説明

接着テープ

本発明は、基材フィルムの片面又は両面が、カルボキシル基を有するアクリロニトリル−ブタジエンの共重合体又はアクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸の3元共重合体、エポキシ樹脂、修飾エポキシ樹脂、硬化剤、抗酸化剤、充填剤及び他の添加剤を含有する接着組成物によりコーティングされた接着テープであり、前記接着テープは熱収縮及びガス放出率において優れており、半導体チップの製造工程における高い信頼性を保証するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材フィルムの片面又は両面に、接着組成物を塗布して形成された接着層を有する接着テープに関するもので、詳しくは、樹脂封止型パッケージングに使用されるリードの固定に使用される接着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
近年情報通信の発達に伴い、多量の情報データの交換と伝送時の大容量化、高速化、及びデジタル化が求めながら、電子情報機器の高性能、高機能化、及び高密度化の趨勢が加速化しており、このため、半導体部品の微細化及び高密度実装技術が要求されるに従い、従来の接着剤よりも耐熱性に優れた接着剤及び接着テープの材料に対する一層高い水準の耐熱性、絶縁性、及び工程適用の容易性などが求められている。
【0003】
従来の樹脂パッケージ型半導体部品に使用される接着テープとしてはリード固定用接着テープ並びにTABテープなどがある。
【0004】
リードフレームの全体を示す図1によると、リード固定用接着テープ2はリードフレームと半導体チップの組立工程においてリードフレームのリード位置を固定して組立工程を容易にすることにより、組立工程の全体の収率及び生産性の向上を図っている。
【0005】
一般に、リードフレームの製造業者はリードフレーム上にリード固定用接着テープを接着し、半導体製造業者はこれを利用して半導体チップを搭載した後に半導体チップ保護用樹脂でパッケージングする。そこで、リード固定用接着テープはリードを固定させる程度の接着力だけでなく、半導体チップから発生する熱に対する十分な耐熱性と信頼性を具備する必要がある。
【0006】
また、接着テープの熱収縮に起因するリードの移動、又は保護用樹脂密封時のガス放出に起因する前記保護用樹脂の亀裂などを最小化できるように熱収縮率とガス放出率に優れていなければならない。
【0007】
上述のような用途として使用される既存の接着テープはポリアミドフィルム又はポリイミドフィルムなどの耐熱性基材フィルム上に多様な接着剤組成物を塗布して使用するか、或いは接着剤を半硬化して使用してきた。
【0008】
例えば、特許文献1によると、アクリロニトリルと、炭素数2〜10のアルキル基を有するアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、及びヒドロキシエチルアクリレート又はヒドロキシエチルメタクリレートからなる単量体より製造したアクリル樹脂と、ビスフェノール系エポキシ及びクレゾールノボラック系エポキシから構成されたエポキシ樹脂と、硬化剤と、シリコン樹脂とから構成された接着剤組成物を提示している。
【0009】
そして、特許文献2においては、塩素の残留による電気抵抗の低下に起因する、従来のエポキシ樹脂などで生じる劣化の問題点を解決するため、ポリアミド樹脂とビスマレイミド樹脂を添加して前記塩素濃度を200ppmに低下させる技術を提示した。
【0010】
また、特許文献3においては電気部品及び電子部品に使用可能な可溶性ポリイミド樹脂を提示した。
【特許文献1】大韓民国特許出願公開第1998−16625号
【特許文献2】特開平7−74213号
【特許文献3】特開平6−172524号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述のような従来技術により製造した接着テープは、テーピング工程の後に行われる高温の実装工程において、テープの熱収縮に起因してリードの移動或いはそれによる短絡が発生し、また、テープの接着層からのガス放出により、最終実装の後に行われる樹脂密封工程において亀裂が発生するとの問題点があった。すなわち、既存の接着テープは熱収縮及びガス放出率のような特性において劣るため、これを補完できる接着テープの開発が必要である。本発明の目的は、熱収縮率とガス放出に優れた、信頼性の高い接着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明者らは、半導体チップの製造工程に使用可能な熱収縮率とガス放出特性などの信頼性に優れた接着テープを製造するために鋭意研究した結果、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体又はアクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸3元共重合体、エポキシ樹脂、修飾エポキシ樹脂、硬化剤、酸化防止剤、充填剤、及びその他の添加剤を含む接着組成物を製造し、これを基材フィルムの片面又は両面に塗布した接着層を備えた接着テープを製造した結果、熱収縮率とガス放出率の物性に優れた信頼性の高い接着テープを提供できることを見出し、本発明を完成させるに到った。
【0013】
高い信頼性である本発明による接着テープは、基材フィルムの片面又は両面に接着層を備え、また熱収縮率が0.01〜0.15%で、ガス放出率が0.1〜1.3%であることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の接着テープは、基材フィルムの片面又は両面に接着層を備えており、熱収縮率が0.01〜0.15%で、ガス放出率が0.1〜1.3%である。
【0015】
本発明の基材フィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリスチレン(PS)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルイミド(PEI)フィルム、ポリパラフェニレンスルファイド(PPS)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエーテルケトン(PEK)フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム、及びエポキシ樹脂−ガラス織物、エポキシ樹脂−ポリイミド−ガラス織物のような複合耐熱性素材などが挙げられる。その中でも耐熱性や高温における熱膨張係数の差が最も小さいポリイミドが最も好ましい。
【0016】
本発明の基材フィルムの厚さは10〜100μm程度が好ましい。
【0017】
前記基材フィルムの片面又は両面に接着組成物を塗布することで接着層が形成され、前記接着層の厚さは乾燥時で5〜40μm程度が好ましい。
【0018】
本発明の接着層として塗布される接着組成物は、鎖の末端にカルボキシル基を有するアクリロニトリル−ブタジエン共重合体又はアクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸3元共重合体、エポキシ樹脂、修飾エポキシ樹脂、硬化剤、酸化防止剤、充填剤及びその他の添加剤を含む。
【0019】
本発明に使用されるアクリロニトリル−ブタジエン共重合体又はアクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸3元共重合体は、重量平均分子量が20,000〜1,000,000程度で、その鎖の末端にカルボキシル基を有する。鎖の末端にカルボキシル基を含むことにより、その極性基の存在による接着力増大効果が得られる。
【0020】
前記共重合体又は3元共重合体の重量平均分子量が20,000未満であれば耐熱性及び接着力が低下し、また、1,000,000を超過すれば塗布による接着層の形成が困難となる。
【0021】
また、本発明では接着テープの優れた接着力と耐熱性を具現するために、エポキシ樹脂と修飾エポキシ樹脂を混合使用するのが好ましい。
【0022】
例えば、エポキシ樹脂の場合にはビスフェノールA型エポキシ又はビスフェノールF型エポキシのいずれか1種又は両方を使用するのが好ましい。
【0023】
また、修飾エポキシ樹脂にはテトラブロモフタル酸無水物エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ゴム修飾エポキシ樹脂、及び水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち選択した1種又は2種以上のものを使用するのが好ましい。
【0024】
本発明に係る接着剤組成物のうち、エポキシ樹脂を単独で使用する場合には十分な耐熱性が得られず、修飾エポキシ樹脂を単独で使用する場合には、製造した接着テープの接着層と無機質の被着剤との接着力が得られず、接着性を持たなくなる。
【0025】
本発明に使用されるエポキシ樹脂は、末端に存在するエポキシ基により作用するので、特に限定されない。
【0026】
前記エポキシ樹脂の添加量は前記共重合体100重量部に対し1〜15重量部で添加するのが好ましい。もし、エポキシ樹脂の添加量が1重量部未満であれば十分な接着力が得られず、また15重量部を超過すれば接着工程において接着層が流出し易くなる。
【0027】
また、本発明で使用されるエポキシ樹脂は重量平均分子量が200〜20,000程度で、好ましくは1,000〜5,000程度である。エポキシ樹脂の分子量が200未満であれば耐熱性及び耐衝撃性が低下する。一方、20,000を超過すれば、接着組成物の流動性の低下により接着力が低下し、接着層の形成工程での使用には不適切となる。
【0028】
また、修飾エポキシ樹脂の添加量は前記共重合体100重量部に対し1〜200重量部で添加するのが好ましい。修飾エポキシ樹脂の添加量が1重量部未満であれば耐熱性が低下する。一方、200重量部を超過する場合には接着組成物が基材フィルムから剥離し易くなる。
【0029】
一方、本発明で使用されるエポキシ樹脂及び修飾エポキシ樹脂はB段階に半硬化し、その後の接着工程に適用される。この場合、前記エポキシ樹脂及び前記修飾エポキシ樹脂の半硬化の原料には酸無水物、アミン系硬化剤又は酸硬化剤のうち選択した1種以上の硬化剤を使用する。前記硬化剤の具体的な例としては、無水フタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水トリメリット酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、二無水ピロメリット酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸又は無水メチルテトラヒドロフタル酸のような酸無水物;ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、ジエチルアミノプロピルアミン(DAEPA)、メタンジアミン(MDA)、N−アミノエチルピペラジン(N−AEP)、M−キシレンジアミン(MXDA)、イソホロンジアミン(IPDA)、メタフェニレンジアミン(MPD)、4,4’−ジメチルアニリン(DAM又はDDM)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、ジメチルアミノメチルフェノール(DMP−10)、トリス−(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−30)、DMP−30の塩又はベンジルジメチルアミン(BDMA)のようなアミン系硬化;キシレン硫酸(Xylene sulforic acid)のような酸が挙げられる。
【0030】
前記エポキシ樹脂の硬化剤として好ましいものはアミン系硬化剤である。具体的にはm−キシレンジアミン(MXDA)、イソホロンジアミン(IPDA)、メタフェニレンジアミン(MPD)、4,4’−ジメチルアニリン(DMA又はDDM)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、ジメチルアミノメチルフェノール(DMP−10)、トリス−(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−30)、DMP−30の塩、ベンジルジメチルアミン(BDMA)のような二級又は三級アミンであり、それらのアミンを使用することにより、反応時間が短縮され、3次元の架橋が形成される。
【0031】
本発明において、前記硬化剤は、エポキシ樹脂及び修飾エポキシ樹脂100重量部に対し、0.01〜100重量部程度で、好ましくは0.1〜70重量部の割合で添加される。添加される前記硬化剤の量が0.01重量部未満では硬化が不十分となり、一方100重量部を超過する場合には残留する硬化剤による物性の劣化が生じる。
【0032】
本発明においては、接着テープをリードフレームにテーピングした後、リードフレームの酸化により次の工程における銅剥がれを防止するために、以下のようなフェノール類或いは芳香族アミンを酸化防止剤として添加する。本発明において使用される前記酸化防止剤の例としては、エチレンビス(オキシエチレン)ビス−(2−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)−プロピオネート、カルシウムジエチルビス(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、3,3’,3’,5,5’,5’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’−(メシチレン−2,4,6−トリル)トリ−p−クレゾール、ベンゼンプロパン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−C−C分岐状アルキルエステル、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]ペンタエリトリトール、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、6,6’ジ−t−ブチル−2,2’−チオジ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート又はN,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)が挙げられる。これらのうち1種以上を、接着組成物中の総固形分100重量部に対し0.01〜30重量部となるように添加する。前記酸化防止剤の添加が0.01重量部以下の場合は酸化防止効果が見られず、また30重量部を超過すれば接着層の硬化が均一でなくなり得る。
【0033】
また、高温高圧の接着工程及び一連の製造工程における、接着層の作業性を向上させるために、充填剤を使用することが可能である。前記充填剤の粒子の大きさは、0.5〜5μmが望ましい。前記充填剤には、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、ダイヤモンド粉末、石英粉末又はジルコン粉末のうち選択した1種以上のものを使用することが可能である。前記充填剤は、前記接着組成物中の総固形分100重量部に対し0.5〜15重量部使用する。
【0034】
また、本発明の接着組成物は前記の構成要素のほか、必要に応じて以下の添加剤を使用することが可能である。但し、これらの添加剤は全て非イオン系で、不純物の含量が極めて低いものが好ましい。
【0035】
すなわち、前記アクリロニトリル−ブタジエン共重合体又はアクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸3元共重合体の加硫剤として、チウラム系加硫剤、酸化亜鉛、又は過酸化物を、前記接着組成物に用いられる高分子100重量部に対し0.5〜10重量部使用することができる。前記加硫剤の含量が前記の範囲を超えた場合には、共重合体の架橋が過度になり、接着層の接着能力が失われる。
【0036】
また、接着層の防炎性を向上させるために亜リン酸系防炎剤を添加することができる。前記防炎剤には、9,10−ジヒドロ−9−オキシ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、3−ヒドロキシフェニルホスフィニルプロパン酸、ジフェニル−1−1,2−ジ−ヒドロキシエチルホスフィンオキシドのように亜リン酸を含む化合物が用いられる。これらの添加量は、前記接着組成物に用いられる高分子100重量部に対し、0.01〜20重量部、好ましくは、0.02〜10重量部用いられる。前記防炎剤の添加量が0.01重量部未満であれば、防炎性の改善効果がなく、一方20重量部を超過すれば接着力が低下し、また非経済的である。
【0037】
前記接着組成物の製造方法は、以下のとおりである。
末端にカルボキシル基を含んだ共重合体若しくは3元共重合体、エポキシ樹脂、修飾エポキシ樹脂、硬化剤及び酸化防止剤を溶媒に溶解する。それにより得られる混合溶液を撹拌して半硬化し、静置することにより、低温硬化性が向上した接着組成物を調製する。このときに使用される溶媒としては、トルエン、ヘプタン、ヘキサン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、n−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられ、好ましくはトルエン、キシレン又はヘプタンである。また、前記の2つ以上の溶媒を混合して使用することもできる。
【0038】
前記混合溶液の粘度が10〜10,000cps、好ましくは100〜5,000cpsの範囲内において、塗布による接着層の形成を容易に行うことができる。このように製造した前記接着組成物を、被着剤の片面又は両面にコンマナイフ(comma knife)を用いて塗布する。前記のように塗布されたフィルムを乾燥し半硬化し、最終的な接着層が得られる。
【0039】
本発明における前記接着テープは熱収縮が0.01〜0.15%であり、ガス発生率が0.1〜1.3%である。ゆえに、前記接着テープの熱収縮によるリードの移動、及び保護樹脂を用いた密封工程におけるガス発生によるチップ保護樹脂の亀裂の発生を防止することが可能である。
【0040】
(実施例)
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0041】
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体Nipol−34(日本ゼオン製)150g、エポキシ樹脂YD−017(Kukdo Chemical製)20g、修飾エポキシ樹脂Epikotel 180S70(ジャパンエポキシレジン製)100gを、溶媒であるメチルエチルケトン600gに溶解した。その後、硬化剤として4−アミノフェニルスルホン1.2g、メタフェニレンジアミン0.5g、充填剤としてシリカ粒子Aerosil 200(Degussa製)10g、及び酸化防止剤としてエチレンビス(オキシエチレン)ビス−2(2−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)0.1gを前記混合溶液に添加した。このようにして得られた混合溶液を90℃で1時間撹拌した後、常温で3時間静置した。
【0042】
得られた前記の溶液をポリイミドフィルム(Apical NPI(株式会社カネカ製))の片面にコンマナイフを使用して塗布し、150℃で10分間半硬化し、厚さ20μmの接着層を有するフィルム状の接着テープを製造した。
【実施例2】
【0043】
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(Nipol−23(日本ゼオン製))100g、エポキシ樹脂(YDF−175(Kukdo Chemical製))10g、修飾エポキシ樹脂(YDPN−636(Kukdo Chemical製))100gを、溶媒であるメチルエチルケトン600gに溶解した。その後、硬化剤としてメタンジアミン2.0g、充填剤としてシリカ粒子(Aerosil 200(Degussa製))10g、及び酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.2gを前記混合溶液に添加した。このようにして得られた混合溶液を90℃で1時間撹拌した後、常温で3時間静置した。
【0044】
得られた前記の溶液をポリイミドフィルム(Apical NPI(株式会社カネカ製))の片面にコンマナイフを使用して塗布し、150℃で10分間半硬化し、厚さ20μmの接着層を有するフィルム状の接着テープを製造した。
【実施例3】
【0045】
アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸3元共重合体(ANM)100g、エポキシ樹脂(YD−012(Kukdo Chemical製))10g、修飾エポキシ樹脂(KDCN−527(Kukdo Chemical製))150gを溶媒であるメチルエチルケトン500gに溶解した。その後、硬化剤としてイソホロンジアミン(IPDA)0.1g、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)0.9g、充填剤としてシリカ粒子(Aerosil 200(Degussa製))10g、及び酸化防止剤としてN,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)0.1gを前記混合溶液に添加した。このようにして得られた混合溶液を90℃で1時間撹拌した後、常温で3時間静置した。
【0046】
得られた前記の溶液をポリイミドフィルム(Apical NPI(株式会社カネカ製))の片面にコンマナイフを使用して塗布し、150℃で10分間半硬化し、厚さ20μmの接着層を有するフィルム状の接着テープを製造した。
【0047】
(比較例1)
ヒドロキシ基を含んだ重量平均分子量200,000のメチルメタクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体(Daeryung Chemical製)150gを溶媒であるメチルエチルケトン500gに溶解した。その後、硬化剤としてイソシアネート1.5g、シリカ粒子(Aerosil 200(Degussa製))10gを前記混合溶液に添加した。得られた混合溶液を90℃で1時間撹拌した後、常温で3時間静置した。
【0048】
得られた前記の溶液をポリイミドフィルム(Apical NPI(株式会社カネカ製))の片面にコンマナイフを使用して塗布し、150℃で10分間半硬化し、厚さ20μmの接着層を有するフィルム状の接着テープを製造した。
【0049】
(比較例2)
重量平均分子量300,000のシリコン樹脂(信越化学工業製)200gを溶媒であるメチルエチルケトン500gに溶解した。その後、白金触媒0.5g、硬化剤樹脂1.2g、シリカ粒子(Aerosil 200(Degussa製))10gを前記混合溶液に添加した。前記混合溶液を90℃で1時間撹拌した後、常温で3時間静置した。
【0050】
得られた前記の溶液をポリイミドフィルム(Apical NPI(株式会社カネカ製))の片面にコンマナイフを使用して塗布し、150℃で10分間半硬化し、厚さ20μmの接着層を有するフィルム状の接着テープを製造した。
【0051】
(比較例3)
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(Nipol−23(日本ゼオン製))100g、エポキシ樹脂(YD−012(Kukdo Chemical製))100gを溶媒であるメチルエチルケトン400gに溶解した。その後、硬化剤としてN−アミノエチルピペラジン(N−AEP)1.5g、充填剤としてシリカ粒子(Aerosil 200(Degussa製))10gを前記混合溶液に添加した。得られた前記混合溶液を90℃で1時間撹拌した後、常温で3時間静置した。
【0052】
得られた前記の溶液をポリイミドフィルム(Apical NPI(株式会社カネカ製))の片面にコンマナイフを使用して塗布し、150℃で10分間半硬化し、厚さ20μmの接着層を有するフィルム状の接着テープを製造した。
【0053】
(比較例4)
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(Nipol−34(日本ゼオン製))100g、修飾エポキシ樹脂(KDCN−529(Kukdo Chemical製))300gを溶媒であるメチルエチルケトン500gに溶解した後、硬化剤としてジメチルアミノメチルフェノール(DMP−10)1.2g、充填剤としてシリカ粒子(Aerosil 200(Degussa製))10gを前記混合溶液に添加した。得られた前記溶液を90℃で1時間撹拌した後、常温で3時間静置した。
【0054】
得られた前記の溶液をポリイミドフィルム(Apical NPI(株式会社カネカ製))の片面にコンマナイフを使用して塗布し、150℃で10分間半硬化し、厚さ20μmの接着層を有するフィルム状の接着テープを製造した。
【0055】
(比較例5)
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(Nipol−23(日本ゼオン製))100g、エポキシ樹脂(YD−012(Kukdo Chemical製))100g、修飾エポキシ樹脂(KDCN−527(Kukdo Chemical製))100gを溶媒であるメチルエチルケトン450gに溶解した。その後、硬化剤としてトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−30)2.3g、充填剤としてシリカ粒子(Aerosil 200(Degussa製))10gを前記混合溶液に添加した。得られた前記混合溶液を90℃で1時間撹拌した後、常温で3時間静置した。
【0056】
得られた前記溶液をポリイミドフィルム(Apical NPI(株式会社カネカ製))の片面にコンマナイフを使用して塗布し、150℃で10分間半硬化し、厚さ20μmの接着層を有するフィルム状の接着テープを製造した。
【0057】
前記実施例及び比較例において製造した接着テープについて、熱収縮率、リード移動試験、ガス放出試験及び樹脂密封時の不良確認、を以下の要領にて実施した。その結果を以下の表1に示す。
【0058】
<物性測定>
(1)熱収縮率
JIS C−2318測定法に準じて熱収縮率を測定した。詳細には、接着テープを幅1cm、長さ15cmに切り、10cmの長さの位置にマーキングした。150℃で30分間熱風オーブンに静置した後、長さの変化(L1)をノギス(vernier calipers)を使用して測定した。熱収縮率を以下の式により算出した。
【数1】

【0059】
(2)リード移動試験
テーピング工程後の、高温での実装工程における、テープの熱収縮に起因するリードの移動或いはそれによる短絡を測定するため、接着テープをテーピングマシン(POSSEHL製)を用いて150℃でリードフレームにテーピングし、前記リードフレームをオーブンで200℃で1時間処理した。その後、リードの先端部の移動距離を、ハイスコープコンパクトビジョンシステム(Model:KH−2200)を使用して、200倍率にて、図2に示したように12箇所の値を測定し、その平均値を算出した。リード移動試験に関する図面を図3に示す。
【0060】
(3)ガス放出試験
前記接着テープ5gを熱風オーブンでそれぞれ150℃で40分間静置し、常温のデシケーターにて10分間静置して試料を冷却した。前記試料の重さ(W1)を測定して重さの変化率を算出し、それをガス放出率と定義した。前記ガス放出率は以下の式に従い算出した。
【数2】

【0061】
(4)樹脂密封時の不良確認
リード移動試験と同様に、前記接着テープによりテーピングしたリードフレームを、射出機を使用して射出圧力8MPa、ホールディング圧力7.5MPa、バレル温度217℃、射出温度60℃の条件で、樹脂STARCOM(Cheil Industries製)による密封を行った。20個の樹脂密封を行った後に、亀裂が生じたか否かを肉眼で確認した。
【表1】

【0062】
表1に示したように、本発明の接着組成物を塗布して製造した接着テープは、従来の接着組成により製造した接着テープと比較し、熱収縮率及びガス放出率が優れており、樹脂密封後の不良個数も少ないことが明らかとなった。特に、高温におけるテーピング工程後に測定したリード移動試験において、本発明により製造した接着テープの平均リード移動距離が、従来法による例と比較し、顕著に小さいことが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0063】
上述のとおり、末端にカルボキシル基を含むアクリロニトリル−ブタジエン共重合体又はアクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸3元共重合体、エポキシ樹脂、修飾エポキシ樹脂、硬化剤、酸化防止剤、充填剤、及びその他の添加剤を含んだ接着組成物を、基材の片面又は両面に塗布して製造した接着テープは、熱収縮率とガス放出率に優れた高い信頼性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムの片面又は両面に塗布された接着組成物により形成された接着層を有する接着テープにおいて、
前記接着テープが、本発明の詳細な説明に記載された方法により定義された熱収縮率が0.01〜0.15%で、本発明の詳細な説明に記載された方法により定義されたガス放出率が0.1〜1.3%であることを特徴とする、接着テープ。
【請求項2】
基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリスチレン(PS)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルイミド(PEI)フィルム、ポリパラフェニレンスルファイド(PPS)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエーテルケトン(PEK)フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム、エポキシ樹脂−ガラス織物又はエポキシ樹脂−ポリイミド−ガラス織物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする、請求項1に記載の接着テープ。
【請求項3】
前記接着組成物が、カルボキシル基を含むアクリロニトリル−ブタジエンの共重合体又はアクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸の3元共重合体、エポキシ樹脂、修飾エポキシ樹脂、硬化剤、酸化防止剤、充填剤及び他の添加剤を含有することを特徴とする、請求項1に記載の接着テープ。
【請求項4】
前記共重合体又は前記3元共重合体の重量平均分子量が20,000〜1,000,000であることを特徴とする、請求項3に記載の接着テープ。
【請求項5】
前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ又はビスフェノールF型エポキシから選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする、請求項3に記載の接着テープ。
【請求項6】
前記修飾エポキシ樹脂が、テトラブロモフタル酸無水物エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、及び水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂から選択される1種以上のものを含有することを特徴とする請求項3に記載の接着テープ。
【請求項7】
前記接着組成物が、
前記共重合体又は前記3元共重合体100重量部に対して1〜15重量部の前記エポキシ樹脂及び1〜200重量部の修飾エポキシ樹脂;
前記エポキシ樹脂及び修飾エポキシ樹脂の和100重量部に対して0.01〜100重量部の前記硬化剤;
前記共重合体又は前記3元共重合体、前記エポキシ樹脂及び前記修飾エポキシ樹脂、並びに前記硬化剤の総和100重量部に対して0.01〜30重量部の前記酸化防止剤;及び
前記共重合体又は前記3元共重合体、前記エポキシ樹脂及び前記修飾エポキシ樹脂、並びに前記硬化剤の総和100重量部に対して0.01〜15重量部の前記充填剤
を含有することを特徴とする、請求項3に記載の接着テープ。
【請求項8】
前記硬化剤が、酸無水物、アミン系硬化剤又は酸硬化剤から選択される1種以上のものを含有することを特徴とする、請求項3に記載の接着テープ。
【請求項9】
前記充填剤の粒子径が0.5〜5μmで、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、ダイヤモンド粉末、石英粉末又はジルコン粉末から選択される1種以上のものを含有することを特徴とする、請求項3に記載の接着テープ。

【公表番号】特表2007−532747(P2007−532747A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508278(P2007−508278)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【国際出願番号】PCT/KR2005/001081
【国際公開番号】WO2005/100500
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(597114649)コーロン インダストリーズ インク (99)
【Fターム(参考)】