説明

接触水素還元による化合物の製造方法およびそれにより得られた化合物

【課題】 既存の部分構造を活用することで工程数の大幅削減を図り、安価で高品質な化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される化合物をアルキルアミンと金属化合物触媒の共存下で接触水素還元して選択的に脱クロル化することを特徴とする一般式(2)であらわされる化合物の製造方法。
【化1】


(式中、R1は置換基を表す。R2はベンゼン環に置換可能な基を表す。nは1以上5以下の整数を表し、mは0以上4以下の整数を表し、m+n≦5である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短工程かつ安価で収率良く高純度の化合物を接触水素還元による脱クロル化を行ない製造する製造方法及びそれにより得られた化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
接触水素還元によって、種々のニトロ化合物や不飽和結合を水素化する方法については長年にわたる研究開発の成果として多岐に渡る合成法が知られている。
【0003】
又、上記反応に用いられる原料化合物の部分構造にハロゲン原子が含まれている場合、水素化されて脱ハロゲンを起こす事も広く知られている。
【0004】
例えば、特許文献1にはPCBの分解や、特許文献2にはフルオロアニリンの製造法等が記載されている。
【0005】
また、通常種々のアニリド構造を部分構造に持つ場合には各種のアニリンを原料とし、これに目的とする化合物として有用な部分構造を組み込む事により必要な性能を有するアニリド化合物が合成される。
【0006】
例えば、アニリドの芳香環部分にハロゲン原子の置換の有無により必要な性能が達成されたり、されなかったりする場合には、ハロゲン原子の置換の有無として差異のあるアニリンを主原料として合成、製造が行なわれる。
【0007】
例えば、写真用用途として一般的なイエローカプラー合成法において、活性メチレン部分に置換基を導入するため、前駆体として活性メチレン部分をハロゲン化する際にアニリンのm−位が空位である場合には置換反応によりハロゲン化される場合があり、目的とする化合物が得られない事がある。
【0008】
このような場合には、全く別ルートでの製造方法も可能であるが、工程が長くなり、人員と時間を要し、コスト高となる可能性が高い。
【0009】
昨今、製品ライフサイクルの短期化や、特定の機能に特化した化合物開発、高機能だが生産量が比較的少ない素材を短期間で実用化することが求められており、これまでの手法を踏襲するだけでは目的とする化合物が得られず、製品開発に支障をきたす事も考えられる。
【0010】
簡便な方法で目的とする非ハロゲン置換化合物が容易に得られるならば、実用化、製品化に大きな寄与が期待されるものである。
【特許文献1】特開2001−199904号公報
【特許文献2】特開平7−309815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って本発明では、上記問題点を解決するために鋭意検討を実施し、ベンゼン環がクロル化されたアシルアニリド化合物の脱クロル化反応により、簡便な工程で、安価で高品質な、骨格構造が保持された非クロル置換アシルアニリド化合物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、以下の構成により解決することができた。
【0013】
(請求項1)
下記一般式(1)で表される化合物をアルキルアミンと金属化合物触媒の共存下で接触水素還元して選択的に脱クロル化することを特徴とする一般式(2)であらわされる化合物の製造方法。
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、R1は置換基を表す。R2はベンゼン環に置換可能な基を表す。nは1以上5以下の整数を表し、mは0以上4以下の整数を表し、m+n≦5である。)
(請求項2)
前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(3)で表される化合物であり、前記一般式(2)で表される化合物が下記一般式(4)で表される化合物であり、アルキルアミンが下記一般式(B)で表されることを特徴とする請求項1に記載の一般式(2)であらわされる化合物の製造方法。
【0016】
【化2】

【0017】
(式中、R31は置換基を表し、Aは−N−C=N−とともに5〜7員環を形成する非金属原子群を表す。R32は置換基を表す。nは1以上5以下の整数を表し、mは0以上4以下の整数を表し、m+n≦5である。mが2以上のとき複数のR32は互いに同じであっても異なっていてもよい。Yは現像主薬の酸化体との反応により脱離可能な基を表す。)
一般式(B)
pN(Cl(2l+1)q
(式中、lは1〜4の整数を表す。pは0〜2の整数を表し、qは1〜3の整数を表し、p+q=3である。Cl(2l+1)であらわされるアルキル鎖は直鎖でも分岐していても良く、qが2以上の時、アルキル鎖の長さは同一でも異なっていても良い。)
(請求項3)
前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(5)で表される化合物であり、前記一般式(2)で表される化合物が下記一般式(6)で表される化合物であり、アルキルアミンが前記一般式(B)で表されることを特徴とする請求項1に記載の一般式(2)であらわされる化合物の製造方法。
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、R51及びR52はそれぞれアルキル基、アリール基又は複素環基を表し、また、R51とR52が互いに結合して環を形成してもよい。R53は置換基を表す。nは1以上5以下の整数を表し、mは0以上4以下の整数を表し、m+n≦5である。mが2以上のとき複数のR53は互いに同じであっても異なっていてもよい。Yは現像主薬の酸化体との反応により脱離可能な基を表す。)
(請求項4)
前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(7)で表される化合物であり、前記一般式(2)で表される化合物が下記一般式(8)で表される化合物であり、アルキルアミンが前記一般式(B)で表されることを特徴とする請求項1に記載の一般式(2)であらわされる化合物の製造方法。
【0020】
【化4】

【0021】
(式中、RAはt−C49−又は(R72O)sPh−を表す。R71は置換基を表す。nは1以上5以下の整数を表し、mは0以上4以下の整数を表し、m+n≦5である。mが2以上のとき複数のR71は互いに同じであっても異なっていてもよい。R72は水素または置換基を表す。sは0以上5以下の整数を表す。sが2以上のとき複数のR72は互いに同じであっても異なっていてもよい。Yは現像主薬の酸化体との反応により脱離可能な基を表す。)
(請求項5)
前記一般式(7)で表される化合物が下記一般式(9)で表される化合物であり、前記一般式(8)で表される化合物が下記一般式(10)で表される化合物であることを特徴とする請求項4記載の一般式(2)であらわされる化合物の製造方法。
【0022】
【化5】

【0023】
(式中、R91は耐拡散性のアルキル基又は芳香族基を表す。RAは前記一般式(7)、(8)におけるRAと同義である。RB及びRCは水素原子又はアルキル基を表す。)
(請求項6)
アルキルアミンを、脱離する塩化水素の当量に対して0.5〜5当量使用することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の一般式(2)であらわされる化合物の製造方法。
【0024】
(請求項7)
アルキルアミンがトリエチルアミンであることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の一般式(2)であらわされる化合物の製造方法。
【0025】
(請求項8)
金属化合物触媒が、パラジウム炭素触媒であり、該パラジウム炭素触媒を原料化合物に対して0.5〜30質量%使用することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の一般式(2)であらわされる化合物の製造方法。
【0026】
(請求項9)
請求項1〜8の何れか1項に記載の製造方法により製造されることを特徴とする前記一般式(2)であらわされる化合物。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、短工程かつ安価に簡便な設備で高純度高収率の化合物を接触水素還元による脱クロル化で得る製造方法が確立できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明を利用しうる分野としては、通常の合成分野において用いることは当然であるが、主にカラー写真技術分野のカプラーの合成に利用することができるものである。
【0029】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像過程において、露光されたハロゲン化銀を還元して銀画像を形成する際、通常、現像主薬としてはp−フェニレンジアミン系の化合物が用いられ、画像状にp−フェニレンジアミンの酸化体が形成され、カプラーという活性メチレン基を有する化合物とカップリング反応してY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)のアゾメチン色素が形成され、カラーネガ画像が形成される。
【0030】
本発明は、アシルアニリド型の、主にYカプラーに適用される化合物に関するものであり、カプラーの活性メチレン基に離脱可能な基を導入することにより、現像主薬の酸化体との反応効率が2倍となる技術がある。前記一般式(3)、(4)におけるYは、活性メチレン基に導入された、現像主薬の酸化体との反応により脱離可能な基を表す。
【0031】
そして、これらの離脱可能な基を導入する際に、その前駆体として活性メチレン基をクロル化し、そこに置換基を導入するという手法がことがしばしば行われてきた。
【0032】
そして、活性メチレン部分にハロゲンを導入した後、更に他の化合物との反応により活性メチレン部に置換基が導入されたYカプラーが得られるが、活性メチレン基のクロル化において、しばしばアニリンのベンゼン環にクロル置換が起こることがあり、ベンゼン環がクロル置換されたアセトアニリド型Yカプラーが得られるが、目的の性能が得られないと言う問題があった。
【0033】
ベンゼン環がハロゲン置換されていないアセトアニリド型Yカプラーを得るには、活性点部分に予め置換基を導入した酢酸エステルを用い、非ハロゲン置換アニリンとの反応により得ることは可能であるが、迂回することによる工数の増加や、全く予測しない影響が出ることもあり、合成上問題となるものであった。
【0034】
前記で得られたベンゼン環がクロル置換されたアセトアニリド型Yカプラーを利用して、クロル非置換体を容易に得ることが可能ならば、従来の合成プロセスをそのまま利用することができ、カプラー合成上、画期的で、有益なものとなる。
【0035】
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明の、前記一般式(1)で表される化合物を、アルキルアミンと金属化合物触媒の共存下で接触水素還元して選択的に脱クロル化することにより、前記一般式(2)で表される化合物を、1工程でかつ安価に簡便な設備で高純度高収率に目的の化合物を得ることができることを見いだしたものである。
【0036】
以下、本発明を更に詳細に述べる。
【0037】
本発明の一般式(1)及び(2)について説明する。一般式(1)及び(2)において、R1は置換基を表す。
【0038】
1で表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、ヘテロ環オキシ基(例えば、ピリジルオキシ基、ピリジルオキシ基、トリアジニルオキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、アシルアミノ基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、ヒドロキシ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホニル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、スルホ基、カルボキシ基等が挙げられる。上記の置換基はいずれも上記置換基によりさらに置換されていても良い。
【0039】
一般式(1)及び(2)において、R2はベンゼン環に置換可能な基を表す。置換可能な基としてはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、ヘテロ環オキシ基(例えば、ピリジルオキシ基、ピリジルオキシ基、トリアジニルオキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、アシルアミノ基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、ヒドロキシ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホニル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、スルホ基、カルボキシ基等が挙げられる。R2はさらに置換されていても良く、置換基としてはR1で挙げられた置換基と同様の基が挙げられる。
【0040】
一般式(1)及び(2)において、nは1以上5以下の整数を表し、mは0以上4以下の整数を表し、m+n≦5である。
【0041】
mが2以上の場合、複数のR2は同一でも異なっていても良く、又複数のR2は互いに結合して縮環しても良い。
【0042】
以下に本発明の前記一般式(1)及び(2)であらわされる化合物の代表的具体例を示すが本発明はこれらによって限定されるものでは無い。
【0043】
【化6】

【0044】
【化7】

【0045】
【化8】

【0046】
次に本発明の一般式(3)及び(4)について説明する。一般式(3)及び(4)において、R31は置換基を表す。R31で表される置換基としては、前記のR1で挙げられた置換基を全て挙げる事ができる。R31はいずれも置換基を有していてもよく、置換基としては前記R1と同様な基が挙げられる。
【0047】
一般式(3)及び(4)において、Aは−N−C=N−とともに5〜7員環を形成する非金属原子群を表す。好ましくは、形成される5〜7員環は置換もしくは無置換、単環もしは縮合環の複素環であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される。さらに好ましくは、Aは−C(−R33)=C(−R34)−SO2−、もしくは−C(−R33)=C(−R34)−CO−で表される基を表す。R33、R34は互いに結合して−C=C−とともに5〜7員環を形成する基、もしくはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。形成される5〜7員環は飽和または不飽和環であり、該環は脂環、芳香環、複素環であってもよく、たとえばベンゼン環、フラン環、チオフェン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環が挙げられる。また、置換基としては前述のR11の置換基としてあげた例が挙げられる。これらの各置換基や複数の置換基が互いに結合して形成した環は、さらに置換基(前述のR1の置換基として例示した基が挙げられる)で置換されてもよい。
【0048】
一般式(3)及び(4)において、R32はベンゼン環に置換可能な基を表す。置換可能な基としては前記R2として挙げられた例が全て挙げられる。R32はさらに置換されていても良く、置換基としてはR1で挙げられた置換基と同様の基が挙げられる。又複数のR32は互いに結合して縮環しても良い。
【0049】
一般式(3)及び(4)において、Yは写真用カプラーとして用いたときに現像主薬の酸化体との反応により脱離可能である基を表す。
【0050】
脱離可能な基として好ましいものとしては、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、ナフトキシ等)、ヘテロ環オキシ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、カップリング位と窒素原子で結合するイミド基(例えば、2,4−ジオキソ−1,3−イミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル、3,5−ジオキソ−1,2,4−トリアゾリジン−4−イル、スクシンイミド、フタルイミド、2,4−ジオキソ−1,3−イミダゾリジン−1−イル等)、カップリング位と窒素原子で結合する不飽和含窒素ヘテロ環基(例えば、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、1,2,4−トリアゾール−1(または4)−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、ベンゾトリアゾール−1−イル、3−ピラゾリン−5−オン−1−イル等)が挙げられる。
【0051】
これらの脱離基は、非写真性有用基または写真性有用基もしくはその前駆体(例えば、現像抑制剤、現像促進剤、脱銀促進剤、カブラセ剤、色素、硬膜剤、カプラー、現像主薬酸化体スカベンジャー、蛍光色素、現像主薬または電子移動剤)のいずれであってもよい。
【0052】
Yが写真性有用基を表すとき、具体的例としては従来知られているものが有用である。例えば、米国特許第4,248,962号、同4,409,323号、同4,438,193号、同4,421,845号、同4,618,571号、同4,652,516号、同4,861,701号、同4,782,012号、同4,857,440号、同4,847,185号、同4,477,563号、同4,628,024号、同4,741,994号の各明細書、ヨーロッパ特許公開第193,389A号、同348,139A号または同272,573A号の各公報に記載のものが挙げられる。写真性有用基の中で、好ましいものは現像抑制剤である。
【0053】
以下に本発明の前記一般式(3)及び(4)であらわされる化合物の代表的具体例を示すが本発明はこれらによって限定されるものでは無い。
【0054】
【化9】

【0055】
【化10】

【0056】
【化11】

【0057】
【化12】

【0058】
次に前記一般式(B)で表されるアルキルアミンについて説明する。一般式(B)においてlは1〜4の整数を表す。pは0〜2の整数を表し、qは1〜3の整数を表す。p+qは3である。アルキル鎖は直鎖でも分岐していても良く、pが2以上の時、アルキル鎖の長さは同一でも異なっていても良い。
【0059】
前記一般式(B)で表されるアルキルアミンとしては一般的に試薬、工業製品として多くのものが知られているが反応性、入手容易性、安価である事からトリエチルアミンが最も好ましい。アルキルアミンの使用量としては塩素原子が脱離して生成する塩化水素の当量に対して0.5〜5当量、好ましくは0.8〜2.5当量より好ましくは1.0〜1.7当量である。
【0060】
本発明における接触水素化反応に用いられる金属化合物触媒としては、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ニッケル等の触媒が挙げられるがパラジウム触媒が好ましく、特にパラジウムを活性炭に坦持させたパラジウム炭素触媒が好ましい。金属化合物触媒としては任意の量が使用できるが例えばパラジウム炭素触媒の場合、好ましくは原料化合物質量に対して0.5〜30質量%より好ましくは1〜10質量%である。
【0061】
次に一般式(5)及び(6)であらわされる化合物について説明する。一般式(5)及び(6)においてR51及びR52は置換基を有していてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、 アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)を表し、また、R51とR52が互いに結合して環を形成してもよい。一般式(5)及び(6)においてR53はベンゼン環に置換可能な基を表す。置換可能な基としては前記R2として挙げられた例が全て挙げられる。R53はさらに置換されていても良く、置換基としてはR1で挙げられた置換基と同様の基が挙げられる。又複数のR53は互いに結合して縮環しても良い。Yは一般式(3)及び(4)におけるYと同義である。
【0062】
以下に本発明の前記一般式(5)及び(6)であらわされる化合物の代表的具体例を示すが本発明はこれらによって限定されるものでは無い。
【0063】
【化13】

【0064】
【化14】

【0065】
【化15】

【0066】
次に、一般式(7)及び(8)について説明する。一般式(7)及び(8)においてR71はベンゼン環に置換可能な基を表す。置換可能な基としては前記R2として挙げられた例が全て挙げられる。R71はさらに置換されていても良く、置換基としてはR1で挙げられた置換基と同様の基が挙げられる。又複数のR71は互いに結合して縮環しても良い。
【0067】
72は置換基を表す。R72で表される置換基としては、R1で挙げられた置換基と同様の基が挙げられる。Yは一般式(3)、(4)、(5)及び(6)におけるYと同義である。
【0068】
以下に本発明の前記一般式(7)及び(8)であらわされる化合物の代表的具体例を示すが本発明はこれらによって限定されるものでは無い。
【0069】
【化16】

【0070】
【化17】

【0071】
【化18】

【0072】
【化19】

【0073】
【化20】

【0074】
次に一般式(9)及び(10)について説明する。一般式(9)及び(10)においてR91で表される耐拡散性のアルキル基としては、好ましくは炭素原子数8〜21の直鎖又は分岐のアルキル基、例えば、2−エチルヘキシル基、イソトリデシル基、ヘキサデシル基、あるいはオクタデシル基等が挙げられる。また、R91で表される耐拡散性のアルキル基は、例えば以下の一般式(C)で表されるような、中間に官能基を介する構造を有していてもよい。
【0075】
一般式(C)
−J−X−R92
式中、Jは炭素原子数1から20までの直鎖または分岐のアルキレン基、例えば、メチレン基、1,2−エチレン基、1,1−ジメチルメチレン基、1−デシルメチレン基等を表し、R92は炭素原子数1から20までの直鎖または分岐のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、及び1−ヘキシルノニル基等が挙げられる。
【0076】
Xは−O−、−OCO−、−OSO2−、−CO−、−COO−、−CON(R93)−、−CON(R93)SO2−、−N(R93)−、−N(R93)CO−、−N(R93)SO2−、−N(R93)CON(R94)−、−N(R93)COO−、−S(O)n−、−S(O)nN(R93)−、あるいは−S(O)nN(R93)CO−等の結合を表す。(式中、R93およびR94は、水素原子または前記一般式(C)においてR92で表されるアルキル基に加えて炭素数6〜14のアリール基(例えばフェニル基、1−ナフチル基、及び9−アントラニル基)を表す。nは0から2までの整数を表す。)また、R92とJとは互いに結合し、環状構造を形成してもよい。
【0077】
これらR91で表されるアルキル基はさらに置換基を有していてもよく、その場合の置換基としては、例えば、アリール基(例えばフェニル基、p−t−オクチルフェニル基等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば2,4−ジ−t−アミルフェノキシ基等)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基等)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えばn−ドデカンスルホニルアミノ基等)、およびヒドロキシ基等が挙げられる。
【0078】
前記一般式(9)及び(10)においてR91で表される耐拡散性の芳香族基としては、例えば、炭素数6〜14のアリール基(例えばフェニル基、1−ナフチル基、及び9−アントラニル基)が挙げられる。このR91で表されるアリール基はさらに置換基を有していてもよく、その場合の置換基としては、例えば、アミノ基(例えばジメチルアミノ基、アニリノ基等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基等)、前記一般式(C)においてR92の例として表されるアルキル基、前記一般式(9)及び(10)においてR91で表されるアルキル基の置換基として示される基と同義の置換基が挙げられる。これらR91で表されるアリール基の置換基のうち、炭素原子数4から10の直鎖または分岐のアルキル基が好ましい。前記一般式(9)及び(10)においてR91は、好ましくは耐拡散性のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数8〜21の直鎖アルキル基である。
【0079】
また、RAは一般式(7)及び(8)で示されるRAと同義である。
【0080】
一般式(9)及び(10)においてRB及びRCは水素原子またはアルキル基である。RB及びRCであらわされるアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖、分岐のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、ヘキシル基などが挙げられ、ブチル基が特に好ましい。
【0081】
以下に本発明の前記一般式(9)及び(10)であらわされる化合物の代表的具体例を示すが本発明はこれらによって限定されるものでは無い。
【0082】
【化21】

【0083】
【化22】

【0084】
【化23】

【0085】
【化24】

【0086】
【化25】

【0087】
【化26】

【0088】
本発明においては原料化合物を溶媒に溶解して反応を実施する。溶媒種としては原料化合物が溶解するものであれば良く、例としてはアルコール系、エーテル系、エステル系、ニトリル系、芳香族炭化水素系脂肪酸系等が使用できるが、好ましくはエステル系、ニトリル系、芳香族炭化水素系溶媒であり、より好ましくはエステル系溶媒である。
【0089】
本発明では反応は反応容器の空間部分に水素ガスを充填した状態で行なう。水素ガスを充填する場合の圧力については0.1(ほぼ大気圧)〜2.0MPa程度の条件で反応を実施することが好ましく、0.1〜0.5MPaで実施することがより好ましい。
【0090】
本発明において、反応温度は原料化合物が溶媒にて溶解可能な温度であれば特に制限はないが、5〜100℃が好ましく、より好ましくは15〜40℃である。
【実施例】
【0091】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
【0092】
実施例1
例示化合物2−7の合成
【0093】
【化27】

【0094】
酢酸エチル200mlに例示化合物1−7、51.2g(84.3mmol)、トリエチルアミン21.3g(210.8mmol)を加えて溶解させた。この溶液をオートクレーブに入れ、10%パラジウム炭素触媒1.50g(2.5質量%)を加えた。
【0095】
反応容器内の空気を窒素ガスで十分に置換したあと、水素ガスでさらに置換し5barまで加圧する。
【0096】
加圧終了後、600rpmで攪拌を開始し室温で1.5時間反応する。水素ガスの吸収がほぼ無くなった事を確認後、さらに1.5時間反応を行ない終了とする。
【0097】
反応終了後、反応液に水100mlを加えて析出しているトリエチルアミン塩酸塩を溶解したあと触媒を濾別する。
【0098】
濾液に濃塩酸(35%)13.2g(126.5mmol)を加えて水層のpHを酸性にしたあと、中性になるまで有機層を水洗する。水洗終了後、有機層を減圧留去し残渣にメタノール240mlを加えて再結晶して例示化合物2−7、43.5g(90%、白色結晶)を得た。高速液体クロマトグラフィーにより純度を測定したところ99.1%であった。
【0099】
実施例2
例示化合物4−1の合成
【0100】
【化28】

【0101】
酢酸エチル200mlに例示化合物3−1、59.8g(84.3mmol)、トリエチルアミン12.8g(126.4mmol)を加えて溶解させた。この溶液をオートクレーブに入れ、10%パラジウム炭素触媒1.50g(2.5質量%)を加えた。
【0102】
反応容器内の空気を窒素ガスで十分に置換したあと、水素ガスでさらに置換し5barまで加圧する。
【0103】
加圧終了後、600rpmで攪拌を開始し室温で1.5時間反応する。水素ガスの吸収がほぼ無くなった事を確認後、さらに1.5時間反応を行ない終了とする。
【0104】
反応終了後、反応液に水100mlを加えて析出しているトリエチルアミン塩酸塩を溶解したあと触媒を濾別する。
【0105】
濾液に濃塩酸(35%)6.6g(63.2mmol)を加えて水層のpHを酸性にしたあと、中性になるまで有機層を水洗する。水洗終了後、有機層を減圧留去し残渣にメタノール170mlを加えて再結晶して例示化合物4−1、52.3g(92%、白色結晶)を得た。高速液体クロマトグラフィーにより純度を測定したところ99.1%であった。
【0106】
実施例3
例示化合物6−4の合成
【0107】
【化29】

【0108】
酢酸エチル200mlに例示化合物5−4、63.8g(84.3mmol)、トリエチルアミン14.5g(143.3mmol)を加えて溶解させた。この溶液をオートクレーブに入れ、10%パラジウム炭素触媒1.28g(2.0質量%)を加えた。
【0109】
反応容器内の空気を窒素ガスで十分に置換したあと、水素ガスでさらに置換し5barまで加圧する。
【0110】
加圧終了後、600rpmで攪拌を開始し室温で1.5時間反応する。水素ガスの吸収がほぼ無くなった事を確認後、さらに1.5時間反応を行ない終了とする。
【0111】
反応終了後、反応液に水100mlを加えて析出しているトリエチルアミン塩酸塩を溶解したあと触媒を濾別する。
【0112】
濾液に濃塩酸(35%)9.2g(88.5mmol)を加えて水層のpHを酸性にしたあと、中性になるまで有機層を水洗する。水洗終了後、有機層を減圧留去し残渣をカラムクロマトグラフィーで処理して例示化合物6−4、50.5g(83%、オイル)を得た。高速液体クロマトグラフィーにより純度を測定したところ98%であった。
【0113】
実施例4
例示化合物8−18の合成
【0114】
【化30】

【0115】
酢酸エチル200mlに例示化合物7−18、64.4g(84.3mmol)、トリエチルアミン12.8g(126.4mmol)を加えて溶解させた。この溶液をオートクレーブに入れ、10%パラジウム炭素触媒1.33g(2.5質量%)を加えた。
【0116】
反応容器内の空気を窒素ガスで十分に置換したあと、水素ガスでさらに置換し5barまで加圧する。
【0117】
加圧終了後、600rpmで攪拌を開始し室温で1.5時間反応する。水素ガスの吸収がほぼ無くなった事を確認後、さらに1.5時間反応を行ない終了とする。
【0118】
反応終了後、反応液に水100mlを加えて析出しているトリエチルアミン塩酸塩を溶解したあと触媒を濾別する。
【0119】
濾液に濃塩酸(35%)6.6g(63.2mmol)を加えて水層のpHを酸性にしたあと、中性になるまで有機層を水洗する。水洗終了後、有機層を減圧留去し残渣にメタノール250mlを加えて再結晶して例示化合物8−18、58.4g(95%、白色結晶)を得た。高速液体クロマトグラフィーにより純度を測定したところ99%であった。
【0120】
実施例5
例示化合物10−1の合成
【0121】
【化31】

【0122】
酢酸エチル200mlに例示化合物9−1、50.0g(84.3mmol)、トリエチルアミン12.8g(126.4mmol)を加えて溶解させた。この溶液をオートクレーブに入れ、10%パラジウム炭素触媒1.14g(2.3質量%)を加えた。
【0123】
反応容器内の空気を窒素ガスで十分に置換したあと、水素ガスでさらに置換し5barまで加圧する。
【0124】
加圧終了後、600rpmで攪拌を開始し室温で1.5時間反応する。水素ガスの吸収がほぼ無くなった事を確認後、さらに1.5時間反応を行ない終了とする。
【0125】
反応終了後、反応液に水100mlを加えて析出しているトリエチルアミン塩酸塩を溶解したあと触媒を濾別する。
【0126】
濾液に濃塩酸(35%)6.6g(63.2mmol)を加えて水層のpHを酸性にしたあと、中性になるまで有機層を水洗する。水洗終了後、有機層を減圧留去し残渣にn−ヘプタン140mlを加えて再結晶して例示化合物10−1、45.7g(97%、白色結晶)を得た。高速液体クロマトグラフィーにより純度を測定したところ99.4%であった。
【0127】
実施例6
実施例4において、反応時の水素ガス圧力を20barとした以外は同様に実施し例示化合物8−1を合成した。
【0128】
例示化合物10−1、44.7g(95.4%、白色結晶)を得た。高速液体クロマトグラフィーにより純度を測定したところ98.7%であった。
【0129】
実施例7
実施例4において、反応時の水素ガス圧力を1barとした以外は同様に実施し例示化合物8−1を合成した。
【0130】
例示化合物10−1、47.1g(98%、白色結晶)高速液体クロマトグラフィーにより純度を測定したところ99.3%であった。
【0131】
実施例8
例示化合物10−21の合成
【0132】
【化32】

【0133】
酢酸エチル200mlに例示化合物9−21、51.7g(84.3mmol)、トリエチルアミン12.8g(126.4mmol)を加えて溶解させた。この溶液をオートクレーブに入れ、10%パラジウム炭素触媒1.19g(2.3質量%)を加えた。
【0134】
反応容器内の空気を窒素ガスで十分に置換したあと、水素ガスでさらに置換し5barまで加圧する。
【0135】
加圧終了後、600rpmで攪拌を開始し室温で1.5時間反応する。水素ガスの吸収がほぼ無くなった事を確認後、さらに1.5時間反応を行ない終了とする。
【0136】
反応終了後、反応液に水100mlを加えて析出しているトリエチルアミン塩酸塩を溶解したあと触媒を濾別する。
【0137】
濾液に濃塩酸(35%)6.6g(63.2mmol)を加えて水層のpHを酸性にしたあと、中性になるまで有機層を水洗する。水洗終了後、有機層を減圧留去し残渣にメタノール140mlを加えて再結晶して例示化合物10−21 44.4g(91%、白色結晶)を得た。高速液体クロマトグラフィーにより純度を測定したところ99%であった。
【0138】
実施例中で合成した化合物は、MASS及びNMRスペクトルで同定を行ない、目的物である事を確認した。
【0139】
以上の合成例から、本発明のアルキルアミンと金属化合物触媒の共存下での接触水素還元法は、クロル置換アシルアニリド化合物から、骨格構造が保持された、脱クロル化したアシルアニリド化合物を1ステップで合成でき、容易で安価な製造方法であり、高品質な目的物が得られる製造方法であることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物をアルキルアミンと金属化合物触媒の共存下で接触水素還元して選択的に脱クロル化することを特徴とする一般式(2)であらわされる化合物の製造方法。
【化1】

(式中、R1は置換基を表す。R2はベンゼン環に置換可能な基を表す。nは1以上5以下の整数を表し、mは0以上4以下の整数を表し、m+n≦5である。)
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(3)で表される化合物であり、前記一般式(2)で表される化合物が下記一般式(4)で表される化合物であり、アルキルアミンが下記一般式(B)で表されることを特徴とする請求項1に記載の一般式(2)であらわされる化合物の製造方法。
【化2】

(式中、R31は置換基を表し、Aは−N−C=N−とともに5〜7員環を形成する非金属原子群を表す。R32は置換基を表す。nは1以上5以下の整数を表し、mは0以上4以下の整数を表し、m+n≦5である。mが2以上のとき複数のR32は互いに同じであっても異なっていてもよい。Yは現像主薬の酸化体との反応により脱離可能な基を表す。)
一般式(B)
pN(Cl(2l+1)q
(式中、lは1〜4の整数を表す。pは0〜2の整数を表し、qは1〜3の整数を表し、p+q=3である。Cl(2l+1)であらわされるアルキル鎖は直鎖でも分岐していても良く、qが2以上の時、アルキル鎖の長さは同一でも異なっていても良い。)
【請求項3】
前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(5)で表される化合物であり、前記一般式(2)で表される化合物が下記一般式(6)で表される化合物であり、アルキルアミンが前記一般式(B)で表されることを特徴とする請求項1に記載の一般式(2)であらわされる化合物の製造方法。
【化3】

(式中、R51及びR52はそれぞれアルキル基、アリール基又は複素環基を表し、また、R51とR52が互いに結合して環を形成してもよい。R53は置換基を表す。nは1以上5以下の整数を表し、mは0以上4以下の整数を表し、m+n≦5である。mが2以上のとき複数のR53は互いに同じであっても異なっていてもよい。Yは現像主薬の酸化体との反応により脱離可能な基を表す。)
【請求項4】
前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(7)で表される化合物であり、前記一般式(2)で表される化合物が下記一般式(8)で表される化合物であり、アルキルアミンが前記一般式(B)で表されることを特徴とする請求項1に記載の一般式(2)であらわされる化合物の製造方法。
【化4】

(式中、RAはt−C49−又は(R72O)sPh−を表す。R71は置換基を表す。nは1以上5以下の整数を表し、mは0以上4以下の整数を表し、m+n≦5である。mが2以上のとき複数のR71は互いに同じであっても異なっていてもよい。R72は水素または置換基を表す。sは0以上5以下の整数を表す。sが2以上のとき複数のR72は互いに同じであっても異なっていてもよい。Yは現像主薬の酸化体との反応により脱離可能な基を表す。)
【請求項5】
前記一般式(7)で表される化合物が下記一般式(9)で表される化合物であり、前記一般式(8)で表される化合物が下記一般式(10)で表される化合物であることを特徴とする請求項4記載の一般式(2)であらわされる化合物の製造方法。
【化5】

(式中、R91は耐拡散性のアルキル基又は芳香族基を表す。RAは前記一般式(7)、(8)におけるRAと同義である。RB及びRCは水素原子又はアルキル基を表す。)
【請求項6】
アルキルアミンを、脱離する塩化水素の当量に対して0.5〜5当量使用することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の一般式(2)であらわされる化合物の製造方法。
【請求項7】
アルキルアミンがトリエチルアミンであることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の一般式(2)であらわされる化合物の製造方法。
【請求項8】
金属化合物触媒が、パラジウム炭素触媒であり、該パラジウム炭素触媒を原料化合物に対して0.5〜30質量%使用することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の一般式(2)であらわされる化合物の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の製造方法により製造されることを特徴とする前記一般式(2)であらわされる化合物。

【公開番号】特開2006−169132(P2006−169132A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360227(P2004−360227)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】