説明

排気処理装置付きエンジン

【課題】エンジン本体への排気処理装置の取り付け作業が簡単になる排気処理装置付きエンジンを提供すること。
【解決手段】エンジン本体11に支持ステー13を介して排気処理装置1を支持した排気処理装置付きエンジンにおいて、エンジン本体11に支持ステー13を取り付け、排気処理装置1に支持ブラケット9を連結し、この支持ブラケット9を支持脚として排気処理装置1を支持ステー13上に載置し、この支持ブラケット9をブラケット取付用締結具14で支持ステー13に取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気処理装置付きエンジンに関し、詳しくは、エンジン本体への排気処理装置の取り付け作業が簡単になる排気処理装置付きエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排気処理装置付きエンジンとして、エンジン本体に支持ステーを介して排気処理装置を支持したものがある(例えば、特許文献1参照)。
この種の排気処理装置付きエンジンによれば、排気処理装置をエンジン本体と一体化することができ、エンジン搭載機械への排気処理装置の搭載が容易になる利点がある。
しかし、この従来技術では、特許文献1の明細書の段落「0022」に記載されているように、支持ステーが排気処理装置に溶接されているため、問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−71175号公報(図15、16、18参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
《問題》 エンジン本体への排気処理装置の取り付け作業が繁雑になる。
支持ステーが排気処理装置に溶接されているため、エンジン本体への排気処理装置の取り付け作業中、排気処理装置をクレーン等の外部支持装置で常に支持しておく必要があり、エンジン本体への排気処理装置の取り付け作業が繁雑になる。
【0005】
本発明の課題は、エンジン本体への排気処理装置の取り付け作業が簡単になる排気処理装置付きエンジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図2に例示するように、エンジン本体(11)に支持ステー(13)を介して排気処理装置(1)を支持した、排気処理装置付きエンジンにおいて、
図1(A)(B),図3(A)(B),図13(A)(B),図16(A)(B)に例示するように、エンジン本体(11)に支持ステー(13)を取り付け、排気処理装置(1)に支持ブラケット(9)を連結し、この支持ブラケット(9)を支持脚として排気処理装置(1)を支持ステー(13)上に載置し、この支持ブラケット(9)をブラケット取付用締結具(14)で支持ステー(13)に取り付けた、ことを特徴とする排気処理装置付きエンジン。
【発明の効果】
【0007】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 エンジン本体への排気処理装置の取り付け作業が簡単になる。
図1(A)(B),図3(A)(B),図13(A)(B),図16(A)(B)に例示するように、エンジン本体(11)に支持ステー(13)を取り付け、排気処理装置(1)に支持ブラケット(9)を連結し、この支持ブラケット(9)を支持脚として排気処理装置(1)を支持ステー(13)上に載置し、この支持ブラケット(9)をブラケット取付用締結具(14)で支持ステー(13)に取り付けたので、エンジン本体(11)への排気処理装置(1)の取付作業中、排気処理装置(1)をクレーン等の外部支持装置で支持しておく必要がなく、エンジン本体(11)への排気処理装置(1)の取り付け作業が簡単になる。
【0008】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 各締結具の取り付け位置がずれても、排気処理装置の取り付けに支障は生じない。
図1(B)に例示するように、エンジン排気出口フランジ(15)と排気入口フランジ(16)のいずれか一方に排気フランジ締結具(17)を挿通させる位置調節孔(18)をあけ、この位置調節孔(18)で少なくとも排気フランジ締結具(17)の上下方向の位置を調節できるようにし、図3(A)(B),図13(A)(B),図16(A)(B)に例示するように、支持ブラケット(9)と支持ステー(13)のうち、少なくとも一方にブラケット取付用締結具(14)を挿通させる位置調節孔(19)を設け、この位置調節孔(19)で少なくともブラケット取付用締結具(14)の前後方向と左右方向の位置を調節できるようにしたので、寸法誤差等により排気フランジ締結具(17)とブラケット取付用締結具(14)の取り付け位置がずれても、排気処理装置(1)の取り付けに支障は生じない。
【0009】
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジン排気出口フランジと排気入口フランジの封止性の低下を抑制することができる。
図1(B)に例示するように、排気フランジ締結具(17)を挿通させる位置調節孔(18)を上下方向長孔(20)で構成したので、位置調節孔(18)を大径孔とし、大径孔の内径を排気フランジ締結具(17)の挿通部分の外径よりも大きくした場合に比べ、上下方向長孔(20)ではその横幅を小さくできる分だけ、エンジン排気出口フランジ(15)と排気入口フランジ(16)の封止性の低下を抑制することができる。
【0010】
(請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジン本体への排気処理装置の取付作業が簡単になる。
図3(A)(B)に例示するように、ブラケット取付用締結具(14)を挿通させる位置調節孔(19)を、支持ブラケット(9)と支持ステー(13)のうち、一方に設けた前後方向長孔(21)と、他方に設けた左右方向長孔(22)とで構成し、前後方向長孔(21)と左右方向長孔(22)とを上下に交差させ、この交差位置にブラケット取付用締結具(14)を収めたので、排気処理装置(1)を位置決めすれば、ブラケット取付用締結具(14)が自然に交差位置に位置決めされ、エンジン本体(11)への排気処理装置(1)の取付作業が簡単になる。
【0011】
(請求項5に係る発明)
請求項5に係る発明は、請求項2または請求項3に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジン本体への排気処理装置の取付作業が簡単になる。
図13(A)(B),図16(A)(B)に例示するように、ブラケット取付用締結具(14)の位置調節孔(19)を、支持ブラケット(9)と支持ステー(13)のうち、一方に設けられた大径孔(23)と、他方に設けられた小径孔(24)とで構成し、大径孔(23)の内径をブラケット取付用締結具(14)の挿通部分の外径よりも大きくし、小径孔(24)の内径を大径孔(23)の内径よりも小さくし、大径孔(23)と小径孔(24)とを上下に重ね、小径孔(24)と大径孔(23)の重なる位置にブラケット取付用締結具(14)を収めたので、排気処理装置(1)を位置決めすれば、ブラケット取付用締結具(14)が自然に重なり位置に位置決めされ、エンジン本体(11)への排気処理装置(1)の取付作業が簡単になる。
【0012】
(請求項6に係る発明)
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 排気処理装置の高さ方向の突出寸法を抑制することができる。
図1(A)(B),2,12,14,15に例示するように、クランク軸の架設方向を前後方向、エンジン本体(11)の幅方向を左右方向として、排気処理装置(1)を左右方向に長い姿勢とし、この、排気処理装置(1)をフライホイールハウジング(25)上方で、シリンダヘッド(26)の真後ろに配置したので、排気処理装置(1)の高さ方向の突出寸法を抑制することができる。
【0013】
(請求項7に係る発明)
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 排気処理装置の後方向への突出寸法を抑制することができる。
図2,12に例示するように、排気処理装置(1)は左右いずれかの方向から見て、上下方向に長い形状にしたので、排気処理装置(1)の後方向への突出寸法を抑制することができる。
【0014】
(請求項8に係る発明)
請求項8に係る発明は、請求項6に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 排気処理装置の高さ方向への突出を抑制することができる。
図14,15に例示するように、排気処理装置(1)は左右いずれかの方向から見て、前後方向に長い形状にしたので、排気処理装置(1)の高さ方向への突出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る排気処理装置付きエンジンの排気処理装置とその周辺部分を説明する図で、図1(A)は模式平面図、図1(B)は模式背面図である。
【図2】図1の排気処理装置とその周辺部分の模式側面図である。
【図3】図1の排気処理装置の支持ブラケットと周辺部分を説明する図で、図3(A)は模式平面図、図3(B)は模式背面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る排気処理装置付きエンジンの後部を後方から左下に見下ろした図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る排気処理装置付きエンジンの後部を横側から右下に見下ろした図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る排気処理装置付きエンジンで用いる排気処理装置の前方から右下に見下ろした図である。
【図7】図6の排気処理装置の縦断正面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る排気処理装置付きエンジンの平面図である。
【図9】図8のエンジンの背面図である。
【図10】図8のエンジンの側面図である。
【図11】図8のエンジンの正面図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る排気処理装置付きエンジンで用いる排気処理装置とその周辺部分の模式側面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る排気処理装置付きエンジンで用いる排気処理装置の支持ブラケットと周辺部分を説明する図で、図13(A)は模式平面図、図13(B)は模式背面図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係る排気処理装置付きエンジンで用いる排気処理装置とその周辺部分の模式側面図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る排気処理装置付きエンジンで用いる排気処理装置とその周辺部分の模式側面図である。
【図16】本発明の第6実施形態に係る排気処理装置付きエンジンで用いる排気処理装置の支持ブラケットと周辺部分を説明する図で、図16(A)は模式平面図、図16(B)は模式背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜図16は本発明の実施形態に係る排気処理装置付きエンジンを説明する図であり、図1〜図11は第1実施形態、図12〜図16は第2〜第6実施形態を説明する図であり、各実施形態では、DPF収容マフラを備えた水冷の立形多気筒ディーゼルエンジンについて説明する。DPFはディーゼル・パティキュレート・フィルタの略称である。
【0017】
第1実施形態の内容は、次の通りである。
図1(A)(B)に示すように、排気処理装置(1)のケーシング(2)を複数のケーシング部分(3)(4)(5)で構成し、ケーシング(2)の分割個所に連結フランジ(6)(6)を設け、重ねた連結フランジ(6)(6)をフランジ連結用締結具(7)(7)で分離可能に連結している。
図2に示すように、連結フランジ(6)にフランジ連結用締結具(7)とは別のブラケット連結用締結具(8)で支持ブラケット(9)を連結し、この支持ブラケット(9)を介して排気処理装置(1)をエンジン本体(11)に支持させている。
【0018】
これにより、エンジン本体(11)の振動が支持ブラケット(9)から直接にフランジ連結用締結具(7)に伝達されることがなく、これに起因するフランジ連結用締結具(7)の緩みを防止し、連結フランジ(6)の密封性の低下を防止することができる。
また、排気処理装置(1)の製造者は、支持ブラケット(9)を連結していない排気処理装置(1)に対して連結フランジ(6)(6)の密封性を保証することができ、エンジンの製造者は支持ブラケット(9)の付いていない汎用性の高い排気処理装置(1)を排気処理装置(1)の製造者から購入し、これにエンジン本体(11)に適合する支持ブラケット(9)を連結して使用すればよく、汎用性の高い排気処理装置(1)を使用することができる。
【0019】
排気処理装置(1)はDPF収容マフラである。排気処理装置(1)はDPFを収容していないマフラや触媒コンバータであってもよい。
ケーシング(2)は3個のケーシング部分(3)(4)(5)から構成され、2個の分割個所に二対の連結フランジ(6)(6)を配置している。
フランジ連結用締結具(7)はボルトナットであり、連結フランジ(6)と直交する向きに取付けられ、連結フランジ(6)の周方向に所定間隔を保持して複数配置されている。
後から見て、左側の一対の連結フランジ(6)(6)の間には環状スペーサ(42)を挟み込んでいる。この環状スペーサ(42)には、排気温度センサや排気圧センサ等を取り付ける。
支持ブラケット(9)は左右一対配置されている。支持ブラケット(9)は板金をL字形に折り曲げ成形して構成し、水平基板(9a)と垂直基板(9b)とを備え、垂直基板(9b)は前後二又に分かれている。
【0020】
エンジン本体の構成は、次の通りである。
図10に示すように、シリンダブロック(27)の上部にシリンダヘッド(26)を組み付け、シリンダヘッド(26)の上部にヘッドカバー(28)を組み付け、シリンダブロック(27)の下部にオイルパン(29)を組みつけている。
シリンダブロック(27)の前部に調時伝動ギヤケース(30)を配置し、この前部にエンジン冷却ファン(31)を配置し、シリンダブロック(27)の後部にフライホイールハウジング(25)を組み付けている。
図8に示すように、シリンダヘッド(26)の横一側には排気マニホルド(32)を組み付け、横他側には吸気マニホルド(33)を組み付けている。排気マニホルド(32)の上部には過給機(34)を組み付け、過給機(34)の排気タービン出口(35)からエンジン排気出口管(36)を導出し、このエンジン排気出口管(36)の導出端部にエンジン排気出口フランジ(15)を設けている。
【0021】
図2に示すように、連結フランジ(6)と直交する向きから見て、連結フランジ(6)の周方向に所定間隔を保持して配置された複数のフランジ連結用締結具(7)の中心部を通過するフランジ連結用締結具(7)の環状配列仮想線(10)を想定した場合に、フランジ連結用締結具(7)の環状配列仮想線(10)から外れた位置にブラケット連結用締結具(8)を配置している。
これにより、エンジン本体(11)の振動が支持ブラケット(9)からブラケット連結用締結具(8)に伝達されても、その振動は環状配列仮想線(10)上のフランジ連結用締結具(7)には直接に伝達されず、これに起因するフランジ連結用締結具(7)の緩みを防止し、連結フランジ(6)の密封性の低下を防止することができる。
【0022】
図3に示すように、重ねた一対の連結フランジ(6)(6)のうち一方から他方よりも外側に突出する突出部(6a)を設け、この突出部(6a)と支持ブラケット(9)とをブラケット連結用締結具(8)で連結している。
これにより、エンジン本体(1)の振動がフランジ連結用締結具(7)には伝わりにくく、これに起因するフランジ連結用締結具(7)の緩みを防止し、連結フランジ(6)(6)の密封性の低下を防止することができる。
【0023】
図1(A)(B)に示すように、排気処理装置(1)にDPF(12)を収容し、排気処理装置(1)の複数のケーシング部分(3)(4)(5)を排気入口側ケーシング部分(3)とDPF収容ケーシング部分(4)と排気出口側ケーシング部分(5)とで構成し、DPF収容ケーシング部分(4)から排気入口側ケーシング部分(3)と排気出口側ケーシング部分(5)とを取り外せるようにしている。
これにより、DPF(12)や排気処理装置(1)内のメンテナンスを簡単に行うことができる。
排気入口側ケーシング(3)には排気入口管(37)を設け、この排気入口管(37)の先端に排気入口フランジ(16)を形成している。排気入口側ケーシング(3)にはDOC(38)を収容している。DOCはディーゼル酸化触媒の略称である。排気出口側ケーシング(5)には排気出口管(39)を設けている。
【0024】
図1(A)(B)に示すように、エンジン本体(11)に支持ステー(13)を取り付け、排気処理装置(1)に支持ブラケット(9)を連結し、この支持ブラケット(9)を支持脚として排気処理装置(1)を支持ステー(13)上に載置し、この支持ブラケット(9)をブラケット取付用締結具(14)で支持ステー(13)に取り付けている。
これにより、エンジン本体(11)への排気処理装置(1)の取付作業中、排気処理装置(1)をクレーン等の外部支持装置で支持しておく必要がなく、エンジン本体(11)への排気処理装置(1)の取り付け作業が簡単になる。
支持ステー(11)は板金の平板である。図4に示すように、フライホイールハウジング(25)から上向きに左右一対の支柱(40)(40)を導出し、この左右一対の支柱(40)(40)上に支持ステー(11)を水平な姿勢で架設し、ステー取付用締結具(41)(41)で左右一対の支柱(40)(40)に取り付けている。
ステー取付用締結具(41)(41)はボルトである。
【0025】
図1(A)に示すように、エンジン排気出口フランジ(15)に排気処理装置(1)の排気入口フランジ(16)を排気フランジ締結具(17)で連結し、図1(B)に示すように、エンジン排気出口フランジ(15)と排気入口フランジ(16)のいずれか一方に排気フランジ締結具(17)を挿通させる位置調節孔(18)をあけ、この位置調節孔(18)で少なくとも排気フランジ締結具(17)の上下方向位置を位置調節できるようにする。この実施形態では、エンジン排気出口フランジ(15)に位置調節孔(18)をあけている。
エンジン排気出口フランジ(15)の向きを後向き、排気入口フランジ(16)の向きを前向き、前後方向と直交する水平方向を左右方向と見て、図3(A)(B)に示すように、支持ブラケット(9)と支持ステー(13)のうち、少なくとも一方にブラケット取付用締結具(14)を挿通させる位置調節孔(19)を設け、この位置挿通孔(19)で少なくともブラケット取付用締結具(14)の前後方向と左右方向の位置を調節できるようにしている。この実施形態では、支持ブラケット(9)と支持ステー(13)の両方に位置調節孔(19)を設けている。
これにより、寸法誤差等により排気フランジ締結具(17)とブラケット取付用締結具(14)の取り付け位置がずれても、排気処理装置(1)の取り付けに支障は生じない。
【0026】
図1(B)に示すように、排気フランジ締結具(17)を挿通させる位置調節孔(18)を上下方向長孔(20)で構成している。
これにより、位置調節孔(18)を大径孔とし、大径孔の内径を排気フランジ締結具(17)の挿通部分の外径よりもかなり大きくした場合に比べ、上下方向長孔(20)ではその横幅を小さくできる分だけ、エンジン排気出口フランジ(15)と排気入口フランジ(16)の封止性の低下を抑制することができる。
排気フランジ締結具(17)はボルトであり、エンジン排気出口フランジ(15)に設けられたボルト孔にネジ嵌合する。
【0027】
図3(A)(B)に示すように、ブラケット取付用締結具(14)を挿通させる位置調節孔(19)を、支持ブラケット(9)と支持ステー(13)のうち、一方に設けた前後方向長孔(21)と、他方に設けた左右方向長孔(22)とで構成し、前後方向長孔(21)と左右方向長孔(22)とを上下に交差させ、この交差位置にブラケット取付用締結具(14)を収めている。
これにより、排気処理装置(1)を位置決めすれば、ブラケット取付用締結具(14)が自然に交差位置に位置決めされ、エンジン本体(11)への排気処理装置(1)の取付作業が簡単になる。
【0028】
エンジン本体(11)に支持ステー(13)を取り付け、排気処理装置(1)に支持ブラケット(9)を連結し、この支持ブラケット(9)を支持脚として排気処理装置(1)を支持ステー(13)上に載置し、エンジン排気出口フランジ(15)に排気処理装置(1)の排気入口フランジ(16)を排気フランジ締結具(17)で連結すれば、排気処理装置(1)の上下方向と前後方向と左右方向の位置が決まる。
この実施形態では、支持ブラケット(9)に前後方向長孔(21)を設け、支持ステー(13)に左右方向長孔(22)を設けている。
【0029】
図1(A)(B)に示すように、クランク軸の架設方向を前後方向、エンジン本体(11)の幅方向を左右方向として、排気処理装置(1)は左右方向に長い姿勢で、フライホイールハウジング(25)上方で、シリンダヘッド(26)の真後ろに配置している。これにより、排気処理装置(1)の高さ方向の突出寸法を抑制することができる。
図2に示すように、排気処理装置(1)は左右いずれかの方向から見て、上下方向に長い形状にしている。これにより、排気処理装置(1)の後方向への突出寸法を抑制することができる。
【0030】
図12に示す第2実施形態は、次の点が第1実施形態と異なる。
図12,15に示すように、連結フランジ(6)と直交する向きから見て、連結フランジ(6)の周方向に所定間隔を保持して配置された複数のフランジ連結用締結具(7)の中心部を通過するフランジ連結用締結具(7)の環状配列仮想線(10)を想定した場合に、フランジ連結用締結具(7)の環状配列仮想線(10)上にブラケット連結用締結具(8)を配置している。
これにより、ブラケット連結用締結具(8)の配置のために連結フランジ(6)を外側に大きく突出させる必要がなくなり、連結フランジ(6)を小型化することができる。
また、フランジ連結用締結具(7)の環状配列仮想線(10)上にブラケット連結用締結具(8)を配置した場合には、重ねた連結フランジ(6)(6)と支持ブラケット(9)とが重なり合い、これらがブラケット連結用締結具(8)で共締めされるため、重ねた連結フランジ(6)(6)の高い剛性により排気処理装置(1)がエンジン本体(11)に安定に支持される。
他の構成と機能は、第1実施形態と同じであり、図12中、第1実施形態と同一の要素には、図2と同じ符号を付しておく。
【0031】
図13(A)(B)に例示する第3実施形態は、次の点が第1実施形態と異なる。
図13(A)(B)に示すように、ブラケット取付用締結具(14)の位置調節孔(19)を、支持ブラケット(9)と支持ステー(13)のうち、一方に設けられた大径孔(23)と、他方に設けられた小径孔(24)とで構成し、大径孔(23)の内径をブラケット取付用締結具(14)の挿通部分の外径よりも大きくし、小径孔(24)の内径を大径孔(23)の内径よりも小さくし、大径孔(23)と小径孔(24)とを上下に重ね、小径孔(24)と大径孔(23)の重なる位置にブラケット取付用締結具(14)を収めている。
これにより、排気処理装置(1)を位置決めすれば、ブラケット取付用締結具(14)が自然に重なり位置に位置決めされ、エンジン本体(11)への排気処理装置(1)の取付作業が簡単になる。
【0032】
この小径孔(24)と大径孔(23)はいずれも丸孔である。
ブラケット取付用締結具(14)はボルトナットであり、支持ブラケット(9)の水平基板(9a)と直交する向きに取付けられ、小径孔(24)の内径は、ブラケット取付用締結具(14)が前後方向と左右方向に位置調節されない大きさに設定している。
支持ステー(13)は左右一対の支柱(40)(40)上に架設した一体構造ではなく、左右一対の支柱にそれぞれ取り付ける左右一対の分割構造となっている。
他の構成と機能は、第1実施形態と同じであり、図13(A)(B)中、第1実施形態と同一の要素には、図13(A)(B)と同じ符号を付しておく。
【0033】
図14に例示する第4実施形態は、次の点が第1実施形態と異なる。
図14に示すように、排気処理装置(1)は左右いずれかの方向から見て、前後方向に長い形状にしている。これにより、排気処理装置(1)の高さ方向への突出を抑制することができる。
他の構成と機能は、第1実施形態と同じであり、図14中、第1実施形態と同一の要素には、図2と同じ符号を付しておく。
【0034】
図15に例示する第5実施形態は、次の点が第1実施形態と異なる。
図12に示す第2実施形態と同様、図15に示すように、フランジ連結用締結具(7)の環状配列仮想線(10)上にブラケット連結用締結具(8)を配置している。
図14に例示する第4実施形態と同様、排気処理装置(1)は左右いずれかの方向から見て、前後方向に長い形状にしている。
他の構成と機能は、第1実施形態と同じであり、図15中、第1実施形態と同一の要素には、図2と同じ符号を付しておく。
【0035】
図16(A)(B)に例示する第5実施形態は、次の点が第1実施形態と異なる。
図13(A)(B)に例示する第3実施形態と同様、図16(A)(B)に示すように、ブラケット取付用締結具(14)の位置調節孔(19)を、大径孔(23)と小径孔(24)とで構成しているが、この実施形態では、大径孔(23)は角孔としている。
また、図13(A)(B)に例示する第3実施形態と同様、図16(A)(B)に示すように、支持ステー(13)は左右一対の支柱上に架設した一体構造ではなく、左右一対の支柱にそれぞれ取り付ける左右一対の分割構造となっている。
図16(A)(B)に示すように、重ねた一対の連結フランジ(6)と支持ブラケット(9)とをブラケット連結用締結具(8)で共締めしている。
他の構成と機能は、第1実施形態と同じであり、図16(A)(B)中、第1実施形態と同一の要素には、図3(A)(B)と同じ符号を付しておく。
【符号の説明】
【0036】
(1) 排気処理装置
(9) 支持ブラケット
(11) エンジン本体
(13) 支持ステー
(14) ブラケット取付用締結具
(15) エンジン排気出口フランジ
(16) 排気入口フランジ
(17) 排気フランジ締結具
(18) 位置調節孔
(19) 位置調節孔
(20) 上下方向長孔
(21) 前後方向長孔
(22) 左右方向長孔
(23) 径大孔
(24) 径小孔
(25) フライホイールハウジング
(26) シリンダヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン本体(11)に支持ステー(13)を介して排気処理装置(1)を支持した、排気処理装置付きエンジンにおいて、
エンジン本体(11)に支持ステー(13)を取り付け、排気処理装置(1)に支持ブラケット(9)を連結し、この支持ブラケット(9)を支持脚として排気処理装置(1)を支持ステー(13)上に載置し、この支持ブラケット(9)をブラケット取付用締結具(14)で支持ステー(13)に取り付けた、ことを特徴とする排気処理装置付きエンジン。
【請求項2】
請求項1に記載した排気処理装置付きエンジンにおいて、
エンジン排気出口フランジ(15)に排気処理装置(1)の排気入口フランジ(16)を排気フランジ締結具(17)で連結し、
エンジン排気出口フランジ(15)と排気入口フランジ(16)のいずれか一方に排気フランジ締結具(17)を挿通させる位置調節孔(18)をあけ、この位置調節孔(18)で少なくとも排気フランジ締結具(17)の上下方向位置を位置調節できるようにし、
エンジン排気出口フランジ(15)の向きを後向き、排気入口フランジ(16)の向きを前向き、前後方向と直交する水平方向を左右方向と見て、
支持ブラケット(9)と支持ステー(13)のうち、少なくとも一方にブラケット取付用締結具(14)を挿通させる位置調節孔(19)を設け、この位置挿通孔(19)で少なくともブラケット取付用締結具(14)の前後方向と左右方向の位置を調節できるようにした、ことを特徴とする排気処理装置付きエンジン。
【請求項3】
請求項2に記載した排気処理装置付きエンジンにおいて、
排気フランジ締結具(17)を挿通させる位置調節孔(18)を上下方向長孔(20)で構成した、ことを特徴とする排気処理装置付きエンジン。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載した排気処理装置付きエンジンにおいて、
ブラケット取付用締結具(14)を挿通させる位置調節孔(19)を、支持ブラケット(9)と支持ステー(13)のうち、一方に設けた前後方向長孔(21)と、他方に設けた左右方向長孔(22)とで構成し、前後方向長孔(21)と左右方向長孔(22)とを上下に交差させ、この交差位置にブラケット取付用締結具(14)を収めた、ことを特徴とする排気処理装置付きエンジン。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載した排気処理装置付きエンジンにおいて、
ブラケット取付用締結具(14)の位置調節孔(19)を、支持ブラケット(9)と支持ステー(13)のうち、一方に設けられた大径孔(23)と、他方に設けられた小径孔(24)とで構成し、大径孔(23)の内径をブラケット取付用締結具(14)の挿通部分の外径よりも大きくし、小径孔(24)の内径を大径孔(23)の内径よりも小さくし、大径孔(23)と小径孔(24)とを上下に重ね、小径孔(24)と大径孔(23)の重なる位置にブラケット取付用締結具(14)を収めた、ことを特徴とする排気処理装置付きエンジン。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載した排気処理装置付きエンジンにおいて、
クランク軸の架設方向を前後方向、エンジン本体(11)の幅方向を左右方向として、排気処理装置(1)は左右方向に長い姿勢で、フライホイールハウジング(25)上方で、シリンダヘッド(26)の真後ろに配置した、ことを特徴とする排気処理装置付きエンジン。
【請求項7】
請求項6に記載した排気処理装置付きエンジンにおいて、
排気処理装置(1)は左右いずれかの方向から見て、上下方向に長い形状にした、ことを特徴とする排気処理装置付きエンジン。
【請求項8】
請求項6に記載した排気処理装置付きエンジンにおいて、
排気処理装置(1)は左右いずれかの方向から見て、前後方向に長い形状にした、ことを特徴とする排気処理装置付きエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−77622(P2012−77622A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220584(P2010−220584)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】