説明

排紙トレイ装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】排紙トレイに用紙引き出し手段を設けることで、胴内の用紙排出空間が狭い場合でも排出された用紙を容易に取り出すことを可能とする。
【解決手段】排紙トレイ41に設けられた用紙引き出し手段42は、排紙トレイ41から予め定められた引き出し方向に引き出し自在及び引き出し方向と反対の収納方向に収納自在とされたスライド杆46と、スライド杆46に設けられ、上端部51aが載置面41aより上方に突出して用紙Pの後端縁部P1に当接するガイド部51とを備え、スライド杆46を引き出し方向に引き出すときには、ガイド部51が載置面41aに載置されている用紙Pの後端縁部P1に当接して当該用紙Pと共に引き出し方向に移動する一方、スライド杆46を収納方向に移動させるときには、ガイド部51が排紙トレイ41に排出されている用紙Pの下面よりも低い位置に変移して収納方向に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を排出する用紙排出口から排出された用紙を載置する排紙トレイ装置に係り、より詳細には排紙トレイからの用紙の取り出しを容易とした排紙トレイ装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省スペース化、低価格化による画像形成装置の更なる小型化が要望されているが、スキャナ部や画像形成部などは既に薄型化されており、これ以上の薄型化には限度がある。
【0003】
一方、スキャナ部と画像形成部との間に排紙トレイを設けた胴内排紙型の画像形成装置においては、上記ユニット以外の薄型化の対象として、排出トレイ上の胴内空間(用紙排出空間)も狭くしなければならない。しかし、用紙排出空間を狭くすると、排紙トレイ上に排出された用紙が取り出しにくいという課題がある。
【0004】
そのような課題を解決するものとして、胴内の排紙トレイへ排出された用紙を取り出すために、用紙が載ったトレイを引出すように構成された装置が提案されている(例えば、特許文献1〜3等参照)。
【0005】
特許文献1には、文献1の図12に示されているように、排紙トレイ70がフロントパネル20の排紙口を介して手前に引き出し可能とされた構成の画像形成装置が記載されている。
【0006】
特許文献2には、文献2の第1図及び第2図に示されているように、胴内排紙型の画像形成装置において、排紙トレイ6が胴内7から引き出し可能とされた構成の画像形成装置が記載されている。
【0007】
特許文献3には、プリンタ部の開口内に、排紙トレイを上側として排紙トレイと給紙トレイを上下二段に配置し、排紙トレイを第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変化させることにより、第1姿勢に対して排紙トレイの上面が給紙トレイ側へ移動することで、開口における手を入れるための空間を下方へ拡張するように構成された画像記録装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−283651号公報
【特許文献2】実開平4−56162号公報
【特許文献3】特開2011−93324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1,2記載の画像形成装置によれば、引き出した排紙トレイを再び収納する際、その間に排紙トレイ上に排出された用紙や排出中の用紙と、収納する排紙トレイとが干渉するため、用紙と排紙トレイとが干渉しないように、排紙トレイを引き出している間は印刷を停止しなければならない。そのため、排紙トレイの位置をロックする機構や、排紙トレイの位置を検知する検知センサーなどが必要となり、構造が複雑化して、省スペース化や低価格化に反する結果となるといった問題があった。
【0010】
また、上記特許文献3記載の画像記録装置では、上段の排紙トレイを下段の給紙トレイ側へ移動(下側へ移動)させることで、ユーザが手を入れて用紙をとるための開口を広くしているが、このような構成では、下段に給紙トレイがあることから、開口を広くするといっても限度があり、また手を入れて用紙をとることには変わりはないので、依然として用紙をとりにくい構造となっている。また、排紙トレイを下側へ移動させるための空間をとる必要があるため、装置の薄型化、小型化が難しいといった問題があった。
【0011】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、排紙トレイに用紙引き出し手段を設けることで、胴内の用紙排出空間が狭い場合でも排出された用紙を容易に取り出すことができるとともに、用紙引き出し手段と胴内に排出された用紙との干渉を防止して用紙引き出し手段を排紙トレイの下部に収納することのできる排紙トレイ装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の排紙トレイ装置は、用紙排出口から排出された用紙を載置する排紙トレイを備えた排紙トレイ装置であって、前記排紙トレイの載置面に載置された前記用紙の後端縁部を押すことで前記用紙を前記排紙トレイから外部へ引き出す用紙引き出し手段を備え、前記用紙引き出し手段は、前記排紙トレイから予め定められた引き出し方向に引き出し自在及び前記引き出し方向と反対の収納方向に収納自在とされたスライド部と、前記スライド部に設けられ、上部が前記載置面より上方に突出して前記用紙の後端縁部に当接するガイド部とを備え、前記スライド部を前記引き出し方向に引き出すときには、前記ガイド部が前記載置面に載置されている前記用紙の後端縁部に当接して当該用紙と共に前記引き出し方向に移動する一方、前記スライド部を前記収納方向に押し込むときには、前記ガイド部が前記用紙排出口から前記排紙トレイに排出されている用紙下面よりも低い位置に変移して前記収納方向に移動する構成とされていることを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、例えば胴内排出型の画像形成装置に本発明の排紙トレイ装置を適用した場合に、コンパクト化により胴内の排出空間が狭い(特に、高さ方向の空間幅が狭い)ため排出された用紙を取り出しにくい場合であっても、スライド部を引き出すことで、排紙トレイに載置されている用紙を容易に取り出すことができる。また、引き出したスライド部を元に戻すとき(すなわち、収納方向に移動させるとき)、ガイド部は、用紙排出口から排紙トレイに排出されている用紙の下面よりも低い位置に変移して移動する構成としたので、スライド部を引き出した後の排紙トレイに排出された用紙、または排出中の用紙の邪魔をすることなく、スライド部及びガイド部を収納することができる。
【0014】
また、本発明の排紙トレイ装置では、前記スライド部は、前記引き出し方向に沿って前記排紙トレイの下部に配置されたスライド杆を備え、前記スライド杆の前記引き出し方向後端部に前記ガイド部が設けられている一方、前記排紙トレイの前記載置面には、前記引き出し方向に沿って前記ガイド部を案内する案内溝部が形成された構成としている。スライド杆を引き出すことで、ガイド部は、その上部が排紙トレイの載置面から上方に突出した状態で、案内溝部に沿ってスムーズに移動することができる。
【0015】
また、本発明の排紙トレイ装置によれば、前記スライド杆及び前記案内溝部は、前記引き出し方向に直交する幅方向に所定の間隔を存して一対設けられた構成としている。
【0016】
スライド杆と案内溝部を、引き出し方向に直交する幅方向に所定の間隔を存して一対設けることで、スライド杆をがたつきなくスムーズに引き出すことができる。また、用紙も、傾くことなく引き出し方向に沿って真っ直ぐ引き出すことができる。
【0017】
また、本発明の排紙トレイ装置では、前記一対のスライド杆の前記引き出し方向前端部が把持杆によって連結された構成としている。スライド杆と把持杆とでコ字状に形成することで、スライド杆をがたつきなくスムーズに引き出すことができる。また、把持杆を設けることで、引き出される用紙が前方側へずれるのを防止する当たり止めとしても利用することができる。
【0018】
また、本発明の排紙トレイ装置では、前記排紙トレイの下面側には、前記スライド杆を支持するスライド溝部が前記案内溝部に沿って設けられた構成としている。スライド溝部を設けることで、スライド杆をスムーズに引き出し、収納することができる。
【0019】
また、本発明の排紙トレイ装置では、前記スライド部を前記排紙トレイの下部に収納した状態において、前記ガイド部は、前記排紙トレイの前記引き出し方向後端部の側壁より後方側に位置する構成としている。このような構成によれば、ガイド部が排紙トレイに排出されている用紙を邪魔することはない。
【0020】
また、本発明の排紙トレイ装置では、前記ガイド部は、前記スライド杆に支持軸によって前記引き出し方向に回動自在に軸支されており、前記ガイド部の前記引き出し方向に直交する一方の面には、前記支持軸と平行に係合軸が設けられ、前記排紙トレイの前記案内溝部に沿って形成された側壁には、前記係合軸と係合して前記ガイド部の回動動作を行わせる環状に形成された溝部が形成され、環状に形成された前記溝部は、前記スライド杆を前記引き出し方向に移動させるときには、前記係合軸が係合した状態で移動する上側第1溝部と、前記スライド杆を前記収納方向に移動させるときには、前記係合軸が係合した状態で移動する前記上側第1溝部と平行に配置された下側第2溝部と、前記上側第1溝部と前記下側第2溝部の前記引き出し方向前方側を連接する前方側第3溝部と、前記上側第1溝部と前記下側第2溝部の前記引き出し方向後方側を連接する後方側第4溝部とを備え、前記係合軸が前記上側第1溝部内を前記引き出し方向の後方側から前方側に移動中は、前記ガイド部の上部が前記排紙トレイの前記載置面より上方に突出した第1の状態を維持して移動し、前記係合軸が前記上側第1溝部から前記前方側第3溝部を経由して前記下側第2溝部を前記引き出し方向後方側に移動中は、前記ガイド部が前記用紙排出口から前記排紙トレイに排出されている用紙下面よりも低い第2の状態に変移して移動し、前記係合軸が前記下側第2溝部から前記後方側第4溝部を経由して前記上側第1溝部に戻ると、前記ガイド部が前記第2の状態から前記第1の状態に復帰する構成としている。
【0021】
このような構成によれば、ガイド部を、スライド杆の引き出し動作及び収納動作に連動させて、第1の状態から第2の状態にスムーズに変移させることができる。
【0022】
また、本発明の排紙トレイ装置では、前記上側第1溝部は、該上側第1溝部と前記後方側第4溝部との分岐部である第1分岐部からさらに引き出し方向後方側に延設された後方側延設溝部と、前記上側第1溝部と前記前方側第3溝部との分岐部である第2分岐部からさらに引き出し方向前方側に延設された前方側延設溝部とを備えた構成としている。このような構成によれば、前方側延設溝部は、スライド杆を前方いっぱいまで引き出したときの前方側のストッパ溝として機能し、後方側延設溝部は、スライド杆を後方いっぱいまで収納したときの後方側のストッパ溝として機能する。
【0023】
また、本発明の排紙トレイ装置では、前記第1分岐部に第1案内部材が設けられ、前記第1案内部材は、前記係合軸が前記後方側延設溝部から前記上側第1溝部に移動するときには、前記後方側第4溝部への前記係合軸の移動を禁止して前記係合軸を前記上側第1溝部に案内する一方、前記係合軸が前記下側第2溝部から前記後方側延設溝部に移動するときには、前記上側第1溝部への前記係合軸の移動を禁止して前記係合軸を前記後方側延設溝部に案内する構成としている。このような構成によれば、第1案内部材によって、係合軸を確実に所望の溝経路に案内することができる。
【0024】
また、本発明の排紙トレイ装置では、前記第1案内部材は、前記第1分岐部の分岐点を支点として前記上側第1溝部の幅方向に沿った軸線回りに揺動自在とされ、かつ、先端側が前記第1分岐部よりも引き出し方向後方側の前記後方側延設溝部の下側壁に付勢されて前記下側壁との間で開放自在に設けられた第1開閉弁としている。このような構成によれば、第1案内部材である第1開閉弁によって、係合軸を確実に所望の溝経路に案内することができる。
【0025】
また、本発明の排紙トレイ装置では、前記第2分岐部に第2案内部材が設けられ、前記第2案内部材は、前記係合軸が前記上側第1溝部から前記前方側延設溝部に移動するときには、前記前方側第3溝部への前記係合軸の移動を禁止して前記係合軸を前記前方側延設溝部に案内する一方、前記係合軸が前記前方側延設溝部から前記前方側第3溝部に移動するときには、前記上側第1溝部への前記係合軸の移動を禁止して前記係合軸を前記前方側第3溝部に案内する構成としている。このような構成によれば、第2案内部材によって、係合軸を確実に所望の溝経路に案内することができる。
【0026】
また、本発明の排紙トレイ装置では、前記第2案内部材は、前記第2分岐部の分岐点を支点として前記上側第1溝部の幅方向に沿った軸線回りに揺動自在とされ、かつ、先端側が前記上側第1溝部の前記第2分岐部よりも引き出し方向前方側の上側壁に付勢されて前記上側壁との間で開放自在に設けられた第2開閉弁としている。このような構成によれば、第2案内部材である第2開閉弁によって、係合軸を確実に所望の溝経路に案内することができる。
【0027】
また、本発明の排紙トレイ装置では、前記ガイド部は、前記スライド杆に支持軸によって前記引き出し方向に回動自在に軸持されており、前記用紙引き出し手段は、前記ガイド部を前記排紙トレイの前記載置面よりも低い第2の状態からその上部が前記載置面より上方に突出する第1の状態まで回動させる方向に付勢する付勢部と、前記ガイド部を前記第1の状態で停止させる停止部とを備え、前記ガイド部は、前記用紙排出口から排出されて前記載置面に載置される用紙の重みによって、前記第1の状態から前記第2の状態まで前記付勢部の付勢力に対向して回動する構成としている。
【0028】
このような構成によれば、スライド杆を引き出すときには、載置面に載置されている用紙が第1の状態にあるガイド部によって引き出され、引き出した用紙を取り出した後にスライド杆を収納方向に収納すると、その時点で用紙排出口から排紙トレイの載置面に新たに用紙が排出されている場合であっても、その排出された用紙によってガイド部が第1の状態から第2の状態に回動(変移)するので、スライド杆の収納に際し、載置面に載置されている用紙が邪魔になることはない。
【0029】
また、本発明の排紙トレイ装置では、前記付勢部はばね体であり、前記停止部は、前記ガイド部に設けられた前記スライド杆に当接するストッパ片としている。ばね体とストッパ片との組み合わせとすることで、ガイド部を第1の状態で確実に停止させることができる。
【0030】
また、本発明の排紙トレイ装置では、前記ガイド部は、前記スライド杆に支持軸によって前記引き出し方向に回動自在に軸持されており、前記ガイド部には、前記排紙トレイの前記載置面よりも上方に突出する上部と前記支持軸を介して反対側の下端部に重り部材が設けられ、前記ガイド部は、前記用紙排出口から排出されて前記載置面に載置される用紙の重みによって、前記上部が前記載置面より上方に突出する第1の状態から前記載置面より低い第2の状態まで前記重り部材による荷重力に対向して回動する構成としている。
【0031】
このような構成によれば、スライド杆を引き出すときには、載置面に載置されている用紙が第1の状態にあるガイド部によって引き出され、引き出した用紙を取り出した後にスライド杆を収納方向に収納すると、その時点で用紙排出口から排紙トレイの載置面に新たに用紙が排出されている場合であっても、その排出された用紙によってガイド部が第1の状態から第2の状態に回動(変移)するので、スライド杆の収納に際し、載置面に載置されている用紙が邪魔になることはない。
【0032】
また、本発明の排紙トレイ装置では、前記ガイド部には、前記載置面に載置されている用紙の重みが解除されることにより、前記重り部材による荷重力によって前記第2の状態から前記第1の状態まで回動したとき、前記第1の状態でその回動を停止させる停止部を備えた構成としている。停止部を備えることで、ガイド部を第2の状態で確実に停止させることができる。
【0033】
また、本発明の排紙トレイ装置では、前記停止部は、前記ガイド部に設けられた前記スライド杆に当接するストッパ片としている。ばね体とストッパ片との組み合わせとすることで、ガイド部を第1の状態で確実に停止させることができる。
【0034】
また、本発明の画像形成装置は、上記各構成の排紙トレイ装置と、給紙トレイに収容された用紙を前記排紙トレイ装置に搬送する用紙搬送系と、搬送途中の用紙にトナー像を形成する画像形成部とを備えていることを特徴としている。
【0035】
この構成によれば、本発明の画像形成装置が例えば胴内排出型の装置である場合に、コンパクト化により胴内が狭く、用紙排出トレイに排出された用紙を取り出しにくい場合であっても、可動トレイ部を引き出すことで、用紙排出トレイに載置されている用紙を容易に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明は上記のように構成したので、特に胴内排出型の画像形成装置において、コンパクト化により胴内が狭く、排出された用紙を取り出しにくい場合であっても、可動トレイ部を固定トレイ部から引き出すことで、用紙排出トレイに載置されている用紙を容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明の排紙トレイ装置が搭載された画像形成装置を正面より視た概略断面図である。
【図2A】本発明に係る排紙トレイ装置を搭載した画像形成装置の斜視図である。
【図2B】本発明に係る排紙トレイ装置を搭載した画像形成装置の斜視図である。
【図2C】本発明に係る排紙トレイ装置を搭載した画像形成装置の斜視図である。
【図2D】本発明に係る排紙トレイ装置を搭載した画像形成装置の斜視図である。
【図3】排紙トレイ側の側壁に形成された溝部と、ガイド部に形成された係合軸との係合状態を、具体例1に係る排紙トレイ装置の正面側から透視する形で図示した説明図である。
【図4A】図3のA−A線に沿う概略断面図である。
【図4B】図3のA−A線に沿う概略断面図である。
【図5】(a)〜(d)は、第1分岐部を拡大して示す説明図である。
【図6】(a)〜(d)は、第2分岐部を拡大して示す説明図である。
【図7A】(a)〜(d)は、具体例1に係るスライド杆の移動工程を示す説明図である。
【図7B】(e)〜(h)は、具体例1に係るスライド杆の移動工程を示す説明図である。
【図8】具体例2に係る排紙トレイ装置を正面側から透視する形で図示した説明図である。
【図9】(a),(b)は、図8に示すガイド部の周辺部分を拡大して示した説明図である。
【図10】図8のB−B線に沿う概略断面図である。
【図11A】(a)〜(d)は、具体例2に係るスライド杆の移動工程を示す説明図である。
【図11B】(e)〜(h)は、具体例2に係るスライド杆の移動工程を示す説明図である。
【図12】具体例3に係る排紙トレイ装置を正面側から透視する形で図示した説明図である。
【図13】(a),(b)は、図12に示すガイド部の周辺部分を拡大して示した説明図である。
【図14】図12のC−C線に沿う概略断面図である。
【図15A】(a)〜(d)は、具体例3に係るスライド杆の移動工程を示す説明図である。
【図15B】(e)〜(h)は、具体例3に係るスライド杆の移動工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0039】
[画像形成装置の全体構成の説明]
図1は、本発明の排紙トレイ装置が搭載された画像形成装置を正面より視た概略断面図である。
【0040】
この画像形成装置100は、装置本体110の光学ユニット収納部111と、画像形成収納部112との間に胴内排出空間部113が形成され、この胴内排出空間部113に後述する排紙トレイ装置40が搭載された胴内排紙型の画像形成装置である。
【0041】
この画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、記録用紙等のシート(以下、用紙という。)Pに対して多色及び単色の画像を形成するカラー画像形成装置であり、装置本体110の上部に原稿読取装置108を備えており、装置本体110には、画像形成部102と用紙搬送系103とが設けられている。
【0042】
画像形成部102は、露光ユニット1、複数の現像ユニット2、複数の感光体ドラム3、複数のクリーニング部4、複数の帯電器5、中間転写ベルトユニット6、複数のトナーカートリッジユニット21及び定着ユニット7を備えている。
【0043】
また、用紙搬送系103は、用紙搬送路S、用紙Pを収容する給紙トレイ200、給紙トレイ200に収容された用紙Pを用紙搬送路Sに供給する給紙装置80、手差し給紙トレイ70及び排紙トレイ装置40を備えている。
【0044】
手差し給紙トレイ70は、トレイ部16、給紙ローラ17、分離搬送ローラ18a、及び分離部材18bを備えている。排紙トレイ装置40は、装置本体110における画像形成部102の上方に設けられており、画像形成(印刷)済みの用紙Pをフェイスダウンで集積する。なお、排紙トレイ装置40については、後ほど詳述する。
【0045】
給紙装置80は、給紙トレイ200に収容される用紙Pを用紙搬送路Sへ供給する構成とされており、給紙ローラ81、分離搬送ローラ82a、分離部材82b、給紙トレイ200における回転板211を昇降機構部230によって昇降駆動する昇降駆動部(図示省略)、分離搬送ローラ82a及び給紙ローラ81を回転駆動するシート供給駆動部(図示省略)を備えている。
【0046】
装置本体110の上部には、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台121が設けられ、原稿載置台121の下部には原稿を読み取るための光学ユニット120が設けられている。また、原稿載置台121の上側には原稿読取装置108が設けられている。原稿読取装置108は、原稿載置台121の上に自動で原稿を搬送する。
【0047】
原稿読取装置108は、自動的に搬送される原稿又は原稿載置台121上に載置された原稿を読み取ることができる。原稿読取装置108で読み取られた原稿の画像全体は、画像データとして画像形成装置100の装置本体110へと送られ、装置本体110の画像形成部102において画像データに基づき形成された画像が用紙Pに記録される。
【0048】
画像形成装置100において扱われる画像データは、複数色(ここではブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色)を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像ユニット2、感光体ドラム3、クリーニング部4、帯電器5及びトナーカートリッジユニット21は、各色に応じた複数種類(ここでは4種類)の画像を形成するようにそれぞれ複数個(ここでは4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)に設定され、これらによって複数(ここでは4つ)の画像ステーションが構成されている。
【0049】
露光ユニット1は、レーザ出射部及び反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成されている。露光ユニット1は、入力された画像データに応じて、帯電された感光体ドラム3をそれぞれ露光することにより、画像データに応じた静電潜像をそれぞれの感光体ドラム3の表面に形成する。
【0050】
トナーカートリッジユニット21は、トナーを収容するユニットであり、現像ユニット2の現像槽へトナーが供給されるようになっている。
【0051】
現像ユニット2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(Y,M,C,K)のトナーにより顕像化するものである。また、クリーニング部4は、現像及び画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを除去、回収する。帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。
【0052】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写体として作用する中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、複数の中間転写ローラ64及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。
【0053】
中間転写ローラ64は、Y,M,C,Kの各色に対応して4本設けられている。中間転写ベルト駆動ローラ62は、中間転写ベルト従動ローラ63及び中間転写ローラ64と共に中間転写ベルト61を張架し、回転駆動されることで、中間転写ベルト61を移動方向(図1中矢印M方向)に周回移動させる。
【0054】
中間転写ベルト61は、各感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を順次重ねて転写されることによって、表面にカラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。
【0055】
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行われる。
【0056】
上記したように、各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化されたトナー像は、中間転写ベルト61上で積層される。中間転写ベルト61上で積層されたトナー像は、中間転写ベルト61の周回移動によって、用紙Pと中間転写ベルト61との接触位置に配置された転写ローラ10によって用紙P上に転写される。
【0057】
中間転写ベルト61上に残存したトナーは、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去、回収される。
【0058】
また、装置本体110には、給紙トレイ200の用紙Pを、画像形成部102を経由させて排紙トレイ装置40に送るSの字形状の用紙搬送路Sが設けられており、用紙搬送路Sに沿って、各搬送ローラ対12、レジスト前ローラ対19、レジストローラ対13、定着ユニット7におけるヒートローラ71及び加圧ローラ72及び排出ローラ対31等の搬送部材が配設されている。
【0059】
定着ユニット7は、トナー像が転写された用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pをヒートローラ71及び加圧ローラ72間に挟み込んで搬送する。各色のトナー像の定着後の用紙Pは、排出ローラ対31によって用紙排出口32から排紙トレイ装置40の排紙トレイ41上に排出される。
【0060】
なお、用紙Pの表(オモテ)面だけではなく、両面の画像形成を行う場合は、用紙Pの表面の画像を定着ユニット7により定着した後に、用紙Pを用紙搬送路Sの排出ローラ対31により搬送する途中で、排出ローラ対31を停止させてから逆回転させ、用紙Pを表裏反転経路Srに通して、用紙Pの表裏を反転させてから、用紙Pを再びレジストローラ対13よりも供給方向Yの上流側(この例ではレジスト前ローラ対19の上流側)へと導き、用紙Pの表面と同様に、用紙Pの裏面に画像を記録して定着し、用紙Pを排紙トレイ装置40の排紙トレイ41に排出する。
【0061】
以上が画像形成装置100の全体構成の説明である。
【0062】
[排紙トレイ装置の構成の説明]
次に、本発明の特徴である排紙トレイ装置40の基本構成について説明する。
【0063】
上記したように、装置本体110は、光学ユニット120を収納する光学ユニット収納部111と、画像形成部102を収納する画像形成収納部112との間に断面コの字状の胴内排出空間部113が形成されており、この胴内排出空間部113の主に底面を構成する形で排紙トレイ装置40が搭載されている。
【0064】
図2Aないし図2Dは、本発明に係る排紙トレイ装置40を搭載した画像形成装置の斜視図である。ただし、図2Aないし図2Dでは、装置本体110上部の原稿読取装置108については簡略化して図示している。
【0065】
この排紙トレイ装置40は、胴内排出空間部113の底面を構成し、装置本体110の用紙排出口32から排出された用紙を載置する排紙トレイ41と、排紙トレイ41の載置面41aに載置された用紙Pの後端縁部を押すことで、用紙Pを排紙トレイ41から外部へ引き出す用紙引き出し部42とを備えている。
【0066】
用紙引き出し部42は、排紙トレイ41から予め定められた引き出し方向X1に引き出し自在及び引き出し方向X1と反対の収納方向X2に収納自在とされたスライド杆46と、スライド杆46に設けられ、上部が排紙トレイ41の載置面41aより上方に突出して用紙Pの後端縁部に当接するガイド部51とを備えている。
【0067】
そして、スライド杆46を引き出し方向X1に移動させる(引き出す)ときには、図2B及び図2Cに示すように、ガイド部51が載置面41aに載置されている用紙Pの後端縁部P1に当接して当該用紙Pと共に引き出し方向X1に移動する一方、スライド杆46を収納方向X2に移動させる(収納させる)ときには、図2Dに示すように、ガイド部51が装置本体110の用紙排出口32から排紙トレイ41の載置面41a上に排出されている用紙P′の下面よりも低い位置(若しくは、載置面41aの下方位置)に変移して、収納方向X2に移動する構成としている。
【0068】
この構成によれば、コンパクト化により胴内の排出空間が狭い(特に、高さ方向の空間幅が狭い)ため排出された用紙を取り出しにくい場合であっても、スライド杆46を引き出すことで、排紙トレイ41に載置されている用紙を容易に取り出すことができる。また、引き出したスライド杆46を元に戻すとき(すなわち、収納方向X2に移動させるとき)、ガイド部51は、装置本体110の用紙排出口32から排紙トレイ41に排出されている用紙の下面よりも低い位置に変移して移動するので、スライド杆46を引き出した後に排紙トレイ41に排出された用紙P′、または排出中の用紙P′の邪魔をすることなく、スライド杆46及びガイド部51を収納することができる。
【0069】
より具体的に説明すると、スライド杆46は、引き出し方向X1に沿って排紙トレイ41の下部に配置されており、このスライド杆46の引き出し方向後端部にガイド部51が取り付けられている。
【0070】
また、排紙トレイ41の載置面41aには、引き出し方向X1に沿ってガイド部51を案内する案内溝部42が設けられ、排紙トレイ41の引き出し方向後端部の壁面41bには、ガイド部51の上部51aを壁面41bの後ろ側から排紙トレイ41の載置面41a側に引き出すための通過溝部43が設けられている。
【0071】
すなわち、引き出し方向後端部の壁面41bの後ろ側に位置していたガイド部51は、スライド杆46を排紙トレイ41から引き出すことで、ガイド部51の上部51aが壁面41bの通過溝部43を通って、排紙トレイ41側に引き出され、その上部51aが排紙トレイ41の載置面41aから上方に突出した状態で、案内溝部42に沿ってスムーズに引き出し方向X1に移動する構成となっている。
【0072】
本実施形態では、このスライド杆46及び案内溝部42を、引き出し方向X1に直交する幅方向Wに所定の間隔を存して一対設けており、一対のスライド杆46,46の引き出し方向前端部同士を把持杆45によって連結している。
【0073】
すなわち、各スライド杆46,46の前端部は、装置本体110の引き出し方向前方側の本体側壁115に形成された各挿通穴116,116(図2B参照)から装置本体110の外部に突出されており、この突出したスライド杆46,46の前端部同士が把持杆45によって連結されている。ここで、所定の幅とは、印刷可能な最小用紙の幅より若干狭い幅に設定されている。
【0074】
このように、一対のスライド杆46,46の引き出し方向前端部同士を把持杆45によって連結することで、各スライド杆46,46をガタつきなくスムーズに引き出すことができる。また、排紙トレイ41の載置面41a上に排出されている用紙Pも、傾くことなく引き出し方向X1に沿って真っ直ぐに引き出すことができる。
【0075】
さらに、把持杆45を設けることで、引き出される用紙が把持杆45を越えて前方側へ飛び出すのを防止する当たり止めとして利用することができる。本実施形態では、把持杆45の高さ方向の厚みを、スライド杆46の高さ方向の厚みより厚くすることで、当たり止めとしている。ただし、把持杆45に、用紙の当たり止めとして上方に突出した突出部を設けてもよい。このような突出部を設けることで、スライド杆46上に引き出された用紙が、スライド杆46を引き出したときの勢いで把持杆45を越えて前方側へ飛び出すのを積極的に防止することができる。
【0076】
以上が排紙トレイ装置40の基本構成であるが、以下、排紙トレイ装置40のスライド杆46とガイド部51とを連携動作させる機構構造について、具体例を挙げて説明する。
【0077】
(具体例1)
図3は、具体例1に係る機構構造を有する排紙トレイ装置40Aを正面側から透視する形で概略的に図示した説明図、図4Aは、図3のA−A線に沿う概略断面図である。
【0078】
主に図4Aに示すように、具体例1では、排紙トレイ41の下面側に、一対のスライド杆46をそれぞれ支持する一対のスライド溝部47が、各案内溝部42に沿って引き出し方向X1に設けられている。この一対のスライド溝部47は、互いに対向する内側が開口した断面コ字状に形成されている。スライド杆46は、このスライド溝部47内を引き出し方向X1及び収納方向X2に往復移動自在とされている。また、スライド溝部47の開口側下端縁部から下側に延設して側壁48が設けられている。
【0079】
一方、ガイド部51は、スライド溝部47に支持されたスライド杆46の後端部内側面から水平に突出形成された支持軸58によって、引き出し方向X1に回動自在に軸支されている。また、支持軸58に軸支されている側のガイド部51の側面下部には、前記支持軸58と平行に係合軸52が突出形成されており、この係合軸52に対向する排紙トレイ41側の側壁48には、係合軸52と係合してガイド部51の回動動作を行わせる環状経路を構成する凹形状の溝部49が形成されている。
【0080】
図3に示すように、この溝部49は、スライド杆46を引き出し方向X1に移動させるときには、係合軸52が係合した状態で移動する上側第1溝部49aと、スライド杆46を収納方向X2に移動させるときには、係合軸52が係合した状態で移動する上側第1溝部49aと平行に配置された下側第2溝部49bと、上側第1溝部49aと下側第2溝部49bの引き出し方向前方側を連接する前方側第3溝部49cと、上側第1溝部49aと下側第2溝部49bの引き出し方向後方側を連接する後方側第4溝部49dと、上側第1溝部49aと後方側第4溝部49dとの分岐部である第1分岐部85からさらに引き出し方向後方側に延設された後方側延設溝部49fと、上側第1溝部49aと前方側第3溝部49cとの分岐部である第2分岐部86からさらに引き出し方向前方側に延設された前方側延設溝部49eとを備えた構成としている。
【0081】
前方側第3溝部49cは、収納方向X2に向かって斜め下方に傾斜するように設けられ、後方側第4溝部49dは、収納方向X2に向かって斜め上方に傾斜するように設けられている。すなわち、上側第1溝部49a、下側第2溝部49b、前方側第3溝部49c、及び後方側第4溝部49dによって形成される環状経路は、その全体が前後対称の逆台形形状となっている。
【0082】
ここで、前方側延設溝部49eは、スライド杆46を前方いっぱいまで引き出したときの前方側のストッパ溝として機能し、後方側延設溝部49fは、スライド杆を後方いっぱいまで収納したときの後方側のストッパ溝として機能する。
【0083】
また、図4Bは、具体例1に係る機構構造の他の例を示している。
【0084】
すなわち、図4Aでは、溝部49を形成する側壁48をスライド溝部47の開口側下端縁部から下側に延設してスライド溝部47と一体に設けているが、図4Bでは、この側壁48を、スライド溝部47と対向するように、案内溝部42の反対側の側縁部から下側に延設して設けたものである。
【0085】
図5(a)〜(d)は、第1分岐部85を拡大して示す説明図である。
【0086】
第1分岐部85には第1ガイド部材95が設けられている。この第1ガイド部材95は、第1分岐部85の分岐点85aを支点として幅方向に沿った軸線回り(紙面に垂直な方向の軸線回り)に揺動自在とされ、かつ、先端95a側が第1分岐部85よりも引き出し方向後方側の後方側延設溝部49fの下側壁49f1に当接されて、下側壁49f1との間で開放自在に設けられた弾性を有する第1開閉弁となっている。
【0087】
これにより、係合軸52が後方側延設溝部49fの位置(図5(a)の位置)から引き出し方向X1に移動するときには、図5(b)に示すように、第1開閉弁95が後方側第4溝部49dへの通路を塞いで、係合軸52の後方側第4溝部49dへの移動を禁止し、係合軸52を上側第1溝部49aに案内する(移動させる)一方、係合軸52が後方側第4溝部49dの位置(図5(c)の位置)から引き出し方向X1と逆方向の収納方向X2に移動するときには、図5(d)に示すように、係合軸52が第1開閉弁95を押し開けて上側第1溝部49aへの通路を塞ぐことから、係合軸52の上側第1溝部49aへの移動を禁止して、係合軸52を後方側延設溝部49fに案内する(移動させる)。
【0088】
図6(a)〜(d)は、第2分岐部86を拡大して示す説明図である。
【0089】
第2分岐部86には第2ガイド部材96が設けられている。この第2ガイド部材96は、第2分岐部86の分岐点86aを支点として幅方向に沿った軸線回り(紙面に垂直な方向の軸線回り)に揺動自在とされ、かつ、先端96a側が第2分岐部86よりも引き出し方向前方側の前方側延設溝49eの上側壁49e1に当接されて、上側壁49e1との間で開放自在に設けられた弾性を有する第2開閉弁となっている。
【0090】
これにより、第2開閉弁96は、係合軸52が第2分岐部86よりも引き出し方向後方側の上側第1溝部49aの位置(図6(a)の位置)から引き出し方向X1に移動するときには、図6(b)に示すように、係合軸52が第2開閉弁96を弾性に抗して押し下げ、前方側第3溝部49cの通路を塞ぐことから、係合軸52は第2分岐部86を通過して前方側延設溝部49eへ移動する(案内される)。
【0091】
一方、係合軸52が前方側延設溝部49eの位置(図6(c)の位置)から引き出し方向X1と逆方向の収納方向X2に移動するときには、図6(d)に示すように、第2開閉弁96が係合軸52の当たり止めとなって、上側第1溝部49aへの係合軸52の移動を禁止し、係合軸52を前方側第3溝部49cに案内する(移動させる)。このような構成により、第2ガイド部材である第2開閉弁96によって、係合軸52を第2分岐部86において確実に所望の溝(経路)に案内することができる。
【0092】
次に、上記構成の係合軸52と溝部49との係合関係において、収納状態のスライド杆46を排紙トレイ41から引き出して、再び排紙トレイ41に収納するまでの、係合軸52の移動経路と、これに連動するガイド部51の回動動作について、図7A(a)〜(d)及び図7B(e)〜(h)に示すスライド杆46及びガイド部51の移動工程図を参照して説明する。
【0093】
スライド杆46が排紙トレイ41に完全に収納されている状態(図7A(a)の状態)では、係合軸52は後方側延設溝部49fに係合しており、ガイド部51は、排紙トレイ41の引き出し方向後端部の壁面41bのさらに後ろ側(排出ローラ対31のほぼ下側)に位置している。この位置では、ガイド部51は、その上部51aが排紙トレイ41の載置面41aより上方に突出した第1の状態に維持されており、ガイド部51の引き出し方向前方側の側面51bは、ほぼ垂直に起立するように設けられている。すなわち、この側面51bが用紙Pの後端縁部P1に当接して用紙Pを押し出す当接面となっている。
【0094】
そして、この状態で、スライド杆46を排紙トレイ41から引き出すと、図7A(b),(c)に示すように、係合軸52は、後方側延設溝部49fから上側第1溝部49aを通って、前方側延設溝部49eまで水平方向に直線的に移動する。すなわち、この場合には、ガイド部51を支持している支持軸58と係合軸52との高さ位置関係が変わらないため、ガイド部51は回動することなく第1の状態を維持したまま、壁面41bの通過溝部43を通過して排紙トレイ41側に引き出され、そのまま排紙トレイ41の案内溝部42に沿って引き出し方向X1に引き出される。従って、この時点で排紙トレイ41の載置面41aに排出されている用紙Pがある場合には、ガイド部51が壁面41bの通過溝部43を通過した時点で当接面51bが用紙Pの後端縁部P1に当接し、用紙Pを排紙トレイ41から引き出しながら、引き出し方向X1に移動する。
【0095】
この後、ユーザが排紙トレイ41から用紙Pを取り出して、スライド杆46を引き出し方向X1と反対の収納方向X2に押し込むと、図7A(d)に示すように、係合軸52は、前方側延設溝部49eを収納方向X2に移動し、第2分岐部86において第2開閉弁96に阻止(図6(d)参照)されて、前方側第3溝部49cに移動する。
【0096】
そして、係合軸52が前方側第3溝部49cを収納方向X2に移動することによって、係合軸52が徐々に降下し、これに伴い、ガイド部51が支持軸58を中心として引き出し方向X1(すなわち、図7A(d)において符号R2方向)に回動し始める。
【0097】
そして、スライド杆46をさらに収納方向X2に押し込むと、図7B(e)及び図7B(f)に示すように、係合軸52が前方側第3溝部49cから下側第2溝部49bに移動し、下側第2溝部49bを水平方向に直線的に移動する。このとき、係合軸52は前方側第3溝部49cの下端部まで降下し、これに伴い、ガイド部51が支持軸58を中心として引き出し方向X1(すなわち、図7B(e)において矢符R2方向)にさらに回動し、上部51aが排紙トレイ41の載置面41aとほぼ同じ位置か、それよりも下方側に退避した第2の状態となる。そして、係合軸52が下側第2溝部49bを移動中においては、ガイド部51は、この第2の状態を維持して排紙トレイ41の壁面41bより後方側まで移動する。
【0098】
従って、この時点で用紙排出口32から新たな用紙P′が排出され、排紙トレイ41の載置面41a上に載置されていたとしても、ガイド部51がこの用紙P′の載置状態を邪魔することはない。
【0099】
この後、スライド杆46をさらに押し込むと、図7B(g)に示すように、係合軸52が下側第2溝部49bから後方側第3溝部49dに移動する。そして、係合軸52が後方側第4溝部49dを収納方向X2に移動することによって、係合軸52が徐々に上昇し、これに伴い、ガイド部51が支持軸58を中心として収納方向X2(すなわち、図7B(g)において符号R1方向)に回動し始める。
【0100】
そして、スライド杆46を最後まで押し込むと、図7B(h)に示すように、係合軸52が第1分岐部85の第1開閉弁95を押し開けて(図5(d)参照)、後方側延設溝部49fまで移動する。すなわち、図7A(a)に示した最初の状態に戻る。
【0101】
(具体例2)
図8は、具体例2に係る排紙トレイ装置40Bを正面側から透視する形で概略的に図示した説明図、図9(a),(b)は、図8に示すガイド部51の周辺部分を透視する形で拡大して示した説明図、図10は、図8のB−B線に沿う概略断面図である。
【0102】
主に図10に示すように、具体例2では、排紙トレイ41の下面側に、一対のスライド杆46をそれぞれ支持する一対のスライド溝部47が、各案内溝部42に沿って引き出し方向X1に設けられている。この一対のスライド溝部47は、互いに対向する内側が開口した断面コ字状に形成されている。スライド杆46は、このスライド溝部47内を引き出し方向X1及び収納方向X2(図9では、紙面に垂直方向)に往復移動自在に構成されている。また、スライド杆46のガイド部51に対向する側の側面には、ガイド部51側に突出させてストッパ受け部46aが設けられている。
【0103】
一方、ガイド部51は、スライド溝部47に支持されたスライド杆46の後端部内側面から水平に突出形成された支持軸58によって、引き出し方向X1に回動自在に軸支されている。また、支持軸58に軸支されている側のガイド部51の側面下部には、スライド杆46側に突出させてストッパ片53が設けられており、このストッパ片53がスライド杆46のストッパ受け部46aに当接することで、ガイド部51の回動が規制されるようになっている。
【0104】
また、支持軸58には、ねじりばね(ばね体)59が嵌挿されており、このねじりばね59の一方の腕59aの先端部59a1がスライド杆46に、他方の腕59bの先端部59b1がガイド部51にそれぞれ固定されている。このねじりばね59は、両腕59a,59bを閉じる方向に付勢力を与えて取り付けられている。すなわち、両腕59a,59bを弾性力に対向してハの字状にさらに開いた状態で、一方の腕59aの先端部59a1がスライド杆46に、他方の腕59bの先端部59b1がガイド部51にそれぞれ固定されている。そのため、ガイド部51は、図8及び図9(a),(b)において矢符R1方向(右回り方向)に常に付勢されており、ガイド部51に外力が加わらない限り、常にストッパ片53がストッパ受け部46aに当接した状態(図8及び図9(a)の状態)となり、ガイド部51の当接面51bがほぼ垂直に起立した状態で、図中R1方向への回動が規制されている。
【0105】
なお、本具体例2では、ねじりばね59の付勢力は、ガイド部51を起立させる程度の僅かな付勢力に設定されており、ガイド部51の上部51aに用紙Pが1枚でも載った場合には、その用紙Pの重みによって(ねじりばね59の付勢力に対抗して)ガイド部51が図9(b)中の符号R2方向(左回り方向)に回動するように設定されている。また、本具体例2では、付勢部としてねじりばねを利用しているが、ばね形状はこのようなねじりばねに限定されるものではなく、例えば板ばねでも同様の付勢力を与えることができる。また、ばねではなくゴム紐状のものを用いて付勢力を与えることも可能である。
【0106】
次に、本具体例2の排紙トレイ装置40Bにおいて、収納状態のスライド杆46を排紙トレイ41から引き出して、再び排紙トレイ41に収納するまでのガイド部51の回動動作について、図11A(a)〜(d)及び図11B(e)〜(h)に示すスライド杆46及びガイド部51の移動工程図を参照して説明する。
【0107】
スライド杆46が排紙トレイ41に完全に収納されている状態(図11A(a)の状態)では、ガイド部51は、排紙トレイ41の引き出し方向後端部の壁面41bのさらに後ろ側(排出ローラ対31のほぼ下側)に位置している。この位置では、ガイド部51は、ストッパ片53がスライド杆46のストッパ受け部46aに当接しており、上部51aが排紙トレイ41の載置面41aより上方に突出した第1の状態に維持されている。従って、ガイド部51の引き出し方向前方側の当接面51bは、ほぼ垂直に起立している。
【0108】
そして、この状態で、スライド杆46を排紙トレイ41から引き出すと、図11A(b),(c)に示すように、ガイド部51は回動することなく第1の状態を維持したまま、壁面41bの通過溝部43を通過して排紙トレイ41側に引き出され、そのまま排紙トレイ41の案内溝部42に沿って引き出し方向X1に引き出される。従って、この時点で排紙トレイ41の載置面41aに排出されている用紙Pがある場合には、ガイド部51が壁面41bの通過溝部43を通過した時点で当接面51bが用紙Pの後端縁部P1に当接し、用紙Pを排紙トレイ41から引き出しながら、引き出し方向X1に移動する。
【0109】
この後、ユーザが排紙トレイ41から用紙Pを取り出して、スライド杆46を引き出し方向X1と反対の収納方向X2に押し込むと、図11A(d)に示すように、ガイド部51は第1の状態を維持したまま収納方向X2に移動する。
【0110】
このとき、排紙トレイ41の載置面41a上に、用紙排出口32から新たな用紙P′が排出されている場合には、第1の状態を維持したまま収納方向X2に移動しているガイド部51の上部51aが、用紙P′の前端縁部P2に当接し、図11B(e)に示すように、用紙P′の下側に入り込むように矢符R2方向に回動する。すなわち、ガイド部51は、用紙P′の重みによって矢符R2方向に回動し、図11B(f),(g)に示すように、用紙P′に押さえ込まれた状態(これを第2の状態という。)で収納方向X2に移動する。
【0111】
この後、スライド杆46をさらに押し込むと、図11B(h)に示すように、ガイド部51と用紙P′との係合が解除され、スライド部51は、ねじりばね59の付勢力によって矢符R1方向に回動し、ストッパ片53がスライド杆46のストッパ受け部46aに当接して回動が停止する。すなわち、図11A(a)に示した最初の状態に戻る。
【0112】
(具体例3)
図12は、具体例3に係る排紙トレイ装置40Cを正面側から透視する形で概略的に図示した説明図、図13(a),(b)は、図12に示すガイド部51の周辺部分を透視する形で拡大して示した説明図、図14は、図12のC−C線に沿う概略断面図である。
【0113】
主に図14に示すように、具体例3では、排紙トレイ41の下面側に、一対のスライド杆46をそれぞれ支持する一対のスライド溝部47が、各案内溝部42に沿って引き出し方向X1に設けられている。この一対のスライド溝部47は、互いに対向する内側が開口した断面コ字状に形成されている。スライド杆46は、このスライド溝部47内を引き出し方向X1及び収納方向X2(図14では、紙面に垂直方向)に往復移動自在に構成されている。また、スライド杆46のガイド部51に対向する側の側面には、ガイド部51側に突出させてストッパ受け部46aが設けられている。
【0114】
一方、ガイド部51は、スライド溝部47に支持されたスライド杆46の後端部内側面から水平に突出形成された支持軸58によって、引き出し方向X1に回動自在に軸支されている。また、支持軸58に軸支されている側のガイド部51の側面下部には、スライド杆46側に突出させてストッパ片53が設けられており、このストッパ片53がスライド杆46のストッパ受け部46aに当接することで、ガイド部51の回動が規制されるようになっている。
【0115】
上記構成において、ガイド部51の下部には重り部材60が取り付けられており、この重り部材60の重心が支持軸58の垂直中心線上に位置した静止状態において、ストッパ片53がスライド杆46のストッパ受け部46aに当接し、かつ、ガイド部51の当接面51bがほぼ垂直に起立した状態となるように設定されている。すなわち、ガイド部51に外力が加わらない限り、ストッパ片53がストッパ受け部46aに当接した状態(図12及び図13(a)の状態)となり、ガイド部51の当接面51bがほぼ垂直に起立した状態で、図中R1方向への回動が規制されている。
【0116】
なお、本具体例3では、重り部材60の重さは、ガイド部51を起立させる程度の僅かな重さに設定されており、ガイド部51の上部51aに用紙Pが1枚でも載った場合には、その用紙Pの重みによってガイド部51が図13(b)中の符号R2方向に回動するように設定されている。なお、重り部材60は、ガイド部51に別途取り付けてもよいが、ガイド部51の下部を膨出させることで重り部材を形成してもよい。または、ガイド部51の下部側を異形とし、支持軸58の軸心位置に対するガイド部51の重心位置を水平方向の後方側にずらせることで、重りとしての役目を持たせるようにしてもよい。
【0117】
次に、本具体例3の排紙トレイ装置40Cにおいて、収納状態のスライド杆46を排紙トレイ41から引き出して、再び排紙トレイ41に収納するまでのガイド部51の回動動作について、図15A(a)〜(d)及び図15B(e)〜(h)に示すスライド杆46の移動工程図を参照して説明する。
【0118】
スライド杆46が排紙トレイ41に完全に収納されている状態(図15A(a)の状態)では、ガイド部51は、排紙トレイ41の引き出し方向後端部の壁面41bのさらに後ろ側(排出ローラ対31のほぼ下側)に位置している。この位置では、ガイド部51は、ストッパ片53がスライド杆46のストッパ受け部46aに当接しており、上部51aが排紙トレイ41の載置面41aより上方に突出した第1の状態に維持されている。従って、ガイド部51の引き出し方向前方側の当接面51bは、ほぼ垂直に起立している。
【0119】
そして、この状態で、スライド杆46を排紙トレイ41から引き出すと、図15A(b),(c)に示すように、ガイド部51は回動することなく第1の状態を維持したまま、壁面41bの通過溝部43を通過して排紙トレイ41側に引き出され、そのまま排紙トレイ41の案内溝部42に沿って引き出し方向X1に引き出される。従って、この時点で排紙トレイ41の載置面41aに排出されている用紙Pがある場合には、ガイド部51が壁面41bの通過溝部43を通過した時点で当接面51bが用紙Pの後端縁部P1に当接し、用紙Pを排紙トレイ41から引き出しながら、引き出し方向X1に移動する。
【0120】
この後、ユーザが排紙トレイ41から用紙Pを取り出して、スライド杆46を引き出し方向X1と反対の収納方向X2に押し込むと、図15A(d)に示すように、ガイド部51は第1の状態を維持したまま収納方向X2に移動する。
【0121】
このとき、排紙トレイ41の載置面41a上に、用紙排出口32から新たな用紙P′が排出されている場合には、第1の状態を維持したまま収納方向X2に移動しているガイド部51の上部51aが、用紙P′の前端縁部P2に当接し、図15B(e)に示すように、用紙P′の下側に入り込むように矢符R2方向に回動する。すなわち、ガイド部51は、用紙P′の重みによって矢符R2方向に回動し、図15B(f),(g)に示すように、用紙P′に押さえ込まれた状態(これを第2の状態という。)で収納方向X2に移動する。
【0122】
この後、スライド杆46をさらに押し込むと、図15B(h)に示すように、ガイド部51と用紙P′との係合が解除され、スライド部51は、重り部材60の作用によって矢符R1方向に回動し、ストッパ片53がスライド杆46のストッパ受け部46aに当接して回動が停止する。すなわち、図15A(a)に示した最初の状態に戻る。
【0123】
なお、今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0124】
40,40A〜40C 排紙トレイ装置
41 排紙トレイ
41a 載置面
41b 壁面
42 用紙引き出し部
43 通過溝部
45 把持杆
46 スライド杆(スライド部)
46a ストッパ受け部
47 スライド溝部
48 側壁
49 溝部
49a 上側第1溝部
49b 下側第2溝部
49c 前方側第3溝部
49d 後方側第4溝部
49e 前方側延設溝部
49f 後方側延設溝部
51 ガイド部
51a 上部
51b 当接面(引き出し方向前方側の側面)
52 係合軸
53 ストッパ片(停止部)
58 支持軸
59 ねじりばね(付勢部,ばね体)
59a,59b 腕
59a1,59b1 先端部
60 重り部材
85 第1分岐部
86 第2分岐部
95 第1開閉弁(第1ガイド部材)
96 第2開閉弁(第2ガイド部材)
95a,96a 先端
100 画像形成装置
102 画像形成部
103 用紙搬送系
110 装置本体
111 光学ユニット収納部
112 画像形成収納部
113 胴内排出空間部
P,P′ 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙排出口から排出された用紙を載置する排紙トレイを備えた排紙トレイ装置であって、
前記排紙トレイの載置面に載置された前記用紙の後端縁部を押すことで前記用紙を前記排紙トレイから外部へ引き出す用紙引き出し手段を備え、
前記用紙引き出し手段は、前記排紙トレイから予め定められた引き出し方向に引き出し自在及び前記引き出し方向と反対の収納方向に収納自在とされたスライド部と、前記スライド部に設けられ、上部が前記載置面より上方に突出して前記用紙の後端縁部に当接するガイド部とを備え、
前記スライド部を前記引き出し方向に引き出すときには、前記ガイド部が前記載置面に載置されている前記用紙の後端縁部に当接して当該用紙と共に前記引き出し方向に移動する一方、前記スライド部を前記収納方向に押し込むときには、前記ガイド部が前記用紙排出口から前記排紙トレイに排出されている用紙下面よりも低い位置に変移して前記収納方向に移動する構成とされていることを特徴とする排紙トレイ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排紙トレイ装置であって、
前記スライド部は、前記引き出し方向に沿って前記排紙トレイの下部に配置されたスライド杆を備え、前記スライド杆の前記引き出し方向後端部に前記ガイド部が設けられている一方、
前記排紙トレイの前記載置面には、前記引き出し方向に沿って前記ガイド部を案内する案内溝部が形成されていることを特徴とする排紙トレイ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の排紙トレイ装置であって、
前記スライド杆及び前記案内溝部は、前記引き出し方向に直交する幅方向に所定の間隔を存して一対設けられていることを特徴とする排紙トレイ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の排紙トレイ装置であって、
前記一対のスライド杆の前記引き出し方向前端部が把持杆によって連結されていることを特徴とする排紙トレイ装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の排紙トレイ装置であって、
前記排紙トレイの下面側には、前記スライド杆を支持するスライド溝部が前記案内溝部に沿って設けられていることを特徴とする排紙トレイ装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の排紙トレイ装置であって、
前記スライド部を前記排紙トレイの下部に収納した状態において、前記ガイド部は、前記排紙トレイの前記引き出し方向後端部の壁面より後方側に位置していることを特徴とする排紙トレイ装置。
【請求項7】
請求項2から請求項6までのいずれか1項に記載の排紙トレイ装置であって、
前記ガイド部は、前記スライド杆に支持軸によって前記引き出し方向に回動自在に軸支されており、
前記ガイド部の前記引き出し方向に直交する一方の面には、前記支持軸と平行に係合軸が設けられ、前記排紙トレイの前記案内溝部に沿って形成された側壁には、前記係合軸と係合して前記ガイド部の回動動作を行わせる環状に形成された溝部が形成され、
環状に形成された前記溝部は、前記スライド杆を前記引き出し方向に移動させるときには、前記係合軸が係合した状態で移動する上側第1溝部と、前記スライド杆を前記収納方向に移動させるときには、前記係合軸が係合した状態で移動する前記上側第1溝部と平行に配置された下側第2溝部と、前記上側第1溝部と前記下側第2溝部の前記引き出し方向前方側を連接する前方側第3溝部と、前記上側第1溝部と前記下側第2溝部の前記引き出し方向後方側を連接する後方側第4溝部とを備え、
前記係合軸が前記上側第1溝部内を前記引き出し方向の後方側から前方側に移動中は、前記ガイド部の上部が前記排紙トレイの前記載置面より上方に突出した第1の状態を維持して移動し、前記係合軸が前記上側第1溝部から前記前方側第3溝部を経由して前記下側第2溝部を前記引き出し方向後方側に移動中は、前記ガイド部が前記用紙排出口から前記排紙トレイに排出されている用紙下面よりも低い第2の状態に変移して移動し、前記係合軸が前記下側第2溝部から前記後方側第4溝部を経由して前記上側第1溝部に戻ると、前記ガイド部が前記第2の状態から前記第1の状態に復帰することを特徴とする排紙トレイ装置。
【請求項8】
請求項7に記載の排紙トレイ装置であって、
前記上側第1溝部は、該上側第1溝部と前記後方側第4溝部との分岐部である第1分岐部からさらに引き出し方向後方側に延設された後方側延設溝部と、前記上側第1溝部と前記前方側第3溝部との分岐部である第2分岐部からさらに引き出し方向前方側に延設された前方側延設溝部とを備えていることを特徴とする用紙排出トレイ。
【請求項9】
請求項8に記載の排紙トレイ装置であって、
前記第1分岐部に第1案内部材が設けられ、
前記第1案内部材は、前記係合軸が前記後方側延設溝部から前記上側第1溝部に移動するときには、前記後方側第4溝部への前記係合軸の移動を禁止して前記係合軸を前記上側第1溝部に案内する一方、前記係合軸が前記下側第2溝部から前記後方側延設溝部に移動するときには、前記上側第1溝部への前記係合軸の移動を禁止して前記係合軸を前記後方側延設溝部に案内する構成とされていることを特徴とする用紙排出トレイ装置。
【請求項10】
請求項11に記載の用紙排出トレイ装置であって、
前記第1案内部材は、前記第1分岐部の分岐点を支点として前記上側第1溝部の幅方向に沿った軸線回りに揺動自在とされ、かつ、先端側が前記第1分岐部よりも引き出し方向後方側の前記後方側延設溝部の下側壁に付勢されて前記下側壁との間で開放自在に設けられた第1開閉弁であることを特徴とする用紙排出トレイ装置。
【請求項11】
請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載の排紙トレイ装置であって、
前記第2分岐部に第2案内部材が設けられ、
前記第2案内部材は、前記係合軸が前記上側第1溝部から前記前方側延設溝部に移動するときには、前記前方側第3溝部への前記係合軸の移動を禁止して前記係合軸を前記前方側延設溝部に案内する一方、前記係合軸が前記前方側延設溝部から前記前方側第3溝部に移動するときには、前記上側第1溝部への前記係合軸の移動を禁止して前記係合軸を前記前方側第3溝部に案内する構成とされていることを特徴とする用紙排出トレイ装置。
【請求項12】
請求項11に記載の用紙排出トレイ装置であって、
前記第2案内部材は、前記第2分岐部の分岐点を支点として前記上側第1溝部の幅方向に沿った軸線回りに揺動自在とされ、かつ、先端側が前記上側第1溝部の前記第2分岐部よりも引き出し方向前方側の上側壁に付勢されて前記上側壁との間で開放自在に設けられた第2開閉弁であることを特徴とする用紙排出トレイ装置。
【請求項13】
請求項2から請求項6までのいずれか1項に記載の排紙トレイ装置であって、
前記ガイド部は、前記スライド杆に支持軸によって前記引き出し方向に回動自在に軸支されており、
前記用紙引き出し手段は、前記ガイド部を前記排紙トレイの前記載置面よりも低い第2の状態からその上部が前記載置面より上方に突出する第1の状態まで回動させる方向に付勢する付勢部と、前記ガイド部を前記第1の状態で停止させる停止部とを備え、
前記ガイド部は、前記用紙排出口から排出されて前記載置面に載置される用紙の重みによって、前記第1の状態から前記第2の状態まで前記付勢部の付勢力に対向して回動することを特徴とする排紙トレイ装置。
【請求項14】
請求項13に記載の排紙トレイ装置であって、
前記付勢部はばね体であり、前記停止部は、前記ガイド部に設けられた前記スライド杆に当接するストッパ片であることを特徴とする排紙トレイ装置。
【請求項15】
請求項2から請求項6までのいずれか1項に記載の排紙トレイ装置であって、
前記ガイド部は、前記スライド杆に支持軸によって前記引き出し方向に回動自在に軸支されており、
前記ガイド部には、前記排紙トレイの前記載置面よりも上方に突出する上部と前記支持軸を介して反対側の下部に重り部材が設けられ、
前記ガイド部は、前記用紙排出口から排出されて前記載置面に載置される用紙の重みによって、前記上部が前記載置面より上方に突出する第1の状態から前記載置面より低い第2の状態まで前記重り部材による荷重力に対向して回動することを特徴とする排紙トレイ装置。
【請求項16】
請求項15に記載の排紙トレイ装置であって、
前記ガイド部には、前記載置面に載置されている用紙の重みが解除されることにより、前記重り部材の荷重力によって前記第2の状態から前記第1の状態まで回動したとき、前記第1の状態でその回動を停止させる停止部を備えていることを特徴とする排紙トレイ装置。
【請求項17】
請求項16に記載の排紙トレイ装置であって、
前記停止部は、前記ガイド部に設けられた前記スライド杆に当接するストッパ片であることを特徴とする排紙トレイ装置。
【請求項18】
請求項1から請求項17までのいずれか1項に記載の排紙トレイ装置と、給紙トレイに収容された用紙を前記排紙トレイ装置に搬送する用紙搬送系と、搬送途中の用紙にトナー像を形成する画像形成部とを備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【公開番号】特開2013−103818(P2013−103818A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249654(P2011−249654)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】