接続端子及び接続治具
【課題】組み立てが簡易で、確実に機能する接続端子及び検査用治具を提供する。
【解決手段】対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子は、小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備え、大径の円筒形状部の一部にばね部が形成され、小径の導電部の先端部の先端面が、大径の円筒形状部の先端面から突出し、さらに、小径の導電部の一部が、大径の円筒形状部のばね部が形成されていない部分であってばね部よりも先端面に近い部分に接合されていて、小径の導電部の先端部の先端面が、対象点に押しあてられてばね部が収縮する際に、ばね部が小径の導電部の軸線を中心に旋回する。
【解決手段】対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子は、小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備え、大径の円筒形状部の一部にばね部が形成され、小径の導電部の先端部の先端面が、大径の円筒形状部の先端面から突出し、さらに、小径の導電部の一部が、大径の円筒形状部のばね部が形成されていない部分であってばね部よりも先端面に近い部分に接合されていて、小径の導電部の先端部の先端面が、対象点に押しあてられてばね部が収縮する際に、ばね部が小径の導電部の軸線を中心に旋回する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に予め設定される対象点と検査装置等とを電気的に接続する接続治具及び接続治具に用いられる絶縁被覆を有する接続端子に関する。なお、本発明の接続端子は、接続対象として検査装置に限定されず、所定二点間を電気的に接続するためにも用いられる。
【背景技術】
【0002】
接続治具は、接続端子(接触子、プローブ、探針、接触ピン等)を備えていて、それらを経由して、対象物に予め設定される対象点に、検査装置等から電流或いは電気信号を供給するとともに、その対象点から電気信号を検出することによって、対象点間の電気的特性を検出して、導通検査やリーク検査の動作試験等をする。
【0003】
その対象物としては、例えば、プリント配線基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用の電極板又は半導体パッケージ用のパッケージ基板やフィルムキャリアなど種々の基板や、半導体ウェハや半導体チップやCSP (chip size package)などの半導体装置(LSI(Large Scale Integration)など)が
該当する。尚、この接続端子は、上記の対象物と装置とを電気的に接続することを目的とすることもでき、更に、インターポーザやコネクタのように電極端と電極端とを接続する接続治具としても採用することができる。
【0004】
例えば、被検査物が基板であり、それに搭載されるものがIC等の半導体回路や抵抗器などの電気・電子部品の場合には、基板に形成された検査対象部が配線や電極になる。その場合には、検査対象部の配線が、それらに電気信号を正確に伝達できることを保証するため、電気・電子部品を実装する前のプリント配線基板、液晶パネルやプラズマディスプレイパネルに配線が形成された回線基板に設けられた検査点間の抵抗値等の電気的特性を測定して、その配線の良否を判断している。
【0005】
接続治具を検査治具として用いる場合には、被検査物の検査対象部の検査点に先端部を接触させてその検査対象部に、測定のための電流を供給したり電圧を測定したりするための複数のプローブが設けられている。
【0006】
本明細書では、上記の対象物を総称して「対象物」と称し、対象物に設定されるとともに接続端子が当接して導通状態となる部位を単に「対象点」と称する。尚、対象点と対象点とで挟まれる部位は「対象点間」として設定されることになる。
【0007】
対象物が、LSIである場合には、LSIに形成される電子回路が対象部となり、この電子回路の表面パッドが夫々対象点となる。この場合には、LSIに形成される電子回路が所望の
電気的特性を有していることを保証するために、対象点間の電気的特性を測定して、この電子回路の良否を判断する。
【0008】
また、対象物が、電気・電子部品を搭載する基板である場合には、基板に形成された配線が対象部となり、この配線の両端が対象点となる。この場合には、対象部となる配線が、それらに電気信号を正確に伝達できることを保証するため、電気・電子部品を実装する前の配線基板に形成された配線上の所定の対象点間の抵抗値やリーク電流等の電気的特性を測定して、その配線の良否を判断する。
【0009】
具体的には、その配線の良否の判定は、各対象点に、電流供給用端子及び/又は電圧測
定用の接続端子の先端を当接させて、その接続端子の電流供給用端子から対象点に測定用電流を供給するとともに対象点に当接させた接続端子の先端間の配線に生じた電圧を測定し、それらの供給電流と測定した電圧とから所定の対象点間における配線の抵抗値を算出することによって行う。
【0010】
例えば、基板検査装置を用いて上記のいずれかの基板の検査を行う場合には、治具移動手段によって基板接続治具の検査用の接続端子(接触子、プローブ、探針、接触ピン等)を被検査基板の対象点まで移動させてそれに当接させて対象物の所定の検査を行い、検査が終了すると、治具移動手段により治具を対象点から待機位置まで移動させる、という制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4031007号
【特許文献2】2004−115838号公報
【特許文献3】2008−25833号公報
【特許文献4】2009−160722号公報
【0012】
特許文献1は、周壁の一部がスプリングとなった筒体内に、直線状の接触子及び案内子からなる接触ピンを備え、接触子と案内子との間に鍔部が設けられていて、鍔部が筒体の下端に連結されているコイルスプリングプローブを開示する。
特許文献2は、線形素材の外周面に金めっき層を形成し、その上にさらにニッケルめっき層を形成した後に、線形素材を引っ張って線形素材の断面積を小さくする等によって、線形素材を除去することによって、ニッケル電鋳パイプを製造する方法を開示する。
【0013】
特許文献3は、SUS線の外周面に絶縁被覆を形成し、それにレーザによりらせん状の溝
を形成してSUS線の外周面を露出させ、そこに絶縁被覆と同じ厚さのニッケル被膜を形成
し、それから、絶縁被覆を除去するとともにSUS線を引きぬいてコイル状スプリング構造
を一部に備えるニッケル電鋳パイプを製造する方法を開示する。
【0014】
特許文献4は、マイクロパイプを別に製造し、そのマイクロパイプの外周面にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜に、例えば現像によりらせん状に感光部分を溶かしてらせんスペースパターンを形成するとともに、そのマイクロパイプを周回するスペースパターンを所定間隔で形成し、それをエッチング処理することによって、スペースパターンで分断された複数のマイクロコイルを同時に形成する方法を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献1のコイルスプリングプローブでは、接触子と案内子との間に鍔部を設けて、それらを筒体に連結する必要があり、部品点数及び組み立て工数が多くなっている。また、筒体のスプリング部が露出しているため、そのスプリング部が、筒体に対し相対的に移動しない検査用治具のプローブガイド部や挿通孔の壁面に接触したりすることがある。
【0016】
また、近年、LSIの形成プロセスが向上し、LSIの微細化が推進され、LSI検査用パッドの狭ピッチ化や多数化が進んだことにより、検査対象の基板の複雑化や微細化がより進み、基板に設定される対象点がより狭く又は小さく形成されるようになったため、接続端子がより細く形成されている。そのため、多数の微細な接続端子をより効率よく製造することが求められている。接続端子には、隣接配置される接続端子同士が接触して短絡することを防止するために、接続端子表面に絶縁被膜を形成することが好ましいが、接続端子が微細になればなるほど、この絶縁被膜を形成することも極めて困難となる。
【0017】
特許文献2及び3には、線形素材やSUS線を除去した段階で、微細なニッケル電鋳パイプやコイル状スプリング構造を一部に備えるニッケル電鋳パイプを製造する方法が開示されている。しかし、その製造されたニッケル電鋳パイプから接続治具に取り付けられる接続端子を製造するためには、さらに、そのパイプを接続端子に適した長さに切断したり、接続治具との係止部を形成したりする等の追加の工程が必要である。
【0018】
また、特許文献4には、特許文献2等により製造されたマイクロパイプを製造した後に、追加の工程によってマイクロコイルを製造する方法が開示されている。そのマイクロコイルから接続治具に取り付けられる接続端子を製造するためには、さらに、特許文献2及び3に関連して上述したような追加の工程が必要である。
【0019】
そこで、本発明は、部品点数の少ないプローブを提供することを目的とする。
【0020】
本発明は、組み立てが簡易なプローブを提供することを目的とする。
【0021】
本発明は、スプリング部が露出せずに確実に機能するプローブを提供することを目的とする。
【0022】
本発明は、簡易な構造でプローブを保持することのできる検査用治具を提供する。
【0023】
本発明は、プローブを固定するための部材の追加を不要とする検査用治具を提供する。
【0024】
本発明は、部品点数を低減して構成を簡素化することのできる検査用治具を提供する。
【0025】
また、本発明は、検査点への押圧力の調整をすることができる検査用治具を提供する。
【0026】
またさらに、本発明は、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、追加の工程を必要とす
ることなく製造される、絶縁被膜を有する接続治具に取り付けられる接続端子及び接続治具を提供することを目的とする。
【0027】
本発明は、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、接続治具に保持されるための係止部
を備える接続端子及び接続治具を提供することを目的とする。
【0028】
また、本発明は、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、追加の工程を必要とすること
なく接続治具に取り付けられる絶縁被膜を有する接続端子の製造方法を提供することを目的とする。
【0029】
さらに、本発明は、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、追加の工程を必要とするこ
となく接続治具に取り付けられる、絶縁被膜を有する接続端子の高い量産性を有する製造方法を提供することを目的とする。
【0030】
さらに、本発明は、対象点との接触特性を高めるために、対象点との当接部を有する円筒形状部を備え、円筒形状部の内側壁面の縁部と外側壁面の縁部との軸線方向に沿った位置が異なる、接続端子及び接続治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
そこで、本発明は、対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子であって、小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備え、前記小径の導電部又は前記大径の円筒形状部の少なくとも一方にばね部が形成され、前記小径の導電部の先端
部の先端面が、前記大径の円筒形状部の先端面から突出し、さらに、前記小径の導電部の先端部が、前記大径の円筒形状部の先端部に接合され、前記ばね部が、サイドエッチングにより形成される側面を有することを特徴とする。
【0032】
その接続端子において、前記小径の導電部の先端部の先端面がエッチングにより形成されていてもよい。
【0033】
また、本発明は、被検査物の対象部の電気的特性を検査するための検査装置用の検査用治具であって、小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備えるプローブであって、前記小径の導電部又は前記大径の円筒形状部の少なくとも一方にばね部が形成され、前記小径の導電部の先端部の先端面が、前記大径の円筒形状部の先端面から突出し、さらに、前記小径の導電部の先端部が、前記大径の円筒形状部の先端部に接合されたプローブと、該プローブの前記小径の導電部又は前記大径の円筒形状部の後端部の後端面に電気的に接続される導線を有する電極部と、前記プローブの前記小径の導電部の前記先端部を前記被検査物の前記対象部の所定の検査点へ案内するためのヘッド部であって、前記プローブの前記大径の円筒形状部の先端面が係止する係止部を備えるヘッド部と、前記プローブの前記小径の導電部又は前記大径の円筒形状部の前記後端部の前記後端面を前記電極部の前記導線に向けて案内するためのベース部とを備え、前記ばね部が、サイドエッチングにより形成される側面を有することを特徴とする。
【0034】
その検査用治具において、前記ばね部が長軸方向のらせん状の壁面を有し、また、該ばね部が、該らせん状の壁面に沿って形成される絶縁層を有し、該絶縁層の端面が、前記ばね部の前記らせん状の壁面の端面に対しオーバーハングするようにしてもよい。
【0035】
その検査用治具において、前記ばね部の外径は30から100μmであってもよい。
【0036】
その検査用治具において、前記円筒形状部がニッケルめっき層から構成されていてもよい。
【0037】
その検査用治具において、前記小径の導電部の先端部の先端面にサイドエッチングが形成されていてもよい。
【0038】
その検査用治具において、前記円筒形状部が、前記ニッケルめっき層の内側に金めっき層を備えてもよい。
【0039】
また、本発明は、被検査物の対象部の電気的特性を検査するための検査装置用の検査用治具に取り付けられるプローブであって、円筒形状部と、該円筒形状部内に配置された1又は2の棒状部とを備え、前記円筒形状部が、一方にある円筒形状の先端部と、他方にある円筒形状の後端部と、前記先端部と前記後端部との間に形成されたばね部とを備え、前記ばね部が、サイドエッチングにより形成される側面を有し、前記棒状部の一方が、前記円筒形状部の前記先端部に接合されるとともに該先端部から突出しており、前記棒状部の他方が存在するときには、該他方が、前記円筒形状部の前記後端部に接合されるとともに該後端部から突出していることを特徴とする。
【0040】
さらに、本発明に係る検査用治具は、被検査物の対象部の電気的特性を検査するための検査装置用の検査用治具であり、小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備えるプローブであって、前記小径の導電部又は前記大径の円筒形状部の少なくとも一方にばね部が形成され、前記小径の導電部の先端部の先端面が、前記大径の円筒形状部の先端面から突出し、さらに、前記小径の導電部の先端部が、前記大径の円筒形状部の先端部に接合されたプローブと、該プローブの前記小径の導電部又は前記大径の円筒
形状部の後端部の後端面に電気的に接続される導線を有する電極部と、前記プローブの前記小径の導電部の前記先端部を前記被検査物の前記対象部の所定の検査点へ案内するためのヘッド部であって、前記プローブの前記大径の円筒形状部の先端面が係止する係止部を備えるヘッド部と、前記プローブの前記小径の導電部又は前記大径の円筒形状部の前記後端部の前記後端面を前記電極部の前記導線に向けて案内するためのベース部とを備え、前記プローブの前記小径の導電部又は前記大径の円筒形状部の前記後端面が、前記電極部の前記導線に向かって移動する距離の大きさによって、前記プローブの前記小径の導電部の前記先端部が前記被検査物の前記対象部の所定の検査点を押圧する力の大きさが決定されることを特徴とする。
【0041】
また、本発明に係る検査用治具は、被検査物の対象部の電気的特性を検査するための検査装置用の検査用治具であり、小径の円筒形状部と大径の円筒形状部とを備えるプローブであって、前記小径の円筒形状部が、円筒形状部の先端部及び後端部と、該先端部と該後端部との間の部分に形成されたばね部とを備え、前記小径の円筒形状部が前記大径の円筒形状部内に挿入され、前記小径の円筒形状部の前記先端部の先端面及び後端部の先端面が、それぞれ、前記大径の円筒形状部の先端面及び後端面から突出し、さらに、前記小径の円筒形状部の先端部が、前記大径の円筒形状部に接合されたプローブと、該プローブの前記小径の円筒形状部の前記後端部の後端面に電気的に接続される導線を有する電極部と、前記プローブの前記小径の円筒形状部の前記先端部を前記被検査物の前記対象部の所定の検査点へ案内するためのヘッド部であって、前記プローブの前記大径の円筒形状部の先端面が係止する係止部を備えるヘッド部と、前記プローブの前記大径の円筒形状部の前記後端部を前記電極部の前記導線に向けて案内するためのベース部とを備え、前記プローブの前記大径の円筒形状部の後端面が、前記電極部の前記導線に向かって移動する距離によって、前記プローブの前記小径の円筒形状部の前記先端部が前記被検査物の前記対象部の所定の検査点を押圧する力の大きさが決定されることを特徴とする。
【0042】
また、本発明に係る検査用治具は、被検査物の対象部の電気的特性を検査するための検査装置用の検査用治具であり、小径の円柱形状部と大径の円筒形状部とを備えるプローブであって、前記大径の円筒形状部が、該円筒形状部の先端部と後端部との間に形成された2つのばね部を備え、該2つのばね部が、互いに旋回方向が逆の螺旋形状に形成されており、前記小径の円柱形状部が前記大径の円筒形状部内に挿入され、前記小径の円柱形状部の先端部の先端面が、前記大径の円筒形状部の前記先端部の先端面から突出し、前記小径の円柱形状部の後端部の後端面と、前記大径の円筒形状部の前記後端部の後端面との間に空間が形成され、さらに、前記小径の円柱形状部の前記先端部が、前記大径の円筒形状部の前記先端部に接合されたプローブと、該プローブの前記大径の円筒形状部の前記後端部の前記後端面に電気的に接続される導線を有する電極部と、前記プローブの前記小径の円柱形状部の前記先端部を前記被検査物の前記対象部の所定の検査点へ案内するためのヘッド部であって、前記プローブの前記大径の円筒形状部の前記先端面が係止する係止部を備えるヘッド部と、前記プローブの前記小径の円柱形状部の前記後端部を前記電極部の前記導線に向けて案内するためのベース部とを備え、前記プローブの前記小径の円柱形状部の前記後端面が、前記電極部の前記導線に向かって移動する距離の大きさによって、前記プローブの前記小径の円柱形状部の前記先端部が前記被検査物の前記対象部の所定の検査点を押圧する力の大きさが決定されることを特徴とする。
【0043】
その検査用治具において、前記ヘッド部に大径部と小径部とからなる貫通孔が形成されており、前記係止部が、前記大径部の貫通孔から前記小径部の貫通孔に移行する面によって構成されるようにしてもよい。
【0044】
その検査用治具において、該検査用治具に組み込む前の前記プローブの前記小径の円筒形状部の前記後端部の後端面から前記大径の円筒形状部の前記小径の円筒形状部の前記先
端部が突出する側の端面までの長さは、前記電極部の前記導線の端面と前記係止部との間の距離よりも大きく、該プローブを該検査用治具に組み込むと前記ばね部に伸長する方向への付勢力が生じるようにしてもよい。
【0045】
また、その検査用治具において、前記プローブの前記大径の円筒形状部の後端面から突出する前記小径の円筒形状部の前記後端部の長さを変えることによって、該大径の円筒形状部内に後退する該小径の円筒形状部の前記先端部の長さを変えることができるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0046】
本発明によると、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、追加の工程を必要とすることなく、絶縁被膜を有する接続治具に取り付けられる接続端子及び接続治具を提供することができる。
【0047】
本発明によると、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、接続治具に取り付けられるための係止部を備える接続端子及び接続治具を提供することができる。
【0048】
また、本発明によると、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、追加の工程を必要とすることなく接続治具に取り付けられる絶縁被膜を有する接続端子を製造することができる。
【0049】
さらに、本発明によると、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、追加の工程を必要とすることなく接続治具に取り付けられる絶縁被膜を有する接続端子を高い量産性で製造することができる。
【0050】
また、本発明の接続端子は、円筒形状の側面が傾斜して形成されることになるので、対象物に接触した場合に、接触安定性に優れるとともに、接続端子の当接部にはんだごみが付着することを防止することができる。
【0051】
さらに、本発明によると、部品点数の少ないプローブを提供することができる。
【0052】
本発明によると、組み立てが簡易なプローブを提供することができる。
【0053】
本発明によると、スプリング部が露出しないプローブを提供することができる。
【0054】
本発明によると、簡易な構造でプローブを固定することができる検査用治具を提供することができる。
【0055】
本発明によると、プローブを固定するための部材の追加が不要な検査用治具を提供することができる。
【0056】
本発明によると、部品点数が少なく構成が簡素な検査用治具を提供することができる。
【0057】
本発明によると、検査点への押圧力の調整をすることができる検査用治具を提供することができる。
【0058】
また、本発明によると、収縮した時のプローブのねじれや曲がりを防ぐことのできる検査治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、検査用のプローブを取り付けた本発明の一実施形態に係る検査用治具の概略の構成を示す一部断面正面図である。
【図2A】図2Aは、図1の検査用治具に用いることのできる一実施形態に係るプローブの概略構成を示す一部断面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aのプローブの構成部材の一部の一例を示す概略構成図である。
【図2C】図2Cは、図2Aのプローブの構成部材の一部の一例を示す概略構成図である。
【図2D】図2Dは、図2Aのプローブの製造方法の一例を説明するための図である。
【図3】図3は、図1の一実施形態に係る検査用治具の一部の構成を簡略化して示す拡大一部断面図である。
【図4】図4は、図3の一実施形態に係る検査用治具の使用状態を説明するための拡大一部断面図である。
【図5A】図5Aは、他の実施形態に係るプローブの概略構成を示す側面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aに示すプローブの中心断面図である。
【図6】図6は、図5A及び図5Bの実施形態に係るプローブを取り付けた検査用治具の一部の構成を簡略化して示す断面図である。
【図7A】図7Aは、本発明に係る接続端子を製造する段階におけるニッケルめっき層形成工程の一実施例を示す断面図である。
【図7B】図7Bは、本発明に係る接続端子を製造する段階における絶縁膜形成工程の一実施例を示す断面図である。
【図7C】図7Cは、本発明に係る接続端子を製造する段階における一部の絶縁膜除去工程の一実施例を示す断面図である。
【図7D】図7Dは、本発明に係る接続端子を製造する段階におけるニッケルめっき層エッチング工程の一実施例を示す断面図である。
【図7E】図7Eは、本発明に係る接続端子を製造する段階における所定の部位の絶縁膜除去工程の一実施例を示す断面図である。
【図7F】図7Fは、本発明に係る接続端子を製造する段階における金めっき層除去工程の一実施例を示す断面図である。
【図7G】図7Gは、本発明に係る接続端子を製造する段階における芯材の引き伸ばし工程の一実施例を示す断面図である。
【図7H】図7Hは、本発明に係る接続端子を製造する段階における芯材の引き抜き工程の一実施例を示す断面図である。
【図8A】図8Aは、本発明の一実施形態に係る接続端子の当接部を示す拡大正面図である。
【図8B】図8Bは、図8Aに示す本発明の一実施形態に係る接続端子の当接部を示す拡大底面図である。
【図9A】図9Aは、本発明の一実施形態に係る接続端子の当接部の一部拡大断面図である。
【図9B】図9Bは、本発明の他の実施形態に係る接続端子の当接部の一部拡大断面図である。
【図10A】10Aは、本発明の他の実施形態に係る接続端子の当接部を示す拡大正面図である。
【図10B】図10Bは、図10Aに示す接続端子の当接部を示す拡大底面図である。
【図11A】図11Aは、図8A及び図8Bに係る接続端子の当接部に対応する当接部の走査電子顕微鏡による拡大写真である。
【図11B】図11Bは、図10A及び図10Bに係る接続端子の当接部に対応する当接部の走査電子顕微鏡による拡大写真である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明の検査用治具及び接続端子は、被検査物が有する検査対象部に、検査装置から電力或いは電気信号を所定検査位置に供給するとともに、検査対象部から電気信号を検出することによって、検査対象部の電気的特性を検出したり、動作試験を行ったりすることを可能にする。
【0061】
被検査物として、例えば、プリント配線基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用の電極板、及び半導体パッケージ用のパッケージ基板やフィルムキャリアなど種々の基板や、半導体ウェハや半導体チップやCSP(Chip size package)などの半導体装置を例示することができる。
【0062】
また、本発明に係る接続端子は、対象物と装置とを電気的に接続することを目的とすることもでき、更に、インターポーザやコネクタのように電極端と電極端とを接続する接続治具としても採用することができる。
【0063】
本明細書では、これらの上記の被検査物を総称して「被検査物」とし、被検査物に形成される検査対象部を「検査対象部」と称する。また、本明細書では、上記の対象物を総称して「対象物」と称し、対象物に設定されるとともに接続端子が当接して導通状態となる部位を単に「対象点」と称する。尚、対象点と対象点とで挟まれる部位は「対象点間」として設定されることになる。
【0064】
以下に、添付図面に基づいて、基板や半導体装置の被検査物の検査対象部の検査用のプローブが取り付けられた検査用治具について説明を行う。
【0065】
なお、各添付図において、各部材の厚さ、長さ、形状、部材同士の間隔等は、理解の容易のために、拡大・縮小・変形・簡略化等を行っている。
【0066】
[検査用治具の概略の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る検査用治具10の概略の構成を示す一部断面正面図である。検査用治具10は、ヘッド部12、ベース部14及び電極部16を備える。ヘッド部12及びベース部14は、樹脂あるいはセラミックス等の絶縁性の板状部材からなる。ヘッド部12及びベース部14は、棒状の支持部材11及びその周囲に環装されたスペーサ11sによって所定の距離だけ離隔されて保持されている。
【0067】
ヘッド部12には複数の貫通孔12hが形成されていて、それに挿入されたプローブ20の先端部22fが所定の位置に案内される。ベース部14には複数の貫通孔14hが形成されていて、それに挿入されたプローブ20の後端部22rが電極部16へ案内される。
【0068】
プローブ20の後端部22rは、電極部16に固定された導線18の端部と接触しており、導線18は図示せぬ検査装置に接続されている。
【0069】
図1においては、図面の簡略化のために、一部のプローブ20のみを示す。
【0070】
また、図1に示すように、被検査物の検査時には、検査用治具10の下方に、検査対象の被検査物30を配置し、検査用治具10を下降させてプローブ20の先端部22feを所定の検査点、例えば、30dnに接触させ、それにより、検査対象部の電気的特性の検査を行う。
【0071】
[プローブの構造]
図2Aから図2Dは、図1の検査用治具に用いることができる一実施形態に係るプローブ20を説明するための概略構成図である。
【0072】
図2Aは、図1の検査用治具に用いることができる一実施形態に係るプローブ20を示す。プローブ20は、大径の円筒形状部24とそれに挿入されている導電性の小径の円筒形状部22(導電部)とから構成されている。
【0073】
小径の円筒形状部22は、円筒形状の先端部22fと、円筒形状の後端部22rと、それらの間に形成されたばね部22sとからなり、ばね部22sは螺旋形状に形成されている。
【0074】
小径の円筒形状部22の先端部22fの先端面22fe近くの部分は、大径の円筒形状部24の先端面24feから突出している。また、小径の円筒形状部22の後端部22rの後端面22re近くの部分は、大径の円筒形状部24の後端面24reから突出している。
【0075】
また、大径の円筒形状部24の先端面24fe近くの位置Pでは、大径の円筒形状部24と小径の円筒形状部22の先端部22fとが、例えば、抵抗溶接、レーザ溶接又はかしめによって接合されていて、互いに固定されている。そのため、大径の円筒形状部24と小径の円筒形状部22の先端部22fとは一体となって移動する。
【0076】
後述するように、検査時に、小径の円筒形状部22の先端面22feが検査点に当接してそれから押されると、小径の円筒形状部22の後端面22reが検査用治具の導線18の端面に押し付けられ、それにより、小径の円筒形状部22の後端部22rが大径の円筒形状部24の中に入り込む。その入り込んだ距離が、ばね部22sの収縮する長さになる。ばねの荷重はばねの変位に比例するため、その収縮の長さが変わることによって、円筒形状部22の先端面22feが検査点を押す力(荷重)の大きさが変わる。
【0077】
そのため、例えば、後端面24reから突出する後端面22re近くの円筒形状部22の長さが長い別の寸法の小径の円筒形状部を用いて、後端面22reが円筒形状部24の中に入り込むまでの距離を大きくすると、先端面22feが検査点に加える荷重の大きさを調整できる範囲を大きくすることができる。
【0078】
詳しくは後述のとおり、小径の円筒形状部22の先端部22fを大径の円筒形状部24に固定したことにより、ばね部22sは、検査前には、後端部22rを導線18の端面に押し付ける予圧を与える付勢部として機能するとともに、検査時には、先端部22fを検査点に適切な弾性力で押しつけて接触抵抗を低減させる押圧部として機能する。
【0079】
なお、接合の位置Pは、後述の図3に示すとおり、大径の円筒形状部24の先端がヘッド部12の貫通孔12hに挿入されたときに、貫通孔12hから外に出た位置にある。そのような位置において接合を行ったのは、接合の際にその部分がやや変形することがあり、その変形が貫通孔12hに影響を与えないようにするためである。
【0080】
図2Bは、プローブ20を構成する小径の円筒形状部22を示す。円筒形状部22として、例えば、外径が、約25から280μmで、内径が15から260μmのニッケルあるいはニッケル合金のチューブを用いることができる。この実施形態では、一例として、外径が、約50μm、内径が約35μm、全長L1が約6mmのニッケルチューブを用いるが、それに限定されるものではない。
【0081】
また、円筒形状の先端部22fの長さL2は約2mmで、ばね部22sの長さL3は約2mmで、後端部22rの長さL4は約2mmである。これらの値は一例であり、それらに限定されるものではない。
【0082】
小径の円筒形状部22は、例えば、次のような製法によって製造することができる。
【0083】
[製法例1]
(1)まず、円筒形状部22の中空部を形成するための芯線(図示せず)を用意する。なお、この芯線は、円筒形状部22の内径を規定する所望の太さ(上記の実施形態では、直径が約35μm)のSUS線を用いる。
(2)次いで、芯線(SUS線)にフォトレジスト被膜を塗布し、この芯線の周面を覆う。そのフォトレジスト被膜の所望の部分を露光・現像・加熱処理して螺旋状のマスクを形成する。例えば、芯線を中心軸の周りに回転及び上下動させながらレーザにより所定の部分を露光して螺旋状のマスクを形成する。円筒形状部22においては、円筒形状の先端部22fと円筒形状の後端部22rとの間の長さL3のばね部22s及び全長L1に分離する端部に対応する位置にマスクを形成する。
(3)次いで、その芯線にニッケルめっきを実施する。このとき、芯線は導電性であるため、フォトレジストマスクが形成されていない箇所にニッケルめっきが付着する。
(4)次いで、フォトレジストマスクを除去して、芯線を引き抜き、全長L1の円筒形状部22を形成する。
【0084】
また、円筒形状部22は、下記の方法でも製造することもできる。
【0085】
[製法例2]
(1)まず、製法例1と同様に、円筒形状部22の中空部を形成するための芯線(図示せず)を用意し、その芯線にニッケルを所望の厚さめっきして、芯線の周面にニッケルめっき層を形成する。
(2)次に、そのニッケルめっき層の表面にフォトレジストを塗布する。そのフォトレジストの所望の部分を露光・現像・加熱処理して螺旋状のマスクを形成する。例えば、芯線を中心軸の周りに回転及び上下動させながら、レーザにより露光して螺旋状のマスクを形成する。円筒形状部22においては、円筒形状の先端部22fと円筒形状の後端部22rとの間の長さL3のばね部22s及び全長L1に分離する端部に対応する位置にマスクを形成する。
(3)次いで、ニッケルめっきをエッチング除去する。このとき、フォトレジストマスクが形成されていない箇所のニッケルめっきが除去される。
(4)次いで、フォトレジストマスクを除去して、芯線を引き抜き、全長L1の円筒形状部22を形成する。
【0086】
上記の製法は例示であり、円筒形状部の製造方法は、それらの製法に限定されるものではない。
【0087】
図2Cは、プローブ20を構成する大径の円筒形状部24を示す。大径の円筒形状部24は、ニッケルあるいはニッケル合金のチューブから作ることができ、その寸法として、例えば、外径が35μmから300μmで、内径が25μmから280μmで、長さL5が3から30mmである。これらの値は一例であり、それらに限定されるものではない。なお、大径の円筒形状部24の周面を必要に応じて絶縁被膜しても良い。
【0088】
図2Dは、プローブ20の製造方法を説明するための概念図である。最初に、例えば上記の製法により製造した小径の円筒形状部22と大径の円筒形状部24とを用意して、大径の円筒形状部24内に小径の円筒形状部22を挿入して、ばね部22sが円筒形状部2
4によって覆われるようにする一方、先端部22f及び後端部22rのそれぞれの一部を円筒形状部24から突出させて露出させる。その際、円筒形状部24から突出させる後端部22rの長さを決める。それにより、ばね部22sがその大きさに応じた変位を行えるようにして、このプローブの円筒形状部22の先端面22feの検査点を押す力(荷重)の大きさを調整し、また、プレート12uからの先端部22fに突出量のばらつきを極力小さくする。
【0089】
次に、大径の円筒形状部24の先端近くの位置Pにおいて、大径の円筒形状部24と小径の円筒形状部22の先端部22fとを接合して、互いに一体として移動するようにする。例えば、抵抗溶接による場合には、図2Dに示すように、対向する一対の電極部40によって大径の円筒形状部24の位置Pを挟み、加圧しながら短時間定電流を流す。それにより、その位置において、大径の円筒形状部24と小径の円筒形状部22の先端部22fとを溶接する。それに代えて、その位置Pに力を加えてかしめて変形させて、それらを結合させてもよい。
【0090】
[検査用治具の概要]
図3は、検査用治具の一部の拡大断面図である。図3に示すように、ヘッド部12の下面には板厚の薄いプレート12uが取り付けられている。ヘッド部12には大径部12h1が形成され、プレート12uには小径部12h2が形成されている。ただし、プレート12uを用いることなく、ヘッド部12自体に大径部12h1と小径部12h2とを一体形成してもよい。
【0091】
大径部12h1には、プローブ20の大径の円筒形状部24の先端部が挿入されていて、その円筒形状部24の先端面24feが、プレート12uの内面(図3に向かうと上方の面)に当接している。それにより、プレート12uは大径の円筒形状部24の先端面24feの係止部を形成する。また、小径部12h2には、プローブ20の小径の円筒形状部22の先端部22fが挿入されている。
【0092】
一方、ベース部14の貫通孔14hには、プローブ20の大径の円筒形状部24の後端部が挿入されているが、図3に示すとおり、その後端面24reは導線18には当接してなく、円筒形状部24の後端部から突出する小径の円筒形状部22の後端部22rの後端面22reが導線18の端面18eと当接している。
【0093】
後端面24reは導線18の端面18eまで移動することができるため、後端面24reから導線18の端面18eまでの距離が、ばね部22sの収縮することのできる長さになる。なお、プレート12uから突出する複数のプローブ20の先端部22fの突出量にばらつきが生じることがあり、そのため、後端面24reの後退する移動距離に相違が生じることがあるが、そのような場合であっても、移動により端面18eに最も近づく後端面24reが、その端面18eに衝突しないように、後端面24reから端面18eまでの距離を設定してもよい。
【0094】
また、図3の状態になるためには、プローブ20を検査用治具10に組み込む前における、大径の円筒形状部24の先端面24feから小径の円筒形状部22の後端部22rの後端面22reまでの自然長が、係止部のプレート12uの内面から導線18の端面18eまでの距離よりも大きくなければならない。
【0095】
その大きさの相違があるため、図3のようにプローブ20を検査用治具10に組み込んだときには、小径の円筒形状部22の後端部22rの後端面22reが、導線18の端面18eから押されることになり、その相違の大きさの分だけ、ばね部22sが縮んで、後端部22rが大径の円筒形状部24内に押し込まれている。
【0096】
図3では、ばね部22sが縮んだ分だけ、そのばね部に伸長する方向への付勢力が生じている。一方、小径の円筒形状部22の先端部22fは、位置Pにおいて大径の円筒形状部24に固定されており、その円筒形状部24の先端面24feはプレート12uの内面に当接している。そのため、そのばね部の付勢力は、検査点にプローブが接触しない場合でも、小径の円筒形状部22の後端部22rの後端面22reを導線18の端面に一定の力で押しつけることのできる予圧として作用する。その結果、その後端面22reと導線18の端面との安定した接触を確保することができる。
【0097】
図4は、図3の検査用治具を用いて被検査物の検査を行うときの状況を説明するための検査用治具の一部の拡大断面図である。
【0098】
基板等の被検査物の検査時には、検査用治具10を下降させてプローブ20の小径の円筒形状部22の先端部22fの先端面22feを被検査物30の配線等の検査対象部上の所定の検査点30d1に当接させ、検査点30d1を押すようにする。そうすると、図4に示すように、プローブ20の小径の円筒形状部22の先端部22fは、ヘッド部12の貫通孔12h内に押し込まれることになる。上記のとおり、小径部の円筒形状部22の先端部22fと大径の円筒形状部24とは位置Pにおいて接合されているため、先端部22fが押し上げられると、それとともに大径の円筒形状部24も押し上げられて、大径の円筒形状部24の先端面24feが係止部のプレート12uの内面から離れる。その結果、小径の円筒形状部22のばね部22sが圧縮されて、ばね部22sに付勢力が生じ、その付勢力によって、先端面22feは検査点30d1に押し付けられることになる。そのため、その先端面22feと検査点30d1とを確実に接触させることができる。
【0099】
また、その際に、小径の円筒形状部22の後端部22rの後端面22reは、既にばね部22sの一定の付勢力で導線18の端面18eに押し付けられているが、小径の円筒形状部22の先端部22fの先端面22feが検査点30d1に押し付けられることによりばね部22sはさらに縮む。図4では、円筒形状部24の後端面24reと導線18の端面18eまでの間に空間があるため、検査点30d1をより大きな約3g程度の力で押してばね部22sをさらに縮ませることによって、後端面24reはさらに端面18eまで接近することができる。それにより、より大きな付勢力で、後端面22reも導線18の端面18eに押しつけられるようになる。
【0100】
このように、後端面24reから導線18の端面18eまでの距離の大きさによって、先端面22feが検査点30d1を押す力と、後端面22reが導線18の端面18eを押す力とを調整することができる。
【0101】
検査が終了して検査用治具10が被検査物から離れると、ばね部22sの付勢力によって、小径の円筒形状部22の先端部22fが、図4において下方に押し戻される。その際、その先端部22fと大径の円筒形状部24とは位置Pにおいて接合されているため、大径の円筒形状部24も同時に押し戻され、円筒形状部24の先端面24feが係止部のプレート12uの内面に当接する。その状態が、図3に示す状態である。
【0102】
[他の実施形態]
上記の実施形態は基板を被検査物として説明をしたが、それに限定されるものではなく、被検査物として半導体装置も含む。
【0103】
上記の実施形態として、小径の円筒形状部22の後端部22rの端面22reは平坦に表したが、複数の先鋭形状の突部を持つようなクラウン形状に形成してもよい。また、小径の円筒形状部22の先端部22fの先端面22feも平坦形状として表したが、複数の
先鋭形状の突起を持つようなクラウン形状でもよい。また、先端面22feを溶融して半球形状に形成してもよく、先端面及び後端面を絞り込んで尖らせてもよい。
【0104】
また、図3及び図4の実施形態では、被検査物30には、プローブ20の小径の円筒形状部22の先端部22fの先端面22feが接しているが、小径の円筒形状部22内に、後述する図5A及び図5Bの導電性の円柱形状部52fのような円柱形状部を挿入して、その円柱形状部の先端部を円筒形状部22から突出させ、さらに、位置Pにおいて、円柱形状部を円筒形状部22に接合するように構成することによって、その円柱形状部の先端部が被検査物30に接するようにしてもよい。
【0105】
図5A及び図5Bは、他の実施形態に係るプローブ50を示す。プローブ50は、大径の円筒形状部54とそれに挿入されている小径の円柱形状部52(導電部)とから構成されている。
【0106】
大径の円筒形状部54は、先端部54fと、後端部54rと、それらの間に形成された2つのばね部54s1,54s2と、それらのばね部を連結する連結部54cとからなる。2つのばね部54s1,54s2はそれぞれ螺旋形状に形成されており、旋回方向が互いに逆になっている。つまり、ばね部54s1が連結部54cから例えば左巻き方向に旋回して後端部54rに到達しているとすると、ばね部54s2は連結部54cから右巻き方向に旋回して先端部54fに到達している。
【0107】
大径の円筒形状部54及びばね部54s1,54s2は、上記の実施例の円筒形状部22及びばね部22sと同様に製造することができる。
【0108】
小径の円柱形状部52の先端部52fは、大径の円筒形状部54の先端部54fから突出している。一方、小径の円柱形状部52の後端部52rは、大径の円筒形状部54の後端部54rの後端面54reの手前の位置に留まっていて、大径の円筒形状部54の後端面54reと小径の円柱形状部52の後端面52reとの間には空間が形成されている。
【0109】
また、大径の円筒形状部54の先端部54fの位置Pでは、その先端部54fと小径の円柱形状部52とが、例えば、抵抗溶接、レーザ溶接又はかしめによって接合されていて、互いに固定されている。そのため、小径の円柱形状部52と大径の円筒形状部54の先端部54fとは一体となって動く。それ以外の部分においては、大径の円筒形状部54と小径の円柱形状部52とは固定されてなく、互いに別々に動くことができる。
【0110】
後述するように、基板等の検査時に、大径の円筒形状部54の後端部54rの後端面54reが検査治具の電極(導線18)に接触した状態で、小径の円柱形状部52の先端部52fの先端面52feが検査点に当接して押しつけられると、押しつけられた力の大きさの分だけ、小径の円柱形状部52が、大径の円筒形状部54の先端部54fとともに後退する。そのため、大径の円筒形状部54の2つのばね部54s1,54s2が収縮するとともに、小径の円柱形状部52が、それらの内側の空間内を後退する。それらのばねの収縮した長さの分だけ、それらのばねは元の長さに戻ろうとする付勢力を発揮する。ばねの荷重はばねの長さの変位に比例するため、その収縮の長さが変わると、2つのばね部54s1,54s2によって円柱形状部52の先端部52fの先端面52feが検査点を押す力(荷重)の大きさが変わる。
【0111】
そのため、大径の円筒形状部54の先端部54fの位置Pにおいてかしめ等を行う際に、小径の円柱形状部52の先端部52fが先端部54fから突出する長さを変えることによって、先端面52feが検査点に加える荷重の大きさを変えることができる。
【0112】
また、2つのばね部54s1,54s2は、プローブ50が検査治具に取り付けられた際に、大径の円筒形状部54の後端部54rの後端面54reを導線18に適切な力で押しつけるための予圧を与える付勢部として機能する。また、小径の円柱形状部52を大径の円筒形状部54の先端部54fに固定したことにより、2つのばね部54s1,54s2は、小径の円柱形状部52の先端面52feを検査点に適切な弾性力で押しつけて接触抵抗を安定させる押圧部としても機能する。
【0113】
なお、接合の位置Pは、図3の実施形態の場合と同様に、図6に示すように、大径の円筒形状部54の先端部54fがヘッド部12−1の大径部の貫通孔12−1h1に挿入されたときに、小径部の貫通孔12−1h2よりも外の位置にある。
【0114】
図6は、図5A及び図5Bに示すプローブ50を取り付けた検査用治具の一部断面図である。図6に示すように、ヘッド部12−1には、大径部の貫通孔12−1h1及び小径部の貫通孔12−1h2が形成されており、ベース部14−1には、一部が拡張した貫通孔14−1hが形成されている。
【0115】
ヘッド部12−1の大径部12−1h1には、プローブ50の大径の円筒形状部54の先端部54fが挿入されていて、その先端面54feが、大径部12−1h1から小径部12−1h2に移る段差の面に当接している。そのように、その段差の面は先端面54feの係止部を形成する。小径部12−1h2には、プローブ50の小径の円筒形状部52の先端部52fが挿入されている。
【0116】
一方、ベース部14−1の貫通孔14−1hには、プローブ50の大径の円筒形状部54の後端部54rと連結部54cの一部とが挿入されていて、後端面54reが導線18の端面18eに当接している。小径の円柱形状部52の後端面52reはその端面18eから離れている。
【0117】
また、検査用治具に組み込む前には、プローブ50の大径の円筒形状部54の先端面54feから後端面54reまでの自然長は、検査治具のヘッド部12−1の大径部12−1h1から小径部12−1h2に移る段差の面(係止部)から導線18の端面18eまでの距離よりも大きい。そのため、図6のようにプローブ50を検査用治具に組み込んだときには、大径の円筒形状部54が係止部と端面18eとから押されるため、2つのばね部54s1,54s2がその大きさの相違分だけ収縮することになる。その収縮により、それらのばね部は元の長さに戻ろうとする付勢力を発揮する。
【0118】
その検査用治具を用いて被検査物の検査を行う時には、検査用治具を下降させてプローブ50の小径の先端部52feを被検査物30の配線等の検査対象部上の所定の検査点30d1に当接させて所定の大きさの力で検査点30d1を押すようにする。そうすると、プローブ50の小径の円柱形状部52の先端部52fは、ヘッド部12−1の貫通孔12−1h2内に押し込まれることになる。その際、上記のとおり、小径部の円柱形状部52と大径の円筒形状部54の先端部54fとは位置Pにおいて接合されているため、先端部52fが押し上げられると、それとともに大径の円筒形状部54の先端部54fも押し上げられて、その先端面54feが係止部から離れる。その結果、大径の円筒形状部54の2つのばね部54s1,54s2が圧縮されるため、それらのばね部には元の長さに戻ろうとする付勢力が生じる。その付勢力によって、先端面52feは検査点30d1に押し付けられることになり、その先端面52feと検査点30d1との安定した接触を確保することができるようになる。
【0119】
2つのばね部54s1,54s2は、上記の通り、旋回方向が逆であるため、押し縮められた際に生じる付勢力は、連結部54cを同一方向に旋回させる方向に作用する。その
ため、それらのばね部は、同一方向に旋回させた2つの螺旋状のばねを連結した場合に比べると、折れ曲がりにくくまた捻じれにくい。
【0120】
なお、図5A、図5B及び図6の実施形態に限定されるものではないが、被検査物30に接する円柱形状部52fの先端面52feの形状は、平坦でもよく、球面形状のように湾曲して突出した形状でもよく、後述する図10Aに示すようないわゆる王冠の実施形態のように小さな突起が突出した形状でもよく、また、円柱形状部の長手方向軸線を斜めに交差する面で切断した形状でもよい。例えば、被検査物30に、それらの形状の円柱形状部の先端部が押しあてられた場合に、ばね部の作用により、円柱形状部が長手方向の軸線を中心に旋回するときには、それらの形状の先端面が被検査物30の表面の酸化膜をひっかいたり削り取ったりすることが可能になる。
【0121】
[接続端子の製造例]
図7Aから図7Hまでは、本発明に係る一実施形態の接続端子を製造するための各工程の一実施例を示す断面図である。なお、全図において、各部材の厚さ、長さ、形状、部材同士の間隔、隙間等は、理解の容易のために、適宜、拡大・縮小・変形・簡略化等をしている。図の説明の際の上下・左右の表現は、その図に向かった状態でのその図面の面に沿った方向を表すものとする。
【0122】
図7Aは、芯材70の外周面上に金めっき層72を形成し、さらにその上にニッケルめっき層74を形成して製造した電鋳管(円筒形状管)の断面図を示す。芯材70としては例えば外径が5μmから300μmの金属線や樹脂線を用いることができる。金属線としては例えばSUS線を用いることができ、樹脂線としてはナイロン樹脂やポリエチレン樹脂等の合成樹脂線を用いることができる。また、金めっき層72の厚さは約0.1μmから1μmであり、ニッケルめっき層74の厚さは、約5μmから50μmである。電鋳管の長さは、搬送作業の容易性等の観点から50cm以下が望ましいが、それに限定されるものではなく、切断することなく連続的に製造してもよい。
【0123】
図7Bは、図7Aに示された電鋳管のニッケルめっき層74の外周面上に絶縁膜76を形成したものを示す。絶縁膜76は後述の所定の溝の形成の際にレジストとしても機能する。その絶縁膜の厚さは約2μmから50μmである。絶縁膜76として、例えば、フッ素コーティング又はシリコーン樹脂材を用いて形成してもよい。
【0124】
次に、図7Cに示すように、絶縁膜76を例えば3mmから30mmの間隔を置いて所定の幅だけ周回して除去して溝78a,78b,78cを形成し、また、それらの溝と溝との間の絶縁膜の一部をらせん状に除去してらせん状の溝79a,79bを形成する。それらの溝を形成した部分には、ニッケルめっき層74が露出する。
【0125】
これらの溝を形成する際には、絶縁膜76にレーザービームを照射して、絶縁膜76を除去する方法を採用することができる。この場合、芯材70を周方向に回転させながら、溝の位置にレーザービームを直接照射し、その照射により絶縁膜76を除去する。なお、この方法で使用するレーザービームの出力は、絶縁膜76のみを除去することができ、且つニッケルめっき層を損傷することがない出力に調整される。
【0126】
次に、図7Dに示すように、絶縁膜76をマスクとして用いて、溝78a,78b,78c,79a,79bに露出したニッケルめっき層74をエッチング除去して金めっき層72を露出させる。その際、ニッケルめっき層74と芯材70との間に金めっき層72が存在するため、エッチングの際にニッケルエッチング液が芯材まで到達することを防止することができる。そのエッチング処理により除去されたニッケルめっき層74の溝78a,78b,78c,79a,79bに露出した端面は、エッチング液による腐食作用を利
用するため、サイドエッチング部が形成されているという特徴を有する(後述する)。
【0127】
また、らせん状の溝79a、79bは、その部分にある絶縁膜76をレーザによって除去した後に、その部分に露出したニッケルめっき層74をエッチングによって除去することによって形成したため、そのらせん状の溝間にある部分(後述するばね部)のニッケルめっき層74の端面にはサイドエッチング部が形成されており、この積層された絶縁膜76が、そのニッケルめっき層74に対してオーバーハングしている状態となる。
【0128】
図7Eでは、レーザービームを照射して、溝78a,78b,78cを形成している絶縁膜76を端面から所定の長さを除去して、ニッケルめっき層74を露出させる。その露出したニッケルめっき層74は、接続治具用の接続端子に形成される際に、検査対象部に接触する先端部又は検査装置に接続される接続治具の電極に接触する後端部として機能する部分になり、接続治具の構造に応じて、それらの必要な長さが定まる。そのため、それらを考慮して絶縁膜76を除去する長さを決定すればよい。
【0129】
次に、超音波洗浄を行って、図7Fに示すように、溝78a,78b,78c,79a,79bに露出した金めっき層72を除去する。
【0130】
次に、図7Gに示すように、芯材70を白抜き矢印で示すように両端を離れる方向に引っ張って断面積が小さくなるように変形する。一端を固定して他端のみを引っ張るようにしてもよい。芯材70が延伸してその断面積が小さくなると、芯材70の外周面を被覆していた金めっき層72がその外周面から剥離して電鋳管の内側に残り、芯材70と金めっき層72との間に空間78が形成される。
【0131】
次に、図7Hに示すように、芯材70を抜き取ると、溝78a,78b,78cによって隣り合う部分が離れて、接続端子71と接続端子73とが、別個のものとして形成されることになる。このように、図7Hに示すように、芯材70を抜き取った段階で、他の追加の工程を必要とすることなく接続端子を完成させることができる。なお、図7Aから図7Hは、簡略化して電鋳管の一部のみを示しているため、図7Hの工程では、2個の接続子のみが製造されたようになっているが、長い電鋳管を使用することによって、多数の接続端子を一度に製造することができる。
【0132】
図7Hに示すように、接続端子71,73は、導電性材料の円筒形状管のニッケルめっき層74を備え、その両端側には、ニッケルめっき層が露出した先端部及び後端部が形成されており、また、先端部と後端部との間には、長軸方向のらせん状の壁面を有するばね部が形成されており、そのらせん状の壁面に沿って絶縁層76が形成されている。
【0133】
本発明の接続端子は、上記の如き寸法の条件下において製造することができるが、特に、外径が30から100μm、内径が20から90μm、絶縁被覆の厚みが2〜15μmに形成される場合において、接続治具に用いられる接続端子として好適に用いることができる。
【0134】
図8Aから図10Bは、接続端子の先端部の当接部の形状に特徴のあるいくつかの実施形態を示す。これらの接続端子も、検査用プローブのみならず、対象物と所定の装置とを電気的に接続する接続治具に、更に、インターポーザやコネクタのように電極端と電極端とを接続する接続治具にも使用することができる。
【0135】
図8Aは、本発明の一実施形態に係る接続端子86の当接部81aを示す拡大正面図である。当接部81aは、対象物の対象点に少なくともその一部が接触して電気的接続を行う部分である。図8Bは、図8Aの接続端子86の底面図である。接続端子86は、対象
物に設けられた対象点と所定の接続点とを電気的に接続するもので、導電性材料のめっき層からなる円筒形状部81を備える。
【0136】
図8Bに示すように、円筒形状部81は、内側壁面と外側壁面とから形成されていて、中央に空間を有する。円筒形状部81の先端部(図8Aにおいて下側の部分)には、外側壁面の縁部82と内側壁面の縁部84とそれらの間を結ぶ面83とを含む当接部81aが形成されている。
【0137】
当接部81aの面83は、例えば、エッチングにより形成することができる。その方法を説明する。例えば、図7Bに示すように、電鋳管のニッケルめっき層74の外周面上に絶縁膜76を形成して円筒形状体を作る。接続端子の長さに応じて、絶縁膜76をマスクとして用いて、レーザービームによって、円筒形状体から、接触子としての必要性に応じて所定の長さの絶縁膜76を除去し、エッチング処理すると、図8Aに示す当接部が露出する。
【0138】
その等方的なエッチングにより、ニッケルめっき層84の端部にサイドエッチング部が形成される。その際、円筒形状体の各端部において、エッチング液が、絶縁膜76から近いニッケルめっき層74の円筒形状体の外側壁面に回り込んでその外側壁面を侵食するため、外側壁面は、内側壁面よりも侵食される。なお、絶縁膜76は必ずしも必要ではないので、絶縁膜を形成しない場合には、レジスト膜を使用してエッチングを行う。
【0139】
円筒形状体の端部にサイドエッチング部が形成された結果、図8Aに現れているように、面83の形状は、平坦ではなく、湾曲したものとなる(湾曲形状面83)。その湾曲の広さや大きさや曲率は、エッチング液の薬液の配合率、濃度、温度等を変更したり、又はエッチングの際の印加電圧の大きさ等の諸条件を変更することによって変えることができる。
【0140】
図9Aは、接続端子96−1の当接部91−1aの一部の断面を示す。当接部91−1aは、外側壁面の縁部92−1と内側壁面の縁部94−1とそれらの間の面93−1とを含む。当接部91−1aは、図8A及び図8Bに示す当接部81aと同様に、湾曲する面93−1を有する。その図に示すように、接続端子96−1の軸線方向(図9Aにおいて、上下方向)に沿って、外側壁面の縁部92−1と内側壁面の縁部94−1とが異なる位置にある。つまり、図9Aにおいて、外側壁面の縁部92−1の位置が、内側壁面の縁部94−1の位置よりも、軸線方向に沿って、上方(接続端子の後端部側)にある。そのため、面93−1は、外側壁面の縁部92−1と内側壁面の縁部94−1とを斜め方向に結ぶように延在し、それにより、内側壁面の縁部94−1は鋭利な先端を形成している。これにより、その鋭利な先端が対象物の対象点に容易に食い込むことができるため、接続端子と対象物との接触特性(接触安定性)が向上する。また、その鋭利な先端部への付着物は、次の当接の際に剥がれ易く、その自浄作用により、接続端子と対象物との接触特性が向上する。
【0141】
また、図9Bは、他の実施形態に係る接続端子96−2の当接部91−2aの一部の断面を示す。当接部91−2aは、外側壁面の縁部92−2と内側壁面の縁部94−2とそれらの間の面93−2とを含む。図9Bに示すように、図9Aの当接部91−1aと同様に、当接部91−2aの内側壁面の縁部94−2は鋭利な先端を有するが、図9Aの当接部91−1aの面93−1と比べて、図9Bの当接部91−2aの面93−2の湾曲面の曲率が小さく、外側壁面の縁部92−2よりも図面の上方(接続端子96−2の後端側)に面93−2の頂点(又は底面)が位置し、凹形状に形成なっている。
【0142】
図11Aは、円筒形状体のニッケルめっき層の端部に、サイドエッチングにより、当接
部を形成した一例を説明するための走査電子顕微鏡による拡大写真である。その写真に示す接続端子の当接部は、外径が約50μm、内径が約40μm、外側壁面の縁部と内側壁面の縁部との軸線方向の距離が約4μmであり、その写真から明らかなように、外側壁面の縁部と内側壁面の縁部との間の面は湾曲している。
【0143】
図9Aと図9Bとにそれぞれ示す内側壁面の縁部94−1,94−2の近く、つまり、先端部に近い面93−1,93−2の傾斜の大きさの相違の概略は、図9Aにおいては、内側壁面から面94−1の接線までの角度は、接線の接点の位置が内側壁面の縁部94−1から外側壁面の縁部92−1まで移動する間に、約20度から80度まで変化するのに対し、図9Bにおいては、内側壁面から面93−2の接線までの角度は、接線の位置が内側壁面の縁部94−2から外側壁面の縁部92−2まで移動する間に、約15度から120度まで変化する。すなわち、図9Aの当接部91−1aの先端部の方が、図9Bの当接部91−2aの先端部よりも鋭利である。
【0144】
図10Aは、図8Aの接続端子86の当接部81aと異なる形状の当接部161aを備える接続端子166の拡大正面図である。図10Bは、図10Aの接続端子166の底面図である。接続端子166は、図8Aの接続端子86と同様に、対象物に設けられた対象点と所定の接続点とを電気的に接続するもので、導電性材料のめっき層からなる円筒形状部61を備える。
【0145】
図10Bに示すように、円筒形状部161は、内側壁面と外側壁面とから形成されていて、中央に空間を有する。円筒形状部161の先端部(図10Aにおいて下側の部分)には、外側壁面の縁部162と内側壁面の縁部164とそれらの間を結ぶ面163とを含む当接部161aが形成されている。
【0146】
ただし、図8Aの面83とは異なり、図10Aに示すように、当接部161aの面163の縁部162,164には、円筒形状部161の円周面に沿って、等間隔に、略U字形状の切欠き部が形成されている。このような切欠き部は、当接部81aの面83同様に、エッチング処理により形成することができる。
【0147】
例えば、図7Bに示すように、電鋳管のニッケルめっき層74の外周面上に絶縁膜76を形成して円筒形状体を作る。接続端子の長さに応じて、レーザービームにより、円筒形状体の各端部の円周に沿って、絶縁膜76を略U字形状に除去してニッケルめっき層74を露出させる。その状態で、残りの絶縁膜76をマスクとして用いて、円筒形状体をエッチング処理する。その際、円筒形状体の各端部において、エッチング液が、絶縁膜76の縁からニッケルめっき層74の円筒形状体の外側壁面に回り込んでその外側壁面を侵食するため、外側壁面は、内側壁面よりも腐食される。その結果、絶縁膜76を略U字形状に除去した位置にあるニッケルめっき層74も略U字形状に侵食される。
【0148】
その結果、図10Aに示すように、当接部161aにおいては、外側壁面の縁部162の最も突出した位置162tと外側壁面の縁部162の最も引っ込んだ位置162bとは、接続端子166の軸線方向に沿って大きく離れており、また、内側壁面の縁部164の最も突出した位置164tと内側壁面の縁部164の最も引っ込んだ位置164bも、接続端子166の軸線方向に沿って大きく離れている。
【0149】
図11Bは、円筒形状体のニッケルめっき層の端部に、サイドエッチングにより、図11Aの形状とは異なる図6Aに示す形状(以下、「クラウン形状」という)の当接部を形成した一例を説明するための走査電子顕微鏡による拡大写真である。その写真に示す接続端子の当接部は、外径が約50μm、内径が約40μm、外側壁面の縁部と内側壁面の縁部との軸線方向の距離が約5μmである。また、外側壁面の縁部の最も突出した位置と外
側壁面の縁部の最も低い位置との距離は約18μmであり、内側壁面の縁部の最も突出した位置と内側壁面の縁部の最も低い位置との距離は約15μmである。その写真から明らかなように、外側壁面の縁部と内側壁面の縁部との間の面は湾曲している。
【0150】
本発明の製造方法で記載される製造方法を用いて製造した接触端子は、その端面(側面)が内側から外側に湾曲に傾斜する。
【0151】
上記の図7Aから図7Hの実施例においては、絶縁膜76を形成し、それを必要に応じて、レジスト膜として使用した。上記の図8Aから図11Bの実施例においては、絶縁膜は必ずしも必要ではないので、エッチングの際には、レジスト膜を使用してもよい。
【0152】
また、上記の図8Aから図11Bの実施例において、円筒形状部81等の当接部81a等は、単一のめっき層からなるように描いているが、その層の内側、つまり、円筒形状部81等の中心軸線側に、面83等の形成や対象物の対象点との接触安定性の観点から、例えば、金めっき層を形成してもよい。ただし、その場合、金めっき層は当接部の先端部の内側壁面の縁部周辺では剥離してしまって存在しないことがある。
【0153】
そのため、円筒形状部81等の当接部81a等が、ニッケルめっき層とその内側の金めっき層とから構成されているように、複数のめっき層によって形成されている場合には、外側壁面の縁部82等は、当接部において、最も外側に形成されているめっき層の外側壁面の縁部を意味し、内側壁面の縁部84等は、内側のめっき層の内側壁面の縁部を意味するが、当接部の先端部において、一部のめっき層が剥がれていて存在しない場合には、存在する内側のめっき層の内側壁面の縁部を意味する。
【0154】
以上、本発明に係る被検査物検査用の検査用治具及びそれに用いることのできるプローブの実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に拘束されるものではなく、当業者が容易になしえる追加、削除、改変等は、本発明に含まれるものであり、また、本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められることを承知されたい。
【符号の説明】
【0155】
10・・・検査用治具
11・・・支持部材
11s・・・スペーサ
12・・・ヘッド部
12h、14h・・・貫通孔
12h1・・・大径部
12h2・・・小径部
14・・・ベース部
16・・・電極部
20・・・プローブ
22・・・小径の円筒形状部
24・・・大径の円筒形状部
22f・・・先端部
22r・・・後端部
22fe,24fe・・・先端面
22re,24re・・・後端面
22s・・・ばね部
70・・・芯材
71,73・・・接続端子
72・・・金めっき層
74・・・ニッケルめっき層
76・・・絶縁膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に予め設定される対象点と検査装置等とを電気的に接続する接続治具及び接続治具に用いられる絶縁被覆を有する接続端子に関する。なお、本発明の接続端子は、接続対象として検査装置に限定されず、所定二点間を電気的に接続するためにも用いられる。
【背景技術】
【0002】
接続治具は、接続端子(接触子、プローブ、探針、接触ピン等)を備えていて、それらを経由して、対象物に予め設定される対象点に、検査装置等から電流或いは電気信号を供給するとともに、その対象点から電気信号を検出することによって、対象点間の電気的特性を検出して、導通検査やリーク検査の動作試験等をする。
【0003】
その対象物としては、例えば、プリント配線基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用の電極板又は半導体パッケージ用のパッケージ基板やフィルムキャリアなど種々の基板や、半導体ウェハや半導体チップやCSP (chip size package)などの半導体装置(LSI(Large Scale Integration)など)が
該当する。尚、この接続端子は、上記の対象物と装置とを電気的に接続することを目的とすることもでき、更に、インターポーザやコネクタのように電極端と電極端とを接続する接続治具としても採用することができる。
【0004】
例えば、被検査物が基板であり、それに搭載されるものがIC等の半導体回路や抵抗器などの電気・電子部品の場合には、基板に形成された検査対象部が配線や電極になる。その場合には、検査対象部の配線が、それらに電気信号を正確に伝達できることを保証するため、電気・電子部品を実装する前のプリント配線基板、液晶パネルやプラズマディスプレイパネルに配線が形成された回線基板に設けられた検査点間の抵抗値等の電気的特性を測定して、その配線の良否を判断している。
【0005】
接続治具を検査治具として用いる場合には、被検査物の検査対象部の検査点に先端部を接触させてその検査対象部に、測定のための電流を供給したり電圧を測定したりするための複数のプローブが設けられている。
【0006】
本明細書では、上記の対象物を総称して「対象物」と称し、対象物に設定されるとともに接続端子が当接して導通状態となる部位を単に「対象点」と称する。尚、対象点と対象点とで挟まれる部位は「対象点間」として設定されることになる。
【0007】
対象物が、LSIである場合には、LSIに形成される電子回路が対象部となり、この電子回路の表面パッドが夫々対象点となる。この場合には、LSIに形成される電子回路が所望の
電気的特性を有していることを保証するために、対象点間の電気的特性を測定して、この電子回路の良否を判断する。
【0008】
また、対象物が、電気・電子部品を搭載する基板である場合には、基板に形成された配線が対象部となり、この配線の両端が対象点となる。この場合には、対象部となる配線が、それらに電気信号を正確に伝達できることを保証するため、電気・電子部品を実装する前の配線基板に形成された配線上の所定の対象点間の抵抗値やリーク電流等の電気的特性を測定して、その配線の良否を判断する。
【0009】
具体的には、その配線の良否の判定は、各対象点に、電流供給用端子及び/又は電圧測
定用の接続端子の先端を当接させて、その接続端子の電流供給用端子から対象点に測定用電流を供給するとともに対象点に当接させた接続端子の先端間の配線に生じた電圧を測定し、それらの供給電流と測定した電圧とから所定の対象点間における配線の抵抗値を算出することによって行う。
【0010】
例えば、基板検査装置を用いて上記のいずれかの基板の検査を行う場合には、治具移動手段によって基板接続治具の検査用の接続端子(接触子、プローブ、探針、接触ピン等)を被検査基板の対象点まで移動させてそれに当接させて対象物の所定の検査を行い、検査が終了すると、治具移動手段により治具を対象点から待機位置まで移動させる、という制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4031007号
【特許文献2】2004−115838号公報
【特許文献3】2008−25833号公報
【特許文献4】2009−160722号公報
【0012】
特許文献1は、周壁の一部がスプリングとなった筒体内に、直線状の接触子及び案内子からなる接触ピンを備え、接触子と案内子との間に鍔部が設けられていて、鍔部が筒体の下端に連結されているコイルスプリングプローブを開示する。
特許文献2は、線形素材の外周面に金めっき層を形成し、その上にさらにニッケルめっき層を形成した後に、線形素材を引っ張って線形素材の断面積を小さくする等によって、線形素材を除去することによって、ニッケル電鋳パイプを製造する方法を開示する。
【0013】
特許文献3は、SUS線の外周面に絶縁被覆を形成し、それにレーザによりらせん状の溝
を形成してSUS線の外周面を露出させ、そこに絶縁被覆と同じ厚さのニッケル被膜を形成
し、それから、絶縁被覆を除去するとともにSUS線を引きぬいてコイル状スプリング構造
を一部に備えるニッケル電鋳パイプを製造する方法を開示する。
【0014】
特許文献4は、マイクロパイプを別に製造し、そのマイクロパイプの外周面にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜に、例えば現像によりらせん状に感光部分を溶かしてらせんスペースパターンを形成するとともに、そのマイクロパイプを周回するスペースパターンを所定間隔で形成し、それをエッチング処理することによって、スペースパターンで分断された複数のマイクロコイルを同時に形成する方法を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献1のコイルスプリングプローブでは、接触子と案内子との間に鍔部を設けて、それらを筒体に連結する必要があり、部品点数及び組み立て工数が多くなっている。また、筒体のスプリング部が露出しているため、そのスプリング部が、筒体に対し相対的に移動しない検査用治具のプローブガイド部や挿通孔の壁面に接触したりすることがある。
【0016】
また、近年、LSIの形成プロセスが向上し、LSIの微細化が推進され、LSI検査用パッドの狭ピッチ化や多数化が進んだことにより、検査対象の基板の複雑化や微細化がより進み、基板に設定される対象点がより狭く又は小さく形成されるようになったため、接続端子がより細く形成されている。そのため、多数の微細な接続端子をより効率よく製造することが求められている。接続端子には、隣接配置される接続端子同士が接触して短絡することを防止するために、接続端子表面に絶縁被膜を形成することが好ましいが、接続端子が微細になればなるほど、この絶縁被膜を形成することも極めて困難となる。
【0017】
特許文献2及び3には、線形素材やSUS線を除去した段階で、微細なニッケル電鋳パイプやコイル状スプリング構造を一部に備えるニッケル電鋳パイプを製造する方法が開示されている。しかし、その製造されたニッケル電鋳パイプから接続治具に取り付けられる接続端子を製造するためには、さらに、そのパイプを接続端子に適した長さに切断したり、接続治具との係止部を形成したりする等の追加の工程が必要である。
【0018】
また、特許文献4には、特許文献2等により製造されたマイクロパイプを製造した後に、追加の工程によってマイクロコイルを製造する方法が開示されている。そのマイクロコイルから接続治具に取り付けられる接続端子を製造するためには、さらに、特許文献2及び3に関連して上述したような追加の工程が必要である。
【0019】
そこで、本発明は、部品点数の少ないプローブを提供することを目的とする。
【0020】
本発明は、組み立てが簡易なプローブを提供することを目的とする。
【0021】
本発明は、スプリング部が露出せずに確実に機能するプローブを提供することを目的とする。
【0022】
本発明は、簡易な構造でプローブを保持することのできる検査用治具を提供する。
【0023】
本発明は、プローブを固定するための部材の追加を不要とする検査用治具を提供する。
【0024】
本発明は、部品点数を低減して構成を簡素化することのできる検査用治具を提供する。
【0025】
また、本発明は、検査点への押圧力の調整をすることができる検査用治具を提供する。
【0026】
またさらに、本発明は、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、追加の工程を必要とす
ることなく製造される、絶縁被膜を有する接続治具に取り付けられる接続端子及び接続治具を提供することを目的とする。
【0027】
本発明は、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、接続治具に保持されるための係止部
を備える接続端子及び接続治具を提供することを目的とする。
【0028】
また、本発明は、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、追加の工程を必要とすること
なく接続治具に取り付けられる絶縁被膜を有する接続端子の製造方法を提供することを目的とする。
【0029】
さらに、本発明は、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、追加の工程を必要とするこ
となく接続治具に取り付けられる、絶縁被膜を有する接続端子の高い量産性を有する製造方法を提供することを目的とする。
【0030】
さらに、本発明は、対象点との接触特性を高めるために、対象点との当接部を有する円筒形状部を備え、円筒形状部の内側壁面の縁部と外側壁面の縁部との軸線方向に沿った位置が異なる、接続端子及び接続治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
そこで、本発明は、対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子であって、小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備え、前記小径の導電部又は前記大径の円筒形状部の少なくとも一方にばね部が形成され、前記小径の導電部の先端
部の先端面が、前記大径の円筒形状部の先端面から突出し、さらに、前記小径の導電部の先端部が、前記大径の円筒形状部の先端部に接合され、前記ばね部が、サイドエッチングにより形成される側面を有することを特徴とする。
【0032】
その接続端子において、前記小径の導電部の先端部の先端面がエッチングにより形成されていてもよい。
【0033】
また、本発明は、被検査物の対象部の電気的特性を検査するための検査装置用の検査用治具であって、小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備えるプローブであって、前記小径の導電部又は前記大径の円筒形状部の少なくとも一方にばね部が形成され、前記小径の導電部の先端部の先端面が、前記大径の円筒形状部の先端面から突出し、さらに、前記小径の導電部の先端部が、前記大径の円筒形状部の先端部に接合されたプローブと、該プローブの前記小径の導電部又は前記大径の円筒形状部の後端部の後端面に電気的に接続される導線を有する電極部と、前記プローブの前記小径の導電部の前記先端部を前記被検査物の前記対象部の所定の検査点へ案内するためのヘッド部であって、前記プローブの前記大径の円筒形状部の先端面が係止する係止部を備えるヘッド部と、前記プローブの前記小径の導電部又は前記大径の円筒形状部の前記後端部の前記後端面を前記電極部の前記導線に向けて案内するためのベース部とを備え、前記ばね部が、サイドエッチングにより形成される側面を有することを特徴とする。
【0034】
その検査用治具において、前記ばね部が長軸方向のらせん状の壁面を有し、また、該ばね部が、該らせん状の壁面に沿って形成される絶縁層を有し、該絶縁層の端面が、前記ばね部の前記らせん状の壁面の端面に対しオーバーハングするようにしてもよい。
【0035】
その検査用治具において、前記ばね部の外径は30から100μmであってもよい。
【0036】
その検査用治具において、前記円筒形状部がニッケルめっき層から構成されていてもよい。
【0037】
その検査用治具において、前記小径の導電部の先端部の先端面にサイドエッチングが形成されていてもよい。
【0038】
その検査用治具において、前記円筒形状部が、前記ニッケルめっき層の内側に金めっき層を備えてもよい。
【0039】
また、本発明は、被検査物の対象部の電気的特性を検査するための検査装置用の検査用治具に取り付けられるプローブであって、円筒形状部と、該円筒形状部内に配置された1又は2の棒状部とを備え、前記円筒形状部が、一方にある円筒形状の先端部と、他方にある円筒形状の後端部と、前記先端部と前記後端部との間に形成されたばね部とを備え、前記ばね部が、サイドエッチングにより形成される側面を有し、前記棒状部の一方が、前記円筒形状部の前記先端部に接合されるとともに該先端部から突出しており、前記棒状部の他方が存在するときには、該他方が、前記円筒形状部の前記後端部に接合されるとともに該後端部から突出していることを特徴とする。
【0040】
さらに、本発明に係る検査用治具は、被検査物の対象部の電気的特性を検査するための検査装置用の検査用治具であり、小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備えるプローブであって、前記小径の導電部又は前記大径の円筒形状部の少なくとも一方にばね部が形成され、前記小径の導電部の先端部の先端面が、前記大径の円筒形状部の先端面から突出し、さらに、前記小径の導電部の先端部が、前記大径の円筒形状部の先端部に接合されたプローブと、該プローブの前記小径の導電部又は前記大径の円筒
形状部の後端部の後端面に電気的に接続される導線を有する電極部と、前記プローブの前記小径の導電部の前記先端部を前記被検査物の前記対象部の所定の検査点へ案内するためのヘッド部であって、前記プローブの前記大径の円筒形状部の先端面が係止する係止部を備えるヘッド部と、前記プローブの前記小径の導電部又は前記大径の円筒形状部の前記後端部の前記後端面を前記電極部の前記導線に向けて案内するためのベース部とを備え、前記プローブの前記小径の導電部又は前記大径の円筒形状部の前記後端面が、前記電極部の前記導線に向かって移動する距離の大きさによって、前記プローブの前記小径の導電部の前記先端部が前記被検査物の前記対象部の所定の検査点を押圧する力の大きさが決定されることを特徴とする。
【0041】
また、本発明に係る検査用治具は、被検査物の対象部の電気的特性を検査するための検査装置用の検査用治具であり、小径の円筒形状部と大径の円筒形状部とを備えるプローブであって、前記小径の円筒形状部が、円筒形状部の先端部及び後端部と、該先端部と該後端部との間の部分に形成されたばね部とを備え、前記小径の円筒形状部が前記大径の円筒形状部内に挿入され、前記小径の円筒形状部の前記先端部の先端面及び後端部の先端面が、それぞれ、前記大径の円筒形状部の先端面及び後端面から突出し、さらに、前記小径の円筒形状部の先端部が、前記大径の円筒形状部に接合されたプローブと、該プローブの前記小径の円筒形状部の前記後端部の後端面に電気的に接続される導線を有する電極部と、前記プローブの前記小径の円筒形状部の前記先端部を前記被検査物の前記対象部の所定の検査点へ案内するためのヘッド部であって、前記プローブの前記大径の円筒形状部の先端面が係止する係止部を備えるヘッド部と、前記プローブの前記大径の円筒形状部の前記後端部を前記電極部の前記導線に向けて案内するためのベース部とを備え、前記プローブの前記大径の円筒形状部の後端面が、前記電極部の前記導線に向かって移動する距離によって、前記プローブの前記小径の円筒形状部の前記先端部が前記被検査物の前記対象部の所定の検査点を押圧する力の大きさが決定されることを特徴とする。
【0042】
また、本発明に係る検査用治具は、被検査物の対象部の電気的特性を検査するための検査装置用の検査用治具であり、小径の円柱形状部と大径の円筒形状部とを備えるプローブであって、前記大径の円筒形状部が、該円筒形状部の先端部と後端部との間に形成された2つのばね部を備え、該2つのばね部が、互いに旋回方向が逆の螺旋形状に形成されており、前記小径の円柱形状部が前記大径の円筒形状部内に挿入され、前記小径の円柱形状部の先端部の先端面が、前記大径の円筒形状部の前記先端部の先端面から突出し、前記小径の円柱形状部の後端部の後端面と、前記大径の円筒形状部の前記後端部の後端面との間に空間が形成され、さらに、前記小径の円柱形状部の前記先端部が、前記大径の円筒形状部の前記先端部に接合されたプローブと、該プローブの前記大径の円筒形状部の前記後端部の前記後端面に電気的に接続される導線を有する電極部と、前記プローブの前記小径の円柱形状部の前記先端部を前記被検査物の前記対象部の所定の検査点へ案内するためのヘッド部であって、前記プローブの前記大径の円筒形状部の前記先端面が係止する係止部を備えるヘッド部と、前記プローブの前記小径の円柱形状部の前記後端部を前記電極部の前記導線に向けて案内するためのベース部とを備え、前記プローブの前記小径の円柱形状部の前記後端面が、前記電極部の前記導線に向かって移動する距離の大きさによって、前記プローブの前記小径の円柱形状部の前記先端部が前記被検査物の前記対象部の所定の検査点を押圧する力の大きさが決定されることを特徴とする。
【0043】
その検査用治具において、前記ヘッド部に大径部と小径部とからなる貫通孔が形成されており、前記係止部が、前記大径部の貫通孔から前記小径部の貫通孔に移行する面によって構成されるようにしてもよい。
【0044】
その検査用治具において、該検査用治具に組み込む前の前記プローブの前記小径の円筒形状部の前記後端部の後端面から前記大径の円筒形状部の前記小径の円筒形状部の前記先
端部が突出する側の端面までの長さは、前記電極部の前記導線の端面と前記係止部との間の距離よりも大きく、該プローブを該検査用治具に組み込むと前記ばね部に伸長する方向への付勢力が生じるようにしてもよい。
【0045】
また、その検査用治具において、前記プローブの前記大径の円筒形状部の後端面から突出する前記小径の円筒形状部の前記後端部の長さを変えることによって、該大径の円筒形状部内に後退する該小径の円筒形状部の前記先端部の長さを変えることができるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0046】
本発明によると、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、追加の工程を必要とすることなく、絶縁被膜を有する接続治具に取り付けられる接続端子及び接続治具を提供することができる。
【0047】
本発明によると、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、接続治具に取り付けられるための係止部を備える接続端子及び接続治具を提供することができる。
【0048】
また、本発明によると、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、追加の工程を必要とすることなく接続治具に取り付けられる絶縁被膜を有する接続端子を製造することができる。
【0049】
さらに、本発明によると、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、追加の工程を必要とすることなく接続治具に取り付けられる絶縁被膜を有する接続端子を高い量産性で製造することができる。
【0050】
また、本発明の接続端子は、円筒形状の側面が傾斜して形成されることになるので、対象物に接触した場合に、接触安定性に優れるとともに、接続端子の当接部にはんだごみが付着することを防止することができる。
【0051】
さらに、本発明によると、部品点数の少ないプローブを提供することができる。
【0052】
本発明によると、組み立てが簡易なプローブを提供することができる。
【0053】
本発明によると、スプリング部が露出しないプローブを提供することができる。
【0054】
本発明によると、簡易な構造でプローブを固定することができる検査用治具を提供することができる。
【0055】
本発明によると、プローブを固定するための部材の追加が不要な検査用治具を提供することができる。
【0056】
本発明によると、部品点数が少なく構成が簡素な検査用治具を提供することができる。
【0057】
本発明によると、検査点への押圧力の調整をすることができる検査用治具を提供することができる。
【0058】
また、本発明によると、収縮した時のプローブのねじれや曲がりを防ぐことのできる検査治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、検査用のプローブを取り付けた本発明の一実施形態に係る検査用治具の概略の構成を示す一部断面正面図である。
【図2A】図2Aは、図1の検査用治具に用いることのできる一実施形態に係るプローブの概略構成を示す一部断面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aのプローブの構成部材の一部の一例を示す概略構成図である。
【図2C】図2Cは、図2Aのプローブの構成部材の一部の一例を示す概略構成図である。
【図2D】図2Dは、図2Aのプローブの製造方法の一例を説明するための図である。
【図3】図3は、図1の一実施形態に係る検査用治具の一部の構成を簡略化して示す拡大一部断面図である。
【図4】図4は、図3の一実施形態に係る検査用治具の使用状態を説明するための拡大一部断面図である。
【図5A】図5Aは、他の実施形態に係るプローブの概略構成を示す側面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aに示すプローブの中心断面図である。
【図6】図6は、図5A及び図5Bの実施形態に係るプローブを取り付けた検査用治具の一部の構成を簡略化して示す断面図である。
【図7A】図7Aは、本発明に係る接続端子を製造する段階におけるニッケルめっき層形成工程の一実施例を示す断面図である。
【図7B】図7Bは、本発明に係る接続端子を製造する段階における絶縁膜形成工程の一実施例を示す断面図である。
【図7C】図7Cは、本発明に係る接続端子を製造する段階における一部の絶縁膜除去工程の一実施例を示す断面図である。
【図7D】図7Dは、本発明に係る接続端子を製造する段階におけるニッケルめっき層エッチング工程の一実施例を示す断面図である。
【図7E】図7Eは、本発明に係る接続端子を製造する段階における所定の部位の絶縁膜除去工程の一実施例を示す断面図である。
【図7F】図7Fは、本発明に係る接続端子を製造する段階における金めっき層除去工程の一実施例を示す断面図である。
【図7G】図7Gは、本発明に係る接続端子を製造する段階における芯材の引き伸ばし工程の一実施例を示す断面図である。
【図7H】図7Hは、本発明に係る接続端子を製造する段階における芯材の引き抜き工程の一実施例を示す断面図である。
【図8A】図8Aは、本発明の一実施形態に係る接続端子の当接部を示す拡大正面図である。
【図8B】図8Bは、図8Aに示す本発明の一実施形態に係る接続端子の当接部を示す拡大底面図である。
【図9A】図9Aは、本発明の一実施形態に係る接続端子の当接部の一部拡大断面図である。
【図9B】図9Bは、本発明の他の実施形態に係る接続端子の当接部の一部拡大断面図である。
【図10A】10Aは、本発明の他の実施形態に係る接続端子の当接部を示す拡大正面図である。
【図10B】図10Bは、図10Aに示す接続端子の当接部を示す拡大底面図である。
【図11A】図11Aは、図8A及び図8Bに係る接続端子の当接部に対応する当接部の走査電子顕微鏡による拡大写真である。
【図11B】図11Bは、図10A及び図10Bに係る接続端子の当接部に対応する当接部の走査電子顕微鏡による拡大写真である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明の検査用治具及び接続端子は、被検査物が有する検査対象部に、検査装置から電力或いは電気信号を所定検査位置に供給するとともに、検査対象部から電気信号を検出することによって、検査対象部の電気的特性を検出したり、動作試験を行ったりすることを可能にする。
【0061】
被検査物として、例えば、プリント配線基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用の電極板、及び半導体パッケージ用のパッケージ基板やフィルムキャリアなど種々の基板や、半導体ウェハや半導体チップやCSP(Chip size package)などの半導体装置を例示することができる。
【0062】
また、本発明に係る接続端子は、対象物と装置とを電気的に接続することを目的とすることもでき、更に、インターポーザやコネクタのように電極端と電極端とを接続する接続治具としても採用することができる。
【0063】
本明細書では、これらの上記の被検査物を総称して「被検査物」とし、被検査物に形成される検査対象部を「検査対象部」と称する。また、本明細書では、上記の対象物を総称して「対象物」と称し、対象物に設定されるとともに接続端子が当接して導通状態となる部位を単に「対象点」と称する。尚、対象点と対象点とで挟まれる部位は「対象点間」として設定されることになる。
【0064】
以下に、添付図面に基づいて、基板や半導体装置の被検査物の検査対象部の検査用のプローブが取り付けられた検査用治具について説明を行う。
【0065】
なお、各添付図において、各部材の厚さ、長さ、形状、部材同士の間隔等は、理解の容易のために、拡大・縮小・変形・簡略化等を行っている。
【0066】
[検査用治具の概略の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る検査用治具10の概略の構成を示す一部断面正面図である。検査用治具10は、ヘッド部12、ベース部14及び電極部16を備える。ヘッド部12及びベース部14は、樹脂あるいはセラミックス等の絶縁性の板状部材からなる。ヘッド部12及びベース部14は、棒状の支持部材11及びその周囲に環装されたスペーサ11sによって所定の距離だけ離隔されて保持されている。
【0067】
ヘッド部12には複数の貫通孔12hが形成されていて、それに挿入されたプローブ20の先端部22fが所定の位置に案内される。ベース部14には複数の貫通孔14hが形成されていて、それに挿入されたプローブ20の後端部22rが電極部16へ案内される。
【0068】
プローブ20の後端部22rは、電極部16に固定された導線18の端部と接触しており、導線18は図示せぬ検査装置に接続されている。
【0069】
図1においては、図面の簡略化のために、一部のプローブ20のみを示す。
【0070】
また、図1に示すように、被検査物の検査時には、検査用治具10の下方に、検査対象の被検査物30を配置し、検査用治具10を下降させてプローブ20の先端部22feを所定の検査点、例えば、30dnに接触させ、それにより、検査対象部の電気的特性の検査を行う。
【0071】
[プローブの構造]
図2Aから図2Dは、図1の検査用治具に用いることができる一実施形態に係るプローブ20を説明するための概略構成図である。
【0072】
図2Aは、図1の検査用治具に用いることができる一実施形態に係るプローブ20を示す。プローブ20は、大径の円筒形状部24とそれに挿入されている導電性の小径の円筒形状部22(導電部)とから構成されている。
【0073】
小径の円筒形状部22は、円筒形状の先端部22fと、円筒形状の後端部22rと、それらの間に形成されたばね部22sとからなり、ばね部22sは螺旋形状に形成されている。
【0074】
小径の円筒形状部22の先端部22fの先端面22fe近くの部分は、大径の円筒形状部24の先端面24feから突出している。また、小径の円筒形状部22の後端部22rの後端面22re近くの部分は、大径の円筒形状部24の後端面24reから突出している。
【0075】
また、大径の円筒形状部24の先端面24fe近くの位置Pでは、大径の円筒形状部24と小径の円筒形状部22の先端部22fとが、例えば、抵抗溶接、レーザ溶接又はかしめによって接合されていて、互いに固定されている。そのため、大径の円筒形状部24と小径の円筒形状部22の先端部22fとは一体となって移動する。
【0076】
後述するように、検査時に、小径の円筒形状部22の先端面22feが検査点に当接してそれから押されると、小径の円筒形状部22の後端面22reが検査用治具の導線18の端面に押し付けられ、それにより、小径の円筒形状部22の後端部22rが大径の円筒形状部24の中に入り込む。その入り込んだ距離が、ばね部22sの収縮する長さになる。ばねの荷重はばねの変位に比例するため、その収縮の長さが変わることによって、円筒形状部22の先端面22feが検査点を押す力(荷重)の大きさが変わる。
【0077】
そのため、例えば、後端面24reから突出する後端面22re近くの円筒形状部22の長さが長い別の寸法の小径の円筒形状部を用いて、後端面22reが円筒形状部24の中に入り込むまでの距離を大きくすると、先端面22feが検査点に加える荷重の大きさを調整できる範囲を大きくすることができる。
【0078】
詳しくは後述のとおり、小径の円筒形状部22の先端部22fを大径の円筒形状部24に固定したことにより、ばね部22sは、検査前には、後端部22rを導線18の端面に押し付ける予圧を与える付勢部として機能するとともに、検査時には、先端部22fを検査点に適切な弾性力で押しつけて接触抵抗を低減させる押圧部として機能する。
【0079】
なお、接合の位置Pは、後述の図3に示すとおり、大径の円筒形状部24の先端がヘッド部12の貫通孔12hに挿入されたときに、貫通孔12hから外に出た位置にある。そのような位置において接合を行ったのは、接合の際にその部分がやや変形することがあり、その変形が貫通孔12hに影響を与えないようにするためである。
【0080】
図2Bは、プローブ20を構成する小径の円筒形状部22を示す。円筒形状部22として、例えば、外径が、約25から280μmで、内径が15から260μmのニッケルあるいはニッケル合金のチューブを用いることができる。この実施形態では、一例として、外径が、約50μm、内径が約35μm、全長L1が約6mmのニッケルチューブを用いるが、それに限定されるものではない。
【0081】
また、円筒形状の先端部22fの長さL2は約2mmで、ばね部22sの長さL3は約2mmで、後端部22rの長さL4は約2mmである。これらの値は一例であり、それらに限定されるものではない。
【0082】
小径の円筒形状部22は、例えば、次のような製法によって製造することができる。
【0083】
[製法例1]
(1)まず、円筒形状部22の中空部を形成するための芯線(図示せず)を用意する。なお、この芯線は、円筒形状部22の内径を規定する所望の太さ(上記の実施形態では、直径が約35μm)のSUS線を用いる。
(2)次いで、芯線(SUS線)にフォトレジスト被膜を塗布し、この芯線の周面を覆う。そのフォトレジスト被膜の所望の部分を露光・現像・加熱処理して螺旋状のマスクを形成する。例えば、芯線を中心軸の周りに回転及び上下動させながらレーザにより所定の部分を露光して螺旋状のマスクを形成する。円筒形状部22においては、円筒形状の先端部22fと円筒形状の後端部22rとの間の長さL3のばね部22s及び全長L1に分離する端部に対応する位置にマスクを形成する。
(3)次いで、その芯線にニッケルめっきを実施する。このとき、芯線は導電性であるため、フォトレジストマスクが形成されていない箇所にニッケルめっきが付着する。
(4)次いで、フォトレジストマスクを除去して、芯線を引き抜き、全長L1の円筒形状部22を形成する。
【0084】
また、円筒形状部22は、下記の方法でも製造することもできる。
【0085】
[製法例2]
(1)まず、製法例1と同様に、円筒形状部22の中空部を形成するための芯線(図示せず)を用意し、その芯線にニッケルを所望の厚さめっきして、芯線の周面にニッケルめっき層を形成する。
(2)次に、そのニッケルめっき層の表面にフォトレジストを塗布する。そのフォトレジストの所望の部分を露光・現像・加熱処理して螺旋状のマスクを形成する。例えば、芯線を中心軸の周りに回転及び上下動させながら、レーザにより露光して螺旋状のマスクを形成する。円筒形状部22においては、円筒形状の先端部22fと円筒形状の後端部22rとの間の長さL3のばね部22s及び全長L1に分離する端部に対応する位置にマスクを形成する。
(3)次いで、ニッケルめっきをエッチング除去する。このとき、フォトレジストマスクが形成されていない箇所のニッケルめっきが除去される。
(4)次いで、フォトレジストマスクを除去して、芯線を引き抜き、全長L1の円筒形状部22を形成する。
【0086】
上記の製法は例示であり、円筒形状部の製造方法は、それらの製法に限定されるものではない。
【0087】
図2Cは、プローブ20を構成する大径の円筒形状部24を示す。大径の円筒形状部24は、ニッケルあるいはニッケル合金のチューブから作ることができ、その寸法として、例えば、外径が35μmから300μmで、内径が25μmから280μmで、長さL5が3から30mmである。これらの値は一例であり、それらに限定されるものではない。なお、大径の円筒形状部24の周面を必要に応じて絶縁被膜しても良い。
【0088】
図2Dは、プローブ20の製造方法を説明するための概念図である。最初に、例えば上記の製法により製造した小径の円筒形状部22と大径の円筒形状部24とを用意して、大径の円筒形状部24内に小径の円筒形状部22を挿入して、ばね部22sが円筒形状部2
4によって覆われるようにする一方、先端部22f及び後端部22rのそれぞれの一部を円筒形状部24から突出させて露出させる。その際、円筒形状部24から突出させる後端部22rの長さを決める。それにより、ばね部22sがその大きさに応じた変位を行えるようにして、このプローブの円筒形状部22の先端面22feの検査点を押す力(荷重)の大きさを調整し、また、プレート12uからの先端部22fに突出量のばらつきを極力小さくする。
【0089】
次に、大径の円筒形状部24の先端近くの位置Pにおいて、大径の円筒形状部24と小径の円筒形状部22の先端部22fとを接合して、互いに一体として移動するようにする。例えば、抵抗溶接による場合には、図2Dに示すように、対向する一対の電極部40によって大径の円筒形状部24の位置Pを挟み、加圧しながら短時間定電流を流す。それにより、その位置において、大径の円筒形状部24と小径の円筒形状部22の先端部22fとを溶接する。それに代えて、その位置Pに力を加えてかしめて変形させて、それらを結合させてもよい。
【0090】
[検査用治具の概要]
図3は、検査用治具の一部の拡大断面図である。図3に示すように、ヘッド部12の下面には板厚の薄いプレート12uが取り付けられている。ヘッド部12には大径部12h1が形成され、プレート12uには小径部12h2が形成されている。ただし、プレート12uを用いることなく、ヘッド部12自体に大径部12h1と小径部12h2とを一体形成してもよい。
【0091】
大径部12h1には、プローブ20の大径の円筒形状部24の先端部が挿入されていて、その円筒形状部24の先端面24feが、プレート12uの内面(図3に向かうと上方の面)に当接している。それにより、プレート12uは大径の円筒形状部24の先端面24feの係止部を形成する。また、小径部12h2には、プローブ20の小径の円筒形状部22の先端部22fが挿入されている。
【0092】
一方、ベース部14の貫通孔14hには、プローブ20の大径の円筒形状部24の後端部が挿入されているが、図3に示すとおり、その後端面24reは導線18には当接してなく、円筒形状部24の後端部から突出する小径の円筒形状部22の後端部22rの後端面22reが導線18の端面18eと当接している。
【0093】
後端面24reは導線18の端面18eまで移動することができるため、後端面24reから導線18の端面18eまでの距離が、ばね部22sの収縮することのできる長さになる。なお、プレート12uから突出する複数のプローブ20の先端部22fの突出量にばらつきが生じることがあり、そのため、後端面24reの後退する移動距離に相違が生じることがあるが、そのような場合であっても、移動により端面18eに最も近づく後端面24reが、その端面18eに衝突しないように、後端面24reから端面18eまでの距離を設定してもよい。
【0094】
また、図3の状態になるためには、プローブ20を検査用治具10に組み込む前における、大径の円筒形状部24の先端面24feから小径の円筒形状部22の後端部22rの後端面22reまでの自然長が、係止部のプレート12uの内面から導線18の端面18eまでの距離よりも大きくなければならない。
【0095】
その大きさの相違があるため、図3のようにプローブ20を検査用治具10に組み込んだときには、小径の円筒形状部22の後端部22rの後端面22reが、導線18の端面18eから押されることになり、その相違の大きさの分だけ、ばね部22sが縮んで、後端部22rが大径の円筒形状部24内に押し込まれている。
【0096】
図3では、ばね部22sが縮んだ分だけ、そのばね部に伸長する方向への付勢力が生じている。一方、小径の円筒形状部22の先端部22fは、位置Pにおいて大径の円筒形状部24に固定されており、その円筒形状部24の先端面24feはプレート12uの内面に当接している。そのため、そのばね部の付勢力は、検査点にプローブが接触しない場合でも、小径の円筒形状部22の後端部22rの後端面22reを導線18の端面に一定の力で押しつけることのできる予圧として作用する。その結果、その後端面22reと導線18の端面との安定した接触を確保することができる。
【0097】
図4は、図3の検査用治具を用いて被検査物の検査を行うときの状況を説明するための検査用治具の一部の拡大断面図である。
【0098】
基板等の被検査物の検査時には、検査用治具10を下降させてプローブ20の小径の円筒形状部22の先端部22fの先端面22feを被検査物30の配線等の検査対象部上の所定の検査点30d1に当接させ、検査点30d1を押すようにする。そうすると、図4に示すように、プローブ20の小径の円筒形状部22の先端部22fは、ヘッド部12の貫通孔12h内に押し込まれることになる。上記のとおり、小径部の円筒形状部22の先端部22fと大径の円筒形状部24とは位置Pにおいて接合されているため、先端部22fが押し上げられると、それとともに大径の円筒形状部24も押し上げられて、大径の円筒形状部24の先端面24feが係止部のプレート12uの内面から離れる。その結果、小径の円筒形状部22のばね部22sが圧縮されて、ばね部22sに付勢力が生じ、その付勢力によって、先端面22feは検査点30d1に押し付けられることになる。そのため、その先端面22feと検査点30d1とを確実に接触させることができる。
【0099】
また、その際に、小径の円筒形状部22の後端部22rの後端面22reは、既にばね部22sの一定の付勢力で導線18の端面18eに押し付けられているが、小径の円筒形状部22の先端部22fの先端面22feが検査点30d1に押し付けられることによりばね部22sはさらに縮む。図4では、円筒形状部24の後端面24reと導線18の端面18eまでの間に空間があるため、検査点30d1をより大きな約3g程度の力で押してばね部22sをさらに縮ませることによって、後端面24reはさらに端面18eまで接近することができる。それにより、より大きな付勢力で、後端面22reも導線18の端面18eに押しつけられるようになる。
【0100】
このように、後端面24reから導線18の端面18eまでの距離の大きさによって、先端面22feが検査点30d1を押す力と、後端面22reが導線18の端面18eを押す力とを調整することができる。
【0101】
検査が終了して検査用治具10が被検査物から離れると、ばね部22sの付勢力によって、小径の円筒形状部22の先端部22fが、図4において下方に押し戻される。その際、その先端部22fと大径の円筒形状部24とは位置Pにおいて接合されているため、大径の円筒形状部24も同時に押し戻され、円筒形状部24の先端面24feが係止部のプレート12uの内面に当接する。その状態が、図3に示す状態である。
【0102】
[他の実施形態]
上記の実施形態は基板を被検査物として説明をしたが、それに限定されるものではなく、被検査物として半導体装置も含む。
【0103】
上記の実施形態として、小径の円筒形状部22の後端部22rの端面22reは平坦に表したが、複数の先鋭形状の突部を持つようなクラウン形状に形成してもよい。また、小径の円筒形状部22の先端部22fの先端面22feも平坦形状として表したが、複数の
先鋭形状の突起を持つようなクラウン形状でもよい。また、先端面22feを溶融して半球形状に形成してもよく、先端面及び後端面を絞り込んで尖らせてもよい。
【0104】
また、図3及び図4の実施形態では、被検査物30には、プローブ20の小径の円筒形状部22の先端部22fの先端面22feが接しているが、小径の円筒形状部22内に、後述する図5A及び図5Bの導電性の円柱形状部52fのような円柱形状部を挿入して、その円柱形状部の先端部を円筒形状部22から突出させ、さらに、位置Pにおいて、円柱形状部を円筒形状部22に接合するように構成することによって、その円柱形状部の先端部が被検査物30に接するようにしてもよい。
【0105】
図5A及び図5Bは、他の実施形態に係るプローブ50を示す。プローブ50は、大径の円筒形状部54とそれに挿入されている小径の円柱形状部52(導電部)とから構成されている。
【0106】
大径の円筒形状部54は、先端部54fと、後端部54rと、それらの間に形成された2つのばね部54s1,54s2と、それらのばね部を連結する連結部54cとからなる。2つのばね部54s1,54s2はそれぞれ螺旋形状に形成されており、旋回方向が互いに逆になっている。つまり、ばね部54s1が連結部54cから例えば左巻き方向に旋回して後端部54rに到達しているとすると、ばね部54s2は連結部54cから右巻き方向に旋回して先端部54fに到達している。
【0107】
大径の円筒形状部54及びばね部54s1,54s2は、上記の実施例の円筒形状部22及びばね部22sと同様に製造することができる。
【0108】
小径の円柱形状部52の先端部52fは、大径の円筒形状部54の先端部54fから突出している。一方、小径の円柱形状部52の後端部52rは、大径の円筒形状部54の後端部54rの後端面54reの手前の位置に留まっていて、大径の円筒形状部54の後端面54reと小径の円柱形状部52の後端面52reとの間には空間が形成されている。
【0109】
また、大径の円筒形状部54の先端部54fの位置Pでは、その先端部54fと小径の円柱形状部52とが、例えば、抵抗溶接、レーザ溶接又はかしめによって接合されていて、互いに固定されている。そのため、小径の円柱形状部52と大径の円筒形状部54の先端部54fとは一体となって動く。それ以外の部分においては、大径の円筒形状部54と小径の円柱形状部52とは固定されてなく、互いに別々に動くことができる。
【0110】
後述するように、基板等の検査時に、大径の円筒形状部54の後端部54rの後端面54reが検査治具の電極(導線18)に接触した状態で、小径の円柱形状部52の先端部52fの先端面52feが検査点に当接して押しつけられると、押しつけられた力の大きさの分だけ、小径の円柱形状部52が、大径の円筒形状部54の先端部54fとともに後退する。そのため、大径の円筒形状部54の2つのばね部54s1,54s2が収縮するとともに、小径の円柱形状部52が、それらの内側の空間内を後退する。それらのばねの収縮した長さの分だけ、それらのばねは元の長さに戻ろうとする付勢力を発揮する。ばねの荷重はばねの長さの変位に比例するため、その収縮の長さが変わると、2つのばね部54s1,54s2によって円柱形状部52の先端部52fの先端面52feが検査点を押す力(荷重)の大きさが変わる。
【0111】
そのため、大径の円筒形状部54の先端部54fの位置Pにおいてかしめ等を行う際に、小径の円柱形状部52の先端部52fが先端部54fから突出する長さを変えることによって、先端面52feが検査点に加える荷重の大きさを変えることができる。
【0112】
また、2つのばね部54s1,54s2は、プローブ50が検査治具に取り付けられた際に、大径の円筒形状部54の後端部54rの後端面54reを導線18に適切な力で押しつけるための予圧を与える付勢部として機能する。また、小径の円柱形状部52を大径の円筒形状部54の先端部54fに固定したことにより、2つのばね部54s1,54s2は、小径の円柱形状部52の先端面52feを検査点に適切な弾性力で押しつけて接触抵抗を安定させる押圧部としても機能する。
【0113】
なお、接合の位置Pは、図3の実施形態の場合と同様に、図6に示すように、大径の円筒形状部54の先端部54fがヘッド部12−1の大径部の貫通孔12−1h1に挿入されたときに、小径部の貫通孔12−1h2よりも外の位置にある。
【0114】
図6は、図5A及び図5Bに示すプローブ50を取り付けた検査用治具の一部断面図である。図6に示すように、ヘッド部12−1には、大径部の貫通孔12−1h1及び小径部の貫通孔12−1h2が形成されており、ベース部14−1には、一部が拡張した貫通孔14−1hが形成されている。
【0115】
ヘッド部12−1の大径部12−1h1には、プローブ50の大径の円筒形状部54の先端部54fが挿入されていて、その先端面54feが、大径部12−1h1から小径部12−1h2に移る段差の面に当接している。そのように、その段差の面は先端面54feの係止部を形成する。小径部12−1h2には、プローブ50の小径の円筒形状部52の先端部52fが挿入されている。
【0116】
一方、ベース部14−1の貫通孔14−1hには、プローブ50の大径の円筒形状部54の後端部54rと連結部54cの一部とが挿入されていて、後端面54reが導線18の端面18eに当接している。小径の円柱形状部52の後端面52reはその端面18eから離れている。
【0117】
また、検査用治具に組み込む前には、プローブ50の大径の円筒形状部54の先端面54feから後端面54reまでの自然長は、検査治具のヘッド部12−1の大径部12−1h1から小径部12−1h2に移る段差の面(係止部)から導線18の端面18eまでの距離よりも大きい。そのため、図6のようにプローブ50を検査用治具に組み込んだときには、大径の円筒形状部54が係止部と端面18eとから押されるため、2つのばね部54s1,54s2がその大きさの相違分だけ収縮することになる。その収縮により、それらのばね部は元の長さに戻ろうとする付勢力を発揮する。
【0118】
その検査用治具を用いて被検査物の検査を行う時には、検査用治具を下降させてプローブ50の小径の先端部52feを被検査物30の配線等の検査対象部上の所定の検査点30d1に当接させて所定の大きさの力で検査点30d1を押すようにする。そうすると、プローブ50の小径の円柱形状部52の先端部52fは、ヘッド部12−1の貫通孔12−1h2内に押し込まれることになる。その際、上記のとおり、小径部の円柱形状部52と大径の円筒形状部54の先端部54fとは位置Pにおいて接合されているため、先端部52fが押し上げられると、それとともに大径の円筒形状部54の先端部54fも押し上げられて、その先端面54feが係止部から離れる。その結果、大径の円筒形状部54の2つのばね部54s1,54s2が圧縮されるため、それらのばね部には元の長さに戻ろうとする付勢力が生じる。その付勢力によって、先端面52feは検査点30d1に押し付けられることになり、その先端面52feと検査点30d1との安定した接触を確保することができるようになる。
【0119】
2つのばね部54s1,54s2は、上記の通り、旋回方向が逆であるため、押し縮められた際に生じる付勢力は、連結部54cを同一方向に旋回させる方向に作用する。その
ため、それらのばね部は、同一方向に旋回させた2つの螺旋状のばねを連結した場合に比べると、折れ曲がりにくくまた捻じれにくい。
【0120】
なお、図5A、図5B及び図6の実施形態に限定されるものではないが、被検査物30に接する円柱形状部52fの先端面52feの形状は、平坦でもよく、球面形状のように湾曲して突出した形状でもよく、後述する図10Aに示すようないわゆる王冠の実施形態のように小さな突起が突出した形状でもよく、また、円柱形状部の長手方向軸線を斜めに交差する面で切断した形状でもよい。例えば、被検査物30に、それらの形状の円柱形状部の先端部が押しあてられた場合に、ばね部の作用により、円柱形状部が長手方向の軸線を中心に旋回するときには、それらの形状の先端面が被検査物30の表面の酸化膜をひっかいたり削り取ったりすることが可能になる。
【0121】
[接続端子の製造例]
図7Aから図7Hまでは、本発明に係る一実施形態の接続端子を製造するための各工程の一実施例を示す断面図である。なお、全図において、各部材の厚さ、長さ、形状、部材同士の間隔、隙間等は、理解の容易のために、適宜、拡大・縮小・変形・簡略化等をしている。図の説明の際の上下・左右の表現は、その図に向かった状態でのその図面の面に沿った方向を表すものとする。
【0122】
図7Aは、芯材70の外周面上に金めっき層72を形成し、さらにその上にニッケルめっき層74を形成して製造した電鋳管(円筒形状管)の断面図を示す。芯材70としては例えば外径が5μmから300μmの金属線や樹脂線を用いることができる。金属線としては例えばSUS線を用いることができ、樹脂線としてはナイロン樹脂やポリエチレン樹脂等の合成樹脂線を用いることができる。また、金めっき層72の厚さは約0.1μmから1μmであり、ニッケルめっき層74の厚さは、約5μmから50μmである。電鋳管の長さは、搬送作業の容易性等の観点から50cm以下が望ましいが、それに限定されるものではなく、切断することなく連続的に製造してもよい。
【0123】
図7Bは、図7Aに示された電鋳管のニッケルめっき層74の外周面上に絶縁膜76を形成したものを示す。絶縁膜76は後述の所定の溝の形成の際にレジストとしても機能する。その絶縁膜の厚さは約2μmから50μmである。絶縁膜76として、例えば、フッ素コーティング又はシリコーン樹脂材を用いて形成してもよい。
【0124】
次に、図7Cに示すように、絶縁膜76を例えば3mmから30mmの間隔を置いて所定の幅だけ周回して除去して溝78a,78b,78cを形成し、また、それらの溝と溝との間の絶縁膜の一部をらせん状に除去してらせん状の溝79a,79bを形成する。それらの溝を形成した部分には、ニッケルめっき層74が露出する。
【0125】
これらの溝を形成する際には、絶縁膜76にレーザービームを照射して、絶縁膜76を除去する方法を採用することができる。この場合、芯材70を周方向に回転させながら、溝の位置にレーザービームを直接照射し、その照射により絶縁膜76を除去する。なお、この方法で使用するレーザービームの出力は、絶縁膜76のみを除去することができ、且つニッケルめっき層を損傷することがない出力に調整される。
【0126】
次に、図7Dに示すように、絶縁膜76をマスクとして用いて、溝78a,78b,78c,79a,79bに露出したニッケルめっき層74をエッチング除去して金めっき層72を露出させる。その際、ニッケルめっき層74と芯材70との間に金めっき層72が存在するため、エッチングの際にニッケルエッチング液が芯材まで到達することを防止することができる。そのエッチング処理により除去されたニッケルめっき層74の溝78a,78b,78c,79a,79bに露出した端面は、エッチング液による腐食作用を利
用するため、サイドエッチング部が形成されているという特徴を有する(後述する)。
【0127】
また、らせん状の溝79a、79bは、その部分にある絶縁膜76をレーザによって除去した後に、その部分に露出したニッケルめっき層74をエッチングによって除去することによって形成したため、そのらせん状の溝間にある部分(後述するばね部)のニッケルめっき層74の端面にはサイドエッチング部が形成されており、この積層された絶縁膜76が、そのニッケルめっき層74に対してオーバーハングしている状態となる。
【0128】
図7Eでは、レーザービームを照射して、溝78a,78b,78cを形成している絶縁膜76を端面から所定の長さを除去して、ニッケルめっき層74を露出させる。その露出したニッケルめっき層74は、接続治具用の接続端子に形成される際に、検査対象部に接触する先端部又は検査装置に接続される接続治具の電極に接触する後端部として機能する部分になり、接続治具の構造に応じて、それらの必要な長さが定まる。そのため、それらを考慮して絶縁膜76を除去する長さを決定すればよい。
【0129】
次に、超音波洗浄を行って、図7Fに示すように、溝78a,78b,78c,79a,79bに露出した金めっき層72を除去する。
【0130】
次に、図7Gに示すように、芯材70を白抜き矢印で示すように両端を離れる方向に引っ張って断面積が小さくなるように変形する。一端を固定して他端のみを引っ張るようにしてもよい。芯材70が延伸してその断面積が小さくなると、芯材70の外周面を被覆していた金めっき層72がその外周面から剥離して電鋳管の内側に残り、芯材70と金めっき層72との間に空間78が形成される。
【0131】
次に、図7Hに示すように、芯材70を抜き取ると、溝78a,78b,78cによって隣り合う部分が離れて、接続端子71と接続端子73とが、別個のものとして形成されることになる。このように、図7Hに示すように、芯材70を抜き取った段階で、他の追加の工程を必要とすることなく接続端子を完成させることができる。なお、図7Aから図7Hは、簡略化して電鋳管の一部のみを示しているため、図7Hの工程では、2個の接続子のみが製造されたようになっているが、長い電鋳管を使用することによって、多数の接続端子を一度に製造することができる。
【0132】
図7Hに示すように、接続端子71,73は、導電性材料の円筒形状管のニッケルめっき層74を備え、その両端側には、ニッケルめっき層が露出した先端部及び後端部が形成されており、また、先端部と後端部との間には、長軸方向のらせん状の壁面を有するばね部が形成されており、そのらせん状の壁面に沿って絶縁層76が形成されている。
【0133】
本発明の接続端子は、上記の如き寸法の条件下において製造することができるが、特に、外径が30から100μm、内径が20から90μm、絶縁被覆の厚みが2〜15μmに形成される場合において、接続治具に用いられる接続端子として好適に用いることができる。
【0134】
図8Aから図10Bは、接続端子の先端部の当接部の形状に特徴のあるいくつかの実施形態を示す。これらの接続端子も、検査用プローブのみならず、対象物と所定の装置とを電気的に接続する接続治具に、更に、インターポーザやコネクタのように電極端と電極端とを接続する接続治具にも使用することができる。
【0135】
図8Aは、本発明の一実施形態に係る接続端子86の当接部81aを示す拡大正面図である。当接部81aは、対象物の対象点に少なくともその一部が接触して電気的接続を行う部分である。図8Bは、図8Aの接続端子86の底面図である。接続端子86は、対象
物に設けられた対象点と所定の接続点とを電気的に接続するもので、導電性材料のめっき層からなる円筒形状部81を備える。
【0136】
図8Bに示すように、円筒形状部81は、内側壁面と外側壁面とから形成されていて、中央に空間を有する。円筒形状部81の先端部(図8Aにおいて下側の部分)には、外側壁面の縁部82と内側壁面の縁部84とそれらの間を結ぶ面83とを含む当接部81aが形成されている。
【0137】
当接部81aの面83は、例えば、エッチングにより形成することができる。その方法を説明する。例えば、図7Bに示すように、電鋳管のニッケルめっき層74の外周面上に絶縁膜76を形成して円筒形状体を作る。接続端子の長さに応じて、絶縁膜76をマスクとして用いて、レーザービームによって、円筒形状体から、接触子としての必要性に応じて所定の長さの絶縁膜76を除去し、エッチング処理すると、図8Aに示す当接部が露出する。
【0138】
その等方的なエッチングにより、ニッケルめっき層84の端部にサイドエッチング部が形成される。その際、円筒形状体の各端部において、エッチング液が、絶縁膜76から近いニッケルめっき層74の円筒形状体の外側壁面に回り込んでその外側壁面を侵食するため、外側壁面は、内側壁面よりも侵食される。なお、絶縁膜76は必ずしも必要ではないので、絶縁膜を形成しない場合には、レジスト膜を使用してエッチングを行う。
【0139】
円筒形状体の端部にサイドエッチング部が形成された結果、図8Aに現れているように、面83の形状は、平坦ではなく、湾曲したものとなる(湾曲形状面83)。その湾曲の広さや大きさや曲率は、エッチング液の薬液の配合率、濃度、温度等を変更したり、又はエッチングの際の印加電圧の大きさ等の諸条件を変更することによって変えることができる。
【0140】
図9Aは、接続端子96−1の当接部91−1aの一部の断面を示す。当接部91−1aは、外側壁面の縁部92−1と内側壁面の縁部94−1とそれらの間の面93−1とを含む。当接部91−1aは、図8A及び図8Bに示す当接部81aと同様に、湾曲する面93−1を有する。その図に示すように、接続端子96−1の軸線方向(図9Aにおいて、上下方向)に沿って、外側壁面の縁部92−1と内側壁面の縁部94−1とが異なる位置にある。つまり、図9Aにおいて、外側壁面の縁部92−1の位置が、内側壁面の縁部94−1の位置よりも、軸線方向に沿って、上方(接続端子の後端部側)にある。そのため、面93−1は、外側壁面の縁部92−1と内側壁面の縁部94−1とを斜め方向に結ぶように延在し、それにより、内側壁面の縁部94−1は鋭利な先端を形成している。これにより、その鋭利な先端が対象物の対象点に容易に食い込むことができるため、接続端子と対象物との接触特性(接触安定性)が向上する。また、その鋭利な先端部への付着物は、次の当接の際に剥がれ易く、その自浄作用により、接続端子と対象物との接触特性が向上する。
【0141】
また、図9Bは、他の実施形態に係る接続端子96−2の当接部91−2aの一部の断面を示す。当接部91−2aは、外側壁面の縁部92−2と内側壁面の縁部94−2とそれらの間の面93−2とを含む。図9Bに示すように、図9Aの当接部91−1aと同様に、当接部91−2aの内側壁面の縁部94−2は鋭利な先端を有するが、図9Aの当接部91−1aの面93−1と比べて、図9Bの当接部91−2aの面93−2の湾曲面の曲率が小さく、外側壁面の縁部92−2よりも図面の上方(接続端子96−2の後端側)に面93−2の頂点(又は底面)が位置し、凹形状に形成なっている。
【0142】
図11Aは、円筒形状体のニッケルめっき層の端部に、サイドエッチングにより、当接
部を形成した一例を説明するための走査電子顕微鏡による拡大写真である。その写真に示す接続端子の当接部は、外径が約50μm、内径が約40μm、外側壁面の縁部と内側壁面の縁部との軸線方向の距離が約4μmであり、その写真から明らかなように、外側壁面の縁部と内側壁面の縁部との間の面は湾曲している。
【0143】
図9Aと図9Bとにそれぞれ示す内側壁面の縁部94−1,94−2の近く、つまり、先端部に近い面93−1,93−2の傾斜の大きさの相違の概略は、図9Aにおいては、内側壁面から面94−1の接線までの角度は、接線の接点の位置が内側壁面の縁部94−1から外側壁面の縁部92−1まで移動する間に、約20度から80度まで変化するのに対し、図9Bにおいては、内側壁面から面93−2の接線までの角度は、接線の位置が内側壁面の縁部94−2から外側壁面の縁部92−2まで移動する間に、約15度から120度まで変化する。すなわち、図9Aの当接部91−1aの先端部の方が、図9Bの当接部91−2aの先端部よりも鋭利である。
【0144】
図10Aは、図8Aの接続端子86の当接部81aと異なる形状の当接部161aを備える接続端子166の拡大正面図である。図10Bは、図10Aの接続端子166の底面図である。接続端子166は、図8Aの接続端子86と同様に、対象物に設けられた対象点と所定の接続点とを電気的に接続するもので、導電性材料のめっき層からなる円筒形状部61を備える。
【0145】
図10Bに示すように、円筒形状部161は、内側壁面と外側壁面とから形成されていて、中央に空間を有する。円筒形状部161の先端部(図10Aにおいて下側の部分)には、外側壁面の縁部162と内側壁面の縁部164とそれらの間を結ぶ面163とを含む当接部161aが形成されている。
【0146】
ただし、図8Aの面83とは異なり、図10Aに示すように、当接部161aの面163の縁部162,164には、円筒形状部161の円周面に沿って、等間隔に、略U字形状の切欠き部が形成されている。このような切欠き部は、当接部81aの面83同様に、エッチング処理により形成することができる。
【0147】
例えば、図7Bに示すように、電鋳管のニッケルめっき層74の外周面上に絶縁膜76を形成して円筒形状体を作る。接続端子の長さに応じて、レーザービームにより、円筒形状体の各端部の円周に沿って、絶縁膜76を略U字形状に除去してニッケルめっき層74を露出させる。その状態で、残りの絶縁膜76をマスクとして用いて、円筒形状体をエッチング処理する。その際、円筒形状体の各端部において、エッチング液が、絶縁膜76の縁からニッケルめっき層74の円筒形状体の外側壁面に回り込んでその外側壁面を侵食するため、外側壁面は、内側壁面よりも腐食される。その結果、絶縁膜76を略U字形状に除去した位置にあるニッケルめっき層74も略U字形状に侵食される。
【0148】
その結果、図10Aに示すように、当接部161aにおいては、外側壁面の縁部162の最も突出した位置162tと外側壁面の縁部162の最も引っ込んだ位置162bとは、接続端子166の軸線方向に沿って大きく離れており、また、内側壁面の縁部164の最も突出した位置164tと内側壁面の縁部164の最も引っ込んだ位置164bも、接続端子166の軸線方向に沿って大きく離れている。
【0149】
図11Bは、円筒形状体のニッケルめっき層の端部に、サイドエッチングにより、図11Aの形状とは異なる図6Aに示す形状(以下、「クラウン形状」という)の当接部を形成した一例を説明するための走査電子顕微鏡による拡大写真である。その写真に示す接続端子の当接部は、外径が約50μm、内径が約40μm、外側壁面の縁部と内側壁面の縁部との軸線方向の距離が約5μmである。また、外側壁面の縁部の最も突出した位置と外
側壁面の縁部の最も低い位置との距離は約18μmであり、内側壁面の縁部の最も突出した位置と内側壁面の縁部の最も低い位置との距離は約15μmである。その写真から明らかなように、外側壁面の縁部と内側壁面の縁部との間の面は湾曲している。
【0150】
本発明の製造方法で記載される製造方法を用いて製造した接触端子は、その端面(側面)が内側から外側に湾曲に傾斜する。
【0151】
上記の図7Aから図7Hの実施例においては、絶縁膜76を形成し、それを必要に応じて、レジスト膜として使用した。上記の図8Aから図11Bの実施例においては、絶縁膜は必ずしも必要ではないので、エッチングの際には、レジスト膜を使用してもよい。
【0152】
また、上記の図8Aから図11Bの実施例において、円筒形状部81等の当接部81a等は、単一のめっき層からなるように描いているが、その層の内側、つまり、円筒形状部81等の中心軸線側に、面83等の形成や対象物の対象点との接触安定性の観点から、例えば、金めっき層を形成してもよい。ただし、その場合、金めっき層は当接部の先端部の内側壁面の縁部周辺では剥離してしまって存在しないことがある。
【0153】
そのため、円筒形状部81等の当接部81a等が、ニッケルめっき層とその内側の金めっき層とから構成されているように、複数のめっき層によって形成されている場合には、外側壁面の縁部82等は、当接部において、最も外側に形成されているめっき層の外側壁面の縁部を意味し、内側壁面の縁部84等は、内側のめっき層の内側壁面の縁部を意味するが、当接部の先端部において、一部のめっき層が剥がれていて存在しない場合には、存在する内側のめっき層の内側壁面の縁部を意味する。
【0154】
以上、本発明に係る被検査物検査用の検査用治具及びそれに用いることのできるプローブの実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に拘束されるものではなく、当業者が容易になしえる追加、削除、改変等は、本発明に含まれるものであり、また、本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められることを承知されたい。
【符号の説明】
【0155】
10・・・検査用治具
11・・・支持部材
11s・・・スペーサ
12・・・ヘッド部
12h、14h・・・貫通孔
12h1・・・大径部
12h2・・・小径部
14・・・ベース部
16・・・電極部
20・・・プローブ
22・・・小径の円筒形状部
24・・・大径の円筒形状部
22f・・・先端部
22r・・・後端部
22fe,24fe・・・先端面
22re,24re・・・後端面
22s・・・ばね部
70・・・芯材
71,73・・・接続端子
72・・・金めっき層
74・・・ニッケルめっき層
76・・・絶縁膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子であって、
小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備え、
前記大径の円筒形状部の一部に、互いに旋回方向が逆の螺旋形状に形成された2つのばね部が形成され、
前記小径の導電部の先端部の先端面が、前記大径の円筒形状部の先端面から突出し、
さらに、前記小径の導電部の一部が、前記大径の円筒形状部の前記ばね部が形成されていない部分であって該ばね部よりも前記先端面に近い部分に接合されていて、
前記小径の導電部の先端部の先端面が、前記対象点に押しあてられて前記2つのばね部が収縮する際に、該小径の導電部の軸線を中心に旋回することができるように構成された、接続端子。
【請求項2】
対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子であって、
小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備え、
前記小径の導電部の先端部の先端面が、前記大径の円筒形状部の先端面から突出し、
前記大径の円筒形状部の一部に、互いに旋回方向が逆の螺旋形状に形成された2つのばね部が形成され、
前記小径の導電部の一部が、前記大径の円筒形状部の前記ばね部が形成されていない部分であって該ばね部よりも前記先端面に近い部分に接合され、
前記対象点に押しあてられて前記ばね部が収縮する際に、前記2つのバネ部は、各々、前記小径の導電部の先端部の先端面が該小径の導電部の軸線を中心に旋回するように作用する、接続端子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の接続端子において、前記小径の導電部が、円柱形状部又は円筒形状部である、接続端子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の接続端子において、前記小径の導電部の先端部の先端面が、該小径の導電部の軸線方向を斜めに交差する面で切断した形状である、接続端子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の接続端子において、前記ばね部の外径は30から100μmである、接続端子。
【請求項6】
被検査物の対象部の電気的特性を検査するための検査装置用の検査用治具であって、
小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備える接続端子であって、前記大径の円筒形状部の一部に、互いに旋回方向が逆の螺旋形状に形成された2つのばね部が形成され、前記小径の導電部の先端部の先端面が、前記大径の円筒形状部の先端面から突出し、さらに、前記小径の導電部の一部が、前記大径の円筒形状部の前記ばね部が形成されていない部分であって該ばね部よりも前記先端面に近い部分に接合されていて、前記小径の導電部の先端部の先端面が、前記対象点に押しあてられて前記2つのばね部が収縮する際に、該小径の導電部の軸線を中心に旋回することができるように構成された接続端子と、
該接続端子の前記大径の円筒形状部の後端部の後端面に電気的に接続される導線を有する電極部と、
前記接続端子の前記小径の導電部の前記先端部を前記被検査物の前記対象部の所定の検査点へ案内するためのヘッド部であって、前記接続端子の前記大径の円筒形状部の先端面が係止する係止部を備えるヘッド部と、
前記接続端子の前記大径の円筒形状部の前記後端部の前記後端面を前記電極部の前記導線に向けて案内するためのベース部とを備える、検査用治具。
【請求項7】
被検査物の対象部の電気的特性を検査するための検査装置用の検査用治具であって、
小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備える接続端子であって、前記小径の導電部の先端部の先端面が、前記大径の円筒形状部の先端面から突出し、前記大径の円筒形状部の一部に、互いに旋回方向が逆の螺旋形状に形成された2つのばね部が形成され、前記小径の導電部の一部が、前記大径の円筒形状部の前記ばね部が形成されていない部分であって該ばね部よりも前記先端面に近い部分に接合され、前記対象点に押しあてられて前記ばね部が収縮する際に、前記2つのバネ部は、各々、前記小径の導電部の先端部の先端面が該小径の導電部の軸線を中心に旋回するように作用する、接続端子と、
該接続端子の前記大径の円筒形状部の後端部の後端面に電気的に接続される導線を有する電極部と、
前記接続端子の前記小径の導電部の前記先端部を前記被検査物の前記対象部の所定の検査点へ案内するためのヘッド部であって、前記接続端子の前記大径の円筒形状部の先端面が係止する係止部を備えるヘッド部と、
前記接続端子の前記大径の円筒形状部の前記後端部の前記後端面を前記電極部の前記導線に向けて案内するためのベース部とを備える、検査用治具。
【請求項1】
対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子であって、
小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備え、
前記大径の円筒形状部の一部に、互いに旋回方向が逆の螺旋形状に形成された2つのばね部が形成され、
前記小径の導電部の先端部の先端面が、前記大径の円筒形状部の先端面から突出し、
さらに、前記小径の導電部の一部が、前記大径の円筒形状部の前記ばね部が形成されていない部分であって該ばね部よりも前記先端面に近い部分に接合されていて、
前記小径の導電部の先端部の先端面が、前記対象点に押しあてられて前記2つのばね部が収縮する際に、該小径の導電部の軸線を中心に旋回することができるように構成された、接続端子。
【請求項2】
対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子であって、
小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備え、
前記小径の導電部の先端部の先端面が、前記大径の円筒形状部の先端面から突出し、
前記大径の円筒形状部の一部に、互いに旋回方向が逆の螺旋形状に形成された2つのばね部が形成され、
前記小径の導電部の一部が、前記大径の円筒形状部の前記ばね部が形成されていない部分であって該ばね部よりも前記先端面に近い部分に接合され、
前記対象点に押しあてられて前記ばね部が収縮する際に、前記2つのバネ部は、各々、前記小径の導電部の先端部の先端面が該小径の導電部の軸線を中心に旋回するように作用する、接続端子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の接続端子において、前記小径の導電部が、円柱形状部又は円筒形状部である、接続端子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の接続端子において、前記小径の導電部の先端部の先端面が、該小径の導電部の軸線方向を斜めに交差する面で切断した形状である、接続端子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の接続端子において、前記ばね部の外径は30から100μmである、接続端子。
【請求項6】
被検査物の対象部の電気的特性を検査するための検査装置用の検査用治具であって、
小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備える接続端子であって、前記大径の円筒形状部の一部に、互いに旋回方向が逆の螺旋形状に形成された2つのばね部が形成され、前記小径の導電部の先端部の先端面が、前記大径の円筒形状部の先端面から突出し、さらに、前記小径の導電部の一部が、前記大径の円筒形状部の前記ばね部が形成されていない部分であって該ばね部よりも前記先端面に近い部分に接合されていて、前記小径の導電部の先端部の先端面が、前記対象点に押しあてられて前記2つのばね部が収縮する際に、該小径の導電部の軸線を中心に旋回することができるように構成された接続端子と、
該接続端子の前記大径の円筒形状部の後端部の後端面に電気的に接続される導線を有する電極部と、
前記接続端子の前記小径の導電部の前記先端部を前記被検査物の前記対象部の所定の検査点へ案内するためのヘッド部であって、前記接続端子の前記大径の円筒形状部の先端面が係止する係止部を備えるヘッド部と、
前記接続端子の前記大径の円筒形状部の前記後端部の前記後端面を前記電極部の前記導線に向けて案内するためのベース部とを備える、検査用治具。
【請求項7】
被検査物の対象部の電気的特性を検査するための検査装置用の検査用治具であって、
小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備える接続端子であって、前記小径の導電部の先端部の先端面が、前記大径の円筒形状部の先端面から突出し、前記大径の円筒形状部の一部に、互いに旋回方向が逆の螺旋形状に形成された2つのばね部が形成され、前記小径の導電部の一部が、前記大径の円筒形状部の前記ばね部が形成されていない部分であって該ばね部よりも前記先端面に近い部分に接合され、前記対象点に押しあてられて前記ばね部が収縮する際に、前記2つのバネ部は、各々、前記小径の導電部の先端部の先端面が該小径の導電部の軸線を中心に旋回するように作用する、接続端子と、
該接続端子の前記大径の円筒形状部の後端部の後端面に電気的に接続される導線を有する電極部と、
前記接続端子の前記小径の導電部の前記先端部を前記被検査物の前記対象部の所定の検査点へ案内するためのヘッド部であって、前記接続端子の前記大径の円筒形状部の先端面が係止する係止部を備えるヘッド部と、
前記接続端子の前記大径の円筒形状部の前記後端部の前記後端面を前記電極部の前記導線に向けて案内するためのベース部とを備える、検査用治具。
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図1】
【図11A】
【図11B】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図1】
【図11A】
【図11B】
【公開番号】特開2013−7750(P2013−7750A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−177110(P2012−177110)
【出願日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【分割の表示】特願2011−182002(P2011−182002)の分割
【原出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(392019709)日本電産リード株式会社 (160)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【分割の表示】特願2011−182002(P2011−182002)の分割
【原出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(392019709)日本電産リード株式会社 (160)
【Fターム(参考)】
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