説明

掃除機用ホース

【課題】 製造が簡単であり、デザイン性の高い掃除機用ホースを提供する。
【解決手段】 合成樹脂により略円筒状に形成された柔軟なホース壁1を有する掃除機用ホースにおいて、複数の層を積層一体化してホース壁1を構成し、ホース壁の最外層101を透明または半透明の層として、最外層101の内側に隣接して発泡樹脂層102を設ける。最外層101と発泡樹脂層102とを互いに異なる色とすることが好ましく、または、最外層101の外表面を平滑な光沢面とすることが好ましい。また、発泡樹脂層102を独立気泡構造を主とする気泡構造を有するものとすることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性に優れた合成樹脂製の可撓性ホース、特に電気掃除機に使用される掃除機用ホースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機本体と手元操作部との間に接続される掃除機用ホース(いわゆるクリーナホース)としては、ホースの可撓性や耐つぶれ性、意匠性や耐久性などを考慮した種々の構造のものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、PVC(塩化ビニル)樹脂素材のホース壁の内側に、硬鋼線をウレタン樹脂で被覆した被覆線を螺旋状に捲回配置して一体化したクリーナホースが開示されており、当該クリーナホースによれば、長年の使用に際してもホースにひずみが発生することが防止できるとともに、ホース端での硬鋼線の裸化も容易となることが開示されている。また、特許文献2には、ホース壁の内層と外層をそれぞれ特定の組成を有するTPU(ポリウレタン系熱可塑性エラストマー)により形成した可撓性ホースが開示され、ホースの耐摩耗性や耐候性を向上させつつ、ホース壁の黄変を防止できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−190062号公報
【特許文献2】特開2007−154957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら掃除機用ホースにおいては、その強度や耐久性、取り扱い性といった、掃除機用ホースとしての機能的な側面だけでなく、家電製品としての電気掃除機のデザイン性の側面も重視されるに至っており、通常、掃除機用ホースには着色などが施される。
【0006】
しかしながら、掃除機用ホースのデザイン性を向上させることには、コストや機能面との兼ね合いから、制約が多かった。例えば、掃除機用ホースに着色を施すにあたっては、ホース壁を構成する樹脂材料に、顔料などの着色剤を練りこむことが行われることが通例であるが、この場合、ホース壁の樹脂そのものが単色に着色されることになるため、ホース壁の外観が単調なものとなってしまい、高級感に欠ける傾向となることが否めなかった。
【0007】
また、ホースの高級感を出すために、パール調の質感が得られるような特殊顔料(パール調顔料)を樹脂材料に練りこんだりすることも行われるが、これら特殊顔料を使用すると、色むらや押し出し成形の際の筋が発生することがあり、かえって外観品質を低下させることがあるため、より簡単に製造できホースの意匠性を高めることが可能な掃除機用ホースが求められていた。
【0008】
本発明の目的は、製造が簡単であり、デザイン性の高い掃除機用ホースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は、鋭意検討の結果、ホース壁を積層構造とし、最外層を透明または半透明の層とするとともに、最外層の内側に隣接して発泡樹脂層を設けると、ホース壁のデザイン性が向上することを知見し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明は、合成樹脂により略円筒状に形成された柔軟なホース壁を有する掃除機用ホースであって、ホース壁は複数の層が積層一体化されてなるものであり、ホース壁の最外層は透明または半透明の層であり、最外層の内側に隣接して発泡樹脂層が設けられていることを特徴とする掃除機用ホースである。
【0011】
本発明においては、最外層と発泡樹脂層とを互いに異なる色とすることが好ましく(請求項2)、または、最外層の外表面を平滑な光沢面とすることが好ましい(請求項3)。また、発泡樹脂層を独立気泡構造を主とする気泡構造を有するものとすることが好ましい(請求項4)。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、透明または半透明の最外層とその内側に隣接する発泡樹脂層があいまって、ホース壁の外観が梨地模様となり、ホースのデザイン性が向上する。また、得られるホースはそのホース壁の外観が奥行き感のあるものとなる。また、このようなホースは、ホース壁を構成する各層を積層一体化することにより、簡単に製造することができる。
【0013】
さらに、最外層と発泡樹脂層とを互いに異なる色とした場合には(請求項2)、梨地模様をより際立たせる効果がある。
【0014】
また、最外層の外表面を平滑な光沢面とした場合には(請求項3)、梨地模様を有しながらもつやと光沢のある特異なホース外観とすることができ、さらに、ホース外表面の汚れの予防効果が高くなって、ホースの美観を長期間にわたって維持することができる。
【0015】
また、発泡樹脂層を独立気泡構造を主とする気泡構造を有するものとした場合には(請求項4)、発泡樹脂層をホース内層として使用した場合であっても、発泡構造がホース内部のダストなどにより汚れてしまうことを予防できるので、ホースの美観を長期間にわたって維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の掃除機用ホースが使用される電気掃除機の外観図。
【図2】本発明の第1実施形態の掃除機用ホースの部分断面図。
【図3】本発明の第1実施形態の掃除機用ホースのホース壁の断面図。
【図4】本発明の掃除機用ホースのホース壁となる樹脂条帯Sの断面図。
【図5】本発明の第2実施形態の掃除機用ホースのホース壁の断面図。
【図6】本発明の第1実施形態の掃除機用ホースの外表面の外観拡大写真。
【図7】従来の掃除機用ホースの外表面の外観拡大写真。
【図8】本発明の第3実施形態の掃除機用ホースのホース壁の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の掃除機用ホースの実施形態を説明する。図1は電気掃除機の全体の外観を示し、図2は本発明の実施形態の可撓性ホースの部分断面図、図3は図2に示すホースのホース壁部分の拡大断面図である。
【0018】
図1において、電気掃除機用ホースAは、掃除機本体10に設けられた吸気口に接続パイプ11を介してホースAの一端が接続され、ホースAの他端は手元操作部12に接続され、手元操作部12に連続して延長管13、続いて床用ノズル14が接続されて電気掃除機が構成されている。
【0019】
電気掃除機用ホースAは、図2に示すように、柔軟性を有するホース壁1が全体として略円筒状となるように軟質合成樹脂によって形成され、ホース壁の内周面には、ホースを保形補強し、負圧等によるホースのつぶれを防止する硬質補強体6が螺旋状に添着されている。軟質合成樹脂製のホース壁1は、図3に示すような断面形状を有する、複層の層が積層一体化されたホース壁である。
【0020】
以下に、本発明の可撓性ホースAのホース壁特有の構成である、ホース壁の積層構造について説明する。図3にはホース壁1と硬質補強体6の、ホース軸方向に沿った断面図を示し、図3では図の下側をホース内側として示す。すなわち、ホース壁1は、硬質補強体6のホース外周側を覆い包むように形成された添着部7、7を有し、添着部7の内周において硬質補強体6と接着されている。
【0021】
また、隣接する硬質補強体6,6や添着部7,7の間の区間において、ホース壁1は、ホース軸と略平行に延在する円筒状のホース壁となるように形成されるとともに、半透明な合成樹脂からなるホース外層101の内側に隣接するように発泡樹脂からなる発泡樹脂層102が積層一体化された積層構造のホース壁となっている。本実施形態においては、硬質補強体6および添着部7は螺旋状に設けられており、発泡樹脂層102も螺旋状に形成された層である。また、ホース外層101は添着部7と一連の樹脂層をなすように同一の樹脂材料により一体に形成されており、ホースAの気密性を保っている。
【0022】
また、本実施形態においては、発泡樹脂層102の外側に積層されるホース外層101の外表面は、平滑な光沢面となるように形成されている。
【0023】
本発明においてホース外層101を構成する軟質合成樹脂としては、例えば、エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA)や、軟質塩化ビニル樹脂(PVC)や低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、熱可塑性ウレタン系エラストマー(TPU)などの軟質合成樹脂材料のうち、透明または半透明の樹脂材料が使用できる。外層101に使用される樹脂は、着色されていても良いが、無着色あるいは発泡樹脂層と比べて薄い着色であることが好ましい。後述するように、ホース壁を構成する可撓性条帯を押出成形により形成したり、熱溶着により接着できる利点があるので、特に熱可塑性樹脂を使用することが望ましいが、それに限定されるものではない。
本実施形態においては、パール調顔料を練りこんで薄いグレーに着色した半透明の軟質塩化ビニル樹脂をホース外層101の樹脂材料として使用した。
【0024】
本発明において発泡樹脂層102を構成する発泡樹脂としては、例えば、エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA)や、軟質塩化ビニル樹脂(PVC)や低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、ウレタン樹脂などの軟質合成樹脂材料を発泡させた軟質発泡樹脂材料が使用できる。また、発泡樹脂層102を構成する発泡樹脂としては外層101を形成する樹脂材料と接着や粘着により一体化が可能な樹脂材料を選択することが好ましい。
【0025】
発泡樹脂層102に使用される発泡樹脂材料は、ホース外層の樹脂材料とは異なる色とされていることが好ましく、特に、互いに異なる色となるように、ホース外層101と発泡樹脂層102の少なくとも一方が着色されたものであることが好ましい。また、発泡樹脂材料は、不透明な樹脂材料であっても良いが、半透明な樹脂材料であっても良い。
【0026】
発泡樹脂層102を構成する軟質発泡樹脂の気泡構造は、連続気泡構造を主とする気泡構造でも、独立気泡構造を主とする気泡構造でも、その中間の気泡構造を有するものであっても良いが、独立気泡構造を主とする気泡構造であることが好ましい。発泡樹脂材料を独立気泡構造を主とする気泡構造とした場合には、本実施形態のように発泡樹脂層がホース内部空間に露出するホース内層となっている場合においても、ホース内のダストなどによって発泡樹脂層の気泡構造が汚れてホース外観品質を低下させることが防止でき、ホースの外観品質を長期にわたって維持できる。
【0027】
本実施形態においては、薄い黄色に着色した半透明の発泡軟質塩化ビニル樹脂をホースの発泡樹脂層102に使用し、ホース外層101と発泡樹脂層102とは、各層が共押し出しにより密着して成形されることによって互いに融着している。使用した発泡軟質塩化ビニル樹脂は、加熱することにより体積膨張するマイクロカプセルを軟質塩化ビニル樹脂に練りこんでおき、押出成形時の加熱を利用して発泡させた発泡樹脂であり、独立気泡構造の発泡樹脂である。
【0028】
本実施形態において硬質補強体6には、スチール線や硬鋼線などの金属線や、それら金属線に樹脂被覆をした樹脂被覆金属線、あるいはポリプロピレン樹脂や高密度ポリエチレン樹脂やポリアミド樹脂などの硬質合成樹脂を線状に押出成形した硬質合成樹脂線が使用できる。硬質補強体は、ホース壁に添着するので、使用する接着剤との接着性が良いものや、熱溶着可能なものを選択することが好ましい。図3には、中空のパイプ状に押し出された硬質合成樹脂製の樹脂線を硬質補強体6として使用した例を示す。
本実施形態においては、硬質塩化ビニル樹脂により中空パイプ状の硬質補強体6、6を構成し、3本の硬質補強体6,6を3条の螺旋状に捲回して、ホース壁1の添着部7、7の内周面に熱融着により接着一体化している。
【0029】
上記実施形態の掃除機用ホースは、通称スパイラル成形方法と呼ばれる以下のような製造方法により製造することができる。
まず、硬質補強体6やホース外層101、発泡樹脂層102を構成する材料を、それぞれ成分調整・着色して押出機に供給し、押出成形の準備をする。なお、この段階では、発泡樹脂層102を構成する発泡性樹脂材料は未発泡の状態である。
【0030】
ホース外層101、発泡樹脂層102を構成する軟質樹脂材料を、それぞれ別の押出機から半溶融状態で押出して、共押出のダイスに供給し、図4に示したような断面形状を有する樹脂条帯Sに共押出する。樹脂条帯Sには、ホースAのホース壁構造と対応して、添着部となる部分7S,7Sやホース外層となる部分1S,1S、ホース発泡樹脂層となる部分2S、2Sが設けられている。この際、押出成形の際の加熱によって発泡樹脂層102を構成する発泡性樹脂が発泡して、部分2S,2Sは独立気泡を主とする気泡構造の発泡樹脂層となる。また、外層101を構成する部分1Sは、本工程においてダイスから共押出されることによって、その外表面が平滑な光沢面となる。
【0031】
硬質補強体6を構成する硬質樹脂材料を別の押出機から中空のパイプ状に押し出して、公知のホース成形軸に螺旋状に捲回する。この際、押出機から3本の硬質樹脂を押し出して硬質補強体とし、3条の螺旋状にホース成形軸に捲回する。
【0032】
さらに、前述した樹脂条帯Sを硬質補強体6,6の外周に螺旋状に巻きつけて、ホース壁を形成する。その際、硬質補強体6,6が、樹脂条帯Sの添着部7S,7Sの内側に収蔵されるようにするとともに、樹脂条帯Sの隣接する両側縁部が硬質補強体6の外側で互いに重ね合わせられて融着一体化されるようにする。その後、樹脂の冷却・固化を行って、ホースを完成させる。以上の工程により、硬質補強体6は添着部7の内周面に融着され、ホース外層101と発泡樹脂層102とは融着一体化して、本発明の掃除機用ホースを不定長に製造することができ、得られるホースを所定長にカットして、掃除機用途に供することができる。
【0033】
本発明の作用効果を説明する。
本発明においては、積層構造を有するホース壁のホース外層101が透明または半透明であり、ホース外層101の内側に隣接して発泡樹脂層102が設けられているので、ホースの外観において、ホース外層101を通して発泡樹脂層102の発泡構造が観察されて、ホース壁1が梨地模様を有するような外観を与えることができる。
【0034】
図6に本発明の上記実施形態のホース外表面の拡大写真を、図7に顔料により不透明のホース外層を銀色に着色した従来のホースの外表面の拡大写真をそれぞれ示す。いずれも、パワーハイスコープにより撮影された同倍率(約20倍)の写真であるが、本発明のホースにおいては、図6に示すように、ホース外層を通して、発泡樹脂層の気泡構造が透けて見え、全体として梨地調の模様として観察されることがわかる。また、ホース外層101と発泡樹脂層102とが積層された部分は、ホース壁1の色調が輝くような金色となった。
【0035】
通常、樹脂成形品の外観を梨地調とする為には、射出成形型や転写ローラーにより梨地模様の転写を行う必要があり、こうした方法は、いわゆるスパイラル成形方法においては採用が困難であって、従来技術においては、ホースの外観を梨地調とすることは難しかった。
【0036】
また、これら従来の方法により得られる梨地模様は、あくまでも表面の凹凸形状による梨地模様であり、デザイン性の面で見ると、全体として平板な印象となって外観意匠面の立体感に乏しく、いわゆる「つや消し処理」と同列のものであって、高級感の訴求性が低いものであった。
【0037】
一方、本発明においては、外観における梨地模様が、ホース外層101の奥にある発泡樹脂層102の発泡構造が透けて見えることにより実現・知覚されるため、ホース壁の外観の印象が立体的で奥行き感のあるものとなり、高級感の訴求性が高く、デザイン性が良い。奥行き感を高めるためには、本実施形態のように、ホース外層101にパール調顔料やマイカ系の顔料を練りこむことが特に効果的である。
【0038】
本発明の掃除機用ホースにおいては、透明または半透明のホース外層101の内側に隣接して発泡樹脂層を積層一体化することにより、梨地調の外観を有するホース壁が製造できるので、梨地模様の転写といったホース外表面への特殊加工を施す必要がなく、ホースの製造が簡単である。
【0039】
また、本実施形態のように、ホース外層101と発泡樹脂層102とを互いに異なる色となるように構成した場合には、外層101の奥にある発泡樹脂層102の発泡構造がホース外部から視認しやすくなって、ホース外観の梨地模様の認識度を高めて、ホースの高級感を高めるのに特に有効である。また、本実施形態において、薄い黄色の発泡樹脂層102と薄いパール調グレーの半透明のホース外層101を組み合わせることにより、ホース外観として金色に輝くホースとできたように、ホース外層と発泡樹脂層の異なる色を組み合わせることにより、ホース外観の色彩の表現自由度を高めることもできる。
【0040】
また、本発明によれば、本実施形態のように梨地調の外観としながらも、ホース外層表面を平滑な光沢面とすることもできる。その場合には、通常であればつや消しになってしまう梨地調の外観を有しながらも、ホース外層表面にはつやや光沢感があるという、本発明のホースに特異な意匠面となり、ホース外観の高級感をさらに高めることができる。また、ホース外層表面が平滑な光沢面であれば、ホース外表面が汚れにくくなるとともに、汚れた場合にも洗浄しやすくなって、ホースの美観を長期間にわたって維持しやすくなる。
【0041】
また、発泡樹脂層102が独立気泡構造を主とする気泡構造を有するものである場合には、発泡樹脂層102がホース内周面に露出するようにホース壁を構成した場合であっても、発泡樹脂層102の発泡構造がホース内部のダストなどにより汚れてしまうことが防止でき、ホースの外観を長期間にわたって良好に維持することができる。
【0042】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をして実施することができる。以下に本発明の他の実施形態について説明するが、以下の説明においては、上記実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様である部分についてはその説明を省略する。
【0043】
図5には、本発明の第2の実施形態のホース壁の断面を示す。本実施形態においては、ホース壁30は、透明なホース外層301と、その内周側に隣接する発泡樹脂層302と、さらにその内周に隣接するホース内層303とによって構成される積層一体化された3層構造のホース壁として構成されている。このように、発泡樹脂層302のホース内側に別の層を追加しても良く、本発明においては、積層構造のホース壁の最外層を透明または半透明の層とし、その内側に隣接して設けられる層を発泡樹脂層とすれば、同様の効果が得られる。発泡樹脂層のホース内側に他の樹脂層を設ける構成とする場合には、発泡樹脂層302も半透明とするとともに、発泡樹脂層302とホース内層303とを互いに異なる色となるようにして、両者のコントラストを高めることにより、発泡樹脂層302の発泡構造がホース外層を通じて視認しやすくなるようにすることがより好ましい。
【0044】
ホース外層を透明とするか半透明とするかは、特に限定されるものではないが、透明度を上げると梨地模様がより明瞭に知覚されるものの、ホース壁の積層の構成が外観からも視認されてしまう一方、ホース外層の透明度が低下し半透明となるにしたがって、梨地模様がおぼろげなものとなるとともに、ホース壁の積層構造がわかりにくくなるため、ホースや掃除機全体のデザイン性や印象にあわせて、ホース外層を透明とするか半透明とするを選択することが好ましい。
【0045】
図5に示した第2実施形態のホースは、第1実施形態と同じく、いわゆるスパイラル成形方法により、公知のホース成形軸上にホース壁の構成材料や硬質補強体36の樹脂材料を順次螺旋状に捲回していくことにより製造できる。本実施形態においては、発泡樹脂層302のスパイラル成形(捲回工程)に先立ち、あらかじめ発泡させた発泡樹脂シート(例えば、発泡ポリエチレンシート)をスリット加工して発泡樹脂条帯として準備しておき、それを、ホース成形工程において内層303と外層301によって挟み込まれるように、発泡樹脂条帯の両側縁部が互いに突き合わせられるように螺旋状に捲回して一体化することにより、積層一体化されたホース壁30を製造することもできる。
【0046】
ホース壁の成形工程を行う時点で、すでに発泡した状態にある発泡樹脂条帯を使用すれば、発泡の程度(気泡の大きさや密度など)をあらかじめ調整・検査したものをホース壁に使用することができ、ホースの外観品質を高める上でより好ましい。また、互いに積層されるホース壁の層の間や硬質補強体との一体化は、上述したように熱融着により行っても良いほか、接着剤や粘着材を使用したものであっても良い。
【0047】
さらに、ホース壁1の材質や硬質補強体6の構成については、ホースに要求される機能に応じて、種々の構成が採用できる。また、上記実施形態の説明においては、ホース壁や硬質補強体がすべて、部材が螺旋状に捲回されて一体化されてなる構成について説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、ホースの機能維持や製造が可能な限りにおいて、ホース外層や発泡樹脂層を円筒状に押し出すことによりホース壁を製造したり、硬質補強体を省略したりすることもできる。
【0048】
例えば、図8に示すように、略円筒状のホース壁40を、蛇腹状の凹凸条がらせん状あるいはリング状にホース軸方向に沿って交互に設けられた形態のホース壁とし、硬質補強体を持たないホースとすることも可能である。このようなホースは、例えば、半透明のホース外層401と発泡樹脂層402を同軸の円筒状に共押出して、円環状の移動金型を用いたいわゆるコンジットホースの連続ブロー成形法により、ホース壁40の蛇腹形状を形成することによって製造することができる。このように、本発明においては、略円筒状のホース壁として、ホース壁が蛇腹状や波型状に形成されたものも含む。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の掃除機用ホースは、家庭用の電気掃除機などに使用できる。本発明の掃除機用ホースによれば、ホースの外観品質を高め、電気掃除機のデザイン性を向上することができ、産業上の利用価値が高い。
【符号の説明】
【0050】
1 ホース壁
101 外層
102 発泡樹脂層
6 硬質補強体
7 添着部
30、40 ホース壁
301、401 外層
302、402 発泡樹脂層
303 内層
36 硬質補強体
10 掃除機本体
11 接続パイプ
12 手元操作部
13 延長パイプ
14 床用ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂により略円筒状に形成された柔軟なホース壁を有する掃除機用ホースであって、
ホース壁は複数の層が積層一体化されてなるものであり、
ホース壁の最外層は透明または半透明の層であり、
最外層の内側に隣接して発泡樹脂層が設けられていることを特徴とする掃除機用ホース。
【請求項2】
最外層と発泡樹脂層とが互いに異なる色とされていることを特徴とする請求項1に記載の掃除機用ホース。
【請求項3】
最外層の外表面が平滑な光沢面とされたことを特徴とする請求項1に記載の掃除機用ホース。
【請求項4】
発泡樹脂層が独立気泡構造を主とする気泡構造を有することを特徴とする請求項1に記載の掃除機用ホース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−240100(P2010−240100A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91265(P2009−91265)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(000108498)タイガースポリマー株式会社 (187)
【Fターム(参考)】