説明

描画装置及びデバイス製造方法

【課題】複数の荷電粒子線を用いる描画装置であってベースラインの計測精度の点で有利な描画装置を提供する。
【解決手段】複数の荷電粒子線のうち少なくとも一つの荷電粒子線のそれぞれについて、ウエハステージ13上に形成された基準マーク21に入射する荷電粒子線の第1方向に対する角度を取得し、前記取得された角度が許容範囲内である一つの荷電粒子線を決定し、前記決定された荷電粒子線を用いて、前記基準マークから到達する荷電粒子を検出して、前記基準マークの位置を計測する第2計測器24により計測された前記基準マーク21の位置と、マークからの反射光を検出してマークの位置を計測する第1計測器22により計測された前記基準マークの位置とから、前記第1計測器22に関するベースラインを求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の荷電粒子線を用いる描画装置及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハ上に形成されたn番目レイヤーのデバイスパターンに対して、(n+1)番目のレイヤーのデバイスパターンを電子ビーム露光装置(電子ビーム描画装置)により描画する場合、nレイヤーと(n+1)レイヤーとのデバイスパターンが位置合わせされる。その位置合わせ(重ね合せ)のために、ウエハアライメント計測が行われる。ウエハアライメント計測では、ウエハ上に既に露光されている複数のアライメントマークの位置を、オフアクシスのアライメントスコープを用いて計測し、その計測値を基に、ウエハ上に露光されている全ショットの位置を求める。このようにして、nレイヤーで形成されたウエハ上の各ショットの位置を求めた上で、各ショットを電子ビームによる描画位置に移動させて、nレイヤーで描画したパターンに対して(n+1)レイヤーのデバイスパターンを重ねて描画する。この時、各ショットの位置決めは、アライメントスコープによるアライメントマークの計測位置と電子ビームによる描画位置とを結ぶベースラインの長さを基に制御される。また、各ショットの位置決めは、グローバルアライメント計測値に基づいて制御される。
【0003】
ベースラインは、アライメントスコープの光軸と電子ビームの描画位置とを結ぶライン(線分)であり、両者の間の相対位置関係を示すものであって、2次元ベクトル量で表し得るものである。ベースラインの計測は、以下の手順で行われる。
(1)アライメントスコープを用いて、ウエハステージ上の基準マーク台に形成されている基準マークの位置を計測する。
(2)電子ビームを用いて、ウエハステージ上の基準マーク台に形成されている基準マークの位置を計測する。
(3)アライメントスコープ及び電子ビームを用いた計測時のそれぞれのウエハステージ位置の差から、アライメントスコープによるウエハ上での計測位置と、電子ビームによるウエハ上での計測位置との間の差(相対位置関係)であるベースラインを算出する。
【0004】
特許文献1には、1本の電子ビーム(以下、シングルビームと言う)を有する電子ビーム露光装置におけるベースラインの計測技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−133566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スループットの向上のために多数の電子ビームを用いるマルチビーム型の電子ビーム露光装置が提案されている。マルチビーム型の電子ビーム露光装置において、シングルビーム型の電子ビーム露光装置のように、ベースラインの計測に電子ビームを用いるとすると、基準マークの位置を検出するのに用いる電子ビームを複数の電子ビームから選択する必要がある。本出願の発明者は、複数の電子ビームのうちどの電子ビームを基準マークの位置の検出に用いるかによって、電子ビームの基準マークに対する入射角が変化し、基準マークの位置の検出精度ひいてはベースラインの計測精度に変化が生じることを見出した。このことは、複数の電子線を用いる描画装置に限らず、複数の荷電粒子線を用いる描画装置一般にも当てはまる。本発明は、複数の荷電粒子線を用いる描画装置であってベースラインの計測精度の点で有利な描画装置を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、基板を保持するステージと、複数の荷電粒子線を前記基板の表面に投影する投影系と、前記ステージの上に形成された基準マークと、前記基板上のマークに光を照射し前記マークからの反射光を検出して前記マークの位置を計測する第1計測器と、前記投影系を介して前記基準マークに荷電粒子線を照射し前記基準マークから到達する荷電粒子を検出して前記基準マークの位置を計測する第2計測器と、前記投影系の軸に沿う第1方向及び前記軸に直交する第2方向における前記ステージの位置を検出する検出器と、を備え、前記複数の荷電粒子線を用いて前記基板に描画を行う描画装置であって、前記複数の荷電粒子線のうち少なくとも一つの荷電粒子線のそれぞれについて、前記基準マークに入射する荷電粒子線の前記第1方向に対する角度を取得し、前記取得された角度が許容範囲内である一つの荷電粒子線を決定し、前記決定された荷電粒子線を用いて前記第2計測器により計測された前記基準マークの位置と前記第1計測器により計測された前記基準マークの位置とから第1計測器に関するベースラインを求める制御部を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、複数の荷電粒子線を用いる描画装置であってベースラインの計測精度の点で有利な描画装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ベースラインの計測方法を示す図である。
【図2】電子ビーム露光装置を示す図である。
【図3】ベースラインの計測に用いる電子ビームを決定する方法を説明する流れ図である。
【図4】電子ビームの傾き量を測定する方法を示す図である。
【図5】反射二次電子の計測方法を示す図である。
【図6】反射二次電子の計測結果を示す図である。
【図7】ベースラインの計測に用いる電子ビームを決定する他の方法を説明する流れ図である。
【図8】ベースラインの計測方法を説明する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
本発明は、複数の荷電粒子線を用いる描画装置一般に適用可能であるが、複数の電子線(電子ビーム)を用いる描画装置(露光装置)に適用した例を説明する。図2は、複数の電子ビームを用いるマルチビーム型の電子ビーム露光装置の構成を示す概略図である。図2において、電子源1から放射される電子ビームは、ビームを整形する光学系2を介して、電子源1の像3を形成する。像3からの電子ビームは、コリメータレンズ4によって略平行の電子ビームとなる。略平行の電子ビームはアパーチャアレイ5を通過する。アパーチャアレイ5は、複数の開口を有し、電子ビームを複数の電子ビームに分割する。アパーチャアレイ5で分割された複数の電子ビームは、静電レンズが複数形成された静電レンズアレイ6により、像3の中間像を形成する。中間像面には、静電型偏向器であるブランカーが複数形成されたブランカーアレイ7が配置されている。中間像面の下流には、2段の対称磁気ダブレットレンズ81,82で構成された縮小電子光学系(投影系)8が配置され、複数の中間像がウエハ(基板)9上に投影される。縮小電子光学系8は、Z方向(第1方向)の軸を有し、複数の電子ビームを基板の表面に結像させる電子光学系を構成している。ブランカーアレイ7で偏向された電子ビームは、ブランキングアパーチャBAによって遮断されるため、ウエハ9には照射されない。一方、ブランカーアレイ7で偏向されない電子ビームは、ブランキングアパーチャBAによって遮断されないため、ウエハ9に照射される。下段のダブレットレンズ82内には、複数の電子ビームを同時にX,Y方向(第2方向)の所望の位置に変位させるための偏向器10、及び、複数の電子ビームのフォーカスを同時に調整するフォーカスコイル12が配置されている。ウエハステージ(ステージ)13はウエハ9を保持し、軸と直交するXY方向に移動可能である。ウエハステージ13上にはウエハ9を固着するための静電チャック15が設置されている。また、電子ビームのウエハ9の照射面位置における形状の測定は、ナイフエッジを含む検出器14により行われている。スティグメータ11は、縮小電子光学系8の非点収差を調整する。
【0011】
ウエハステージ13はステップアンドリピート動作又はスキャン動作により移動し、移動と同時に電子ビームを偏向させながら基板上の複数ショット位置に電子ビームによってパターンが描画されている。電子ビームを偏向してウエハステージ13に搭載された基板上にパターンを描画するにあたって、ウエハステージ13に対する電子ビームの基準位置を計測する必要がある。その基準位置の計測は、オフアクシスのアライメントスコープと電子ビームを用いて次の様に行われる。図1A、図1Bは、図2に示す電子ビーム露光装置のウエハ9周辺の拡大図である。図1Aにおいて、ウエハステージ13の上には基準マーク台20が設置されており、その基準マーク台20には、基準マーク21が形成されている。この基準マーク21の画像をオフアクシスのアライメントスコープ22にて検出し、アライメントスコープ制御部C2にて画像信号の処理を行い、アライメントスコープ22の光軸に対する基準マーク21の位置を特定する。このとき、ウエハステージ13上に設置されたミラー23aを含む測長用干渉計23bによって計測されたウエハステージ13の位置P1を、P1=(X0、Y0)として、主制御部C1を介してメモリMに記憶する。アライメントスコープ22は、基準マーク21に光りを照射し照射された光の反射光を検出して基準マーク21の位置を計測する第1計測器を構成している。測長用干渉計23bは、ウエハステージ13のZ方向(第1方向)及び縮小電子光学系8の軸に直交するX、Y方向(第2方向)におけるウエハステージ13の位置を検出する検出器の一つである。
【0012】
次に図1Bに示す様に、基準マーク21を電子ビームによる露光位置に移動させ、電子ビームによる基準マーク21の位置計測を行う。電子線検出器(第2計測器)24は、縮小電子光学系8を介して基準マーク21に電子ビームを照射したときに基準マーク21で発生する二次電子を検出して基準マーク21の位置を計測する。基準マーク21の位置を計測するために使用する電子ビームを決定する方法を図3に示す流れ図を用いて説明する。主制御部C1は、S1で、複数の電子ビームの中から基準マーク21の位置を検出する為の電子ビームを少なくとも一つ選択し、電子光学系制御部C3は、選択された電子ビームのみが基準マーク21上に到達するように偏向器を調節する。S2で、主制御部C1は、S1で選択された基準マーク21に入射する電子ビームのZ軸に対する傾き量(第1方向に対する角度)θを取得する。主制御部C1は、図4に示す様に、電子ビームが照射された状態でウエハステージ13をZ方向に沿って既知の量だけ駆動し、基準マーク21をZ方向に沿って移動させる。電子線検出器24は、移動前後の基準マーク21のZ方向位置Z0およびZ方向位置Z1とにおいて、電子ビームが照射された基準マーク21のX方向位置を検出する。例えば、Z方向位置Z0とZ方向位置Z1との距離をLz、Z方向位置Z0で計測した基準マーク21のX方向位置をX_z0、そしてZ方向位置Z1で計測した基準マーク21のX方向位置をX_z1とすると、電子ビームの傾き量θは、式1で算出される。
θ=(X_z1−X_z0)/Lz・・・(1)
【0013】
各Z方向位置における、電子ビームに対する基準マーク21のX方向位置の計測方法を、図5A〜図5Dを用いて説明する。図5Aから図5B、図5Cを経て図5Dに至る流れは、ウエハステージ13をX方向に駆動することによって、電子ビームが基準マーク21上をスキャンする様子を示している。ウエハステージ制御部C4によりウエハステージ13をX方向にスキャン駆動しながら、基準マーク21及び基準マーク21周辺から得られる反射2次電子を電子線検出器24により検出する。図6は、ウエハステージ13をX方向に駆動した場合の、電子線検出器24で検出される反射2次電子の検出結果である。電子ビームが基準マーク21の両端のエッジ部分に照射されたときに、反射2次電子の検出量がピーク形状となる。ここで得られた2つのピーク形状を有する反射2次電子の検出量の変化(図6)から、反射2次電子の検出量がピークとなるウエハステージ13の2つのX方向位置a及びbの中点位置cを電子ビームに対する基準マーク21の位置として決定する。また、図6の検出結果の微分波形を求め、2つのピーク位置近傍に相当する微分波形領域の2つの変極点を求め、その2つの変極点の中点位置を基準マーク21の位置と決定しても良い。また、ウエハステージ13は固定しておき、電子光学系制御部C3により偏向器10を制御して電子ビームで基準マーク21上をX方向にスキャンさせて基準マーク21の位置を検出しても良い。主制御部C1は、このようにして測定された電子ビームの傾き量θをメモリMに記憶させる。ここで計測された、電子ビームによる基準マーク21の位置を、後で述べるS26における基準マークの位置としても良い。S3で、主制御部C1は、選択された全ての電子ビームについてそれらの傾き量θが測定されたか否かを判断する。NOと判断されたら、フローは、S2に戻り、YESと判断されたらS4に進む。
【0014】
S4で、主制御部C1は、S2で測定された電子ビームの傾き量θが予め定めておいたトレランス以内(許容範囲内)であるか否かを判断する。ウエハステージ13のZ方向の駆動に対する制御残差(位置決め精度)をE、ベースライン計測の目標精度をAとしたとき、電子ビームの傾き量θのトレランス(許容範囲)は(A/E)で表される。ここで、A/Eは、電子ビームの傾き量(絶対値)θの上限値である。したがって、主制御部C1は、電子ビームの傾き量(絶対値)θが下記の式2を満たすか否かを判断する。
θ≦A/E・・・(2)
【0015】
電子ビームの傾き量θがトレランス以内の電子ビームが存在しないならば、フローはS1に戻り、主制御部C1は、別の少なくとも1本の電子ビームを選択する。電子ビームの傾き量θがトレランス以内の電子ビームが存在するならば、フローはS6に進む。S5で、主制御部C1は、電子ビームの傾き量θがトレランス以内の電子ビームの中から、基準マーク21の位置を計測するのに使用する電子ビームを決定する。そして、決定された電子ビームを用いて基準マーク21の位置を計測し、その時のウエハステージ13に対する測長用干渉計23bの計測値P2をメモリに記憶する。主制御部C1は、アライメントスコープ22で基準マーク21を計測したときの測長用干渉計23bによる計測位置P1と、電子ビームで基準マーク21を計測したときの測長用干渉計23bによる計測位置P2との差分を算出し、その差分をベースラインとする。
【0016】
以上に述べた方法によりベースライン計測を行えば、電子ビームの傾き量に起因して発生する計測誤差の影響は受けないので、電子ビームによる露光を行う際の重ね合わせ精度を向上させることが出来る。本実施形態では、説明を簡単にする為に、X方向のベースラインの計測を説明したが、Y方向のベースラインの計測も同様にして行ってもよい。また、第1実施形態では、アライメント計測の一部として、電子ビームの傾き量の計測、ベースラインの計測に用いる電子ビームの決定を行う例を述べた。しかし、アライメント計測を行う前、あるいは、電子ビーム露光装置が描画動作を行っていないときなどに、事前に電子ビームの傾き量を計測してベースラインの計測に用いる電子ビームを決定しても良い。
【0017】
〔第2実施形態〕
図7の流れ図を用いて、ベースラインの計測に用いる電子ビームを決定する他の方法を説明する。工程11で、主制御部C1は、複数本の電子ビームの中から、基準マーク21の位置を検出する為の候補となる電子ビームを選択し、選択された電子ビームのみが基準マーク21上に到達するように偏向器10を調節する。ここで、候補となる電子ビームは1本のみではなく、複数本又は電子ビーム露光装置が有する全ての電子ビームでも良い。S12で、主制御部C1は、S11で選択された電子ビームの、ウエハステージ13のZ駆動軸に対する傾き量θを測定する。S13で、主制御部C1は、選択された全ての電子ビームに対して傾き量θの測定が行われたか否かを確認し、全ての電子ビームに対して測定が行われたならばS14にフローを進める。S14で、主制御部C1は、S12で測定された傾き量θを基に、S11で選択されなかった電子ビームの傾き量θを求めるか否かを判断する。S11で全ての電子ビームが選択されS12で全ての電子ビームについて傾き量θが測定されている場合には、フローはS16に進む。
【0018】
S15で、主制御部C1は、S12で計測された傾き量θに基づいて、S11で選択されなかった残部の電子ビームの傾き量θを、内挿、外挿又は近似式を用いて推定する。S16で、主制御部C1は、測定又は推定により取得された電子ビームの傾き量θが、トレランスを満たしているか否かを判断する。S17で、傾き量θがトレランス以内の電子ビームが存在しないと判断されたならば、フローはS11に戻り、主制御部C1は、別の少なくとも1本の電子ビームを選択するか、又は、偏向器10を制御して、電子ビームの偏向方向を設定し直す。S17で、傾き量θがトレランス以内の電子ビームが存在すると判断されたならばフローは、S18に進む。トレランス以内と判断された電子ビームの傾き量が、内挿、外挿又は近似式で求められた推定値であった場合、実際の傾き量を確認する為に、図4で説明した方法で傾き量を実測して確認しても良い。S18で、主制御部C1は、トレランスを満たす電子ビームの中から、ベースラインの計測に用いる電子ビームを決定する。
【0019】
〔第3実施形態〕
図8は、ベースラインの計測を示す流れ図である。S21で、アライメントスコープ22により、基準マーク21の位置を計測する。S21での露光装置の配置は図1Aに示す構成と同じである。S22で、ウエハステージ制御部C4により、基準マーク21を縮小電子光学系8の描画位置に移動させる。S22での露光装置の配置は、図1Bに示す構成と同じである。S23で、主制御部C1は、基準マーク21の位置を計測するための電子ビームを決定する。電子ビームの決定方法は、第1実施形態又は第2実施形態で説明した方法を用いる。
【0020】
S24で、主制御部C1は、S23で決定された電子ビームに対する、基準マーク21のフォーカス位置を計測するかどうかを判断する。ここで、電子ビームの傾き量がトレランスを満たしている場合は、次のS25をスキップして、電子ビームによって基準マーク21の位置を計測するS26に進んでも良い。また、電子ビームの傾き量がトレランスを満たしている場合は、S24の判断、S25のフォーカス計測は不要として、S27に進んでも良い。
【0021】
S24でフォーカス計測を行うと決定されたならば、主制御部C1は、s25で、フォーカス計測を行う。例えば、図1Bに示す配置において、基準マーク21に対して電子ビームをスキャンしながら照射し、基準マーク21の形状に対応して得られる反射2次電子の量を、電子線検出器24で検出することでフォーカス計測を行う。この計測は、所謂SEMによるパターン形状の計測と同等である。この形状計測を、基準マーク21のZ方向の位置を変化させて、複数のZ位置で計測する。得られた形状計測結果の中から電子ビームによる画像のコントラストが一番大きい位置でのZ位置を、ベストフォーカス位置とする。S26で、主制御部C1は、決定された電子ビームを用いて、基準マーク21の位置を計測する。S27で、主制御部C1は、ベースラインを算出する。主制御部C1は、ベースラインを算出するために使用する電子ビームを決定し、決定された電子ビームを用いてなされた基準マーク21の計測結果とアライメントスコープ22による基準マーク21の計測結果との差分からベースラインを算出する制御部を構成する。
【0022】
電子ビーム露光装置において、複数の電子ビームによるデバイスパターンの描画を行う際に、描画精度を向上させる目的の為に、事前に複数の電子ビームの傾き量を測定することがある。その場合、その測定値を利用して、電子ビームの傾き量が式2のトレランスを満たすかどうかの判断を行っても良い。
【0023】
[デバイス製造方法]
本発明の好適な実施形態のデバイス製造方法は、例えば、半導体デバイス、FPDのデバイスの製造に好適である。前記方法は、感光剤が塗布された基板を、上記の電子ビーム露光装置を用いて露光する工程と、前記工程で露光された基板を現像する工程とを含みうる。さらに、前記デバイス製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含みうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するステージと、複数の荷電粒子線を前記基板の表面に投影する投影系と、前記ステージの上に形成された基準マークと、前記基板上のマークに光を照射し前記マークからの反射光を検出して前記マークの位置を計測する第1計測器と、前記投影系を介して前記基準マークに荷電粒子線を照射し前記基準マークから到達する荷電粒子を検出して前記基準マークの位置を計測する第2計測器と、前記投影系の軸に沿う第1方向及び前記軸に直交する第2方向における前記ステージの位置を検出する検出器と、を備え、前記複数の荷電粒子線を用いて前記基板に描画を行う描画装置であって、
前記複数の荷電粒子線のうち少なくとも一つの荷電粒子線のそれぞれについて、前記基準マークに入射する荷電粒子線の前記第1方向に対する角度を取得し、前記取得された角度が許容範囲内である一つの荷電粒子線を決定し、前記決定された荷電粒子線を用いて前記第2計測器により計測された前記基準マークの位置と前記第1計測器により計測された前記基準マークの位置とから第1計測器に関するベースラインを求める制御部を備える、
ことを特徴とする描画装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記少なくとも一つの荷電粒子線のそれぞれについて、該荷電粒子線が照射された状態で前記ステージを駆動することによって前記基準マークを前記第1方向に沿って移動させ、当該移動前後の前記ステージの前記第1方向における位置それぞれにおいて前記第2計測器により計測された前記基準マークの位置に基づいて前記角度を得る、ことを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記少なくとも一つの荷電粒子線の一部の荷電粒子線のそれぞれについて、該荷電粒子線が照射された状態で前記ステージを駆動することによって前記基準マークを前記第1方向に沿って移動させ、当該移動前後の前記ステージの前記第1方向における位置それぞれにおいて前記第2計測器により計測された前記基準マークの位置に基づいて前記角度を得、前記少なくとも一つの荷電粒子線の残りの荷電粒子線のそれぞれについて、前記得られた角度に基づいて前記第1方向に対する角度を推定する、ことを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
【請求項4】
前記ステージの前記第1方向の駆動に対する位置決め精度をE、前記ベースラインの目標精度をAとしたとき、前記許容範囲を定める前記角度の絶対値の上限値は、(A/E)である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の描画装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の描画装置を用いて基板を露光する工程と、
前記工程で露光された基板を現像する工程と、
を含むことを特徴とするデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−4461(P2012−4461A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139945(P2010−139945)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】