説明

指針計器

【課題】表示の変化に空間的なつながり感と空間的な広がり感の両者が得られる指針計器を提供する。
【解決手段】指針計器1は、目盛部31を備えた透光性部材3と、透光性部材3の背後側に配置された光源63と、光源63が消燈している状態において、目盛部31の一部31aを目視側から遮蔽して目視側から視認させないように形成された遮蔽部23を有し、且つ、目盛部31の残部31bを目視側から視認させるように構成配置された文字盤2とを備え、遮蔽部23が、目盛部31の一部31aが光源63が点燈している状態において遮蔽部23を通して視認できるように透光性を有する。これにより、表示の変化に空間的なつながり感と空間的な広がり感の両者が得られる指針計器を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に採用するに適した指針計器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車に装備される車両用指針計器に対して、見映えを高めるために空間的な広がり感を求める要望がある。
【0003】
例えば、第1文字盤と、その目視側に配置された第2文字盤と、第2文字盤の目視側前面に沿って回動する指針と、第1文字盤の背後に配置された発光ダイオードと、第1文字盤と第2文字盤との間に配置されたハーフミラーとを備えた指針計器が開示されている(特許文献1を参照)。
【0004】
第1文字盤と第2文字盤は、共に透光性を有し、第1文字盤には目盛が形成され、第2文字盤には文字が形成されている。このため、発光ダイオードが消燈している状態においては、ハーフミラーは鏡状態となるため、第1文字盤の目盛は、鏡状態のハーフミラーによって目視側から視認できない。
【0005】
一方、発光ダイオードが点燈している状態においては、ハーフミラーが透光性を有するため、第1文字盤を透過照明した発光ダイオードの光が、ハーフミラーと第2文字盤を透過する。これにより、第1文字盤の目盛を、目視側から視認することができる。
【0006】
即ち、発光ダイオードが消燈している状態においては、第2文字盤の文字のみ視認されるが、発光ダイオードが点燈している状態においては、第2文字盤の文字と、これより背後側にある第1文字盤の目盛の両方を視認することができる。これにより、指針計器の表示を変化させて、立体感、奥行き感のある斬新な見映えを得ようとするものである。
【特許文献1】特開2003−247871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、指針計器の表示の変化に空間的な広がり感が得られるが、目盛と文字の間に空間的なつながり感がないため、指針計器の表示の変化に空間的なつながり感が得られない。このため、見映えを充分に高めることができない。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、表示の変化に空間的なつながり感と空間的な広がり感の両者が得られる指針計器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
【0010】
請求項1に記載の指針計器は、目盛部を備えた透光性部材と、透光性部材の背後側に配置された光源と、光源が消燈している状態において、目盛部の一部を目視側から遮蔽して目視側から視認させないように形成された遮蔽部を有し、且つ、目盛部の残部を目視側から視認させるように構成配置された文字盤とを備え、遮蔽部が、目盛部の一部が光源が点燈している状態において遮蔽部を通して視認できるように透光性を有することを特徴とする。
【0011】
この構成では、文字盤が、光源が消燈している状態において、透光性部材の目盛部の一部を目視側から遮蔽して目視側から視認させないように形成された遮蔽部を有し、且つ、目盛部の残部を目視側から視認させるように構成配置される。また、遮蔽部が、目盛部の一部が光源が点燈している状態において遮蔽部を通して視認できるように透光性を有する。
【0012】
これにより、光源が消燈している状態においては、透光性部材の目盛部は、その残部のみが視認され、光源が点燈している状態においては、透光性部材の目盛部は、その残部とその一部の両方が視認される。即ち、光源の点燈・消燈によって、目盛部の表示は、その残部のみが視認される状態と、その残部とその一部の両方が視認される状態の間で変化する。
【0013】
この結果、目盛部の表示の変化に空間的なつながり感と空間的な広がり感の両者が得られ、表示の変化に空間的なつながり感と空間的な広がり感の両者が得られる指針計器を提供することができる。
【0014】
請求項2に記載の指針計器は、目盛部の各目盛が、目盛部の一部と目盛部の残部との間で連続して形成されていることを特徴とする。
【0015】
この構成では、目盛部の各目盛が、目盛部の一部と目盛部の残部との間で連続して形成されているため、目盛部の表示の変化に空間的なつながり感をより高めることができる。これにより、上述の効果をより高めることができる。
【0016】
請求項3に記載の指針計器は、目盛部が、遮蔽部に対して傾斜するように形成されていることを特徴とする。
【0017】
この構成では、目盛部が遮蔽部に対して傾斜しているため、目盛部の表示の変化に奥行き感を追加でき、これにより、空間的な広がり感をより高めることができる。これにより、上述の効果をより高めることができる。
【0018】
請求項4に記載の指針計器は、目盛部の残部が、目盛部の一部より目視側に配置されていることを特徴とする。
【0019】
この構成では、目盛部の残部が目盛部の一部より目視側に配置されているため、光源を点燈させることによって、目盛部が奥へ伸びていくように見せることができる。これにより、上述の効果をより高めることができる。
【0020】
請求項5に記載の指針計器は、遮蔽部が、目盛部の一部側から目盛部の残部側へ向かって徐々に透光性が高まるように形成されたグラデーション部を備えることを特徴とする。
【0021】
この構成では、遮蔽部が、目盛部の一部側から目盛部の残部側へ向かって徐々に透光性が高まるように形成されたグラデーション部を備える。これにより、光源を点燈させることによって、目盛部の一部が、目盛部の残部側と反対方向へ向かって徐々に視認し難くなる。このため、目盛部が奥へ伸びて消えていくように見せることができ、目盛部が奥へ伸びていく感覚をより強調できる。この結果、上述の効果をより高めることができる。
【0022】
請求項6に記載の指針計器は、遮蔽部が、曇りガラス特性またはハーフミラー特性を有するように形成されていることを特徴とする。
【0023】
この構成では、遮蔽部が曇りガラス特性またはハーフミラー特性を有するように形成されている。これにより、目盛部の一部を、容易な構成で、光源の点燈・消燈によって視認できる状態と視認できない状態の間で変化させることができる。この結果、上述の効果を容易な構成で得ることができる。
【0024】
請求項7に記載の指針計器は、文字盤が、光源が消燈している状態において目盛部の残部を目視側から視認させる開口部または透明部を備えることを特徴とする。
【0025】
この構成では、文字盤が、光源が消燈している状態において目盛部の残部を目視側から視認させる開口部または透明部を備える。これにより、光源が消燈している状態において目盛部の残部を、容易な構成で目視側から視認させることができる。この結果、上述の効果を容易な構成で得ることができる。
【0026】
請求項8に記載の指針計器は、文字盤の目視側前面に沿って回動する指針を備え、透光性部材と遮蔽部が、指針の先端が回動する方向へ沿う形状に形成され、目盛部が、指針の先端が回動する方向へ沿って形成され、目盛部の一部が、目盛部の残部より内周側または外周側に配置されていることを特徴とする。
【0027】
この構成でも、上述の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明による指針計器を、自動車に搭載されるコンビネーションメータ1に適用した場合を例に図面に基づいて説明する。
【0029】
(構成)
図1は、本発明の一実施形態による指針計器であるコンビネーションメータ1の正面図である。
【0030】
図2は、図1中のII−II線断面図である。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1の電気回路構成を説明する回路構成図である。
【0032】
図4は、図1に示すコンビネーションメータ1の図2に示す発光ダイオード62と光源である発光ダイオード63の消燈時における正面図である。
【0033】
指針計器であるコンビネーションメータ1は、自動車の運転席前方に配置されて当該自動車に関する各種情報を表示する。
【0034】
本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1は、図1に示すように、走行速度を表示する速度計を構成する。速度計は、走行速度を表示して運転者に視認させるために、文字部21が形成された文字盤2と、目盛部31が形成された透光性部材である目盛リング3と、文字盤2の目視側前面(図2おいて左側の面)に沿って回動する指針4とを備える。
【0035】
文字盤2は、曇りガラス特性を有するように形成される。具体的に、文字盤2は、スモーク調(曇りガラス調)に調整されて透光性を有する材料、例えば無色透明な樹脂等に光拡散性を有する微粉末を混入させた材料から板状に形成される。黒色で遮光性の背景層22を、文字盤2の裏面(図2において右側の面)に文字部21の背景部として形成し、背景層22の開口を文字部21として形成する。背景層22は、ホットスタンプや印刷等により形成される。
【0036】
文字盤2の外周側に位置する環状部を、図1に示すように、遮蔽部23として形成する。即ち、遮蔽部23は、指針4の先端が回動する方向へ沿う形状に設けられる。遮蔽部23の断面は、図2に示すように、その板厚(図2において左右方向の寸法)が外周方向(図2において上下方向)へ向かって薄くなるように楔形に形成される。
【0037】
文字盤2、即ち、遮蔽部23が曇りガラス特性を有するように形成されているため、楔形に形成されている遮蔽部23の透光性は、外周方向へ向かって、徐々に高まる。これにより、遮蔽部23は、その透光性が外周方向へ向かって徐々に高まるように形成されているグラデーション部を構成する。
【0038】
尚、文字盤2(遮蔽部23)は、後述する光源である発光ダイオード63が消燈している状態において目視側(図2において左側)から文字盤2(遮蔽部23)を通して文字部21と後述する目盛部31の一部31a(図1において内周側の部位、図2において右側の部位)とを視認させないようにスモーク調が調整される。さらに、文字盤2(遮蔽部23)は、発光ダイオード63が点燈している状態において目視側から文字盤2(遮蔽部23)を通して文字部21と目盛部31の一部31aとを視認できるようにスモーク調が調整される。
【0039】
即ち、文字盤2(遮蔽部23)は、発光ダイオード63の点燈・消燈の切替により、文字部21と目盛部31の一部31aの表示の切替が可能なようにスモーク調が調整される。
【0040】
また、遮蔽部23の裏面(図2において楔形の傾斜部分)には、背景層22を形成しない。
【0041】
目盛リング3は、例えば無色透明なアクリル樹脂等からリング状に形成される。白色で透光性の目盛層32を目盛リング3の前面(図2において左側の面)に形成し、黒色で遮光性の背景層33を、目盛層32の前面(図2において左側の面)に目盛部31の背景部として形成する。目盛部31は、目盛層32を背景層32の開口を通して視認させる構成として形成される。目盛層32と背景層33も、それぞれ、ホットスタンプや印刷等により形成される。
【0042】
目盛部31は、指針4の先端が回動する方向へ沿って形成され、且つ、遮蔽部23(文字盤2)に対して傾斜して形成される。
【0043】
目盛部31の一部31a(図1において内周側の部位、図2において右側の部位)は、文字盤2の遮蔽部23によって目視側(図2において左側)から遮蔽されるように配置される。目盛部31の残部31b(図1において外周側の部位、図2において左側の部位)は、目盛部31の一部31aより目視側に配置され、文字盤2より目視側に飛び出すように配置される。目盛部31の各目盛は、図1に示すように、目盛部31の一部31aと目盛部32の残部31bとの間で連続して形成されている。
【0044】
尚、図2においては、文字盤2を、遮蔽部23より外周側に設けない構成としているが、これに限定しない。目盛部31の残部31bが文字盤2より目視側に飛び出すことが可能なように、文字盤2に対して開口部を設ける構成とすることも可能である。
【0045】
文字盤2には、図2に示すように、後述するムーブメント5のシャフト51を挿通させるための貫通孔26が設けられ、文字盤2と目盛リング3の背後側(図2において右側)には、ムーブメント5、発光ダイオード61、62、光源である発光ダイオード63、支持部材7、プリント基板8、マイクロコンピュータ等から構成される制御装置9が配置される。プリント基板8は、速度計の電気回路部を形成するものであり、ムーブメント5と発光ダイオード61−63と制御装置9は、プリント基板8に実装される。
【0046】
ムーブメント5は、例えば交差コイル式アクチュエータ、あるいはステッピングモータ等から構成され、外部からの電気信号(本実施形態においては車速信号)に対応した角度だけシャフト51を回動させるものである。シャフト51は、文字盤2の貫通孔26を通して前面側、つまり図2において左側へ延出し、その先端に指針4が固定される。
【0047】
文字盤2の支持部部材7の内側は、発光ダイオード61からの例えば白色光を指針4へ導く照明室を形成する。指針4は、アクリル樹脂等の透光性材料により形成されてその指針4の前面に赤色層が形成され、指針4内に入射した発光ダイオード61の白色光によって、赤色で発光表示されるように構成される。
【0048】
遮光キャップ41は、発光ダイオード61の白色光が視認者の目に直接入射しないようにするためのものであり、遮光性で黒色の樹脂等から形成される。
【0049】
発光ダイオード62からの例えば白色光は、文字盤2を透過照明し、発光ダイオード63からの例えば白色光は、目盛リング3に入射して目盛部31を透過照明する。
【0050】
これらを収納する筐体は、アッパケース10とロアケース11と透明カバー12とから構成される。ロアケース11には、支持部11aが形成され、目盛リング3を、アッパケース10とロアケース11の支持部11aとによって挟むようにしてこれらに固定させる。尚、アッパケース10とロアケース11は、遮光性で黒色の樹脂等から形成され、透明カバー12は、無色透明の樹脂等から形成される。
【0051】
尚、目盛リング3には、第1凸部34と第2凸部35とが形成され、第1凸部34を、アッパケース10の貫通孔に挿通させてアッパケース10の目視側(図2において左側)へ突出させる。また、第2凸部35を、ロアケース11の外周側(図2において上側と下側)へ突出させるように、アッパケース10とロアケース11の支持部11aとによって挟む構成とする。第1凸部34と第2凸部35は、図1に示すように目盛部31を外周側から加飾するものである。
【0052】
以上説明した本実施形態によるコンビネーションメータ1の電気回路構成について、図3に基づいて説明する。
【0053】
制御装置9には、バッテリ15から電力が常時供給され、イグニッションスイッチ14がその操作ポジション(オフポジション、オンポジション)を検出可能に接続される。また、制御装置9には当該自動車の走行速度を検出する車速センサ13がその信号を入力可能に接続される。
【0054】
また、車速センサ13からの検出信号に応じて制御装置9によって駆動されるムーブメント5、発光ダイオード61−63も、制御装置9に接続される。
【0055】
(作動)
以下に、上記構成において、本実施形態によるコンビネーションメータ1の作動を説明する。
【0056】
運転者によってイグニッションスイッチ14がオンされると、図3において、制御装置9は、それを検出して作動を開始し、発光ダイオード61−63を点灯させると共に、ムーブメント5を駆動する。即ち、制御装置9は、速度センサ13からの出力信号に基づき、当該自動車の車速を算出し、これに対応した角度だけシャフト51を回動させるように、ムーブメント5を駆動する。
【0057】
点灯した発光ダイオード61の白色光は、図2において、支持部材7により導かれ、指針4を赤色で発光表示させる。
【0058】
点灯した発光ダイオード62の白色光は、図2に示す矢印P1の光路に従って文字盤2を透過照明する。これにより、文字盤2では、図1において、文字21が黒色の背景層22を背景として白色で発光表示される。
【0059】
点灯した発光ダイオード63の白色光は、図2に示す矢印P2の光路に従って、目盛リング3に入射して目盛部31を透過照明し、透光性を有する遮蔽部23を透過する。これにより、目盛部31の一部31aと目盛部31の残部31bの両者が、図1において、黒色の背景層33を背景として白色で発光表示される。目盛リング3に入射した発光ダイオード63の白色光の一部は、第1凸部34と第2凸部35に到達するため、図1においてこれらも発光表示させる。
【0060】
上述したように、目盛部31は、遮蔽部23(文字盤2)に対して傾斜して形成され、目盛部31の残部31bは、目盛部31の一部31aより目視側(図2において左側)に配置される。また、スモーク調に調整された遮蔽部23の断面は、その板厚(図2において左右方向の寸法)が外周方向へ向かって薄くなるように楔形に形成される。即ち、遮蔽部23は、目盛部31の一部31a側から目盛部31の残部31b側へ向かって徐々に透光性が高まるように形成されている。
【0061】
これにより、目盛部31の表示に奥行き感えられると共に、遮蔽部23で遮蔽されている目盛部31の一部31aが指針4の回転中心へ向かって徐々に視認し難くなり、いわゆるグラデーション効果が得られる。このため、目盛部31を奥へ伸びて消えていくように見せることができ、目盛部31が奥へ伸びていく感覚をより強調できる。
【0062】
一方、イグニッションスイッチ14がオフされると、発光ダイオード61−63が消燈するため、指針4と文字盤2の文字部21と目盛リング3の目盛部31は、いずれも発光表示しない。
【0063】
上述したように、文字盤2は遮蔽部23を含めてスモーク調に調整されているため、図4に示すように、文字盤2の裏面に形成された文字部21と、文字盤2の遮蔽部23によって目視側から遮蔽された目盛リング3の目盛部31の一部31aは、視認できない。しかし、遮蔽部23によって遮蔽されていない目盛部31の残部31bは、視認することができる。
【0064】
これにより、コンビネーションメータ1の表示は、イグニッションスイッチ14をオン・オフすることによって、図1に示す表示状態と図4に示す表示状態の間で変化する。特に、目盛部31の表示は、図1に示す目盛部31の残部31bと一部31aの両者が視認される状態と図4に示す目盛部31の残部31bのみが視認される状態の間で変化する。
【0065】
この結果、目盛部31の表示の変化に対して、空間的なつながり感と空間的な広がり感の両者を得ることができる。即ち、イグニッションスイッチ14をオフ状態からオン状態に切り替えると、目盛部31の各目盛は短い状態から長い状態に伸びてゆくように見え、反対に、イグニッションスイッチ14をオン状態からオフ状態に切り替えると、目盛部31の各目盛は長い状態から短い状態に縮んでゆくように見える。
【0066】
また、目盛部31の各目盛が、目盛部31の一部31aと目盛部31の残部31bとの間で連続して形成されているため、目盛部31の表示の変化に空間的なつながり感をより高めることができる。
【0067】
また、目盛部31が遮蔽部23に対して傾斜して配置されているため、目盛部31の表示の変化に、奥行き感を追加でき、空間的な広がり感をより高めることができる。
【0068】
また、遮蔽部23の断面が楔形に形成されているため、そのグラデーション効果によってイグニッションスイッチ14をオンすることによって目盛部31が奥へ伸びて消えていくように見せることができる。これにより、目盛部31の表示の変化に、奥行き感をより強調でき、空間的な広がり感をより高めることができる。
【0069】
以上、本発明の一実施形態による指針計器であるコンビネーションメータ1は、目盛部31を備えた透光性部材である目盛リング3と、目盛リング3の背後側に配置された光源である発光ダイオード63と、発光ダイオード63が消燈している状態において、目盛部31の一部31aを目視側から遮蔽して目視側から視認させないように形成された遮蔽部23を有し、且つ、目盛部31の残部31bを目視側から視認させるように構成配置された文字盤2とを備え、遮蔽部23が、目盛部31の一部31aが発光ダイオード63が点燈している状態において遮蔽部23を通して視認できるように透光性を有する。
【0070】
これにより、表示の変化に空間的なつながり感と空間的な広がり感の両者が得られる指針計器を提供することができる。
【0071】
(変形例)
図5は、図2の第1変形例を示す断面図である。
【0072】
第1変形例では、文字盤2は、図5に示すように、上述の例と異なり、目盛部31の残部31b(図1において外周側の部位、図5において左側の部位)の目視側(図5において左側)に透明部25を備え、透明部25を除く目視側前面にスモーク層24を備える。
【0073】
透明部25は、傾斜している目盛部31に沿うように傾斜して形成され、発光ダイオード63が消燈している状態(イグニッションスイッチ14がオフの状態)において目視側から透明部25を通して目盛部31の残部31bを視認可能な透明性を有する。但し、透明部25は、無色透明に限る必要はなく、例えば黄色等の色相を有することも可能である。
【0074】
スモーク層24は、発光ダイオード62、63が消燈している状態(イグニッションスイッチ14がオフの状態)において目視側からスモーク層24を通して目盛リング3の目盛部31の一部31a(図1において内周側の部位、図5において右側の部位)と文字盤2の文字部21とを視認させないようにスモーク調が調整される。さらに、スモーク層24は、発光ダイオード62、63が点燈している状態(イグニッションスイッチ14がオンの状態)において目視側からスモーク層24を通して目盛リング3の目盛部31の一部31aと文字盤2の文字部21とを視認できるようにスモーク調が調整される。
【0075】
即ち、スモーク層24は、イグニッションスイッチ14がオン・オフの切替により、目盛部31と文字部21の表示の切替が可能なようにスモーク調が調整される。
【0076】
スモーク層24は、遮蔽部23の部位で、外周方向へ向かって、即ち、目盛部31の一部31a側から目盛部31の残部31b側へ向かって徐々に透光性が高まるように形成され、グラデーション部を構成する。
【0077】
尚、文字盤2は、例えば無色透明のポリカーボネート樹脂等の板材から形成され、裏面に背景層22を形成し、目視側前面にスモーク層24を形成する。この後、透明部25を圧空成形等で傾斜させて、文字盤2を形成する。
【0078】
以上により、第1変形例においても上述の効果を得ることができる。
【0079】
図6は、図2の第2変形例を示す断面図である。
【0080】
第2変形例では、目盛リング3を、図6に示すように、第1変形例と異なり、文字盤2(遮蔽部23)に対して傾斜させないで板状に形成し、文字盤2に透明部25を形成しない構成とする。
【0081】
目盛部31が遮蔽部23に対して傾斜して配置されていないため、目盛部31の表示の変化に、奥行き感が得られないが、目盛部31の表示の変化に対して、空間的なつながり感と空間的な広がり感の両者を得ることができる。
【0082】
図7は、図2の第3変形例を示す断面図である。
【0083】
第3変形例では、板状の目盛リング3を、図7に示すように、第2変形例と異なり、文字盤2(遮蔽部23)に対してより背後側(図7において右側)に配置する。
【0084】
このため、第3変形例では、第2変形例に比較してより空間的な広がり感を得ることができる。
【0085】
図8は、図2の第4変形例を示す断面図である。
【0086】
図9は、第4変形例におけるコンビネーションメータ1の発光ダイオード62、63の消燈時における正面図である。
【0087】
第4変形例では、遮蔽部23を、図8に示すように、上述の例と異なり、目盛部31の一部31a(図1において内周側の部位、図8において左側の部位)でなくて目盛部31の残部31b(図1において外周側の部位、図8において右側の部位)を遮蔽するように配置する。これに伴ない、透明部25を、目盛部31の一部31aの目視側(図8において左側)に配置する。
【0088】
また、板状の目盛リング3を、目盛部31の一部31aが目盛部31の残部31bより目視側(図8において左側)に配置されるように傾斜させる。スモーク層24を、遮蔽部23の部位で、内周方向へ向かって、即ち、目盛部31の残部31b側から目盛部31の一部31a側へ向かって徐々に透光性が高まるように形成し、グラデーション部を構成する。
【0089】
以上により、イグニッションスイッチ14(発光ダイオード63)をオフからオンに切り替えると、コンビネーションメータ1は、図9に示す状態から図1に示す状態へ切り替わる。即ち、目盛部31は、上述の例と反対方向の内周側から外周側へ向かって奥へ伸びて消えていくように見せることができる。
【0090】
以上により、第4変形例においても上述の効果を得ることができる。
【0091】
また、第1変形例から第4変形例において、スモーク層24の代わりにハーフミラー層を形成することも可能である。ハーフミラー層は、例えば透光性樹脂に所定の粒径や形状を有する所定量のアルミニウム粉末を混入させた材料で印刷等により形成する。尚、ハーフミラー層は、第1変形例から第3変形例において、スモーク層24の場合と同様に、遮蔽部23の部位で、外周方向へ向かって、即ち、目盛部31の一部31a側から目盛部31の残部31b側へ向かって徐々に透光性が高まるように形成され、グラデーション部を構成する。
【0092】
一方、第3変形例では、ハーフミラー層を、遮蔽部23の部位で、内周方向へ向かって、即ち、目盛部31の残部31b側から目盛部31の一部31a側へ向かって徐々に透光性が高まるように形成し、グラデーション部を構成する。
【0093】
尚、上述の実施形態や変形例では、コンビネーションメータ1が速度計を形成しているが、これに限る必要は無く、他の指針計器、例えば回転計等と置き換える、あるいは追加することができる。
【0094】
また、本発明は、上述の例に限らず、これらの組み合わせや、他の種々の変形例が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による指針計器であるコンビネーションメータ1の正面図である。
【図2】図2は、図1中のII−II線断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1の電気回路構成を説明する回路構成図である。
【図4】図4は、図1に示すコンビネーションメータ1の図2に示す発光ダイオード62と光源である発光ダイオード63の消燈時における正面図である。
【図5】図5は、図2の第1変形例を示す断面図である。
【図6】図6は、図2の第2変形例を示す断面図である。
【図7】図7は、図2の第3変形例を示す断面図である。
【図8】図8は、図2の第4変形例を示す断面図である。
【図9】図9は、第4変形例におけるコンビネーションメータ1の発光ダイオード62、63の消燈時における正面図である。
【符号の説明】
【0096】
1 コンビネーションメータ(指針計器)
2 文字盤、21 文字部、22 背景層
23 遮蔽部(グラデーション部)、24 スモーク層(グラデーション部)
25 透明部、26 貫通孔
3 目盛リング(透光性部材)、31 目盛部、31a 一部、31b 残部
32 目盛層、33 背景層、34 第1凸部、35 第2凸部
4 指針、41 遮光キャップ、5 ムーブメント、51 シャフト
61、62 発光ダイオード、63 発光ダイオード(光源)
7 支持部材、8 プリント基板、9 制御装置
10 アッパケース、11 ロアケース、11a 支持部、12 透明カバー
13 速度センサ、14 イグニッションスイッチ、15 バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目盛部を備えた透光性部材と、
前記透光性部材の背後側に配置された光源と、
前記光源が消燈している状態において、前記目盛部の一部を目視側から遮蔽して該目視側から視認させないように形成された遮蔽部を有し、且つ、該目盛部の残部を該目視側から視認させるように構成配置された文字盤とを備え、
前記遮蔽部は、前記目盛部の前記一部が前記光源が点燈している状態において該遮蔽部を通して視認できるように透光性を有することを特徴とする指針計器。
【請求項2】
前記目盛部の各目盛は、該目盛部の前記一部と該目盛部の前記残部との間で連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の指針計器。
【請求項3】
前記目盛部は、前記遮蔽部に対して傾斜するように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の指針計器。
【請求項4】
前記目盛部の前記残部は、該目盛部の前記一部より前記目視側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の指針計器。
【請求項5】
前記遮蔽部は、前記目盛部の前記一部側から該目盛部の前記残部側へ向かって徐々に透光性が高まるように形成されたグラデーション部を備えることを特徴とする請求項4に記載の指針計器。
【請求項6】
前記遮蔽部は、曇りガラス特性またはハーフミラー特性を有するように形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の指針計器。
【請求項7】
前記文字盤は、前記光源が消燈している状態において前記目盛部の前記残部を前記目視側から視認させる開口部または透明部を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の指針計器。
【請求項8】
前記文字盤の目視側前面に沿って回動する指針を備え、
前記透光性部材と前記遮蔽部は、前記指針の先端が回動する方向へ沿う形状に形成され、
前記目盛部は、前記指針の前記先端が回動する方向へ沿って形成され、
前記目盛部の前記一部は、該目盛部の前記残部より内周側または外周側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の指針計器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−218694(P2007−218694A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38491(P2006−38491)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】