説明

持帰り梱包箱

【課題】
従来の梱包箱の殆どが、組立て接着加工するテーパー式立体形状のためストック場所が増大する。また、物品収納後も組立て係留固定など作業が煩雑で、開閉部が上部1箇所なので食品の出し入れが困難であり、特許文献4の食品皿に用いる説明で折出し部接着の取外しと折り戻しは、紙製基材に残る強い折癖で困難となる。
【解決手段】
本発明は、1枚のシート材Aを糊付けせずに、図2の状態から開き、底面部4に物品Bを置き包むように把手部1を打ち合わせ、四方の等角境界外折目線9aを内折りしながら第2側壁部5を90度起立させ、把手止め穴付壁部8を外折りした把手止め穴8bに把手掛り切り欠き1bを嵌め込む一連の作業で包装と組立ができ、開口時には物品Bを真上、四方向から取出しができる食品収納箱及び調理用容器、さらに、皿と深皿の機能を持つ持帰り梱包箱とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1枚のシート材に接着加工を施さず、物品を包装しながら組立てて係留固定する構成とした梱包箱であり、さらには、熱湯や水を注いで作る食品の調理用容器又は、揚物類の収納もしくは、電子レンジ調理に適した食品の調理用容器及び、皿又は深皿の機能を有する持ち帰り梱包箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、1枚の紙製シート材より組み立てられて、四隅部の折出し部及び折返し部を折重ねて用いる容器として種々のものが公開されている。
【0003】
例えば、図18に示す容器は、基本的な形態であるが、1枚の紙製シート材の四隅部の折出し部a1を側壁部a2外部側に折り込んで接着したものである。
【0004】
また、図19に示す容器は、1枚の紙製シート材の四隅部の折返し部b1を側壁部内部側に折り込んで容器を形成するとともに、この容器の相対向する側壁上端部に羽根部b2を設け、この羽根部を容器の形状に沿うように内側に折り込んで四隅の折込み部b1を覆い、折込み部の反発を押さえた容器としている。
【0005】
また、特許文献1には、図20に示す容器が開示されているが、本容器においては1枚の紙製シート材の四隅部の折出し部c1を側壁部c2外部側に左右対称に折り込むとともに、側壁部c2に連設された係止部c3を側壁部c2と折出し部c1の間に挿入することにより、組み立てるものである。
【0006】
また、特許文献2には、図21に示される容器が開示されているが、本容器は折出し部d1を重ねるとともに、これらを係止部材d2で固定し、保形性を高めるというものが開示されている。
【0007】
さらに、特許文献3には、図22に示される容器が開示されている。本容器は食品の電子レンジ調理にも利用できることが記載されているが、接着材の使用を避けるために、折出し部の一方に、マスク領域e1を設け、他方の折出し部に切り欠き部e2を設け、マスク領域を他方の折出し部の内面に加熱シールにより固着させる方法が開示されている。
【0008】
特許文献4には、図23に示される容器が開示されている。本容器は四隅の折曲げ部f1を外部に折って側壁に接着した折返し部f4に、側壁f2の延長面f5を外側に折り返し、把手部f6又は把手切り欠き片f7を、その折返し部f4に挟み込み固定する構成である。また、食品加熱後に天面f8を開きテーパー形状の容器とするか、外側に折込んだ折返し部f4の接着部を解除し全開した後に四隅の折曲げ部f1を内側に折り直して曲げ、箱をプレート状にする構成が開示されている。
【0009】
さらに、特許文献5のケーキ箱は、図24示される収納箱が開示されている。予め折畳んだ状態から相対する把手部g5を内側に押込むことで、把手部に連接する両蓋面g4と側壁g2が四隅角部g9、g10から直線状に延びた等角内折目線g11によって内側に折り重ねられるとともに箱を起き上げ、次に、片方の把手部g5の両先端切り欠きg1に、側壁g3に連接する把手掛け面g6の掛り穴に一時的に係留し、ケーキを納められる形状に組み立てて収納し、前述の一時的に係留した把手部g5を取外した後に、両方の把手部g5を打ち合わせて、前述のように、把手部両端g1を側壁g3と四隅角部g9、g10から直線状に延びた等角内折目線g11によって折り重ねられ連接する把手掛け面g6の掛り穴に係留し、固定する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開昭52-67535号 公報
【特許文献2】実開昭60-89120号 公報
【特許文献3】特開2000-238748号 公報
【特許文献4】特開2008-68885号 公報
【特許文献5】特開2005-119715号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の紙製容器においては以下のような問題がある。
【0012】
例えば、図18に示した様な梱包箱においては、折返し部a1の外側を側壁部a2に接着することが必要となるが、折返し部a1の外面が側壁部a2と接着していても、折返し部の内面が接着されていないため、一方の側壁部a2を手で持つ等により内側に圧力を加えると側壁部a2が揺動し不安定となり、さらには、包装梱包箱として使用するには、開口部を塞ぐ別の蓋部材が必要となるという問題があった。
【0013】
また、前記折返し部a1の外面が側壁部a2と接着していても、折返し部の内面が接着されていないため、一方の側壁部a2を手で持つ等により内側に圧力を加えると側壁部a2が揺動し不安定となるために折返し部a1の外側と折返し部の内面の両方を接着する方法もあるが、内面に余分な接着剤が必要となる。また、容器には食品等の袋体等を収納しておき、本容器を喫食用の容器としても使用する場合、直接に食品が容器内面に触れるため、内面をプラスチック等によりラミネートすることも多い。この場合は折返し部内面もラミネートを施した面となるため、外面に比べ接着剤により接着し難い場合がある。
【0014】
さらに、電子レンジ調理可能な容器の様な場合においては、内面を例えば、耐熱性のプラスチックであるポリブチレンテレフタレート等によってラミネートするため、接着剤により貼着することがより困難になる。加えて、もし接着剤を使用した場合でも接着剤が溶けて加熱中にトレイ内に収容されている食品を汚染する可能性も否定できない。
【0015】
次に、図19に示した様な場合においては、側壁部を固定することはできるが、羽根部b2が大きいため取り扱いにくく、また、羽根部b2と底面との接着が不十分であると、液状食品等を収納した場合に、羽根部と底面との隙間から液体が入り込み、食品のロスを生じ、さらには、底面に倒したシート材の切断面から液体がしみ込み、箱の強度を損ねる問題がある。
【0016】
さらに、図20に示した様な場合についての容器は、本来、組み立て時に、折返し部c1を側壁部c2に接着しない場合を想定しているものであり、折返し部c1の外側を側壁部c2に接着してしまうと係止部c3を側壁部と折返し部c1の間に挿入することは困難になるという問題がある。
【0017】
また、図18、図19に示す、従来の梱包箱では、効果として側壁部と折返し部が固定されることになるが、図21の発明では、折返し部d1を貫通する係止部材d2が別途必要であるという難点がある。また、図22の発明では、加熱シールにより固着するマスク領域e1が折返し部の一部に過ぎないため、固着力が十分でなくシール後に折返し部同士のシールが剥がれてしまうおそれもある。
【0018】
このように、図18から図23に示される背景技術の殆どが、側壁部の揺動を抑え固定させてた容器であり、四隅の折返し部を接着固定するか、四隅の折返し部に出来た隙間に爪片を挿入して固定するか、もしくは、折込んだ四隅部を挟んで固定する等の手段、方法を使った構成が殆どであるため、収納物を箱に詰め込む場合も、収納口が固定された上部一ケ所であるため詰め込む食品によっては、収納が困難となり、物品の取出しにおいても箱には深さがあることで、底部にある収納物の取り出しが困難であるとともに箱の組立作業及び接着作業が煩雑となる。さらに、前記に示した容器形態の殆どが、テーパー形状に固定し、箱を重ね置きしなければならないため、収納及び運搬スペースを増大させる問題がある。また、図23においては、箱の外側に折曲げ接着した四隅の折出し部f4をすべて取外し、梱包箱を全開した後に、折出し部f4を内側に折り戻して皿の形状として用いると、特許文献4には、開示してあるが、使用者が食品を入れたまま、折返して接着された四ケ所を取外し、紙製シートに付いた強力な折癖f1とf12を逆方向に折戻す作業をしなければ使用できないという問題がある。
【0019】
さらに、図24に示される箱は、ケーキ箱の収納を重視した構成であるが、ケーキを収納するために片方の把手部g5を一度係留固定し、ケーキ収納後に前述で係留した把手部g5を一度取外し、再度、両方の把手部g5を打ち合わせて、係留固定しなければならないことは、煩雑で無駄な手間を強いられる問題がある。また、折畳んだ状態の内折目線g14とg12は、どちらも反発し合う内折目線となるにも関わらず、側壁部g2を立ち起こし、内折目線g14とg12を同時に折曲げて起立させると特許文献5に開示されているが、折畳んだ状態の折目線g14とg12は、前述のように折目が相反するため、定められた方向に折れないことと、折癖の付いていない四隅の折返し部g11がどこの側壁部g2側もしくは側壁部g3側に折れ曲がるか疑問であり、さらには、折り返し部g11が内部に突出する可能性があるため、突出部が収納したケーキに損傷を与えるという問題もある。
【0020】
そこで、本発明は、上記の不都合を解消し、1枚のシート材Aに接着加工を施さず、物品を包装しながら一連の作業で組立てて係留固定する構成とした、食品収納箱及び調理用容器、さらには、皿又は深皿の機能を有する持帰り梱包箱を開発することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0021】
1枚のシート材Aに接着加工を施さず、折り曲げて構成される食品収納箱及び調理用容器の機能を有する持帰り梱包箱であって、
正方形の底面部4と、その底面部4の一方の相対向する二辺から起立する一対の第1側壁部3と、前記の底面部4の他方の相対向する二辺から起立する一対の第2側壁部5と、隣り合う前記第1側壁部3と第2側壁部5間に設けられ、前記底面部4の隅角部から直線状に延びた等角境界外折目線9aによって、折り重ねられる四隅折返し部侵入止め付壁部6と四隅折返し部7と、
前記第1側壁部3の外側に連接され、境界内折目線2aによって内側に折曲げられ、天蓋となる一対の半天蓋2と、
前記半天蓋2の外側に連接され、境界内折目線1aによって外側に折曲げられ、半天蓋2の中央部が円弧形状に把手部切り目2bより切り放たれ、互いに重なり合い、相対向する一対の把手部1が打ち合わされ、該把手部1の両端に把手掛りきり欠き1bと穴掛り止め部1cを有する係留部と、
前記第2側壁部5の外側に連接され、境界内折目線5aによって外側に折曲げられ、把手止め穴付壁部8と、係止部となる把手止め穴8bと、把手平置き用切り目8cを有するシート材Aを底面部4と相対向する第1側壁部3との境界内折目線3aの二辺と、第1側壁部3と半天蓋2との境界内折目線2a二辺と、半天蓋2と把手部1との境界外折目線1aの二辺を順次に折り曲げ、相対向する一対の把手部1を打ち合わせた後、前記等角境界外折目線9aによって、四隅折返し部侵入止め付壁部6と四隅折返し部7を折りながら、相対向する第2側壁部5と把手止め穴付壁部8を起立させ、天蓋となる一対の半天面2の切断面で前記四隅折返し部侵入止め付壁部6の上部に施した四隅折返し部侵入止め突出部6bが、四隅折り返し部6、7の箱内部への侵入阻止と、
前記に打ち合わせた把手部1の把手掛りきり欠き部1bと穴掛り止め部1cを係受部となる把手止め穴8bに嵌め込むことにより接着加工を施さず係留固定する構成の持帰り梱包箱である。
【0022】
前記一対の把手部1の両係止部である穴掛り止め部1bを一対の四隅折返し部の突出部6bに係留固定することで深皿形状とする持帰り梱包箱としても良い。
【0023】
さらに、前記持帰り梱包箱の、一対の把手止め穴付き部8に施した一対の把手平置き用切り目8cを外側又は内側に折り、打ち合わせた前記一対の把手部1を横に90度倒すことで、前記梱包箱Aを積み重ねができる持帰り梱包箱としても良い。
【0024】
なお、前記1枚のシート材(A)としては、天然材質系のシート、植物系プラスチックのシート、植物系プラスチックの発泡シート、石油系プラスチックのシート、石油系プラスチックの発泡シート、植物系プラスチックと石油系プラスチックを混合したシート、植物系プラスチックと石油系プラスチックを混合した発泡シートのいずれかの1つから選択されたシート材又は前記で選択されたシート材に植物系プラスチックのフイルム、石油系プラスチックのフイルム、植物系プラスチックのフイルムと石油系プラスチックのフイルムを積層したフイルム、植物系プラスチック素材と石油系プラスチック素材を混合したフイルム、のいずれか1つから選択されたフイルムが積層された1枚のシート材(A)である。そして、前記のいずれかのシート材を用いることで、耐水性及び/又は耐油性及び/又は耐熱性、加えて、電子レンジ調理ができる食品収納箱及び調理用容器、さらに、皿と深皿の機能を持った持帰り梱包箱としても良い。
【発明の効果】
【0025】
本発明の構成を採用することにより例えば、天然材質系のボール紙の内面に石油系プラスチックのフイルムである耐水性のポリプロピレン(PP)を積層した1枚のシート材Aを用いることで、箱内に小包装した生麺等とスープ又は具材を同梱した販売用持帰り箱とし、請求項2で示す深皿状態にセットした梱包箱の中に、生素麺を挿入し、スープ又は具材を混ぜ合せ、もしくは、水を注ぐことで調理容器又は食器として用いることができる持帰り梱包箱であり、接着加工を施さず、組み立てながら係留固定し、側壁部の揺動を抑止できる持帰り梱包箱が得られる。
【0026】
また、1枚のシート材Aを天然材質系の基材である薄口段ボールの内面に石油系プラスチックのフイルムである耐熱性のポリブチレンテレフターレ(PBT)を積層することで例えば、フライドチキンのような揚げ物類の高温処理食品を納めて用いる持帰り梱包箱とするとともに、箱詰めのまま、もしくは、請求項2で示すような深皿形状にセットし、そのまま電子レンジで加熱することで、他の食器に移すことなく用いることができる。
【0027】
さらに、1枚のシート材Aを天然材質系の基材を用いることで例えば、ケーキ類又は焼菓子類の持帰り梱包箱として用い、図10で示すような皿の形状に全開することで、収納物を真上又は四方向から取出すことができる。
【0028】
また、図2で示すような形状に折畳むことで、外出時に用いるバックの中に納め、外食時の食べ残しや料理の持帰り箱(ドギーバック)として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例となる梱包箱の展開図
【図2】本発明の実施例となる梱包箱を折畳んだ平面図
【図3】前記の折畳んだ梱包箱を開いた状態と、底面部に物品をのせた状態の斜視図
【図4】底面部に物品をのせ両方の把手部を打ち合わせた包装状態を示す梱包箱の正面斜視図
【図5】左方の折返し部の四隅折返し部を内折りした状態の梱包箱の正面斜視図
【図6】第2側壁部の左方を折畳んで係留し、相対面の第2側壁部から物品を収納する状態の斜視図
【図7】右方の折返し部の四隅折返し部を折畳んだ状態の梱包箱の正面斜視図
【図8】右方の第2側壁部の係留する把手止め穴付き部を外側に開いた状態の梱包箱の斜視図
【図9】本発明の実施例となる梱包箱の包装組立てを完了した斜視図
【図10】本発明の実施例となる梱包箱の係留部を外した全開状態と、物品の状態を示す斜視図
【図11】梱包箱を全開し、片方の両把手掛り切り欠を両四隅折返し部の突出部に係留した状態と物品の状態を示す斜視図
【図12】梱包箱を全開し、両方の両把手掛り切り欠を両四隅折返し部の突出部に係留した状態と、物品の状態を示す斜視図
【図13】梱包箱の組立て完了後の相対面の把手平置き用切り目を内側に倒した状態の斜視図
【図14】梱包箱の組立て完了後に打ち合わせた把手部を横に90度倒した状態の斜視図
【図15】組立てた梱包箱の下段を把手部を倒して梱包箱を2段に積み重ねた斜視図
【図16】本発明の他の実施例となるテーパー形状の梱包箱の斜視図
【図17】本発明の他の実施例となる台形状の梱包箱の斜視図
【図18】従来の梱包箱の斜視図
【図19】従来の梱包箱の斜視図
【図20】従来技術の特許文献1に記載の梱包箱の斜視図
【図21】従来技術の特許文献2に記載の梱包箱の斜視図
【図22】従来技術の特許文献3に記載の梱包箱の斜視図
【図23】従来技術の特許文献4に記載の梱包箱の斜視図
【図24】従来技術の特許文献5に記載のケーキ箱の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、1枚のシート材を接着加工を施さず、食品収納箱及び調理用容器、さらに、皿又は、深皿の機能を有した持帰り梱包箱である。以下、これらの形状及び使用に適応するシート材を合せ、詳細に説明する。
【実施例1】
【0031】
梱包箱を展開すると図1に示されているように、1枚のシート材Aは、正方形又は長方形状の底面部4の四方に一対の境界内折目線3a、5aを有する第1側壁部3と第2側壁部5が設けられ、第1側壁部3と第2側壁部5の間には、四隅の境界内折目線6a又は7aを共有する折返し部6、7が設けられる。第1側壁部3から境界内折目線2aを共有して連接された半天蓋2と境界外折目線1aと把手部切り目2bを共有して連接された把手部1が設けられている。また、第2側壁部5から境界外折目線8aを共有して連接された把手止め穴付き部8に把手止め穴8bと把手平置き用切り目8cが設けられている。
【0032】
図2は、1枚のシート材Aの第1側壁部3と半天蓋2の両方の境界内折目線2aから内側に折畳み、さらに、底面部4と第1側壁部3の境界内折目線3aと両側に隣接する第2側壁部5と四隅折返し部7の境界内折目線7aを同時に折畳み、相対する面を同じ様に折畳んだ状態から、図3に示すように、シート材Aの第1側壁部3と半天蓋2の境界内折目線2aが折れた状態のまま物品Bを底面部4の上に置き、半天蓋2と把手部1の両方の境界外折目線1aを外側に90度折曲げ、図4で示すように、半天蓋2の把手部切り目2bで切り放された円弧部が互いに重ね合わさるように両方の把手部1を打ち合わせ、図5で示すように、左方の四隅折返し部の等角境界内折目線9aの両方を内側へ折込みながら、第2側壁部5を境界内折目線5aから折曲げ起立させることで、四隅折返し部7と四隅折返し侵入止め付壁部6と第2側壁部5及び隣接する把手止め穴付き部8とが三重に折り重なり、
図6で示すように四隅折返し部の突出部6cが、先に打ち合わせて留まった半天蓋2の切断面2cに当り、留まることで、四隅折返し部6、7の箱内への侵入を阻止する。なお、四隅折返し部の内部侵入止め突出部6cが、図6で示す様に把手止め穴付き部8の高さよりも低い高さであり、好ましくは、四隅折返し部の内部侵入止め突出部6cの高さは8mm以上、15mm以下の範囲であれば良い。
図7、8で示すように、第2側壁部5と把手止め穴付き部8を境界外折目線8aから外側に折り、把手部1の両端に施した把手掛り切り欠き部1bを把手止め穴付き部8の把手止め穴8bに嵌め込み係留固定することで、図9で示すように、容易な作業で持帰り梱包箱を完成させることができる。
【実施例2】
【0033】
次に、本発明の持帰り梱包箱への物品収納と梱包箱形状についてを詳細に説明する。
本発明においては、持帰り梱包箱内への物品収納は、図3に示すように、図2の形状から開き、両方の第1側壁部3と半天蓋2は、境界内折目線2aで折畳まれたままの状態に物品Bを底面部4に置き、前記のような包装手順で梱包するか又は、図6で示すように一方の第2側壁部5を起立させ打ち合わせた把手部1の把手掛り切り欠き部1bを把手止め穴8bに嵌め込み係留固定し、もう一方の開閉口から物品Bを収納でき、物品形状に合せた収納の選択ができる。
【0034】
また、本発明においては、図13で示すように把手止め穴付き部8の把手平置き用切り目8cを内側に折曲げ、図14で示すように打ち合わせた把手部1を横に90度倒すことで、持帰り梱包箱の積重ね(上積み)ができ、さらには、前述の外に突出した把手部1の係留部両先端を下に折り曲げ、把手止め穴付き部8と、四隅折返し侵入止め付き壁部6を内側に折曲げ、箱外突出部を無くすことで、シュリンク包装を可能とし、持帰り形状とは別の運搬、陳列販売ができる。
【0035】
また、本発明においては、図16、17で示すように相対する第1側壁部3の形状を台形や逆台形状とし、前述に合わせて四隅折返し壁部6、7との四隅折返し部の等角境界内折目線9aの45度の角度を増減し、第1側壁部3と四隅折返し壁部7の各々の境界内折目線3a、7aが直線状に折畳めるように構成することで、片方テーパー形、若しくは、片方台形の持帰り梱包箱となるとともに、前記の図2で示す折畳み形状となる。
【実施例3】
【0036】
さらに、本発明の持帰り梱包箱の物品Bの取出す手順と、食品の調理用容器及び、箱を開口と係留固定することで、皿又は深皿の形状を構成する持帰り梱包箱のそれぞれの使用について説明する。
【0037】
まず、本発明の持帰り梱包箱の内部に食品を収納したまま調理することができ、さらに、図9で示すように、物品Bの梱包完了状態から収納物を取出すには、把手止め穴付き部8を外側に順次開き、打ち合わせた把手部1を引き上げると、図10で示すように、箱に折癖が残った形状で箱が開くため、物品Bを真上、四方向から容易に取り出せる。または、別の皿に移すことなく、そのまま皿として使用する。
【0038】
さらに、前述の図10の状態から、図11、12の図で示すように、両方の四隅折返し侵入止め付き壁部6を両端の半天蓋切断面2cで90度内側に折曲げ、把手掛り切り欠き部1bの両端に引っ掛けながら境界折目線2aから深く折曲げることで、四隅折返しの突出部6bに把手掛り切り欠き1bが係留固定されることで、図12で示す深皿形状となる。
【0039】
次に前記した本発明の実施例1、2、3において用いる1枚のシート材Aについて説明する。
本発明に用いる前記1枚のシート材(A)としては、天然材質系のシート、植物系プラスチックのシート、植物系プラスチックの発泡シート、石油系プラスチックのシート、石油系プラスチックの発泡シート、植物系プラスチックと石油系プラスチックを混合したシート、植物系プラスチックと石油系プラスチックを混合した発泡シートのいずれかの1つから選択されたシート材又は前記で選択されたシート材に植物系プラスチックのフイルム、石油系プラスチックのフイルム、植物系プラスチックのフイルムと石油系プラスチックのフイルムを積層したフイルム、植物系プラスチック素材と石油系プラスチック素材を混合したフイルム、のいずれか1つから選択されたフイルムが積層された1枚のシート材(A)である。
【0040】
前記の天然材質系のシート材としては、紙製の厚口ボール材や薄口段ボール材又は木目板(突板)材又はアルミ材があり、例えば、薄口段ボール材を1枚のシート材Aとして用いる場合には、0.3〜2mm厚が好ましい。 さらに、耐水性又は耐油性又は耐熱性を強化するには、例えば、薄口段ボール材に耐熱性のポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)の6〜40μmを積層して用いることがより好ましい。
【0041】
前記の植物系プラスチックとしては、生分解性のポリ乳酸樹脂とコハク酸樹脂があり、例えば、ポリ乳酸樹脂シート材又はポリ乳酸樹脂発泡シート材を1枚のシート材Aとして用いる場合には、0.3〜3mm厚が好ましい。そして、耐油性又は耐熱性を高めるためにポリ乳酸樹脂と石油系プラスチックを混合した樹脂シート材を用いても良い。また、ポリ乳酸樹脂発泡シート材に石油系プラスチックのフイルム材を積層して用いても良い。
【0042】
前記の石油系プラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ?ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのポリオレフィン、ナイロン?6、ナイロン?66などのポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン?ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)がある。前述の共重合体の無延伸あるいは、延伸フィルム材又はシート材であり、1枚のシート材Aとする場合は、0.15〜1mm厚を用いることが好ましい。
なお、前記1枚のシート材Aの基材に積層する場合の前記石油系プラスチックのフイルム材としては3〜200μm厚が好ましい。
【0043】
本発明は、1枚のシート材Aとして、前述した各種の材質のシートやフイルムを積層して用いることで、収納物が持つ特性に合致する耐水性や耐油性や耐熱性を補完させることができる。さらに、耐水性及び/又は耐油性及び/又は耐熱性、加えて、電子レンジ調理ができる食品収納箱及び調理用容器、さらに、皿と深皿の機能を持った持帰り梱包箱とすることができる。
【符号の説明】
【0044】
A シート材(梱包箱)
B 物品(食品)
1 把手部
2 半天蓋
3 第1側壁部
4 底面部
5 第2側壁部
6 四隅折返し侵入止め付壁部
7 四隅折返し壁部
8 把手止め穴付き部
1a 半天蓋と把手部との境界外折目線
2a 第1側壁部と半天蓋との境界内折目線
3a 底面部と第1側壁部との境界内折目線
5a 底面部と第2側壁部との境界内折目線
6a 第1側壁部と四隅折返し部侵入止め付壁部との境界内折目線
7a 第2側壁部と四隅折返し壁部との境界内折目線
8a 第2側壁部と把手止め穴付き部との境界外折目線
9a 四隅折返し部の等角境界外折目線
1b 把手掛り切り欠き部
2b 把手部切り目
6b 四隅折返し部の突出部
8b 把手止め穴
1c 穴掛り止め部
2c 半天蓋切断面
6c 四隅折返し部の内部侵入止め突出部
8c 把手平置き用切り目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚のシート材(A)に糊付け加工を施さず、折り曲げて構成される食品収納箱及び調理用容器の機能を持つ持帰り梱包箱であって、
正方形の底面部(4)と、その底面部(4)の一方の相対向する二辺から起立する一対の第1側壁部(3)と、前記の底面部(4)の他方の相対向する二辺から起立する一対の第2側壁部(5)と、隣り合う前記第1側壁部(3)と第2側壁部(5)間に設けられ、前記底面部(4)の隅角部から直線状に延びた等角境界外折目線(9a)によって、折り重ねられる四隅折返し部侵入止め付壁部(6)と四隅折返し部(7)と、
前記第1側壁部(3)の外側に連接され、境界内折目線(2a)によって内側に折曲げられ、天蓋となる一対の半天蓋(2)と、
前記半天蓋(2)の外側に連接され、境界内折目線(1a)によって外側に折曲げられ、半天蓋(2)の中央部が円弧形状に把手部切り目(2b)より切り放たれ、互いに重なり合い、相対向する一対の把手部(1)が打ち合わされ、該把手部(1)の両端に把手掛りきり欠き(1b)と穴掛り止め部(1c)を有する係留部と、
前記第2側壁部(5)の外側に連接され、境界内折目線(5a)によって外側に折曲げられ、把手止め穴付壁部(8)と、係止部となる把手止め穴(8b)と、把手平置き用切り目(8c)を有する紙製シート材Aを底面部(4)と相対向する第1側壁部(3)との境界内折目線(3a)の二辺と、第1側壁部(3)と半天蓋(2)との境界内折目線(2a)二辺と、半天蓋(2)と把手部(1)との境界外折目線(1a)の二辺を順次に折り曲げ、相対向する一対の把手部(1)を打ち合わせた後、前記等角境界外折目線(9a)によって、四隅折返し部侵入止め付壁部(6)と四隅折返し部(7)を折りながら、相対向する第2側壁部(5)と把手止め穴付壁部(8)を起立させ、天蓋となる一対の半天面(2)の切断面で前記四隅折返し部侵入止め付壁部(6)の上部に施した四隅折返し部侵入止め突出部(6b)が、四隅折り返し部(6)、(7)の箱内部への侵入阻止と、
前記に打ち合わせた把手部(1)の把手掛りきり欠き部(1b)と穴掛り止め部(1c)を係受部となる把手止め穴(8b)に嵌め込むことにより接着加工を施さず係留固定することを特徴とした持帰り梱包箱。
【請求項2】
前記一対の把手部(1)の両係止部である穴掛り止め部(1b)を一対の四隅折返し部の突出部(6b)に係留し、深皿形状に固定したことを特徴とする請求項1に記載の持帰り梱包箱。
【請求項3】
前記持帰り梱包箱の、一対の把手止め穴付き部(8)に施した一対の把手平置き用切り目(8c)を外側又は内側に折り、打ち合わせた前記一対の把手部(1)を横に90度倒すことで、前記梱包箱(A)を積み重ね可能としたことを特徴とする請求項1又は2項に記載の持帰り梱包箱。
【請求項4】
前記1枚のシート材(A)としては、天然材質系のシート、植物系プラスチックのシート、植物系プラスチックの発泡シート、石油系プラスチックのシート、石油系プラスチックの発泡シート、植物系プラスチクと石油系プラスチックを混合したシート、植物系プラスチックと石油系プラスチックを混合した発泡シートのいずれかの1つから選択されたシート材又は前記で選択されたシート材に植物系プラスチックのフイルム、石油系プラスチックのフイルム、植物系プラスチックのフイルムと石油系プラスチックのフイルムを積層したフイルム、植物系プラスチック素材と石油系プラスチック素材を混合したフイルム、のいずれか1つから選択されたフイルムが積層されたシート材(A)であることを特徴とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の持帰り梱包箱。
【請求項5】
前記のいずれか1枚のシート材(A)を用いることで、耐水性及び/又は耐油性及び/又は耐熱性、加えて、電子レンジ調理ができることを特徴とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の持帰り梱包箱。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図3】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−285198(P2010−285198A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142030(P2009−142030)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(505216221)
【出願人】(505216667)
【Fターム(参考)】