説明

排気装置及び画像形成装置

【課題】定着装置から他の部位への熱の拡散を抑制することができる排気装置及び画像形成装置を得る。
【解決手段】排気装置100は、第1排気ユニット131と、第2排気ユニット133と、第3ダクト105とを有している。第1排気ユニット131は、第1ダクト101及び第1排気ファン113を備えており、定着ユニット82の上部で吸気した空気を第2処理部10Bの外部へ流す。一方、第2排気ユニット133は、第2ダクト103及び第2排気ファン115を備えており、定着ユニット82の送出部95で吸気した空気を第2処理部10Bの外部へ流す。これにより、定着ユニット82から他の部位への熱の拡散が抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、定着装置の記録媒体が排出される側に空気吸引手段を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−058695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、定着装置から他の部位への熱の拡散を抑制することができる排気装置及び画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る排気装置は、搬送される記録媒体上の現像剤を記録媒体に定着させる定着装置の上方に吸気口が設けられ該定着装置が設けられた筐体内部の空気を外部へ流すための第1流路と、前記第1流路を用いて排気をする第1排気手段と、を備えた第1排気部と、記録媒体の搬送方向において前記定着装置よりも下流側に吸気口が設けられ前記筐体内部の空気を外部へ流すための第2流路と、前記第2流路を用いて排気をする第2排気手段と、を備えた第2排気部と、記録媒体の搬送方向において前記定着装置よりも上流側に吸気口が設けられ該吸気口から前記第1流路に設けられた吸気口まで空気を流すための第3流路と、を有する。
【0006】
本発明の請求項2に係る排気装置は、前記第2流路の吸気口は、前記記録媒体の搬送方向に対して斜め方向から吸気するように形成されている。
【0007】
本発明の請求項3に係る排気装置は、前記第2流路の吸気口には、前記記録媒体の搬送方向の上流側から吸気すると共に吸気した空気を上方に導く湾曲形状の案内部材が設けられている。
【0008】
本発明の請求項4に係る排気装置は、前記案内部材には、開口側への水滴の流れを堰き止める堰止部が形成されている。
【0009】
本発明の請求項5に係る排気装置は、前記第2流路の吸気側の端部が記録媒体の搬送方向に分岐され、該搬送方向の上流側と下流側の2箇所で吸気する。
【0010】
本発明の請求項6に係る排気装置は、前記第1排気部は、前記筐体における前記記録媒体の搬送方向との交差方向の端部から排気し、前記第1流路には、前記交差方向に隣り合って複数の吸気口が形成され、該複数の吸気口の開口面積が同じになっている。
【0011】
本発明の請求項7に係る排気装置は、前記第1流路と前記第2流路は独立しており、前記第1排気手段は、前記第1流路からの排気量を可変とされ、前記第2排気手段は、前記第2流路からの排気量を可変とされている。
【0012】
本発明の請求項8に係る排気装置は、前記筐体に設けられ前記筐体の内部又は外部の空気の温度及び湿度を測定する温湿度測定手段と、前記温湿度測定手段で得られた温度及び湿度に基づいて、前記第1排気手段と前記第2排気手段を独立して駆動する駆動手段と、が設けられている。
【0013】
本発明の請求項9に係る画像形成装置は、記録媒体上に現像剤で画像を形成する画像形成手段と、記録媒体の搬送方向で前記画像形成手段の下流側に設けられ、記録媒体上の現像剤を加熱手段で加熱して記録媒体に定着させる定着装置と、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の排気装置と、を有する。
【0014】
本発明の請求項10に係る画像形成装置は、前記筐体の前記定着装置の設置部位と異なる部位には、前記筐体の外部へ排気する第3排気手段が設けられ、前記第1排気手段での排気量と前記第2排気手段での排気量との和が、前記第3排気手段の排気量よりも大きくなっている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明は、定着装置から他の部位への熱の拡散を抑制することができる。
【0016】
請求項2の発明は、定着装置から送り出される記録媒体が浮き上がるのを抑制することができる。
【0017】
請求項3の発明は、第2流路の空気を流す方向が変化する部位の壁形状が湾曲形状となっていないものに比べて、排気時の流路抵抗を低減できる。
【0018】
請求項4の発明は、記録媒体又は記録媒体の搬送面への水滴の落下を防止できる。
【0019】
請求項5の発明は、定着装置で記録媒体が送り出される部位の結露を抑制することができる。
【0020】
請求項6の発明は、排気側とは反対側の開口面積が大であるものに比べて、第1流路内の排気方向での温度差を小さくすることができる。
【0021】
請求項7の発明は、定着装置から他の部位への熱の拡散と定着装置の結露を抑制することができる。
【0022】
請求項8の発明は、全体の排出風量の変動を抑えつつ、定着装置から他の部位への熱の拡散と定着装置の結露を抑制することができる。
【0023】
請求項9の発明は、定着装置から他の部位への熱の拡散を抑制することができる。
【0024】
請求項10の発明は、定着装置から他の部位への熱の拡散を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成ユニットの構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る定着ユニットの構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る定着ユニット及び排気装置の構成図である。
【図5】本発明の実施形態に係る定着ユニット及び排気装置の部分構成図である。
【図6】本発明の実施形態に係る排気装置を画像形成装置の裏面側から見た状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る排気装置を平面視したときの構成図である。
【図8】本発明の実施形態に係る排気装置での吸気状態を示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態に係る排気装置での吸気筐体を示す部分説明図である。
【図10】本発明の実施形態に係る画像形成装置の第2処理部を裏面側から見たときの各排気ファンの配置状態を示す構成図である。
【図11】本発明の他の実施例に係る排気装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態に係る排気装置及び画像形成装置の一例について説明する。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10は、カラー画像又は白黒画像を形成するものであり、正面視で左側に配置された第1処理部10Aと、第1処理部10Aと着脱可能とされ右側に配置された第2処理部10Bとを有している。第1処理部10A及び第2処理部10Bの筐体は、複数のフレーム材11で構成されている。
【0028】
第2処理部10Bの内部であって鉛直方向上側には、コンピュータから送られてくる画像データに画像処理を施す画像信号処理部を含み、画像形成装置10の各部の駆動制御を行う駆動手段の一例としての制御部13が設けられている。また、制御部13の下側には、電源ユニット230が設けられている。電源ユニット230は、外部から取り込んだ交流電流を直流電流に変えて、画像形成装置10の各部へ給電を行っている。
【0029】
一方、第1処理部10Aの内部であって鉛直方向上側には、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ14V、14W、14Y、14M、14C、14Kが水平方向に並んで交換可能に設けられている。なお、第1特別色及び第2特別色には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の特別色(透明を含む)から選択される。また、以後の説明では、V、W、Y、M、C、Kを区別する場合は、数字の後にV、W、Y、M、C、Kのいずれかの英字を付して説明し、V、W、Y、M、C、Kを区別しない場合は、V、W、Y、M、C、Kを省略する。
【0030】
トナーカートリッジ14の下側には、各色のトナーに対応する画像形成手段の一例としての6つの画像形成ユニット16が、各トナーカートリッジ14と対応して水平方向に並んで設けられ、各トナーカートリッジ14の下側には、画像形成ユニット16毎に画像形成手段の一例としての露光ユニット40が設けられている。露光ユニット40は、前述した制御部13から画像処理を施された画像データを受け取り、半導体レーザ(図示省略)を色材階調データに応じて変調して、これらの半導体レーザから露光光Lを出射するように構成されている。詳細には、後述する感光体18(図2参照)の表面に各色に対応した露光光Lを照射して感光体18上に静電潜像を形成するようになっている。
【0031】
図2に示すように、画像形成ユニット16は、矢印A(図2の時計回り)方向に回転駆動される感光体18を備えている。そして、感光体18の周囲には、感光体18を帯電するコロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電器20と、露光ユニット40によって出射された露光光Lにより感光体18上に形成された静電潜像を各色の現像剤(トナー)で現像する現像装置22と、転写後の感光体18の表面をクリーニングするクリーニングブレード24と、転写後の感光体18の表面に光を照射して除電を行うイレーズランプ26が設けられている。そして、スコロトロン帯電器20、現像装置22、クリーニングブレード24、イレーズランプ26は、感光体18の表面と対向して、感光体18の回転方向上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
【0032】
また、現像装置22は、画像形成ユニット16の側方(本実施形態では紙面右側)に配置され、トナーを含んだ現像剤Gが充填された現像剤収容部材22Aと、現像剤収容部材22Aに充填されたトナーを感光体18の表面に移動させる現像ロール22Bとを含んで構成されている。そして、現像剤収容部材22Aは、トナーカートリッジ14(図1参照)とトナー供給路(図示省略)を通して接続されており、トナーカートリッジ14からトナーが供給されるようになっている。
【0033】
図1に示すように、各画像形成ユニット16の下側には、転写部32が設けられている。転写部32は、各感光体18と接触する無端状の中間転写ベルト34と、中間転写ベルト34の内側に配置され、各感光体18上に形成されたトナー画像を中間転写ベルト34に多重転写させる6つの1次転写部材としての1次転写ロール36とを含んで構成されている。中間転写ベルト34は、図示しないモータで駆動される駆動ロール38と、中間転写ベルト34の張力を調整する張力付与ロール41と、後述する2次転写ロール62と対向配置された支持ロール42と、複数個の支持ロール44とに巻き掛けられており、駆動ロール38により、図1の矢印B方向(反時計回り方向)に循環移動されるようになっている。
【0034】
詳細には、各1次転写ロール36は、中間転写ベルト34を挟んでそれぞれの各画像形成ユニット16の感光体18と対向配置されている。また、1次転写ロール36は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により感光体18上に形成されたトナー画像が中間転写ベルト34に転写されるようになっている。また、駆動ロール38と中間転写ベルト34を挟んで反対側には、先端部が中間転写ベルト34と接触するクリーニングブレード46が設けられおり、このクリーニングブレード46は、循環移動する中間転写ベルト34上の残留トナーや紙粉等を除去するようになっている。
【0035】
一方、転写部32の下方で第1処理部10Aの下側には、記録媒体の一例としてのシート部材Pが収納される大型の給紙カセット48が水平方向に並んで2個設けられており、シート部材Pが大量に収納可能とされている。なお、2個の給紙カセット48は、同様の構成とされているため、一方の給紙カセット48について説明し、他方の給紙カセット48については説明を省略する。
【0036】
給紙カセット48は、第1処理部10Aから引き出し自在とされており、給紙カセット48を第1処理部10Aから引き出すと、給紙カセット48内に設けられシート部材Pが載せられるボトムプレート50が、図示せぬ制御手段の指示によって下降するようになっている。ボトムプレート50が下降することで、ユーザーがシート部材Pを補充可能となっている。また、給紙カセット48を第1処理部10Aに取り付けると、ボトムプレート50が、制御手段の指示によって上昇する。給紙カセット48の一端側の上方には、給紙カセット48からシート部材Pを搬送経路60へ送り出す送出ロール52が設けられており、上昇するボトムプレート50に載せられた最上位のシート部材Pと送出ロール52が接触するようになっている。さらに、送出ロール52のシート部材搬送方向下流側(以下単に「下流側」という)には、シート部材Pの重送を防止する分離ロール56が設けられ、分離ロール56の下流側には、シート部材Pを搬送方向下流側に搬送する複数個の搬送ロール54が設けられている。
【0037】
給紙カセット48の上側に設けられる搬送経路60は、給紙カセット48から送出されたシート部材Pを第1折返部60Aで反対側(図示の左側)に折り返し、さらに、第2折返部60Bで反対側(図示の右側)に折り返して、2次転写ロール62と支持ロール42で挟まれた転写位置Tに向けて延びるようになっている。
【0038】
第2折返部60Bと転写位置Tとで挟まれる部位には、搬送されるシート部材Pの傾き等を修正するアライナー(図示省略)が設けられており、このアライナーと転写位置Tとで挟まれる部位には、中間転写ベルト34上のトナー画像の移動タイミングとシート部材Pの搬送タイミングを合わせるための位置合せロール64が設けられている。
【0039】
また、2次転写ロール62は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により中間転写ベルト34上に多重転写された各色のトナー画像が、2次転写ロール62によって搬送経路60に沿って搬送されてきたシート部材Pに2次転写される構成となっている。さらに、搬送経路60の第2折返部60Bへ合流するように、第1処理部10Aの側面から延びる予備経路66が設けられており、第1処理部10Aに隣接して配置された外付けの大容量集積部(図示省略)から送出されたシート部材Pが、予備経路66を通って搬送経路60に入り込めるようになっている。
【0040】
一方、転写位置Tの下流側には、トナー画像が転写されたシート部材Pを第2処理部10Bに向けて搬送する複数個の搬送装置70が設けられている。搬送装置70は、図示しない駆動ロールと従動ロールに巻き掛けられる複数本のベルト部材が備えられており、駆動ロールを回転駆動させてベルト部材を回転させることで、シート部材Pを下流側に向けて搬送するようになっている。
【0041】
搬送装置70の下流側は、第1処理部10Aから第2処理部10Bへ延びており、搬送装置70によって送り出されたシート部材Pが、第2処理部10Bに設けられた搬送装置80によって受取られ、さらに下流側に搬送されるようになっている。また、搬送装置80の下流側には、シート部材Pの表面に転写されたトナー画像をシート部材Pに熱と圧力で定着させる定着装置の一例としての定着ユニット82が設けられている。そして、定着ユニット82の周囲には、定着ユニット82を囲むようにして、後述する排気装置100が設けられている。
【0042】
図3に示すように、定着ユニット82は、定着ベルト84を備える定着ベルトモジュール86と、定着ベルトモジュール86に圧接配置された加圧ロール88とで構成されている。そして、後述する定着ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88とが接触するニップ部Nが形成されている。ニップ部Nでは、シート部材Pが加圧及び加熱されトナー画像が定着される。
【0043】
定着ベルトモジュール86は、無端状の定着ベルト84と、加圧ロール88側で定着ベルト84を張架しながらモータ(図示省略)の回転力で回転駆動する加熱ロール89と、加熱ロール89と異なる位置で内側から定着ベルト84を張架する支持ロール90とを備えている。また、定着ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱ロール89から支持ロール90までの定着ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94とを備えている。
【0044】
さらに、定着ベルトモジュール86と加圧ロール88とが圧接する領域であるニップ部N内の下流側領域で且つ定着ベルト84の内側には、加熱ロール89の近傍位置に配置され加熱ロール89の外周面から定着ベルト84を剥離する剥離パッド96と、ニップ部Nの下流側において定着ベルト84が張架される支持ロール98とが設けられている。
【0045】
加熱ロール89は、アルミニウムからなる円筒状の芯金の表面の金属磨耗を防止する保護層として、芯金表面に厚さ200μmのフッ素樹脂皮膜が形成されたハードロールである。さらに、加熱ロール89の内部には、ハロゲンヒータ102が設けられている。また、支持ロール90は、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、内部には加熱源としてハロゲンヒータ104が配設されており、定着ベルト84を内面側から加熱するようになっている。さらに、支持ロール90の両端部には定着ベルト84を外側に押圧するバネ部材(図示省略)が配設されている。
【0046】
支持ロール92は、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、支持ロール92の表面には厚さ20μmのフッ素樹脂からなる離型層が形成されている。この離型層は、定着ベルト84の外周面からの僅かなオフセットトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。この支持ロール92の内部には、ハロゲンヒータ106が配設されており、定着ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。つまり、本実施形態では、加熱ロール89と支持ロール90及び支持ロール92とによって、定着ベルト84が加熱される構成となっている。
【0047】
姿勢矯正ロール94は、アルミニウムで形成された円柱状ロールであり、姿勢矯正ロール94の近傍には、定着ベルト84の端部位置を測定する端部位置測定機構(図示省略)が配置されている。そして、姿勢矯正ロール94には、端部位置測定機構の測定結果に応じて定着ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(図示省略)が配設され、定着ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
【0048】
また、剥離パッド96は、一例として、鉄系の金属や樹脂等の剛体で形成された加熱ロール89と対応する長さを有するブロック状の部材である。剥離パッド96の断面形状は、加熱ロール89に面する湾曲した内側面96Aと、定着ベルト84を加圧ロール88に向けて押圧する押圧面96Bと、押圧面96Bに対して決められた角度を有して定着ベルト84を屈曲させる外側面96Cとを備えて構成される略円弧状を呈している。詳細には、押圧面96Bと外側面96Cから構成される角部Uは、加圧ロール88によって角部Uに押し付けられた定着ベルト84を屈曲させ、角部Uをシート部材Pの先端が通過する際に、シート部材Pの先端と定着ベルト84を剥離させるようになっている。
【0049】
一方、加圧ロール88は、アルミニウムからなる円柱状ロール88Aを基体として、基体側から順に、シリコーンゴムからなる弾性層88Bと、膜厚100μmのフッ素系樹脂からなる剥離層とが積層された構成となっている。また、加圧ロール88は、回転自在に支持されると共に、図示しないスプリング等の付勢手段によって定着ベルト84が加熱ロール89に巻き回された部位に圧接されて設けられている。これにより、定着ベルトモジュール86の加熱ロール89が矢印C方向へ回転移動するのに伴って、加熱ロール89に従動して矢印E方向に回転移動するようになっている。
【0050】
ここで、図4に示すように、定着ユニット82におけるシート部材Pの排出側で支持ロール98の近くには、シート部材Pの搬送経路の天井部を構成する天板97が、後述する搬送装置108と対向配置されており、天板97と搬送装置108で挟まれた空間が、シート部材Pが送り出される送出部95となっている。
【0051】
図1に示すように、定着ユニット82の下流側には、定着ユニット82から送出されたシート部材Pを下流側へ搬送する搬送装置108が設けられ、搬送装置108の下流側には、定着ユニット82によって加熱されたシート部材Pを冷却する冷却ユニット110が設けられている。冷却ユニット110は、搬送経路60を挟んで上側にシート部材Pの熱を吸収する吸収装置112が設けられ、下側には、搬送されるシート部材Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114が設けられている。また、冷却ユニット110の下流側には、シート部材Pの反りを矯正するデカール処理ユニット140が設けられている。
【0052】
吸収装置112には、シート部材Pと接触し、シート部材Pの熱を吸収する無端状の吸収ベルト116が設けられており、吸収ベルト116を支持する複数個の支持ロール118と、吸収ベルト116へ駆動力を伝達する駆動ロール120が、吸収ベルト116の内側に設けられている。さらに、吸収ベルト116の内側には、吸収ベルト116と面状に接触して吸収ベルト116が吸収した熱を放熱させるアルミニウム材料で形成されたヒートシンク122が設けられている。
【0053】
押付装置114には、シート部材Pと接触し、シート部材Pを吸収装置112へ押し付ける無端状の押付ベルト130と、押付ベルト130が張架されると共に回転可能に支持される複数個の支持ロール132が設けられている。これらの構成により、シート部材Pの熱が奪われ、シート部材Pが冷却されるようになっている。
【0054】
デカール処理ユニット140の下流には、片面に画像が形成されたシート部材Pを第2処理部10Bの側面に取り付けられた排出部196に排出する排出ロール198が設けられている。また、デカール処理ユニット140の上方には、第2処理部10Bの内部温度及び湿度、又は外部温度及び湿度を測定して制御部13へ温度及び湿度のデータを出力する温湿度測定手段の一例としての温湿度センサ119が設けられている。ここで、シート部材Pの両面に画像を形成させる場合は、デカール処理ユニット140の下流に設けられた反転ユニット200へシート部材Pが搬送される。
【0055】
反転ユニット200には、反転経路202が設けられている。反転経路202には、搬送経路60から分岐する分岐パス202Aと、分岐パス202Aに沿って搬送されるシート部材Pを第1処理部10A側に向けて搬送する用紙搬送パス202Bと、用紙搬送パス202Bに沿って搬送されるシート部材Pを逆方向に向けて折返してスイッチバック搬送させ表裏を反転させる反転パス202Cとが設けられている。この構成により、反転パス202Cでスイッチバック搬送されたシート部材Pは、第1処理部10Aに向けて搬送され、さらに、給紙カセット48の上方に設けられた搬送経路60に入り込み、転写位置Tへ再度送り込まれるようになっている。
【0056】
次に、排気装置100について説明する。
【0057】
図4には、定着ユニット82の周囲に設けられた排気装置100が示されている。なお、図4において、矢印X方向が画像形成装置10の左側から右側へ向かう方向であり、矢印+Y方向が画像形成装置10の正面側から奥側へ向かう方向である。
【0058】
排気装置100は、第1排気部の一例としての第1排気ユニット131と、第2排気部の一例としての第2排気ユニット133と、シート部材Pの搬送方向で定着ユニット82よりも上流側を覆うように配置された第3流路の一例としての第3ダクト105とを有している。第1排気ユニット131は、定着ユニット82の上部を覆うように配置された第1流路の一例としての第1ダクト101と、後述する補助ダクト109及び第1排気ファン113(図6参照)とで構成されている。また、第2排気ユニット133は、シート部材Pの搬送方向で定着ユニット82よりも下流側を覆うように配置された断面L字状の第2流路の一例としての第2ダクト103と、後述する補助ダクト111及び第2排気ファン115(図6参照)とで構成されている。
【0059】
図6及び図7に示すように、第1ダクト101は、矢印+Y方向に向かって延びる断面長方形状の筒体であり、第1ダクト101の底部101Aには、シート部材Pの搬送方向(矢印X方向)との交差方向である矢印+Y方向を長手方向とする複数の長孔である吸気口107が形成されている。吸気口107は、矢印+Y方向で手前側に形成された吸気口107Aと、奥側に形成された吸気口107Bとが隣り合って直線上に配置された構成となっており、吸気口107Aと吸気口107Bは同じ寸法形状となっている。さらに、吸気口107Aの矢印+Y方向の長さをA1、矢印X方向の長さをd1、吸気口107Bの矢印+Y方向の長さをA2、矢印X方向の長さをd2として、吸気口107Aの開口面積S1(≒A1×d1)と吸気口107Bの開口面積S2(≒A2×d2)とが等しくなるように形成されている。
【0060】
一方、第2ダクト103は、第1ダクト101に隣接して矢印X方向に広がる排気部103Aと、排気部103Aの端部から矢印Z方向下側へ設けられた排気部103Bとで構成されており、排気部103Bの下端部には、定着ユニット82の送出部95(図8参照)に向けて配置された吸気口117が形成されている。また、吸気口117の下端には、吸気口117と連続して、シート部材Pの搬送方向の上流側から吸引した空気を吸気口117に案内するために少なくとも一部が湾曲形状に形成された案内部材103Dが設けられている。
【0061】
図8に示すように、第2ダクト103における案内部材103Dの一部は、送出部95へ向けて傾斜配置されている。また、案内部材103Dには、空気が流れる方向を矢印X方向から矢印Z方向へ変化させるための湾曲形状の壁部103Eが設けられている。さらに、壁部103Eの端部は上方に折り返され、結露した水滴を堰き止める凹状の堰止部103Fが形成されている。
【0062】
図7に示すように、第1ダクト101の矢印+Y方向奥側の端部101Bには、端部101Bからさらに矢印+Y方向奥側に延びる第1流路の一例としての補助ダクト109が取り付けられており、第2ダクト103の矢印+Y方向奥側の端部103Cには、端部103Cからさらに矢印+Y方向奥側に延びる第2流路の一例としての補助ダクト111が取り付けられている。
【0063】
補助ダクト109内には、吸気口107から吸気すると共に、第1ダクト101及び補助ダクト109内の空気を第2処理部10B(図1参照)の外部へ排気する第1排気手段の一例としての第1排気ファン113が設けられている。また、補助ダクト111内には、吸気口117から吸気すると共に、第2ダクト103及び補助ダクト111内の空気を第2処理部10B(図1参照)の外部へ排気する第2排気手段の一例としての第2排気ファン115が設けられている。
【0064】
第1排気ファン113と第2排気ファン115は、制御部13(図1参照)に電気的に接続されており、温湿度センサ119で測定された温度又は湿度のデータに基づいて、独立して駆動されるようになっている。一例として、温湿度センサ119で温度25℃が測定された場合は、第1排気ファン113の排気量(風量)を予め設定した排気量から増加させ、第2排気ファン115の排気量(風量)を予め設定した排気量から減少させる。また、温湿度センサ119で湿度60%が測定された場合は、第2排気ファン115の排気量(風量)を予め設定した排気量から増加させ、第1排気ファン113の排気量(風量)を予め設定した排気量から減少させるようになっている。
【0065】
ここで、図10に示すように、第2処理部10Bの奥側(画像形成装置10の裏面)には、制御部13(図1参照)で駆動制御され、デカール処理ユニット140の周囲から吸気して第2処理部10Bの外部へ排気する第3排気手段の一例としての第3排気ファン121が設けられている。そして、第1排気ファン113と第2排気ファン115は、制御部13(図1参照)により独立して駆動制御されるが、第1排気ファン113の排気量(Q1とする)と第2排気ファン115の排気量(Q2とする)との和が、第3排気ファン121の排気量(Q3とする)よりも大きくなるように設定されている。即ち、Q1+Q2>Q3となるように設定されている。
【0066】
一方、図5に示すように、第3ダクト105は、シート部材Pの搬送方向における搬送装置80の上流側上方で、且つ搬送方向で対面するように立設された側板105Aと装置外壁105B(第2処理部10Bの一部)とで構成されている。側板105Aは、装置外壁105Bよりも定着ユニット82に近い側に配置されており、側板105Aの下端の位置は装置外壁105Bの下端の位置よりも上側にある。これにより、第3ダクト105の下部に吸気のための吸気口105Cが形成されている。また、側板105Aの上部の長さは装置外壁105Bよりも短くなっており、第3ダクト105の上部に排気のための排気口105Dが形成されている。ここで、排気口105Dは、第1ダクト101の吸気口107に近い配置となっており、定着ユニット82におけるシート部材Pが進入する空間(搬送装置80の上方の空間)である進入部93から吸気口107まで、空気が流れるようになっている。なお、装置外壁105Bによって定着ユニット82の進入部93側が覆われているため、高温状態の定着ユニット82に直接触れることはできないようになっている。
【0067】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0068】
まず、画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
【0069】
図1に示すように、画像形成装置10の各ユニットが作動状態になると、制御部13で画像処理が施された画像データは、各色の色材階調データに変換され、露光ユニット40に順次出力される。各露光ユニット40では、各色の色材階調データに応じて各露光光Lを出射して、スコロトロン帯電器20(図2参照)によって帯電した各感光体18に走査露光を行い、静電潜像が形成される。そして、感光体18(図2参照)上に形成された静電潜像は、現像装置22によってそれぞれ第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像(現像剤像)として顕在化され現像が行われる。
【0070】
続いて、各画像形成ユニット16V、16W、16Y、16M、16C、16Kの感光体18上に形成された各色のトナー画像は、6つの1次転写ロール36V、36W、36Y、36M、36C、36Kによって中間転写ベルト34上に順次多重転写される。そして、中間転写ベルト34上に多重転写された各色のトナー画像は、2次転写ロール62によって、給紙カセット48から搬送されてきたシート部材P上に2次転写される。トナー画像が転写されたシート部材Pは、搬送装置70によって第2処理部10Bの内部に設けられた定着ユニット82に向けて搬送される。
【0071】
続いて、シート部材P上の各色のトナー画像が定着ユニット82により加熱、加圧されることでシート部材Pに定着される。さらに、トナー画像が定着されたシート部材Pは、冷却ユニット110を通過して冷却された後、デカール処理ユニット140に送り込まれ、シート部材Pに生じた反りが矯正される。そして、反りが矯正されたシート部材Pは、排出ロール198によって排出部196に排出される。
【0072】
一方、画像が形成されていない非画像面に画像を形成させる場合(両面印刷の場合)は、切替部材(図示省略)によってシート部材Pを反転ユニット200に送り出す。反転ユニット200へ送り出されたシート部材Pは、反転経路202を通過して反転され、給紙カセット48の上方に設けられた搬送経路60に送り込まれて、前述した手順で裏面にトナー画像が形成される。
【0073】
次に、排気装置100における排気について説明する。
【0074】
図1に示すように、画像形成装置10が作動すると、温湿度センサ119が第2処理部10B外の温度及び湿度を測定する。制御部13は、この温度及び湿度の測定データと予め記憶された温度及び湿度の設定値とを比較して、温度が設定値よりも高い場合は、第1排気ファン113(図6参照)の回転数を上げて排気量を増加させる。また、湿度が設定値よりも高い場合は、第2排気ファン115(図6参照)の回転数を上げて排気量を増加させる。ここで、排気量が増加した側とは反対側の第1排気ファン113又は第2排気ファン115の排気量が設定値よりも減少するように調整されながら駆動されるため、第1排気ファン113及び第2排気ファン115全体の排気量(風量)及び消費電力の変動が抑えられる。
【0075】
続いて、図8に示すように、定着ユニット82で定着動作が開始されると、定着ユニット82の周囲の空気は、ハロゲンヒータ102(図3参照)などの発熱により高温状態となる。ここで、第1排気ファン113(図6参照)の排気により、第1ダクト101は定着ユニット82の周囲よりも負圧となっているため、定着ユニット82の上方に存在している高温の空気は、吸気口107から吸引され、第1ダクト101及び第1排気ファン113を流れて第2処理部10Bの外部へ排気される。
【0076】
また、第3ダクト105では、排気口105Dが第1ダクト101の吸気口107に近い位置に配置されているため、第1ダクト101の負圧化により吸気口105Cから吸気が行われる。これにより、第1処理部10Aと第2処理部10Bの境界及び進入部93に存在している空気は、吸気口105Cから第3ダクト105を流れて排気口105Dから排気され、さらに吸気口107から吸気されて第1ダクト101を流れ、第2処理部10Bの外部へ排気される。よって、第1処理部10A側は、定着ユニット82に対して断熱される。
【0077】
このようにして、定着ユニット82の周囲に存在する高温の空気が第2処理部10Bの外部へ排気されるため、定着ユニット82から第1処理部10A又は第2処理部10Bの他の部位への熱の拡散量は、排気を行わない場合に比べて小さくなる。なお、図10において、第1排気ファン113の排気量Q1と第2排気ファン115の排気量Q2との和が、第3排気ファン121の排気量Q3よりも大きくなっているため、第2処理部10B内では、第1排気ファン113及び第2排気ファン115を設けた部位の方が、第3排気ファン121を設けた部位よりも負圧となる。これにより、定着ユニット82(図8参照)の周囲の熱せられた高温の空気が、第3排気ファン121側へ拡散することが抑えられる。
【0078】
また、図7に示すように、第1ダクト101の排気方向で上流側に位置している吸気口107Aの開口面積S1と、吸気口107Bの開口面積S2とが等しくなるように設定されているので、S1>S2の場合(排気側とは反対側の開口面積を大きくした場合)に比べると、排気方向で吸気量の分布の偏りが小さくなる。このため、第1ダクト101内の排気方向での空気の温度差が低減される。
【0079】
一方、図8及び図9に示すように、第2排気ファン115(図6参照)の排気により、第2ダクト103は定着ユニット82の周囲よりも低圧(負圧が大)となっているため、定着ユニット82の送出部95に存在している高温の空気は、吸気口117で吸気され、第2ダクト103及び第2排気ファン113を流れて第2処理部10Bの外部へ排気される。ここで、シート部材Pは、定着時に高温のニップ部Nで加熱されるため、シート部材Pに含まれている水分が蒸発することになるが、水蒸気を含む高温の空気が吸気口117で吸気されるため、送出部95に水蒸気が滞留しにくくなる。これにより、送出部95で結露しにくくなる。
【0080】
また、第2ダクト103は、排気部103Bの案内部材103Dが送出部95へ向けて傾斜配置されているため、吸気方向がシート部材Pの搬送方向と交差する方向となり、排気部103Bの鉛直下方に吸気口117を設けた場合に比べて、鉛直上方へのシート部材Pの吸引力が小さくなる。これにより、定着ユニット82のニップ部Nから送り出されるシート部材Pが浮きにくくなる。
【0081】
さらに、第2ダクト103は、吸気方向を変化させる部位である壁部103Eが湾曲形状となっている。このため、壁部103Eが直角に近い形状となっているものに比べて、排気時の流路抵抗が小さくなり、シート部材Pの搬送に与える影響が小さくなる。また、第2ダクト103は、堰止部103Fが形成されているため、第2ダクト103内で結露することがあっても、結露した水滴は堰止部103Fで堰き止められる。これにより、シート部材P又は搬送装置108の搬送面へ水滴が落下することがなくなる。
【0082】
以上説明したように、排気装置100は、定着ユニット82の加熱源である定着ベルトモジュール86を覆うように、シート部材Pの搬送方向上流側に第3ダクト105、下流側に第2ダクト103、及び定着ベルトモジュール86の上方に第1ダクト101が設けられているので、定着ベルトモジュール86の周囲の熱せられた高温の空気は、第1ダクト101、第2ダクト103、及び第3ダクト105より筐体(フレーム材11(図1参照))外に排出され、定着ベルトモジュール86を覆うように各ダクトを設けていない場合に比べて熱の拡散が抑制される。
【0083】
定着ベルトモジュール86によって熱せられた定着ユニット82内の空気は、第1ダクト101、第2ダクト103、及び第3ダクト105によって覆われていない箇所から定着ユニット82の外側へ流れ出ようとする。しかしながら、本実施形態では、定着ユニット82内の高温の空気が流れ出ようとする入口側と出口側の位置に、それぞれ吸気口105C、吸気口117を設けている。つまり、この流れ出ようとする高温の空気を吸気し、筐体外に排気するようにしている。また、定着ベルトモジュール86によって熱せられた空気は上方に移動するが、本実施形態では定着ベルトモジュール86の上方に吸気口107を設けている。よって、熱せられた高温の空気が移動しようとする先で吸気されるので、他の部分に吸気口を設ける場合に比べて、排気が効率良く行われる。これらにより、本実施形態では、定着ユニット82内の熱が定着ユニット82外に拡散するのを抑制している。
【0084】
ここで、排気装置100の他の実施例として、図11に示すように、第2ダクト103の吸気側の端部をシート部材Pの搬送方向の上流側と下流側に分岐した分岐ダクト210を設けてもよい。分岐ダクト210は、前述の天板97(図9参照)に換えて設けられた断面への字状の筒体で構成されており、定着ユニット82の送出部95に配置される排気口212と、ニップ部N(図8参照)のシート部材Pの排出部91(ニップ部Nの出口側周辺部)に配置される排気口214とを有している。
【0085】
分岐ダクト210を設けた排気装置100では、分岐ダクト210の吸気口214が排出部91に配置され、第2ダクトの吸気口117が送出部95に配置されている。そして、吸気口117からの吸気により吸気口214からの吸気が行われる。これにより、定着ユニット82での定着時にニップ部Nから排出された直後のシート部材Pで蒸発した水蒸気は、吸気口214から吸気されると共に排気口212から排気され、さらに吸気口117から吸気されて、第2処理部10B(図1参照)の外部へ排気される。また、搬送装置108で搬送されるシート部材Pから徐々に蒸発した水蒸気を含む空気は、吸気口117から吸気されて、第2処理部10B(図1参照)の外部へ排気される。このように、シート部材Pの搬送方向で複数箇所から吸気を行うため、シート部材Pの排出部91及び送出部95に水蒸気を含む空気が滞留することが抑えられ、結露しにくくなる。
【0086】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0087】
第1ダクト101と第2ダクト103は、隣接配置されていなくてもよく、例えば、第1ダクト101が断面コ字状で定着ユニット82の上方を覆っていてもよい。また、第3ダクト105は、第1ダクト101の端部と接続して一体化してもよく、設けなくてもよい。さらに、第2ダクト103と分岐ダクト210とを接続して吸気口214のみから吸気するようにしてもよい。
【0088】
温湿度センサ119は、第2処理部10B内だけでなく、第1処理部10A側に設けてもよい。また、画像形成装置10内部の温度、湿度の測定だけでなく、画像形成装置10の外部の温度、湿度を測定して、第1排気ファン113、第2排気ファン115の排気量を変更するようにしてもよい。定着ユニット82は、加熱手段及び加圧手段を有するものだけでなく、加熱手段のみを有するものであってもよい。
【符号の説明】
【0089】
10 画像形成装置
11 フレーム材(筐体の一例)
13 制御部(駆動手段の一例)
16 画像形成ユニット(画像形成手段の一例)
82 定着ユニット(定着装置の一例)
91 排出部
95 送出部
100 排気装置
101 第1ダクト(第1流路の一例)
103 第2ダクト(第2流路の一例)
103F 堰止部
105 第3ダクト(第3流路の一例)
107 吸気口
113 第1排気ファン(第1排気手段の一例)
115 第2排気ファン(第2排気手段の一例)
117 吸気口
119 温湿度センサ(温湿度測定手段の一例)
121 第3排気ファン(第3排気手段の一例)
131 第1排気ユニット(第1排気部の一例)
133 第2排気ユニット(第2排気部の一例)
P シート部材(記録媒体の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される記録媒体上の現像剤を記録媒体に定着させる定着装置の上方に吸気口が設けられ該定着装置が設けられた筐体内部の空気を外部へ流すための第1流路と、前記第1流路を用いて排気をする第1排気手段と、を備えた第1排気部と、
記録媒体の搬送方向において前記定着装置よりも下流側に吸気口が設けられ前記筐体内部の空気を外部へ流すための第2流路と、前記第2流路を用いて排気をする第2排気手段と、を備えた第2排気部と、
記録媒体の搬送方向において前記定着装置よりも上流側に吸気口が設けられ該吸気口から前記第1流路に設けられた吸気口まで空気を流すための第3流路と、
を有する排気装置。
【請求項2】
前記第2流路の吸気口は、前記記録媒体の搬送方向に対して斜め方向から吸気するように形成されている請求項1に記載の排気装置。
【請求項3】
前記第2流路の吸気口には、前記記録媒体の搬送方向の上流側から吸気すると共に吸気した空気を上方に導く湾曲形状の案内部材が設けられている請求項2に記載の排気装置。
【請求項4】
前記案内部材には、開口側への水滴の流れを堰き止める堰止部が形成されている請求項3に記載の排気装置。
【請求項5】
前記第2流路の吸気側の端部が記録媒体の搬送方向に分岐され、該搬送方向の上流側と下流側の2箇所で吸気する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の排気装置。
【請求項6】
前記第1排気部は、前記筐体における前記記録媒体の搬送方向との交差方向の端部から排気し、
前記第1流路には、前記交差方向に隣り合って複数の吸気口が形成され、該複数の吸気口の開口面積が同じになっている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の排気装置。
【請求項7】
前記第1流路と前記第2流路は独立しており、
前記第1排気手段は、前記第1流路からの排気量を可変とされ、
前記第2排気手段は、前記第2流路からの排気量を可変とされている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の排気装置。
【請求項8】
前記筐体に設けられ前記筐体の内部又は外部の空気の温度及び湿度を測定する温湿度測定手段と、
前記温湿度測定手段で得られた温度及び湿度に基づいて、前記第1排気手段と前記第2排気手段を独立して駆動する駆動手段と、
が設けられている請求項7に記載の排気装置。
【請求項9】
記録媒体上に現像剤で画像を形成する画像形成手段と、
記録媒体の搬送方向で前記画像形成手段の下流側に設けられ、記録媒体上の現像剤を加熱手段で加熱して記録媒体に定着させる定着装置と、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の排気装置と、
を有する画像形成装置。
【請求項10】
前記筐体の前記定着装置の設置部位と異なる部位には、前記筐体の外部へ排気する第3排気手段が設けられ、
前記第1排気手段での排気量と前記第2排気手段での排気量との和が、前記第3排気手段の排気量よりも大きくなっている請求項9に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−107219(P2011−107219A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259277(P2009−259277)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】