説明

搬送ロボット

【課題】構成を簡素化し、かつ、十分な昇降範囲を確保できる搬送ロボットを提供すること。
【解決手段】搬送ロボット1の旋回台12は、基台11に鉛直軸O1回りに旋回可能に取り付けられた基部13から延伸部14が水平に一方向にのみ延伸する。延伸部14の先端部からは支柱21が鉛直方向に立設される。第1昇降用アーム24は、支柱21の先端部で水平軸回りに回転可能に支持され、第2昇降用アーム26は、第1昇降用アーム24の先端部で水平軸回りに回転可能に支持される。水平アームユニット30は、第2昇降用アーム26の先端部で水平軸回りに回転可能に支持される。水平アームユニット30は、被搬送対象物を載置するハンド部33aを支柱21に対して鉛直軸O1側で水平軸と平行な方向に移動させるアーム部32aを有し、水平アームユニット30のアーム部32aの一部が延伸部14の上面よりも低い位置で動作して被搬送対象物を搬送可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶用のガラス基板や半導体ウェハなどの薄板状ワークをストッカなどに出し入れする搬送ロボットが知られている。
【0003】
この種の搬送ロボットとして、一対の脚部ユニットを動作させて上下動し、上部に配置された水平アームユニットによって薄板状ワークなどの被搬送対象物を搬送するロボットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4466785号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の搬送ロボットでは、水平アームユニットを昇降するために一対の脚部ユニットを用いており、構成を簡素化し、かつ、十分な昇降範囲を確保する観点から課題がある。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、構成を簡素化し、かつ、十分な昇降範囲を確保することができる搬送ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する搬送ロボットは、一つの態様において、基台に対し鉛直軸回りに旋回可能に取り付けられた基部と、当該基部から水平に一方向にのみ延伸する延伸部と、を有する旋回台と、前記延伸部の先端部から鉛直方向に立設された支柱と、前記支柱の先端部に第1関節部を介して支持され、水平な第1水平軸回りに回転可能な第1昇降用アームと、前記第1昇降用アームの先端部に第2関節部を介して支持され、前記第1水平軸と平行な第2水平軸回りに回転可能な第2昇降用アームと、被搬送対象物を載置するハンド部を前記支柱に対して前記鉛直軸側で前記第2水平軸と平行な方向にへ移動させるアーム部を有し、前記第2昇降用アームの先端部に第3関節部を介して支持され、前記第1および第2水平軸と平行な第3水平軸回りに回転可能に支持される水平アームユニットとを備え、前記水平アームユニットのアーム部の一部が、前記延伸部の上面よりも低い位置で動作して前記被搬送対象物を搬送可能であることを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する搬送ロボットの一つの態様によれば、構成を簡素化し、かつ、十分な昇降範囲を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施例1に係る搬送ロボットの模式斜視図である。
【図2】図2は、旋回台と水平アームユニットとの位置関係を示す図である。
【図3A】図3Aは、水平アームユニットが最上位置にある搬送ロボットの正面模式図である。
【図3B】図3Bは、水平アームユニットが最上位置にある搬送ロボットの側面模式図である。
【図3C】図3Cは、搬送ロボットの内部構造の一部を示す簡易側断面模式図である。
【図4A】図4Aは、水平アームユニットが最下位置にある搬送ロボットの正面模式図である。
【図4B】図4Bは、水平アームユニットが最下位置にある搬送ロボットの側面模式図である。
【図5A】図5Aは、実施例2に係る搬送ロボットの模式図である。
【図5B】図5Bは、実施例2に係る搬送ロボットの模式図である。
【図6】図6は、実施例3に係る搬送ロボットの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本願の開示する搬送ロボットのいくつかの実施例を詳細に説明する。ただし、これらの実施例における例示で本願発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
[搬送ロボットの構成]
まず、実施例1に係る搬送ロボットの構成について、図1を参照して説明する。図1は、実施例1に係る搬送ロボットの模式斜視図である。以下においては、説明の便宜上、搬送ロボット1の旋回位置が図1に示す状態であるとして、搬送ロボット1における各部位の位置関係を説明する。また、Z軸方向を鉛直方向とする。
【0012】
図1に示すように、実施例1に係る搬送ロボット1は、旋回機構10と、昇降機構20と、水平アームユニット30とを備える。
【0013】
旋回機構10は、基台11と旋回台12とを備え、基台11に対し鉛直軸である旋回軸O1を中心として旋回台12が旋回する。そして、旋回台12の旋回に伴い、昇降機構20および水平アームユニット30が旋回軸O1を中心として旋回する。
【0014】
旋回台12は、基台11に旋回可能に取り付けられた略円盤状の基部13と、基部13の一端から水平方向に延伸する延伸部14とを備える。延伸部14は、基部13の一端からY軸の負方向へ傾斜しつつX軸の正方向へ延伸する第1部材14aと、第1部材14aの先端からY軸の負方向へ延伸する第2部材14bとを備え、平面視略L字状に形成される。また、基部13の上面は、延伸部14の上面よりも低い位置に形成され、基部13と延伸部14により段差15が形成される。
【0015】
昇降機構20は、延伸部14の先端部から鉛直方向に立設された支柱21と、基端部が支柱21の先端部に支持され、先端部で水平アームユニット30を支持する脚部ユニット22とを備える。かかる昇降機構20は、脚部ユニット22の姿勢を変化させることによって水平アームユニット30を旋回軸O1と平行な軸に沿って上下方向に昇降させる。
【0016】
脚部ユニット22は、第1昇降用アーム24と、第2昇降用アーム26とを備える。第1昇降用アーム24は、支柱21の先端部のうちX軸の負方向側に基端部が第1関節部23を介して連結される。これにより、第1昇降用アーム24は、水平な水平軸である第1関節部23の関節軸O2中心に支柱21の先端部に回転可能に支持される。
【0017】
第2昇降用アーム26は、第1昇降用アーム24の先端部のうちX軸の負方向側に基端部が第2関節部25を介して連結される。これにより、第2昇降用アーム26は、関節軸O2と平行な水平軸である第2関節部25の関節軸O3中心に第1昇降用アーム24の先端部に回転可能に支持される。
【0018】
水平アームユニット30は、第2昇降用アーム26の先端部のうちX軸の負方向側に第3関節部27を介して連結される。これにより、水平アームユニット30は、関節軸O3と平行な水平軸である第3関節部27の関節軸O4を中心に第2昇降用アーム26の先端部に回転可能に支持される。
【0019】
このように、実施例1に係る搬送ロボット1では、1つの脚部ユニット22で水平アームユニット30を支持する。そのため、2以上の昇降アームユニットで水平アームユニット30を支持する場合に比べて、構成を簡素化することができる。なお、関節軸O2が第1水平軸に対応し、関節軸O3が第2水平軸に対応し、関節軸O4が第3水平軸に対応する。
【0020】
水平アームユニット30は、下側アームユニット31aと、上側アームユニット31bとを備える。下側アームユニット31aは、被搬送対象物である薄板状のワークWを載置するためのハンド部33aと、このハンド部33aを先端部で支持するアーム部32aと、下側支持部材34aとを備える。そして、かかる水平アームユニット30では、アーム部32aの伸縮によって、ワークWを載置するハンド部を支柱21に対して旋回軸O1側で関節軸O3と平行な方向に移動させる。
【0021】
アーム部32aは、基端側アーム35aと先端側アーム36aとを備える。下側支持部材34aは、第2昇降用アーム26の先端部に、第3関節部27の関節軸O4周りに回転可能に支持される。下側支持部材34aには、基端側アーム35aの基端部が回転可能に支持される。
【0022】
基端側アーム35aの先端部には、先端側アーム36aの基端部が回転可能に支持される。ハンド部33aは、先端側アーム36aの先端部で回転可能に支持される。また、ハンド部33aは、これら基端側アーム35aと先端側アーム36aとが回転動作することによってX軸方向へ直線的に移動する。搬送ロボット1の旋回位置が図1に示す状態である場合、X軸方向は、ハンド部33aの移動方向およびアーム部32aの伸縮方向である。
【0023】
アーム部32aの基端側アーム35aと先端側アーム36aとを連結する肘関節部81aは、追って詳述する図3Aからも分かるように、旋回台12の旋回中心である旋回軸O1を中心として、旋回台12の延伸部14とは逆側で動作するように配置される。すなわち、アーム部32aの折り畳み方向が旋回台12の旋回中心に対して延伸部14とは逆側になるようにする。
【0024】
また、基端側アーム35aの基端関節部80aは、図3Aに示すように、Y軸方向から見た場合に、基部13の上方の位置で下側支持部材34aによって支持される。したがって、第3関節部27は、図3Aのように、Y軸方向から見た場合に、旋回軸O1よりもY軸の負方向側にずれた位置で下側支持部材34aを支持する。
【0025】
さらに本実施例の搬送ロボット1では、図1に示すように、下側支持部材34aの先端部の上面に、先端側が低くなるように段差38が形成され、段差38の下側の段の上面にて基端側アーム35aが回転可能に支持される。一方、上述したように、基部13の上面は、延伸部14の上面よりも低い位置に形成され、基部13と延伸部14により段差15が形成される。
【0026】
このように、搬送ロボット1においては、下側アームユニット31aの肘関節部81aが旋回台12の延伸部14とは逆側で動作するように配置され、さらに、旋回台12の延伸部14に段差15が形成される。
【0027】
したがって、図2に示すように、搬送ロボット1では、水平アームユニット30のアーム部32aの一部が、延伸部14の上面よりも低い位置で動作してワークWを搬送可能である。より具体的には、水平アームユニット30を下降させる場合に、少なくとも基端側アーム35aは、段差15の高さ範囲Z1内になる位置まで下降させることができ、少なくともハンド部33aの下面が、延伸部14の上面と接触しない程度まで水平アームユニット30を下降させることができる。
【0028】
図2は、このような状態を示す図であって、水平アームユニット30が最下位置にある場合に、X軸方向から見た旋回台12と水平アームユニット30との位置関係を示す図である。つまり、水平アームユニット30が最下位置にあっても、少なくとも基端側アーム35aは、段差15の高さ範囲Z1で、かつ基部13の上面よりも上方の位置で、基端関節部80aを中心として回転できる。
【0029】
したがって、水平アームユニット30が最下位置にあっても、アーム部32aの動作に支障をきたすことが無く、しかも、図3Aに示すように、肘関節部81aの旋回軸O1からのY軸方向における距離が短くなるので、ロボットの動作範囲を不要に広げることも無い。
【0030】
また、図2から明らかなように、下側支持部材34aに段差38が形成され、かかる段差38の下側の段の上面にて基端側アーム35aが回転可能に支持されることから、第3関節部27および下側支持部材34aを、より下降させる必要が無くなる。そのため、第1昇降用アーム24および第2昇降用アーム26の必要な長さを短くすることができる。
【0031】
なお、図2においては、水平アームユニット30のうち上側アームユニット31bは図示していない。また、アーム部32aは折り畳まれた状態である。ここで、折り畳まれた状態とは、基端側アーム35aと先端側アーム36aとが共にY軸方向に沿って延伸し、Z軸方向から見た場合に、基端側アーム35aと先端側アーム36aとが互いに重なる位置にある状態をいう。
【0032】
このように、搬送ロボット1では、アーム部32aの折り畳み方向を旋回台12の旋回中心に対して延伸部14とは逆側にし、旋回台12には段差15が形成される。これにより、基端側アーム35aの位置が段差15の高さ範囲Z1内になるまで水平アームユニット30を降下させることができる。したがって、水平アームユニット30の最下位置を低い位置にすることができ、水平アームユニット30の昇降範囲をより確保することができる。
【0033】
一方、特許文献1に記載された搬送ロボットでは、一対の対向する脚部ユニットで水平アームユニットが支持されており、本実施例の延伸部14に相当する部分が、脚部ユニットの対向方向(図3Aに示すY軸の正負の両方向に相当)へ延在することになる。そのため、本実施例の搬送ロボット1のように延伸部14の上面よりも低い位置まで、基端側アーム35aを下降させることができず、広い昇降範囲を確保することができない。
【0034】
また、図1に示すように、上側アームユニット31bは、被搬送対象物である薄板状のワーク(図示せず)を載置するためのハンド部33bと、このハンド部33bを先端部で支持するアーム部32bと、上側支持部材34bとを備える。なお、ハンド部33bが第2のハンド部に対応し、アーム部32bが第2のアーム部に対応する。
【0035】
アーム部32bは、基端側アーム35bと先端側アーム36bとを備える。上側支持部材34bは、その基端部が下側支持部材34aの基端部に連結され、第3関節部27の関節軸O4周りに回転可能に支持される。上側支持部材34bには、基端側アーム35bの基端部が回転可能に支持される。
【0036】
基端側アーム35bの先端部には、先端側アーム36bの基端部が回転可能に支持される。ハンド部33bは、先端側アーム36bの先端部で回転可能に支持される。また、ハンド部33bは、これら基端側アーム35bと先端側アーム36bとが回転動作することによってX軸方向へ直線的に移動する。搬送ロボット1の旋回位置が図1に示す状態である場合、X軸方向は、ハンド部33bの移動方向およびアーム部32bの伸縮方向である。
【0037】
アーム部32bの基端側アーム35bと先端側アーム36bと肘関節部81bは、X軸方向から見て旋回台12の旋回中心に対してアーム部32aの肘関節部81aとは逆側である延伸部14側に配置される。すなわち、アーム部32bの折り畳み方向を延伸部14側にしている。上述したように、下側アームユニット31aにおいて、最下位置を低い位置にするために肘関節部81aは、X軸方向から見て旋回軸O1に対してY軸の正方向側に設けられる。一方で、本実施例では、上側アームユニット31bの肘関節部81bは、X軸方向から見て旋回軸O1に対してY軸の負方向側に設けられる。これにより、特に脚部ユニット22の第1関節部23へのモーメントを軽減することができる。
【0038】
なお、ここでは、下側アームユニット31aと上側アームユニット31bとにより水平アームユニット30を構成することとしたが、例えば、上側アームユニット31bを設けずに水平アームユニット30を構成してもよい。
【0039】
[搬送ロボットの動作]
実施例1に係る搬送ロボット1は、例えば、次のように図示しないストッカに保管されたワークWをストッカから取り出し、図示しない搬送位置へ搬送する。なお、ここでは、ハンド部33aによる搬送について説明するが、ハンド部33bによる搬送も同様である。また、ストッカ内には、例えば、搬送ロボット1が設置される工場の天井近くの高さから床面近くの高さまでの間に、ワークWが一定の間隔を持って積み重ねられ保管される。
【0040】
まず、搬送ロボット1は、昇降機構20によって水平アームユニット30を上昇又は下降させることによって、ストッカ内に保管されて取り出し対象となるワークWの高さよりも少し低い高さにハンド部33aを位置させる。
【0041】
次に、搬送ロボット1は、アーム部32aを駆動してハンド部33aを水平方向に直線的に移動させて、ワークWを保管するストッカ内にハンド部33aを進入させ、その後、昇降機構20によって水平アームユニット30を上昇させる。これにより、ハンド部33a上にワークWが載置される。
【0042】
次に、搬送ロボット1は、アーム部32aを縮ませることによってワークWを載置したハンド部33aをストッカ内から水平方向に直線的に退出させる。その後、搬送ロボット1は、ハンド部33aの先端部がワークWの搬送位置の方向へ向くように水平アームユニット30および昇降機構20を旋回機構10によって旋回させる。
【0043】
次に、搬送ロボット1は、アーム部32aを再び伸ばすことによって、ハンド部33aを水平方向に直線的に移動させ、ハンド部33aを搬送位置の上方に進入させる。そして、搬送ロボット1は、昇降機構20によって水平アームユニット30を下降させる。これにより、ハンド部33aの位置が下降し、ワークWが搬送位置に載置される。
【0044】
[搬送ロボット1の詳細な構成]
以下、実施例1に係る搬送ロボット1の構成について、さらに具体的に説明する。図3Aは、水平アームユニット30が最上位置にある搬送ロボット1の正面模式図、図3Bは、水平アームユニット30が最上位置にある搬送ロボット1の側面模式図である。なお、以下においては、搬送ロボット1の旋回位置を固定とし、アーム部32a,32bはX軸方向にハンド部33a,33bを直線的に移動させるものとして説明する。
【0045】
まず、旋回機構10について説明する。旋回機構10の旋回台12は、図3Aに示すように、基台11に旋回可能に取り付けられた基部13と、基部13の一端から水平方向に延伸する延伸部14とを備える。
【0046】
かかる旋回台12では、基部13の厚みを薄くして基部13の上面を延伸部14の上面よりも低い位置に形成するために、旋回用モータ16は延伸部14内に配設される。旋回用モータ16の駆動力は図示しないベルトを介して基部13内の減速機17に伝達される。減速機17の出力軸は、基台11に固定されており、減速機17が駆動されることによって、旋回台12が旋回軸O1周りに旋回する。
【0047】
なお、ここでは、旋回用モータ16の配置を延伸部14内としたが、基部13内において旋回用モータ16の配置や形状を工夫することにより、基部13の上面を延伸部14の上面よりも低い位置に形成するようにしてもよい。また、基部13および延伸部14の形状は、図1に示す形状に限定されるものではなく、基部13の上面を延伸部14の上面よりも低い位置に形成するものであればよい。また、基部13は、伸縮するアーム部32aが上方を通過する領域を有すればよく、延伸部14は、少なくともハンド部33aおよびワークWの一部が上方を通過する領域を有し、伸縮するアーム部32aが上方を通過する領域は有していない。
【0048】
昇降機構20は、上述したように、延伸部14の先端部に立設された支柱21と、支柱21の先端部に支持された脚部ユニット22を備える。また、脚部ユニット22は、第1昇降用アーム24と、第2昇降用アーム26とを備える。
【0049】
図3Bに示すように、Y軸方向から見て、脚部ユニット22は、水平アームユニット30と支柱21との間に位置するように連結される。すなわち、X軸の負方向に向けて、支柱21、第1昇降用アーム24、第2昇降用アーム26、水平アームユニット30が順に連結される。
【0050】
支柱21は、図3Bに示すように、上方へ延伸し、その先端部には、第1昇降用アーム24の支持側とは逆方向にモータ収容部61が張り出すように形成され、かかるモータ収容部61に第1関節部23のモータ41の一部が収容される。一方、第1昇降用アーム24の支持側には減速機収容部62が張り出すように形成され、かかる減速機収容部62に第1関節部23の減速機42が収容される。
【0051】
モータ41の出力軸は、減速機42の入力軸に連結され、減速機42の出力軸が第1昇降用アーム24の基端部に固定される。これにより、第1昇降用アーム24の基端部が水平方向を回転軸とする第1関節部23によって回転可能に支柱21に支持される。そして、第1関節部23のモータ41が駆動されることによって、支柱21に対する第1昇降用アーム24の姿勢が変化する。
【0052】
支柱21に支持される第1昇降用アーム24は、図3Bに示すように、その基端部からX軸の負方向へ傾斜しつつ延伸しており、第2昇降用アーム26の支持側とは逆方向にモータ収容部63が張り出すように形成され、かかるモータ収容部63に第2関節部25のモータ43の一部が収容される。第2昇降用アーム26の支持側には減速機収容部64が張り出すように形成され、かかる減速機収容部64に第2関節部25の減速機44が収容される。
【0053】
モータ43の出力軸は、減速機44の入力軸に連結され、減速機44の出力軸が第2昇降用アーム26の基端部に固定される。これにより、第2昇降用アーム26の基端部が水平方向を回転軸とする第2関節部25によって回転可能に第1昇降用アーム24に支持される。そして、第2関節部25のモータ43が駆動されることによって、第1昇降用アーム24に対する第2昇降用アーム26の姿勢が変化する。
【0054】
第2昇降用アーム26は、基端部から所定方向に延伸し、その先端部に第3関節部27の減速機46が収容される。一方、水平アームユニット30の下側支持部材34aには、第3関節部27のモータ45aが収容される。モータ45aの出力軸は、減速機46の入力軸に連結され、減速機46の出力軸が水平アームユニット30に固定される。これにより、水平アームユニット30は、水平方向を回転軸とする第3関節部27によって回転可能に第2昇降用アーム26に支持される。そして、第3関節部27のモータ45aが駆動されることによって、第2昇降用アーム26に対する水平アームユニット30の姿勢が変化する。
【0055】
搬送ロボット1は、このように、各関節部23,25,27に設けられたモータ41,43,45aを適宜回転させることによって、水平アームユニット30をその姿勢をほぼ水平に維持した状態で昇降させることが可能となる。なお、本実施例の場合、水平アームユニット30の昇降は、図3Aがよく示しているように、X軸方向から見た場合、水平アームユニット30のアーム部32a,32bの基端部が旋回軸O1に沿って鉛直方向に移動するように行われる。
【0056】
なお、ハンド部33a,33bにおけるワークWの載置面とストッカにおけるワークWの載置面とが、ローリング(rolling)方向に傾いている場合、第3関節部27のモータ45aを駆動することによって、ハンド部33a,33bを水平状態から傾かせることもできる。ローリング方向とは、ハンド部33a,33bの移動方向の軸を中心として回転する方向の傾きである。
【0057】
また、ハンド部33a,33bの伸縮方向の軸と、ストッカへのワークWの進入方向の軸や目標の搬送位置とが、ヨーイング(yawing)方向にストッカが傾いて設置された場合、旋回用モータ16を駆動することによって、ストッカや搬送位置などに対するハンド部33a,33bの伸縮方向のずれ補正することもできる。ヨーイング方向とは、昇降機構20が鉛直方向に移動する方向の軸に対して回転する方向の傾きである。
【0058】
さらに、ハンド部33a,33bの伸縮方向の軸に対して、ストッカなどのようなワークWの載置位置が水平の左右方向に横ずれしている場合、関節部23,25,27に設けられたモータ41,43,45aを駆動することによって、ハンド部33a,33bを水平に保ったままハンド部の伸縮方向の軸に対する左右方向の位置を補正することもできる。
【0059】
ここで、各関節部23,25,27に設けられたモータ41,43,45aに対して駆動電力を供給したり各モータ41,43,45aのエンコーダからの信号を送信したりするケーブル71〜73の配線について、図3A〜図3Cを参照して具体的に説明する。図3Cは、搬送ロボット1の内部構造の一部を示す簡易側断面模式図である。
【0060】
搬送ロボット1は、ケーブル71〜73の配線のために、図3Bに示すように、支柱21の中途部には、X軸の正方向側に開口孔39aが形成される。また、第1昇降用アーム24の中央付近には、X軸の負方向側に開口孔39bが形成され、X軸の正方向側に開口孔39cが形成される。
【0061】
ケーブル71〜73は、図3Cに示すように、旋回台12内を経由して支柱21内に挿入される。支柱21内に挿入されるケーブル71〜73のうちケーブル71は、モータ41に接続される。
【0062】
一方、残りのケーブル72,73は、図3Cに示すように、支柱21の開口孔39aから引き出されて、保護用の筒状部材51内に挿入される。筒状部材51は、図3Bに示すように、支柱21の先端部外周および第1昇降用アーム24の基端部外周に沿って配設される。なお、筒状部材51は、第1昇降用アーム24の回転の障害とならないように、第1昇降用アーム24の基端部のうちY軸の負方向側に沿って配設される。
【0063】
筒状部材51の終端は、第1昇降用アーム24の開口孔39bの位置にあり、筒状部材51内に挿入されたケーブル72,73は、図3Cに示すように、開口孔39bを介して、第1昇降用アーム24内に挿入される。
【0064】
第1昇降用アーム24内に挿入されるケーブル72,73のうちケーブル72は、モータ43に接続される。一方、ケーブル73は、第1昇降用アーム24の開口孔39cから引き出されて、保護用の筒状部材52内に挿通される。筒状部材52は、第2昇降用アーム26に沿って上方に延在し、下側支持部材34aに固定される。また、第2昇降用アーム26には、X軸の正方向側に延伸する支持部材50が固定されており、かかる支持部材50によって筒状部材52の中途部が支持される。
【0065】
筒状部材52内に挿入されたケーブル73は、水平アームユニット30の下側支持部材34a内に挿入される。下側支持部材34a内に配線されるケーブル73は、モータ45aに接続されるケーブルと水平アームユニット30のハンド部33a、33bに接続されるケーブルとを含んでいる。
【0066】
ケーブル73は、下側支持部材34aに挿入され、下側支持部材34a内で分岐されて、一部がモータ45aへ接続される。ケーブル73の残りの一部は基端側アーム35a内および先端側アーム36a内を経由し、ハンド部33aに設置される接続される。また、他の一部が上側支持部材34b内および基端側アーム35b内および先端側アーム36b内を経由し、ハンド部33bに接続される。ハンド部33a,33bに接続されるケーブルには、例えば、ワークWを吸着するためのエアー用の配管や、吸着を検知するためのセンサに接続されるセンサ線も含む。
【0067】
上述したように、第1昇降用アーム24は、X軸の負方向へ傾斜しつつ上方へ延伸する。そのため、図3Aに示すように、ケーブルを内包する筒状部材51,52に対して第2関節部25が障害となることを回避することができる。すなわち、第1昇降用アーム24と第2昇降用アーム26とが相対回転したとしても図3Bで示す空間90が形成されているので、筒状部材51は第1昇降用アーム24と第2昇降用アーム26とに干渉することがない。
【0068】
また、同様に、第1昇降用アーム24や第2昇降用アーム26が支柱21に対して回転したとしても、図3Bで示す空間91が形成されているので、筒状部材52は支柱21や第2昇降用アーム26に干渉することがない。すなわち、支柱21と第2昇降用アーム26との間で、適切にケーブルを処理することができる。かかる効果については、後述する図4Bを参照すれば、よりよく理解できる。
【0069】
一般に、筒状部材51や筒状部材52は、支柱21、第1昇降用アーム24、第2昇降用アーム26の各内部および各関節部23,25,27に形成した中空穴などを通過させて処理することがよく行われている。しかし、本実施例のようにケーブルを処理することによって、各関節部23,25,27の構造を簡素化でき、ケーブル交換やその点検を容易にすることができる。
【0070】
なお、本実施例では、ケーブル72,73が、搬送ロボット1の外部にある場合に、保護用の筒状部材51,52によって保護するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、ケーブル72,73が破損しにくい部材などによって構成される場合には、筒状部材51,52を用いずに、ケーブル72,73を搬送ロボット1の外部に引き出すようにしてもよい。
【0071】
次に、水平アームユニット30について具体的に説明する。図3Aに示すように、水平アームユニット30は、下側アームユニット31aおよび上側アームユニット31bを備える。各アームユニット31a,31bは、それぞれ、アーム部32a,32b、ハンド部33a,33b、下側支持部材34aおよび上側支持部材34bを備える。なお、上側支持部材34bが第2のアーム支持部に対応する。
【0072】
アーム部32a,32bは、それぞれ基端側アーム35a,35bと、先端側アーム36a,36bとを備える。基端側アーム35a,35bの基端部は、それぞれ基端関節部80a,80bによって下側支持部材34aおよび上側支持部材34bの先端部に旋回軸O1と平行な軸を中心として回転可能に連結される。
【0073】
先端側アーム36a,36bの基端部は、それぞれ肘関節部81a,81bによって基端側アーム35a,35bの先端部に旋回軸O1と平行な軸を中心として回転可能に連結される。また、ハンド部33a,33bの基端部は、それぞれ先端関節部82a,82bによって先端側アーム36a,36bの先端部に旋回軸O1と平行な軸を中心として回転可能に連結される。
【0074】
なお、本実施例の搬送ロボット1では、X軸方向から見て、図3Aに示すように、基端関節部80a,80bの回転軸および先端関節部82a,82bの回転軸と旋回軸O1とが一致するように構成されるが、これらの軸の位置関係に限定されるものではなく、主旨を逸脱しない範囲で、これらの軸が互いにずれるように構成してもよい。
【0075】
下側支持部材34aは、モータ45aを内蔵しており、かかるモータ37aの駆動によって基端関節部80a、肘関節部81aおよび先端関節部82aが回転する。また、同様に、上側支持部材34bは、モータ45bを内蔵しており、かかるモータ37bの駆動によって基端関節部80b、肘関節部81bおよび先端関節部82bが回転する。
【0076】
具体的には、モータ45aは、下側支持部材34aのうち、第3関節部27と基端関節部80aとの間に設けられ、モータ45aの駆動力がタイミングベルトによって基端関節部80a、肘関節部81aおよび先端関節部82aに伝達される。
【0077】
そのため、下側支持部材34aに対して基端側アーム35aが回転し、さらに、基端側アーム35aに対して先端側アーム36aが回転し、先端側アーム36aの先端部がX軸方向に直線的に移動する。これにより、先端側アーム36aの先端部に取り付けられたハンド部33aがX軸方向に移動する。また、先端側アーム36aに対してハンド部33aが回転することによって、ハンド部33aの向きが一定に保持される。
【0078】
一方、モータ45bは、上側支持部材34bの先端部に設けられ、モータ45bの駆動力がタイミングベルトによって基端関節部80b、肘関節部81bおよび先端関節部82bに伝達される。そのため、上側支持部材34bに対して基端側アーム35bが回転し、さらに、基端側アーム35bに対して先端側アーム36bが回転し、先端側アーム36bの先端部がX軸方向に直線的に移動する。これにより、先端側アーム36bの先端部に取り付けられたハンド部33bがX軸方向に移動する。また、先端側アーム36bに対してハンド部33bが回転することによって、ハンド部33bの向きが一定に保持される。
【0079】
このように、タイミングベルトを用いることで、水平アームユニット30の軽量化を図ることができ、これにより、昇降機構20にかかるモーメントを低減することが可能となる。なお、タイミングベルトを用いて複数の関節部を駆動するのではなく、各関節部に対してそれぞれモータを設けるようにしてもよい。すなわち、基端関節部80a,80b、肘関節部81a,81bおよび先端関節部82a,82bのそれぞれに対応させてモータを設け、各モータによって各関節部を駆動するようにしてもよい。
【0080】
また、水平アームユニット30においては、下側支持部材34aの先端部と上側支持部材34bの先端部とが同一方向に向き、かつ上下方向に間隔を空けて対向するように、下側支持部材34aの基端部が上側支持部材34bの基端部に連結される。これにより、上側アームユニット31bが下側アームユニット31aによって支持される。
【0081】
上側支持部材34bは、基端からY軸の負方向に傾斜しつつ上方に延伸した後にY軸の正方向に延伸する側面視略J字状の形状である。これにより、折り畳み状態のハンド部33bの収容スペースを確保しつつ、上側支持部材34bのY軸方向の長さを短くすることができ、また、水平アームユニット30の重心を旋回軸O1寄りにすることができる。
【0082】
また、アーム部32a,32bが折り畳まれた状態において、アーム部32a,32bの伸縮方向であるX軸方向から見た場合に、アーム部32aの肘関節部81aが、アーム部32bの肘関節部81bと互いに逆側に位置する。すなわち、アーム部32aの折り畳み方向とアーム部32bの折り畳み方向とが互いに反対方向になり、かつ、アーム部32bの折り畳み方向が支柱21側になる。そのため、脚部ユニット22の第1関節部23へのモーメントを軽減することができる。
【0083】
次に、実施例1に係る搬送ロボット1において、水平アームユニット30が最下位置にある状態を説明する。図4Aは、水平アームユニット30が最下位置にある搬送ロボット1の正面模式図、図4Bは、水平アームユニット30が最下位置にある搬送ロボット1の側面模式図である。
【0084】
上述した図3Aおよび図3Bは、昇降機構20によって水平アームユニット30を上昇させ、水平アームユニット30が最上位置まで上昇した状態を示すものである。かかる状態から昇降機構20によって水平アームユニット30を下降させ、水平アームユニット30が最下位置に下降した場合に、搬送ロボット1の状態は図4Aおよび図4Bに示す状態となる。
【0085】
図4Aに示すように、水平アームユニット30が最下位置にあるとき、アーム部32aの基端側アーム35aが段差15の高さ範囲Z1内で、また、ハンド部33aが延伸部14の上面よりも高い位置にある位置まで下降している。
【0086】
実施例1に係る搬送ロボット1では、基部13の上面が延伸部14の上面よりも低い位置に形成されるため、アーム部32aの基端側アーム35aを低い位置まで下げることができる。一方で、ハンド部33aが延伸部14の上面よりも高い位置になるようにすることで、延伸部14がハンド部33aの移動に対して障害とならない。つまり、アーム部32aの基端側アーム35aの下面は、基部13の上面と延伸部14の上面との間の高さ範囲内で、かつ基部13の上面上方で回転する。なお、当然ながら、基端側アーム35aは、X軸に平行となる程度までの範囲、つまりアーム部32aは折り畳まれた状態を基準として±約90°程度までしか基端関節部80aを中心として回転しない。
【0087】
したがって、水平アームユニット30が最下位置をより低い位置まで下げることができ、水平アームユニット30の昇降範囲をより確保することが可能となる。
【0088】
また、水平アームユニット30が最下位置にあるとき、X軸方向から見て第1昇降用アーム24の先端部が支柱21とほぼ重なる位置になる。これにより、搬送ロボット1におけるY方向での動作範囲を制限することができ、搬送ロボット1の動作範囲が大きくなることを抑制できる。
【0089】
さらに、図4Aに示すように、水平アームユニット30が最下位置にあるとき、X軸方向から見て、水平アームユニット30の下側支持部材34aが旋回台の延伸部14とほぼ重なる位置になり、水平アームユニット30の上側支持部材34bの一部が支柱21とほぼ重なる位置になる。これにより、搬送ロボット1におけるY方向での動作範囲を制限することができ、搬送ロボット1の動作範囲が大きくなることを抑制できる。
【0090】
また、水平アームユニット30が最下位置にあるとき、図4Aが示すように、第2昇降用アーム26が基端から先端部に向けて下方に傾斜する姿勢をとる。これにより、第1昇降用アーム24と第2昇降用アーム26との為す角が鈍角となり、水平アームユニット30が最下位置にあるときに、第1昇降用アーム24と第2昇降用アーム26との為す角を直角以下に規定する場合に比べ、第1昇降用アーム24や第2昇降用アーム26の長さを短くすることが可能となる。そのため、水平アームユニット30を支持する脚部ユニット22にかかるモーメントを低減しつつ、昇降機構20における昇降範囲を確保することが可能となる。
【0091】
さらに、旋回台12の基部13上に水平アームユニット30が位置しないように、基部13は、X軸の負方向においてその長さが規制される。そのため、図4Bに示すように、基部13の上面よりも低い位置に水平アームユニット30の下側支持部材34aの下面を下げることができ、水平アームユニット30の昇降範囲をより確保することが可能となる。
【0092】
さらに、図3Aおよび図4Aに示すように、水平アームユニット30において、下側支持部材34aと上側支持部材34bとの連結を旋回軸O1に対して支柱21側で行っている。そのため、旋回軸O1に対して支柱21の反対側で下側支持部材34aと上側支持部材34bとの連結を行う場合に比べて、水平アームユニット30の重心を第3関節部27側に寄せることができる。これにより、脚部ユニット22にかかるモーメントを低減しつつ、昇降機構20における昇降範囲を確保することが可能となる。
【0093】
なお、水平アームユニット30が最下位置にあるとき、第2昇降用アーム26における傾斜部分の上面29の高さ範囲内にハンド部33aの少なくとも一部が位置するように第2昇降用アーム26を傾斜させるようにしてもよい。これにより、第2昇降用アーム26の先端部を下方に向けてさらに傾斜を大きくすることができ、第1昇降用アーム24や第2昇降用アーム26の長さをさらに短くすることができる。
【0094】
また、搬送ロボット1は、水平アームユニット30が最下位置にあるときに、図4Bに示すように、筒状部材52で保護されたケーブル73が、支柱21と第1昇降用アーム24および第2昇降用アーム26との間に位置する。
【0095】
すなわち、搬送ロボット1では、支柱21においてX軸の負方向に張り出した減速機収容部62と、X軸の負方向へ傾斜しつつ延伸する第1昇降用アーム24とによって、図3Bに示すように、支柱21と水平アームユニット30との間に空間90,91が形成される。かかる空間90,91に、支柱21の開口孔39aから引き出され、かつ筒状部材51で保護されたケーブル72,73や、第1昇降用アーム24の開口孔39cから引き出され、かつ筒状部材52で保護されたケーブル73が位置する。これにより、支柱21と第1昇降用アーム24および第2昇降用アーム26との間の空間を有効に利用してケーブル72,73を配線することができる。
【0096】
さらに、第1昇降用アーム24がX軸の負方向へ傾斜しつつ延伸しているため、筒状部材51で保護されたケーブル72,73が第1昇降用アーム24の先端部よりもX軸の正方向に位置する。これにより、筒状部材51で保護されたケーブル72,73が水平アームユニット30の昇降時に接触することを防止することができる。
【0097】
また、搬送ロボット1は、延伸部14が平面視略L字状に形成され、延伸部14の先端部が旋回軸O1に対してX軸の正方向にオフセットされる。そして、支柱21からX軸の負方向に向けて、第1昇降用アーム24、第2昇降用アーム26、水平アームユニット30の順に配置される。そのため、搬送ロボット1の重心を旋回軸O1に近づけることができる。
【0098】
以上のように、搬送ロボット1は、水平アームユニット30を一つの脚部ユニット22で支持するため、構成を簡素化することができる。しかも、搬送ロボット1は、アーム部32aの肘関節部81aが旋回台12の旋回中心に対して延伸部14とは逆側で動作する。また、旋回台12において、基部13の上面が延伸部14の上面よりも低い位置に形成されて段差15が形成される。そのため、ハンド部33aが延伸部14の上面よりも高い位置で、かつ、アーム部32aの基端側アーム35aが段差15の高さ範囲内になるまで水平アームユニット30を降下させることができる。これにより、水平アームユニット30をより低い位置まで降下させることができる。
【実施例2】
【0099】
次に、実施例2に係る搬送ロボットについて図面を参照して説明する。実施例2に係る搬送ロボットは、実施例1に係る搬送ロボット1に対して、水平アームユニットの構成が異なる。図5Aは、実施例2に係る搬送ロボット1Aにおいて、水平アームユニットが最上位置にある場合の模式図、図5Bは、実施例2に係る搬送ロボット1Aにおいて、水平アームユニットが最下位置にある場合の模式図である。なお、実施例1に係る搬送ロボット1と同様の構成部分については同一符号を付し、説明を省略する。また、図5Aおよび図5Bは、アーム部132a,132bを折り畳んだ状態を示している。
【0100】
図5Aおよび図5Bに示すように、実施例2に係る搬送ロボット1Aの水平アームユニット130は、下側アームユニット131aおよび上側アームユニット131bを備える。各アームユニット131a,131bは、それぞれ、アーム部132a,132b、ハンド部133a,133b、下側支持部材134aおよび上側支持部材134bを備える。
【0101】
下側アームユニット131aの構成は、下側アームユニット31aの構成と同様であるが、上側アームユニット131bは、ハンド部133bの肘関節部181bが、ハンド部33bの肘関節部81bと逆側となっている点で、上側アームユニット31bの構成と大きく異なる。
【0102】
具体的には、ハンド部133bの肘関節部181bも、ハンド部133aの肘関節部181aと同様に、X軸方向から見て旋回台12の旋回中心に対して延伸部14とは逆側に位置するようにハンド部133bが上側アームユニット131bに連結される。すなわち、ハンド部133bの折り畳み方向をハンド部133aの折り畳み方向と同一方向とする。
【0103】
これにより、下側支持部材134aと上側支持部材134bとに挟まれた空間で、アーム部132bをその伸縮動作が可能なように内包する必要が無く、実施例1に係る搬送ロボット1に比べて、下側支持部材134aと上側支持部材134bとに挟まれた空間を狭くすることができる。したがって、実施例2に係る搬送ロボット1Aでは、実施例1に係る搬送ロボット1に比べて、昇降動作の範囲を変えることなく、全高(Z軸方向の高さ)を低くすることが可能となる。
【0104】
また、アーム部132bを伸縮させるモータ145bは、上側支持部材134bの先端部ではなく、Y軸方向における上側支持部材134bの中央部付近に配置される。これにより、アーム部132bの伸縮時に干渉することを回避するとともに、第1関節部23や支柱21にかかるモーメントを低減することができる。
【実施例3】
【0105】
次に、実施例3に係る搬送ロボットについて図面を参照して説明する。実施例3に係る搬送ロボットは、走行機構210を追加した点で、実施例1,2の搬送ロボット1,1Aと異なる。図6は、実施例3に係る搬送ロボット1Bの構成を示す図である。
【0106】
実施例3に係る搬送ロボット1Bは、基台の構成を除き搬送ロボット1と同様の構成であるロボット本体200と、走行機構210とを備える。走行機構210は、Y軸方向に延在する凹状溝部211を備え、かかる凹状溝部211にY軸方向に沿って延在するラックギア212が設けられる。
【0107】
一方、ロボット本体200の基台201には、走行用モータ202が内蔵され、また、ピニオンギア203が設けられる。ピニオンギア203は、走行機構210のラックギア212と噛合しており、走行用モータ202によって回転する。したがって、走行用モータ202の駆動によって、ピニオンギア203が回転し、ロボット本体200がラックギア212の延在方向であるY軸方向を走行軸として、移動する。また、図示しないリニアガイドが設置されており、ロボット本体200は、上記のラック・アンド・ピニオンによって駆動され、リニアガイドに案内されながら走行移動する。
【0108】
なお、ここでは、ロボット本体200の走行機構210として、ラック・アンド・ピニオンを使用する構造を一例に挙げて説明したが、ロボット本体200の走行機構210はこれに限定されるものではない。たとえば、ラック・アンド・ピニオンに替えて、プーリとベルトによって走行移動するようにしてもよい。
【0109】
また、実施例3においては、実施例1に係る搬送ロボット1の水平アームユニット30と同様の構成を有するロボット本体200を一例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、実施例2に係る搬送ロボット1Aの水平アームユニット130と同様の構成を有するロボット本体を用いるようにしてもよい。
【0110】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施例に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0111】
例えば、上述では、ハンド部およびアーム部を2つ設けた搬送ロボットについて説明したが、ハンド部およびアーム部の数はこれに限定されない。例えば、アーム部32b、ハンド部33b、上側支持部材34bを備えずに、アーム部32a、ハンド部33a、下側支持部材34aのみの搬送ロボットとすることができる。また、ハンド部が搬送する被搬送対象物として、液晶用のガラス基板や半導体ウェハ等の薄板状のワークを例に挙げて説明したが、被搬送対象物はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0112】
1,1A,1B 搬送ロボット
10 旋回機構
11 基台
12 旋回台
13 基部
14 延伸部
15 段差
20 昇降機構
21 支柱
22 脚部ユニット
23 第1関節部
24 第1昇降用アーム
25 第2関節部
26 第2昇降用アーム
27 第3関節部
30,130 水平アームユニット
31a,131a 下側アームユニット
31b,131b 上側アームユニット
32a,32b,132a,132b アーム部
33a,33b,133a,133b ハンド部
34a,134a 下側支持部材
34b,134b 上側支持部材
35a,35b,135a,135b 基端側アーム
36a,36b,136a,136b 先端側アーム
71〜73 ケーブル
81a,81b,181a,181b 肘関節部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に対し鉛直軸回りに旋回可能に取り付けられた基部と、当該基部から水平に一方向にのみ延伸する延伸部と、を有する旋回台と、
前記延伸部の先端部から鉛直方向に立設された支柱と、
前記支柱の先端部に第1関節部を介して支持され、水平な第1水平軸回りに回転可能な第1昇降用アームと、
前記第1昇降用アームの先端部に第2関節部を介して支持され、前記第1水平軸と平行な第2水平軸回りに回転可能な第2昇降用アームと、
被搬送対象物を載置するハンド部を前記支柱に対して前記鉛直軸側で前記第1および第2水平軸と平行な方向に移動させるアーム部を有し、前記第2昇降用アームの先端部に第3関節部を介して支持され、前記第2水平軸と平行な第3水平軸回りに回転可能に支持される水平アームユニットと
を備え、
前記水平アームユニットのアーム部の一部が、前記延伸部の上面よりも低い位置で動作して前記被搬送対象物を搬送可能であることを特徴とする搬送ロボット。
【請求項2】
前記水平アームユニットにおいて、前記アーム部のアーム間を連結する肘関節部が前記旋回台の旋回中心に対して前記延伸部とは逆側で動作するように前記アーム部が配設され、
前記旋回台において、前記基部の上面が前記延伸部の上面よりも低い位置に形成されて段差が形成され、
前記水平アームユニットは、前記ハンド部が前記延伸部の上面よりも高い位置で、かつ前記アーム部の基端側のアームが前記段差の高さ範囲内になるまで降下可能であることを特徴とする請求項1に記載の搬送ロボット。
【請求項3】
前記アーム部の基端側のアームが前記段差の高さ範囲内となる場合に、前記アーム部の移動方向から見て前記第1昇降用アームの先端部が前記支柱と重なる位置にあることを特徴とする請求項2に記載の搬送ロボット。
【請求項4】
前記アーム部の基端側のアームが前記段差の高さ範囲内となる場合に、前記第2昇降用アームが基端部から先端部に向けて下方に傾斜する姿勢をとることを特徴とする請求項2又は3に記載の搬送ロボット。
【請求項5】
前記水平アームユニットは、
前記アーム部と、前記ハンド部と、前記アーム部を先端部で支持するアーム支持部とを有する下側アームユニットと、
被搬送対象物を載置する第2のハンド部と、当該第2のハンド部を複数のアームによって所定方向へ移動させる第2のアーム部と、前記第2のアーム部を先端部で支持する第2のアーム支持部とを有し、前記アーム支持部の基端部に前記第2のアーム支持部の基端部が支持される上側アームユニットと
を備え、
前記アーム部のアーム間を連結する肘関節部と前記第2のアーム部のアーム間を連結する肘関節部とが前記旋回台の旋回中心に対して互いに逆向きに位置するように前記第2のアーム部が配設されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の搬送ロボット。
【請求項6】
前記水平アームユニットへ接続されるケーブルを備え、
前記アーム部の基端側のアームが前記段差の高さ範囲内となる場合に、前記ケーブルの一部が前記支柱と前記第1昇降用アームおよび前記第2昇降用アームとの間に位置することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の搬送ロボット。
【請求項7】
前記基台を水平方向に移動させる走行機構を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の搬送ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−839(P2013−839A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134743(P2011−134743)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】