説明

搬送物の横倒し装置

【課題】ベルトコンベア等の搬送手段にて搬送される、粉体が袋詰めされた包装袋等の搬送物を、変形や歪みの発生を抑制しつつ横倒しすると共に搬送手段上に所望の姿勢に確実に配置することができる搬送物の横倒し装置Aを提供する。
【解決手段】横倒し装置Aは、搬送手段4の上流側部分にて搬送される搬送物5を横倒しして前記搬送手段4の下流側部分に移載するものである。この横倒し装置Aは、搬送物5を水平方向に搬送する搬送手段4上の所定位置に配置された搬送物5を横方向に押圧して傾倒する押圧手段1を具備する。また、前記押圧手段1にて押圧された搬送物5を保持すると共に前記押圧手段1との間で搬送物5を挟持する保持手段2を具備する。更に、前記保持手段2にて保持された状態の搬送物5を搬送手段4の下流側部分へ移載する移載手段3を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送手段にて搬送される搬送物を横倒しにする横倒し装置に関し、特に搬送物として樹脂粉等の粉体を袋詰めした包装袋を搬送する場合に適したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂粉等の粉体を包装袋に袋詰めした搬送物をベルトコンベア等にて搬送する場合、例えばベルトコンベア上の包装袋に上方からホッパー等で粉体を供給した後、この包装袋の上部開口に封を施し、これを更にベルトコンベアにて後工程へ搬送し、例えばパレットに積載することが行われている。このようにして搬送物を搬送する際には、後工程における積載等の作業の便宜のため、ベルトコンベア上の搬送物を横倒しすることが行われている。
【0003】
上記のように搬送物を横倒しするに際し、人力で行う場合には煩雑な手間がかかる。そこで、例えば特許文献1には、コンベアの上方で回動することでコンベア上の包装袋を抱え込むようにして横倒しする荷造り用治具を用いることが提案されている。
【0004】
しかし、特に粉体が詰められた包装袋を横倒しする場合には、上記のような荷造り用治具を用いると横倒しされた後の包装袋の形状が歪んでしまって、後工程に安定して供給できなくなる場合がある。また、包装袋の容量や、包装袋中の粉体の重量、密度等によっては、包装袋の横倒し方向がバラバラになったり、包装袋を横倒しすることができなくなったりする場合があり、またそのためにベルトコンベア上で包装袋が引っ掛かって搬送詰まりが生じたりする場合もあった。
【特許文献1】特開平10−265035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、ベルトコンベア等の搬送手段にて搬送される、粉体が袋詰めされた包装袋等の搬送物を、歪みや変形の発生を抑制しつつ横倒しすると共に搬送手段上に所望の姿勢に確実に配置することができる搬送物の横倒し装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る搬送物の横倒し装置Aは、搬送手段4の上流側部分にて搬送される搬送物5を横倒しして前記搬送手段4の下流側部分に移載する横倒し装置Aであって、搬送物5を水平方向に搬送する搬送手段4上の所定位置に配置された搬送物5を横方向に押圧して傾倒する押圧手段1、前記押圧手段1にて押圧された搬送物5を保持すると共に前記押圧手段1との間で搬送物5を挟持する保持手段2、及び前記保持手段2にて保持された状態の搬送物5を搬送手段4の下流側部分へ移載する移載手段3を具備することを特徴とする。
【0007】
ここで、上記保持手段2は、傾倒した搬送物5を完全に90°横倒しした状態で保持するもののほか、搬送物5を水平面に対して傾斜させた状態で保持するものであっても良い。
【0008】
請求項2に係る発明は、上記横倒し装置Aにおける移載手段3が、搬送物5を挟持した状態で押圧手段1及び保持手段2を水平方向に回動させるものであることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、上記移載手段3が、上記搬送物5を挟持した状態で上記押圧手段1及び保持手段2を水平方向にスライド移動させるものであることを特徴とする
請求項4に係る発明は、上記押圧手段1が、搬送物5に接触して押圧する面状の接触領域6を有する押圧部7を具備することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、上記押圧手段1が、搬送物5に接触して押圧する押圧部7を具備し、前記押圧部7が角度変更可能に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、上記押圧手段1が、搬送物5に接触して押圧する押圧部7を具備し、前記押圧部7の、搬送物5と接触する部分がローラ9にて形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、上記押圧手段1がエアシリンダにて駆動するものであることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、上記保持手段2が、この保持手段2に保持されている搬送物5の傾斜角度を変動可能に形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、上記保持手段2及び押圧手段1が、搬送手段4と共に上下動可能なものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、搬送手段4にて搬送される搬送物5を押圧手段1にて押圧することにより傾倒して、この搬送物5を保持手段2にて保持すると共に保持手段2と押圧手段1にて搬送物5を挟持し、この状態で移載手段3にて搬送物5を搬送手段4の下流側部分の所定位置へ移載し、押圧手段1による搬送物5の押圧を解除することで搬送物5が横倒しになった状態で搬送手段4の下流側部分にて搬送されるようにすることができる。これにより、搬送手段4の上流側部分で搬送物5を保持手段2と押圧手段1にて確実に保持した後、この搬送物5を所定位置に移載して搬送手段4の下流側部分に横倒しの状態でスムーズに送ることができ、このため搬送物5を一定の姿勢で横倒しした状態で搬送手段4の所定位置に確実に配置することができると共に、搬送物5に変形や歪みが発生することを抑制することができるものである。
【0016】
特に、上記保持手段2が、搬送物5を水平面に対して傾斜させた状態で保持するものであると、押圧手段1にて搬送物5を傾倒する際に、この搬送物5を一旦保持手段2にて傾斜した状態で保持することができる。この場合、搬送物5を一度に完全に横倒しすることにより搬送物5が勢いよく倒れることを防止し、横倒しされた搬送物5の姿勢がばらばらになったり、変形や歪みが発生したりすることを、更に防止することができる。
【0017】
また、請求項2に係る発明によれば、移載手段3により搬送物5の方向を変更した状態で搬送物5を搬送手段4の下流側部分に移載することができ、例えば搬送手段4の搬送方向が上流側部分と下流側部分とで同一方向である場合に、横倒しされた搬送物5の上下方向と搬送手段4の下流側部分での搬送方向とを一致させた状態で搬送物5を搬送させることができるものである。
【0018】
また、請求項3に係る発明によれば、移載手段3により搬送物5の方向を変更せずに搬送物5を搬送手段4の下流側部分に移載することができ、例えば搬送手段4の搬送方向が上流側部分と下流側部分とで90°異なる場合に、横倒しされた搬送物5の上下方向と搬送手段4の下流側部分での搬送方向とを一致させた状態で搬送物5を搬送させることができるものである。
【0019】
また、請求項4に係る発明によれば、押圧部7にて搬送物5を押圧する際に搬送物5の表面における押圧力の集中を抑制することができ、搬送物5の変形や歪みの発生を抑制することができるものである。
【0020】
また、請求項5に係る発明によれば、押圧部7を搬送物5に押圧する際に、搬送物5が傾動するのに応じて押圧部7の角度を変更することができ、常に押圧部7における同一位置にて搬送物5を押圧するようにして、搬送物5の表面における押圧力の集中を抑制し、搬送物5の変形や歪みの発生を抑制することができるものである。
【0021】
また、請求項6に係る発明によれば、押圧部7にて搬送物5を押圧する際の両者間の摩擦力を低減することができ、これにより搬送物5の変形や歪みの発生を抑制することができるものである。
【0022】
また、請求項7に係る発明によれば、押圧手段1による搬送物5の押圧力をエアシリンダにて容易に調整することができ、特に搬送物5が粉体を袋詰めした包装袋5aである場合には強い押圧力により包装袋5aが破れたりしないように適切な押圧力をかけることができるものである。
【0023】
また、請求項8に係る発明によれば、横倒し装置Aによる搬送物5の保持及び移載を行う際には搬送物5の底部から搬送手段4の上面にかけられる荷重が小さくなり、或いは搬送物5の底部が搬送手段4の上面から浮いた状態となるように保持手段2にて搬送物5の傾斜角度を調整してこの搬送物5の保持及び移載を円滑且つ安定して行うようにし、また搬送手段4の下流側部分で搬送物5を搬送させる際には保持手段2の傾斜角度を大きくして搬送物5の底部を搬送手段4の上面と接触させると共にこの搬送物5の底部から搬送手段4の上面にかけられる荷重が大きくなるようにし、搬送手段4からの駆動力が搬送物5に伝わりやすくなるようにして、搬送物5の搬送を円滑且つ安定して行うようにすることができるものである。
【0024】
また、請求項9に係る発明によれば、後工程に合わせて搬送手段4の高さを調整すると共にこの搬送手段4の高さに合わせて押圧手段1及び保持手段2の高さを調整することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0026】
搬送物5としては適宜のものが挙げられるが、樹脂粉等の粉体を袋詰めした包装袋5aを挙げることができる。このような搬送物5としては、コンベア等で搬送される包装袋5aの上部開口に樹脂粉等の粉体をホッパー等で供給した後、この包装袋5aの上部開口に封を施すなどして閉じたものが挙げられる。搬送手段4はベルトコンベア等で形成され、前記搬送物5を水平方向に搬送する。搬送手段4としては、横倒し装置Aの配置位置の上流側から下流側にかけて一括して動作制御されるものを設けても良いが、横倒し装置Aの配置位置の上流側から横倒し装置Aの配置位置に亘って設けられた上流側搬送手段4aと、横倒し装置Aの配置位置よりも下流側に設けられた下流側搬送手段4bという、独立して動作制御される二つの搬送手段4を設けても良い。
【0027】
本発明に係る横倒し装置Aは、搬送手段4、押圧手段1、保持手段2及び移載手段3を具備する。その具体的構成を、図1,2を参照して以下に説明する。
【0028】
搬送手段4の側方に配置されたベース10の上面に軸受11が設けられ、この軸受11により鉛直方向の軸体12が軸回動可能に軸支されている。この軸体12にはクランク13が一体に設けられている。
【0029】
この軸体12には、搬送手段4による搬送方向とは反対方向に延出された受けアーム14が一体に設けられ、且つこの受けアーム14の上方において軸体12の上端に両側方に延出された支持アーム15が一体に設けられている。前記受けアーム14と、支持アーム15の一端側によって、金属フレーム等で構成される架台16が支持されている。また前記駆動アーム8の他端側にはカウンターウェイト17が支持されている。前記架台16は押圧手段1及び保持手段2を支持する。このとき軸体12に対して、搬送物5の搬送方向の上流側に架台16が、下流側にカウンターウェイト17が配置される。
【0030】
保持手段2及び押圧手段1の構成を、横倒し装置Aの初期状態での搬送手段4に対する位置関係を基準にして説明する。
【0031】
まず保持手段2について説明する。保持手段2は水平面と平行又は水平面に対して傾斜した保持面18を有する板状の保持板32等で構成される。保持板32は搬送手段4のベース10側の側方に配置され、保持面18の搬送手段4側の端縁は、搬送手段4の、横倒し装置Aが配置されている側の側端縁(例えばベルトコンベアにおける搬送ベルトの側端縁)に近接して配置される。また、保持面18が傾斜している場合は、この保持面18が搬送手段4の外側方(横倒し装置Aが設置されている側)に向けて上り傾斜するように配置される。前記保持面18の水平面に対する角度は適宜設定されるが、例えば水平面に対して0°〜30°の角度とすることができる。この保持板32の、搬送手段4による搬送方向の下流側の端縁には、ガイド板19が立設されている。
【0032】
次に押圧手段1について説明する。上記保持手段2の上方において、架台16にはブラケット20を介して進退駆動装置21が設けられる。進退駆動装置21としては、エアシリンダを設けることが好ましい。前記進退駆動装置21は後端部がブラケット20に、ピン等により上記搬送手段4による搬送方向に沿った水平方向の回動軸を中心に回動可能に接続されている。進退駆動装置21の前端側は搬送手段4側に向けて突出している。この進退駆動装置21の駆動ロッド22の先端にはナックル23が設けられている。
【0033】
また、搬送手段4の上方の、上記保持手段2よりも搬送手段4側の位置において、駆動アーム8が架台16に搬送手段4による搬送方向に沿った水平方向の回動軸を中心に支持されている。このとき、駆動アーム8は自身の上側端部と下側端部との間における上側端部寄りの位置で架台16に軸支されている。この駆動アーム8は上側アーム8aと下側アーム8bとを直列に連結して構成され、下側アーム8bを上側アーム8aに対してスライドさせることで伸縮可能に形成されている。また駆動アーム8の上側端部は上記進退駆動装置21の駆動ロッド22のナックル23に、搬送手段4による搬送方向に沿った水平方向の回動軸を中心に回動可能に接続されている。
【0034】
また、駆動アーム8の下側端部には、押圧部7と一体化した支持部材24がピン等により搬送手段4による搬送方向に沿った水平方向の回動軸にて回動可能に連結されている。これにより押圧部7が駆動アーム8に対して回動可能に支持されている。この押圧部7は上記保持手段2と対向する位置に配置され、保持手段2側に臨む部位が接触領域6として形成されている。この接触領域6は、後述するように押圧部7にて搬送物5を押圧する際に搬送物5と接触する、一定面積を有する面状の領域であって、押圧部7はこの接触領域6の全体に亘って搬送物5と接触する。
【0035】
接触領域6の寸法は適宜設定されるが、好ましくは縦寸法が100〜150mm、横寸法(幅寸法)が250〜300mmの範囲とする。
【0036】
この接触領域6は、平面に形成しても良いが、本実施形態では、接触領域6には、搬送手段4による搬送方向に沿った水平方向の回転軸にて軸回転自在な複数(三個)の接触ロールが上下に並んで設けられている。
【0037】
また、駆動アーム8には自身の上側端部と下側端部との間における下側端部寄りの位置に、エアシリンダ等の進退駆動装置25が軸支されている。この進退駆動装置25はその側面において、駆動アーム8に、搬送手段4による搬送方向に沿った水平方向の回動軸を中心に回動可能に支持されている。また、この進退駆動装置25の駆動ロッド38の先端にはナックル26が設けられ、このナックル26が上記支持部材24に、この支持部材24と駆動アーム8との連結位置よりも押圧部7側の位置で、搬送手段4による搬送方向に沿った水平方向の回動軸にて回動可能に連結されている。
【0038】
この押圧手段1では、進退駆動装置21を進退駆動することにより駆動アーム8を回動させて押圧部7を保持手段2に近づく方向と遠ざかる方向とに揺動させることができ、且つ進退駆動装置25を駆動することにより押圧部7の角度を変更し、その接触領域6の角度を変更することができる。
【0039】
次に、移載手段3について説明する。上記ベース10にはブラケット27が設けられ、このブラケット27にエアシリンダ等の進退駆動装置28が連結されている。ここで前記進退駆動装置28は水平方向に進退駆動する駆動ロッド29を有し、この進退駆動装置28の後端が前記ブラケット27にピン等により鉛直方向の回動軸を中心に回動可能に連結されている。この進退駆動装置28の駆動ロッド29の先端にはナックル30が設けられ、このナックル30が上記軸体12に設けられたクランク13に鉛直方向の回動軸を中心に回動可能に連結されている。
【0040】
この移載手段3では、進退駆動装置28を駆動させて駆動ロッド29を進退駆動することにより軸体12を架台16ごと軸回転させることができる。それに伴って、架台16に支持された上記保持手段2及び押圧手段1が、前記軸体12を中心に水平方向に回動することとなる。この移載手段3は、保持手段2及び押圧手段1を、軸体12に対して搬送方向の上流側に保持手段2及び押圧手段1が配置されている初期状態と、この初期状態から搬送手段4側に向けて90°回動した状態との間で、回動させることができる(図3(c)及び図4(a)参照)。
【0041】
また、この横倒し装置Aには搬送物5が所定の位置に配置されていることを検知する検知手段31を設けることも好ましい。検知手段31としては例えば搬送物5が保持手段2に対して所定の位置に配置されていることを検知する光電センサ(光電スイッチ)を設けることができる。例えば図3,4に示すように、保持手段2に対して搬送手段4とは反対側に光電センサ31aを設け、搬送物5の下流側端部が保持手段2の下流側の端縁に合致する位置に配置された場合に光電センサ31aにて搬送物5の存在を検知するようにする。更に、この光電センサ31aの下流側に、搬送物5が横倒し装置Aの移載手段3にて下流側に移載された場合(図4(a)、図8(c)参照)にこの搬送物5の存在を検知する光電センサ31bを設けても良い。
【0042】
上記のように構成される搬送物の横倒し装置Aの使用形態を、図3,4に示す概略図を参照して説明する。
【0043】
図示の例では、搬送手段4による搬送物5の搬送方向は直線状であり、上流側搬送手段4aと下流側搬送手段4bとが直列に設けられていると共にこれらの搬送方向が同一方向となっている。上流側搬送手段4aの動作は、光電センサ31a,31bによる検知結果に基づき、下流側搬送手段4bとは独立して制御される。
【0044】
まず、樹脂粉等の粉体を袋詰めした包装袋5a等の搬送物5が、ベルトコンベア等の搬送手段4における横倒し装置Aの配置位置よりも上流側部分で、上流側搬送手段4aにて水平方向に搬送される(図3(a)参照)。上流側搬送手段4a上では、包装袋5aは封がなされた上部開口が上方に位置して搬送手段4上に立ち上がった姿勢で配置され、且つ平面視での長手方向が搬送方向に沿って配置される。また、搬送物5は保持手段2と押圧部7との間に供給される位置に配置される。
【0045】
次に、搬送物5が保持手段2と押圧部7との間に配置され、この搬送物5が光電センサ31aにより検知されたら(図3(b)及び図1(a)参照)、この検知結果に基づいて上流側搬送手段4aによる搬送物5の搬送を停止し、押圧手段1を進退駆動装置21の駆動ロッド22が突出するように作動させることにより、押圧部7を揺動させて保持手段2側に移動させる(図3(c)及び図1(b)参照)。これにより、搬送物5が押圧部7によって押圧され、その底部が搬送手段4上に配置された状態で保持手段2側に傾倒され、保持面18上に位置合わせされた状態で保持される。保持面18が傾斜した状態で配置されていれば、搬送物5は前記傾斜に沿って傾斜した姿勢で保持される。このとき、搬送物5は、保持手段2の保持面18と押圧部7とによって挟持されることとなる。また、このとき上流側搬送手段4aは停止させずに作動させたままでも良く、その場合でも、搬送物5は保持手段2のガイド板19に係止されて保持面18上に位置合わせされて配置される。
【0046】
ここで、押圧部7は面状の接触領域6にて搬送物5を押圧するため、搬送物5の表面の広い領域を押圧することとなって、搬送物5の表面における押圧力の集中が緩和され、搬送物5に変形や歪みが生じにくくなる。また、押圧部7の押圧領域には上記のようにローラ9が設けられているため、押圧部7と搬送物5との間の摩擦を低減し、これによっても搬送物5の変形や歪みの発生を抑制することができる。
【0047】
また、上記の押圧部7の移動と連動して、進退駆動装置25を作動させることにより押圧部7の角度を変更すると、搬送物5の傾倒に応じて押圧部7の接触領域6の角度を変更し、この接触領域6が搬送物5の表面に面状に接触した状態を維持することができ、また押圧部7と保持手段2にて搬送物5を挟持した状態においても接触領域6が搬送物5の表面に面状に接触した状態となるようにすることができる。このため、搬送物5の表面での押圧力の集中が更に緩和され、変形や歪みの発生が更に防止される。
【0048】
次に、移載手段3を作動させて、保持手段2及び押圧手段1を、搬送物5を挟持した状態で、架台16ごと90°回動させる(図4(a)参照)。このとき、保持手段2の保持面18の端縁は下流側搬送手段4bの上方に配置され、搬送物5は下流側搬送手段4bに移載されると共に、その底部が下流側搬送手段4bの下流側、上部が上流側に配置される。また、保持面18が傾斜している場合にはその下り傾斜方向と下流側搬送手段4bによる搬送方向とが一致し、搬送物5は搬送方向に対して下り傾斜するように傾いた状態に配置される。このように移載手段3にて搬送物5を移載すると、搬送物5の存在が光電センサ31bにて検知され、この検知結果に基づき、上流側搬送手段4aの動作を停止している場合はその動作を再開する。
【0049】
次に、押圧手段1を進退駆動装置21の駆動ロッド22が引き込まれるように作動させることにより、押圧部7を揺動させて保持手段2から離れる方向に移動させ、元の配置位置に配置させる(図4(b)参照)。これにより、搬送物5の表面から押圧部7が離れ、保持手段2と押圧部7とによる搬送物5の挟持が解除される。これにより、搬送物5が搬送手段4により下流側に搬送されることとなり、このとき保持面18が傾斜している場合にはその傾斜に沿って搬送手段4の下流側部分へスムーズに移動する。このとき搬送物5は横倒しされていると共に底部が下流側、上部が上流側に配置された状態で搬送される。このように横倒し状態の搬送物5の上下方向と搬送手段4による搬送方向とが一致すると、搬送物5の上部開口の封を施した部分が搬送手段4から側方に突出するようなことがなく、この部分が搬送過程で各所に引っ掛かるなどして搬送物5の搬送が阻害されることが防止される。
【0050】
次に、移載手段3を作動させて図3(a)に示す初期状態に復帰させ、上記動作を繰り返すことにより、搬送手段4を順次搬送される搬送物5に対して順次処理を行うことができる。
【0051】
このような搬送物の横倒し装置Aにおいては、上記駆動アーム8を伸縮させて駆動アーム8の長さを調整することにより、押圧部7の高さ位置を調整することができ、搬送物5の寸法や重量、重心位置等に応じて搬送物5を押圧して傾動させるための最適な位置に押圧部7を配置することができる。
【0052】
また、上記搬送物の横倒し装置Aにおいて、保持面18の水平面に対する角度を変動可能に形成することで、保持手段2に保持される搬送物5の傾斜角度を変動可能にしても良い。図5に示す例では、保持手段2を構成する保持板32の下面から下方に延出した支持部33を、架台16に設けられた軸支部34にて、保持板32の傾斜方向と直交する水平方向の回動軸を中心に回動可能に連結している。また、前記支持部33と軸支部34との連結位置よりも後方において、保持板32と架台16とはエアシリンダ等の進退駆動装置39を介して接続されている。このとき前記進退駆動装置39は、後端が架台16に、保持板32の傾斜方向と直交する水平方向の回動軸を中心に回動可能に連結され、またこの進退駆動装置39の駆動ロッド35の先端にはナックル36が設けられている。また、保持板32の下面には前記支持部33の後方において下方に延出する連結部37が設けられている。この連結部37と前記ナックル36とが、保持板32の傾斜方向と直交する水平方向の回動軸を中心に回動可能に連結されている。このため、上記進退駆動装置39の駆動ロッド35を進退駆動することにより、保持板32は支持部33と軸支部34との連結位置を中心に回動し、保持面18の傾斜角度が変動する。このとき保持面18の水平面に対する角度を例えば水平面に対して0°〜30°の範囲で変更可能に形成する。
【0053】
このように保持手段2の傾斜角度を変動可能とすることにより、横倒し装置Aによる搬送物5の保持及び移載、並びに搬送手段4の下流側部分における搬送物5の搬送を円滑且つ安定して行うようにすることができる。すなわち、図4(a)に示す初期状態での保持面18の傾斜角度を、この保持手段2にて搬送物5が保持されている状態ではこの搬送物5の底部から搬送手段4の上面にかけられる荷重が小さくなり、或いは搬送物5の底部が搬送手段4の上面から浮いた状態となるように調整しておく。この場合、図3(c)に示すように保持手段2に搬送物5を保持した状態、及び図4(a)に示すように移載手段3にて搬送物5を移載している状態において、搬送物5と搬送手段4との間に働く摩擦力を低減し、あるいはこのような摩擦力が働かないようにして、搬送物5の保持及び移載を円滑に安定して行うようにすることができる。また、図4(b)に示すように保持手段2と押圧手段1による搬送物5の挟持を解除する際には、進退駆動装置39の駆動ロッド35を突出させて保持面18の傾斜角度を大きくすることにより、搬送物5の底部を搬送手段4の上面と接触させると共にこの搬送物5の底部から搬送手段4の上面にかけられる荷重が大きくなるようにする。この場合、搬送手段4からの駆動力が搬送物5に伝わりやすくなり、搬送物5が搬送手段4により円滑且つ安定して搬送されることとなる。
【0054】
上記のように保持手段2の傾斜角度を変動させる場合の保持面18の傾斜角度は、搬送物5の寸法、形状、重量、密度、重心位置等に応じて適宜設定される。例えば搬送物5が樹脂粉等の粉体を袋詰めにした包装袋5aである場合には、包装袋5a内の樹脂粉の密度、重量等や包装袋5aの寸法、形状等に応じて前記傾斜角度が適宜設定される。
【0055】
また、上記横倒し装置Aの保持手段2及び押圧手段1を、搬送手段4と共に上下動可能に形成することもできる。図6に示す例では、搬送手段4と横倒し装置Aとを上下昇降駆動するリフター40の上に配置している。このようにすると、搬送手段4の高さを後工程に合わせて調整すると共に、この搬送手段4の高さに合わせて保持手段2及び押圧手段1の高さを調整することができる。例えば後工程に、搬送手段4にて搬送された搬送物5を順次取り出して自動制御にて積載する積載装置を設ける場合、積載装置による搬送物5の取り出し位置の高さに合わせて、搬送手段4の高さを調整すると共に、この搬送手段4の高さに合わせて保持手段2及び押圧手段1の高さを調整することができる。
【0056】
図7に、他の実施形態を示す。図示の例では、搬送手段4による搬送物5の搬送方向は、横倒し装置Aの配置位置を含む上流側部分と、それよりも下流側部分とでは90°異なるようになっている。以下、前記上流側部分の搬送手段4を上流側搬送手段4a、下流側部分の搬送手段4を下流側搬送手段4bという。下流側搬送手段4bの上流側端部は、上流側搬送手段4aの下流側端部の側方に配置されている。
【0057】
横倒し装置Aは、初期状態ではベース10が上流側搬送手段4aの下流側端部における、下流側搬送手段4bとは反対側の側方に配置されている。このベース10に、上記図1,2に示す実施形態と同様にして押圧手段1及び保持手段2が設けられているが、進退駆動装置28、軸体12及びクランク13にて構成される移載手段3は設けられておらず、押圧手段1及び保持手段2を支持する架台16はベース10に直接設置されている。
【0058】
この横倒し装置Aには移載手段3として、ベース10を水平方向にスライド移動するスライド移動機構が設けられている。これにより押圧手段1及び保持手段2が前記移載手段3にて水平方向にスライド移動可能に形成されている。図示の例では、上流側搬送手段4aの下流側端部の更に下流側に、この上流側搬送手段4aの搬送方向と直交すると共に下流側搬送手段4bの搬送方向と平行なガイドレール41が設けられており、ベース10はこのガイドレール41に沿ってスライド移動可能に形成されている。このとき、保持手段2は、上流側搬送手段4aの下流側端縁部の側方に配置された状態と、下流側搬送手段4bの上流側の端部の上方に配置された状態との間でスライド移動するように形成される。
【0059】
このように構成される搬送物の横倒し装置Aの使用形態を、図8に示す概略図を参照して説明する。
【0060】
まず、図3(a)〜(c)に示す場合と同様に、搬送物5がベルトコンベア等の上流側搬送手段4aにおける横倒し装置Aの配置位置よりも上流側から水平方向に搬送されて、保持手段2と押圧部7との間に配置され、これが光電センサ31aにて検知されると、上流側搬送手段4aを停止すると共に、押圧手段1を作動させて搬送物5を押圧部7によって押圧し、搬送物5を傾倒して保持面18上に保持すると共に保持手段2の保持面18と押圧部7とによって挟持する(図8(a)参照)。
【0061】
次に、移載手段3を作動させてベース10をスライド移動させることにより、保持手段2及び押圧手段1を、搬送物5を挟持した状態でスライド移動させる(図8(b)参照)。このとき、保持手段2は下流側搬送手段4bの上流側端縁の後方に配置され、保持面18の下り傾斜方向と下流側搬送手段4bによる搬送方向とが一致する。このため、搬送物5はその底部が下流側搬送手段4bの下流側、上部が上流側に配置され、且つ、保持面18が傾斜している場合には搬送方向に対して傾いた状態に配置される。このとき、搬送物5の存在が光電センサ31bにて検知され、この検知結果に基づき、上流側搬送手段4aの動作を停止している場合はその動作を再開する。
【0062】
次に、押圧手段1を進退駆動装置21の駆動ロッド22が引き込まれるように作動させることにより、押圧部7を揺動させて保持手段2から離れる方向に移動させ、元の配置位置に配置させる(図8(c)参照)。これにより、搬送物5の表面から押圧部7が離れ、保持手段2と押圧部7とによる搬送物5の挟持が解除される。これにより搬送物5が下流側搬送手段4bにより下流側に搬送されることとなり、保持面18が傾斜している場合にはその傾斜に沿って下流側搬送手段4bの下流側へスムーズに移動する。このとき搬送物5は横倒しされると共に底部が下流側、上部が上流側に配置された状態で搬送される。
【0063】
次に、移載手段3を作動させて初期状態に復帰させ、上記動作を繰り返すことにより、搬送手段4を順次搬送される搬送物5に対して順次処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】(a)及び(b)は本発明の実施の形態の一例を示す側面図である。
【図2】(a)は同上の平面図、(b)は同上の背面図である。
【図3】(a)乃至(b)は同上の動作を示す概略の平面図である。
【図4】(a)及び(b)は図3に示すものに続く同上の動作を示す概略の平面図である。
【図5】同上の他の形態を示す一部の側面図である。
【図6】同上の他の形態を示す背面図である。
【図7】本発明の実施の形態の他例を示す平面図である。
【図8】(a)乃至(c)は同上の動作を示す概略の平面図である。
【符号の説明】
【0065】
A 横倒し装置
1 押圧手段
2 保持手段
3 移載手段
4 搬送手段
5 搬送物
6 接触領域
7 押圧部
9 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段の上流側部分にて搬送される搬送物を横倒しして前記搬送手段の下流側部分に移載する横倒し装置であって、搬送物を水平方向に搬送する搬送手段上の所定位置に配置された搬送物を横方向に押圧して傾倒する押圧手段、前記押圧手段にて押圧された搬送物を保持すると共に前記押圧手段との間で搬送物を挟持する保持手段、及び前記保持手段にて保持された状態の搬送物を搬送手段の下流側部分へ移載する移載手段を具備することを特徴とする搬送物の横倒し装置。
【請求項2】
上記移載手段が、上記搬送物を挟持した状態で上記押圧手段及び保持手段を水平方向に回動させるものであることを特徴とする請求項1に記載の搬送物の横倒し装置。
【請求項3】
上記移載手段が、上記搬送物を挟持した状態で上記押圧手段及び保持手段を水平方向にスライド移動させるものであることを特徴とする請求項1に記載の搬送物の横倒し装置。
【請求項4】
上記押圧手段が、搬送物に接触して押圧する面状の接触領域を有する押圧部を具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の搬送物の横倒し装置。
【請求項5】
上記押圧手段が、搬送物に接触して押圧する押圧部を具備し、前記押圧部が角度変更可能に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の搬送物の横倒し装置。
【請求項6】
上記押圧手段が、搬送物に接触して押圧する押圧部を具備し、前記押圧部の、搬送物と接触する部分がローラにて形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の搬送物の横倒し装置。
【請求項7】
上記押圧手段がエアシリンダにて駆動するものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の搬送物の横倒し装置。
【請求項8】
上記保持手段が、この保持手段に保持されている搬送物の傾斜角度を変動可能に形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の搬送物の横倒し装置。
【請求項9】
上記保持手段及び押圧手段が、搬送手段と共に上下動可能なものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の搬送物の横倒し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−284232(P2007−284232A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116122(P2006−116122)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】