説明

接着剤及びその製造方法、接着剤硬化物、並びにこれを用いた積層体

【課題】 帯電防止性と透明性に優れたウレタン系樹脂を含む接着剤を提供する。
【解決手段】 室温で液体であるイオン性化合物を含有するウレタン樹脂又はウレタンウレア樹脂を含有する接着剤、及びその製造方法、並びに積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン系樹脂を含む接着剤とその製造方法、その硬化物、及びこれを用いた積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再剥離、再貼付可能であることを特徴とした感圧性接着剤(以下、粘着剤と称することがある。)の開発が活発になされており、なかでも物品の表面保護フィルム用粘着剤は成長する情報電子機器、自動車分野においても非常に注目すべき技術分野である。
感圧性接着剤(粘着剤)として用いられる樹脂は、アクリル樹脂、ゴム系樹脂に大別される。アクリル樹脂は粘着特性に優れ、広範な用途に用いられている。しかし、再剥離性が不十分なため、被着体への糊残りの問題が指摘されている。ゴム系樹脂は、粘着特性を制御するために可塑剤などの低分子量成分の添加が必要であり、これが経時とともにブリードするため著しい性能低下を引き起こす。その他にも、近年、粘着剤に求められている性能としては、再剥離性、透明性、均一性、粘着力の剥離速度依存性低減、粘着力の経時変化(重粘着力化)抑制などがある。
【0003】
ウレタン系樹脂(ウレタン樹脂及びウレタンウレア樹脂を含む。)は、主成分としてポリオール成分とポリイソシアネート成分を含み、その分子設計の容易さやウレタン基の高い凝集力を利用して、新たな粘着剤材料として用いられ始めている。例えば特許文献1では、ヒドロキシル基を有する特定の鎖延長剤を用いることによって側鎖に化学的架橋点としてのヒドロキシル基を導入したウレタンウレア樹脂が開示されている。特許文献2ではウレタン樹脂とセルロース系樹脂を混合することにより粘着力の剥離速度依存性と経時変化を抑制する方法が開示されている。
【0004】
ところで、前述の情報電子機器、自動車分野で用いられる保護フィルムにおいては、剥離の際の帯電(剥離帯電)が工程上大きな問題となっており、高い帯電防止性能を有する保護フィルムが求められている。
樹脂用帯電防止剤として現在多く利用されている界面活性剤は、混合した界面活性剤が樹脂表面にブリードアウトして水和層を形成し、それが表面帯電を除電する。特許文献3では2液架橋型のアクリル系粘着剤に界面活性剤を添加することにより被着物からの剥離帯電を抑制する方法が開示されている。しかし粘着剤においてこの機構は、被着体汚染などの欠点を内包しており、さらに界面活性剤を大量に添加しなければ帯電防止性能が発現しないという問題がある。
【0005】
またウレタン系粘着剤に界面活性剤を添加する場合、ウレタン分子の高い極性による界面活性剤との相溶性の悪さも問題点として挙げられる。
【特許文献1】特開2003−12751号公報
【特許文献2】特開2004−250608号公報
【特許文献3】特表2004−534904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記実状に鑑みなされたものであり、表面凹凸にも追従する柔軟な塗膜を有しつつも、接着力の剥離速度依存性が低く、経時変化が抑制されたウレタン系接着剤であり、かつ高い帯電防止性能と均一透明性を兼ね備えた接着剤と、それを塗布し硬化した積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ウレタン系樹脂の高い極性に着目し、室温で液体であるイオン性化合物(イオン性液体)をウレタン系樹脂に配合することにより上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、ウレタン系樹脂と、該ウレタン系樹脂100質量部に対し、20℃で液体であるイオン性化合物0.0001〜100質量部を含有する接着剤に関する。
【0008】
また本発明は、前記ウレタン系樹脂が、3価以上のポリオールを含むポリオール(a)及びポリイソシアネート(b)を少なくとも反応させてなるウレタン樹脂を含む前記接着剤に関する。
また本発明は、前記ウレタン系樹脂が、3価以上のポリオールを含むポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)、及びモノアミノポリオール(c)を少なくとも反応させてなるウレタンウレア樹脂を含む前記接着剤に関する。
【0009】
また本発明は、前記3価以上のポリオールがトリオールである前記接着剤に関する。
また本発明は、前記ポリオール(a)がさらにジオールを含有し、ジオール/3価以上のポリオールのモル比率が97/3〜0/100である前記接着剤に関する。
また本発明は、前記ポリイソシアネート(b)のイソシアネート基の少なくとも一つが、それ以外のイソシアネート基と異なる反応性を有する前記接着剤に関する。
【0010】
また本発明は、前記モノアミノポリオール(c)が下記式(1)又は/及び式(2)で表される化合物を含む前記接着剤に関する。
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、R1は水素原子、または炭素数1〜6の、ヒドロキシル基を有していてもよいアルキル基である。)
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、R2〜R5はそれぞれ独立に、水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基である。)
【0015】
また本発明は、前記ウレタンウレア樹脂が、3価以上のポリオールを含むポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させて得られるイソシアネート末端を有するウレタンプレポリマーと、式(1)又は/及び式(2)で表されるモノアミノポリオール(c)とを反応させてなり、かつ該ウレタンプレポリマーに含まれるイソシアネート基に対するモノアミノポリオール(c)のモル比(R)が、0.5≦(R)<1である前記接着剤に関する。
【0016】
また本発明は、感圧性接着剤である前記接着剤に関する。
また本発明は、更にポリイソシアネート硬化剤を含む前記接着剤に関する。また本発明は、前記ウレタンウレア樹脂の末端ヒドロキシル基に対するポリイソシアネート硬化剤のイソシアネート基のモル比が1.0〜3.0である前記接着剤に関する。
また本発明は、前記接着剤を硬化させてなる接着剤硬化物に関する。
【0017】
また本発明は、基材と、該基材上に前記接着剤又は前記接着剤硬化物からなる接着層を有してなる積層体に関する。また本発明は、基材がPETフィルムである前記積層体に関する。
また本発明は、接着層表面の固有抵抗が105Ω以上1011Ω以下である前記積層体に関する。また本発明は、接着層に対し10kVの電圧を2分間印加したとき、印加停止直後の帯電圧が2.0kV以下で、かつ印加停止1分後の帯電圧が0.5kV以下である前記積層体に関する。
【0018】
また本発明は、保護フィルムとして使用される前記積層体に関する。
更に、本発明は、3価以上のポリオールを含むポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させてイソシアネート末端を有するウレタンプレポリマーを得た後、該ウレタンプレポリマーをモノアミノポリオール(c)と反応させて、末端にヒドロキシル基を有するウレタンウレア樹脂とした後、20℃で液体であるイオン性化合物を加える接着剤の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、優れた粘着性能と帯電防止性と透明性を両立するウレタン系接着剤を提供できる利点がある。基材にこの接着剤を塗布した積層体は帯電防止性と透明性を兼ね備えるので、情報電子機器、自動車分野を始め各種ディスプレイや偏光板など光学部材を含む広い用途の表面保護フィルムとして使用できる利点がある。
また本発明のウレタン系接着剤は再剥離性など優れた粘着性能と帯電防止性を有するので、高速剥離性が求められる分野の軽粘着剤としても使用できる利点がある。
【0020】
なお本発明においては必ずしもすべての効果を発現することを必須とするものではなく、上記した1以上の効果があればよいものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の接着剤は、ウレタン系樹脂を主成分とする接着剤であって、ウレタン系樹脂100質量部に対し、20℃で液体であるイオン性化合物0.0001〜100質量部を含有する。本発明者らの検討によれば、ウレタン系樹脂は分子構造に起因する高い極性を有するので、20℃で液体であるイオン性化合物(以下、イオン性液体と称することがある。)との相溶性が高く、イオン性液体を添加したウレタン系接着剤は均一で透明性に優れることが分かった。またこの接着剤は高い接着性と帯電防止性を備えることが分かった。これはイオン性化合物が液状であるため接着剤内で固定されにくく、接着層表面に出やすいため帯電防止性能が発現されやすいと考えられる。
【0022】
なお本明細書において、ウレタン系樹脂とはウレタン樹脂とウレタンウレア樹脂を含む概念である。ウレタン系樹脂を主成分とするとは、接着剤中に最も多量に含まれるものがウレタン系樹脂であることを言う。また「接着剤」の用語は最も広義に解釈され、「粘着剤」は、「感圧性接着剤」として「接着剤」の意義に含まれるものと解釈されるべきである。
【0023】
本発明で用いるイオン性化合物は20℃で液体であるものとする。イオン性化合物とはイオン(アニオン及びカチオン)で構成される塩であり、20℃で液体であるとは少なくとも20℃において固体もしくは気体ではない、あるいは固形物を含有しないことを意味する。
このようなイオン性化合物としては種類は特に限定されないが、例えばオニウム塩が好ましく挙げられる。オニウム塩とは化学結合に関与しない電子対を有する化合物が、該電子対によって他の陽イオン型の化合物と配位結合して生ずる化合物を言う。なかでも帯電防止性と入手しやすさの点で含窒素オニウム塩、含硫黄オニウム塩、及び含リンオニウム塩が好ましく用いられる。特に優れた帯電防止性能が得られる理由から、含窒素オニウム塩がより好ましく用いられる。
【0024】
含窒素オニウム塩のカチオン成分としてはピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリン骨格からなるカチオン、ピロール骨格からなるカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオン、アルキル基の一部がアルケニル基に置換されたテトラアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
【0025】
含窒素オニウム塩のアニオン成分としては、20℃で液体であることを満足するものであれば特に限定されず、例えばCl-、Br-、I-、AlCl4-、Al2Cl7-、BF4-、PF6-、ClO4-、NO3-、CH3COO-、CF3COO-、CH3SO3-、CF3SO3-、(CF3SO22-、(CF3SO23-、AsF6-、SbF6-、NbF6-、TaF6-、F(HF)n-、(CN)2-、C49SO3-、(C25SO22-、C37COO-、(CF3SO2)(CF3CO)N-などが用いられる。なかでもフッ素原子を含むアニオン成分は、低融点のイオン性化合物が得られやすいことから特に好ましく用いられる。
【0026】
含窒素オニウム塩としては、上記カチオン成分とアニオン成分の組み合わせから適宜選択して用いることができる。具体例としては、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−へキシルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2−メチル−1−ピロリンテトラフルオロボレート、1−エチル−2−フェニルインドールテトラフルオロボレート、1,2−ジメチルインドールテトラフルオロボレート、1−エチルカルバゾールテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、3−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、テトラヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、ジアリルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、ジアリルジメチルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどが挙げられる。
【0027】
市販のものを用いてもよい。イミダゾリウム系としては例えば、アルドリッチ製の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、東京化成工業製の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルフォネート、関東化学製の1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフロオロメタンスルフォネート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムブロマイド、日本合成化学製の1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、等が挙げられる。
【0028】
ピリジニウム系としては例えば、広栄化学製のIL−P14、アルドリッチ製の1−ブチル−4−メチルピリジニウムブロマイド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムテトラフロオロボレート、関東化学製の1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、等が挙げられる。
脂肪族アンモニウム系としては例えば、広栄化学製のIL−A2、IL−A5、アルドリッチ製のテトラブチルアンモニウムノナフルオロブタンスルホネート、関東化学製のN,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、等が挙げられる。
【0029】
脂環式アンモニウム系としては例えば、光栄化学製のIL−C1、IL−C3、等が挙げられる。
また「イオン性液体 −開発の最前線と未来−」((株)シーエーシー出版発行)に記載されているような方法により合成したイオン性化合物を使用してもよく、その合成法は、目的とする20℃で液体であるイオン性化合物が得られれば特に限定されない。
【0030】
本発明において、イオン性化合物はウレタン系樹脂100質量部に対し0.0001〜100質量部を配合する。好ましい配合量は、使用するウレタン系樹脂との相溶性により異なるが、帯電防止性能を高めるためには、一般的にウレタン系樹脂100質量部に対して0.01質量部以上配合することが好ましい。より好ましくは0.03質量部以上であり、更に好ましくは0.05質量部以上である。一方、イオン性化合物による被着体への汚染を抑えるためには、一般的にウレタン系樹脂100質量部に対して40質量部以下が好ましい。より好ましくは20質量部以下であり、更に好ましくは10質量部以下である。
【0031】
次に、本発明で用いるウレタン系樹脂について説明する。
ウレタン系樹脂は通常、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを用いて製造することができる。
ポリオール化合物としては、本発明の目的を著しく損なわないものであれば種類は特に限定されず使用できるが、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカポリオール、ポリオレフィンポリオールが挙げられる。また、これらポリオールとポリイソシアネートの反応物であるポリウレタンポリオールや、多価アルコールのポリエーテル付加物等も挙げられる。ポリウレタンはポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオール由来の単位を含んでなること、即ちポリエーテル構造やポリエステル構造を持つことが好ましい。
【0032】
ポリエーテルポリオールとしては、メチレンオキサイド鎖、エチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖、ブチレンオキサイド鎖等のアルキレンオキサイド鎖の繰り返し構造をそれぞれ単独で、あるいは2種類以上有するものが使用できる。例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等の開環重合やグリコール成分の重縮合によって得られる。メチレンオキサイド鎖をもつものは環状アセタールの開環重合などで得られる。
【0033】
グリコール成分としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール等が挙げられる。
【0034】
ポリエステルポリオールは、例えば、酸成分と、グリコール成分又はポリオール成分とのエステル化反応によって得ることができる。酸成分としては例えばテレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等のカルボン酸類及び無水カルボン酸類が挙げられる。グリコール成分は上述と同様のものを用いうる。
【0035】
またポリエステルポリオールは、ポリカプロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)、ポリバレロラクトン等のラクトン類を開環重合することによっても得られる。
3官能以上のポリオール化合物としては例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサントリオール、ポリプロピレングリコール、等が挙げられる。
【0036】
本発明では直鎖状、分岐構造等の各種ポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールを広く使用することができる。また、分子中あるいは分子末端にイソシアネート基と反応可能な官能基を有していてもよい。使用するポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールの分子量に特に制限はないが、好ましくは数平均分子量が100〜10000の範囲である。数平均分子量は例えばGPCなどを用いて測定できる。
【0037】
本発明においては、超強酸塩であるイオン性化合物が解離することにより生成するイオン(カチオン)が最終生成物であるポリウレタン架橋体のミクロブラウン運動によって運ばれることにより、導電性が強く発現すると考えられる。このため運動性の高いポリエーテル鎖を含むポリエーテルポリオール成分を含むことが望ましい。
またウレタン系樹脂のガラス転移温度が、接着剤の使用環境条件である室温(通常、25℃)よりも低いことが好ましい。通常、ガラス転移温度が低いとポリウレタン架橋体のミクロブラウン運動性が高い傾向がある。
【0038】
ウレタン系樹脂のガラス転移温度を低くするには、使用するポリオール成分の分子量を大きくすること、又はポリオール成分の配合量を増やすことが好ましい。ただし、ポリオール成分の分子量が大きすぎると、又はポリオール成分の配合量が多すぎると、ウレタン系樹脂の粘度が高くなる傾向があり、塗工性が悪化したり、組成物の硬化が不十分となり膜の強度が低下したりする場合がある。ひいては本組成物を粘着剤(感圧性接着剤)として使用した場合、凝集破壊して剥離時の粘着剤残り(糊残り)の原因となる場合がある。
【0039】
従って、使用するポリオール化合物の種類や分子量は、接着剤の使用形態や望まれる特性、他の成分に応じて適宜選択することが望ましい。ポリオール化合物は1種単独でもよいし2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネート化合物としては、本発明の目的を著しく損なわないものであれば種類は特に限定されず使用できる。ジイソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。なお本発明において脂肪族とは、直鎖または分岐の鎖状のものを言い、脂環族を含まない。
【0040】
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等が挙げられる。
【0041】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0042】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネートメチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4’−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0043】
なかでも好ましく用いられるのは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)等である。
3官能のポリイソシアネート化合物は、例えばジイソシアネート化合物を反応させて形成することができる。3官能のイソシアネート化合物の形成に供されるジイソシアネート化合物としては、例えば上述のジイソシアネート化合物を用いることができ、これから形成されるトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュレット体、イソシアヌレート環を有する3量体を使用することができる。好ましくは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)等のジイソシアネートから形成されたビュレット体である。
【0044】
ただし使用するポリイソシアネート化合物の種類や分子量は、組成物の使用形態や望まれる特性、他の成分に応じて適宜選択することが望ましい。ポリイソシアネート化合物は1種単独でもよいし2種以上を併用してもよい。
本発明のウレタン系樹脂を含む接着剤は、硬化されていても、されていなくてもよい。通常、硬化させる場合には、硬化剤として3官能以上のポリイソシアネート化合物又は3官能以上のポリオール化合物を添加する。ウレタン系樹脂の末端官能基としてイソシアネート基が過剰であればポリオール型の硬化剤を用い、水酸基が過剰であればポリイソシアネート型の硬化剤を用いればよい。硬化方法は特に問わず、例えば後述の3級アミン化合物、有機金属化合物等の触媒を添加して反応を進行させてもよいし、特に触媒を添加せず、大気中の水分により湿気硬化させてもよい。本発明においてウレタン系樹脂の末端官能基が水酸基であって、ポリイソシアネートからなる硬化剤を使用することが好ましい。
【0045】
ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の量は化合物の種類や他の条件に応じて適宜決定すればよいが、通常、十分に架橋し凝集力を高めるためにはイソシアネート基モル当量1に対して水酸基モル当量が0.8〜1.5となるよう配合することが好ましい。水酸基に対してイソシアネート基の量を上記適度の範囲とすることで、イソシアネート基が加水分解して表面に硬いウレアが生成する虞が小さくなる。表面に硬いウレアがあるとイオン化合物のカチオンが動きにくくなり、帯電防止性能が低下する場合がある。
【0046】
本発明のポリオール化合物とイソシアネート化合物のウレタン化反応の方法としては種々の方法が可能であるが、例えば1)全量仕込みで反応する方法、2)ポリオールと触媒をフラスコに仕込みイソシアネート化合物を逐次添加する方法、が挙げられる。操作の容易さからは1)が好ましく、反応系の粘度を低く抑えたい場合や、反応を精密に制御したい場合は2)が好ましい。
【0047】
ウレタン化反応の反応温度は、化合物の種類や他の条件に応じて適宜決定すればよいが、反応速度や分子量、分子構造を制御しやすくするためには通常120℃以下が好ましい。より好ましくは110℃以下とする。ただし、反応速度を速めたい場合には通常60℃以上とし、好ましくは70℃以上とする。また、他の諸条件にもよるが、70〜110℃で触媒の存在下であれば、ウレタン化反応時間は1時間〜20時間程度が好ましい。
【0048】
本発明のウレタン化反応触媒としては、特に限定することなく使用することができる。例えば3級アミン化合物、有機金属化合物等が挙げられる。これらは複数種を併用してもよい。
3級アミン化合物としては例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)等が挙げられる。
【0049】
有機金属化合物としては錫系化合物、非錫系化合物を挙げることができる。錫系化合物としては、例えばジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
【0050】
非錫系化合物としては、例えばジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系、オレイン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサンコバルトなどのコバルト系、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン亜鉛などの亜鉛系、ナフテン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
【0051】
本発明の接着剤は溶剤を含んでいてもよい。例えば上記ウレタン化反応の溶剤や、イオン化合物やルイス酸性化合物の溶剤が含まれうる。溶剤の種類は特に限定されないが、例えばメチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アセトン、DMF(ジメチルホルムアミド)等が挙げられる。ウレタン化反応の溶剤としては、ウレタン系樹脂の溶解性、溶剤の沸点等の点から、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエンが好ましく使用される。
【0052】
本発明の接着剤には、本発明の効果を著しく損なわない限り、必要に応じて任意の他の樹脂や添加剤を添加してよい。樹脂としては、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、等が挙げられる。
添加剤としては、例えばロジン、ロジンエステルのような粘着付与剤、スメクタイト、カオリン、タルク、マイカ、スメクタイト、バーミキュライト、パイロフィライト、炭酸カルシウム、酸化チタン等の充填剤、可塑剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、光安定剤、難燃剤、加水分解防止剤、等が挙げられる。また、ポットライフ延長剤として触媒のブロック剤を含んでいてもよい。
【0053】
触媒ブロック剤として働く物質には、触媒の中心金属と錯体を形成して反応性空軌道を塞ぐキレート化合物や、不可逆的な触媒毒として作用する硫黄系の化合物等がある。なかでも、ブロック作用が可逆的であり触媒活性の再生が可能であることからキレート化合物が好ましく用いられる。キレート化合物としては、アセチルアセトン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオンなどの1,3−ジケトン化合物、アセト酢酸アルキルエステルなどの3−ケトエステル化合物、マロン酸ジアルキルなどのマロン酸ジアルキル化合物、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラミンなどのポリアミン化合物、クラウンエーテル類などのポリエーテル化合物、等が挙げられる。なかでも、有機溶剤への溶解性や、必要に応じて除去が可能な沸点を有していることから、アセチルアセトンが特に好ましい。
【0054】
接着剤中のウレタン系樹脂の量は特に限定されないが、溶剤を除く全重量の、通常は50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。但し通常99.9999質量%以下であり、99.95質量%以下であることが好ましい。
本発明で用いるウレタンウレア樹脂について詳細に説明する。ウレタンウレア樹脂は3価以上のポリオールを含むポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)、及びモノアミノポリオール(c)を少なくとも反応させてなるものであり、接着剤の成分として有用である。
【0055】
本発明では、ポリオール(a)は、3価以上のポリオールを少なくとも含む。3価以上のポリオールとしては特に限定されずトリオール、テトラオール、ペンタオールなど3以上のヒドロキシル基を持つ化合物が用いられ、なかでもゲル化しにくい点で3価のポリオールであるトリオールを用いるのが好ましい。ただし、ジオールを含んでいてもよい。ポリオール(a)は、公知の種々のポリオールから選択することができる。例えば、ポリエーテルポリオール((a)−1)、ポリエステルポリオール((a)−2)、ポリカーボネートポリオール((a)−3)、ポリオレフィンポリオール((a)−4)等から選択することができる。これらは単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。また、例えばポリエーテルポリオールの末端にラクトンモノマーを付加する等、これらを共重合させたものも用いることができる。
【0056】
本発明では、上記した様に、3価以上のポリオールとして、少なくとも1種のトリオールを用いるのが好ましい。また3価以上のポリオールとともに、少なくとも1種のジオールを用いるのがゲル化防止の点でより好ましい。ジオールと3価以上のポリオールとを組み合わせて用いる場合、ジオール/3価以上のポリオールのモル比率は、97/3以下であるのが好ましい。ジオール/3価以上のポリオールのモル比率が97/3以下であると、粘着力の剥離速度依存性、経時変化を抑制する適度な化学架橋密度を有するので好ましい。より好ましくは、ゲル化防止の観点からジオール/3価以上のポリオールのモル比率が3/97以上である。
【0057】
3価以上のポリオールの分子量の好ましい範囲については、用いるポリオールの種類によって変動するが、その分子量は、数平均分子量で1000以上であることが好ましく、また10000以下であることが好ましい。更に好ましくは、3000以上であり、また7000以下である。分子量が下限より高いほど、凹凸追従性が向上し、感圧性接着剤として好ましい傾向になる。また分子量が上限より低いほど、凝集力が高く、再剥離性が良好となる傾向がある。また、ジオールを含む場合、ジオールの分子量は、数平均分子量で1000以上が好ましく、また5000以下が好ましい。更に好ましくは、2000以上であり、また4000以下である。3価以上のポリオールと同様、分子量が下限より高いほど、凹凸追従性が向上し、感圧性接着剤として好ましい傾向になる。
【0058】
本発明に用いるポリエーテルポリオール((a)−1)としては、公知のポリエーテルポリオール類から選択することができる。例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキセタン、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等の含酸素環状化合物の開環重合体、あるいは共重合体やグラフト重合体が用いられる。また、アルカンジオールを脱水縮合させたポリエーテル類も用いることができる。含酸素環状化合物の開環重合を行う際の開始剤としては、公知の活性水素化合物を用いることができる。例えば、ジオール化合物、トリオール化合物、テトラオール化合物、ジアミン化合物、トリアミン化合物、アミノアルコール類が上げられる。
【0059】
ジオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、ピナコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4,4'−イソプロピリデンジシクロヘキサノール、ノルボルネンジオール、ノルボルネンジメタノール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒドロベンゾイン、1,2−ベンゼンジメタノール等が挙げられる。
【0060】
トリオール化合物としては、グリセロール、1,3,5−ペンタントリオール、2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、1,3,5−シクロヘキサントリオール、ベンゼントリオール、ダイスラノール1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、等が挙げられる。
テトラオール化合物としては、エリスリトール、ペンタエリスリトール、スレイトール、フコース、リボース、アラビノース、キシロース、リクソース等が挙げられる。
【0061】
ジアミン化合物としては、エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン、N,N'−ジメチルエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、N,N'−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,12−ジアミノドデカン、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4'−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、4,4'−ビピペリジン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、3−アミノピロリジン、3−アミノピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、1,2−ジアニリノエタン、フェニレンジアミン、トリジン、2,2'、6,6'−テトラメチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、ジエトルトルエンジアミン、4,4'−ビス(sec−ブチルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
【0062】
トリアミン化合物としては、ジエチレントリアミン、スペルミジン、2,4,6−トリメチルトリアジン、1,4,7−トリアザシクロノナン、1,5,9−トリアザシクロドデセン等が挙げられる。
アミノアルコール類としては、エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、1−アミノ−1−シクロペンタンメタノール、2−アミノシクロヘキサノール、4−アミノシクロヘキサノール、1−アミノメチル−1−シクロヘキサノール、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、セリノール、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、1,3−ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパン、ペントロール、3−ピロリジノール、2−ピロリジンメタノール、2−ピペリジンメタノール、3−ピペリジンメタノール、3−ヒドロキシピペリジン、4−ヒドロキシピペリジン、ピペラジンエタノール、アミノフェノール、等が挙げられる。
【0063】
本発明に用いるポリエステルポリオール((a)−2)としては、公知のポリエステルポリオール類を用いることができる。例えば、酸成分としてアジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、アゼライン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等、アルコール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を用いてこれらを脱水縮合したものが挙げられる。また、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン等、ラクトン化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオールも使用することができる。
【0064】
本発明に用いるポリカーボネートポリオール((a)−3)としては、公知のポリカーボネートポリオール類を用いることができる。例えば、アルコール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を用いたものが挙げられる。
【0065】
本発明に用いるポリオレフィンポリオール((a)−4)としては、公知のポリオレフィンポリオールを用いることができる。例えば、ポリブタジエンの末端ヒドロキシル化物等が挙げられる。
中でも、ポリエーテルポリオール((a)−1)を用いるのが好ましく、含酸素環状化合物の開環重合体を用いるのがより好ましく、より具体的には、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールを用いるのがさらに好ましい。ポリエーテルポリオールは一般にガラス転移点が低めで且つ結晶性も低いため、透明度が高く、また樹脂溶液の粘度が高くなりすぎず、作業性が良好なので好ましい。また、接着剤層が柔軟性を有し、被着体への密着性、低温特性にも優れる。
【0066】
本発明で用いられるポリイソシアネート(b)としては、公知の種々のポリイソシアネートから特に限定されることなく選択することができる。なお、「ポリイソシアネート」とは、2官能以上のポリイソシアネートをいい、即ち、一分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物をいう。例えば、2官能以上の、芳香族ポリイソシアネート((b)−1)、脂肪族ポリイソシアネート((b)−2)、芳香脂肪族ポリイソシアネート((b)−3)、脂環族ポリイソシアネート((b)−4)等から選択することができる。
【0067】
芳香族ポリイソシアネート((b)−1)としては、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、4,4',4''−トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメリックMDI等を挙げることができる。
【0068】
脂肪族ポリイソシアネート((b)−2)としては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0069】
芳香脂肪族ポリイソシアネート((b)−3)としては、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、2,4,5,6−テトラメチル−1,3−キシリレンジイソシアネート、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネート((b)−4)としては、イソホロンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート、2−メチル−1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルエーテルジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0070】
中でも、2つのイソシアネート基を分子中に有するジイソシアネート類から選択されるのが好ましい。
また、一分子中に含まれる2以上のイソシアネート基のうち、イソシアネート基の少なくとも一つが、他のイソシアネート基と異なる反応性を有する化合物が好ましく用いられ、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2−メチル−1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート、2,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が好ましい。
【0071】
更にこの中でも、経時での黄変がないことから、例えば1,2−プロピレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2−メチル−1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート、2,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族又は/及び脂環族イソシアネートが特に好ましく用いられる。
【0072】
また、上記の2官能イソシアネートと活性水素化合物とを反応させてなるイソシアネート末端の生成物も、ポリイソシアネート化合物(b)として好適に用いられる。活性水素化合物としては、前記ポリオール(a)の含酸素環状化合物の開環重合を行う際の開始剤として挙げた、公知の活性水素化合物を、特に限定されずに使用することができる。
更に、上記のイソシアネート化合物を水の存在下、又は不在下に多量化させてなる生成物も、ポリイソシアネート化合物(b)として用いることができる。水の存在下に多量化させてなる生成物としては、ウレア化合物、ビュレット化合物が挙げられる。また水の不在下に多量化させてなる化合物としては、イソシアヌレート化合物、ウレトジオン化合物、カルボジイミド化合物が挙げられる。
【0073】
本発明に用いられるモノアミノポリオール(c)は、特に限定されるものではなく、公知の種々のモノアミノポリオール類から選択することができる。なお、本明細書において、「モノアミノポリオール」とは、一分子中に一つのアミノ基を有する2価以上のポリオールをいう。アミノ基は無置換アミノ基か、モノ置換アミノ基であるのが好ましい。本発明に用いられるモノアミノポリオール(c)としては、好ましくは、式(1)又は/及び(2)を満足するアミノポリオールである。
【0074】
【化3】

【0075】
式中、R1は水素原子またはヒドロキシル基を有していてもよい、炭素数1〜6のアル
キル基である。
【0076】
【化4】

【0077】
式中、R2〜R5はそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。
上記式(1)を満足するものとしては2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等があり、式(2)を満足するものとしてはジエタノールアミン、エタノールイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン等があり、これらの化合物が特に好適に用いられる。
【0078】
本発明のウレタンウレア樹脂の一態様は、ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)との反応から、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得、かかるウレタンプレポリマーとモノアミノポリオール(c)とを反応させることで得られる末端にヒドロキシル基を有するウレタンウレア樹脂である。ポリオール(a)は3価以上のポリオールを少なくとも含むが、ジオールを併用してもよい。
【0079】
本態様において中間体となるウレタンプレポリマーは、ポリオール(a)と、ポリイソシアネート(b)とを反応させてなる、イソシアネート末端を有する化合物である。その際、ポリオール(a)の全ての末端ヒドロキシル基がポリイソシアネート(b)と反応していてもよく、また一部未反応のヒドロキシル基が残留していてもよい。更に、ウレタンプレポリマーの原料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り必要に応じて任意の鎖延長剤や末端停止剤、イオン性官能基を有する反応性化合物等の化合物を含んでいてもよい。
【0080】
ここで、ウレタンプレポリマーに対してモノアミノポリオール(c)は鎖延長剤として作用する。これについて以下に詳しく述べる。
通常、ウレタン(ウレア)樹脂を形成する際の鎖延長剤としては、ジオール化合物、ジアミン化合物及びモノアミノモノオール化合物から選ばれる一種又は二種以上が用いられることが多い。一般的な手法としては、高分子ジオール化合物を過剰のジイソシアネート化合物と反応させ、イソシアネート末端を有するウレタンプレポリマーを調製し、そこに、ジオール化合物、ジアミン化合物及びモノアミノモノオール化合物から選ばれる一種又は二種以上を加えて高分子量化する。また、必要に応じてモノオール化合物、モノアミン化合物及びモノアミノモノオール化合物から選ばれる一種又は二種以上を、末端停止剤として適宜加えることもある。熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂を得る際にはこの手法は有効である。しかし化学架橋密度を高めてウレタン(ウレア)樹脂の物性を制御しようとする場合には、この手法では末端にしか架橋性官能基を導入することができないために適用範囲が狭い。化学架橋密度を高めるためには、以下の2つの方法(i)及び(ii)が考えられる。
【0081】
(i)3官能以上のポリオールを用いる
ポリオール(a)として3官能以上のポリオールを用いることで、ウレタンプレポリマーに分岐を持たせて化学架橋密度を高めることができる。しかしゲル化を起こしやすい課題がある。またそのため、混合できる3官能以上のポリオールの割合にも限界がある。
【0082】
(ii)3官能以上の鎖延長剤を用いる
水酸基、アミノ基等の官能基を3以上有する鎖延長剤を用いることでウレタンプレポリマーに分岐を持たせて化学架橋密度を高めることができる。しかし、反応性が等価な鎖延長剤(トリオール、トリアミン)では、(i)と同様、容易にゲル化してしまう場合がある。そこで例えば、非等価な活性水素官能基を有する化合物としてジアミノモノオール化合物を用いる手法がある。これはアミノ基とヒドロキシル基との、イソシアネート基に対する反応性が十分に異なるという性質を利用したものである。しかし、3官能以上のポリオールを用いる場合にはそれでもゲル化を起こしやすい。
【0083】
しかし検討の結果、ゲル化という問題点を克服し、(i)及び(ii)の手法を同時に用いることにより、ウレタン(ウレア)樹脂の化学架橋密度を理想的に制御することを可能とした。
つまり、本発明で用いるモノアミノポリオール(c)は、イソシアネート基に対して反応性が高いアミノ基を一つしか有していないため、イソシアネート末端のウレタンプレポリマー(D)に加えても急激に高分子量化することなく、まずウレタンプレポリマー(D)のイソシアネート末端とモノアミノポリオール(c)のアミノ基との反応が優先して起こる。この反応は非常に迅速に完結し、その後に、未反応のイソシアネート末端と、モノアミノポリオール(c)由来のポリオール末端が反応することによって鎖延長反応が進行する。この時、例えばモノアミノジオールであるジイソプロパノールアミンを例に取ると、ジオール末端の二つのヒドロキシル基の化学的反応性は等価である。しかし、もしいずれか一方のヒドロキシル基がイソシアネート基と反応してウレタン化されると、もう一方のヒドロキシル基はポリマー鎖の立体障害の影響を強く受け、速度論的反応性が低下する。この残された一つのヒドロキシル基よりも、他の分子の未反応のジオール末端のヒドロキシル基は立体障害が遥かに小さく、かつヒドロキシル基の局所濃度が高いために相対的反応性が高いと考えられる。従ってゲル化よりも鎖延長反応が優先して起こることとなり、かつ、主鎖中にヒドロキシル基が残ることとなる。これによって、主鎖中に化学架橋性官能基を有するように構造が制御されたウレタンウレアプレポリマーの調製が可能となる。
【0084】
ウレタンプレポリマーを調製する際のポリオール(a)とポリイソシアネート(b)の混合比率の好ましい範囲について説明する。
ポリオール(a)のモル数に対するポリイソシアネート(b)のモル数の比は1.0より大であるのが好ましい。1.0より大であると、低分子量成分が残留しにくく、接着剤として適用した際にも被着体への糊残りが発生しにくく好ましい。また、ポリオール(a)のヒドロキシル基のモル数に対するポリイソシアネート(b)のモル数の比は1.0以下であるのが好ましい。1.0以下であると、未反応のポリイソシアネート(b)がウレタンプレポリマー中に残留しないので、次工程でモノアミノポリオール(c)を加えた時に低分子量ポリウレアが生成することがなく、濁りのないウレタンウレア樹脂が得られ好ましい。
【0085】
つまり、ポリオール(a)としてジオールをmモル、トリオールをnモル用い、ポリイソシアネート(b)をRbモル用いたとすると次式を満たすことが好ましい。
m+n < Rb ≦ 2m+3n
上記範囲内でRbが小さいほどウレタンウレア樹脂のウレア結合の含有量が低くなり、ポリイソシアネート硬化剤で硬化した接着剤が柔軟になる傾向がある。一方、上記範囲内でRbが大きいほどウレタンウレア樹脂のウレア結合の含有量が高くなり、ポリイソシアネート硬化剤で硬化した接着剤が硬くなる傾向がある。
【0086】
本発明に係わる接着剤は、被着体表面の材質や特性に応じてRbを適宜増減して接着剤層の柔軟性を調節し、望みの接着性能を発現させることができる。例えば、通常、被着体表面の平滑性が低く粗面であるほど接着剤が柔軟であることが望ましいため、Rbを小さくすればよい。逆に被着体表面の平滑性が高い場合は、通常、Rbを大きくすればよい。
また、ウレタンプレポリマーに、モノアミノポリオール(c)を反応させる際、ウレタンプレポリマーに含まれるイソシアネート基に対するモノアミノポリオール(c)のモル比(R)は、0.5以上であるのが好ましく、1未満であることが好ましく、0.8未満であることがより好ましい。(R)が上限値より小さいと、鎖延長反応がすみやかに進行し、適当な分子量のウレタンウレア樹脂が得られるので好ましく、またモル比(R)が0.5以上であると、ゲル化等による粘度の過激な上昇がなく、粘度が適度に維持されるので好ましい。
【0087】
本発明の効果を著しく損なわない限り、必要に応じて任意の鎖延長剤や末端停止剤、イオン性官能基を有する反応性化合物等の化合物を、モノアミノポリオール(c)と同時に、又は前後して加えてもよい。
更に、ウレタンウレア樹脂を調製する際に、必要に応じて触媒(d)を使用してもよい。触媒(d)としては、公知のウレタン化反応触媒を特に限定することなく用いることができる。
【0088】
ウレタン化反応触媒としては、例えば、三級アミン系化合物、有機金属化合物が挙げられる。
三級アミン系化合物としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリフェニルアミン、N,N'−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルフォリン、N−メチルピペリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)、ウロトロピン、N,N,N'N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン等が挙げられ、これらは単独で用いても併用してもよく、また酸などによりブロックされていてもよい。
【0089】
有機金属化合物としては、錫系化合物、非錫系化合物を挙げることができる。
錫系化合物としては、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジブチル錫ビス(アセチルアセトネート)、ジブチル錫サルファイド、ジオクチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジブロマイド、ジオクチル錫オキサイド、ジオクチル錫ジマレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ビス(アセチルアセトネート)、ジオクチル錫サルファイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫ブロマイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリブチル錫トリクロロアセテート、トリブチル錫トリフレート、トリブチル錫サルファイド、トリオクチル錫クロライド、トリオクチル錫ブロマイド、トリオクチル錫オキサイド、トリオクチル錫アセテート、トリオクチル錫トリクロロアセテート、トリオクチル錫トリフレート、トリオクチル錫サルファイド、錫ジクロライド、錫ジブロマイド、2−エチルヘキサン酸錫、錫オクトエート、錫トリフレート、錫アセチルアセトネート、錫ヘキサフルオロアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0090】
非錫系化合物としては、例えばアルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムトリ−sec−ブトキシド、ジイソプロポキシアルミニウムアセチルアセトネート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、エチルアセトアセトキシアルミニウムビスアセチルアセトネート、アセチルアセトナトアルミニウムビス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウム系化合物、テトライソプロポキシチタン、ジイソプロポキシチタンジクロライド、ジイソプロポキシチタンビスアセチルアセトネート、ジクロロチタンビスアセチルアセトネート、テトラブトキシチタン、ジブトキシチタンジクロライド、ジブトキシチタンビスアセチルアセトネート等のチタン系化合物、2−エチルヘキサン酸鉛、オレイン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛、鉛ビスアセチルアセトネートなどの鉛系化合物、ナフテン酸鉄等の鉄系化合物、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸コバルト等のコバルト系化合物、ナフテン酸鉛等の亜鉛系化合物、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のジルコニウム系化合物、酸化ビスマス等のビスマス系化合物などが挙げられる。
【0091】
本発明に用いられる触媒(d)としては、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジネオデカノエート等の錫系有機金属化合物が好ましい。なかでもジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオペンタノエート、ジオクチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジネオデカノエート等のジオクチル錫化合物が安全性がより高く特に好ましい。
【0092】
これらの化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよく、また必要に応じて、一度に添加されても、数度に分けて添加されてもよい。
触媒(d)の好ましい配合量は、用いる材料によって変動するが、一般的には、ウレタンウレア樹脂100質量部に対し、触媒(d)の割合が0.005質量部以上であるのが好ましい。より好ましくは0.01質量部以上である。ただし1質量部以下であるのが好ましい。より好ましくは0.5質量部以下である。下限値より高いほどウレタン化反応の反応速度が高く、接着剤組成物塗布後の硬化時間を短くでき生産性が高まる傾向がある。一方、上限値より低いほど反応が緩やかに進むため反応の制御がしやすく望みの化学構造や分子量が得やすい傾向があり、またポリイソシアネート硬化剤配合後のポットライフが長くなり歩留まりが向上する利点がある。
【0093】
本発明の接着剤は、溶剤を含有していてもよい。該溶剤は、接着剤を調製する際の溶剤、例えば、ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)との反応時、又はウレタンプレポリマーとモノアミノポリオール(c)との反応時に用いた溶剤であっても、かかる反応が終了した後、別途添加した溶剤であってもよい。本発明に使用可溶な溶剤としては、公知のものを使用できる。例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;トルエン、キシレン、メシチレン、ピリジン、アニソール等の芳香族類;及びジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、メトキシエトキシエタン、ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;が挙げられる。ウレタンウレア樹脂の溶解性、溶剤の沸点等の点から、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、ジメトキシエタンが好ましい。これらは単独で用いても、任意の比率で混合して用いてもよい。
【0094】
本発明の接着剤には、必要に応じて他の樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、アセタール樹脂等を併用することもできる。
また、用途に応じて、ロジン、ロジンエステルのような粘着付与剤、スメクタイト、カオリン、タルク、マイカ、スメクタイト、バーミキュライト、パイロフィライト、炭酸カルシウム、酸化チタン等の充填剤、可塑剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、光安定剤、難燃剤、加水分解防止剤等の添加剤を配合してもよい。
【0095】
これらの添加剤は、接着剤調製時に添加されていてもよく、また調製後に添加されてもよい。更に、ポリイソシアネート硬化剤を配合する際に添加されてもよい。更に、これらの添加剤が、反応性官能基又は/及び極性官能基を有し、ウレタン系樹脂又は/及びポリイソシアネート硬化剤と化学的又は/及び物理的に結合されてもよい。
更に、後述するポリイソシアネート硬化剤混合後のポットライフ延長剤として、触媒(d)のブロック剤(e)を含んでいてもよい。ブロック剤(e)の好ましい配合量は、用いる材料によって変動するが、一般的には、触媒(d)のモル数の10倍以上が好ましく、また1000倍以下が好ましい。更に好ましくは50倍以上であり、また500倍以下である。ブロック剤(e)として作用する物質には、触媒の中心金属と錯体を形成して反応性空軌道を塞ぐキレート化合物や、不可逆的な触媒毒として作用する硫黄系の化合物等がある。中でもブロック作用が可逆的であり、触媒活性の再生が可能であることからキレート化合物が好ましく用いられる。キレート化合物としては、アセチルアセトン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオンのような1,3−ジケトン化合物、アセト酢酸アルキルエステルのような3−ケトエステル化合物、マロン酸ジアルキルのようなマロン酸ジアルキル化合物、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラミンのようなポリアミン化合物、クラウンエーテル類のようなポリエーテル化合物等が挙げられる。中でも、有機溶剤への溶解性や、必要に応じて除去が可能な沸点を有していることから、アセチルアセトンが特に好ましい。
【0096】
本発明の接着剤に硬化剤を混合することにより、硬化可能な接着剤が製造される。
ポリイソシアネート硬化剤としては、公知のポリイソシアネート硬化剤を特に限定することなく用いることができる。ポリイソシアネート(b)として例示した化合物は全てポリイソシアネート硬化剤として使用することができるが、それらの中でも好ましくは、2官能イソシアネートと活性水素化合物を反応させてなるイソシアネート末端の生成物、ウレア化合物、ビュレット化合物、イソシアヌレート化合物、ウレトジオン化合物、カルボジイミド化合物等のプレポリマー化されたポリイソシアネート化合物が用いられる。更に、経時での黄変を防ぐために、脂肪族又は/及び脂環族イソシアネートからなるプレポリマー化されたポリイソシアネート化合物が特に好ましい。
【0097】
ポリイソシアネート硬化剤のイソシアネート官能数は、2以上であれば任意に用いることができる(公称官能数として)。好ましくは2〜6官能であり、特に好ましくは2〜3官能である。
ポリイソシアネート硬化剤のイソシアネート官能数及びイソシアネート基以外の官能基種や官能数は、接着剤の物性を制御する際に有効な組み合わせを任意に採用することができる。
【0098】
平滑な被着体表面に対する接着剤であれば、十分な架橋密度を確保するために、公称イソシアネート官能数が3以上のポリイソシアネート硬化剤を用いることが有効である。一方、表面凹凸を有する被着体に対しては接着剤層の柔軟性が求められるため、公称イソシアネート官能数が2であるポリイソシアネート硬化剤を単独で、又は3官能以上のポリイソシアネート硬化剤と併せて用いることにより、化学架橋密度を下げることが有効である。
【0099】
前述のポリオール(a)とポリイソシアネート(b)のモル比の最適化と、このポリイソシアネート硬化剤の選択とを併用することで、種々の表面粗さを有する被着体に対して最適な接着性能を発現する接着剤を得ることが可能である。
本発明の接着剤は、好ましくはウレタンウレア樹脂とポリイソシアネート硬化剤とを含んでなる。ウレタンウレア樹脂とポリイソシアネート硬化剤との混合比率の好ましい範囲は、用いる材料によって変動するが、ウレタンウレア樹脂の末端ヒドロキシル基に対する、ポリイソシアネート硬化剤のイソシアネート基のモル比が、1.0以上であるのが好ましく、3.0以下であるのが好ましい。前記モル比が1.0以上であると、充分に硬化反応が進行し、低分子量成分の残留や凝集力不足が生じない又は軽減されるので好ましい。また前記モル比が3.0以下であると、塗膜が適度な柔軟性を有し、感圧性接着剤としての性能が充分に発揮され、また過剰のイソシアネート基による経時変化がない又は軽減されるので好ましい。
【0100】
本発明のウレタン系樹脂とイソシアネート硬化剤との反応は、混合後いずれのタイミングであってもよい。例えば、混合直後は反応が進行せず(又は一部のみ進行し)、被着体に塗布された後、乾燥(所望により加熱下での乾燥)時に反応して接着性能を発現してもよい。また、混合のタイミングについても特に制限されず、ウレタン系樹脂とイソシアネート硬化剤の一方を被着体の表面に塗布等した後、他方を別途塗布して、乾燥(所望により加熱下での乾燥)時に、反応を進行させてもよい。また、ウレタン系樹脂及びイソシアネート硬化剤のそれぞれを別々の被着体の表面に塗布等した後、塗布面を貼り合せて、その後、乾燥(所望により加熱下での乾燥)して、反応を進行させてもよい。
【0101】
接着剤へのイオン性化合物の添加は、ウレタン系樹脂とポリイソシアネート硬化剤との反応前、反応中、反応後のいずれのタイミングでもよい。例えば、ウレタン系樹脂とポリイソシアネート硬化剤とを混合した後、イオン性化合物を配合してもよい。また、ウレタン系樹脂とポリイソシアネート硬化剤とを基材の一方に塗布、反応(硬化)させた後、イオン性化合物を表面に塗布しても優れた帯電防止効果が発現する。しかし作業性と帯電防止効果の面で好ましくは、ウレタン系樹脂とイオン性化合物を混合したのち、ポリイソシアネート硬化剤と反応させる。
【0102】
より好ましくは、上述のように3価以上のポリオールを含むポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させてイソシアネート末端を有するウレタンプレポリマーを得た後、該ウレタンプレポリマーをモノアミノポリオール(c)と反応させて、末端にヒドロキシル基を有するウレタンウレア樹脂とした後、20℃で液体であるイオン性化合物を加えることにより接着剤を製造する。
【0103】
本発明の接着剤は、プラスチックフィルム、プラスチックシート、ポリウレタン、紙、ポリウレタン発泡体等である基材に塗工されて用いられる。該塗工物は、テープ、ラベル、シール、化粧用シート、滑り止めシート、両面粘着テープ、保護フィルム等として好適に使用される。また、同種又は異種の基材同士を貼り合わせてなる積層体の粘着剤層としても用いることができる。
【0104】
剥離シートを基材として用いた場合には、塗布・乾燥後にプラスチックフィルなどに転写したり、貼り合わせたりすることもできる。
本発明の接着剤を基材に塗布・乾燥することで作製された積層体は、物品の保護フィルムとして特に好適である。透明なプラスチックフィルムを基材として用いることにより、光線透過率が80%以上の透明性を有し、粘着力の経時変化が小さく、被着体の表面凹凸に対する追従性が良好である保護フィルムとなる。より具体的には、本発明によれば、低速粘着力・高速粘着力の双方において、永久粘着力と初期粘着力との比(永久粘着力/初期粘着力)が3以下であり、且つ表面粗さRaが262mmの被着体に2kgのゴムローラで圧着貼付した際に実質的に気泡が発生しない保護フィルムを提供することができる。なお、具体的な測定法は、後述する実施例に詳細に記載した。なお、本明細書において、「実質的に気泡が発生しない」とは、実施例に記載の凹凸追従性の評価が、「○」又は「◎」であることをいうものとする。
【0105】
本発明におけるプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロン、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等が挙げられる。更にこれらが共押出されたり、予めラミネートされた複合多層フィルムも含まれる。これらのフィルムは延伸、未延伸のどちらでもよい。
【0106】
これらの基材フィルムは、既存の種々の添加剤や安定剤を含んでいてもよい。例えば可塑剤、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、充填剤などである。さらにコロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、オゾン処理などの表面処理が施されていてもよく、また種々のアンカーコート剤、濡れ剤、帯電防止剤などが予め塗布されていてもよい。
前記基材フィルムの厚みは特に制限されるものではないが、実用性を考慮すると3〜200μmの範囲であるのが好ましく、6〜100μmであるのがより好ましい。
【0107】
接着剤の塗布厚みとしては、乾燥時厚みで5μm以上であるのが好ましく、50μm以下であるのがより好ましい。前記厚みが5μm以上であると、感圧性接着剤としての物性を十分に発揮することができるので好ましく、また50μm以下であると、乾燥効率が良好で、生産性が高くなり、また溶剤を効率的に除去できるので、溶剤の残留による性能への悪影響がない又は軽減できるので好ましい。
【0108】
本発明の接着剤を基材上に塗布する際には、公知の塗工法を用いることができる。すなわち、ロールコート、グラビアコート、マイクログラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、コンマコート、ダイコート等であり、これらの塗工方式を用いて、基材の片面あるいは両面に接着剤を塗布する。塗布性の観点から、接着剤の粘度は塗工方式に応じて適宜設定するのが好ましい。接着剤の調製には溶剤を用いてもよく、溶剤としては、ウレタン系樹脂の調製に使用可能な溶剤として例示した溶剤を用いることができる。塗布した後、溶剤等を除去するために必要により乾燥する。乾燥方法は一般的に使用される公知の方法で、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等で特に限定するものではない。乾燥温度は特に制限されないが、好ましくは50〜200℃、より好ましくは60〜180℃、更に好ましくは70〜150℃である。基材として熱可塑性樹脂を使用するため、乾燥温度はその融点以下であることが望ましく、上限以下であると基材の劣化や色調の変化がないまたは軽減できるので好ましい。また下限以上であると乾燥が短時間で行える。
【0109】
また、乾燥後の塗膜は光学的透明性を有していることが好ましい。この光学的に透明であるというのは、一般に、目視で観察してわずかに霞んでいる程度より透明であることを意味しており、特に好ましいのは無色透明である。
本発明の接着剤は剥離時にも帯電が抑えられるので、粘着剤(感圧性接着剤)として使用すると好適である。
【0110】
本発明の積層体は、100V(1分)印加後の接着層表面の固有抵抗値が105〜1011Ωであることが好ましい。より好ましくは、接着層に10kVの電圧を2分間プラズマ放電にて印加したとき、印加停止直後の帯電圧値が2.0kV以下であり、かつ印加停止1分後の帯電圧が0.5kV以下である。
保護フィルムの(剥離)帯電防止性能としては表面固有抵抗値が105〜1010Ω以下であることがより好ましい。また帯電圧値は、印加停止中及び印加停止直後の両方が0.5kV以下であることが更に好ましい。なお一般に、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム製、T100−38)の帯電圧値は印加停止時で2.78kVであり停止後3分たっても帯電圧値は減衰しない。また表面抵抗値は1014Ω以上である。
【0111】
また、帯電圧の減衰も早いことが好ましい。一般に、界面活性剤を帯電防止剤としてもちいた樹脂では帯電圧値はなだらかな減衰曲線を描く。本発明のイオン性化合物を用いた接着剤は、いずれも印加停止後直ち(10秒以内)に帯電圧値は0kVとなり、優れた除電性能を示す。
【実施例】
【0112】
以下、本発明を実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例により限定されるものではない。
[接着剤の調製]
表−1に示す配合で、主剤(E)の溶液とイオン性化合物(A)を混合後、1時間、十分に攪拌した後、硬化剤(F)を添加しさらに1時間、均一になるまで攪拌した。必要に応じて溶剤で希釈し、塗工液の粘度を500〜3000mPa・s(25℃)になるようにして感圧性接着剤を調製した。
【0113】
ただしC−14は、主剤溶液に帯電防止剤X−1を混合したところ相溶せず白濁した。またC−15は、主剤溶液に帯電防止剤X−2を混合したところ直ちに黄色の固形物が析出した。またC−16は、主剤溶液に帯電防止剤X−3を混合したところ溶解しなかった。
【0114】
【表1】

【0115】
なお表中、主剤(E)と硬化剤(F)の質量部は固形分の質量部である。
(1)主剤(E)
E−1: 攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計及び滴下漏斗を備え、摺り合わせ部をテフロン(登録商標)リングでシールした4口のセパラブルフラスコに、ジオールである2官能ポリプロピレングリコール(第一工業製薬株式会社製「ハイルーブD−660」)267.9g、トリオールである3官能ポリプロピレングリコール(第一工業製薬株式会社製「ポリハードナーT−500」)148.8g、ポリイソシアネートであるイソホロンジイシソアネート(デグサジャパン株式会社製)59.5g、トルエン36.2g、触媒としてジオクチルスズジラウレート(日東化成株式会社製「ネオスタンU−810」)0.05mgを仕込み、90℃まで徐々に昇温して2時間反応を行った。イソシアネート価を確認した後に、トルエン400gを加え、60℃まで冷却し、モノアミノポリオールであるジイソプロパノールアミンの50質量%トルエン溶液47.6gを30分かけて滴下し、トルエン40gで滴下漏斗内を洗浄した。次いでネオスタンU−810を200mg追加し、よく攪拌して全体を均一としてから100℃まで昇温し、3時間加熱した。赤外吸収スペクトル(IR)で、2270cm-1付近の吸収極大が消失したことから、イソシアネート基が完全に消費されたことを確認して加熱を終了し、60℃以下になったところでアセチルアセトン3.365gを添加し、よく攪拌し、本発明のウレタンウレア組成物を得た。この溶液は無色透明で、固形分50質量%であった。これを主剤(E−1)とする。
【0116】
主剤(E−1)の合成において、ジオール/トリオールのモル比は75/25であり、ウレタンプレポリマー(D)に含まれるイソシアネート基に対するモノアミノポリオール(c)のモル比(R)は0.667であった。
E−2: ウレタン樹脂系感圧性接着剤(東洋インキ製造製「サイアバインSH101」)。溶剤を除く固形分は60質量%であった。
【0117】
(2)硬化剤(F)
F−1: 脂肪族系多官能イソシアネート(旭化成ケミカル製「デュラネートD−101」)。固形分は100質量%であった。主剤(E−1)の末端ヒドロキシル基に対する硬化剤(F−1)のイソシアネート基のモル比はNCO/OH=1.3であった。
F−2: 脂肪族系多官能イソシアネート(東洋インキ製造製「サイアバインT−501B」)。固形分は75質量%であった。
【0118】
(3)イオン性化合物(A)
A−1: 脂環式アンモニウム系イオン性液体(1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、アルドリッチ製)。20℃で液体であった。
A−2: 脂肪族アンモニウム系イオン性液体(トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、東京化成工業製)。20℃で液体であった。
A−3: ピリジニウム系イオン性液体(広栄化学工業製「IL−P14」)。20℃で液体であった。
【0119】
(4)その他の帯電防止剤
X−1: ポリオキシエチレン系帯電防止剤(花王製、「アミート302」)
X−2: 特殊カルボン酸重合体帯電防止剤(花王製、「ホモゲノールL−1820」)
X−3: 過塩素酸リチウム(アルドリッチ製)。20℃で固体である。
【0120】
[実施例1〜12、比較例1〜4]
感圧性接着剤C−1〜C−16を、基材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製「T100−38」、幅280mm、厚み38μm)上に、アプリケータもしくはバーコータで塗工し、120℃で1分間、セーフベンオーブンにて乾燥し、接着層を片面に有する粘着シートを作成した。この粘着シートの接着層面に離型フィルムであるシリコンセパレータ(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製「MRF−25」、幅270mm、厚み25μm)を貼り合わせ、40℃で3日間養生した。得られた評価サンプルについて後述する評価方法に従って粘着層厚み、光学特性、帯電圧を評価した。結果を表−2に示す。
【0121】
また該接着剤C−1〜C−16を、塗布厚みを変えた以外は同様にPETフィルムに塗工し離型フィルムを貼り合わせ同様にして評価サンプルを得た。このサンプルについて粘着層厚み、表面固有抵抗を評価した。結果を表−2に示す。
ただしC−14を用いた比較例2については、接着剤をPETフィルムに塗布したところ白色の固形物が析出した。また養生後も硬化が完全には進行せず、以後の評価は不可能であった。
【0122】
またC−15を用いた比較例3については、接着剤をPETフィルムに塗布したところフィルム上に黄色の固形物が残った。また続く評価においてもSUS板などへの貼付、剥離後に多くの糊残りが観察され、評価不可能であった。
またC−16を用いた比較例4については、帯電防止剤X−3が溶解せずPETフィルムへの塗工は不可能であった。
【0123】
【表2】

【0124】
<評価方法>
(1)粘着層厚み:デジタル測厚計 (東洋精機製作所製、Thickness Meter B−1)を用いて測定した粘着層塗布後のフィルム厚みから塗布前のフィルム厚みを減じて乾燥後の粘着層厚みを算出した。
(2)光学特性:粘着シートから離型フィルムを剥離し、シートの透明性を目視で確認し、以下の基準に従って評価した。
○:無色透明
△:わずかに霞んでいる
×:白濁している
【0125】
(3)帯電圧:粘着シートから離型フィルムを剥離し、シートを4cm四方に切り取り、温度23℃、湿度50%RHの恒温室内で3日間状態調整後、スタチックオネストメーター(宍戸商会製「TYPE S−5109」)を用いて、同恒温室内で155rpm回転状態で10kVの電圧を2分間印加した後の電圧(帯電圧)を、印加停止時、停止1分後、停止3分後まで測定した。また除電性能を以下の基準で評価した。
◎:印加停止後、10秒以内に帯電圧が0kVになる。
○:印加停止後、10秒〜1分で帯電圧が0kVになる。
△:印加停止後、1分〜3分帯電圧が0kVになる。
×:印加停止後、3分経過しても0kVにならない。
【0126】
(4)表面固有抵抗:粘着シートから離型フィルムを剥離し、10cm四方に切り取り、温度22℃、湿度60%RHの恒温室内で3日間状態調整後、同恒温室内で、粘着剤層に標準ディスク電極(外φ70mm、内φ50mm)を取り付け、絶縁抵抗計(武田理研製「High Megohm Meter TR−8601」)を用いて100Vの電圧を1分間印加した後の表面固有抵抗値を測定した。
【0127】
[実施例13〜24、比較例5]
C−1〜C−13の配合で、実施例1と同様にして接着剤をPETフィルムに塗工し離型フィルムを貼り合わせ評価用サンプルを作製した。
得られたサンプルについて、粘着層厚みは前述の評価方法に従い、その他は以下の評価方法に従って評価した。結果を表−3に示す。
【0128】
【表3】

【0129】
(1)塗工性:接着剤溶液をPETフィルムに塗工した際の塗工面の状態によって、次のように評価した。
◎:弾きがなく、均一な塗布面が形成された。
○:微小な弾きが見られるが、全体的には均一な塗布面が形成された。
×:弾きが強く、均一な塗布面を形成できなかった。
【0130】
(2)粘着力:粘着シートから離型フィルムを剥離し、その粘着面をステンレス板(SUS304)と貼り合わせ、2kgのロールで一往復加重して圧着し、室温で1日後の粘着力(初期粘着力)と1週間後の粘着力(永久粘着力)を、それぞれ剥離試験器で180度ピールを行い測定した。測定条件は23℃、65%RHとし、剥離速度は0.3m/min(低速粘着力)と30m/min(高速粘着力)の2種類とした。
【0131】
(3)速度依存性:(2)で測定した粘着力について、初期粘着力・永久粘着力それぞれにつき(高速粘着力)/(低速粘着力)の比率を算出した。また、その値によって剥離速度依存性を以下のように評価した。
◎:初期粘着力・永久粘着力とも比率が50未満であった。
○:初期粘着力・永久粘着力のいずれか、或いは両方の比率が50〜100であった。
△:初期粘着力・永久粘着力のいずれかの比率が100を超えた。
×:初期粘着力・永久粘着力の両方の比率が100を超えた。
【0132】
(4)経時変化:(2)で測定した粘着力について、低速粘着力・高速粘着力それぞれにつき(永久粘着力)/(初期粘着力)の比率を算出した。また、その値によって経時変化を以下のように評価した。
◎:低速粘着力・高速粘着力とも比率が7未満であった。
○:低速粘着力・高速粘着力のいずれか、或いは両方の比率が7〜20であった。
×:低速粘着力・高速粘着力のいずれか、或いは両方の比率が20を超えた。
【0133】
[実施例25〜30、比較例6]
C−1、C−4、C−7、C−10〜C−13の配合で、実施例1と同様にして接着剤をPETフィルムに塗工し離型フィルムを貼り合わせ評価用サンプルを作製した。
得られたサンプルについて、粘着層厚みと塗工性は前述の評価方法に従い、その他は以下の評価方法に従って評価した。結果を表−4に示す。
【0134】
【表4】

【0135】
(1)粘着力:粘着シートから離型フィルムを剥離し、その粘着面を表面粗さRa値が262nm(小坂研究所製 三次元微細形状測定器 ET−30HK、触針先端R=2μR)であるアクリル板と貼り合わせ、2kgのロールで一往復加重して圧着し、室温で1日後の粘着力(初期粘着力)と1週間後の粘着力(永久粘着力)を、それぞれ剥離試験器で180度ピールを行い測定した。測定条件は23℃、65%RHとし、剥離速度は0.3m/min(低速粘着力)と30m/min(高速粘着力)の2種類とした。
【0136】
(2)速度依存性:(1)で測定した粘着力について、初期粘着力・永久粘着力それぞれにつき(高速粘着力)/(低速粘着力)の比率を算出した。また、その値によって剥離速度依存性を以下のように評価した。
◎:初期粘着力・永久粘着力とも比率が50未満であった。
○:初期粘着力・永久粘着力のいずれか、或いは両方の比率が50〜100であった。
△:初期粘着力・永久粘着力のいずれかの比率が100を超えた。
×:初期粘着力・永久粘着力の両方の比率が100を超えた。
【0137】
(3)経時変化:(1)で測定した粘着力について、低速粘着力・高速粘着力それぞれにつき(永久粘着力)/(初期粘着力)の比率を算出した。また、その値によって経時変化を以下のように評価した。
◎:低速粘着力・高速粘着力とも比率が7未満であった。
○:低速粘着力・高速粘着力のいずれか、或いは両方の比率が7〜20であった。
×:低速粘着力・高速粘着力のいずれか、或いは両方の比率が20を超えた。
【0138】
(4)凹凸追従性:表面粗さRa値が262nm(小坂研究所製 三次元微細形状 測定器「ET−30HK」触針先端R=2μR)であるアクリル板に、粘着フィルムを貼り合わせた際の様子を目視で確認し、以下の様に評価した。
【0139】
◎:粘着剤面が粗面に触れただけで、気泡なく滑らかに貼付された(拡張濡れ)。
○:粘着剤面が触れただけでは十分に濡れないが、ローラーで加重することにより気泡なく貼付できた(圧着濡れ)。
×:ローラーで加重貼付しても気泡が抜け切らない、またはすぐ剥離してしまった。
【0140】
以上、実施例1〜12からも明らかなように、本発明に関わるイオン性化合物を添加したウレタン系接着剤は優れた帯電防止性能を発現し、また光学的にも均一な透明性を有する。特にその除電の早さは従来の界面活性剤系帯電防止剤を添加した接着剤には見られない優れた特性である。
更に、実施例13〜30からも明らかなように、本発明に関わるイオン性化合物を添加したウレタン系接着剤は、塗工性、再剥離性、透明性、均一性に優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン系樹脂と、該ウレタン系樹脂100質量部に対し、20℃で液体であるイオン性化合物0.0001〜100質量部を含有することを特徴とする接着剤。
【請求項2】
前記ウレタン系樹脂が、3価以上のポリオールを含むポリオール(a)及びポリイソシアネート(b)を少なくとも反応させてなるウレタン樹脂を含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
前記ウレタン系樹脂が、3価以上のポリオールを含むポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)、及びモノアミノポリオール(c)を少なくとも反応させてなるウレタンウレア樹脂を含む、請求項1又は2に記載の接着剤。
【請求項4】
感圧性であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着剤。
【請求項5】
更にポリイソシアネート硬化剤を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の接着剤。
【請求項6】
請求項5に記載の接着剤を硬化させてなる、接着剤硬化物。
【請求項7】
基材と、該基材上に請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着剤又は請求項6に記載の接着剤硬化物からなる接着層を有してなる積層体。
【請求項8】
接着層表面の固有抵抗が105Ω以上1011Ω以下である請求項7に記載の積層体。
【請求項9】
接着層に対し10kVの電圧を2分間印加したとき、印加停止直後の帯電圧が2.0kV以下で、かつ印加停止1分後の帯電圧が0.5kV以下である、請求項7又は8に記載の積層体。
【請求項10】
保護フィルムとして使用される、請求項7〜9のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項11】
3価以上のポリオールを含むポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させてイソシアネート末端を有するウレタンプレポリマーを得た後、該ウレタンプレポリマーをモノアミノポリオール(c)と反応させて、末端にヒドロキシル基を有するウレタンウレア樹脂とした後、20℃で液体であるイオン性化合物を加えることを特徴とする、接着剤の製造方法。

【公開番号】特開2007−238766(P2007−238766A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63171(P2006−63171)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】