説明

排煙脱硫方法及びその装置。

【課題】化石燃料を燃焼する時、発生する亜硫酸ガスとアンモニアガスをオゾン酸化して硫安を安価に製造する排煙脱硫方法及びその装置。
【解決手段】 硫酸アンモニウムは化学式(NHSOから分かる様にNHのアンモニア2モルに対してHSO硫酸1モルが化合して得られるものである。亜硫酸を含んだ気体に約2倍のアンモニアガスを気気接触させ更にオゾン酸化を行なうと無色透明の結晶が析出する。この結晶が即ち硫酸アンモニウムで硫安と略称される。
気気接触には本人特許の球形サイクロン「第2420865号米4,908,049英0307821B1(欧州連合特許)仏0307821B1独P,3876910.7−08豪606207墨172006加1,332,048伯P18801778−8を改良したディンプル球形サイクロンを使用すると更に効果的である。」

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排煙脱硫方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排煙脱硫方法及びその装置は、亜硫酸ガス等を含む人体に有害な物質に消石灰等を水に溶解して懸濁液を作り、円筒管内に亜硫酸を含んだガスを上部から吹き込み、アトマイザー等の懸濁液用噴霧装置で微細な消石灰ミストを浴びせて気液接触を行い、亜硫酸ガスを消石灰に吸着させて石膏として固化回収する石膏法による排煙脱硫装置が知られている。
【0003】
或は、上記亜硫酸ガスを吸収する液としてアンモニア溶液を、気液接触方法を用いて硫酸アンモニウム(以後硫安という)として回収する、硫安法による排煙脱硫装置においては、アンモニアが亜硫酸ガスを吸収しやすい為に、高い脱硫率を得る大きな利点があり、又回収された硫安については、窒素肥料として利用できる大きなメリットがある。
【0004】
上記の石膏法も硫安法も共に共通して、気液接触による方法が採用されており、硫安水溶液や石膏水溶液の固液分離や乾燥或は濃縮結晶の析出した後、造粒機を用いる等、気液接触後の後処理工程の設備や運転管理の複雑化を招くこと等が問題となっていた。
【特許文献1】硫安結晶の製造方法特許公開2005−194153 排煙脱硫装置及び排煙脱硫方法特許公開平11−090170 排煙脱硫方法および排煙脱硫装置特許公開平10−066826 粒状硫安の製造方法特許公開平06−191831
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は従来行なわれていた湿式による気液接触を一切行なわず、終始気気接触を球形サイクロン内で行ない酸化促進にはオゾンガスを球形サイクロンの任意の場所から投入し、亜硫酸を含む排気ガスに対して、化学反応を起す一定量のアンモニアガスを制御しながら導入しガス&ガス接触硫安法により硫安を製造する排煙脱硫方法及びその装置。
【0006】
上記の如く球形サイクロン内に亜硫酸ガス等を含んだ排気ガスを導入し、アンモニアの量が不足しておれば任意の量までアンモニアタンクから温度制御しながら増量し、硫安を形成する硫酸1モルに対してアンモニアが2モルに達するまで増量し、一定濃度が得られるように調節した後オゾンガスで一気に酸化して硫安を析出結晶することを目的にした排煙脱硫方法及びその装置
【0007】
排気ガス中には、ベンゼンやシアン系の物質も多く、このような物質を処理する為には500℃以上の燃焼による処理が行われており、夾雑な物質を燃焼酸化しても尚未処理のまま大気放出して酸性雨の原因物質として亜硫酸ガス等硫酸を含んだ有害物質を大気中に飛散させて、人体にも少なからぬ影響を及ぼしており、最小限の装置を使用して、更に運転管理が簡素な操作でトラブル発生の少ない装置とともにランニングコストの低廉化が課題となっていた。
【008】
本発明は従来のような排煙脱硫装置を複雑化し、装置価格の肥大化の原因になっていた気液混合および気液接触による硫安水溶液を濃縮する為の過熱器、硫安結晶分離器、乾燥機又は造粒機等と云った多数の設備から開放し、回収した硫安についても生産コストを引下げることで窒素肥料利用の道が開かれることになる。
【009】
本発明は従来の排煙脱硫装置が有する課題を根本的に解決すべく世界初の気気接触硫安法が行なえる球形サイクロン(本人特許)を用いて、亜硫酸ガスと中和するアンモニアガスを任意の量に制御し、夫々のガスを混合し、強力な酸化材のオゾンガス接触で瞬時に硫安結晶を析出し、球形サイクロン内に取付けられた回収装置で六方晶系の構造で回収されることを特徴とする排煙脱硫方法及びその装置。
【0010】
本発明の特徴は亜硫酸ガスを導入し、アンモニアガスも温度上昇制御で気化した状態で制御し、オゾンガスの気気接触に至るまで高圧による液化を行わず、常温常圧の乾燥状態で終始一貫して、化学反応による析出を見た点に集約されている。
【0011】
液化しないで化学反応を行なった利点は大きく装置全体の簡素化が図れると共に設備費の矮小化及び運転コストの低減化、装置の運転が簡素になり、トラブルの原因が極めて少なくなる等の特徴があり、更に硫安が低廉になり、植物育成者に福音が与えられると共に工場発生亜硫酸ガス及びアンモニアガス除去浄化という一石二鳥以上の効果が期待される
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を採用する。
球形熱風炉1(本人特願2000−404312)を用いて排気ガス中に含まれる有毒ガスを燃焼処理し、排気ガス中に含まれる有毒ガスを600℃内外の温度で焼却すると無害化される。再発生が予測されるダイオキシン類は、高温域から急速冷却することで再発生を防止できる。
【0013】
上記球形熱風炉1で排気ガスを燃焼酸化した後、急速冷却を湿式サイクロン2内で球形ノズル3(本人特願2000−114363)を使用して冷却した後、反応性流体の触媒反応等による化学物質の製造方法及び装置(本人特願平8−293123PCT/JP/JP97103724)(以後球形反応装置)4に送風され、同装置内で硫酸1モルに対して2モルに調整されたアンモニアガス6を気気接触し、更にオゾンガス7を投入して、急速に高酸化処理を行い化学反応を起こさせることによって、硫安の結晶析出を気気接触によって生成する排煙脱硫方法及びその装置。
【0014】
上記の方法と装置によって硫安を結晶し析出されたものは、球形反応装置4の内面を接線方向に旋回する旋回風によって結晶分子が結合して肥大化し、数ミリセンチメートルまで達したとき、球形反応装置4硫安取り出し口5より硫安結晶を析出回収することを特徴とする排煙脱硫方法及びその装置。
【発明の効果】
【0015】
上記したように本発明は球形反応装置4内で気気接触により排気ガス中に含まれる亜硫酸ガス又は硫酸1モルに対して2モルのアンモニアガスを排気ガス中に含まれる分子量を測定し、不足分の補足を別途用意したアンモニア液から気化させ、HSO、1モルとNH、2モルがOによって急速に酸化し(NHSO の硫安を液化することなく気気接触によって該結晶を析出し回収する。亜硫酸ガス及びアンモニアガスを除去した大気は排出筒より放出する。
【0016】
従来技術では排煙脱硫装置の殆んどは消石灰に吸着させ石膏にする石膏法が主流であったが、近年になってやっと硫安法が数件出願されたがその総ては気液接触による硫安液製造の硫安法に限られていた。
【0017】
本発明の特色は最初から最後まで一貫して気気接触による硫安結晶析出が行われている点である。これは本人特許による球形サイクロンが唯一の気気接触器であり、分離器である。この発明が無ければ本願発明の気気接触による硫安法はありえなかったことになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下本発明の実施の形態を図1〜図2に基づいて説明する。
【0019】
図において1は球形熱風炉で排気ガスを燃焼酸化した後、該排気ガスを湿式サイクロン2内に導入し、球形ノズル3から噴射する微細水滴で冷却した後、球形反応装置4に送風され、残存している亜硫酸ガス及びアンモニアガス等の濃度をアンモニアガス測定機9で測定し、硫酸類に匹敵する2倍の量のアンモニアガス5を調整して気気接触させ、硫酸アンモニア混合ガスを形成する。
【0020】
硫酸アンモニアガスは強力な酸化が無ければ硫安結晶として析出しないため、更にオゾンガス6と気気接触することによって、六方晶系の硫酸アンモニウム結晶として析出される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】排煙脱硫方法とその装置を構成する平面図
【図2】排煙脱硫方法とその装置を構成する正面図
【符号の説明】
1.球形熱風炉
2.湿式サイクロン
3.球形ノズル
4.球形反応装置
5.硫安取り出し口
6.アンモニアガス
7.オゾンガス
8.排出筒
9.アンモニアガス測定機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜硫酸ガス等硫酸系の酸化ガスを含む排気ガスに該ガスの中和吸収を促進するアルカリ性のアンモニアを気化させ球形サイクロン内で気気接触し、中和化合する。オゾンガスで気気接触酸化して、硫安結晶として回収する方法であって、球形サイクロンに導入したことで気気接触が有効に行なえ液化することなく乾式の硫安結晶を回収することを特徴とする排煙脱硫方法及びその装置。
【請求項2】
排煙ガスの為、亜硫酸ガス濃度が一定ではないので、硫安結晶を析出させる媒体のアンモニアガスを比例して制御する必要がある。アンモニアは冷媒として使用される程融点と沸点の温度差があり、アンモニア貯蔵器の上部接続パイプに温度調節を施し、任意の温度に設定すればアンモニアの流量を制御することが出来る。ことを特徴とするアンモニア制御を組み込んだ気気接触による排煙脱硫方法及びその装置。
【請求項3】
排気ガス中に含まれる亜硫酸ガスを除去する為、亜硫酸ガスを吸収し易い任意の量のアンモニアガスの混合気体を、球形サイクロン内で気気接触酸化を更に促進する目的で、オゾンガスを導入し、気気接触することにより、液化することなく、乾燥気体による常温、常圧で急速にオゾン酸化し、化学反応による硫安結晶を析出回収することを特徴とする排煙脱硫方法及びその装置。
【請求項4】
球形サイクロン最大の円周となる赤道付近でオゾンガスを噴出し、任意の割合で亜硫酸ガスとアンモニアが混合され、球形内で繰り返し気気接触し、硫化アンモニアを形成し易い状態が保たれた該気体は酸化力の強いオゾンガスで急速酸化し、硫安の結晶を析出し、球形サイクロン下部の排出口から回収されることを特徴とし、排気中の亜硫酸ガス及びアンモニアを除去回収後、浄化された気体は球形中心排気筒より大気放出することを特徴とする排煙脱硫方法及びその装置。
球形サイクロンは更に改良した、ディンプル球形サイクロンを使用するとなおよい。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−245513(P2012−245513A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129586(P2011−129586)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000159906)
【Fターム(参考)】