説明

掃除ロボット

【課題】ユーザーが所望する任意の位置まで容易に誘導することができ、効率がより高い掃除運転を遂行することが可能な掃除ロボットを提供する。
【解決手段】掃除ロボット1は吸込口6と排気口7とを開口して床面上を自走する本体筐体2と、本体筐体2内に配置した電動送風機22と、電動送風機22の駆動によって吸込口6から吸い込まれた気流の塵埃を集塵する集塵部30と、赤外線を発することにより本体筐体2の設置空間の任意の位置を指定する赤外線リモコン60と、赤外線リモコン60によって指定された指示位置を検知する赤外線センサー18と、を備え、赤外線センサー18が検知した指示位置まで移動して及び/または指示位置までの移動中に掃除運転を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面上を自走する掃除ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の掃除ロボットは特許文献1に開示されている。この掃除ロボットは平面視略円形の本体筐体に駆動輪が設けられ、床面上を自走して掃除を行う。このとき、テーブル等の下方を掃除するために本体筐体は高さの低い薄型に形成される。本体筐体の下面には集塵のための掻き上げ用ブラシローラが設けられ、本体筐体の内部には塵埃収納部が設けられる。
【0003】
また、この従来の掃除ロボットは本体筐体とは別体の指示装置(リモートコントローラ)を備えている。掃除ロボットは指示装置から自走モードの開始信号や停止信号などを受信し、それら信号に対応する動作を実行する。
【0004】
上記構成の掃除ロボットにおいて、掃除運転が開始されると駆動輪及び掻き上げ用ブラシローラが駆動される。本体筐体は駆動輪の回転によって室内の床面上を自走し、掻き上げ用ブラシローラにより床面から本体筐体内に向かって塵埃が掻き上げられる。床面から掻き上げられた塵埃は塵埃収納部に収容される。
【0005】
なお、この従来の掃除ロボットは指示装置(リモートコントローラ)からの指示により自走しながら掃除運転を実行することができる。また、この掃除ロボットは指示装置から手動で前進や後進、旋回などの指示を受け、掃除運転を実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−166968号公報(第9頁−第12頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の掃除ロボットはユーザーが所望する位置まで移動させるために、前進や後進、旋回などの指示を指示装置によって手動で逐一送信しなければならない。これにより、ユーザーが所望する位置への掃除ロボットの誘導に非常に手間が掛かり、掃除に多くの時間を取られるとともに、ユーザーが不快感を覚える可能性があるという問題があった。また、必要以上に電力を消費してしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、ユーザーが所望する任意の位置まで容易に誘導することができ、効率がより高い掃除運転を遂行することが可能な掃除ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の掃除ロボットは、吸込口と排気口とを開口して床面上を自走する本体筐体と、前記本体筐体内に配置した電動送風機と、前記電動送風機の駆動によって前記吸込口から吸い込まれた気流の塵埃を集塵する集塵部と、電磁波または音波を発することにより前記本体筐体の設置空間の任意の位置を指定する指示装置と、前記指示装置によって指定された指示位置を検知する検知装置と、を備え、前記検知装置が検知した前記指示位置まで移動して掃除運転を実行する及び/または前記指示位置までの移動中に掃除運転を実行することを特徴としている。
【0010】
この構成によれば、掃除ロボットの本体筐体は床面上を自走し、電動送風機が駆動されると本体筐体に開口する吸込口から塵埃を含む気流が吸い込まれる。気流に含まれる塵埃は集塵部で集塵される。集塵部で塵埃を除去された気流は電動送風機を通過し、本体筐体に開口する排気口から排出される。ユーザーが指示装置によって所望の位置を指定すると、掃除ロボットは指定された指示位置を検知装置が検知し、指示位置まで自動的に移動して及び/または指示位置までの移動中に掃除運転を実行する。なお、ここで述べた「電磁波」には電波、赤外線、可視光線、紫外線を含む。
【0011】
また、上記構成の掃除ロボットにおいて、前記電磁波または前記音波による指示時間の長さに応じて前記指示位置に留まる時間を異ならせることを特徴としている。
【0012】
この構成によれば、掃除ロボットは電磁波または音波による指示時間の長さに応じた異なる時間で指示位置における掃除運転を実行する。
【0013】
また、上記構成の掃除ロボットにおいて、前記指示装置が発する電磁波が赤外線であって、前記検知装置が赤外線を検知する赤外線センサーであることを特徴としている。
【0014】
この構成によれば、ユーザーは赤外線によって本体筐体の設置空間における任意の位置を指定する。指定された指示位置は掃除ロボットの赤外線センサーで検知される。
【0015】
また、上記構成の掃除ロボットにおいて、前記排気口を流通する気流にイオンを放出するイオン発生装置を備えることを特徴としている。
【0016】
この構成によれば、イオンを含む気流は本体筐体に開口する排気口から室内に送出される。これにより、掃除ロボットはユーザーが指示装置によって指定した指示位置まで移動して掃除運転を実行するとともに、指示位置でイオンを室内に送出する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の構成によれば、掃除ロボットはユーザーが指示装置によって指定した指示位置まで自動的に移動して掃除運転を実行する。これにより、ユーザーが所望する任意の位置まで掃除ロボットを容易に誘導することができ、ユーザーの指示位置における掃除を迅速且つ低消費電力で実行することが可能である。したがって、効率がより高い掃除運転を遂行することが可能な掃除ロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る掃除ロボットの斜視図である。
【図2】図1に示す掃除ロボットの本体筐体の垂直断面側面図である。
【図3】図2の掃除ロボットの集塵部を取り外した状態を示す垂直断面側面図である。
【図4】図2に示す掃除ロボットのモータユニットの斜視図である。
【図5】図1の掃除ロボットの構成を示すブロック図である。
【図6】図1の掃除ロボットによる指示位置の掃除に係る動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る掃除ロボットを図1〜図6に基づき説明する。
【0020】
最初に、本発明の実施形態に係る掃除ロボットについて、図1〜図5を用いてその構造の概略を説明しつつ集塵動作を説明する。図1は掃除ロボットの斜視図、図2は掃除ロボットの本体筐体の垂直断面側面図、図3は掃除ロボットの集塵部を取り外した状態を示す垂直断面側面図、図4は掃除ロボットのモータユニットの斜視図、図5は掃除ロボットの構成を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように、掃除ロボット1はバッテリー13により駆動輪5(いずれも図2参照)を駆動して自走する平面視円形の本体筐体2を有している。本体筐体2の上面には集塵部30(図2参照)を出し入れする際に開閉する蓋部3が設けられている。
【0022】
図2に示すように、本体筐体2には底面から突出する一対の駆動輪5が配置されている。駆動輪5の回転軸は本体筐体2の中心線C上に配置されている。駆動輪5の両輪が同一方向に回転すると本体筐体2が進退し、逆方向に回転すると本体筐体2が移動することなくその場で中心線Cの回りに回転、すなわち旋回する。駆動輪5は走行モータ51(図5参照)によって駆動される。
【0023】
掃除を行う際に移動方向の前方となる本体筐体2の前部には吸込口6が下面に設けられている。吸込口6は本体筐体2の底面に凹設した凹部8の開放面によって床面Fに面して形成されている。凹部8内には水平な回転軸で回転する回転ブラシ9が配置され、凹部8の両側方には垂直な回転軸で回転するサイドブラシ10が配置されている。
【0024】
凹部8の前方にはローラー形状の前輪15が設けられている。本体筐体2の後端には自在車輪から成る後輪16が設けられている。前輪15は通常床面Fから離れ、回転ブラシ9、駆動輪5及び後輪16が床面Fに接地して掃除が行われる。前輪15は進路上に現れた段差に接地し、本体筐体2が段差を容易に乗り越えられるようになっている。
【0025】
本体筐体2の周面の後端にはバッテリー13の充電を行う充電端子4が設けられている。本体筐体2は自走して室内に設置される充電台40に帰還し、充電台40に設けた端子部41に充電端子4が接してバッテリー13を充電する。商用電源に接続される充電台40は通常、室内の側壁Sに沿って設置されている。
【0026】
本体筐体2内には塵埃を集塵する集塵部30が配置されている。集塵部30は本体筐体2に設けた集塵室39内に収納されている。集塵室39は四方の周面及び底面が覆われた隔離室として形成され、前壁を除く各壁面は閉塞されている。集塵室39の前壁には凹部8に連通する第1吸気路11及び凹部8の上方に配置され後述するモータユニット20に連通する第2吸気路12が導出されている。
【0027】
集塵部30は本体筐体2の中心線C上に配置され、図3に示すように本体筐体2の蓋部3を開いて出し入れすることができる。集塵部30は有底筒状の集塵容器31の上面にフィルタ33を有する上部カバー32が取り付けられている。上部カバー32は可動の係止部32aにより集塵容器31に係止され、係止部32aの操作によって集塵容器31から取り外すことができる。これにより、集塵容器31に堆積した塵埃を廃棄することができる。
【0028】
集塵容器31の周面には先端に流入口34aを開口して第1吸気路11に連通する流入路34が導出されている。集塵容器31内には流入路34に連続して屈曲により下方に気流を導く流入部34bが設けられている。上部カバー32の周面には先端に流出口35aを開口して第2吸気路12に連通する流出路35が導出されている。
【0029】
流入口34a及び流出口35aの周囲には集塵室39の前壁に密接するパッキン(不図示)が設けられている。これにより、集塵部30を収納した集塵室39内が密閉される。集塵室39の前壁は傾斜面に形成され、集塵部30の出し入れ時の摺動によるパッキンの劣化を防止することができる。
【0030】
本体筐体2内の集塵室39の後方上部には後述するCPU14a(図5参照)を擁する制御基板14が配置されている。制御基板14には掃除ロボット1の各部を制御するCPU14aを含む制御回路が設けられている。集塵室39の後方の下部には着脱自在のバッテリー13が配置されている。バッテリー13は充電端子4を介して充電台40から充電され、制御基板14に電力を供給し、駆動輪5、回転ブラシ9、サイドブラシ10及び電動送風機22等の各モータ部に電力を供給する。
【0031】
本体筐体2の前部にはモータユニット20が配置されている。モータユニット20は、図4に示すように樹脂成形品のハウジング21とハウジング21内に収納される電動送風機22とを備えている。電動送風機22はモータケース22aで覆われたターボファンにより形成される。
【0032】
電動送風機22のモータケース22aには軸方向の一端に吸気口(不図示)が開口し、周面の2箇所に排気口(不図示)が開口している。ハウジング21の前面にはモータケース22aの吸気口に対向するとともに第2吸気路12に連通する開口部23が設けられている。ハウジング21の電動送風機22の両側方にはモータケース22aの各排気口にそれぞれ連通する第1排気路24a及び第2排気路24bが設けられている。第1、第2排気路24a、24bは本体筐体2の上面に設けた排気口7(図2及び図3参照)に連通している。排気口7は本体筐体2の前後方向に対して直角をなす横方向に延びている。
【0033】
第1排気路24aには一対の電極(不図示)を有したイオン発生装置25が配置されている。イオン発生装置25の電極には交流波形またはインパルス波形から成る電圧が印加され、電極のコロナ放電により生成されたイオンが第1排気路24a、すなわち電動送風機22と排気口7との間の排気流路に放出される。
【0034】
一方の電極には正電圧が印加され、コロナ放電による水素イオンが空気中の水分と結合して主としてH+(H2O)mから成るプラスイオンを発生する。他方の電極には負電圧が印加され、コロナ放電による酸素イオンが空気中の水分と結合して主としてO2-(H2O)nから成るマイナスイオンを発生する。ここで、m、nは任意の自然数である。H+(H2O)m及びO2-(H2O)nは空気中の浮遊菌や臭い成分の表面で凝集してこれらを取り囲む。
【0035】
そして、式(1)〜(3)に示すように、衝突により活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH22(過酸化水素)を微生物等の表面上で凝集生成して浮遊菌や臭い成分を破壊する。ここで、m’、n’は任意の自然数である。従って、プラスイオン及びマイナスイオンを発生して排気口7から送出することにより室内の除菌及び脱臭を行うことができる。
【0036】
+(H2O)m+O2-(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n)H2O ・・・(1)
+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ 2・OH+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(2)
+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ H22+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(3)
【0037】
ここで、制御基板14は掃除ロボット1全体の動作制御のため、図5に示すCPU14aやその他の図示しない電子部品で構成されている。CPU14aは中央演算処理装置であって、記憶部17等に記憶、入力されたプログラム、データに基づき電動送風機22、イオン発生装置25、走行モータ51などといった構成要素を制御して一連の掃除運転やイオン送出運転を実現する。また、CPU14aはユーザーによる掃除ロボット1の動作に係る条件設定を操作パネル(不図示)から受け付け、記憶部17等に記憶させる。
【0038】
なお、掃除ロボット1は電動送風機22を駆動するためのモータドライバ22aや走行モータ51を駆動するためのモータドライバ51aをそれぞれ備えている。CPU14aはモータドライバ22a及びモータドライバ51a各々に制御信号を送信し、電動送風機22及び走行モータ51を駆動させる。
【0039】
また、掃除ロボット1は本体筐体2周辺で照射される赤外線を検知するための赤外線センサー18を備えている。赤外線センサー18は、例えば縦256画素×横256画素の量子型赤外線センサーであって、例えばレンズ等を有するカメラに組み込まれて本体筐体2外部の赤外線を検知するために装置外装の近傍に配置されている。CPU14aは制御ユニット18aを介して赤外線センサー18と接続され、赤外線センサー18から得られる出力に基づいて本体筐体2の外部周辺で照射される赤外線に関する情報を得る。
【0040】
また、掃除ロボット1は、図1及び図5に示すように本体筐体2とは別個の赤外線リモコン60を備えている。赤外線リモコン60はユーザーによって照射ボタン60aが押下されると図示しない照射部から外部に向かって赤外線を発する。赤外線リモコン60は赤外線を発することにより本体筐体2の設置空間の任意の位置を指定する指示装置である。そして、本体筐体2に設けられた赤外線センサー18は赤外線リモコン60によって指定された指示位置を検知する検知装置である。赤外線リモコン60を用いて本体筐体2の設置空間における掃除の指示位置が指定されると、掃除ロボット1は赤外線センサー18が検知した指示位置まで自走して移動し、掃除運転を実行する。また、掃除ロボット1は指示位置までの移動中に自走しながら掃除運転を実行する。
【0041】
上記構成の掃除ロボット1において、掃除運転が指示されると、電動送風機22、イオン発生装置25、駆動輪5、回転ブラシ9及びサイドブラシ10が駆動される。これにより、本体筐体2は回転ブラシ9、駆動輪5及び後輪16が床面Fに接地して所定の範囲を自走し、吸込口6から床面Fの塵埃を含む気流を吸い込む。このとき、回転ブラシ9の回転によって床面F上の塵埃が掻き上げられて凹部8内に導かれる。また、サイドブラシ10の回転によって吸込口6の側方の塵埃が吸込口6に導かれる。
【0042】
吸込口6から吸い込まれた気流は矢印A1に示すように第1吸気路11を後方に流通し、流入口34aを介して集塵部30に流入する。集塵部30に流入した気流はフィルタ33により塵埃が捕集され、流出口35aを介して集塵部30から流出する。これにより、集塵容器31内に塵埃が集塵して堆積する。集塵部30から流出した気流は矢印A2に示すように第2吸気路12を前方に流通し、開口部23を介してモータユニット20の電動送風機22に流入する。
【0043】
電動送風機22を通過した気流は第1排気路24a及び第2排気路24bを流通する。第1排気路24aを流通する気流にはイオン発生装置25が放出するイオンが含まれる。そして、本体筐体2の上面に設けた排気口7から矢印A3に示すように上方後方に向けて斜め方向にイオンを含む気流が排気される。これにより、室内の掃除が行われるとともに、自走する本体筐体2の排気に含まれるイオンが室内に行き渡って室内の除菌や脱臭が行われる。このとき、排気口7から上方に向けて排気するので、床面Fの塵埃の巻き上げを防止して室内の清浄度を向上することができる。
【0044】
なお、掃除ロボット1は上記のように掃除運転とイオン送出運転とを同時に実行できるほか、掃除運転とイオン送出運転とを各々単独で実行することも可能である。
【0045】
また、駆動輪5の両輪を互いに逆方向に回転すると本体筐体2が中心線Cを中心に回転して向きを変え、旋回する。これにより、所望の範囲全体に本体筐体2を自走させるとともに障害物を避けて自走させることができる。なお、駆動輪5の両輪を前進時に対して反転して本体筐体2を後退させても良い。
【0046】
掃除が終了すると、本体筐体2は自走して充電台40に帰還する。これにより、充電端子4が端子部41に接してバッテリー13が充電される。
【0047】
そして、ユーザーが赤外線リモコン60によって掃除の指示位置を指定すると、掃除ロボット1は赤外線センサー18が検知した指示位置まで自走して移動し、掃除運転を実行する。また、設定により、掃除ロボット1は指示位置までの移動中に自走しながら掃除運転を実行することも可能である。
【0048】
続いて、掃除ロボット1による指示位置の掃除に係る動作について、図6に示すフローに沿って説明する。図6は掃除ロボット1による指示位置の掃除に係る動作を示すフローチャートである。
【0049】
掃除ロボット1の運転が開始されると(図6のスタート)、CPU14aは本体筐体2を走行させて掃除及びイオン送出を実行しながら、制御ユニット18aを介して赤外線センサー18を作動させる(図6のステップ#101)。そして、赤外線センサー18が赤外線を検知したか否かを判定する(ステップ#102)。赤外線センサー18が赤外線を検知していない場合(ステップ#102のNo)、ステップ#101に戻って赤外線センサー18による赤外線検知が継続される。
【0050】
赤外線センサー18が赤外線を検知した場合(ステップ#102のYes)、CPU14aは検知した赤外線が所定の閾値以上の強度であるか否かを判定する(ステップ#103)。なお、赤外線の強度についての閾値は予め定められて記憶部17などに記憶されている。
【0051】
赤外線センサー18が所定の閾値以上の強度の赤外線を検知していない場合(ステップ#103のNo)、CPU14aは赤外線リモコン60から発せられた赤外線を検知していない(非検知)であると判断する(ステップ#104)。
【0052】
そして、掃除ロボット1が移動中か否かを判定する(ステップ#105)。掃除ロボット1が停止中である場合(ステップ#105のNo)、ステップ#101に戻って赤外線センサー18による赤外線検知が継続される。一方、掃除ロボット1が移動中である場合(ステップ#105のYes)、本体筐体2を停止(移動終了)させてから(ステップ#106)ステップ#101に戻って赤外線センサー18による赤外線検知が継続される。
【0053】
ステップ#103において赤外線センサー18が所定の閾値以上の強度の赤外線を検知した場合(ステップ#103のYes)、CPU14aは赤外線リモコン60から発せられた赤外線を検知したと判断する(ステップ#107)。
【0054】
そして、CPU14aはモータドライバ51aを介して走行モータ51を制御し、本体筐体2を指示位置まで自走させて移動させる(ステップ#108)。続いて、掃除ロボット1は指示位置で掃除運転を実行する(ステップ#109)。
【0055】
指示位置における掃除運転では、例えば掃除ロボット1が電動送風機22を駆動しながら駆動輪5の両輪を逆方向に回転して本体筐体2が移動することなくその場で中心線Cの回りに旋回する。この掃除運転を予め定めた一定時間実行すると掃除運転を止め、ステップ#101に戻って赤外線センサー18による赤外線検知を再開する。
【0056】
なお、設定により、指示位置までの移動中に自走させながら掃除運転を実行させることも可能である。また、赤外線リモコン60で指定した指示位置で掃除を実行するために留まる時間は上記のように予め定めた一定時間とするほか、赤外線による指示時間の長さに応じて指示位置に留まる時間を異ならせることにしても良い。さらに、指示位置にて留まる時間においてイオン送出運転を単独で実行することにしても良い。
【0057】
また、赤外線リモコン60で指定する指示位置については上記のように1点とするほか、指示位置を複数続けて指定して各指示位置の間を繋いだ経路上の掃除を実行させることにしても良い。さらに、指示位置を3点以上指定して指示位置で囲まれた領域内の掃除を実行させることにしても良い。そして、赤外線リモコン60で指示位置を指定した際の赤外線を照射し続けて移動させ、その赤外線を掃除ロボット1に追随させながら掃除を実行させることにしても良い。
【0058】
上記のように、掃除ロボット1は赤外線を発することにより本体筐体2の設置空間の任意の位置を指定する赤外線リモコン60と、赤外線リモコン60によって指定された指示位置を検知する赤外線センサー18と、を備え、赤外線センサー18が検知した指示位置まで移動して掃除運転を実行する。すなわち、ユーザーが赤外線リモコン60によって所望の位置を指定すると、掃除ロボット1は指定された指示位置を赤外線センサー18が検知し、指示位置まで自動的に移動して及び/または指示位置までの移動中に掃除運転を実行する。これにより、ユーザーが所望する指示位置の掃除に手間が掛かり多くの時間を取られたり、ユーザーが不快感を覚えたりすることを解消することが可能である。また、その掃除に対して必要以上に電力を消費することを抑制することができる。
【0059】
また、掃除ロボット1は赤外線による指示時間の長さに応じて指示位置に留まる時間を異ならせるので、指示時間の長さに応じた異なる時間で指示位置における掃除運転を実行する。したがって、ユーザーが所望する任意の位置における掃除を所望の任意の時間実行させることができる。
【0060】
また、指示位置まで掃除ロボット1を移動させて掃除運転を実行させるための指示装置が赤外線を発する赤外線リモコン60であって、指示位置の検知装置が赤外線を検知する赤外線センサー18であるので、より簡単な取り扱い方によってユーザーは所望する任意の位置を掃除の指示位置として指定することが可能である。
【0061】
また、掃除ロボット1は排気口7を流通する気流にイオンを放出するイオン発生装置25を備えているので、ユーザーが赤外線リモコン60によって指定した指示位置まで移動して掃除運転を実行するとともに、指示位置でイオンを室内に送出する。したがって、ユーザーが指定する指示位置で自動的に掃除運転を実行できることに加えて、指示位置で自動的にイオン送出運転も実行することが可能である。
【0062】
そして、本発明の上記実施形態の構成によれば、掃除ロボット1はユーザーが赤外線リモコン60によって指定した指示位置まで自動的に移動して掃除運転を実行する。これにより、ユーザーが所望する任意の位置まで掃除ロボット1を容易に誘導することができ、ユーザーの指示位置における掃除を迅速且つ低消費電力で実行することが可能である。したがって、効率がより高い掃除運転を遂行することが可能な掃除ロボット1を提供することができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0064】
例えば、上記実施形態において赤外線リモコン60とした指示装置は赤外線を発する装置に限定されるわけではなく、電波、可視光線、紫外線などの他の電磁波や音波を発する装置であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によると、床面上を自走する掃除ロボットに利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 掃除ロボット
2 本体筐体
5 駆動輪
6 吸込口
7 排気口
8 凹部
9 回転ブラシ
10 サイドブラシ
11 第1吸気路
12 第2吸気路
13 バッテリー
14 制御基板
14a CPU
17 記憶部
18 赤外線センサー(検知装置)
20 モータユニット
21 ハウジング
22 電動送風機
23 開口部
24a 第1排気路
24b 第2排気路
25 イオン発生装置
30 集塵部
31 集塵容器
51 走行モータ
60 赤外線リモコン(指示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と排気口とを開口して床面上を自走する本体筐体と、
前記本体筐体内に配置した電動送風機と、
前記電動送風機の駆動によって前記吸込口から吸い込まれた気流の塵埃を集塵する集塵部と、
電磁波または音波を発することにより前記本体筐体の設置空間の任意の位置を指定する指示装置と、
前記指示装置によって指定された指示位置を検知する検知装置と、を備え、
前記検知装置が検知した前記指示位置まで移動して掃除運転を実行する及び/または前記指示位置までの移動中に掃除運転を実行することを特徴とする掃除ロボット。
【請求項2】
前記電磁波または前記音波による指示時間の長さに応じて前記指示位置に留まる時間を異ならせることを特徴とする請求項1に記載の掃除ロボット。
【請求項3】
前記指示装置が発する電磁波が赤外線であって、前記検知装置が赤外線を検知する赤外線センサーであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の掃除ロボット。
【請求項4】
前記排気口を流通する気流にイオンを放出するイオン発生装置を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の掃除ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−85606(P2013−85606A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226931(P2011−226931)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】