説明

排ガスタービン用の案内装置

本発明は、ターボチャージャの排ガスタービン用の案内装置に関する。前記案内装置はスペーサ要素によって間隔を空けて配置される軸受リングと成形ケーシングとを有し、それらの間に調整可能なガイドベーンが回転可能に取り付けられる。成形ケーシングは、軸方向に摺動可能となるようにスパイラルハウジング内にラジアルシールと一緒に挿入され、遊びを持たせるようにロータの横方向外部輪郭を画定する。軸受リング(22)は、環状弾性支持要素(23)によって、排ガスタービン(10)のハウジング(27)に対して中心寄せされ、収容される。本発明は、支持要素が、一定の壁厚を有する構造的構成要素として非切削及び/又は切削法で製造されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段による排ガスタービン用の案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排ガスタービン及びコンプレッサを有するターボチャージャは特許文献1に記載されており、排ガスタービンのロータ翼を有するロータが駆動軸によってコンプレッサのロータを駆動する。駆動軸は、タービンハウジングの一部である軸受ハウジング内に取り付けられる。ロータ翼は、成形ケーシングによって遊びを持って横方向に区切られ、その軸方向に向いた端部は、密封リングによって密封状態で、スパイラルハウジングの出口断面に挿入される。半径外方側においてロータ翼に隣接するガイドベーンは、半径外方に延びる成形ケーシングの一部と軸受リングとの間に提供され、そのガイドベーンは軸受リングに回転可能に取り付けられ、軸受ハウジング内に取り付けられた調整機構によって調整できる。成形ケーシングと軸受リングとは、ねじによって互いにねじ締結され、スペーサリブによって互いに所定の間隔を空けて保持される。
【0003】
弾性アセンブリリングはハウジング内の軸受リングを保持し、中心寄せする。この目的のため、アセンブリリングは、z状断面輪郭を有し、半径外方に向いた外部フランジが軸受ハウジングとスパイラルハウジングとの間の隙間と係合し、それと同時にハウジングねじで保持され、同時に半径内方に向いたフランジは外周部で軸受リングと重複し、軸受リングにねじ締結される。アセンブリリングは、内部フランジと外部フランジとの間に比較的薄い円筒状断面を有し、その断面によって成形ケーシングが案内装置と共に柔軟に保持されるので排ガスタービンの出口におけるラジアルシールと一緒に、成形ケーシングがガイドベーンの調整装置を変形させることなく熱膨張を受けることができる。調整装置の取り付け方法の種類は、製造および組み立てに関し複雑である。アセンブリリングはまた、様々な壁厚を有するので、その製造は高価となる。
【0004】
ターボチャージャ用の設定装置のガイドベーンは、特許文献2に記載されており、ガイドベーン担持板、ガイドベーン、レバー及び調整リングは、モジュールとして製造、運搬及び設置でき、個々の部品は、ガイド軸及びガイドベーンレバーの接続後にガイドベーン担持板に拘束的に接続される。
【0005】
【特許文献1】米国特許第2 860 827 A号明細書
【特許文献2】EP1 227 221号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ターボチャージャのガスタービンの調整ガイドベーン用の設定リングを簡単且つ費用対効果の大きい方法で取り付けることが本発明の目的である。それは請求項1の特徴によって本発明に従い達成される。他の有利な改良は従属請求項で開示される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、設定リングを取り付けるための環状支持要素は、一定の壁厚を有する構成要素として非切削及び/又は切削法で製造される。
【0008】
その結果、それは、例えば板金部品として、あまり費用のかからない低コストで製造できる。さらに、それは特に軽量となる。さらに、その熱膨張や変形は、その簡単な構成のゆえに容易に前もって定めることができる。
【0009】
軸受リングは、リベット接続によってスペーサ要素に、成形ケーシングに、及び支持要素に適宜にリベットで接続され、好ましくは、軸受リングと成形ケーシングとの間に調整可能に取り付けられるガイドベーンとでアセンブリユニットを形成する。このアセンブリユニットは、支持要素の外部半径方向に向いたフランジが排ガスタービンの軸受ハウジングとスパイラルハウジングとの間でクランプ止めされるという事実のため排ガスタービンのハウジング内で保持され、中心寄せされる。
【0010】
本発明の実施形態によれば、スペーサ要素は、リベット頭部がその端部側で一体化される密封ボルトであることが提案される。これらの密封ボルトによって、スペーサボルトは、成形ケーシングと軸受リングとの両方に接続される。しかしながら、軸受リング、成形ケーシング、及び支持要素がアセンブリユニットを形成できるようにそれらをリベット接続、ねじ接続、溶接接続又は締まりばめによってスペーサ要素から独立して互いに拘束的に接続することも可能である。スペーサ要素は、この場合、任意の所望構造のものであっても良く、成形ケーシング及び/又は軸受リングに、例えばスペーサリブによって形成されても良い。
【0011】
支持要素は、排ガスと反対側の軸受リングに都合よく接続されるので、内部フランジは高温の排ガスに直接曝されない、それでその支持要素を費用対効果の大きな材料から製造することができる。金属保持板は、支持要素に使用されるときと同じ締結手段を用いて軸受リングに取り付けることができ、その保持板は、一体形成されたL形支持部と共に、ガイドベーン用の設定リングの支持要素に向けて収容空間を形成する。保持リングと設定リングとの両方、及びガイドベーン用の設定機構の他の部品も、それらが軸受リングに拘束的に接続されるためアセンブリユニットに包含できる。このことは、アセンブリの簡素化と低熱膨張の単純な短い構成要素との両方が結果的に実現されることになる。設定リングの設置空間の軸方向の校正を目的とした保持リングと支持要素又は軸受リングとの間に均等化リングを提供することも好都合である。均等化リングは保持板と支持要素との間に配置され、支持要素用と同じ締結手段を用いて軸受リングに締結されることが好ましい。
【0012】
支持要素の取り付け部内の熱応力を最小限に抑えるために、支持要素を排ガスに直面する側の軸受リングに接続することも好都合である。
【0013】
他の利点は、図面の以下の説明で開示される。本発明の例示的な実施形態は図に示される。図面、説明及び請求項は、組み合わされた多数の特徴を有する。当業者はまた、これらの特徴を個別に検討し、それらを組み合わせて他の重要な組み合わせを形成することになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
排ガスターボチャージャの排ガスタービン10は軸受ハウジング27を有し、その軸受ハウジング27にロータ13の軸14が回転軸16回りで回転できるように配置される。排ガスタービン10のロータ13は、軸14によってターボチャージャのコンプレッサのロータ(図示せず)を駆動する。ロータ13は、排ガスを半径方向外部にある案内装置17を経由して流れ35の方向に供給するロータ翼15を有する。排ガスは、タービン出口36を経て内燃機関の排ガス系統(図示せず)に案内される。
【0015】
案内装置17は、大体は、遊びを持ってロータ翼15の横方向の境界を定め、スペーサボルトの形のスペーサ要素20によって軸受リング22から所定の間隔を空けて保持される成形ケーシング18を有する。スペーサボルト20は、端部側にリベット頭部21を有し、その頭部21によって成形ケーシング18と軸受リング22とがスペーサ要素20のストッパに対して押圧される。調整可能なガイドベーン19は、成形ケーシング18の半径方向外部に向いた部分と軸受リング22との間に回転可能に取り付けられる。前記ガイドベーンは、設定リング39、設定レバー41及びガイドベーン19に接続された設定軸29によって調整機構28による動作パラメータに応じて調整される。軸受リング22及び構成要素、特に成形ケーシング18、ガイドベーン19、スペーサ要素20、軸受リング22及びそれらに拘束的に接続されてアセンブリユニットを形成する設定機構28の一部は、環状弾性支持要素23によって排ガスタービン10のハウジング11、27内に保持され、中心寄せされる。支持要素23は、外部ラジアルフランジ24と内部ラジアルフランジ25とを有する実質的にz状断面を有する。その寸法形状のため支持要素23の柔軟性に著しく寄与する円筒状部分26は、2つのフランジ24、25の間に配置される。支持要素23は、一定の壁厚を有し、板金から適宜に製造される。内部フランジ25は軸受リング22に締結されるが、外部フランジ24は、2つの締結フランジ30、31がv状断面のものであるクランプリング32によって一緒に保持されるという事実のために、軸受リング27の締結フランジ30とスパイラルハウジング11の締結フランジ31との間でクランプ止めされる。
【0016】
スパイラルハウジング11はスパイラルダクト12を有し、そのフロー断面は、接線方向吸気入口(図示せず)から周知のようにスパイラルハウジング11の周囲で細くなる。成形ケーシング18の軸方向に延びる部分は、スパイラルハウジング11に制限的に軸方向に移動可能に挿入され、溝33に埋め込まれるラジアル密封リング34によってその外周部において密封される。案内装置17は、ゆえに近隣構成要素の、特に調整機構28の変形もなしに排ガスタービン10の運転中の異なる熱膨張に設定できる。
【0017】
図1の実施形態の支持要素23はその内部フランジ25で軸受リング22上に係合し、その内部フランジ25が軸受リング22に締結されるが、図2の支持要素は23、排ガスと反対側でその内部フランジ25が軸受リング22に締結されるので、高温排ガスから保護される。端部側にリベット頭部21を有する、スペーサボルトの形のスペーサ要素20は、同時に支持要素23を締結する働きをする。さらに、金属保持板37は、スペーサ要素20によって軸受リング22に締結できる。保持板37は、その一体的に形成されたL形支持部38と共に、設定リング39用の支持要素23に向けて設置空間を形成する。
【0018】
排ガスタービン10の変動する高温動作条件下での設定リング39に必要な軸方向の遊びを制御するために、均等化リング40が、保持リング37と支持要素23との間に提供される。前記均等化リングは動作条件下で保持リング37と同じような挙動をするので、保持リング37又はそのL形支持部38からのその距離が一定となり、その結果として設定された遊びは動作中でも維持され、熱膨張や変形は設定機構の機能に悪影響を及ぼさない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】排ガスタービンについての概略縦断面図を示す。
【図2】ガイドベーン無しの案内装置についての部分縦断面図を示す。
【図3】ガイドベーン用の設定リングの領域の部分縦断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペーサ要素によって互いに所定の間隔を空けて保持される軸受リングと成形ケーシングとを有し、それらの間に調整可能なガイドベーンが回転可能に取り付けられ、前記成形ケーシングがラジアルシールと共にスパイラルハウジングに軸方向に移動可能に挿入され、遊びを持ってロータの横方向外部輪郭を区切ると同時に、前記軸受リングが環状弾性支持要素によって排ガスタービンのハウジングに対して中心寄せされ、取り付けられる、ターボチャージャの排ガスタービン用の案内装置であって、
前記支持要素(23)が一定の壁厚を有する構成要素として非切削及び/又は切削法で製造されることを特徴とする案内装置。
【請求項2】
前記軸受リング(22)が前記スペーサ要素(20)、前記成形ケーシング(18)及び前記支持要素(23)にリベットで固定され、アセンブリユニットを形成することを特徴とする請求項1に記載の案内装置。
【請求項3】
前記スペーサ要素(20)は、リベット頭部(21)が端部側で一体化されるスペーサボルトであることを特徴とする請求項2に記載の案内装置。
【請求項4】
前記軸受リング(22)が前記スペーサ要素(20)から独立してリベット接続、ねじ接続、溶接接続又は締まりばめによって前記成形ケーシング(18)及び前記支持要素(23)に固定され、アセンブリユニットを形成することを特徴とする請求項1に記載の案内装置。
【請求項5】
前記支持要素(23)は、前記排ガスと反対側で前記支持リング(22)に固定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の案内装置。
【請求項6】
環状金属保持板(37)は、前記排ガスと反対側で前記軸受リング(22)に固定され、その保持版が、一体的に形成されたL形支持部と一緒に、ガイドベーン(19)用の設定リング(39)の前記支持要素(23)に向けて収容スペースを形成することを特徴とする請求項5に記載の案内装置。
【請求項7】
均等化リング(40)は前記保持板(37)と前記支持要素(23)との間に取付られることを特徴とする請求項6に記載の案内装置。
【請求項8】
調整装置(28、29、37、39、40)を含む構成要素(18、20、22、23)の全て又は幾つかは1つの構造のアセンブリを形成するために組み立てられ、一緒に固定されることを特徴とする請求項6あるいは7に記載の案内装置。
【請求項9】
前記支持要素(23)が前記排ガス側で前記軸受リング(22)に固定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の案内装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペーサ要素によって互いに所定の間隔を空けて保持される軸受リングと成形ケーシングとを有し、それらの間に調整可能なガイドベーンが回転可能に取り付けられ、前記成形ケーシングがラジアルシールと共にスパイラルハウジングに軸方向に移動可能に挿入され、遊びを持ってロータの横方向外部輪郭を区切ると同時に、前記軸受リングが、別個に製造された環状弾性支持要素によって排ガスタービンのハウジングに対して中心寄せされ、取り付けられる、ターボチャージャの排ガスタービン用の案内装置であって、
前記支持要素(23)が一定の壁厚を有する構成要素として製造されることを特徴とする案内装置。
【請求項2】
前記軸受リング(22)がリベット接続によって前記スペーサ要素(20)、前記成形ケーシング(18)及び前記支持要素(23)に拘束的にリベットで接続固定され、ゆえにアセンブリユニットを形成することを特徴とする請求項1に記載の案内装置。
【請求項3】
前記スペーサ要素(20)は、リベット頭部(21)が端部側で一体化されるスペーサボルトであることを特徴とする請求項2に記載の案内装置。
【請求項4】
前記軸受リング(22)が前記スペーサ要素(20)から独立してリベット接続、ねじ接続、溶接接続又は締まりばめによって前記成形ケーシング(18)及び前記支持要素(23)に拘束的に接続固定され、ゆえにアセンブリユニットを形成することを特徴とする請求項1に記載の案内装置。
【請求項5】
前記支持要素(23)は、前記排ガスと反対側で前記支持リング(22)に接続固定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の案内装置。
【請求項6】
環状金属保持板(37)は、前記排ガスと反対側で前記軸受リング(22)に締結固定され、その保持版が、一体的に形成されたL形支持部と一緒に、ガイドベーン(19)用の設定リング(39)の前記支持要素(23)に向けて収容スペースを形成することを特徴とする請求項5に記載の案内装置。
【請求項7】
均等化リング(40)は前記保持板(37)と前記支持要素(23)との間に提供取付られるされることを特徴とする請求項6に記載の案内装置。
【請求項8】
調整装置(28、29、37、39、40)を含む構成要素(18、20、22、23)の全て又は幾つかは1つの構造のアセンブリを形成するために組み立てられ、一緒に拘束的に固定保持されることを特徴とする請求項6あるいは7に記載の案内装置。
【請求項9】
前記支持要素(23)が前記排ガス側で前記軸受リング(22)に締結固定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−527323(P2006−527323A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508161(P2006−508161)
【出願日】平成16年5月5日(2004.5.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004758
【国際公開番号】WO2004/109063
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(505448822)アイ・エイチ・アイ チャージング システムズ インターナショナル ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】