説明

捺染用インクジェットインクセット及びインクジェット捺染方法

【課題】前処理を施してない布帛に対してもにじみ、インク混じりを押さえ、かつ高濃度の発色が可能な捺染用インクジェットインクセット及びインクジェット捺染方法を提供。
【解決手段】反応性染料、水溶性有機溶剤及び水を含む記録インクと、水溶性高分子、無機塩基を含有する透明インクからなることを特徴とする捺染用インクジェットインクセット及びインクジェット捺染方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捺染用インクジェットインクセット及びインクジェット捺染方法に関し、さらに詳しくは、前処理を施してない布帛に対してもにじみ、インク混じりを押さえ、かつ高濃度の発色が可能な捺染用インクジェットインクセット及びインクジェット捺染方法に関する。
【背景技術】
【0002】
布帛に従来の水性インクを直接吐出して布帛上に画像を形成する場合、にじみが発生する。このため通常、CMC、アルギン酸Naなどの水溶性高分子からなる成分を布帛に付与した前処理を行って(例えば、特許文献1参照)きた。布帛中の水溶性高分子がインク保持成分(吸収層)として働き、にじみ発生を防止してきたと考えられている。
【0003】
また、この布帛前処理には水溶性高分子以外に必要に応じてpH調整剤や保湿剤などが添加されて用いられている場合がある。
【0004】
このような布帛の前処理は、オンデマンドで対応できるインクジェットプリント工程と異なり前もってある程度まとまった量を処理しておく必要があり、時間を要し、また前処理布の在庫を持たねばならず、また処理コストもかかりインクジェット捺染をより普及させる上で障害となっている。
【0005】
また、上記のように糊剤でインクを吸収しにじみを抑える機構上、インクが布帛表面に滞在しやすく、表面発色濃度は比較的高いものの、布帛深部まで染まらないという課題も存在する。
【0006】
にじみ抑制目的の機能液をインクジェットヘッドを用いて付与することで前処理をなくす試みがされている。特開平9−296380号にはにじみ防止剤を含む第1のインクで画像縁取りをする方法が開示されている、にじみ抑制剤としては、疎水性物質で水をはじく性質を有する化合物の添加が開示されているが、この発明は白地と画像部の境界のにじみ防止や、異なる特定の色相の境界のにじみ防止に限定される発明であると読み取れる。この発明では、より表現力を増した諧調表現をもつプリント画像でのにじみ抑制には対応できない。また、細線やディテール画像表現には向いていない。なぜなら、第1のインクのプリント域と記録インクのプリント画像を正確に合わせなければならないが、布帛は伸縮しやすく位置合わせも非常に困難であるからである。さらに、第1のインク自体も布帛に対してにじむため、非常に細かい細線は原理的に書けないからである。さらに、該特許には第1のインクが発色濃度向上に関する記載はなく、また発色濃度向上に寄与する成分を添加することの記載もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−116880号公報 布帛に従来の水性インクを直接吐出して布帛上に画像を形成する場合、にじみが発生する。このため通常、CMC、アルギン酸Naなどの水溶性高分子からなる成分を布帛に付与した前処理を行って(例えば、特許文献1参照)きた。布帛中の水溶性高分子がインク保持成分(吸収層)として働き、にじみ発生を防止してきたと考えられている。
【0008】
また、この布帛前処理には水溶性高分子以外に必要に応じてpH調整剤や保湿剤などが添加されて用いられている場合がある。
【0009】
このような布帛の前処理は、オンデマンドで対応できるインクジェットプリント工程と異なり前もってある程度まとまった量を処理しておく必要があり、時間を要し、また前処理布の在庫を持たねばならず、また処理コストもかかりインクジェット捺染をより普及させる上で障害となっている。
【0010】
また、上記のように糊剤でインクを吸収しにじみを抑える機構上、インクが布帛表面に滞在しやすく、表面発色濃度は比較的高いものの、布帛深部まで染まらないという課題も存在する。
【0011】
にじみ抑制目的の機能液をインクジェットヘッドを用いて付与することで前処理をなくす試みがされている。特開平9−296380号にはにじみ防止剤を含む第1のインクで画像縁取りをする方法が開示されている、にじみ抑制剤としては、疎水性物質で水をはじく性質を有する化合物の添加が開示されているが、この発明は白地と画像部の境界のにじみ防止や、異なる特定の色相の境界のにじみ防止に限定される発明であると読み取れる。この発明では、より表現力を増した諧調表現をもつプリント画像でのにじみ抑制には対応できない。また、細線やディテール画像表現には向いていない。なぜなら、第1のインクのプリント域と記録インクのプリント画像を正確に合わせなければならないが、布帛は伸縮しやすく位置合わせも非常に困難であるからである。さらに、第1のインク自体も布帛に対してにじむため、非常に細かい細線は原理的に書けないからである。さらに、該特許には第1のインクが発色濃度向上に関する記載はなく、また発色濃度向上に寄与する成分を添加することの記載もない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、前処理を施してない布帛に対してもにじみ、インク混じりを押さえ、かつ高濃度の発色が可能な捺染用インクジェットインクセット及びインクジェット捺染方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
【0014】
1.反応性染料、水溶性有機溶剤及び水を含む記録インクと、水溶性高分子、無機塩基を含有する透明インクからなることを特徴とする捺染用インクジェットインクセット。
【0015】
2.前記透明インクが液体保湿剤と固体保湿剤とを含有することを特徴とする前記1記載の捺染用インクジェットインクセット。
【0016】
3.前記水溶性高分子がポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合物、グリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、グリセリンのポリプロピレン付加物、ジグリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、及びジグリセリンのポリプロピレン付加物から選ばれる少なくとも1種であって、かつ該水溶性高分子総量が透明インクの全量に対して固形分として1質量%以上10質量%未満であることを特徴とする前記1又は2記載の捺染用インクジェットインクセット。
【0017】
4.前記透明インクが水溶性カチオンポリマーを含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の捺染用インクジェットインクセット。
【0018】
5.前記無機塩基がカリウム塩を含有することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項記載の捺染用インクジェットインクセット。
【0019】
6.前記無機塩基が酢酸塩を含有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項記載の捺染用インクジェットインクセット。
【0020】
7.前記1〜6のいずれか1項記載の捺染用インクジェットインクセットを用いて布帛にプリント後、加熱による定着工程を含むインクジェット捺染方法であって、該布帛に透明インクを付与した後に、記録インクを付与することを特徴とするインクジェット捺染方法。
【0021】
8.前記プリント時に用いるプリンタが、同一キャリッジ上に透明インク用ヘッド、記録インク用ヘッドを配置したプリンタであって、かつ、1回のスキャンで透明インク、記録インクの双方を布帛上に付与することを特徴とする前記7記載のインクジェット捺染方法。
【0022】
9.前記布帛を加熱しながら、透明インクを付与することを特徴とする前記7又は8記載のインクジェット捺染方法。
【0023】
10.前記布帛を加熱しながら、透明インク及び記録インクの双方を付与することを特徴とする前記7又は8記載のインクジェット捺染方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、前処理を施してない布帛に対してもにじみ、インク混じりを押さえ、かつ高濃度の発色が可能な捺染用インクジェットインクセット及びインクジェット捺染方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の評価プリンタの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、反応性染料、水溶性有機溶剤及び水を含む記録インクと、水溶性高分子、無機塩基を含有する透明インクからなることを特徴とする捺染用インクジェットインクセットにより、前処理を施してない布帛に対してもにじみ、インク混じりを押さえ、かつ高濃度の発色が可能な捺染用インクジェットインクセットを実現できることを見出した。
【0028】
(透明インク)
本発明の透明インクの特徴は、記録インクでのプリント時のにじみを抑制するために、水溶性高分子と無機塩基の両方を含有する液をインクジェットヘッドから布帛に付与することである。水溶性高分子は溶液状態にしたときにその固形分が高いほど粘度が高くなる、この高い粘度を利用して記録インク着弾後のにじみも防止するものである。水溶性高分子を記録インクに添加することも考えられるが、記録インクには多量の色剤が添加されており、そこへにじみ抑制に十分な量の水溶性高分子を安定に添加することは非常に困難なことがわかり別途透明インクに添加することがよいことが判明した。さらに、無機塩基そのものにも多少のにじみ抑制効果があることが判り、驚くべきことにこの無機塩基と水溶性高分子を併用することでにじみ抑制の効果が相乗的に大きくなることを発見し本発明に至ったものである。
【0029】
(水溶性高分子)
本発明に係る透明インクにおいては、水溶性高分子を透明インク全質量に対し、1.0質量%以上、10.0質量%以下含有することが好ましい。水溶性高分子の含有量が1.0質量%以上であれば、記録インクのにじみを十分に抑制することができ、10.0質量%以下であればインクジェット射出性に影響を与えることなく、記録インクのにじみを効果的に抑制することができる。また、プリント物の風合いを変えないように、水溶性高分子は、プリント、発色後の洗濯工程で除去しやすいものがよい。本発明でいう水溶性とは、25℃の水に対し1.0質量%以上、好ましくは5.0質量%以上溶解する高分子をいう。
【0030】
水溶性高分子の例としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合物、グリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、グリセリンのポリプロピレン付加物、ジグリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、ジグリセリンのポリプロピレン付加物、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0031】
水溶性高分子の好ましいものとしては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合物、グリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、グリセリンのポリプロピレン付加物、ジグリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、ジグリセリンのポリプロピレン付加物等が挙げられる。
【0032】
水溶性高分子の好ましい添加量、分子量などはタイプごとに異なる。
【0033】
ポリビニルピロリドンは安定にインクジェットヘッドから射出でき、かつにじみ抑制効果も大きく最も好ましい水溶性高分子である。
【0034】
ポリビニルピロリドンは、分子量と相関する粘性特性値で分類されており、k15、k30、k60などが好ましく用いることが出来、特にk15、k30がインクジェット射出安定性が高く、かつ、にじみ抑制に効果があり好ましい。透明インクへの添加量としては、固形分として1質量%〜10質量%添加することが好ましい。
【0035】
ポリエチレングリコールとしては、重量平均分子量が600以上のものを好ましく用いることが出来る。さらに1000以上4000以下のものが特ににじみ抑制に効果があり好ましい。透明インクへの添加量としては、1質量%〜10質量%添加することが好ましい。
【0036】
エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合物としては、ポリプロピレングリコールの末端にポリエチレンオキサイドを付加させた構造のもの、ポリエチレングリコールの末端にポリプロピレンオキサイドを付加させた構造のもの、エチレンオキサイド−プロピレノキサイドのランダム共重合体などがあげられる。
【0037】
ポリプロピレングリコールの末端にポリエチレンオキサイドを付加させた構造のものとしては、ADEKA株式会社のアデカプルロニックL、P、Fシリーズに種々のエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド配合比率品や種々の分子量のものが市販されており、それらから選択することが出来る。特に、ポリプロピレングリコール部の分子量が2000以下で水溶性のものを好ましく用いることが出来る。具体的には、L−62、L−64、F−68、F−88、F−108、L−44、L−34、L−23などを挙げることができる。
【0038】
ポリエチレングリコールの末端にポリプロピレンオキサイドを付加させた構造のものとしては、同じくADEKA株式会社のリバースタイプ、17R−2、17R−3、17R−4などから選択して用いることが出来る。
【0039】
エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合物の透明インクへの添加量としては、1質量%〜10質量%添加することが好ましい。
【0040】
ジグリセリンのポリエチレンオキサイド付加物としては、坂本薬品工業株式会社のSC−Eシリーズから選択して用いることができる。SC−E450、SC−E750、SC−E1000、SC−E1500などを好ましく用いることが出来る。透明インクへの添加量としては、1質量%〜10質量%添加することが好ましい。
【0041】
ジグリセリンのポリプロピレン付加物としては、坂本薬品工業株式会社のSC−Pシリーズから選択して用いることができ、SC−P400、SC−P750、SC−P1000などを好ましく用いることが出来る。透明インクへの添加量としては、1質量%〜10質量%添加することが好ましい。
【0042】
水溶性高分子の透明インクへの添加量として上記に挙げた好ましい範囲については、その下限未満では十分なにじみ抑制効果が発現できず、上限より大きな添加量ではインクジェット射出が不安定になり好ましくない。
【0043】
水溶性高分子は単独で用いても複数種を併用してもよい。
【0044】
(無機塩基)
無機塩基は先に説明したように記録インクのにじみを抑制する上で効果的であり、水溶性高分子と併用することでより効果的に作用する。
【0045】
また、反応性染料は、綿、絹などの繊維と結合して定着するが、このさいある種の反応性染料からは酸が遊離してくる。無機塩基はこの酸を中和することで結合反応を促進する機能として働く。結果的に反応性染料の繊維への染着率が向上し発色濃度が上がることになる。以上の二つの効果から透明インクに無機塩基を添加する。
【0046】
塩基として有機塩基もあるが、有機塩基では前記のにじみ抑制効果が弱く、かつ、有機塩基には臭気があるものが多いという欠点が有り本発明の効果発現には好ましくない。
【0047】
また、無機塩基を記録インクに入れた場合、インクの保存安定性が悪く、ヘッド目詰まりを起こしたり、発色濃度が落ちるなど実用的でない。また、本発明の効果の一つであるにじみ抑制効果も得られない。
【0048】
無機塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどを用いることができる。
【0049】
無機塩基の添加量としては、0.1モル当量/l以上1モル当量/l添加することが好ましい。
【0050】
特に、種々の無機塩基について、透明インクからの乾燥での析出性を評価したところ、無機塩基としてカリウム塩はインクから析出しにくく好ましいことが判明した。同様に、酢酸塩もインクから析出しにくく好ましい。実際に透明インクにこれらの塩基を含有する場合、ヘッドでの乾燥目詰まりが起こりにくく好ましい。
【0051】
カリウム塩及び酢酸塩は単独で用いてもよいし、他の無機塩と併用してもよい。
【0052】
(液体保湿剤)
透明インクには無機塩基が添加されており、乾燥により無機塩基が析出しやすくインクジェットヘッドを詰まらせやすい。このため、透明インクには液体保湿剤を添加することが好ましい。保湿剤が水分の乾燥を遅らせ無機塩基の析出を遅らせる機能があるからである。ただし、液体保湿剤は同時に記録インクのにじみを出やすくするので、種類、添加量はヘッド目詰まり防止効果とにじみ発生の両方の観点から決めることができる。
【0053】
具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等を用いることが出来る。
【0054】
添加量としては、透明インク中、5質量%以上40質量%未満の量が好ましい。
【0055】
(固体保湿剤)
透明インクには、固体保湿剤を添加することが好ましい。固体保湿剤とは常温(20℃)にて固体である保湿剤である。固体保湿剤は液体保湿剤のように、乾燥による無機塩基の析出を防止すると同時に、発色濃度を挙げる効果がある。特に液体保湿剤と併用することで、乾燥防止効果と発色濃度を挙げる効果ともに向上し好ましい。
【0056】
固体保湿剤としては、水溶性のアミド類、スルフォンアミド類、尿素、尿素誘導体等が挙げられる。特に尿素が好ましい。
【0057】
固体保湿剤は透明インク中、2質量%以上15質量%未満の量が好ましい。
【0058】
(水溶性カチオンポリマー)
透明インクには、水溶性カチオンポリマーを添加することができる。水溶性カチオンポリマーはにじみ防止、発色濃度向上に効果がある。
【0059】
本発明に用いることの出来るカチオンポリマーは記録インク中の反応染料とイオン結合により染料の溶解性を低下させるものを用いることが出来る。このようなカチオンポリマーを用いることで、記録インクが着弾後染料が凝集を起こすなどしてにじみを防止できる。カチオンポリマーのように水溶性高分子や無機塩基と異なるメカニズムでにじみ抑制する化合物を添加することはにじみ抑制する上で好ましい態様である。
【0060】
水溶性カチオンポリマーとしては、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、ポリメチルジアリルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどを用いることが出来る。これらの具体例としては、日東紡で販売している、PAA−D41−HCl、PAS−21Cl、PAS−M−1L、PAS−H−1L、PAS−J−81Lなどを用いることが出来る。
【0061】
透明インクにおける水溶性カチオンポリマーの添加量としては、透明インク全質量に対し、固形分量として3.0質量%以上、10質量%以下であることが好ましい。
【0062】
透明インクは布帛に応じてその物性を調整することができる。粘度としては、3mPa・s以上20mPa・s未満であることが好ましい。表面張力としては、20mN/m以上70mN/m以下であることが好ましい。
【0063】
透明インクを布帛表面に偏在させ、表面発色を強めたい場合は、粘度は5mPa・s以上20mPa・s未満、表面張力は35mN/m以上70mN/m未満にすることが好ましい。
【0064】
透明インクを布帛深部まで浸透させたい場合は、粘度は3mPa・s以上12mPa・s未満、表面張力は20mN/m以上35mN/m未満が好ましい。
【0065】
表面張力や、粘度の調整を行うために水溶性の種々の有機溶剤を添加することが出来る。例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が挙げられる。
【0066】
特に、記録インクを布帛深部まで浸透させて発色させたい場合、下記の低表面張力溶剤を用いることは好ましい。(括弧内は溶剤の表面張力)
グリコールエーテルとしてはエチレングリコールモノエチルエーテル(28.2)、エチレングリコールモノブチルエーテル(27.4)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(31.8)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(33.6)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(32.1)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(25.9)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(28.8)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(30.0)等が挙げられる。
【0067】
また、1,2−アルカンジオールとしては、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール(28.1)、1,2−ヘプタンジオール等が挙げられる。
【0068】
また、記録インクを布帛深部まで浸透させて発色させたい場合下記の活性剤を使用することも出来る。
【0069】
(界面活性剤)
本発明の透明インクにおいて、記録インクの染料を布帛深部により浸透させたい場合には、各種の界面活性剤を用いることができる。本発明で用いることのできる界面活性剤として、特に制限はないが、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
【0070】
記録インクの染料を布帛深部によりいっそう浸透させるために、透明インクの表面張力を20mN/m以上、35mN/m以下に制御することが好ましく、特にシリコーン系活性剤もしくはフッ素系活性剤を添加して表面張力を制御することが好ましい。
【0071】
(シリコーン系活性剤もしくはフッ素系活性剤)
シリコーン系の界面活性剤としては、好ましくはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物であり、例えば、信越化学工業製のKF−351A、KF−642やビッグケミー製のBYK345、BYK347、BYK348などが挙げられる。
【0072】
フッ素系の界面活性剤は、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部または全部をフッ素で置換したものを意味する。この内、分子内にパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。
【0073】
フッ素系の界面活性剤の内、ある種のものは大日本インキ化学工業社からメガファック(Megafac)Fなる商品名で、旭硝子社からサーフロン(Surflon)なる商品名で、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社からフルオラッド(Fluorad)FCなる商品名で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社からモンフロール(Monflor)なる商品名で、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社からゾニルス(Zonyls)なる商品名で、またファルベベルケ・ヘキスト社からリコベット(Licowet)VPFなる商品名で、それぞれ市販されている。
【0074】
また、非イオン性フッ素系界面活性剤としては、例えば、大日本インキ社製のメガファックス144D、旭硝子社製のサーフロンS−141、同145等を挙げることができ、また、両性フッ素系界面活性剤としては、例えば、旭硝子社製のサーフロンS−131、同132等を挙げることができる。
【0075】
(記録インク)
記録インクは、少なくとも反応性染料、水溶性有機溶剤及び水を含む。
【0076】
(反応性染料)
反応性染料は、3%以上20質量%未満であることができ、さらに、反応性染料は、5%以上15質量%未満であることが好ましい。特に同一色の水性インクで最も染料濃度の高い水性インク中の、反応性染料は、10%以上15%未満であることが好ましい。
【0077】
本発明で用いることのできる反応性染料としては、例えば、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等を挙げることができる。
【0078】
以下、本発明のインクジェット用の水性インクに適用可能な染料の具体例を列挙するが、本発明では、これら例示する染料にのみ限定されるものではない。
【0079】
C.I.Reactive Yellow2,3,7,15,17,18,22,23,24,25,27,37,39,42,57,69,76,81,84,85,86,87,92,95,102,105,111,125,135,136,137,142,143,145,151,160,161,165,167,168,175,176、
C.I.Reactive Orange1,4,5,7,11,12,13,15,16,20,30,35,56,64,67,69,70,72,74,82,84,86,87,91,92,93,95,107、
C.I.Reactive Red2,3,3:1,5,8,11,21,22,23,24,28,29,31,33,35,43,45,49,55,56,58,65,66,78,83,84,106,111,112,113,114,116,120,123,124,128,130,136,141,147,158,159,171,174,180,183,184,187,190,193,194,195,198,218,220,222,223,226,228,235、
C.I.Reactive Violet1,2,4,5,6,22,23,33,36,38、
C.I.Reactive Blue2,3,4,7,13,14,15,19,21,25,27,28,29,38,39,41,49,50,52,63,69,71,72,77,79,89,104,109,112,113,114,116,119,120,122,137,140,143,147,160,161,162,163,168,171,176,182,184,191,194,195,198,203,204,207,209,211,214,220,221,222,231,235,236、
C.I.Reactive Green8,12,15,19,21、
C.I.Reactive Brown2,7,9,10,11,17,18,19,21,23,31,37,43,46、
C.I.Reactive Black5,8,13,14,31,34,39等が挙げられる。
【0080】
(有機溶剤)
本発明の記録インクには、以下に示す具体例の有機溶剤を含有することができる。
【0081】
アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が挙げられる。
【0082】
本発明の記録インクは、にじみを抑制する目的で、水溶性高分子を添加してもよい。
【0083】
適量の水溶性高分子を添加すると、インクが着弾直後からの乾燥増粘度合いが大きくなり、流動性が低下しにじみが抑制される。
【0084】
ただし、反応性染料と水溶性高分子を高濃度で添加すると析出が発生したり、射出安定性を顕著に悪化させる場合があり、水溶性高分子の種類、添加量は慎重に選択する必要がある。
【0085】
記録インクに添加する水溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合物、グリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、グリセリンのポリプロピレン付加物、ジグリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、ジグリセリンのポリプロピレン付加物、アクリル共重合樹脂などを好ましく用いることが出来る。
【0086】
中でも、アクリル共重合樹脂は射出影響が比較的少なく、にじみ抑制効果発現に必要な量を添加でき好ましい。
【0087】
アクリル共重合樹脂としては、疎水性モノマーと親水性モノマーを共重合したものを好ましくもちいることができる。
【0088】
疎水性モノマーとしては、アクリル酸エステル(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなど)、メタクリル酸エステル(メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジルなど)、スチレンなどが上げられる。
【0089】
親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドなどが上げられ、アクリル酸のような酸性基を有するものは、重合後に塩基で中和したものを好ましく用いることができる。
【0090】
樹脂の分子量としては、平均分子量で、3000から30000のものを用いることができる。好ましくは、7000から20000のものを用いることができる。
【0091】
樹脂のTgは、−30℃から100℃程度のものを用いることができる。好ましくは、−10℃から80℃程度のものを用いることができる。
【0092】
樹脂の酸価としては、90mgKOH/gないし200mgKOH/g程度のものを特に好ましく用いることができる。
【0093】
重合方法としては、溶液重合を用いることが好ましい。
【0094】
樹脂の酸性モノマー由来の酸性基は部分的あるいは完全に塩基成分で中和することが好ましい。この場合の中和塩基としては、アルカリ金属含有塩基、たとえば水酸化Na,K等や、アミン類(アンモニア、アルカノールアミン、アルキルアミン等を用いることができる)を用いることができる。
【0095】
特に、沸点が200℃未満のアミン類で中和することはにじみ抑制の観点から好ましい。特にアンモニアで中和したものが好ましい。
【0096】
水溶性高分子を記録インクに添加する場合、水性インクを吐出して布帛上に画像を形成した後、加熱工程により反応性染料を布帛に固定化する工程後の洗浄工程で、高分子成分が除去されやすいことが必要である。高分子成分が多量残存すると手触り、風合いが固くなり好ましくない。高分子成分としては染浄水や、洗剤に対する溶解性が高いものが好ましい。
【0097】
さらに、記録インク中で安定に存在し、種々の保存環境下で析出発生や、粘度などの物性変動が少ないことが必要である。
【0098】
また、ヘッドの吐出口付近で水性インクを乾燥したばあいも、水性インクもしくは洗浄液により容易に再溶解、もしくは再膨潤、再分散するなどして除去しやすく、メンテナンスしやすい。
【0099】
記録インクへの添加量は高分子の種類、分子量にもよるが、1質量%から10質量%の範囲で添加することが好ましい。
【0100】
本発明の記録インクは、厚手の布帛に対して深部まで浸透してムラなく発色させるために、インクの表面張力を制御することができる。
【0101】
この場合、表面張力としては20mN/m以上35mN/m以下の範囲に制御することが好ましい。20mN/m未満ではにじみが増大してしまう。35mN/mより大きいと深部まで浸透してムラなく発色させる効果が不十分である。
【0102】
記録インクの表面張力を上記の範囲に調整する方法としては、低表面張力溶剤を適量用いること、活性剤を適量用いることにより調整することができる。特に、低表面張力溶剤と活性剤の両方を適量用いて調整することが好ましい。
【0103】
低表面張力溶剤としては、表面張力が25〜40mN/mの溶剤を10〜30質量%含有することが好ましい。より好ましくは、表面張力が25〜35mN/mの溶剤を10〜30質量%含有する態様である。
【0104】
表面張力が25〜40mN/mの溶剤としては、グリコールエーテル、1,2−アルカンジオール等の水溶性有機溶剤が挙げられる。
【0105】
当該溶剤は、単独で10〜30質量%含有してもよいし、複数種用いて、それらの総計量が10〜30質量%含有するものであってもよい。
【0106】
表面張力の測定方法については、一般的な界面化学、コロイド化学の参考書等において述べられているが、例えば、新実験化学講座第18巻(界面とコロイド)、日本化学会編、丸善株式会社発行:P.68〜117を参照することができ、具体的には、輪環法(デュヌーイ法)、垂直板法(ウィルヘルミー法)を用いて求めることができる。
【0107】
本発明の表面張力の測定においては、表面張力計CBVP式A−3型(協和科学株式会社)を用いて測定した。
【0108】
具体的に各有機溶剤の表面張力を示すと、(各数値はmN/mである)グリコールエーテルとしてはエチレングリコールモノエチルエーテル(28.2)、エチレングリコールモノブチルエーテル(27.4)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(31.8)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(33.6)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(32.1)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(25.9)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(28.8)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(30.0)等が挙げられる。
【0109】
また、1,2−アルカンジオールとしては、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール(28.1)、1,2−ヘプタンジオール等が挙げられる。
【0110】
(界面活性剤)
本発明の記録インクにおいて、各種の界面活性剤を用いることができる。本発明で用いることのできる界面活性剤として、特に制限はないが、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
【0111】
本発明の水性インクは、その表面張力を20mN/m以上、35mN/m以下に制御するために、特にシリコーン系活性剤もしくはフッ素系活性剤を含有することが好ましい。
【0112】
本発明の記録インクは、染料を布帛深部によりいっそう浸透させるために、記録インクの表面張力を20mN/m以上、35mN/m以下に制御することができる、この場合、特にシリコーン系活性剤もしくはフッ素系活性剤を添加して表面張力を制御することが好ましい。
【0113】
(シリコーン系活性剤もしくはフッ素系活性剤)
シリコーン系の界面活性剤としては、好ましくはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物であり、例えば、信越化学工業製のKF−351A、KF−642やビッグケミー製のBYK345、BYK347、BYK348などが挙げられる。
【0114】
フッ素系の界面活性剤は、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部または全部をフッ素で置換したものを意味する。この内、分子内にパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。
【0115】
フッ素系の界面活性剤の内、ある種のものは大日本インキ化学工業社からメガファック(Megafac)Fなる商品名で、旭硝子社からサーフロン(Surflon)なる商品名で、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社からフルオラッド(Fluorad)FCなる商品名で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社からモンフロール(Monflor)なる商品名で、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社からゾニルス(Zonyls)なる商品名で、またファルベベルケ・ヘキスト社からリコベット(Licowet)VPFなる商品名で、それぞれ市販されている。
【0116】
また、非イオン性フッ素系界面活性剤としては、例えば、大日本インキ社製のメガファックス144D、旭硝子社製のサーフロンS−141、同145等を挙げることができ、また、両性フッ素系界面活性剤としては、例えば、旭硝子社製のサーフロンS−131、同132等を挙げることができる。
【0117】
(インクジェット捺染方法)
本発明のインクジェット捺染方法においては、本発明に係る透明インクはインクジェットヘッドから布帛に直接付与する。布帛への透明インクと記録インクとの付与順序は任意に選択でき、例えば、透明インクを布帛に付与し、その後記録インクを付与する方法、記録インクを付与し、その後透明インクを付与する方法、透明インクと記録インクを同時に付与する方法から選択できる。
【0118】
透明インクはインクジェットヘッドから布帛に直接付与する。透明インクと記録インクの付与する順番は、任意に選択できる。透明インクを布帛に付与し、その後記録インクを付与する方法、記録インクを付与し、その後透明インクを付与する方法、透明インクと記録インクを同時に付与する方法から選択できる。
【0119】
透明インクを布帛に付与し、その後記録インクを付与する方法はにじみを抑制する上でもっとも好ましい方法である、具体的には布帛搬送方向の上流側に透明インク用のヘッドを配し、その下流側に記録インク用のヘッドを配し透明インク、ついで記録インクと順次プリントする方法がある。この方法は、透明インクが布帛に浸透する、さらに乾燥する時間余地があるため、後続の記録インクでの記録時ににじみがもっとも発生しにくい。
【0120】
透明インクの乾燥を促進するために、透明インク付与位置と記録インク付与位置の間に乾燥ゾーンを設けることはにじみ抑制の観点で好ましい。
【0121】
透明インクと記録インクを同時に付与する方法も装置サイズを小さく出来るメリットがあり好ましい。1つのキャリッジに複数のヘッドを配し、そのなかに記録インク用ヘッドと透明インク用ヘッドを搭載し、同時に付与することができる。
【0122】
透明インクの付与領域は任意に選定することが出来る。布帛の全領域に付与することも出来るし、特定の領域にのみ付与してもよい。透明インクは画像のにじみを抑制し、かつ高濃度の発色を実現するものであるから記録インクの付与する画像部のみに付与するだけでよい。これにより透明インクの消費量を抑制し生産コストを下げるメリットがある。また、白地に透明インクを付与することは白地の汚染につながることがあるため好ましくない。さらに、記録インク付与量に応じて透明インクの量も増減することは同様に好ましい形態である。この場合、インク量の増大に応じて透明インク付与量を増やすことが好ましい。
【0123】
より具体的には、実質的に記録インクを付与しない部分には、透明インクを付与せず、画素領域ごとに、記録インク総量が20ml/mより多い領域には、透明インクを最低12ml/mは付与し、記録インク付与量が20ml/m未満の領域には、記録インクに応じて透明インクを4ml/mから20ml/mの範囲で付与する方法は好ましい態様である。
【0124】
透明インクの付与量は透明インク中の水溶性高分子の種類、濃度及び無機塩基の種類、濃度により増減して用いることが出来る。
【0125】
透明インク付与量は布帛に対して4ml/mから40ml/m付与することが、にじみ抑制、発色性の観点から好ましい。もちろん、記録インク付与量に応じて任意の割合で透明インクの付与量を決めることも出来、記録インクの打たない白地には透明インクを付与しなくてもよい。
【0126】
透明インクは1つもしくは複数のヘッドから供給することが出来る。特に複数のヘッドから供給することは透明インクの付与量にムラが出にくく好ましい。
【0127】
複数ヘッドから透明インクを付与する場合、複数種類の透明インクを各々のヘッドに導入し付与してもよい。
【0128】
(布帛加熱)
本発明の記録方法において、布帛を加熱して透明インク、記録インクを付与することが出来る。必要に応じて、プラテン下部周辺にヒーターを配し、任意の温度に加熱することができる。
【0129】
透明インク付与時に加熱することで、透明インクの浸透を制御できる。特に表面近傍に透明インク成分を残したい場合は、加熱することが好ましい。また、透明インクの乾燥も速まり、にじみ抑制の観点からも好ましい。
【0130】
布帛表面温度を、35℃から70℃の範囲で加熱することが出来る。記録インク付与時には加熱することで、にじみ抑制、浸透制御が可能である。
【0131】
(乾燥)
透明インクを付与してから記録インクを付与する場合、透明インク付与後に乾燥させることは好ましい態様である。特に、乾燥ゾーンを設け、透明インクにより付与された、水分及び揮発性溶剤を蒸発させることは特に好ましい。
【0132】
乾燥方法としては、加熱した部材に裏面もしくは表面から接触する方法、赤外ヒーターで照射する方法などがある、また、これらの方法に送風を併用するといっそう乾燥効率が上がり好ましい。
【0133】
(反応性染料固定化工程)
本発明のインクジェット捺染方法では、記録インクを吐出して布帛上に画像を形成した後、加熱工程により反応性染料を布帛に固定化工程を有することが好ましい。
【0134】
固定化工程としては、予備乾燥した布帛を、スチーミングに付されることが好ましい。その条件は、布帛の種類などを勘案して決定されてよいが、湿度50〜100%RH(より好ましくは湿度80〜100%RH)および温度90〜120℃(好ましくは95〜105℃)の環境に、3〜120分(好ましくは5〜40分)置かれることが好ましい。更にその後、界面活性剤(好ましくはノニオン系界面活性剤)を含む温水により洗浄することが好ましい。このような後処理が行われた布帛は、発色及び堅牢性に優れ、記録インクの滲みが少なくなる。
【実施例】
【0135】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0136】
実施例1
《透明インクの調製》
〔透明インクCL−1の調製〕
下記の各添加剤を順次混合、溶解した後、最後にイオン交換水で100質量部に仕上げて、透明インクCL−1を調製した。
【0137】
水溶性高分子:PVP1(ポリビニルピロリドン(k15)、東京化成社製)
6.0質量部
無機塩基:SC(炭酸ナトリウム) 3.0質量部
液体保湿剤:PG(プロピレングリコール) 20.0質量部
Gly(グリセリン) 5.0質量部
界面活性剤:E1010(オルフィンE1010、アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業社製) 0.3質量部
〔透明インクCL−2〜CL−34、比較1、比較2の調製〕
上記透明インクCL−1の調製において、水溶性高分子の種類と添加量、無機塩基の種類と添加量、液体保湿剤の種類と添加量、固体保湿剤の種類と添加量、カチオンポリマーの種類と添加量、界面活性剤の種類と添加量、及び溶剤の種類と添加量を、表1、表2、及び表3に記載の構成に変更した以外は同様にして、透明インクCL−2〜CL−34、比較1、比較2を調製した。なお、表1、表2、及び表3にはイオン交換水を除いた添加剤を記載しており、最後にイオン交換水にて100質量部に仕上げた。
【0138】
なお、上記表1、表2、及び表3に略称で記載した各添加剤の詳細は、以下の通りである。
【0139】
〈水溶性高分子〉
PVP(k15):ポリビニルピロリドン(k15)、東京化成社製
PVP(k30):ポリビニルピロリドン(k30)、東京化成社製
PEG(MW600):ポリエチレングリコール(Mw600)、関東化学社製
PEG(MW1000):ポリエチレングリコール(Mw1000)、関東化学社製
アデカプルロニックL34、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合物、ADEKA株式会社製
SC−E450:ジグリセリンのポリエチレンオキサイド付加物(SC−E450)、阪本薬品工業株式会社製
SC−P450:ジグリセリンのポリプロピレンオキサイド付加物(SC−P450)、阪本薬品工業株式会社製
グリセリン(EO450):グリセリンのエチレンオキサイド付加物、エチレンオキサイド部の分子量が450
〈カチオンポリマー〉
ジアリルアミン:PAS−21Cl、日東紡社製
ジメチルジアリルアミン:PAS−M−1L、日東紡社製
ジアリルジメチルアンモニウムクロリド:PAS−H−1L、日東紡社製
〈界面活性剤〉
オルフィンE1010:アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業社製
KF351A:シリコーン系界面活性剤KF351A、信越化学工業社製
【0140】
【表1】

【0141】
【表2】

【0142】
【表3】

【0143】
《記録インクのインクセットの調製》
〔インクセット1の調製〕
下記方法に従って調製したイエローインクY1、マゼンタインクM1、シアンインクC1、ブラックインクBk1、ライトマゼンタインクLM1、ライトシアンインクLC1を組み合わせ、これをインクセット1とした。
【0144】
(イエローインクY1の調製)
下記の各添加剤を順次混合、溶解した後、イオン交換水で100質量部に仕上げて、イエローインクY1を調製した。
【0145】
C.I.Reactive Yellow95 12.0質量部
エチレングリコール 10.0質量部
プロピレングリコール 25.0質量部
グリセリン 3.0質量部
オルフィンE1010:アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業社製
0.1質量部
(マゼンタインクM1、シアンインクC1、ブラックインクBk1、ライトマゼンタインクLM1、ライトシアンインクLC1の調製)
上記イエローインクY1の調製において、染料としてC.I.Reactive Yellow95(12.0質量部)に代えて、それぞれC.I.Reactive Red24(13.0質量部)、C.I.Reactive Blue72(12.0質量部)、C.I.Reactive Black39+C.I.Reactive Brown11=1:1(14.0質量部)、C.I.Reactive Red24(3.5質量部)、C.I.Reactive Blue72(3.0質量部)を用いた以外は同様にして、マゼンタインクM1、シアンインクC1、ブラックインクBk1、ライトマゼンタインクLM1、ライトシアンインクLC1を調製した。
【0146】
〔インクセット2の調製〕
下記方法に従って調製したイエローインクY2、マゼンタインクM2、シアンインクC2、ブラックインクBk2、ライトマゼンタインクLM2、ライトシアンインクLC2を組み合わせ、これを記録インクセット2とした。
【0147】
(イエローインクY2の調製)
下記の各添加剤を順次混合、溶解した後、イオン交換水で100質量部に仕上げて、イエローインクY2を調製した。
【0148】
C.I.Reactive Yellow95 12.0質量部
プロピレングリコール 20.0質量部
グリセリン 3.0質量部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5.0質量部
KF351A:シリコーン系界面活性剤、信越化学工業社製
0.3質量部
(マゼンタインクM2、シアンインクC2、ブラックインクBk2、ライトマゼンタインクLM2、ライトシアンインクLC2の調製)
上記イエローインクY2の調製において、染料としてC.I.Reactive Yellow95(12.0質量部)に代えて、それぞれC.I.Reactive Red24(13.0質量部)、C.I.Reactive Blue72(12.0質量部)、C.I.Reactive Black39+C.I.Reactive Brown11=1:1(14.0質量部)、C.I.Reactive Red24(3.5質量部)、C.I.Reactive Blue72(3.0質量部)を用いた以外は同様にして、マゼンタインクM2、シアンインクC2、ブラックインクBk2、ライトマゼンタインクLM2、ライトシアンインクLC2を調製した。
【0149】
《評価1》
〔プリント作製〕
図1に示す評価プリンタを用いて、印字した。図1に示す評価プリンタは、第1ヘッドキャリッジ1と第2ヘッドキャリッジ2が設置され、それぞれの下部と両ヘッドの間にヒーターH1〜H3、3〜5が設置されている。尚、第1ヘッドキャリッジ1には4つのヘッドが搭載されており、第2ヘッドキャリッジには6つのヘッドが搭載されている。布帛は搬送ローラ6及び7により図に示す搬送方向に搬送される。
【0150】
第1ヘッドキャリッジの2つのヘッドに表4に示す透明インクを装填した。第2ヘッドキャリッジの6つのヘッドに、6種のインクから構成されるインクセット1を装填し、捺染用インクジェットインクセットを構成した。布帛としては、綿ブロードを用いた。
【0151】
搬送された布帛は、まず第1ヘッドキャリッジの2つのヘッドの各々から9ml/mを布帛全面に一様に付与したのち、次に第2ヘッドキャリッジ上の6つのヘッドから記録インクにより記録される。記録画像は、Y、M、C、Bkの10cm×10cmの単色ベタ画像、B、G、Rの10cm×10cmの二次色ベタ画像、及びYMCコンポジットKの10cm×10cmのベタ画像をプリントして、プリントNo.1〜26を作製した。Y、M、C、Bkの単色画像は各々100%Dutyであり、約11ml/mのインク付与量となる。B、G、Rの二次色ベタ画像は同じく22ml/m、YMCコンポジットKは同じく33ml/mであった。
【0152】
なお、第1、第2ヘッドの間に乾燥ゾーンを設けH2ヒーターにて55℃にて加熱乾燥した。
【0153】
〔プリント評価〕
(にじみ耐性の評価)
上記作製した単色ベタ画像、二次色ベタ画像及びコンポジットKのベタ画像の周辺部(画像境界領域)におけるにじみ発生の有無を目視観察し、下記の基準に従ってにじみ耐性を評価した。
【0154】
5:各画像とも、にじみの発生が全く認められない
4:YMCコンポジットKのベタ画像(33ml/m)においてのみ、画像周辺部に若干のにじみが認められる
3:YMCコンポジットKのベタ画像(33ml/m)の画像周辺部において、にじみの発生が認められるが、B、G、Rの二次色ベタ画像(22ml/m)ではにじみの発生はほとんど認められない
2:B、G、Rの二次色ベタ画像(22ml/m)の画像周辺部でも、明らかなにじみの発生が認められる
1:Y、M、C単色画像(11ml/m)でも、画像周辺部でにじみの発生が認められる。
【0155】
(画像濃度の評価)
上記作製した単色ベタ画像、二次色ベタ画像及びコンポジットKのベタ画像の全画像の濃度を測定した。このとき、比較として、下記前処理液を調製し、布帛(綿ブロード)にマングルを使用して付与後、乾燥することで比較布帛を別途作製し、この比較布帛にプリントした単色ベタ画像、二次色ベタ画像及びコンポジットKのベタ画像の全画像濃度の総計を10とし、各水準の発色濃度の総計に対して相対評価として10(高濃度)〜1(低濃度)点をつけた。
【0156】
〈比較布帛用前処理液組成〉
炭酸ナトリウム 3.0質量%
ポリビニルピロリドン(k30) 10.0質量%
尿素 5.0質量%
イオン交換水 82.0質量%
以上により得られた結果を、表4に示す。
【0157】
【表4】

【0158】
表4に記載の結果より明らかなように、本発明の捺染用インクジェットインクセットを用いて形成した画像は、にじみ耐性に優れ、得られる画像濃度が高いことが分かる。
【0159】
《評価2》
〔プリント作製〕
評価1で用いたのと同様の評価プリンタを用い、透明インクのヘッド乾燥耐性を評価する目的で、表5に示す条件で、15℃、40%RHの環境下で、評価1と同様のプリントを行い、プリントNo.31〜40を得た。なお、布帛としては絹サテン16匁を用いた。
【0160】
〔プリント評価〕
評価1に記載の方法と同様にして、にじみ耐性及び画像濃度の評価と、下記の方法に従って、ムラ耐性の評価を行った。
【0161】
(ムラ耐性の評価)
評価1と同様の方法で、Y、M、C、Bk、B、G、R、YMCコンポジットKの10cm×10cmのベタ画像を一式として、20枚連続でプリントし、次いで3時間休止した後、同様の画像をプリントしたプリント物について、発色ムラの有無を目視観察し、下記の基準に従ってムラ耐性の評価を行った。
【0162】
5:ムラの発生は全く認められない
4:明確なムラの発生は認められないが、ベタ画像の左右端での濃度が異なる
3:目立ちにくいムラの発生が数箇所で認められる
2:明らかなムラの発生が数箇所で認められる
1:強いムラの発生が非常に多い
以上により得られた結果を、表5に示す。
【0163】
【表5】

【0164】
表5に記載の結果より明らかなように、本発明の捺染用インクジェットインクセットを用いて形成した画像は、にじみ耐性に優れ、得られる画像濃度が高く、かつムラ耐性に優れていることが分かる。
【0165】
《評価3》
〔プリント作製〕
評価1で用いたのと同様の図1に記載の構成からなる評価プリンタを用い、第1ヘッドキャリッジには3つのヘッド(第1ヘッド、第2ヘッド、第3ヘッド)を搭載し、それぞれのヘッドに透明インクCL−11を装填した。また、第2ヘッドキャリッジの6つのヘッドに、6種のインクから構成されるインクセット1を装填し、Y1用ヘッド、M1用ヘッド、C1用ヘッド及びBk1用ヘッドの4つを使用した。ヒーターは、H1は使用せずに、H2を55℃、H3を40℃の温度で、布帛を加熱した。布帛としては、綿ブロードを用い、評価1と同様の条件で、表6に示す記録インク付与量の異なる7つの画像を作製した。このとき、透明インクの付与方法は、表6に記載の方法A及びBの2つの方法で行った。
【0166】
方法Aは、非記録部含め、全領域に1ヘッドあたり8ml/mの透明インク(CL−11)を付与した。方法Bは、表6に記載したように、画像ごとに透明インクCL−11の付与量を変化させて付与した。
【0167】
上記方法Aと方法Bで形成した画像に関しては、全濃度域1〜7で発色濃度に差は見られなかった。すなわち、画像部位ごとの記録インク付与量に応じて透明インクを付与することは、発色濃度を下げずに、透明インクの消費量を抑制し生産コストを下げるメリットがあることが分かる。
【0168】
【表6】

【0169】
《評価4》
〔プリント作製〕
評価1で用いたのと同様の図1に記載の構成からなる評価プリンタにおいて、6つのヘッドからなる第2ヘッドキャリッジのみを用い、第1ヘッド〜第4ヘッドにはそれぞれイエローインクY1、マゼンタインクM1、シアンインクC1、ブラックインクBk1を装填し、第5ヘッド及び第6ヘッドには透明インクを表4に記載のように装填した。付与量は各ヘッド共に9ml/mで、布帛として綿天竺を用い、表1と同様のベタ画像をプリントして、プリントNo.51〜55を得た。
【0170】
〔プリント評価〕
評価1に記載の方法と同様にして、にじみ耐性及び画像濃度の評価を行い、得られた結果を表7に示す。
【0171】
【表7】

【0172】
表7に記載の結果より明らかなように、本発明の捺染用インクジェットインクセットを用いて形成した画像は、にじみ耐性に優れ、得られる画像濃度が高いことが分かる。
【符号の説明】
【0173】
1 第1ヘッド
2 第2ヘッド
3 ヒーターH1
4 ヒーターH2
5 ヒーターH3
6 ローラ
7 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性染料、水溶性有機溶剤及び水を含む記録インクと、水溶性高分子、無機塩基を含有する透明インクからなることを特徴とする捺染用インクジェットインクセット。
【請求項2】
前記透明インクが液体保湿剤と固体保湿剤とを含有することを特徴とする請求項1記載の捺染用インクジェットインクセット。
【請求項3】
前記水溶性高分子がポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合物、グリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、グリセリンのポリプロピレン付加物、ジグリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、及びジグリセリンのポリプロピレン付加物から選ばれる少なくとも1種であって、かつ該水溶性高分子総量が透明インクの全量に対して固形分として1質量%以上10質量%未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の捺染用インクジェットインクセット。
【請求項4】
前記透明インクが水溶性カチオンポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の捺染用インクジェットインクセット。
【請求項5】
前記無機塩基がカリウム塩を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の捺染用インクジェットインクセット。
【請求項6】
前記無機塩基が酢酸塩を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の捺染用インクジェットインクセット。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の捺染用インクジェットインクセットを用いて布帛にプリント後、加熱による定着工程を含むインクジェット捺染方法であって、該布帛に透明インクを付与した後に、記録インクを付与することを特徴とするインクジェット捺染方法。
【請求項8】
前記プリント時に用いるプリンタが、同一キャリッジ上に透明インク用ヘッド、記録インク用ヘッドを配置したプリンタであって、かつ、1回のスキャンで透明インク、記録インクの双方を布帛上に付与することを特徴とする請求項7記載のインクジェット捺染方法。
【請求項9】
前記布帛を加熱しながら、透明インクを付与することを特徴とする請求項7又は8記載のインクジェット捺染方法。
【請求項10】
前記布帛を加熱しながら、透明インク及び記録インクの双方を付与することを特徴とする請求項7又は8記載のインクジェット捺染方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−65209(P2010−65209A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160592(P2009−160592)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(305002394)コニカミノルタIJ株式会社 (317)
【Fターム(参考)】