説明

揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液から吸着剤を利用して揮発性易吸着性成分と難吸着性成分とを分離する方法

【課題】 本発明は、揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液から吸着剤を利用して揮発性易吸着性成分と難吸着性成分とを分離する方法であって、吸着剤を再生して繰り返し利用することができる方法を提供する。
【解決手段】 揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液を親水性又は疎水性吸着剤と接触させて該吸着剤に易吸着性成分を吸着させて難吸着性成分を流出させる吸着工程を終了した後に、溶液の接触を停止し、吸着剤を充填する充填塔に残留する難吸着性成分を充填塔から排出させて、該易吸着性成分を吸着した吸着剤から該易吸着性成分を吸着剤から離脱させる脱着工程を実施する、難吸着性成分と揮発性易吸着性成分との分離方法。該分離方法にPSAを組み合わせて、揮発性易吸着性成分と難吸着性成分とを分離する方法において用いる不活性ガスを再生して循環させて利用する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液から吸着剤を利用して揮発性易吸着性成分と難吸着性成分とを分離する方法に関する。詳細には、本発明は、揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液から吸着剤を利用して揮発性易吸着性成分と難吸着性成分とを分離する方法であって、吸着剤を再生して繰り返し利用することができる方法に関する。また、本発明は、揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液から吸着剤を利用して揮発性易吸着性成分と難吸着性成分とを分離する方法に、圧力スイング法(以下「PSA」と呼ぶ)を組み合わせて、揮発性易吸着性成分と難吸着性成分とを分離する方法において用いる不活性ガスを再生して循環させて利用する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
水分を含有するアルコールから水分を除去する方法として最も頻繁に採用されている方法は、水分含有アルコールを蒸留装置に供給して低沸点成分であるアルコールと、高沸点成分である水分を蒸留して分離する方法である。この方法では、アルコール濃度の上昇に伴いある温度および組成のところで、溶液の組成と蒸気の組成とが一致し(共沸濃度)、定沸点の混合液体が得られ、蒸留によっては共沸濃度よりも高い濃度のアルコールを調製することができない課題がある。
【0003】
アルコール濃度のより高い無水アルコールを合成する場合には、シクロヘキサン等の水分と会合する化合物を脱湿剤として加えて脱水する方法が採用されている。この方法では、脱水剤の添加、脱水剤のアルコールからの分離及び回収に付加的な設備が必用であり、装置構成及び分離操作が煩雑となる。
【0004】
また、今後普及が予想されるものとしては、膜分離法が挙げられる。この方法では、水分含有アルコール蒸気を水蒸気/アルコール分離係数の高い膜に供給することで水分のみを選択的に膜を経由して除去して、高い濃度のアルコールを得る方法が実用化段階に達している。膜分離法は蒸留法のような高度な循環操作を行わないことから、分離エネルギーの低減、簡易な装置構成による設備費の低減が期待できる。しかし、一方では、膜の水蒸気/アルコール分離係数を反映して、その最高濃度(共沸濃度)はエタノールにおいて99.5質量%に留まり、また、モジュールのピンホールによるリークの懸念が潜在的に存在する。
【0005】
アルコール濃度が共沸濃度を越える高純度のアルコールを合成するその他の方法としては、水分含有アルコールを気化してゼオライト等の脱湿剤を充填した吸着塔に相対的に高い圧力で供給して、脱湿剤によって水分を除去して高純度のアルコールを塔後方から回収し、水分で飽和した吸着塔を相対的に低い圧力に導いて水分を離脱して再生し、再び水分除去による高純度のアルコール回収に移行するPSAが提案されている。この方法では、モレキュラーシーブ効果により吸着剤窓径より小さな水蒸気は吸着するが、より大きな分子のアルコール蒸気は吸着しないゼオライト系モレキュラーシーブであるK−A、Na−Aが使用できるため99.9質量%以上の無水アルコールを調製することが可能である。しかし、この方法の欠点は、処理する水分含有アルコールを全量気化する必用があり、このための気化エネルギーが無視できないことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、例えば上述した液相でのアルコール−水分2成分系において、アルコール濃度が共沸濃度を越える高純度のアルコールの合成を、従来ゼオライト系の水分吸着剤を脱湿剤としての使い捨ての使用により達成していたことの欠点を改善し、連続的な水分吸着剤の使用により達成する方法を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、水溶液中から水溶性揮発性有機物質(C〜Cアルコール、MEK、酢酸エチル等)を除去するのにも、連続的な吸着剤の使用方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上述した課題を達成するために、鋭意研究した結果、特定の水分吸着剤を使用してアルコールからの水分除去を行うと、アルコール中の水分を吸着し、アルコール中の水分濃度を共沸濃度よりも低い濃度に低減し得ることを見出した。これは上記吸着剤がアルコール−水分2成分系において高い水分/アルコール分離係数を有することから水分を選択的に吸着するためと判断される。本方法を採用することにより、蒸留法に単独の最高濃度であるアルコール−水共沸濃度を越える高純度のアルコールを調製することが可能であることを見出して本発明をなすに至った。
【0009】
また、揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液から吸着剤を利用して揮発性易吸着性成分と難吸着性成分とを分離する方法に、PSAを組み合わせて、揮発性易吸着性成分と難吸着性成分とを分離する方法において用いる不活性ガスを再生して循環させて利用することが可能であることも見出して本発明をなすに至った。
【0010】
かくして、本発明によれば、下記を提供する:
1.揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液をSiO/Al比が5以下の低シリカ吸着剤と接触させて該吸着剤に易吸着性成分を吸着させて難吸着性成分を流出させる吸着工程を終了した後に、溶液の接触を停止し、吸着剤を充填する充填塔に残留する難吸着性成分を充填塔から排出させて、該易吸着性成分を吸着した吸着剤を減圧して該易吸着性成分を吸着剤から離脱させる脱着工程を実施する、難吸着性成分と揮発性易吸着性成分との分離方法。
2.揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液をSiO/Al比が5以下の低シリカ吸着剤と接触させて該吸着剤に易吸着性成分を吸着させて難吸着性成分を流出させる吸着工程を終了した後に、溶液の接触を停止し、吸着剤を充填する充填塔に残留する難吸着性成分を充填塔から排出させて、該易吸着性成分を吸着した吸着剤の温度を上昇させて該易吸着性成分を吸着剤から離脱させる脱着工程を実施する、難吸着性成分と揮発性易吸着性成分との分離方法。
3.揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液をSiO/Al比が5以下の低シリカ吸着剤と接触させて該吸着剤に易吸着性成分を吸着させて難吸着性成分を流出させる吸着工程を終了した後に、溶液の接触を停止し、吸着剤を充填する充填塔に残留する難吸着性成分を充填塔から排出させて、該易吸着性成分を吸着した吸着剤に、不活性ガスをパージガスとして大気圧ないし減圧条件下で供給して該易吸着性成分を吸着剤から離脱させる脱着工程を実施する、難吸着性成分と揮発性易吸着性成分との分離方法。
4.揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液をSiO/Al比が5以下の低シリカ吸着剤と接触させて該吸着剤に易吸着性成分を吸着させて難吸着性成分を流出させる吸着工程を終了した後に、溶液の接触を停止し、吸着剤を充填する充填塔に残留する難吸着性成分を充填塔から排出させて、該易吸着性成分を吸着した吸着剤を、高温不活性ガスをパージガスとして供給して吸着剤を昇温して該易吸着性成分を吸着剤から離脱させる脱着工程を実施する、難吸着性成分と揮発性易吸着性成分との分離方法。
5.難吸着性成分としてアルコール及び揮発性易吸着性成分として水分を含有する溶液をSiO/Al比が5以下の親水性低シリカ吸着剤と接触させて該吸着剤に水分を吸着させてアルコールを流出させる吸着工程を終了した後に、溶液の接触を停止し、吸着剤を充填する充填塔に残留するアルコールを充填塔から排出させて、吸着剤から吸着された水分を離脱させる脱着工程を実施する、上記1〜4のいずれか一に記載のアルコールと水分との分離方法。
6.吸着剤がK−A、Na−A、Na−K−A、Ca−A、Na−X、Li−X又はCa−X型ゼオライト、Na−モルデナイト及びシリカゲルからなる群より選ぶ一種以上である5記載のアルコールと水分との分離方法。
7.吸着工程を終了した後に、溶液の接触を停止し、吸着剤を充填する充填塔に残留するアルコールを充填塔から排出させて、原料に循環させる上記5又は6記載のアルコールと水分との分離方法。
8.残留するアルコールを排出させた充填塔に、乾燥不活性ガスを、水分を吸着剤から離脱させるために吸着剤に通した後に、充填塔から出る水分を高い濃度でかつアルコールを低い濃度で含有する不活性ガスを、PSA装置に供給し、水分及びアルコールの一部が吸着剤に吸着されてPSA装置を流出する超乾燥不活性ガスを循環させて、パージ用ガスとして使用する上記5〜7のいずれか一に記載のアルコールからの水分除去方法。
9.PSA装置を流出する超乾燥不活性ガスに水分がブレークスルー直前に、水分を高い濃度でかつアルコールを低い濃度で含有する不活性ガスのPSA装置への供給を停止し、超乾燥不活性ガスを該PSA装置に供給して、PSA装置から流出する水分を高い濃度でかつアルコールを低い濃度で含有する不活性ガスを、凝縮器に通して水分を凝縮させ、不凝結ガスはPSA装置への供給ラインに循環させて不活性ガス、アルコールを回収する上記8に記載のアルコールからの水分除去方法。
10.難吸着性成分として水分、揮発性易吸着性成分として水溶性揮発性有機物質を含有する溶液を疎水性吸着剤と接触させて該吸着剤に易吸着性成分を吸着させて難吸着性成分を流出させる吸着工程を終了した後に、溶液の接触を停止し、吸着剤を充填する充填塔に残留する難吸着性成分を充填塔から排出させて、該易吸着性成分を吸着した吸着剤に、不活性ガスをパージガスとして大気圧ないし減圧条件下で供給して該易吸着性成分を吸着剤から離脱させる脱着工程を実施する、水溶性揮発性有機物質を溶液から除去する方法。
11.疎水性吸着剤がシリカライト、USY及びβからなる群より選ぶ一種以上であるである上記10に記載の水溶性揮発性有機物質を溶液から除去する方法。
12.残留するアルコールを排出させた充填塔に、乾燥不活性ガスを、揮発性有機物質を吸着剤から離脱させるために吸着剤に通した後に、充填塔から出る揮発性有機物質を高い濃度でかつ水を低い濃度で含有する不活性ガスを、PSA装置に供給し、揮発性有機物質及び水分の一部が吸着剤に吸着されてPSA装置を流出する超乾燥不活性ガスを循環させて、パージ用ガスとして使用する上記10又は11に記載の水溶性揮発性有機物質を溶液から除去する方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、揮発性易吸着性成分と難吸着性成分との分離が液相で行われるため蒸留法、PSAのような相変化を伴わず、相変化を行うのは脱着再生時の揮発性易吸着性成分(揮発性易吸着性成分蒸気)のみのため、原料の相変化に伴う蒸発エネルギーがほとんど無く、原料及び製品取り出しライン、吸着塔は液相輸送のため小口径であり、設備の小型化、ランニングコストの低減化が可能である。また、吸着剤を再生して繰り返して使用可能であるので、経済的である。
【0012】
また、本発明は、水溶液中から水溶性揮発性有機物質(C〜Cアルコール、MEK、酢酸エチル等)を除去するのにも用いることができる。
【0013】
更に、揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液から吸着剤を利用して揮発性易吸着性成分と難吸着性成分とを分離する方法に、PSAを組み合わせて、揮発性易吸着性成分と難吸着性成分とを分離する方法において用いる不活性ガスを再生して循環して利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明において、揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分とは、それぞれ吸着剤に対する相対的に異なる吸着性能を有するものを言い、例えば揮発可能でありかつ吸着剤に対する吸着性能が相対的に高い成分を揮発性易吸着性成分と称し、吸着剤に対する吸着性能が相対的に低い成分を難吸着性成分と称する。
【0015】
例えば、アルコール−水分2成分系に関して言えば、親水性吸着剤を使用すれば、水分はアルコールに比べて親水性吸着剤に吸着し易いことから、揮発性易吸着性成分になり、アルコールは水に比べて親水性吸着剤に吸着し難いことから、難吸着性成分になる。
【0016】
本発明において、親水性吸着剤とは、対象吸着剤に対し、同一濃度条件での水分吸着量qHOとアルコール吸着量qalcoholとの比率である分離係数αHO=qHO/qalcohol>1の吸着剤を言う。吸着剤が親水性であるためには、SiO/Al比が5以下とシリカ比が低い吸着剤が好ましい。
【0017】
このような親水性吸着剤の例として、K−A、Na−A、Na−K−A、Ca−A、Na−X、Li−X又はCa−X型ゼオライト、Na−モルデナイト及びシリカゲルを挙げることができる。本発明においては、上述した親水性吸着剤を一種以上用いてよい。
【0018】
また、本発明の方法は、高濃度アルコールからの水分の親水性吸着剤による除去に限らず、水溶液中から水溶性揮発性有機物質(C〜Cアルコール、MEK、酢酸エチル等)を除去するのにも用いることができる。この場合には、水を難吸着性成分として、水溶性揮発性有機物質を揮発性易吸着性成分として、疎水性吸着剤を用いて水溶性揮発性有機物質を吸着剤に吸着させて水と分離するのが有利である。
【0019】
本発明において、疎水性吸着剤とは、対象吸着剤に対し、同一濃度条件でのアルコール吸着量qalcoholと水分吸着量qHOの比率である分離係数αalocohol= qalcohol/qHO>1の吸着剤を言う。吸着剤が疎水性であるためには、SiO/Al比が20以上のシリカ比が高い吸着剤が好ましい。
【0020】
このような疎水性吸着剤の例として、シリカライト、USY、βを挙げることができる。本発明においては、上述した疎水性吸着剤を一種以上用いてよい。
【0021】
本発明において用いる親水性吸着剤及び疎水性吸着剤は、市販されているものを用いてよい。
【0022】
本発明に従えば、揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液を吸着剤と接触させて該吸着剤に易吸着性成分を吸着させて難吸着性成分を流出させる。吸着剤を充填した充填塔出口から揮発性易吸着性成分がブレークスルー直前に吸着工程を終了する。揮発性易吸着性成分のブレークスルーは、充填塔出口の易吸着性成分を検出器によってモニターすることによって知ることができる。
【0023】
吸着工程を終了した後に、溶液の接触を停止し、該易吸着性成分を吸着した吸着剤から該易吸着性成分を離脱させる脱着工程を実施する。
【0024】
脱着工程は、先ず初めに、吸着剤を充填した充填塔に、不活性ガス、例えば窒素ガスを、原料溶液の供給方向と並流方向又は向流方向に通して充填塔内に残留する難吸着性成分を充填塔から排出させて、排出した難吸着性成分を原料溶液の供給ラインに還流する。充填塔の不活性ガスによる置換が終了したら、充填塔への不活性ガスの供給を停止し、真空ポンプを使用して充填塔内圧力を減圧して該易吸着性成分を吸着剤から離脱させる。減圧は大きい程、該易吸着性成分の吸着剤からの離脱速度が速く、かつ離脱度も高くなることから望ましい。減圧は、30〜5kPaで実施するのが普通である。
【0025】
また、脱着工程は、充填塔の不活性ガスによる置換が終了したら、該易吸着性成分を吸着した吸着剤の温度を上昇させて該易吸着性成分を吸着剤から離脱させることによって実施することができる。温度の上昇は、例えば充填塔の周りにヒーターを設置して加熱したり、不活性ガスラインの周りにヒーターを設置して高温の不活性ガスを供給する等によって実施することができる。温度の上昇は高い程、該易吸着性成分の吸着剤からの離脱速度が速く、かつ離脱度も高くなることから望ましい。しかし、易吸着性成分によっては、高い温度で分解して不利になる場合もあるので注意する必要がある。温度上昇は、75〜120℃で実施するのが普通である。
【0026】
また、脱着工程は、充填塔の不活性ガスによる置換が終了したら、不活性ガスをパージガスとして大気圧ないし減圧条件下で充填塔に供給して該易吸着性成分を吸着剤から離脱させることによって実施することができる。不活性ガスの流量が大きい程、該易吸着性成分の吸着剤からの離脱速度が速く、かつ離脱度も高くなることから望ましい。不活性ガスの流量は、水分含有濃度5質量%のアルコール100kg/h当り2.9〜8.4 mN/hであるのが普通である。
【0027】
また、脱着工程は、充填塔の不活性ガスによる置換が終了したら、高温不活性ガスをパージガスとして充填塔に供給して該易吸着性成分を吸着剤から離脱させることによって実施することができる。高温不活性ガスは、温度75〜120℃、流量水分含有濃度5質量%のアルコール100kg/h当り100〜300mN/hであるのが普通である。単に吸着剤の温度を上昇させたり又は単に不活性ガスをパージガスとして充填塔に供給して該易吸着性成分を吸着剤から離脱させるのに比べて、高温不活性ガスをパージガスとして用いる方が、該易吸着性成分の吸着剤からの離脱速度が速く、かつ離脱度も高くなる。
【0028】
本発明において、好適な実施態様として、不活性ガスをパージガスとして充填塔に供給して該易吸着性成分を吸着剤から離脱させる場合に、PSA装置を用いて、充填塔から流出する易吸着性成分を高い濃度でかつ難吸着性成分を低い濃度で含有する不活性ガスをPSA装置に通して易吸着性成分及び難吸着性成分の一部をPSA装置中の吸着剤に吸着させてPSA装置から超乾燥不活性ガスを得て、これを循環させて用いることもできる。
【0029】
PSA装置に充填する吸着剤としては、シリカゲルを挙げることができる。
【0030】
以下に、高濃度アルコールから水分を疎水性吸着剤を用いて除去する第一の実施態様について説明することにする。かかる実施態様は、例えば蒸留法に単独の最高濃度であるアルコール−水共沸濃度を越える高純度のアルコールを調製する場合に適用できる。
【0031】
上述した実施態様を図面を参照しながら説明する。
本発明の第一の実施態様を図1に、シーケンスを表1に示す。
【0032】
〔A塔−吸着工程、B塔−液気置換工程〕
図2において、水分6質量%を含有するエチルアルコールのようなアルコール100kg/hを流路1から液体輸送ポンプ2、バルブ3aを通じて親水性吸着剤充填塔4aに供給する。充填塔4aは直径60cm、高さ120cmの大きさでありここに200リットルの親水性吸着剤ハニカム5が充填されている(空塔速度は0.1〜1cm/sec、SV値は5〜20リットル/hである)。充填塔4a後方から水分が流過する直前に含水アルコールの供給を停止する。充填塔4bは塔後方まで水分吸着帯が移動した状態であり、流路17から供給される5mN/hの乾燥窒素を減圧弁18、バルブ8bを通じて供給された窒素ガスによりアルコールと置換される。アルコールは10bを通じて原料供給ラインに還流する。
【0033】
〔A塔−吸着工程、B塔−減圧工程〕
充填塔4bの窒素置換が終了すると図3に示すように、バルブ9b、真空ポンプ11を通じて減圧に導かれ塔内圧力は10kPa程度に達する。
【0034】
〔A塔−吸着工程、B塔−減圧向流パージ工程〕
充填塔4bの減圧工程が終了すると図4に示すように、減圧弁18、バルブ8bを開いて乾燥窒素を塔後方から向流にパージして水分を減圧脱着して、水分吸着帯を塔前方に移動させる。
【0035】
〔A塔−吸着工程、B塔−液気置換工程〕
充填塔4bの減圧交流パージ工程が終了すると水分除去が完了するので、図5に示すように、バルブ6bを開いて流路7から製品の低水分含有エチルアルコールを充填塔4bに導いて塔内を製品エチルアルコールで充満させ吸着工程への移行を円滑に進める。これは、減圧条件の塔に原料アルコールを入れると入口−塔内の圧力差のため原料が高速で流入するため水分が充分に除去されないままアルコールが流過するためである。
【0036】
以上がA塔−吸着工程、B塔−液気置換、減圧工程、減圧向流パージ工程から構成されるエチルアルコールの脱水であり、この工程が終了すると同一の操作をB塔−吸着工程、A塔−液気置換、減圧工程、減圧向流パージ工程で塔を切り替えて実施する。
【0037】
〔PSA装置〕
ここで真空ポンプ11から抽気された高濃度水分と低濃度アルコールを含有する窒素ガスはブロワー12、バルブ13aを通じて親水性吸着剤充填塔14aに供給する。充填塔14aは直径10cm、高さ80cmの大きさでありここに5リットルの親水性吸着剤ハニカム15が充填されている。(空塔速度は0.4m/sec、吸着負荷(1m3の吸着剤によるD.P.−40℃の乾燥窒素の製造量)は650mN/h/mで有る。)水分及びアルコールの一部を吸着された窒素はバルブ16a、流路17からD.P−40℃程度の超乾燥窒素として流過する。水分吸着帯が塔14a後方から流過する直前に吸着を停止して、再生工程に移る。充填塔14bは水分吸着帯が塔後方に到達した状態にあり、バルブ21bを開いて真空ポンプ22により塔14bを5kPa程度に減圧する。塔14bの圧力が5kPaに達すると、減圧弁19,バルブ20bを開いて流路17から乾燥窒素を向流パージガスとして減圧条件下供給すると、塔内の水蒸気分圧が急速に減少するため吸着剤15からの水分脱着が進行し吸着剤は再生される。真空ポンプ22から抽気された高濃度水分と低濃度アルコールを含有する窒素は凝縮器23に於いて冷却器24で5℃程度に冷却されて水分の90%以上が凝縮する。凝縮水には20質量%程度のアルコールを含有しているため原料製造ラインに還流する。(通常はアルコール/水分粗分離用蒸留塔に戻すが、本発明に直接関係しないので省略した。)不凝結ガスは流路25からブロワー12入口に還流されて窒素、アルコールとも回収される。
従って本発明では窒素、アルコールとも高度に回収されるため本発明のエチルアルコール水分除去工程での窒素、アルコールの損失は殆ど無い。
【0038】
【表1−1】

【0039】
【表1−2】

【0040】
次に、本発明の第二の実施態様である、水溶液中から水溶性揮発性有機物質(C〜Cアルコール、MEK、酢酸エチル等)を除去する例を下記に説明する。
【0041】
本発明の第一の実施態様の説明において、難吸着性成分として水分、揮発性易吸着性成分として水溶性揮発性有機物質を含有する溶液を原料として用い、吸着剤として親水性吸着剤に代えて疎水性吸着剤を用いて第一の実施態様における詳細な説明に従えば、当業者ならば、容易に実施することができる。第二の実施態様では、PSA装置において用いる吸着剤は、入口側にシリカゲル及び出口側に疎水性吸着剤、例えばシリカライト、USY及びβからなる群より選ぶ一種以上である。
以下に、本発明を実施例により、具体的に説明するが、本発明は、実施例によりいささかも制限されるものではない。
【実施例】
【0042】
実施例1
ここで発明者は本発明の有効性を確認するため充填塔4aの親水性吸着剤ハニカム5として、K−A、Na−A、Na−K−A、Ca−A、Na−X、Li−X、Ca−X、Na−モルデナイト、シリカゲルの比較評価を行った。結果を表2に示す。
【0043】
表2
サイクルタイム: 60分
原料流量: 100kg/h(0.84kg−原料/kg−吸着剤/h)
原料COH組成: COH 94質量%、 HO 6質量%
パージ窒素量: 5mN/h(42リットルN/h/kg−吸着剤)
脱着圧力: 5kPa
吸着温度: 303K
SAMPLE# COH中水分濃度
(質量%)
1 シリカゲル 1.2
2 Na−モルデナイト 0.8
3 Ca−X 0.96
4 Li−X 0.95
5 Na−X 0.9
6 Ca−A 0.5
7 Na−A 0.12
8 Na−K−A 0.07
9 K−A 0.2
【0044】
いずれもエチルアルコール−水の共沸組成COH 95質量%、HO 5質量%を越えており本発明の有効性が示される。特にNa−A、Na−K−A、K−Aのエチルアルコールに対し分子篩効果を示すA型ゼオライトが高い水分吸着性能を示した。最も高い水分除去性能を示したのはNa−K−Aであった。これは比較的大きな水分吸着速度とエチルアルコールに対する分子篩効果を有する程度の窓径(結晶のガスの通り道)であるためと思われる。
【0045】
次に吸着剤として最も性能の高いNa−K−Aをハニカムとして、サイクルタイム60分における原料供給量とアルコール中水分濃度の関係を調べた。結果を表3に示す。
【0046】
表3
サイクルタイム: 60分
水分吸着剤ハニカム:Na−K−A(K交換率7mol%)、直径60cm、高さ120cm、塔容量200L
原料COH組成: COH 94質量%、HO 6質量%
パージ窒素量: 5mN/h(42リットルN/h/kg−吸着剤)
脱着圧力: 5kPa
吸着温度: 303K
原料流量 COH中水分濃度
(kg/h) (質量%)
80 0.01
100 0.07
120 0.1
150 1
【0047】
原料流量の増大に伴いエチルアルコール中の水分濃度は増大するが150kg/hにおいても1質量%程度を維持している。又流量を80kg/h程度に減少すると水分濃度は0.01質量%まで低減できる。
【0048】
次に吸着剤として最も性能の高いNa−K−Aをハニカムとして、サイクルタイムとアルコール中水分濃度の関係を調べた。結果を表4に示す。
【0049】
表4
原料流量: 100kg/h
水分吸着剤ハニカム:Na−K−A(K交換率7mol%)、直径60cm、高さ120cm、塔容量200L
原料COH組成: COH 94質量%、HO 6質量%
パージ窒素量: 5mN/h(42リットルN/h/kg−吸着剤)
脱着圧力: 5kPa
吸着温度: 303K
サイクルタイム COH中水分濃度
(分) (質量%)
15 0.03
30 0.04
60 0.07
120 1.2
【0050】
サイクルタイムの増大に伴いエチルアルコール中の水分濃度は増大するが120分においても1.2質量%程度を維持している。又サイクルタイムを15分程度に減少すると水分濃度は0.03質量%まで低減できる。従ってサイクルタイムの短縮で吸着剤の使用量を削減できることが判る。
【0051】
次に吸着剤として最も性能の高いNa−K−Aをハニカムとして、窒素パージガス量とアルコール中水分濃度の関係を調べた。結果を表5に示す。
【0052】
表5
原料流量: 100kg/h
水分吸着剤ハニカム:Na−K−A(K交換率7mol%)、直径60cm、高さ120cm、塔容量200L
原料COH組成: COH 94質量%、HO 6質量%
サイクルタイム: 60分
脱着圧力: 5kPa
吸着温度: 303K
窒素パージ量 COH中水分濃度
(リットルN/h/kg)/(mN/h) (質量%)
29/3.5 0.2
42/5.0 0.07
63/7.5 0.02
84/10.0 0.01
【0053】
窒素パージ量の増大に伴いエチルアルコール中の水分濃度は低下し84リットルN/h/kg(1kgの吸着剤当たりの窒素パージ量)では0.01質量%に達する。又パージガス量を29リットルN/h/kgに減少すると水分濃度は0.2質量%まで上昇する。従って窒素パージ量の増大で水分濃度の大幅な減少を計ることが出来る。
【0054】
実施例2
実施例1においては吸着水分の脱着に減圧条件下の向流窒素パージを計ったが、大気圧での高温窒素ガスの向流パージでも達成できる。図6において流路17にヒータ27を設置して塔内を100℃程度に昇温することでも実施できる。高温パージガスによる水分脱着のシーケンスを表6に示す。
【0055】
本発明の有効性を確認するため脱着温度を100℃に設定した時の、窒素パージガス量とエチルアルコールと水分濃度の関係を示す。
【0056】
表6
サイクルタイム: 60分
原料流量: 100kg/h(0.84kg−原料/kg−吸着剤/h)
原料COH組成: COH 94質量%、HO 6質量%
パージ窒素量: 5mN/h(42リットルN/h/kg−吸着剤)
脱着温度: 100℃
吸着温度: 303K
窒素パージ量 COH中水分濃度
(lN/h/kg) (質量%)
1166 0.15
1666 0.07
2500 0.05
3333 0.04
【0057】
窒素パージガス量の増大に伴いエチルアルコール中水分濃度は減少し、3333リットルN/h/kgでは0.04質量%に低下する。
【0058】
実施例3
実施例1及び2においては、本発明を使用したエチルアルコール中水分除去の有効性を示したが、本発明は、水溶液中の低濃度揮発性有機物の除去への適用も可能である。MEK0.1質量%を含有する水溶液からの疎水性吸着剤を用いた除去を行った。使用する装置は実施例1と同様のもののため図2を使用して説明する。
【0059】
〔A塔−吸着工程、B塔−液気置換工程〕
図2において、MEK(methyl ethyl ketone)0.1質量%を含有する水100kg/hを流路1から液体輸送ポンプ2、バルブ3aを通じて疎水性吸着剤充填塔4aに供給する。充填塔4aは直径60cm、高さ30cmの大きさでありここに50リットルの疎水性吸着剤(シリカライト)ハニカム5が充填されている。(空塔速度は0.1〜1cm/sec、SV値は5〜20リットル/hである。)充填塔4a後方からのMEK濃度は10ppm(w/w)以下に留まりMEK含有水中のMEKの99%以上が除去される。充填塔4a後方からMEKが流過する直前にMEK含有水の供給を停止する。充填塔4bは塔後方までMEK吸着帯が移動した状態であり、流路17から供給される5mN/hの乾燥窒素を減圧弁18、バルブ8bを通じて供給された窒素ガスによりMEK含有水と置換される。MEK含有水は10bを通じて原料供給ラインに還流する。
【0060】
〔A塔−吸着工程、B塔−減圧工程〕
充填塔4bの窒素置換が終了すると図3に示すように、バルブ9b、真空ポンプ11を通じて減圧に導かれ塔内圧力は10kPa程度に達する。
【0061】
〔A塔−吸着工程、B塔−減圧向流パージ工程〕
充填塔4bの減圧工程が終了すると図4に示すように、減圧弁18、バルブ8bを開いて乾燥窒素を塔後方から向流にパージしてMEKを減圧脱着して、MEK吸着帯を塔前方に移動させる。
〔A塔−吸着工程、B塔−液気置換工程〕
充填塔4bの減圧交流パージ工程が終了するとMEK除去が完了するので、図5に示すように、バルブ6bを開いて流路7からMEK除去水を充填塔4bに導いて塔内をMEK除去水で充満させ吸着工程への移行を円滑に進める。
【0062】
以上がA塔−吸着工程、B塔−液気置換、減圧工程、減圧向流パージ工程から構成されるMEK含有水のMEKであり、この工程が終了すると同一の操作をB塔−吸着工程、A塔−液気置換、減圧工程、減圧向流パージ工程で塔を切り替えて実施する。
【0063】
〔PSA−MEK除去〕
ここで真空ポンプ11から抽気された高濃度MEKと低濃度水分を含有する窒素ガスはブロワー12、バルブ13aを通じて疎水性吸着剤充填塔14aに供給する。充填塔14aは直径10cm、高さ40cmの大きさでありここに2.5リットルの吸着剤(入口側にシリカゲル及び出口側にシリカライト)ハニカム15が充填されている。(空塔速度は0.4m/sec、吸着負荷(1mの吸着剤によるMEK10ppm(v/v)の窒素の製造量)は1300mN/h/mである。)MEK及び水分の一部を吸着された窒素はバルブ16a、流路17からMEK濃度10ppm、露点−15℃程度の乾燥窒素として流過する。MEK吸着帯が塔14a後方から流過する直前に吸着を停止して、再生工程に移る。充填塔14bはMEK吸着帯が塔後方に到達した状態にあり、バルブ21bを開いて真空ポンプ22により塔14bを5kPa程度に減圧する。塔14bの圧力が5kPaに達すると、減圧弁19、バルブ20bを開いて流路17から乾燥窒素を向流パージガスとして減圧条件下供給すると、塔内のMEK分圧が急速に減少するため吸着剤15からのMEK脱着が進行し吸着剤は再生される。真空ポンプ22から抽気された高濃度MEKと低濃度水分を含有する窒素は凝縮器23に於いて冷却器24で5℃程度に冷却されてMEKの90%以上が凝縮する。凝縮水は20質量%程度のMEKを含有しているため回収再使用する。(通常はMEK/水分粗分離用蒸留塔に戻すが、本発明に直接関係しないので省略した。)不凝結ガスは流路25からブロワー12入口に還流されて窒素、MEKとも回収される。
従って本発明では窒素、MEKとも高度に回収されるため本発明のMEK除去工程での窒素、MEKの損失は殆ど無い。
【0064】
以上本発明では、有機物質中の水分除去においては液相において親水性吸着剤を使用して水分を除去し、吸着した水分を減圧又は昇温により気相処理で除去して再生し、水分中の有機物質除去においては、液相に於いて疎水性吸着剤を使用して有機物質を除去し、吸着した有機物質を減圧又は昇温により気相処理で除去して再生することによる分離法であり、2塔以上の操作により連続的な分離が可能である。従来の蒸留法、全量蒸発による圧力スイング法、膜法に比べて高効率、省エネルギーの分離が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液から吸着剤を利用して揮発性易吸着性成分と難吸着性成分とを分離するのに用いることができる。特に、水分を含有するアルコールから水分を除去して、蒸留によっては調製することができない共沸濃度よりも高い濃度のアルコールを調製することができる。また、水溶液中から水溶性揮発性有機物質(C〜Cアルコール、MEK、酢酸エチル等)を除去するのにも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第一の実施態様を示す。
【図2】水分エチルアルコールを用いたA塔−吸着工程、B塔−液気置換工程の実施態様を示す。
【図3】水分エチルアルコールを用いたA塔−吸着工程、B塔−減圧工程の実施態様を示す。
【図4】水分エチルアルコールを用いたA塔−吸着工程、B塔−減圧向流パージ工程の実施態様を示す。
【図5】MEKを含有する水溶液を用いたA塔−吸着工程、B塔−液気置換工程の実施態様を示す。
【図6】MEKを含有する水溶液を用いたA塔−吸着工程、B塔−液気置換工程の実施態様を示す。
【符号の説明】
【0067】
4a、4b 充填塔
5 吸着剤
14a、14b PSA装置
15 吸着剤
18、19 減圧弁
23 凝縮器
24 冷却器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液をSiO/Al比が5以下の低シリカ吸着剤と接触させて該吸着剤に易吸着性成分を吸着させて難吸着性成分を流出させる吸着工程を終了した後に、溶液の接触を停止し、吸着剤を充填する充填塔に残留する難吸着性成分を充填塔から排出させて、該易吸着性成分を吸着した吸着剤を減圧して該易吸着性成分を吸着剤から離脱させる脱着工程を実施する、難吸着性成分と揮発性易吸着性成分との分離方法。
【請求項2】
揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液をSiO/Al比が5以下の低シリカ吸着剤と接触させて該吸着剤に易吸着性成分を吸着させて難吸着性成分を流出させる吸着工程を終了した後に、溶液の接触を停止し、吸着剤を充填する充填塔に残留する難吸着性成分を充填塔から排出させて、該易吸着性成分を吸着した吸着剤の温度を上昇させて該易吸着性成分を吸着剤から離脱させる脱着工程を実施する、難吸着性成分と揮発性易吸着性成分との分離方法。
【請求項3】
揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液をSiO/Al比が5以下の低シリカ吸着剤と接触させて該吸着剤に易吸着性成分を吸着させて難吸着性成分を流出させる吸着工程を終了した後に、溶液の接触を停止し、吸着剤を充填する充填塔に残留する難吸着性成分を充填塔から排出させて、該易吸着性成分を吸着した吸着剤に、不活性ガスをパージガスとして大気圧ないし減圧条件下で供給して該易吸着性成分を吸着剤から離脱させる脱着工程を実施する、難吸着性成分と揮発性易吸着性成分との分離方法。
【請求項4】
揮発性易吸着性成分及び難吸着性成分を含有する溶液をSiO/Al比が5以下の低シリカ吸着剤と接触させて該吸着剤に易吸着性成分を吸着させて難吸着性成分を流出させる吸着工程を終了した後に、溶液の接触を停止し、吸着剤を充填する充填塔に残留する難吸着性成分を充填塔から排出させて、該易吸着性成分を吸着した吸着剤を、高温不活性ガスをパージガスとして供給して吸着剤を昇温して該易吸着性成分を吸着剤から離脱させる脱着工程を実施する、難吸着性成分と揮発性易吸着性成分との分離方法。
【請求項5】
難吸着性成分としてアルコール及び揮発性易吸着性成分として水分を含有する溶液をSiO/Al比が5以下の親水性低シリカ吸着剤と接触させて該吸着剤に水分を吸着させてアルコールを流出させる吸着工程を終了した後に、溶液の接触を停止し、吸着剤を充填する充填塔に残留するアルコールを充填塔から排出させて、吸着剤から吸着された水分を離脱させる脱着工程を実施する、請求項1〜4のいずれか一に記載のアルコールと水分との分離方法。
【請求項6】
吸着剤がK−A、Na−A、Na−K−A、Ca−A、Na−X、Li−X又はCa−X型ゼオライト、Na−モルデナイト及びシリカゲルからなる群より選ぶ一種以上である請求項5記載のアルコールと水分との分離方法。
【請求項7】
吸着工程を終了した後に、溶液の接触を停止し、吸着剤を充填する充填塔に残留するアルコールを充填塔から排出させて、原料に循環させる請求項5又は6記載のアルコールと水分との分離方法。
【請求項8】
残留するアルコールを排出させた充填塔に、乾燥不活性ガスを、水分を吸着剤から離脱させるために吸着剤に通した後に、充填塔から出る水分を高い濃度でかつアルコールを低い濃度で含有する不活性ガスを、PSA装置に供給し、水分及びアルコールの一部が吸着剤に吸着されてPSA装置を流出する超乾燥不活性ガスを循環させて、パージ用ガスとして使用する請求項5〜7のいずれか一に記載のアルコールからの水分除去方法。
【請求項9】
PSA装置を流出する超乾燥不活性ガスに水分がブレークスルー直前に、水分を高い濃度でかつアルコールを低い濃度で含有する不活性ガスのPSA装置への供給を停止し、超乾燥不活性ガスを該PSA装置に供給して、PSA装置から流出する水分を高い濃度でかつアルコールを低い濃度で含有する不活性ガスを、凝縮器に通して水分を凝縮させ、不凝結ガスはPSA装置への供給ラインに循環させて不活性ガス、アルコールを回収する請求項8に記載のアルコールからの水分除去方法。
【請求項10】
難吸着性成分として水分、揮発性易吸着性成分として水溶性揮発性有機物質を含有する溶液を疎水性吸着剤と接触させて該吸着剤に易吸着性成分を吸着させて難吸着性成分を流出させる吸着工程を終了した後に、溶液の接触を停止し、吸着剤を充填する充填塔に残留する難吸着性成分を充填塔から排出させて、該易吸着性成分を吸着した吸着剤に、不活性ガスをパージガスとして大気圧ないし減圧条件下で供給して該易吸着性成分を吸着剤から離脱させる脱着工程を実施する、水溶性揮発性有機物質を溶液から除去する方法。
【請求項11】
疎水性吸着剤がシリカライト、USY及びβからなる群より選ぶ一種以上であるである請求項10に記載の水溶性揮発性有機物質を溶液から除去する方法。
【請求項12】
残留するアルコールを排出させた充填塔に、乾燥不活性ガスを、揮発性有機物質を吸着剤から離脱させるために吸着剤に通した後に、充填塔から出る揮発性有機物質を高い濃度でかつ水を低い濃度で含有する不活性ガスを、PSA装置に供給し、揮発性有機物質及び水分の一部が吸着剤に吸着されてPSA装置を流出する超乾燥不活性ガスを循環させて、パージ用ガスとして使用する請求項10又は11に記載の水溶性揮発性有機物質を溶液から除去する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−160163(P2007−160163A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−357324(P2005−357324)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(000173647)財団法人産業創造研究所 (17)
【Fターム(参考)】