説明

接続装置を持つ高電圧電池及びこのような高電圧電池用の接続装置

高電圧電池は、列をなして設けられる複数の単位電池(2)、単位電池用支持構造体(3)及び覆い板(6)から成り、個々の単位電池用の大電流接続体(24)及び単位電池監視装置(9)が覆い板(6)に取付けられている。製造、組立て及び論理接続のための少ない費用を得るため、覆い板(6)が少なくとも2つの導電層(15,17)を持つ多層印刷配線板であり、第1の導電層(15)が印刷配線板(6)の単位電池(2)に近い方の側に取付けられて、大きい厚さの大電流接続体(24)を形成し、第2の導電層(17)が小さい厚さを持ち、かつ単位電池監視装置(9)への接続導体(20)を形成し、両方の導電層(15,17)が、印刷配線板(6)を貫通して導電的に構成される穴(19)により若干個所で互いに接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列をなして設けられる複数の単位電池、単位電池用支持構造体及び覆い板からなる高電圧電池であって、個々の単位電池用の大電流接続体及び単位電池監視装置が覆い板に取付けられているものに関する。ここで電池とは、あらゆる種類即ち化学的、容量的等の蓄電池を意味する。
【0002】
このような電池は最近自動車の駆動のため種々の装置において使用される。電池はそのために必要な大電流を供給することができるが、そのために冷却されるだけではなく、連続して監視されねばならない。
【背景技術】
【0003】
最初にあげた種類の公知の電池では、個々の単位電池間及び外部端子への大電流接続体は、覆い板の適当な凹所へ差込まれる銅製導体である。単位電池監視装置は、覆い板上に取付けられる別個の装置であり、個々の導体、針金又は銅板から成る薄片を介して、またしばしば差込み接続体を介して、個々の単位電池の極に接続されている。これらの接続体は腐食及び震動を受けるので、機能障害が生じる。
【0004】
このような電池の製造費及び組立て費は、多数の構成部分及び覆い板の複雑な形状のため(例えば欧州特許第1109237号明細書参照)、また個々の導体を覆い板へ個々に差込んでそれに取付けかつ互いに接続せねばならないため、非常に大きい。更に電池の異なる(車両に特有な)構成のため、種々に設けられる単位電池接続体及び種々の覆い板も準備せねばならない。
【0005】
欧州特許出願公開第1363483号明細書から、自動車の分野において、大電流及び信号電流の使用に適した電子機械装置用の多層印刷配線板の製造方法が公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、高電圧電池が製造、組み立て及び論理接続のため一層少ない費用を生じるように、高電圧電池を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、覆い板が少なくとも2つの導電層を持つ多層印刷配線板であり、第1の導電層が印刷配線板の単位電池に近い方の側に取付けられて、大きい厚さの大電流接続体を形成し、第2の導電層が小さい厚さを持ち、かつ単位電池監視装置への接続導体を形成し、両方の導電層が、印刷配線板を貫通して導電的に構成される穴により若干個所で互いに接続されている。
【0008】
導電層は公知の侵食法又はエッチング法により処理されるので、導体を形成する。導体の間の材料を除去される覆い板の厚い層が単位電池の極の上に載っていると、単位電池がそれ以外の接続素子なしに直接導体に接続される。別の薄い導電層に形成される導体は、穴を介して適当な測定点、大抵の場合通電導体に接続される。こうしてただ1つの板により、それ以外の組立て作業なしに、すべての必要な接続が行われる。
【0009】
本発明の展開では、第2の導電層が単位電池監視装置を形成する構成要素も含んでいる。それにより考えられる限り高い集積度が得られる。
【0010】
本発明が図により以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 本発明による電池を軸測投影法で示す。
【図2】 図1のII−II線による垂直断面図を示す。
【図3】 蓋の底面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1には高電圧電池が全体を1で示されている。この電池は、複数の円筒状単位電池2(ここでは2列にそれぞれ5つ設けられている)、自動車に取付けるための取付け舌片5を持つ支持構造体3、及び覆い板6から成っている。支持構造体3はここでは下方へ向くフランジ4を持つ板の形状を持ち、これらのフランジ4内に単位電池2が取付けられている。しかし支持構造体は、破線で示すように箱3′を形成していてもよい。支持構造体3には、図示しない高電圧回路網に接続するための上方へ向く端子7+,7−、及び単位電池監視装置又は電池管理装置の接続用差込み接続体8が設けられている。
【0013】
図2の垂直断面図において、支持構造体が除かれており、極11,12を持つ単位電池2及び覆い板6のみが見られる。覆い板6は多層印刷配線板であり、その母体は絶縁プラスチックから成っている。底面13の少し上に、単位電池2の極11,12の大電流接続体を形成するため大きい厚さの第1の導電層15が所々で除去されている。この第1の導電層15は、底面13の外側にも取付けることができる。この導電層及び別の導電層はなるべく銅から成り、例えば欧州特許出願公開第1363483号明細書に記載された方方によって取付けられている。図示した実施例では、車両又は出力回路に接続するため、大きい厚さの別の層16が少なくとも所々に設けられている。
【0014】
覆い板6の(上の)表面には、小さい厚さの第2の導電層(図1も参照)17が設けられ、これに部分22,22′が取付けられるか又はこれに一体化されている。後者の場合、極接続体25,25′(図3)も、同じ層15又は別の第1の層から形成されている。第2の層17及び電子構成要素17,21の上に、絶縁覆い層18を設けることもできる。単電池2の極11,12を第2の層17に接続するため、覆い板6を貫通する穴19が設けられ、これらの穴の内側が(充填によるか壁の被覆により)導電性にされ、こうして第1の導電層15をこれらの所で第2の導電層17に接続する。
【0015】
再び図1には、全体を9で示される単位電池監視装置が、細部における正確さを要求することなく、その接続導体20、電子構成要素21及び別の電子構成要素22と共に示されている。簡単化された実施例では、覆い板6上に接続導体20及び若干の電子構成要素21が印刷回路として構成され、差込み接続体8は、電池1外にある評価装置への接続を行う。図示した実施例では、評価装置は別の構成要素22,22′に収容されている。
【0016】
図3は覆い板6の底面図を示し、その母体14は透明であると仮定されている。個々の単位電池2の極11,12に付属する大電流接続体24、及びここでは別の面に設けられて端子7+,7−を介して電流を負荷へ供給する極接続体25,25+、25−が認められる。穴19は、その上にあって第2の導電層17から形成される接続導体20への接続を行う。
【0017】
上述したように一体に構成される覆い板6は、組立てを完了して支持構造体3に差込むか又は単位電池2上に載置することができる。厚い導電層から形成される大電流接続体24は、こうしてそれ以外の取付け要素なしに単電池2の極11,12上に載っている。従って組立ての際、覆い板6に支持構造体3上へのみ載せられて、電池は直ちに使用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列をなして設けられる複数の単位電池(2)、単位電池用支持構造体(3)及び覆い板(6)からなる高電圧電池であって、個々の単位電池用の大電流接続体(24)及び単位電池監視装置(9)が覆い板(6)に取付けられているものにおいて、覆い板(6)が少なくとも2つの導電層(15,17)を持つ多層印刷配線板であり、第1の導電層(15)が印刷配線板(6)の単位電池(2)に近い方の側に取付けられて、大きい厚さの大電流接続体(24)を形成し、第2の導電層(17)が小さい厚さを持ち、かつ単位電池監視装置(9)への接続導体(20)を形成し、両方の導電層(15,17)が、印刷配線板(6)を貫通して導電的に構成される穴(19)により若干個所で互いに接続されていることを特徴とする、高電圧電池。
【請求項2】
第2の導電層(17)が単位電池監視装置を形成する構成要素(21,22)も含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の高電圧電池。
【請求項3】
列をなして設けられる複数の単位電池(2)及び支持構造体(3)から成る高電圧電池用覆い板であって、個々の単位電池用の大電流接続体(24)及び単位電池監視装置(9)が覆い板(6)に取付けられているものにおいて、覆い板(6)が少なくとも2つの導電層(15,17)を持つ多層印刷配線板であり、第1の導電層(15)が印刷配線板(6)の単位電池(2)に近い方の側に取付けられて、大きい厚さの大電流接続体(24)を形成し、第2の導電層(17)が小さい厚さを持ち、かつ単位電池監視装置(9)への接続導体(20)を形成し、両方の導電層(15,17)が、印刷配線板(6)を貫通して導電的に構成される穴(19)により特定個所で互いに接続されていることを特徴とする、覆い板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−522407(P2010−522407A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531726(P2009−531726)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/008011
【国際公開番号】WO2008/034560
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(503211264)マグナ・シユタイル・フアールツオイクテヒニク・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト (18)
【Fターム(参考)】