説明

搬送システム

【課題】搬送車両の充電作業が搬送作業に与える影響を従来よりも低減すると共にバッテリの大型化を抑制する。
【解決手段】蓄電池によって駆動され、電力を外部から受電及び外部に給電する複数の搬送車両3と、搬送車両3が走行する複数の走行軌道1A,1Bと、ある走行軌道1Aと他の走行軌道1Bとが隣接するエリアであって、ある走行軌道1Aを走行する搬送車両3と他の走行軌道1Bを走行する搬送車両3とが給電/受電する受給電エリアKa,Kbとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、無人走行車の運行制御技術が開示されている。この技術は、複数のステーションが配列された誘導路を走行し、外部の通信手段により指定されたステーションに順次停止して運搬作業を行うバッテリ駆動式の無人走行車の運行の制御において、無人走行車が走行開始位置及び走行終了位置である基準ステーションに到着したときに無人走行車のバッテリ電圧を測定し、バッテリ電圧が一定基準値以下のときには無人走行車をバッテリ充電ステーションに移動させることにより、無人走行車の充電作業が搬送作業に悪影響を与えることを抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−101713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば誘導路が広いエリアに設定されている場合には、無人走行車にはバッテリ充電ステーションに比較的近いエリアで走行して搬送作業を行う無人走行車Aと、バッテリ充電ステーションから比較的遠いエリアで走行して搬送作業を行う無人走行車Bとが存在し得る。このような場合において、無人走行車Bは、無人走行車Aよりも長い距離を走行して搬送すべき物品の有無にかかわりなくバッテリ充電ステーションに移動するので、無人走行車の充電作業が搬送作業に与える影響が大きい。
また、例えばバッテリ充電ステーションから最も遠い場所で運搬作業を行う無人走行車に合わせてバッテリ容量を決定する必要があるので、バッテリが大型化するという問題もある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、搬送車両の充電作業が搬送作業に与える影響を従来よりも低減すると共にバッテリ(蓄電池)の大型化を抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、第1の解決手段として、蓄電池によって駆動され、電力を外部から受電及び外部に給電する複数の搬送車両と、搬送車両が走行する複数の走行軌道と、ある走行軌道と他の走行軌道とが隣接するエリアであって、ある走行軌道を走行する搬送車両と他の走行軌道を走行する搬送車両とが給電/受電する受給電エリアとを具備する、という手段を採用する。
【0007】
第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、搬送車両は、受給電エリアにおいて走行しつつ給電/受電する、という手段を採用する。
【0008】
第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、搬送車両は、非接触で電力を受電する受電コイルと非接触で電力を給電する給電コイルとを複数個所に備える、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、受給電エリアにおいて、ある走行軌道を走行する搬送車両と他の走行軌道を走行する搬送車両とが給電/受電するので、搬送車両は充電ステーションに走行することなく受電することが可能であり、よって搬送車両の充電作業が搬送作業に与える影響を従来よりも低減することが可能であると共に搬送車両のバッテリの大型化を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る無人搬送システムAの全体構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態における充電ステーション2の詳細構成を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態における無人搬送車3の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態における非接触給電エリアKa,Kbの状態を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る無人搬送システムの特徴的動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る無人搬送システムAは、図1に示すように、自動倉庫と第1製造設備との間及び自動倉庫と第2製造設備で部品や完成品等の物品の搬送作業を行うものであり、第1走行軌道1A、第2走行軌道1B、充電ステーション2、複数の無人搬送車3(搬送車両)及び地上制御局4から構成されている。
【0012】
上記自動倉庫及び第1、第2製造設備には、無人搬送車3との間で物品の受け渡しを行うための入庫ステーション及び出庫ステーションが設けられている。第1走行軌道1Aは、図示するように自動倉庫の入庫ステーション及び出庫ステーションと第1製造設備の入庫ステーション及び出庫ステーションとに跨ってループ状(無端状)に設けられており、無人搬送車3の走行を案内するためのものである。一方、第2走行軌道1Bは、自動倉庫の入庫ステーション及び出庫ステーションと第2製造設備の入庫ステーション及び出庫ステーションとに跨ってループ状(無端状)に設けられており、上記第1走行軌道1Aと同様に無人搬送車3の走行を案内するためのものである。
【0013】
このような第1、第2走行軌道1A,1Bには、無人搬送車3が隣接した状態で走行あるいは停車することができるように略平行状態となる第1、第2非接触給電エリアKa,Kbが設けられている。詳細については後述するが、第1、第2非接触給電エリアKa,Kbは、無人搬送車3同士が受電/給電を行う場所(受給電エリア)である。本実施形態では、第1、第2走行軌道1A,1Bの形状(レイアウト)の関係で、第1非接触給電エリアKaと第2非接触給電エリアKbが離間した2箇所に設けられている。
【0014】
充電ステーション2は、上記第1、第2非接触給電エリアKa,Kbとは異なり、固定設置された地上充電設備から無人搬送車3が非接触給電を受けるための場所(給電場所)であり、第1走行軌道1Aの一部から分岐した分岐軌道1a上に設けられている。この充電ステーション2には、図2に示すように、分岐軌道1a上で前後する位置関係に停車エリア1と停車エリア2とが設定されている。また、停車エリア1には地上給電コイル2aが隣接状態に設けられ、停車エリア2には地上給電コイル2bが隣接状態に設けられている。
【0015】
複数の無人搬送車3は、上記自動倉庫と第1、第2製造設備との間における物品搬送作業を行うバッテリ駆動の無人走行車両である。各無人搬送車3は、地上制御局4から無線通信を介して受信した搬送作業に関する指示情報に基づいて第1、第2走行軌道1A,1B上を矢印で示す時計回り方向に走行することにより、自動倉庫の出庫ステーションから第1、第2製造設備の入庫ステーションに部品等の物品を搬送すると共に、第1、第2製造設備の出庫ステーションから自動倉庫の入庫ステーションに完成品等の物品を搬送する。
【0016】
詳細については後述するが、各無人搬送車3は、第1、第2走行軌道1A,1Bを走行して搬送作業を行うに際して、第1、第2非接触給電エリアKa,Kbで非接触の受給電を行うと共に、充電ステーション2において給電を受ける。
【0017】
図3は、このような各無人搬送車3の要部、つまり受給電系の機能構成を示している。各無人搬送車3は、この図3に示すように、受給電系の機能構成要素として、2つの受電コイル3a,3g、2つの受電回路3b,3h、充放電回路3c、蓄電池3d、2つの給電回路3e,3i、2つの給電コイル3f,3j、無線通信機3k及び制御装置3mを備えている。
【0018】
受電コイル3aは、上述した地上給電コイル2a,2bや他の無人搬送車3の給電コイル3fから非接触給電を受ける誘導コイルであり、無人搬送車3の一方の側面において後方側かつ地上給電コイル2a,2bや他の無人搬送車3の給電コイル3fと正対する高さ(位置)に設けられている。このような受電コイル3aは、上記地上給電コイル2a,2bや他の無人搬送車3の給電コイル3fが発生する交流磁界に基づく電磁誘導によって交流電力を非接触で受電して受電回路3bに出力する。受電回路3bは、受電コイル3aから入力される交流電力を直流電力に変換する電力変換回路であり、上記直流電力を充放電回路3c及び給電回路3eに出力する。
【0019】
受電コイル3gは、図4に示すように、他の無人搬送車3の給電コイル3jから非接触給電を受ける誘導コイルであり、無人搬送車3の他方の側面の前方側に設けられている。このような受電コイル3gは、他の無人搬送車3の給電コイル3jが発生する交流磁界に基づく電磁誘導によって交流電力を非接触で受電して受電回路3hに出力する。受電回路3hは、受電コイル3gから入力される交流電力を直流電力に変換する電力変換回路であり、上記直流電力を充放電回路3c及び給電回路3iに出力する。
【0020】
充放電回路3cは、上記受電回路3bあるいは受電回路3hから蓄電池3dへの電力供給(充電)及び当該蓄電池3dから給電回路3eあるいは給電回路3iへの電力供給(放電)を規制する電力調整回路である。この充放電回路3cは、例えば受電回路3bあるいは受電回路3hから供給された直流電力を一定電流に調整しつつ充電電力として蓄電池3dに出力すると共に、蓄電池3dから供給された直流電力(放電電力)の上限値を規制しつつ給電回路3eあるいは給電回路3iに出力する。蓄電池3dは、リチウムイオン電池、あるいは鉛蓄電池等の二次電池である。この蓄電池3dは、上記充放電回路3cから供給された直流電力を充電する一方、蓄電電力(直流電力)を放電して充放電回路3cに供給する。
【0021】
なお、図3には示していないが、無人搬送車3は、複数の駆動輪、従動輪及び駆動輪を駆動する走行モータ等の走行系の機能構成要素、入庫ステーションや出庫ステーションと物品の受け渡しをする荷役系、またこれら走行系及び荷役系を統括的に制御する主制御系の機能構成要素を備えている。走行系、荷役系及び主制御系は、上述した蓄電池3dの電力を動力源として機能する。
【0022】
給電回路3eは、上記充放電回路3cから供給された放電電力(直流電力)を交流電力に変換する電力変換回路であり、交流電力を給電コイル3fに出力する。給電コイル3fは、上記給電回路3eから供給された交流電力に基づいて誘導磁界を発生し、当該誘導磁界を介して外部に交流電力を給電する。また、この給電コイル3fは、図示するように、受電コイル3aとは反対側に位置する無人搬送車3の他方の側面において後方側に設けられている。
【0023】
無線通信機3kは、地上制御局4や他の無人搬送車3の無線通信機3kとの間で無線通信することにより、搬送作業や電力の受給電に関する情報を交換するためのものである。制御装置3mは、所定の制御プログラムに基づいて上記2つの受電回路3b,3h、充放電回路3c、2つの給電回路3e,3i及び無線通信機3gを統括的に制御するものであり、当該制御によって搬送作業や他の無人搬送車3との間の電力の受給電を実現するものである。
【0024】
地上制御局4は、本無人搬送システムAを統括的に制御する制御装置である。この地上制御局4は、上述した無人搬送車3の無線通信機3kと無線通信を行うことにより無人搬送車3の動作を制御すると共に、充電ステーション2における地上給電コイル2a,2bへの給電を制御する。
【0025】
次に、このように構成された無人搬送システムAの動作、特に本実施形態の特徴点である無人搬送車3の受給電動作について、図5をも参照して詳しく説明する。なお、以下の説明において、左側、右側というのは、無人搬送車の進行方向に対して左側、右側という意味である。
【0026】
本無人搬送システムAでは、地上制御局4が無人搬送車3の搬送作業を統括的に制御する。すなわち、無人搬送車3は、無線通信機3kで受信した搬送作業の指示情報に基づいて第1、第2走行軌道1A,1B上を時計回り方向に走行することにより、自動倉庫の出庫ステーションから荷受けした物品を第1製造設備あるいは第2製造設備の入庫ステーションに搬送し、また第1製造設備あるいは第2製造設備の出庫ステーションから荷受けした物品を自動倉庫の入庫ステーションに搬送する。
【0027】
無人搬送車3は搬送作業の指示情報を地上制御局4から順次受信することにより、搬送作業を順次繰り返すが、無人搬送車3の制御装置3mは、第1、第2走行軌道1A,1Bを走行する際に、図5に示す受給電処理を一定のタイムインターバルで実行する。すなわち、制御装置3mは、第1、第2走行軌道1A,1Bを走行するに際して、例えば各入庫ステーションや出庫ステーションからの走行距離に基づいて、受給電エリアである第1非接触給電エリアKaや第2非接触給電エリアKbにいるか否かを判断する(ステップS1)。
【0028】
そして、無人搬送車3の制御装置3mは、ステップS1の判断が「Yes」の場合、つまり第1非接触給電エリアKaもしくは第2非接触給電エリアKbに存在する場合、左側の第1走行軌道1A上に他の無人搬送車3が並走する状態で存在するか否かを判断する(ステップS2)。すなわち、もし第1非接触給電エリアKaに存在する場合には、制御装置3mは、無線通信機3kを用いて第1走行軌道1A上を走行して第1非接触給電エリアKaに進入した他の無人搬送車3あるいは地上制御局4と無線通信を行うことにより、ステップS2の判断処理を行い、また、もし第2非接触給電エリアKbに存在する場合には、制御装置3mは、無線通信機3kを用いて第1走行軌道1A上を走行して第2非接触給電エリアKbに進入した他の無人搬送車3あるいは地上制御局4と無線通信を行うことにより、ステップS2の判断処理を行う。なお、ステップS1の判断が「No」の場合、つまり第1非接触給電エリアKaにも第2非接触給電エリアKbに存在していない場合には、制御装置3mはステップS1の判断処理を繰り返す。
【0029】
そして、無人搬送車3の制御装置3mは、ステップS2の判断が「Yes」の場合、つまり、自車が図4に示すように第2走行軌道1B上を走行する無人搬送車3で、かつ自車の左側に第1走行軌道1A上を走行する他の無人搬送車3が存在する場合、例えば該左側に存在する他の無人搬送車3と無線通信を行うことにより、当該他の無人搬送車3の電池残量(他電池残量)を取得する(ステップS3)。
【0030】
そして、制御装置3mは、この他電池残量と充放電回路3cから取得した蓄電池3dの電池残量(自電池残量)とを比較し(ステップS4)、自電池残量が他電池残量よりも大きい場合は、充放電回路3cを放電モードに設定して蓄電池3dの蓄電電力を給電回路3eに供給させることにより、給電コイル3fを介して他の無人搬送車3に給電する(ステップS5)。
【0031】
一方、無人搬送車3の制御装置3mは、ステップS4において自電池残量が他電池残量よりも小さいと判断した場合には、充放電回路3cを充電モードに設定すると共に受電回路3hを機能させることにより、受電コイル3gを介して左側に隣接する他の無人搬送車3から充電して蓄電池3dに充電させる(ステップS6)。なお、制御装置3mは、ステップS4において自電池残量が他電池残量と同一であると判断した場合には、ステップS5のような給電処理やステップS6のような充電処理を何ら行うことなくステップS1の処理を繰り返す。
【0032】
そして、無人搬送車3の制御装置3mは、ステップS2の判断が「No」の場合には、もし第1非接触給電エリアKaに存在する場合には、無線通信機3kを用いて第2走行軌道1B上を走行して第1非接触給電エリアKaに進入した他の無人搬送車3あるいは地上制御局4と無線通信を行うことにより、また、もし第2非接触給電エリアKbに存在する場合には、無線通信機3kを用いて第2走行軌道1B上を走行して第2非接触給電エリアKbに進入した他の無人搬送車3あるいは地上制御局4と無線通信を行うことにより、右側の第2走行軌道1B上に他の無人搬送車3が並走する状態で存在するか否かを判断する(ステップS7)。
【0033】
すなわち、制御装置3mは、ステップS7の判断が「Yes」の場合、つまり、自車が図4に示すように第1走行軌道1A上を走行する無人搬送車3で、かつ自車の右側に第2走行軌道1B上を走行する他の無人搬送車3が存在する場合、例えば該右側に存在する他の無人搬送車3と無線通信を行うことにより、当該他の無人搬送車3の電池残量(他電池残量)を取得する(ステップS8)。
【0034】
そして、制御装置3mは、この他電池残量と充放電回路3cから取得した蓄電池3dの電池残量(自電池残量)とを比較し(ステップS9)、自電池残量が他電池残量よりも大きい場合は、充放電回路3cを放電モードに設定して蓄電池3dの蓄電電力を給電回路3iに供給させることにより、給電コイル3jを介して他の無人搬送車3に給電する(ステップS10)。
【0035】
一方、無人搬送車3の制御装置3mは、ステップS9において自電池残量が他電池残量よりも小さいと判断した場合には、充放電回路3cを充電モードに設定すると共に受電回路3bを機能させることにより、受電コイル3aを介して右側に隣接する他の無人搬送車3から受電して蓄電池3dに充電させる(ステップS11)。なお、制御装置3mは、ステップS9において自電池残量が他電池残量と同一であると判断した場合には、ステップS10のような給電処理やステップS11のような充電処理を何ら行うことなくステップS1の処理を繰り返す。
【0036】
このような無人搬送車3における受給電処理によれば、第1、第2走行軌道1A,1Bの途中に第1、第2非接触給電エリアKa,Kbが設けられているので、また無人搬送車3が受電機能に加えて給電機能を備えているので、通常の搬送作業の中で電池残量の大きな無人搬送車3から電池残量の小さな無人搬送車3に電力が受け渡される。したがって、本実施形態によれば、搬送作業を中断して充電ステーション2に走行して充電する機会を従来よりも大幅に削減することが可能なので、無人搬送車3の充電作業が搬送作業に与える影響を従来よりも低減することが可能であると共に、無人搬送車3の蓄電池3dの大型化を抑制することが可能である。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態の各ステップS5,S6,S10,S11における給電処理あるいは充電(受電)処理では、第1走行軌道1Aを走行する無人搬送車3と第2走行軌道1Bを走行する無人搬送車3とが何れも走行しつつ給電処理あるいは充電(受電)処理を行うが、本発明はこれに限定されない。各無人搬送車3が、例えば第1、第2非接触給電エリアKa,Kbに進入したことを検知し、かつ他の無人搬送車3が左側あるいは右側に存在することを検知すると一時停止あるいは減速して給電処理あるいは充電(受電)処理を行ってもよい。
【0038】
(2)また、第1、第2非接触給電エリアKa,Kbにおいて安定な給電あるいは充電(受電)を実現するためには、2台の無人搬送車3が同一距離を保つこと、つまり一方の無人搬送車3の受電コイル3aと他方の無人搬送車3の給電コイル3fとの距離や他方の無人搬送車3の受電コイル3gと一方の無人搬送車3の給電コイル3jとの距離が一定の近接状態を維持することが重要である。このような安定な給電あるいは充電(受電)を考慮すると、第1、第2非接触給電エリアKa,Kbにおける2台の無人搬送車3の走行速度が等しいことが好ましいので、例えば2台の無人搬送車3間の無線通信によって2台の無人搬送車3の走行速度が等しくなるように速度調節することが好ましい。
【0039】
(3)上記実施形態では、各無人搬送車3が互いに非接触で給電あるいは受電する電力伝送形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、給電ブラシ等を用いた接触式の電力伝送形態にも適用可能である。
【0040】
(4)上記実施形態では、2つの走行軌道つまり第1、第2走行軌道1A,1Bを走行する無人搬送車3間で給電処理あるいは充電(受電)処理を行うが、走行軌道の個数やレイアウトはこれに限定されない。例えば3つの走行軌道1〜3がある場合には、互いに隣り合う走行軌道1と走行軌道2とに非接触給電エリアを設定し、また互いに隣り合う走行軌道2と走行軌道3とに非接触給電エリアを設定することにより、3つの走行軌道1〜3間に亘る給電処理あるいは充電(受電)処理を実現することができる。
【0041】
(5)上記実施形態では、非接触給電システムを無人搬送システムAに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、無人搬送システムA以外の種々の適用が可能である。すなわち、本発明に係る車両は、無人搬送車3に限定されず、充電を必要とする種々の自動車、例えば運転手が運転する自動車にも適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1A…第1走行軌道、1B…第2走行軌道、1a…分岐軌道、2…充電ステーション、2a,2b…地上給電コイル、3…無人搬送車(搬送車両)、3a、3g…受電コイル、3b,3h…受電回路、3c…充放電回路、3d…蓄電池、3e,3i…給電回路、3f,3j…給電コイル、3k…無線通信機、3m…制御装置、4…地上制御局、Ka…第1非接触給電エリア、Kb…第2非接触給電エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池によって駆動され、電力を外部から受電及び外部に給電する複数の搬送車両と、
搬送車両が走行する複数の走行軌道と、
ある走行軌道と他の走行軌道とが隣接するエリアであって、ある走行軌道を走行する搬送車両と他の走行軌道を走行する搬送車両とが給電/受電する受給電エリアと
を具備することを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
搬送車両は、受給電エリアにおいて走行しつつ給電/受電することを特徴とする請求項1記載の搬送システム。
【請求項3】
搬送車両は、非接触で電力を受電する受電コイルと非接触で電力を給電する給電コイルとを複数個所に備えることを特徴とする請求項1または2記載の搬送システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−238229(P2012−238229A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107571(P2011−107571)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】