掘削装置、スロット掘削方法およびスロット形成装置
削岩装置(1)で使用され、平行に交差する複数の穴を互いに近接して穿孔し、岩盤、石造建築もしくはコンクリートなどの脆性材料にスロットを形成するスロット形成装置(100)。スロット形成装置(100)は、少なくとも1つの支柱(130)によって本体部(120)へ連結されたガイド部(110)を有する。ガイド部(110)は前に穿孔した穴(50)内に配置され、本体部(120)および回転式衝撃ツール(7)が互いに可変容量チャンバ(140)を画成し、これにはフラッシング流体を入れて、削岩装置(1)の衝撃装置(4)からスロット形成装置(100)への衝撃応力波の伝播を減衰させる。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、掘削装置、スロット掘削方法およびスロット形成装置に関するものである。スロット掘削では、複数の穴を互いに接近して穿孔することで岩石材にスロットを形成する。スロットは、岩石表面において、もしくは岩石塊の中へ、その表面に複数の穴を穴の直径と実質的に等しいピッチで穿孔することによって、形成することができる。スロット掘削では、先に穿孔した穴に沿って穿孔ツールを案内する特殊なスロット形成装置が必要である。本発明の対象は独立請求項の前段により詳細に開示されている。
【発明の背景】
【0002】
スロット掘削は坑内採鉱および露天掘りに使用される方法である。スロット掘削では、複数の穴を互いに非常に近接して連続的に穿孔するが、前に穿孔した穴に隣接して新規の穴を穿孔すると、これらの穴の間の岩壁が破損する。この方法では、各穴を連続して穿孔するにつれ、これらの穴によって連続したスロットが形成される。このような連続した穴、すなわち長尺状空洞は地表発破の際に用いて発破現場近くの建物を保護することができる。このようにして、発破現場外部への衝撃波の伝播が妨げる。坑内採鉱では、長尺状空洞もしくはスロットを硬い岩に、例えばトンネル面状に穿孔して一次開口空間を形成することができ、発破すればそこへ破砕された岩石材を展開することができる。これは、例えば採掘場の開鑿もしくは坑道掘進に必要である。
【0003】
単一の穴を岩盤に穿孔すると、穴は全周縁壁が欠損せず、穴の壁からドリルビットに対して働く半径方向の力は互いに相殺しようとする。しかしスロット掘削では、複数の穴を一列に形成してスロットを形成すると、前に穿孔された穴と新規に穿孔する穴との間の岩壁は、新規の穴を穿孔するに従って破壊され、新規の穴の周縁の一部の壁からドリルビットに対して働く半径方向の力は、前に穿孔した穴へ向かう正味の力となる。
【0004】
したがってドリルビットは、新規の穴を穿孔するに従って、このように加わる半径方向の力の合力によって所望の進路から半径方向に外れ易い。ドリルビットがずれないようにするため、従来から行なわれているのは、ドリルロッドに対して平行に支持されるガイドロッドを用い、その直径は、形成中の穴の直径と実質的に同じか、わずかに小さいものとすることである。新規の穴の穿孔に先立って、新規の穴の位置に隣接した先の穿孔穴へガイドロッドを挿入して、ドリルロッドの支持体を安定させる。先に穿孔した穴にガイドロッドを入れることによって、ドリルロッドの支持体は、ドリルロッドが新規の穴を穿孔するに従ってこれに大きな半径方向の力が加わっても、位置がずれることが防止される。
【0005】
米国特許第5690184号はスロット穿孔用削岩装置を開示している。この削岩装置は、送りビームの前端部でドリルロッド用支持体へ固定されたガイドロッドを有し、これによってガイドロッドは送りビームの前端部へ延在している。このように削岩装置は、スロット穿孔目的専用に設計されている。
【0006】
国際公開公報第WO 99/45237号はスロット形成装置を開示し、これは、スロット形成装置の本体部内にある下方穴削岩機と、支柱によって本体部に配設された平行ガイドチューブとを含んでいる。この開示されているスロット形成装置の不利な点の一つは、削岩機の衝撃装置により生じる応力波がツールに対してばかりでなく、本体構造物およびガイドチューブに対しても伝達されることである。衝撃波は、スロット形成装置の本体およびガイドに対して重大な損傷を与えることがある。上述のこの不利な点は、とくにトップハンマ方式に顕著である。
【発明の簡単な説明】
【0007】
本発明は、新規で改善された掘削装置およびスロット穿孔方法と、さらに、新規で改善されたスロット形成装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の掘削装置は、スロット形成装置の本体部とツールとの間に、流体の入った少なくとも1つの軸方向容量チャンバがあり、衝撃応力波の衝撃装置からスロット形成装置への伝播を減衰させることを特徴とする。
【0009】
本発明のスロット形成装置は以下の点を特徴とする。すなわち、スロット形成装置は、本体部とツールとの間に少なくとも1つの軸方向容量チャンバが設けられ、スロット形成装置は、流体をチャンバへ流入させる少なくとも1つの流路を有し、これによってチャンバ内の流体が軸方向の力をツールから本体部へ伝達するよう配設されている。
【0010】
本発明の方法は以下の点を特徴とする。すなわち本方法は、本体部とツールの間の少なくとも1つの軸方向容量チャンバ内の流体によって送り力を穿孔方向にスロット形成装置の本体へ伝達する工程と、衝撃装置からスロット形成装置への衝撃応力波の伝播を少なくとも1つの軸方向容量チャンバ内の流体によって減衰させる工程とを含む。
【0011】
本発明によれば、スロット形成装置は、フラッシング流体を含み衝撃応力波の衝撃装置からスロット形成装置への伝播を減衰させる軸方向容量チャンバを有している。したがって、衝撃応力波がツールへ伝達されるが、ツールへ取り付けられたスロット形成装置への伝播は減衰される。さらに、穿孔中は穿孔方向の送り力が流体によってスロット形成装置の本体へ伝播される。
【0012】
本発明の利点は、通常の穿孔状態では穿孔方向のツールおよびスロット形成装置本体の機械的対向面の間に軸方向の空隙があり、そのため衝撃装置によって生じる応力波のエネルギーがスロット形成装置の本体およびガイドへ伝播することはない。これによって、応力波がスロット形成装置の構体を損傷することはなく、スロット形成装置の稼働寿命が延びることがある。
【0013】
一実施例の概念によれば、スロット形成装置は脱着可能な補助装置であり、これは、削岩機のシャンクへ、もしくはシャンクに連結されたドリルロッドへ連結されている。こうにすれば、スロット形成装置は、必要に応じて標準的な削岩機への着脱が容易に出来る。スロット形成装置を切り離すと、削岩機は通常の単穴穿孔に使用することができる。
【0014】
一実施例の概念は、穿孔する穴から掘削廃棄物を流し出すために流体を設けることにある。好ましくは、流体は、スロット形成装置の本体部とツールとの間に画成された軸方向容量チャンバを通して流れ、フラッシング流体は衝撃装置により生成された衝撃応力波のスロット形成装置への伝播を減衰させる。
【0015】
一実施例の概念は、スロット形成装置がスロット内で詰まってしまった場合に自身で脱出することができることにある。
【0016】
一実施例の概念は、スロット形成装置が軸方向容量チャンバからの流体流を調整するバルブ手段を備えていることにある。バルブ手段は流体流を制限し、これによって流体圧が増大し、スロット形成装置が詰まってしまっても追加の力を生成してこれを移動させる。
【0017】
一実施例の概念によれば、ガイド部は、本体部から離隔しこれと平行なチューブを有する。さらに、このチューブはビットの縁が回転可能な切欠き部を備えてもよい。これによって、ドリルビットがチューブに接触してしまう危険性がなくなる。
【0018】
一実施例の概念によれば、ガイド部は、ガイド部の外周面に沿って長手方向に延在する少なくとも1つの長尺状案内フランジを含む。これらの長尺状フランジによって、先に穿孔した穴に対する穿孔中の穴の間隔が確実に正確になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
次に、添付図面を参照して、模範的実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【図1a】削岩リグの模式図である。
【図1b】削岩装置の模式図である。
【図2a】ないし
【図2c】複数の穴を互いに接近して連続穿孔することによってスロットを形成する方法を示す模式図である。
【図3】本発明によるスロット形成装置の第1の実施例を示す第1の斜視図である。
【図4】図3に示すスロット形成装置の平面図である。
【図5】図3に示すスロット形成装置の部分断面図である。
【図6】図5に示す領域および図3に示すスロット形成装置の第1の状態を示す部分断面詳細図である。
【図7】図6に同様に、図3に示すスロット形成装置の第2の状態を示す部分横断面詳細図である。
【図8】図3に示すスロット形成装置の第2の斜視図である。
【図9】本発明によるスロット形成装置の第2の実施例を示す模式図である。
【図10】図9における線X-Xに沿って取った断面図である。
【図11】図10における線XI-XIに沿って取った断面図である。
【図12】スロット形成装置を押し通すことができる保持装置の模式図である。 各図において、明瞭にするためいくつかの実施例を簡略化して示す。各図において、同様の部分は同様の参照番号で示す。
【発明の詳細な説明】
【0020】
図1aは削岩リグ1の模式図であり、これはブーム2を含み、その端部には削岩装置60がある。削岩装置60は図1bでさらに詳細に示すが、これは削岩機6を備えた送りビーム3を有し、削岩機は衝撃装置4および可能性として回転装置5を有する。一般に、衝撃装置4は衝撃ピストンを有し、これは圧力媒体により作動し、ツール7の上端部を、またはツール7と衝撃装置4との間に配設されたドリルシャンク61などの接ぎ部材を打撃する。当然、他の方法で、例えば電気的に、もしくは往復打撃ピストンなしに衝撃装置4に衝撃パルスを発生させることは可能である。ツール7の近端部はシャンク61によって削岩機6へ連結され、ツール7の遠端部には、岩石を破砕する固定の、または脱着可能なビット8が配されている。ビット8は、典型的にはボタン8a付きのドリルビットであるが、他のビット構造も可能である。回転装置5は、連続回転力をツール7に対して伝達し、これによって衝撃装置4の打撃後は、ツール7に連結されているビット8がその位置を変え、続く衝撃によって岩盤の新規箇所を打撃する。削岩機6は、送りビーム3上に穿孔方向Dおよび逆方向Rに移動可能に配設され、穿孔中はツール7が送り装置9によって岩盤に対して突き出される。送り装置9は、例えば圧力媒体作動式シリンダでよい。深い穴を穿孔する場合、すなわち、いわゆる延長ロッド穿孔の場合、ビット8と削岩機6との間にドリルロッド10a、10b、10c(これは、穿孔される穴の深度によって本数が異なるが、ツール7を構成している)が配設される。削岩機6はフラッシング装置11を有してもよく、これは、ツール7およびビット8を通って穿孔した穴へフラッシング流体を供給して、そこから遊離した掘削廃棄物を流し出す。明瞭にするため、図1aはツール7のフラッシング流路を図示していない。削岩リグ1には、穿孔を制御する少なくとも1つの制御装置63を設けてもよい。さらに、送りビーム3の最外側端部には保持装置64があってもよく、これを通してツール7が配設される。保持装置64は、穿孔中にツール7を支持する手段を含んでいる。また、ドリルビット8、スロット形成装置、削岩ロッド10などの削岩構成機器を収納する削岩機器マガジン65があってもよい。削岩機器マガジン65には、穿孔軸とマガジンとの間で削岩構成機器を移送するマニピュレータを設けてもよい。これによって、スロット形成装置などの削岩構成機器は、必要に応じて削岩機へ連結したり切り離したりすることができる。
【0021】
より詳細に図1bを参照すると、送りポンプ12は送り装置9を駆動し、衝撃ポンプ13は衝撃装置4を駆動し、回転ポンプ14は回転装置5を駆動する。ポンプ12、13、14は、加圧流体、好ましくは作動油をそれぞれが駆動するそれ専用の装置9、4、5へ供給する。ポンプ12、13、14は、各装置9、4、5へそれぞれ接続された供給管に沿って配置され、給油管を通して加圧流体が矢印Aで示す方向に供給される。他の選択肢として、必要な圧力流体を1台のポンプから各装置へ供給する。この流体は各装置9、4、5からそれぞれの戻り管18、19、20に沿って矢印Bで示す方向にタンクへ戻る。削岩機6はフラッシングポンプ21も有し、これはフラッシング装置11へ接続された供給管22に沿って配置されている。フラッシング剤は、典型的には水であり、矢印Bの方向にフラッシング装置11へ供給される。
【0022】
送りポンプ12、衝撃ポンプ13、回転ポンプ14およびフラッシングポンプ21は典型的には、それぞれモータ12a、13a、14a、21aによって駆動される。明瞭にするため、図1bは、各装置4、5、9および11の制御に使用される制御弁は図示しない。削岩リグ1および削岩機6の構造および作動自体は、当業者に公知であるので、ここでさらに詳細には説明しない。
【0023】
ここで図2a〜図2cを参照すると、スロットSは、複数の穴を各穴の直径に実質的に等しいピッチで穿孔することによって岩石表面に形成される。これらの穴は互いに近接して連続的に穿孔されるので、それらの穴の間の岩壁は破壊される。このようにして、各穴が連続的に穿孔されるにつれてスロットが形成される。
【0024】
図2aに示すように、岩石表面に1つの穴50を穿孔すると、穴50の全周縁壁50aは欠損しないままである。壁50aからドリルビットに対して働く半径方向の力F(このうち4つを図2aに示す)は互いに相殺され、半径方向の力Fの和は無視可能である。しかし、図2bに示すように、前に穿孔した穴50に隣接して新規の穴52を穿孔してスロットを形成すると、前に穿孔した穴50と穿孔中の穴52との間の隔壁51が破壊される(これは図2bに破線で示す)。したがって、破壊された隔壁51が半径方向の力-Fを生じることはなく、ドリルビットに対して働く半径方向の力Fの和が互いに相殺することはない。その代わり、前に穿孔された穴50へ向かう合力が生じ、新規の穴52が穿孔されるに従って、ドリルビットはその所望の進路から半径方向に外れ、すなわち前に穿孔された穴50に平行になり、これと交差し易い。
【0025】
ここで図2cを参照して、本発明によるスロット形成装置100の利用方法を説明する。穴50は、最初は普通のドリルビットで穿孔する。その後、スロット形成装置100を削岩機6へ取り付け、穴52および54を連続して穿孔する。穴52の穿孔中、穴は前に穿孔された穴50に平行になり、かつこれと交差する。穴54の穿孔中、穴は前に穿孔された穴52に平行になり、かつこれと交差する。穴54が完成すると、ビット8を含むツール7を引き出して、スロット形成装置100のガイド部110が前に穿孔された穴54へ延在するよう配置する。ツール7に対して取り付けられガイド部110へ少なくとも1つの支柱130によって連結されたスロット形成装置100の本体部120によって、穿孔される新規の穴に対して所望の進路を維持する。
【0026】
ガイド部110には、長手方向に延在する1つ以上の長尺状案内フランジ112a、112bを設けてもよい。好ましくは案内フランジ112a、112bは、ガイド部の周面上に配置され、前に穿孔された2つの穴52、54の間の破壊された隔壁の両側に位置する。案内フランジ112a、112bによって、破壊された隔壁に起因する欠落に関してとくに、前に穿孔された穴54にガイド部110を容易に入れることができる。他の選択肢として、破壊された隔壁の両端部を越えてガイド部110の周面上へ延在する1つのフランジによっても、前に穿孔された穴にガイド部110を容易に入れることができる。
【0027】
ここで図3ないし図8を参照して、スロット形成装置100の第1の好ましい実施例を詳細に説明する。好ましくは、前に穿孔された穴に配置するガイド部110は管状であり、先細の先端部114と末尾部116との間に長手方向に延在し、末尾部は、やはり先細りにして、前に穿孔された穴からガイド部を容易に引き抜けるようにしてもよい。切欠き118を設けて、穿孔中の穴内で作用すると、ガイド部110とビット8の間の接触を回避するようにしてもよい。既に説明したように、案内フランジ112a、112bはガイド部110の周面上に配置してもよい。
【0028】
スロット形成装置100は、ガイド部110を本体部120へ連結するための1つ以上の支柱130を有している。支柱130は構造的連結を提供して本体部120の動きをガイド部110へ伝達する。すなわちガイド部110は、本体部120の動きに応答して前に穿孔された穴に転移される。したがって、スロット形成装置100のガイド部110と削岩装置1の間の連結は、好ましくは、支柱130およびスロット形成装置100の本体部120だけを介して行なわれる。
【0029】
スロット形成装置100の本体部120は穿孔される穴内に配置され、互の間に画成された軸方向容量チャンバ140を介してツール7へ連結されている。このチャンバは、フラッシング流体を入れて、衝撃装置4からスロット形成装置100への衝撃応力波の伝播を減衰する。
【0030】
本体部120はスリーブ122を含み、これは穴124を画成し、その中にツール7が延在している。穴124は、第1の直径部124aと、第1の直径部124aより小さい第2の直径部124bと、第1および第2の直径部124a、124bの間に延在しこれらを連結するショルダ部124cと、第2の直径部124bより小さい第3の直径部124dとを有する。ツール7の穴124の中へ延在する部分は、ピストン部7aと、ビット8に最も近いロッド部7bとを含んでいる。好ましくは、ピストン部7aおよびロッド部7bは、ドリルロッド10a、10b、10cがあれば、それらとビット8との間に機械的に連結されるが、他の選択肢として、ツール7の一部として一体形成してもよい。したがって、衝撃装置4により生成される衝撃応力波は、直接的機械結合部を介し、すなわちピストン部7aおよびロッド部7bを含むツール7を介してビット8へ伝達される。
【0031】
穴124の第1の直径部124aはツール7のピストン部7aを摺動的に受け入れ、穴の第2の直径部124bはツール7のロッド部7bを受け入れる。したがって、可変容量軸方向チャンバ140は、穴124の第1の直径部124aとツール7のロッド部7bとの間で半径方向に画成され、さらにツール7のピストン部7aと穴124のショルダ部124cとの間で軸方向に画成された円環形状を有する。好ましくは、フラッシング流体が第1の直径部124aとピストン部7aとの間に流れるのをシール126などによって防止する。
【0032】
可変容量チャンバ140にはフラッシング流体を入れてよく、これは、ツール7の中に延在する第1の内部通路144と、やはりツール7の中に延在する第2の内部通路146とを連絡する流路142を通して供給される。ビット8に対しては、第1の内部通路144が遠位に配置され、第2の内部通路146が近位に配置されている。好ましくは、第2の内部通路146はフラッシング流体流をビット8に供給する。流路142は、軸方向流路142aと、全体として半径方向の第1の流路142bと、全体として半径方向の第2の流路142cとを含んでいる。軸方向流路142aは、ツール7のロッド部7bと穴124の第2の直径部124bとの間で半径方向に配置されている。全体として半径方向の第1の流路142bは、ツール7の第1の内部通路144を軸方向流路142aの第1の軸方向端部へ連絡し、全体として半径方向の第2の流路142cは、軸方向流路142aの第2の軸方向端部をツール7の第2の内部通路146へ連絡している。全体として半径方向の第1および第2の流路142bおよび142cは、軸方向流路142aに対して、また第1および第2の内部通路144、146とに対して斜めに、もしくは垂直に延在してもよい。
【0033】
スリーブ122内の穴124の第3の直径部124dはツール7のロッド部7bを摺動的に受け入れる。好ましくは、フラッシング流体が第3の直径部124dとロッド部7bとの間に流れるのをシールなどによって防止する。
【0034】
図6には、スロット形成装置100の本体部120とツール7の間の第1の関係を示す。フラッシング流体は、全体として半径方向の第1の流路142bを経由して可変容量チャンバ140へ供給される。可変容量チャンバ140にはいっているフラッシング流体は、削岩装置1の衝撃装置4により生成される衝撃応力波のスロット形成装置100への伝播を減衰する機能を有する。とくに、衝撃装置4により生成される衝撃応力波はツール7を通して伝達されるが、スロット形成装置100は、軸方向容量チャンバ140に保持されたフラッシング流体を介する結合によって衝撃応力波から全体が隔離されている。軸方向容量チャンバ140内の流体のため、圧力面70と圧力面71の間にはギャップGがあり、これによってツール7とスリーブ122との間には機械的な軸方向接触がない。第1の内部通路144から全体として半径方向の第1の流路142b、軸方向流路142a、全体として半径方向の第2の流路142cを通って第2の内部通路146へ、ビット8を通り、穿孔中の穴の中へ、追加のフラッシング流体が流れ続ける。
【0035】
スロット形成装置100は前進する。すなわち、送り装置9の操作と、軸方向容量チャンバ140を満たしているフラッシング流体のツール7に沿った流れとによって、ガイド部110が先の穿孔穴に移動し、本体部120がツール7とともに移動する。軸方向容量チャンバ140のフラッシング流体は、力を穿孔方向Dに発生させる第1および第2の作動圧力面70および72に対して作用し、さらに力を逆方向Rに発生させる第3の作動圧力面71に対して作用する。したがって流体によって、送り装置9からツール7のピストン部7aを通して供給される力は、作動圧力面70、72を介して本体部120のスリーブ122へ、さらに支柱130を介してガイド部110へ伝達する。しかし、軸方向容量チャンバ140にはいっているフラッシング流体は、削岩装置1の衝撃装置4により生成される衝撃応力波のスロット形成装置100への伝播を減衰する。
【0036】
図7は、スロット形成装置100の本体部120とツール7との第2の関係を示す。スロット形成装置100が詰まった場合、例えばガイド部110が前に穿孔された穴の中で動けなくなると、第2の関係が発現する。送り装置9の作動に従って前進するスロット形成装置100に対する抵抗によって、軸方向流路142aを通過するフラッシング流体は、少なくとも部分的に、全体として半径方向の第2の流路142cに近接する第3の直径部124dで制限される。これによって、軸方向容量チャンバ140内の流体圧が上昇し、したがってスロット形成装置100を取り除くように働く力が増大する。第2の関係の究極状態では、全体として半径方向の第2の流路142cは完全に閉鎖され、フラッシング流体の流れは遮断される。これは、制御装置63もしくは削岩リグ1の操作者が検出することができ、ツール7およびスロット形成装置100をそれらの穴から引き抜くことができる。
【0037】
好ましくは、全体として半径方向の第1の流路142bは、スロット形成装置100の本体部110と削岩装置1のツール7とが第1の関係にある間は、容量可変チャンバへ供給を行なう。本体部120とツール7とが第2の関係にある間は、ツール7のピストン部7aは本体部120のスリーブ122に対して移動するので、全体として半径方向の第1の流路142bは、容量可変チャンバではなく軸方向流路142aへ供給を行なうことができ、したがってフラッシング流体の主流は容量可変チャンバを迂回し、チャンバ容量も減少する。容量可変チャンバ140の容量が減少すると、スロット形成装置100を取り除くための流体圧を増大させる能力が高まり、容量可変チャンバ140と流路142の間のフラッシング流体の連通を制限することによって、フラッシング流体は減衰を弱め、これによって衝撃装置4により生成される衝撃応力波がスロット形成装置100へ伝達されて、前に穿孔された穴に対するガイド部110の除去が促進することがある。
【0038】
したがって、第3の直径部124dと全体として半径方向の第2の流路142cは弁のような働きをして、ツール7に対するスリーブ122の位置を自動制御し、これによってガイド部110の送り抵抗に対して自動的に反応する。前に穿孔した穴にガイド部が詰まると、スロット形成装置を通る流れは遮断され、流体圧が増大する。これは、1つ以上の圧力センサによってモニタすることができる。測定結果は、制御機能を有する制御装置63へセンサから送信することができる。所定の圧力限界を超えると、制御装置63は穿孔を停止し、削岩機の送り方向を反転することができる。
【0039】
ここで図9ないし図11を参照して、スロット形成装置100の第2の好適な実施例を説明する。両好適実施例では、同じ参照番号を用いて実質的に同じ構成要素を示し、更なる説明は行なわない。
【0040】
第1の好適実施例の可変容量チャンバ140は環形であり、ツール7がピストン部7aを画成していたが、第2の好適実施例の可変容量チャンバ140aは全体として円筒形であり、ツール7の中に延在する流路142内にスリーブ部分122および減衰ピストン128が配置されている。流路142は、少なくとも1本の軸方向流路142a(図10には4本示す)と、全体として半径方向の第1の流路142bと、全体として半径方向の第2の流路142cとを含んでいる。全体として半径方向の第1の流路142bは、流路142の第1の部分を軸方向流路142aの第1の軸方向端部へ連絡し、全体として半径方向の第2の流路142cは、軸方向流路142aを流路142の第2の部分へツール7を通して連絡している。
【0041】
ピストン128は、内側部128a、外側部128b、および少なくとも1つの連結部128cを含んでいる。外側部128bは2つの半体を含み、その内側面は連結部128cを形成する突起部を有し、両半体は互いに当接して配設され、例えばねじ継手によって内側部128cと連結されている。各連結部128cは、ピストン128の内側部128aと外側部128bの間に延在して両者を互いに固定するウエブを画成している。内側部128aは、圧力流体がスロット形成装置100を通って流れるよう配設された場合、穿孔方向Dに作用する第1の作動圧面80と、逆方向Rに作用する第2の作動圧面81を画成する。第1の関係にある間は、同じ圧力が同じ表面積を有する作動圧面80、81に対して作用し、これによってピストン128に対して作用する力が均衡し、ピストンはその中央位置に置かれる。外側部128bはツール7を摺動的に受け入れ、スロット形成装置100とツール7が第1の関係にある間は、継続的にスリーブ部122と係合する。ツール7と減衰ピストン128との間には、穿孔方向Dおよび逆方向Rに軸方向ギャップGがあり、双方の間の機械的軸方向接触を防止する。
【0042】
ガイド部110の送り抵抗が増すと、図11に示すように、減衰ピストン128はツール7に対して逆方向Rに移動する。スロット形成装置100とツール7が第2の関係にある間、軸方向流路142aを通るフラッシング流体流は、ピストン128が全体として半径方向の第1の流路142bを少なくとも部分的に閉鎖することによって、制限される。これは、第1の作動圧面801に対して作用する流体圧が増大し、第2の作動圧面81に対して作用する流体圧が減少し、これによってより大きな力が穿孔方向Dに生成されるからである。ピストン128はまた、ピストン128がツール7に対して穿孔方向Dに移動すると、流体流を制限する。この状態は下方穿孔時に生じることがある。こうして減衰ピストン128は、ガイド部110へ伝達される送り力を自動調節する。
【0043】
通常のスロット掘削中、減衰ピストン128はツール7と機械的な軸方向接触にない。ピストン128の作動圧面80、81に対して作用する力によって、ツール7とピストン128との間の軸方向の機械的面は確実に相互接触しない。送り力は軸方向容量チャンバ140a内の流体によってピストン128へ伝達される。これによって応力パルスのスロット形成装置への伝達は減衰される。
【0044】
ここで知ってもらいたいことは、フラッシング流体以外のいずれの他の流体でもスロット形成装置の1つ以上の軸方向容量チャンバへ導くことができることである。流体は、例えば作動流体でよく、これは、送りポンプ12、衝撃ポンプ13または回転ポンプ14から供給する。この実施例では、ツール7に対して特殊な流路および軸方向容量チャンバをフラッシング系とは離して設ける必要がある。
【0045】
図12は、開口部66を有しその中へスロット形成装置100を押し込むことができる保持装置64を示す。開口部66の寸法および形状はスロット形成装置100の断面形状に応じて設計され、これによって2つの交差する小さな開口部を含む。開口部66には、複数の切り込み88を付けて貫通を容易にしたゴムなどの可撓性シーリング材67を設けてもよい。
【0046】
技術の進歩に従って本発明の概念をさまざまに実現できることは、当業者に明らかである。本発明およびその実施例が上述の例に限定されることはなく、特許請求項の範囲内で変化させることができる。
【発明の分野】
【0001】
本発明は、掘削装置、スロット掘削方法およびスロット形成装置に関するものである。スロット掘削では、複数の穴を互いに接近して穿孔することで岩石材にスロットを形成する。スロットは、岩石表面において、もしくは岩石塊の中へ、その表面に複数の穴を穴の直径と実質的に等しいピッチで穿孔することによって、形成することができる。スロット掘削では、先に穿孔した穴に沿って穿孔ツールを案内する特殊なスロット形成装置が必要である。本発明の対象は独立請求項の前段により詳細に開示されている。
【発明の背景】
【0002】
スロット掘削は坑内採鉱および露天掘りに使用される方法である。スロット掘削では、複数の穴を互いに非常に近接して連続的に穿孔するが、前に穿孔した穴に隣接して新規の穴を穿孔すると、これらの穴の間の岩壁が破損する。この方法では、各穴を連続して穿孔するにつれ、これらの穴によって連続したスロットが形成される。このような連続した穴、すなわち長尺状空洞は地表発破の際に用いて発破現場近くの建物を保護することができる。このようにして、発破現場外部への衝撃波の伝播が妨げる。坑内採鉱では、長尺状空洞もしくはスロットを硬い岩に、例えばトンネル面状に穿孔して一次開口空間を形成することができ、発破すればそこへ破砕された岩石材を展開することができる。これは、例えば採掘場の開鑿もしくは坑道掘進に必要である。
【0003】
単一の穴を岩盤に穿孔すると、穴は全周縁壁が欠損せず、穴の壁からドリルビットに対して働く半径方向の力は互いに相殺しようとする。しかしスロット掘削では、複数の穴を一列に形成してスロットを形成すると、前に穿孔された穴と新規に穿孔する穴との間の岩壁は、新規の穴を穿孔するに従って破壊され、新規の穴の周縁の一部の壁からドリルビットに対して働く半径方向の力は、前に穿孔した穴へ向かう正味の力となる。
【0004】
したがってドリルビットは、新規の穴を穿孔するに従って、このように加わる半径方向の力の合力によって所望の進路から半径方向に外れ易い。ドリルビットがずれないようにするため、従来から行なわれているのは、ドリルロッドに対して平行に支持されるガイドロッドを用い、その直径は、形成中の穴の直径と実質的に同じか、わずかに小さいものとすることである。新規の穴の穿孔に先立って、新規の穴の位置に隣接した先の穿孔穴へガイドロッドを挿入して、ドリルロッドの支持体を安定させる。先に穿孔した穴にガイドロッドを入れることによって、ドリルロッドの支持体は、ドリルロッドが新規の穴を穿孔するに従ってこれに大きな半径方向の力が加わっても、位置がずれることが防止される。
【0005】
米国特許第5690184号はスロット穿孔用削岩装置を開示している。この削岩装置は、送りビームの前端部でドリルロッド用支持体へ固定されたガイドロッドを有し、これによってガイドロッドは送りビームの前端部へ延在している。このように削岩装置は、スロット穿孔目的専用に設計されている。
【0006】
国際公開公報第WO 99/45237号はスロット形成装置を開示し、これは、スロット形成装置の本体部内にある下方穴削岩機と、支柱によって本体部に配設された平行ガイドチューブとを含んでいる。この開示されているスロット形成装置の不利な点の一つは、削岩機の衝撃装置により生じる応力波がツールに対してばかりでなく、本体構造物およびガイドチューブに対しても伝達されることである。衝撃波は、スロット形成装置の本体およびガイドに対して重大な損傷を与えることがある。上述のこの不利な点は、とくにトップハンマ方式に顕著である。
【発明の簡単な説明】
【0007】
本発明は、新規で改善された掘削装置およびスロット穿孔方法と、さらに、新規で改善されたスロット形成装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の掘削装置は、スロット形成装置の本体部とツールとの間に、流体の入った少なくとも1つの軸方向容量チャンバがあり、衝撃応力波の衝撃装置からスロット形成装置への伝播を減衰させることを特徴とする。
【0009】
本発明のスロット形成装置は以下の点を特徴とする。すなわち、スロット形成装置は、本体部とツールとの間に少なくとも1つの軸方向容量チャンバが設けられ、スロット形成装置は、流体をチャンバへ流入させる少なくとも1つの流路を有し、これによってチャンバ内の流体が軸方向の力をツールから本体部へ伝達するよう配設されている。
【0010】
本発明の方法は以下の点を特徴とする。すなわち本方法は、本体部とツールの間の少なくとも1つの軸方向容量チャンバ内の流体によって送り力を穿孔方向にスロット形成装置の本体へ伝達する工程と、衝撃装置からスロット形成装置への衝撃応力波の伝播を少なくとも1つの軸方向容量チャンバ内の流体によって減衰させる工程とを含む。
【0011】
本発明によれば、スロット形成装置は、フラッシング流体を含み衝撃応力波の衝撃装置からスロット形成装置への伝播を減衰させる軸方向容量チャンバを有している。したがって、衝撃応力波がツールへ伝達されるが、ツールへ取り付けられたスロット形成装置への伝播は減衰される。さらに、穿孔中は穿孔方向の送り力が流体によってスロット形成装置の本体へ伝播される。
【0012】
本発明の利点は、通常の穿孔状態では穿孔方向のツールおよびスロット形成装置本体の機械的対向面の間に軸方向の空隙があり、そのため衝撃装置によって生じる応力波のエネルギーがスロット形成装置の本体およびガイドへ伝播することはない。これによって、応力波がスロット形成装置の構体を損傷することはなく、スロット形成装置の稼働寿命が延びることがある。
【0013】
一実施例の概念によれば、スロット形成装置は脱着可能な補助装置であり、これは、削岩機のシャンクへ、もしくはシャンクに連結されたドリルロッドへ連結されている。こうにすれば、スロット形成装置は、必要に応じて標準的な削岩機への着脱が容易に出来る。スロット形成装置を切り離すと、削岩機は通常の単穴穿孔に使用することができる。
【0014】
一実施例の概念は、穿孔する穴から掘削廃棄物を流し出すために流体を設けることにある。好ましくは、流体は、スロット形成装置の本体部とツールとの間に画成された軸方向容量チャンバを通して流れ、フラッシング流体は衝撃装置により生成された衝撃応力波のスロット形成装置への伝播を減衰させる。
【0015】
一実施例の概念は、スロット形成装置がスロット内で詰まってしまった場合に自身で脱出することができることにある。
【0016】
一実施例の概念は、スロット形成装置が軸方向容量チャンバからの流体流を調整するバルブ手段を備えていることにある。バルブ手段は流体流を制限し、これによって流体圧が増大し、スロット形成装置が詰まってしまっても追加の力を生成してこれを移動させる。
【0017】
一実施例の概念によれば、ガイド部は、本体部から離隔しこれと平行なチューブを有する。さらに、このチューブはビットの縁が回転可能な切欠き部を備えてもよい。これによって、ドリルビットがチューブに接触してしまう危険性がなくなる。
【0018】
一実施例の概念によれば、ガイド部は、ガイド部の外周面に沿って長手方向に延在する少なくとも1つの長尺状案内フランジを含む。これらの長尺状フランジによって、先に穿孔した穴に対する穿孔中の穴の間隔が確実に正確になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
次に、添付図面を参照して、模範的実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【図1a】削岩リグの模式図である。
【図1b】削岩装置の模式図である。
【図2a】ないし
【図2c】複数の穴を互いに接近して連続穿孔することによってスロットを形成する方法を示す模式図である。
【図3】本発明によるスロット形成装置の第1の実施例を示す第1の斜視図である。
【図4】図3に示すスロット形成装置の平面図である。
【図5】図3に示すスロット形成装置の部分断面図である。
【図6】図5に示す領域および図3に示すスロット形成装置の第1の状態を示す部分断面詳細図である。
【図7】図6に同様に、図3に示すスロット形成装置の第2の状態を示す部分横断面詳細図である。
【図8】図3に示すスロット形成装置の第2の斜視図である。
【図9】本発明によるスロット形成装置の第2の実施例を示す模式図である。
【図10】図9における線X-Xに沿って取った断面図である。
【図11】図10における線XI-XIに沿って取った断面図である。
【図12】スロット形成装置を押し通すことができる保持装置の模式図である。 各図において、明瞭にするためいくつかの実施例を簡略化して示す。各図において、同様の部分は同様の参照番号で示す。
【発明の詳細な説明】
【0020】
図1aは削岩リグ1の模式図であり、これはブーム2を含み、その端部には削岩装置60がある。削岩装置60は図1bでさらに詳細に示すが、これは削岩機6を備えた送りビーム3を有し、削岩機は衝撃装置4および可能性として回転装置5を有する。一般に、衝撃装置4は衝撃ピストンを有し、これは圧力媒体により作動し、ツール7の上端部を、またはツール7と衝撃装置4との間に配設されたドリルシャンク61などの接ぎ部材を打撃する。当然、他の方法で、例えば電気的に、もしくは往復打撃ピストンなしに衝撃装置4に衝撃パルスを発生させることは可能である。ツール7の近端部はシャンク61によって削岩機6へ連結され、ツール7の遠端部には、岩石を破砕する固定の、または脱着可能なビット8が配されている。ビット8は、典型的にはボタン8a付きのドリルビットであるが、他のビット構造も可能である。回転装置5は、連続回転力をツール7に対して伝達し、これによって衝撃装置4の打撃後は、ツール7に連結されているビット8がその位置を変え、続く衝撃によって岩盤の新規箇所を打撃する。削岩機6は、送りビーム3上に穿孔方向Dおよび逆方向Rに移動可能に配設され、穿孔中はツール7が送り装置9によって岩盤に対して突き出される。送り装置9は、例えば圧力媒体作動式シリンダでよい。深い穴を穿孔する場合、すなわち、いわゆる延長ロッド穿孔の場合、ビット8と削岩機6との間にドリルロッド10a、10b、10c(これは、穿孔される穴の深度によって本数が異なるが、ツール7を構成している)が配設される。削岩機6はフラッシング装置11を有してもよく、これは、ツール7およびビット8を通って穿孔した穴へフラッシング流体を供給して、そこから遊離した掘削廃棄物を流し出す。明瞭にするため、図1aはツール7のフラッシング流路を図示していない。削岩リグ1には、穿孔を制御する少なくとも1つの制御装置63を設けてもよい。さらに、送りビーム3の最外側端部には保持装置64があってもよく、これを通してツール7が配設される。保持装置64は、穿孔中にツール7を支持する手段を含んでいる。また、ドリルビット8、スロット形成装置、削岩ロッド10などの削岩構成機器を収納する削岩機器マガジン65があってもよい。削岩機器マガジン65には、穿孔軸とマガジンとの間で削岩構成機器を移送するマニピュレータを設けてもよい。これによって、スロット形成装置などの削岩構成機器は、必要に応じて削岩機へ連結したり切り離したりすることができる。
【0021】
より詳細に図1bを参照すると、送りポンプ12は送り装置9を駆動し、衝撃ポンプ13は衝撃装置4を駆動し、回転ポンプ14は回転装置5を駆動する。ポンプ12、13、14は、加圧流体、好ましくは作動油をそれぞれが駆動するそれ専用の装置9、4、5へ供給する。ポンプ12、13、14は、各装置9、4、5へそれぞれ接続された供給管に沿って配置され、給油管を通して加圧流体が矢印Aで示す方向に供給される。他の選択肢として、必要な圧力流体を1台のポンプから各装置へ供給する。この流体は各装置9、4、5からそれぞれの戻り管18、19、20に沿って矢印Bで示す方向にタンクへ戻る。削岩機6はフラッシングポンプ21も有し、これはフラッシング装置11へ接続された供給管22に沿って配置されている。フラッシング剤は、典型的には水であり、矢印Bの方向にフラッシング装置11へ供給される。
【0022】
送りポンプ12、衝撃ポンプ13、回転ポンプ14およびフラッシングポンプ21は典型的には、それぞれモータ12a、13a、14a、21aによって駆動される。明瞭にするため、図1bは、各装置4、5、9および11の制御に使用される制御弁は図示しない。削岩リグ1および削岩機6の構造および作動自体は、当業者に公知であるので、ここでさらに詳細には説明しない。
【0023】
ここで図2a〜図2cを参照すると、スロットSは、複数の穴を各穴の直径に実質的に等しいピッチで穿孔することによって岩石表面に形成される。これらの穴は互いに近接して連続的に穿孔されるので、それらの穴の間の岩壁は破壊される。このようにして、各穴が連続的に穿孔されるにつれてスロットが形成される。
【0024】
図2aに示すように、岩石表面に1つの穴50を穿孔すると、穴50の全周縁壁50aは欠損しないままである。壁50aからドリルビットに対して働く半径方向の力F(このうち4つを図2aに示す)は互いに相殺され、半径方向の力Fの和は無視可能である。しかし、図2bに示すように、前に穿孔した穴50に隣接して新規の穴52を穿孔してスロットを形成すると、前に穿孔した穴50と穿孔中の穴52との間の隔壁51が破壊される(これは図2bに破線で示す)。したがって、破壊された隔壁51が半径方向の力-Fを生じることはなく、ドリルビットに対して働く半径方向の力Fの和が互いに相殺することはない。その代わり、前に穿孔された穴50へ向かう合力が生じ、新規の穴52が穿孔されるに従って、ドリルビットはその所望の進路から半径方向に外れ、すなわち前に穿孔された穴50に平行になり、これと交差し易い。
【0025】
ここで図2cを参照して、本発明によるスロット形成装置100の利用方法を説明する。穴50は、最初は普通のドリルビットで穿孔する。その後、スロット形成装置100を削岩機6へ取り付け、穴52および54を連続して穿孔する。穴52の穿孔中、穴は前に穿孔された穴50に平行になり、かつこれと交差する。穴54の穿孔中、穴は前に穿孔された穴52に平行になり、かつこれと交差する。穴54が完成すると、ビット8を含むツール7を引き出して、スロット形成装置100のガイド部110が前に穿孔された穴54へ延在するよう配置する。ツール7に対して取り付けられガイド部110へ少なくとも1つの支柱130によって連結されたスロット形成装置100の本体部120によって、穿孔される新規の穴に対して所望の進路を維持する。
【0026】
ガイド部110には、長手方向に延在する1つ以上の長尺状案内フランジ112a、112bを設けてもよい。好ましくは案内フランジ112a、112bは、ガイド部の周面上に配置され、前に穿孔された2つの穴52、54の間の破壊された隔壁の両側に位置する。案内フランジ112a、112bによって、破壊された隔壁に起因する欠落に関してとくに、前に穿孔された穴54にガイド部110を容易に入れることができる。他の選択肢として、破壊された隔壁の両端部を越えてガイド部110の周面上へ延在する1つのフランジによっても、前に穿孔された穴にガイド部110を容易に入れることができる。
【0027】
ここで図3ないし図8を参照して、スロット形成装置100の第1の好ましい実施例を詳細に説明する。好ましくは、前に穿孔された穴に配置するガイド部110は管状であり、先細の先端部114と末尾部116との間に長手方向に延在し、末尾部は、やはり先細りにして、前に穿孔された穴からガイド部を容易に引き抜けるようにしてもよい。切欠き118を設けて、穿孔中の穴内で作用すると、ガイド部110とビット8の間の接触を回避するようにしてもよい。既に説明したように、案内フランジ112a、112bはガイド部110の周面上に配置してもよい。
【0028】
スロット形成装置100は、ガイド部110を本体部120へ連結するための1つ以上の支柱130を有している。支柱130は構造的連結を提供して本体部120の動きをガイド部110へ伝達する。すなわちガイド部110は、本体部120の動きに応答して前に穿孔された穴に転移される。したがって、スロット形成装置100のガイド部110と削岩装置1の間の連結は、好ましくは、支柱130およびスロット形成装置100の本体部120だけを介して行なわれる。
【0029】
スロット形成装置100の本体部120は穿孔される穴内に配置され、互の間に画成された軸方向容量チャンバ140を介してツール7へ連結されている。このチャンバは、フラッシング流体を入れて、衝撃装置4からスロット形成装置100への衝撃応力波の伝播を減衰する。
【0030】
本体部120はスリーブ122を含み、これは穴124を画成し、その中にツール7が延在している。穴124は、第1の直径部124aと、第1の直径部124aより小さい第2の直径部124bと、第1および第2の直径部124a、124bの間に延在しこれらを連結するショルダ部124cと、第2の直径部124bより小さい第3の直径部124dとを有する。ツール7の穴124の中へ延在する部分は、ピストン部7aと、ビット8に最も近いロッド部7bとを含んでいる。好ましくは、ピストン部7aおよびロッド部7bは、ドリルロッド10a、10b、10cがあれば、それらとビット8との間に機械的に連結されるが、他の選択肢として、ツール7の一部として一体形成してもよい。したがって、衝撃装置4により生成される衝撃応力波は、直接的機械結合部を介し、すなわちピストン部7aおよびロッド部7bを含むツール7を介してビット8へ伝達される。
【0031】
穴124の第1の直径部124aはツール7のピストン部7aを摺動的に受け入れ、穴の第2の直径部124bはツール7のロッド部7bを受け入れる。したがって、可変容量軸方向チャンバ140は、穴124の第1の直径部124aとツール7のロッド部7bとの間で半径方向に画成され、さらにツール7のピストン部7aと穴124のショルダ部124cとの間で軸方向に画成された円環形状を有する。好ましくは、フラッシング流体が第1の直径部124aとピストン部7aとの間に流れるのをシール126などによって防止する。
【0032】
可変容量チャンバ140にはフラッシング流体を入れてよく、これは、ツール7の中に延在する第1の内部通路144と、やはりツール7の中に延在する第2の内部通路146とを連絡する流路142を通して供給される。ビット8に対しては、第1の内部通路144が遠位に配置され、第2の内部通路146が近位に配置されている。好ましくは、第2の内部通路146はフラッシング流体流をビット8に供給する。流路142は、軸方向流路142aと、全体として半径方向の第1の流路142bと、全体として半径方向の第2の流路142cとを含んでいる。軸方向流路142aは、ツール7のロッド部7bと穴124の第2の直径部124bとの間で半径方向に配置されている。全体として半径方向の第1の流路142bは、ツール7の第1の内部通路144を軸方向流路142aの第1の軸方向端部へ連絡し、全体として半径方向の第2の流路142cは、軸方向流路142aの第2の軸方向端部をツール7の第2の内部通路146へ連絡している。全体として半径方向の第1および第2の流路142bおよび142cは、軸方向流路142aに対して、また第1および第2の内部通路144、146とに対して斜めに、もしくは垂直に延在してもよい。
【0033】
スリーブ122内の穴124の第3の直径部124dはツール7のロッド部7bを摺動的に受け入れる。好ましくは、フラッシング流体が第3の直径部124dとロッド部7bとの間に流れるのをシールなどによって防止する。
【0034】
図6には、スロット形成装置100の本体部120とツール7の間の第1の関係を示す。フラッシング流体は、全体として半径方向の第1の流路142bを経由して可変容量チャンバ140へ供給される。可変容量チャンバ140にはいっているフラッシング流体は、削岩装置1の衝撃装置4により生成される衝撃応力波のスロット形成装置100への伝播を減衰する機能を有する。とくに、衝撃装置4により生成される衝撃応力波はツール7を通して伝達されるが、スロット形成装置100は、軸方向容量チャンバ140に保持されたフラッシング流体を介する結合によって衝撃応力波から全体が隔離されている。軸方向容量チャンバ140内の流体のため、圧力面70と圧力面71の間にはギャップGがあり、これによってツール7とスリーブ122との間には機械的な軸方向接触がない。第1の内部通路144から全体として半径方向の第1の流路142b、軸方向流路142a、全体として半径方向の第2の流路142cを通って第2の内部通路146へ、ビット8を通り、穿孔中の穴の中へ、追加のフラッシング流体が流れ続ける。
【0035】
スロット形成装置100は前進する。すなわち、送り装置9の操作と、軸方向容量チャンバ140を満たしているフラッシング流体のツール7に沿った流れとによって、ガイド部110が先の穿孔穴に移動し、本体部120がツール7とともに移動する。軸方向容量チャンバ140のフラッシング流体は、力を穿孔方向Dに発生させる第1および第2の作動圧力面70および72に対して作用し、さらに力を逆方向Rに発生させる第3の作動圧力面71に対して作用する。したがって流体によって、送り装置9からツール7のピストン部7aを通して供給される力は、作動圧力面70、72を介して本体部120のスリーブ122へ、さらに支柱130を介してガイド部110へ伝達する。しかし、軸方向容量チャンバ140にはいっているフラッシング流体は、削岩装置1の衝撃装置4により生成される衝撃応力波のスロット形成装置100への伝播を減衰する。
【0036】
図7は、スロット形成装置100の本体部120とツール7との第2の関係を示す。スロット形成装置100が詰まった場合、例えばガイド部110が前に穿孔された穴の中で動けなくなると、第2の関係が発現する。送り装置9の作動に従って前進するスロット形成装置100に対する抵抗によって、軸方向流路142aを通過するフラッシング流体は、少なくとも部分的に、全体として半径方向の第2の流路142cに近接する第3の直径部124dで制限される。これによって、軸方向容量チャンバ140内の流体圧が上昇し、したがってスロット形成装置100を取り除くように働く力が増大する。第2の関係の究極状態では、全体として半径方向の第2の流路142cは完全に閉鎖され、フラッシング流体の流れは遮断される。これは、制御装置63もしくは削岩リグ1の操作者が検出することができ、ツール7およびスロット形成装置100をそれらの穴から引き抜くことができる。
【0037】
好ましくは、全体として半径方向の第1の流路142bは、スロット形成装置100の本体部110と削岩装置1のツール7とが第1の関係にある間は、容量可変チャンバへ供給を行なう。本体部120とツール7とが第2の関係にある間は、ツール7のピストン部7aは本体部120のスリーブ122に対して移動するので、全体として半径方向の第1の流路142bは、容量可変チャンバではなく軸方向流路142aへ供給を行なうことができ、したがってフラッシング流体の主流は容量可変チャンバを迂回し、チャンバ容量も減少する。容量可変チャンバ140の容量が減少すると、スロット形成装置100を取り除くための流体圧を増大させる能力が高まり、容量可変チャンバ140と流路142の間のフラッシング流体の連通を制限することによって、フラッシング流体は減衰を弱め、これによって衝撃装置4により生成される衝撃応力波がスロット形成装置100へ伝達されて、前に穿孔された穴に対するガイド部110の除去が促進することがある。
【0038】
したがって、第3の直径部124dと全体として半径方向の第2の流路142cは弁のような働きをして、ツール7に対するスリーブ122の位置を自動制御し、これによってガイド部110の送り抵抗に対して自動的に反応する。前に穿孔した穴にガイド部が詰まると、スロット形成装置を通る流れは遮断され、流体圧が増大する。これは、1つ以上の圧力センサによってモニタすることができる。測定結果は、制御機能を有する制御装置63へセンサから送信することができる。所定の圧力限界を超えると、制御装置63は穿孔を停止し、削岩機の送り方向を反転することができる。
【0039】
ここで図9ないし図11を参照して、スロット形成装置100の第2の好適な実施例を説明する。両好適実施例では、同じ参照番号を用いて実質的に同じ構成要素を示し、更なる説明は行なわない。
【0040】
第1の好適実施例の可変容量チャンバ140は環形であり、ツール7がピストン部7aを画成していたが、第2の好適実施例の可変容量チャンバ140aは全体として円筒形であり、ツール7の中に延在する流路142内にスリーブ部分122および減衰ピストン128が配置されている。流路142は、少なくとも1本の軸方向流路142a(図10には4本示す)と、全体として半径方向の第1の流路142bと、全体として半径方向の第2の流路142cとを含んでいる。全体として半径方向の第1の流路142bは、流路142の第1の部分を軸方向流路142aの第1の軸方向端部へ連絡し、全体として半径方向の第2の流路142cは、軸方向流路142aを流路142の第2の部分へツール7を通して連絡している。
【0041】
ピストン128は、内側部128a、外側部128b、および少なくとも1つの連結部128cを含んでいる。外側部128bは2つの半体を含み、その内側面は連結部128cを形成する突起部を有し、両半体は互いに当接して配設され、例えばねじ継手によって内側部128cと連結されている。各連結部128cは、ピストン128の内側部128aと外側部128bの間に延在して両者を互いに固定するウエブを画成している。内側部128aは、圧力流体がスロット形成装置100を通って流れるよう配設された場合、穿孔方向Dに作用する第1の作動圧面80と、逆方向Rに作用する第2の作動圧面81を画成する。第1の関係にある間は、同じ圧力が同じ表面積を有する作動圧面80、81に対して作用し、これによってピストン128に対して作用する力が均衡し、ピストンはその中央位置に置かれる。外側部128bはツール7を摺動的に受け入れ、スロット形成装置100とツール7が第1の関係にある間は、継続的にスリーブ部122と係合する。ツール7と減衰ピストン128との間には、穿孔方向Dおよび逆方向Rに軸方向ギャップGがあり、双方の間の機械的軸方向接触を防止する。
【0042】
ガイド部110の送り抵抗が増すと、図11に示すように、減衰ピストン128はツール7に対して逆方向Rに移動する。スロット形成装置100とツール7が第2の関係にある間、軸方向流路142aを通るフラッシング流体流は、ピストン128が全体として半径方向の第1の流路142bを少なくとも部分的に閉鎖することによって、制限される。これは、第1の作動圧面801に対して作用する流体圧が増大し、第2の作動圧面81に対して作用する流体圧が減少し、これによってより大きな力が穿孔方向Dに生成されるからである。ピストン128はまた、ピストン128がツール7に対して穿孔方向Dに移動すると、流体流を制限する。この状態は下方穿孔時に生じることがある。こうして減衰ピストン128は、ガイド部110へ伝達される送り力を自動調節する。
【0043】
通常のスロット掘削中、減衰ピストン128はツール7と機械的な軸方向接触にない。ピストン128の作動圧面80、81に対して作用する力によって、ツール7とピストン128との間の軸方向の機械的面は確実に相互接触しない。送り力は軸方向容量チャンバ140a内の流体によってピストン128へ伝達される。これによって応力パルスのスロット形成装置への伝達は減衰される。
【0044】
ここで知ってもらいたいことは、フラッシング流体以外のいずれの他の流体でもスロット形成装置の1つ以上の軸方向容量チャンバへ導くことができることである。流体は、例えば作動流体でよく、これは、送りポンプ12、衝撃ポンプ13または回転ポンプ14から供給する。この実施例では、ツール7に対して特殊な流路および軸方向容量チャンバをフラッシング系とは離して設ける必要がある。
【0045】
図12は、開口部66を有しその中へスロット形成装置100を押し込むことができる保持装置64を示す。開口部66の寸法および形状はスロット形成装置100の断面形状に応じて設計され、これによって2つの交差する小さな開口部を含む。開口部66には、複数の切り込み88を付けて貫通を容易にしたゴムなどの可撓性シーリング材67を設けてもよい。
【0046】
技術の進歩に従って本発明の概念をさまざまに実現できることは、当業者に明らかである。本発明およびその実施例が上述の例に限定されることはなく、特許請求項の範囲内で変化させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送りビーム(3)と、
該送りビーム(3)上に配設され、衝撃装置(4)およびフラッシング装置(11)を含む削岩機(6)と、
該削岩機(6)へ連結したツール(7)とを含み、
前記衝撃装置(4)は前記ツール(7)へ向かう衝撃応力波を生成するよう配設され、前記フラッシング装置(11)は前記ツール(7)を通してフラッシング流体を供給し、穿孔される穴(52)から掘削廃棄物を流し出すよう配設され、
さらに、前記削岩機(6)を前記送りビーム(3)上で移動させ、前記ツール(7)を前記穿孔される穴(52)に送り込むよう配設された送り装置(9)と、
前記削岩機(6)へ連結され、ガイド部(110)、本体部(120)、および該ガイド部(110)と本体部(120)の間に延在しこれらを連結する少なくとも1つの支柱(130)を含むスロット形成装置(100)とを含み、前記ガイド部(110)は前に穿孔された穴(50)の中に配置され、前記ツール(7)は前記本体部(120)の中を摺動可能に配設されたスロット穿孔用削岩装置において、
前記スロット形成装置(100)の本体部(120)とツール(7)との間には、流体を含む少なくとも1つの軸方向容量チャンバ(140)があり、前記衝撃応力波の前記衝撃装置(4)から前記スロット形成装置(100)への伝播を減衰させることを特徴とする削岩装置。
【請求項2】
請求項1に記載の削岩装置において、
前記軸方向容量チャンバ(140)は、少なくとも1つの流路によって前記フラッシング装置(11)へ接続され、
前記軸方向容量チャンバ(140)はフラッシング流体を含むことを特徴とする削岩装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の削岩装置において、
前記スロット形成装置(100)は脱着可能な補助装置であり、該補助装置は、前記削岩機(6)のシャンク(61)へ、または該シャンク(61)へ連結されたドリルロッドへ連結されていることを特徴とする削岩装置。
【請求項4】
前記請求項のいずれかに記載の削岩装置において、
前記スロット形成装置(100)の本体部(120)および前記ツール(7)は互に、流体を含む少なくとも1つの軸方向容量チャンバを画成することを特徴とする削岩装置。
【請求項5】
請求項4に記載の削岩装置において、
前記スロット形成装置(100)の本体部(120)は、前記ツール(7)が中に延在する穴(124)を含むスリーブ(122)を含み、
該スリーブ(122)の穴(124)は、第1の直径部(124a)、第1の直径部(124a)より小さい第2の直径部(124b)、第1の直径部(124a)と第1の直径部(124b)の間に延在するショルダ部(124c)を含み、
前記穴(124)の第1の直径部(124a)は、前記ツール(7)のピストン部(7a)を摺動的に受け入れ、該穴(124)の第2の直径部(124b)は該ツール(7)のロッド部(7b)を受け入れ、
前記軸方向容量チャンバ(140)は環形であり、該環形は、前記穴(124)の第1の直径部(124a)と前記ツール(7)のロッド部(7b)との間で半径方向に画成され、該ツール(7)のピストン部(7a)と前記穴(124)のショルダ部(124c)との間で軸方向に画成され、
前記スロット形成装置はさらに、前記ツール(7)に沿って前記フラッシング流体を供給する流路(142)を含み、該流路(142)は、前記ツール(7)のロッド部(7a)と前記穴(124)の第2の直径部(124b)との間に半径方向に配置された軸方向流路(142a)と、前記ツール(7)の第1の内部通路(144)を該軸方向流路(142a)の第1の軸方向端部へ連結する全体として半径方向の第1の流路(142b)と、前記ツール(7)の第2の内部通路(146)を前記軸方向流路(142a)の第2の軸方向端部へ連結する全体として半径方向の第2の流路(142c)とを含み、
前記スリーブ(122)の穴(124)は、第2の直径部(124b)より小さい第3の直径部(124d)を含み、第3の直径部(124d)は前記ツール(7)のロッド部(7b)を摺動的に受け入れ、
前記本体部(120)に対する前記ツール(7)の軸方向における相対的変位によって前記全体として半径方向の第2の流路(142c)を通る流体流を制限し、前記ツール(7)に対して前記本体部(120を動かす流体圧を増大させることを特徴とする削岩装置。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれかに記載の削岩装置において、前記ツール(7)と前記本体部(120)との間には減衰ピストン(128)があり、該ピストンは、前記ツール(7)の前記本体部(120へ軸方向に連結され、該軸方向において流体によって前記ツール(7)から離されることを特徴とする削岩装置。
【請求項7】
請求項6に記載の削岩装置において、
前記スロット形成装置(100)の本体部(120)は、前記ツール(7)が中に延在する穴(124)を含むスリーブ(122)を含み、
前記ツール(7)はその中に延在する流路(142)を含み、
前記減衰ピストン(128)は、前記流路(142)内に配設された内側部(128a)と、前記ツール(7)の周囲にある外側部(128b)と、前記内側部と外側部を互いに連結する少なくとも1つの連結部(128c)とを含み、
前記ピストン(128)は前記ツール(7)に対して摺動的に移動可能に配設され、
前記内側部(128a)は、穿孔方向(D)に向けて作用する第1の作動圧面(80)と、逆方向(R)に向けて作用する第2の作動圧面(81)とを含み、
前記ピストン(128)の第1の作動圧面(80)側には第1の軸方向容量チャンバ(140a)があり、この中の流体は送り力を前記ツール(7)から前記ピストン(128)を介して前記スリーブ(122)へ伝達し、
前記ピストン(128)の第2の作動圧面(81)側には第2の軸方向容量チャンバ(140b)があり、この中の流体は前記ツール(7)とピストン(128)の間で前記穿孔方向(D)における機械的軸方向接触を妨げることを特徴とする削岩装置。
【請求項8】
請求項8に記載の削岩装置において、
前記ツール(7)の流路(142)は前記軸方向容量チャンバ(140a、140b)を接続する少なくとも1つの軸方向流路(142)を含み、
前記逆方向(R)における前記ツール(7)に対する前記ピストン(128)の軸方向の動きが第1の作動圧面(80)に対して作用する流体圧を制限するよう配設され、これによって前記ピストン(128)を介して前記スリーブ(122)へ伝達される送り力が増大することを特徴とする削岩装置。
【請求項9】
前記請求項のいずれかに記載の削岩装置において、
前記ガイド部(110)は、前記ガイド部(110)の周縁面に沿って長手方向に延在する少なくとも1つの長尺状案内フランジ(112)を含むことを特徴とする削岩装置。
【請求項10】
前記請求項のいずれかに記載の削岩装置において、
前記送りビームには、該送りビーム(3)の遠端部に保持装置(64)が設けられ、
該保持装置(64)は開口部(66)を有し、該開口部は、前記スロット形成装置(100)の断面形状に応じた寸法を有し、該スロット形成装置(100)を前記保持装置(64)の中へ押し通すことができることを特徴とする削岩装置。
【請求項11】
第1の端部および第2の端部を含み、第1の端部には、スロット形成装置(100)を削岩機(6)のシャンク(61)へ、または該シャンク(6)に連結されたドリルロッドへ取り付ける第1の連結手段が設けられ、第2の端部にはドリルビット(8)が設けられた長尺状ツール(7)と、
該ツール(7)が中に配設された本体部(120)と、
前に穿孔された穴(50)の中に設置可能なガイド部(110)と、
該ガイド部(110)と本体部(120)との間に延在し、これらを連結する少なくとも1つの支柱(130)とを含むスロット形成装置において、
該スロット形成装置(100)には、前記本体部(120)とツール(7)との間に少なくとも1つの軸方向容量チャンバが設けられ、
該スロット形成装置(100)は、該チャンバ(140)へ流体を送り込む少なくとも1つの流路を含み、これによって該チャンバ(140)内の流体が軸方向の力を前記ツール(7)から前記本体部(120)へ伝達するように配設されていることを特徴とするスロット形成装置。
【請求項12】
請求項11に記載のスロット形成装置において、
該スロット形成装置(100)は、フラッシング流体を前記削岩機から前記軸方向容量チャンバ(140)へ送り込む少なくとも1つの供給路と、フラッシング流体を前記軸方向容量チャンバ(140)から穿孔中の穴へ放出する少なくとも1つの放出流路とを含み、これによってフラッシング流体が前記軸方向容量チャンバ(140)の中を流れるように配設されていることを特徴とするスロット形成装置。
【請求項13】
請求項11または12に記載のスロット形成装置において、
該スロット形成装置(100)は、前記ガイド部(110)による前に穿孔された穴(50)への放出に対向する軸方向の力をモニタする手段と、
少なくとも1つの軸方向容量チャンバ(140、140a)の少なくとも1つの作動圧面(70、80)に対して穿孔方向に作用する前記流体の圧力を前記モニタした対向する力への応答として増大させる手段とを含み、これによって前記ガイド部(110)へ伝達される軸方向の力が増大することを特徴とするスロット形成装置。
【請求項14】
請求項12および13に記載のスロット形成装置において、
該スロット形成装置(100)は、前記ツール(7)と本体部(120)の相対的軸方向位置に対する応答として前記軸方向容量チャンバ内を流れる容量流に作用するバルブ手段を含むことを特徴とするスロット形成装置。
【請求項15】
複数の穴(50〜54)を互いに近接して穿孔し、岩石材(62)内にスロット(S)を形成し、
削岩機(6)に連結されたツール(7)に衝撃パルスを生成する衝撃装置(4)を含む削岩機(6)を穿孔において使用し、
スロット形成装置(100)を前記削岩機(6)へ連結することを含み、該スロット形成装置(100)は、前記ツール(7)が中に配設された本体部(120)と、ガイド部(110)と、該ガイド部(110)および本体部(120)の間に延在し、これらを連結する少なくとも1つの支柱(130)を含み、
さらに、前に穿孔した穴(50)内にガイド部(110)を配置して、新規の穿孔される穴(52)について該前に穿孔した穴(50)の方向を維持し、
穿孔中、送り力を穿孔方向(D)に向けて前記ツール(7)から前記スロット形成装置(100)の本体部(120)へ、さらに前記ガイド部(110)へ伝達し、
前記送り力を前記スロット形成装置(100)の本体部(120)へ前記穿孔方向(D)に、前記ツール(7)と本体部(120)との間の少なくとも1つの軸方向容量チャンバ(140、140a)内の流体によって伝達し、
衝撃応力波の前記衝撃装置(4)から前記スロット形成装置(100)への伝播を前記少なくとも1つの軸方向容量チャンバ内の流体によって減衰させることを含むことを特徴とするスロット穿孔方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、該方法は、
互いに対して長手方向に摺動するよう配設された前記本体部(120)およびツール(7)の間の軸方向の動きに応答して、前記軸方向容量チャンバ(140、140a)内の流体の圧力に対して作用することを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、該方法は、
前記軸方向容量チャンバ(140、140a)を通る流体流を形成し、
前記前に穿孔した穴(50)における前記ガイド部(110)の動きが妨げられると、前記軸方向容量チャンバ(140、140a)を通る流体流を制限し、これによって前記ガイド部(110)へ伝達される送り力を増大させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、該方法は、
前記軸方向容量チャンバ(140、140a)を通る流体流を形成し、
前記前に穿孔した穴(50)における前記ガイド部(110)の動きが止まると、前記軸方向容量チャンバ(140、140a)を通る放出流体流を閉鎖し、これによって前記軸方向容量チャンバ内の流体の圧力が増大し、
前記軸方向容量チャンバ内で作用する流体の圧力をモニタし、
該軸方向容量チャンバ内の流体圧が所定の圧力限界を超えると、前記削岩機(6)の送り運動を反転させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項15ないし18のいずれかに記載の方法において、該方法は、
少なくとも1つのドリルロッド(10)を前記削岩機(6)のシャンク(61)へ接続し、
前記スロット形成装置(100)を最外側のドリルロッド(10)の遠端部へ接続することを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項15ないし18のいずれかに記載の方法において、該方法は、
前記スロット形成装置(100)を前記削岩機(6)のシャンク(61)へ接続することを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項15ないし20のいずれかに記載の方法において、該方法は、
前記ガイド部(110)の周縁面に沿って長手方向に延在する少なくとも1つの長尺状案内フランジ(112)によって前記ガイド部(110)を前記前に穿孔した穴(50)の表面へ支持することを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項15ないし21のいずれかに記載の方法において、該方法は、
フラッシング流体を前記軸方向容量チャンバ(140、140a)へ送り込むことを含むことを特徴とする方法。
【請求項1】
送りビーム(3)と、
該送りビーム(3)上に配設され、衝撃装置(4)およびフラッシング装置(11)を含む削岩機(6)と、
該削岩機(6)へ連結したツール(7)とを含み、
前記衝撃装置(4)は前記ツール(7)へ向かう衝撃応力波を生成するよう配設され、前記フラッシング装置(11)は前記ツール(7)を通してフラッシング流体を供給し、穿孔される穴(52)から掘削廃棄物を流し出すよう配設され、
さらに、前記削岩機(6)を前記送りビーム(3)上で移動させ、前記ツール(7)を前記穿孔される穴(52)に送り込むよう配設された送り装置(9)と、
前記削岩機(6)へ連結され、ガイド部(110)、本体部(120)、および該ガイド部(110)と本体部(120)の間に延在しこれらを連結する少なくとも1つの支柱(130)を含むスロット形成装置(100)とを含み、前記ガイド部(110)は前に穿孔された穴(50)の中に配置され、前記ツール(7)は前記本体部(120)の中を摺動可能に配設されたスロット穿孔用削岩装置において、
前記スロット形成装置(100)の本体部(120)とツール(7)との間には、流体を含む少なくとも1つの軸方向容量チャンバ(140)があり、前記衝撃応力波の前記衝撃装置(4)から前記スロット形成装置(100)への伝播を減衰させることを特徴とする削岩装置。
【請求項2】
請求項1に記載の削岩装置において、
前記軸方向容量チャンバ(140)は、少なくとも1つの流路によって前記フラッシング装置(11)へ接続され、
前記軸方向容量チャンバ(140)はフラッシング流体を含むことを特徴とする削岩装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の削岩装置において、
前記スロット形成装置(100)は脱着可能な補助装置であり、該補助装置は、前記削岩機(6)のシャンク(61)へ、または該シャンク(61)へ連結されたドリルロッドへ連結されていることを特徴とする削岩装置。
【請求項4】
前記請求項のいずれかに記載の削岩装置において、
前記スロット形成装置(100)の本体部(120)および前記ツール(7)は互に、流体を含む少なくとも1つの軸方向容量チャンバを画成することを特徴とする削岩装置。
【請求項5】
請求項4に記載の削岩装置において、
前記スロット形成装置(100)の本体部(120)は、前記ツール(7)が中に延在する穴(124)を含むスリーブ(122)を含み、
該スリーブ(122)の穴(124)は、第1の直径部(124a)、第1の直径部(124a)より小さい第2の直径部(124b)、第1の直径部(124a)と第1の直径部(124b)の間に延在するショルダ部(124c)を含み、
前記穴(124)の第1の直径部(124a)は、前記ツール(7)のピストン部(7a)を摺動的に受け入れ、該穴(124)の第2の直径部(124b)は該ツール(7)のロッド部(7b)を受け入れ、
前記軸方向容量チャンバ(140)は環形であり、該環形は、前記穴(124)の第1の直径部(124a)と前記ツール(7)のロッド部(7b)との間で半径方向に画成され、該ツール(7)のピストン部(7a)と前記穴(124)のショルダ部(124c)との間で軸方向に画成され、
前記スロット形成装置はさらに、前記ツール(7)に沿って前記フラッシング流体を供給する流路(142)を含み、該流路(142)は、前記ツール(7)のロッド部(7a)と前記穴(124)の第2の直径部(124b)との間に半径方向に配置された軸方向流路(142a)と、前記ツール(7)の第1の内部通路(144)を該軸方向流路(142a)の第1の軸方向端部へ連結する全体として半径方向の第1の流路(142b)と、前記ツール(7)の第2の内部通路(146)を前記軸方向流路(142a)の第2の軸方向端部へ連結する全体として半径方向の第2の流路(142c)とを含み、
前記スリーブ(122)の穴(124)は、第2の直径部(124b)より小さい第3の直径部(124d)を含み、第3の直径部(124d)は前記ツール(7)のロッド部(7b)を摺動的に受け入れ、
前記本体部(120)に対する前記ツール(7)の軸方向における相対的変位によって前記全体として半径方向の第2の流路(142c)を通る流体流を制限し、前記ツール(7)に対して前記本体部(120を動かす流体圧を増大させることを特徴とする削岩装置。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれかに記載の削岩装置において、前記ツール(7)と前記本体部(120)との間には減衰ピストン(128)があり、該ピストンは、前記ツール(7)の前記本体部(120へ軸方向に連結され、該軸方向において流体によって前記ツール(7)から離されることを特徴とする削岩装置。
【請求項7】
請求項6に記載の削岩装置において、
前記スロット形成装置(100)の本体部(120)は、前記ツール(7)が中に延在する穴(124)を含むスリーブ(122)を含み、
前記ツール(7)はその中に延在する流路(142)を含み、
前記減衰ピストン(128)は、前記流路(142)内に配設された内側部(128a)と、前記ツール(7)の周囲にある外側部(128b)と、前記内側部と外側部を互いに連結する少なくとも1つの連結部(128c)とを含み、
前記ピストン(128)は前記ツール(7)に対して摺動的に移動可能に配設され、
前記内側部(128a)は、穿孔方向(D)に向けて作用する第1の作動圧面(80)と、逆方向(R)に向けて作用する第2の作動圧面(81)とを含み、
前記ピストン(128)の第1の作動圧面(80)側には第1の軸方向容量チャンバ(140a)があり、この中の流体は送り力を前記ツール(7)から前記ピストン(128)を介して前記スリーブ(122)へ伝達し、
前記ピストン(128)の第2の作動圧面(81)側には第2の軸方向容量チャンバ(140b)があり、この中の流体は前記ツール(7)とピストン(128)の間で前記穿孔方向(D)における機械的軸方向接触を妨げることを特徴とする削岩装置。
【請求項8】
請求項8に記載の削岩装置において、
前記ツール(7)の流路(142)は前記軸方向容量チャンバ(140a、140b)を接続する少なくとも1つの軸方向流路(142)を含み、
前記逆方向(R)における前記ツール(7)に対する前記ピストン(128)の軸方向の動きが第1の作動圧面(80)に対して作用する流体圧を制限するよう配設され、これによって前記ピストン(128)を介して前記スリーブ(122)へ伝達される送り力が増大することを特徴とする削岩装置。
【請求項9】
前記請求項のいずれかに記載の削岩装置において、
前記ガイド部(110)は、前記ガイド部(110)の周縁面に沿って長手方向に延在する少なくとも1つの長尺状案内フランジ(112)を含むことを特徴とする削岩装置。
【請求項10】
前記請求項のいずれかに記載の削岩装置において、
前記送りビームには、該送りビーム(3)の遠端部に保持装置(64)が設けられ、
該保持装置(64)は開口部(66)を有し、該開口部は、前記スロット形成装置(100)の断面形状に応じた寸法を有し、該スロット形成装置(100)を前記保持装置(64)の中へ押し通すことができることを特徴とする削岩装置。
【請求項11】
第1の端部および第2の端部を含み、第1の端部には、スロット形成装置(100)を削岩機(6)のシャンク(61)へ、または該シャンク(6)に連結されたドリルロッドへ取り付ける第1の連結手段が設けられ、第2の端部にはドリルビット(8)が設けられた長尺状ツール(7)と、
該ツール(7)が中に配設された本体部(120)と、
前に穿孔された穴(50)の中に設置可能なガイド部(110)と、
該ガイド部(110)と本体部(120)との間に延在し、これらを連結する少なくとも1つの支柱(130)とを含むスロット形成装置において、
該スロット形成装置(100)には、前記本体部(120)とツール(7)との間に少なくとも1つの軸方向容量チャンバが設けられ、
該スロット形成装置(100)は、該チャンバ(140)へ流体を送り込む少なくとも1つの流路を含み、これによって該チャンバ(140)内の流体が軸方向の力を前記ツール(7)から前記本体部(120)へ伝達するように配設されていることを特徴とするスロット形成装置。
【請求項12】
請求項11に記載のスロット形成装置において、
該スロット形成装置(100)は、フラッシング流体を前記削岩機から前記軸方向容量チャンバ(140)へ送り込む少なくとも1つの供給路と、フラッシング流体を前記軸方向容量チャンバ(140)から穿孔中の穴へ放出する少なくとも1つの放出流路とを含み、これによってフラッシング流体が前記軸方向容量チャンバ(140)の中を流れるように配設されていることを特徴とするスロット形成装置。
【請求項13】
請求項11または12に記載のスロット形成装置において、
該スロット形成装置(100)は、前記ガイド部(110)による前に穿孔された穴(50)への放出に対向する軸方向の力をモニタする手段と、
少なくとも1つの軸方向容量チャンバ(140、140a)の少なくとも1つの作動圧面(70、80)に対して穿孔方向に作用する前記流体の圧力を前記モニタした対向する力への応答として増大させる手段とを含み、これによって前記ガイド部(110)へ伝達される軸方向の力が増大することを特徴とするスロット形成装置。
【請求項14】
請求項12および13に記載のスロット形成装置において、
該スロット形成装置(100)は、前記ツール(7)と本体部(120)の相対的軸方向位置に対する応答として前記軸方向容量チャンバ内を流れる容量流に作用するバルブ手段を含むことを特徴とするスロット形成装置。
【請求項15】
複数の穴(50〜54)を互いに近接して穿孔し、岩石材(62)内にスロット(S)を形成し、
削岩機(6)に連結されたツール(7)に衝撃パルスを生成する衝撃装置(4)を含む削岩機(6)を穿孔において使用し、
スロット形成装置(100)を前記削岩機(6)へ連結することを含み、該スロット形成装置(100)は、前記ツール(7)が中に配設された本体部(120)と、ガイド部(110)と、該ガイド部(110)および本体部(120)の間に延在し、これらを連結する少なくとも1つの支柱(130)を含み、
さらに、前に穿孔した穴(50)内にガイド部(110)を配置して、新規の穿孔される穴(52)について該前に穿孔した穴(50)の方向を維持し、
穿孔中、送り力を穿孔方向(D)に向けて前記ツール(7)から前記スロット形成装置(100)の本体部(120)へ、さらに前記ガイド部(110)へ伝達し、
前記送り力を前記スロット形成装置(100)の本体部(120)へ前記穿孔方向(D)に、前記ツール(7)と本体部(120)との間の少なくとも1つの軸方向容量チャンバ(140、140a)内の流体によって伝達し、
衝撃応力波の前記衝撃装置(4)から前記スロット形成装置(100)への伝播を前記少なくとも1つの軸方向容量チャンバ内の流体によって減衰させることを含むことを特徴とするスロット穿孔方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、該方法は、
互いに対して長手方向に摺動するよう配設された前記本体部(120)およびツール(7)の間の軸方向の動きに応答して、前記軸方向容量チャンバ(140、140a)内の流体の圧力に対して作用することを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、該方法は、
前記軸方向容量チャンバ(140、140a)を通る流体流を形成し、
前記前に穿孔した穴(50)における前記ガイド部(110)の動きが妨げられると、前記軸方向容量チャンバ(140、140a)を通る流体流を制限し、これによって前記ガイド部(110)へ伝達される送り力を増大させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、該方法は、
前記軸方向容量チャンバ(140、140a)を通る流体流を形成し、
前記前に穿孔した穴(50)における前記ガイド部(110)の動きが止まると、前記軸方向容量チャンバ(140、140a)を通る放出流体流を閉鎖し、これによって前記軸方向容量チャンバ内の流体の圧力が増大し、
前記軸方向容量チャンバ内で作用する流体の圧力をモニタし、
該軸方向容量チャンバ内の流体圧が所定の圧力限界を超えると、前記削岩機(6)の送り運動を反転させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項15ないし18のいずれかに記載の方法において、該方法は、
少なくとも1つのドリルロッド(10)を前記削岩機(6)のシャンク(61)へ接続し、
前記スロット形成装置(100)を最外側のドリルロッド(10)の遠端部へ接続することを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項15ないし18のいずれかに記載の方法において、該方法は、
前記スロット形成装置(100)を前記削岩機(6)のシャンク(61)へ接続することを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項15ないし20のいずれかに記載の方法において、該方法は、
前記ガイド部(110)の周縁面に沿って長手方向に延在する少なくとも1つの長尺状案内フランジ(112)によって前記ガイド部(110)を前記前に穿孔した穴(50)の表面へ支持することを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項15ないし21のいずれかに記載の方法において、該方法は、
フラッシング流体を前記軸方向容量チャンバ(140、140a)へ送り込むことを含むことを特徴とする方法。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−516760(P2011−516760A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502404(P2011−502404)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050161
【国際公開番号】WO2009/122001
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050161
【国際公開番号】WO2009/122001
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]