説明

接続構造

【課題】実装もしくは配線スペースを確保することができる接続構造を提供する。
【解決手段】リード端子12をコネクタ2の挿入部23に挿入することにより、液晶パネル1と回路基板3とを電気接続してなる接続構造において、挿入部23がリード端子12を回路基板3の第1の面31とは反対側となる第2の面32側に挿通可能に形成され、回路基板3がリード端子12を挿入する貫通部33と、第1の面31側に形成されコネクタ2と電気接続される第1の回路パターン34と、第2の面側32に形成される第2の回路パターン35と、第1,第2の回路パターン34,35どうしを貫通部33の内壁面を通して電気接続する接続パターン36とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶パネルのごときリード端子を有する部材をコネクタを介して回路基板に電気接続する接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の接続構造として、例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。当該特許文献記載の接続構造は、リード端子を有する液晶パネルと、回路パターンを有する回路基板と、この回路基板の液晶パネルが配置される第1の面側に実装されるコネクタとを備えている。当該特許文献では詳細記述はないが、コネクタとしては、リード端子を挿入する挿入部を有するハウジングと、一端がハウジング外に露出すると共に第1の面側で回路パターンに電気接続され、他端がリード端子を挿入部に挿入した際にハウジング内でリード端子と電気接続される接続端子とを備えたものが使用されることがあり、リード端子を挿入部に挿入することにより、液晶パネルと回路基板とを電気接続を達成するようになっている。
【0003】
ところで、この種の導通構造にあっては、回路基板として両面に回路パターンを有する回路基板を用い、回路基板の第1の面側とは反対側となる第2の面側に形成した回路パターンと、回路基板の第1の面側に形成した回路パターンとの両方を経てリード端子に通電を図るタイプのものがあり、この場合、第1の面側の回路パターンと第2の面側の回路パターンとは導電性のスルーホールを通じて電気接続される。
【0004】
また、この種の導通構造にあっては、回路基板にコネクタの挿入部に連通すると共にリード端子を挿入する貫通部を設け、この貫通部を通してリード端子を目視可能に構成することで、リード端子が確実にコネクタに挿入されたか否かを確認できるようにしたものがある。
【特許文献1】特開2005−084622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、導電性スルーホールで接続された両面回路パターンを通じてリード端子との導通を図ると共に貫通部を通じてリード端子を目視可能とする回路基板を用いた場合、回路基板に導電性スルーホールと貫通部とを設けることになるため、高密度実装が望まれる回路基板にあっては、スペースを確保することができなかったり、回路部品の実装レイアウトやアートワークを煩雑にしてしまうといった問題があった。
【0006】
本発明は、この点に鑑みてなされたもので、実装もしくは配線スペースを確保することができる接続構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するため、リード端子を有する部材と、回路パターンを有する回路基板と、この回路基板の前記部材が配置される第1の面側に実装され、前記リード端子を挿入する挿入部を有するハウジングと、一端が前記ハウジング外に露出すると共に前記第1の面側で前記回路パターンに電気接続され、他端が前記リード端子を前記挿入部に挿入した際に前記ハウジング内で前記リード端子と電気接続される接続端子とを備えたコネクタとを備え、前記リード端子を前記挿入部に挿入することにより、前記部材と前記回路基板とを電気接続してなる接続構造において、前記挿入部が前記リード端子を前記回路基板側に貫通可能に形成され、前記回路基板が前記挿入部に連通すると共に前記リード端子を前記第1の面側から挿入する貫通部と、前記第1の面側に形成され前記接続端子の前記一端と電気接続される第1の回路パターンと、前記第1の面とは反対側となる第2の面側に形成される第2の回路パターンと、前記第1の回路パターンと前記第2の回路パターンとを前記貫通部の内壁面を通して電気接続する接続パターンとを有することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記リード端子が前記貫通部を通じて前記第2の面側に突出していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、初期の目的を達成でき、実装もしくは配線スペースを確保することができる接続構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態として、本発明による接続構造を液晶パネルの接続構造に適用したときの断面図である。
【0011】
図1において、本実施形態による液晶パネルの接続構造は、液晶パネル1をコネクタ2を介して回路基板3に電気接続するものである。
【0012】
液晶パネル1は、一対のガラス基板間に液晶分子を封入してなる液晶セル11と、この液晶セル11に作動用電力を供給するリード端子12とを有し、図示しないホルダによって安定的に保持されている。
【0013】
コネクタ2は、回路基板3の液晶パネル1が配置される第1の面(後述)側に実装されており、ハウジング21と接続端子22とを備えている。
【0014】
ハウジング21は、合成樹脂等の絶縁性材料からなり、リード12を挿入する挿入部23と、接続端子22を収容保持する端子収容部24とを有している。
【0015】
挿入部23は、リード端子12を回路基板3側に貫通させることが可能に形成され、また端子収容部24は、その一部が挿入部23と連通している。
【0016】
接続端子22は、一端がハウジング21の外部に露出すると共に前記第1の面側で後述する回路パターンに電気接続され、他端がリード端子12を挿入部23に挿入した際にハウジング21内でリード端子12と接触して電気接続されるように保持されている。
【0017】
回路基板3は、硬質回路基板からなり、液晶パネル1が配置される側となる第1の面31と、この第1の面31とは反対側となる第2の面32と、リード端子12(挿入部23)に対応する箇所に挿入部23と連通するように形成され、リード端子12を挿入して第1の面側31から第2の面32側に貫通させ、第2の面32から突出させる貫通部33と、第1の面31側に形成され接続端子22の前記一端とハンダ付けにより電気接続される第1の回路パターン34と、第2の面32側に形成される第2の回路パターン35と、第1の回路パターン34と第2の回路パターン35とを貫通部33の内壁面を通して電気接続する接続パターン36とを有している。
【0018】
この場合、貫通部33の内壁面に接続パターン36を形成することで、導電性スルーホールTHを形成しており、この導電性スルーホールTHを介して第1,第2の回路パターン34,35を導通接続すると共にリード12を第1の面31側から第2の面32側に貫通させており、従って導電性スルーホールTHは、第1,第2の回路パターン34,35どうしの導通接続とリード端子12の挿入とで二つの機能を担っている。
【0019】
なお導電性スルーホール(貫通部)THにリード12を挿入することで、回路基板3の第2の面32側から目視によりリード端子12がコネクタ2に正規挿入されたか否かを判別することができる。すなわち、導電性スルーホール(貫通部)THにリード12を挿入されていれば、正規挿入状態との判別が可能であり、特に本実施形態では、正規挿入状態で、リード端子12が第2の面32から突出するように構成したことで、判別の容易化を図っている。
【0020】
以上のように本実施形態では、リード端子12を有する液晶パネル(部材)1と、回路パターン34,35を有する回路基板3と、この回路基板3の液晶パネル1が配置される第1の面31側に実装され、リード端子12を挿入する挿入部23を有するハウジング21と、一端がハウジング21外に露出すると共に第1の面31側で回路パターン34に電気接続され、他端がリード端子12を挿入部23に挿入した際にハウジング21内でリード端子12と電気接続される接続端子22とを備えたコネクタ2とを備え、リード端子12を挿入部23に挿入することにより、液晶パネル1と回路基板3とを電気接続してなる接続構造において、挿入部23がリード端子12を回路基板3の第1の面31とは反対側となる第2の面32側に挿通可能に形成され、回路基板3が挿入部23に連通すると共にリード端子12を第1の面31側から挿入する貫通部33と、第1の面31側に形成され接続端子22の前記一端と電気接続される第1の回路パターン34と、第2の面側32に形成される第2の回路パターン35と、第1の回路パターン34と第2の回路パターン35とを貫通部33の内壁面を通して電気接続する接続パターン36とを有することにより、高密度実装が望まれる回路基板にあって、実装または配線スペースを確保することができ、そのぶん、回路部品の実装レイアウトやアートワークの煩雑さを軽減することができる。
【0021】
また本実施形態では、リード端子12が貫通部33を通じて第2の面32側に突出していることにより、リード端子12のコネクタ2への挿入状態を判別する際に、容易に判別でき、作業性を向上させることができる。
【0022】
なお本実施形態では、リード端子12を持つ部材として液晶パネル1を例として説明したが、リード端子12を持つ部材であれば、あらゆる部材を適用でき、例えば液晶パネル1の替わりに他の回路や部品と回路基板3とを電気接続するピンヘッダーを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態として、本発明による接続構造を液晶パネルの接続構造に適用したときの断面図。
【符号の説明】
【0024】
1 液晶パネル
2 コネクタ
3 回路基板
11 液晶セル
12 リード端子
21 ハウジング
22 接続端子
23 挿入部
24 端子収容部
31 第1の面
32 第2の面
33 貫通部
34 第1の回路パターン
35 第2の回路パターン
36 接続パターン
TH 導電性スルーホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード端子を有する部材と、
回路パターンを有する回路基板と、
この回路基板の前記部材が配置される第1の面側に実装され、前記リード端子を挿入する挿入部を有するハウジングと、一端が前記ハウジング外に露出すると共に前記第1の面側で前記回路パターンに電気接続され、他端が前記リード端子を前記挿入部に挿入した際に前記ハウジング内で前記リード端子と電気接続される接続端子とを備えたコネクタとを備え、
前記リード端子を前記挿入部に挿入することにより、前記部材と前記回路基板とを電気接続してなる接続構造において、
前記挿入部が前記リード端子を前記回路基板側に貫通可能に形成され、
前記回路基板が前記挿入部に連通すると共に前記リード端子を前記第1の面側から挿入する貫通部と、前記第1の面側に形成され前記接続端子の前記一端と電気接続される第1の回路パターンと、前記第1の面とは反対側となる第2の面側に形成される第2の回路パターンと、前記第1の回路パターンと前記第2の回路パターンとを前記貫通部の内壁面を通して電気接続する接続パターンとを有することを特徴とする接続構造。
【請求項2】
前記リード端子が前記貫通部を通じて前記第2の面側に突出していることを特徴とする請求項1記載の接続構造。

【図1】
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【公開番号】特開2008−304811(P2008−304811A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153533(P2007−153533)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】