描画装置
【課題】描画精度の向上に寄与できる描画装置を提供する。
【解決手段】記録媒体Pに向けて活性光線硬化型の液滴を吐出する吐出ヘッド62と、キャリッジ14を介して吐出ヘッドを走査方向に移動させるヘッド移動装置18と、活性光線を照射する照射部16とを備える。照射部をキャリッジとは分離して、且つ走査方向に移動自在に支持する支持部38と、照射部を吐出ヘッドとは独立して走査方向に移動させる照射部移動装置と、記録媒体に対する活性光線の照射領域を、照射部と対向する第1領域と、吐出ヘッドと対向する第2領域A2とに切り替える切替装置70とを備える。
【解決手段】記録媒体Pに向けて活性光線硬化型の液滴を吐出する吐出ヘッド62と、キャリッジ14を介して吐出ヘッドを走査方向に移動させるヘッド移動装置18と、活性光線を照射する照射部16とを備える。照射部をキャリッジとは分離して、且つ走査方向に移動自在に支持する支持部38と、照射部を吐出ヘッドとは独立して走査方向に移動させる照射部移動装置と、記録媒体に対する活性光線の照射領域を、照射部と対向する第1領域と、吐出ヘッドと対向する第2領域A2とに切り替える切替装置70とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
噴射ヘッドを往復移動させながら、噴射ヘッドに設けられた噴射ノズルから媒体上に液体を噴射するインクジェット式の描画装置が知られている。この描画装置を用いて、紫外線(紫外光)の照射によって硬化する液体を、噴射ノズルから媒体上に噴射するとともに、噴射した液体に紫外線を照射して液体を硬化させることで、媒体上に液体を定着させる技術が開発されている。
【0003】
このような技術では、瞬時に液体を硬化させて媒体に定着させることができるため、例えばブラスチック(ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート)等、液体を吸収しない素材に対しても液体を良好に定着させることが可能である。そして、このような従来のインクジェット式の描画装置には、紫外光を発する光源がキャリッジに搭載されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−119862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された描画装置では、1つの光源からの紫外光の経路を、複数の経路のうちの1つの経路に選択的に切り替えることができる。このため、光源の数量を低減できる。
しかしながら、上記特許文献1に記載された描画装置では、光源がキャリッジに搭載されているため、キャリッジにかかる負荷が大きくなりやすい。キャリッジにかかる負荷が増大すると、キャリッジの位置制御に係る精度、ひいては描画精度を向上させることが困難になる。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、描画精度の向上に寄与できる描画装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の描画装置は、記録媒体に向けて活性光線硬化型の液滴を吐出する吐出ヘッドと、キャリッジを介して前記吐出ヘッドを走査方向に移動させるヘッド移動装置と、前記活性光線を照射する照射部とを備えた描画装置であって、前記照射部を前記キャリッジとは分離して、且つ前記走査方向に移動自在に支持する支持部と、前記照射部を前記吐出ヘッドとは独立して前記走査方向に移動させる照射部移動装置と、前記記録媒体に対する前記活性光線の照射領域を、前記照射部と対向する第1領域と、前記吐出ヘッドと対向する第2領域とに切り替える切替装置とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
従って、本発明の描画装置では、照射部とキャリッジとが分離して設けられているため、キャリッジにかかる負荷が大きくならず、キャリッジの位置制御に係る精度、ひいては描画精度を向上に寄与できる。また、本発明では、切替装置が活性光線の照射領域を第1領域と第2領域とに切り替えることにより、記録媒体の第1領域に吐出された活性光線硬化型の液滴に活性光線を照射する場合と、記録媒体の第2領域に吐出された活性光線硬化型の液滴に活性光線を照射する場合とを容易に切り替えることが可能になる。
【0009】
上記描画装置における前記切替装置としては、前記活性光線の照射方向が前記第1領域に向く第1位置と、前記キャリッジに向く第2位置との間で前記照射部を駆動する駆動装置と、前記キャリッジに設けられ、前記第2位置の前記照射部から照射された前記活性光線を前記第2領域に反射する反射装置とを含む構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、記録媒体の第1領域に吐出された活性光線硬化型の液滴に活性光線を照射する場合には、照射部を第1位置に駆動することにより、活性光線の照射方向を第1領域とすることができ、記録媒体の第2領域に吐出された活性光線硬化型の液滴に活性光線を照射する場合には、照射部を第2位置に駆動することにより、キャリッジに向けて活性光線を照射させるとともに、反射装置により反射させて活性光線を第2領域に照射することができる。
【0010】
上記の反射装置としては、前記吐出ヘッドを挟んだ前記走査方向の両側に設けられ、前記照射部移動装置を制御して、前記活性光線の照射方向を前記走査方向で前記吐出ヘッドよりも後方側に位置する前記反射装置に向かせる制御装置が設けられる構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、走査方向で吐出ヘッドよりも後方側に位置する反射装置を介して、記録媒体の第2領域に吐出された活性光線硬化型の液滴に活性光線を照射することができる。そのため、本発明では、記録媒体の第2領域に吐出された活性光線硬化型の液滴に対して、走査移動時に直ちに連続的に活性光線を照射することが可能になる。
【0011】
上記構成における照射部としては、光源から発生した前記活性光線を所定方向に向けて反射するリフレクターを有し、前記駆動装置は、前記第1位置と前記第2位置との間で前記リフレクターを駆動する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、光源を移動させることなく、活性光線の進行方向(照射方向)を変更することが可能になり、光源の移動に起因して生じる照明特性の変動等、活性光線の照射に関する不安定要因を排除することができる。
【0012】
上記構成における前記反射装置としては、前記記録媒体と対向する方向に関して、該記録媒体に対して、前記吐出ヘッドにおける前記液滴を吐出する吐出面よりも離間した位置に配置される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、記録媒体と吐出ヘッドとの間に、照射部からの活性光線が入り込むのを抑制できる。これにより、記録媒体上に吐出不良による画像乱れが防止された高画質な画像を形成することができる。また、吐出ヘッドに洗浄/清掃等のメンテナンスを施すことなく、長時間安定して液滴を良好に吐出させることができる。
【0013】
また、上記構成における前記照射部としては、前記記録媒体と対向する方向に関して、該記録媒体に対して、前記吐出ヘッドにおける前記液滴を吐出する吐出面よりも離間した位置に配置される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、記録媒体と吐出ヘッドとの間に、照射部からの活性光線が入り込むのを抑制できる。これにより、記録媒体上に吐出不良による画像乱れが防止された高画質な画像を形成することができる。また、吐出ヘッドに洗浄/清掃等のメンテナンスを施すことなく、長時間安定して液滴を良好に吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るインクジェット描画装置を適用する一実施形態としての製版装置の概略構成を示す模式的上面図である。
【図2】図1に示す製版装置の模式的な側面図である。
【図3】図1に示す製版装置に用いられるインクジェットヘッドの概略構成を示す断面図である。
【図4】リフレクター42が移動したインクジェットヘッドの概略構成を示す断面図である。
【図5】図1に示す製版装置の走査型UV照射部を背面から見た模式的な断面図である。
【図6】それぞれ図1に示す製版装置のインクジェットヘッドキャリッジと光源ユニットの位置関係を示す概略上面図である。
【図7】それぞれ図1に示す製版装置のインクジェットヘッドキャリッジと光源ユニットの位置関係を示す概略上面図である。
【図8】それぞれ図1に示す製版装置のインクジェットヘッドキャリッジと光源ユニットの位置関係を示す概略上面図である。
【図9】それぞれ図1に示す製版装置のインクジェットヘッドキャリッジと光源ユニットの位置関係を示す概略上面図である。
【図10】それぞれ図1に示す製版装置のインクジェットヘッドキャリッジと光源ユニットの位置関係を示す概略上面図である。
【図11】それぞれ図1に示す製版装置のインクジェットヘッドキャリッジと光源ユニットの位置関係を示す概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の描画装置の実施の形態を、図1ないし図11を参照して説明する。
なお、以下の実施の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0016】
図1は、本発明に係るインクジェット式の描画装置を適用する一実施形態としての、製版装置の概略構成を示す模式的上面図であり、図2は、図1に示す製版装置の模式的な側面図である。また、図3は、図1に示すインクジェットヘッドの一例の概略構成を示す断面図であり、図4は、図1に示す製版装置の走査型UV照射部を背面から見た模式的な断面図である。
【0017】
以下においては、被記録媒体として平版印刷原版、活性光線硬化型インクとして紫外線硬化型インク(以下、UVインクという)Q、紫外線(以下、UV光という)を照射するための点状または略点状の光源として紫外線ランプ(以下、UVランプという)を用いて印刷版を作製する製版装置を代表例として説明する。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、プリント基板を作製するプリント基板作製装置、紙、樹脂シート等に画像を描画するインクジェットプリンターなどであっても良い。
【0018】
図1および図2に示す製版装置10は、記録媒体としてのシート状の印刷原版Pの記録面にインクジェット記録方法により印刷インキ受容性(親インク性)の画像部を形成するインクジェット式の描画装置を適用するものである。
【0019】
製版装置10は、印刷原版Pを支持するプラテン12と、印刷原版Pに像様にUVインクQを吐出するインクジェットヘッド(吐出ヘッド)62及び第1のミラー(反射装置)47A並びに第2のミラー(反射装置)47Bを備えるヘッドキャリッジ(キャリッジ)14と、印刷原版Pに吐出されたUVインクQにUV光を主走査方向(図1中矢印Yで示す方向)に走査して照射する走査型のUV照射部(照射部)16と、ヘッドキャリッジ14を主走査方向(走査方向)であるY方向に移動させるヘッド移動機構(ヘッド移動装置)18と、プラテン12に支持された印刷原版Pを主走査方向(Y方向)と略直交する副走査方向(図1および図2中矢印Xで示す方向)に搬送する搬送機構20と、ヘッドキャリッジ14、走査型UV照射部16、ヘッド移動機構18および搬送機構20の動作を制御する制御部22と、を有する。
【0020】
プラテン12は平板形状を有し、図示しない自動給版装置から供給された印刷原版Pをその表面に支持するものである。ここで、プラテン12の表面には、空気吸引孔を設けてヘッドキャリッジ14による描画中、つまりヘッドキャリッジ14のインクジェットヘッド62による描画中に印刷原版Pを吸着することが好ましい。これにより、印刷原版Pの平面性を適正に維持できる。また、搬送機構20によって印刷原版Pを副走査方向(X方向)に搬送する際には、プラテン12の表面は、印刷原版Pの裏面との摩擦係数が小さいものであるのが好ましい。なお、プラテン12は、図示しない製版装置筐体に取り付けられる。
【0021】
搬送機構20は、ヘッドキャリッジ14に対して印刷原版Pを副走査(X)方向に搬送するものである。搬送機構20は、図示しない駆動源と接続する駆動ローラーである送りローラー30と、従動ローラーである押さえローラー32とを有しており、送りローラー30と押さえローラー32との間に印刷原版Pを挟持して副走査(X)方向に搬送する。送りローラー30と押さえローラー32とは、印刷原版Pの搬送経路上において、印刷原版Pの表裏を上下から挟む様に配置されている。自動給版装置から供給された印刷原版Pは、送りローラー30と押さえローラー32との間に所定のニップ圧で挟持される。送りローラー30を図示しない駆動源によって所定方向(図2において反時計回り)に回転させることで、印刷原版Pは副走査(X)方向に搬送される。
【0022】
また、ヘッドキャリッジ14による描画中に、印刷原版Pをプラテン12の表面に吸着させる場合には、送りローラー30と押さえローラー32とは回転を停止し、ヘッドキャリッジ14による非描画中に、送りローラー30が図示しない駆動源によって回転駆動され、押さえローラー32との間に挟持している印刷原版Pを副走査(X)方向に搬送するように構成するのが好ましい。すなわち、搬送機構20は、印刷原版Pを間欠的に副走査方向へ搬送するのが好ましい。なお、送りローラー30および押さえローラー32は、共に、図示しない製版装置筐体に回転可能に支持される。
なお、本発明に用いられる搬送機構(上記実施形態では、搬送機構20として説明した。)は、印刷原版を副走査方向に搬送できるものであればどのような形式のものでも良く、公知の全ての副走査搬送機構が適用可能である。
【0023】
ヘッドキャリッジ14は、インクジェットヘッド62と、第1のミラー47Aと、第2のミラー47Bと、を有する。本実施形態では、ヘッドキャリッジ14は、プラテン12とインクジェットヘッド62が対向して配置され、プラテン12の表面に支持された印刷原版Pの記録面の鉛直方向上方にヘッドキャリッジ14が配置される。ヘッドキャリッジ14は、後述するヘッド移動機構18により、プラテン12の表面と平行に、主走査方向(Y方向)に往復移動(走査)可能な状態で支持されている。
【0024】
ヘッドキャリッジ14のインクジェットヘッド62は、プラテン12上に載置された印刷原版Pの記録面上に、像様にUVインクQをインク液滴として吐出する。すなわち、記録されるべき画像の画像データに基づく吐出信号に応じてUVインクQを吐出する。吐出されたUVインクQにより印刷原版P上に画像を記録し、親インキ性の画像部を形成するものである。
ここで、吐出信号とは、記録されるべき画像の画像データに基づいて、画像部となる部分に選択的にインクを塗布するように液滴を吐出させるためのデータ信号である。なお、印刷原版Pの記録面は、撥インキ性(親水性)を呈し、UVインクQの吐出によって形成された画像部のみが親インキ性(疎水性)を呈する。
【0025】
図3は、図1に示す製版装置10に用いられたヘッドキャリッジ14のインクジェットヘッド62の概略構成を示す断面図である。
インクジェットヘッド62は、ケース102と、ノズルプレート104と、ガードプレート106と、圧電素子108を有する。
【0026】
図3に示したインクジェットヘッド62は、ケース102に形成された吐出口102cとノズルプレート104に形成されたノズル104aとによりUVインクQの流路が形成されている。インク流路の側面に相当する位置のノズルプレート104には複数のノズル104aが連通して形成され、ケース102内のインクQをインク流路の側面のノズル104aからインク液滴として吐出する、いわゆるサイドシューター(side shooter)型のインクジェットヘッドである。
ここで、図3には、インクジェットヘッド62の一部のノズル104aのみを示したが、インクジェットヘッド62は、インク液滴を吐出する図示しない複数のノズル104aを有しており、これらノズル104aは、描画時の副走査方向(X方向)に一列に配置されている。
【0027】
以下、インクジェットヘッド62の各部材について詳細に説明する。
ケース102は、中空の箱型形状であり、1つの面に複数のインク出口102aと、複数のインク入口102bとが形成されている。これらインク出口102a及びインク入口102bが形成された面に対向する面において、インク出口102aとインク入口102bとの間となる位置にそれぞれ吐出口102cが形成されている。また、ケース102内部の圧力室でもあるインク流路には各吐出口102cに対応してピエゾ型(例えばPZT駆動など)の圧電素子108が配置されている。
【0028】
ノズルプレート104は、ケース102の吐出口102c側の面に配置され、吐出口102cに対応する位置にノズル104aが形成されている。ノズル104aは、吐出口102cと連通しており、吐出口102cに送給されたインクQが、印刷原版Pと対向するノズル面(吐出面)104bからインク液滴として吐出される。
【0029】
ガードプレート106は、ノズルプレート104の外面に配置され、ノズルプレート104のノズル104aの近くに突出して配置されている。ガードプレート106は、ノズル104aに他の部材が衝突しないようにノズル104aを保護する。
【0030】
インクジェットヘッド62は、圧電素子108を駆動させてインク入口102bから吐出口102cへ送給されたインクQをノズル104aから吐出させる。そして、吐出されないインクQがインク出口102aから送出される。このとき、ケース102の圧力室内においてインクQが循環及び攪拌されることで沈殿することなくインクQがインク液滴として吐出される。インクジェットヘッド62には、ヒーター等でヘッド全体を調温加熱してインクQの粘度を低減させて吐出しやすくする方法を用いてもよい。
【0031】
なお、インクジェットヘッドは、上記実施形態のサイドシューター型のピエゾ方式に限定されず、コンティニュアス型およびオンデマンド型のピエゾ方式、サーマル方式、ソリッド方式、静電吸引方式等の種々の方式のインクジェットヘッド(吐出ヘッド)を用いることができ、特に、オンデマンド型の種々の方式のインクジェットヘッドを用いることが好ましい。また、ノズルは、単列配置に限定されず、複数列としても千鳥格子状の配置としてもよい。
【0032】
ヘッドキャリッジ14の第1のミラー47A及び第2のミラー47Bは、後述する光源ユニット(紫外線照射部)38からのUV光を反射して、印刷原版Pの記録面上に吐出されたUVインクQに照射するものである。
【0033】
印刷原版Pの記録面を鉛直方向の上側から見た場合、インクジェットヘッド62は、主走査方向(Y方向)において、第1のミラー47A及び第2のミラー47Bとの間に位置するように配置される。換言すると、第1のミラー47A及び第2のミラー47Bは、インクジェットヘッド62を挟んで、Y方向の両側に配置されている。第1のミラー47A及び第2のミラー47Bの照射範囲は、副走査方向(X方向)に配置された複数のノズル104aの列の長さよりも長い照射範囲となるように構成される。
【0034】
典型的には、第1のミラー47A及び第2のミラー47Bの副走査方向(X方向)の長さは、上記の複数のノズル104aの列の長さより長く構成されている。そして、主走査方向(Y方向)においてインクジェットヘッド62を挟む両側に配置された第1のミラー47A或いは第2のミラー47Bにより、光源ユニット(支持部)38からのUV光を反射させるため、インクジェットヘッド62が主走査方向(Y方向)に印刷原版Pの上を1回通過する期間においてインクジェットヘッド62から吐出されたUVインクQは、その期間内に光源ユニット38からのUV光が照射されることになる。
【0035】
第1のミラー47A及び第2のミラー47Bは、インクジェットヘッド62、特にノズルプレート104のノズル面104bよりも鉛直方向において高い位置に配置することが好ましい。図2に示すように、第1のミラー47A及び第2のミラー47Bの下端から印刷原版Pの記録面までの高さh1,h2は、ノズルプレート104の鉛直方向における高さh0よりも高くなっている。
【0036】
このような構成によれば、印刷原版Pの記録面とインクジェットヘッド62との間に、光源ユニット(紫外線照射部)38からのUV光が入り込むのを抑制できる。これにより、吐出不良による画像乱れが防止された高画質な画像を被記録媒体上に形成することができる。また、インクジェットヘッド62に洗浄/清掃等のメンテナンスを施すことなく、長時間安定してインク液滴を良好に吐出させることができる。
【0037】
図1及び図2に示すように、ヘッド移動機構18は、ヘッドキャリッジ14を主走査方向に往復移動(走査)させるものである。ヘッド移動機構18は、ドライブスクリュー34と、ガイドレール35と、駆動支持部36aと、支持部36bとを有する。ドライブスクリュー34およびガイドレール35は、共に、主走査方向(図1中Y方向)に延伸し、描画可能な最大サイズの印刷原版Pが、主走査方向の一端から他端までを跨ぐように設置されている。
【0038】
ドライブスクリュー34は、ヘッドキャリッジ14に形成された雌ねじ部(図示せず)と螺合する雄ねじ部を持つボールねじ(図示せず)等からなり、回転することによりヘッドキャリッジ14を主走査方向に移動させる。
ガイドレール35は、ヘッドキャリッジ14に形成された貫通孔に挿通され、ドライブスクリュー34の回転により移動するインクジェットヘッド62の姿勢が変わらないように案内するガイドである。
【0039】
また、駆動支持部36aは、ドライブスクリュー34およびガイドレール35の一方の端部に、支持部36bは、それらの他方の端部に設けられ、ドライブスクリュー34を正逆回転可能な状態で支持し、ガイドレール35を移動しないように支持している。駆動支持部36aは、ドライブスクリュー34を駆動するモーター等の駆動源(図示せず)を備える。
【0040】
ヘッドキャリッジ14は、ドライブスクリュー34およびガイドレール35によって移動可能に支持されており、駆動支持部36aによりドライブスクリュー34を正逆回転させることで、ガイドレール35に案内されつつ、Y方向(主走査方向)に往復移動(走査)される。
なお、ヘッド移動機構18は、ヘッドキャリッジ14の姿勢を保つために、複数のガイドレールを備えていても良いし、その他の姿勢保持手段を有していても良い。なお、ヘッドキャリッジ14は、ガイドレール35により、インク液滴を吐出させる部分、つまり、インクジェットヘッド62のインク液滴吐出面がプラテン12と対向した所定の姿勢を維持して移動される。
【0041】
ここで、ヘッドキャリッジ14の移動機構としては、上記のヘッド移動機構18に限定されず、種々の公知の移動機構を用いることができる。
例えば、ドライブスクリューをガイドレールなどの棒状部材とし、インクジェットヘッドのY方向の端部の両側にそれぞれガイドワイヤーをつけた構成として、移動方向のガイドワイヤーを巻き取り、ガイドレールに沿って移動させる構成も用いることができる。
またガイドワイヤーの代りにタイミングベルトで移動させても良い。この場合には、ワイヤーリールに代えてタイミングベルト用スプロケットを用いればよい。
また、ラックアンドピニオン機構を用いても良い。また、自走式としても良い。さらに、リニアモーターを用いてもよい。
【0042】
図5は、図1に示す製版装置10の走査型UV照射部16を模式的に示す背面断面図であり、印刷原版Pの送り方向(副走査(X)方向)上流側から下流側を見た図である。
図2、図4及び図5に示すように、走査型UV照射部16は、光源ユニット(紫外線照射部)38と、光源ユニット移動機構(照射部移動装置)46と、照射領域切替装置(切替装置)70とを備えており、ヘッドキャリッジ14に対して印刷原版Pの送り方向(副走査(X)方向)下流側に配置される。
【0043】
光源ユニット38は、UV光を射出するUVランプ40と、射出されたUV光を、所定方向に向く光とするリフレクター42と、を有する。光源ユニット38は、筐体51の中に収納されてランプハウスとして構成されている。ここで、筐体51の内面は、鏡面とするのが好ましい。
【0044】
UVランプ40は、UVインクQを硬化させるためのUV光を発する。UVランプ40としては、例えば、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの種々のランプ(点状光源)、紫外線蛍光管などのチューブバルブやこれらを用いて略点状にしたランプなどを用いることができる。
これらの光源は、可視光線を含む光を照射してもよい。活性光線硬化型インク(本実施形態では、UVインク)の感光域が可視光域にも感度を持つ場合には、可視光線も含む光を照射することで、より感度を高くすることができ、UVインクの硬化を好適に行うことができる。
なお、本発明においては、本実施形態で用いたUVランプ40の代わりに、UVLEDやUVLEDアレイを用いてもよい。また、UVランプ40としては、ビデオプロジェクターやリアプロジェクション型テレビに用いられている超高圧水銀灯(超高圧水銀ランプ)を用いることが好ましい。UVランプ40として、超高圧水銀灯を用いることで、光源ユニット38を安価にすることができる。
【0045】
リフレクター42は、UVランプ40を内蔵し、UVランプ40から射出されたUV光を射出する矩形断面形状の射出口42aを備えている。リフレクター42の内面は、鏡面とされており、UVランプ40から射出されたUV光が、内面で吸収されることなく反射される。これにより、UVランプ40から射出されたUV光は、直接またはリフレクター42に反射して、吸収されることなく、射出口42aからUV光として射出される。また、リフレクター42は、Y方向と平行な回転軸(図示しない)に軸支され、当該回転軸回りに回転可能とされている。
【0046】
照射領域切替装置70は、印刷原版Pに対するUV光の照射領域を、図4に示すように、UV照射部16(UVランプ40)と対向する第1領域A1と、図2に示すように、ヘッドキャリッジ14(第1、第2のミラー47A、47B)と対向する第2領域A2とに切り替えるものであって、駆動装置71と、リフレクター42とから構成される。また、上述した第1のミラー47A、第2のミラー47Bとは、照射領域切替装置70と協働して、印刷原版Pに対するUV光の照射領域を切り替える。駆動装置71は、制御部22の制御により、リフレクター42を回転軸回りに回転駆動して、射出口42aが印刷原版Pを向く図4に示す第1位置、または射出口42aが第1、第2のミラー47A、47Bを向く図2に示す第2位置に位置決めする。
【0047】
走査型UV照射部16は、光源ユニット38を主走査(Y)方向に走査しながら、上記第1位置で印刷原版Pの第1領域A1上のUVインクQに向けて直接、あるいは上記第2位置で、ヘッドキャリッジ14に設けられた第1のミラー47Aまたは第2のミラー47Bのいずれかに向けてUV光を照射する。光源ユニット38から照射され、第1のミラー47Aあるいは第2のミラー47Bのいずれかにより反射されたUV光は、印刷原版Pの第2領域上のUVインクQに照射される。このUVインクQは、印刷原版Pの記録面上に像様にインクジェットヘッド62から吐出され、画像部を形成したものである。
【0048】
印刷原版Pの記録面上のUVインクQは、光源ユニット38から照射され反射されたUV光により硬化する。
ここで、走査型UV照射部16は、リフレクターが第2位置にあるときは、第1のミラー47Aあるいは第2のミラー47Bのうち、インクジェットヘッド62の主走査方向(Y方向)における移動方向の後方側に位置するミラーに、光源ユニット38からのUV光が照射されるように制御部22により制御される。したがって、インクジェットヘッド62から吐出された直後のUVインクQに対し、光源ユニット38からのUV光が照射されることになる。また、光源ユニット38が、ヘッドキャリッジ14とは独立して移動(走査)することが可能な走査型UV照射部16に設けられるため、ヘッドキャリッジ14に光源ユニット38を取り付ける場合に比して、ヘッドキャリッジ14を軽量化することができる。
【0049】
光源ユニット移動機構46は、図5に示すように、プラテン12、または描画可能な最大サイズの印刷原版Pの搬送経路となる領域の両外側、すなわち主走査方向(Y方向)の両外側に位置する2つのワイヤーリール48aおよびワイヤーリール48bと、これらの2つのワイヤーリール48a,48bに張架されるワイヤー50と、ワイヤーリール48aを回転駆動する駆動源(モーター)52とを有する。ワイヤー50には、光源ユニット38が筐体51の照明窓53を印刷原版Pの送り方向(副走査(X)方向)上流側に向けるとともに、照明窓54を印刷原版Pと対向する方向に向けて固定的に取り付けられている。換言すれば、ワイヤー50には、光源ユニット38が筐体51の照明窓53をヘッドキャリッジ14に向け、照明窓54を印刷原版Pに向けて固定的に取り付けられている。ワイヤー50の両端部はそれぞれワイヤーリール48a,48bに巻き付けられている。
【0050】
ワイヤーリール48a,48bは、図示しないフレームに軸支されており、ワイヤーリール48bは、ワイヤー50を巻き取る方向に常に所定の張力で付勢されている。ワイヤーリール48bの付勢方法は、従来公知の技術を利用すればよく、例えば付勢手段として、ぜんまいバネやコイルバネや板状コイルバネを用いることができる。ワイヤーリール48bの付勢力は、ワイヤー50を弛ませることなく光源ユニット38を印刷原版Pから一定の距離に保持できるように設定すればよい。
【0051】
ここで、光源ユニット38、特に、UVランプ40あるいは照明窓53、54の位置は、インクジェットヘッド62、特にノズルプレート104のノズル面104bよりも高い位置に配置することが好ましい。図2のように、照明窓53、54の下端部から印刷原版Pの記録面までの高さh3は、ノズルプレート104の鉛直方向における高さh0よりも高くなっている。
【0052】
このような構成によれば、印刷原版Pの記録面とインクジェットヘッド62との間に、光源ユニット(紫外線照射部)38からのUV光が入り込むのを抑制できる。これにより、吐出不良による画像乱れが防止された高画質な画像を印刷原版P(被記録媒体)上に形成することができる。
また、インクジェットヘッドに洗浄/清掃等のメンテナンスを施すことなく、長時間安定してインク液滴を良好に吐出させることができる。
【0053】
駆動源52によって、ワイヤー50を巻き出す方向(図5では反時計回り)にワイヤーリール48aを回転駆動すると、ワイヤーリール48bはその付勢力によって回転し、ワイヤー50を巻き取る。ワイヤーリール48aが停止すると、ワイヤー50が所定の張力となったところでワイヤーリール48bも停止する。
逆に、駆動源52がワイヤー50を巻き取る方向(図5では時計回り)にワイヤーリール48aを回転駆動すると、ワイヤーリール48bの付勢力が負けてワイヤー50がワイヤーリール48bから巻き出され、ワイヤーリール48aに巻き取られる。
【0054】
このようにして、走査型UV照射部16は、駆動源52によるワイヤーリール48aの回転駆動によって、ワイヤー50に常にほぼ一定の張力を維持した状態でワイヤー50を主走査方向(図中、矢印Y方向)に往復移動させ、ワイヤー50に取り付けられた光源ユニット38を印刷原版Pの記録面にほぼ平行に、主走査方向に往復移動させる。
【0055】
なお、図5に示す例では、光源ユニット移動機構46の構成を明瞭に示すために、光源ユニット38がワイヤー50に取り付けられている様子のみを示してあるが、光源ユニット移動機構46は、光源ユニット38の姿勢をプラテン12に対して平行に保つために、光源ユニット38の主走査方向の移動を案内する1以上のガイドレールやその他の姿勢保持手段を備えるのが好ましい。
【0056】
光源ユニット38は、主走査方向に移動することにより、UVランプから射出され、リフレクター42により反射されたUV光を、直接、あるいはヘッドキャリッジ14を介して照射しながら間接的に印刷原版Pに対して走査する。制御部22によって、駆動源52によるワイヤーリール48aの回転量を制御し、光源ユニット38の移動を制御することにより、光源ユニット38の往復動に伴って、印刷原版Pの全幅の領域において、左端から右端へ、次いで右端から左端へと、順にUV照射が行われる。
【0057】
ここで、光源ユニット移動機構46は、ヘッド移動機構18よりも機械精度が低くてもよい。これは、光源ユニット38からのUV光が第1のミラー47Aあるいは第2のミラー47Bに到達するように構成すればよいからである。第1のミラー47A及び第2のミラー47Bの主走査方向における長さは、主走査方向における照明窓53の長さより長く構成することが好ましい。
例えば、第1のミラー47A及び第2のミラー47Bの主走査方向における長さが照明窓53の3倍であれば、光源ユニット38のヘッドキャリッジ14に対する移動の遅れが照明窓53の3倍以内に収まるように、光源ユニット移動機構46を制御すればよい。
【0058】
駆動源52は、ワイヤーリール48aを正方向および逆方向に回転させることができるものであればよい。例えば、電動モーターを用いることができる。
【0059】
制御部22は、上述したように、ヘッドキャリッジ14、走査型UV照射部16、ヘッド移動機構18および搬送機構20の動作を制御する。
具体的には、制御部22は、印刷原版Pに画像部を形成するための、ヘッドキャリッジ14のインクジェットヘッドによる画像データに応じたUVインクQの吐出動作、印刷原版Pに画像部を形成しているUVインクQを硬化させるための、走査型UV照射部16によるUV光の走査照射、すなわち光源ユニット移動機構46による光源ユニット38の往復移動(主走査方向)、ヘッド移動機構18によるヘッドキャリッジ14の往復移動(主走査方向)、照射領域切替装置70の駆動装置71によるリフレクター42の移動および搬送機構20による印刷原版Pの副走査方向への連続搬送(好ましくは、間欠搬送)を制御する。なお、制御部22は、この他、製版装置10全体、もしくは、図示しない全ての構成要素を制御するものであるのが好ましい。
【0060】
ここで、制御部22は、少なくとも上記第2位置でヘッドキャリッジ14に設けられた第1のミラー47Aまたは第2のミラー47Bのいずれかに向けてUV光を照射する場合には、ヘッド移動機構18及び光源ユニット移動機構46により、ヘッドキャリッジ14と光源ユニット38とを主走査方向に、同一周期でかつヘッドキャリッジ14と光源ユニット38との位置関係が所定の範囲内になるように移動させる。
【0061】
次に、図1、2に示す製版装置10の動作を、図6乃至図11を用いて説明する。
図6乃至図11は、図1に示す製版装置10のインクジェットヘッド14と光源ユニット38の位置関係を示す概略上面図である。
また、文中において左右を用いて説明しているが、左側とは主走査方向(Y方向)において、中央部よりワイヤーリール48a側に向いた方向を指し、右側とは主走査方向(Y方向)において、中央部よりワイヤーリール48b側に向いた方向を指す。
【0062】
図1、2に示す製版装置10において、図示しない自動給版装置からプラテン12に印刷原版Pが供給される。プラテン12に供給された印刷原版Pは、搬送機構20により副走査方向(図1中X方向)に所定速度で間欠搬送される。
【0063】
印刷原版Pは、搬送機構20によりヘッドキャリッジ14と対向する位置まで搬送される。ヘッドキャリッジ14は、ヘッド移動機構18により主走査方向に移動されつつ、画像信号に応じてインクジェットヘッド62からUVインクQを印刷原版Pの表面に吐出させる。これにより、印刷原版Pの表面には、UVインクQにより画像部が形成される。
【0064】
図6に示すように、主走査方向(Y方向)において右側に向かってヘッドキャリッジ14を走査しながらUVインクQを吐出する際には、光源ユニット38からのUV光が第2のミラー47Bに向かう位置関係を保ちながら、ヘッド移動機構18及び光源ユニット移動機構46により、ヘッドキャリッジ14と光源ユニット38とを主走査方向において移動させる。
【0065】
このとき、図2に示すように、光源ユニット38からのUV光が第2のミラー47Bに向かうように、ヘッドキャリッジ14と光源ユニット38、及びリフレクター42との相対的な位置関係が設定される。ここで、記録面に対して並行して出射された光源ユニット38からのUV光は、第2のミラー47Bに照射される。そして、第2のミラー47Bに照射されたUV光は、第2のミラー47Bにより反射されることで、印刷原版Pの記録面上の第2領域A2に向けて導かれる。印刷原版Pの記録面上の第2領域A2には、インクジェットヘッド62から吐出されたUVインクQが配置されているため、光源ユニット38からのUV光は、このUVインクQに照射されて、UVインクQは硬化(仮硬化)することになる。
【0066】
そして、図7に示すように、ヘッドキャリッジ14、特にインクジェットヘッド62が印刷原版Pと対向する位置を通過して、プラテン12の右側に位置すると、ヘッドキャリッジ14は停止する。一方、光源ユニット38は、停止せず、主走査方向を右側に移動する。また、この主走査方向の移動が終了した後、プラテン12に供給された印刷原版Pは、搬送機構20により副走査方向(図1中X方向)に所定量搬送される。
【0067】
そして、図8に示すように、光源ユニット38からのUV光が第2のミラー47Bに向かう状態から第1のミラー47Aに向かう状態になるまで主走査方向を右側に移動して、光源ユニット38は停止する。
【0068】
次に、図9に示すように、主走査方向(Y方向)において左側に向かってヘッドキャリッジ14を走査しながらUVインクQを吐出する際には、光源ユニット38からのUV光が第1のミラー47Aに向かう位置関係を保ちながら、ヘッド移動機構18及び光源ユニット移動機構46により、ヘッドキャリッジ14と光源ユニット38とを主走査方向を左側に移動させる。
【0069】
このとき、記録面に対して並行して出射された光源ユニット38からのUV光は、第1のミラー47Bに照射される。そして、第2のミラー47Bに照射されたUV光は、第2のミラー47Bにより反射されることで、印刷原版Pの記録面上の第2領域A2に向けて導かれる。印刷原版Pの記録面上の第2領域A2には、インクジェットヘッド62から吐出されたUVインクQが配置されているため、光源ユニット38からのUV光は、このUVインクQに照射されて、UVインクQは硬化(仮硬化)することになる。
【0070】
そして、図10に示すように、ヘッドキャリッジ14、特にインクジェットヘッド62が印刷原版Pと対向する位置を通過して、プラテン12の左側に位置すると、ヘッドキャリッジ14は停止する。一方、光源ユニット38は、停止せず、主走査方向を左側に移動する。また、この主走査方向の移動が終了した後、プラテン12に供給された印刷原版Pは、搬送機構20により副走査方向(図1中X方向)に所定量搬送される。
そして、図11に示すように、光源ユニット38からのUV光が第1のミラー47Aに向かう状態から第2のミラー47Bに向かう状態になるまで移動して、光源ユニット38は停止する。次に、画像の形成が終わっていなければ図6に戻りインクジェットヘッド62による描画と光源ユニット38によるUV光照射が行われることになる。
【0071】
そして、搬送機構20による印刷原版Pの副走査方向の搬送と、ヘッド移動機構18によるヘッドキャリッジ14の主走査方向(図1中Y方向)の往復移動により、ヘッドキャリッジ14のインクジェットヘッド62は、印刷原版Pの全面を走査し、印刷原版Pの全面における所要の位置にUVインクQによる画像部を形成する。
より具体的には、図1に示すように、インクジェットヘッドキャリッジ14が主走査方向の印刷原版P(被記録媒体)の全域を走査する毎に、搬送機構20が印刷原版Pを副走査方向にdx移動させることで、印刷原版P全域を走査させ、画像を形成させる。
【0072】
一方、印刷原版Pに対する画像形成が完了した後、あるいは一回の走査後に、仮硬化させたUVインクQを本硬化させる際には、ヘッドキャリッジ14を停止させた状態で、搬送機構20により光源ユニット38と印刷原版Pとの送り方向(X方向)の相対位置を調整するとともに、駆動装置71によりリフレクター42を図4に示す第1位置に切り替えた後に、光源ユニット移動機構46により光源ユニット38をY方向に移動させて、光源ユニット38からのUV光は、照明窓54を介して第1領域のUVインクQに照射されて本硬化させる。
なお、本硬化させる際のUV光の強度(照度)は、仮硬化させる際の強度と異なる強度で照射するように、制御部22が制御する構成としてもよい。この場合、仮硬化させる際の強度よりも本硬化させる際の強度が大きいことが好ましい。また、印刷原版Pに達するまでのUV光の光路長に応じてUV光の強度を制御する構成としてもよい。
【0073】
以上、説明したように、本実施形態では、光源ユニット38をヘッドキャリッジ14とは独立して移動自在に設け、光源ユニット38からのUV光の照射領域を印刷原版P上の第1領域A1と第2領域A2とに切り替えるため、ヘッドキャリッジ14にかかる負荷を大きくすることなく、UVインクQを硬化させることができ、ヘッドキャリッジ14の軽量化が実現することにより、ヘッドキャリッジ14の位置制御に係る精度、ひいては描画精度を向上させることが可能になる。
【0074】
また、本実施系形態では、ヘッドキャリッジ14の移動は、光源ユニット38に対して平面視で互いに重ならない位置で行われる。よって、ヘッドキャリッジ14と光源ユニット38との相対的な位置関係の調整は、互いに干渉することなく行われるため、制御が容易となる。また、光源ユニット38及び第1のミラー47A、第2のミラー47Bを印刷原版Pに対して近接して配置できるため、特許文献1のように、光源をインクジェットヘッド62の上に配置する構成に比して、光源ユニット38から印刷原版Pの印刷面までの光路を短くすることができる。よって、光源ユニット38からのUV光をロスなく、印刷原版P上のUVインクQに照射することができる。
【0075】
また、本実施系形態では、第1のミラー47A又は第2のミラー47Bのうち、インクジェットヘッド62に対してヘッドキャリッジ14の進行方向後ろ側のミラーに対し、光源ユニット38からのUV光が照射される。そして、ヘッドキャリッジ14のインクジェットヘッド62に対向した位置を通過した印刷原版P(その部分)は、その後、第1のミラー47A又は第2のミラー47Bのうち、インクジェットヘッド62に対してヘッドキャリッジ14の進行方向後ろ側のミラーに対向した位置に搬送される。したがって、インクジェットヘッド62から吐出されたUVインクQには、このUVインクQを吐出した主走査方向の移動期間中に、光源ユニット38からのUV光が照射されることになる。よって、インクジェットヘッド62により印刷原版P上に画像が描画されてから、光源ユニットにより印刷原版P上の画像部にUV光が照射され、硬化されるまでの時間を短時間にすることができ、印刷原版P上に形成された画像が印刷原版P上ににじんだり、画像がずれたりする事による画像乱れが生じることを防止できる。これにより、高画質な画像を形成することができる。
【0076】
また、本実施形態では、UVランプ40を移動させずにリフレクター42を回転させることにより、UV光の照射方向を切り替えるため、UVランプ40の移動に伴って生じる可能性がある照明特性の変動等、UV光の照射に関する不安定要因を排除することができる。
【0077】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0078】
例えば、上記のUVインクQとしては、ラジカル重合型インクを用いることが好ましい。UVインクQとして、ラジカル重合型インクを用いることで、より安価に画像を形成することができる。
なお、UVインクQとしては上述したように、ラジカル重合型インクを用いることが好ましいが、本発明は、これに限定されず、カチオン重合型インク等の種々の紫外線硬化型インクを用いることができる。
【0079】
また、本実施形態では、UVインクとして紫外線硬化型インクを用いたが、本発明はこれに限定されず、可視光線、赤外線を硬化光として使用することができる種々の活性光線硬化型インクを用いることができる。
また、光源も同様に、可視光等の活性光を射出する種々の活性光光源を用いること、つまり活性光線照射部を用いることができる。
【0080】
ここで、本発明において「活性光線」とは、その照射によりインク中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、広く、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものである。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点からは、紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。従って、活性光線硬化型インクとしては、本実施形態のように、紫外線を照射することにより硬化可能な紫外線硬化型インクを用いることが好ましい。
【0081】
また、上記実施形態では、光源ユニット移動機構46として、ワイヤーリール48a,48bおよびワイヤー50を用い、ワイヤー50の両端がそれぞれワイヤーリール48a,48bに巻き付けられている構成とした。このような構成とすることにより、駆動源が1つで済み、構成も簡単であるため、装置コストを抑えることができ、かつ動作制御やメンテナンスが簡単であるといった利点がある。
【0082】
しかしながら、本発明はこれには限定されず、光源ユニット38をプラテン12に対して平行に往復動可能な構成であれば、各種の構成を採用することができる。例えば、エンドレスのワイヤー50をワイヤーリール48a,48bに掛け回して、ワイヤーリール48a、48bを印刷原版Pの搬送経路の外側へ向けて付勢してワイヤー50に張力を掛けつつ回転させることにより、光源ユニット38を主走査方向へ往復動させる構成としてもよい。また、ワイヤー50に代えてベルトやチェーンによる伝動方式を採用することもできる。あるいは、ラックアンドピニオンを用いた機構や、自走式の機構としても良く、さらに、リニアモーターを用いてもよい。
【0083】
上述した各実施形態では、走査型UV照射部16を、ヘッドキャリッジ14に対して印刷原版Pの送り方向(副走査(X)方向)下流側に配置したが、本発明はこれに限定されず、印刷原版Pの送り方向(副走査(X)方向)上流側に配置してもよい。
例えば、ヘッドキャリッジ14に対して印刷原版Pの送り方向下流側に、走査型UV照射部16とは異なるUV光源を設ける場合には、走査型UV照射部16を印刷原版Pの送り方向上流側に配置することが好ましい。
【0084】
また、インクジェットヘッド62によるUVインクQの吐出に先立ち、前処理を行う場合には、走査型UV照射部16をヘッドキャリッジ14に対して印刷原版Pの送り方向下流側に配置することが好ましい。前処理としては、印刷原版Pの表面特性、例えば濡れ性を制御するための表面コートやプラズマ処理を挙げることができる。
【0085】
また、上述した実施形態では、印刷原版Pにおけるインクジェットヘッド62と対向する領域については、第1、第2のミラー47A、47Bを介してUV光を照射する構成としたが、これに限定されるものではなく、第1、第2のミラー47A、47Bを用いずに、リフレクタ42の回転位置を調整して、インクジェットヘッド62の走査方向の後方に直接UV光を照射する構成としてもよい。
【0086】
また、上述した実施形態では、本発明を、記録媒体として印刷原版Pを用いる製版装置10に適用した例を挙げ、詳細に説明しているが、本発明はこれに限定されず、種々の描画装置や被記録媒体に適用しても良いのは上述した通りである。
【符号の説明】
【0087】
10…製版装置(描画装置)、 14…ヘッドキャリッジ(キャリッジ)、 16…UV照射部(照射部)、 18…ヘッド移動機構(ヘッド移動装置)、 38…光源ユニット(支持部)、 46…光源ユニット移動機構(照射部移動装置)、 47A…第1のミラー(反射装置)、 47B…第2のミラー(反射装置)、 62…インクジェットヘッド(吐出ヘッド)、 70…照射領域切替装置(切替装置)、 71…駆動装置、 104b…ノズル面(吐出面)、 P…印刷原版(記録媒体)、 Q…活性光線硬化型インク(UVインク)
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
噴射ヘッドを往復移動させながら、噴射ヘッドに設けられた噴射ノズルから媒体上に液体を噴射するインクジェット式の描画装置が知られている。この描画装置を用いて、紫外線(紫外光)の照射によって硬化する液体を、噴射ノズルから媒体上に噴射するとともに、噴射した液体に紫外線を照射して液体を硬化させることで、媒体上に液体を定着させる技術が開発されている。
【0003】
このような技術では、瞬時に液体を硬化させて媒体に定着させることができるため、例えばブラスチック(ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート)等、液体を吸収しない素材に対しても液体を良好に定着させることが可能である。そして、このような従来のインクジェット式の描画装置には、紫外光を発する光源がキャリッジに搭載されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−119862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された描画装置では、1つの光源からの紫外光の経路を、複数の経路のうちの1つの経路に選択的に切り替えることができる。このため、光源の数量を低減できる。
しかしながら、上記特許文献1に記載された描画装置では、光源がキャリッジに搭載されているため、キャリッジにかかる負荷が大きくなりやすい。キャリッジにかかる負荷が増大すると、キャリッジの位置制御に係る精度、ひいては描画精度を向上させることが困難になる。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、描画精度の向上に寄与できる描画装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の描画装置は、記録媒体に向けて活性光線硬化型の液滴を吐出する吐出ヘッドと、キャリッジを介して前記吐出ヘッドを走査方向に移動させるヘッド移動装置と、前記活性光線を照射する照射部とを備えた描画装置であって、前記照射部を前記キャリッジとは分離して、且つ前記走査方向に移動自在に支持する支持部と、前記照射部を前記吐出ヘッドとは独立して前記走査方向に移動させる照射部移動装置と、前記記録媒体に対する前記活性光線の照射領域を、前記照射部と対向する第1領域と、前記吐出ヘッドと対向する第2領域とに切り替える切替装置とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
従って、本発明の描画装置では、照射部とキャリッジとが分離して設けられているため、キャリッジにかかる負荷が大きくならず、キャリッジの位置制御に係る精度、ひいては描画精度を向上に寄与できる。また、本発明では、切替装置が活性光線の照射領域を第1領域と第2領域とに切り替えることにより、記録媒体の第1領域に吐出された活性光線硬化型の液滴に活性光線を照射する場合と、記録媒体の第2領域に吐出された活性光線硬化型の液滴に活性光線を照射する場合とを容易に切り替えることが可能になる。
【0009】
上記描画装置における前記切替装置としては、前記活性光線の照射方向が前記第1領域に向く第1位置と、前記キャリッジに向く第2位置との間で前記照射部を駆動する駆動装置と、前記キャリッジに設けられ、前記第2位置の前記照射部から照射された前記活性光線を前記第2領域に反射する反射装置とを含む構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、記録媒体の第1領域に吐出された活性光線硬化型の液滴に活性光線を照射する場合には、照射部を第1位置に駆動することにより、活性光線の照射方向を第1領域とすることができ、記録媒体の第2領域に吐出された活性光線硬化型の液滴に活性光線を照射する場合には、照射部を第2位置に駆動することにより、キャリッジに向けて活性光線を照射させるとともに、反射装置により反射させて活性光線を第2領域に照射することができる。
【0010】
上記の反射装置としては、前記吐出ヘッドを挟んだ前記走査方向の両側に設けられ、前記照射部移動装置を制御して、前記活性光線の照射方向を前記走査方向で前記吐出ヘッドよりも後方側に位置する前記反射装置に向かせる制御装置が設けられる構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、走査方向で吐出ヘッドよりも後方側に位置する反射装置を介して、記録媒体の第2領域に吐出された活性光線硬化型の液滴に活性光線を照射することができる。そのため、本発明では、記録媒体の第2領域に吐出された活性光線硬化型の液滴に対して、走査移動時に直ちに連続的に活性光線を照射することが可能になる。
【0011】
上記構成における照射部としては、光源から発生した前記活性光線を所定方向に向けて反射するリフレクターを有し、前記駆動装置は、前記第1位置と前記第2位置との間で前記リフレクターを駆動する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、光源を移動させることなく、活性光線の進行方向(照射方向)を変更することが可能になり、光源の移動に起因して生じる照明特性の変動等、活性光線の照射に関する不安定要因を排除することができる。
【0012】
上記構成における前記反射装置としては、前記記録媒体と対向する方向に関して、該記録媒体に対して、前記吐出ヘッドにおける前記液滴を吐出する吐出面よりも離間した位置に配置される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、記録媒体と吐出ヘッドとの間に、照射部からの活性光線が入り込むのを抑制できる。これにより、記録媒体上に吐出不良による画像乱れが防止された高画質な画像を形成することができる。また、吐出ヘッドに洗浄/清掃等のメンテナンスを施すことなく、長時間安定して液滴を良好に吐出させることができる。
【0013】
また、上記構成における前記照射部としては、前記記録媒体と対向する方向に関して、該記録媒体に対して、前記吐出ヘッドにおける前記液滴を吐出する吐出面よりも離間した位置に配置される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、記録媒体と吐出ヘッドとの間に、照射部からの活性光線が入り込むのを抑制できる。これにより、記録媒体上に吐出不良による画像乱れが防止された高画質な画像を形成することができる。また、吐出ヘッドに洗浄/清掃等のメンテナンスを施すことなく、長時間安定して液滴を良好に吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るインクジェット描画装置を適用する一実施形態としての製版装置の概略構成を示す模式的上面図である。
【図2】図1に示す製版装置の模式的な側面図である。
【図3】図1に示す製版装置に用いられるインクジェットヘッドの概略構成を示す断面図である。
【図4】リフレクター42が移動したインクジェットヘッドの概略構成を示す断面図である。
【図5】図1に示す製版装置の走査型UV照射部を背面から見た模式的な断面図である。
【図6】それぞれ図1に示す製版装置のインクジェットヘッドキャリッジと光源ユニットの位置関係を示す概略上面図である。
【図7】それぞれ図1に示す製版装置のインクジェットヘッドキャリッジと光源ユニットの位置関係を示す概略上面図である。
【図8】それぞれ図1に示す製版装置のインクジェットヘッドキャリッジと光源ユニットの位置関係を示す概略上面図である。
【図9】それぞれ図1に示す製版装置のインクジェットヘッドキャリッジと光源ユニットの位置関係を示す概略上面図である。
【図10】それぞれ図1に示す製版装置のインクジェットヘッドキャリッジと光源ユニットの位置関係を示す概略上面図である。
【図11】それぞれ図1に示す製版装置のインクジェットヘッドキャリッジと光源ユニットの位置関係を示す概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の描画装置の実施の形態を、図1ないし図11を参照して説明する。
なお、以下の実施の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0016】
図1は、本発明に係るインクジェット式の描画装置を適用する一実施形態としての、製版装置の概略構成を示す模式的上面図であり、図2は、図1に示す製版装置の模式的な側面図である。また、図3は、図1に示すインクジェットヘッドの一例の概略構成を示す断面図であり、図4は、図1に示す製版装置の走査型UV照射部を背面から見た模式的な断面図である。
【0017】
以下においては、被記録媒体として平版印刷原版、活性光線硬化型インクとして紫外線硬化型インク(以下、UVインクという)Q、紫外線(以下、UV光という)を照射するための点状または略点状の光源として紫外線ランプ(以下、UVランプという)を用いて印刷版を作製する製版装置を代表例として説明する。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、プリント基板を作製するプリント基板作製装置、紙、樹脂シート等に画像を描画するインクジェットプリンターなどであっても良い。
【0018】
図1および図2に示す製版装置10は、記録媒体としてのシート状の印刷原版Pの記録面にインクジェット記録方法により印刷インキ受容性(親インク性)の画像部を形成するインクジェット式の描画装置を適用するものである。
【0019】
製版装置10は、印刷原版Pを支持するプラテン12と、印刷原版Pに像様にUVインクQを吐出するインクジェットヘッド(吐出ヘッド)62及び第1のミラー(反射装置)47A並びに第2のミラー(反射装置)47Bを備えるヘッドキャリッジ(キャリッジ)14と、印刷原版Pに吐出されたUVインクQにUV光を主走査方向(図1中矢印Yで示す方向)に走査して照射する走査型のUV照射部(照射部)16と、ヘッドキャリッジ14を主走査方向(走査方向)であるY方向に移動させるヘッド移動機構(ヘッド移動装置)18と、プラテン12に支持された印刷原版Pを主走査方向(Y方向)と略直交する副走査方向(図1および図2中矢印Xで示す方向)に搬送する搬送機構20と、ヘッドキャリッジ14、走査型UV照射部16、ヘッド移動機構18および搬送機構20の動作を制御する制御部22と、を有する。
【0020】
プラテン12は平板形状を有し、図示しない自動給版装置から供給された印刷原版Pをその表面に支持するものである。ここで、プラテン12の表面には、空気吸引孔を設けてヘッドキャリッジ14による描画中、つまりヘッドキャリッジ14のインクジェットヘッド62による描画中に印刷原版Pを吸着することが好ましい。これにより、印刷原版Pの平面性を適正に維持できる。また、搬送機構20によって印刷原版Pを副走査方向(X方向)に搬送する際には、プラテン12の表面は、印刷原版Pの裏面との摩擦係数が小さいものであるのが好ましい。なお、プラテン12は、図示しない製版装置筐体に取り付けられる。
【0021】
搬送機構20は、ヘッドキャリッジ14に対して印刷原版Pを副走査(X)方向に搬送するものである。搬送機構20は、図示しない駆動源と接続する駆動ローラーである送りローラー30と、従動ローラーである押さえローラー32とを有しており、送りローラー30と押さえローラー32との間に印刷原版Pを挟持して副走査(X)方向に搬送する。送りローラー30と押さえローラー32とは、印刷原版Pの搬送経路上において、印刷原版Pの表裏を上下から挟む様に配置されている。自動給版装置から供給された印刷原版Pは、送りローラー30と押さえローラー32との間に所定のニップ圧で挟持される。送りローラー30を図示しない駆動源によって所定方向(図2において反時計回り)に回転させることで、印刷原版Pは副走査(X)方向に搬送される。
【0022】
また、ヘッドキャリッジ14による描画中に、印刷原版Pをプラテン12の表面に吸着させる場合には、送りローラー30と押さえローラー32とは回転を停止し、ヘッドキャリッジ14による非描画中に、送りローラー30が図示しない駆動源によって回転駆動され、押さえローラー32との間に挟持している印刷原版Pを副走査(X)方向に搬送するように構成するのが好ましい。すなわち、搬送機構20は、印刷原版Pを間欠的に副走査方向へ搬送するのが好ましい。なお、送りローラー30および押さえローラー32は、共に、図示しない製版装置筐体に回転可能に支持される。
なお、本発明に用いられる搬送機構(上記実施形態では、搬送機構20として説明した。)は、印刷原版を副走査方向に搬送できるものであればどのような形式のものでも良く、公知の全ての副走査搬送機構が適用可能である。
【0023】
ヘッドキャリッジ14は、インクジェットヘッド62と、第1のミラー47Aと、第2のミラー47Bと、を有する。本実施形態では、ヘッドキャリッジ14は、プラテン12とインクジェットヘッド62が対向して配置され、プラテン12の表面に支持された印刷原版Pの記録面の鉛直方向上方にヘッドキャリッジ14が配置される。ヘッドキャリッジ14は、後述するヘッド移動機構18により、プラテン12の表面と平行に、主走査方向(Y方向)に往復移動(走査)可能な状態で支持されている。
【0024】
ヘッドキャリッジ14のインクジェットヘッド62は、プラテン12上に載置された印刷原版Pの記録面上に、像様にUVインクQをインク液滴として吐出する。すなわち、記録されるべき画像の画像データに基づく吐出信号に応じてUVインクQを吐出する。吐出されたUVインクQにより印刷原版P上に画像を記録し、親インキ性の画像部を形成するものである。
ここで、吐出信号とは、記録されるべき画像の画像データに基づいて、画像部となる部分に選択的にインクを塗布するように液滴を吐出させるためのデータ信号である。なお、印刷原版Pの記録面は、撥インキ性(親水性)を呈し、UVインクQの吐出によって形成された画像部のみが親インキ性(疎水性)を呈する。
【0025】
図3は、図1に示す製版装置10に用いられたヘッドキャリッジ14のインクジェットヘッド62の概略構成を示す断面図である。
インクジェットヘッド62は、ケース102と、ノズルプレート104と、ガードプレート106と、圧電素子108を有する。
【0026】
図3に示したインクジェットヘッド62は、ケース102に形成された吐出口102cとノズルプレート104に形成されたノズル104aとによりUVインクQの流路が形成されている。インク流路の側面に相当する位置のノズルプレート104には複数のノズル104aが連通して形成され、ケース102内のインクQをインク流路の側面のノズル104aからインク液滴として吐出する、いわゆるサイドシューター(side shooter)型のインクジェットヘッドである。
ここで、図3には、インクジェットヘッド62の一部のノズル104aのみを示したが、インクジェットヘッド62は、インク液滴を吐出する図示しない複数のノズル104aを有しており、これらノズル104aは、描画時の副走査方向(X方向)に一列に配置されている。
【0027】
以下、インクジェットヘッド62の各部材について詳細に説明する。
ケース102は、中空の箱型形状であり、1つの面に複数のインク出口102aと、複数のインク入口102bとが形成されている。これらインク出口102a及びインク入口102bが形成された面に対向する面において、インク出口102aとインク入口102bとの間となる位置にそれぞれ吐出口102cが形成されている。また、ケース102内部の圧力室でもあるインク流路には各吐出口102cに対応してピエゾ型(例えばPZT駆動など)の圧電素子108が配置されている。
【0028】
ノズルプレート104は、ケース102の吐出口102c側の面に配置され、吐出口102cに対応する位置にノズル104aが形成されている。ノズル104aは、吐出口102cと連通しており、吐出口102cに送給されたインクQが、印刷原版Pと対向するノズル面(吐出面)104bからインク液滴として吐出される。
【0029】
ガードプレート106は、ノズルプレート104の外面に配置され、ノズルプレート104のノズル104aの近くに突出して配置されている。ガードプレート106は、ノズル104aに他の部材が衝突しないようにノズル104aを保護する。
【0030】
インクジェットヘッド62は、圧電素子108を駆動させてインク入口102bから吐出口102cへ送給されたインクQをノズル104aから吐出させる。そして、吐出されないインクQがインク出口102aから送出される。このとき、ケース102の圧力室内においてインクQが循環及び攪拌されることで沈殿することなくインクQがインク液滴として吐出される。インクジェットヘッド62には、ヒーター等でヘッド全体を調温加熱してインクQの粘度を低減させて吐出しやすくする方法を用いてもよい。
【0031】
なお、インクジェットヘッドは、上記実施形態のサイドシューター型のピエゾ方式に限定されず、コンティニュアス型およびオンデマンド型のピエゾ方式、サーマル方式、ソリッド方式、静電吸引方式等の種々の方式のインクジェットヘッド(吐出ヘッド)を用いることができ、特に、オンデマンド型の種々の方式のインクジェットヘッドを用いることが好ましい。また、ノズルは、単列配置に限定されず、複数列としても千鳥格子状の配置としてもよい。
【0032】
ヘッドキャリッジ14の第1のミラー47A及び第2のミラー47Bは、後述する光源ユニット(紫外線照射部)38からのUV光を反射して、印刷原版Pの記録面上に吐出されたUVインクQに照射するものである。
【0033】
印刷原版Pの記録面を鉛直方向の上側から見た場合、インクジェットヘッド62は、主走査方向(Y方向)において、第1のミラー47A及び第2のミラー47Bとの間に位置するように配置される。換言すると、第1のミラー47A及び第2のミラー47Bは、インクジェットヘッド62を挟んで、Y方向の両側に配置されている。第1のミラー47A及び第2のミラー47Bの照射範囲は、副走査方向(X方向)に配置された複数のノズル104aの列の長さよりも長い照射範囲となるように構成される。
【0034】
典型的には、第1のミラー47A及び第2のミラー47Bの副走査方向(X方向)の長さは、上記の複数のノズル104aの列の長さより長く構成されている。そして、主走査方向(Y方向)においてインクジェットヘッド62を挟む両側に配置された第1のミラー47A或いは第2のミラー47Bにより、光源ユニット(支持部)38からのUV光を反射させるため、インクジェットヘッド62が主走査方向(Y方向)に印刷原版Pの上を1回通過する期間においてインクジェットヘッド62から吐出されたUVインクQは、その期間内に光源ユニット38からのUV光が照射されることになる。
【0035】
第1のミラー47A及び第2のミラー47Bは、インクジェットヘッド62、特にノズルプレート104のノズル面104bよりも鉛直方向において高い位置に配置することが好ましい。図2に示すように、第1のミラー47A及び第2のミラー47Bの下端から印刷原版Pの記録面までの高さh1,h2は、ノズルプレート104の鉛直方向における高さh0よりも高くなっている。
【0036】
このような構成によれば、印刷原版Pの記録面とインクジェットヘッド62との間に、光源ユニット(紫外線照射部)38からのUV光が入り込むのを抑制できる。これにより、吐出不良による画像乱れが防止された高画質な画像を被記録媒体上に形成することができる。また、インクジェットヘッド62に洗浄/清掃等のメンテナンスを施すことなく、長時間安定してインク液滴を良好に吐出させることができる。
【0037】
図1及び図2に示すように、ヘッド移動機構18は、ヘッドキャリッジ14を主走査方向に往復移動(走査)させるものである。ヘッド移動機構18は、ドライブスクリュー34と、ガイドレール35と、駆動支持部36aと、支持部36bとを有する。ドライブスクリュー34およびガイドレール35は、共に、主走査方向(図1中Y方向)に延伸し、描画可能な最大サイズの印刷原版Pが、主走査方向の一端から他端までを跨ぐように設置されている。
【0038】
ドライブスクリュー34は、ヘッドキャリッジ14に形成された雌ねじ部(図示せず)と螺合する雄ねじ部を持つボールねじ(図示せず)等からなり、回転することによりヘッドキャリッジ14を主走査方向に移動させる。
ガイドレール35は、ヘッドキャリッジ14に形成された貫通孔に挿通され、ドライブスクリュー34の回転により移動するインクジェットヘッド62の姿勢が変わらないように案内するガイドである。
【0039】
また、駆動支持部36aは、ドライブスクリュー34およびガイドレール35の一方の端部に、支持部36bは、それらの他方の端部に設けられ、ドライブスクリュー34を正逆回転可能な状態で支持し、ガイドレール35を移動しないように支持している。駆動支持部36aは、ドライブスクリュー34を駆動するモーター等の駆動源(図示せず)を備える。
【0040】
ヘッドキャリッジ14は、ドライブスクリュー34およびガイドレール35によって移動可能に支持されており、駆動支持部36aによりドライブスクリュー34を正逆回転させることで、ガイドレール35に案内されつつ、Y方向(主走査方向)に往復移動(走査)される。
なお、ヘッド移動機構18は、ヘッドキャリッジ14の姿勢を保つために、複数のガイドレールを備えていても良いし、その他の姿勢保持手段を有していても良い。なお、ヘッドキャリッジ14は、ガイドレール35により、インク液滴を吐出させる部分、つまり、インクジェットヘッド62のインク液滴吐出面がプラテン12と対向した所定の姿勢を維持して移動される。
【0041】
ここで、ヘッドキャリッジ14の移動機構としては、上記のヘッド移動機構18に限定されず、種々の公知の移動機構を用いることができる。
例えば、ドライブスクリューをガイドレールなどの棒状部材とし、インクジェットヘッドのY方向の端部の両側にそれぞれガイドワイヤーをつけた構成として、移動方向のガイドワイヤーを巻き取り、ガイドレールに沿って移動させる構成も用いることができる。
またガイドワイヤーの代りにタイミングベルトで移動させても良い。この場合には、ワイヤーリールに代えてタイミングベルト用スプロケットを用いればよい。
また、ラックアンドピニオン機構を用いても良い。また、自走式としても良い。さらに、リニアモーターを用いてもよい。
【0042】
図5は、図1に示す製版装置10の走査型UV照射部16を模式的に示す背面断面図であり、印刷原版Pの送り方向(副走査(X)方向)上流側から下流側を見た図である。
図2、図4及び図5に示すように、走査型UV照射部16は、光源ユニット(紫外線照射部)38と、光源ユニット移動機構(照射部移動装置)46と、照射領域切替装置(切替装置)70とを備えており、ヘッドキャリッジ14に対して印刷原版Pの送り方向(副走査(X)方向)下流側に配置される。
【0043】
光源ユニット38は、UV光を射出するUVランプ40と、射出されたUV光を、所定方向に向く光とするリフレクター42と、を有する。光源ユニット38は、筐体51の中に収納されてランプハウスとして構成されている。ここで、筐体51の内面は、鏡面とするのが好ましい。
【0044】
UVランプ40は、UVインクQを硬化させるためのUV光を発する。UVランプ40としては、例えば、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの種々のランプ(点状光源)、紫外線蛍光管などのチューブバルブやこれらを用いて略点状にしたランプなどを用いることができる。
これらの光源は、可視光線を含む光を照射してもよい。活性光線硬化型インク(本実施形態では、UVインク)の感光域が可視光域にも感度を持つ場合には、可視光線も含む光を照射することで、より感度を高くすることができ、UVインクの硬化を好適に行うことができる。
なお、本発明においては、本実施形態で用いたUVランプ40の代わりに、UVLEDやUVLEDアレイを用いてもよい。また、UVランプ40としては、ビデオプロジェクターやリアプロジェクション型テレビに用いられている超高圧水銀灯(超高圧水銀ランプ)を用いることが好ましい。UVランプ40として、超高圧水銀灯を用いることで、光源ユニット38を安価にすることができる。
【0045】
リフレクター42は、UVランプ40を内蔵し、UVランプ40から射出されたUV光を射出する矩形断面形状の射出口42aを備えている。リフレクター42の内面は、鏡面とされており、UVランプ40から射出されたUV光が、内面で吸収されることなく反射される。これにより、UVランプ40から射出されたUV光は、直接またはリフレクター42に反射して、吸収されることなく、射出口42aからUV光として射出される。また、リフレクター42は、Y方向と平行な回転軸(図示しない)に軸支され、当該回転軸回りに回転可能とされている。
【0046】
照射領域切替装置70は、印刷原版Pに対するUV光の照射領域を、図4に示すように、UV照射部16(UVランプ40)と対向する第1領域A1と、図2に示すように、ヘッドキャリッジ14(第1、第2のミラー47A、47B)と対向する第2領域A2とに切り替えるものであって、駆動装置71と、リフレクター42とから構成される。また、上述した第1のミラー47A、第2のミラー47Bとは、照射領域切替装置70と協働して、印刷原版Pに対するUV光の照射領域を切り替える。駆動装置71は、制御部22の制御により、リフレクター42を回転軸回りに回転駆動して、射出口42aが印刷原版Pを向く図4に示す第1位置、または射出口42aが第1、第2のミラー47A、47Bを向く図2に示す第2位置に位置決めする。
【0047】
走査型UV照射部16は、光源ユニット38を主走査(Y)方向に走査しながら、上記第1位置で印刷原版Pの第1領域A1上のUVインクQに向けて直接、あるいは上記第2位置で、ヘッドキャリッジ14に設けられた第1のミラー47Aまたは第2のミラー47Bのいずれかに向けてUV光を照射する。光源ユニット38から照射され、第1のミラー47Aあるいは第2のミラー47Bのいずれかにより反射されたUV光は、印刷原版Pの第2領域上のUVインクQに照射される。このUVインクQは、印刷原版Pの記録面上に像様にインクジェットヘッド62から吐出され、画像部を形成したものである。
【0048】
印刷原版Pの記録面上のUVインクQは、光源ユニット38から照射され反射されたUV光により硬化する。
ここで、走査型UV照射部16は、リフレクターが第2位置にあるときは、第1のミラー47Aあるいは第2のミラー47Bのうち、インクジェットヘッド62の主走査方向(Y方向)における移動方向の後方側に位置するミラーに、光源ユニット38からのUV光が照射されるように制御部22により制御される。したがって、インクジェットヘッド62から吐出された直後のUVインクQに対し、光源ユニット38からのUV光が照射されることになる。また、光源ユニット38が、ヘッドキャリッジ14とは独立して移動(走査)することが可能な走査型UV照射部16に設けられるため、ヘッドキャリッジ14に光源ユニット38を取り付ける場合に比して、ヘッドキャリッジ14を軽量化することができる。
【0049】
光源ユニット移動機構46は、図5に示すように、プラテン12、または描画可能な最大サイズの印刷原版Pの搬送経路となる領域の両外側、すなわち主走査方向(Y方向)の両外側に位置する2つのワイヤーリール48aおよびワイヤーリール48bと、これらの2つのワイヤーリール48a,48bに張架されるワイヤー50と、ワイヤーリール48aを回転駆動する駆動源(モーター)52とを有する。ワイヤー50には、光源ユニット38が筐体51の照明窓53を印刷原版Pの送り方向(副走査(X)方向)上流側に向けるとともに、照明窓54を印刷原版Pと対向する方向に向けて固定的に取り付けられている。換言すれば、ワイヤー50には、光源ユニット38が筐体51の照明窓53をヘッドキャリッジ14に向け、照明窓54を印刷原版Pに向けて固定的に取り付けられている。ワイヤー50の両端部はそれぞれワイヤーリール48a,48bに巻き付けられている。
【0050】
ワイヤーリール48a,48bは、図示しないフレームに軸支されており、ワイヤーリール48bは、ワイヤー50を巻き取る方向に常に所定の張力で付勢されている。ワイヤーリール48bの付勢方法は、従来公知の技術を利用すればよく、例えば付勢手段として、ぜんまいバネやコイルバネや板状コイルバネを用いることができる。ワイヤーリール48bの付勢力は、ワイヤー50を弛ませることなく光源ユニット38を印刷原版Pから一定の距離に保持できるように設定すればよい。
【0051】
ここで、光源ユニット38、特に、UVランプ40あるいは照明窓53、54の位置は、インクジェットヘッド62、特にノズルプレート104のノズル面104bよりも高い位置に配置することが好ましい。図2のように、照明窓53、54の下端部から印刷原版Pの記録面までの高さh3は、ノズルプレート104の鉛直方向における高さh0よりも高くなっている。
【0052】
このような構成によれば、印刷原版Pの記録面とインクジェットヘッド62との間に、光源ユニット(紫外線照射部)38からのUV光が入り込むのを抑制できる。これにより、吐出不良による画像乱れが防止された高画質な画像を印刷原版P(被記録媒体)上に形成することができる。
また、インクジェットヘッドに洗浄/清掃等のメンテナンスを施すことなく、長時間安定してインク液滴を良好に吐出させることができる。
【0053】
駆動源52によって、ワイヤー50を巻き出す方向(図5では反時計回り)にワイヤーリール48aを回転駆動すると、ワイヤーリール48bはその付勢力によって回転し、ワイヤー50を巻き取る。ワイヤーリール48aが停止すると、ワイヤー50が所定の張力となったところでワイヤーリール48bも停止する。
逆に、駆動源52がワイヤー50を巻き取る方向(図5では時計回り)にワイヤーリール48aを回転駆動すると、ワイヤーリール48bの付勢力が負けてワイヤー50がワイヤーリール48bから巻き出され、ワイヤーリール48aに巻き取られる。
【0054】
このようにして、走査型UV照射部16は、駆動源52によるワイヤーリール48aの回転駆動によって、ワイヤー50に常にほぼ一定の張力を維持した状態でワイヤー50を主走査方向(図中、矢印Y方向)に往復移動させ、ワイヤー50に取り付けられた光源ユニット38を印刷原版Pの記録面にほぼ平行に、主走査方向に往復移動させる。
【0055】
なお、図5に示す例では、光源ユニット移動機構46の構成を明瞭に示すために、光源ユニット38がワイヤー50に取り付けられている様子のみを示してあるが、光源ユニット移動機構46は、光源ユニット38の姿勢をプラテン12に対して平行に保つために、光源ユニット38の主走査方向の移動を案内する1以上のガイドレールやその他の姿勢保持手段を備えるのが好ましい。
【0056】
光源ユニット38は、主走査方向に移動することにより、UVランプから射出され、リフレクター42により反射されたUV光を、直接、あるいはヘッドキャリッジ14を介して照射しながら間接的に印刷原版Pに対して走査する。制御部22によって、駆動源52によるワイヤーリール48aの回転量を制御し、光源ユニット38の移動を制御することにより、光源ユニット38の往復動に伴って、印刷原版Pの全幅の領域において、左端から右端へ、次いで右端から左端へと、順にUV照射が行われる。
【0057】
ここで、光源ユニット移動機構46は、ヘッド移動機構18よりも機械精度が低くてもよい。これは、光源ユニット38からのUV光が第1のミラー47Aあるいは第2のミラー47Bに到達するように構成すればよいからである。第1のミラー47A及び第2のミラー47Bの主走査方向における長さは、主走査方向における照明窓53の長さより長く構成することが好ましい。
例えば、第1のミラー47A及び第2のミラー47Bの主走査方向における長さが照明窓53の3倍であれば、光源ユニット38のヘッドキャリッジ14に対する移動の遅れが照明窓53の3倍以内に収まるように、光源ユニット移動機構46を制御すればよい。
【0058】
駆動源52は、ワイヤーリール48aを正方向および逆方向に回転させることができるものであればよい。例えば、電動モーターを用いることができる。
【0059】
制御部22は、上述したように、ヘッドキャリッジ14、走査型UV照射部16、ヘッド移動機構18および搬送機構20の動作を制御する。
具体的には、制御部22は、印刷原版Pに画像部を形成するための、ヘッドキャリッジ14のインクジェットヘッドによる画像データに応じたUVインクQの吐出動作、印刷原版Pに画像部を形成しているUVインクQを硬化させるための、走査型UV照射部16によるUV光の走査照射、すなわち光源ユニット移動機構46による光源ユニット38の往復移動(主走査方向)、ヘッド移動機構18によるヘッドキャリッジ14の往復移動(主走査方向)、照射領域切替装置70の駆動装置71によるリフレクター42の移動および搬送機構20による印刷原版Pの副走査方向への連続搬送(好ましくは、間欠搬送)を制御する。なお、制御部22は、この他、製版装置10全体、もしくは、図示しない全ての構成要素を制御するものであるのが好ましい。
【0060】
ここで、制御部22は、少なくとも上記第2位置でヘッドキャリッジ14に設けられた第1のミラー47Aまたは第2のミラー47Bのいずれかに向けてUV光を照射する場合には、ヘッド移動機構18及び光源ユニット移動機構46により、ヘッドキャリッジ14と光源ユニット38とを主走査方向に、同一周期でかつヘッドキャリッジ14と光源ユニット38との位置関係が所定の範囲内になるように移動させる。
【0061】
次に、図1、2に示す製版装置10の動作を、図6乃至図11を用いて説明する。
図6乃至図11は、図1に示す製版装置10のインクジェットヘッド14と光源ユニット38の位置関係を示す概略上面図である。
また、文中において左右を用いて説明しているが、左側とは主走査方向(Y方向)において、中央部よりワイヤーリール48a側に向いた方向を指し、右側とは主走査方向(Y方向)において、中央部よりワイヤーリール48b側に向いた方向を指す。
【0062】
図1、2に示す製版装置10において、図示しない自動給版装置からプラテン12に印刷原版Pが供給される。プラテン12に供給された印刷原版Pは、搬送機構20により副走査方向(図1中X方向)に所定速度で間欠搬送される。
【0063】
印刷原版Pは、搬送機構20によりヘッドキャリッジ14と対向する位置まで搬送される。ヘッドキャリッジ14は、ヘッド移動機構18により主走査方向に移動されつつ、画像信号に応じてインクジェットヘッド62からUVインクQを印刷原版Pの表面に吐出させる。これにより、印刷原版Pの表面には、UVインクQにより画像部が形成される。
【0064】
図6に示すように、主走査方向(Y方向)において右側に向かってヘッドキャリッジ14を走査しながらUVインクQを吐出する際には、光源ユニット38からのUV光が第2のミラー47Bに向かう位置関係を保ちながら、ヘッド移動機構18及び光源ユニット移動機構46により、ヘッドキャリッジ14と光源ユニット38とを主走査方向において移動させる。
【0065】
このとき、図2に示すように、光源ユニット38からのUV光が第2のミラー47Bに向かうように、ヘッドキャリッジ14と光源ユニット38、及びリフレクター42との相対的な位置関係が設定される。ここで、記録面に対して並行して出射された光源ユニット38からのUV光は、第2のミラー47Bに照射される。そして、第2のミラー47Bに照射されたUV光は、第2のミラー47Bにより反射されることで、印刷原版Pの記録面上の第2領域A2に向けて導かれる。印刷原版Pの記録面上の第2領域A2には、インクジェットヘッド62から吐出されたUVインクQが配置されているため、光源ユニット38からのUV光は、このUVインクQに照射されて、UVインクQは硬化(仮硬化)することになる。
【0066】
そして、図7に示すように、ヘッドキャリッジ14、特にインクジェットヘッド62が印刷原版Pと対向する位置を通過して、プラテン12の右側に位置すると、ヘッドキャリッジ14は停止する。一方、光源ユニット38は、停止せず、主走査方向を右側に移動する。また、この主走査方向の移動が終了した後、プラテン12に供給された印刷原版Pは、搬送機構20により副走査方向(図1中X方向)に所定量搬送される。
【0067】
そして、図8に示すように、光源ユニット38からのUV光が第2のミラー47Bに向かう状態から第1のミラー47Aに向かう状態になるまで主走査方向を右側に移動して、光源ユニット38は停止する。
【0068】
次に、図9に示すように、主走査方向(Y方向)において左側に向かってヘッドキャリッジ14を走査しながらUVインクQを吐出する際には、光源ユニット38からのUV光が第1のミラー47Aに向かう位置関係を保ちながら、ヘッド移動機構18及び光源ユニット移動機構46により、ヘッドキャリッジ14と光源ユニット38とを主走査方向を左側に移動させる。
【0069】
このとき、記録面に対して並行して出射された光源ユニット38からのUV光は、第1のミラー47Bに照射される。そして、第2のミラー47Bに照射されたUV光は、第2のミラー47Bにより反射されることで、印刷原版Pの記録面上の第2領域A2に向けて導かれる。印刷原版Pの記録面上の第2領域A2には、インクジェットヘッド62から吐出されたUVインクQが配置されているため、光源ユニット38からのUV光は、このUVインクQに照射されて、UVインクQは硬化(仮硬化)することになる。
【0070】
そして、図10に示すように、ヘッドキャリッジ14、特にインクジェットヘッド62が印刷原版Pと対向する位置を通過して、プラテン12の左側に位置すると、ヘッドキャリッジ14は停止する。一方、光源ユニット38は、停止せず、主走査方向を左側に移動する。また、この主走査方向の移動が終了した後、プラテン12に供給された印刷原版Pは、搬送機構20により副走査方向(図1中X方向)に所定量搬送される。
そして、図11に示すように、光源ユニット38からのUV光が第1のミラー47Aに向かう状態から第2のミラー47Bに向かう状態になるまで移動して、光源ユニット38は停止する。次に、画像の形成が終わっていなければ図6に戻りインクジェットヘッド62による描画と光源ユニット38によるUV光照射が行われることになる。
【0071】
そして、搬送機構20による印刷原版Pの副走査方向の搬送と、ヘッド移動機構18によるヘッドキャリッジ14の主走査方向(図1中Y方向)の往復移動により、ヘッドキャリッジ14のインクジェットヘッド62は、印刷原版Pの全面を走査し、印刷原版Pの全面における所要の位置にUVインクQによる画像部を形成する。
より具体的には、図1に示すように、インクジェットヘッドキャリッジ14が主走査方向の印刷原版P(被記録媒体)の全域を走査する毎に、搬送機構20が印刷原版Pを副走査方向にdx移動させることで、印刷原版P全域を走査させ、画像を形成させる。
【0072】
一方、印刷原版Pに対する画像形成が完了した後、あるいは一回の走査後に、仮硬化させたUVインクQを本硬化させる際には、ヘッドキャリッジ14を停止させた状態で、搬送機構20により光源ユニット38と印刷原版Pとの送り方向(X方向)の相対位置を調整するとともに、駆動装置71によりリフレクター42を図4に示す第1位置に切り替えた後に、光源ユニット移動機構46により光源ユニット38をY方向に移動させて、光源ユニット38からのUV光は、照明窓54を介して第1領域のUVインクQに照射されて本硬化させる。
なお、本硬化させる際のUV光の強度(照度)は、仮硬化させる際の強度と異なる強度で照射するように、制御部22が制御する構成としてもよい。この場合、仮硬化させる際の強度よりも本硬化させる際の強度が大きいことが好ましい。また、印刷原版Pに達するまでのUV光の光路長に応じてUV光の強度を制御する構成としてもよい。
【0073】
以上、説明したように、本実施形態では、光源ユニット38をヘッドキャリッジ14とは独立して移動自在に設け、光源ユニット38からのUV光の照射領域を印刷原版P上の第1領域A1と第2領域A2とに切り替えるため、ヘッドキャリッジ14にかかる負荷を大きくすることなく、UVインクQを硬化させることができ、ヘッドキャリッジ14の軽量化が実現することにより、ヘッドキャリッジ14の位置制御に係る精度、ひいては描画精度を向上させることが可能になる。
【0074】
また、本実施系形態では、ヘッドキャリッジ14の移動は、光源ユニット38に対して平面視で互いに重ならない位置で行われる。よって、ヘッドキャリッジ14と光源ユニット38との相対的な位置関係の調整は、互いに干渉することなく行われるため、制御が容易となる。また、光源ユニット38及び第1のミラー47A、第2のミラー47Bを印刷原版Pに対して近接して配置できるため、特許文献1のように、光源をインクジェットヘッド62の上に配置する構成に比して、光源ユニット38から印刷原版Pの印刷面までの光路を短くすることができる。よって、光源ユニット38からのUV光をロスなく、印刷原版P上のUVインクQに照射することができる。
【0075】
また、本実施系形態では、第1のミラー47A又は第2のミラー47Bのうち、インクジェットヘッド62に対してヘッドキャリッジ14の進行方向後ろ側のミラーに対し、光源ユニット38からのUV光が照射される。そして、ヘッドキャリッジ14のインクジェットヘッド62に対向した位置を通過した印刷原版P(その部分)は、その後、第1のミラー47A又は第2のミラー47Bのうち、インクジェットヘッド62に対してヘッドキャリッジ14の進行方向後ろ側のミラーに対向した位置に搬送される。したがって、インクジェットヘッド62から吐出されたUVインクQには、このUVインクQを吐出した主走査方向の移動期間中に、光源ユニット38からのUV光が照射されることになる。よって、インクジェットヘッド62により印刷原版P上に画像が描画されてから、光源ユニットにより印刷原版P上の画像部にUV光が照射され、硬化されるまでの時間を短時間にすることができ、印刷原版P上に形成された画像が印刷原版P上ににじんだり、画像がずれたりする事による画像乱れが生じることを防止できる。これにより、高画質な画像を形成することができる。
【0076】
また、本実施形態では、UVランプ40を移動させずにリフレクター42を回転させることにより、UV光の照射方向を切り替えるため、UVランプ40の移動に伴って生じる可能性がある照明特性の変動等、UV光の照射に関する不安定要因を排除することができる。
【0077】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0078】
例えば、上記のUVインクQとしては、ラジカル重合型インクを用いることが好ましい。UVインクQとして、ラジカル重合型インクを用いることで、より安価に画像を形成することができる。
なお、UVインクQとしては上述したように、ラジカル重合型インクを用いることが好ましいが、本発明は、これに限定されず、カチオン重合型インク等の種々の紫外線硬化型インクを用いることができる。
【0079】
また、本実施形態では、UVインクとして紫外線硬化型インクを用いたが、本発明はこれに限定されず、可視光線、赤外線を硬化光として使用することができる種々の活性光線硬化型インクを用いることができる。
また、光源も同様に、可視光等の活性光を射出する種々の活性光光源を用いること、つまり活性光線照射部を用いることができる。
【0080】
ここで、本発明において「活性光線」とは、その照射によりインク中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、広く、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものである。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点からは、紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。従って、活性光線硬化型インクとしては、本実施形態のように、紫外線を照射することにより硬化可能な紫外線硬化型インクを用いることが好ましい。
【0081】
また、上記実施形態では、光源ユニット移動機構46として、ワイヤーリール48a,48bおよびワイヤー50を用い、ワイヤー50の両端がそれぞれワイヤーリール48a,48bに巻き付けられている構成とした。このような構成とすることにより、駆動源が1つで済み、構成も簡単であるため、装置コストを抑えることができ、かつ動作制御やメンテナンスが簡単であるといった利点がある。
【0082】
しかしながら、本発明はこれには限定されず、光源ユニット38をプラテン12に対して平行に往復動可能な構成であれば、各種の構成を採用することができる。例えば、エンドレスのワイヤー50をワイヤーリール48a,48bに掛け回して、ワイヤーリール48a、48bを印刷原版Pの搬送経路の外側へ向けて付勢してワイヤー50に張力を掛けつつ回転させることにより、光源ユニット38を主走査方向へ往復動させる構成としてもよい。また、ワイヤー50に代えてベルトやチェーンによる伝動方式を採用することもできる。あるいは、ラックアンドピニオンを用いた機構や、自走式の機構としても良く、さらに、リニアモーターを用いてもよい。
【0083】
上述した各実施形態では、走査型UV照射部16を、ヘッドキャリッジ14に対して印刷原版Pの送り方向(副走査(X)方向)下流側に配置したが、本発明はこれに限定されず、印刷原版Pの送り方向(副走査(X)方向)上流側に配置してもよい。
例えば、ヘッドキャリッジ14に対して印刷原版Pの送り方向下流側に、走査型UV照射部16とは異なるUV光源を設ける場合には、走査型UV照射部16を印刷原版Pの送り方向上流側に配置することが好ましい。
【0084】
また、インクジェットヘッド62によるUVインクQの吐出に先立ち、前処理を行う場合には、走査型UV照射部16をヘッドキャリッジ14に対して印刷原版Pの送り方向下流側に配置することが好ましい。前処理としては、印刷原版Pの表面特性、例えば濡れ性を制御するための表面コートやプラズマ処理を挙げることができる。
【0085】
また、上述した実施形態では、印刷原版Pにおけるインクジェットヘッド62と対向する領域については、第1、第2のミラー47A、47Bを介してUV光を照射する構成としたが、これに限定されるものではなく、第1、第2のミラー47A、47Bを用いずに、リフレクタ42の回転位置を調整して、インクジェットヘッド62の走査方向の後方に直接UV光を照射する構成としてもよい。
【0086】
また、上述した実施形態では、本発明を、記録媒体として印刷原版Pを用いる製版装置10に適用した例を挙げ、詳細に説明しているが、本発明はこれに限定されず、種々の描画装置や被記録媒体に適用しても良いのは上述した通りである。
【符号の説明】
【0087】
10…製版装置(描画装置)、 14…ヘッドキャリッジ(キャリッジ)、 16…UV照射部(照射部)、 18…ヘッド移動機構(ヘッド移動装置)、 38…光源ユニット(支持部)、 46…光源ユニット移動機構(照射部移動装置)、 47A…第1のミラー(反射装置)、 47B…第2のミラー(反射装置)、 62…インクジェットヘッド(吐出ヘッド)、 70…照射領域切替装置(切替装置)、 71…駆動装置、 104b…ノズル面(吐出面)、 P…印刷原版(記録媒体)、 Q…活性光線硬化型インク(UVインク)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に向けて活性光線硬化型の液滴を吐出する吐出ヘッドと、キャリッジを介して前記吐出ヘッドを走査方向に移動させるヘッド移動装置と、前記活性光線を照射する照射部とを備えた描画装置であって、
前記照射部を前記キャリッジとは分離して、且つ前記走査方向に移動自在に支持する支持部と、
前記照射部を前記吐出ヘッドとは独立して前記走査方向に移動させる照射部移動装置と、
前記記録媒体に対する前記活性光線の照射領域を、前記照射部と対向する第1領域と、前記吐出ヘッドと対向する第2領域とに切り替える切替装置とを備えることを特徴とする描画装置。
【請求項2】
請求項1記載の描画装置において、
前記切替装置は、前記活性光線の照射方向が前記第1領域に向く第1位置と、前記キャリッジに向く第2位置との間で前記照射部を駆動する駆動装置と、
前記キャリッジに設けられ、前記第2位置の前記照射部から照射された前記活性光線を前記第2領域に反射する反射装置とを含むことを特徴とする描画装置。
【請求項3】
請求項2記載の描画装置において、
前記反射装置は、前記吐出ヘッドを挟んだ前記走査方向の両側に設けられ、
前記照射部移動装置を制御して、前記活性光線の照射方向を前記走査方向で前記吐出ヘッドよりも後方側に位置する前記反射装置に向かせる制御装置が設けられることを特徴とする描画装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の描画装置において、
前記照射部は、光源から発生した前記活性光線を所定方向に向けて反射するリフレクターを有し、
前記駆動装置は、前記第1位置と前記第2位置との間で前記リフレクターを駆動することを特徴とする描画装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載の描画装置において、
前記反射装置は、前記記録媒体と対向する方向に関して、該記録媒体に対して、前記吐出ヘッドにおける前記液滴を吐出する吐出面よりも離間した位置に配置されることを特徴とする描画装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載の描画装置において、
前記照射部は、前記記録媒体と対向する方向に関して、該記録媒体に対して、前記吐出ヘッドにおける前記液滴を吐出する吐出面よりも離間した位置に配置されることを特徴とする描画装置。
【請求項1】
記録媒体に向けて活性光線硬化型の液滴を吐出する吐出ヘッドと、キャリッジを介して前記吐出ヘッドを走査方向に移動させるヘッド移動装置と、前記活性光線を照射する照射部とを備えた描画装置であって、
前記照射部を前記キャリッジとは分離して、且つ前記走査方向に移動自在に支持する支持部と、
前記照射部を前記吐出ヘッドとは独立して前記走査方向に移動させる照射部移動装置と、
前記記録媒体に対する前記活性光線の照射領域を、前記照射部と対向する第1領域と、前記吐出ヘッドと対向する第2領域とに切り替える切替装置とを備えることを特徴とする描画装置。
【請求項2】
請求項1記載の描画装置において、
前記切替装置は、前記活性光線の照射方向が前記第1領域に向く第1位置と、前記キャリッジに向く第2位置との間で前記照射部を駆動する駆動装置と、
前記キャリッジに設けられ、前記第2位置の前記照射部から照射された前記活性光線を前記第2領域に反射する反射装置とを含むことを特徴とする描画装置。
【請求項3】
請求項2記載の描画装置において、
前記反射装置は、前記吐出ヘッドを挟んだ前記走査方向の両側に設けられ、
前記照射部移動装置を制御して、前記活性光線の照射方向を前記走査方向で前記吐出ヘッドよりも後方側に位置する前記反射装置に向かせる制御装置が設けられることを特徴とする描画装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の描画装置において、
前記照射部は、光源から発生した前記活性光線を所定方向に向けて反射するリフレクターを有し、
前記駆動装置は、前記第1位置と前記第2位置との間で前記リフレクターを駆動することを特徴とする描画装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載の描画装置において、
前記反射装置は、前記記録媒体と対向する方向に関して、該記録媒体に対して、前記吐出ヘッドにおける前記液滴を吐出する吐出面よりも離間した位置に配置されることを特徴とする描画装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載の描画装置において、
前記照射部は、前記記録媒体と対向する方向に関して、該記録媒体に対して、前記吐出ヘッドにおける前記液滴を吐出する吐出面よりも離間した位置に配置されることを特徴とする描画装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−91436(P2012−91436A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241851(P2010−241851)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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