を有し、治療を受けると診断されるとき、予測される。基準は、例としてであって限定としてではなく、50%より大きい駆出率、著しい僧房弁逆流の欠如、高充填LA圧力による心臓疾患症状の表示を含む。一実施形態では、効果の予測は、図4に示されるようなLV領域変位図を提供する心エコー図分析をさらに含む。拡張期性能を改善するためにペーシング・パルスを送出する効果は、LV領域心内膜変位がLV壁にわたって著しく不均一であるとき、予測される。一実施形態では、LV心内膜壁は、複数の領域に分割される。平均LV領域心内膜変位が、領域のそれぞれについて計算される。1つの特定の実施形態では、ペーシング・パルスを送出する効果は、領域の少なくとも1つの平均LV領域心内膜変位が所定の閾値を超えるとき、予測される。他の特定の実施形態では、ペーシング・パルスを送出する効果は、領域のいずれか2つの平均LV領域心内膜変位間の最大差が所定の閾値を超えるとき、予測される。
【0036】
ペーシング・パルスの送出が有効であると予測され、患者によって受け取られる場合、ペーシング・パルスは、510において拡張期機能不全を治療するために、1つまたは複数の心臓領域に送出される。ペーシング・パルスの送出は、512において1つまたは複数の電極部位を決定すること、514においてペーシング・モードを決定すること、516において1つまたは複数のペーシング・パラメータを決定すること、518において1つまたは複数のペーシング・パラメータを調節することを含む。
【0037】
一実施形態では、LV収縮への最大の寄与を示す1つまたは複数の心室領域が、512において1つまたは複数の電極部位として選択される。電極部位は、図4を参照して上記で議論されたように、リード埋込み中に電極を配置する部位である。研究は、1つまたは複数のペーシング部位が、少なくとも1つの部位をLV隔壁領域に含む可能性が高いことを示した。1つの特定の実施形態では、LV隔壁領域は、上記で議論されたように(米国特許第5728140号)、右心室を経て隔壁に固定された絶縁電極を使用してペーシングされる。1つまたは複数の電極部位を決定する方法の1つの具体例が、図4を参照して上記で議論されている。
【0038】
一実施形態では、心房追跡モードが、514において選択される。患者が正常洞リズムを保持する場合、VDDペーシング・モードが選択される。そうでない場合、DDDペーシング・モードが選択される。VDDペーシング・モードとDDDペーシング・モードは、それぞれ、2つ以上の心室ペーシング部位が選択されるとき、複数心室部位バージョンを含む。
【0039】
一実施形態では、1つまたは複数のペーシング・パラメータが、516において拡張期性能パラメータに基づいて決定される。これは、拡張期機能を表す信号を感知して、感知信号から1つまたは複数のペーシング・パラメータを導出することを含む。1つまたは複数のほぼ最適なペーシング・パラメータを決定する方法の具体例が、図3を参照して上記で議論されている。1つの特定の実施形態では、1つまたは複数の電極部位が512において選択された後、1つまたは複数の実際のペーシング部位を指定するペーシング・パラメータを使用して個々に作動される。1つの特定の実施形態では、1つまたは複数の実際のペーシング部位は、拍動ごとに1つまたは複数の電極部位から選択することによって決定される。
【0040】
一実施形態では、初期決定後、1つまたは複数のペーシング・パラメータは、518において調節される。これは、拡張期機能を表す信号を感知して、感知信号に基づいて1つまたは複数のペーシング・パラメータを更新することを含む。1つの特定の実施形態では、1つまたは複数のペーシング・パラメータは、動的かつ連続的に調節される。他の特定の実施形態では、1つまたは複数のペーシング・パラメータは周期的に調節される。他の特定の実施形態では、1つまたは複数のペーシング・パラメータは、患者の生理学的または病理学的状態が変化するときなど、必要があるときに調節される。
【0041】
一実施形態では、ペーシング・パルスは、拡張期機能不全や収縮期機能不全などの他の病理学的状態を治療するために送出される。一実施形態では、ステップ512、514、516、518は、それぞれ、全体的な血行力学を改善する治療を最適化する体系的手法の一部として実施される。1つの特定の実施形態では、1つまたは複数のペーシング・パラメータは、収縮期性能と拡張期性能の両方を改善するために、決定され、調節される。1つの特定の実施形態では、1つまたは複数のペーシング・パラメータは、所定の最小限の収縮期性能と最小限の拡張期性能を維持にするように決定され、調節される。他の特定の実施形態では、1つまたは複数のペーシング・パラメータは、最小限の収縮期性能を維持し、一方、拡張期性能を最大にする、または、最小源の拡張期性能を維持し、一方、収縮期性能を最大にするように、決定され、調節される。収縮期性能を改善するためにほぼ最適なペーシング・パラメータを決定する例が、米国特許出願10/314910、「MEHOD AND APPARATUS FOR OPTIMIZING VENTRICULAR SYNCHRONY DURING DDD RESYNCHRONIZATION THERAPY USING ADJUSTABLE ATRIO−VENTRICULAR DELAYS」、および米国特許出願10/314899、「METHOD AND APPARATUS FOR OPTIMISING STROKE VOLUME DURING DDD RESYNCHRONIZATION THERAPY USING ADJUSTABLE ATRIO−VENTRICULAR DELAYS」において議論されている。両方とも2002年12月9日に出願され、カーディアック・ペースメーカ・インクに譲渡され、参照によって本明細書に完全に組み込まれている。
【0042】
上記の詳細な記述は、例示を意図し、限定を意図していないことを理解されたい。本文献において議論された装置と方法の要素のあらゆる可能な組合せを含めて、他の実施形態が、上記の記述を読み、理解する際に、当業者には明らかになるであろう。たとえば、拡張期機能不全の電気治療は、化学的治療および/または生物学的治療と関連して適用することができる。したがって、本発明の範囲は、添付の請求項、そのような請求項が権利を与えられる均等物の全範囲に対して決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1A】拡張期機能不全を治療するための心臓ペーシング・システムの一実施形態およびシステムが使用される環境の一部を示す概略的/ブロック図である。
【図1B】図1Aの心臓ペーシング・システムのペーシング制御装置の一実施形態を示す概略的/ブロック図である。
【図2】図1Aの心臓ペーシング・システムを含む心臓リズム管理(CRM)システムの一部の一実施形態、およびCRMシステムが使用される環境の一部を示す概略的/ブロック図である。
【図3】心臓ペーシングによって拡張期性能を改善する方法の一実施形態を示すフロー・チャートである。
【図4】1つまたは複数の心室ペーシング電極を配置する部位を決定するために使用される例示的なLV領域変位図である。
【図5】拡張期性能を改善するためにペーシング治療を決定および送出する手続きの一実施形態を示すフロー・チャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの心臓信号を感知する感知回路と、
ペーシング・パルスを送出するペーシング回路と、
拡張期機能を表す信号を感知する拡張期性能センサと、
前記拡張期機能を表す前記信号を受信し、処理するように適合され、前記拡張期機能を表す前記信号に基づいて拡張期性能パラメータを生成するために、拡張期性能パラメータ生成装置を含む信号プロセッサと、
前記感知回路と前記ペーシング回路に結合され、前記拡張期性能パラメータを受信し、前記少なくとも1つの心臓信号と前記拡張期性能パラメータに基づいて、前記ペーシング・パルスの送出を制御するように適合されたペーシング制御装置と
を備える心臓ペーシング・システム。
【請求項2】
前記ペーシング制御装置が、
前記拡張期性能パラメータを受信し、少なくとも前記心臓性能パラメータに基づいて、1つまたは複数のほぼ最適なペーシング・パラメータを計算するように適合されたペーシング・パラメータ最適化モジュールと、
前記感知回路と前記ペーシング回路に結合され、前記1つまたは複数のほぼ最適ペーシング・パラメータを使用して所定のペーシング・アルゴリズムを実行することによって、前記ペーシング・パルスの送出を制御するペーシング・アルゴリズム実行モジュールとを備える請求項1に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項3】
前記ペーシング・パラメータ最適化モジュールが、少なくとも前記拡張期性能パラメータに基づいて1つまたは複数のペーシング部位を選択するために、ペーシング部位選択装置を備える請求項2に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項4】
前記ペーシング・パラメータ最適化モジュールが、少なくとも前記拡張期性能パラメータに基づいて1つまたは複数のペーシング・タイミング・パラメータを計算するために、ペーシング・タイミング計算装置を備える請求項2または3に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項5】
前記拡張期性能センサが、左心室圧力を表す信号を感知するために、圧力センサを備える前記請求項のいずれかに記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項6】
前記圧力センサが左心室圧力センサを備える請求項5に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項7】
前記圧力センサが左心房圧力センサを備える請求項5に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項8】
前記圧力センサが冠状静脈圧力センサを備える請求項5に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項9】
前記拡張期性能パラメータ生成装置が、前記左心室圧力を表す前記信号から左心室末端拡張期圧力を検出するために、拡張期圧力検出器を備える請求項5から8のいずれかに記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項10】
前記拡張期性能パラメータ生成装置が、前記左心室圧力の減少に関係する時間定数を測定するために、拡張期圧力タイマを備える請求項5から9のいずれかに記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項11】
前記拡張期性能センサが、血液流を表す信号を感知するために、フロー・センサを備える請求項1から4のいずれかに記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項12】
前記フロー・センサが、インピーダンス感知回路を備える請求項11に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項13】
前記フロー・センサが、肺静脈血液流を表す信号を感知するように適合された肺血液フロー・センサを含む請求項11に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項14】
前記拡張期性能パラメータ生成装置が、前記肺静脈血液流を表す前記信号に基づいて順行性肺静脈血液速度を計算するために、速度検出器を備える請求項13に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項15】
前記フロー・センサが、僧房弁を通る血液流を表す信号を感知するように適合された僧房弁血液フロー・センサを含む請求項11に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項16】
前記拡張期性能パラメータ生成装置が、前記僧房弁を通る前記血液流を表す前記信号からピーク血液流を検出するためにピーク検出器を備える請求項15に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項17】
前記拡張期性能パラメータ生成装置が、前記僧房弁を通る前記血液流を表す前記信号から迅速初期血液流の持続時間を測定するために、タイマを備える請求項15と16のいずれかに記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項18】
前記拡張期性能パラメータ生成装置が、前記僧房弁を通る前記血液流を表す前記信号から前記僧房弁を通る前記血液流の減少に関係する時間定数を測定するために、タイマを備える請求項15から17のいずれかに記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項19】
前記拡張期性能センサが、心臓音を表す信号を感知するために、音響センサを備える請求項1から4のいずれかに記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項20】
前記音響センサが加速度計を備える請求項19に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項21】
前記音響センサがマイクロフォンを備える請求項19に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項22】
前記拡張期性能パラメータ生成装置が、心臓音を表す前記信号から拡張期音響雑音を検出するために、心臓音分析装置を備える請求項19から21のいずれかに記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項23】
前記感知回路と前記ペーシング回路に結合された少なくとも1つの心臓内リードをさらに備える前記請求項のいずれかに記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項24】
前記少なくとも1つの心臓内リードが右心室リードを備える請求項23に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項25】
前記少なくとも1つの心臓内リードが左心室リードを備える請求項23に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項26】
前記少なくとも1つの心臓内リードが経隔壁リードを備える請求項23に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項27】
少なくとも前記感知回路、前記ペーシング回路、前記拡張期性能センサ、前記ペーシング制御装置の一部を含む、埋込み可能ペースメーカを備える前記請求項のいずれかに記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項28】
少なくとも前記感知回路、前記ペーシング回路、前記拡張期性能センサを含み、かつ前記ペーシング制御装置の第1部分であって、前記感知回路と前記ペーシング回路に結合されたペーシング・アルゴリズム実行モジュールを含む前記第1部分をさらに含む埋込み可能ペースメーカを備え、前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールが、前記少なくとも1つの心臓信号と拡張期機能を表す信号を受信し、所定のペーシング・アルゴリズム、前記少なくとも1つの心臓信号、前記拡張期機能を表す前記信号に基づいて、前記ペーシング・パルスの送出を制御するように適合される請求項1に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項29】
前記埋込み可能ペースメーカが、
前記拡張期性能センサに結合され、前記拡張期機能を表す前記信号に基づいて、拡張期性能パラメータを生成する信号プロセッサと、
前記信号プロセッサに結合され、少なくとも前記拡張期性能パラメータに基づいて、1つまたは複数のほぼ最適なパラメータを計算するように適合されたペーシング・パラメータ最適化モジュールとをさらに備える請求項28に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項30】
遠隔測定を介して前記埋込み可能ペースメーカに通信により結合された外部システムをさらに備え、前記埋込み可能ペースメーカが、前記拡張期機能を表す前記信号を前記外部システムに送信するために埋込み遠隔測定モジュールを備える請求項28に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項31】
前記外部システムが、
前記拡張期機能を表す前記信号を受信する外部遠隔測定モジュールと、
前記外部遠隔測定モジュールに結合され、前記拡張期機能を表す前記信号に基づいて拡張期性能パラメータを生成する信号プロセッサと、
前記信号プロセッサに結合された少なくとも1つのペーシング・パラメータ最適化モジュールを含む前記ペーシング制御装置の第2部分とを備え、前記ペーシング・パラメータ最適化モジュールが、少なくとも前記拡張期性能パラメータに基づいて、ほぼ最適なパラメータを計算するように適合される請求項30に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項32】
前記外部システムがプログラマを備える請求項30と31のいずれかに記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項33】
前記外部システムが、
前記埋込み可能ペースメーカと無線で通信する外部デバイスと、
遠位位置から前記埋込み可能ペースメーカへアクセスする遠隔設備と、
前記外部デバイスと前記遠隔デバイスとの間で通信を行うネットワークとを備える請求項30または31に記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項34】
前記拡張期性能センサが、左心室圧力を表す信号を感知するために、圧力センサを備える請求項28から33のいずれかに記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項35】
前記拡張期性能センサが、肺静脈血液流を表す信号を感知するために、肺フロー・センサを備える請求項28から33のいずれかに記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項36】
前記拡張期性能センサが、僧房弁を通る血液流を表す信号を感知するために、僧房弁フロー・センサを備える請求項28から33のいずれかに記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項37】
前記拡張期性能センサが、心臓音を表す信号を感知するために、音響センサを備える請求項28から33のいずれかに記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項38】
前記感知回路と前記ペーシング回路とに結合された少なくとも1つの経隔壁ペーシング・リードをさらに備える請求項28から37のいずれかに記載の心臓ペーシング・システム。
【請求項39】
少なくとも1つの心臓信号を感知することと、
ペーシング・パルスを送出することと、
拡張期機能を表す信号を感知することと、
前記拡張期機能を表す前記信号から拡張期性能パラメータを導出することと、
少なくとも前記拡張期性能パラメータを入力として使用して、所定の心臓ペーシング・アルゴリズムを実行することとを備える方法。
【請求項40】
少なくとも前記拡張期性能パラメータに基づいて、1つまたは複数のほぼ最適なペーシング・パラメータを生成することをさらに備え、前記所定の心臓ペーシング・アルゴリズムを実行することが、前記1つまたは複数のほぼ最適ペーシング・パラメータを使用してペーシング・パルスの送出を制御することを備える請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記1つまたは複数のほぼ最適なペーシング・パラメータを生成することが、少なくとも前記拡張期性能パラメータに基づいて、1つまたは複数のペーシング部位を選択することを備える請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記1つまたは複数のほぼ最適なペーシング・パラメータを生成することが、少なくとも前記拡張期性能パラメータに基づいて、1つまたは複数のタイミング・パラメータを計算することを備える請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記1つまたは複数のほぼ最適なペーシング・パラメータを生成することが、少なくとも前記拡張期性能パラメータに基づいて、1つまたは複数の房室ペーシング遅延を計算することを備える請求項40と42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記1つまたは複数のほぼ最適なペーシング・パラメータを生成することが、少なくとも前記拡張期性能パラメータに基づいて、1つまたは複数の心室間ペーシング遅延を計算することを備える請求項40と43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記拡張期機能を表す前記信号を感知することが、左心室圧力を表す信号を感知することを備える請求項39から44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記拡張期性能パラメータを送出することが、前記左心室圧力を表す前記信号から左心室末端拡張期圧力を検出することを備える請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記拡張期性能パラメータを導出することが、前記左心室圧力の減少に関係する時間定数を測定することを備える請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記拡張期機能を表す前記信号を感知することが、肺静脈血液流を表す信号を感知することを備える請求項39から44のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記拡張期機能を表す前記信号を感知することが、肺インピーダンスを表す信号を感知することを備える請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記拡張期性能パラメータを導出することが、前記肺静脈血液流を表す前記信号に基づいて、順行性肺静脈血液速度を計算することを備える請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記拡張期機能を表す前記信号を感知することが、僧房弁を通る血液流を表す信号を感知することを備える請求項39から44のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記拡張期機能を表す前記信号を感知することが、インピーダンスを表す信号を感知することを備える請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記拡張期性能パラメータを導出することが、前記僧房弁を通る前記血液流を表す前記信号からピーク流れを検出することを備える請求項51と52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記拡張期性能パラメータを導出することが、前記僧房弁を通る前記血液流を表す前記信号から初期血液流ピークの持続時間を検出することを備える請求項51から53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記拡張期性能パラメータを導出することが、前記僧房弁を通る前記血液流を表す前記信号から前記僧房弁を通る前記血液流の減少に関係する時間定数を測定することを備える請求項51から54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記拡張期機能を表す前記信号を感知することが、心臓音を表す信号を感知することを備える請求項39から44のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記拡張期性能パラメータを導出することが、心臓音を表す前記信号から拡張期音響雑音を検出することを備える請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記ペーシング・パルスを導出することが、前記ペーシング・パルスを1つまたは複数の最も収縮する心室領域に送出することを備える請求項39から57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記ペーシング・パルスを送出することが、前記ペーシング・パルスを1つまたは複数の心室隔壁部位に送出することを備える請求項39から58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記ペーシング・パルスを導出することが、前記ペーシング・パルスを1つまたは複数の左心室隔壁領域に送出することを備える請求項39から59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
拡張期性能の尺度を改善するために、ペーシング・パルスを送出する効果を予測することと、
前記効果が予測された後、前記拡張期性能を改善するために、前記ペーシング・パルスを1つまたは複数の心臓領域に送出することとを備える、方法。
【請求項62】
前記効果を予測することが、
左心室心エコー図を記録することと、
左心室心内膜壁を複数の領域に分割することと、
前記領域のそれぞれについて少なくとも1つの心周期にわたって左心室領域心内膜壁の変位を測定することと、
左心室領域の心内膜壁変位が前記左心室心内膜壁にわたって著しく不均一である場合、前記効果を予測することとを備える請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記1つまたは複数の心臓領域に対応する1つまたは複数の電極部位を決定することをさらに備える請求項61と62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記1つまたは複数の電極部位を決定することが、左心室収縮に対し最も寄与することを示す1つまたは複数の心室領域を選択することを備える請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記1つまたは複数の電極部位が、
左心室心エコー図を記録することと、
左心室心内膜壁を複数の領域に分割することと、
前記領域のそれぞれについて1つの心周期にわたって左心室/領域心内膜壁変位を測定することと、
全左心室の領域または容積の変化と共に変化する最大左心室領域心内膜壁変位を表示する1つまたは複数の領域を識別することとを備える請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記ペーシング・パルスを前記1つまたは複数の心臓領域に送出することが、1つまたは複数の左心室隔壁領域を刺激するために、前記ペーシング・パルスを送出することを備える請求項61から65のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
右心室を経て少なくとも1つの絶縁電極を隔壁内に導入することをさらに備える請求項61から66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
ペーシング・モードを決定することをさらに備える請求項61から67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記ペーシング・パルスを導出することが、VDDペーシング・モードを確定するペーシング・アルゴリズムを実行することを備える請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記ペーシング・パルスを送出することが、DDDペーシング・モードを確定するペーシング・アルゴリズムを実行することを備える請求項68に記載の方法。
【請求項71】
拡張期機能を表す信号を感知することと、前記拡張期機能を表す感知信号から1つまたは複数のペーシング・パラメータを導出することとを含めて、1つまたは複数のペーシング・パラメータを決定することをさらに備える請求項61から70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
前記1つまたは複数のペーシング・パラメータを動的かつ連続的に調節することをさらに備える請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記1つまたは複数のペーシング・パラメータを周期的に調節することをさらに備える請求項71に記載の方法。
【請求項74】
心臓状態の変化に応答して、前記1つまたは複数のペーシング・パラメータを調節することをさらに備える請求項71に記載の方法。
【請求項75】
前記1つまたは複数のペーシング・パラメータを決定することが、少なくとも拡張期性能の尺度と拡張期性能の尺度を改善するために、前記1つまたは複数のペーシング・パラメータを決定することを備える請求項71から74のいずれかに記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−512044(P2007−512044A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539696(P2006−539696)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/037129
【国際公開番号】WO2005/046788
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(505003528)カーディアック・ペースメーカーズ・インコーポレーテッド (466)
【Fターム(参考)】