説明

搬送ベルトのガイド接着機

【課題】 ベルト本体にガイド部材を接着する際に、接着速度と接着強度を向上し、連続生産が可能となる搬送ベルトのガイド接着機を提供することである。
【解決手段】 平板状のベルト本体2にガイド部材3を接着してガイド付き搬送ベルトBLを製造する際に、前記ガイド部材3および前記ベルト本体2の接着面となる部位を所定温度に加熱して溶融する加熱手段7と、前記ガイド部材3と前記ベルト本体2との接着面同士を重ね合わせて搬送する金型ロール5と、前記金型ロールに当接する前記ガイド部材と前記ベルト本体とを所定の巻回角度範囲に押圧しながらベルト搬送方向に周回するスチールバンド60を有する押圧手段6と、接着構成とされた前記ガイド付き搬送ベルトを冷却する冷却手段とを備える構成の搬送ベルトのガイド接着機1とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状のベルト本体にVガイドなどのガイド部材を接着加工する搬送ベルトのガイド接着機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送ベルト、特に軽量搬送ベルトの走行中の蛇行防止対策として、例えば、搬送ベルトの駆動面側にVガイドなどのガイド部材を接着し、プーリ表面に前記ガイド部材の形状に対応する溝部を設けて案内する方法が知られている。
【0003】
また、このガイド付き搬送ベルトは、長尺平板状に成形されたベルト本体のプーリ面側に、別に成形されたガイド部材(例えば、断面V型のVガイド)を、後工程において接着加工している。
【0004】
その従来の接着方法を図4、図5に示す。従来の搬送ベルトのガイド接着機1Aは、平板状のベルト本体2を搬送するベルト搬送ライン20と、Vガイドなどのガイド部材3を搬送するガイド部材搬送ライン30を備えている。そして、エアシリンダからなる押圧手段5Aと押付ロール62Aとホットジェット噴射器からなる加熱手段7を備える接着部4Aにて、前記ベルト本体2と前記ガイド部材3とを合流して、加熱溶融された接着面を貼り合わせてガイド付き搬送ベルトBLを製造する構成である。
【0005】
ベルト搬送ライン20は、ベルト搬入ローラ2a、送出ローラ2b、および、中間部に配設される重しローラ2cを備えた搬送ラインである。また、ガイド部材搬送ライン30は、搬送駆動ローラ3aと案内ローラ3bを備える搬送ラインであって、ガイド部材3を、押付ロール62Aまで搬送し、ベルト本体2の搬送ラインに合流させている。
【0006】
前記ベルト本体2と前記ガイド部材3とが合流する直前に、加熱手段7からのホットジェットを、前記ガイド部材3の接着面と、前記ベルト本体2の接着面とに同時に噴き付ける構成としているので、それらが合流する際には、それらの接着面を接着可能な程度まで同時に加熱溶融しておくことができる。
【0007】
また、所定温度に加熱溶融した接着面を有するベルト本体10とガイド部材20とを押付ロール62Aで押圧することで、両者を強度に接着する構成としている。
【0008】
接着構成されたガイド付き搬送ベルトBLは、接着部4Aの下流側に設ける冷却エア噴射器からなる冷却手段8が吹き付ける冷却エアにより冷却し固化される。
【0009】
2dは駆動ゴムロールであって、別のエアシリンダからなる押圧手段5Bと押付ロール62Bを介して前記ガイド付き搬送ベルトBLを把持して送り出す構成である。そのために、接着部4から駆動ゴムロール2dに至るガイド付き搬送ベルトBLを伸張して搬送することになり、接着工程と冷却固化工程とを伸張状態で行うことが可能となり、芯体などに皴や弛みが生じず、ガイド部材3を正確な位置に接着することができる。
【0010】
また、押付ロール62A、62Bの外周には、ガイド部材3の形状に対応した溝部が形成されていて、例えば前記ガイド部材3が断面V型のVガイドであれば、所定の位置にV溝を設け、ガイド部材3の搬送経路を正確に規定し、ベルト本体2の所定位置に連続して接着する構成である。
【0011】
本出願人からも、平板状のベルト本体にVガイドを接着加工する際に、Vガイドに対応する溝型を有する下側金型を備えるガイド付き搬送ベルトの製造方法及びその装置が出願されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−35122号公報(第1−5頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ガイド付き搬送ベルトを製造する際に、ガイド部材の形状に対応した溝部を有する押付ロールと搬送ロールとの上下一対のロールで挟持して、加熱溶融されたVガイドをベルト本体に押圧し接着する構成としておれば、ベルト本体の所定位置に正確にガイド部材を配置し固着することは可能である。
【0013】
しかし、上下一対のロール間に、ベルト本体とガイド部材とを挟持して押圧し接着する構成では、接着時間が短くなり、接着速度を速くすることはできず、接着強度もバラツキが生じ易いという問題がある。
【0014】
また、接着構成後のガイド付き搬送ベルトを冷却する際に、単に冷却エアを吹き付ける方法では、空冷式であり冷却効果は小さく、より大きな冷却効果に向上することは困難であり、結果として製造ラインの速度を上げることはできない。
【0015】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、ベルト本体にガイド部材を接着する際に、接着速度と接着強度を向上し、連続生産が可能となる搬送ベルトのガイド接着機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために請求項1に係る発明は、平板状の長尺なベルト本体に長尺なガイド部材を連続に接着してガイド付き搬送ベルトを製造する搬送ベルトのガイド接着機であって、前記ガイド部材および前記ベルト本体の接着面となる部位を所定温度に加熱して接着可能な程度に溶融する加熱手段と、前記ガイド部材と前記ベルト本体との接着面同士を重ね合わせて搬送する金型ロールと、前記金型ロールに当接する前記ガイド部材と前記ベルト本体とを所定の巻回角度範囲に押圧しながらベルト搬送方向に周回するスチールバンドを有する押圧手段と、接着構成とされた前記ガイド付き搬送ベルトを冷却する冷却手段とを備えたことを特徴としている。
【0017】
上記の構成を有する請求項1に係る発明によれば、ガイド部材とベルト本体との加熱溶融された接着面同士を重ね合わせて所定角度以上に亘って押圧しながら金型に当接させることで、接着時間を長くすることができ接着強度を向上することができる。
【0018】
請求項2に係る発明は、前記金型ロール外周に前記ガイド部材に対応する溝部を設けると共に、前記金型ロール内部を循環して前記溝部付近を冷却する冷却水循環路を設けて前記冷却手段を構成したことを特徴としている。
【0019】
上記の構成を有する請求項2に係る発明によれば、金型ロールに当接している間に徐々に冷却可能であると共に、水冷方式であるので冷却効果が大きくなる。そのために、ガイド付き搬送ベルトを製造する際の搬送速度を上げることができ、製造時間を短縮可能となる。
【0020】
請求項3に係る発明は、前記金型ロールを、回転自在な支軸に装着すると共に、前記冷却水循環路を、前記支軸の中心軸部に設ける第一軸部通路と、前記第一軸部通路から前記支軸外周部に向かう第一軸部放射通路と、前記金型ロール内の内径部から外周面近くまで達する第一ロール部放射通路と、前記外周面近くに設けられ、前記溝部付近を冷却する外周冷却通路と、前記外周冷却通路から前記金型ロールの内径部に至る第二ロール部放射通路と、前記第二ロール部放射通路と連通し前記支軸の中心軸部に設ける第二軸部通路に至る第二軸部放射通路と、前記第一軸部通路に接続する給水手段と、前記第二軸部通路に接続する排水手段とで構成したことを特徴としている。
【0021】
上記の構成を有する請求項3に係る発明によれば、金型ロールの外周面付近を水冷方式により効率よく冷却するので、ガイド付き搬送ベルトの冷却が容易となる。
【0022】
請求項4に係る発明は、前記冷却水循環路に圧縮エア給排手段を接続し、冷却水に替えて圧縮エアを給排可能としたことを特徴としている。
【0023】
上記の構成を有する請求項4に係る発明によれば、作業終了後に圧縮エアを供給して、金型ロールの冷却水循環路内の水を完全に除去することができ、設備の清掃管理が容易となる。
【0024】
請求項5に係る発明は、前記押圧手段を、前記スチールバンドと該スチールバンドの前記金型ロールへの接触角度を規定するために前記金型ロールの上下に配置され、前記金型ロールと接離自在とされる二個の従動プーリと、前記従動プーリと協働して前記スチールバンドを掛け渡すテンションプーリとを備えるスチールバンド巻回手段、および、前記テンジョンプーリを前記金型ロールに対して接近離反して前記スチールバンドに所定の張力を付与する移動手段とから構成したことを特徴としている。
【0025】
上記の構成を有する請求項5に係る発明によれば、スチールバンドの金型ロールへの接触角度を変更することで、ガイド部材とベルト本体とを重ね合わせた状態で、前記金型ロールに当接させる巻回角度を所定角度とし、回転する前記金型ロールと連れ周りすることで、所定の押圧力を付加しながら搬送することができる。
【0026】
請求項6に係る発明は、前記二個の従動プーリを、それぞれシリンダ部材を介して前記金型ロールと接離自在とすると共に、前記二個の従動プーリに掛け渡す前記スチールバンドが前記金型ロールに当接する巻回角度が所定角度となるように前記二個の従動プーリを配置した後で、前記移動手段が備えるシリンダ機構により、前記テンションプーリを前記金型ロールから離反して、前記スチールバンドに張力を付加して、前記金型ロールに巻回する前記ガイド部材と前記ベルト本体とを押圧する押圧力を調節可能としたことを特徴としている。
【0027】
上記の構成を有する請求項6に係る発明によれば、加熱されたガイド部材とベルト本体とを所定角度以上に亘って適当な押圧力を付加しながら金型に当接させることで、接着強度が向上し、接着力のバラツキがないガイド付き搬送ベルトを製造することができる。
【0028】
請求項7に係る発明は、前記巻回角度が180°程度であり、加熱された前記ガイド部材と前記ベルト本体とを重ね合わせて接合し冷却してガイド付き搬送ベルトを製造可能な程度の搬送速度に制御する制御手段を備えていることを特徴としている。
【0029】
上記の構成を有する請求項7に係る発明によれば、長い範囲で面接着状態を維持してガイド部材とベルト本体との接着が強固となる。さらに両者を確実に接着可能な速い搬送速度に設定することができ、ガイド付き搬送ベルトの製造の連続生産が可能となる。
【発明の効果】
【0030】
上記したように本発明によれば、ガイド部材およびベルト本体の接着面となる部位を所定温度に加熱して接着可能な程度に溶融する加熱手段と、前記ガイド部材と前記ベルト本体との接着面同士を重ね合わせて搬送する金型ロールと、前記金型ロールに当接する前記ガイド部材と前記ベルト本体とを所定の巻回角度範囲に押圧しながらベルト搬送方向に周回するスチールバンドを有する押圧手段と、接着構成とされた前記ガイド付き搬送ベルトを冷却する冷却手段とを備えた構成としたので、ガイド部材とベルト本体との加熱溶融された接着面同士を重ね合わせて押圧して接着する接着時間を長くすることができ、接着強度が向上し、接着力のバラツキがないガイド付き搬送ベルトを製造可能な搬送ベルトのガイド接着機を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明に係る搬送ベルトのガイド接着機の実施の形態について、図1から図5に基づいて詳細に説明する。
【0032】
本実施の形態に係る搬送ベルトのガイド接着機1は、平板状のベルト本体2にガイド部材3を接着してガイド付き搬送ベルトBLを製造する装置であって、図1に示すように、本体架台10底部の複数箇所にキャスタ11を備えた移動自在式構成とされている。また、平板状のベルト本体2を接着部4に供給してガイド付き搬送ベルトBLを製造し送り出すベルト搬送ライン20と、ガイド部材3を前記接着部4に供給してベルト本体2に合流させるガイド部材搬送ライン30とを備えている。
【0033】
前記接着部4には、前記ガイド部材3と前記ベルト本体2とを重ね合わせて搬送する金型ロール5と、前記金型ロール5に当接する前記ガイド部材3と前記ベルト本体2とを所定の巻回角度範囲に亘って巻回し押圧しながらベルト搬送方向に周回するスチールバンド60を有する押圧手段6が配設されている。
【0034】
また、前記金型ロール5を回転駆動するための駆動モータ12と駆動力を伝達するチェーンや駆動ベルトなどの索体13、および、搬送速度の設定や前記押圧手段6によりスチールバンド60に付加する押圧力の設定のための制御装置14、エア配管手段15などを備えていると共に、前記ガイド部材3と前記ベルト本体2との合流部付近に加熱手段7を配設し、前記ガイド部材3と前記ベルト本体2のそれぞれを接着する重ね合わせ部(接着面となる部位)を予め所定温度に加熱する構成としている。
【0035】
前記加熱手段7による加熱温度は、前記ガイド部材3と前記ベルト本体2とが接着可能な程度にその接着面部位を溶融する温度としている。
【0036】
また、本実施の形態においては、前記加熱手段7として、ホットジェットを噴射するノズルを設ける構成としているが、それぞれの接着面に当接して所定温度まで昇温させる加熱板や加熱部材を設けることも可能である。しかし、前記合流部付近にホットジェットを噴射する構成であれば、ガイド部材3とベルト本体2との接着面となる部位を同時に加熱することができ好適である。
【0037】
前記押圧手段6は、前記スチールバンド60を周回自在に巻回しているスチールバンド巻回手段6Aと、該スチールバンド60に所定の張力を付与しながら前記金型ロール5に押し付ける移動手段6Bとを備えている。
【0038】
スチールバンド巻回手段6Aは、前記スチールバンド60の前記金型ロール5への接触角度を規定するために前記金型ロール5の上下に配置され、前記金型ロール5と接離自在とされる二個の従動プーリ62、63と、前記従動プーリと協働して前記スチールバンド60を掛け渡すテンションプーリ61とを備えている。
【0039】
前記移動手段6Bは、前記テンジョンプーリ61を前記金型ロール5に対して接近離反する装置であり、シリンダ部材66と前記テンションプーリ61を図中の矢印A6方向に摺動自在に支持するスライドガイド67とからなるシリンダ機構を備えている。
【0040】
また、従動プーリ62はシリンダ部材64を介して前記金型ロール5に接離自在とされており、従動プーリ63はシリンダ部材65を介して前記金型ロール5に接離自在とされている。そのために、前記二個の従動プーリ62、63を所定位置に配設して、それぞれのシリンダ部材を介してそれぞれ金型ロール5に当接すると、所定角度以上の巻回角度でスチールバンド60を金型ロール5に当接させることができる。
【0041】
この状態で、前記移動手段6Bが備えるシリンダ部材66を介して前記テンションプーリ61を金型ロール5から離反させる方向に移動すると、前記スチールバンド60を引っ張り、所定の張力を付与することができる。つまり、金型ローラ5とスチールバンド60とで挟み込むガイド部材3とベルト本体2とに所定の押圧力を付加することができ、接着可能な程度に加熱溶融されたガイド部材3とベルト本体2とを強力にまた安定して押圧することで強固に接着することができる。
【0042】
また、図2(a)に示すように、前記金型ロール5に当接する巻回角度θを180°以上とすることも可能であり、従動プーリ62、63とテンションプーリ61とに掛け渡されたスチールバンド60が、図中の矢印A1方向に回転する金型ロール5と連れ回りすることで、前記ガイド部材3と前記ベルト本体2とを接着固定しながら(ガイド付き搬送ベルトBLを成形しながら)ベルト搬送する構成である。
【0043】
すなわち、矢印A2方向から供給されるベルト本体2と、矢印A3方向から供給されるガイド部材3とを、矢印A1方向に回転する金型ロール5に合流させて重ね合わせて搬送することで、両者を接着構成してガイド付き搬送ベルトBLを製造して矢印A4方向に送り出す構成である。
【0044】
この時に、接着構成するためにその接着面同士を加熱溶融しているので、接着操作直後に接着面部を冷却し固化する必要がある。その冷却手段として、本実施の形態においては、水冷式の冷却手段を採用し、図2(b)に示すように、前記金型ロール5の内部に設ける冷却水循環路で構成した。金型ロール5は、図示しない支持フレームにベアリングを介して回転自在な支軸50に摩擦式固定具(パワーロック)53、53の締め付けにより固定される基部ロール51と上部ロール52とを合体した構成であり、前記冷却水循環路を、前記支軸50の中心軸部に設ける第一軸部通路5aと、前記第一軸部通路5aから前記支軸外周部に向かう第一軸部放射通路5bと、前記金型ロール内の内径部から外周面近くまで達する第一ロール部放射通路5cと、前記外周面近くに設けられ、溝部56付近を冷却する外周冷却通路5dと、前記外周冷却通路5dから前記金型ロール5の内径部に至る第二ロール部放射通路5eと、前記第二ロール部放射通路5eと連通し前記支軸の中心軸部に設ける第二軸部通路5gに至る第二軸部放射通路5fと、前記第一軸部通路5aに接続する給水手段58と、前記第二軸部通路5gに接続する排水手段59とで構成した。前記給水手段58と前記排水手段59は、いずれも支軸50にロータリージョイントを介して装着されていて、回転軸の軸端部に、その位置を固定して装着することができる。
【0045】
前記冷却通路5dは、一方の壁面から内部に向けて円環状の隙間を形成し、壁面の開口部をサイドプレート57で閉止する構成としても、前記外周面近くに設けられ軸心と平行な複数の小径通路を設け、壁面の開口部を前記サイドプレート57で閉止する構成とすることも可能である。複数の小径通路を設ける際には、それぞれの小径通路に連通する第一ロール部放射通路5cと第二ロール部放射通路5eとをそれぞれ設けることは明らかである。
【0046】
金型ロール5を基部ロール51と上部ロール52との合体構成としたのは、その内部に冷却水循環路を形成容易とするためであって、合わせ面51aからそれぞれ第一ロール部放射通路5cと第二ロール部放射通路5eとを掘削加工することができる。また、上部ロール52を交換することにより、数種類のガイド部材3の溶着に適用することが可能となる。
【0047】
前記金型ロール5が合体構成であっても、前記合わせ面51aを挟む両側部の内径側と外径側とにそれぞれゴムリングなどの密封部材57Aを備えるサイドプレート57を装着することで、合わせ面51aからの水漏れや空気漏れを防止することができる。
【0048】
基部ロール51の内径部には、前記第一軸部放射通路5bと前記第二軸部放射通路5fとに係合する流通溝部54をそれぞれ設け、さらに、それらの溝部の両側を密封するようにゴムリングなどの封止部材51Aを介装し、支軸50との接合面からの水漏れや空気漏れを防止している。
【0049】
上記のような構成としているので、前記支軸50に設ける第一軸部通路5aと第一軸部放射通路5bから、前記流通溝部54を介して第一ロール部放射通路5c、および冷却通路5dに冷却水などの流体を供給することができる。また、第二ロール部放射通路5eから前記流通溝部54を介して第二軸部放射通路5fと第二軸部通路5gに冷却水などの流体を排出することができる。
【0050】
そのために、前記冷却水循環路に圧縮エア給排手段(不図示)を接続して、冷却水に替えて圧縮エアを給排することも可能である。この構成であれば、冷却水を循環させる水冷式でなく空気を循環させる空冷式の冷却手段とすることも、水冷式による接着作業終了後に圧縮エアを供給して、金型ロールの冷却水循環路内の水を完全に除去することができ、所望される冷却能力に応じて、水冷式か空冷式かを選択可能となると共に、設備の清掃管理が容易となる。
【0051】
上記したように、金型ロール5内部に冷却水循環路を設けているので、ロールの外周面に形成される溝部56付近を効率よく冷却することが可能となる。そのために、前記溝部56に沿って搬送されるガイド部材3や該ガイド部材3と接着構成されるベルト本体2との接着面部を効率よく冷却可能な構成となる。
【0052】
そのために、本発明に係る搬送ベルトのガイド接着機1であれば、加熱されたガイド部材3とベルト本体2とを所定角度以上(例えば180°程度)に亘って押圧しながら金型ロール5に当接させて、接着時間と冷却時間を長くすることができるので、接着強度が向上し、接着力のバラツキがないガイド付き搬送ベルトを製造可能となる。
【0053】
次に図3によりスチールバンド巻回手段6Aと移動手段6Bとを備えている押圧手段6について説明する。前記スチールバンド巻回手段6Aは、テンションプーリ61と従動プーリ62、63とにスチールバンド60を周回自在に巻回している。また、前記従動プーリ62はシリンダ部材64により、金型ロール5に接離自在とされており、前記従動プーリ63はシリンダ部材65により、金型ロール5に接離自在とされている。また、それぞれの従動ローラ62、63を金型ローラ5に当接した状態とすると、これらのローラに掛け渡されているスチールバンド60が前記金型ロールに接触する巻回角度θが180°以上となるように設定されている。
【0054】
テンションプーリ61はスライド自在なスライドガイド67に装着されており、シリンダ部材66を介して矢印A6方向に摺動自在とされている。そのために、シリンダ部材66のシャフトを伸ばして、前記テンションプーリ61を金型ロール5に接近させると、前記スチールバンド60のテンションが緩和され、逆にシリンダ部材66のシャフトを短縮して前記テンションプーリ61を金型ロール5から引き離すと、前記スチールバンド60のテンションを増加することができる。
【0055】
つまり、本実施の形態により、スチールバンド60に所定の張力を付与しながら前記金型ロール5に押し付けることができ、加熱されたガイド部材3とベルト本体2とを重ね合わせて、所定角度以上に亘って押圧しながら巻回する際に適度な所定の押圧力を付加することが可能となる。
【0056】
スチールバンド60に付加する張力や、ガイド部材3とベルト本体2との搬送速度(つまりガイド付き搬送ベルトの製造速度)はいずれも制御装置14により設定可能とされている。そのために、加熱溶融された接着面を有する前記ガイド部材3と前記ベルト本体2とを重ね合わせて接合可能とすると共に巻回中に冷却してガイド付き搬送ベルトBLを製造可能とする適度の搬送速度に予め設定し制御することができる。
【0057】
また、ホットジェットを噴射する加熱手段7の加熱温度設定や、冷却水の流量制御なども前記制御装置14を介して設定可能である。
【0058】
上記した実施の形態においては、前記金型ロール5を回転駆動することで、ベルト本体2とガイド部材3とを搬送する構成としているが、製造されるガイド付き搬送ベルトBLを巻き取る巻取ローラ(不図示)を設けることは明らかである。また、搬送ラインの所定位置に、前記金型ロール5の搬送速度と同速度で搬送する搬送ローラを設けて、前記ガイド付き搬送ベルトBLの搬送を補助する構成とすることもできる。
【0059】
図4および図5に示す従来の接着方法では、接着部4Aが点接触であり、接着時間が短く、また、冷却エア噴射方式の空冷式のために、冷却効果も小さくなっている。本実施の形態に係わる金型ロール5とスチールバンド60を備える押圧手段6とからなる接着部4であれば、スチールバンド60を金型ロール5に押圧する面接触の接着が可能となり、接着時間を長くすることができる。
【0060】
また、金型ロール5の内部に冷却水循環路を設けて、接着後のガイド付き搬送ベルトBLを水冷式に冷却するので冷却効果が大となる。
【0061】
上記したように、本発明に係わる搬送ベルトのガイド接着機によれば、ガイド部材とベルト本体とのそれぞれの接着面を加熱溶融して、それらを重ね合わせて、前記ガイド部材に応じた溝部を有する金型ロールに所定の巻回角度範囲(例えば180°程度)に押圧しながら巻回すると共に冷却する構成としたので、接着時間と冷却時間を長くすることができ、ガイド部材が強固に接着されたガイド付き搬送ベルトを製造することができる。
【0062】
また、回転駆動する金型ロールに、ガイド部材に応じた溝部を設けると共に、ロール内部に冷却水循環路を設けたので、ベルト本体とガイド部材とがずれることなく同速度で搬送され、連続的に冷却されていくので、ガイド付き搬送ベルトを連続生産が可能となる。
【0063】
さらに、従動回転するスチールバンド巻回手段を介して、ガイド部材とベルト本体とを重ね合わせて押圧する構成としたので、接着部が面接触構成となり、強固にまた均一に押圧することができ、接着効果と冷却効果を共に向上することができ、ガイド付き搬送ベルトの連続生産が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る搬送ベルトのガイド接着機の構成を示す全体概略図である。
【図2】本発明に係る接着部となる金型ロールを示し、(a)はベルト本体とガイド部材との巻回状態を示す正面図であり、(b)は金型ロール内部の冷却水循環路を示す断面図である。
【図3】本発明に係る押圧手段のスチールバンド巻回手段と移動手段を示す概略説明図である。
【図4】従来の搬送ベルトのガイド接着機の構成を示す全体概略図である。
【図5】従来の接着部の概要を示す正面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 搬送ベルトのガイド接着機
2 ベルト本体
3 ガイド部材
4 接着部
5 金型ロール
6 押圧手段
6A スチールバンド巻回手段
6B 移動手段
7 加熱手段
60 スチールバンド
BL ガイド付き搬送ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の長尺なベルト本体に長尺なガイド部材を連続に接着してガイド付き搬送ベルトを製造する搬送ベルトのガイド接着機であって、
前記ガイド部材および前記ベルト本体の接着面となる部位を所定温度に加熱して接着可能な程度に溶融する加熱手段と、前記ガイド部材と前記ベルト本体との接着面同士を重ね合わせて搬送する金型ロールと、前記金型ロールに当接する前記ガイド部材と前記ベルト本体とを所定の巻回角度範囲に押圧しながらベルト搬送方向に周回するスチールバンドを有する押圧手段と、接着構成とされた前記ガイド付き搬送ベルトを冷却する冷却手段とを備えたことを特徴とする搬送ベルトのガイド接着機。
【請求項2】
前記金型ロール外周に前記ガイド部材に対応する溝部を設けると共に、前記金型ロール内部を循環して前記溝部付近を冷却する冷却水循環路を設けて前記冷却手段を構成したことを特徴とする請求項1に記載の搬送ベルトのガイド接着機。
【請求項3】
前記金型ロールを、回転自在な支軸に装着すると共に、前記冷却水循環路を、前記支軸の中心軸部に設ける第一軸部通路と、前記第一軸部通路から前記支軸外周部に向かう第一軸部放射通路と、前記金型ロール内の内径部から外周面近くまで達する第一ロール部放射通路と、前記外周面近くに設けられ、前記溝部付近を冷却する外周冷却通路と、前記外周冷却通路から前記金型ロールの内径部に至る第二ロール部放射通路と、前記第二ロール部放射通路と連通し前記支軸の中心軸部に設ける第二軸部通路に至る第二軸部放射通路と、前記第一軸部通路に接続する給水手段と、前記第二軸部通路に接続する排水手段とで構成したことを特徴とする請求項2に記載の搬送ベルトのガイド接着機。
【請求項4】
前記冷却水循環路に圧縮エア給排手段を接続し、冷却水に替えて圧縮エアを給排可能としたことを特徴とする請求項2または3に記載の搬送ベルトのガイド接着機。
【請求項5】
前記押圧手段を、前記スチールバンドと該スチールバンドの前記金型ロールへの接触角度を規定するために前記金型ロールの上下に配置され、前記金型ロールと接離自在とされる二個の従動プーリと、前記従動プーリと協働して前記スチールバンドを掛け渡すテンションプーリとを備えるスチールバンド駆動手段、および、前記テンジョンプーリを前記金型ロールに対して接近離反して前記スチールバンドに所定の張力を付与する移動手段とから構成したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の搬送ベルトのガイド接着機。
【請求項6】
前記二個の従動プーリを、それぞれシリンダ部材を介して前記金型ロールと接離自在とすると共に、前記二個の従動プーリに掛け渡す前記スチールバンドが前記金型ロールに当接する巻回角度が所定角度となるように前記二個の従動プーリを配置した後で、前記移動手段が備えるシリンダ機構により、前記テンションプーリを前記金型ロールから離反して、前記スチールバンドに張力を付加して、前記金型ロールに巻回する前記ガイド部材と前記ベルト本体とを押圧する押圧力を調節可能としたことを特徴とする請求項5に記載の搬送ベルトのガイド接着機。
【請求項7】
前記巻回角度が180°程度であり、加熱された前記ガイド部材と前記ベルト本体とを重ね合わせて接合し冷却してガイド付き搬送ベルトを製造可能な程度の搬送速度に制御する制御手段を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の搬送ベルトのガイド接着機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−191273(P2007−191273A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10997(P2006−10997)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】