説明

接着剤糸状体のランダムパターンを分配するためのマルチプレートノズル及び方法

【課題】液体接着剤糸状体を分配するためのエアアシストノズルを改良する。
【解決手段】第1の空気シムプレート及び第2の空気シムプレートはそれぞれ、空気スロットの各対を有する。各空気スロットは、プロセス空気入口及びプロセス空気出口を有し、各対の空気スロットは、各対でプロセス空気入口がプロセス空気出口よりも大きく離れているように互いに向かって収束する。接着剤シムプレートは、液体出口をそれぞれが有する複数の液体スロットを含む。4つのプロセス空気出口が、液体出口のそれぞれに関連付けられる。プロセス空気スロットは、加圧プロセス空気を受け入れるようになっており、液体スロットは、加圧液体接着剤を受け入れるようになっている。加圧プロセス空気は、4つのプロセス空気出口の各群から放出し、関連する液体出口から放出する液体接着剤の糸状体をランダムパターンで移動させるための乱流帯域を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の詳細な説明]
本発明は、包括的には、粘性液体の糸状体(フィラメント)を所望のパターンで押し出して移動させるためのエアアシストノズル及びシステムに関し、より詳細には、ホットメルト接着剤糸状体のエアアシスト分配に関する。
【背景技術】
【0002】
[背景]
ホットメルト接着剤等の粘性液体材料のパターンを移動支持体上に塗布するため、過去において様々な分配システムが使用されてきた。使い捨てのおむつ、失禁パッド及びその類似品の生産において、例えばホットメルト接着剤分配システムが、不織繊維層と薄いポリエチレンバックシートとの間にホットメルト熱可塑性接着剤の貼り合わせ(laminating)又は接着層を塗布するために開発された。ホットメルト接着剤分配システムは一般的に可動ポリエチレンバックシート層の上方に取り付けられ、均一なパターンのホットメルト接着材料をバックシート支持体の上面の幅にわたって塗布する。分配システムの下流で、不織層が圧力ニップによってポリエチレン層に貼り合わせられ、続いて最終的に使用できる製品にさらに処理される。
【0003】
様々な既知のホットメルト接着剤分配システムにおいて、接着剤の連続的な糸状体が複数の接着剤出口ダイから、各接着剤出口の周辺の隣りに様々な構成で配向された複数のプロセス空気ジェットで放出される。複数の空気ジェットは、放出した接着剤糸状体すなわちファイバがダイ孔から出るとき、空気を糸状体の向きに対してほぼ接線方向に放出する。このプロセス空気は概して、各接着剤糸状体を細く、糸状体が移動支持体の上面に付着する前に重複又は非重複パターンで往復移動させることができる。
【0004】
おむつ製品の製造業者等は、不織とポリエチレンのシートとの貼り合わせにおけるホットメルト接着剤の接着層のための細径ファイバ技術に関心を持っている。このため、ホットメルト接着剤分配システムには、ダイの細長い押し出し成形スロットのいずれかの側に形成された、一対の或る角度に折れ曲がった空気チャンネルを用いたスロットノズルダイが組み込まれている。ホットメルト接着剤が押し出し成形スロットから連続シートすなわちカーテンのように放出されるとき、加圧プロセス空気が空気チャンネルから一対のカーテンのように放出され、接着剤カーテンに衝突し、接着剤カーテンを細めてファイバに分解して、支持体上に接着剤の均一な繊維状ウェブを形成する。繊維状ウェブ接着剤ディスペンサは接着剤の断続制御と空気流を取り入れて、明確なカットオン縁部及びカットオフ縁部並びに明確な側縁を有する繊維状接着剤層の不連続パターンを形成する。
【0005】
メルトブロー技術も、この分野で比較的小径のファイバを有するホットメルト接着剤接着層を生産するために使用されるようになってきた。メルトブローダイには一般的に一連の狭い間隔の接着剤ノズルすなわち孔があり、これらはダイヘッドを横切る共通軸に整合する。一対の或る角度に折れ曲がった空気チャンネル又は個々の空気通路及び孔が接着剤ノズルすなわち孔の両側に配置され、ノズル共通軸と平行に整列している。ホットメルト接着剤が整列したノズルすなわち孔から放出されると、加圧プロセス空気は空気チャンネルすなわち孔から放出され、接着剤ファイバすなわち糸状体が移動支持体に塗布される前にこれらを細径化する。
【0006】
メルトブロー技術は移動支持体に繊維状接着剤層を生成するように使用されているが、様々な分野で改良の必要がある。当業者が理解するように、メルトブロー技術は一般的に大容量の高速空気を使用し、放出した接着剤糸状体を降下させ細径化する。高速空気によりファイバを支持体の動き、すなわち機械方向にほぼ並ぶ一平面内で振動させる。支持体に均一な層を形成するように隣りの接着剤のパターンを十分に融合するために、メルトブローディスペンサのノズル間を狭くすることが必要である。さらに、空気の容積及び速度は隣りのファイバを十分に攪拌して融合するのに十分な大きさでなければならない。
【0007】
しかし、従来のメルトブローディスペンサに使用される空気の容積が大きいときに全般的な作業コストが増加し、放出するファイバのパターンを制御する能力が低下する。高速空気による副産物の1つは、所望の付着パターンからファイバが吹き払われる「フライ」である。この「フライ」は、パターンの所望の縁部の外側に付着するか又は分配装置に付着することさえあり得ることで、かなりの保守が必要な作業問題を生じさせ得る。高速空気及び狭い間隔のノズルによる他の副産物は、隣りの接着剤ファイバがもつれてバックシート支持体に接着剤の小滴を形成する「ショット」である。「ショット」は壊れやすいポリエチレンバックシートの加熱ひずみの原因となり得るので望ましくない。
【0008】
移動支持体の幅全体に並んだ形に一般的なメルトブローダイが配置されると、支持体上の一定したファイバのパターンがより少なくなることを、当業者はさらに理解されたい。これは、各メルトブローダイのいずれかの側に連続した空気のシートが形成され、これらの空気のシートが隣り合うメルトブローダイ間に遮られることにより生じる。
【0009】
他のエアアシストノズル又はダイは、熱可塑性材料の糸状体を押し出すために、ノズル又はダイボディに取り付けられた毛管型の管を使用する。管の隣りに空気通路が設けられ、管の端部は空気通路の出口に対して外方に突出する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
接着剤糸状体の列をエアアシスト様式で押し出すための、様々な形態の貼り合わせプレート技術が知られている。これらは、液体の糸状体と放出された糸状体を所望のパターンで細径化して移動させるためのプロセス空気又はパターン空気とを放出するためのスロット付きプレートを有する構成の、分配ノズル又はダイを含む。これらのノズル又はダイは、それらの性能、設計の複雑性、及びアセンブリを完成させるのに必要な多数のプレートに関する様々な問題を呈する。したがって、この技術分野は依然として改良が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[発明の概要]
図示される実施の形態では、本発明は、液体接着剤糸状体のランダムパターンを分配するためのノズルを提供する。当該ノズルは、第1の空気シムプレート及び第2の空気シムプレート、接着剤シムプレート、並びに第1の分離シムプレート及び第2の分離シムプレートとを含む。第1の空気シムプレート及び第2の空気シムプレートはそれぞれ、空気スロットの各対を有する。各空気スロットは、プロセス空気入口及びプロセス空気出口を有し、各対の空気スロットは各対でプロセス空気入口がプロセス空気出口よりも大きく離れているように互いに向かって収束する。接着剤シムプレートは、液体入口及び液体出口をそれぞれが有する複数の液体スロットを含む。接着剤シムプレートは、液体スロットの1つが第1のプロセス空気シムプレートの一対の空気スロット間のほぼ中心に延び、且つ第2のプロセス空気シムプレートの一対の空気スロット間のほぼ中心に延びるように、第1のプロセス空気シムプレート及び第2のプロセス空気シムプレート間に配置されこれらと平行である。このように、4つのプロセス空気出口が液体出口のそれぞれと関連付けられる。プロセス空気スロットは、加圧プロセス空気を受け入れるようになっており、液体スロットは、加圧液体接着剤を受け入れるようになっている。加圧プロセス空気は、4つのプロセス空気出口の各群から放出して、関連する液体出口から放出する液体接着剤糸状体をランダムパターンで移動させるための乱流帯域を形成する。ノズルは、互いに固定され、第1のプロセス空気シムプレート及び第2のプロセス空気シムプレートと、接着剤シムプレートと、第1の分離シムプレート及び第2の分離シムプレートとをまとめて挟む第1の端部プレート及び第2の端部プレートをさらに含む。第1の端部プレートは、第1のプロセス空気シムプレート及び第2のプロセス空気シムプレートの空気スロットの対と連通するプロセス空気入口、及び接着剤シムプレートの液体スロットと連通する液体接着剤入口を含む。
【0012】
様々な追加の特徴がノズルの例示的な実施の形態に組み込まれている。例えば、第1のプロセス空気シムプレート及び第2のプロセス空気シムプレートは、第1及び第2の対向端部を有し、プロセス空気スロットの対はそれぞれ、各プロセス空気シムプレートの中心部分からプロセス空気シムプレートの対向端部に向かって徐々に外方に傾く。これは、接着剤糸状体のパターンをノズルの幅に沿って外方に逆方向に広げるのを助ける。接着剤シムプレートは、対向端部も備え、少なくとも接着剤シムプレートの対向端部に最も近い液体スロットはそれぞれ、対向端部に向かって外方に傾く。これは、接着剤糸状体のパターンを逆方向に広げるのを助けることができる。
【0013】
例示的な実施の形態では、第1の端部プレート及び第2の端部プレートは、当該第1の端部プレート及び当該第2の端部プレート間に加圧プロセス空気を向けるためのそれぞれのプロセス空気通路をさらに備える。第1の端部プレートは、ほぼL字形であり、第1のプロセス空気シムプレート及び第2のプロセス空気シムプレート、接着剤シムプレート、並びに第1の分離シムプレート及び第2の分離シムプレートを含む平面にほぼ直交する上面と、第1のプロセス空気シムプレート及び第2のプロセス空気シムプレート、接着剤シムプレート、並びに第1の分離シムプレート及び第2の分離シムプレートを含む平面とほぼ平行な側面とを含む。液体接着剤入口及びプロセス空気入口は、上面に形成される。
【0014】
本発明はさらに、液体糸状体及びプロセス空気が支持体上に糸状体のランダムパターンを形成するように放出される様式を概して対象とする方法を考慮する。
【0015】
本発明の様々な追加の特徴及び利点は、以下の例示的な実施形態の詳細な説明を添付図面とともに読めば当業者にはより容易に明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[例示的な実施形態の詳細な説明]
最初に図1及び図2を参照すると、例示的な一実施形態によるノズル10が示されており、これは概して、第1のプロセス空気シムプレート12及び第2のプロセス空気シムプレート14と、接着剤シムプレート16と、第1の分離シムプレート18及び第2の分離シムプレート20と、第1の端部プレート22及び第2の端部プレート24とを備える。アセンブリ全体は、例えば第1の端部プレート22の穴30、32を通って第2の端部プレート24のねじ穴34、36内に延びる一対のねじファスナ26、28によって、図1に示すようにつなぎ合わせられる。図2にさらに示すように、空気シムプレート12、14、分離シムプレート18、20、及び接着剤シムプレート16のそれぞれの穴40にも、ねじファスナ26、28を通すことができる。第2の端部プレート24は、空気シムプレート12、14、分離シムプレート18、20、及び接着剤シムプレート16のそれぞれの上部スロット44を通って延びる位置決め部材としての役割を果たす突出部42を含む。突出部すなわち位置決め部材42は、続いて第1の端部プレート22の止まり穴50(図3)に受け入れられる。
【0017】
第1の端部プレート22は、ほぼL字形の部材であり、第1のプロセス空気シムプレート12及び第2のプロセス空気シムプレート14、接着剤シムプレート16、並びに第1の分離シムプレート18及び第2の分離シムプレート20を含む平面にほぼ直交する上面60を備える。これら上記のシムプレートを有する平面とほぼ平行な側面62が、ねじファスナ26、28を受け入れる。上面60は、接着剤入口70及び一対のプロセス空気入口72、74を含む。第1の端部プレート22は、米国特許第6,676,038号にさらに図示及び記載されているような分配弁すなわちモジュール(図示せず)にノズル10を固定するために使用され得る互いに逆方向に延びる突出部80、82も有し、上記特許の開示は参照により本明細書に援用される。
【0018】
図2〜図5を参照すると、第1の端部プレート22は、入口72と連通するプロセス空気入口通路90(図4)及び液体入口70と連通する液体接着剤入口通路92(図5)を有する。溝94に位置決めされるシール部材93を用いて、液体入口70をシールすることができる。図4にも示すように、プロセス空気入口通路90は、シムプレートアセンブリ12、14、16、18、20の両側とそれぞれ連通する第1の空気分配通路100及び第2の空気分配通路102と連通する。第1の端部プレート22にある第2の同一の分配通路システム(図示せず)が、第2の空気入口74(図2)と連通して、シムプレートアセンブリ12、14、16、18、20の両側に追加の加圧空気を供給することを理解されたい。上部分配通路100は、シムプレートアセンブリ12、14、16、18、20の整列穴110を通過し、垂直凹部112を通過して(図2及び図4)、最終的に第2の端部プレート24の水平方向に延びるスロット116に入る。別の一連の整列穴120及び別の垂直凹部122が、他方の空気入口74から前述の同一の分配通路システムを通してプロセス空気を受け入れるために設けられる。これに関して、図3に示す分配通路124、126は、空気入口74と連通する。通路124は、図2に示す穴120及びスロット122と整合し、通路126は、図3に示すように凹部132と連通する。水平方向に延びるスロット116は、さらに後述するように、シムプレートアセンブリの片側と連通する。他方の分配通路102は、第1の端部プレートに含まれる下部水平凹部132(図3及び図4)と連通する。この水平凹部132は、第1のプロセス空気シムプレート12にプロセス空気を供給するために、シムプレートアセンブリの右側(図4で見た場合)と連通する。図5に示すように、液体入口通路92は、第1の端部プレート22の液体分配通路140及び上部水平スロット142(図3)と連通する。上部水平スロット142は、さらに後述するように接着剤シムプレート16と連通する。
【0019】
再び図2を参照すると、接着剤シムプレート16は、液体入口152及び液体出口154をそれぞれが有する複数の液体スロット150を有する。接着剤シムプレート16は、液体スロット150の1つが第1のプロセス空気シムプレート12の第1の対の空気スロット160、162間のほぼ中心に延び、且つ第2のプロセス空気シムプレート14の第2の対の空気スロット164、166間のほぼ中心に延びるように、第1のプロセス空気シムプレート12及び第2のプロセス空気シムプレート14間に配置されこれらと平行である。図7で最もよく見えるように、第1の対の空気スロット160、162はそれぞれ、対応する第2の対の空気スロット164、166(図7には図示せず)と直接整合するが、空気スロット160、162の対と164、166の対とは、接着剤シムプレート16及び分離シムプレート18、20によって分離される。したがって、図6に示すように、4つのプロセス空気出口160a、162a、164a、166aが液体出口154のそれぞれに関連付けられる。図2及び図7にさらに示すように、各対でプロセス空気入口160b、162b及び164b、166bが対応するプロセス空気出口160a、162a及び164a、166aよりも大きく離れているように、空気スロット160、162は互いに向かって収束し、空気スロット164、166は互いに向かって収束する。しかし、空気スロット160、162及び164、166の各対はそれぞれ、液体スロット150を含む平面とは異なる平行な平面に含まれるため、スロット160、162、164、166のいずれもそれらに関連する液体スロット150に向かっては収束しない。図7を見ると、液体スロット150のそれぞれに対して1対の収束するプロセス空気スロット160、162が示されており、他方の対は第1の対の後ろに隠れているが、第2のプロセス空気シムプレート14において第1の対と直接整合していることを理解されたい。
【0020】
前述のように、加圧プロセス空気は、両方のプロセス空気シムプレート12、14のスロット160、162及び164、166の各対を通って下方に向けられる。これに関して、水平スロット132は、第1のプロセス空気シムプレート12のスロット160、162の入口160b、162bに加圧空気を伝える。水平スロット116は、第2のプロセス空気シムプレート14のスロット164、166の入口164b、166bに加圧空気を伝える。液体ホットメルト接着剤は、液体入口通路70に入って第1の端部プレート22の分配通路140及び上部水平スロット142に向けられる。第1の端部プレート22の上部水平スロット142は、第1のプロセス空気シムプレート12及び第1の分離シムプレート18の整合穴170、172それぞれと連通し、最終的に液体スロット150の上部入口152に通じる。第2のプロセス空気シムプレート14も、このような穴170を有することで、第1のプロセス空気シムプレート12と第2のプロセス空気シムプレート14との間での完全な互換性を可能にする。図2に示す構成では、第2のプロセス空気シムプレート14の穴170は、未使用のままである。分離シムプレート18、20を利用して、各空気スロット160、162及び164、166を液体スロット150から離してシールする。
【0021】
ノズル10は、弁モジュール(図示せず)への取り付け時に左から右に180度反転すなわち回転させることができるような設計を有する。さらに、液体スロット150及び空気スロット160、162、164、166はそれぞれ、塗布のニーズに応じて、空気シムプレート12、14及び接着剤シムプレート16それぞれの任意の所望の幅又は幅部分(複数可)に沿って形成することができる。追加の空気流の供給は一般的に放出した糸状体に悪影響を及ぼさないため、空気シムプレートには常に、ノズル10に関して示されるように空気スロット160、162、164、166を全体的に分布させることができる。
【0022】
図7にさらに示すように、1)空気スロット160、162の対、2)空気スロット164、166の対(図2)、3)個々の液体スロット150からそれぞれが成る12個の群が、例示的な実施形態で示されている。図7の右側は、収束する空気スロット160、162の各対間の中心にある各中心線180を示す。これらの空気スロット中心線、したがって空気スロット160、162の各対は、プロセス空気シムプレート12の外端部に向かって徐々に傾く。したがって、例えば、水平線に対する各中心線180の角度は、βが90度の最大角度でありβが87.5度の最小角度というように、徐々に小さくなり得る。この例示的な実施形態では、角度は、例えば以下の通りであり得る。
β=90度
β=89.5度
β=89度
β=88.5度
β=88度
β=87.5度
当然ながら、塗布のニーズに応じて他の角度を代わりに選択してもよい。第2のプロセス空気シムプレート14は、同一の方法で構成することができる。
【0023】
図7の左側には、液体スロット150それぞれの中心を通るさらなる中心線200が示されている。この実施形態では、角度αが90度であり得るが、角度αは90度未満、例えば88.3度であってもよい。このように、最も外側すなわち最も端の液体スロット150は、シムプレート16の外縁部に向かって外方に傾く。アセンブリの反対側の縁部の最も外側の液体スロット150も、この特徴を有し得る。同様に、図7の左側にある6対のプロセス空気スロット160、162もそれぞれ、図7の右側にある6対が右寄りに「広がる」すなわち傾くのとちょうど同じように、(対で)外方すなわち左寄りに徐々に広がり得る。ノズル10の左側の空気又は液体スロットの「広がり」すなわち傾きはいずれも左寄りとなり、ノズル10の右側の空気又は液体スロットの「広がり」すなわち傾きはいずれも右寄りとなることを理解されたい。ランダムな接着剤糸状体の全パターン幅が2つの最も外側すなわち最も端の液体スロット出口152間の幅よりも大きくなり、望ましくはノズル10自体の幅と少なくとも同じ大きさの幅を有することができるように、液体スロット150から放出する接着剤糸状体は、概してノズル10の中心点から外方に、すなわち図7で見た場合に左側及び右側に広がる。最も外側の液体スロット150のみがこの構成を有するというよりも、図7に示すように、任意の数の液体スロット150それぞれがノズルの中心点に対して外方に徐々に広がるすなわち傾き得ることを、さらに理解されたい。
【0024】
追加の一変更形態として、2つ以上の接着剤シムプレート16を隣りで並んで積み重なった形式で用いることができる。この形式では、1つの接着剤シムプレートの接着剤スロットが、隣りの接着剤シムプレートの接着剤スロットとそれぞれ連通する。これにより、例えば、各接着剤シムプレートの接着剤スロットが全体的な接着剤出口の一部のみを形成することになる。例えば、各接着剤シムプレートの互いに連通する接着剤スロットの1つ又は複数が異なる形状で形成される場合、得られる接着剤糸状体に望まれる全体的な断面形状を得ることができる。このように、異なるノズルで、又は同じノズルの幅に沿って、様々な異なる接着剤糸状体形状を得ることができる。接着剤糸状体の断面形状は、例えば、「プラス」記号又は「C」字形又は他の幾何学的構成の形態をとることができる。
【0025】
各プロセス空気出口160aから出る放出された加圧空気流は、対160a、160bの関連する出口162aそれぞれから出るプロセス空気流に対して収束して衝突する。同様に、出口164aから出るプロセス空気流はそれぞれ、プロセス空気出口166aから出る流れに衝突する。これが、ノズルの各液体出口154の真下で乱気流帯域を形成し、関連する液体出口154から出る連続した接着剤糸状体180を左右又は前後にランダムな方向に移動させて、例えば図8に示すような不規則で不均一な、すなわちランダムなパターンを形成させる。これに関して、図8は、複数の連続糸状体180のランダムパターンが本明細書で包括的に説明されているようなノズル10に従って構成される1つ又は複数のノズルからの放出後に付着した支持体182を示す。
【0026】
本発明を様々な例示的な実施形態の説明によって示し、これらの実施形態を或る程度詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲をこうした細部に制限すなわち多少なりとも限定することは本出願人の意図ではない。追加の利点及び変更形態は当業者に容易に明らかとなるであろう。本発明の様々な特徴は、使用者のニーズ及び好みに応じて単独で用いても任意の組み合わせで用いてもよい。現在知られているような本発明を実施する好ましい方法とともに、本発明の説明を行った。しかし、本発明自体は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の例示的な実施形態に従って構成されたノズルの組み立て斜視図である。
【図2】図1に示すノズルの分解斜視図である。
【図3】図1に示すノズルの端部プレートの内側の斜視図である。
【図4】図1の線4−4に沿った断面図である。
【図5】図1の線5−5に沿った断面図である。
【図6】図1に示すノズルの底面図である。
【図7】図1及び図4の線7−7にほぼ沿った断面図である。
【図8】本明細書で説明される原理に従って構成されたノズルによって生成されたランダム糸状体パターンの正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体接着剤糸状体のランダムパターンを分配するためのノズルであって、
第1のプロセス空気シムプレート及び第2のプロセス空気シムプレートであって、プロセス空気入口及びプロセス空気出口をそれぞれが有する空気スロットの各対をそれぞれが有し、各対の前記空気スロットは、各対で前記プロセス空気入口が前記プロセス空気出口よりも大きく離れているように互いに向かって収束する、第1のプロセス空気シムプレート及び第2のプロセス空気シムプレートと、
液体入口及び液体出口をそれぞれが有する複数の液体スロットを有する接着剤シムプレートであって、前記液体スロットの1つが前記第1のプロセス空気シムプレートの一対の前記空気スロット間のほぼ中心に延び、且つ前記第2のプロセス空気シムプレートの一対の前記空気スロット間のほぼ中心に延びるように、前記第1のプロセス空気シムプレート及び前記第2のプロセス空気シムプレート間に配置されこれらと平行であることにより、4つのプロセス空気出口を前記液体出口のそれぞれと関連付け、前記プロセス空気スロットは、加圧プロセス空気を受け入れるようになっており、前記液体スロットは、加圧液体接着剤を受け入れるようになっており、前記加圧プロセス空気は、前記4つのプロセス空気出口の各群から放出して、関連する液体出口から放出する液体接着剤糸状体をランダムパターンで移動させるための乱流帯域を形成する、接着剤シムプレートと、
前記第1のプロセス空気シムプレートと前記接着剤シムプレートとの間に配置される第1の分離シムプレートと、
前記第2のプロセス空気シムプレートと前記接着剤シムプレートとの間に配置される第2の分離シムプレートと、
互いに固定され、前記第1のプロセス空気シムプレート及び前記第2のプロセス空気シムプレートと、前記接着剤シムプレートと、前記第1の分離シムプレート及び前記第2の分離シムプレートとをまとめて挟む第1の端部プレート及び第2の端部プレートであって、該第1の端部プレートは、前記第1のプロセス空気シムプレート及び前記第2のプロセス空気シムプレートの前記空気スロットの対と連通するプロセス空気入口、及び前記接着剤シムプレートの前記液体スロットと連通する液体接着剤入口を有する、第1の端部プレート及び第2の端部プレートと
を備える、液体接着剤糸状体のランダムパターンを分配するためのノズル。
【請求項2】
前記第1のプロセス空気シムプレート及び前記第2のプロセス空気シムプレートは、第1及び第2の対向端部を有し、前記プロセス空気スロットの対はそれぞれ、各プロセス空気シムプレートの中心部分から前記プロセス空気シムプレートの前記対向端部に向かって徐々に外方に傾いて、接着剤糸状体のパターンを外方に逆方向に広げるのを助ける、請求項1に記載の液体接着剤糸状体のランダムパターンを分配するためのノズル。
【請求項3】
前記接着剤シムプレートは、対向端部を備え、少なくとも該接着剤シムプレートの該対向端部に最も近い前記液体スロットはそれぞれ、該対向端部に向かって外方に傾く、請求項2に記載の液体接着剤糸状体のランダムパターンを分配するためのノズル。
【請求項4】
前記接着剤シムプレートは、対向端部を有し、少なくとも該接着剤シムプレートの該対向端部に最も近い前記液体スロットはそれぞれ、該対向端部に向かって外方に傾く、請求項1に記載の液体接着剤糸状体のランダムパターンを分配するためのノズル。
【請求項5】
前記第1の端部プレート及び前記第2の端部プレートは、該第1の端部プレート及び該第2の端部プレート間に加圧プロセス空気を向けるためのそれぞれのプロセス空気通路をさらに備える、請求項1に記載の液体接着剤糸状体のランダムパターンを分配するためのノズル。
【請求項6】
前記第1の端部プレートは、ほぼL字形であり、前記第1のプロセス空気シムプレート及び前記第2のプロセス空気シムプレート、前記接着剤シムプレート、並びに前記第1の分離シムプレート及び前記第2の分離シムプレートを含む平面にほぼ直交する上面と、前記第1のプロセス空気シムプレート及び前記第2のプロセス空気シムプレート、前記接着剤シムプレート、並びに前記第1の分離シムプレート及び前記第2の分離シムプレートを含む前記平面とほぼ平行な側面とを有し、前記液体接着剤入口及び前記プロセス空気入口は、前記上面に形成される、請求項1に記載の液体接着剤糸状体のランダムパターンを分配するためのノズル。
【請求項7】
複数の接着剤糸状体を支持体上にランダムパターンで分配する方法であって、
前記支持体を機械方向に移動させること、
接着剤シムプレートの液体スロットと連通する液体出口の列から前記複数の接着剤糸状体を放出すること、
前記接着剤シムプレートの両側に固定される第1の空気シムプレート及び第2の空気シムプレートそれぞれに含まれる複数の第1の対の空気スロット及び第2の対の空気スロットから加圧空気流を放出することであって、前記第1の対及び前記第2の対のそれぞれが、前記液体スロットの関連する1つの両側に位置決めされる、加圧空気流を放出すること、
第1の対の空気スロットそれぞれから、互いに向かって収束するように、且つ前記放出する糸状体とほぼ平行に前記空気流を向けること、
第2の対の空気スロットそれぞれから、互いに向かって収束するように、且つ前記放出する糸状体とほぼ平行に前記空気流を向けること、
前記収束する空気流それぞれで前記液体出口の下に乱気流帯域を形成すること、
前記乱流帯域に前記糸状体のそれぞれを向けて、ランダム方向に前後に移動させること、及び
前記支持体上に前記糸状体を前記機械方向にほぼ沿ったランダムパターンで付着させること
を含む、複数の接着剤糸状体を支持体上にランダムパターンで分配する方法。
【請求項8】
前記空気流を向けることは、
前記第1の空気シムプレートに固定される第1の端部プレートに加圧空気を通すことによって、該加圧空気を第1の対の空気スロットそれぞれに供給すること、及び
前記第1の端部プレート、前記第1の空気シムプレート、前記接着剤シムプレート、前記第2の空気シムプレート、及び該第2の空気シムプレートに固定される第2の端部プレートに前記加圧空気を通すことによって、該加圧空気を第2の対の空気スロットそれぞれに供給すること
をさらに含む、請求項7に記載の複数の接着剤糸状体を支持体上にランダムパターンで分配する方法。
【請求項9】
前記空気流を向けることは、
前記第1の対の空気スロット及び前記第2の対の空気スロットから出る空気流の対それぞれを、液体スロットの列の中心部分から該液体スロットの列の両端部に向かって徐々に傾けることであって、それにより前記放出する糸状体を前記中心部分に対して外方に逆方向に広げる、徐々に傾けることをさらに含む、請求項7に記載の複数の接着剤糸状体を支持体上にランダムパターンで分配する方法。
【請求項10】
前記複数の接着剤糸状体を放出することは、
少なくとも前記列の両端部における2つの前記糸状体を前記中心部分に対して外側方向に放出することをさらに含む、請求項9に記載の複数の接着剤糸状体を支持体上にランダムパターンで分配する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−212919(P2008−212919A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−321711(P2007−321711)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】